JP4799841B2 - ベッドシーツ - Google Patents
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Description
即ち、背部並びに腰部という床ズレが特に発生しやすい部分のベッドシーツに皺が入ること、さらには被介護者の身体の自由度が乏しいことと相まって介護上大きな懸念となっている。
(1)表裏二層の編地と、該二層の編地を連結する連結糸から構成された立体編物からなるベッドシーツであって、表面を構成するマルチ糸に仮撚加工糸又は紡績糸が用いられ、連結糸はモノフィラメント糸が30質量%以上で構成され、表面編地の同一編目におけるマルチ糸の総繊度D(デシテックス)と連結糸の繊度d(デシテックス)の関係であるD/dの値が1.5〜15.0であり、表面編地の総カバーファクター(TCF)が、750〜1250であることを特徴とするベッドシーツ。
ただし、総カバーファクター(TCF)=コースカバーファクター(CCF)+ウェールカバーファクター(WCF)
コースカバーファクター(CCF)=(コース数;本/2.54cm)×(表面の編地を構成する糸条の太さ;dtex)1/2
ウェールカバーファクター(WCF)=(ウェール数;本/2.54cm)×(表面の編地を構成する糸条の太さ;dtex)1/2
(2)立体編物の連結糸のモノフィラメント糸が、ポリトリメチレンテレフタレート繊維であることを特徴とする上記(1)に記載のベッドシーツ。
(3)立体編物の厚みが、1mm以上、10mm以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のベッドシーツ。
(4)立体編物の50%圧縮時の圧縮応力が、10N以上、500N以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のベッドシーツ。
(5)介護用ベッドシーツであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のベッドシーツ。
本発明のベットシーツは、特に介護用ベッドに最適であるが、介護用ベッドのみならず病院用や一般用のベッドにも好適であり、 さらには敷布団用のシーツとしても利用できるものであり、これら寝具用のシーツすべてを包含する。
又、本発明において、介護用ベッドとは、手動及び又は電動等によって、ヘッドアップ機能に代表される体位変換機能を有するベッド、いわゆる介護可能なベッドをいう。
ここで、総カバーファクター(TCF)とは、下記式で計算されるものである。
総カバーファクター(TCF)=コースカバーファクター(CCF)+ウェールカバーファクター(WCF)
但し、コースカバーファクター(CCF)=(コース数;本/2.54cm)×(表面の編地を構成する糸条の太さ;dtex)1/2
ウェールカバーファクター(WCF)=(ウェール数;本/2.54cm)×(表面の編地を構成する糸条の太さ;dtex)1/2
編目を構成する糸条の太さが異なる場合は、先ず表面の編地2.54cm平方(6.45cm2)の面積中に存在する編目の総数(n)と、各編目を構成する糸条の太さ(D1、D2、D3、・・・、Dn;dtex)を測定する。次いで、各編目を構成する糸条の太さの合計(D1+ D2+D3+・・・Dn;dtex)を編目の総数(n)で割ったもので表す。
さらにコースカバーファクター(CCF)/ウェールカバーファクター(WCF)の比(CCF/WCF)は1.0〜2.5が好ましく、特に1.3〜2.0が好ましい。
表裏の編地を構成する繊維素材の好ましい太さは、総dtexでは50〜300が好ましく、特に100〜250が好ましく、単糸dtexは1〜7が好ましく、特に2〜6が好ましい。
連結糸の好ましい太さは、モノフィラメント糸の場合は20〜500dtexが好ましく、特に30〜300dtexが好ましく、マルチフィラメント糸の場合は総dtexでは20〜300が好ましく、特に30〜200が好ましく、単糸dtexは1〜7が好ましく、特に2〜6が好ましい。
本発明においてポリトリメチレンテレフタレート繊維の紡糸については、例えば国際公開WO99/27168号パンフレット等があり、1500m/分程度の巻取り速度で未延伸糸を得た後、2〜3.5倍程度で延伸する方法、紡糸−延伸工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)の何れを採用しても良い。
D/d<1.1の場合は、マルチ糸によるモノフィラメント糸の均一な被覆性が低下し、編地表面のざらつき感と光沢によるギラツキを抑えることができず、さらには表面の滑らかな肌触りが得られないケースも生じる。
更に、表面を構成する繊維の被覆率を上げればよく、表面を構成するマルチフィラメント糸に仮撚加工糸、紡績糸等の嵩高糸を用いることが好ましく、特にセルロース系繊維の仮撚加工糸やW型等の異型断面ポリエステル系合成繊維の仮撚加工糸が好ましい。
連結糸は、表裏の編地中にループ状の編目を形成してもよく、表裏編地に挿入組織状に引っかけた構造でもよいが、少なくとも2本の連結糸が表裏の編地を互いに逆方向に斜めに傾斜して、クロス状(X状)やトラス状に連結することが、立体編物の形態安定性を向上させる上で好ましい。
立体編物の表裏の編地は、編組織は同一である必要は無く、異なる編組織でもよく、4角、6角等のメッシュ編地、マーキゼット編地等複数の開口部を有する編地にして軽量性、通気性を向上させてもよいが、表面を平坦な組織にして肌触りを良好にし、裏面はメッシュ状等の開口部を有する編地とすることにより通気性を高め、蒸れを改善したものが好ましい。又、表面を起毛するとより肌触りの良好なものが得られる。
本発明の立体編物は50%圧縮時の圧縮応力は10N以上、500N以下であることが好ましく、より好ましくは20N以上、400N以下、最も好ましくは30N以上、350N以下である。圧縮弾性率が10N未満では人体が臥床した場合に、表裏地組織間に十分な間隙が得られないばかりか、人体の微妙な体動伴って立体織編物に皺が発生する場合がある。500Nを超えると間隙は確保されるものの、人体が臥床した時に厚み方向へ殆ど圧縮されないため、人体内部で骨突起している部分(例えば、仙骨部)に大きな圧力が加わり、圧迫感を感じると共に床ずれを発生する場合がある。
本発明の立体編物は、経及び緯方向の4.9N/cm荷重での伸度は3%以上、60%以下であることが好ましく、より好ましくは、5%以上、30%以下、最も好ましくは5%以上、20%以下である。
伸度が3%未満のものは非常に剛直な立体編物となり風合いが非常に硬く、ベッドシーツとして使用すると皺が著しく発生するものとなる。一方、60%を超えるとベッドシーツとして使用した場合、臥床での体動等で容易に皺が発生する場合がある。
着色方法は、未着色の糸をかせやチーズ状で糸染めする方法(先染め)、紡糸前の原液に顔料、染料等を混ぜて着色する方法(原液着色)、立体編物状で染色したりプリントする方法等によって着色することができるが、立体編物状で染色すると立体形状を維持するのが困難であったり加工性が悪いため、先染めや原液着色が好ましい。
仕上げ加工後の立体編物は、融着、縫製、パイピング、樹脂加工等の手段で端部を処理したり、熱成形等により所望の形状にして用いることができる。
特に、ベッドシーツでは、端部の凹凸感を極力感じない様にする方がよく、パイピングで処理することが好ましい。パイピング材は縫製部の厚み、連結糸の飛出し、使用時の耐久性を考慮して任意に選定すればよい。また、パイピング部は洗濯等で応力が集中し破損する恐れがあるので、ダブルステッチ等で縫製することが好ましい。
(1)固有粘度[η]の測定
固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
定義中のηrは純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリマーの稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
東洋ボールドウィン社製のテンシロンを用い、試料長20cm、引張速度20cm/分の条件で、引張強度(cN/dtex)、伸度(%)、初期弾性率(cN/dtex)を測定した。
(3)糸の弾性回復率
繊維を、チャック間距離20cmに0.0294cN/dtexの初荷重をかけて引張試験機に取り付け、伸長率10%まで引っ張り速度20cm/分で伸長し、1分間放置した。その後、再び同じ速度で収縮させ、応力−歪み曲線を描く。収縮中、応力がゼロになった時の伸度を残留伸度(A)とする。弾性回復率は下記の式に従って求めた。
10%伸長時の弾性回復率(%)={(10−A)/10}×100
JIS−L−1018の厚みの測定方法に準拠して測定した。
(5)50%圧縮時の圧縮応力(N)
島津オートグラフAG−B型((株)島津製作所製)を用い、直径100mmの円盤状圧縮治具により、平滑剛体面上に置いた15cm角、厚みT0(mm)の立体編物を、10mm/minの速度で50%の厚み(1/2T0mm)になるまで圧縮し、最大応力を求めた。
圧縮回復率は立体織編物の厚み(Amm)が半分(A/2mm)になるように荷重を加えて5分間放置し、除重して10分後の厚み(Bmm)を測定し、下記式により算出する。
圧縮回復率(%)=B/A×100
(7)編地伸長率
JIS−L−1018の定荷重時伸び率に準拠してグラブ法で測定して緯及び経方向を測定した。尚、サンプル2.5cm幅当りの荷重は12.25Nとした。
クッション材としてパラマウントベッド(株)社製のパラケアマットレスを用いた介護用ベッドに、実施例並びに比較例のベッドシーツを敷き、綿100%のパジャマを着用した男性を仰臥させた状態で、ヘッドアップ(頭側アップ60度)と仰臥を5回繰り返した時の背部並びに腰部の圧迫感等の官能評価と、背部並びに腰部に対応する部分のベッドシーツの皺を視覚評価した。5人の男性が同様に評価し、その平均点で評価した。尚、5人の男性の伸長は170〜175cm、体重は65〜70kgであった。
「圧迫感評価」
3点:圧迫感を殆ど無い
2点:圧迫感をやや感じる
1点:圧迫感を強く感じる
「皺評価」
3点:皺の発生は殆ど見られない
2点:小さな皺がやや見られる
1点:大小の皺が多く見られる。
室温28±1℃、湿度65±5%RHの環境下で(7)のベッドシーツの評価で用いた介護用ベッドに、実施例及び比較例にて作成したベッドシーツを敷き、綿100%のパジャマを着用した男性を仰臥位にて60分間覚醒状態で安静にしてもらい、以下の通り蒸れ感を数値化した。5人の男性が同様に評価し、その平均点で評価した。尚、5人の男性の伸長は170〜175cm、体重は65〜70kgであった。
尚、試験中、(株)良品計画社製の綿パイルタオルケットを首から足先まで掛けて行った。
3点:蒸れ感がない。
2点:蒸れ感をやや感じる。
1点:蒸れ感を非常に感じる。
(製造例1)
固有粘度[η]=0.9のポリトリメチレンテレフタレートを紡糸温度265℃で紡口から吐出し、40℃の冷却浴中に導いて冷却しつつ16.0m/分の速度の第1ロール群で引張り細化して未延伸モノフィラメントを製造した。次いで、温度55℃の延伸浴中で5倍に延伸しながら80.0m/分の第2ロール群によって引張った。その後、120℃のスチーム浴中で弛緩熱処理を施しながら、72.0m/分の第3ロール群を経た後、第3ロール群と同速の巻取機で巻き取り、110dtexの延伸モノフィラメントを製造した。
得られた延伸糸の強度、伸度、弾性率及び10%伸長時の弾性回復率は、各々2.7cN/dtex、49%、27cN/dtex並びに98%であった。
[実施例1]
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間4.2mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する2枚の筬(L1、L2)に167dtex/48fのW型断面のポリエチレンテレフタレート系繊維の仮撚加工糸(旭化成せんい株式会社製、商標「テクノファイン」仮撚加工糸)をいずれもオールインの配列で供給し、裏面の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)にも同一の仮撚加工糸をいずれも3イン1アウトの配列で供給し、連結糸を形成するL3の筬に56dtexのナイロン66繊維モノフィラメント糸をオールインの配列で供給して、表面の編地の密度が33.3コース/2.54cm、24.8ウェール/2.54cmの立体編物の生機を下記組織で編成した。
L1:2422/2022/
L2:2022/4644/
L3:0220/2002/
L5:4420/2224/2220/2242/4468/6664/6668/6646/
L6:4468/6664/6668/6646/4420/2224/2220/2242/
得られた立体編物の表面の編地密度は、35.0コース/2.54cm、22.2ウェール/2.54cm、であり、その他の編地物性は表1に示した。
得られた立体編物を裁断後、端部をパイピング縫製してベッドシーツを作成し、ベッドシーツの評価を行った。得られた結果を表1に示すが、ベッドシーツとして圧迫感がなく、皺の発生も少なく、肌触りもよい快適性に優れたものであったが、やや蒸れ感じるものであった。
実施例1において、ダブルラッセル編機のゲージや生機の密度設計並びに仕上げ時の幅だしを変化させて、表面の編地の総カバーファクター(TCF)の異なる立体編物を仕上げた。得られた編地物性は表1に示した。
得られた立体編地を実施例1と同様にしてベッドシーツを作成し、ベッドシーツの評価を行った。得られた結果を表1に示す。これより、総カバーファクター(TCF)が本発明の範囲内のものは圧迫感が少なく、皺も発生し難いものであったが、範囲外のものは皺が発生し易く劣ったものであった、特に総カバーファクター(TCF)=700のものは肌触りが悪く快適性にも劣ったものであった。
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間4.6mmのダブルラッシェル機を用い、編機前面に位置する二枚の筬(L1、L2)に表編地用糸として、167dtex/90fキュプラアンモニウムレーヨンの仮撚糸(旭化成せんい社製、商標「ベンベルグ」仮撚加工糸)をガイドにオールインの配列で供給し、中間に位置する二枚の筬(L3、L4)に連結糸として製造例1の110dtexのポリトリメチレンテレフタレート繊維モノフィラメント糸をガイドに1イン1アウトの配列で供給し、編機背面に位置する二枚の筬(L5、L6)に裏編地用糸として、167dtex/48fのW型断面のポリエチレンテレフタレート系繊維の仮撚加工糸(旭化成せんい株式会社製、商標「テクノファイン」仮撚加工糸)をガイドに3イン1アウトの配列で供給して、表面編地の密度が30.0コース/2.54cm、24.5ウェール/2.54cmの立体編物の生機を下記組織で編成した。
L2:1011/2322/1011/2322/1011/2322/1011/2322/
L3:2110/1223/2110/1223/2110/1223/2110/1223/
L4:1223/2110/1223/2110/1223/2110/1223/2110/
L5:2243/3323/3343/3323/2201/1121/1101/1121/
L6:2201/1121/1101/1121/2243/3323/3343/3323/
得られた立体編物の表面の編地密度は、あり、その他の編地物性は表1に示した。
得られた立体編物を実施例1と同様にしてベッドシーツを作成し、ベッドシーツの評価を行った。得られた結果を表1に示すが、ベッドシーツとして圧迫感がなく、皺の発生も少なく、肌触りもよい快適性に優れたものであった。特に、連結糸にポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントを使用したことにより、圧縮特性が向上し、ベッドシーツに用いると蒸れ感に優れていた。
従来の綿シーツをベットシーツとして評価した結果は、圧迫感、蒸れ感を強く感じ、皺の発生もきわめて極めて劣ったものであった。
Claims (5)
- 表裏二層の編地と、該二層の編地を連結する連結糸から構成された立体編物からなるベッドシーツであって、表面を構成するマルチ糸に仮撚加工糸又は紡績糸が用いられ、連結糸はモノフィラメント糸が30質量%以上で構成され、表面編地の同一編目におけるマルチ糸の総繊度D(デシテックス)と連結糸の繊度d(デシテックス)の関係であるD/dの値が1.5〜15.0であり、表面編地の総カバーファクター(TCF)が、750〜1250であることを特徴とするベッドシーツ。
ただし、総カバーファクター(TCF)=コースカバーファクター(CCF)+ウェールカバーファクター(WCF)
コースカバーファクター(CCF)=(コース数;本/2.54cm)×(表面の編地を構成する糸条の太さ;dtex)1/2
ウェールカバーファクター(WCF)=(ウェール数;本/2.54cm)×(表面の編地を構成する糸条の太さ;dtex)1/2 - 立体編物の連結糸のモノフィラメント糸が、ポリトリメチレンテレフタレート繊維であることを特徴とする請求項1に記載のベッドシーツ。
- 立体編物の厚みが、1mm以上、10mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のベッドシーツ。
- 立体編物の50%圧縮時の圧縮応力が、10N以上、500N以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のベッドシーツ。
- 介護用ベッドシーツであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のベッドシーツ。
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