JP2004187858A - ミシンの上糸保持装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリンダベッドミシンに適用可能な構成としつつ上糸端部の中釜レース面に対する接触を防ぐ。
【解決手段】上糸の端部を保持する保持部21と,当該保持部に対して挟持位置と開放位置とに相対的に移動して保持部との間で上糸の端部を挟持開放する挟持部31とを備え、当初は縫い針の上下動経路上の第一移動位置に、縫製開始後にそこからミシン立胴部側に離間した第二移動位置に、数針後,さらに離間した第三移動位置に移動する挟持手段20と、該挟持手段20を第一移動位置から第三移動位置へ移動させる移動手段40と、保持部21と挟持部31とを、第一移動位置で縫い針の上下動経路Nを挟む配置とし、第二移動位置への移動に際して相互に接近させ、第三移動位置で相互に離間させる関連動作手段60とを備えている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミシンの上糸保持装置に係り、縫い始め所定針数の針落ちまで上糸の端部を保持するミシンの上糸保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ミシンの縫製作業においては、縫い針の糸通し穴に上糸を挿通し、その先端部がフリーな状態で第一針目が開始されることから、縫い始めの布の裏側に残る上糸の長さを短くしつつ縫い始めの縫い目を確実に形成するために、縫い始めである第一針目から所定針数の針落ちまで、上糸の端部を針板の裏側で挟持する上糸保持装置が使用されつつある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、透孔が設けられた糸つかみを、縫い針の端部を捕捉するための捕捉位置と、捕捉した上糸端部を保持する保持位置と、保持した上糸端部を開放する解放位置とに移動させる上糸保持装置(文献中では「糸つかみ装置」と記載)が開示されている。かかる上糸保持装置は、捕捉位置において、糸つかみの透孔を縫い針の上下動経路上に位置決めし、第一針目の縫い針の上昇後に釜軸方向に沿って保持位置まで退避させる。そして、保持位置において、透孔に捕捉された上位置の端部を、針板に設けられた挟持面と糸つかみの上面との間で挟持する。さらに、所定針数分の縫製が行なわれると、糸つかみを針板から離間する方向に回動させて、針板と糸つかみとによる上糸端部の挟持状態を解除することで解放を行っている。
【0004】
特許文献2には、糸掴み板とその外縁に沿って移動可能に支持された糸掴みワイヤとを備え、糸掴みワイヤを糸掴み板の先端部よりも前方に繰り出してループを形成し、糸掴みワイヤを引き込むことで、ループ内に挿通された上糸端部を糸掴み板の先端部と糸掴みワイヤとで挟持する上糸保持装置が開示されている(文献中では「ミシンの鳥の巣防止装置」と記載)。かかる上糸保持装置では、ループを形成した状態で縫い針の上下動経路上にループが位置するように糸掴みワイヤ及び糸掴み板を位置決めし、第一針目の縫い針が上昇後に糸掴みワイヤを引き込んで上糸端部を保持する。このときの保持力は、天秤の引き上げ力よりも弱く設定されており、上糸端部の保持長さは天秤の引っ張り力で短縮され、さらに、数針の縫製が繰り返されることで布の送りにより自然に上糸が糸掴みワイヤ及び糸掴み板の間から引き抜かれる。そして、その後、糸掴みワイヤ及び糸掴み板は退避位置まで退避される。
【0005】
【特許文献1】
特許2671478号公報
【特許文献2】
特開2000−325683号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、各特許文献1,2に記載された上記従来の上糸保持装置は何れも、上糸を挟持する部材が移動する方向が針の上下動経路よりもミシンベッド先端方向であり、上糸を挟持する部材も針の上下動経路よりもミシンベッド先端側に配置され、ミシンベッド先端側に上糸保持装置を格納するスペースが必要であった。このような上糸保持装置は、ミシンベッドの先端側が細長短小を要求されるシリンダベッドミシンには、採用できなかった。
【0007】
本発明は、上記従来例の有する不都合を改善し、上糸保持後の端部側の長さを短く維持しつつシリンダベッドミシンにも適用可能なミシンの上糸保持装置を提供することを、その目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、縫い始めに縫い針に挿通されている上糸の端部を針板の下方で,且つ,縫い針に対する中釜の剣先の通過経路の上方で挟持すると共に、挟持した上糸の端部を縫い針の上下動経路から離れた位置に移動させ、所定針数の針落ち後、挟持した上糸の端部を開放するミシンの上糸保持装置において、上糸の端部を保持する保持部と,当該保持部に対して挟持位置と開放位置とに相対的に移動して保持部との間で上糸の端部を挟持開放する挟持部とを備え、縫い針の上下動経路上に位置する第一移動位置と、第一移動位置から縫い針の上下動経路に対してミシンの立胴部側に離間する第二移動位置と、第二移動位置より更に縫い針の上下動経路からミシンの立胴部側に離間する第三移動位置とに移動する挟持手段と、該挟持手段を縫い始めに第一移動位置から第二移動位置に移動させ、所定針数の針落ちの間停止した後に第二移動位置から第三移動位置に移動させる移動手段と、挟持手段が第一移動位置に位置するときに、挟持部を縫い針の上下動経路よりミシンの立胴部側の位置に配置すると共に、保持部を縫い針の上下動経路を挟んで挟持部と対向する位置に配置し、挟持手段が第一移動位置から第二移動位置に移動するときに,保持部と挟持部の双方を互いに接近する方向に移動させて上糸の端部の挟持を行わせると共に挟持手段を第二移動位置に移動させ、挟持手段が第二移動位置から第三移動位置に移動するとき又は第三移動位置において,挟持部と保持部とを隔離させて挟持した上糸の端部を開放させるように、挟持部及び保持部を移動手段の移動に機械的に連動させる関連動作手段とを備える、という構成を採っている。
【0009】
上記構成にあっては、挟持手段が第一移動位置に位置決めされ、縫い針の上下動経路を挟んでミシン立胴部側の一方に保持部が、他方に挟持部が配置される。かかる状態で、縫い針の第一針目の下降及び上昇により保持部と挟持部との間に上糸端部が挿通される。
そして、かかる状態で挟持手段は第一移動位置からミシン立胴部側に離間する第二移動位置に移動される。この移動において、保持部は挟持部側に向かって移動し、挟持部は保持部側に向かって移動するので、これらが当接する挟持位置は第一移動位置における挟持部の位置よりも縫い針の上下動経路に接近する。
そして、挟持手段は第二移動位置に到達後その場所で待機し、所定数の針落ちが行われると、さらにミシン立胴部側に離間する第三移動位置に向かって移動する。その際、関連動作手段により保持部と挟持部とが離間するので上糸端部が解放される。
【0010】
かかる構成においては、挟持手段は、縫い針が上下動する位置からミシンの立胴部側に向かって移動することになる。挟持手段がミシンの立胴部側に向かって移動するということは、ミシンベッドの縫い針の上下動経路よりも先端側に挟持手段を移動するためのスペースを確保する必要がないということであり、このような構成とすることによりシリンダベッドにも適用可能とすることができる。
また、このように挟持手段が第一移動位置からミシン立胴部側の第二移動位置に移動され、この移動中に上糸を挟特する構成とした場合、保持部のみをミシン立胴部側に位置する狭持部に向かって移動して上糸を挟持すると、布裏に残る上糸端部の長さを短くするためには挟持部を縫い針の上下動経路に近接する位置に配置する必要があるが、この場合、中釜の剣先によってすくわれた上糸ループを拡張し中釜のレース面への接触を防止する上糸ガイド板による上糸の拡張がこの挟持部によって妨げられ、上糸が中釜の釜軸側レース面に触れて汚れたり、中釜の釜軸側レース面に引き込まれたりするという不具合が発生する。一方、このような不具合の発生を回避するため、挟持部の位置を針の上下動経路から離した位置に配置すると、今度は、上糸端部の挟持位置が針の上下動経路から離れて、布裏に残る糸残り長さを短くすることができないという問題が発生する。
しかし、上記請求項1記載の発明においては、上糸端部を挟持する際に挟持部も保持部に向かって移動するので、中釜の剣先が上糸ループをすくう際には挟持部を針の上下動経路より所定距離離して配置しておき、その後、針が挟持部と保持部との間から抜けてから挟持部を縫い針の上下動経路に近い挟持位置に移動して上糸を挟持することができる。従って、上糸ガイド板が上糸を拡張するのを妨げることなく布裏に残る糸残り長さを短くすることができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、関連動作手段は、挟持手段が第一移動位置に位置するときの挟持部の先端部の配置を、針板に設けられた針穴の釜軸側側縁と中釜の釜軸側レース面の上端縁とを結ぶ直線よりも釜軸側とし、挟持手段が第一移動位置から第二移動位置に移動するときの保持部と挟持部とによる上糸の端部の挟持を行う位置を縫い針の上下動経路近傍とする、という構成を採っている。
【0012】
上記構成では、請求項1記載の発明と同様の作用を奏すると共に、挟持手段が第一移動位置にあるときに、挟持部はその先端部が針穴の釜軸側側縁と中釜の釜軸側レース面の上端縁とを結ぶ直線よりも釜軸側に位置し、当該直線より縫い針の上下動経路側には侵入させない配置とされる。かかる針穴の釜軸側側縁と中釜の釜軸側レース面の上端縁とを結ぶ直線は、上糸が通過する範囲の境界を示し、挟持部をかかる直線より釜軸側とすることで上糸ガイド板による上糸ループの拡張の妨げを確実に防止し、中釜の釜軸側レース面と上糸との接触のより効果的な回避を図る。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、挟持手段は、保持部を備える保持部材と、挟持部を備える挟持部材とを有し、関連動作手段は、挟持部材と保持部材とをそれぞれ釜軸に沿った方向に往復可能に支持するガイド手段と、挟持部と保持部とが互いに接近する方向に挟持部材と保持部材との間に常時張力を付与する張力付勢手段と、自らの揺動による姿勢変化に応じて挟持部と保持部とを接離させることを可能として挟持部材と保持部材のそれぞれに連結されると共に,移動手段による挟持手段の各移動位置への移動力が入力される相対位置調節リンク体と、挟持手段が第一移動位置にあるときに,相対位置調節リンク体に当接して挟持部と保持部とを離間させる方向に揺動せしめる第一の当接部材と、挟持手段が第三移動位置にあるときに,相対位置調節リンク体に当接して挟持部と保持部とを離間させる方向に揺動せしめる第二の当接部材と、を有し、相対位置調節リンク体は、その長手方向に沿うように、挟持部材との回動係合部と保持部材との回動係合部とこれらの間に位置する移動手段との回動係合部とが設けられ、第一の当接部材は、挟持部材との回動係合部と移動手段との回動係合部との間の位置で当接する、という構成を採っている。
【0014】
上記構成では、請求項1又は2記載の発明と同様の作用を奏すると共に、挟持手段が第一移動位置に配置されるときには、相対位置調節リンク体は第一の当接部材によりその当接位置を支点として揺動せしめられ、張力付勢手段に抗して保持部と挟持部とを離間させる。
そして、第二移動位置へ移動する際には、移動に伴って相対位置調節リンク体に対する第一の当接部材の当接状態が解除される。従って、相対位置調節リンク体は第一の当接部材との当接点を支点として張力付勢手段により復帰される方向に揺動する。相対位置調節リンク体はこのように挟持部材との回動係合部と保持部材との回動係合部との間を支点として揺動するので、保持部と挟持部とは互いに接近する方向に移動せしめられる。このため、挟持手段の第二移動位置への移動に際して上糸端部の保持が行われる。
さらに、第二移動位置から第三移動位置への移動に際して、第三移動位置への接近と共に第二の当接部材が相対位置調節リンク体を揺動させるため、挟持状態にあった保持部と挟持部とは互いに離間せしめられ、挟持していた上糸端部が開放される。
【0015】
【発明の実施の形態】
(ミシンの全体的な概略構成)
本発明の実施形態である上糸保持装置10を適用したミシン100について図1乃至図18に基づいて説明する。図1はミシン100の概要を示す全体図である。かかるミシン100は、その外形的な概略が、その下部に位置するミシンベッド101と、ミシンベッド101の一端部から上方に立ち上げられたミシン立胴部102と、ミシン立胴部102の上方からミシンベッド101に沿うように延設されたミシンアーム103とから構成されている。なお、ミシン100は、上記ミシンベッド101の先端部が略筒状に形成されると共に後述するX軸方向の幅が他の部位よりも狭く設定されたいわゆるシリンダベッドミシンに相当するものである。
なお、ミシン100の構成を説明するにあたって、後述する縫い針104の上下動方向をZ軸方向とし、これと直交する方向であってミシンベッド101及びミシンアーム103の長手方向をY軸方向とし、Z軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をX軸方向とする。また、ミシン100を水平面上に設置した場合に、Z軸方向における+側が上,−側が下となり、X軸方向における+側を右,−側を左、Y軸方向における+側を前,−側を後と表現する。
【0016】
ミシン100は、ミシンアーム103の先端部に設けられ,ミシンモータ105により上下方向に往復駆動する縫い針104と、ミシンアーム103の上部に設けられ,縫い針104に上糸を供給するための図示しない上糸供給源と、この上糸供給源と縫い針104との間で上糸を所定の荷重で挟持してその送り方向の移動に抵抗力を発生させる糸調子装置106と、この糸調子装置106と縫い針104との間で所定のタイミングで天秤107により上糸の引き上げを行う天秤装置と、ミシンベッド101の上面に設けられ,縫い針104の先端部を挿通させる針穴108aが設けられた針板108と、ミシンベッド101内であって針板108の下方に設けられ,下降した縫い針104から上糸ループをすくい取ると共に当該ループに下糸を挿通させる釜機構120と、針板108と釜機構120の間において縫い針104の第一針目の上昇時に上糸端部の保持を行う上糸保持装置10と、ミシンベッド101内に設けられ,縫製後に上糸及び下糸を切断する図示しない糸切り装置と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段80とを備えている。
【0017】
上記縫い針104はその先端部(下端部)より幾分上に糸通し穴が形成されており、この糸通し穴に上糸が挿通される。また、縫い針104は針棒104aの下端部に支持されており、この針棒104aは、図示しないクランク機構によりミシンモータ105からの回転駆動力が上下往復駆動力に変換されて付与され、所定周期で往復上下動を行う。ミシンモータ105にはその回転角度量を検出するためのエンコーダ109が併設されており、縫い針104が上死点位置にある時を0°として現在のミシンモータ105の出力軸が0〜360°のいずれの角度位置にあるかを動作制御手段80に出力する。
【0018】
天秤107は、上糸挿通穴(図示略)が設けられ、上糸が挿通された状態で上下動を行うことにより、その上昇時に縫い針104に挿通された上糸の引き上げを行う。また、天秤装置は、天秤107を縫い針104と同じ周期で上下動させるが、天秤107が上死点隣タイミングは、縫い針の上死点よりも幾分遅れるように設定されている。
【0019】
図6に示すように、釜機構120は、往復半回転を行い,回転周方向に沿って突出した剣先121により上糸のループを捕捉する中釜122と、中釜122を回転自在に支持する大釜123と、大釜123の上部に設けられた上糸ガイド板124と、ミシン立胴部側から大釜123に向かってミシンベッド長手方向に平行に延びて図示しないドライバーを介して中釜122に往復半回転駆動力を付与する釜軸125とを有している。
【0020】
上記中釜122は、半回転を繰り返し行えるようにその外周渡ってレール状の突出構造部126が形成され、その両側に釜123の支持溝123aと摺接するレース面127,128を備えている。また、剣先121は上記レール状の突出構造部126の端部に形成されており、中釜122の一方の半回転動作により、上糸ガイド板124のガイド穴から侵入した縫い針104の糸通し穴のすぐ脇を通過することで上糸のループをすくい取る。このため、剣先122は、その先端部が、中釜122の回転中心線に沿った一方の方向Lに偏った形状に形成されると共に、剣先121及び突出構造部126は、縫い針104の上下動経路Nに対して回転中心線に沿った他方の方向R側に配置される。
【0021】
また、釜軸125は、中釜122に対してR側に位置しており(以下、方向R側を釜軸側とする)、直接,中釜122に連結されてはいないが、中釜122に併設されて共に往復半回動を行うドライバを介して中釜122に往復半回転の駆動力を伝達する。
かかる釜機構120の釜軸125はY軸方向に平行に配設されており、中釜121に対してY軸方向−側に位置すると共にかかる方向から往復半回転駆動力の付与を行う。また、釜軸125は、ミシンモータ105から分岐された駆動力が往復回動に変換されて伝達される構成であり、縫い針104の上下往復動作と中釜122の往復半回動動作とについて所定位相差で同期が図られている。
【0022】
上糸ガイド板124は、上糸の中釜122のレース面127及び128に対する接触や巻き込みを防止するための板状の部材で、図6の上方(矢印U方向)から見ると図4に示すような形状のガイド穴124aが設けられ、ガイド穴124aの右側略中央部には、中釜122の剣先121によってすくい取られた上糸ループを広げるための糸分け部124bが設けられている。図5及び図17に示すように、矢印S方向に回転する剣先121によってすくい取られた上糸ループは、この糸わけ部124bによって剣先121を境に縫い針側の糸Nと布側の糸Nとに前後に大きく分離され、中釜122の両レース面127,128に対する接触や巻き込みが防止される。
【0023】
(上糸保持装置の構成)
上記上糸保持装置10は、縫い始めの上糸端部が布地から抜脱することを防止するために、縫い始めに縫い針104に挿通されている上糸の端部を針板108の下方で,且つ,縫い針104に対する中釜121の剣先の通過経路の上方で挟持すると共に、挟持した上糸の端部を縫い針104の上下動経路から離れた位置に移動させ、所定針数の針落ち後、挟持した上糸の端部を開放するものである。
【0024】
上糸保持装置10は、上糸の端部を保持する保持部21と,当該保持部21に対して挟持位置と開放位置とに相対的に移動して保持部21との間で上糸の端部を挟持開放する挟持部31とを備える挟持手段20と、挟持手段20を、縫い針104の上下動経路N(図6参照)上に位置する第一移動位置と、第一移動位置から縫い針104の上下動経路N(Z軸方向に平行であって,上死点における縫い針104の先端位置から下死点における縫い針104の先端位置を結ぶ経路)に対して後方(ミシン立胴部102側)に離間した第二移動位置と、第二移動位置より更に後方(ミシン立胴部102側)に離間した第三移動位置とに移動させることを可能とすると共に、縫い始めに第一移動位置から第二移動位置に移動させ、所定針数の針落ちの間停止した後に第二移動位置から第三移動位置に移動させる移動手段40と、挟持手段20が第一移動位置に位置するときに,挟持部31を縫い針104の上下動経路よりミシン立胴部102側の位置に配置すると共に保持部21を縫い針104の上下動経路Nを挟んで挟持部31と対向する位置に配置し、挟持手段20が第一移動位置から第二移動位置に移動するときに,保持部21と挟持部31の双方を互いに接近する方向に移動させて上糸の端部の挟持を行わせると共に挟持手段20を第二移動位置に移動させ、挟持手段20が第二移動位置から第三移動位置に移動するとき又は第三移動位置において,挟持部31を保持部21と隔離させて挟持した上糸の端部を開放させるように、挟持部31及び保持部21を移動手段20の移動に機械的に連動させる関連動作手段60とを備えている。以下、各部を詳細に説明する。
【0025】
(上糸保持装置の挟持手段)
図2は上糸保持装置10の主要な全体構成を示す斜視図、図3はその分解斜視図である。
これらに示されるように、挟持手段20は、保持部21を備える保持部材22と、挟持部31を備える挟持部材32とを有している。これらの各部材22,32は、いずれもその全体形状が長尺板状であり、これらは挟持部材32を上として重ね合わされ、いずれもその長手方向をY軸方向に平行に向けられた状態で当該Y軸方向(前後方向)に沿って双方が滑動可能に関連動作手段60に支持される。以下、挟持手段20の各部の説明において方向を示す言葉が使用される場合には、特にことわりがない限り、挟持手段20が関連動作手段60に支持された状態における方向を示しているものとする。
【0026】
保持部材22は、前側と後側となる各端部にそれぞれ前後方向に沿って長方形状の貫通穴23,24が形成され、前側の貫通穴23の内面であって最も前端に位置し且つY軸+方向に対向する面を含む部位が保持部21となっている。また、この前側の貫通穴23は挟持部材32の挟持部31の前後方向移動を案内するガイド穴としても機能する。
保持部材22の後側の貫通穴24は、後述する関連動作手段60の引っ張りバネ62が配置され、その伸縮を行う動作領域を形成する。かかる後側の貫通穴24の前端部に引っ張りバネ62の一端部が連結される。
また、保持部材22のY軸方向中間部やや後寄りの位置にはX軸−方向に向かって延設されたブラケット部25が設けられ、その先端部には下方に向かって延出された丸棒状の係合ピン26が固定装備されている。保持部材22は、かかる係合ピン26を介して関連動作手段60による前後方向の移動力が入力される。
【0027】
挟持部材32は、前側部33と後側部34とに二分割されており、これらが連結体35により連結されることで一体の略長尺板形状を形成する。前側部33の前端部には挟持部31が設けられており、かかる挟持部31は、保持部21に対して接離及び当接可能な平面部30と当該当接時に保持部21の下方を通過して保持部材22の先端面より前方に突出する屈曲部36とを有している。
従って、保持部材22と挟持部材32との相対的な最接近動作により保持部材22の前側貫通穴23に上方から挿通された上糸を、保持部21と挟持部31の平面部30とにより挟持することが可能である。また、挟持された上糸は、平面部30の下端部から前方に向かって延設された屈曲部36により、前方に向かって折り曲げられ、上糸を前方から下方にしなう状態とすることができる。これにより、上糸端部は、屈曲部36により、より前方に位置した状態で垂れ下がることとなるので、その下方に位置する釜機構120の中釜122よりも前方にずらされて、当該中釜122への接触や巻き込みを防止することができる。
【0028】
後側部34は、前後方向に沿って貫通穴37が形成され、挟持部材32と保持部材22とが重ね合わされた状態で関連動作手段60に支持された場合に、貫通穴37は前述した保持部材22の後側貫通穴24と重合し、これらの内側に関連動作手段60の引っ張りバネ62が配置され、その伸縮を行う動作領域を形成する。かかる貫通穴37の後端部に引っ張りバネ62の他端部が連結される。従って、挟持部材32は保持部材22と引っ張りバネ62を介して連結された状態となり、保持部材22の保持部21と挟持部材32の挟持部31とは常時互いに接近し当接する方向に弾性力が付与されることとなる。
【0029】
また、挟持部材32のY軸方向中間部にはX軸+方向に向かって延設されたブラケット部38が設けられ、その先端部には下方に向かって延出された丸棒状の係合ピン39が固定装備されている。挟持部材32は、かかる係合ピン39を介して関連動作手段60による前後方向の移動力が入力される。
【0030】
(上糸保持装置の移動手段)
移動手段40について図2,3,6,10,12に基づいて説明する。
移動手段40は、挟持手段20の保持部21及び挟持部31に対して、縫製開始前に予め縫い針の上下動経路Nの下方である第一移動位置に位置決めし、縫製開始後であって第一針目の縫い針が布地から引き抜かれたときに縫い針の上下動経路Nに対して第一移動位置よりも後方となる第二移動位置に位置決めし、予め決められた回数の針落ちが行われると(例えば2〜3針目)縫い針の上下動経路Nに対して第二移動位置よりも後方となる第三移動位置に位置決めするという三段階の位置決めを行う。
そのため、移動手段40は、関連動作手段60に支持された挟持手段20をY軸方向に沿って往復駆動するY軸移動機構41と、挟持手段20が第一〜第三の各移動位置にあるか否かを検出する移動位置検出手段46と、移動位置検出手段46の検出に基づいてY軸移動機構の動作制御を行う移動位置決め制御手段とを備えている。
【0031】
Y軸移動機構41は、図2,3に示すように、回転駆動力を出力する糸掴み用モータ42と、糸掴み用モータ42の出力軸に自らの揺動中心位置が連結された主動リンク体43と、関連動作手段60の相対位置調節リンク63にY軸方向の移動力を付与する従動リンク体44と、主動リンク体43から従動リンク体44へ駆動力を伝達する伝達リンク体45とを備えている。
【0032】
上記糸掴みモータ42は、ステッピングモータであり動作制御手段80の動作制御により正負方向について任意の回転角度量で駆動される。
主動リンク体43は、その一端部が糸掴みモータ42の出力軸に固定連結され、その他端部が伝達リンク体45の一端部に回動可能に連結されている。
従動リンク体44は、その一端部が関連動作手段60の後述するガイド板61に軸支され、その他端部が伝達リンク体45の他端部に回動可能に連結されている。また、略くの字形の従動リンク体44には関連動作手段60の相対位置調節リンク63にY軸方向に沿った移動力を付与するための係合突起52が設けられている。
伝達リンク体45は、ほぼY軸方向に沿うように配設され、糸掴みモータ42の駆動による主動リンク体43の揺動と共に従動リンク体44を揺動させる。
これらの構成により、糸掴みモータ42が駆動すると主動リンク体43の揺動と共に従動リンク体44が揺動し、係合突起52を介して関連動作手段60の相対位置調節リンク63がY軸方向に沿って移動を行う。
【0033】
移動位置検出手段46について図6,10,12を参照して説明する。なお、図2,3では移動位置検出手段46は図示を省略している。
かかる移動位置検出手段46は、発光素子と受光素子とを有しこれらの間の遮蔽物の存在の有無を検出する第一及び第二の状態センサ47,48と、前述したY軸移動機構41の伝達リンク体45に設けられ,第一及び第二の遮蔽領域49,50を有する遮蔽板51とを備えている。
【0034】
上記第一及び第二の状態センサ47,48は、遮蔽板51の移動線上に沿って並んで配置されると共に第一の状態センサ47が後側に配置される。これにより、各状態センサ47,48はほぼY軸方向に沿って並んだ状態となる。各状態センサ47,48の受光素子は、遮蔽物有りの状態をON状態とし、遮蔽物なしの状態をOFF状態とし、各状態が識別可能な信号を動作制御手段80に出力する。
【0035】
一方、遮蔽板51は、第一及び第二の状態センサ47,48の双方に対して発光素子−受光素子間を通過するように伝達リンク体45に固定支持されている。そして、第一の遮蔽領域49は、図6に示すように挟持手段20が第一移動位置にあるときには第一の状態センサ47と第二の状態センサ48の間に位置し、第二移動位置にあるときには図10に示すように第一の状態センサ47を遮蔽する位置にあり、第三移動位置にあるときには図12に示すように依然として第一の状態センサ47を遮蔽する位置にあるようにそのY軸方向位置及びY軸方向長さが設定されている。
また、第二の遮蔽領域50は、図6,10に示すように挟持手段20が第一移動位置又は第二移動位置にあるときにはいずれの場合も第一の状態センサ47よりもよりも前方に位置し、第三移動位置にあるときに初めて図12に示すように第一の状態センサ47を遮蔽する位置となるようにそのY軸方向位置さが設定されている。
【0036】
従って、動作制御手段80では、挟持手段20が第一移動位置にあることを第一及び第二の状態センサ47,48の双方がOFF状態であることから確認でき、挟持手段20が第二移動位置にあることを第一の状態センサがON状態且つ第二の状態センサ48がOFF状態であることから確認でき、挟持手段20が第三移動位置にあることを第一及び第二の状態センサ47,48の双方がON状態であることから確認できる。
【0037】
移動位置決め制御手段について説明する。かかる移動位置決め制御手段は、実際には、動作制御手段80の制御により実現する。このように、移動位置決め制御手段は、ミシン全体の動作制御を行う制御手段の機能の一部を借りて実現しても良いし、独立した制御手段により実現させても良い。
移動位置決め制御手段としての動作制御手段80は、予め、挟持手段20を第一移動位置から第二移動位置へ移動させるための糸掴みモータ42の回転角度量及び第二移動位置から第三移動位置へ移動させる回転角度量を記憶しており、挟持手段20を第二及び第三移動位置に位置決めする際には記憶角度位置を参照して糸掴みモータ42の動作制御を行う。
なお、第一移動位置については、動作制御手段80が、ミシン100の主電源投入時に移動位置検出手段46を利用して初期位置制御部としての制御を行い、糸掴みモータ42を駆動して第一及び第二の状態センサ47,48の双方がOFF状態となる位置を検索し、その位置で待機する。
また、縫製開始後の第一針目においてミシンモータ105のエンコーダ109により出力軸角度が245[°]であることを検出すると縫い針104が布地から上方に抜けたことを認識して挟持手段20を第二移動位置に位置決めする上糸保持制御部としての制御を行う。なお、本ミシン100では、ミシンモータ105の出力軸について縫い針104の上死点位置を0°とした場合に、245°まで回転すると縫い針104が下死点を通過して針板108の上方に抜けるように設定されている。
さらに、エンコーダ109の出力により補正開始後所定回数の針落ちを検出すると挟持手段20を第三移動位置に位置決めする上糸解放制御部としての制御を行う。
【0038】
(上糸保持装置の関連動作手段)
関連動作手段60について図2乃至図14に基づいて説明する。
関連動作手段60は、挟持部材32と保持部材22とをそれぞれY軸方向に沿って往復可能に支持するガイド手段としてのガイド板61と、挟持部31と保持部21とが互いに接近する方向に挟持部材32と保持部材22との間に常時張力を付与する張力付勢手段としての引っ張りバネ62と、自らの揺動による姿勢変化に応じて挟持部31と保持部21とを接離させることを可能として挟持部材32と保持部材22のそれぞれに係合すると共に,移動手段40による挟持手段20の各移動位置への移動力が入力される相対位置調節リンク体63と、挟持手段20が第一移動位置にあるときに,相対位置調節リンク体63に当接して挟持部31と保持部21とを離間させる方向に揺動せしめる第一の当接部材64と、挟持手段20が第三移動位置にあるときに,相対位置調節リンク体63に当接して挟持部31と保持部21とを離間させる方向に揺動せしめる第二の当接部材65と、を有している。
【0039】
上記ガイド板61は、ミシンベッド103の上部であって針板108の後方に固定装備されている。以下、関連動作手段60の各部の説明において方向を示す言葉が使用される場合には、特にことわりがない限り、ガイド板61がミシンベッド103に固定装備された状態における方向を示しているものとする。
ガイド板61の上面にはそのX軸方向における中間位置にY軸方向に沿ったガイド溝66が設けられている。かかるガイド溝66には、挟持手段20の保持部材22及び挟持部材32が長手方向を揃えて重ね合わされた状態で格納され、さらにその上からは押さえ板67が保持部材22及び挟持部材32がガイド溝66から外れ落ちないように蓋をする。これにより、保持部材22及び挟持部材32はガイド溝66に案内されて各々Y軸方向に沿って滑動することが可能となる。但し、前述したように、保持部材22と挟持部材32とは引っ張りバネ62を介して連結されているので、外力が加わらない限り、各部材22,32は保持部21と挟持部31とを当接させた状態を維持することとなる。なお、図7,9,11,13では、保持部材22と挟持部材32のX軸方向幅が異なるように図示されているが、これは各部材22,32の相対的な位置関係を明瞭に図示するために異なるように表現しているのであって、実際には保持部材22及び挟持部材32はいずれも滑動可能な範囲でガイド溝66のX軸方向幅とほぼ等しく設定されている。
【0040】
さらに、ガイド板61のガイド溝66を挟んで両側には、それぞれ貫通穴68,69が設けられている。一方の貫通穴68は、保持部材21に設けられた係合ピン26が上方から嵌挿され、他方の貫通穴69には挟持部材32の係合ピン39が嵌挿される。また、各貫通穴68,69は、いずれも、挟持手段20の第一移動位置から第三移動位置までの移動及びこれに伴う保持部材22及び挟持部材32の相対的な移動において各係合ピン26,39に各穴の前端部及び後端部がいずれも接触しないようにそのY軸方向長さが設定されている。また、各貫通穴68,69に挿通された各係合ピン26,39はその先端部がガイド板61の下面側から幾分突出し、個別に相対位置調節リンク体63に係合する。
【0041】
相対位置調節リンク体63は、その長手方向に沿って並んだ配置で、保持部材22との回動係合部70と挟持部材32との回動係合部71とこれらの間に位置する移動手段40との回動係合部72とが設けられている。
即ち、保持部材22との回動係合部70は、相対位置調節リンク体63の長手方向に沿った長穴状の貫通穴であり、係合ピン26が挿通される。挟持部材32との回動係合部71は、円形貫通穴であり、係合ピン39が挿通される。移動手段40との回動係合部72は、相対位置調節リンク体63の長手方向に沿った長穴状の貫通穴であり、係合突起52が挿通される。
【0042】
図14は相対位置調節リンク体63の揺動動作と保持部材22及び挟持部材32の応対位置変化を関係を示す下方から見た説明図である。
図14を参照すると、保持部材22及び挟持部材32は、前述したように、外力を受けない限り引っ張りバネ62により保持部21と挟持部31との当接状態が維持される。かかる状態が上糸の保持状態となる。そして、各係合ピン26,39は、保持部21と挟持部31とが当接状態にあるときにY軸方向についてほぼ同じ位置に並ぶように位置設定が図られている。従って、これら各係合ピン26,39と各回動係合部70,71を介して連結された相対位置調節リンク体63も、引っ張りバネ62の張力により通常状態にあってはほぼX軸方向に沿った状態が維持される(図14の実線で示した状態)。
かかる状態において、例えば、移動手段40の係合突起52からのY軸方向移動力により相対位置調節リンク体63に対して反時計方向の回転力が加わると、当該相対位置調節リンク体63は揺動し、その姿勢に変化を生じる。このとき、各回動係合部70,71にはY軸方向に変位を生じることにより、保持部材22と挟持部材32との間に保持部21と挟持部31とが互いに離間する方向の外力が付与されることになる。従って、引っ張りバネ62の張力に抗して保持部21及び挟持部31が離間し、上糸の保持状態から解放状態に切り替えられる。
【0043】
第一の当接部材64について図7,9,14に基づいて説明する。第一の当接部材64は、挟持手段20が第一移動位置にあるときに保持部21と挟持部31とを離間状態とし、第一移動位置から第二移動位置に移動する際に保持部21と挟持部31とが互いに接近し合う方向に移動させ、第二移動位置に到達するまでに当接するように相対位置調節リンク体63の揺動を操作する。
【0044】
上記動作を実現するために第一の当接部材64は、第一移動位置に位置する相対位置調節リンク体63に対して、移動手段40の回動係合部72と挟持部材32の回動係合部71との間において前方から当接するように配置されている。かかる配置とすることにより、第一移動位置に挟持手段20を位置決めするために移動手段40により前方への移動力が相対位置調節リンク体63に付与された場合に、当該相対位置調節リンク体63は引っ張りバネ62の張力に抗して第一の当接部材64との接点を支点として揺動する。その際、当接時よりも挟持部材32の回動係合部71は後方に移動し、保持部材22の回動係合部70は前方に移動することとなる。従って、保持部材22を介して保持部21は前方に、挟持部材32を介して挟持部31は後方に移動するので、これらは互いに離間した状態となる(図6及び図14二点鎖線参照)。かかる状態において、保持部21と挟持部31との間に上糸端部の挿通が行われる。
【0045】
そして、この第一移動位置から第二移動位置に挟持手段20が移動すると、第一の当接部材64による相対位置調節リンク体63への当接状態が徐々に解除されるので、相対位置調節リンク体63は引っ張りバネ62の張力により時計方向に回動することとなる。従って、第一の当接部材64との当接状態が完全に解除されるまで相対位置調節リンク体63は時計方向に回動し、挟持部31は挟持部材32を介して前方に移動すると共に、保持部21は保持部材22を介して後方に移動する。このため、保持部21と挟持部31とによる上糸の挟持は、第一移動位置における保持部21より後方であって、第一移動位置における挟持部31よりも前方となる位置で行われることとなる。
【0046】
第二の当接部材65について図11,13に基づいて説明する。第二の当接部材65は、挟持手段20が第二移動位置から第三移動位置に移動する際に挟持状態にある保持部21と挟持部31とを再び離間する方向に移動させるように相対位置調節リンク体63の揺動を操作する。
【0047】
上記動作を実現するために第二の当接部材65は、挟持手段20が第二移動位置から第三移動位置に移動する際に相対位置調節リンク体63が通過する領域に対してX軸方向−側から当該相対位置調節リンク体63に摺接するように配置されている。
このため、ほぼX軸方向に沿った状態(図11参照)で第三移動位置に接近する相対位置調節リンク体63のX軸方向−側の端部に設けられた摺接部63aに対して第二の当接部材65は摺接する。相対位置調節リンク体63の摺接部63aは、その前方側がX軸方向−側に徐々に延ばされた形状のため、摺接開始後さらに後方に相対位置調節リンク体63が移動することで、当該相対位置調節リンク体63は図13に示すように反時計方向に揺動し、かかる状態で挟持手段20は第三移動位置に到達する。かかる揺動により、挟持部材32の回動係合部71は保持部材22の回動係合部70よりも大きく後方に移動する。その結果、保持部21と挟持部31とは互いに離間した状態となる(図13参照)。かかる過程において、保持部21と挟持部31との間に保持された上糸端部の解放が行われる。
【0048】
(各移動位置における保持部及び挟持部の配置)
挟持手段20が第一移動位置に位置決めされる場合、保持部21と挟持部31とは互いに離間し合う方向に移動することは、前述の通りである。そして、第一移動位置に到達すると、図6に示すように、保持部21は縫い針の上下動経路Nより前方に位置することになる。
また、挟持部31はその屈曲部36の先端部が、直線Mよりも少なくとも後ろ側に位置することになる。この直線Mは、針穴108aの下端部における後方側縁部(下方から見た円形の針穴108aのY軸方向に沿った直径のY軸方向−側の端部となる位置)から縫い針の上下動経路Nの後方側に近接して配置された中釜122の後ろ側となる一方のレース面128における上端部とを連結することで決定される直線である。挟持部31の先端部の配置をこのように設定することで縫製における第一針目による上糸ループが中釜122の剣先121に補足され上糸ガイド板124の糸分け部124bによって広げられる(拡張される)場合に、挟持部31の先端部が上糸に接触して糸分け部124bがループを広げることが妨げられず、従って、上糸がレース面128に接触することを効果的に抑制することが可能である。
なお、上記保持部21の位置や挟持部31の先端位置は、保持部材21及び挟持部材32のY軸方向長さや相対位置調節リンク体63に対する第一の当接部材64の当接位置により決定される。例えば、第一の当接部材64の当接位置が移動手段40の回動係合部72寄りであれば保持部材21の位置はより前方となり、挟持部31の先端位置はより後方となる。また、当接位置が挟持部材32の回動係合部71寄りであれば保持部21の位置はより後方となり、挟持部31の先端位置はより前方となる。
【0049】
挟持手段20が第一移動位置から第二移動位置に位置決めされる過程で保持部21と挟持部31の平面部30とが当接し、挟持状態となる位置(以下、「挟持位置」という)は、図8に示すように、縫い針の上下動経路Nの近傍とされ、より近いことが望ましい。縫い針104に近い位置で上糸端部の挟持を行うことにより、挟持手段20から垂れ下がる上糸端部の長さを短くすることができるからである。
なお、図8は、上糸端部の挟持が行われる挟持位置の一例を示す図であり挟持位置が縫い針の上下動経路Nのやや側方に位置しているが、本発明においては、保持部21及び挟持都31が共に移動する構成であり、縫い針104が針板108より下方の上下動位置にある時は、保持部21及び挟持部31を縫い針104の上下動と干渉しない位置に位置させることができるため、挟持位置をさらに縫い針の上下動経路Nに近づけて、例えば、針の上下動経路N上とすることも可能である。
かかる挟持位置から縫い針の上下動経路までの距離もまた、相対位置調節リンク体63に対する第一の当接部材64の当接位置により決定される。例えば、第一の当接部材64の当接位置が移動手段40の回動係合部72寄りであれば挟持位置は上下動経路Nにより近くなり、また、当接位置が挟持部材32の回動係合部71寄りであれば挟持位置は上下動経路Nに遠くなる。
【0050】
挟持手段20が第二移動位置に位置決めされる場合、保持部21と挟持部31とは既に当接状態にあるので、相互の配置は一致した状態にある。
なお、第二移動位置については、保持部21及び挟持部31が縫い針の上下動経路Nから外れ、縫い針104と干渉しない位置であれば良い。
挟持手段20が第三移動位置に位置決めされる場合、保持部21と挟持部31とが上糸解放可能な距離だけ離間すれば良い。
なお、第三移動位置については、保持部21及び挟持部31が縫い針の上下動経路Nから外れ、縫い針104と干渉しない位置であれば良いが、縫製において必要となる他の機構に干渉しないように、第二移動位置よりも後方に設定される。
【0051】
(動作制御手段)
動作制御手段80について図15に基づいて説明する。図15はミシン100の制御系を示すブロック図である。かかる制御手段80は、詳細には図示しないが、各種演算処理を行うCPUと、制御、判断等各種処理用の各種プログラムが記憶、格納されたROMと、各種処理におけるワークメモリとして使用されるRAMとで概略構成されている。そして、制御手段80には、システムバス及び駆動回路等を介してミシンモータ105,そのエンコーダ109,糸掴みモータ42,移動位置検出手段46の第1の状態センサ47,第2の状態センサ48,ミシン100のS/S(スタートストップ)スイッチ81が接続されている。
【0052】
制御手段80は、ミシンモータ105の出力軸に設けられているエンコーダ109から入力されるパルス信号に基づき、ミシンモータ105の回転角度を認識することができる。
また、制御手段80は、移動位置検出手段46の第1の状態センサ47、第2の状態センサ48から入力される検出信号に基づき、挟持手段20の各移動位置を確認することができる。
また、制御手段80は、スタートスイッチ81から縫製開始信号が入力されると、確認、認識したミシンモータ105の回転角度や移動位置挟持手段46の動作位置検出に応じて、移動手段40の糸掴みモータ42の駆動を制御する。
【0053】
(ミシンの動作説明)
上記構成からなるミシン100の動作を図6乃至図16に説明する。図16はミシン100の動作制御を示すフローチャートである。
【0054】
まず、制御手段80は、S/Sスイッチ81からの縫製開始信号に基づき、移動位置検出手段46により第一移動位置検出(初期位置検出)が行われる(ステップS1)。かかる検出は、第一及び第二状態センサ47,48がいずれもOFF状態である否かにより判断される。
前述したように、動作制御80は、主電源の入力時に移動位置検出手段46により挟持手段20は第一移動位置に位置決めされている。従って、挟持手段20は、縫い針の上下動経路N上に位置し、保持部21は縫い針の上下動経路Nの前方に位置し、挟持部31は直線Mより後方に位置している(図6,7の状態)。また、予め第一移動位置に位置決めされているにもかかわらず、何らかの要因により第一又は第二状態センサ47,48のいずれかがON状態と検出されると、エラー処理(表示、警告等)を行い(ステップSa1)、ミシン100の各部の動作を中止して(ステップSa2)、処理を終了する。
【0055】
一方、ステップS1において、第一及び第二状態センサ47,48がいずれもOFF状態が検出されると、ミシンモータ105の駆動を開始する(ステップS2)。これにより、縫い針104は針板108の針穴108aに挿入され、保持部21と挟持部31との間を上糸が通過する。さらに、その下方において、縫い針104の脇の上糸ループが釜機構120の剣先に捕捉される。そして、中釜122の回転と上糸ガイド板124とにより上糸ループは広げられるが、その際、挟持部31の先端部が充分に後方に位置するため、上糸ガイド板124による上糸ループの拡大を遮らない。従って後方レース面128への上糸の接触は防止される。
【0056】
さらに、ミシンモータ105のエンコーダ109から、第一針目の縫い針104が布から抜け出し、天秤107が上死点に達したか否かがエンコーダ信号の検出角度から判断され(ステップS3)、所定角度に至るまでステップS3の処理が繰り返される。エンコーダ109の出力が天秤107が上死点に達したことを示すと、動作制御手段80は、移動手段40の糸掴みモータ42に第二移動位置へ挟持手段20を移動させるよう駆動を開始する動作制御を行う(ステップS4)。即ち、予め設定されている第一移動位置から第二移動位置までの移動量に応じた回転角度量の記憶を参照し、これに応じて糸掴みモータ42を駆動する。
【0057】
これにより、挟持手段20は第一移動位置から第二移動位置に向かって移動を開始する。これにより、関連動作手段60の相対位置調節リンク体63は引っ張りバネ62の張力によりX軸方向に沿うように揺動を開始するので、保持部21は後方に移動し、挟持部31は前方に移動し、互いに接近すると共に保持部21と挟持部31の平面部30が当接する(図8,9)。これにより、これらの間に挿通されていた上糸端部が挟持される。かかる挟持位置は、縫い針の上下動経路Nの前後両側に位置していた保持部21と挟持部31とが相互に接近し合うことで当接したので、第一移動位置における挟持部31の配置よりも挟持位置は縫い針の上下動経路Nにより近い位置となる。
天秤107が上死点に達してから保持部21と挟持部31により上糸端部を挟持させるのは、天秤107の上死点では上糸に対する天秤の引き上げが完了しているため針穴108aより下方にある、上糸は最も短い状態にあり、この時に保持部21と挟持部31により上糸を挟持すると、挟持された部分から端部までの上糸の長さを最も短くすることができるからである。
【0058】
挟持位置は第二移動位置よりも前方となるので、挟持手段20は移動手段40によりさらに後方移動が継続される。そして、予め設定された回転角度量分の糸掴みモータ42の駆動が行われ停止されると、動作制御手段80は、移動位置検出手段46の各状態センサ47,48の出力を確認する(ステップS5)。第二移動位置では、第一の状態センサ47がON状態、第二の状態センサ48がOFF状態となるのが正常状態であるが、いずれかのセンサ47,48についてこれ以外の状態が検出された場合にはエラー処理(表示、警告等)を行い(ステップSa1)、ミシン100の各部の動作を中止して(ステップSa2)、処理を終了する。
【0059】
また、ステップS5において、各センサが適正な状態を示した場合には、上糸が挟持部材20に保持されたまま、縫製が継続される。即ち、ミシン100は、第二針目以降の縫製を行う(ステップS6)。なお、第二移動位置に到達した挟持手段20は、その位置が後方となっただけで、保持部21と挟持部31の相対的な位置関係は上糸を挟持してからは変わらない。従って、第二移動位置に到達後も、上糸端部の挟持は継続される(図10,11)。なお、第二移動位置への移動は縫い針104の針先が針板108の上方にある間に完了する。
【0060】
次いで、制御手段80は、所定数の針落ち(例えば、2回の針落ち)が行われたか否かの判断を行う(ステップS7)。針落ちの回数は、例えば、エンコーダ109による180°を示す信号出力回数を計数することにより、所定数の針落ちとの認識することができる。
制御手段80が、所定数の針落ちが行われていないと判断すると(ステップS7;NO)、所定数の針落ちが行われるまでステップS7の処理を繰り返す。
一方、制御手段80が、所定数の針落ちが行われたと判断すると(ステップS7;YES)、ステップS8へ進む。
【0061】
動作制御手段80は、移動手段40の糸掴みモータ42に第三移動位置へ挟持手段20を移動させるよう駆動を開始する動作制御を行う(ステップS8)。即ち、予め設定されている第二移動位置から第三移動位置までの移動量に応じた回転角度量の記憶を参照し、これに応じて糸掴みモータ42を駆動する。
【0062】
これにより、挟持手段20は第二移動位置から第三移動位置に向かって移動を開始する。そして、挟持手段20が第三移動位置に接近すると、関連動作手段60の相対位置調節リンク体63の摺接部63aが第二の当接部材65に摺接する。そして、さらに挟持手段20の移動が継続されると、相対位置調節リンク体63は引っ張りバネ62の張力に抗して揺動し、挟持部31が保持部21より大きく後方に移動する。従って、上糸端部の挟持状態が解除され、上糸端部は挟持手段20から解放されつつ、挟持手段20は第三移動位置に到達する(図12,13)。
【0063】
第三移動位置到達後、動作制御手段80は、移動位置検出手段46の各状態センサ47,48の出力を確認する(ステップS9)。第三移動位置では、第一の状態センサ47がON状態、第二の状態センサ48がON状態となるのが正常状態であるが、いずれかのセンサ47,48についてこれ以外の状態が検出された場合にはエラー処理(表示、警告等)を行い(ステップSb1)、処理を終了する。
【0064】
次いで、制御手段80は、縫製が終了したか否かの判断を行う(ステップS10)。制御手段80が、縫製は終了していないと判断すると(ステップS10;NO)、縫製が終了されるまでステップS10の処理を繰り返す。
一方、制御手段80が、縫製は終了したと判断すると(ステップS10;YES)、ステップS11へ進む。
【0065】
縫製が終了すると、動作制御手段80は、糸切り機構の糸切りモータ(図示略)に駆動信号を出力し、糸切りモータ82の駆動力により、糸切り機構による上糸及び縫製に係る糸の糸切りが行われる(ステップS11)。
そして、動作制御手段80は、移動手段40の糸掴みモータ42に駆動信号を出力し、モータ42の駆動力により、挟持手段20は第三移動位置から第一移動位置に移動する(ステップS12)。
【0066】
そして、これらステップS1処理〜ステップS12処理(ステップSa1処理、ステップSa2処理及びステップSb1処理を含む。)を経ることにより、上糸保持装置10を備えるミシン100の縫製に係る一サイクルが終了する。
以上のように、ミシン100の動作が行われる。
【0067】
(実施形態の効果)
上糸保持装置10の効果を図17,18に基づいて説明する。図17は上糸保持装置10の挟持手段20を簡略化して二点鎖線で図示した説明図であり、図18は比較例としての上糸保持装置の挟持手段200を簡略化して二点鎖線で図示した説明図である。
図18の比較例では、挟持部231が縫い針の上下動経路側に近接しているので、上糸ループは挟持部231との接触により幅が狭く形成され、上糸ガイド板124のガイド穴124aに設けられた糸分け部124bによる糸分けが十分に行われず、中釜122の釜軸側レース面128に接触を生じやすい。
一方、図17に示す上糸保持装置10の挟持手段20は関連動作手段60により、第一移動位置に位置する場合において、挟持部31が前述した直線M(図6参照)よりも後方(釜軸側)に配置されるので縫い針の上下動経路からはなすことができ、上糸端部の保持に際して上糸端部と挟持部31との接触を回避することができる。従って、上糸端部が中釜122の釜軸側レース面128と接触することなく糸分け部124bによる糸分けが確実に行われてループが大きく拡大され、上糸端部の汚れや釜への巻き込みの発生を有効に軽減することが可能となる。
一方、関連動作手段60は、第一移動位置から第二移動位置へ挟持手段20が移動される際に、保持部21を挟持部31側へ、挟持部31を保持部21側へ移動させることにより、挟持する際の挟持部31の位置を縫い針の上下動経路N側に移動させるとことができる。その結果、上糸端部の保持が縫い針の上下動経路Nの近傍で行われ、挟持後の上糸端部の端部側長さを短くすることが可能となる。
特に、本実施形態のように予め、挟持部を上糸との接触を避けることができるように縫い針の上下動経路Nから離れた位置まで退避させている場合であっても、挟持時には挟持部を近くに移動させることができるので、上糸端部を中釜122への接触を回避しつつも挟持後の上糸端部を短くすることが可能となる。
【0068】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、挟持千段が、縫い針が上下動する位置からミシンの立胴部側に向かって移動することになる。挟持手段がミシンの立胴部側に向かって移動するということは、挟持手段がミシンベッドの長手方向に移動するということであり、ミシンベッドの針の上下動経路よりも先端側に狭持手段を移動するためのスペースを確保する必要がなく、このような構成とすることによりシリンダべッドにも適用可能な上糸保持装置を提供することができる。
また、挟持手段の第一移動位置から第二移動位置への移動に際して、保持部は挟持部側へ移動し、挟持部は保持部側へ移動することで上糸端部をこれらの間に挟持するため、第一移動位置にあっては、予め縫い針の上下動経路の近傍に配置しなくても、上糸挟持の時には縫い針の上下動経路側に近接させることにより挟持後の上糸端部を短くすることが可能である。
従って、第一移動位置において挟持部を縫い針の上下動経路から離間させて配置することが可能となるため、中釜の剣先によってすくわれた上糸ループの上糸ガイド板による拡張を妨げないように挟持部を縫い針の上下動経路に十分に近づけて配置することができないため、布裏に残る上糸の長さを短くすることができないという制限が解消され、縫い始めの布裏に残る上糸端部の長さを十分に短くすることができる。
【0069】
請求項2記載の発明は、挟持手段が第一移動位置にあるときに、挟持部はその先端部が針穴の釜軸側側縁と中釜の釜軸側レース面の上端縁とを結ぶ直線よりも釜軸側に配置することで、第一針目の上糸ループが上糸ガイド板により広げられる際の挟持部と上糸との接触を有効に回避し、上糸が挟持部との接触よって釜軸側レース面側に寄せられる事態の発生を効果的に抑制し、より有効に釜軸側レース面と上糸との接触を防止することが可能となる。
【0070】
請求項3記載の発明は、相対位置調節リンク体の揺動により保持部と挟持部の双方に接離動作を付与すると共に、第一及び第三移動位置でそれぞれ相対位置調節リンク体を揺動せしめる当接部材を有するので、挟持手段の各移動位置への移動に伴い、保持部と挟持部の双方を移動させてその接離を図ることが可能である。
従って、挟持手段の各移動位置の移動のための一基の駆動源のみで請求項1又は2基記載の動作を実行することが可能であり、装置の生産性を向上させると共に制御手段を設ける場合であっても、制御系の単純化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ミシンの概要を示す一部を切り欠いた全体側面図である。
【図2】上糸保持装置の主要な全体構成を示す斜視図である。
【図3】上糸保持装置の主要な全体構成を示す分解斜視図である。
【図4】上糸ガイド板を図6におけるU方向から見た平面図である。
【図5】釜機構の中釜をX軸方向から見た正面図である
【図6】挟持手段が第一移動位置にある場合の上糸保持装置を右方から見た動作説明図である。
【図7】挟持手段が第一移動位置にある場合の上糸保持装置を下方から見た動作説明図である。
【図8】第二移動位置手前で保持部と挟持部の平面部とが当接した状態の上糸保持装置を右方から見た動作説明図である。
【図9】第二移動位置手前で保持部と挟持部の平面部とが当接した状態の上糸保持装置を下方から見た動作説明図である。
【図10】挟持手段が第二移動位置にある場合の上糸保持装置を右方から見た動作説明図である。
【図11】挟持手段が第二移動位置にある場合の上糸保持装置を下方から見た動作説明図である。
【図12】挟持手段が第三移動位置にある場合の上糸保持装置を右方から見た動作説明図である。
【図13】挟持手段が第三移動位置にある場合の上糸保持装置を下方から見た動作説明図である。
【図14】相対位置調節リンク体の揺動動作と保持部材及び挟持部材の相対位置変化の関係を示す下方から見た説明図である。
【図15】ミシンの制御系を示すブロック図である。
【図16】ミシンの動作フローチャートである。
【図17】実施形態の効果説明の為に実施形態の針下の各構成を一部切り欠いた斜視図である。
【図18】実施形態の効果説明の為に比較例の針下の各構成を一部切り欠いた斜視図である。
【符号の説明】
10 上糸保持装置
21 保持部
22 保持部材
31 挟持部
32 挟持部材
40 移動手段
60 関連動作手段
61 ガイド板(ガイド手段)
62 引っ張りバネ(張力付勢手段)
63 相対位置調節リンク体
64 第一の当接部材
65 第二の当接部材
100 ミシン
104 縫い針
M 針穴の釜軸側側縁と中釜の釜軸側レース面の上端縁とを結ぶ直線
N 縫い針の上下動経路

Claims (3)

  1. 縫い始めに縫い針に挿通されている上糸の端部を針板の下方で,且つ,前記縫い針に対する中釜の剣先の通過経路の上方で挟持すると共に、前記挟持した上糸の端部を前記縫い針の上下動経路から離れた位置に移動させ、所定針数の針落ち後、前記挟持した上糸の端部を開放するミシンの上糸保持装置において、
    前記上糸の端部を保持する保持部と,当該保持部に対して挟持位置と開放位置とに相対的に移動して前記保持部との間で前記上糸の端部を挟持開放する挟持部とを備え、
    前記縫い針の上下動経路上に位置する第一移動位置と、前記第一移動位置から前記縫い針の上下動経路に対してミシンの立胴部側に離間する第二移動位置と、前記第二移動位置より更に前記縫い針の上下動経路からミシンの立胴部側に離間する第三移動位置とに移動する挟持手段と、
    該挟持手段を縫い始めに前記第一移動位置から前記第二移動位置に移動させ、所定針数の針落ちの間停止した後に前記第二移動位置から前記第三移動位置に移動させる移動手段と、
    前記挟持手段が前記第一移動位置に位置するときに、前記挟持部を前記縫い針の上下動経路よりミシンの立胴部側の位置に配置すると共に、前記保持部を前記縫い針の上下動経路を挟んで前記挟持部と対向する位置に配置し、
    前記挟持手段が前記第一移動位置から第二移動位置に移動するときに,前記保持部と挟持部の双方を互いに接近する方向に移動させて前記上糸の端部の挟持を行わせると共に前記挟持手段を前記第二移動位置に移動させ、
    前記挟持手段が前記第二移動位置から第三移動位置に移動するとき又は第三移動位置において,前記挟持部と前記保持部とを隔離させて前記挟持した上糸の端部を開放させるように、前記挟持部及び前記保持部を前記移動手段の移動に機械的に連動させる関連動作手段とを備えることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  2. 前記関連動作手段は、
    前記挟持手段が前記第一移動位置に位置するときの前記挟持部の先端部の配置を、前記針板に設けられた針穴の釜軸側側縁と前記中釜の釜軸側レース面の上端縁とを結ぶ直線よりも前記釜軸側とし、
    前記挟持手段が前記第一移動位置から第二移動位置に移動するときの前記保持部と挟持部とによる前記上糸の端部の挟持を行う位置を前記縫い針の上下動経路近傍としたことを特徴とする請求項1記載のミシンの上糸保持装置。
  3. 前記挟持手段は、前記保持部を備える保持部材と、前記挟持部を備える挟持部材とを有し、
    前記関連動作手段は、
    前記挟持部材と保持部材とをそれぞれ前記釜軸に沿った方向に往復可能に支持するガイド手段と、
    前記挟持部と保持部とが互いに接近する方向に前記挟持部材と保持部材との間に常時張力を付与する張力付勢手段と、
    自らの揺動による姿勢変化に応じて前記挟持部と保持部とを接離させることを可能として前記挟持部材と保持部材のそれぞれに係合すると共に,前記移動手段による前記挟持手段の各移動位置への移動力が入力される相対位置調節リンク体と、
    前記挟持手段が前記第一移動位置にあるときに,前記相対位置調節リンク体に当接して前記挟持部と保持部とを離間させる方向に揺動せしめる第一の当接部材と、
    前記挟持手段が前記第三移動位置にあるときに,前記相対位置調節リンク体に当接して前記挟持部と保持部とを離間させる方向に揺動せしめる第二の当接部材と、を有し、
    前記相対位置調節リンク体は、その長手方向に沿うように、前記挟持部材との回動係合部と前記保持部材との回動係合部とこれらの間に位置する前記移動手段との回動係合部とが設けられ、
    前記第一の当接部材は、前記前記挟持部材との回動係合部と前記移動手段との回動係合部との間の位置で当接することを特徴とする請求項1又は2記載のミシンの上糸保持装置。
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