JP4601205B2 - 座席シート用立体編物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車、鉄道車両、航空機、家具、事務用等の座席シート用立体編物に関する。更に詳しくは、特にハンモック式の座席シート材に用いた場合に反発感のあるクッション性と人体とのフィット感を有する快適な座り心地を示し、座った後にへたりの少ない形態安定性の良好な立体編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成された立体編物は、優れたクッション性を有し、ウレタン製品に比べリサイクル性が良好で燃焼時の有毒ガス発生等の問題も低減できることから、座席シート材等のクッション材として応用されつつある。
実用新案登録第2136028号公報には立体編物を表皮材又は表皮裏面積層材に使用した乗物用座席が開示されている。又、特開2000−325174号公報には立体編物をシートバック部あるいはシートクッション部に張設したシートが開示されている。しかしながら、前述の各公報に記載されている通常一般の立体編物の張設では、人が座った場合にある程度のクッション性は有するものの、反発感のあるクッション性、人体とのフィット感、座った後の形態安定性は不十分であり、長時間座ったり、繰り返し座る場合において、張設した立体編物が伸びきったり、座った後の跡形が残るという問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる問題点を解決し、特にハンモック式に立体編物を座席のフレームに張設する場合に反発感のあるクッション性、人体とのフィット感、及び、長時間、あるいは繰り返し座った後の形態安定性を向上させることのできる立体編物を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、立体編物を表裏を構成する編地の伸長、回復特性、応力緩和特性等について鋭意検討した結果、表裏の編地に特定の繊維を用い、編地の伸長率、回復率、応力緩和率を特定範囲に設計することにより本発明の目的が達成されることを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は、表裏二層の編地と該二層の編地を連結するモノフィラメントによる連結糸から構成された立体編物において、表裏の編地の少なくとも一方の編地がポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成されており、立体編物の14.7N/5cm幅当たりのタテ方向及びヨコ方向の伸長率が3%以上50%以下、伸長残留歪が10%以下、14.7N/5cm幅当たりの応力下でのタテ方向及びヨコ方向の応力緩和率が30%以下であることを特徴とする座席シート用立体編物である。
【0005】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の立体編物は表裏の編地の少なくとも一方の編地がポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成される。表裏の少なくとも一方の編地をポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成した立体編物をハンモック式シートに用いることにより、連結糸のクッション性に表裏のポリトリメチレンテレフタレート繊維の編地特性が加わり、反発感のあるクッション性、人体とのフィット感、座った後の形態安定性をいずれも良好にすることができる。この際、立体編物の表裏の少なくとも一方の編地がポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成されていればよいが、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、立体編物の表側(人が座る側)の編地を構成していることが、反発感のあるクッション性、人体とのフィット感、座った後の形態安定性を向上する上で好ましく、さらに表裏両側の編地をポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成すると連結糸のクッション性を増大し、より好ましい。
【0006】
本発明の立体編物は、14.7N/5cm幅当たりのタテ方向及びヨコ方向の伸長率が3%以上50%以下であることが、人体とのフィット感を有し快適な座り心地を得る上で肝要である。伸長率が3%未満であると、人が座った際の沈み込みが少なく、立体編物によるシート面が人体にフィットせず、硬く座り心地の悪いものとなる。伸長率が50%を越えるとフィット感は良好なものの、形態安定性が不十分なものとなる。より好ましくは3%以上30%以下である。
【0007】
タテ方向及びヨコ方向の伸長率を3%以上50%以下にするには、立体編物の表裏の編組織および、仕上げ加工方法が肝要となる。特にヨコ方向の伸長率を50%以下にするために編組織は、メッシュ編地であれば1メッシュを構成する編目数(コース数)を12コース以下にすることが好ましく、仕上げ加工方法はタテ方向とヨコ方向の伸長率のバランスをとり、ヨコ方向を幅出しヒートセットすることが好ましい。又、表裏の編組織に挿入編を利用して伸長率を抑える方法も好ましい。立体編物の表裏の編組織は同一である必要は無く、異なる編組織、異なる伸長率のものであってもよい。
又、立体編物の伸長率は座席のフレームに張設する際の伸長程度を調節して、座席の状態で伸長率を3%以上50%以下としても良い。
【0008】
さらに立体編物は、伸長残留歪が10%以下でありかつ、14.7N/5cm幅当たりの応力下での応力緩和率が30%以下であることが、反発感のあるクッション性を良好にし、長時間、あるいは繰り返し座った後の形態安定性を向上させる上で必要である。伸長残留歪は好ましくは7%以下、より好ましくは5%以下であり、応力緩和率は好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。特に応力緩和率を30%以下にすることにより反発感ある快適な座り心地を有するものとなり、応力緩和率が30%を越えると、反発感が感じられ難くなる。又、伸長残留歪が10%を越えると、長時間、あるいは繰り返し座った後の形態安定性が不十分となる。
【0009】
ここで、ポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成した編地の伸長残留歪及び応力緩和率を低下させるには、ポリトリメチレンテレフタレート繊維を0%以上の伸長率で熱処理する方法等で達成することができる。熱処理は原糸製造の段階で、伸長熱処理を施してもよく、仮撚、流体噴射加工等の糸加工段階で伸長熱処理を施してもよく、編地の段階で伸長熱処理を施してもよい。
【0010】
本発明に用いるポリトリメチレンテレフタレート繊維とは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル繊維をいい、トリメチレンテレフタレート単位を約50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらには80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上のものをいう。従って、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が、約50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらには20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートを別個に合成した後、ブレンドしたり、複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド等)してもよい。
【0011】
複合紡糸に関しては、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報等に例示されるような、第一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、第二成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロンを並列的あるいは偏芯的に配置したサイドバイサイド型又は偏芯シースコア型に複合紡糸したものがあり、特にポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましく、特に、特開2000−239927号公報に例示されるような極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、低粘度側が高粘度側を包み込むように接合面形状が湾曲しているサイドバイサイド型に複合紡糸したものが、高度のストレッチ性と嵩高性を兼備するものであり特に好ましい。
【0012】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等がある。又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用出来る。
【0013】
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
本発明においてポリトリメチレンテレフタレート繊維の紡糸については、1500m/分程度の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)の何れを採用しても良い。
繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。又、繊維の形態は、原糸、紡績糸、撚糸、仮撚加工糸、流体噴射加工糸等何れの形態のものを採用しても良いが、立体編物の表面をソフト風合いにするには、仮撚加工糸、ループ毛羽を有する流体噴射加工糸、紡績糸が好ましい。
【0014】
本発明の立体編物では表及び/又は裏側の編地は、40重量%以上がポリトリメチレテレフタレート繊維で構成されていれば良く、交編、混繊、交撚、複合仮撚等の手段でポリトリメチレンテレフタレート繊維以外の繊維と複合されていても良いが、100重量%ポリトリメチレテレフタレート繊維で構成されると、反発感のあるクッション性、人体とのフィット感、座った後の形態安定性を向上する上でより好ましい。ポリトリメチレテレフタレート繊維と複合する繊維、あるいは表裏の編地を構成するポリトリメチレテレフタレート繊維以外の繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等の合成繊維、綿、麻等の天然繊維、キュプラ、レーヨン等の再生繊維等を用いることができるが、リサイクルの容易性からポリエステル系繊維を用いることが好ましい。
【0015】
本発明の立体編物は、相対する2列の針床を有する編機で編成することができ、ダブルラッセル編機、ダブル丸編機、Vベッドを有する横編機等で編成できるが、寸法安定性のよい立体編物を得るには、ダブルラッセル機を用いるのが好ましい。編機のゲージは9ゲージから22ゲージまでが好ましく用いられる。
立体編物の表裏の編地は4角、6角等のメッシュ編地、マーギゼット編地等複数の開口部を有する編地にして軽量性、通気性を向上させてもよく、表面を平坦な組織にして肌触りを良好にしてもよい。表面を起毛するとより肌触りの良好なものが得られる。
【0016】
尚、連結糸の密度については、立体編物1平方インチの面積中にある連結糸の本数をN(本/平方インチ)、連結糸のデシテックスをD(g/1×106 cm)、連結糸の比重をρ(g/cm3 )とした時、立体編物1平方インチの面積中にある連結糸の総断面積(N・D/1×106 ・ρ)が0.05〜0.5cm2 、より好ましくは0.1〜0.2cm2 であると、立体編物が適度な剛性による良好なクッション性を有するものとなる。0.05cm2 未満では反発性が低下し、0.5cm2 を超えると硬すぎてクッション性に劣り、軽量性も低下する方向となる。
連結糸は、表裏の編地中にループ状の編み目を形成してもよく、表裏編地にタック組織状に引っかけた構造でもよいが、少なくとも2本の連結糸が表裏の編地を互いに逆方向に斜めに傾斜して、X状やトラス状に連結することが、立体編物の形態安定性を向上させる上で好ましい。
【0017】
本発明の立体編物に用いる繊維の繊度は、表裏の編地を構成する繊維には100デシテックスから2000デシテックスの太さのものを用いることができ、フィラメント数は任意に使用できる。又、連結糸のモノフィラメントは100デシテックスから1500デシテックスの太さのものを用いることができる。立体編物の表面をザラザラさせず、人が座る時のクッション性を良好にするためには、モノフィラメントの太さは250デシテックスから1000デシテックスが好ましく、より好ましくは350デシテックスから900デシテックスである。
【0018】
連結糸のモノフィラメントにはポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、あるいはこれらの紡糸複合繊維等を用いることができるが、反発感のあるクッション性と、座った後の形態安定性を向上させるためには、ポリトリメチレテレフタレート繊維を用いるのが好ましい。さらに、立体編物の厚み方向の50%圧縮の残留歪みが10%以下であることが、座った後の形態安定性を向上させる上で好ましい。
【0019】
立体編物の厚み、目付は目的に応じて任意に設定できるが、厚みは5mmから20mmまでが好ましく用いられる。5mm未満であるとクッション性の乏しいものとなり、20mmを越えると座席フレームに固定する際の処理方法の難易度が増す。目付は300〜3000g/m2 程度、好ましくは500〜2000g/m2 程度にするとよい。
立体編物の仕上げ加工方法は、生機を精練、染色、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができるが、立体編物の表裏及び/又は連結糸に用いる繊維を原着糸とすることで、染色工程を簡略化すると好ましい。
【0020】
仕上げ加工後の立体編物は、座席フレームに張設する際に、あらかじめ融着等の手段で端部を処理したり、熱成形により所望の形状にして用いても良い。
本発明の立体編物は座席フレームに張設されてハンモック状で好適に使用されるが、ハンモック状の立体編物の下をスプリングや立体編物の積層によりクッション補強してもよい。又、ハンモック状で使用せずに、座席に表皮材として張り合わせても良好な特性を示すものとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例などを用いて具体的に説明するが、本発明は実施例などにより何ら限定されるものではない。
<ポリトリメチレンテレフタレート繊維の製法>
また、実施例などにおいて使用したポリトリメチレンテレフタレート繊維は、次のようにして準備した。
即ち、立体編物の表裏の編地を形成するポリトリメチレンテレフタレート繊維は、ηsp/c=0.8(o−クロロフェノール溶媒中で35℃で測定)のポリトリメチレンテレフタレートを紡糸温度265℃、紡糸速度1200m/分で紡糸して未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度60℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3倍、延伸速度800m/分で延撚して、330デシテックス/96フィラメントの延伸糸(丸断面)を得た。延伸糸の強度、伸度、弾性率並びに10%伸長時の弾性回復率は、各々2.9cN/dtex、43.6%、26.2cN/dtex並びに98%であった。
【0022】
又、連結糸に用いたポリトリメチレンテレフタレート繊維モノフィラメントは、ηsp/c=0.8(o−クロロフェノール溶媒中で35℃で測定)のポリトリメチレンテレフタレートを紡糸温度270℃で紡口から吐出し、15℃の冷却浴中で急冷した後、12.4m/分で第1ロールで巻き取り、さらに温度70℃のヒーター間で4倍に延伸しながら第2ロールで巻き取った後、150℃でリラックス処理して、280デシテックスの延伸モノフィラメント糸を得た。
得られた延伸糸の強度、伸度、弾性率並びに10%伸長時の弾性回復率は、各々3.0cN/dtex、47%、26.8cN/dtex並びに98%であった。
尚、10%伸長時の弾性回復率は、試料に0.009cN/dtexの初荷重をかけ、毎分20%の伸びの一定割分の速度で伸ばし、伸度10%になったところで今度は逆に同じ速度で収縮させて、応力−歪曲線を画く。収縮中、応力が初荷重と等しい、0.009cN/dtexにまで低下した時の残留伸度をLとすると、下記式で算出した値である。
10%伸長時の弾性回復率=〔(10−L)/10〕×100(%)
【0023】
また、立体編物の特性の測定方法を以下に説明する。
(1)伸長率、伸長回復率
仕上げ加工した立体編物を30cm×5cm(幅)にサンプリングして、サンプルの一端をチャックに固定して吊るした状態で20cmの間隔に印を付ける。サンプルのもう一端に荷重14.7Nの荷重をかけて吊るし、5分後に印間の長さL1 を測定する。その後荷重を取り除き、1分後の印間の長さL2 を測定し、次の式に従い伸長率、伸長回復率を算出した。
伸長率(%)=(L1 −20)/20 ×100
伸長残留歪(%)=(L2 −20)/20 ×100
【0024】
(2)14.7N/5cm幅当たりの応力下での応力緩和率
(1)と同様にサンプリングし、オートグラフ(島津製作所製)を用い、チャック間を20cmに調節しサンプルをセットする。引っ張り速度200mm/minでサンプルを伸長し14.7N/5cm幅の応力に達した時点で1分間保持する。1分後チャックを元の位置に戻す。1分間保持している間の引張り応力が低下する応力緩和率をチャートより読み取り、次式で応力緩和率を算出した。
応力緩和率(%)=(低下した応力N)/14.7N ×100
【0025】
(3)50%圧縮残留歪
平板の圧縮治具を用い、5cm角で初期厚み(T0 )の立体編物を1/2の厚みに20℃の環境下で22時間圧縮し、圧縮解放後30分の立体編物の厚み(T1 )を測定し、次式により圧縮残留歪を測定した。
50%圧縮残留歪(%)=(T0 −T1 )/T0 ×100
(4)KES純曲げのヒステリシスロス
カトーテック社製のKES純曲げ装置を用い、モノフィラメントを26本1mm間隔でシート状に引き揃えて11mmのサンプル長となる様にモノフィラメントシートの上下を厚紙と接着テープで固定してつかみ代とし、11mm長(26本)のシート状サンプルを正および逆方向に曲率2.5まで曲げる際の、曲率1におけるの曲げ回復のヒステリシスロスを測定した。
【0026】
(5)クッション性、フィット感
座部が40cm角の四角い金属フレームで作られた椅子(4脚、背もたれなし)のフレームに立体編物の周囲を緩まないように縫製して張設し、体重65kgの男性が10回、各5分間座り、クッション性を官能評価により、◎:反発感がある、○:反発感がややある、△:反発感がやや少ない、×:反発感が少ない、の4段階で評価した。
又、フィット感を官能評価により、◎:フィット感が高い、○:フィット感がやや高い、△:フィット感がやや低い、×:フィット感が低い、の4段階で評価した。
(6)形態安定性
(5)の試験後、椅子に張った立体編物のへたり状態を外観評価によりし、◎:へたりが全くない、○:へたりが殆どない、△:ややへたりがある、×:へたりが激しい、の4段階で評価した。
【0027】
【実施例1】
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間10mmのダブルラッセル機を用い、表側の編地を形成する2枚の筬(L1、L2)及び裏側の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)から330デシテックス96フィラメントのポリトリメチレテレフタレート繊維を供給し、連結糸を形成する二枚の筬(L3、L4)から280デシテックスのポリトリメチレンテレフタレート繊維モノフィラメントを供給し、いずれ筬もガイドに1イン1アウトの配列で繊維を供給して、打ち込み18コース/インチで、以下に示す編組織で連結糸が部分的にX構造を形成する表裏メッシュの立体編物を得た。該立体編物を70℃で精練後、29%幅出し熱セット(170℃)し、表1に示す物性の立体編物を得た。
【0028】
(編組織)
L1:1011/1211/1011/1211/1011/1222/2322/2122/2322/2122/2322/2111/
L2:2322/2122/2322/2122/2322/2111/1011/1211/1011/1211/1011/1222/
L3:2121/2323/2121/4545/2121/2323/3434/3232/3434/1010/3434/3232/
L4:3434/3232/3434/1010/3434/3232/2121/2323/2121/4545/2121/2323/
L5:1110/1112/1110/1112/1110/1112/2223/2221/2223/2221/2223/2221/
L6:2223/2221/2223/2221/2223/2221/1110/1112/1110/1112/1110/1112/
得られた立体編物は、表1に示す如く、反発感、フィット感、座った後の形態安定性がともに非常に良好であった。
【0029】
【実施例2】
実施例1において、裏側の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)から330デシテックス96フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維を供給した以外は、実施例1と同様にして、表1に示す物性の立体編物を得た。
得られた立体編物は、表1に示す如く、反発感、フィット感、座った後の形態安定性がともに良好であった。
【実施例3】
実施例1において、連結糸を形成する二枚の筬(L3、L4)から280デシテックスのポリブチレンテレフタレート繊維モノフィラメントを供給した以外は、実施例1と同様にして、表1に示す物性の立体編物を得た。
得られた立体編物は、表1に示す如く、反発感、フィット感、座った後の形態安定性がともに良好であった。
【0030】
【比較例1】
実施例1において、表裏を形成する筬(L1、L2、L5、L6)から330デシテックス96フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維を供給した以外は、実施例1と同様にして、表1に示す物性の立体編物を得た。
得られた立体編物は、表1に示す如く、反発感とフィット感が少なく、座った後の形態安定性も劣っていた。
【比較例2】
実施例1において、仕上げの幅出し率を3%とした以外は、実施例1と同様にして、表1に示す物性の立体編物を得た。
得られた立体編物は、表1に示す如く、人体とのフィット感は高いものの反発感が少なく、座った後の形態安定性が劣っていた。
【0031】
【比較例3】
実施例1において、仕上げの幅出し率を50%とした以外は、実施例1と同様にして、表1に示す物性の立体編物を得た。
得られた立体編物は、表1に示す如く、反発感が高く、形態安定性も良好であったが、人体とのフィット感が少なく、硬く座り心地の悪いものであった。
【比較例4】
実施例1において、表裏を形成する筬(L1、L2、L5、L6)から330デシテックス96フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維を、連結糸を形成する二枚の筬(L3、L4)から280デシテックスのポリエチレンテレフタレート繊維モノフィラメントを供給した以外は、実施例1と同様にして、表1に示す物性の立体編物を得た。
得られた立体編物は、表1に示す如く、反発感、フィット感が少なく、座った後の形態安定性も劣っていた。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明による座席シート用立体編物は、特にハンモック式の座席シート材に用いた場合に反発感のあるクッション性を有し、人体とのフィット感も良好で、かつ人が座った後にへたりの少ない形態安定性の良好な立体編物である。
Claims (2)
- 表裏二層の編地と該二層の編地を連結するモノフィラメントによる連結糸から構成された立体編物において、表裏の編地の少なくとも一方の編地がポリトリメチレンテレフタレート繊維で構成されており、立体編物の14.7N/5cm幅当たりのタテ方向及びヨコ方向の伸長率が3%以上50%以下、伸長残留歪が10%以下、14.7N/5cm幅当たりの応力下でのタテ方向及びヨコ方向の応力緩和率が30%以下であることを特徴とする座席シート用立体編物。
- 立体編物の厚み方向の50%圧縮残留歪が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の座席シート用立体編物。
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