JP2004218098A - 立体構造丸編地 - Google Patents
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Abstract
【課題】経方向並びに緯方向のストレッチ性に優れ、さらにソフトな肌触りと保温性に優れた立体構造丸編地を提供する。
【解決手段】表裏二層の丸編地と該二層の丸編地を連結する連結糸から構成された立体構造丸編地であって、該連結糸がポリトリメチレンテレフタレート系繊維モノフィラメント糸であり、且つ、該二層の丸編地のうち少なくとも一方の丸編地に紡績糸が含有されていることを特徴とする立体構造丸編地。
【選択図】 なし
【解決手段】表裏二層の丸編地と該二層の丸編地を連結する連結糸から構成された立体構造丸編地であって、該連結糸がポリトリメチレンテレフタレート系繊維モノフィラメント糸であり、且つ、該二層の丸編地のうち少なくとも一方の丸編地に紡績糸が含有されていることを特徴とする立体構造丸編地。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二層の丸編地と連結糸から構成された立体構造丸編地に関する。
【0002】
【従来の技術】
表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成された立体構造丸編地、いわゆるダンボールニットと称される編地は、特に表裏二層の編地を紡績糸で構成することにより、ソフトな肌触り、保温性等からインナー用途に展開されている。しかし、さらに着用快適性を重視する市場の要求から、特に緯方向に加えて経方向のストレッチ性が要求されている。
【0003】
本出願人は、先に特許文献1において、表裏二層の編地をポリトリメチレンテレフタレート系繊維モノフィラメント糸で連結した立体構造編地が、優れた圧縮回復性を有することを提案した。しかし、表裏二層の編地を紡績糸で構成した立体構造丸編地(ダンボールニット)に、連結糸としてポリトリメチレンテレフタレート系繊維モノフィラメント糸を適用することについては何ら言及していない。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−269747号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、経方向並びに緯方向にストレッチ性を有する立体構造丸編地を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、立体構造丸編地(ダンボールニット)の構成要素と、特に経方向並びに緯方向のストレッチ性について検討した結果、連結糸として特定の繊維を用いることにより本発明の目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
本発明は、表裏二層の丸編地と該二層の丸編地を連結する連結糸から構成された立体構造丸編地であって、該連結糸がポリトリメチレンテレフタレート系繊維モノフィラメント糸であり、且つ、該二層の丸編地のうち少なくとも一方の丸編地に紡績糸が含有されていることを特徴とする立体構造丸編地である。
【0008】
本発明においては、表裏二層の丸編地の少なくとも一方の丸編地に紡績糸が含有されていることに特徴があり、紡績糸の含有率は、好ましくは50wt%以上、より好ましくは70wt%以上、さらに好ましくは80wt%以上、特に好ましくは100wt%である。紡績糸の含有率が上記の範囲であると、ソフトな肌触りと優れた保温性が得られる。
【0009】
紡績糸を構成する繊維としては、公知の各種繊維を用いることができ、例えば、綿、羊毛等の天然繊維や、キュプラ、レーヨン、アセテート、ポリオレフィン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等の繊維が挙げられる。また希望に応じて、同種又は異種繊維の組み合わせ、あるいは、短繊維同志ならびに長繊維と短繊維を組合わせて用いることができる。さらには例えば、特に衣料用の場合、快適性付与を目的として、W断面等の異型断面糸や極細繊維(単糸繊度が、好ましくは1.1dtex以下)を用いることにより、吸水速乾性を付与することもできる。
【0010】
紡績糸の番手は、綿番手で10〜100番手が好ましく、より好ましくは20〜80番手、さらに好ましくは30〜70番手である。
【0011】
本発明においては、連結糸としてポリトリメチレンテレフタレート系繊維のモノフィラメント糸を用いる。
【0012】
連結糸におけるポリトリメチレンテレフタレート系繊維のモノフィラメント糸の割合は、立体構造丸編地の単位面積当たり、表裏の丸編地を連結するモノフィラメントの全本数の内の20%以上が好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは100%である。連結糸におけるポリトリメチレンテレフタレート系繊維のモノフィラメント糸の割合が上記の範囲であると、経方向並びに緯方向に良好なストレッチ性が得られる。
【0013】
連結糸の全てがポリトリメチレンテレフタレート系繊維のモノフィラメント糸であることが最も好ましいが、希望に応じて、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維モノフィラメント糸や、ナイロン6、ナイロン66のモノフィラメント糸を混用したり、モノフィラメント以外の繊維、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維マルチフィラメント仮撚糸、を編成時に交編させてもよい。
【0014】
連結糸に用いるモノフィラメント糸の繊度は、通常、20〜300dtexの太さのものを用いることができる。立体構造丸編地に弾力感及びより優れたクッション性を付与する上からは、モノフィラメント糸は50〜250dtexが好ましく、より好ましくは70〜200dtexである。
【0015】
本発明において、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維は、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル系繊維であって、トリメチレンテレフタレート単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含むものである。したがって、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートの繊維を包含する。
【0016】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよい。
【0017】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(p−オキシ安息香酸等)等が挙げられる。また、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用できる。
【0018】
さらに,二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
【0019】
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
【0020】
また、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステルやナイロンと、ポリトリメチレンテレフタレートとをブレンドしたり、複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド等)してもよい。ブレンドする際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は、50wt%以上が好ましい。又、ポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル成分と複合紡糸する際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は、30〜70wt%が好ましい。
【0021】
複合紡糸に関しては、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報等に例示されるように、第一成分としてポリトリメチレンテレフタレート、第二成分としてポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、あるいはナイロンを用いて、これらを並列に配置したサイドバイサイド型あるいは偏芯的に配置した偏芯シースコア型に複合紡糸したもの等が挙げられる。特に、ポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましい。中でも、特開2000−239927号公報に開示されているような、固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、低粘度側が高粘度側を包み込むように、接合面形状が湾曲しているサイドバイサイド型の複合糸が好ましい。
【0022】
ポリトリメチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントは、例えば、国際公開パンフレットWO01/75200に記載されている方法により製造することができる。
【0023】
すなわち、ポリトリメチレンテレフタレートを紡口から吐出し、冷却浴中で急冷した後、第1ロールで巻き取り、次いで温水中または乾熱雰囲気下で延伸しながら第2ロールで巻き取った後、乾熱雰囲気下または湿熱雰囲気下においてオーバーフィードでリラックス処理して、第3ロールで巻き取る方法等で製造することができる。繊維の断面形状は特に限定されないが、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。なかでも、丸型断面が、立体構造丸編地のクッション性の耐久性を向上させる上で好ましい。
【0024】
本発明において、表裏の丸編地または連結糸のモノフィラメントに用いる繊維は、着色されていることが好ましい。着色方法は、例えば、未着色の糸をかせやチーズ状で糸染めする方法(先染め)、紡糸前の原液に顔料、染料等を混ぜて着色する方法(原液着色)、立体構造丸編地を染色したりプリントする方法等によって着色することができる。
【0025】
本発明の立体構造丸編地は、ダブル丸編機で編成できる。表面と裏面の組織としては、平編の基本組織又はタック編、浮編、片畦編、レース編、添糸編等の変化組織のいずれであってもよい。又、表裏面の丸編地の変化組織に針抜きを組み合わせてもよい。編機のゲージは使用目的によって適宜選定すれば良く、10〜40ゲージが使用可能である。
【0026】
立体構造丸編地の厚さや目付は希望に応じて適宜選定すればよく、例えば、厚みは2〜20mm程度が好ましく、より好ましくは3〜10mm程度、目付は80〜1200g/m2が好ましく、100〜1200g/m2がより好ましい。
【0027】
また、立体構造丸編地は、必要に応じて所望のサイズに裁断したり、又は、裁断後の編地片を縫製又は熱成形により所望の形状にして用いてもよい。
【0028】
本発明の立体構造丸編地は、衣料、毛布、スカーフ、マフラー、帽子、手袋、靴下、座布団などに使用したり、また布帛、および縫製品の一部に用いることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明する。
【0030】
なお、測定方法、評価方法等は下記の通りである。
【0031】
(1)ストレッチ率(%)
島津製作所(株)製の引張試験機を用いて、つかみ幅2.5cm、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/分で試料を経方向又は緯方向に伸長させたときの、2.94N/cm並びに4.9N/cmの応力下での伸び(%)をストレッチ率とした。
【0032】
(2)伸長回復率(%)
島津製作所(株)製の引張試験機を用いて、つかみ幅2.5cm、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/分で試料を経方向又は緯方向に伸長させ、2.94N/cm並びに4.9N/cmの応力下まで伸長させた。その後、再び同じ速度で除重しながら戻し、応力がゼロになったときの伸度を残留伸度(B)とした。伸長回復率は下記の式に従って求めた。
【0033】
伸長回復率(%)={(10−B)/10}×100
〔製造例〕(ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸の製造)
以下の実施例において使用したポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸は、次のような方法により製造した。
【0034】
固有粘度[η]=0.92のポリトリメチレンテレフタレートを紡糸温度265℃で紡口から吐出し、40℃の冷却浴中に導いて冷却しつつ、16m/分の速度の第1ロール群によって引張って細化することにより未延伸モノフィラメントを得た。得られた未延伸モノフィラメントを、温度55℃の延伸浴中で5倍に延伸しながら、80m/分の第2ロール群によって引張り、その後、120℃のスチーム浴中で弛緩熱処理を施しながら、72m/分の第3ロール群を経た後、第3ロール群と同速の巻取り機で巻取り、110dtexの延伸モノフィラメントを製造した。
【0035】
なお、固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
【0036】
【数1】
【0037】
式中、ηrは純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
【0038】
〔実施例1〕
二層の丸編地の表面と裏面を連結する連結糸として、110dtexのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸を用い、表面と裏面の丸編地としては、綿番手40番手のコーマ糸を用い、天竺組織にて編成し、厚み3.8mm、目付260g/m2の立体構造丸編地を得た。使用した丸編機は、20ゲージ、30インチ径のダブル丸編機(福原精機(株)製)であった。
【0039】
得られた立体構造丸編地のストレッチ率及び伸長回復率は、2.94N/cmにおいて、経方向50%及び85%、緯方向105%及び76%であり、4.9N/cmにおいて、経方向57%及び80%、緯方向120%及び70%であり、優れたものであった。
【0040】
〔比較例1〕
実施例1において、連結糸として、110dtexのポリエチレンテレフタレートモノフィラメントを用いた以外は、実施例1同様にして立体構造丸編地を得た。
【0041】
得られた立体構造丸編地のストレッチ率及び伸長回復率は、2.94N/cmにおいて、経方向15%及び80%、緯方向60%及び74%であり、4.9N/cmにおいて、経方向18%及び75%、緯方向65%及び70%であり、実施例1のものに対比して、ストレッチ性に劣ったものであった。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、経方向並びに緯方向のストレッチ性に優れ、さらにソフトな肌触りと保温性に優れた立体構造丸編地が得られる。本発明の立体構造丸編地は、衣料、毛布、スカーフ、マフラー、帽子、手袋、靴下、座布団などに有用であり、また布帛、および縫製品の一部に用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、二層の丸編地と連結糸から構成された立体構造丸編地に関する。
【0002】
【従来の技術】
表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成された立体構造丸編地、いわゆるダンボールニットと称される編地は、特に表裏二層の編地を紡績糸で構成することにより、ソフトな肌触り、保温性等からインナー用途に展開されている。しかし、さらに着用快適性を重視する市場の要求から、特に緯方向に加えて経方向のストレッチ性が要求されている。
【0003】
本出願人は、先に特許文献1において、表裏二層の編地をポリトリメチレンテレフタレート系繊維モノフィラメント糸で連結した立体構造編地が、優れた圧縮回復性を有することを提案した。しかし、表裏二層の編地を紡績糸で構成した立体構造丸編地(ダンボールニット)に、連結糸としてポリトリメチレンテレフタレート系繊維モノフィラメント糸を適用することについては何ら言及していない。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−269747号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、経方向並びに緯方向にストレッチ性を有する立体構造丸編地を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、立体構造丸編地(ダンボールニット)の構成要素と、特に経方向並びに緯方向のストレッチ性について検討した結果、連結糸として特定の繊維を用いることにより本発明の目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
本発明は、表裏二層の丸編地と該二層の丸編地を連結する連結糸から構成された立体構造丸編地であって、該連結糸がポリトリメチレンテレフタレート系繊維モノフィラメント糸であり、且つ、該二層の丸編地のうち少なくとも一方の丸編地に紡績糸が含有されていることを特徴とする立体構造丸編地である。
【0008】
本発明においては、表裏二層の丸編地の少なくとも一方の丸編地に紡績糸が含有されていることに特徴があり、紡績糸の含有率は、好ましくは50wt%以上、より好ましくは70wt%以上、さらに好ましくは80wt%以上、特に好ましくは100wt%である。紡績糸の含有率が上記の範囲であると、ソフトな肌触りと優れた保温性が得られる。
【0009】
紡績糸を構成する繊維としては、公知の各種繊維を用いることができ、例えば、綿、羊毛等の天然繊維や、キュプラ、レーヨン、アセテート、ポリオレフィン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等の繊維が挙げられる。また希望に応じて、同種又は異種繊維の組み合わせ、あるいは、短繊維同志ならびに長繊維と短繊維を組合わせて用いることができる。さらには例えば、特に衣料用の場合、快適性付与を目的として、W断面等の異型断面糸や極細繊維(単糸繊度が、好ましくは1.1dtex以下)を用いることにより、吸水速乾性を付与することもできる。
【0010】
紡績糸の番手は、綿番手で10〜100番手が好ましく、より好ましくは20〜80番手、さらに好ましくは30〜70番手である。
【0011】
本発明においては、連結糸としてポリトリメチレンテレフタレート系繊維のモノフィラメント糸を用いる。
【0012】
連結糸におけるポリトリメチレンテレフタレート系繊維のモノフィラメント糸の割合は、立体構造丸編地の単位面積当たり、表裏の丸編地を連結するモノフィラメントの全本数の内の20%以上が好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは100%である。連結糸におけるポリトリメチレンテレフタレート系繊維のモノフィラメント糸の割合が上記の範囲であると、経方向並びに緯方向に良好なストレッチ性が得られる。
【0013】
連結糸の全てがポリトリメチレンテレフタレート系繊維のモノフィラメント糸であることが最も好ましいが、希望に応じて、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維モノフィラメント糸や、ナイロン6、ナイロン66のモノフィラメント糸を混用したり、モノフィラメント以外の繊維、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維マルチフィラメント仮撚糸、を編成時に交編させてもよい。
【0014】
連結糸に用いるモノフィラメント糸の繊度は、通常、20〜300dtexの太さのものを用いることができる。立体構造丸編地に弾力感及びより優れたクッション性を付与する上からは、モノフィラメント糸は50〜250dtexが好ましく、より好ましくは70〜200dtexである。
【0015】
本発明において、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維は、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステル系繊維であって、トリメチレンテレフタレート単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含むものである。したがって、第三成分として他の酸成分及び/又はグリコール成分の合計量が50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートの繊維を包含する。
【0016】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当な反応条件下に結合せしめることにより合成される。この合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成分を添加して共重合ポリエステルとしてもよい。
【0017】
添加する第三成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキシカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(p−オキシ安息香酸等)等が挙げられる。また、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内で使用できる。
【0018】
さらに,二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
【0019】
さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
【0020】
また、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステルやナイロンと、ポリトリメチレンテレフタレートとをブレンドしたり、複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド等)してもよい。ブレンドする際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は、50wt%以上が好ましい。又、ポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエステル成分と複合紡糸する際のポリトリメチレンテレフタレートの含有率は、30〜70wt%が好ましい。
【0021】
複合紡糸に関しては、特公昭43−19108号公報、特開平11−189923号公報、特開2000−239927号公報、特開2000−256918号公報等に例示されるように、第一成分としてポリトリメチレンテレフタレート、第二成分としてポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、あるいはナイロンを用いて、これらを並列に配置したサイドバイサイド型あるいは偏芯的に配置した偏芯シースコア型に複合紡糸したもの等が挙げられる。特に、ポリトリメチレンテレフタレートと共重合ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせや、固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましい。中でも、特開2000−239927号公報に開示されているような、固有粘度の異なる二種類のポリトリメチレンテレフタレートを用い、低粘度側が高粘度側を包み込むように、接合面形状が湾曲しているサイドバイサイド型の複合糸が好ましい。
【0022】
ポリトリメチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントは、例えば、国際公開パンフレットWO01/75200に記載されている方法により製造することができる。
【0023】
すなわち、ポリトリメチレンテレフタレートを紡口から吐出し、冷却浴中で急冷した後、第1ロールで巻き取り、次いで温水中または乾熱雰囲気下で延伸しながら第2ロールで巻き取った後、乾熱雰囲気下または湿熱雰囲気下においてオーバーフィードでリラックス処理して、第3ロールで巻き取る方法等で製造することができる。繊維の断面形状は特に限定されないが、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。なかでも、丸型断面が、立体構造丸編地のクッション性の耐久性を向上させる上で好ましい。
【0024】
本発明において、表裏の丸編地または連結糸のモノフィラメントに用いる繊維は、着色されていることが好ましい。着色方法は、例えば、未着色の糸をかせやチーズ状で糸染めする方法(先染め)、紡糸前の原液に顔料、染料等を混ぜて着色する方法(原液着色)、立体構造丸編地を染色したりプリントする方法等によって着色することができる。
【0025】
本発明の立体構造丸編地は、ダブル丸編機で編成できる。表面と裏面の組織としては、平編の基本組織又はタック編、浮編、片畦編、レース編、添糸編等の変化組織のいずれであってもよい。又、表裏面の丸編地の変化組織に針抜きを組み合わせてもよい。編機のゲージは使用目的によって適宜選定すれば良く、10〜40ゲージが使用可能である。
【0026】
立体構造丸編地の厚さや目付は希望に応じて適宜選定すればよく、例えば、厚みは2〜20mm程度が好ましく、より好ましくは3〜10mm程度、目付は80〜1200g/m2が好ましく、100〜1200g/m2がより好ましい。
【0027】
また、立体構造丸編地は、必要に応じて所望のサイズに裁断したり、又は、裁断後の編地片を縫製又は熱成形により所望の形状にして用いてもよい。
【0028】
本発明の立体構造丸編地は、衣料、毛布、スカーフ、マフラー、帽子、手袋、靴下、座布団などに使用したり、また布帛、および縫製品の一部に用いることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明する。
【0030】
なお、測定方法、評価方法等は下記の通りである。
【0031】
(1)ストレッチ率(%)
島津製作所(株)製の引張試験機を用いて、つかみ幅2.5cm、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/分で試料を経方向又は緯方向に伸長させたときの、2.94N/cm並びに4.9N/cmの応力下での伸び(%)をストレッチ率とした。
【0032】
(2)伸長回復率(%)
島津製作所(株)製の引張試験機を用いて、つかみ幅2.5cm、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/分で試料を経方向又は緯方向に伸長させ、2.94N/cm並びに4.9N/cmの応力下まで伸長させた。その後、再び同じ速度で除重しながら戻し、応力がゼロになったときの伸度を残留伸度(B)とした。伸長回復率は下記の式に従って求めた。
【0033】
伸長回復率(%)={(10−B)/10}×100
〔製造例〕(ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸の製造)
以下の実施例において使用したポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸は、次のような方法により製造した。
【0034】
固有粘度[η]=0.92のポリトリメチレンテレフタレートを紡糸温度265℃で紡口から吐出し、40℃の冷却浴中に導いて冷却しつつ、16m/分の速度の第1ロール群によって引張って細化することにより未延伸モノフィラメントを得た。得られた未延伸モノフィラメントを、温度55℃の延伸浴中で5倍に延伸しながら、80m/分の第2ロール群によって引張り、その後、120℃のスチーム浴中で弛緩熱処理を施しながら、72m/分の第3ロール群を経た後、第3ロール群と同速の巻取り機で巻取り、110dtexの延伸モノフィラメントを製造した。
【0035】
なお、固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
【0036】
【数1】
【0037】
式中、ηrは純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
【0038】
〔実施例1〕
二層の丸編地の表面と裏面を連結する連結糸として、110dtexのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸を用い、表面と裏面の丸編地としては、綿番手40番手のコーマ糸を用い、天竺組織にて編成し、厚み3.8mm、目付260g/m2の立体構造丸編地を得た。使用した丸編機は、20ゲージ、30インチ径のダブル丸編機(福原精機(株)製)であった。
【0039】
得られた立体構造丸編地のストレッチ率及び伸長回復率は、2.94N/cmにおいて、経方向50%及び85%、緯方向105%及び76%であり、4.9N/cmにおいて、経方向57%及び80%、緯方向120%及び70%であり、優れたものであった。
【0040】
〔比較例1〕
実施例1において、連結糸として、110dtexのポリエチレンテレフタレートモノフィラメントを用いた以外は、実施例1同様にして立体構造丸編地を得た。
【0041】
得られた立体構造丸編地のストレッチ率及び伸長回復率は、2.94N/cmにおいて、経方向15%及び80%、緯方向60%及び74%であり、4.9N/cmにおいて、経方向18%及び75%、緯方向65%及び70%であり、実施例1のものに対比して、ストレッチ性に劣ったものであった。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、経方向並びに緯方向のストレッチ性に優れ、さらにソフトな肌触りと保温性に優れた立体構造丸編地が得られる。本発明の立体構造丸編地は、衣料、毛布、スカーフ、マフラー、帽子、手袋、靴下、座布団などに有用であり、また布帛、および縫製品の一部に用いることができる。
Claims (1)
- 表裏二層の丸編地と該二層の丸編地を連結する連結糸から構成された立体構造丸編地であって、該連結糸がポリトリメチレンテレフタレート系繊維モノフィラメント糸であり、且つ、該二層の丸編地のうち少なくとも一方の丸編地に紡績糸が含有されていることを特徴とする立体構造丸編地。
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---|---|---|---|
JP2003003215A JP2004218098A (ja) | 2003-01-09 | 2003-01-09 | 立体構造丸編地 |
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JP2003003215A JP2004218098A (ja) | 2003-01-09 | 2003-01-09 | 立体構造丸編地 |
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ID=32894550
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004218098A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101782000B1 (ko) | 2015-06-10 | 2017-09-26 | 박영균 | 환편 원단의 제조방법 |
JP2018021267A (ja) * | 2016-08-01 | 2018-02-08 | 富士紡ホールディングス株式会社 | 編地 |
KR102570989B1 (ko) * | 2022-09-21 | 2023-08-30 | 이현명 | 매트용 입체구조 편물원단 및 이의 제조방법 |
-
2003
- 2003-01-09 JP JP2003003215A patent/JP2004218098A/ja active Pending
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JP2018021267A (ja) * | 2016-08-01 | 2018-02-08 | 富士紡ホールディングス株式会社 | 編地 |
KR102570989B1 (ko) * | 2022-09-21 | 2023-08-30 | 이현명 | 매트용 입체구조 편물원단 및 이의 제조방법 |
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