JP4511301B2 - 布ばね材 - Google Patents
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Description
このような織編物として、特許文献1には、伸長時の応力と繰り返し変形後の残留歪を適正範囲とし、エラストマー繊維を織編物の交点部分で熱融着させた、目ずれせずに優れた弾性と弾性回復性を示す、クッション材として好適な弾性織編物が提案されている。しかし、この弾性織編物は、交点部分が熱融着されて補強されているものの、引裂きに対する抵抗力が十分ではなく、刃物等により傷が生じた場合に傷が広がりやすく、強度的に不安の大きいものであった。
また特許文献2には、ポリトリメチレンテレフタレート繊維を用い、10%伸長時の応力と弾性回復率を規定し、風合いが柔軟で、優れた伸長回復性と応力保持性を有し、寸法安定性とフィット性にも優れた表皮用編物が得られることが記載されている。しかし、この表皮用編物も上記と同様に引裂き抵抗力に対して十分考慮されておらず、刃物等による傷に対する強度が不十分なものであった。
すなわち、本願で特許請求される発明は、以下の通りである。
(2)前記地組織が鎖編と多針振りのトリコット編で構成され、かつタテ挿入糸が多針振りトリコット編と異方向に経挿入されていることを特徴とする(1)に記載の布ばね材。
(3)前記挿入糸が300〜3000dtexのモノフィラメントであることを特徴とする(1)または(2)に記載の布ばね材。
(4)前記経編地の2辺固定による張設圧縮時の幅入り率が0〜15%であることを特徴とする(1)〜(3)に記載の布ばね材。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の布ばね材を備えた座席。
本発明における布ばね材は、略4角形、多角形などの各種形状のフレームに縫製、樹脂成型、ボルト止め等の各種方法で張設することにより、面状のクッション材を形成し、該布ばね材の伸長特性により人が座った際のクッション性を発現させる。
クッション材はフレームと布ばね材のみで形成してもよいが、必要に応じて布ばね材の上に立体編物、硬綿、不織布等の繊維状クッション材やウレタン、表皮材等を積層したクッション材としてもよい。
本発明の布ばね材は、刃物等による傷が生じた場合にでも簡単に引裂けることなく、人の体重を支え、かつ十分安全な状態を維持するために、地組織が300〜2000dtexの繊維からなり、少なくとも2枚筬以上のニットループ組織で構成され、該地組織のタテ方向および/またはヨコ方向に挿入糸が挿入された経編地であって、該経編地のコース数とウエール数の積が100〜600であることが必要である。地組織を構成する繊維の繊度は、引裂き抵抗力を向上させる点から、430〜1500dtexが好ましく、より好ましくは450〜1300dtexであり、また経編地のコース数とウエール数の積は120〜500が好ましく、より好ましくは150〜400である。
本発明の布ばね材は、少なくとも2枚筬以上のニットループ組織からなる地組織で構成されるが、ここでいうニットループ組織とは、鎖編、トリコット編のように、必ずニットループを形成する編組織をいう。引裂きに対する抵抗力をより向上させるには、少なくとも1枚筬は多針振りのトリコット編することが好ましく、多針振りの振り幅は3針振りから8針振りが好ましい。引裂きに対する抵抗力に加え、さらに編目の変形(組織変形)を抑え、伸長回復性の良好な編地とするためには地組織の少なくとも1枚の筬は鎖編とすることが好ましい。また、これらの少なくとも2枚筬の地組織に挿入糸が絡み合うことにより、さらに十分な引裂き抵抗力と伸長回復性が得られる。
また、本発明の布ばね材は、タテ方向またはヨコ方向に5%伸長した際に応力が大きい方向をA方向とするときに、A方向の5%伸長時の応力(A)が30〜300N/4cm巾、好ましくは50〜270N/4cm巾、より好ましくは70〜250N/4cm巾、さらに好ましくは100〜250N/4cm巾であることが必要である。
A方向の5%伸長時の応力(A)が、300N/4cmを超えると、人が座った際の沈み込みが少なく、布ばね材によるシート面が人体にフィットし難くなり、硬く、座り心地が悪くなる。またA方向の5%伸長時の応力(A)が、30N/4cm巾未満では、着座時の沈み込みが大き過ぎるために反発感が無くなり、クッション性が低下すると共に、伸長回復性も悪くなる。さらに、A方向の両端2辺を固定して張設し、A方向に膝を向けて座る座席においては、着座時にB方向(A方向と直行する他の方向)の幅入りが大きくなり、臀部での違和感(例えば、尻の割れ目に編地が盛り上がって異物上に座ったような感覚)が生じると共に、ぐらついた安定感のない座り心地となる。
A方向の5%伸長時の応力(A)を30N/4cm巾以上とするためには、編目の変形(組織変形)が少ない編組織とすることが必要であり、このためにタテ方向および/またはヨコ方向に挿入糸を編み込むことが必要となる。
タテ方向に挿入糸を編み込む場合、鎖編やトリコット編等の組織で編まれる地糸のニードルループとシンカーループの間に1コース当り3針振り以下の振り幅で挿入された状態、または経編地の長さ方向に連なる地糸のシンカーループの間を上下しながら挿入された状態で、立体編物の全長に渡り挿入糸を直線状かまたはジグザグに近い形態で挿入するのが好ましい。ヨコ方向に挿入糸を編み込む場合は、鎖編やトリコット編等の組織で編まれる地糸のニードルループとシンカーループの間に、経編地の全幅に渡るように挿入糸を直線に近い形態で挿入するのが好ましい。
また、本発明の布ばね材の、A方向の両端2辺を固定して張設する場合は、着座時のフィット性を向上させながら、A方向の皺と臀部の違和感を防止する点から、張設圧縮時の幅入り率(H)が0〜15%であるのが好ましく、より好ましくは0〜10%、さらに好ましくは0〜7%であり、0%に近いほど安定した座り心地が得られる。
なお、本発明の布ばね材は、張設状態で人の体重を支え、かつ、勢いよく膝をつく行為や、衝突時等の衝撃力が加わった際に十分抵抗できる強度を有することが好ましい。このためにはタテおよびヨコ方向の破断強度は140N/cm以上が好ましく、より好ましくは150N/cm以上、さらに好ましくは170N/cm以上である。
布ばね材のタテおよびヨコ方向の破断強度を140N/cm以上とするには、好ましくは4cN/dtex以上、より好ましくは5cN/dtex以上、さらに好ましくは6cN/dtex以上の強度の繊維を少なくとも地組織の一部に用いて経編地を構成することが好ましい。
なお、挿入糸に用いる繊維については、伸長回復性を向上させ、長期間、人が座った後の塑性変形を抑える上で、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、またはポリエステル系エラストマー繊維等の弾性繊維を用いることが好ましい。さらに挿入糸は、人が座った際に局部的な落ち込みを防止し安定した着座感を得るための面剛性を付与する上で、300〜3000dtexのモノフィラメントが好ましい。なお、モノフィラメントが挿入糸として用いられる場合は、モノフィラメントがスリップして組織変形したり、着座後の塑性変形を防止するために、モノフィラメントが地組織に接着されていても良い。接着の方法は、モノフィラメント表面を低融点のポリマーで覆った鞘芯モノフィラメントを用い、編地を編成した後に、ヒートセット等で熱融着させる方法が好ましい。
本発明の布ばね材は、フレームに張設して座部および/または背部を形成する座席に好適に用いられるが、布ばね材をフレームに張設する状態は限定されるものではなく、布ばね材の周囲または少なくとも2辺を背部または座席のフレームに緊張状態または弛ませた状態で張ることにより、布ばね材が座席の座部や背部を形成すればよい。
フレームへの布ばね材の固定方法は任意の方法を用いることができる。例えば、特開2002−219985号公報に記載のように、編地の末端部に断面略U字状で溝部を有するプレート部材を固着し、該プレート部材の溝部を適宜のフレーム材に係合する方法、布ばね材の末端部を溶着、縫製、樹脂加工等により処理した後、端部を押さえ部材等で押さえてボルト止め等でフレームに固定する方法、端部を折り返して縫製した空洞の中に金属棒を通し、金属棒をフレームに固定する方法等、任意の方法を用いることができる。なお、本発明の布ばね材をコイルスプリング、トーションバー等の金属ばねを介してフレームに固定する方法等を用いることにより、よりストローク感のあるクッション性が付与できる。
布ばね材用の目付は目的に応じて任意に設定できるが、好ましくは300〜1000g/m2 、より好ましくは400〜800g/m2 である。
布ばね材用の経編地の仕上げ加工方法としては、生機を精練、染色、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができるが、精練や染色工程を省いて生機をヒートセットのみで仕上げることもできる。
また仕上げセット時には本発明の目的を損なわなければ、通常、繊維加工に用いられている樹脂加工、吸水加工、制電加工、抗菌加工、撥水加工、難燃加工などの仕上げ加工を適用できる。
仕上げセットで用いる熱処理機としては、ピンテンター、クリップテンター、ショートループドライヤー、シュリンクサーファードライヤー、ドラムドライヤー、連続およびバッチ式タンブラー等が使用できる。
仕上げ加工後の布ばね材は、融着、縫製、樹脂加工等の手段で端部を処理したり、熱成型等により所望の形状に加工して、張設タイプの座席等に用いることができる。
(1)5%伸長時の応力評価
仕上げした経編地を20cm×4cm(幅)の短冊状にカットした試験片をタテ方向(ウエール列に沿った方向)とヨコ方向(コース列に沿った方向)のものをそれぞれ5枚ずつ採取する。島津オートグラフAG−B型(島津製作所製)を用い、つかみ幅4cm、つかみ間隔10cm、引張り速度50mm/minの条件で、5%まで伸長させた時の引張り応力を求める。タテ方向とヨコ方向を各5回測定し、それぞれの平均値を5%伸長時の応力とする。この時、タテ方向とヨコ方向で5%伸長時の応力の高い方向をA方向とする。
(2)張設圧縮引裂き量
図1に示すように、厚み5mm、40cm角の金属板の土台の4隅に高さ15cmの等辺山形鋼の足を溶接し、さらに足の上に、厚み5mm、長さ40cm、幅5.5cmの2枚の金属板を、土台の向かい合う2辺と平行に溶接して、2辺の布ばね材固定部a1 、a2 を持つ張設用フレームを作製する。この2辺の布ばね材固定部a1 、a2 の上面に40番のサンドペーパーを両面テープで貼りつけて滑り止めを付与する。一方、厚み5mm、長さ40cm、幅5.5cmの2枚の金属板のそれぞれの下面に40番のサンドペーパーを両面テープで貼りつけて滑り止めを付与した布ばね押さえ材b1 、b2 を作製する。
布ばね材を40cm角にカットし、中央部にバイアス(45度)方向に長さ2.54cmの傷を入れた試料を3枚準備する。
2辺の布ばね材固定部と押さえ材との間に、布ばね材を弛まないように挟み、計6箇所を万力で固定して張設する。
島津オートグラフAG−B型(島津製作所製)を用い、直径100mmの金属製の半球状圧縮治具により、張設した布ばね材の中央部(2.54cmの傷の部分)を50mm/分の速度で圧縮し、900Nの荷重を掛けてすぐに除重した後、布ばね材を金属枠から取り外しで、傷の大きさ(最大に裂けた長さまたは大きさ)を測定する。測定は3回行い、平均値を求める。
(2)の測定に用いた張設用フレームに布ばね材(40cm角)を弛まないように挟み、2辺(計6箇所)を万力で固定する。予め、試料の表面に固定されない両端から50mmの位置にそれぞれ印線を書き込んでおく。
島津オートグラフAG−B型(島津製作所製)を用い、直径100mmの円盤状圧縮治具により、張設した表側編地の中央部を50mm/分の速度で圧縮し、245Nの荷重で保持させる。この時、図2に示す幅入り後のサンプル幅(H1 )を測定し、次式により幅入り率(H)を算出する。
H(%)=[(H0 −H1 )/300]×100
(4)地組織に使用する糸の乾熱収縮率の測定
JIS−L−1013の乾熱収縮率試験方法(B法)に準じて測定を行う。この際の乾燥機の温度は150℃とする。
座部が幅52cm、奥行き47cm、高さ32cmの口型金属パイプ材からなる座席フレーム(背もたれなし)を作製する。幅50cm×長さ57cmの布ばね材((1)の5%伸長時の応力の測定で得たA方向を長さ方向とする)の長さ方向の両端2辺の全幅にポリブチレンテレフタレート樹脂製の略U字状のプレートを縫製で取り付ける。布ばね材の一方の略U字プレートを座席フレーム前縁下に取り付けた金属製略U字プレートとかみ合わせ、布ばね材の幅全体に10Kgの荷重をかけて張力を付与した状態で座席フレームの前後に布ばね材を張り、座席フレームの後ろ縁下の金属製略U字プレートと布ばね材の樹脂製略U字状のプレートとかみ合わせて布ばね材と張設する。10Kgの張力により金属製略U字プレートと樹脂製略U字プレートの位置がずれる場合は、金属製樹脂略U字プレートのボルト止めした位置をずらせて調節する。布ばねの長さ方向と膝の向きを合せて、座席の上に体重65Kgの男性が10分間座った後、退席する。
着座時の座り心地の評価として、布ばね材の柔軟性とフィット性を、◎:適度な柔軟性でフィット性に優れる。○:柔軟性がやや高めか或いはやや硬めでフィット性に優れる。△:柔軟性がかなり高めか、或いはかなり硬めでフィット性に劣る。×:柔軟すぎて、或いは硬すぎてフィット性に劣る、の4段階で相対評価する。
また、着座時の違和感(尻の割れ目に編地が盛り上がって異物上に座ったような感覚)を官能評価によって、◎:違和感が全くない、○:違和感が殆どない、△:違和感がややある、×:違和感が激しい、の4段階で相対評価する。
また、着座時の安定感を、◎:適度な面剛性で安定感に優れる、○:面剛性がやや高めで安定感がある、△:面剛性がやや低く安定感がやや劣る、×:面剛性が低く安定感が劣る、の4段階で相対評価する。
さらに、退席後の布ばねの回復状態を目視評価し、◎:完全に元通りに回復している。○:ほぼ元通りに回復している。△:ややくぼみ(変形)が残る。×:大きくくぼみが残る、の4段階で相対評価する。
<熱融着性モノフィラメントの製造>
実施例において使用した熱融着性モノフィラメントは以下の方法により製造した。
テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールを仕込み、少量の触媒と共に常法に従いエステル交換反応を行い、一方アジピン酸とエチレングリコールを仕込み、少量の触媒と共に常法に従いエステル化反応を行い得られた各オリゴマーと少量の酸化防止剤を混合し、引き続き重縮合反応を行い、融点が120℃、ガラス転移温度0℃、密度1.25g/cm3の共重合ポリエステルを得た。得られた共重合ポリエステルを鞘成分、ポリトリメチレンテレフタレート(固有粘度〔η〕0.92、融点227℃、密度1.35g/cm3 )を芯成分とし、以下の製造条件で鞘芯モノフィラメントを製造した。
鞘成分ポリマー吐出量 :2.4g/分
鞘成分ポリマー溶融温度 :200℃
芯成分ポリマー吐出量 :4.9g/分
芯成分ポリマー溶融温度 :260℃
紡糸温度 :260℃
冷却浴水温 :40℃
引き取りロール(第1ロール)周速:8.8m/分
延伸浴水温 :55℃
延伸ロール(第2ロール)周速 :44m/分
乾熱ヒーター温度 :140℃
第3ロール周速 :40m/分
巻取速度 :40m/分
なお、固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
定義中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸またはポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
4枚筬を装備した14ゲージのラッセル編機を用い、地組織を形成する筬(L1 、L2 )から560dtex/96フィラメント、乾熱収縮率10.6%のポリエチレンテレフタレート繊維の原糸をオールインの配列で供給し、挿入糸用の筬(L3 )からソロテックス社製、880dtexのポリトリメチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントをオールインの配列で供給した。
以下に示す編組織で、機上コース14.0コース/2.54cmの密度で生機を編成した。得られた生機を有り幅で150℃×3分で乾熱ヒートセットし、布ばね材を得た。得られた布ばね材の諸物性を表1に示す。
(編組織)
L1 :20/02/(オールイン)
L2 :20/1012/(オールイン)
L3 :44/00/(オールイン)
得られた布ばね材は、張設圧縮引裂き量が小さく、適度な柔軟性でフィット性に優れ、臀部の違和感が全く無く、安定感に優れた座り心地が得られるものであった。また、完全に元通りに回復する回復性を示した。
実施例1において、挿入糸の編組織を以下とした以外は、実施例1と同様にした布ばね材を得た。得られた布ばね材の諸物性を表1に示す。
得られた布ばね材は、張設圧縮引裂き量が小さく、適度な柔軟性でフィット性に優れ、臀部の違和感が全く無く、安定した座り心地が得られるものであった。また、ほぼ元通りに回復する回復性を示した。
(編組織)
L3 :00/66/(オールイン)
実施例1において、地組織を形成する筬(L1 、L2 )から500dtex144フィラメント、乾熱収縮率3.5%のポリエチレンテレフタレート仮撚糸を供給した以外は、実施例1と同様にした布ばね材を得た。得られた布ばね材の諸物性を表1に示す。
得られた布ばね材は、張設圧縮引裂き量が小さく、柔軟性が高くフィット性に優れ、臀部の違和感も殆ど無い、安定した座り心地が得られるものであった。また、ほぼ元通りに回復する回復性を示した。
実施例1において、機上コースを10.2コース/2.54cmとした以外は、実施例1と同様にした布ばね材を得た。得られた布ばね材の諸物性を表1に示す。
得られた布ばね材は、張設圧縮引裂き量が小さく、柔軟性が高くフィット性に優れ、臀部の違和感も殆ど無い、安定した座り心地が得られるものであった。また、ほぼ元通りに回復する回復性を示した。
緯糸挿入機を装備した14ゲージのラッセル編機を用い、地組織を形成する筬(L1 、L2 )から560dtex/96フィラメント、乾熱収縮率10.6%のポリエチレンテレフタレート繊維の原糸をオールインの配列で供給し、参考例で製造した1060dtexの鞘芯モノフィラメントを毎コースに緯糸挿入し、以下に示す編組織で、機上コース12.7コース/2.54cmの密度で生機を編成した。得られた生機を有り幅、150℃×3分で乾熱ヒートセットし、布ばね材を得た。得られた布ばね材の諸物性を表1に示す。
(編組織)
L1 :20/02/(オールイン)
L2 :20/68/(オールイン)
得られた布ばね材は、張設圧縮引裂き量が小さく、適度な柔軟性でフィット性に優れ、臀部の違和感が全く無く、安定感に優れた座り心地が得られるものであった。また、完全に元通りに回復する回復性を示した。
実施例1において、地組織を形成する筬(L1 、L2 )から280dtex/48フィラメント、乾熱収縮率10.6%のポリエチレンテレフタレート繊維の原糸をオールインの配列で供給した以外は実施例1と同様にした布ばね材を得た。得られた布ばね材の諸物性を表1に示す。
得られた布ばね材は、張設圧縮引裂き量が大きく、着座後の回復性の悪いものであった。
実施例1において、機上コースを6コース/2.54cmとした以外は実施例1と同様にした布ばね材を得た。得られた布ばね材の諸物性を表1に示す。
得られた布ばね材は、張設圧縮引裂き量が大きく、着座時の違和感が激しいと共に、着座後の回復性の悪いものであった。
実施例1において、挿入糸を挿入しない以外は実施例と同様にした布ばね材を得た。得られた布ばね材の諸物性を表1に示す。
得られた布ばね材は、面剛性が無く安定感に劣る共に、着座後の回復性の悪いものであった。
実施例5において、地組織を形成する筬(L1 )から840dtex/144フィラメント、乾熱収縮率10.5%のポリエチレンテレフタレート繊維の原糸をオールインの配列で供給し、緯糸挿入糸を参考例で製造した3230dtexの鞘芯モノフィラメントにした以外は実施例5と同様にした布ばね材を得た。得られた布ばね材の諸物性を表1に示す。
得られた布ばね材は、A方向の5%伸長時応力が高過ぎると共に、タテヨコの伸長時の応力比が小さ過ぎることにより硬く鉄板状となり、着座時のフィット性に劣るものであった。
Claims (5)
- 地組織が300〜2000dtexの繊維からなる、少なくとも2枚筬以上のニットループ組織で構成され、該地組織のタテ方向および/またはヨコ方向に挿入糸が挿入された経編地であって、該経編地のコース数とウエール数の積が100〜600であり、タテ方向またはヨコ方向のいずれか大きい方の5%伸長時の応力(A)が30〜300N/4cm巾で、かつ他の方向の5%伸長時の応力(B)との比(A)/(B)が1.1〜15.0であることを特徴とする布ばね材。
- 前記地組織が鎖編と多針振りのトリコット編で構成され、かつタテ挿入糸が多針振りトリコット編と異方向に経挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の布ばね材。
- 前記挿入糸が300〜3000dtexのモノフィラメントであることを特徴とする請求項1または2に記載の布ばね材。
- 前記経編地の2辺固定による張設圧縮時の幅入り率が0〜15%であることを特徴とする請求項1〜3に記載の布ばね材。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の布ばね材を備えた座席。
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