JP2005113310A - 立体編物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 圧縮の際に表裏の編地が長さ方向にずれるせん断変形が起き難く、反発感のある良好なクッション性を有する立体編物を提供する。
【解決手段】 表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成された厚みが2.5〜25mmの立体編物であって、該連結糸の15%重量以上が潜在捲縮発現性繊維であることを特徴とする立体編物。
【選択図】 選択図なし。

Description

本発明は、自動車、鉄道車両、航空機、チャイルドシート、ベビーカー、車椅子、家具、事務用等の座席シート用クッション材、寝具、ベッドパッド、マットレス、床ずれ防止マット、枕、座布団等のクッション材、衣料用等のスペーサー、保型材、緩衝材、保温材、シューズ用のアッパー材、中敷材、サポーターやプロテクター等に好適に用いられる立体編物に関する。
表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸とから構成された立体編物は、クッション性、通気性、保温性、体圧分散性等の機能を活かして、各種クッション材用途に利用されている。
これらの立体編物は、中間層を構成する連結糸にモノフィラメントを使用することにより、モノフィラメントの曲げ弾性を活用して立体編物の厚み方向にクッション性が付与されている。
立体編物のクッション性及び圧縮回復性を向上させる方法として、特許文献1には、連結糸に弾性回復性の良好なポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントを用いて、圧縮回復性の向上を図った立体編物が開示されている。特許文献2には、連結糸の湾曲形態を規定することによって、繰り返し使用した場合のクッション性の耐久性を向上させた立体編物が開示されている。
図2に、表側編地2と裏側編地3を連結糸4で連結した、従来の立体編物1のモデル図を示す。特許文献1及び2のいずれの立体編物においても、全ての連結糸は図2に示すように、一方向(編み始めの方向)に湾曲する方向性をもった構造を有している。この構造の場合、立体編物の厚み方向に圧縮力が加わると、応力が連結糸の付け根の部分(連結糸と地組織の接合部分)に集中し、一定以上の圧力を越えると連結糸が付け根の部分から倒れ、表裏の編地が長さ方向にずれるせん断変形が生じる。このせん断変形により、立体編物の反発感が急激に損なわれ、圧縮の初期は反発力があるが、せん断変形が生じると反発力が低下する違和感のあるクッション性が発現するという問題点があった。
特許文献3には、連結糸にクリンプを有する繊維を用い、泡の保持効果が高められ、マッサージ効果と洗浄効果の良好な立体編物が開示されているが、表裏の編地のせん断変形や、反発感のあるクッション性については何ら考慮されておらず、クッション材としては不十分なものであった。
特開平11−269747号公報 国際公開特許第O02/079558号パンフレット 特開平5−49552号公報
本発明は、前記の問題点を解決し、圧縮の際に表裏の編地が長さ方向にずれるせん断変形が起き難く、反発感のある良好なクッション性を有する立体編物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の目的を達成するために、立体編物の表裏の編地を連結する連結糸の地組織との付け根部分に応力が集中しない方法を鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1) 表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成された、厚みが2.5〜25mmの立体編物であって、連結糸の15%重量以上が潜在捲縮発現性繊維であることを特徴とする立体編物。
(2) 連結糸に用いる潜在捲縮発現性繊維がモノフィラメントであることを特徴とする(1)に記載の立体編物。
(3) 連結糸が、少なくとも2成分からなり、そのうちの少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレートである複合繊維からなる潜在捲縮発現性繊維によって構成されていることを特徴とする(1)叉は(2)に記載の立体編物。
(4) 連結糸が、潜在捲縮発現性繊維と非潜在捲縮発現性モノフィラメントとの交編糸であって、連結糸全体における潜在捲縮発現性繊維の重量混率が15〜85%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の立体編物。
本発明の立体編物は、立体編物単独の状態においても、又ハンモック式座席においても、圧縮時に表裏の編地がずれるせん断変形が生じ難く、反発感のある良好なクッション性を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の特徴は、立体編物の連結糸に潜在捲縮発現性繊維を用いる点にある。図1に、表側編地2と裏側編地3を、潜在捲縮発現性繊維の捲縮が発現された連結糸4で連結されている立体編物1のモデル図を示す。潜在捲縮発現性繊維を連結糸に用いた立体編物は、熱処理により捲縮を発現させた場合、図1に示すように、表裏の編地の間に位置する連結糸に捲縮が生じる。従来、連結糸は、図2に示すように規則正しく一方向に湾曲していた。しかい、本発明の立体編物においては、連結糸に捲縮が生じることにより、ランダムな方向に屈曲したり、螺旋状のクリンプを形成しながら屈曲することにより、連結糸の付け根の部分(地組織との接合部分)に圧縮時の応力が集中し難くなり、表裏の編地のせん断変形が防止できる。
本発明における潜在捲縮発現性繊維は、少なくとも2種の成分が、サイドバイサイド型、偏芯芯鞘型等に接合された複合繊維であり、乾熱処理、湿熱処理等の熱処理によって捲縮を発現するものである。
本発明に用いられる潜在捲縮発現性繊維は、好ましくは以下の特性を有する。顕在捲縮の伸縮伸長率は、紡糸された原糸の巻き取り性、整経性、及び編立性等の加工性を良好にする上で、好ましくは10〜100%、より好ましくは10〜80%、最も好ましくは10〜60%である。顕在捲縮の伸縮弾性率は、原糸チーズ、及び整経ビームの内外層の物性バラツキを低減する上で、好ましくは80〜100%、より好ましくは85〜100%、最も好ましくは85〜97%である。100℃における熱水処理後の伸縮伸長率は、好ましくは100〜250%、より好ましくは150〜250%、最も好ましくは180〜250%である。熱水処理後の伸縮伸長率が100〜250%であると、立体編物の厚み方向に圧縮力が加わる際に、連結糸の付け根の部分に応力が集中し難く、せん断変形が起こり難くなる。100℃における熱水処理後の伸縮弾性率は、立体編物の繰り返し圧縮回復性を良好にする上で、好ましくは90〜100%、より好ましくは95〜100%である。
伸縮伸長率及び伸縮弾性率は、JIS L 1090合成繊維フィラメントかさ高加工糸試験方法の伸縮性試験方法(A法)に準じて測定を行い、それぞれ伸縮伸長率(%)及び伸縮弾性率(%)を算出して得られる値である。
潜在捲縮発現性繊維は、熱処理前には捲縮が少ないため、連結糸にモノフィラメント等の硬い糸を用いても整経性や編成性に悪影響を与えることなく立体編物を製造することが可能となる。
潜在捲縮発現性繊維が2種の成分からなる複合繊維の場合、複合比(一般的に、重量比率で70/30〜30/70の範囲内のものが多い)、接合面形状(直線又は曲線形状のものがある)等は限定されない。潜在捲縮発現性繊維が3種以上の成分の場合も、複合比や接合面形状は限定されない。
潜在捲縮発現性繊維は、モノフィラメント及びマルチフィラメントを含み、立体編物に反発感のあるクッション性を付与するにはモノフィラメントが好ましい。
潜在捲縮発現性繊維の繊度は、モノフィラメントの場合、好ましくは20〜1000デシテックス、より好ましくは30〜700デシテックス、最も好ましくは50〜500デシテックスである。繊度が20デシテックス未満であると、立体編物の反発性が乏しくなる場合があり、1000デシテックスを越えると、紡糸巻取り性及び編み立て性が低下したり、立体編物が硬くなり、座り心地の悪いものとなる場合がある。マルチフィラメントの場合、単糸繊度は、好ましくは0.5〜50デシテックス、全繊度は、好ましくは20〜1000デシテックスである。
潜在捲縮発現性繊維に用いられる少なくとも2種の成分は限定されることなく、ポリマー種としては、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル系エラストマー等が好ましく用いられる。
このうち少なくとも1成分にポリトリメチレンテレフタレートを用いると、立体編物の反発性及び繰り返し圧縮回復性がより良好となるので好ましい。
このような潜在捲縮発現性繊維は、第一成分がポリトリメチレンテレフタレートであり、第二成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、又はナイロンを、並列的又は偏芯的に配置した、サイドバイサイド型又は偏芯鞘芯の複合繊維が好ましい。この他、ポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせ、及び固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましい。
固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートが互いにサイドバイサイド型に複合された複合繊維の場合、2種類のポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度差は、好ましくは0.05〜0.8(dl/g)、より好ましくは0.1〜0.7(dl/g)、最も好ましくは0.15〜0.7(dl/g)である。
例えば、高粘度側の固有粘度を0.7〜1.3(dl/g)から選択した場合には、低粘度側の固有粘度は0.5〜1.1(dl/g)から選択されるのが好ましい。低粘度側の固有粘度は、好ましくは0.5(dl/g)以上、より好ましくは0.5〜1.0(dl/g)、最も好ましくは0.7〜1.0(dl/g)である。この複合繊維の平均固有粘度は、好ましくは0.7〜1.2(dl/g)、より好ましく亜0.8〜1.2(dl/g)、さらに好ましくは0.85〜1.15(dl/g)、最も好ましくは0.9〜1.1(dl/g)である。
なお、本発明でいう固有粘度の値は、使用するポリマーではなく、紡糸た糸の粘度を指す。この理由は、ポリトリメチレンテレフタレート特有の欠点として、ポリエチレンテレフタレート等と比較して熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用しても熱分解によって固有粘度が著しく低下し、複合マルチフィラメントにおいては両者の固有粘度差を大きく維持することが困難であるためである。
ポリトリメチレンテレフタレートは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルであり、トリメチレンテレフタレート単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含むものをいう。したがって、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が、50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種又は2種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートを別個に合成した後、ブレンドしてもよい。
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等がある。又、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用出来る。
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
本発明に用いられる潜在捲縮発現性繊維は、モノフィラメントの場合、例えば、異なる2成分を紡口から吐出し、冷却浴中で急冷した後、第1ロールで巻き取り、次いで、温水中叉は乾熱雰囲気下で延伸しながら第2ロールで巻き取った後、乾熱雰囲気下や湿熱雰囲気下においてオーバーフィードでリラックス処理して第3ロールで巻き取る方法等で製造することができる。
潜在捲縮発現性繊維がマルチフィラメントの場合、例えば、3000m/分以下の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法が好ましいが、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)等により製造される。
潜在捲縮発現性繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、ブ−メラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。マルチフィラメントの場合の繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。
本発明の立体編物は、相対する2列の針床を有する編機で編成することができ、ダブルラッセル編機、ダブル丸編機、Vベッドを有する横編機等で編成できる。寸法安定性のよい立体編物を得るには、ダブルラッセル編機を用いるのが好ましい。編機のゲージは9〜28ゲージが好ましく用いられる。
本発明の立体編物の連結糸は、圧縮力に対するせん断変形を防止する上で、潜在捲縮発現性繊維が連結糸全体に占める割合が、重量混率で15%以上であることが必要である。連結糸が潜在捲縮発現性繊維のみで構成される場合は、比較的柔軟な圧縮弾性を示すため、より反発感のある圧縮弾性のものとするには潜在捲縮発現性繊維は非潜在捲縮発現のモノフィラメントと交編されていることが好ましい。この際、潜在捲縮発現性繊維が連結糸全体に占める重量混率は15〜85%が好ましく、より好ましくは30〜70%、最も好ましくは40〜60%である。
立体編物の表裏の編地組織は限定されない。例えば、4角、6角等のメッシュ編地、マーキゼット編地等、複数の開口部を有する編地にして軽量性及び通気性をはかる、表面を平坦な組織にして肌触りの向上をはかる、表面に凹凸を付与して意匠性を向上させる、表面を起毛して肌触りをより良好にする、等の改良を行うことができる。
連結糸の密度は、立体編物6.45cmの面積中にある連結糸の本数をN(本/6.45cm)、連結糸のデシテックスをT(g/1×106cm)、連結糸の比重をρ(g/cm3)とした時、立体編物6.45cmの面積中にある連結糸の総断面積(N・T/1×106・ρ)は0.04〜0.40cm2が好ましく、より好ましくは0.06〜0.30cm2である。この範囲に設定することによって、立体編物は、より適度な剛性による良好なクッション性が付与される。
連結糸の潜在捲縮発現性繊維は、表裏の編地中にループ状の編目を形成してもよく、表裏編地に挿入組織状に引っかけた構造でもよい。少なくとも2本の連結糸が表裏の編地を互いに逆方向に斜めに傾斜して、クロス状(X状)やトラス状に連結することにより、立体編物の形態安定性を向上させると共に、圧縮時のせん断変形をさらに防止できるので好ましい。トラス構造及びクロス構造共に2本の連結糸は、1本の同一の連結糸が表又は裏面で折り返し、見かけ上2本となっている場合であってもよい。
立体編物のせん断変形を防止し、反発感のあるクッション性を付与するために、立体編物の厚みは2.5〜25mmである必要があり、好ましくは3〜20mm、より好ましくは5〜15mmである。厚みが2.5mm未満であると、反発感のあるクッション性が得られなくなり、25mmを越えると、せん断変形が生じ易くなると同時に、仕上げ加工も難しくなる。立体編物の目付は、好ましくは150〜3000g/m、より好ましくは200〜2000g/m2である。
立体編物の仕上げ加工方法は、先染め糸や原液着色糸を使用した立体編物の場合、生機を精練、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができる。連結糸又は表裏糸のいずれかが未着色の立体編物の場合は、生機を精練、染色、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができる。表面をプリント加工して仕上げて意匠性を付与してもよい。
仕上げ加工後の立体編物は、融着、縫製、樹脂加工等の手段により端部を処理したり、熱成形等により所望の形状にして、ハンモック式座席、ベッドパッド等の各種用途に用いることができる。
特にハンモック式座席として用いる場合は、立体編物の圧縮撓み量が10mm以上80mm以下であることが、座った時のクッション性を良好にする上で好ましい。立体編物の圧縮撓み量が80mmを越えると、ハンモック式座席に座ったときにせん断変形が生じやすくなる場合がある。圧縮撓み量は、より好ましくは15mm以上70mm以下、最も好ましくは15mm以上60mm以下である。
ここでいうハンモック式座席とは、例えば、立体編物の周囲又は少なくとも2辺を、背部又は座席のフレームに、緊張状態又は弛ませた状態で張ることにより、立体編物が座席の座部や背部を形成する座席のことをいう。
フレームへの立体編物の固定には任意の方法を用いることができ、例えば、特開2002−219985号公報に記載のように、立体編物の末端部に断面略U字状で溝部を有するプレート部材を固着し、プレート部材の溝部を適宜のフレーム材に係合する手段、立体編物の末端部にさらにトリム布を連結し、このトリム布に上記のプレート部材を固着して適宜のフレーム材に係合する手段、立体編物の末端部を溶着、縫製、樹脂加工等により処理した後、端部を押さえ部材で押さえてボルト止め等でフレームに固定する方法等を用いることができる。
ハンモック式座席として用いる場合、クッション性をさらに良好なものとするために、表側編地の面伸長率Fと裏側編地の面伸長率Bの比である、F/Bは、好ましくは1.1以上12以下、より好ましくは1.1以上10以下である。ここでいう表側編地及び裏側編地の面伸長率とは、立体編物から表側編地と裏側編地を分離して、それぞれの編地を枠に張設した状態で編地面に直角方向に直径100mmの圧縮治具で250Nの荷重をかけたときに、編地が面方向にどの程度伸長するかを便宜的に示すものである。なお、表側編地とは、座席とした場合に人体に接する側の編地のことを示すが、表裏の区別が明確でない場合は、面伸長率が大きい編地を表側編地、小さい方を裏側編地とする。
面伸長率の比F/Bが1.1未満であると、すなわち、裏側編地の伸長率に対し表側編地の伸長率が相対的に小さい場合は、フレームに張設した座席において表側編地が主体で人の体重を支えるものとなり、立体編物の連結糸のクッション性が十分に発揮されない場合がある。その結果、クッション性及びフィット性が低下する場合がある。面伸長率の比(F/B)が12を越えると、フレームに張設した座席において裏側の編地が主体で人の体重を支えるため、底付き感が生じやすくなり、座り心地が悪くなる場合があり、同時に、せん断変形も生じやすくなる場合がある。
本発明の立体編物の面伸長率の比(F/B)を1.1以上12以下とするには、表側編地と裏側編地の組織を異なる編組織とし、それぞれの編組織と糸使いを適宜選定し、糸供給量、編密度等を適宜調整する。糸使いとしては、特に素材の熱収縮率が重要となり、熱収縮率と編組織を十分に考慮して表裏の編地の面伸長率比を適正範囲に導く必要がある。
裏側編地としては、比較的低伸長で形態安定性の良好な編地とするために少なくとも1枚の筬に鎖編を用い、かつ、2枚以上の筬で形成される編組織とすることが好ましい。さらに裏面の地組織を沸水収縮率が4%以上の原糸(未加工糸)で形成すると、ハンモック式座席に使用する場合に、面剛性が高く金属バネに近い特性の座り心地のものとなる。
表側編地は鎖編を用いずに若干の伸長率を有する編組織とすることが好ましい。
立体編物は、表裏一体でヒートセット等の仕上加工が施されるため、加工時のオーバーフィード率や幅出し状態を考慮して表裏の編組織を選定する必要がある。
本発明がハンモック式座席に用いられる場合、裏側編地は人の体重を支える最も重要な役割を果たす。ハンモック式座席にもちた場合、反発感のあるクッション性を示し、繰り返し又は長時間座った後の形態保持性を良好にするために、立体編物の裏側の編地のタテ方向及び/又はヨコ方向に挿入糸が、直線状又はジグザグ状に挿入されていることが好ましい。
立体編物の裏側の編地に挿入糸が直線状又はジグザグ状に挿入されている状態とは、タテ方向の場合は、鎖編やデンビ編等の組織で編まれる地糸のニードルループとシンカーループの間に1コース当り2針振り以下の振り幅で挿入された状態、又は立体編物の長さ方向に連なる地糸のシンカーループの間を上下しながら挿入された状態で、立体編物の全長にわたり挿入糸が直線状又はジグザグ状で、ニットループを形成せずに挿入されていることをいう。ヨコ方向の場合は、鎖編、デンビ編等の組織で編まれる地糸のニードルループとシンカーループの間に、立体編物の全幅にわたるように、挿入糸が直線に近い形態で挿入されていることをいう。
タテ方向及び/又はヨコ方向の挿入糸に用いる繊維は、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等の弾性回復性の良好が好ましい。モノフィラメントを用いると、人が座った後の回復性がより良好となる。挿入糸は、地糸とのスリップを防止するため、熱融着や樹脂接着等によって地糸と接着されていることが好ましい。
挿入糸の挿入方法は、タテ方向の挿入は、ダブルラッセル編機を用いて挿入糸の筬を地組織の筬よりも外側に配して、針に対してオーバーラップせずアンダーラップ運動させることによって挿入することができ、ヨコ方向の挿入は、緯糸挿入装置を装備したダブルラッセル編機を用いて緯糸挿入することができる。
立体編物の表裏の編地に用いる繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等が挙げられる。
編地に用いる繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。繊維の形態は、原糸、紡績糸、撚糸、仮撚加工糸、エアー交絡糸、流体噴射加工糸等の嵩高加工糸のいずれのものを採用してもよい。連結糸の潜在捲縮発現性繊維が編地表面へ露出しないように被覆率を上げるには、マルチフィラメント糸の仮撚加工糸、紡績糸等の嵩高糸を用いることが好ましい。
本発明に用いられる固有粘度の測定法は以下のとおりである。
(1)固有粘度
固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
定義中のηrは、純度98%以上の0−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
なお、固有粘度の異なるポリマーを用いた複合繊維は、複合繊維を構成するそれぞれの固有粘度を測定することは困難であるので、複合繊維の紡糸条件と同じ条件で2種類のポリマーをそれぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有粘度を、複合繊維を構成する固有粘度とした。
立体編物の各種物性の測定方法は以下の通りである。
(1)厚み
厚み計(ピーコック製)を用い、直径30mmの圧縮面により490Paの荷重下での厚みを測定する(5回測定した平均値)。
(2)圧縮撓み量E(mm)
4隅に高さ15cmの足を取付けた、内径が1辺30cm、外径が1辺41cmの四角形の板状の金属枠(上面に40番のサンドペーパーを貼りつけて滑り止め性を付与)と、内径が1辺30cm、外径が1辺41cmの四角形の板状の金属枠(下面に40番のサンドペーパーを貼りつけて滑り止め性を付与)の間に立体編物を弛まないように挟み、周囲を万力で固定する。
島津オートグラフAG−B型(島津製作所製)を用い、直径100mmの円形平面状の圧縮端子により、張設した立体編物の中央部を100mm/分の速度で圧縮し、245Nの荷重になったら同速で元に戻す。この際に得られる荷重−変位曲線から、245N荷重時の変位を圧縮撓み量E(mm)とする。
(3)面伸長率F、B(%)
立体編物(41cm角)の連結糸をほぼ中央部でカットし、表側と裏側の編地をそれぞれ分離する。
4隅に高さ15cmの足を取付けた、内径が1辺30cm、外径が1辺41cmの四角形の板状の金属枠(上面に40番のサンドペーパーを貼りつけて滑り止め性を付与)と、内径が1辺30cm、外径が1辺41cmの四角形の板状の金属枠(下面に40番のサンドペーパーを貼りつけて滑り止め性を付与)の間に立体編物の表側及び裏側の編地を弛まないように連結糸側を下にして挟み、周囲を万力で固定する。
島津オートグラフAG−B型((株)島津製作所製)を用い、直径100mmの円盤状圧縮治具により、張設した表側編地の中央部を100mm/分の速度で圧縮し、245Nの荷重時の変位を測定し、圧縮撓み量Mf(mm)とする。同様にして裏側編地の圧縮撓み量Mbを測定する。さらに次式により表側編地の面伸長率F及び裏側編地の面伸長率Bを求める。
F(%)={{(150+Mf0.5−150}×100}/150
B(%)={{(150+Mb0.5−150}×100}/150
(4)クッション性(せん断性)
20cm角の立体編物を剛体面のテーブル上に置く。立体編物を掌の手首に最も近い部分に力を入れて、立体編物を完全に押し潰すまで2〜3回押さえる。(立体編物の長さ方向と指の長さ方向が一致する様に方向を合わせて押さえる)。立体編物を押し潰す際に、立体編物の長さ方向に生じるせん断変形の状態を以下の基準にしたがって官能評価する。
◎:せん断が殆ど生じない
○:せん断がやや生じる
×:せん断が激しく生じる
(5)クッション性(反発感)
立体編物を剛体面のテーブルの上に置き、立体編物を上から指先(3本)で軽く3回押さえ、反発感を以下の基準にしたがって官能評価する。
◎:反発感が非常に高い
○:反発感がやや高い
△:反発感がやや低い
×:反発感が非常に低い
(6)ハンモック式座席でのクッション性(せん断性)
直径20mmの金属パイプで作製した座部が50cm角の椅子(4脚、背もたれなし)のフレームに、56cm角にカット(四隅は6cm角を切り落とし)した立体編物を緩まないように張り、立体編物の4辺をフレームの上から裏側に折り返し、押さえ部材(15mm幅×45cm長、ボルト貫通用穴5箇所の金属製プレート)で立体編物の4辺をフレームの裏側から押さえてボルト止めしたハンモック式座席を作製する。体重65Kgの男性が3回(1回あたり1分間)座り、座った瞬間にせん断が生じる感覚を以下の基準にしたがって官能評価する。
◎:せん断が殆ど生じない
○:せん断がやや生じる
×:せん断が激しく生じる
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
[参考例1]
(潜在捲縮発現性繊維の製造)
固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型複合モノフィラメントの製造
サイドバイサイド型複合紡糸用紡口から、固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレート(溶融温度260℃)を比率1:1、紡糸温度260℃で吐出し、40℃の冷却浴中に導いて冷却しつつ、16.0m/分の速度の第1ロール群によって引張って細化した未延伸モノフィラメントとした。次いで、温度55℃の延伸浴中で5倍に延伸しながら80.0m/分の第2ロール群によって引張った。その後、120℃のスチーム浴中で弛緩熱処理を施しながら、72.0m/分の第3ロール群を経た後、第3ロール群と同速の巻取り機で巻取り、280デシテックスの延伸モノフィラメントを製造した。得られた複合モノフィラメントの固有粘度は、高粘度側が[η]=1.24、低粘度側が[η]=0.9であった。
[参考例2]
(潜在捲縮発現性繊維の製造)
1種類のポリトリメチレンテレフタレートと1種類のポリエチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型複合モノフィラメントの製造
サイドバイサイド型複合紡糸用紡口から、ポリトリメチレンテレフタレート(溶融温度260℃)とポリエチレンテレフタレート(溶融温度290℃)を比率1:1、紡糸温度290℃で吐出し、40℃の冷却浴中に導いて冷却しつつ、16.0m/分の速度の第1ロール群によって引張って細化した未延伸モノフィラメントとした。次いで、温度55℃の延伸浴中で5倍に延伸しながら80.0m/分の第2ロール群によって引張った。その後、120℃のスチーム浴中で弛緩熱処理を施しながら、72.0m/分の第3ロール群を経た後、第3ロール群と同速の巻取り機で巻取り、280デシテックスの延伸モノフィラメントを製造した。得られた複合モノフィラメントの固有粘度は、ポリトリメチレンテレフタレートが[η]=1.26、ポリエチレンテレフタレートが[η]=0.65であった。
[参考例3]
(潜在捲縮発現性繊維の製造)
固有粘度の異なる2種類のポリエチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型複合モノフィラメントの製造
サイドバイサイド型複合紡糸用紡口から、固有粘度の異なる2種類のポリエチレンテレフタレート(溶融温度290℃)を用いて紡糸温度290℃で吐出し、60℃の冷却浴中に導いて冷却しつつ、16.0m/分の速度の第1ロール群によって引張って細化した未延伸モノフィラメントとした。次いで、温度95℃の延伸浴中で5倍に延伸しながら80.0m/分の第2ロール群によって引張った。その後、130℃のスチーム浴中で弛緩熱処理を施しながら、72.0m/分の第3ロール群を経た後、第3ロール群と同速の巻取り機で巻取り、280デシテックスの延伸モノフィラメントを製造した。得られた複合モノフィラメントの固有粘度は、高粘度側が[η]=1.02、低粘度側が[η]=0.65であった。
[参考例4]
(潜在捲縮発現性繊維の製造)
固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型複合マルチフィラメントの製造
サイドバイサイド型複合紡糸用紡口から、固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートを比率1:1、紡糸温度265℃、紡糸速度1500m/分で未延伸糸を得た。次いで、ホットロール温度55℃、ホットプレート温度140℃、延伸速度400m/分、延伸倍率は延伸後の繊度が167dtexとなるように設定して延撚し、167dtex/36fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを得た。得られた複合マルチフィラメントの固有粘度は、高粘度側が[η]=1.26、低粘度側が[η]=0.92であった。
[参考例5]
(潜在捲縮発現性繊維の製造)
1種類のポリトリメチレンテレフタレートで構成されるモノフィラメントの製造
ポリトリメチレンテレフタレート(溶融温度260℃)を紡糸温度260℃で紡口から吐出し、40℃の冷却浴中に導いて冷却しつつ16.0m/分の速度の第1ロール群によって引張って細化した未延伸モノフィラメントとした。次いで、温度55℃の延伸浴中で5倍に延伸しながら80.0m/分の第2ロール群によって引張った。その後、120℃のスチーム浴中で弛緩熱処理を施しながら、72.0m/分の第3ロール群を経た後、第3ロール群と同速の巻取り機で巻取り、280デシテックスの延伸モノフィラメントを製造した。
[実施例1]
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間12mmのダブルラッセル編機を用いた。表側の編地を形成する2枚の筬(L1、L2)及び裏側の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)から、334デシテックス/96フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(167デシテックス/48フィラメント仮撚加工糸の2本インターレース混繊糸)をいずれもオールインの配列で供給した。
連結糸を形成する2枚の筬(L3、L4)から、参考例1で製造した280デシテックスの固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型複合モノフィラメントを、L3の筬に1イン1アウトで、L4の筬に1アウト1インの配列で供給した。
以下に示す編組織で、打ち込み15コース/2.54cmの密度で立体編物の生機を編成した。得られた生機を10%幅出しして150℃×2分で乾熱ヒートセットし、表裏の編地が平坦で、裏側の編地に対し表側の編地の面伸長率が大の立体編物を得た。得られた立体編物の諸物性を表1に示す。得られた立体編物は単体及びハンモック式座席においてせん断が殆ど生じず、反発感の高い良好なクッション性を示すものであった。
(編組織)
L1:1011/1211/
L2:1211/1011/
L3:3410/4367/
L4:3476/4301/
L5:1110/0001/
L6:2210/3345/
[実施例2]
参考例2で製造した、280デシテックスの1種類のポリトリメチレンテレフタレートと1種類のポリエチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型複合モノフィラメントを、連結糸を形成するL3及びL4の筬から供給した以外は実施例1と同様にして、表1に示す諸物性の立体編物を得た。得られた立体編物は、単体及びハンモック式座席においてせん断が殆ど生じず、反発感の高い良好なクッション性を示すものであった。
[実施例3]
参考例3で製造した、280デシテックスの固有粘度の異なる2種類のポリエチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型複合モノチフィラメントを、連結糸を形成すL3及びL4の筬から供給した以外は実施例1と同様にして、表1に示す諸物性の立体編物を得た。得られた立体編物は、反発感はやや低いものの、単体及びハンモック式座席においてせん断が殆ど生じないものであった。
[実施例4]
連結糸を形成する2枚の筬(L3、L4)のうち、L3の筬に参考例1で製造した280デシテックスの固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型複合モノフィラメントを1イン1アウトで、L4の筬に参考例5で製造した280デシテックスのポリトリメレンテレフタレートモノフィラメントを1アウト1インの配列で供給した以外は実施例1と同様にして、表1に示す諸物性の立体編物を得た。得られた立体編物は、単体及びハンモック式座席においてせん断が殆ど生じず、反発感が非常に高い良好なクッション性を示すものであった。
[実施例5]
連結糸を形成する2枚の筬(L3、L4)のうち、L3の筬に参考例1で製造した280デシテックスの固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型複合モノフィラメントを3イン7アウトで、L4の筬に参考例5で製造した280デシテックスのポリトリメレンテレフタレートモノフィラメントを3アウト7インの配列で供給し、下記に示す編組織とした以外は実施例1と同様にして、表1に示す諸物性の立体編物を得た。得られた立体編物は、単体及びハンモック式座席においてせん断も少なく、反発感が非常に高い良好なクッション性を示すものであった。
(編組織)
L3:3410/4367/
L4:3410/4367/
[実施例6]
連結糸を形成する2枚の筬(L3、L4)のうち、L3の筬に参考例1で製造した280デシテックスの固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型複合モノフィラメントを9イン1アウトで、L4の筬に参考例5で製造した280デシテックスのポリトリメレンテレフタレートモノフィラメントを9アウト1インの配列で供給した以外は実施例5と同様にして、表1に示す諸物性の立体編物を得た。得られた立体編物は、単体及びハンモック式座席においてせん断が殆ど生じず、反発感の高い良好なクッション性を示すものであった。
[実施例7]
参考例4で製造した167dデシテックス/36フィラメントの固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを、連結糸を形成するL3及びL4の筬からオールインの配列で供給した以外は実施例1と同様にして、表2に示す諸物性の立体編物を得た。得られた立体編物は、反発感はやや低いものの、単体及びハンモック式座席においてせん断が殆ど生じないものであった。
[実施例8]
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間12mmのダブルラッセル編機を用いた。表側の編地を形成する2枚の筬(L1、L2)及び裏側の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)から、668デシテックス/192フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(167デシテックス/48フィラメント仮撚加工糸の4本インターレース混繊糸)をL1、L5に2イン2アウト、L2、L6に2アウト2インの配列で供給した。
連結糸を形成する2枚の筬(L3、L4)から、参考例1で製造した280デシテックスの固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型複合モノフィラメントをL3に2イン2アウト、L4に2アウト2インの配列で供給した。以下に示す編組織で、打ち込み15コース/2.54cmの密度で立体編物の生機を編成した。
得られた生機を有り幅で150℃×2分で乾熱ヒートセットし、表裏の編地がメッシュで、表裏の編地の面伸長率が同一の立体編物を得た。得られた立体編物の諸物性を表2に示す。得られた立体編物はハンモック座席において撓み量が大きいためややせん断が生じるものの単体ではせん断が殆ど生じず、反発感の高い良好なクッション性を示すものであった。
(編組織)
L1:1011/2333/4544/3222/
L2:4544/3222/1011/2333/
L3:1010/2323/4545/3232/
L4:4545/3232/1010/2323/
L5:2210/1123/3345/4432/
L6:3345/4432/2210/1123/
[比較例1]
参考例5で製造した280デシテックスのポリトリメレンテレフタレートモノフィラメントを、連結糸を形成するL3及びL4の筬から供給した以外は実施例1と同様にして、表2に示す諸物性の立体編物を得た。得られた立体編物は反発感は非常に高いものの、単体及びハンモック式座席においてせん断が激しく生じるものであった。
[比較例2]
連結糸を形成する2枚の筬(L3、L4)のうち、L3の筬に参考例1で製造した280デシテックスの固有粘度の異なる2種類のポリトリメチレンテレフタレートで構成されるサイドバイサイド型複合モノフィラメントを1イン9アウトで、L4の筬に参考例5で製造した280デシテックスのポリトリメレンテレフタレートモノフィラメントを1アウト9インの配列で供給し、下記に示す編組織とした以外は実施例1と同様にして、表2に示す諸物性の立体編物を得た。得られた立体編物は反発感は非常に高いものの、単体及びハンモック式座席においてせん断が激しく生じるものであった。
(編組織)
L3:3410/4367/
L4:3410/4367/
[比較例3]
釜間を30mmにした以外は実施例1と同様にして、表2に示す諸物性の立体編物を得た。得られた立体編物は反発感が低く、特に単体でせん断が激しく生じるものであった。
[比較例4]
釜間を3mmにした以外は実施例1と同様にして、表2に示す諸物性の立体編物を得た。得られた立体編物は単体及びハンモック式座席においてせん断が殆ど生じないが、反発感の非常に低いクッション性のものであった。
Figure 2005113310
Figure 2005113310
本発明の立体編物は自動車、鉄道車両、航空機、チャイルドシート、ベビーカー、車椅子、家具、事務用等の座席シート用クッション材、寝具、ベッドパッド、マットレス、床ずれ防止マット、枕、座布団等のクッション材、衣料用等のスペーサー、保型材、緩衝材、保温材、シューズ用のアッパー材、中敷材、サポーターやプロテクター等に好適に用いられる。又、特にハンモック式座席として好適に用いられる。
潜在捲縮発現性繊維の捲縮を発現させた連結糸からなる立体編物のモデル図。 非潜在捲縮発現性繊維の連結糸からなる立体編物のモデル図。

Claims (4)

  1. 表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成された、厚みが2.5〜25mmの立体編物であって、連結糸の15%重量以上が潜在捲縮発現性繊維であることを特徴とする立体編物。
  2. 連結糸に用いる潜在捲縮発現性繊維がモノフィラメントであることを特徴とする請求項1記載の立体編物。
  3. 連結糸が、少なくとも2成分からなり、そのうちの少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレートである複合繊維からなる潜在捲縮発現性繊維によって構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の立体編物。
  4. 連結糸が、潜在捲縮発現性繊維と非潜在捲縮発現性モノフィラメントとの交編糸であって、連結糸全体における潜在捲縮発現性繊維の重量混率が15〜85%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の立体編物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010275650A (ja) * 2009-05-27 2010-12-09 Asahi Kasei Fibers Corp 二層構造布バネ材
CN103266409A (zh) * 2013-05-22 2013-08-28 东华大学 一种导湿排气弹性鞋垫及其制备方法

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