JP2004190042A - 無電解めっきの触媒付与のための前処理液、該液を使用する前処理方法、該方法を使用して製造した無電解めっき皮膜及び(又は)めっき被覆体 - Google Patents

無電解めっきの触媒付与のための前処理液、該液を使用する前処理方法、該方法を使用して製造した無電解めっき皮膜及び(又は)めっき被覆体 Download PDF

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Abstract

【課題】無電解めっきの触媒付与のための前処理液、該液を使用する前処理方法を提供する。
【解決手段】該前処理液は、少なくとも下記成分(I)、(II)及び(III):
(I)銀コロイド粒子、
(II)溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオン又は(及び)該イオンが銀イオンの還元の際に酸化されたイオンの1種又は2種以上、
(III)ヒドロキシカルボン酸イオン、縮合リン酸イオン及び(又は)アミンカルボン酸イオンの1種又は2種以上
を必須の成分として含有し、且つ、(I)の銀コロイド粒子が(II)の銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンによって生成せしめられたものである銀コロイド溶液よりなる。これにより被めっき体を前処理すると、無電解めっきのための有効な触媒付与が達成される。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、めっき技術に属し、特に無電解めっきの触媒付与技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、非金属若しくは触媒活性のない(又は低い)金属上に無電解めっきを施すための前処理である触媒付与には、ほとんどの場合、錫を含む溶液で感応性を付与したのちパラジウムを含む溶液で触媒活性を付与する方法が採用されてきた。また、パラジウムと錫を一液にした溶液で処理する方法も広く行われている。いずれにしても工業的に無電解めっきの触媒として用いられている金属は、実質的にパラジウムのみであると言える。
【0003】
このようなパラジウムと錫による触媒付与方法には、
(1)パラジウムの高騰によるコストアップ、
(2)プリント基板などの製造工程において、無電解銅めっきの触媒付与において樹脂表面に吸着されたパラジウムが、銅めっき皮膜のエッチング後にもスマットとして残留し、次いで施される無電解ニッケルめっきが、回路パターン部だけでなく樹脂上にも析出してしまう
というような問題があった。
【0004】
パラジウムを安価な他の金属に置き換えようとする研究はすでに行われており、大別して、(1)銀、銅、ニッケルなどの金属コロイド溶液を用いる方法、(2)ニッケル、銅などの水酸化物又は酸化物コロイド溶液を用いる方法、が報告されたり特許出願されたりして開示されている。
【0005】
具体的には、上記(1)の金属コロイド溶液を用いる方法には下記のような方法が開示されている。特開平6−6861には、貯蔵安定性に優れた銀コロイド液及びその調製方法が開示されている。特開平10−195667には、パラジウム、白金、金、銀及び銅塩の少なくとも1種と無機酸と水溶性の不飽和有機化合物を含有する触媒液が開示されている。特開平11−209878には、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銀及び金を水素化ホウ素化合物、アミンボラン化合物、ホルマリン、ヒドラジン及び次亜リン酸塩で還元してコロイド溶液を調製する際のコロイド安定剤として、三級アミンポリマー又は四級アンモニウムポリマーを用いることが開示されている。特開平11−241170には、銀塩、陰イオン化合物、還元剤を含むと同時に鉄、ニッケル又はコバルトの化合物を含む溶液が開示されている。特開2001−167647には、分散剤としてCOOH基とOH基を合わせて3個以上有し、かつ、COOH基がOH基と同じか、それよりも多いヒドロキシ酸塩を用いること、特にクエン酸塩を用いることが開示されている。特開2001−32092には、貴金属コロイドとしてメタンスルホン酸貴金属塩を用いることが開示されている。
【0006】
このような特許にはコロイドを形成する金属成分として銅、ニッケルなども記載されている場合もあるが、実質的な性能の観点から工業化に近いレベルにあるものは銀コロイドに限られている。
【0007】
また、上記(2)の水酸化物コロイド溶液を用いる方法には、下記のような方法が開示されている。
古くは岩井らが、米国特許(U.S.Pat.4,048,354、4,131,699、4,180,600)を参考にして、NiSO、NiCl、CuSO、CuClの溶液にアルカリを加えて調製した水酸化物のコロイド溶液に浸漬処理した被めっき体をKBH溶液に浸漬してコロイドを還元して触媒能を付与し、無電解銅めっきを行った結果を報告している(岩井正雄、真嶋宏、粟倉泰弘、金属表面技術、Vol.38,No.6,1987年)。この報告の中で、彼等はニッケル、銅とともに鉛、コバルト、カドミウム、亜鉛、マンガン、アルミニウムのコロイドについても検討している。近年これを参考にした新しい試みが報告されている。特開平11−209878には、金属水酸化物のコロイドを安定化させる方法を開示しているが、この中でコロイドを還元させる還元剤としては、水素化ホウ素化合物、アミンボラン化合物、ホルマリン、ヒドラジン及び次亜リン酸塩からなる群から選ばれる一種又は二種以上の混合物が好ましいものとしてあげられる、としている。特開2000−82878には、上記方法をビルドアップ多層プリント配線板の製造に利用することが開示されており、還元剤としては水素化ホウ素カリウムが例示されている。津留らは、前記と同様にして被めっき体表面に吸着させた金属水酸化物コロイドを、水素化ホウ素ナトリウム溶液で還元後、さらに次亜リン酸溶液で還元し、密着性を向上させようとする研究を報告している(津留豊、久米道之、大八木八七、第15回エレクトロニクス実装学術講演大会講演要旨集、25頁、2001年)。また、津留らは、金属水酸化物のコロイドを吸着させた後、カーボンと亜鉛を真空蒸着によって析出させ、その後、酸に浸漬することによって該亜鉛を溶解する際にコロイドが還元され、無電解めっきの触媒能が付与できるとする報告を行っている(津留豊、小田島梨恵、久米道之、大八木八七、第103回表面技術協会学術講演大会講演要旨集、150頁、2001年)。柳本らは、酸化銅超微粒子をエタノールに分散した溶液をスピンコート法でAlN基板に塗布し、600〜1000℃で焼成し、該酸化銅を水素雰囲気で還元後、無電解銅めっきを行って銅薄膜を得ている。(柳本博、赤松謙祐、出来成人、後藤和生、第68回電気化学協会講演大会要旨集、410頁、1S07、2001年)
【0008】
このような多くの研究にかかわらず、パラジウム以外の金属を用いる方法は、パラジウムを用いる方法に比べて触媒活性が低く、また、安定な溶液を調製する方法が確立していないなどのために、工業的には用いられるに至っていない。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−6861号公報
【特許文献2】
特開平10−195667号公報
【特許文献3】
特開平11−209878号公報
【特許文献4】
特開平11−241170号公報
【特許文献5】
特開2001−167647号公報
【特許文献6】
特開2001−32092号公報
【特許文献7】
米国特許第4,048,354号明細書
【特許文献8】
米国特許第4,131,699号明細書
【特許文献9】
米国特許第4,180,600号明細書
【特許文献10】
特開2000−82878号公報
【非特許文献1】
岩井正雄、真嶋宏、粟倉泰弘、金属表面技術、Vol.38,No.6,1987年
【非特許文献2】
津留豊、久米道之、大八木八七、第15回エレクトロニクス実装学術講演大会講演要旨集、2001年、25頁
【非特許文献3】
津留豊、小田島梨恵、久米道之、大八木八七、第103回表面技術協会学術講演大会講演要旨集、2001年、150頁
【非特許文献4】
柳本博、赤松謙祐、出来成人、後藤和生、第68回電気化学協会講演大会要旨集、1S07、2001年、410頁
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、安価な銀コロイドを用いてパラジウムの代替として十分な触媒能や密着性などの性能を有する無電解めっきの触媒の付与を行う溶液及び方法を開発することを本願発明の研究課題とした。
【0011】
本発明者は、溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンによって銀イオンを還元して生成せしめた銀コロイドが安定であること、並びに、溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンの溶液と銀化合物の溶液を混合して銀コロイドを生成させる際に、該金属のイオンを錯化剤によって安定化させておくべきであるという考えに基づいて検討を加えた結果、(II)溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオン及び(III)ヒドロキシカルボン酸イオン、縮合リン酸イオン及び(又は)アミンカルボン酸イオンの1種又は2種以上を必須の成分として含有させた溶液に銀イオンを含む溶液を添加混合することによって、微細なコロイドが生成し、銀コロイドが極めて安定に存在し、該溶液が触媒能に優れ、密着性の良好な無電解めっき皮膜を与えることを見出し、また、さらに原子番号が26から30の金属から選ばれる金属のイオンを含有させておくことによって、更に一層安定で触媒活性の高い銀コロイド溶液となすことができることを見出し、該溶液を用いることによって工業的に可能なレベルの無電解めっきの触媒付与方法を完成するに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、少なくとも下記成分(I)、(II)及び(III) :
(I)銀コロイド粒子、
(II)溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオン又は(及び)該イオンが銀イオンの還元の際に酸化されたイオンの1種又は2種以上、
(III)ヒドロキシカルボン酸イオン、縮合リン酸イオン及び(又は)アミンカルボン酸イオンの1種又は2種以上
を必須の成分として含有し、且つ、(I)の銀コロイド粒子が(II)の銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンによって生成せしめられたものである銀コロイド溶液よりなる無電解めっきの触媒付与のための前処理液に関する。
【0013】
さらに、本発明は、上記銀コロイド溶液にさらに(IV)原子番号が26から30の金属のイオンから選ばれるイオンの1種又は2種以上を含有する銀コロイド溶液よりなる無電解めっきの触媒付与のための前処理液に関する。
【0014】
また、本発明は、脱脂、エッチング、コンディショニング等の公知の前処理を施しためっき対象物を該銀コロイド溶液に浸漬又は該溶液をめっき対象物に塗布し、めっき対象物の表面に銀コロイドを吸着させ、これを無電解めっきの触媒核として用いる無電解めっきの触媒付与のための前処理方法である。
【0015】
さらに、本発明の触媒付与方法は、該コロイド溶液への浸漬等だけでも触媒能の付与は可能であるが、コロイドの吸着後、さらに酸溶液又は還元剤を含む溶液に浸漬して触媒活性を高める工程を加えることもできる。これらの工程に引き続き無電解めっきを行うものである。
【0016】
また、前記浸漬又は塗布する工程の後に、又はさらに還元剤を含む溶液又は酸溶液に浸漬し又は該溶液を塗布する工程の後に、乾燥工程をさらに加えることもできる。
発明の実施の形態を以下に詳述する。
【0017】
【発明の実施の形態】
該銀コロイド溶液は、前記(II)溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンの1種又は2種以上、及び(III)ヒドロキシカルボン酸イオン、縮合リン酸イオン及び(又は)アミンカルボン酸イオンの1種又は2種以上を溶解させた溶液と、銀化合物を溶解させた溶液とを混合することによって調製された溶液を用いる。
【0018】
また、前記(II)溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンの1種又は2種以上及び(III)ヒドロキシカルボン酸イオン、縮合リン酸イオン及び(又は)アミンカルボン酸イオンの1種又は2種以上を溶解させた溶液と、銀化合物を溶解させた溶液とを混合することによって調製した後に、さらに(III)ヒドロキシカルボン酸イオン、縮合リン酸イオン及び(又は)アミンカルボン酸イオンの1種又は2種以上をさらに追加添加する調製方法を用いることも可能である。
【0019】
従って、本発明の銀コロイド溶液を調製するためには、溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオン及び銀イオンが必須であり、さらに、後述する原子番号が26から30の金属のイオンが含有される場合がある。また、このようにして調製せられた該銀コロイド溶液には、溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンが銀イオンを還元した際に酸化されて生成したイオンが含まれる。これらの金属イオンを溶液中に安定に保持するために(III)ヒドロキシカルボン酸イオン、縮合リン酸イオン及び(又は)アミンカルボン酸イオンの1種又は2種以上が含有される。従って、これらの錯化剤も必須の成分となる。
【0020】
上記(III)ヒドロキシカルボン酸イオン、縮合リン酸イオン及び(又は)アミンカルボン酸イオンの内、ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸が好適に用いられるが、中でも、酒石酸、クエン酸、グルコン酸が一層好適に用いられ、クエン酸又はグルコン酸が最も好適に用いられる。ナトリウム又はカリウム等の塩又は酸として添加することができる。
【0021】
縮合リン酸としては、直鎖状のポリリン酸又は環状のメタリン酸を用いることができる。それらのうち直鎖ポリリン酸のピロリン酸又はトリポリリン酸が好適に用いられ、ピロリン酸が特に好適に用いられる。また、縮合リン酸はナトリウム、カリウム等との塩を用いても差し支えない。
【0022】
アミンカルボン酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、エチレンジオキシビス(エチルアミン)−N,N,N’,N’,−テトラ酢酸、グリコールエチレンジアミンテトラ酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンテトラ酢酸及びそれらの塩などから選ばれるアミンカルボン酸が好適に用いられ、酸又は塩の形態で添加することができる。
【0023】
これらの錯化剤のうち、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、ピロリン酸が一層好適に用いられ、グルコン酸、クエン酸、ピロリン酸が特に好適に用いられる。
【0024】
ヒドロキシカルボン酸イオン、縮合リン酸イオン及び(又は)アミンカルボン酸イオンは、上記銀イオンを金属銀に還元する錫、鉄又はチタンのイオン及び(又は)、さらなる安定化のために含有させる原子番号が26から30の金属のイオンから選ばれるイオンを溶液中に安定に存在させるために用いられるが、それら錯化剤の濃度は、用いる前記金属イオンの濃度によって変化させることが好ましく、少なくとも該金属イオンに対して当量以上を用いることが望ましい。その好適な濃度は、g等量換算で該金属イオンに対して1.05倍以上30倍以下であることが好ましく、一層好適には、1.3倍以上10倍以下が用いられる。
【0025】
本発明の前処理液(触媒溶液)中の銀コロイドは、銀イオンを(II)溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンによって還元することで生成せしめるが、銀イオンの供給源としては、硝酸銀、過塩素酸銀、亜硫酸銀等の無機酸塩、酢酸銀、クエン酸銀等の有機酸塩のほか後述の有機スルホン酸の銀塩等が好適に用いられる。中でも硝酸銀、有機スルホン酸銀が一層好適に用いられ、有機スルホン酸銀が最も好適に用いられる。
【0026】
銀コロイド溶液を調製する時の濃度として、銀イオンについては0.005〜100g/Lが好適に用いられ、一層好適には0.01〜50g/L、最も好適には0.05〜20g/Lが用いられる。
【0027】
(II)溶液中で銀イオンを金属銀に還元する金属のイオンとしては、2価の錫、2価の鉄、又は(及び)3価のチタンが好適に用いられるが、その中でも2価の錫が一層好適に用いられる。これらのイオンは全部又は一部が銀イオンを還元する際に酸化されたイオンの形で銀コロイド溶液中に含有されていてもよい。
【0028】
溶液中で銀イオンを金属銀に還元する金属イオンの水溶液を調製するには、公知のそれらの金属の化合物、一般には、塩又は錯体が用いられる。即ち、硫酸、塩酸、硝酸、ホウフッ酸、ケイフッ酸、燐酸、スルファミン酸等の無機酸及び後述の有機のスルホン酸或いはカルボン酸との塩或いは錯体が用いられる。
【0029】
銀コロイド溶液を調製する時の濃度として、溶液中で銀イオンを金属銀に還元する金属のイオン、即ち、錫、鉄又はチタンのイオンの濃度については0.1〜200g/Lが好適に用いられ、一層好適には1〜100g/L、最も好適には1〜50g/Lが用いられる。
【0030】
さらに、該銀コロイド溶液には、一層の安定化と触媒活性の向上のために、(IV)原子番号が26から30の金属のイオンから選ばれるイオンの1種又は2種以上をさらに含有させることができる。これらの金属は、具体的には原子番号の順に、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛である。鉄は、(II)の溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンとして錫又はチタンが用いられたときに好適に用いられる。これらの金属イオンは、銀コロイドを生成せしめる際に(II)の溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンを含む溶液に含有させておいてもよいし、銀コロイドを生成せしめた後に添加し含有せしめてもよい。
【0031】
これらの金属イオンは、0.1〜200g/Lが好適に用いられ、1〜100g/Lが一層好適に用いられ、最も好適には1〜50g/Lが用いられる。
【0032】
これらの金属の添加は、後述するコロイド溶液へ浸漬したのち還元剤を含む溶液に浸漬する方法を採用した場合に特に触媒活性を向上させる効果が認められる。必須の条件ではないが、これらの化合物は溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属の化合物の溶液と銀化合物の溶液を混合する前に、該金属の化合物溶液に含有させておくことが好ましい。
【0033】
これら、金属のイオンの供給源としても公知のそれらの金属の化合物、一般には、塩又は錯体が用いられる。即ち、硫酸、塩酸、硝酸、ホウフッ酸、ケイフッ酸、燐酸、スルファミン酸等の無機酸及び後述の有機のスルホン酸或いはカルボン酸との塩或いは錯体が用いられる。
【0034】
したがってこれらの金属塩の酸根や錯化剤は、溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属や銀の化合物を溶解した際に溶液に存在することになるが、さらに、いわゆる遊離の酸や錯化剤として錫又は銀のイオンと当量又はそれ以上に含有させることによって溶液の一層の安定化を図ることができる。また、これらの酸はpHの調整に用いることもできる。
【0035】
上記金属の塩の酸根として又はpHの調整等に用いられる前記有機スルホン酸としては、下記の一般式(A)若しくは(B)で表される脂肪族スルホン酸又は一般式(C)で表される芳香族スルホン酸が好適に用いられる。
一般式(A)
【化4】
Figure 2004190042
[ここで、RはC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルケニル基又はC〜Cのアルキニル基を表し、Xは水素、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、カルボキシル基、又はスルホン酸基を表し、そしてRの任意の位置にあってよく、nは0〜3の整数である。]で表わされる脂肪族スルホン酸、
一般式(B)
【化5】
Figure 2004190042
[ここで、RはC〜Cのアルキル基又はC〜Cのアルキレン基を表し、アルキレン基の任意の位置に水酸基があってよく、Xは塩素又は(及び)フッ素のハロゲンを表し、アルキル基又はアルキレン基の水素と置換された塩素又は(及び)フッ素の置換数は1からアルキル基又はアルキレン基に配位したすべての水素が飽和置換されたものまでを表し、置換されたハロゲン種は1種又は2種であり、塩素又はフッ素の置換基は任意の位置にあってよい。Yは水素又はスルホン酸基を表し、Yで表されるスルホン酸基の置換数は0から2の範囲にある。]で表わされる脂肪族スルホン酸、
一般式(C)
【化6】
Figure 2004190042
[ここで、Xは、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アルデヒド基、カルボキシル基、ニトロ基、メルカプト基、スルホン酸基又はアミノ基を表し、或いは2個のXはベンゼン環と一緒になってナフタリン環を形成でき、mは0〜3の整数である。]
で表わされる芳香族スルホン酸。
【0036】
上記スルホン酸として、メタンスルホン酸、メタンジスルホン酸、メタントリスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、2−ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、2−ヒドロキシエタン−1−スルホン酸、1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシブタンスルホン酸、2−ヒドロキシペンタンスルホン酸、2−ヒドロキシヘキサン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシデカンスルホン酸、2−ヒドロキシドデカンスルホン酸、1−カルボキシエタンスルホン酸、2−カルボキシエタンスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸、アリルスルホン酸、2−スルホ酢酸、2−又は3−スルホプロピオン酸、スルホコハク酸、スルホマレイン酸、スルホフマル酸、モノクロロメタンスルホン酸、パークロロエタンスルホン酸、トリクロロジフルオロプロパンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、モノクロロジフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、テトラクロロプロパンスルホン酸、トリクロロジフルオロエタンスルホン酸、モノクロロエタノールスルホン酸、ジクロロプロパノールスルホン酸、モノクロロジフルオロヒドロキシプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホサリチル酸、ベンズアルデヒドスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、フェノール−2,4−ジスルホン酸、2−スルホ酢酸、2−スルホプロピオン酸、3−スルホプロピオン酸、スルホコハク酸、スルホメチルコハク酸、スルホフマル酸、スルホマレイン酸、2−スルホ安息香酸、3−スルホ安息香酸、4−スルホ安息香酸、5−スルホサリチル酸、4−スルホフタール酸、5−スルホイソフタール酸、2−スルホテレフタール酸等が好適に用いられる。
【0037】
とりわけ、メタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸又はトリフロロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が一層好適に用いられ、その中でもメタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタン−1−スルホン酸が特に好適に用いられる。
【0038】
本発明の触媒付与のための前処理に用いる該銀コロイド溶液は、一般に(II)溶液中で銀イオンを金属銀に還元する金属のイオンを含有させた溶液又はさらに(IV)原子番号が26から30の金属のイオンから選ばれるイオンを含有させた溶液と1価銀を含有させた溶液を、攪拌しながら混合することにより調製することができるが、さらに4価錫のイオン又は錫化合物を含有させることができる。これらを含有させることにより触媒活性を一層増大させることができる。このような化合物としては、水素化物、錫酸塩、ハロゲン化物、有機錫化合物が挙げられる。また、該4価錫のイオン又は錫化合物は、2価錫を含んでいる溶液を銀イオンを含有する溶液と混合する前又は混合した後に、空気又は酸素を含む気体をバブリングすることによって過剰にならない範囲で該溶液中に生成させることもできる。
【0039】
該4価錫のイオン又は錫化合物の濃度は、特に限定はされないが、溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンの5%以上が存在するときに特に触媒活性を一層増大させることができる。また、当該溶液の安定性も向上する。
【0040】
更に、本発明に従う銀コロイド溶液には、コロイドをさらに安定化させるために、下記一般式(1)、(2)又は(3)から選ばれる炭素数が10以下で水酸基のみを置換基として有する飽和脂肪族アルコールの1種又は2種以上をさらに含有させることができる。
一般式(1)
2n+2−m(X)
[ただし、nはmより大きく10以下の整数であり、mは1〜6の整数を表す。Xは水素又は水酸基であって、同一又は異なっていてよく、Xの内少なくとも一つは水酸基である。Xが結合する炭素の位置は問わず、炭素鎖は分岐していてもよい。]
で表される鎖状の飽和脂肪族のモノ、ジ又はトリアルコール、
一般式(2)
2n−m(X)
[ただし、nはmより大きく10以下の整数であり、mは1〜6の整数を表す。Xは水素又は水酸基であって、同一又は異なっていてよく、Xの内少なくとも一つは水酸基である。Xが結合する炭素の位置は問わず、炭素鎖は分岐していてもよい。]
で表される環状の飽和脂肪族のモノ、ジ又はトリアルコール、
一般式(3)
2n+2−m(X)
[ただし、nはmより大きく10以下の整数であり、mは1〜4の整数を表す。lはn−2以下の整数を表す。Xは水素又は水酸基であって、同一又は異なっていてよく、Xの内少なくとも一つは水酸基である。Xが結合する炭素の位置は問わず、炭素鎖は分岐していてもよい。Oはエーテル性の酸素を表し、2つの炭素の間にあるが、その位置は問わない。]
で表されるエーテル結合を有した鎖状の飽和脂肪族のモノ、ジ又はトリアルコール。
【0041】
具体的には、一般式(1)で表されるアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)、1,2,3−プロパントリオール(グリセロール)、ソルビトールなどが好適に用いられ、中でもメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキシルアルコール、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)などが一層好適に用いられる。
【0042】
一般式(2)で表されるアルコールとしては、シクロヘキサノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3,5−シクロヘキサントリオールなどが好適に用いられる。
【0043】
一般式(3)で表されるアルコールとしては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどが好適に用いられる。
【0044】
これらのアルコールの中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノールは特に好適に用いられる。
【0045】
これらのアルコールは、1〜500g/Lが好適に用いられ、1〜300g/Lが一層好適に用いられ、最も好適には5〜200g/Lが用いられる。
【0046】
また、本発明の触媒付与のための前処理に用いる銀コロイド溶液には、コロイドのさらなる安定化のためにコロイド分散剤をさらに含有させることができる。コロイド分散剤は、被めっき体の表面を濡らし、銀コロイドの吸着を助けるため及び(又は)銀コロイドの分散を助けるために用いられる。それらの目的のために、アミノ酸系化合物、グリコールエーテル系化合物又はグリコールエステル系化合物、セルロース及びその誘導体系化合物、単糖類又は多糖類及びその誘導体系化合物、ゴム系化合物、界面活性剤、その他の高分子化合物など公知のコロイド分散剤が単独又は併用して利用できる。
【0047】
アミノ酸系の化合物の一例として、ベタイン、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が好適に用いられる。
【0048】
グリコールエーテル系化合物又はグリコールエステル系化合物の一例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、ラウリルポリエチレングリコールエーテル、多価アルコールとエチレンオキサイドの縮合生成物、ラウリン酸プロピレングリコール等が好適に用いられる。
【0049】
セルロース及びその誘導体系化合物の一例としては、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルヘキシルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が好適に用いられる。
【0050】
単糖類又は多糖類及びその誘導体系化合物の一例としては、蔗糖、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、イノシトール、デキストリン、スターチ、ヒドロキシエチルスターチ、デキストラン、硫酸デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、ヘパリン、アスコルビン酸、ポリエトキシソルビタンラウレート、ポリエトキシソルビタンオレエート等が好適に用いられる。
【0051】
また、ゴム系化合物のウェランゴム、キサンタンゴム、ラムサンゴム等も好適に用いられる。さらに、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、スルホラン、ラクタム、ラクトン等の水溶性有機溶媒等も好適に用いられる
【0052】
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性系のいずれもが好適に用いられ、以下に好適に用いることができる化合物の一例を挙げる。
【0053】
好適に用いられる公知のカチオン系界面活性剤としては、オニウムイオン系のものが好適に用いられ、ハロゲンイオン、即ち塩素、臭素、ヨウ素のイオンを対イオンとするものが好適に用いられる。具体的には、一例として、アルキルトリメチルアンモニウムハライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムハライド、トリアルキルメチルアンモニウムハライド、トリアルキルアンモニウムハライド、(モノ、ジ、又はトリ)2−ヒドロキシエチルアンモニウムハライド、テトラメチルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、パーフロロアルキル4級アンモニウムアイオダイド、トリメチルフェニルアンモニウムハライド、ジメチルシクロヘキシルアンモニウムハライド、メチルピリジニウムハライド、メチルキノリニウムハライド、アルキルメチルピリジニウムハライド、等が挙げられる。ここでアルキルはC10〜C40のアルキルが好適であり、ドデシル、セチル、ステアリル、ベヘニルが特に好適である。また、一例としてN,N−ジメチルピペリジニウムアンモニウムハライド、N,N−ジメチルモルフォリノアンモニウムハライド、N−メチルモルフォリノアンモニウムハライド、N−エチルモルフォリノアンモニウムハライド、N,N−ジメチルピペラジノアンモニウムハライド、N−ヒドロキシエチルピペラジノアンモニウムハライド、N−メチル−2−メチルピペラジノアンモニウムハライド、N−メチルベンゾトリアゾリウムハライド、N−メチル−2−メチルチオベンズイミダゾリウムハライド、あるいは1−ヒドロキシメチル−1−メチル−2−セチルイミダゾリニウムハライド、ポリビニルイミダゾリウムアンモニウムハライド、ハロゲン化アルキルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0054】
好適に用いられる公知のアニオン系界面活性剤の一例として、具体的には、アルキル(又はホルマリン縮合物)−β−ナフタレンスルホン酸(塩)、脂肪酸セッケン系界面活性剤、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(又はアルコキシ)ナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル硫酸エステル酸塩、高級アルコールリン酸モノエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸(塩)、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキロイルザルコシン、アルキロイルザルコシネート、アルキロイルメチルアラニン塩、N−アシルスルホカルボン酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アシルメチルタウリン酸塩、アルキル脂肪酸グリセリン硫酸エステル塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸塩、アルキルスルホカルボン酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルポリオキシエチレンスルホコハク酸塩、アミドポリオキシエチレンスルホコハク酸塩、スルホコハク酸モノオレイルアミド塩等がある。上記の塩にはアルカリ金属塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0055】
好適に用いられる公知のノニオン系界面活性剤の一例として、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(又はエステル)、ポリオキシアルキレンフェニル(又はアルキルフェニル)エーテル、ポリオキシアルキレンナフチル(又はアルキルナフトチル)エーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル(又は該フェニル基にさらにポリオキシアルキレン鎖を付加したポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル)、ポリオキシアルキレンビスフェノールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、エチレンジアミンのポリオキシアルキレン縮合物付加物、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレンヒマシ(又は/及び硬化ヒマシ油)油、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルホルマリン縮合物、グリセリン(又はポリグリセリン)脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノ(セスキ、トリ)脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ(ジ)エタノールアミド、アルキル・アルキロードアミド、オキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
【0056】
好適に用いられる公知の両性界面活性剤の一例として、具体的には、2−アルキル−N−カルボキシメチル(又はエチル)−N−ヒドロキシエチル(又はメチル)イミダゾリニウムベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル(又はエチル)−N−カルボキシメチルオキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル(又はエチル)−N−ヒドロキシエチル(又はメチル)イミダゾリン、ジメチルアルキルベタイン、ピリジニウムベタイン、N−アルキル−β−アミノプロピオン酸(又はその塩)、アルキル(ポリ)アミノエチルグリシン、N−アルキル−N−メチル−β−アラニン(又はその塩)、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、等がある。上記の塩にはアルカリ金属塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0057】
上記の界面活性剤の中でも、ポリオキシエチレン(又はプロピレン)ソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系、燐酸エステル化したポリオキシエチレンアルキルエーテル系、長鎖アルキル硫酸ナトリウム系、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム塩系等が好適に用いられる。
【0058】
さらに、その他の高分子化合物としてポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、主鎖中に尿素骨格、オニウム及びエーテル結合を有するポリマー等も好適に用いられる。
【0059】
また、いわゆる微細粒子の安定化剤又は分散剤と称されるものの中には、化合物の構造が明らかにされているものもあるがされていないものがあり、界面活性剤その他の高分子化合物などがそれらに含まれる。そのような市販分散剤としては、上記界面活性剤などと一部重複するが、ニューコール25(日本乳化剤株式会社製)、エマルゲン913(花王株式会社製)、ソルスパース43000(アビシア株式会社製)、フォスファノールRE−410(東邦化学製)、レオドールTW−L120花王株式会社製)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾールなどが好適に用いられる。
【0060】
コロイド分散剤の使用量は、それら用いる分散剤の種類によって適宜変更すればよいが、0.01〜100g/L程度が適当であり、さらに好ましくは0.01〜50g/L程度である。
【0061】
本発明の銀コロイド触媒溶液には、さらに、含硫黄化合物の1種又は2種以上を含有させることができる。含硫黄化合物を含有させた溶液で銀コロイドを生成せしめることによって、一層微細な銀コロイドを生成せしめることができる。
【0062】
本目的のために用いる含硫黄化合物の一例として、チオ尿素、チオアセトアミド、エチレンチオ尿素、トリメチルチオ尿素、1−アリル−2−チオ尿素、チオセミカルバジド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、メルカプトコハク酸、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、アセチルシステイン、チオグリコール酸などが挙げられる。
【0063】
含硫黄化合物の濃度は、それら用いる含硫黄化合物の種類によって適宜変更すればよいが、概ね1mg〜50g/Lが好適に用いられ、10mg〜5g/Lが一層好適に用いられる。
【0064】
本発明の触媒付与のための前処理に用いる銀コロイド溶液には、さらに銀の100分の1以下のパラジウムを含有させることができる。パラジウムは触媒活性が優れており、パラジウムが十分な濃度で含有されれば、良好な触媒活性を有する溶液となることは自明のことである。しかし、本願発明の銀コロイド溶液においては、通常パラジウム系の触媒付与溶液が効果を示す下限の濃度よりもさらに低い濃度のパラジウムを含有させることによって、銀コロイド溶液の触媒活性を一層高くすることができることがわかった。
【0065】
本発明の触媒付与のための前処理に用いる銀コロイド溶液には、pH緩衝剤又は還元性を有する化合物等の1種又は2種以上をさらに含有させることができる。これらはいずれも公知の化合物を用いることができる。
【0066】
pH緩衝剤としては、塩化アンモニウム、燐酸、酢酸、ほう酸、酒石酸などのナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩、さらには多塩基酸の場合には水素イオンを含む酸性塩などを適宜混合して使用できる。pH緩衝剤の使用量は1〜50g/L程度が適当であり、好ましくは1〜20g/L程度添加される。
【0067】
溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンの溶存酸素による過剰の酸化を防止し、該銀コロイド溶液を安定化させるためにさらに還元性を有する化合物を含有させることが好ましい。これら還元剤としては、アルキル又はフェニルホスフィンが好適に用いられ、その中でもトリス(3−ヒドロキシプロピルホスフィン)がさらに好適に用いられる。また、それら還元剤として、一般に酸化防止剤といわれる、ホスフィン酸、レゾルシノール、ピロカテコール、ハイドロキノン、フロログリシノール、ピロガロール、ヒドラジン、アスコルビン酸等も用いることができる。その中でもアスコルビン酸は特に好適に用いられる。
【0068】
これら還元性を有する化合物は適宜単独又は混合して用いることができるが、使用量は、0.05〜50g/L程度が適当であり、さらに好ましくは0.1〜10g/L程度である。
【0069】
本発明の触媒付与のための前処理に用いる銀コロイド溶液は、強酸性からpH12程度のアルカリ性まで広い範囲で良好な触媒能を与える。長期にわたって銀コロイドを安定に保つためには、一層好適にはpHが3以上11以下が望ましい。pHが4以上9以下の範囲がさらに好適に用いられ、pHが6以上9以下の範囲が最も好適に用いられる。
【0070】
上記の如く最も好適なpHに銀コロイド溶液を調製するためには、溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオン及び該イオンに対する錯化剤を含む溶液を予めpHを3から11の間に調整しておいて、それと銀化合物の溶液を混合するか、若しくは、溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオン及び該イオンに対する錯化剤と銀化合物の溶液を混合したのち、pHを3から11の間に調整することによって調製することができる。
【0071】
該銀コロイド溶液をpH3未満の酸性条件で用いる場合にも、該溶液を調製する際には、上述のように一旦pHを3〜11の範囲で調製し、その後pHを酸性に下げることによって、安定で触媒活性の高い銀コロイド溶液となすことができる。
【0072】
銀コロイド粒子をより微細にするため、溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオン及びヒドロキシカルボン酸、縮合リン酸、アミンカルボン酸のイオンの1種又は2種以上を含有した溶液に、銀化合物を溶解した溶液を添加混合する際に、少なくとも50℃以上に加温して調製することが望ましい。また、この場合、溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンの過度の酸化を抑制するため、窒素などの不活性ガスを液中に吹き込むことが望ましい。
【0073】
本発明の触媒付与のための前処理に用いる銀コロイド溶液は、調製直後に使用しても良好な触媒能の付与を行うこともできるが、調製後常温又は加温して24時間以上経時させることによって更に良好な触媒能を与える。この場合、経時させる温度は特に限定されないが、通常30℃〜70℃が好適に用いられる。50℃以上が一層好ましい。経時の温度50℃以上にすることで、より微細な銀コロイド粒子が生成し、触媒能の向上および浴の長期安定化に効果がある。
【0074】
一般に、本発明の銀コロイド溶液は、触媒付与の工程では、調製された濃度のままで用いることもできるが、水又は該溶液に含有される成分を含む水溶液で希釈して用いてもよい。希釈倍率は20倍以下で好適に用いられる。
しかし、上述したように、加温混合したり加温経時させたりして調製した銀コロイド溶液は、常温で調製した溶液よりも触媒活性が高く、3〜20倍に希釈しても常温で調製直後の希釈しない溶液と同程度の触媒能を付与することができる。
【0075】
本発明の無電解めっきの触媒付与方法は、基本的には、公知の触媒付与方法において塩化錫/パラジウムコロイドで処理する工程を、上述した銀コロイド溶液に置き換えて、銀コロイドを被めっき体に吸着させて触媒核とする方法である。この銀コロイド溶液への浸漬工程等だけでも触媒能の付与は可能であるが、さらに、銀コロイド溶液で処理したのち、さらに酸溶液或いは還元剤を含む溶液で処理することを含めてもよい。この溶液には場合によって微量の銅イオンを含有させてもよい。すなわち、その他の工程即ち脱脂工程、エッチング工程、あるいは表面電荷を調整するための溶液による処理、例えば第4級アンモニウムを含むポリマー等を含有する溶液による処理などのコンディショニング工程、めっき工程などには、公知の方法や処理液を利用することができる。
【0076】
従って、通常は、脱脂、エッチング及びコンディショニング工程に引き続いて、該銀コロイド溶液へ浸漬したのちめっき工程を行うか、又は、該銀コロイド溶液へ浸漬したのち酸溶液又は還元剤を含む溶液に浸漬したのち、めっき工程を行う工程を経る。もちろんこれら各工程の間には水洗工程が挟まれてよい。また、上述した被めっき体を浸漬する各工程は、各溶液を被めっき体に塗布する方法に換えても差し支えない。
【0077】
さらに、該銀コロイド溶液への浸漬後又は酸溶液又は還元剤を含む溶液に浸漬した後、乾燥工程を含んでも差し支えない。これらの乾燥工程により、触媒能は劣化しない。条件にもよるが、むしろ、触媒能は向上する。この理由は定かではないが、乾燥により有効成分がより強く吸着し、良好なめっきが可能となっているものと思われる。
【0078】
無電解めっきの種類としては、銅、銀又はニッケル(合金)が好適に利用され、銅及び銀の無電解めっきに一層好適に用いられ、銅の無電解めっきに最も好適に用いられる。
【0079】
上記還元剤を含む溶液に用いられる還元剤としては、次亜燐酸塩、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、3価のチタンイオン、2価のコバルトイオンのいずれかが好適に用いられる。中でもジメチルアミンボランが一層好適に用いられる。
【0080】
該銀コロイド溶液では、溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンとして錫を用いる場合には、2価の錫濃度が触媒能および浴安定性に影響を及ぼすが、無電解めっきを長時間連続で行ううちに、その濃度が変化する。そのため、そのようなめっき方法の場合、2価の錫イオン濃度を調整することが望ましい。その場合、錫塩を添加することも可能であるが、作業性および不純物の混入を避ける観点から、錫陽極の酸化により2価の錫イオンを連続生成させる電解法が望ましい。
【0081】
上記、電解法により2価の錫イオンを陽極で生成させる場合、生成した2価の錫イオンが陰極に達し、そこで錫金属に還元されてしまう。そこで、効率良く2価の錫イオンを生成させるため、陽極と陰極を隔膜で仕切ることが望ましい。
【0082】
隔膜は、2価の錫イオンが物理的に陰極へ通過しにくくなるようなものであればどのようなものでも良く、たとえばガラスフィルター、布等が使用できる。さらに電荷的にも2価の錫イオンを通過させにくくするために、種々のイオン交換膜を用いると、より一層、効率の良い、電解が可能となる。
【0083】
上述した無電解めっきの触媒付与のための前処理を用いて無電解めっきが施された被めっき体は、装飾品材料(部品)は勿論のこと、電気・電子材料(部品)(例えば、プリント配線板のスルーホールめっき、機器筐体のEMIシールドめっきなど)、電池材料(部品)、光通信材料(部品)として好適に用いられ、それらはさらに好適に装飾品、電気・電子機器、電池、光通信機器を構成することができる。
【0084】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例
に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得るものである。
【0085】
実施例1
下記溶液(1−a)を調製した。溶液のpHは8であった。
溶液(1−a)
イオン交換水 520g
ピロリン酸カリウム 66g
硫酸錫(錫として) 12g
別に下記溶液(1−b)を調製しておき、上記溶液(1−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した(1−c)。混合後のpHは7であった。
溶液(1−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 1g
この溶液(1−c)をそのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(1−c)に5分間浸漬した後、水洗し、下記の還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
溶液(1−d)
ジメチルアミンボラン 2g/L
NaOH 2g/L
無電解銅めっき液(1−e)
硫酸銅 10g/L
ロッシェル塩 30g/L
ホルマリン(37%) 33g/L
苛性ソーダ 20g/L
2,2’−ビピリジル 0.02g/L
浴温 25℃
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0086】
比較例1
公知の下記方法によって銀コロイド溶液を調製した。即ち下記溶液(1−f)に(1−g)を滴下混合し銀コロイド溶液を調製後、下記溶液(1−h)を添加し銀微粒子分散液を調製し、溶液のpHを2.5に調整した(1−i)。
溶液(1−f)
イオン交換水 800ml
硫酸銀 10mmol
溶液(1−g)
イオン交換水 150ml
ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸 500mg
ジメチルアミンボラン 5mmol
溶液(1−h)
イオン交換水 50ml
硫酸ニッケル 2mmol
この溶液をそのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(1−i)に5分間浸漬した後、水洗し、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。実施例1に比べて明らかに銅めっきの析出の開始が遅く、めっき外観は実施例1よりも茶色っぽかった。
得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離が認められた。
【0087】
実施例2
実施例1の触媒付与のための溶液(1−c)を建浴直後、10倍に稀釈し溶液(2−c)を調製した。溶液のpHは7であった。この溶液(2−c)を無電解銅めっきの触媒付与のための溶液として用いた。
実施例1と同じ手順、条件で無電解銅めっきを施した。実施例1と同じく、良好なめっきが得られたが、実施例1に比べて銅めっきの析出の開始が若干遅かった。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0088】
実施例3
実施例1の触媒付与のための溶液(1−c)を50℃で24時間以上放置後、10倍に稀釈し溶液(3−c)を調製した。溶液のpHは7であった。
この溶液(3−c)をそのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(3−c)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。
得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0089】
実施例4
下記溶液(4−a)を調製した。溶液のpHは7であった。
溶液(4−a)
イオン交換水 485g
ピロリン酸カリウム 100g
塩化錫(錫として) 15g
別に下記溶液(4−b)を調製しておき、上記溶液(4−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、硫酸を用いてpH6に調整した(4−c)。
溶液(4−b)
イオン交換水 400g
硫酸銀(銀として) 1g
この溶液(4−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(4−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(4−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、そのまま無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0090】
実施例5
下記溶液(5−a)を調製した。溶液のpHは9であった。
溶液(5−a)
イオン交換水 560g
ピロリン酸カリウム 33g
ピロリン酸錫(錫として) 6g
IPA 5g
別に下記溶液(5−b)を調製しておき、上記溶液(5−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、硫酸を用いてpH6に調整した(5−c)。
溶液(5−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 0.5g
この溶液(5−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(5−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(5−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、下記の溶液(5−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
溶液(5−d)
硫酸 100g
イオン交換水 900g
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0091】
実施例6
下記溶液(6−a)を調製した。溶液のpHは8であった。
溶液(6−a)
イオン交換水 370g
ピロリン酸カリウム 200g
スルファミン酸錫(錫として) 30g
ポリオキシアルキレンナフチルエーテル 0.5g
別に下記溶液(6−b)を調製しておき、上記溶液(6−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、硫酸を用いてpH4に調整した(6−c)。
溶液(6−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 2g
この溶液(6−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(6−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(6−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0092】
実施例7
下記溶液(7−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(7−a)
イオン交換水 540g
ピロリン酸カリウム 55g
メタンスルホン酸錫(錫として) 6g
テトラブチルアンモニウムハライド 0.5g
別に下記溶液(7−b)を調製しておき、上記溶液(7−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した(7−c)。混合後、KOHを用いてpH7に調整した(7−c)。
溶液(7−b)
イオン交換水 400g
メタンスルホン酸銀(銀として) 0.4g
この溶液(7−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(7−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(7−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、下記の溶液(7−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
溶液(7−d)
メタンスルホン酸 100g
イオン交換水 900g
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0093】
実施例8
下記溶液(8−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(8−a)
イオン交換水 560g
ピロリン酸カリウム 33g
フェノールスルホン酸錫(錫として) 6g
アルキルナフタレンスルホン酸 0.5g
別に下記溶液(8−b)を調製しておき、上記溶液(8−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、KOHを用いてpH8に調整した(8−c)。
溶液(8−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 0.5g
この溶液(8−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(8−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(8−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0094】
実施例9
下記溶液(9−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(9−a)
イオン交換水 480g
ピロリン酸カリウム 100g
フェノールスルホン酸錫(錫として) 18g
ジメチルアルキルベタイン 0.5g
別に下記溶液(9−b)を調製しておき、上記溶液(9−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、KOHを用いてpH8に調整した(9−c)。
溶液(9−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 1.5g
この溶液(9−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(9−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(9−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、溶液(6−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0095】
実施例10
下記溶液(10−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(10−a)
イオン交換水 580g
ピロリン酸カリウム 13g
硫酸錫(錫として) 5g
クエン酸 1g
別に下記溶液(10−b)を調製しておき、上記溶液(10−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、メタンスルホン酸を用いてpH5に調整した(10−c)。
溶液(10−b)
イオン交換水 400g
メタンスルホン酸銀(銀として) 0.4g
この溶液(10−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(10−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(10−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、下記の還元剤を含む溶液(10−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
溶液(10−d)
次亜リン酸ナトリウム 5g/L
NaOH 5g/L
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0096】
実施例11
下記溶液(11−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(11−a)
イオン交換水 560g
ピロリン酸カリウム 30g
硫酸錫(錫として) 8g
乳酸 1g
別に下記溶液(11−b)を調製しておき、上記溶液(11−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、硫酸を用いてpH5に調整した(11−c)。
溶液(11−b)
イオン交換水 400g
硫酸銀(銀として) 0.8g
この溶液(11−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(11−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(11−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、下記の還元剤を含む溶液(11−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
溶液(11−d)
水素化ホウ素ナトリウム 2g/L
NaOH 2g/L
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0097】
実施例12
下記溶液(12−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(12−a)
イオン交換水 550g
ピロリン酸カリウム 40g
硫酸錫(錫として) 10g
錫酸ナトリウム 2g
別に下記溶液(12−b)を調製しておき、上記溶液(12−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、硫酸を用いてpH5に調整した(12−c)。
溶液(12−b)
イオン交換水 400g
硫酸銀(銀として) 1g
この溶液(12−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(12−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(12−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0098】
実施例13
下記溶液(13−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(13−a)
イオン交換水 520g
ピロリン酸カリウム 70g
メタンスルホン酸錫(錫として) 10g
硫酸銅(銅濃度) 0.01g
別に下記溶液(13−b)を調製しておき、上記溶液(13−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、KOHを用いてpH8に調整した(13−c)。
溶液(13−b)
イオン交換水 400g
メタンスルホン酸銀(銀として) 1g
この溶液(13−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(13−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(13−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、下記の還元剤を含む溶液(13−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
溶液(13−d)
硫酸コバルト 0.15mol/L
エチレンジアミン 0.6mol/L
pH 8
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0099】
実施例14
下記溶液(14−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(14−a)
イオン交換水 540g
ピロリン酸カリウム 50g
メタンスルホン酸錫(錫として) 10g
塩化ニッケル(ニッケルとして) 0.01g
別に下記溶液(14−b)を調製しておき、上記溶液(14−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、KOHを用いてpH7に調整した(14−c)。
溶液(14−b)
イオン交換水 400g
メタンスルホン酸銀(銀として) 1g
この溶液(14−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(14−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(14−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、下記の還元剤を含む溶液(14−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
溶液(14−d)
三塩化チタン 0.08mol/L
クエン酸 0.24mol/L
pH 9
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0100】
実施例15
下記溶液(15−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(15−a)
イオン交換水 540g
ピロリン酸カリウム 50g
メタンスルホン酸錫(錫として) 10g
硫酸パラジウム(パラジウムとして) 0.01g
別に下記溶液(15−b)を調製しておき、上記溶液(15−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、メタンスルホン酸を用いてpH4に調整した(15−c)。
溶液(15−b)
イオン交換水 400g
メタンスルホン酸銀(銀として) 1g
この溶液(15−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(15−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(15−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0101】
実施例16
下記溶液(16−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(16−a)
イオン交換水 380g
ピロリン酸カリウム 200g
硫酸錫(錫として) 25g
ハイドロキノン 1g
別に下記溶液(16−b)を調製しておき、上記溶液(16−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、KOHを用いてpH8に調整した(16−c)。
溶液(16−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 2g
この溶液(16−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(16−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(16−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0102】
実施例17
下記溶液(17−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(17−a)
イオン交換水 550g
ピロリン酸カリウム 40g
メタンスルホン酸錫(錫として) 6g
ポリエチレングリコール 0.5g
別に下記溶液(17−b)を調製しておき、上記溶液(17−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、メタンスルホン酸を用いてpH6に調整した(17−c)。
溶液(17−b)
イオン交換水 400g
メタンスルホン酸銀(銀として) 0.6g
この溶液(17−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(17−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(17−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0103】
実施例18
下記溶液(18−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(18−a)
イオン交換水 570g
ピロリン酸カリウム 25g
メタンスルホン酸錫(錫として) 3g
カルボキシメチルセルロース 1g
別に下記溶液(18−b)を調製しておき、上記溶液(18−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、メタンスルホン酸を用いてpH4に調整した(18−c)。
溶液(18−b)
イオン交換水 400g
メタンスルホン酸銀(銀として) 0.3g
この溶液(18−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(18−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(18−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0104】
実施例19
下記溶液(19−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(19−a)
イオン交換水 560g
ピロリン酸カリウム 30g
メタンスルホン酸錫(錫として) 6g
ショ糖 1g
別に下記溶液(19−b)を調製しておき、上記溶液(19−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、KOHを用いてpH8に調整した(19−c)。
溶液(19−b)
イオン交換水 400g
メタンスルホン酸銀(銀として) 0.6g
この溶液(19−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(19−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(19−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0105】
実施例20
下記溶液(20−a)を調製した。溶液のpHは、8であった。
溶液(20−a)
イオン交換水 520g
ピロリン酸カリウム 66g
硫酸錫(錫として) 12g
別に下記溶液(20−b)を調製しておき、上記溶液(20−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した(20−c)。混合後のpHは7であった。
溶液(20−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 1g
この溶液(20−c)をそのまま無電解銀めっきの触媒付与のための溶液として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(20−c)に5分間浸漬した後、水洗し、下記の還元剤を含む溶液(20−d)に3分間浸漬し、水洗した試料を乾燥させた後、無電解銀めっき液(20−e)に浸漬した。
溶液(20−d)
ジメチルアミンボラン 2g/L
NaOH 2g/L
無電解銀めっき液(20−e)
硫酸銀 10g/L
ロッシェル塩 30g/L
ホルマリン(37%) 33g/L
苛性ソーダ 20g/L
2,2’−ビピリジル 0.02g/L
浴温 25℃
60分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銀めっき皮膜が得られた。得られた試料を、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0106】
比較例2
比較例1と同じ製法で銀微粒子分散液を調整した。この溶液をそのまま無電解銀めっきの触媒付与のための溶液として用いた。
実施例20と同じ条件で無電解銀めっきを施し、実施例20と同じ条件でテープ剥離試験を行った。100個所のうち7箇所で銀めっき皮膜の剥離が認められた。
【0107】
実施例21
下記溶液(21−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(21−a)
イオン交換水 570g
ピロリン酸カリウム 25g
メタンスルホン酸錫(錫として) 3g
ソルスパース 43000 5g
別に下記溶液(21−b)を調製しておき、上記溶液(21−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、メタンスルホン酸を用いてpH4に調整した(21−c)。
溶液(21−b)
イオン交換水 400g
メタンスルホン酸銀(銀として) 0.3g
この溶液(21−c)を55℃で24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(21−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(21−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0108】
実施例22
下記溶液(22−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(22−a)
イオン交換水 380g
ピロリン酸カリウム 200g
硫酸錫(錫として) 25g
トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン 1g
別に下記溶液(22−b)を調製しておき、上記溶液(22−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、KOHを用いてpH8に調整した(22−c)。
溶液(22−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 2g
この溶液(22−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(22−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(22−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0109】
実施例23
下記溶液(23−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(23−a)
イオン交換水 380g
ピロリン酸カリウム 120g
グルコン酸ナトリウム 100g
硫酸錫(錫として) 25g
アスコルビン酸 1g
別に下記溶液(23−b)を調製しておき、上記溶液(23−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、メタンスルホン酸を用い、pHを4に調整した(23−c)。
溶液(23−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 2g
この溶液(23−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(23−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(23−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0110】
実施例24
下記溶液(24−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(24−a)
イオン交換水 380g
酒石酸カリウム 200g
メタンスルホン酸錫(錫として) 25g
レオドール TW−L120 1g
別に下記溶液(24−b)を調製しておき、上記溶液(24−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、pHは6.7であった(24−c)。
溶液(24−b)
イオン交換水 500g
メタンスルホン酸銀(銀として) 1g
この溶液(24−c)を、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(24−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(24−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0111】
実施例25
下記溶液(25−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(25−a)
イオン交換水 380g
ピロリン酸カリウム 200g
メタンスルホン酸錫(錫として) 20g
フォスファノールRE−410 8g
アスコルビン酸 2g
別に下記溶液(25−b)を調製しておき、上記溶液(25−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、KOHを用いてpH8に調整した(25−c)。
溶液(25−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 2g
この溶液(25−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(25−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(25−c’)に5分間浸漬した後、80℃で3時間乾燥した後、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0112】
実施例26
下記溶液(26−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(26−a)
イオン交換水 380g
ピロリン酸カリウム 300g
硫酸錫(錫として) 30g
トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン 1g
アスコルビン酸 1g
別に下記溶液(26−b)を調製しておき、窒素バブリングしながら60℃で加温した上記溶液(26−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、KOHを用いてpH7に調整した(26−c)。
溶液(26−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 2g
この溶液(26−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(26−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(26−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0113】
実施例27
下記溶液(27−a)を調製した。溶液のpHは、7であった。
溶液(27−a)
イオン交換水 380g
ピロリン酸カリウム 200g
硫酸錫(錫として) 25g
別に下記溶液(27−b)を調製しておき、上記溶液(27−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した。混合後、KOHを用いてpH8に調整した(27−c)。
溶液(27−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 2g
この溶液(27−c)をアニオン交換膜を用いて陰極と陽極を仕切り、陽極に金属錫を用い、電解を行い2価の錫イオンを連続生成させながら、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(27−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(27−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。この(27−c’)を用いて1週間めっきを行ったが、1週間後も初期と同様に良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。また、得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0114】
比較例3
実施例27と同じ製法で銀微粒子分散液を調整した。この溶液をそのまま無電解銀めっきの触媒付与のための溶液として用いた。
実施例27と同じ条件で無電解銀めっきを施し、実施例27と同じ条件でテープ剥離試験を行った。2価の錫イオンを補給しなかった場合には、1週間後の溶液では良好な無電解銅めっき皮膜が得られたが、めっき開始時間が若干遅くなってくる傾向が認められた。また、得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0115】
実施例28
下記溶液(28−a)を調製した。
溶液(28−a)
イオン交換水 380g
クエン酸ナトリウム 200g
三塩化チタン 20g
別に下記溶液(28−b)を調製しておき、上記溶液(28−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した(28−c)。
溶液(28−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 2g
この溶液(28−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(28−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(28−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0116】
実施例29
下記溶液(29−a)を調製した。
溶液(29−a)
イオン交換水 380g
クエン酸ナトリウム 200g
硫酸鉄 20g
別に下記溶液(29−b)を調製しておき、上記溶液(29−a)に滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した(29−c)。
溶液(29−b)
イオン交換水 400g
硝酸銀(銀として) 2g
この溶液(29−c)を24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(29−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(29−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、還元剤を含む溶液(1−d)に3分間浸漬し、水洗の後、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0117】
実施例30
下記溶液(30−a)を調製し、pHを4とした。
溶液(30−a)
イオン交換水 380g
クエン酸ナトリウム 200g
メタンスルホン酸錫 80g
硫酸鉄 20g
ポリビニルピロリドン 500mg/L
チオ尿素 100mg/L
別に下記溶液(30−b)を調製しておき、上記溶液(30−a)を60℃に保ち、滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した(30−c)。
溶液(30−b)
イオン交換水 400g
メタンスルホン酸銀(銀として) 2g
この溶液(30−c)をKOHでpH7に調整し、60℃で24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(30−c’)として用いた。
常法に従ってエッチング、コンディショニングの前処理を施したABS樹脂試料を該溶液(30−c’)に5分間浸漬した後、水洗し、無電解銅めっき液(1−e)に浸漬した。
20分間のめっきの後、水洗、乾燥した。良好な無電解銅めっき皮膜が得られた。得られた試料を、100℃で2時間の熱処理を行った後、2mm幅にクロスカットしてテープ剥離試験を行った。その結果、めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0118】
実施例31
実施例30と同じく、前記溶液(30−a)を調製し、pHを4とした。
実施例30と同じく、銀コロイド溶液を調製し、pHを2.5に保ち(31−c)、60℃で24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(31−c’)として用いた。
実施例30と同じく、無電解銅めっき及び熱処理を施し、同様にテープ剥離試験を行った。めっき皮膜の剥離は認められなかった。
【0119】
実施例32
下記溶液(32−a)を調製し、pHを4とした。
溶液(32−a)
イオン交換水 380g
クエン酸ナトリウム 200g
メタンスルホン酸錫 20g
硫酸鉄 10g
硫酸ニッケル 1g
硫酸コバルト 1g
ポリビニルピロリドン 500mg/L
チオ尿素 100mg/L
別に下記溶液(32−b)を調製しておき、上記溶液(32−a)を60℃に保ち、滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した(32−c)。
溶液(32−b)
イオン交換水 400g
クエン酸ナトリウム 50g
メタンスルホン酸銀(銀として) 2g
この溶液(32−c)をKOHでpH7に調整し、60℃で24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(32−c’)として用いた。
実施例30と同じく、無電解銅めっき及び熱処理を施し、同様にテープ剥離試験を行った。めっき皮膜の剥離は認められなかった。溶液(1−a)を用いて調製した銀コロイド触媒溶液を用いたときよりも無電解銅めっきの被覆速度は速かった。
【0120】
実施例33
下記溶液(33−a)を調製し、pHを4とした。
溶液(33−a)
イオン交換水 380g
クエン酸ナトリウム 200g
メタンスルホン酸錫 60g
硫酸鉄 10g
硫酸銅 1g
硫酸亜鉛 1g
燐酸2水素1ナトリウム 10g
イソプロピルアルコール 10g
ポリビニルピロリドン 500mg/L
チオ尿素 100mg/L
カテコール 100mg/l
別に下記溶液(33−b)を調製しておき、上記溶液(33−a)を60℃に保ち、滴下混合し、銀コロイド溶液を調製した(33−c)。
溶液(33−b)
イオン交換水 400g
メタンスルホン酸銀(銀として) 2g
この溶液(33−c)をKOHでpH7に調整し、60℃で24時間以上放置後、そのまま無電解銅めっきの触媒付与のための溶液(33−c’)として用いた。
実施例30と同じく、無電解銅めっき及び熱処理を施し、同様にテープ剥離試験を行った。めっき皮膜の剥離は認められなかった。溶液(1−a)を用いて調製した銀コロイド触媒溶液を用いたときよりも無電解銅めっきの被覆速度は速かった。

Claims (41)

  1. 少なくとも下記成分(I)、(II)及び(III):
    (I)銀コロイド粒子、
    (II)溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオン又は(及び)該イオンが銀イオンの還元の際に酸化されたイオンの1種又は2種以上、
    (III)ヒドロキシカルボン酸イオン、縮合リン酸イオン及び(又は)アミンカルボン酸イオンの1種又は2種以上
    を必須の成分として含有し、且つ、(I)の銀コロイド粒子が(II)の銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属のイオンによって生成せしめられたものである銀コロイド溶液よりなる無電解めっきの触媒付与のための前処理液。
  2. さらに、(IV)原子番号が26から30の金属のイオンから選ばれるイオン(前記(II)の金属が鉄である場合にあっては原子番号が27から30の金属)の1種又は2種以上を含有する請求項1に記載の前処理液。
  3. 前記ヒドロキシカルボン酸がクエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸及びグルコン酸から選ばれるカルボン酸の1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の前処理液。
  4. 前記縮合リン酸がピロリン酸である請求項1〜3のいずれかに記載の前処理液。
  5. 前記アミンカルボン酸がEDTA又は(及び)NTAである請求項1〜4のいずれかに記載の前処理液。
  6. 前記溶液中で銀イオンを金属銀に還元し得る電位を有する金属が錫、鉄又はチタンである請求項1〜5のいずれかに記載の前処理液。
  7. 前記原子番号が26から30の金属が鉄である請求項1〜6のいずれかに記載の前処理液。
  8. 銀コロイド溶液が下記(i)〜(ii):
    (i)硫酸、塩酸、硝酸、ホウフッ酸、ケイフッ酸、燐酸、スルファミン酸、
    (ii)有機スルホン酸
    から選ばれる酸のイオンの1種又は2種以上をさらに含有する請求項1〜7のいずれかに記載の前処理液。
  9. 前記(ii)有機スルホン酸が、下記の一般式(A)若しくは(B)で表される脂肪族スルホン酸又は一般式(C)で表される芳香族スルホン酸の1種又は2種以上である請求項1〜8のいずれかに記載の前処理液:
    一般式(A)
    Figure 2004190042
    [ここで、RはC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルケニル基又はC〜Cのアルキニル基を表し、Xは水素、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、カルボキシル基、又はスルホン酸基を表し、そしてRの任意の位置にあってよく、nは0〜3の整数である。]で表わされる脂肪族スルホン酸、
    一般式(B)
    Figure 2004190042
    [ここで、RはC〜Cのアルキル基又はC〜Cのアルキレン基を表し、アルキレン基の任意の位置に水酸基があってよく、Xは塩素又は(及び)フッ素のハロゲンを表し、アルキル基又はアルキレン基の水素と置換された塩素又は(及び)フッ素の置換数は1からアルキル基又はアルキレン基に配位したすべての水素が飽和置換されたものまでを表し、置換されたハロゲン種は1種又は2種であり、塩素又はフッ素の置換基は任意の位置にあってよい。Yは水素又はスルホン酸基を表し、Yで表されるスルホン酸基の置換数は0から2の範囲にある。]で表わされる脂肪族スルホン酸、
    一般式(C)
    Figure 2004190042
    [ここで、Xは、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アルデヒド基、カルボキシル基、ニトロ基、メルカプト基、スルホン酸基又はアミノ基を表し、或いは2個のXはベンゼン環と一緒になってナフタリン環を形成でき、mは0〜3の整数である。]
    で表わされる芳香族スルホン酸。
  10. 銀コロイド溶液が下記一般式(1)、(2)又は(3)から選ばれる炭素数が10以下で水酸基のみを置換基として有する飽和脂肪族アルコールの1種又は2種以上をさらに含有する請求項1〜9のいずれかに記載の前処理液:
    一般式(1)
    2n+2−m(X)
    [ただし、nはmより大きく10以下の整数であり、mは1〜6の整数を表す。Xは水素又は水酸基であって、同一又は異なっていてよく、Xの内少なくとも一つは水酸基である。Xが結合する炭素の位置は問わず、炭素鎖は分岐していてもよい。]
    で表される鎖状の飽和脂肪族のモノ、ジ又はトリアルコール、
    一般式(2)
    2n−m(X)
    [ただし、nはmより大きく10以下の整数であり、mは1〜6の整数を表す。Xは水素又は水酸基であって、同一又は異なっていてよく、Xの内少なくとも一つは水酸基である。Xが結合する炭素の位置は問わず、炭素鎖は分岐していてもよい。]
    で表される環状の飽和脂肪族のモノ、ジ又はトリアルコール、
    一般式(3)
    2n+2−m(X)
    [ただし、nはmより大きく10以下の整数であり、mは1〜4の整数を表す。lはn−2以下の整数を表す。Xは水素又は水酸基であって、同一又は異なっていてよく、Xの内少なくとも一つは水酸基である。Xが結合する炭素の位置は問わず、炭素鎖は分岐していてもよい。Oはエーテル性の酸素を表し、2つの炭素の間にあるが、その位置は問わない。]
    で表されるエーテル結合を有した鎖状の飽和脂肪族のモノ、ジ又はトリアルコール。
  11. 前記炭素数が10以下で水酸基のみを置換基として有する飽和脂肪族アルコールが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)、1,2,3−プロパントリオール(グリセロール)及びソルビトールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜10のいずれかに記載の前処理液。
  12. 銀コロイド溶液がコロイド分散剤をさらに含有する請求項1〜11のいずれかに記載の前処理液。
  13. 銀コロイド溶液が含硫黄化合物をさらに含有する請求項1〜12のいずれかに記載の前処理液。
  14. 銀コロイド溶液が前記銀コロイドの100分の1以下のパラジウムコロイドをさらに含有する請求項1〜13のいずれかに記載の前処理液。
  15. 銀コロイド溶液がpH緩衝剤をさらに含有する請求項1〜14のいずれかに記載の前処理液。
  16. 銀コロイド溶液が還元性を有する化合物の1種又は2種以上をさらに含有する請求項1〜15のいずれかに記載の前処理液。
  17. 前記還元性を有する化合物がアルキル又はフェニルホスフィンである請求項1〜16のいずれかに記載の前処理液。
  18. 前記アルキルホスフィンがトリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンである請求項1〜17のいずれかに記載の前処理液。
  19. 前記還元性を有する化合物がフェノール類又はアスコルビン酸である請求項1〜18のいずれかに記載の前処理液。
  20. 銀コロイド溶液が3以上11以下のpHを有する請求項1〜19のいずれかに記載の前処理液。
  21. 銀コロイド溶液が、少なくとも前記(II)及び(III)又はさらに(IV)を含有した溶液を、予めpHを3から11の間に調整しておき、その後、銀化合物を溶解した溶液を添加混合することによって調製されたものである請求項1〜20のいずれかに記載の前処理液。
  22. 銀コロイド溶液が、少なくとも前記(II)及び(III)又はさらに(IV)を含有した溶液に、銀化合物を溶解した溶液を添加混合し、その後pHを3から11の間に調製することによって調製されたものである請求項1〜20のいずれかに記載の前処理液。
  23. 銀コロイド溶液が3未満のpHを有する請求項1〜19のいずれかに記載の前処理液。
  24. 銀コロイド溶液が、請求項21に記載の方法によって調製した後、さらにpHを3未満に調整することによって調製されたものである請求項1〜19又は21のいずれかに記載の前処理液。
  25. 前記、銀化合物を溶解した溶液を添加混合する際に、少なくとも50℃以上に加温して調製されたものである請求項1〜24のいずれかに記載の前処理液。
  26. 前記銀化合物を溶解した溶液を添加混合した後、24時間以上経時させた溶液である請求項1〜25のいずれかに記載の前処理液。
  27. 前記24時間以上経時させる際に、少なくとも50℃以上に加温して調製されたものである請求項1〜26のいずれかに記載の前処理液。
  28. 銀コロイド溶液が、銀化合物を溶解した溶液を添加混合した後、さらにヒドロキシカルボン酸、縮合リン酸又はアミンカルボン酸(又はそれらの塩)の1種又は2種以上を追加添加した溶液である請求項1〜27のいずれかに記載の前処理液。
  29. 請求項1〜28のいずれかに記載の銀コロイド溶液に被めっき体を浸漬又は該溶液を被めっき体に塗布すること等によって適用する工程を含む無電解めっきの触媒付与のための前処理方法。
  30. 前記浸漬又は塗布する工程の後に、還元剤を含む溶液又は酸溶液に浸漬し又は該溶液を塗布する工程をさらに含む請求項29に記載の前処理方法。
  31. 前記還元剤を含む溶液が、次亜燐酸塩、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、3価のチタンイオン、2価のコバルトイオンのいずれかを含む溶液である請求項30に記載の前処理方法。
  32. 前記浸漬又は塗布する工程の後に、又はさらに還元剤を含む溶液又は酸溶液に浸漬し又は該溶液を塗布する工程の後に、乾燥工程を含む請求項29〜31のいずれかに記載の前処理方法。
  33. 前記浸漬又は塗布する工程の前に、脱脂、エッチング又は(及び)コンディショニング工程をさらに含む請求項29〜32のいずれかに記載の前処理方法。
  34. 請求項29〜33のいずれかに記載の前処理方法により処理された被めっき体に無電解めっきをする工程を含む無電解めっき方法。
  35. 無電解めっきの種類が、銅めっき又は銀めっきである請求項34に記載の無電解めっき方法。
  36. 請求項1〜28のいずれかに記載の銀コロイド溶液前処理液を、錫を陽極とする電解を行いながら使用することを含む無電解めっき方法。
  37. 前記銀コロイド溶液を電解するに際して、隔膜を用いる請求項36に記載の無電解めっき方法。
  38. 前記隔膜が、イオン交換膜である請求項37に記載の無電解めっき方法。
  39. 請求項34〜38のいずれかに記載のめっき方法を用いて製造した無電解めっき皮膜又は(及び)無電解めっき被覆体。
  40. 請求項39に記載の無電解めっき皮膜又は(及び)無電解めっき被覆体を用いて製造した電気・電子材料(部品)、電池材料(部品)、光通信材料(部品)。
  41. 請求項40に記載の電気・電子材料(部品)、電池材料(部品)、光通信材料(部品)を用いて製造した電気・電子機器、電池、光通信機器。
JP2002326687A 2002-03-05 2002-11-11 無電解めっきの触媒付与のための前処理液、該液を使用する前処理方法、該方法を使用して製造した無電解めっき皮膜及び(又は)めっき被覆体 Expired - Fee Related JP4143385B2 (ja)

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