JP2015132022A - クッション構造体 - Google Patents

クッション構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP2015132022A
JP2015132022A JP2014002780A JP2014002780A JP2015132022A JP 2015132022 A JP2015132022 A JP 2015132022A JP 2014002780 A JP2014002780 A JP 2014002780A JP 2014002780 A JP2014002780 A JP 2014002780A JP 2015132022 A JP2015132022 A JP 2015132022A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
warp
monofilament
cushion structure
multifilament
woven
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014002780A
Other languages
English (en)
Inventor
国昭 河合
Kuniaki Kawai
国昭 河合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
EIHEIJI SIZING KK
Original Assignee
EIHEIJI SIZING KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by EIHEIJI SIZING KK filed Critical EIHEIJI SIZING KK
Priority to JP2014002780A priority Critical patent/JP2015132022A/ja
Publication of JP2015132022A publication Critical patent/JP2015132022A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Woven Fabrics (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、横倒れ及び経て折れの発生を防止することができ、かつ衝撃吸収性を有する立体多重織組織からなるクッション構造体を提供することを目的とするものである。【解決手段】平織で織成された地組織10が上下に多重に組織され、経糸方向には高捲縮糸11が多数配列して織り込まれており、地組織10が上下の高捲縮糸11に交互に交絡して波状に湾曲した状態に構成される。高捲縮糸11の捲縮発現により縮むことで地組織10が波状に湾曲するようになり、多数の連通空隙部12が緯糸方向に沿って配列された層構造Mが形成される。層構造Mに荷重が加わった時、高捲縮糸11が伸縮して、経糸10aであるモノフィラメントの横倒れ及び経て折れを防止することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維から実質的に構成された立体多重織組織からなるクッション構造体に関する。さらに詳しくは、寝具、車両用シート、椅子用シート、座布団用シート、応接セット用シート又はスポーツ資材および医療用又は介護用のシート等の通気性、クッション性、洗濯性などが要求される分野に利用することができる衝撃吸収性を有するクッション構造体に関する。
従来、立体構造を有するクッション材は、幅広い分野において用いられているが、ウレタンマットに代表される樹脂製発泡体、繊維材料から構成された立体構造体が実用化されている。樹脂製発泡体については、成形加工が容易であるが、発泡による空間が連通していないので通気性の面で劣る。また、長時間の圧縮に対しては変形しやすく、圧縮回復力が低下するようになる。
繊維材料からなる立体構造体としては、例えば、特許文献1に記載された織構造により立体構造体を形成するものがある。特許文献1では、フィラメント繊維の織組織を立体化した立体多重織組織からなり、その表面空隙層部は一定の大きさ及び形状の凸部が形成されており、中間空隙層部は、一方向に平行した多数の連通空洞部を有する層を1層もしくは2層以上積層形成されている点が記載されている。こうした立体多重織組織からなる構造体は、特許文献2に記載されているように、経糸に高収縮糸を用いた多重織組織を織成した後高収縮糸を収縮させて立体構造を構成するようにしている。同様の多重織組織としては、例えば、特許文献3に記載された段ボール構造織物がある。
また、特許文献4に記載されているように、表裏二層の編地とこれら二層の編地を連結する連結糸から構成された立体編物がある。また、特許文献5には、表裏二層を織地としこれら二層を連結糸で連結した立体織物が記載されている。
また、特許文献6には、平織で織成された地組織が上下に多重に組織され経糸方向に高収縮糸が多数配列して織り込まれており、地組織が上下の高収縮糸に交互に交絡して波状に湾曲した状態に構成されたクッション構造体において、地組織の経糸に扁平モノフィラメントを用いた点が記載されている。また、特許文献7には、クッション特性を改善するため、上層と下層が異なるクッション特性を有する立体織物からなるクッション材が記載されている。
特許第2883288号公報 特開平6−128837号公報 登録実用新案第3010467号公報 特許第3394183号公報 特開2003−13337号公報 特開2007−100256号公報 特開2010−004965号公報
上述したように、立体多重織組織からなるクッション構造体は、大きな通気性と高反発性を有するため、多くの研究開発と改善がなされてきている。こうしたクッション構造体では、高収縮マルチフィラメントが収縮し低収縮のモノフィラメントをループ状に変形させトラス構造を形成させている。形成されたトラス構造は、底辺を構成している収縮したマルチフィラメントが常に一定の長さであるため、荷重が加わった時のクッション性は、主にループ状のモノフィラメントの弾性変形により達成される。そのため、ループ状のモノフィラメントについて改良工夫することでクッション構造体の特性を改善することが提案されている。
例えば、クッション構造体のループ状のモノフィラメントが実質的に丸断面である場合、荷重が加わって圧縮された部分に横倒れが生じるといった課題がある。図6は、従来の立体多重織組織からなるクッション構造体に対して荷重が加わる前の状態(図6(a))及び荷重が加わった後の状態(図6(b))を示す模式図である。経糸方向に配列された高収縮糸101によりループ状に形成されたモノフィラメントからなる経糸100aは、荷重により上下方向に圧縮されると、一旦圧縮されて撓むものの、荷重が大きくなると図6(b)に示すように緯糸100bの方向に倒れるように変形して横倒れが生じる。こうした横倒れの現象は、経糸100aのループ状に形成された高さが高くなるほど発生しやすくなるため、クッション性を高めようとループの高さを高くすると横倒れが生じやすくなって使い心地の悪いものとなってしまう。
こうした課題を解決するために、本発明者は、特許文献6に記載されているように、ループ状に形成されるモノフィラメントを扁平断面とした立体多重織組織からなるクッション構造体を提案している(特許文献6参照)。こうしたクッション構造体では、横倒れが生じることを防止して使い心地を改善することができる。しかしながら、クッション構造体が様々な用途に使用されていくと、用途に応じたクッション構造体の特性が求められるようになっている。例えば、用途によってはやや硬く高反発過ぎるため反発性の調整を求められたり、高圧縮された場合や長期間の使用によりモノフィラメントが塑性変形してループ形状を十分に回復できなくなる圧縮回復性の改善が求められている。
モノフィラメントの圧縮回復性については、圧縮によるモノフィラメントの折れ曲り−いわゆる「経て折れ」現象が大きく影響している。図7は、経て折れ現象に関する説明図である。クッション構造体が圧縮されていない状態(図7(a))では、モノフィラメントからなる経糸100aは、ループ状に形成されている。圧縮力が加わった場合(図7(b))、ループ状の経糸100aが潰れるように変形し、荷重が繰り返し印加される場合でも元の形状に回復するようになる。しかしながら、圧縮力が大きくなっていくと、高収縮糸101がほとんど伸縮しないため、経糸100aが全体的に経方向にずれるように潰れたり(図7(c))、上部が局部的に折れ曲るように変形する(図7(d))といった経て折れ現象が生じる。こうした経て折れ現象は、経糸100aが局所的に深く折れ曲るため、モノフィラメントの折れ曲り箇所に塑性変形が生じて元の形状に戻らなくなる。そのため、クッション構造体の圧縮回復性が劣化するようになる。こうした圧縮力が大きくなった場合以外にも、長期間圧縮された状態に設定されている場合に、モノフィラメントが元のループ形状に回復しなくなって圧縮回復性が劣化するようになる。
そこで、本発明は、繊維から実質的に構成された立体多重織組織からなるクッション構造体において、横倒れ及び経て折れの発生を防止することができ、かつ衝撃吸収性を有するクッション構造体を提供することを目的とするものである。
本発明に係るクッション構造体は、繊維から実質的に構成された立体多重織組織からなり、一方向に沿って多数の連通空隙部が配列された層構造を少なくとも1層有するクッション構造体であって、前記連通空隙部が、下記(1)を満足するモノフィラメントと下記(2)を満足するマルチフィラメントとにより実質的に骨格形成されていることを特徴とする。
(1)前記モノフィラメントは、繊度が50dtex以上、10,000dtex以下で、沸水収縮率が10%以下である。
(2)前記マルチフィラメントは、潜在捲縮能を有する繊維からなり、次式で示される捲縮収縮率Cs(%)が10%〜60%、捲縮率Cp(%)が7%〜60%である。
Cs=100(L−A)/L
Cp=100(B−A)/B
但し、マルチフィラメントの繊度をD(dtex)とするとき、LはD/2(g)荷重時の長さであり、Aは沸騰水で5分間処理した後のD/50(g)荷重時の長さであり、Bは沸騰水で5分間処理した後のD/2(g)荷重時の長さである。
さらに、前記モノフィラメントは、次式で示される繊維断面の扁平度(H)が1.0以上、5.0以下である。
H=b/a
但し、bは繊維断面の長手方向の最大長さ、aは繊維断面の長手方向と直交する方向の最大長さである。
本発明は、上記のような構成を有することで、上記(1)の条件を満たすモノフィラメント及び上記(2)の条件を満たす潜在捲縮機能を有するマルチフィラメントを組み合せて連通空隙部の骨格を形成しているので、横倒れ及び経て折れの発生を防止することができ、かつ衝撃吸収性を有する使い心地の良好なクッション構造体を得ることができる。
すなわち、骨格連通空隙部の骨格形成に捲縮によって高伸縮性となるマルチフィラメントを用いることで、モノフィラメントの変形に伴ってマルチフィラメントが伸縮するようになる。そのため、モノフィラメントの横倒れ及び経て折れの発生を防止することができるとともにモノフィラメントの弾性変形に伴う反発性が抑止されて衝撃吸収性の優れたクッション構造体が得られる。
本発明の織物構造体に係る断面を示す模式図である。 別の実施形態に関する経糸方向に沿った断面図を示す模式図である。 経糸及び高捲縮糸により骨格形成された連通空隙部が圧縮された場合の変形状態に関する説明図である。 複数種類の繊維断面例における長さa及びbの設定を示す説明図である。 圧縮割合と荷重との関係を示すグラフである。 従来の立体多重織組織からなるクッション構造体に対して荷重が加わる前の状態及び荷重が加わった後の状態を示す模式図である。 経て折れ現象に関する説明図である。
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る実施形態に関する経糸方向に沿った断面を示す模式図である。平織で織成された地組織10が上下に多重に組織され、経糸方向には高捲縮糸11が多数配列して織り込まれており、地組織10が上下の高捲縮糸11に交互に交絡して波状に湾曲した状態に構成される。高捲縮糸11には、潜在捲縮能を有する繊維からなるマルチフィラメントが用いられており、マルチフィラメントの捲縮発現により縮むことで地組織10が波状に湾曲するようになり、多数の連通空隙部12が緯糸方向に沿って配列された層構造Mが形成される。クッション構造体として使用する場合には、少なくとも1つの層構造Mを備えていることで、クッション性を持たせることができる。
層構造Mでは、地組織10を構成するモノフィラメントからなる経糸10aが上下の高捲縮糸11に交絡して間隔を保持することで連通空隙部12が維持されるようになっており、経糸10a及び高捲縮糸11が連通空隙部12の骨格形成を担っている。そして、地組織10を構成する緯糸10bが経糸10aに織り込まれることで、経糸10a全体が一体化して機能するようになっている。
図2は、別の実施形態に関する経糸方向に沿った断面図を示す模式図である。この例では、図1と同様に、地組織20の経糸20a及び高捲縮糸21により骨格形成された層構造Mを備えており、構造体の外表面である最上面及び最下面には、平面状の織物構造23を備えている。織物構造23は平織で織成されており、その経糸は直線的に配列されており、緯糸は経糸に織り込まれて面状に形成されている。経糸及び/又は緯糸には、各種機能(例えば、嵩高性、吸湿・速乾性、消臭性、抗菌性など)を持った繊維を使用することができる。面状の織物構造23により荷重を受けるので、連通空隙部22が安定して変形し良好な圧縮特性を示すようになる。織物構造23の表面には、用途により凹凸形状を形成することもできる。
なお、上述した実施形態以外のクッション構造体においても、こうした連通空隙部を有する層構造を備えているものであれば、その骨格を形成する経糸にモノフィラメントを用いるとともにマルチフィラメントからなる高捲縮糸を用いて層構造を形成すればよい。この場合、層構造の積層数に特に限定されることはなく、少なくとも1層以上備えていればよい。好ましくは、1〜5層がよく、さらに好ましくは、1〜3層である。また、クッション構造体の一部にこうした層構造を備えている場合にも適用可能である。
本実施形態において連通空隙部は、一方の端部から他方の端部まで完全に連通していなくてもよく、縫製その他の手段により一部閉じられていてもクッション性が維持されていれば問題ない。通常、連通空隙部は、5cm以上、好ましくは10cm以上の長さに設定されていればよい。構造体全体の厚さは、10〜50mm、好ましくは15〜40mmであれば実用上十分なクッション性を得られる。
また、本実施形態であるクッション構造体には、用途に応じてその表面にさらに別の織組織を設けることで複合化することもできる。また、ミシン等による縫い合わせ、熱接着あるいは超音波ウエルダーや高周波ウエルダー加工により各種の形状、形態のクッション材を作ることがもてきる。
図3は、経糸10a及び高捲縮糸11により骨格形成された連通空隙部12が圧縮された場合の変形状態に関する説明図である。クッション構造体が圧縮されていない状態(図3(a))では、マルチフィラメントからなる高捲縮糸11は縮んだ状態となっており、モノフィラメントからなる経糸10aは、ループ状に形成されている。圧縮力が加わった場合(図3(b))、ループ状の経糸10aが圧縮力により潰れるように変形する。その際に、高捲縮糸11は、経糸10aの変形に伴って経糸10aが経糸方向に拡がるように伸長するようになるため、横倒れがほとんど生じることなく圧縮方向に潰れるように変形する。圧縮力がさらに大きくなっていくと(図3(c))、経糸10aが圧縮方向に潰れるように変形していくのに合せて高捲縮糸11がさらに伸長していくようになる。経糸10aは、圧縮方向に潰れるように変形していく際に高捲縮糸11により経糸方向に拡がるように変形することができるので、横倒れ及び経て折れがほとんど生じなくなり、経糸10aの横倒れに伴うクッション性の低下や塑性変形に伴う圧縮回復性の劣化を防止することができる。また、経糸10aが経糸方向に拡がるように変形するため、経糸10aの弾性変形に伴う反発性が低下し、荷重及び除重の繰り返しに対して高捲縮糸11が伸縮して衝撃を吸収するので、優れた衝撃吸収性を発揮するようになる。そして、圧縮力が解除されると、高捲縮糸11が元の縮んだ状態に戻って経糸10aが元のループ状に回復するようになり、良好な圧縮回復率を備えている。
クッション構造体を製造する場合、経糸として、経糸10aとなるモノフィラメント及び高捲縮糸11となる潜在捲縮能を有するマルチフィラメントを配列し、レピア織機等の公知の織機を用いて緯糸とともに多重織組織で製織した後、熱水等の熱処理によりマルチフィラメントを捲縮させながら収縮させる。その際に、モノフィラメントはほとんど収縮しないため、マルチフィラメントの収縮によりモノフィラメントはループ状に変形して連通空隙部が形成されるようになる。そのため、モノフィラメントは低収縮性のものが好ましく、マルチフィラメントは高捲縮性のものが好ましい。
地組織10の経糸10aに用いられるモノフィラメントは、繊度が50dtex以上、10,000dtex以下のものが好ましい。繊度が50dtex未満では、圧縮による剛性が低く柔かいためクッション材として不適である。また、繊度が10,000dtexを超えると、剛性が高くなって硬くなり、クッション材としては不適である。より好ましくは、繊度が200dtex以上、1,000dtex以下である。
モノフィラメントは、上述したように低収縮性のものが好ましく、具体的には収縮率が8%以下のものが好ましい。収縮率が8%を超えると、高捲縮糸との収縮率の差が小さくなり、十分なループ状の変形が行われなくなって、クッション性の著しい低下を招くようになる。より好ましくは、収縮率が4%以下である。なお、本明細書では、収縮率とは、沸水収縮率(BWS)を意味し、繊維を沸騰水中に10分間浸漬したときの収縮率である。
モノフィラメントの扁平度(H)は、次の式に示すb及びaの比で求められる。
H=b/a
ここで、bは繊維断面の長手方向の最大長さ、aは繊維断面の長手方向と直交する方向の最大長さである。a及びbを求める場合、まず、モノフィラメントを繊維長方向と直交する断面(繊維断面)で切断し、その断面を撮影する。そして、撮影した写真に基づいて断面形状の長手方向の最大長(b)及び長手方向と直交する方向の最大長さ(a)を求める。例えば、繊維断面が楕円形状の場合には、bは長軸の長さとなり、aは短軸の長さとなる。図4は、複数種類の繊維断面例における長さa及びbの設定を示す説明図である。いずれの例でも、繊維断面の長手方向の最大長さをbとし、長手方向と直交する方向の最大長さをaとしている。
以上のように求められるモノフィラメントの扁平度(H)は、1.0以上、5.0以下であることが好ましい。上述した高捲縮糸の伸長作用により横倒れが生じる可能性が低くなるため、Hが1.0(丸断面)の場合でも横倒れすることはほとんどなくなる。また、Hが5.0を超えると、製織等の製造工程において、モノフィラメントに割れや折れ等の破損が生じやすくなる。より好ましくは、1.4以上、4.0以下の扁平状のモノフィラメントを用いることで、横倒れを確実に防止することができる。
なお、モノフィラメントの繊維断面の形状は、図4に例示する形状以外のものでもよく、例えば、矩形状や多孔中空断面形状でもよい。また、上記の繊度及び扁平度の条件を満たすモノフィラメントであればよく、特に限定されることはない。
モノフィラメントを構成するポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール及びポリオレフィン等が挙げられる。好ましくは、変形復元性が優れているポリエステル、ポリアミドを用いるとよい。より好ましくは、ポリトリメチレテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)であり、特に、PTT及びPBTのブレンドポリマーあるいは共重合体ポリマーである。
好ましいPTT及びPBTのブレンドあるいは共重合の割合は、PBTの割合(PBT%)が、12重量%以上45重量%以下である。この範囲のPBTを添加することで、PTT単独ポリマーに比べて延伸性が向上し、得られる繊維は高強力で初期弾性率も高く且つ弾性回復率も良好となる。PBT%が12重量%未満ではPTT単独ポリマーの性質と大差無く、45重量%を超えると弾性回復率が低下する。
また、地組織の緯糸を構成する繊維材料としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール及びポリオレフィン等が挙げられる。好ましくは、変形復元性が優れているポリエステル、ポリアミドを用いるとよい。また、緯糸としては、モノフィラメントでもマルチフィラメントでもよい。
高捲縮糸に用いるマルチフィラメントは、潜在捲縮能を有する繊維からなり、次式で示す捲縮収縮率Cs(%)が10%〜60%、捲縮率Cp(%)が7%〜60%のマルチフィラメントが好ましい。
Cs=100(L−A)/L
Cp=100(B−A)/B
但し、マルチフィラメントの繊度をD(dtex)とするとき、LはD/2(g)荷重時の長さであり、Aは沸騰水で5分間処理した後のD/50(g)荷重時の長さであり、Bは沸騰水で5分間処理した後のD/2(g)荷重時の長さである。
捲縮収縮率Csは、マルチフィラメント自体の収縮と捲縮による縮みとを合わせた値で、10%未満では、モノフィラメントを十分なループ状に変形することができなくなり、良好なクッション性が得られない。60%を超えると、モノフィラメントのループ形状が鋭く凸状に変形するようになり、圧縮回復性が劣化する。より好ましくは、捲縮収縮率Csを25%〜50%に設定するとよい。
捲縮率Cpは、熱処理後の捲縮状態での伸縮特性を示す値であり、クッション構造体の反発性及び衝撃吸収性に影響を与える重要な特性である。捲縮率が7%未満では、ループ状に形成されたモノフィラメントの圧縮変形に対応して十分な伸縮が行えず、従来のクッション構造体で生じていた経て折れを確実に防止することができない。また、60%を超えると、捲縮収縮率の場合と同様に、圧縮回復性が劣化するようになって好ましくない。より好ましくは、捲縮率を20%〜50%に設定するとよい。
高捲縮糸に用いるマルチフィラメントの繊度及びフィラメント数は、通常の織物に使用されている範囲のものでよい。好ましくは、繊度が50dtex〜2000dtexであり、フィラメント数は、単繊度が1dtex〜20dtexとなるように設定するとよい。
また、高捲縮糸に用いるマルチフィラメントを構成するポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンが挙げられる。好ましくは、伸縮性が優れているポリエステル、ポリアミドを用いるとよい。より好ましくは、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)であり、これらポリマーの複合繊維であってもよい。
高捲縮糸に用いるマルチフィラメントは、仮撚加工法、押し込み捲縮法、ギヤ捲縮加工法といった公知の加工法により製造することができる。また、収縮性の異なる2種(又は3種以上)のポリマーをサイドバイサイド型や偏芯型に貼り合わせ複合紡糸することによってマルチフィラメントを製造することもできる。
[実施例1]
<経糸に用いるモノフィラメントの製造>
実施例に用いるモノフィラメントの特性としては、以下のパラメータを用いた。
(1)固有粘度[η]は、次の定義式に基づいて求められる値である。
Figure 2015132022
定義中のηは、純度98%以上の0−クロロフェノールの溶媒にポリマーを溶解した溶液の温度35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cは、ポリマーの重量濃度(g/100ml)である。
[η]=0.85dl/gのPTTチップ及び[η]=0.83dl/gのPBTチップを用い、PTTチップ80%、PBTチップ20%の割合でブレンドし、温度260℃で溶融紡糸した。紡糸した原糸を連続して温度60℃の水浴中で4.2倍に延伸し、続いて130℃の熱風炉内で1.26倍(全体で5.3倍)に延伸した。続く180℃の熱風炉内で10%の収縮処理を行った後巻き取った。以上の製造工程により繊度520dtexのモノフィラメントを製造した。扁平度(H)は2.2、沸水収縮率(BWS)は2.0%であった。
<高捲縮糸に用いるマルチフィラメントの製造>
[η]=0.65dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、48ホールの口金を用いて2800m/分の速度で紡糸し、270dtexのパーシャリーオリエンティドヤーン(POY)を得た。得られたPOYを210℃でインドロー仮撚加工することで、170dtex/48Fのマルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの捲縮収縮率Csは34%、捲縮率Cpは33%であった。製織には、得られたマルチフィラメントを4本引き揃えて100回/mの合撚処理を行って使用した。
<クッション構造体の製造>
得られたモノフィラメント及びマルチフィラメントを用いて、図1に示す立体多重織組織からなる3層構造のクッション構造体を製造した。まず、経糸密度を各層36本/インチとし、緯糸として220dtexのポリエステル丸断面モノフィラメントを用い、多重織組織からなる織物をレピア織機により製織した。緯糸の一部には、各層のマルチフィラメントとの交差部のズレ止め用として低融点ポリエチレンテレフタレートからなる紡績糸(20/1双糸)を使用した。製織された織物は、150℃で2分間熱セットし、マルチフィラメントを織物の経糸方向に30%収縮させた。得られたクッション構造体は、厚さが31mmであった。
[実施例2]
<経糸に用いるモノフィラメントの製造>
実施例1と同様の、繊度520dtexの扁平モノフィラメントを使用した。
<高捲縮糸に用いるマルチフィラメントの製造>
[η]=0.65dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂及び[η]=0.80dl/gのポリブチレンテレフタレート樹脂をサイドバイサイド型に貼り合わせて複合紡糸・延伸し、さらに通常の仮撚り加工を行い、170dtex/48Fのマルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの捲縮収縮率Csは38%、捲縮率Cpは31%であった。製織には、得られたマルチフィラメントを4本引き揃え100回/mの合撚処理を行って使用した。
<クッション構造体の製造>
得られたモノフィラメント及びマルチフィラメントを用いて、実施例1と同様の方法でクッション構造体を製造した。得られたクッション構造体は、厚さが30.5mmであった。
[比較例1]
<経糸に用いるモノフィラメントの製造>
実施例1と同様の、繊度520dtexの扁平モノフィラメントを使用した。
<高収縮糸として用いるマルチフィラメントの製造>
[η]=0.60dl/gのイソフタール酸11mol%共重合ポリエステルチップを用い、100ホールの口金より紡糸し、4.1倍延伸することで660dtex/100Fのマルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの沸水収縮率(BWS)は34%であった。製織には、得られたマルチフィラメントに100回/mの撚糸処理を行って使用した。
<クッション構造体の製造>
得られたモノフィラメント及び高収縮糸となるマルチフィラメントを用いて、実施例1と同様の方法でクッション構造体を製造した。得られたクッション構造体は、厚さが30mmであった。
[実施例の評価]
<圧縮特性の評価試験>
クッション構造体の圧縮特性を、JIS K6401に準じて測定した。まず、直径20cmの円板状に切断したクッション構造体を準備し、圧縮試験装置(高分子計器株式会社製;AF−203S)にセットした。そして、クッション構造体の厚さ方向に荷重を印加して圧縮割合が厚さの75%になるまで圧縮した後除重し、その間の圧縮割合に対する荷重(N)を測定した。図5は、圧縮割合と荷重との関係を示すグラフである。図5では、グラフA(実線)が実施例1のクッション構造体に関するもので、グラフB(鎖線)が比較例のクッション構造体に関するものである。また、グラフC(白抜き線)が市販の低反発ウレタンマット(アキレス社製)に関するもので、いずれも圧縮試験前の厚さは、30mm〜31mmに設定されている。
グラフAをみると、低荷重状態(約100N)で圧縮割合が20%になるため、反発性が抑止されて柔らかさを備え衝撃吸収性に優れていることがわかる。その後圧縮割合の増加に対して、圧縮割合が75%になるまでモノフィラメントの横倒れ及び経て折れが生じることなく適度な反発力を示しながら連続的に圧縮変形した。そして、印加する荷重の減少に伴いほぼ元の厚さに回復するようになり、優れた圧縮回復率を示している。そのため、寝具等に用いた場合に、荷重に対して沈み込み量が大きく変化しないため、寝返りしやすく底付き感のない良好なクッション性が得られる。実施例2のクッション構造体についても同様の圧縮試験を行ったところ、圧縮割合が20%、50%及び75%の際の荷重がそれぞれ115N、210N、430Nとなり、グラフAとほぼ同様の圧縮特性を示していた。
グラフBについては、マルチフィラメントとして高収縮糸を用いているため、初期の20%程度の圧縮割合の際の応力は150Nとやや高く、グラフAに比べて高反発性であった。寝具等に用いた場合に空隙率が大きく蒸れることはなく寝返りもしやすくなるが、衝撃吸収性が低くなってやや硬く感じるようになる。また、圧縮割合が大きくなると、経て折れ等が生じる場合があり、用途によっては実施例に比べてクッション性の点で課題がある。
グラフCについては、低荷重状態(約100N)で圧縮割合が大きくなり、低反発で衝撃吸収性の優れたクッション材であることがわかる。しかしながら、圧縮割合が50%までほぼ同じ荷重で変形し、さらに圧縮していくと急激に荷重が増加するため、寝具等に用いた場合には底付き感が生じるようになる。また、荷重に対して沈み込み量が大きく変化するため寝返りしずらく蒸れやすいといった欠点がある。
<枕としての使用評価>
グラフA〜Cに示す圧縮特性を有する3つのクッション構造体を用いて枕を作成し、綿タオル地のカバーで覆ったものを準備した。準備した枕を用いて、女性F1(52才)、女性F2(31才)及び男性M(35才)の3人に実際に寝てもらい、使用感を評価した。
グラフB(比較例)に示す圧縮特性を有する枕については、女性F1及びF2は、いずれもモノフィラメントの凹凸の畝の跡を示すピンク状の模様が顔に表出しており、3人ともやや硬いという評価であった。一方、グラフA(実施例1)に示す圧縮特性を有する枕については、モノフィラメントの跡が顔に表出することはなく、3人とも柔らかく適度な反発性があり、寝心地が良かったという評価であった。
このように、実施例のクッション構造体は、モノフィラメントの横倒れ及び経て折れの発生を防止することができるとともにモノフィラメントの弾性変形に伴う反発性が抑止されて衝撃吸収性の優れたクッション性を備えている。
本発明に係るクッション構造体は、上述した優れたクッション性を備えているとともに通気性、耐圧分布の均一性、耐久性及び洗濯性に優れ、寝具、車両用シート、椅子用シート、座布団用シート、応接セット用シート及びスポーツ用具等に好適である。また、医療用(長時間手術時)、介護用の床ずれ防止シート、大型犬やペット用のシートとしても使用できる。
10、20・・・地組織、10a、20a・・・経糸(モノフィラメント)、10b、20b・・・緯糸、11、21・・・高捲縮糸(マルチフィラメント)、12、22・・・連通空隙部、23・・・最上面又は最下面の織物構造

Claims (2)

  1. 繊維から実質的に構成された立体多重織組織からなり、一方向に沿って多数の連通空隙部が配列された層構造を少なくとも1層有するクッション構造体であって、前記連通空隙部が、下記(1)を満足するモノフィラメントと下記(2)を満足するマルチフィラメントとにより実質的に骨格形成されているクッション構造体。
    (1)前記モノフィラメントは、繊度が50dtex以上、10,000dtex以下で、沸水収縮率が10%以下である。
    (2)前記マルチフィラメントは、潜在捲縮能を有する繊維からなり、次式で示される捲縮収縮率Cs(%)が10%〜60%、捲縮率Cp(%)が7%〜60%である。
    Cs=100(L−A)/L
    Cp=100(B−A)/B
    但し、マルチフィラメントの繊度をD(dtex)とするとき、LはD/2(g)荷重時の長さであり、Aは沸騰水で5分間処理した後のD/50(g)荷重時の長さであり、Bは沸騰水で5分間処理した後のD/2(g)荷重時の長さである。
  2. 前記モノフィラメントは、次式で示される繊維断面の扁平度(H)が1.0以上、5.0以下である請求項1に記載のクッション構造体。
    H=b/a
    但し、bは繊維断面の長手方向の最大長さ、aは繊維断面の長手方向と直交する方向の最大長さである。
JP2014002780A 2014-01-09 2014-01-09 クッション構造体 Pending JP2015132022A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014002780A JP2015132022A (ja) 2014-01-09 2014-01-09 クッション構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014002780A JP2015132022A (ja) 2014-01-09 2014-01-09 クッション構造体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015132022A true JP2015132022A (ja) 2015-07-23

Family

ID=53899466

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014002780A Pending JP2015132022A (ja) 2014-01-09 2014-01-09 クッション構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015132022A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019123969A (ja) * 2018-01-18 2019-07-25 永平寺サイジング株式会社 多層織物クッション構造体
CN113512799A (zh) * 2020-04-21 2021-10-19 宁波新大昌织造有限公司 一种弹性立体机织物

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001288621A (ja) * 2000-04-03 2001-10-19 Teijin Ltd ポリエステル系複合繊維
JP2004183128A (ja) * 2002-12-02 2004-07-02 Teijin Fibers Ltd ソフト風合いを有するダンボール状立体織物及びその製造方法
JP2004211275A (ja) * 2002-11-15 2004-07-29 Asahi Kasei Fibers Corp 伸縮性立体織物およびクッション材
JP2007100256A (ja) * 2005-10-06 2007-04-19 Fukui Prefecture クッション構造体
JP2010004965A (ja) * 2008-06-24 2010-01-14 Eiheiji Sizing Kk 階層構造体

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001288621A (ja) * 2000-04-03 2001-10-19 Teijin Ltd ポリエステル系複合繊維
JP2004211275A (ja) * 2002-11-15 2004-07-29 Asahi Kasei Fibers Corp 伸縮性立体織物およびクッション材
JP2004183128A (ja) * 2002-12-02 2004-07-02 Teijin Fibers Ltd ソフト風合いを有するダンボール状立体織物及びその製造方法
JP2007100256A (ja) * 2005-10-06 2007-04-19 Fukui Prefecture クッション構造体
JP2010004965A (ja) * 2008-06-24 2010-01-14 Eiheiji Sizing Kk 階層構造体

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019123969A (ja) * 2018-01-18 2019-07-25 永平寺サイジング株式会社 多層織物クッション構造体
CN113512799A (zh) * 2020-04-21 2021-10-19 宁波新大昌织造有限公司 一种弹性立体机织物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4056885B2 (ja) 座席シート用立体編物
JP5758838B2 (ja) ストレッチ織物
JP4362465B2 (ja) クッション構造体
JP6836792B2 (ja) 多層織物クッション構造体
JP4219364B2 (ja) 座席用シート材
US6306483B1 (en) Resilient three-dimensionally shaped fiber networks with improved comfort and aesthetic properties, improved method of making same and articles containing same
JP6128720B1 (ja) 中綿シート
JP2010004965A (ja) 階層構造体
KR101421222B1 (ko) 통기성과 탄력성을 가지는 다층구조 입체직물
JP2015132022A (ja) クッション構造体
CN101302675A (zh) 分层结构体
JP3995631B2 (ja) 立体編物積層体
JP2004190191A (ja) 放熱性立体編物
JP2004211275A (ja) 伸縮性立体織物およびクッション材
JP2004107800A (ja) 立体横編物
KR101017169B1 (ko) 입체 구조 경편지
JP2010043386A (ja) 布バネ用布帛
JP4251926B2 (ja) 立体編物
JP2001314287A (ja) 車輌の座席シート用クッション体
JP4381797B2 (ja) クッション材用立体編物
KR102138115B1 (ko) 볼륨감 및 권축회복력이 우수한 직물형 패딩원단용 충진섬유
JP4511301B2 (ja) 布ばね材
JP2005113310A (ja) 立体編物
JPH0754311Y2 (ja) ライナークロス
JP5551890B2 (ja) 二層構造布バネ材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161205

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171018

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171024

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180418