JP2004100076A - 織物 - Google Patents

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JP2004100076A JP2002262976A JP2002262976A JP2004100076A JP 2004100076 A JP2004100076 A JP 2004100076A JP 2002262976 A JP2002262976 A JP 2002262976A JP 2002262976 A JP2002262976 A JP 2002262976A JP 2004100076 A JP2004100076 A JP 2004100076A
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stress
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Takashi Yanai
谷内 孝
Shinichi Okajima
岡嶋 真一
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Abstract

【課題】人体に対するホールド性及び回復性に優れる織物を提供する。
【解決手段】経糸又は緯糸の少なくとも一方が、ポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸により構成された織物であって、10%伸長時の応力が、経糸方向又は緯糸方向のいずれかの方向(A方向)が100〜400N/5cm巾であり、かつ、他方(B方向)の応力の比(A方向の応力/B方向の応力)が2.0〜10.0であることを特徴とする織物。
【選択図】 選択図なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸により構成された織物に関する。より詳細には、特に、クッション材として用いた時に、クッション性及びホールド性、すなわち、体にフィットし、体の動きに容易に追従する性能に優れた織物に関する。
【0002】
【従来の技術】
椅子、ソファー、ベット等のクッション材には、金属スプリング、ウレタンフォーム等が使用されている。しかしながら、金属スプリングは、弾発耐久性及び寸法安定性には富むものの、体にフィットし、体の動きに容易に追従するといったホールド性に乏しく、座り心地や寝心地に劣るものであった。一方、ウレタンフォームの場合は、初期圧縮が硬く、その後、急に沈み込むという独特の圧縮特性を示す為に、これも体にフィットし、体の動きに容易に追従するといったホールド性及び通気性に乏しく、蒸れ易いために、クッション材として好まれないことが多い。また、ポリマーが柔らかく、発泡しているために、圧縮に対する反発性を向上させるためには密度を高くしなければならないという問題点があった。
【0003】
特許文献1には、ポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を用いた細幅織物をクッション材用途として用いられることが開示されているが、用途によっては、さらに優れたホールド性を有するものが要求されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−52273号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、クッション材用途として、クッション性及びホールド性、特に、ホールド性、すなわち、体にフィットし、体の動きに容易に追従する性能が優れた織物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の繊維素材を用い、特定の織物設計を採用することによって、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1) 経糸及び緯糸の少なくとも一方が、ポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸により構成された織物であって、10%伸長時の応力は、経糸方向及び緯糸方向のいずれかの方向(A方向)が100〜400N/2.5cm巾であり、かつ、他方(B方向)の応力との比(A方向の応力/B方向の応力)が2.0〜10.0であることを特徴とする織物。
(2) 織物の経糸方向及び緯糸方向において、10%伸長時の弾性回復率が70%以上であることを特徴とする(1)に記載の織物。
(3) B方向の10%伸長時の応力が10〜100N/2.5cm巾であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の織物。
【0007】
(4) 15%伸長時の応力の比(A方向の応力/B方向の応力)が1.0〜2.0であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の織物。
(5) ポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸が、モノフィラメント糸であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の織物。
(6) ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸が、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維であることを特徴とする(5)に記載の織物。
(7) 潜在捲縮発現性ポリエステル繊維は、0.05〜0.40(dl/g)の固有粘度差を有する2種類のポリトリメチレンテレフタレートが互いにサイドバイサイド型に複合されたものであることを特徴とする(6)に記載の織物。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の織物を用いて構成されたクッション材。
【0008】
本発明の織物は、従来の椅子、ソファー、ベット等のクッション材に代わるものとして好適である。従来の表皮材やクッション材を用いずに、この織物だけでクッション材を構成するのが最適であるが、本発明の織物に、公知の表皮材及び/又はその他のクッション材、例えば、ポリウレタンフォーム、金属スプリング等を組み合せてもよい。
本発明において、ポリトリメチレンテレフタレートとは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルであり、トリメチレンテレフタレート単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含むものをいう。したがって、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含する。
【0009】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル、ナイロン等と、ポリトリメチレンテレフタレートを別個に合成した後、ブレンドしてもよい。ブレンドする際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は、質量%で50%以上である。
【0010】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(P−オキシ安息香酸等)等がある。1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用できる。
【0011】
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。特に、平均粒子径0.01〜5μm程度の酸化チタンや顔料の粒子を0.01〜5質量%含有させると平滑性が高く、紡糸性に優れたものとなる。
【0012】
本発明において、ポリトリメチレンテレフタレートの繊維形態は、フィラメント糸であり、いわゆる、マルチフィラメント糸及びモノフィラメント糸を包含する。本発明の織物をクッション材として用いた場合に、クッション性の点からモノフィラメント糸が好ましい。
繊維は、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平(扁平度1.3〜4程度のもので、W型、I型、ブ−メラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方体型等がある)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものであってもよい。
【0013】
ポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸の製造方法については、1500m/分程度の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延撚する方法、3000m/分以上の紡糸速度で捲取、前配向未延伸糸を得たのち、延伸する方法、紡糸−延伸工程を直結したスピンドロー法、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)、紡糸後、一度水浴で冷却してから延伸する水冷方法等、何れの方法を採用してもよい。
【0014】
ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸の製造方法については、公知の製法を採用すればよく、例えば、以下の方法が挙げられる。乾燥させたポリトリメチレンテレフタレートペレットを押出機に供給し、溶融体とした後、スピンヘッドに送り、紡糸口金よりフィラメント状に紡出する。冷水水浴中で冷却しながら、所定の繊度まで細化し、未延伸モノフィラメントとした後、所定の温度の温水浴中で第一延伸する。次いで、所定温度のスチーム浴中で定長又は弛緩熱処理し、巻き取り機で巻き取る。この工程において、モノフィラメント糸の沸水収縮率を調節するために、更に所望の弛緩率で、連続又は非連続の熱処理を行ってもよく、例えば、弛緩率−10〜+15%、100〜180℃程度の温度で、連続又は非連続で熱処理してもよい。
【0015】
弛緩率は、熱処理前のモノフィラメント糸の長さをL0、熱処理中の拘束長さをL1とした時に、次式により計算される。
弛緩率=[(L0−L1)/L0]×100
ポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度は0.8〜1.3dl/gが好ましく、より好ましくは0.8〜1.1dl/gである。
【0016】
本発明で使用するポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸の物性としては、強度が2.0cN/dtex以上であることが好ましく、マルチフィラメント糸の場合には、2.6cN/dtex以上であることが好ましく、2.6〜5.0cN/dtexの範囲であることがより好ましい。ポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸の引張伸度は35%以上であることが好ましく、35〜60%の範囲であることがより好ましい。初期引張抵抗度は26.5cN/dtex未満であることが好ましく、17.6cN/dtex以上、26.5cN/dtex未満であることがより好ましい。10%伸長時の伸長回復率は、好ましくは70%以上、より好ましくは80〜100%である。
【0017】
本発明において使用するポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸の単糸繊度は0.1〜20dtexが好ましい。ポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸の糸条総繊度(すなわち、マルチフィラメント糸では総繊度、モノフィラメント糸では単糸繊度)は、下限が、好ましくは50dtex以上、より好ましくは100dtex以上、上限は、好ましくは4000dtex以下、より好ましくは3000dtex以下である。
【0018】
本発明において、特に好適なポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸は、少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートである潜在捲縮発現性ポリエステル繊維である。
潜在捲縮発現性ポリエステル繊維とは、二種以上のポリエステル成分で構成(具体的には、サイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に接合されたものが多い)されているものであり、熱処理によって捲縮を発現するものである。二種のポリエステル成分で構成されている場合、ポリエステル成分の複合比は、質量%で、好ましくは70/30〜30/70、より好ましくは60/40〜40/60の範囲である。サイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に接合されている場合は、接合面形状(直線又は曲線形状のものがある)は限定されない。
潜在捲縮発現性ポリエステル繊維は、少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートである点に特徴がある。他の成分としては、第一の成分とは異なるポリエステル、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0019】
ポリマーの組み合わせとしては、ポリトリメチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1.3−プロパンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、エチレングリコール、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい)とポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせ、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、ブタンジオール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。)の組み合わせ、ポリトリメチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート(テレフタル酸を主たるジカルボン酸とし、1.4−ブタンジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルであり、エチレングリコール等のグリコール類やイソフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸等を共重合してもよい。他ポリマー、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい)との組み合わせ等が挙げられる。特に、繊維にしたときに、捲縮の内側にポリトリメチレンテレフタレートが配置されように、ポリマーを選択して組み合わせるのが好ましい。
【0020】
これらの中でも、固有粘度差を有するポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが最適であるが、この他に、ポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートとの組み合わせ、ポリトリメチレンテレフタレート(又は共重合ポリトリメチレンテレフタレート)とポリエチレンテレフタレート(又は共重合ポリエチレンテレフタレート)との組み合わせ、ポリトリメチレンテレフタレート又は共重合ポリトリメチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート(又は共重合ポリブチレンテレフタレート)との組み合わせが好ましい。
【0021】
固有粘度差を有する2種類のポリトリメチレンテレフタレートで構成する場合、2種類のポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度差が0.05〜0.40(dl/g)であることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.35(dl/g)、最も好ましくは0.15〜0.35(dl/g)である。例えば、高粘度側の固有粘度を0.70〜1.30(dl/g)から選択した場合には、低粘度側の固有粘度を0.50〜1.10(dl/g)から選択するのが好ましい。低粘度側の固有粘度は0.80(dl/g)以上が好ましく、0.85〜1.00(dl/g)がより好ましく、0.90〜1.00(dl/g)が最も好ましい。固有粘度差が0.05未満では、潜在捲縮が発現し難く、0.40(dl/g)を越えると、溶融紡糸しにくくなる。
【0022】
複合繊維自体の固有粘度、すなわち、平均固有粘度は0.70〜1.20(dl/g)が好ましく、0.80〜1.20(dl/g)がより好ましく、0.85〜1.15(dl/g)がさらに好ましく、0.90〜1.10(dl/g)が最も好ましい。
本発明でいう固有粘度の値は、使用するポリマーではなく、紡糸されている糸の粘度をいう。この理由は、ポリトリメチレンテレフタレート特有の欠点としてポリエチレンテレフタレート等と比較して熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用しても熱分解によって固有粘度が著しく低下し、複合マルチフィラメントにおいては両者の固有粘度差を大きく維持することが困難であるためである
【0023】
本発明は、このようなポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸を、経糸及び緯糸の少なくとも一方に用いて織物を構成するものである。
本発明は、10%伸長時の応力が、織物の経糸方向又は緯糸方向のいずれかの方向(A方向)が100〜400N/2.5cm巾、好ましくは100〜300N/2.5cm巾、より好ましくは100〜250N/2.5cm巾であり、かつ、他方(B方向)との応力の比(A方向の応力/B方向の応力)が2.0〜10.0、好ましくは3.0〜10.0、より好ましくは4.0〜8.0である織物である。
【0024】
10%伸長時の応力が、A方向が400N/2.5cmを越えると、織物の風合いが硬く、クッション材に用いた場合にクッション性に劣ったものとなり、100N/2.5cm巾未満では、着座時の沈み込みが大き過ぎて、回復性が悪く、ヘタリが大きいものとなる。応力の比が2.0未満又は10.0を越えると、ホールド性に劣ったものとなる。
本発明では、織物の経糸方向及び緯糸方向において、10%伸長時の弾性回復率が、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、95%以下である場合、織物をクッション材に用いた場合にクッション性がより優れたものとなる。
【0025】
本発明の織物のB方向の10%伸長時の応力が、好ましくは10〜100N/2.5cm巾、より好ましくは10〜80N/2.5cm巾、最も好ましくは10〜60N/2.5cm巾である場合、織物をクッション材に用いた場合にホールド性及び回復性がより優れたものとなる。
【0026】
15%伸長時の応力の比(A方向の応力/B方向の応力)は、好ましくは1.0〜2.0、より好ましくは1.0〜1.8である場合、織物をクッション材に用いた場合にホールド性及び回復性がより優れたものとなる。さらに、15%伸長時の応力として、A方向が、好ましくは150〜500N/2.5cm巾、より好ましくは150〜400N/2.5cm巾、最も好ましくは180〜400N/2.5cm巾であり、B方向が、好ましくは100〜400N/2.5cm巾、より好ましくは100〜350N/2.5cm巾、最も好ましくは150〜350N/2.5cm巾である場合、織物をクッション材に用いた場合にクッション性、ホールド性及び回復性がより優れたものとなる。
【0027】
織物の他方に用いる素材としては、熱可塑性合成繊維の仮撚加工糸、例えば、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、上記のポリトリメチレンテレフタレート繊維等、ポリエステル系繊維の仮撚加工糸(2ヒーター仮撚糸よりも1ヒーター仮撚糸が好ましい)、ポリトリメチレンテレフタレートを一成分とする潜在捲縮発現性ポリエステル繊維マルチフィラメント原糸、さらにはその仮撚加工糸、及び複合弾性糸が好ましい。経糸と緯糸の組織点を接(融)着して目ズレ防止する意味から、低融点成分を含む、いわゆる、熱融着糸を混用してもよい。
【0028】
複合弾性糸とは、一般に精紡工程を利用した、いわゆる、CSYや仮撚、カバリング工程を利用したFTY等の被覆弾性糸(ポリウレタン系やポリエーテルエステル系等の弾性糸が芯部を構成し、鞘部は長繊維や短繊維で構成される)、複合合撚糸(弾性糸と、無撚又は下撚したフィラメント糸や紡績糸を上撚合撚したもの)が挙げられる。
複合弾性糸において、弾性糸と複合する素材や形態としては、目ズレ防止からマルチフィラメント糸よりも短繊維が好ましく、経糸と緯糸の組織点を接(融)着して目ズレ防止する意味から、天然繊維等の非熱可塑性合成繊維熱よりも熱可塑性合成繊維が好ましい。例えば、一成分系のポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維に代表されるポリエステル系繊維、ポリトリメチレンテレフタレートを含むポリエステルの一種を一成分とするポリエステル系複合繊維(例えば、高融点成分と低融点成分をサイドバイサイド型にした複合繊維、コアに高融点成分、シースに低融点成分を用いたシースコア型複合繊維)、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維等のポリアミド系繊維、ポリプロピレン繊維等を用いることができる。
【0029】
織物の組織は限定されることはなく、平織組織、綾織組織(2/1や2/2)、柄組織等を用いることができる。
織物の好ましい密度は、経糸カバーファクター(CF)+緯糸カバーファクター(CF)が1000〜4000の範囲である。
経糸CF=経糸の繊度(dtex)0.5×経糸の密度(本/2.54cm)
緯糸CF=緯糸の繊度(dtex)0.5×緯糸の密度(本/2.54cm)
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
本発明における評価は以下の測定法による。
(1)固有粘度
固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
定義中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cは、g/100mlで表されるポリマー濃度である。
【0031】
なお、固有粘度の異なるポリマーを用いた複合繊維モノフィラメントは、モノフィラメントを構成するそれぞれの固有粘度を測定することは困難であるので、複合モノフィラメントの紡糸条件と同じ条件で2種類のポリマーをそれぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有粘度を、複合繊維モノフィラメントを構成する固有粘度とする。
【0032】
(2)10%及び15%伸長時の応力評価
島津製作所(株)製の引張試験機を用いて、つかみ幅2.5cm、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/minで、伸長率10%及び15%まで伸長した後、同じ速度で収縮させ、応力−歪曲線を描く。各々の応力−歪曲線から伸長率10%及び伸長率15%での応力を読み取る。
【0033】
(3)10%伸長時の弾性回復率評価
島津製作所(株)製の引張試験機を用いて、つかみ巾2.5cm、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/minで、伸長率10%まで伸長した後、同じ速度で収縮させ、応力−歪曲線を描く。収縮中、応力が0になった時の伸度を残留伸度(A)とする。弾性回復率は以下の式にしたがって求める。
10%伸長時の弾性回復率=[(10−A)/10]×100%
【0034】
(4)クッション性、ホールド性の評価
織物を、スチールパイプ枠に張ってサマーベッドを試作する。このベッドに寝た時のクッション性、ホールド性を官能評価する。
【0035】
【実施例1】
高粘度側が0.90、低粘度側が0.70である固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレート(酸化チタン含有率0.1質量%)を、質量比率1:1でサイドバイサイド型紡口を用いて溶融押し出し、常法により800dtexの複合繊維モノフィラメント糸(断面形状は丸型)を製造した。
一方、高粘度側が0.90、低粘度側が0.70である固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレート(酸化チタン含有率0.1質量%)を、質量比率1:1でサイドバイサイド型紡口を用いて溶融押し出し、常法により167dtex/48fの複合繊維マルチフィラメント糸(断面形状は丸型)を製造し、次いで、常法により1ヒーター仮撚加工糸を製造した。
【0036】
この複合繊維モノフィラメント糸を経糸に用い、緯糸には1ヒーター仮撚加工糸10本を引き揃えて合撚(仮撚方向と逆方向に300T/m)した糸条を用いて、平織組織の生機を作成した。
得られた生機を160℃でセットした後、液流染色機で精練し、160℃でセットした。得られた織物は、経糸密度28本/2.54cm(経糸CF=792)、緯糸密度22本/2.54cm(緯糸CF=899)であった。
得られた織物の特性値を表1に示す。この織物をは、クッション性及びホールド性が共に優れたものであった。
【0037】
【比較例1】
実施例1において、経糸に用いた複合繊維モノフィラメントを緯糸にも用いた以外は実施例1同様にして製織し、仕上げて織物を製造した。この織物の経糸密度28本/2.54cm(経糸CF=792)、緯糸密度28本/2.54cm(緯糸CF=792)であった。
得られた織物の特性値を表1に示す。この織物は、実施例1のものと対比すると、特にホールド性が劣ったものであった。
【0038】
【比較例2】
実施例1において、緯糸に用いた仮撚加工糸を経糸にも用いた以外は実施例1同様にして製織し、仕上げて織物を製造した。この織物の経糸密度22本/2.54cm(経糸CF=899)、緯糸密度22本/2.54cm(緯糸CF=899)であった。
得られた織物の特性値を表1に示す。この織物は、実施例1のものと対比して、クッション性及びホールド性が共に劣ったものであった。
【0039】
【実施例2】
実施例1において、緯糸に固有粘度0.9の800dtexポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸(一成分)を用いた以外は実施例1同様にして製織し、仕上げて織物を製造した。
得られた織物の特性値を表1に示す。この織物は、実施例1のものと対比すると、若干、クッション性に劣ったものであったが、ホールド性及び回復性は優れたものであった。
【0040】
【実施例3】
実施例2において、経糸CFを変化させて、織物を製造した。
得られた織物の特性値を表1に示す。この織物は、実施例2と同様にホールド性及び回復性に優れたものであった。
【0041】
【比較例3】
比較例1において、経糸CFと緯糸CFを変化させて、織物を製造した。
得られた織物の特性値を表1に示す。この織物は、実施例1のものと対比して風合いが硬く、クッション性に劣り、さらにホールド性にも劣ったものであった。
【0042】
【比較例4】
実施例2において、経糸CFを変化させて、織物を製造した。
得られた織物の特性値を表1に示す。この織物は、実施例1のものと対比して風合いが硬く、クッション性に劣り、さらにホールド性にも劣ったものであった。
【0043】
【表1】
Figure 2004100076
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、人体に対するホールド性に優れる織物を提供できる。
本発明の織物は、例えば、椅子、ソファー、ベット、ハンモック、カーシート、自動車の座席シートの表皮材や基材として用いられる面状のクッション材用途に好適である。

Claims (8)

  1. 経糸及び緯糸の少なくとも一方が、ポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸により構成された織物であって、10%伸長時の応力は、経糸方向及び緯糸方向のいずれかの方向(A方向)が100〜400N/2.5cm巾であり、かつ、他方(B方向)の応力との比(A方向の応力/B方向の応力)が2.0〜10.0であることを特徴とする織物。
  2. 織物の経糸方向及び緯糸方向において、10%伸長時の弾性回復率が70%以上であることを特徴とする請求項1記載の織物。
  3. B方向の10%伸長時の応力が10〜100N/2.5cm巾であることを特徴とする請求項1又は2記載の織物。
  4. 15%伸長時の応力の比(A方向の応力/B方向の応力)が1.0〜2.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の織物。
  5. ポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸が、モノフィラメント糸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の織物。
  6. ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸が、潜在捲縮発現性ポリエステル繊維であることを特徴とする請求項5項記載の織物。
  7. 潜在捲縮発現性ポリエステル繊維は、0.05〜0.40(dl/g)の固有粘度差を有する2種類のポリトリメチレンテレフタレートが互いにサイドバイサイド型に複合されたものであることを特徴とする請求項6項記載の織物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の織物を用いて構成されたクッション材。
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