JP2003013337A - 立体織物 - Google Patents

立体織物

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JP2003013337A
JP2003013337A JP2001196731A JP2001196731A JP2003013337A JP 2003013337 A JP2003013337 A JP 2003013337A JP 2001196731 A JP2001196731 A JP 2001196731A JP 2001196731 A JP2001196731 A JP 2001196731A JP 2003013337 A JP2003013337 A JP 2003013337A
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woven fabric
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Yoshiomi Hotta
義臣 堀田
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クッション性と圧縮回復性の優れた通気性の
あるシート材の提供。 【解決手段】 表裏組織面を構成する糸と、表裏組織面
の間を連結する少なくとも二種の連結糸とで織成された
立体構造を有する織物であって、少なくとも一対の連結
糸は織物の一方の面に対して鋭角をなすとともに、対を
なす連結糸どうしの交差角(θ)が25〜100度である
立体織物

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、立体構造を有する
織物に関する。さらに詳しくは通気性と圧縮回復性に優
れた立体織物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、立体構造を有する編物や織物
は、その特異な構造から寝具や椅子等のクッション材と
して使用されてきた。特に、ジャガード織機で製織され
たジャガード柄の立体織物は、優れた意匠性を併せもつ
ものである。しかし、これらの立体編物や立体織物をク
ッション材として使用した場合、負荷を取り除いた後
に、圧縮歪の残ることが多く、本来のシートの持つクッ
ション性を損なうことが多かった。このように、従来の
立体構造を有する織編物は、長時間圧縮負荷を与えると
十分な回復性が得られず、クッション材として満足でき
る性能が未だに達成されていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決し、通気性を阻害することなく、長時間の負荷
をかけた後でも充分な圧縮回復性を保持する立体織物を
提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決することを目的として検討を行った結果、特定の
構造の立体織物によってこの目的が達成できることを見
出した。すなわち、本発明は、以下の通りである。 (1)表組織面と裏組織面を構成する糸と、表組織面と
裏組織面とを連結するための少なくとも二種の連結糸と
で織成された立体構造を有する織物であって、少なくと
も一対の連結糸は表裏の組織面に対して鋭角をなすとと
もに、対をなす連結糸どうしの交差角(θ)が25〜10
0度であることを特徴とする立体織物。 (2)連結糸の一部又は全部にポリトリメチレンテレフ
タレート繊維が用いられている(1)に記載の立体織
物。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
立体織物において、織物の表組織面と裏組織面とを連結
する連結糸は少なくとも二種存在する。その内の少なく
とも一対の連結糸は、表及び裏組織面に対して鋭角をな
している。したがって、立体織物の断面を見ると、一方
の組織面から他方の組織面に向かって少なくとも一対の
連結糸は、共に斜めに走っており、交差角(θ)で交差し
ている。一対の連結糸の交差角(θ)は、25〜100度
の範囲にあることが重要であり、40〜80度の範囲が
好ましい。交差角が25度未満では、立体織物に圧縮負
荷を付与した場合に、充分な圧縮回復性を保持するとい
う本発明の効果を十分に発揮することができない。一
方、100度を超えた場合も同様に、立体織物に圧縮負
荷を付与した場合に、充分な圧縮回復性を保持するとい
う本発明の効果を十分に発揮することができず立体織物
のクッション性を損なうことになる。
【0006】連結糸が3種以上用いられている場合は、
少なくとも一対の連結糸どうしが上記の条件を満たして
いればよい。また、一本の連結糸が、組織面の位置によ
って組織面に対する角度が変化していてもよい。上記の
ような連結糸の他に、表裏両組織面に対して実質的に垂
直に配置された連結糸が存在することは好ましく、それ
によって立体織物の厚み方向の圧縮負荷に対する反発応
力が増す。この場合、垂直方向の連結糸と斜めに走る連
結糸との交差角には制限がない。
【0007】図1及び2は、本発明の立体織物の縦断面
の例である。図1において、立体織物20は、表面組織
を構成する織物1及び裏面組織を構成する織物1’及び
二種の連結糸9、10とで構成されている。表面組織1
は、表面組織用経糸2,3と表面組織用緯糸4とで構成
された織物、裏面組織1’は、裏面組織用経糸5,6と
裏面組織用緯糸7で構成された織物である。連結糸9と
連結糸10からなる一対の連結糸が、表面組織面と裏面
組織面に対して鋭角をなして両面を連結している。連結
糸9は、表組織の緯糸4の組織点aを周回し、組織点a
から右に向かって6番目の位置の表組織の組織点cに対
向する裏組織の組織点bにおいて裏組織に織り込まれ、
再び表組織の方向に延びている。一方、他の連結糸10
は、連結糸9と対称位置に配置されている。そして、連
結糸9と連結糸10は、交差角θで交差している。
【0008】図2は、図1において、織物の表裏両組織
面に対して実質的に垂直に配置された連結糸8を有する
立体織物である。立体織物の厚みをH(mm)、表面組
織面と裏面組織面とに対して鋭角をなす連結糸9が、表
組織から離れる表緯糸の組織点をa、連結糸9が裏組織
に織りこまれる裏緯糸の組織点をb、裏組織の緯糸組織
点bに対応する表織物の緯糸組織点をcとし、aとcと
の距離をA(mm)とすると、交差角(θ)は、下記の式
で表される。 交差角(θ)=2×〔tan-1(A/H)〕
【0009】本発明の立体織物は、ジャガード織機やド
ビー織機等、通常の多段開口の織機を用いて製造するこ
とができる。これらは、開口操作あるいは多段の開口装
置の設置により、上下織物層の間隔を保持して製織する
織機であり、連結用の経糸は地の経糸とは別の供給源よ
り行い、連結部と上下織物層と接合する個所とでは、糸
の送り出し量をその都度調整して供給する。また、実質
的に垂直に配置された連結糸と斜めに配置された連結糸
とでは織物内での構成糸長が異なるため、糸の送り出し
量を別個に調整して供給する。
【0010】連結糸の交差角については、25〜100
度の範囲内であれば異なった2つ以上の角度を設けるこ
とも可能である。その場合には、交差角によって連結糸
の必要糸長が異なるために連結糸用の経糸ビームを2本
以上用いる。連結糸の交差角は、表組織と裏組織の緯糸
密度及び図1及び2における組織点aと組織点bの間に
存在する緯糸本数及び立体織物の厚みの3要素の関係に
よって決定される。
【0011】すなわち、立体織物の厚み及び、表組織と
裏組織の緯糸密度が一定である場合には、組織点aと組
織点bの間に存在する緯糸本数が多くなれば交差角は大
きくなって、斜め連結糸は緩い傾斜となる。反対に組織
点aと組織点bの間に存在する緯糸本数が少なくなれば
交差角は小さくなって、斜め連結糸は急な傾斜となる。
上記の関係を勘案の上、目標とするクッション性能や目
付け、更には表面意匠効果等を総合的に考慮して織物設
計を行うことが望ましい。
【0012】連結糸の連結密度は、連結糸の経密度、及
び実質的に垂直に配置された連結糸と斜め方向に配置さ
れた連結糸との比率や交差角等によって決まり、概ね5
0〜1000本/2.54cm平方程度が好ましく用い
られるが、これに制約されるものではない。連結密度と
は、立体織物を平面から見た時の2.54cm平方あた
り緯糸の組織点を周回している連結糸の本数である。連
結糸、表組織及び裏組織の組織強度は、立体織物の使用
目的や用途に照らして適宜選択すればよく、特に限定さ
れるものではない。
【0013】本発明の表組織と裏組織は、同一の織組織
であっても、異なる組織であってもよく、織組織は最も
強固な組織拘束力を示す平組織や綾組織、更には朱子組
織、これらの誘導組織であってもよい。ジャガード織機
やドビー織機等を使用することによって、立体織物にク
ッション機能を付与するだけではなく、表裏面に複雑な
織物組織を付与することができるため、高度で審美な意
匠性をも付与することが可能になり、立体織物を用いた
商品に高度な付加価値をもたらすことができる。
【0014】織機の緯入れ方式については、レピア織機
やシャットル織機、さらにはエアージェット織機等の流
体噴射織機等を使用することができる。表裏組織面の織
密度や連結糸の連結密度、厚みについては、特に限定す
るものではないが、立体織物の見かけ密度をdとしたと
き、dは0.02〜0.30g/cm3の範囲にあるこ
とが好ましく、より好ましくは、0.05〜0.20g
/cm3である。
【0015】立体織物の見かけ密度dが0.02cm3
未満であると圧縮回復性が低下しやすく、0.30g/
cm3を越えるとクッション性が低下しやすい。立体織
物の厚みは、必要に応じて適宜選定すればよいが、クッ
ション性、緩衝性、通気性を考慮した場合、軽量、かさ
ばり難さを加味して、例えば、厚みは2〜20mm程
度、好ましくは3〜15mm程度にする。立体織物の厚
みは、上下の開口ラインの位置選定及びスペーサーの選
定によって任意に設定することができる。
【0016】更に、充分な圧縮回復性を保持するために
は、連結糸の表面に低融点の熱融着性繊維を捲き付けた
連結糸を用いて織成した後、熱処理によって表面の熱融
着性繊維の一部又は全部を溶融させて、隣接する連結糸
どうしの交差点で相互に融着させて一体構造にしたり、
表層側が低融点の熱融着性繊維からなる鞘芯構造糸を連
結糸に用いて織成した後、熱処理によって表層の熱融着
性繊維の一部又は全部を溶融させ、隣接する連結糸どう
しの交差点で相互に融着させて一体構造にすること等は
極めて有効な手段である。また、本発明の立体織物に比
較的柔軟な樹脂等を含浸すると、連結糸の横倒れ防止に
効果的である。
【0017】本発明においては、連結糸の素材として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリトリメチレンテレフタレート等から製造
されるポリエステル系繊維、綿、キュプラレーヨン、ビ
スコースレーヨン、精製セルロース繊維等のセルロース
系繊維、ナイロ6、ナイロン66等から製造されるポリ
アミド系繊維等、何れの繊維であってもよい。繊維の形
態は、フィラメント糸やスパン糸の何れであってもよ
い。また、マルチフィラメント糸やモノフィラメント糸
の何れであってもよく、原糸、混繊糸、混紡糸、仮撚糸
等任意の形態で用いられる。単繊維の断面も任意に選定
できる。
【0018】本発明の効果をより一層優れたものとする
上から、前述の特定の織物構造に加えて、極めて高度な
弾発特性を備えたポリトリメチレンテレフタレート繊維
をモノフィラメント糸の形態で、表裏の織物を連結する
連結糸の一部もしくは全部に用いることは極めて有効で
ある。これにより、一層適度な弾発特性を発揮させるこ
とが可能となる。
【0019】本発明において、連結糸として、曲げ回復
時のヒステリシスロスが好ましくは0.04cN・cm
/糸以下、より好ましくは0.03cN・cm/糸以
下、最も好ましくは0.01cN・cm/糸以下のモノ
フィラメント糸を用いる。曲げ回復時のヒステリシスロ
スとは、カトーテック社製のKES純曲げ装置(商標)
を用い、モノフィラメント糸を26本1mm間隔でシー
ト状に引き揃えて11mmのサンプル長となるように、
その上下を接着テープを介在させて厚紙で固定してつか
み代とし、11mm長(26本)のシート状サンプルを
正及び逆方向に曲率2.5まで曲げる際の、曲率1にお
ける曲げ回復のヒステリシスロス2HB(cN・cm/
糸)をいう。
【0020】立体織物の連結糸に用いるモノフィラメン
ト糸の曲げ回復時のヒステリシスロスを0.04cN・
cm/糸以下にすることにより、立体織物の圧縮回復時
のヒステリシスロスを少なくし、弾力感のあるクッショ
ン性を発現させることができるものとなる。好ましいモ
ノフィラメント糸の曲げ回復時のヒステリシスロスは
0.03cN・cm/糸以下であり、より好ましくは
0.01cN・cm/糸以下である。モノフィラメント
糸の曲げ回復時のヒステリシスロスが0.04cN・c
m/糸を越えると、弾力感のあるクッション性が得られ
にくくなる。
【0021】曲げ回復時のヒステリシスロスが0.04
cN・cm/糸以下のモノフィラメント糸として、ポリ
トリメチレンテレフタレート系繊維、ポリブチレンテレ
フタレート系繊維、ポリエチレンテレフタレート系繊
維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン系繊維等、任意
の素材を用いることができるが、好ましくはポリトリメ
チレンテレフタレート繊維を用いると、曲げ回復時のヒ
ステリシスロスの値を0.04cN・cm/糸以下に設
計し易い。例えば、ポリトリメチレンテレフタレートモ
ノフィラメント糸を弛緩熱処理(例えば10%程度のオ
ーバーフィード率で160℃前後の温度で連続熱処理)
することにより所望の曲げ回復時のヒステリシスロスを
得ることができる。
【0022】ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、
トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位
とするポリエステル繊維であって、トリメチレンテレフ
タレート単位を50モル%以上、好ましくは70モル%
以上、より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは
90モル%以上含むものである。したがって、第三成分
として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量
が、50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より
好ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%
以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレー
トを包含する。
【0023】ポリトリメチレンテレフタレートは、テレ
フタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコ
ール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当
な反応条件下に結合せしめることにより合成される。こ
の合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成
分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエ
ステル、ナイロンとポリトリメチレンテレフタレートを
別個に合成した後、ブレンドしたり、複合紡糸(鞘芯、
サイドバイサイド等)してもよい。
【0024】複合紡糸に関しては、特公昭43−191
08号公報、特開平11−189923号公報、特開2
000−239927号公報、特開2000−2569
18号公報等に例示されるような、第一成分にポリトリ
メチレンテレフタレート、第二成分にポリトリメチレン
テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート等のポリエステル、あるいはナイ
ロンを並列に配置したサイドバイサイド型又は偏芯的に
配置した偏芯シースコア型に複合紡糸したものがある。
【0025】特にポリトリメチレンテレフタレートと共
重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、
極限粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレ
ートの組み合わせが好ましく、中でも、特開2000−
239927号公報に例示されるような極限粘度の異な
る二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、低
粘度側が高粘度側を包み込むように接合面形状が湾曲し
ているサイドバイサイド型に複合紡糸したものが、高度
のストレッチ性と嵩高性を兼備するものであり特に好ま
しい。
【0026】添加する第三成分としては、脂肪族ジカル
ボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン
酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボ
ン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸
等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール
等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール
等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス
(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテ
ルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキ
シカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキ
シ安息香酸等)等がある。
【0027】1個又は3個以上のエステル形成性官能基
を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合
体が実質的に線状である範囲内で使用できる。さらに二
酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシ
ベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結
晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノー
ル誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増
白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよ
い。繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y
型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形
型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
【0028】連結糸の一部又は全部に用いるポリトリメ
チレンテレフタレート繊維の繊度は、特に限定されない
が、20〜2000デシテックスのモノフィラメント糸
が好ましい。しかし、同等のトータル繊度のマルチフィ
ラメント糸やスパン糸や捲縮糸、更にはそれらの複合糸
でもよい。これらは、使用する場所、用途に合わせて適
宜選定すればよい。例えば、椅子、寝具等のクッション
材等に使用する場合は、連結糸として20〜200デシ
テックス程度のモノフィラメント糸を使用することが好
ましく、より好ましくは20〜150デシテックスであ
る。
【0029】クッション材の表皮材として使用する場合
は、連結糸として100〜1000デシテックス程度の
モノフィラメント糸を使用することが好ましく、より好
ましくは200〜500デシテックスである。椅子材の
中で、特に乗り物シートに立体織物単独で使用する場合
は、連結糸として500〜2000デシテックス程度の
モノフィラメント糸を使用することが好ましく、より好
ましくは750〜1500デシテックスである。連結糸
の繊度が20デシテックス未満では立体織物の特徴の一
つであるクッション性が充分に得られにくくなり、20
00デシテックスを超えると立体織物のクッション性が
低下しやすくなる。さらに、2000デシテックスを越
えるモノフィラメント糸の場合には連結糸の剛性くなっ
て製織性が低下する場合がある。立体織物の連結糸に供
するポリトリメチレンテレフタレート繊維の割合は、立
体織物に良好な圧縮回復性を与える上から、立体織物を
構成している繊維全体の20質量%以上であることが好
ましく、より好ましくは50質量%以上である。
【0030】連結糸以外の繊維としては、綿、キュプ
ラ、レーヨン、精製セルロース繊維、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリトリメチレンテレフタレート繊維等の天
然繊維、合成繊維等、何れの繊維であってもよく、その
形態もフィラメント糸やスパン糸の何れであってもよ
い。また、マルチフィラメント糸やモノフィラメント糸
の何れであってもよく、原糸、混繊糸、混紡糸、仮撚糸
等何れの形態であってもよい。単繊維の断面形状も任意
に選定できる。本発明において、表裏面の組織を構成す
る繊維にマルチフィラメント糸を用い、連結糸にモノフ
ィラメント糸を用いるのが好ましく、両者ともにポリト
リメチレンテレフタレート繊維を用いるのがより好まし
い。さらには、表裏面の組織を構成するマルチフィラメ
ント糸の繊度Dと、連結糸を構成するモノフィラメント
糸の繊度dとの間にD≧0.5dの関係があることが好
ましい。
【0031】本発明の立体織物の圧縮後の瞬間回復性を
向上させるために、50%圧縮時の応力緩和率が40%
以下であることが好ましく、より好ましくは30%以
下、最も好ましくは20%以下である。50%圧縮時の
応力緩和率とは、立体織物を50%の厚みに圧縮した状
態で1分間保持し、1分後の圧縮応力の緩和の程度を示
し、以下の方法により測定する。島津製作所(株)社製
オートグラフ(形式AG−10TB)を用い、直径10
0mmの円盤状圧縮治具により15cm角、厚みT
0(mm)の立体織物を0.5×T0の厚みに10mm/
minの速度で圧縮し1分間保持する。50%圧縮直後
の圧縮応力をσ0(KPa)、1分後の圧縮応力をσ
(KPa)としたときに、次式により応力緩和率e
(%)を算出する。 e(%)=(σ0−σ)/σ0×100
【0032】立体織物の50%圧縮時の応力緩和率を4
0%以下にすることにより、立体織物の上にある程度の
時間、人が座っても、瞬時の回復性が良好なものとな
る。応力緩和率が40%を越えると、瞬間的には元の状
態には戻り難くなる。立体織物の50%圧縮時の応力緩
和率を40%以下にするには、50%圧縮状態での湾曲
したモノフィラメント糸の凸側表面の伸長率S(%)が
10%以下となるように、立体織物の厚み、連結糸に用
いるモノフィラメント糸の直径を設計すればよい。伸長
率Sは連結糸のモノフィラメントの直径D(mm)と、
立体織物の50%圧縮時のモノフィラメントの曲率半径
r(mm)によって次式で計算される値である。 S(%)=100D/2r
【0033】モノフィラメントの曲率半径rは、立体織
物を50%圧縮した状態で、連結糸のモノフィラメント
糸の湾曲状態の拡大写真をとり、拡大写真においてモノ
フィラメント糸の中心線に接する円を書いて円の半径を
求め、実寸に直す方法等で求められる値である。本発明
において、立体織物の50%圧縮時の湾曲したモノフィ
ラメント糸の凸側表面の伸長率が10%以下となるよう
に、立体織物の厚みと、モノフィラメント糸の太さを設
計することにより、モノフィラメントが湾曲する際に塑
性変形しにくく、ヘタリが生じ難い立体織物となる。
【0034】さらに、弾力性のあるクッション性を発現
させるため、50%圧縮回復時のヒステリシスロスが6
0%以下であることが好ましく、より好ましくは50%
以下、最も好ましくは45%以下である。50%圧縮回
復時のヒステリシスロスは、島津製作所(株)社製オー
トグラフ(形式AG−10TB)を用いて以下の方法に
より測定する。直径100mmの円盤状圧縮治具により
15cm角、厚みT0(mm)の立体織物を10mm/
minの速度で0.5×T0の厚みに圧縮し、10mm
/minの速度で開放する。この際の圧縮応力曲線、回
復応力曲線から、圧縮応力曲線と圧縮変位軸(x軸)で
形成される面積P(cm2)と回復応力曲線と圧縮変位
軸(x軸)で形成される面積R(cm2)を求め、次式
でヒステリシスロスLを算出する。 L(%)=(P−R)/P×100
【0035】本発明の立体織物の50%圧縮回復時のヒ
ステリシスロスを60%以下にするには、連結糸に、曲
げ回復時のヒステリシスロスが0.04cN・cm/糸
以下のモノフィラメントを用いる。一方、本発明におい
ては、14.7N/5cm幅当たりタテ方向及びヨコ方
向の伸長率が3%〜15%、好ましくは3%〜12%で
あることが、人体とのフィット感を有し快適な座り心地
を得る上で好ましい。伸長率が3%未満であると、人が
座った際の沈み込みが少ないために、立体織物によるシ
ート面が人体にフィットせず、硬く座り心地の悪いもの
となることがある。伸長率が15%を越えるものは、作
製するのに多大の労力を要する。
【0036】タテ方向及びヨコ方向の伸長率を3%〜1
5%にするには、立体織物の表裏の生地を構成する繊維
素材に仮撚糸(特に、ポリトリメチレンテレフタレート
繊維の1ヒーター、2ヒーター仮撚糸、ポリトリメチレ
ンテレフタレート繊維の先撚仮撚糸や仮撚糸の逆追撚糸
が好ましい)等のストレッチ素材を用いたり、地組織の
選定、巾入れ等の仕上げ加工方法により達成される。こ
の際、仕上げ加工において、タテ方向とヨコ方向の伸長
率のバランスをとることが好ましい。立体織物の表裏の
組織は同一である必要は無く、異なる組織、異なる伸長
率のものであってもよい。
【0037】立体織物の伸長残留歪は10%以下である
ことが好ましく、より好ましくは7%以下、最も好まし
くは5%以下である。14.7N/5cm幅の応力下で
の応力緩和率は20%以下であること好ましく、より好
ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。
伸長残留歪及び応力緩和率をこのように設定することに
より、反発感のあるクッション性が良好になり、長時
間、あるいは繰り返し座った後の形態安定性が向上す
る。特に、応力緩和率を20%以下にすることにより反
発感ある快適な座り心地を有するものとなる。
【0038】伸長残留歪みは以下の方法により測定す
る。仕上げ加工した立体織物を30cm×5cm(幅)
にサンプリングして、サンプルの一端をチャックに固定
して吊るした状態で20cmの間隔に印を付ける。サン
プルのもう一端に荷重1.5Kgfの荷重をかけて吊る
し、5分後に印間の長さL1を測定する。その後荷重を
取り除き、1分後の印間の長さL2を測定し、次の式に
したがい伸長率、伸長残留歪を算出する。 伸長率(%)=(L1−20)/20×100 伸長残留歪(%)=(L2−20)/20×100
【0039】14.7N/5cm幅の応力下での応力緩
和率は、以下の方法により測定する。上記と同様にサン
プリングし、島津製作所(株)社製オートグラフ(形式
AG−10TB)を用い、チャック間を20cmに調節
しサンプルをセットする。引っ張り速度200mm/m
inでサンプルを伸長し14.7N/5cm幅の応力に
達した時点で1分間保持する。1分後チャックを元の位
置に戻す。1分間保持している間の引張り応力が低下す
る応力緩和率をチャートより読み取り、次式で応力緩和
率を算出する。 応力緩和率(%)=(低下した応力)/(10%伸長時
の応力)×10
【0040】伸長残留歪及び応力緩和率を低下させるに
は、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の場
合は、1%以上の伸長率で熱処理することにより達成す
ることができる。熱処理は原糸製造の段階で伸長熱処理
を施してもよく、仮撚、流体噴射加工等の糸加工段階で
伸長熱処理してもよく、織物の段階で伸長熱処理しても
よい。
【0041】立体織物は必要に応じて所望のサイズに裁
断したり、裁断後の織物片を縫製又は熱成形により所望
の形状にして用いてもよい。本発明の立体織物を使用し
たクッション材は立体織物を一枚で使用してもよく、複
数枚重ねて使用してもよい。圧縮応力が集中する部位に
部分的に使用しても、さらには、既存のクッション材の
表皮材として使用してもよい。
【0042】本発明の立体織物の用途としては、自動
車、鉄道車両、航空機等の座席シート材、ドアトリム等
の車輌用内装材用途、事務用等の座席シートに利用でき
る。特に車輌用等の座席シート材として用いた場合、優
れた通気性や適度なクッション性を持ち、ムレ感解消に
よる座り心地がよいシート材となる。その他の用途とし
ては、家具、寝具等のシート材、肩パット、ブラジャー
カップ、レガースのクッション材、サポータのクッショ
ン材、保温衣料等のライニング材、ヘルメットの内張
り、人体保護パット等、人体に接触するクッション材、
緩衝材、保型材、保温材等の用途に好適に用いることが
できる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例で具体的に
説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものでは
ない。立体織物の特性は以下の方法により測定する。 (1)圧縮回復率 JISK−6400の圧縮残留ひずみの測定方法に準じ
て測定する。厚みが25mmに満たないものは立体織物
試験片を複数枚重ね合わせて、総厚みを約25mmにし
て測定する。圧縮率は立体織物試験片総厚みの50%圧
縮とする。圧縮回復率は、次の式から算出し、JISZ
−8401によって小数点以下1桁にまるめる。5個の
試験結果の中央値を試料の圧縮回復率とする。 圧縮回復率(%)=(t1/t0)×100 t0:初めの試験片の厚さ(mm) t1:試験後の試験片の厚さ(mm)
【0044】(2)厚み ノギスにて0.1mm単位まで測定する。
【0045】
【参考例】ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラ
メント糸の製造 ηsp/c=0.8のポリトリメチレンテレフタレート
を紡糸温度270℃で紡口から吐出し、25℃の冷却浴
中で急冷した後、12.4m/分で第1ロールで巻き取
った。次いで、70℃のヒーター間で4倍に延伸しなが
ら第2ロールで巻き取り、150℃でリラックス処理し
て、280dtexの延伸モノフィラメント糸を得た。
得られた延伸糸の強度、伸度は各々2.8cN/dte
x、45%であった。
【0046】
【実施例1〜3】ドビー開口装置を備えた多段開口織機
(パイル織機)を用い、表組織用経糸ビームから表組織
用経糸として550dtex/240fのポリトリメチ
レンテレフタレートマルチフィラメント200t/m撚
糸を供給し、裏地組織用経糸ビームから裏地組織用経糸
として550dtex/240fのポリトリメチレンテ
レフタレートマルチフィラメント200t/m撚糸を供
給した。同時に、織機の下方部に位置する連結用経糸ビ
ーム(実質的に斜めの連結糸)から280dtexのポ
リトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸を供
給した。斜め連結糸の表裏組織との連結パターンを変え
ることによって斜め連結糸の交差角(θ)を25〜10
0度の範囲で変化させ、緯糸として550dtex/2
40fのポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラ
メント無撚糸を打込んで表裏組織が平組織である立体織
物を得た。製織された立体織物を70℃で精練後、幅出
し熱セット(180℃)して得られた織物の性量及び性
能を表1に示しす。表1から明らかなように、何れも圧
縮回復率は非常に良好であった。
【0047】
【比較例1〜2】実施例1〜3において、実質的に斜め
の連結糸の交差角(θ)を25度未満及び100度を越
える角度とした以外は実施例1〜3と同様にして立体織
物を得た。得られた立体織物を70℃で精練後、幅出し
熱セット(180℃)して得られた織物の性量及び性能
を表1に示す。表1から明らかなように、何れも圧縮回
復率は本発明のものに比べて劣るものであった。
【0048】
【表1】
【0049】織地材質はポリトリメチレンテレフタレー
ト繊維 常温時クッション性:◎:極めて良好、〇:良好、△:
普通、×:不良
【0050】
【発明の効果】本発明の立体織物は、クッション性及び
圧縮回復性が共に優れ、通気性を有し、各種シート材と
して好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の立体織物の一例の縦断面。
【図2】本発明の立体織物の他の例の縦断面。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表組織面と裏組織面を構成する糸と、表
    組織面と裏組織面とを連結するための少なくとも二種の
    連結糸とで織成された立体構造を有する織物であって、
    少なくとも一対の連結糸は表裏の組織面に対して鋭角を
    なすとともに、対をなす連結糸どうしの交差角(θ)が2
    5〜100度であることを特徴とする立体織物。
  2. 【請求項2】 連結糸の一部又は全部にポリトリメチレ
    ンテレフタレート繊維が用いられている請求項1記載の
    立体織物。
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