JP2010004965A - 階層構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、繊維から実質的に構成された立体多重織組織において横ずれの発生がなくクッション性をきめ細かく調整することができるとともに安定した圧縮回復性を備えた階層構造体を提供することを目的とするものである。
【解決手段】平織で織成された地組織10が上下に多重に組織され経糸方向に高収縮糸11が多数配列して織り込まれており、地組織10が上下の高収縮糸11に交互に交絡して波状に湾曲した状態に構成される。地組織10が波状に湾曲することで、多数の連通空隙部12が緯糸方向に沿って配列された層構造Mが形成される。層構造Mでは、扁平モノフィラメントからなる経糸10aが上下の高収縮糸11に交絡して間隔を保持することで連通空隙部12が維持されるようになっており、経糸10aが連通空隙部12の骨格形成を担っている。層構造の扁平フィラメントの繊度を変えることで圧縮特性の異なる層を組み合わた階層構造体を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維から実質的に構成された立体多重織組織からなる階層構造体に関する。さらに詳しくは、寝具、車両用シート、椅子用シート、座布団用シート、応接セット用シート又はスポーツ資材および医療用又は介護用のシート等の通気性、クッション性、洗濯性などが要求される分野に利用することができる階層構造体に関する。
従来、立体構造を有するクッション構造体は、幅広い分野において用いられているが、ウレタンマットに代表される樹脂製発泡体、繊維材料から構成された立体構造体が実用化されている。樹脂製発泡体については、成形加工が容易であるが、発泡による空間が連通していないので通気性の面で劣る。また、長時間の圧縮に対しては変形しやすく、圧縮回復力が低下するようになる。
繊維材料からなる立体構造体としては、例えば、特許文献1に記載された織構造により立体構造体を形成するものがある。特許文献1では、フィラメント繊維の織組織を立体化した立体多重織組織からなり、その表面空隙層部は一定の大きさ及び形状の凸部が形成されており、中間空隙層部は、一方向に平行した多数の連通空洞部を有する層を1層もしくは2層以上積層形成されている点が記載されている。こうした立体多重織組織は、特許文献2に記載されているように、経糸に高収縮糸を用いた多重織組織を織成した後高収縮糸を収縮させて立体構造を構成するようにしている。同様の多層織物組織としては、例えば、特許文献3に記載された段ボール構造織物がある。
また、特許文献4に記載されているように、表裏二層の編地とこれら二層の編地を連結する連結糸から構成された立体編物がある。また、特許文献5には、表裏二層を織地としこれらニ層を連結糸で連結した立体織物が記載されている。
また、特許文献6には、平織で織成された地組織が上下に多重に組織され経糸方向に高収縮糸が多数配列して織り込まれており、地組織が上下の高収縮糸に交互に交絡して波状に湾曲した状態に構成されたクッション構造体において、地組織の経糸に扁平モノフィラメントを用いた点が記載されている。
特許第2883288号公報 特開平6−128837号公報 登録実用新案第3010467号公報 特許第3394183号公報 特開2003−13337号公報 特開2007−100256号公報
上述した繊維材料からなる立体構造体をクッション材として用いた場合に問題になるのが、第一に、荷重が加わって圧縮された部分に生じる横ずれである。例えば、図5は、従来の立体多重織組織における荷重が加わる前の状態(図5(a))及び荷重の加わった後の状態(図5(b))に関する層構造の模式図である。経糸方向に配列された高収縮糸101によりループ状に形成されたモノフィラメントからなる経糸100aは、荷重により上下方向に圧縮されると、一旦圧縮されて撓むものの、図5(b)に示すように緯糸100b方向に倒れるように傾斜する。そして、経糸100aが倒れるように傾斜すると、経糸100aの上部が緯糸方向に移動するため、立体構造体の表面では横倒れしたような感触を受けるようになる。こうした横ずれは、連通空隙部の間隔が大きくなるほど顕著になるため、クッション性を高めようとすると横ずれが大きくなって使い心地の悪いものとなってしまう。
第二に、従来のものは、最上面および最下面が凹凸面となっており、荷重が加わったときのループの乱れが多く、ループの先端が身体にあたり触感を低下させていた。
第三に、各層が同一のモノフィラメントにより骨格構造が構成されていたため、各種要求に対応できるクッション特性を具備させることが難しかった。
そこで、本発明は、繊維から実質的に構成された立体多重織組織において横ずれの発生がなくクッション性をきめ細かく調整することができるとともに安定した圧縮回復性を備えた階層構造体を提供することを目的とするものである。
本発明に係る階層構造体は、繊維から実質的に構成された立体多重織組織からなり、一方向に沿って多数の連通空隙部が配列された層構造を少なくとも2層有する階層構造体であって、前記連通空隙部は、下記(1)を満足する扁平モノフィラメントとマルチフィラメントとにより実質的に骨格形成されており、前記層構造には、前記扁平モノフィラメントの繊度の異なる少なくとも2つの層構造が含まれることを特徴とする階層構造体。
(1)前記扁平モノフィラメントの繊度が100dtex以上、10,000dtex以下であり、次式で示される繊維断面の扁平度(H)が1.2以上、4.5以下である。
H=b/a
但し、bは繊維断面の長手方向の最大長さ、aはbと繊維断面積Sから次式により求められる値である。
a=4S/πb
さらに、前記層構造には、下記(2)の関係を満足する層構造A及び層構造Bが含まれることを特徴とする。
(2)層構造Aを構成する前記扁平モノフィラメントの繊度をDaとするとき、層構造Bを構成する前記扁平モノフィラメントの繊度Dbが次式を満足する。
Da>Db≧Da−500
さらに、外表面を構成する織物構造が実質的に平面状に形成されていることを特徴とする。
上記のような構成を有することで、上記(1)の条件を満たす扁平フィラメントにより連通空隙部の骨格を形成しているので、横倒れの発生のない優れたクッション性を有し、扁平モノフィラメントの繊度の異なる少なくとも2つの層構造を備えているので、異なった圧縮回復性を持つ少なくとも2つの層構造によりクッション特性をきめ細かく調整して各用途に適応するクッション特性を備えることができる。
すなわち、扁平モノフィラメントを用いたことにより従来生じていた横倒れの発生を抑えることができるため、フィラメント自体の剛性で荷重を支えることができるようになり、扁平モノフィラメント自体の剛性をクッション特性の設計に生かすことが可能となる。また、横ずれ方向の力が加わっても横倒れしにくいことから、様々な方向からの荷重に対しても同じようなクッション性を持たせることができる。
そして、各層構造の扁平モノフィラメントの繊度を変化させてクッション性のきめ細かい調整を行えば、様々な用途に対応可能なクッション材の提供が可能になる。
また、外表面を構成する織物構造が実質的に平面状に形成されることで、従来品で問題とされていた最上面及び最下面に生じる凹凸形状を解消でき、今までにない優れた肌触りとクッション性を実現できる。
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る実施形態に関する断面図を模式的に示している。階層構造体は、平織で織成された地組織10が上下に多重に組織され、経糸方向に高収縮糸11が多数配列して織り込まれている。地組織10が上下の高収縮糸11に交互に交絡して波状に湾曲した状態に構成される。地組織10が波状に湾曲することで、多数の連通空隙部12が緯糸方向に沿って配列された層構造Mが形成される。階層構造体は、こうした層構造Mを少なくとも2層有している。
層構造Mでは、地組織10を構成する経糸10aが上下の高収縮糸11に交絡して間隔を保持することで連通空隙部12が維持されるようになっており、経糸10aが連通空隙部12の骨格形成を担っている。そして、地組織10を構成する緯糸10bが経糸10aに織り込まれることで、経糸10a全体が一体化して機能するようになっている。地組織10を構成する経糸10aに低収縮の扁平モノフィラメントが用いられている。
また、階層構造体の外表面である最上面及び最下面は、平面状の織物構造13により構成されている。織物構造13は平織で織成されており、その経糸は直線的に配列されており、高収縮糸が使用されている。緯糸は経糸に織り込まれており、各種機能(例えば、嵩高性、吸湿・速乾性、消臭性、抗菌性など)を持った繊維を使用することができる。平面状の織物構造13により荷重を面で受けるので、連通空隙部が安定して変形し良好な圧縮特性を示すとともに、外表面に凹凸形状がないので、使用時において凹凸面による肌の刺激のない肌触りの良好なクッション材を得ることができる。
図2は、階層構造体が圧縮された場合における経糸10aの変形の様子を示す模式図である。圧縮前の状態では、経糸10aは波状に湾曲変形して多数の連通空隙部が形成されており、最上面には経糸13a及び緯糸13bを平織に織成した織物構造13が形成されている(図2(a)参照)。上方から織物構造13に荷重が加わって圧縮された場合、経糸10aは扁平モノフィラメントからなるため緯糸方向に倒れることなく上部から撓んで圧縮変形し、また最上面において織物構造13により経糸10aが連結されているため、横倒れすることなく安定した状態でそのまま上下方向に潰されるように圧縮変形していく(図2(b)参照)。したがって、クッション構造体全体として横ずれが発生せず、経糸10a自体の剛性で荷重を支えるようになって違和感のない自然なクッション性を発揮するようになる。また、横倒れによる根元部分のねじれが発生しないため、経糸10aの弾性回復力が損なわれることがなく、良好なクッション性を安定して維持できる。
階層構造体の連通空隙部12は、扁平モノフィラメントからなる経糸10aとマルチフィラメントからなる高収縮糸11により実質的に形成される。多重織物組織で経糸方向に織り込まれた扁平モノフィラメント(経糸10a)とマルチフィラメント(高収縮糸11)が製織後の熱処理でマルチフィラメントが高収縮し、扁平モノフィラメントがループ状に撓むことで連通空隙部12が形成される。したがって、マルチフィラメントは高収縮特性を備えることが必要で、好ましい収縮率は10%から50%である。扁平モノフィラメントは低収縮率である方が好ましく、収縮率が6%以下であるとよい。ここで、沸水収縮率(BWS)は、繊維を沸騰水中に10分間浸漬したときの収縮率である。
階層構造体における地組織10の経糸10aに用いられる扁平モノフィラメントは、繊度が100dtex以上、10,000dtex以下にものが好ましい。繊度が100dtex未満では、圧縮による剛性が低く柔かいためクッション材として不適である。また、繊度が10,000dtexを超えると、剛性が高くなって固くなり、クッション材としては不適である。より好ましくは、300dtex以上、1,000dtex以下である。
扁平モノフィラメントは、扁平度(H)を次の式に示すようにbとaの比で規定される。
H=b/a
a及びbは、次の方法で求めることができる。まず、扁平モノフィラメントの横断面を撮影した写真に基づいて横断面の長手方向の最大長さ(b)及びその断面積(S)を求める。図3には、種々の扁平モノフィラメントの断面を示しており、それぞれの場合のb及びSを例示している。そしてb及びSが求められた後次の式によりaを求める。
a= 4S/πb
断面が楕円の場合には、bは長軸の長さとなり、aは短軸の長さとなる。
そして、本発明に用いられる扁平モノフィラメントの扁平度(H)は、1.2以上、4.5以下に設定するとよい。Hが1.2未満の場合は、上述した従来例で説明した経糸のように、荷重が加わると横倒れして根元部分において捩れが発生する。Hが4.5を超えると製織等の加工工程でモノフィラメントが割れたり折れたりする。より好ましくは、2.0以上、4以下である。
なお、扁平モノフィラメントの断面形状は図3に例示するもの以外に四角形状でもよく、上記の繊度及び扁平度の条件を満たすものであれば特に限定されることはない。
扁平モノフィラメントを構成するポリマーとしては、例えばポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール及びポリオレフィン等が挙げられる。好ましくは、変形復元性が優れているポリエステル、ポリアミドを用いるとよい。より好ましくは、ポリトリメチレテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)であり、特に、PTT及びPBTのブレンドポリマーあるいは共重合体ポリマーである。
好ましいPTTとPBTのブレンドあるいは共重合の割合は、PBTの割合(PBT%)が、12重量%以上45重量%以下である。この範囲のPBTを添加することで、PTT単独ポリマーに比べて延伸性が向上し、得られる繊維は高強力で初期弾性率も高く且つ弾性回復率も良好となる。PBT%が12重量%未満ではPTT単独ポリマーの性質と大差無く、45重量%を超えると弾性回復率が低下する。
また、地組織の緯糸を構成する繊維としては、例えばポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール及びポリオレフィン等が挙げられる。好ましくは、変形復元性が優れているポリエステル、ポリアミドを用いるとよい。
また、高収縮のマルチフィラメントを構成するポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンが挙げられる。好ましくは、他成分5〜15モル%を共重合したポリエステルである。
織物構造13の経糸については、高収縮糸11と同様のものを用いるとよい。また、緯糸についても地組織の緯糸と同様のものを用いるとよい。
階層構造体の圧縮性能は、骨格を構成する扁平モノフィラメント(経糸10a)の繊度及びマルチフィラメント(高収縮糸11)の収縮率により決まる。同一の階層構造体において各層に異なる圧縮特性を与えるには、各層のマルチフィラメントの収縮率を変えることは現実的でないため、各層の扁平モノフィラメントの繊度を変えるのが有効である。
すなわち、各層の扁平モノフィラメントの繊度を変えることで圧縮特性の異なる層を組み合わせた階層構造体を得ることができ、階層構造体のクッション特性をきめ細かく調整することが可能となる。例えば、繊度の小さい扁平モノフィラメントを用いて比較的小さい荷重で変形する柔らかい層構造Bを構成し、繊度の大きい扁平モノフィラメントを用いて荷重が増加しても底突き感のない剛性の高い層構造Aを組み合せることで、荷重を加えた際に先に層構造Bが主に圧縮されて層構造Aの変形が抑えられ、層構造Aが沈むように変形するため、安定したクッション特性を備えた階層構造体が得られる。また、柔かい層構造Bを硬い層構造Aの上層に配設することで、低荷重領域では層構造Bが圧縮変形して当りが柔かくなり、高荷重領域では層構造Aによりクッション性が維持されて底突き感を抑えることができ、優れたクッション性を発揮することが可能となる。
具体的には、階層構造体の層構造には、以下に示す関係を満足する層構造A及び層構造Bが含まれる。層構造Aを構成する扁平モノフィラメント(経糸10a)の繊度(単位;dtex)をDaとするとき、層構造Bを構成する扁平モノフィラメントの繊度Dbが次式を満足する。
Da>Db≧Da−500
繊度Dbが繊度Daよりも500dtex以上小さくなると、荷重の増加に伴いスムーズなクッション性が得られなくなる。より好ましくは、
Da−100≧Db≧Da−300
とするとよい。
階層構造体は、少なくとも2層の層構造から構成されるが、好ましくは2〜10層の層構造を有するとよく、より好ましくは4〜6層である。また、上述した層構造A及び層構造Bは、共に偶数層である方が好ましい。
層構造内の連通空隙部12は、一方の端部から他方の端部まで完全に連通していなくてもよく、縫製その他の手段により一部閉じられていてもクッション性が維持されていれば問題ない。通常、連通空隙部は、5cm以上、好ましくは10cm以上の長さに設定されていればよい。階層構造体全体の厚さは、10〜50mm、好ましくは15〜40mmであれば実用上十分なクッション性を得られる。
また、階層構造体には、用途に応じてその表面にさらに別の織組織を設けることで複合化することもできる。
<扁平モノフィラメントの製造>
実施例に用いる扁平モノフィラメントの特性としては、以下のパラメータを用いた。
(1)固有粘度[η]は、次の定義式に基づいて求められる値である。
定義中のηは、純度98%以上の0−クロロフェノールの溶媒にポリマーを溶解した溶液の温度35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cは、ポリマーの重量濃度(g/100ml)である。
[η]=0.85dl/gのPTTチップ及び[η]=0.83dl/gのPBTチップを用い、PTTチップ80%、PBTチップ20%の割合でブレンドし、図4に示す形状のノズルから温度260℃で溶融紡糸した。紡糸した原糸を連続して温度60℃の水浴中で4.2倍に延伸し、続いて130℃の熱風炉内で1.26倍(全体で5.3倍)に延伸した。続く180℃の熱風炉内で10%の収縮処理を行った後巻き取った。以上の製造工程により繊度660dtexと440dtexの2種類の扁平モノフィラメントを製造した。扁平度(H)はいずれも2.0であった。沸水収縮率(BWS)は1.7%と1.9%であった。
<高収縮マルチフィラメントの製造>
[η]=0.60dl/gのイソフタール酸、11モル%共重合ポリエステルチップを用い、100ホールの口金より紡糸し、4.1倍延伸することで660dtexと330dtexのマルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの沸水収縮率(BWS)は35%と32%であった。
<階層構造体の製織>
製造した扁平モノフィラメント及び高収縮マルチフィラメントを用いて図1に示す階層構造体を製織した。高収縮糸11として660dtexの高収縮マルチフィラメントを中間3層に配置した。織物構造13の経糸として330dtexの高収縮マルチフィラメントを最上面、最下面に配置した。経糸密度は各層36本/inchである。経糸10aとして、440dtexの扁平モノフィラメントを上2層に、660dtexの扁平モノフィラメントを下2層に配置した。経糸密度は各層36本/inchである。緯糸10b及び織物構造13の緯糸として220dtexの丸断面モノフィラメント(ユニプラス社製)を用い、レピア織機で変形5重織物を製織した。また、中間の高収縮糸11との交差部にズレ止め用として低融点ポリエチレンテレフタレートからなる紡績糸(20/1双糸)を使用した。製織された織物を150℃で2分熱セットし、織物の経糸方向に30%収縮させた。
得られた階層構造体の断面写真を図6に示す。厚さが34mm、空隙率(全体積に占める空隙の割合)は95%であり、最上面及び最下面の織物構造は平面状に形成されている。
[比較例]
経糸10aとして660dtexの丸断面ナイロンモノフイラメント(ユニプラス社製)を4層に配置し、最上面及び最下面の織物構造用の経糸及び緯糸は配置せず、それ以外は実施例と同様の高収縮糸11及び緯糸を用いレピア織機で製織した。製織された織物を150℃で2分熱セットし、織物の経糸方向に30%収縮させて厚さ33mmのクッション構造体を得た。
<実施例との比較>
比較例のクッション構造体は、最上層と最下層にモノフィラメントの凹凸が露出しているのに対し、実施例の階層構造体では、平面状の織物構造を備えており、肌触り等の使用感が良好であった。
上面から手で荷重を加えて圧縮すると、比較例のクッション構造体では容易に横倒れが生じ上面の横ずれが起こった。一方、実施例の階層構造体では、骨格をなす扁平モノフィラメントが上下方向に圧縮されて横ずれが抑えられた。上下方向だけでなく傾斜方向からの圧縮に対してもほぼ同じようなクッション特性を有していることが確認できた。
次に、両構造体から矩形状の寝具(幅1.2m及び長さ2.2m)を作製し、マットレスの上に敷いて寝具としての使用感を比較した。比較例のクッション構造体では、通気性があり快適ではあるが、表面の凹凸形状が肌に違和感を与える、横倒れが生じて底突き感があるとの評価であった。一方、実施例の階層構造体では、腕等が接触する低荷重領域では、上層の扁平モノフィラメントの繊度の小さい柔らかい層構造が支え、腰部等が接触する高荷重領域では、下層の扁平モノフィラメントの繊度の大きい比較的硬い層が支えるので、体圧分散性が良好であり、かつ肌触り及び通気性ともに良好で、快適な睡眠ができたとの評価であった。
本発明に係る階層構造体は、横ずれのない優れたクッション性を備えているとともに、通気性、耐圧分布の均一性、耐久性及び洗濯性に優れ、寝具、車両用シート、椅子用シート、座布団用シート、応接セット用シート及びスポーツ用具等に好適である。また、医療用(長時間手術時)、介護用の床ずれ防止シート、大型犬やペット用のシートとしても使用できる。
本発明に係る実施形態に関する断面図である。 経糸の圧縮変形の様子を示す模式図である。 扁平モノフィラメントの断面形状を示す模式図である。 ノズルの形状を示す模式図である。 従来例の経糸の変形の様子を示す模式図である。 本発明の階層構造体の断面を示す写真である。
符号の説明
10 地組織
10a 経糸
10b 緯糸
11 高収縮糸
12 連通空隙部
13 織物構造

Claims (3)

  1. 繊維から実質的に構成された立体多重織組織からなり、一方向に沿って多数の連通空隙部が配列された層構造を少なくとも2層有する階層構造体であって、前記連通空隙部は、下記(1)を満足する扁平モノフィラメントとマルチフィラメントとにより実質的に骨格形成されており、前記層構造には、前記扁平モノフィラメントの繊度の異なる少なくとも2つの層構造が含まれることを特徴とする階層構造体。
    (1)前記扁平モノフィラメントの繊度が100dtex以上、10,000dtex以下であり、次式で示される繊維断面の扁平度(H)が1.2以上、4.5以下である。
    H=b/a
    但し、bは繊維断面の長手方向の最大長さ、aはbと繊維断面積Sから次式により求められる値である。
    a=4S/πb
  2. 前記層構造には、下記(2)の関係を満足する層構造A及び層構造Bが含まれることを特徴とする請求項1に記載の階層構造体。
    (2)層構造Aを構成する前記扁平モノフィラメントの繊度をDaとするとき、層構造Bを構成する前記扁平モノフィラメントの繊度Dbが次式を満足する。
    Da>Db≧Da−500
  3. 外表面を構成する織物構造が実質的に平面状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の階層構造体。
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