JP4346921B2 - 立体編物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体編物に関する。更に詳しくは、常温下及び高温下で長時間使用しても、良好な見栄え及びクッション性が低下しない立体編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
表裏面二層の編地と、該二層の編地を連結する連結糸とから構成された立体編物は、クッション性、通気性、保温性、体圧分散性等の機能を活かして、各種クッション材用途に利用されている(特許文献1及び2)。
ところが、これらクッション材を自動車用座席として使用した場合、夏場の高温環境下で、車内の座席上に荷物を放置したり、チャイルドシートを取り付けていると、これらを取除いた際に、跡が残り、見栄えやクッション性が悪くなり、問題となっていた。
【0003】
また、冬場の高温暖房器具上に設置されている列車用座席として使用した場合、長時間座っていると、次第に座席下部の高温にさらされている個所からへたりが生じ、厚みが薄くなり、見栄えやクッション性が低下するという問題があった。
立体編物は、近年、寝具用途及び介護用途において、体圧分散性、クッション性及び通気性の面から、クッション材としての使用が広がりつつあるが、付着した汚れを高温で殺菌洗濯した場合、洗濯時の揉み効果で大きく変形したり、へたりが生じ、見栄えやクッション性に劣るものとなっていた。
【0004】
このような高温環境下でのへたりや変形を解消する立体編物として、表裏両面基布を連結糸する糸状のうち、少なくとも30wt%以上が形状記憶特性を有する糸状よりなる嵩高織編物が提案されている(特許文献3)。連結糸を構成する糸状形態がマルチフィラメントの場合、実施例には、単糸繊度が8dtexのマルチフィラメントの連結糸を用いたものが開示されている。しかしながら、連結糸がマルチフィラメントの場合、高温環境下での圧縮回復時に単糸同士が絡み合うため圧縮回復率も低く、また単糸繊度が細いため圧縮回復力が弱く、非常に高温環境に放置しないと回復性が発現されないものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−123362号公報
【特許文献2】
特開2001−89959号公報
【特許文献3】
特開平5−247783号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、常温下及び高温下で、長時間、荷重や応力のかかる状態、例えば、着座したり、高温で洗濯を行う場合において、ヘタリや変形が容易に復元し、立体編物本来の良好な見栄え及びクッション性が変わらない立体編物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような従来技術の問題点を鑑み、常温又は高温下で長時間使用した場合のへたりや変形の発生と、構成する立体編物の構造及び特性との関係について鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、表裏面二層の編地と、該二層の編地を連結する、繊度が50〜2000dtexのモノフィラメントによる連結糸から構成され、下記式で算出される厚み指数TPが0.25〜1.5mm-1の立体編物であって、20℃及び80℃の環境下で、それぞれ7日間、厚み方向に50%圧縮保持し、次いで、無圧縮状態で20℃の環境下に5分間放置し、引き続き無圧縮状態で120℃の環境下に1分間放置した後の圧縮回復率が、共に90%以上であることを特徴とする立体編物である。
【0008】
厚み指数TP=T/[(100×N×D)/(1×106×ρ0)]
(式中、T(mm)は、立体編物の厚み、N(本/6.45cm2)は、立体編物の経緯方向6.45cm2(=2.54cm×2.54cm)の面積中にある連結糸の本数、D(dtex)は、立体編物の連結糸の繊度(連結糸1×106cm当たりの質量g)、ρ0(g/cm3)は、立体編物の連結糸の比重である)
【0009】
以下、本発明の立体編物を詳細に説明する。
本発明の立体編物は、20℃及び80℃の環境下で、それぞれ7日間、厚み方向に50%圧縮保持し、次いで、無圧縮状態で20℃の環境下に5分間放置し、引き続き無圧縮状態で120℃の環境下に1分間放置した後の圧縮回復率(以下、高温圧縮回復率、という)が、共に90%以上であることが必要である。
20℃、80℃及び120℃の環境下とは、外部環境とは隔離された乾燥機や恒温室等の密閉内で、空間雰囲気温度が、それぞれ、20℃、80℃及び120℃に設定された環境を指す。
【0010】
「厚み方向に50%圧縮保持する」とは、立体編物1枚を10cm四方に切り取り、平滑なステンレス金属板間に、金属板間の距離が均一となるように挟み込み、金属板間距離が均一な挟み込み直後の距離に対し50%となるように、立体編物に表面編地と裏面編地が立体編物の長さ方向(ウエール列に沿った方向)にずれるせん断変形が生じないようにして圧縮し、冶具で固定することを指す。
その後の「無圧縮状態」とは、20℃及び80℃の環境下で、上記ステンレス金属板間からできるだけ立体編物に応力を掛けないようにして取り出し、圧縮応力の無い状態とすることを指す。
【0011】
高温圧縮回復率は、以下の式により算出する。
高温圧縮回復率(%)=(T1/T0)×100
ここで、T1は、120℃環境下で無圧縮状態で1分間放置後の立体編物の厚み(mm)、T0は、同操作を行う直前の立体編物の厚み(mm)を指す。
本発明の立体編物は、高温圧縮回復率が90%以上であることが必要であり、好ましくは95%以上であり、100%に近いほど好ましい。高温圧縮回復率が90%未満では、高温環境下で長時間、荷物をおいたりチャイルドシートを取り付けたりして部分的に立体編物が圧縮された状態にすると、負荷を取除いた際に跡が残り、見栄えやクッション性が悪くなる。
本発明の立体編物は、表裏面二層の編地と、この二層の編地を連結する連結糸から構成され、連結糸の少なくとも一部が、繊度50〜2000dtexのモノフィラメントから構成されるていることが必要である。
【0012】
本発明の立体編物は、相対する2列の針床を有する編機で編成することができ、ダブルラッセル編機、ダブルトリコット編機、ダブル丸編機、Vベッドを有する横編機等で編成できる。寸法安定性のよい立体編物を得るためには、ダブルラッセル編機を用いるのが好ましい。編機のゲージは9ゲージから28ゲージまでが好ましく用いられる。
本発明の立体編物を構成する表裏面二層の編組織は、適度に通気性を確保しながら良好なクッション性及び体圧分散性を発現させる点で4角、6角等のメッシュ、格子状、畦調、マーキゼット等の孔空き組織で、1メッシュを構成する編目数(コース数)を12コース以下にすることが好ましい。表裏の少なくとも一方の編組織が孔空きでない平坦組織や凹凸組織等の編組織であれば、全コースがニットループで形成される編組織、ニットループ組織と挿入組織の複合組織等を用いることができる。
【0013】
表裏面二層の編地を構成する糸としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリフッ化ビニリデン繊維、ポリアクリル繊維、ポリアリレート繊維、生分解性繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等の任意の繊維を用いることができる。強度、編成性、ケミカルリサイクル性等の点からポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維等のポリエステル系繊維が好ましい。
【0014】
繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平型、ドッグボーン型等の多角形型、多様型の中実型、同多角形、多様型の中空型や不定形なもの等があげられる。表面耐摩耗性、強度等の物性を立体編物に付与できる点から、丸型中実型及び丸型中空型が好ましい。
繊維の形態は、未加工糸、紡績糸、撚糸、仮撚加工糸、流体噴射加工糸等、いずれを採用してもよく、マルチフィラメントでもモノフィラメントでもよい。連結糸のモノフィラメントを編地表面へ露出しないように被覆率を上げるには、立体編物の少なくとも片側面、特に表面層側にマルチフィラメントの仮撚加工糸、紡績糸等の嵩高糸を用いることが好ましい。
【0015】
マルチフィラメントは、通常、総繊度が50〜2500dtex、単糸繊度が0.1〜30dtexの繊度のものが用いられるが、これ以外にも任意に繊度を設定できる。この際、編機の針1本にかかる連結糸モノフィラメントの繊度C(dtex)と全マルチフィラメントの繊度m(dtex)が、C/m≦0.9を満たす場合、立体編物表面において、マルチフィラメントがモノフィラメントにより被覆され、モノフィラメント独特のギラツキ感を抑制でき、かつ、編地表面の風合いを向上できる点で好ましい。
【0016】
意匠性の面から、編成前に予め常法で染色された先染糸や、必要に応じたカラーの顔料が混入された原着糸を用いてもよい。必要に応じて、二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
【0017】
マルチフィラメントの物性としては、例えば、マルチフィラメントとしてポリエチレンテレフタレート繊維を使用する場合、表面耐摩耗性等の耐久性の面から、繊維の固有粘度[η]は0.4〜0.8が好ましく、繊維破断強度は3〜5cN/dtex、破断伸度は20〜40%であることが好ましい。ポリトリメチレンテレフタレート繊維を使用する場合、固有粘度[η]は0.8〜1.5が好ましく、繊維破断強度は3〜5cN/dtex、破断伸度は30〜60%であることが好ましい。
【0018】
本発明の立体編物の表裏面二層の編地を連結する連結糸は、常温下又は高温下で長時間使用した場合でも見栄えの劣化が無く、良好なクッション性及び良好な体圧分散性が得られるためには、繊度が50〜2000dtexのモノフィラメントを用いることが必要である。
モノフィラメントとしては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリフッ化ビニリデン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、生分解性繊維、ポリエステル系やポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマー繊維、ガラス繊維、金属繊維等の任意の繊維を用いる事ができるが、本発明の特に圧縮回復率を満足できる点でポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル系の熱可塑性エラストマー繊維が好ましい。
【0019】
本発明の立体編物の圧縮回復率を向上させるために、連結糸の少なくとも10wt%以上が形状記憶性ポリエステルモノフィラメントであってもよい。ここでいう「形状記憶性」とは、任意の形状(形状A)に記憶する処理温度に加熱して記憶させ、次いで、該記憶処理温度未満であって、20〜100℃の特定温度下で、異なる形状(形状B)に外力により一旦変形させた後、ガラス転移温度以下の温度に保持又は冷却して一時的に形状を固定し、再度ガラス転移温度以上の温度に無緊張状態で加熱することにより、形状Aに回復する機能を有することを意味する。
【0020】
形状記憶性ポリエステルとしては、少なくとも芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジカルボン酸成分からなり、かつ、そのモル比が70/30〜95/5であるジカルボン酸成分と、1種以上の脂肪族ジオール成分とを主たる構成成分とするのが好ましい。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4,−ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等が挙げられる。また脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられる。一方、脂肪族ジオール成分としては例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等が挙げられる。
【0021】
形状記憶性ポリエステルを構成する成分及びその共重合割合は広範囲に選択できるが、経済性、物性等の点で好ましいのは、例えば、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸とドデカン二酸とを、モル比70/30〜95/5の割合で用い、ジオール成分としてエチレングリコールを用いたポリエステルである。
モノフィラメント繊維の断面形状としては、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平型、ドッグボーン型等の多角形型、多様型の中実型や鞘芯型、同多角形、多様型の中空型や不定形なものでもよいが、常温下又は高温下での長時間使用でも見栄えの変化が無く、良好なクッション性及び良好な体圧分散性が得られる点から、丸型中実型、丸型同心鞘芯型又は丸型中空型が好ましい。
【0022】
丸型同心鞘芯型の場合、鞘成分/芯成分を構成する材料を、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンナレフタレート、ポリエステル系熱可塑性エラストマー/ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系熱可塑性エラストマー/ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエステル系熱可塑性エラストマー/ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド/ポリエチレンテレフタレートの組み合わせを用いることができる。
【0023】
本発明の立体編物を、常温下又は高温下で長時間使用しても見栄えの変化が無く、良好なクッション性及び良好な体圧分散性が得られる点から、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート又はポリエステル系熱可塑性エラストマー/ポリトリメチレンテレフタレートの組み合わせが好ましい。
本発明の立体編物の連結糸に用いられるモノフィラメントの繊度は、本発明の圧縮回復率を左右するため、特に重要である。立体編物の圧縮回復性は、本発明の立体編物の表裏面二層の編地をつなぐ連結部においては、モノフィラメントの曲げ回復性に相当する。このモノフィラメントの曲げ回復性は、繊維直径の4乗、つまり、繊維の繊度の2乗に比例する曲げ応力が高いほど回復性が良好となるため、繊維の繊度が高いほど、高温時の曲げ回復性、つまり、高温時の圧縮回復性が高い。
【0024】
本発明の立体編物の連結糸モノフィラメントの繊度は50〜2000dtexであることが必要であり、好ましくは80〜1500dtex、より好ましくは100〜1000dtexである。この繊度が50dtex未満では、繊維の繊度が小さすぎるため、立体編物の圧縮回復率も小さくなり、見栄えやクッション性に劣る。繊度が2000dtexを越えると、繊維の繊度が大きすぎるため、立体編物の連結糸として非常に編成しにくく、編成できたとしても編地表面には連結糸の飛び出しが多く、見栄えが悪くなり、表面の風合いもざらついたものとなる。
【0025】
マルチフィラメント同様、モノフィラメントも、意匠性の面から、編成前に予め常法で染色された先染糸又は必要に応じたカラーの顔料が混入された原着糸を用いてもよい。必要に応じて、糸中に二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
【0026】
さらに下記式で算出される立体編物の厚み指数TPが0.25〜1.5mm-1であることが必要であり、好ましくは0.3〜1.2mm-1である。
厚み指数TP=T/[(100×N×D)/(1×106×ρ0)]
式中、T(mm)は、立体編物の厚み、N(本/6.45cm2)は、立体編物の経緯方向6.45cm2(=2.54cm×2.54cm)の面積中にある連結糸の本数、D(dtex)は、立体編物の連結糸繊度(連結糸1×106cm当たりの質量g)、ρ0(g/cm3)は立体編物の連結糸比重を表す。
厚み指数TPが0.25mm-1未満であると、常温下及び高温下でのクッション性に劣ったものとなり、1.5mm-1を超えると、高温下での圧縮回復性に劣ったものとなる。厚み指数をこの範囲に設定することによって、圧縮回復率が一層向上し、かつ、より良好なクッション性及び体圧分散性を兼ね備えたものとなる。
【0027】
連結糸モノフィラメントは、表裏の編地中にループ状の編目を形成してもよく、表裏編地に挿入組織状に引っかけた構造でもよい。少なくとも2本の連結糸が、表裏の編地を互いに逆方向に斜めに傾斜して、クロス状(X状)やトラス状に連結することが、立体編物の形態安定性を向上させる上で好ましい。
トラス構造の場合、立体編物を図1のコース列に沿った切断面図に示すように、2本の連結糸によって形成される角度(θ1)が40〜160度であると、立体編物の形態安定性が増すので好ましい。
クロス構造の場合は、立体編物を図2のコース列に沿った切断面図に示すように、2本の連結糸によって形成される角度(θ2)が15〜150度であることが好ましい。この際、トラス構造及びクロス構造を構成する2本の連結糸は、1本の連結糸が表面又は裏面編地で折り返し、見かけ上2本となっている場合であってもよい。
【0028】
立体編物中のモノフィラメントの曲率は0.01〜1.6であることが好ましく、より好ましくは0.03〜1.0、最も好ましくは0.05〜0.7である。ここでいう「モノフィラメントの曲率」とは、立体編物中でモノフィラメントが最大に湾曲した部分におけるモノフィラメントの中心線でできる円弧の曲率のことをいう。図3は、立体編物のウエール列に沿った切断面から見たモノフィラメントの中心線を示す一例である。モノフィラメントの曲率が0.01未満であると、立体編物の厚み方向に荷重が加わった場合、表面編地と裏面編地が立体編物の長さ方向(ウエール列に沿った方向)にずれる、せん断変形が生じやすく、圧縮回復時のヒステリシスロスが大きく、弾力感のないクッション性となる場合がある。また、繰り返し圧縮によりその傾向が増加しやすくなる。モノフィラメントの曲率が1.6を越えると、せん断変形は生じ難いが、弾力感のないクッション性となる場合がある。
【0029】
本発明の立体編物の厚み方向の50%圧縮時のヒステリシスロスは、50%以下であることが好ましく、0%に近いほど弾力感のあるクッション性に優れたものとなる。これらの条件を満たすためには、立体編物の厚み、モノフィラメントの直径、曲率、傾斜状態等を適正化することが重要である。
立体編物の厚み及び目付は、目的に応じて任意に設定できるが、厚みは2〜30mmが好ましい。厚みが2mm未満であると、クッション性が低下する場合があり、30mmを越えると、形態固定化のための仕上げ加工が難しくなる場合がある。目付は、好ましくは150〜3000g/m2、より好ましくは200〜2000g/m2である。
【0030】
本発明を達成するためには、立体編物の仕上げ加工時のヒートセット方法が特に重要である。先染め糸や原着糸を使用した立体編物の場合は、生機をヒートセット工程を通して仕上げることができ、連結糸又は表裏糸のいずれかが未着色の立体編物の場合は、生機を精練、染色、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができる。
特に高温下での長時間使用時の見栄えやクッション性を保ち、高温圧縮回復率を向上させるためのヒートセット方法としては、モノフィラメントにヒートセット時に緊張状態を徐々に与えていくよう、段階的にヒートセット温度まで昇温し、できるだけヒートセット時間を長くし、さらにヒートセット後に形態が固定化されやすいよう急冷するのが好ましい。
【0031】
ヒートセットには、シリンダ乾燥機、過熱蒸気乾燥機、サクションドラム乾燥機、ループドライヤー、ショートループドライヤー、ピンテンタードライヤー、クリップテンタードライヤー、ノンタッチドライヤー等の一般的な乾燥機が使用されるが、段階的な昇温や立体編物のコース数/ウエール数制御の点から、任意の乾燥温度が設定された乾燥機を連続的に組み合わせたピンテンタードライヤー又はクリップテンタードライヤーを使用するのが好ましい。
【0032】
到達するヒートセット温度は150〜190℃が好ましい。この温度が150℃未満では、ヒートセットによる形態固定化効果が少なく、高温圧縮回復性が低下する場合があり、190℃を越えると、形態固定化効果は高いが、連結糸モノフィラメントが硬くなり、クッション性が低下する場合がある。
ヒートセット時間は2〜10分が好ましい。この時間が2分未満では、セット温度同様、形態固定化効果が少なく、高温圧縮回復性が低下する場合があり、10分を越えると、形態固定化効果は高いが、連結糸モノフィラメントが硬く、クッション性が劣ったり、繊維強度が大きく低下して長期使用時に破れが発生する場合がある。
【0033】
段階的にヒートセット温度まで昇温する方法としては、ピンテンタードライヤー、クリップテンタードライヤー等の乾燥機の乾燥ボックスに、連続的に温度差を付け、徐々に昇温する方法が挙げられる。
ヒートセット後の急冷方法としては、ヒートセット用の乾燥機と同じものを用いて行うことができるが、特に、立体編物においては、厚みがあるため表面接触型の冷却シリンダ乾燥機と冷風熱風ドライヤーとの組合せで0〜10℃の冷却温度で急冷を行うのが好ましい。
【0034】
このヒートセットの際には、ヒートセット前の生機、精練上がり又は染色上がりの立体編物を、必要に応じて、引張率をヒートセット時の幅方向に−20〜100%、進行方向に−20〜50%変化させることが好ましい。
引張率(%)は、下記式で表される。
引張率(%)=(セット後の長さ/セット前の長さ−1)×100
引張率をこのように設定することによって、連結糸をクロス状(X状)又はトラス状にして立体編物の形態安定性を一層向上させることができる。
【0035】
さらにヒートセット工程前に、シリコーン系仕上げ剤を付与することが、繊維間の摩擦力を低減したり、ストレッチ性を付与し高温圧縮回復性を向上できる点で好ましい。シリコーン系仕上げ剤としては、アミノ変性シリコーン、ジメチルシリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。耐久性及び高温圧縮回復性をより向上させることができる点でアミノ変性シリコーンが好ましい。付与量としては、繊維重量に対して0.1〜3wt%であることが高温圧縮性向上の点で好ましい。付与方法としては、Dip−Nip(いわゆる浸漬脱液)法、キスロール付与法、グラビアロール付与法、スプレー付与法、フォーム式付与法等が挙げられる。連結糸に十分シリコーン系仕上げ剤が付与できる点でDip−Nip法が好ましい。
【0036】
本発明の立体編物は、自動車、電車、汽車等の車両用、旅客機等の航空機用、チャイルドシート、ベビーカー、家具、事務用等の座席用クッション材、寝具、ベッドパッド、マットレス、床ずれ防止マット、枕、座布団等のクッション材、衣料用パッド等のスペーサー、リュック、ランドセル等のクッション材、保型材、緩衝材、保温材、生鮮食品の下敷き、医療用シーツ、シューズ用アッパー材、中敷材、サポーター、プロテクター等に好適に用いられる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
立体編物の各種物性の測定方法は以下の通りである。
(1)立体編物の厚み
接触圧力490Paの厚み測定計で10回測定した平均値。
(2)高温圧縮回復率
高温圧縮回復率(%)=(T1/T0)×100
式中、T1は、20℃及び80℃の環境下で、それぞれ7日間、厚み方向に50%圧縮保持し、次いで、無圧縮状態で20℃の環境下に5分間放置し、引き続き無圧縮状態で120℃環境下、無圧縮状態で1分間放置後の立体編物を(1)測定法にて測定した立体編物の厚み(mm)を、T0は、同操作を行う直前の立体編物を(1)の測定法にて測定した立体編物の厚み(mm)を表す。
【0038】
(3)繊維の繊度、繊維長
JIS−L−1013法に準拠して測定する。
(4)固有粘度[η]
オストワルド粘度計を用い、35℃のo−クロロフェノール溶液中での比粘度ηspとポリマー濃度C(g/100ml)の比ηsp/Cを濃度ゼロに外挿し、以下式により求める。
Figure 0004346921
【0039】
(5)モノフィラメントの曲率:C
立体編物中での連結糸のモノフィラメントの湾曲状態の拡大写真を、モノフィラメントが湾曲してできた円弧(半円)に対して直角方向から撮影する。この際連結糸が傾斜している場合は傾斜の角度にあわせて撮影する。拡大写真をイメージスキャーナーでコンピューターに読み込み、高精細画像解析システムIP1000PC(商品名、旭化成(株)製)の画像解析ソフトを用いて、モノフィラメントの湾曲が最も激しい個所の内接円(モノフィラメントの凹側)と外接円(モノフィラメントの凸側)を描く。これより、それぞれの円半径の平均値(実寸法に直した値)を算出し、モノフィラメントの中心線に対する曲率半径r(mm)を求め、下記式により曲率を算出する。ここで相対する表編地の編目と裏編地の編目をつなぐ連結糸を略垂直連結糸、相対する編目から1ウェール以上離れた表編地の編目と裏編地の編目をつなぐ連結糸を傾斜連結糸とする。
C=1/r
【0040】
(6)50%圧縮回復時のヒステリシスロス:L(%)
島津オートグラフAG−10TB型((株)島津製作所製)を用い、直径100mmの円盤状圧縮治具により、剛体水平面上に置いた150mm×150mm四角、厚みT0(mm)の立体編物を10mm/minの速度でT0/2の厚みに圧縮し荷重をかける。所定の厚みになったら直ぐに10mm/minの速度で開放し除重する。この際に得られる、図4に示す変位−荷重曲線から、行き(圧縮)の曲線と変位軸(x軸)で形成されるO−P−Eで囲まれる面積A0(cm2)と、帰り(開放)の曲線と変位軸(x軸)で形成されるE1−P−Eで囲まれる面積A1(cm2)を求め、次式でヒステリシスロスL(%)を算出する。
L(%)=[(A0−A1)/A0]×100
【0041】
(7)クッション性(高温長期間使用前後の弾力感)
60±2℃の恒温環境下で40cm×40cm四角の立体編物を剛体水平面上に置く。その上に、体重65kgの男性が5分間座った後、1分間退席することを1日に10回繰り返す。この試験を30日間繰り返す。試験前後の立体編物を20℃±2℃の恒温環境下に24時間放置し、その後、座った瞬間(立体編物に接した瞬間)の弾力感を官能評価により、
◎:適度な弾力感がある
○:適度な弾力感がややある
△:適度な弾力感がやや少ない
×:適度な弾力感が少ない
の4段階で相対評価する。
【0042】
(8)見栄え(高温長期間使用後の見栄え)
(7)の30日試験後の立体編物の凹み状態を外観観察により、
◎:凹みが全くない
○:凹みが殆どない
△:やや凹みがある
×:凹みが激しい
の4段階で相対評価する。
【0043】
【実施例1】
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間5mmのダブルラッセル編機を用いる。編機の中間に位置する2枚の筬(L3、L4)から、連結糸として140dtex/1fのポリエチレンテレフタレートモノフィラメント(旭化成株式会社製)を給糸し、編機前面に位置する2枚の筬(L1、L2)から、表編地用糸として、167dtex/48fのポリエチレンテレフタレート繊維(旭化成(株)社製)を、編機背面に位置する2枚の筬(L5、L6)から、裏編地用糸として、167dtex/48fのポリエチレンテレフタレート繊維(旭化成(株)社製)を、いずれもガイドに1イン1アウトの配列で供給した。打ち込み22コース/2.54cmで、以下に示す編組織の表裏メッシュの立体編物を得た。
【0044】
この立体編物を70℃で精練し、余分な水分を脱液した。次いで、ピンテンターを用い、幅方向に50%、進行方向に−13%となるような引張率で、ピンテンターの乾燥ゾーンの温度及び滞留時間を連続的に130℃×20秒、150℃×20秒、180℃×3分となるようにし、その後、5℃に冷却されたシリンダ乾燥機と5℃の冷風乾燥機に接触、通過させて形態を固定化し、表1の立体編物を得た。
【0045】
Figure 0004346921
得られた立体編物はクッション性が良好で、常温下や高温下で長時間使用しても見栄え及びクッション性が変化しない、優れたものであった。
【0046】
【実施例2】
実施例1において、精練し、余分な水分を脱液後、シリコーン系加工剤ニッカシリコンAMZ(登録商標)(日華化学(株)社製)の見掛け濃度2wt%水分散液を、Wet−Pick−Upが60〜70%となるようにDip−Nip法で付与した。その後、実施例1と同様にピンテンターで熱処理し、表1の立体編物を得た。
ここで、Wet−Pick−upは、下記式により算出する。
Wet−Pik−up(%)=[(付与後立体編物重量/付与前立体編物重量―1)]×100
【0047】
【実施例3、4】
実施例1において、連結糸を200dtex/1fのナイロン6モノフィラメント(旭化成(株)製)とし、ピンテンターの乾燥ゾーンの温度及び滞留時間を連続的に130℃×20秒、150℃×20秒、160℃×3分とした以外は、同様の方法で表1の立体編物を得た。
【0048】
【実施例5】
実施例1において、連結糸を140dtex/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント(ソロテックス(株)社製)とした以外は同様の方法で表1の立体編物を得た。
【0049】
【実施例6】
実施例1において、140dtex/1fのポリエチレンテレフタレートモノフィラメント(旭化成(株)社製)と、ドデカンニ酸共重合量が10モル%でガラス転位温度47℃、融点235℃、固有粘度[η]0.71の形状記憶性を有する140dtex/1fの共重合ポリエチレンテレフタレートモノフィラメントが重量比70:30の割合の連結糸を用いた以外は同様の方法で表1の立体編物を得た。
【0050】
【実施例7】
6枚筬を装備した14ゲージ、釜間13mmのダブルラッシェル編機を用いた。編機の、表側の編地を形成する2枚の筬(L1、L2)から、500dtex/144fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(旭化成(株)社製、167dtex/48fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸、黒色先染め糸、3本引き揃え)をオールインの配列で供給し、連結糸を形成する筬(L3)から、390dtex/1fのポリエチレンテレフタレートモノフィラメント糸をオールインの配列で供給し、さらに、裏側の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)から、500dtex/144fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(旭化成(株)社製、167dtex/48fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸、黒色先染め糸、3本引き揃え)をオールインの配列で供給した。打ち込み13.5コース/2.54cmで、以下に示す編組織で連結糸が部分的にクロス構造(X構造)を形成する表裏が緻密な平坦な立体編物を編成した。
【0051】
この立体編物をピンテンターを用い、幅方向に5%、進行方向に−1%(オーバーフィード)となるような引張率で、ピンテンターの乾燥ゾーンの温度及び滞留時間を連続的に130℃×20秒、150℃×20秒、180℃×3分となるようにし、その後、5℃に冷却されたシリンダ乾燥機と5℃の冷風乾燥機に接触、通過させて形態を固定化し、表1の立体編物を得た。
【0052】
(編組織)
L1:2322/1011/
L2:1011/2322/
L3:3410/4367/
L5:1110/0001/
L6:2210/2234/
【0053】
【実施例8】
実施例7において、実施例2と同様にシリコーン系加工剤ニッカシリコンAMZ(登録商標)(日華化学(株)社製)の見掛け濃度2wt%水分散液をWet−Pick−Upが80〜90%となるように、Dip−Nip法で付与した。その後、実施例7と同様にピンテンターで熱処理し、表1の立体編物を得た。
【0054】
【実施例9】
実施例7において、連結糸を390dtex/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント(ソロテックス(株)社製)とした以外は同様の方法で表1の立体編物を得た。
【0055】
【実施例10、11】
実施例7において、連結糸をそれぞれ660dtex/1fのポリエチレンテレフタレートモノフィラメント(旭化成(株)社製)、660dtex/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント(ソロテックス(株)社製)とした以外は同様の方法で表1の立体編物を得た。
【0056】
【比較例1】
実施例1において、編成時のダブルラッセル編機釜間を14mm、仕上げ加工時のピンテンター乾燥ゾーンの温度及び滞留時間を180℃×1分のみとし、その後の冷却も20〜30℃の環境で放置冷却した以外は、同様の方法で表2の立体編物を得た。この立体編物は常温下での弾力感は良好であるが、高温環境下で長時間使用すると見栄え及びクッション性が劣るものであった。
【0057】
【比較例2、3】
比較例1において、ピンテンターの乾燥ゾーンの温度及び滞留時間を140℃×1分(比較例2)又は200℃×1分(比較例3)とした以外は、同様の方法で表2の立体編物を得た。比較例1同様、この立体編物は常温下での弾力感は良好であるが、高温環境下で長時間使用すると見栄えやクッション性が劣るものであった。
【0058】
【比較例4】
比較例1において、連結糸を280dtex/30fのポリエチレンテレフタレート繊維とした以外は同様の方法で表2の立体編物を得た。この立体編物は、比較例1に比べ弾力感は少なく、かつ、高温環境下で長時間使用すると見栄えやクッション性が劣るものであった。
【0059】
【比較例5】
比較例1において、280dtex/30fのポリエチレンテレフタレート繊維と、ドデカンニ酸共重合量が10モル%でガラス転位温度47℃、融点235℃、固有粘度[η]0.71の形状記憶性を有する280dtex/30fの共重合ポリエチレンテレフタレート繊維を、重量比70:30の割合の連結糸とした以外は、同様の方法で表2の立体編物を得た。この立体編物は、比較例4と同様、弾力感がやや少ないが、共重合ポリエチレンテレフタレート繊維が連結糸の一部に使用されているため高温環境下で長時間使用しても見栄えやクッション性の変化は少ないものであった。
【0060】
【比較例6】
比較例2において、編成時のダブルラッセル編機釜間を3mm、連結糸を200dtex/1fのナイロン6モノフィラメント(旭化成(株)社製)とした以外は同様の方法で表2の立体編物を得た。この立体編物は、弾力感は少なく、高温環境下で長時間使用すると見栄えやクッション性がやや劣るものであった。
【0061】
【比較例7】
実施例7において、編成時のダブルラッセル編機釜間を20mm、仕上げ加工時のピンテンター乾燥ゾーンの温度及び滞留時間を180℃×1分のみとし、その後の冷却も20〜30℃の環境で放置冷却した以外は、同様の方法で表2の立体編物を得た。比較例1同様、この立体編物は、弾力感がややあるものの、高温環境下で長時間使用すると見栄えやクッション性が劣るものであった。
【0062】
【比較例8】
実施例10において、編成時のダブルラッセル編機釜間を5mm、仕上げ加工時のピンテンター乾燥ゾーンの温度及び滞留時間を180℃×1分のみとし、その後の冷却も20〜30℃の環境で放置冷却した以外は、同様の方法で表2の立体編物を得た。この立体編物は、非常に硬くかつクッション性の非常に少ないものであった。
【0063】
【表1】
Figure 0004346921
【0064】
【表2】
Figure 0004346921
【0065】
【発明の効果】
本発明の立体編物は、弾力性のあるクッション性や体圧分散性を有し、常温下又は高温下で長時間座ったり、洗濯したりして使用しても、見栄えや良好なクッション性の変わらない、耐久性に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】立体編物のコース列に沿った切断面における連結糸のトラス構造の一例を示す模式図。
【図2】立体編物のコース列に沿った切断面における連結糸のクロス構造の一例を示す模式図。
【図3】立体編物のウエール列に沿った切断面から見たモノフィラメントの中心線の一例を示す模式図。
【図4】立体編物の荷重−変位曲線図

Claims (1)

  1. 表裏面二層の編地と、該二層の編地を連結する、繊度が50〜2000dtexのモノフィラメントによる連結糸から構成され、厚みが2〜30mm、表裏面がメッシュ組織又は表裏の少なくとも片面が平坦組織である立体編地を、任意の形状(A)に記憶する処理温度に加熱して記憶させ、次いで、該記憶処理温度未満であって、20〜100℃の特定温度下で、異なる形状(B)に外力により一旦変形させた後、ガラス転移温度以下の温度に保持又は冷却して一時的に形状を固定することによって、下記式で算出される厚み指数Tが0.25〜1.5mm−1、20℃及び80℃の環境下で、それぞれ7日間、厚み方向に50%圧縮保持し、次いで、無圧縮状態で20℃の環境下に5分間放置し、引き続き無圧縮状態で120℃の環境下に1分間放置した後の圧縮回復率が、共に90%以上であり、再度ガラス転移温度以上の温度に無緊張状態で加熱することにより、形状Aに回復する機能を有することを特徴とする立体編物。
    厚み指数T=T/[(100×N×D)/(1×10×ρ)]
    (式中、T(mm)は、立体編物の厚み、N(本/6.45cm)は、立体編物の経緯方向6.45cm(=2.54cm×2.54cm)の面積中にある連結糸の本数、D(dtex)は、立体編物の連結糸の繊度(連結糸1×10cm当たりの質量g)、ρ(g/cm)は、立体編物の連結糸の比重である)
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