JP2004177284A - 欠陥検査装置および欠陥検査方法 - Google Patents
欠陥検査装置および欠陥検査方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】照明光束を被検査対象基板1の表面に対して所定の傾斜角度で照射する照明光学系10と、前記被検査対象基板1から上方へ出射する上方反射散乱光を検出する上方検出光学系20及び前記被検査対象基板1から前記照明光束に対して平面的に交差する方向で傾斜した方向に出射する側方反射散乱光を検出する側方検出光学系600を備えた検出光学系200とを備えた欠陥検査装置である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体チップや液晶製品を製造する際の薄膜基板、半導体基板やフォトマスク等に存在する異物や回路パターンに生じる欠陥やキズ(スクラッチ)等の欠陥を検出し、前記検出された異物等の欠陥を分析して対策を施すデバイス製造工程における異物等の欠陥の発生状況を検査する欠陥検査装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造工程では、半導体基板(ウェハ)上に異物が存在すると配線の絶縁不良や短絡などの不良原因になる。さらに半導体素子の微細化に伴い、より微細な異物がキャパシタの絶縁不良やゲート酸化膜などの破壊の原因にもなる。これらの異物は、搬送装置の可動部から発生するものや、人体から発生するもの、プロセスガスにより処理装置内で反応生成されたもの、薬品や材料に混入していたものなど種々の原因により種々の状態で混入される。
【0003】
同様に液晶表示素子の製造工程でも、パターン上に異物が混入したり、何らかの欠陥が生じると、表示素子として使えないものになってしまう。プリント基板の製造工程でも状況は同じであって、異物の混入はパターンの短絡、不良接続の原因となる。
【0004】
従来のこの種の半導体基板上の異物を検出する技術の1つとして、特開昭62−89336号公報(従来技術1)に記載されているように、半導体基板上にレーザを照射して半導体基板上に異物が付着している場合に発生する異物からの散乱光を検出し、直前に検査した同一品種半導体基板の検査結果と比較することにより、パターンによる虚報を無くし、高感度かつ高信頼度な異物及び欠陥検査を可能にするものが開示されている。また、特開昭63−135848号公報(従来技術2)に開示されているように、半導体基板上にレーザを照射して半導体基板上に異物が付着している場合に発生する異物からの散乱光を検出し、この検出した異物をレーザフォトルミネッセンスあるいは2次X線分析(XMR)などの分析技術で分析するものが知られている。
また、上記異物を検査する技術として、ウェハにコヒーレント光を照射してウェハ上の繰り返しパターンから射出する光を空間フィルタで除去し、繰り返し性を持たない異物や欠陥を強調して検出する方法が開示されている。また、ウェハ上に形成された回路パターンに対して該回路パターンの主要な直線群に対して45度傾けた方向から照射して主要な直線群からの0次回折光を対物レンズの開口内に入射させないようにした異物検査装置が、特開平1−117024号公報(従来技術3)において知られている。この従来技術3においては、主要な直線群ではない他の直線群を空間フィルタで遮光することについても記載されている。また、異物等の欠陥検査装置およびその方法に関する従来技術としては、特開平1−250847号公報(従来技術4)、特開平6−258239号公報(従来技術5)、特開平6−324003号公報(従来技術6)、特開平8−210989号公報(従来技術7)、特開平8−271437号公報(従来技術8)、特開2000−105203号公報(従来技術9)が知られている。特に、従来技術9には、検出光学系を切り替えて検出画素サイズを変えることが記載されている。また、異物のサイズ測定技術としては、特開2001−60607号公報(従来技術10)、特開2001−264264号公報(従来技術11)が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−89336号公報
【特許文献2】
特開昭63−135848号公報
【特許文献3】
特開平1−117024号公報
【特許文献4】
特開平1−250847号公報
【特許文献5】
特開平6−258239号公報
【特許文献6】
特開平6−324003号公報
【特許文献7】
特開平8−210989号公報
【特許文献8】
特開平8−271437号公報
【特許文献9】
特開2000−105203号公報
【特許文献10】
特開2001−60607号公報
【特許文献11】
特開2001−264264号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術1〜9では、繰り返しパターンや非繰り返しパターンが混在する基板上の微細な異物または欠陥を、高感度で、かつ高速に検出することは容易にできなかった。すなわち、上記従来技術1〜9では、例えば、メモリのセル部等の繰り返し部分以外の部分では、検出感度(最小検出異物寸法)が低いという課題があった。また、上記従来技術1〜9では、パターン密度が高い領域における0.1μmレベルの微小異物または欠陥の検出感度が低いという課題があった。また、上記従来技術1〜9では、配線間を短絡する異物または欠陥の検出感度や薄膜状の異物の検出感度が低いという課題があった。また、上記従来技術10〜11では、異物または欠陥の計測精度が低いという課題があった。また、上記従来技術10〜11では、透明薄膜が形成されたウェハ表面上の異物の検出感度が低いという課題があった。
【0007】
本発明の第1の目的は、上記課題を解決すべく、表面に透明薄膜が形成されたウェハ等の被検査対象基板はもとより、回路パターンを有するウェハ等の被検査対象基板に対して、0.1μmレベルの微小な異物やキズ等の欠陥を、高感度で、しかも高速に検査できるようにした欠陥検査装置およびその方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、パターン密度が高い領域においても、高感度に異物または欠陥を検査できるようにした欠陥検査装置およびその方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第3の目的は、配線間を短絡する異物または欠陥や薄膜状の異物を高感度に検査できるようにした欠陥検査装置およびその方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の第4の目的は、被検査対象基板上に存在する異物または欠陥を分類できるようにした欠陥検査装置およびその方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、被検査対象基板を載置して所定方向に走行する走査ステージと、照明光束を被検査対象基板の表面に対して所定の傾斜角度で照射する照明光学系と、前記被検査対象基板から上方へ出射する上方反射散乱光を集光する対物レンズと該対物レンズで集光された上方反射散乱光を結像させる上方用結像光学系と該上方用結像光学系で結像された上方反射散乱光像を受光して上方用画像信号に変換する上方用光検出器とを有する上方検出光学系及び前記被検査対象基板から前記照明光束に対して平面的に交差する方向で傾斜した方向に出射する側方反射散乱光を集光して結像させる側方用結像光学系と該側方用結像光学系で結像した側方反射散乱光像を受光して側方用画像信号に変換する側方用光検出器とを有する側方検出光学系を備えた検出光学系と、該検出光学系の上方用光検出器から得られる上方用画像信号を上方用デジタル画像信号に変換し、前記側方用光検出器から得られる側方用画像信号を側方用デジタル画像信号に変換するA/D変換器と、該A/D変換器で変換された各デジタル画像信号に基づいて欠陥を検出する信号処理系とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置である。
【0012】
また、本発明は、前記照明光学系において、前記照明光束が、前記被検査対象基板上の照明状態として、長手方向にはほぼ平行光からなるスリット状ビームにして、長手方向が前記走査ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように構成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記検出光学系の上方検出光学系において、被検査対象基板上に存在する回路パターンの少なくとも繰り返しを遮光する空間フィルタを有し、空間フィルタの繰り返し遮光パターンの寸法若しくは形状を自動設定できるように構成することを特徴とする。また、本発明は、前記検出光学系の上方検出光学系において、前記結像光学系の結像倍率を可変に構成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記信号処理系において、前記上方用デジタル画像信号を近傍画素でマージし、該マージされた画像信号を基づいて、欠陥を検出することを特徴とする。また、本発明は、前記信号処理系において、前記検出された欠陥をカテゴリ別に分類する分類手段を備えることを特徴とする。また、本発明は、前記信号処理系において、前記A/D変換器で変換された各デジタル画像信号から欠陥のカテゴリを分類する分類手段を有することを特徴とする。また、本発明は、前記信号処理系において、前記検出された欠陥のサイズを測定するサイズ測定手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記欠陥検査装置において、更に前記被検査対象物上の光学像を観察する光学顕微鏡を備えたことを特徴とする。また、本発明は、前記光学顕微鏡において観察される画面上に前記信号処理系で検出された欠陥の座標を示す領域若しくはマークを表示することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記照明光学系において、前記照明光束を前記被検査対象基板の表面に対して高傾斜角度と低傾斜角度とで切り替えて照射できるように構成し、前記照明光学系で高傾斜角度で照明した際および低傾斜角度で照明した際前記A/D変換部で変換されたデジタル画像信号に基づいて欠陥を検出する欠陥検出処理部と前記欠陥検出処理部から検出される欠陥についての特徴量を算出する特徴量算出部と前記高傾斜角度で照明した際前記欠陥検出処理部から検出される欠陥と低傾斜角度で照明した際前記欠陥検出処理部から検出される欠陥とが同一視される欠陥についての特徴量を前記特徴量算出部から取得し、該取得された欠陥の特徴量に基いて欠陥のカテゴリを分類する統合処理部とを有する信号処理系とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、被検査対象基板を載置して所定の方向に走行させる走査ステージと、照明スポットを前記被検査対象基板の表面に対して前記走査ステージの走行方向に直角方向に走査して照射する照明光学系と、該照明光学系で照射された照明スポットの走査による前記被検査対象基板からの反射散乱光を集光して結像させる結像光学系と該結像光学系で結像された照明スポットの走査による反射散乱光像を受光して導く複数の光ファイバと該複数の光ファイバで導かれた照明スポットの走査による光像を受光して信号に変換する複数の光電子増倍管とを有する検出光学系と、該検出光学系の各光電子増倍管から得られる信号をデジタル信号に変換し、該変換されたデジタル信号に基づいて欠陥を検出する信号処理系とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置である。
【0018】
また、本発明は、被検査対象基板を載置して所定の方向に走行させる走査ステージと、複数の照明光束の各々に対して互いに異なる周波数で変調させる複数の光変調器と該複数の光変調器で変調された複数の照明光束を前記走査ステージの走行方向にほぼ直角方向に対して偏向させる光偏向器と該光偏向器で偏向された複数の照明光束を前記被検査対象基板の表面に対して複数照明スポットとして集光して照射する集光光学系とを有する照明光学系と、該照明光学系で照射された複数照明スポットの走査による前記被検査対象基板からの反射散乱光を集光して結像させる結像光学系と該結像光学系で結像された複数照明スポットの走査による反射散乱光像を受光して信号に変換する光検出器とを有する検出光学系と、該検出光学系の光検出器で変換された信号から前記各光変調器で変調された周波数に相当する成分を抽出する複数の同期検波回路と該複数の同期検波回路から抽出された信号に基づいて欠陥を検出する信号処理系とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置及びその方法である。
【0019】
また、本発明は、前記検出光学系において、前記光検出器を、受光する複数照明スポットの走査による反射散乱光像を導く光ファイバと該光ファイバで導かれた複数照明スポットの走査による光像を受光して信号に変換する光電子増倍管とで構成することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、照明光学系により照明光束を被検査対象基板の回路パターンを有する表面に対して所定の傾斜角度で照射し、該照射された被検査対象基板からの反射散乱光を上方に設けた対物レンズで集光して上方結像光学系で結像させ、該結像された反射散乱光を上方用光検出器で受光して第1の画像信号に変換し、該変換された第1の画像信号をA/D変換器により第1のデジタル画像信号に変換し、該変換された第1のデジタル画像信号に基づいて前記被検査対象基板の回路パターンを有する表面上に存在する欠陥を検出する第1の工程と、照明光学系により照明光束を被検査対象基板の透明膜の表面に対して所定の傾斜角度で照射し、該照射された被検査対象基板からの反射散乱光を、平面的に前記照明方向に対して交差する方向で傾斜した方向から結像光学系で集光して結像させ、該結像された反射散乱光を光検出器で受光して第2の画像信号に変換し、該変換された第2の画像信号をA/D変換器により第2のデジタル画像信号に変換し、該変換された第2のデジタル画像信号に基づいて前記被検査対象基板の透明膜の表面上に存在する欠陥を検出する第2の工程とを有することを特徴とする欠陥検査方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
本発明に係る欠陥検査装置は、様々な品種や様々な製造工程におけるウェハ等の被検査基板上における異物やパターン欠陥やマイクロスクラッチ等の様々な欠陥を、更に微細なものと大きなものとを高感度で、かつ高速で検査できるようにするものである。そのためには、本発明に係る欠陥検査装置として、図1に示す如く、照明光学系10によって照明するスリット状ビーム201の照射角度αを被検査対象に応じて可変可能にすると共に、被検査対象表面と検出器26の受光面を結像関係となるよう検出光学系200を配置し、また検出光学系200の倍率を可変にして検出画素サイズを検出欠陥の大きさに合わせるように設定して検査することにある。
【0023】
更に、本発明に係る欠陥検査装置は、例えば、異なる照射角度の照明光によって欠陥から得られた散乱光の違いを特徴量とし、欠陥の種類に分ける機能も有する。
【0024】
次に、本発明に係る欠陥検査装置の実施の形態について具体的に説明する。なお、以下の実施の形態では、半導体ウェハ上の小/大異物やパターン欠陥やマイクロスクラッチ等の欠陥を検査する場合について説明するが、半導体ウェハに限らず、薄膜基板やフォトマスク、TFT(Thin Film Transistor)、PDP(Plasma Display Panel)等にも適用可能である。
【0025】
ところで、本発明に係る欠陥検査装置は、図1に示すように、様々な品種や様々な製造工程から得られるウェハ等の被検査対象基板1を載置、移動させるXYZステージ31、32、33、34とコントローラ35から構成される搬送系30と、図2(a)に示すように、レーザ光源11から射出された光を、ビーム拡大光学系16である大きさに拡大後、レンズ、ミラー等を介して、複数の斜め方向から被検査対象基板1上に照明する照明光学系10と、対物レンズ21、空間フィルタ22、結像光学系23、光学フィルタ群24(図7(a)に示す)、TDIイメージセンサ等の光検出器26から構成され、照明光学系10で照明された領域からの反射回折光(あるいは散乱光)を検出する倍率可変検出光学系20並びに結像光学系630及び光検出器640等からなる側方検出光学系600等を備えた検出光学系200と、上記光検出器26及び640で検出された画像信号に基いて異物を検出する信号処理系40と、検査条件などを設定し、上記照明光学系10、倍率可変検出光学系20等の検出光学系200、搬送系30、信号処理系40及び観察光学系60等の全体を制御する全体制御部50とによって構成される。全体制御部50には、入出力手段51(キーボードやネットワークも含む)、表示手段52、記憶部53が設けられている。
【0026】
なお、この異物検査装置には、ウェハ1の表面の像を光検出器26や640の受光面に結像させるように自動焦点制御系(図示せず)を備えている。
【0027】
〔照明光学系10〕
本検査装置では、複数の方向から被検査対象基板1の表面に照明可能な構成になっている。照明光学系10としては、レーザ光源11から射出された光L0を、凹レンズ12及び凸レンズ13等から構成されるビーム拡大光学系16、スリット光束を形成するための円錐曲面レンズ14、ミラー15を介して、図2(a)(b)に示す如く、スリット状ビーム201を平面的に1つ以上の方向(図3においては4方向から、試料設置台34上に設置されたウェハ(被検査対象基板)1に照射するように構成される。このとき、スリット状ビーム201の長手方向がチップの配列方向(例えばY方向)に向くように照明するよう構成される。なお、照明光として、スリット状ビーム201にするのは、照明により発生する異物や欠陥からの散乱光を、一列に配置した受光素子で一括して検出することにより、検査の高速化を図るためである。すなわち、図3に示すように、Xステージ31の走査方向およびYステージ32の走査方向に向けてチップ202を配列したウェハ1上に照明されるスリット状ビーム201は、Xステージ31の走査方向Xに狭く、その垂直方向Y(Yステージ32の走査方向)に広い形状を有する。そして、このスリット状ビーム201は、光路中に例えば円筒レンズを設けることにより、X方向に光源の像が結像するように、Y方向に平行光になるように照明される。なお、3方向の照明については、特開2000−105203号公報に記載されている。
【0028】
ところで、スリット状ビーム201の長手方向をウェハ1に対してチップの配列方向に向けたのは、光検出器26の画素配列203とXステージ31の走行方向とを平行に保つことにより、画像信号のチップ間比較を容易に行うと共に、異物の位置座標の算出も容易に行うことができ、その結果、異物の検査を高速に行える効果を奏する。
【0029】
特に、平面的にY方向に対してφ傾いた方向からの照明ビーム220,230によるスリット状ビーム201の照明を、ウェハ1に対してチップ202の配列方向に向け、かつXステージ31の走査方向Xに対して直角になるように形成するためには、円錐曲面レンズ14(224、234)が必要となる。この円錐曲面レンズ14(224、234)は、長手方向の位置で焦点距離が異なり、直線的に焦点距離を変えたレンズ、即ち長手方向の曲率半径が連続的に変化するようなレンズである。この構成により、図4(a)に示すように斜めから照明(角度α,方向φの傾きを両立)しても、X方向に絞り込み、Y方向にコリメートされたスリット状ビーム201で照明することができる。更に、全体制御部50からの指令に基づいて、図2(a)に示すようにミラー15(225、235)とミラー702を機構的に切替えるかあるいは1個のミラー15の角度を図示していない回転手段によって変えることによって、照明角度αを例えば被検査対象基板1上で検査対象とする異物や欠陥の種類によって変えられるように構成されている。図2(a)では、ミラー15により照明位置701にレーザ照明を照射している。照明角度αを変更する場合、ミラー15とは角度の違うミラー702をミラー15と入れ替え、さらに、照明位置701にレーザ光を照射するためにミラー702をZ方向に動かせば良い。この時、凸レンズ13から照明位置701までの距離が変わるため、凸レンズ13の位置を変えたり、焦点距離の違う凸レンズに変える必要がある。
【0030】
更に、X方向及びY方向からの照明では、図4(b)(c)に示すように円筒レンズ244、255によりスリット状ビーム201を形成することができる。
【0031】
以上説明したように、いかなる照明角の場合でも、スリット状ビーム201は光検出器26、640の画素配列203をカバーする照明領域を有し、また何れの方向からの照明であっても、スリット状ビーム201がウェハ1上で一致するように構成される。
【0032】
これにより、Y方向に平行光を有し、かつφ=45度付近の照明を実現することができる。特に、スリット状ビーム201をY方向に平行光にすることによって、主要な直線群がX方向およびY方向を向いた回路パターンから発生する回折光パターンが空間フィルタ22によって遮光されることになる。
なお、円錐曲面レンズ14の製造方法については、特開2000−105203号公報に記載されているので、説明を省略する。
【0033】
次に、全体制御部50からの指令に基づいて、ステージ上に載置される被検査対象基板1に応じて照明光学系10の照明角度αおよび照明方向φを変える実施例について説明する。ところで、スリット状ビーム201を複数の照明角度αでウェハ1に形成するのは、ウェハ1の表面に発生している種々のタイプの異物や欠陥検出に対応するためである。即ち、被検査対象基板1上のパターン欠陥や高さの低い異物検出を対象としている。照明角度αは、高角度になると回路パターンからの反射回折光量が増加してS/N比が低下するので、経験的に求められた最適値が適用される。一例として、ウェハ表面の高さの低い異物を主に検出したい場合には、照明角度αは小さい角度が良く、例えばαが1度乃至は5度程度になるように設定する。このように照明角度αを小さい角度にすることにより、ウェハ最表面の異物のSN比が向上する。また、配線工程での配線間の異物やパターン欠陥を主に検出したい場合には、照明角度αを大きくすると良いが、回路パターンと異物のS/N比の関係から、概ね45度乃至55度程度に設定するとよい。また、検査対象の製造工程(エッチング工程、CMP工程など)と、検出したい異物や欠陥の種類とに対応関係がある場合には、検査レシピの中にどちらの照明角度に設定するか予め決めても良い。また、前述のウェハ表面の異物やパターン欠陥を偏りなく検出するためには、照明角度を前述した角度の中間値に設定しても良い。
【0034】
更に、照明方向φに関して、例えば配線工程の場合、φが45度付近の方向から照明ビーム220、230を照射した場合に図5に示すように配線500間の異物や欠陥501からは回折散乱光が得られない場合が生じるので、照明回路パターンの配線方向に平行な方向(例えばX方向)からの照明240を選択するのが望ましい。つまり、照明光240の平行方向と配線パターン500の方向を合わせることにより、配線500間の異物や欠陥501を検出しやすくなる。また、ウェハ1の回路パターンが配線パターンではなく、コンタクトホールやキャパシタ等の場合は、特定の方向性がないため、照明ビーム220,230をチップに対しφが45度付近の方向から照射することが望ましい。
【0035】
更に、照明光学系10について具体的に説明する。
【0036】
まず、照明方向φを変更する方法について説明する。図2(b)及び図3は1つのレーザ光源11を用いて4つの照明光学系10を構成した場合の平面図である。分岐光学要素218はミラー、プロズム等で構成され、位置をY方向に移動させることによって、レーザ光源11から出射したレーザ光L0を透過または反射して3方向に導く。分岐光学要素218を透過した第1のレーザ光L1は、ハーフプリズム等の分岐光学要素(例えば偏光ビームスプリッタ)221で透過光と反射光に分岐され、例えば透過した光は、ミラー231、ビーム径補正光学系232、ミラー233、図4(a)に示す円錐曲面レンズ234を介して再びミラー235で反射させることによってY軸からφ傾いた方向から傾斜角度αの照明ビーム230を得ることができ、他方の分岐光学系221で反射した光は、ミラー223、図4(a)に示す円錐曲面レンズ224を介して再びミラー225で反射させることによってY軸からφ傾いた方向から傾斜角度αの照明ビーム220を得ることができる。なお、ビーム径補正光学系222及び232は、ウェハ1に照射されるスリット状ビーム201が同じ大きさになるように円錐曲面レンズ224、234に入射するレーザ光のビーム径を調節するものである。また、分岐光学要素221としてのハーフプリズムの代わりにミラー260を設置すれば、一方からの照明が可能となる。また、分岐光学要素(例えば偏光ビームスプリッタ)221の後方に波長板(λ/2板)226、236を挿入することによって照射するレーザ光の偏光方向をそろえることも可能となる。
【0037】
ところで、分岐光学要素218で反射された第2のレーザ光L2は、ビーム径補正光学系241を通過後、ミラー242及びミラー243で反射されて図4(b)に示すように円筒レンズ244に入射させ、ミラー245で反射させることによってX方向から傾斜角度βの照明ビーム240を得ることができ、分岐光学要素218で反射された第3のレーザ光L3はミラー251、ミラー253及びミラー254で反射されて図4(c)に示すように円筒レンズ255に入射させ、ミラー256で反射させることによってY方向から傾斜角度γの照明ビーム250を得ることができる。上記照明ビーム240は、例えば配線工程において、ウェハ上に形成された配線パターンがXY方向に平行となって多く形成されている場合に、照明の方向(X方向)を合わせることが可能となり、図5に示す配線500間の異物や欠陥501を検出しやすくしている。なお、Y方向の配線パターンに対しては、ウェハ1を90度回転させればよい。そして、照明ビーム240の傾斜角度βとしては、配線間の異物や欠陥を検出する点から、上記中間角度や高角度で形成すればよい。また、傾斜角度βをαと同様に、切替えるように構成してもよい。このように、X方向から照明する際、円筒レンズ244によってX方向に集束して絞られる関係によりミラー245を小型化することが可能となり、その結果、該ミラー245を対物レンズ21の周囲とウェハ1との間に入り込ませることにより高角度でも照明することが可能となる。
【0038】
特に、本発明においては、図6を用いて後述するように、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)加工が施された透明膜(例えば酸化膜)800上の微小異物やスクラッチ等802を下地パターン801からの散乱光の影響を受けることを少なくするようにY方向に対して交差する方向ωから斜方検出するために、上述したように第3のレーザ光L3を基に照明ビーム250により、スリット状ビーム201の長手方向(Y方向)から傾斜角度γで照明するようにしたことにある。この照明ビーム250の傾斜角度γとしては、酸化膜800上の微小異物やスクラッチ等を検出する関係で、比較的低角度の5度〜10度付近が好ましい。ところで、焦点距離が一様な円筒レンズ255を用いた場合には、傾斜角度γを有する関係で、スリット状ビーム201は中心の幅が細くなった鼓形状となる。しかし、円筒レンズ255の焦点距離を傾斜角度γに合わせて変えることによって中央が細くならないスリット状ビームを得ることができる。
【0039】
ここで、照明ビーム240からのみ照明する場合には、分岐光学要素218においてミラー部に切り換えることによって実現することができる。また、照明ビーム220、230によって2方向から照明する場合には、光路から分岐光学要素218を退出させるか、または透過部に切り換えることによって実現することができる。
【0040】
なお、レーザ光源11としては、異物を高感度に検査でき、また、メンテナンスコストが安いことを考慮すると、高出力のYAGレーザの第2高調波SHG、波長532nmを用いるのが良いが、必ずしも532nmである必要はなく、紫外光レーザや遠紫外光レーザや真空紫外光レーザ、Arレーザや窒素レーザ、He−Cdレーザやエキシマレーザ、半導体レーザ等の光源であっても良い。各レーザを用いた場合の利点としては、レーザ波長を短波長化すれば検出像の解像度が上がるため、高感度な検査が可能となる。なお、波長を0.34μm程度にした場合には対物レンズ21のNAを0.4程度、波長を0.17μm程度にした場合には対物レンズ21のNAを0.2程度にするのが、回折光を多く対物レンズ21に入射させて検出感度を向上させることができる。また、半導体レーザ等の使用に関しては、装置の小型化、低コスト化を実現できる。
【0041】
〔検出光学系200〕
まず、検出光学系200の倍率可変検出光学系(上方検出光学系)20について図1、図7及び図8を用いて説明する。倍率可変検出光学(上方検出光学系)20は、ウェハ等の被検査対象基板1から上方に反射回折された光を、対物レンズ21、空間フィルタ22、結像光学系(倍率可変結像光学系)23、NDフィルタ24a及び偏光板24b等からなる光学フィルタ群24を通して、TDIイメージセンサ等の光検出器26で検出するように構成される。
【0042】
空間フィルタ22は、ウェハ1上の繰り返しパターンからの反射回折光によるフーリエ変換像を遮光して異物からの散乱光を通過する機能を有し、対物レンズ21の空間周波数領域、すなわちフーリエ変換の結像位置(射出瞳に相当する)に配置される。
【0043】
次に、瞳観察光学系70を用いた空間フィルタ22の自動設定について図1及び図8を用いて説明する。即ち、空間フィルタ22は、検出光学系200の光路中に、検査中は退避可能なミラー90と、投影レンズ91、TVカメラ92からなる瞳観察光学系70により、例えば図8(a)に示すフーリエ変換の結像位置における繰り返し回折光パターン902からの反射回折光像901を撮像し、特開平5−218163号公報にも記載されているようにフーリエ変換の結像位置に設けた矩形形状の遮光部903の間隔pを図示していない機構で変化させて、図8(c)に示すようにフーリエ変換の結像位置において回路パターンからの反射回折光像による輝点のない像904になるように調整されるものである。これらは、TVカメラ92からの信号を信号処理系40で処理して全体制御部50の指令に基づいて空間フィルタ22の遮光部903のピッチpや回転方向が調整されて自動設定されることになる。なお、上記遮光板によらず、TVカメラ92からの信号に基づいて透明基板上に白黒反転させて遮光部を縮尺形成しても良い。
【0044】
本検査装置では、異物検査を高速に行う機能と低速で高感度な検査を行う機能を有している。つまり、回路パターンが高い密度で製造されている被検査対象物または領域は、検出光学系の倍率を高くすることにより高分解能の画像信号が得られるので、高感度の検査が行える。また、回路パターンが低い密度で製造されている被検査対象物または領域は、倍率を下げることにより、高感度のまま高速検査を実現できるものである。これにより、検出すべき異物の大きさと、検出画素の大きさを最適化でき、異物以外からのノイズを排除し、異物からの散乱光のみを効率よく検出できるという効果を奏する。つまり、本検査装置ではウェハ1に上方に設置されている検出光学系200の倍率を簡単な構成で可変できるようになっている。
【0045】
次に、検出光学系200の倍率を可変する動作について図7を用いて説明する。検出光学系200の倍率の変更は全体制御部50からの指令に基づいて行われる。結像光学系(倍率可変結像光学系)23は、可動レンズ401、402、固定レンズ403、移動機構404で構成され、倍率変更時は対物レンズ21および空間フィルタ22の位置をZ方向に変化させることなく、光検出器26上に結像されるウェハ表面の倍率を可変できることを特徴としている。即ち、倍率変更時にも被検査対象基板1と光検出器26との相対位置を変える必要がなく、倍率変更時の駆動機構404を簡単な構成でもって倍率を変えることができ、更に、フーリエ変換面の大きさも変わらないので、空間フィルタ22の位置を変更しなくても良い利点を有する。
【0046】
倍率可変検出光学系20の倍率Mは、対物レンズ21の焦点距離405をf1、結像光学系23の焦点距離406をf2とすると次に示す(1)式で算出できる。
【0047】
M=f2/f1 (1)
従って、倍率可変検出光学系20を倍率Mにするためには、f1は固定値であるから、f2が(M/f1)になる位置に動かすことになる。
【0048】
次に、移動機構404の詳細を図7(b)で説明する。図7(b)は、移動機構404において、可動レンズ401及び402を特定の場所に位置決めする構成を示している。しかしながら、移動機構404において、可動レンズ401、402を任意の位置に位置決めするように制御することも可能である。また、移動機構404は、例えば、可動レンズ401、402のレンズ保持部410、420、ボールネジ412、422、モータ411、421で構成される。即ち、可動レンズ401はレンズ保持部410で保持され、レンズ保持部410はモータ411によるボールネジ412の回転により、また可動レンズ402はレンズ保持部420に保持され、レンズ保持部420はモータ421によるボールネジ422の回転により、Z方向の所定の位置にそれぞれ独立して移動する。
【0049】
そして、可動レンズ401又は402を保持しているレンズ保持部410又は420の先端に位置決めセンサの可動部415又は425を、可動レンズ410又は420の停止位置に位置決めセンサの検出部416又は426を設け、モータ411又は421を駆動してレンズ保持部をZ方向に移動させ、予め所望の倍率の位置に設けられた各位置決めセンサ416又は426が位置決めセンサ可動部415又は425を検出して位置決めする。なお、位置決めセンサ440はZ方向上限のリミットセンサ、位置決めセンサ430はZ方向下限のリミットセンサである。ここで、位置決めセンサとしては、光学的、磁気的センサ等が考えられる。
【0050】
これらの動作は、全体制御部50からの指令に基づいて行われるが、ステージ31〜34上に載置される被検査対象基板1のパターン密度に応じて倍率を設定することになる。例えば、回路パターンが高密度の場合は高い倍率を選択して高感度の検査モードとし、回路パターンが低密度の場合や高速検査の必要がある場合は低い倍率を選択するものである。
【0051】
また、倍率の変更が頻繁でない場合の倍率可変検出光学系20の別の実施例としては、可動レンズ部分をユニット化し、ユニット交換することも考えられる。この場合、調整、メンテナンスが容易に行えるメリットを奏する。
【0052】
次に光学フィルタ群24について説明する。NDフィルタ24aは、光検出器26で検出される光量を調整するためのものであり、高輝度の反射光が光検出器26に受光されると、光検出器26は飽和状態となり、安定した異物検出ができない。このNDフィルタ24aは、照明光学系10で照射光量を調整できる場合は、必ずしも必要ではないが、NDフィルタ24aを用いることにより、検出光量の調整幅を大きくすることができ、様々な被検査対象に最適になるように光量を調整できる。例えば、レーザ光源11で1Wから100Wまで出力を調整でき、また、NDフィルタ24aとして、100%透過フィルタ、1%透過フィルタを用意しておけば、10mWから100Wまでの光量調整ができ、幅広い光量調整ができる。
【0053】
偏光板24bは、照明光学系部10で偏光照明した際、回路パターンのエッジから生じる反射回折光による偏光成分を遮光し、異物から生じる反射回折光による偏光成分の一部分を透過するものである。
【0054】
次に光検出器26について説明する。光検出器26は、結像光学系23によって集光された上方反射回折光を受光し、光電変換するためのイメージセンサであり、例えば、TVカメラやCCDリニアセンサやTDIセンサやアンチブルーミングTDIセンサや光電子増倍管である。
【0055】
ここで、光検出器26、640の選択方法しては、安価な検査装置にする場合にはTVカメラやCCDリニアセンサが良く、高感度に微弱な光を検出する場合は、例えば、0.1μm程度以下の極微小な異物を検出する場合は、TDI(Time Delay Integration)機能を持ったセンサや光電子増倍管が良い。
【0056】
次に、光検出器におけるダイナミックレンジ向上の実施例について説明する。ところで、ウェハ上の検査対象領域によっても回路パターンからの反射回折光の強度には差が生じることになる。即ち、繰り返し回路パターンが形成されたメモリセル部とその周辺部では、周辺部の方が反射回折光強度が強くなっている。また、メモリセル部からの回路パターンの反射回折光は空間フィルタ22によってより多く消去可能であるが、周辺部等には様々なパターンが存在するため空間フィルタ22では消去することが難しいことになる。このような状況にあるため、例えば検査対象領域が周辺部等に到って光検出器26で受光する光のダイナミックレンジが大きくなった場合、つまり、センサが飽和するような光が入射する場合には、アンチブルーミング機能を付随したセンサが良いが、特開2000−105203号公報に記載されているように、図9(a)に示す如く、検出光学系20の光路の例えばミラー90の位置に透過率(例えば99%)と反射率(例えば1%)の異なるビームスプリッタ100を配置し、それぞれの光路に光検出器26、101を設置しても良い。勿論、上記ビームスプリッタ100をハーフミラーで構成し、該ハーフミラーと光検出器26、101との間に個別にNDフィルタを設けて透過光量を互いに変えることもできる。この場合、周辺部等からセンサが飽和するような強い光が入射した場合には、光検出器101から得られる受光光量を減衰させた画像信号を基に異物等の欠陥を検出し、メモリセル部については光検出器26から得られる画像信号を基に異物等の欠陥を検出すればよい。なお、光検出器101から得られる画像信号(比較的背景が強調される画像信号となる。)を基に異物等の欠陥を検出する方法としては、信号処理におけるチップ比較によってほぼ同じレベルである背景の画像信号を消去して、ランダムに発生する異物等の欠陥を示す信号を抽出する方法である。これにより、照明強度を変化させて何回も検査することなく、メモリセル部はもとより、周辺部等においても、異物等の欠陥を検出できることになる。
【0057】
また、TDIセンサを用いる場合では、図9(b)に示すように、例えば100段の受光素子列のうち、信号を取り出す段数の異なる受光部列26’a(26)、26’bを形成した素子を用いることも考えられる。例えば、1段の蓄積された受光素子列の1%の強度信号を取り出す部分26’bと、残りの99段の蓄積された受光素子列の99%の強度信号を取り出す部分26’aとに分けた構成にすることにより、強い光が入射した場合でも、ブルーミングを起こすことを防止でき、それぞれの出力信号を上記の場合と同様に信号処理系40で処理することが可能となる。
【0058】
次に、光電子増倍管を用いる場合の実施例について図10を用いて説明する。図10は、光電子増倍管を一次元方向にならべたセンサを示す。この場合、高感度な一次元センサとして用いることができるので、高感度な検査が可能となる。この時の構成としては、図10(a)に示すように、光電子増倍管5001の結像光学系23側にマイクロレンズ5002を取り付け、結像光学系23で集光される反射回折光を検出する構成にすれば良い。ここで、マイクロレンズ5002は、光電子増倍管面と同等の範囲の光を光電子増倍管5001に集光する機能を持つ。また、図10(b)のように、マイクロレンズ5002の下流に設置した治具5003を介して光ファイバ5004を取りつけ、さらに光ファイバ5004の出力端に光電子増倍管5001を取り付ける構成にしても良い。この場合、光ファイバの直径は光電子増倍管の直径よりも小さいため、図10(a)よりもセンサピッチを小さくできるため、分解能の高いセンサにすることができる。
【0059】
次に、検出光学系200における側方検出光学系600について図1及び図11を用いて説明する。即ち、異物検査においては、半導体の高集積化により近年増加傾向の多層ウェハも検査する必要が生じてきている。図6に示すように、ウェハの表面には、多層化の工程で透明膜(例えば酸化膜)800が形成され、その上に回路パターンが形成される工程の繰り返しにより多層ウェハが作られる。そこで、ウェハ上の異物検査としては、透明膜800の表面の微小異物やスクラッチ等の欠陥802を検出するニーズが高まっている。
【0060】
基本的には、照明ビーム220、230を用いて照明角αを小さくすることによって、下地801からの回路パターン回折光等の反射光の影響を抑えることが可能であるが、照明角αを小さくすることにより欠陥802から発生られる散乱光の多くは前方散乱光として低い角度で出ることになるため、検出光学系200の対物レンズ21への入射が少なくなって透明膜800上の欠陥802を安定して検出できない。また、前方散乱光を低い角度で検出したのでは、正反射光を検出することになるので、欠陥802を検出することができない。
【0061】
そこで、本発明では、上述したように、図11に示す如く、ビーム径が拡大されたレーザ光L3をミラー256、円筒レンズ255を介してウェハ1の表面に対して低角度(5度〜10度程度)の照明角γで照明ビーム250として照射し、Y方向に長手方向を有するスリット状ビーム201を形成する。なお、図1および図2(b)に示すように、照明光路において、円筒レンズ255をミラー256の前に設けた方が好ましい。そして、ウェハ1の表面に形成された透明膜800上に存在する微小異物やスクラッチ等802から発生する照明ビーム250に対する主として側方散乱光を低角度で検出できるように側方検出光学系600を設置した。そのため、該側方検出光学系600は、Y軸に対して角度ω(例えば80度〜100度程度)で交差する方向から低角度(5度〜10度程度)の検出角度θの光軸を有する結像光学系630および光検出器640から構成される。そして、上記交差角ωを90度付近にすることによって、光検出器640の受光面は、スリット状ビーム201に対して結像光学系630による結像関係を有し、しかも結像光学系630の結像倍率を、光検出器640の受光面がスリット状ビーム201の全照明範囲を臨むように設定することが可能となる。このように側方検出光学系600をスリット状ビーム201に対して低角度で結像関係にすることによって、スリット状ビーム領域以外からの迷光の影響を防止し、倍率可変検出光学系20と同様に並列処理が可能となり、検査の高速化を図ることが可能となる。なお、光検出器640は、光検出器26と同様に、TDIセンサや光電子増倍管等で構成することができる。
【0062】
また、検査中は、ウェハ1の表面がZ方向で一定の位置となり、光検出器640の受光面がスリット状ビーム201の全照明範囲をとらえるように図示しない自動焦点制御系により制御される。また、側方検出光学系600の光路中に空間フィルタを設置することにより、下地等に存在する回路パターンからの側方反射回折光を遮光することも可能である。
【0063】
また、結像光学系630に工夫を施せば、上記交差角ωの範囲を広げることが可能となる。また、照明ビームとしては傾斜角度αを低角度にすれば、照明ビーム220を用いることも可能である。この場合、側方検出光学系600によって検出するのは、側方前方(平面的に見て135度方向)散乱光を検出することになる。また、照明ビームとして230を用いた場合には、側方検出光学系600を照明系と干渉しないミラー245とミラー225との間に設ければよい。
【0064】
以上説明したように、側方散乱光を主に低角度でスリット状ビーム201に結像させて検出する側方検出光学系600を設けることにより、下地からの反射光の影響を抑えて、透明膜800上の微小異物やスクラッチ等の欠陥802を精度良く検出できることになる。
【0065】
また、図12(a)に示すように、例えばレーザ光L3を光偏向手段(光偏向器)720によりY方向に高速走査して集光レンズ730でウェハの表面に低角度γで集光照射されたスポット701が高速走査され、異物やスクラッチ等の欠陥802からの側方散乱光を低角度θの結像レンズ740で光ファイバ等の分配手段750の受光面に結像させ、該結像した光像を上記分配手段750で導いて光電子増倍管等の光電変換素子760a〜760dで検出してもよい。この実施例の場合、740〜760が側方検出光学系600’となる。この場合、図12(b)に示すように、複数のスポット走査群701a〜701cをウェハ1上に形成することで、光電子増倍管等を用いて検査の高速化が図れる。また、各走査スポット701a〜701cから発生する欠陥散乱光の検出は、図12(c)で示す如く分配手段750で導かれる光情報を、光電子増倍管760a〜760dで一定間隔でピックアップすることにより信号の並列処理ができ、高速に検査が行われる。その結果、光電子増倍管の数を減らして偏りなく欠陥802を検出することができる。即ち、各光電子増倍管のウェハ上におけるY方向の検出位置は光偏向手段720の偏向信号を用いることにより決まっているので、各光電子増倍管から検出される欠陥の信号をスポット701の高速走査に同期して検出すればよい。
【0066】
また、レーザ光L3を分岐手段131(131a〜131d)で複数のレーザ光132a〜132dに分割し、各レーザ光132a〜132dを、発振器134a〜134dからの信号に基づいて光変調器133a〜133dで互いに異なる周波数で例えば強度変調する。そして、これら強度変調された各レーザ光135a〜135dをミラー136a〜136d、137a〜137dで反射させ、更に光偏向器138でY方向に偏向させて集光レンズ139で集光させて傾斜角γでウェハ1上にマルチスポット140a〜140dとして照射する。ここで、各光偏向器はウェハ1上でY方向にスポットが完全に重ならないように偏向角にオフセットを与えている。これにより、互いに異なる周波数で強度変調され、傾斜角度γで入射されてY方向に走査されたマルチスポット140a〜140dが得られることになる。これに対して側方検出光学系としては、X方向で傾斜角θの光軸を有する結像レンズ141、受光部142、該受光部142に接続された光ファイバ143、及び光電子増倍管144で構成される。なお、これら受光部142、光ファイバ143及び光電子倍増管144によって光検出器を構成することができる。145a〜145dは同期検波回路で、各発振器134a〜134dから得られる各光変調器133a〜133dに印加した各周波数の信号によって光電子増倍管144から出力される信号成分に含まれる周波数を検波することによって、どのスポット140a〜140dの走査によって発生した欠陥なのかを検出できることになる。即ち、光電子増倍管144は、マルチスポット走査による欠陥802からの側方散乱光を受光することになるが、各同期検波回路145a〜145dから検波して出力される欠陥を示す信号により光偏向器138によるどのスポット140a〜140dの走査によるものかを弁別することが可能となる。その結果、信号処理系40は、光偏向器138を制御する制御回路146からの偏向信号(ウェハ上の走査信号に相当する)に基づいて欠陥が発生したY軸方向の位置座標を算出することができることになる。
【0067】
以上説明したように、光変調器133a〜133dの各々で互いに異なる周波数で例えば強度変調して走査されたマルチスポット140a〜140dとして照射し、光検出器で検出された信号を各同期検波回路145a〜145dによって検波して欠陥を示す信号を抽出することによって、波長を変えてマルチスポットとして照射する場合に比較して検出感度を一様にして欠陥を検出することができることになり、高速化を図ることが可能となる。
【0068】
また、被検査対象物1の表面に透明膜800が形成されていない場合は、傾斜角度γ、検出角度θは必ずしも低角の必要はなく、5〜90度の範囲で任意に設定してもよい。
【0069】
また、複数のレーザスポットを走査する代わりに、走査レーザ照明系と検出光学系とをユニット化した複数の検出ヘッドをチップ202の配列方向に、好ましくはチップのピッチに合わせて設置しても検査を高速化することができる。
【0070】
以上、図12および図13に示す技術は、検出光学系200による上方検出にも適用可能である。
【0071】
〔搬送系30〕
次に、搬送系30について説明する。ステージ31、32は試料設置台34をXY平面に移動させるためのステージであり、照明光学系10の照明エリアに被検査対象基板1の全面を移動させることができる機能を持つ。また、ステージ33はzステージであり、倍率可変検出光学系20の光軸方向(Z方向)に試料設置台34を移動させることができる機能を持つ。また、試料設置台34は、ウェハ1を保持するとともに、被検査対象基板1を平面方向に回転させる機能を持つ。また、ステージコントローラ35はステージ31、32、33、試料設置台34を制御する機能を持つ。
【0072】
〔信号処理系40〕
次に、光検出器26および640等からの出力信号を処理するための信号処理系40の内容について図14を用いて説明する。信号処理系40は、光検出器26および640の各々から切替えられて入力される信号をA/D変換するA/D変換器1301、A/D変換された検出画像信号f(i,j)を記憶するデータ記憶部1302、上記検出画像信号に基いて閾値算出処理をする閾値算出処理部1303、上記データ記憶部1302から得られる検出画像信号510と閾値算出処理部1303から得られる閾値画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))520とを基に画素マージ毎に異物検出処理を行う異物検出処理部1304a〜1304n、例えば、低角度照明・上方検出(照明ビーム220、230による低角度照明・検出光学系200による上方検出)によって欠陥から検出して得られた散乱光量、高角度照明(中角度照明も含む)・上方検出(照明ビーム220,230、240による高角度照明・検出光学系20による上方検出)によって欠陥から検出して得られた散乱光量、低角度照明・斜方検出(照明ビーム250による低角度照明・側方検出光学系600による斜方検出)によって欠陥から検出して得られた散乱光量及び欠陥の広がりを示す検出画素数等の特徴量を算出する特徴量算出回路1310、該特徴量算出回路1310から得られる各マージ毎の特徴量を基に、半導体ウェハ上の小/大異物やパターン欠陥やマイクロスクラッチ等の欠陥を各種欠陥に分類する統合処理部1309、および結果表示部1311から構成される。異物検出処理部1304a〜1304nの各々は、例えば1×1、3×3、5×5、…n×nのマージオペレータの各々に対応させて、画素マージ回路部1305a〜1305n、1306a〜1306n、異物検出処理回路1307a〜1307n、および検査領域処理部1308a〜1308nを備えて構成される。
【0073】
特に、本発明においては、異物検出処理部1304a〜1304n、特徴量算出回路1310、および統合処理部1309を特徴とする。
【0074】
次に動作を説明する。まず光検出器26、640の各々から切替えられて得られた信号をA/D変換器1301でデジタル化する。この検出画像信号f(i,j)510をデータ記憶部1302に保存すると共に、閾値算出処理部1303に送る。閾値算出処理部1303で異物検出のための閾値画像Th(i,j)520を算出し、各種マージオペレータ毎に、画素マージ回路1305、1306で処理された信号を基に、異物検出処理回路1307で異物を検出する。検出された異物信号や閾値画像を検査領域処理部1308により、検出場所による処理を施す。同時に、各種マージオペレータ毎に設けられた異物検出処理部1304a〜1304nの、画素マージ回路1305a〜1305n、1306a〜1306n、異物検出処理回路1307a〜1307n、検査領域処理部1308a〜1308nから得られた信号を基に、特徴量算出回路1310で特徴量(例えば、高角度照明・上方検出により得られた散乱光量、低角度照明・上方検出により得られた散乱光量、低角度照明・斜方検出により得られた散乱光量、欠陥の検出画素数等)を算出し、前記異物信号と前記特徴量を統合処理部1309で統合し、結果表示部1311に検査結果を表示する。
【0075】
以下に詳細を述べる。まず、A/D変換器1301は光検出器26、640等で得られたアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する回路であるが、変換ビット数は8ビットから12ビット程度が望ましい。これは、ビット数が少ないと信号処理の分解能が低くなるため、微小な光を検出するのが難しくなる一方、ビット数が多いとA/D変換器が高価となり、装置価格が高くなるというデメリットがあるからである。次に、データ記憶部1302は、A/D変換されたデジタル信号を記憶しておくための回路である。
【0076】
なお、閾値算出処理部1303については、特開2000−105203号公報に記載されている。即ち、閾値算出処理部1303では、次に説明する値を用いて、検出閾値(Th(H),Th(L))、および検証閾値(Th(Hm),Th(Lm))の閾値画像が、次の(2)式を用いて算出される。なお、入力データの標準偏差値は(σ(ΔS)=√(ΣΔS2/n−ΣΔS/n))で算出され、入力データの平均値は(μ(ΔS)=ΣΔS/n)で算出される。さらに、入力データ数nに対応した閾値を設定するための係数(倍率)をk、検証用の係数をm(mは1より小さいものとする。)とする。
Th(H)=μ+k×σ 若しくは Th(L)=μ−k×σ または
Th(Hm)=m×(μ+k×σ) 若しくは Th(Lm)=m×(μ−k×σ) (2)
また、検査領域処理部1308a〜1308nから設定された領域毎に閾値画像データを変更してもよい。要するに、ある領域において検出感度を低くするには、その領域における閾値を高めれば良い。
【0077】
次に、信号の画素マージ回路部1305、1306について図15及び図16を用いて説明する。画素マージ回路部1305a〜1305n、1306a〜1306nは、各々異なるマージオペレータ1504で構成される。マージオペレータ1504は、データ記憶部1302から得られる検出画像信号f(i,j)510と、閾値算出処理部1303から得られる検出閾値画像Th(H)、検出閾値画像Th(L)、検証閾値画像Th(Hm)、および検証閾値画像Th(Lm)からなる閾値画像信号520との各々をn×n画素の範囲で結合する機能であり、例えば、n×n画素の平均値を出力する回路である。ここで、画素マージ回路部1305a、1306aは例えば1×1画素をマージするマージオペレータで構成され、画素マージ回路部1305b、1306bは例えば3×3画素をマージするマージオペレータで構成され、画素マージ回路部1305c、1306cは例えば5×5画素をマージするマージオペレータで構成され、…画素マージ回路部1305n、1306nは例えばn×n画素をマージするマージオペレータで構成される。1×1画素をマージするマージオペレータは、入力信号510、520をそのまま出力することになる。
【0078】
閾値画像信号については、上記の如く、4つの画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))からなるため、各画素マージ回路部1306a〜1306nにおいて4つのマージオペレータOpが必要となる。従って、各画素マージ回路部1305a〜1305nからは、検出画像信号が各種マージオペレータ1504でマージ処理してマージ処理検出画像信号431a〜431nとして出力されることになる。他方、各画素マージ回路部1306a〜1306nからは、4つの閾値画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))が各種マージオペレータOp1〜Opnでマージ処理してマージ処理閾値画像信号441a(441a1〜441a4)〜441n(441n1〜441n4)として出力されることになる。なお、各画素マージ回路部1306a〜1306n内のマージオペレータは同じものである。
【0079】
ここで、画素をマージする効果を説明する。本発明の異物検査装置では、必ずしも微小異物だけではなく、数μmの範囲に広がった大きな薄膜状の異物も見逃すことなく検出する必要がある。しかし、薄膜状異物からの検出画像信号は、必ずしも大きくならないために、1画素単位の検出画像信号ではSN比が低く、見逃しが生じることがある。そこで、1画素平均の検出画像信号レベルをSとし、平均のばらつきをσ/nとすると、薄膜状異物の大きさに相当するn×n画素の単位で切出して畳み込み演算をすることによって、検出画像信号レベルはn2×Sとなり、ばらつき(N)はn×σとなる。従って、SN比はn×S/σとなる。他方、薄膜状異物について1画素単位で検出しようとすると、検出画像信号レベルはSとなり、ばらつきはσとなるため、SN比は、S/σとなる。従って、薄膜状異物の大きさに相当するn×n画素の単位で切出して畳み込み演算をすることによって、SN比をn倍向上させることができる。
【0080】
1画素単位程度の微小異物については、1画素単位で検出される検出画像信号レベルはSとなり、ばらつきはσとなるので、SN比はS/σとなる。仮に、1画素単位程度の微小異物についてn×n画素の単位で切出して畳み込み演算をすると、検出画像信号レベルはS/n2となり、ばらつきはn×σとなるため、SN比はS/n3/σとなる。従って、1画素単位程度の微小異物については、画素単位の信号そのままの方が、SN比として向上が図れる。
【0081】
なお、本実施例では、マージの範囲を正方形(n×n画素)にした例で説明したが、マージの範囲を長方形(n×m画素)にしても良い。この場合、方向性のある異物の検出や、光検出器26、640での検出画素が長方形であるが、信号処理は正方形画素で処理したい場合に有効である。
【0082】
また、本実施例で説明したマージオペレータの機能は、n×n画素の平均値を出力する実施例で説明したが、n×n画素の最大値や最小値、または中央値を出力しても良い。中央値を用いた場合は、安定した信号が得られる。さらに、出力値としてn×n画素の平均値に特定の値を乗算または除算した値としても良い。
【0083】
次に、図16は異物検出処理回路1307の一実施例を示した図である。図16においては、1×1画素をマージする画素マージ回路部1305aおよび画素マージ回路部1306a並びにn×n画素をマージする画素マージ回路部1305nおよび画素マージ回路部1306nについて示す。
【0084】
そして、異物検出処理回路1307a〜1307nは、各マージオペレータに対応させて、マージ処理差分信号471a〜471nとマージ処理閾値信号441a〜441nとの大小を比較する比較回路1601a〜1601nと、異物の検出場所を特定する検出場所判定処理部1602a〜1602nとで構成される。比較回路1601a〜1601nには、画素マージ回路1305a〜1305nから得られる画素マージされた検出画像信号について、繰り返される例えばチップ分遅延させる遅延メモリ451a〜451nと、上記画素マージされた検出画像信号431a〜431nと上記遅延メモリ451a〜451nによって遅延された画素マージされた参照画像信号との差分信号を形成する差分処理回路461a〜461nとが設けられている。従って、比較回路1601a〜1601nは、各画素マージ回路部1306a〜1306nの4つの画素マージ回路Opから得られるマージ処理閾値画像Th(H)(i,j)、Th(Hm)(i,j)、Th(Lm)(i,j)、Th(L)(i,j)とを比較する回路であり、例えば、マージ処理差分検出信号471a〜471nがマージ処理閾値画像Th(i,j)よりも大きければ異物として判定する機能を持つ。本実施例では、閾値を4種類用意し、マージオペレータ毎に、マージ処理閾値画像1603、1604、1605、1606に対し、比較回路1601a〜1601nで異物の判定処理を行う。
【0085】
次に、検出場所判定処理部1602a〜1602nについて説明する。検出場所判定処理は、各種マージオペレータに対応させて異物又は欠陥の存在するチップを特定してその位置座標(i,j)を算出する処理である。本処理の考え方は、異物または欠陥を検出するための検出閾値(Th(H),Th(L))と、該検出閾値よりも値の小さい閾値である検証閾値(Th(Hm),Th(Lm))で検出した結果を用いて、異物または欠陥が検出されたチップを特定する。
【0086】
次に、検査領域処理部1308a〜1308nについて説明する。検査領域処理部1308a〜1308nは、異物検出処理回路1307a〜1307nからチップを特定して得られる異物又は欠陥検出信号に対して、検査する必要がない領域(チップ内の領域も含む)のデータを除去する場合や、検出感度を領域(チップ内の領域も含む)毎に変える場合、また、逆に検査したい領域を選択する場合に用いる。検査領域処理部1308a〜1308nは、例えば、被検査対象基板1上の領域のうち、検出感度が低くても良い場合には、閾値算出処理部1303の閾値算出部(図示せず)から得られる該当領域の閾値を高く設定しても良いし、異物検出処理回路1307a〜1307nから出力される異物のデータから異物の座標を基にして検査したい領域の異物のデータのみを残す方法でも良い。
【0087】
ここで、検出感度が低くても良い領域というのは、例えば、被検査対象基板1において回路パターンの密度が低い領域である。検出感度を低くする利点は、検出個数を効率良く減らすことである。つまり、高感度な検査装置では、数万個の異物を検出する場合がある。この時、本当に重要なのは回路パターンが存在する領域の異物であり、この重要な異物を対策することがデバイス製造の歩留り向上への近道である。しかしながら、被検査対象基板1上の全領域を同一感度で検査した場合、重要な異物と重要でない異物が混じるために、重要な異物を容易に抽出することができない。そこで、検査領域処理部1308a〜1308nは、チップ内のCAD情報または閾値マップ情報に基いて、回路パターンが存在しないような、歩留りにあまり影響しない領域の検出感度を低くすることにより、効率良く重要異物を抽出することができる。ただし、異物の抽出方法は、検出感度を変更する方法だけでなく、後述する異物の分類により、重要異物を抽出しても良いし、異物サイズを基に重要異物を抽出しても良い。
【0088】
次に、統合処理部1309およびその検査結果表示部1311について説明する。統合処理部1309では、画素マージ回路1305、1306で並列処理された異物検出結果を統合したり、特徴量算出回路1310で算出した特徴量と異物検出結果を統合し、結果表示部1311に結果を送る機能を有する。この検査結果統合処理は、処理内容を変更し易くするためにPC等で行うのが望ましい。
【0089】
まず、特徴量算出回路1310について説明する。この特徴量とは、検出された異物や欠陥の特徴を表す値であり、特徴量算出回路1310は、前記特徴量を算出する処理回路である。特徴量としては、例えば、高角度照明・上方検出、低角度照明・上方検出及び低角度照明・斜方検出によって得られた異物又は欠陥からの反射回折光量(散乱光量)(Dh,Dl)、検出画素数、異物検出領域の形状や慣性主軸の方向、ウェハ上の異物の検出場所、下地の回路パターン種類、異物検出時の閾値等がある。
【0090】
次に、統合処理部1309でのDFCの実施例について説明する。
即ち、統合処理部1309は、各種画素マージされた異物検出信号が入力されているので、図17に示すように、異物を、「大異物」、「微小異物」、「高さの低い異物」として分類することが可能となる。図17は、分類基準と分類結果の関係を示した表である。図17は1×1画素でマージ処理された検出結果と5×5画素でマージ処理された検出結果を用いた例である。即ち、異物検出処理回路1307a、1307cからは、信号処理回路により1×1画素での検査結果と5×5画素での検査結果が得られる。これらの結果を用いて、図17に従って分類を行う。つまり、ある異物が1×1画素でも5×5画素でも検出した場合は「大異物」として分類する。また、1×1画素では検出したが、5×5画素では検出しなかった場合は「微小異物」、さらに1×1画素では検出しなかったが、5×5画素では検出した場合は「高さの低い異物」として分類する。
【0091】
図18は、上記分類結果を含んだ検査結果の表示の実施例を示す。上記検査結果の表示は、検出場所判定処理部1602a、1602cから得られる異物の位置情報2501、統合処理部1309から得られる分類結果のカテゴリ情報2502およびカテゴリ毎の異物数2503で構成される。本実施例は、異物の位置情報2501で異物の位置を示すと共に、表示記号により分類カテゴリも併せて表示した例である。また、各記号の分類カテゴリの内容は、分類結果カテゴリ情報2502に示している。また、カテゴリ毎の異物数2503は各カテゴリに分類された個数を表している。このようにカテゴリ毎に表示を変えることによって、各異物の分布が一目でわかるという利点がある。
【0092】
次に、本発明に係る異物のサイズ測定方法の実施例について説明する。本方法は、異物サイズと光検出器26で検出される光量には比例関係があることを利用した方法である。つまり、特に異物が小さい場合、Mieの散乱理論に従い、検出光量Dは異物サイズGの6乗に比例するという関係がある。従って、特徴量算出回路1310は、検出光量D、異物サイズG、および比例係数εを基に、次に示す(3)式で異物サイズを測定し、統合処理部1309に提供することができる。
【0093】
G=ε×D(1/6) (3)
なお、比例係数εは、予め、サイズが既知の異物からの検出光量から求めておいて入力しておけば良い。
【0094】
次に、検出光量Dの算出方法の一実施例を図19を用いて説明する。図19(a)は、異物検出処理回路1307で検出される微小異物についてのデータ記憶部1302から得られる微小異物のデジタル画像信号(光検出器26の信号をA/D変換した画像信号)を基に作成した微小異物部の画像である。微小異物部2601が微小異物の信号を示している。図19(b)は、図19(a)の微小異物部2601とその近傍画素のA/D変換値(画素毎の濃淡値)を示している。本例は、8bitでA/D変換した例であり、異物信号部2602が微小異物からの検出信号を示している。ここで、異物信号部2602の中央部の「255」はアナログ信号が飽和していることを示しており、異物信号部2602以外の「0」の部分は微小異物以外からの信号を示している。微小異物の検出光量Dの算出方法としては、図19(b)に示す異物信号部2602の各画素値の和を計算する。例えば、図19(b)の例では、微小異物2601の検出光量Dは、各画素値の和である「805」となる。
【0095】
次に、検出光量Dの算出方法の他の実施例について説明する。本実施例の考え方は、図19(b)における異物信号部2602の飽和部をガウス分布近似で補正し、検出光量の算出精度を向上することにある。補正方法について、図20を用いて説明する。図20はガウス分布を3次元的に表現した図である。図20は、y=y0で信号が飽和した場合を示しており、以下で説明する方法は、図20におけるy=y0より下の部分、つまり、V3の部分の検出光量が得られた場合に、ガウス分布全体の検出光量を算出する方法である。まず、図20のガウス分布全体の体積をV1、y=y0より上の部分の体積をV2、y=y0より下の部分の体積をV3とする。また、図20のガウス分布のx軸で断面形状が次の(4)式で得られるものとする。
y=exp(−x2/2/σ2) (4)
この時、V1はy軸周りに積分することにより、次の(5)式で表される。
V1=2×π×σ2 (5)
さらに、V2は、次の(6)式で表される。
V2=2×π×σ2(y0×log(y0)+1−y0) (6)
なお、上記の式における「log」は自然対数を計算することを示している。ここで、体積比V1/V3をCCと書きなおすと、CCは次の(7)式で計算できるので、上記(5)式及び(6)式から、次の(8)式で算出される。
CC=V1/(V1−V2) (7)
CC=1/(y0×(1−log(y0))) (8)
ここで、飽和部の信号幅をSWとすると、次の(9)式であるので、CCは次の(10)式で表すことができる。
y0=exp(−SW2/2/σ2) (9)
CC=exp(SW2/2/σ2)/(1+SW2/2/σ2) (10)
従って、図19(b)に示すように得られた検出光量がV3であった場合、ガウス分布全体の体積V1は、次の(11)式で算出でき、V1を補正後の検出光量Dとするれば良い。なお、飽和部の信号幅SWを算出する必要がある。
V1=V3×exp(SW2/2/σ2)/(1+SW2/2/σ2) (11)
以上、検出光量Dの算出方法について説明したが、倍率可変検出光学系20の視野が広い場合、視野内のレンズ歪みにより誤差が生じる場合がある。この場合は、視野内のレンズ歪みに応じた補正を加えても良い。
【0096】
なお、本実施例では、検出光量として異物信号部2602の信号和の値を用いたが、必ずしも信号和である必要はなく、異物信号部2602の最大値でも良い。利点としては、最大値を用いた場合は電気回路規模を小さくできることであり、信号和を用いた場合は信号のサンプリング誤差を低減でき、安定した結果が得られることである。
なお、表示画面は、全体制御部50に設けられた表示手段52に表示させてもよい。
【0097】
次に、統合処理部1309で行う異物又は欠陥の分類の他の実施例を図21及び図22を用いて説明する。図21は、統合処理部1309が検査を2回行った結果を基に異物を分類するシーケンスを示している。
【0098】
まず、第1の検査条件にてウェハ1を検査する(S221)。第1の検査で、異物検出処理回路1307から得られた異物の座標データと、特徴量算出回路1310から得られた各異物の特徴量を記憶装置(図示せず)に保存する(S222)。次に、第1の検査条件とは違う第2の検査条件にてウェハ1を検査し(S223)、第2の検査で、異物検出処理回路1307から得られた異物の座標データと、特徴量算出回路1310から得られた各異物の特徴量を記憶装置(図示せず)に保存する(S224)。この時、第2の検査条件としては、たとえば、第1の検査条件がウェハ表面に近い角度から照明光を照射した場合(低角度照明の場合)は、第2の検査条件としては、ウェハ面の法線に近い角度から照明光を照射する条件(高角度照明条件)を選択すると良い。また、第2の検査条件にてウェハ1を検査する場合は、第2の検査条件での異物検出の有無に係らず、第1の検査条件で異物が検出された座標での特徴量を記憶する。
【0099】
次に、前記得られた第1の検査結果の座標データと、前記得られた第2の検査結果の座標データを比較し(S225)、座標が近い異物を同一物と見なし、それぞれの特徴量から分類を行う(S226)。ここで、座標データが近いことを判断する方法の一実施例としては、第1の検査結果から得られる座標データをx1およびy1、第2の検査結果から得られる座標データをx2およびy2、比較半径をrとすると、次の(12)式に当てはまるデータを同一物と判断すれば良い。
(x1−x2)2+(y1−y2)2<r2 (12)
ここでrは0または、装置に付随する誤差分を考慮した値にすれば良い。測定方法としては、例えば、数点の異物の座標データで(12)式の左辺の値を計算し、その平均値と標準偏差値から、(13)式で算出した値をrに設定すれば良い。
r2=平均値+3×標準偏差 (13)
さらに、同一物と見なした異物情報から異物を分類する方法を図22を用いて説明する。図22(a)は横軸に前記第1の検査(低角度照明)で得られた特徴量である散乱光量(Dl)を設定し、縦軸には前記第2の検査(高角度照明)で得られた特徴量である散乱光量(Dh)を設定したグラフである。図22(b)は横軸に低角度照明で側方検出光学系600により得られた散乱光量(Dl’)を設定し、縦軸には高角度照明で得られた散乱光量(Dh’)を設定したグラフである。図22において、点3501は前記同一物と見なした異物の各特徴量に応じてプロットした点である。本実施例では、1点が1個の異物を示している。また、分類線3502は検査において検出した異物を分類するための分類曲線である。図22は分類線3502によって、2つの領域、つまり、領域3503と領域3504に分割した例である。分類方法としては、図22(a)において、前記検出された異物が領域3503にプロットされる場合は「大異物、スクラッチ」として分類し、領域3504にプロットされる場合は、「小異物」として分類する。また、図22(b)に示すように、低角度照明での散乱光量(Dl)及び高角度照明での散乱光量(Dh)に比べ、側方検出光学系600での散乱光量(Dl’)が、より小さい場合の検出物4510は透明膜800内部に存在する膜中欠陥として分類する。ところで、上方検出で低角度照明の場合はウェハでの照明ビームの広がりにより照度が低下し、感度が下がるため、上方検出は、側方検出より小異物に対して検出感度が低くなる。
【0100】
ここで、分類線3502は、事前に決めておく必要がある。事前に決める方法としては、予め大異物か小異物か分かっている検出物を図22のグラフに数点プロットして、前記検出物を正しく分けられるように分類線3502を設定すれば良い。または、異物から得られる特徴量をシミュレーションで計算し、その結果から分類線3502を設定しても良い。ここで、異物種類の確認方法としては、例えば、検査装置に搭載の観察用光学顕微鏡60やSEM等のレビュー装置により欠陥座標とその種類が分かっているウェハ上の検出物を用いて分類する。検査装置に搭載の60を含むレビュー装置では、短時間の分類が可能であり、SEMを用いた場合は、解像度良く分類が行える。検出物の種類としては、例えば、異物、スクラッチ、透明膜中の異物等である。分類線3501の設定は、例えば、低角度照明で得られる散乱光量が、検出器26における電気ノイズを異物として誤検出しない程度の値にしきい値が設定される。また、まず、大異物と、小異物の集団について、それぞれ重心位置を算出し、各プロット点の標準偏差を求める。次に、各重心位置を結んだ直線の距離をL、それぞれの重心位置から標準偏差の半径をr1、r2として、L×(r1/(r1+r2))になる直線上の点での垂直2等分線を分類線3502とする。
なお、本実施例では、2回検査を行う例を説明したが、特徴量の種類(例えば検出画素数:欠陥の面積Qに相当する)を増やした方が分類性能の向上が図れる場合は、3回以上検査を行って異物の特徴量(検出画素数)を取得しても良い。
【0101】
次に、検査結果統合処理部1309で行う異物又は欠陥の分類の更に他の実施例を図23を用いて説明する。図23は1回検査を行い、3種類の光学条件で算出した特徴量を用いて分類する実施例のシーケンスを示している。
【0102】
まず、第1の光学条件でウェハ1に対して検査を行い(S241)、異物検出処理回路1307から得られた異物の座標データと、特徴量算出回路1310から得られた各異物の特徴量も保存しておく(S242)。次に、本発明の異物検査装置の光学条件を変える。これは、例えば、照明光学系の照射角度や照明方向、検出光学系による検出方向(上方や斜方)である。また、検出光学系の倍率を変えても良く、光学フィルタを変えても良い。以上のような変更を加えた条件を第2の光学条件とする。
【0103】
光学条件を第2の光学条件に変更した後、前記保存しておいた異物の座標の位置に搬送系30でウェハ1を動かし、第2の光学条件で、光検出器26で検出してA/D変換して得られる検出画像信号を基に特徴量算出回路1310において異物の特徴量を算出する(S243)。さらに、第3の光学条件で特徴量を算出する場合も同様に行う(S244)。この時、第1の光学条件、第2の光学条件、第3の光学条件はそれぞれ違う条件であることが望ましい。
【0104】
分類方法の考え方を図24で説明する。図24は3種類の特徴量を3軸に設定した特徴量空間である。3軸の内容としては、例えば、特徴量1が第1の光学条件(例えば高角度照明)で取得した欠陥からの特徴量(例えば散乱光量(Dh))であり、特徴量2が第2の光学条件(例えば低角度照明)で取得した欠陥からの特徴量(例えば散乱光量(Dl))、また、特徴量3が第3の光学条件(例えば第1の光学条件である高角度照明および第2の光学条件である低角度照明)で取得した欠陥からの特徴量(例えば検出画素数:欠陥の平面的な面積Q)である。この特徴量空間において、(分類カテゴリ数−1)個の分類境界を設定する。図24は、3種類の特徴量から3種類の分類を行う例であるので、分類境界は2個以上あれば良い。
【0105】
特に、3種類の特徴量として、高角度照明による欠陥からの散乱光量(検出光量)(Dh)、低角度照明による欠陥からの散乱光量(検出光量)(Dl)、上記高角度照明時における欠陥の検出画素数および上記低角度照明時における欠陥の検出画素数とすることによって、少なくとも、3つのカテゴリ(異物欠陥、キズ欠陥、回路パターン欠陥)に分類することが可能となる。しかも、特徴量として、欠陥の検出画素数(欠陥の平面的な面積Q)をとっているので、図22に示すように、異物欠陥のカテゴリを大異物と小異物とに分類することも可能となる。
【0106】
また、3つの特徴量として、高結像倍率における欠陥からの散乱光量、低結像倍率における欠陥からの散乱光量、欠陥の検出画素数とすることによって、少なくとも大異物欠陥のカテゴリと小異物欠陥のカテゴリとに容易に分類することが可能となる。また、光検出器640から得られる欠陥画像の特徴量から透明膜上の微小異物やスクラッチ(キズ欠陥)等の欠陥を分類することが可能となる。
【0107】
さて、図24は、分類境界4501、4502を設定した例である。分類方法としては、まず、上述の3つの特徴量を図24の特徴量空間にプロットする(図23に示すS245)。そして、分類境界4501,4502によって分けられた領域に属する異物を、それぞれカテゴリ(例えば異物欠陥)a、カテゴリ(例えばキズ欠陥)b、カテゴリ(例えば回路パターン欠陥)cとして分類する(図25に示すS246)。図24では、30個程度の欠陥を、カテゴリa、カテゴリb、カテゴリcに分類し、それぞれのカテゴリに分類された欠陥の表示記号を変えた例である。つまり、カテゴリaに分類されたもの(例えば異物欠陥)は「○」、カテゴリbに分類されたもの(例えばキズ欠陥)は「▲」、カテゴリcに分類されたもの(例えば回路パターン欠陥)は「×」で表示している。
【0108】
次に、分類境界の設定方法について図25で説明する。図25は3種類の特徴量をそれぞれ1軸に設定した2次元特徴量空間である。特徴量空間4601は特徴量1と特徴量2の関係から分類するためのグラフであり、特徴量空間4602、4603はそれぞれ、特徴量1と特徴量3、特徴量2と特徴量3の関係から分類するためのグラフである。
【0109】
分類境界の設定方法としては、まず、分類カテゴリが既知である異物の特徴量を特徴量空間4601,4602,4603にプロットする。ここで、特徴量空間にプロットするときは、カテゴリ毎に表示記号等を変えて、カテゴリの違いを表現する。例えば、図25では、カテゴリaは「○」、カテゴリbは「▲」、カテゴリcは「×」で表示した例である。
【0110】
次に、各特徴量空間4601、4602、4603において、カテゴリを分けることができる部分に分類境界4604、4605,4606を設定する。ここで、複数のカテゴリが重なっている場合は、分類境界を設定する必要はない。例えば、特徴量空間4601において、カテゴリaは他のカテゴリb,cから離れた位置に分布しているため、カテゴリaと他のカテゴリb,cとを分類するために分類境界4604を設定するが、カテゴリbとカテゴリcとは分布が重なっているので、必ずしも分類境界を設定する必要はない。異物の分類時には、この特徴量空間4601を用いて、カテゴリaか他のカテゴリかを分類する。同様に、特徴量空間4602,4603においても分類境界4605,4606を設定し、異物の分類時に前記分類境界を用いる。
【0111】
以上、分類境界の設定方法について説明した。本例では、分類境界として、2個の領域に分ける場合で説明したが、3個以上のカテゴリの分布が明確に分かれている場合は、複数の領域に分けるために分類境界を複数個設定しても良い。また、分類境界は直線で設定しても良いし、曲線で設定しても良い。また、分類領域の設定は、ユーザが手動で設定しても良いし、自動で算出して設定しても良い。手動で設定する場合は、ユーザが任意に決めることができる利点があり、自動で設定する場合は、人による設定誤差が低減できる。ここで、自動で設定する方法としては、例えば、1個の特徴量空間において、各カテゴリ分布の重心を算出し、重心間を結んだ直線の垂直二等分線を分類境界にすれば良い。また、各特徴量空間に各カテゴリの分離率を一緒に表示しても良い。
【0112】
分離率を表示した例を図26に示す。図26において、表示4701が分離率の表示である。ここで、分離率とは、例えば、分離境界によって分離された領域内に同一カテゴリの異物がどの程度含まれているかを表示すれば良い。分離率を表示することの利点は、ユーザが分離性能を容易に把握できることである。
なお、本実施例では、3種類の光学条件で算出した特徴量を用いた場合について説明したが、必ずしも3種類に限定する必要はなく、複数種類の光学条件で特徴量を算出する場合や1種類の光学条件で複数の特徴量を取得できる場合に用いることができる。
【0113】
次に、全体制御部50が例えば表示手段52に表示する信号処理系40から得られる検査結果の表示に関する別の実施例について説明する。
図27は、検出した異物または欠陥の位置情報3801と、異物または欠陥の検出個数3802、検出した異物または欠陥サイズのヒストグラム3803で構成されている。なお、本実施例では欠陥としてキズを検出した場合を示している。
【0114】
詳細には、位置情報3801はウェハ上での異物またはキズの位置を示している。なお、本実施例では異物を○で、キズを▲で表示した例を示している。また、検出個数3802は異物またはキズの検出個数である。さらに、グラフ3803は異物またはキズの検出個数とサイズのヒストグラムである。本発明の欠陥検査装置での検出物をこのように表示することにより、異物または欠陥の分布が一目でわかる。
【0115】
図28は、検出物(異物又は欠陥)の検出位置を示した検査マップ3901、検出物のサイズのヒストグラム3902、異物のレビュー像3903で構成されている。本実施例では、検査マップ3901とヒストグラム3902については、検出した検出物の全数または一部を表示した例である。また、レビュー像3903は検出物のサイズ毎にサンプリングし、その検出物のレビュー像を表示する例であり、本実施例では0.1μm以上1μm未満の異物のレビュー像を6個、1μm以上の異物のレビュー像を6個表示した場合を示している。
【0116】
ここで、レビュー像3903は検出器26、640が検出する異物からの反射回折光で得られる像でも良いし、後述する白色光源を用いた光学顕微鏡60または白色光源を用いたレビュー装置による像でも良い。レーザ光による像を表示する場合、画像を検査中に記憶装置53、1302等に残しておけば、検査直後に表示ができ、検出物の確認を迅速に行うことができる利点がある。また、光学顕微鏡60による像を表示する場合は、前記サンプリングされた検出物の座標を基に、検査後に観察画像を取れば良く、レーザ光による像に比べて鮮明な像が得られる。特に、1μm未満の異物または欠陥を観察する場合は、光源に紫外線を用いた、解像度の高い顕微鏡が望ましい。
【0117】
また、前記レビュー像3903で表示した検出物の位置を検査マップ3901上に併せて表示しても良く、レビュー像3903には検出物の検出番号を併せて表示しても良い。また、本形態では、表示するレビュー像が6個ずつの場合で説明したが、6個に限定する必要は無く、検出した異物または欠陥を全数表示しても良いし、検出個数に対し、一定割合の個数分だけ表示しても良い。
【0118】
図29は、検出物を異物とキズとに分類して表示し、分類の正解率も併せて表示した例である。図29は、分類された各カテゴリの検出個数4001、検出物の検出位置を示した検査マップ4002、検出物の確認画面4003で構成されており、検出物の確認画面4003は、さらに、本発明の欠陥検査装置で異物に分類された検出物の確認画面部4004とキズに分類された検出物の確認画面部4005、分類正解率表示部4006から構成されている。確認画面部4004と4005は、さらに、検出物の観察画面4007と分類正解判定部4008から構成されている。
【0119】
本実施例では検出物を2つのカテゴリに分類した例であり、検査マップ4002において、記号「1」を異物、記号「2」をキズとして表示している。
【0120】
次に、分類正解率の算出方法を説明する。まず、本発明の欠陥検査装置で検査した後、確認画面部4004、4005にそれぞれ観察画面4007が表示される。この時、確認画面部4004と4005のどちらに表示するかは、本発明の欠陥検査装置で分類した結果に基づいて表示する。次に、本発明の欠陥検査装置のユーザは、それぞれの観察画面4007に付随している分類正解判定部4008にユーザが判断したカテゴリを入力する。本例では、入力方法として、ユーザが判断したカテゴリのチェックボックスにチェックする場合を示しており、異物の確認画面部4004では、5/6が異物(カテゴリ「1」)としてチェックされ、1/6がキズ(カテゴリ「2」)としてチェックされている例である。また、キズの確認画面部4005では、全てキズ(カテゴリ「2」)として判断されている例である。
【0121】
以上のチェックが為されたあと、分類正解率表示部4006に正解率が表示される。この値は、例えば、本発明の欠陥検査装置での分類結果とユーザの分類結果とが一致した率を表示する。この後、本発明の欠陥検査装置での分類結果とユーザの分類結果とが一致しなかった検出物については、該検出物の特徴量を用いて、分類精度を向上させるために、分類条件を更新しても良い。
【0122】
〔全体制御部50〕
次に、全体制御部50などにおいて実行される検査条件(検査レシピ)設定等について図30〜図32を用いて説明する。図30は、検査条件(検査レシピ)を設定するためのフローを示す図である。まず、全体制御部50において検査実行前に行われる検査条件(検査レシピ)の設定は、被検査対象に合わせるチップレイアウト設定(S211)と、被検査対象の回転合わせ(S212)と、検査領域設定(S213)と、光学条件設定(S214)と、光学フィルタ設定(S215)と、検出光量設定(S216)と、信号処理条件設定(S217)とで構成される。なお、S218は、実際の検査の実行である。
【0123】
次に、全体制御部50が実行する各設定について説明する。まず、チップレイアウト設定(S211)は、全体制御部50において、CAD情報等により、信号処理系40などに対してチップサイズやウェハ上のチップの有無を設定することである。このチップサイズは、比較処理を行う距離であるため設定が必要である。次に、回転合わせ設定(S212)は、全体制御部50が搬送系30に対して制御する、ステージに載置されたウェハ1上のチップの並び方向と光検出器26の画素方向とを平行にする、つまり、回転ずれをほぼ「0」にするためにウェハ1を回転させるための設定である。この回転合わせを行うことにより、ウェハ1上の繰返しパターンが一軸方向に並ぶため、チップ比較信号処理を容易に行うことができる。次に、検査領域設定(S213)は、全体制御部50が信号処理系40に対して制御する、ウェハ上の検査を行う場所の設定や、検査領域における検出感度の設定を行うことである。この検査領域設定(S213)を行うことにより、ウェハ上の各領域を最適な感度で検査することができる。設定方法は図15の説明で述べた通りである。
【0124】
次に、光学条件設定(S214)は、全体制御部50が照明光学系10や倍率可変検出光学系20に対して制御する、ウェハに照射する照明光の方向や角度を選択したり、倍率可変検出光学系20の倍率を選択することである。選択方法としては、例えば、図31に示すような光学条件設定ウィンドウで設定すれば良い。該光学条件設定画面は、照明光学系の照明方向条件3001と照明光学系の照明角度条件3002と検出光学系条件(検出方向である上方か斜方かも含まれる)3003で構成されている。図31では、照明方向条件3001として3種類、照明角度条件3002として3種類、さらに、検出光学系条件3003は2種類の選択を行えるようにした例である。本異物検査装置のユーザは、条件3001、3002、3003の内容を見て、適切な条件を選択すればよい。例えば、被検査対象1が金属膜デポジション工程のウェハで、表面の異物を高感度に検査したいならば、照明方向条件3001の条件の「デポ工程」を選択し、さらに、照明角度条件3002の条件の「表面異物」を選択し、検出光学系条件3003の条件を「上方検出(倍率可変):高感度検査」を選択すれば良く、これらの選択を行った例が図31である。また、被検査対象1が酸化膜の異物やスクラッチ等の欠陥を高感度に検査したい場合には、照明方向条件3001の条件の「CMP後工程」を選択し、さらに、照明角度条件3002の条件の「表面異物」を選択し、検出光学系条件3003の条件を「斜方検出:高速検査」を選択すれば良い。
【0125】
次に、光学フィルタ設定(S215)は、全体制御部50が検出光学系200等に対して制御する、図1に示す空間フィルタ22や偏光素子等の光学フィルタ24bを設定することである。この空間フィルタ22は、ウェハに製作された繰返しパターンからの反射回折光を遮光するためのフィルタであるので、繰返しパターンが存在するウェハに対しては設定した方が良いが、繰返しパターンが無いウェハに対しては設定する必要はない。また、偏光素子24bは配線パターンのエッジが直角に近い状況でエッチングされている場合に用いると効果的である。
【0126】
次に、検出光量設定(S216)は、全体制御部50が照明光学系10又は倍率可変検出光学系20に対して制御する、光検出器26に入射する光量を調整する工程である。ウェハに製作された回路パターンからの反射散乱光は、そのパターン形状により散乱される成分が変わる。具体的には、ウェハ表面が平らな場合は、散乱光はあまり発生せず、ほとんどが正反射光となる。それに対し、ウェハ表面の凸凹が大きい場合は、散乱光が多く発生する。従って、回路パターンからの反射散乱光はウェハ表面の状態、つまり、デバイス製造工程によって変わるわけである。しかしながら、光検出器26のダイナミックレンジが存在するため、このダイナミックレンジに合わせた光量を入射するように調整するのが望ましい。例えば、ウェハの回路パターンからの反射散乱光量が光検出器26のダイナミックレンジの1/10程度になるように調整するのが望ましい。ここで、光検出器26へ入射する光量の調整方法としては、レーザ光源11の出力光量を調整しても良いし、NDフィルタ24aで調整しても良い。
【0127】
次に、信号処理条件設定(S217)は、全体制御部50が信号処理系40に対して制御する、異物等の欠陥の検出条件の設定を行うことである。
以上の設定が終了した後、検査工程(S218)で検査を行えば、ユーザが所望の条件で検査を行うことができる。
ただし、本実施例で説明した内容を設定する方法としては、例えば、被検査対象の設計情報から人手で入力しても良いし、本発明の異物検査装置に付属の入力アシスト機能を用いて入力しても良く、また、上位システムからネットワークを介して情報を取得しても良い。
【0128】
さらに、上述した設定のうち、検査領域設定(S213)、光学条件設定(S214)、光学フィルタ設定(S215)、検出光量設定(S216)、信号処理条件設定(S217)は必ずしも被検査対象によっては変更する必要はなく、被検査対象に依らず一定値でも良い。一定値にした場合、検査条件を設定する時間を短縮することができるが、高感度にするためには、各条件をチューニングするのが望ましい。また、検査領域設定(S213)は必ずしも光学条件設定(S214)の前に行う必要はなく、検査工程(S218)の前までに設定すれば良い。
【0129】
以上説明した内容を設定する画面の例を図32に示す。図32は、条件設定シーケンス4301、各設定内容の詳細条件4302、設定内容表示変更ボタン4303、ヘルプボタン4304で構成されている。
次に詳細について説明する。まず、条件設定シーケンス4301は、本発明の異物検査装置における検査条件の設定の流れを示している。ユーザは条件設定シーケンス4301の「チップレイアウト設定」から順に条件を設定すれば良い。
【0130】
条件設定シーケンス4301の特徴は、条件設定の流れを矢印4305で示すことにより、ユーザが設定順序を間違えることなく、最短の順序で設定できるようにしていることである。また、別の特徴として、必ず設定すべき項目と必ずしも設定する必要の無い項目、つまり、既定値で良い項目に分けていることである。表示を分けることにより、最小限の設定項目が分かり、ユーザがすぐ検査結果が必要な場合は、設定必須項目のみ設定して検査すれば良く、また、検出感度をチューニングしたい場合は、設定必須ではない項目について条件を設定すれば良いため、ユーザの要望に応じて条件設定の度合いを変えることができる。例えば、ボタン4306は枠を3重で示すことにより、必ず設定すべき項目であることを示し、また、ボタン4307は枠を1重で示すことにより、設定の必要性が低い項目であることを示した実施例である。さらに、別の特徴として、ユーザが現在どの項目を設定しているかを明示することである。例えば、ボタン4308はボタンに影をつけることによって、ボタン4306、4307と区別している。このように、現在の場所を明示することによって、残りの設定項目数が一目で分かる利点がある。
なお、本実施例では図30で説明したシーケンスに、オプション条件設定4309を追加した例である。このオプション条件設定4309の内容は、例えば、異物のサイズ測定機能の条件設定や異物や欠陥の分類条件の設定である。
【0131】
次に、詳細条件4302は各条件項目の詳細を設定する画面である。項目の入力または選択方法としては、入力ボックス4310のようにキーボードで入力する場所を設けても良いし、入力アイコン4311のようにアイコンで入力項目を選択する方式にしても良い。なお、入力アイコン4311は3種類の入力項目に対し、それぞれアイコンで示し、該当アイコンを押すと別ウィンドウが出てきて、詳細の条件設定を行う例である。さらに、入力チェックボックス4312のように、必要な項目を選択する方法でも良い。
【0132】
また、設定内容表示変更ボタン4303は表示項目の変更またはカスタマイズを行うボタンである。例えば、ユーザがいつも設定したい項目や、設定内容数を増やしたい項目があった時に、この設定内容表示変更ボタン4303を使って変更できるようにする事により、ユーザは使いやすい画面することができ、検査条件をすばやく設定することができる。さらに、ヘルプボタン4304はユーザが設定方法や設定内容がわからなくなった場合に、ユーザを助ける情報を出力するボタンである。手法としては、各設定項目の内容を音声案内したり、操作方法をMPEG等の動画で見せても良い。また、ネットワークや電話回線を通じて、オンラインで本発明の異物検査装置を製造したメーカの設計者と話ができるようにしても良い。
【0133】
〔顕微鏡を付けた実施の形態〕
本発明に係る観察用光学顕微鏡を備えた欠陥検査装置に関する実施の形態を図1及び図33を用いて説明する。本実施の形態は、対物レンズ61、ハーフミラー62、光源63及びTVカメラ64で構成される観察用光学顕微鏡60を、照明光学系10および検出光学系200に対して並設した点にある。この観察用光学顕微鏡60は、ステージ31、32を動かすことにより、欠陥検査装置の信号処理系40で検出されて例えば記憶装置53に記憶されたウェハ1上の異物等の欠陥(虚報も含む)を、観察用光学顕微鏡60の検出光学系61〜63の視野内に移動させ、この画像を拡大観察するものである。
【0134】
観察用光学顕微鏡60を並設したことの利点は、SEMなどのレビュー装置にウェハを移動させなくても、欠陥検査装置の信号処理系40で検出した異物等の欠陥をステージ31、32を移動させるだけで即座に拡大観察できることである。このように、欠陥検査装置での検出物を即座に拡大観察することによって、すばやく異物等の欠陥の発生原因を特定することができることにある。
【0135】
しかしながら、観察用光学顕微鏡60のTVカメラ64で撮像して例えばパソコンと共用のカラーモニタ54または52に図34に示す画面66として拡大表示しても、回路パターンが存在する関係で、欠陥検査装置での検出物である発生原因を特定する欠陥が、欠陥の種類によっては良く見えない場合が生じる。そこで、全体制御部50は、信号処理系40の検査結果統合処理部1309で分類された各欠陥の位置座標が検出されてデータ記憶部1302または記憶装置53に記憶された欠陥の画像と共に表示装置52に例えば256×256の画素列画像として表示できるので、この欠陥の位置座標および欠陥の画像を基に観察用光学顕微鏡60のTVカメラ64で撮像される拡大画像上における位置を特定することが可能となる。その結果、観察用光学顕微鏡60において、上記特定された欠陥を示す領域若しくはマーク67をカラーモニター54または52の画面66に表示し、該表示された領域若しくはマーク67を指定することによって、ステージ31、32が移動して欠陥を検出光学系61〜63の視野内に移動させ、見え難い位置での欠陥の拡大観察が即座に行えることになる。要するに、詳細解析しようとする欠陥の位置座標およびその欠陥画像については検出光学系200から検出される欠陥画像信号を基に信号処理系40で検出できるので、該検出された欠陥の位置座標およびその欠陥画像を基にTVカメラ64で撮像される拡大画像66上において欠陥を示す領域若しくはマーク67を特定することによって、その見え難い欠陥について観察用光学顕微鏡60によってレビュー装置と同様に詳細解析することが可能となり、その結果、欠陥の発生原因を推定することが可能となる。勿論、カラーモニター54または52上に特定された欠陥を示す領域若しくはマーク67が表示されるので、観察用光学顕微鏡60でも検出光学系200及び信号処理系40が実際欠陥を検出したか否かの確認も可能となる。
【0136】
なお、観察用光学顕微鏡60としては、光源63が可視光(例えば白色光)の顕微鏡でも良いし、紫外光を光源63とした顕微鏡でも良い。特に、0.1μmレベルの微小な異物を観察するためには、高解像度の顕微鏡、例えば、紫外光を用いた顕微鏡が望ましい。また、可視光の顕微鏡を用いると異物の色情報が得られ、異物の認識を容易に行えるという利点がある。
【0137】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、表面に酸化膜などの透明膜が形成された被検査対象基板や、繰り返しパターンと非繰り返しパターンとが混在する被検査対象基板に対して、0.1μmレベルの微小な異物やキズ等の欠陥を、高感度で、しかも高速に検査することができる効果を奏する。
【0138】
また、本発明によれば、繰り返しパターンと非繰り返しパターンとが混在する被検査対象基板に対して、0.1μmレベルの微小な異物やキズ等の欠陥はもとより、配線間を短絡する異物等の欠陥や薄膜状の異物を、高速で、しかも高精度に検査をすることができる効果を奏する。
【0139】
また、本発明によれば、検出した異物等の欠陥の分類やサイズを測定することができる効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る欠陥検査装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す照明光学系を示す図で、(a)はその正面図であり、(b)は照明光学系の全体を示す斜視図である。
【図3】図1に示す照明光学系の全体を示す平面図である。
【図4】4つの照明ビームの照明方法を示す図で、(a)は円錐曲面レンズを用いた照明方法を示した図、(b)(c)は円筒レンズを用いた照明方法を示した図である。
【図5】照明ビーム220、230を照射した際配線パターン間の欠陥を検出がしにくい状態を説明するための図である。
【図6】透明膜上に斜方照明ビーム250を照射した際の反射散乱光の発生状況を説明するための図である。
【図7】図1に示す倍率可変光学系の可変動作説明図である。
【図8】空間フィルタにおいて遮光パターンを自動設定するための説明図である。
【図9】上方検出光学系におけるブルーミングを防止する光学系を備えた実施例を示す図である。
【図10】光検出器として光電子増倍管を用いた実施例を示す図である。
【図11】本発明に係る側方用照明光学系と側方検出光学系の一実施例を示した概略構成図である。
【図12】図11に示す光学系において照明スポットを走査し、光検出器として複数の光電子増倍管で構成した実施例を説明するための図である。
【図13】本発明に係る照明光学系と検出光学系の他の実施例を示した概略構成図である。
【図14】本発明に係る信号処理系の具体的構成を示す図である。
【図15】図14に示す画素マージ回路の構成図である。
【図16】図14に示す異物検出処理部の構成図である。
【図17】異物等の欠陥の分類方法を説明するための図である。
【図18】異物等の欠陥を分類した場合の検査結果の表示例を示す図である。
【図19】異物等の欠陥のサイズ測定方法を説明するための図である。
【図20】異物等の欠陥からの散乱光量を算出する方法に関する別の実施例を説明するための図である。
【図21】異物等の欠陥の分類に関する別の実施例のシーケンスを示す図である。
【図22】異物等の欠陥の分類に用いる分類グラフを示す図である。
【図23】異物等の欠陥の分類に関する更なる別の実施例のシーケンスを示す図である。
【図24】異物等の欠陥を複数種類の特徴量から分類する方法を説明するための図である。
【図25】分類の境界を設定する方法を説明するための図である。
【図26】分類率を表示する場合の表示例を示す図である。
【図27】異物等の欠陥の分類結果とサイズ測定結果を併記した表示の例を示す図である。
【図28】異物等の欠陥のサイズ測定結果と異物または欠陥の観察画像を併記した表示の例を示す図である。
【図29】検査結果に異物等の欠陥の分類正解率を併記した表示の例を示す図である。
【図30】本発明に係る欠陥検査装置において検査条件設定シーケンスを示す図である。
【図31】光学条件設定画面を説明するための図である。
【図32】検査条件設定画面を示す図である。
【図33】本発明に係る観察用光学顕微鏡を付けた実施の形態の概略構成図である。
【図34】図33に示す観察用光学顕微鏡で観察される画面を示す図である。
【符号の説明】
1…ウェハ(被検査対象基板)、10…照明光学系、11…レーザ光源、12…凹レンズ、13…凸レンズ、14(224、234)…円錐曲面レンズ、15(225、235)…ミラー、16…ビーム拡大光学系、20…倍率可変検出光学系(上方検出光学系)、21…対物レンズ、22…空間フィルタ、23…結像光学系(倍率可変結像光学系)、24…光学フィルタ群、24a…NDフィルタ、24b…偏光板、26…光検出器、30…搬送系、31…Xステージ、32…Yステージ、33…Zステージ、34…試料設置台、35…ステージコントローラ、40…信号処理系、50…全体制御部、60…観察用光学顕微鏡、61…対物レンズ、62…ハーフミラー、63…光源、64…TVカメラ、131…分岐光学要素、133a〜133d…光変調器、134a〜134d…発振器、135、136…ミラー、138…光偏向器、139…集光レンズ、142…受光部、143…光ファイバ、144…光電子増倍管、145a〜145d…同期検波回路、201…スリット状ビーム、202…チップ、203…画素方向、701…照明位置、218…分岐光学要素、221…分岐光学要素、220、230、240、250…照明ビーム、223、225、231、233、242、243、245、251、253、254、256…ミラー、226、236…波長板、244、255…円筒レンズ、222,232、241、251…ビーム径補正光学系、260…ミラー要素、401、402…可動レンズ、403…固定レンズ、404…移動機構、416、426、430、440…位置決めセンサ、415、425…位置決めセンサ可動部、404…移動機構、451…遅延メモリ、461…差分処理回路、600…側方検出光学系、630、740…結像光学系、640…光検出器、760a〜760d、5001…光電子増倍管、5002…マイクロレンズ、750、5004…光ファイバ、1301…A/D変換器、1302…データ記憶部、1303…閾値算出処理部、1305、1306…画素マージ回路、1307…異物検出処理回路、1308…検査領域処理部、1309…統合処理部、1310…特徴量算出回路(特徴量算出部)、1311…結果表示部、1601…比較回路、1602…検出場所判定処理部、2502…分類結果のカテゴリ情報、2503…カテゴリ毎の異物数、・・・。
Claims (22)
- 被検査対象基板を載置して所定方向に走行する走査ステージと、
照明光束を被検査対象基板の表面に対して所定の傾斜角度で照射する照明光学系と、
前記被検査対象基板から上方へ出射する上方反射散乱光を集光する対物レンズと該対物レンズで集光された上方反射散乱光を結像させる上方用結像光学系と該上方用結像光学系で結像された上方反射散乱光像を受光して上方用画像信号に変換する上方用光検出器とを有する上方検出光学系及び前記被検査対象基板から前記照明光束に対して平面的に交差する方向で傾斜した方向に出射する側方反射散乱光を集光して結像させる側方用結像光学系と該側方用結像光学系で結像した側方反射散乱光像を受光して側方用画像信号に変換する側方用光検出器とを有する側方検出光学系を備えた検出光学系と、
該検出光学系の上方用光検出器から得られる上方用画像信号を上方用デジタル画像信号に変換し、前記側方用光検出器から得られる側方用画像信号を側方用デジタル画像信号に変換するA/D変換器と、該A/D変換器で変換された各デジタル画像信号に基づいて欠陥を検出する信号処理系とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。 - 前記照明光学系において、前記照明光束を複数で構成し、各々の照明光束を前記被検査対象基板に対して平面的に互いに異なる方向から照射するように構成したことを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
- 前記照明光学系において、前記照明光束がレーザ光源から出射されたレーザ光束であることを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
- 前記照明光学系において、前記照明光束が、前記被検査対象基板上の照明状態として、長手方向にはほぼ平行光からなるスリット状ビームにして、長手方向が前記走査ステージの走行方向に対してほぼ直角になるように構成することを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査装置。
- 前記検出光学系の上方検出光学系において、被検査対象基板上に存在する回路パターンの少なくとも繰り返しを遮光する空間フィルタを有し、空間フィルタの繰り返し遮光パターンの寸法若しくは形状を自動設定できるように構成することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
- 前記検出光学系の上方検出光学系において、前記結像光学系の結像倍率を可変に構成することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の欠陥検査装置。
- 前記検出光学系の上方検出光学系において、前記上方用検出器をTDIイメージセンサで構成することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の欠陥検査装置。
- 前記信号処理系において、前記上方用デジタル画像信号を近傍画素でマージし、該マージされた画像信号を基づいて、欠陥を検出することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
- 前記信号処理系において、前記検出された欠陥をカテゴリ別に分類する分類手段を備えることを特徴とする請求項1又は8記載の欠陥検査装置。
- 前記信号処理系において、前記検出された欠陥のサイズを測定するサイズ測定手段を備えることを特徴とする請求項1又は8記載の欠陥検査装置。
- 請求項1記載の欠陥検査装置において、更に前記被検査対象物上の光学像を観察する光学顕微鏡を備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
- 前記光学顕微鏡において観察される画面上に前記信号処理系で検出された欠陥の座標を示す領域若しくはマークを表示することを特徴とする請求項10記載の欠陥検査装置。
- 前記照明光学系において、前記照明光束を前記被検査対象基板の表面に対して高傾斜角度と低傾斜角度とで切り替えて照射できるように構成し、
前記照明光学系で高傾斜角度で照明した際および低傾斜角度で照明した際前記A/D変換部で変換されたデジタル画像信号に基づいて欠陥を検出する欠陥検出処理部と前記欠陥検出処理部から検出される欠陥についての特徴量を算出する特徴量算出部と前記高傾斜角度で照明した際前記欠陥検出処理部から検出される欠陥と低傾斜角度で照明した際前記欠陥検出処理部から検出される欠陥とが同一視される欠陥についての特徴量を前記特徴量算出部から取得し、該取得された欠陥の特徴量に基いて欠陥のカテゴリを分類する統合処理部とを有する信号処理系とを備えたことを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。 - 前記統合処理部において、前記欠陥についての特徴量が、検出光量と平面的な面積とで構成することを特徴とする請求項13記載の欠陥検査装置。
- 前記信号処理系において、前記A/D変換器で変換された各デジタル画像信号から欠陥のカテゴリを分類する分類手段を有することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
- 被検査対象基板を載置して所定の方向に走行させる走査ステージと、
照明スポットを前記被検査対象基板の表面に対して前記走査ステージの走行方向に直角方向に走査して照射する照明光学系と、
該照明光学系で照射された照明スポットの走査による前記被検査対象基板からの反射散乱光を集光して結像させる結像光学系と該結像光学系で結像された照明スポットの走査による反射散乱光像を受光して導く複数の光ファイバと該複数の光ファイバで導かれた照明スポットの走査による光像を受光して信号に変換する複数の光電子増倍管とを有する検出光学系と、
該検出光学系の各光電子増倍管から得られる信号をデジタル信号に変換し、該変換されたデジタル信号に基づいて欠陥を検出する信号処理系とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。 - 被検査対象基板を載置して所定の方向に走行させる走査ステージと、
複数の照明光束の各々に対して互いに異なる周波数で変調させる複数の光変調器と該複数の光変調器で変調された複数の照明光束を前記走査ステージの走行方向にほぼ直角方向に対して偏向させる光偏向器と該光偏向器で偏向された複数の照明光束を前記被検査対象基板の表面に対して複数照明スポットとして集光して照射する集光光学系とを有する照明光学系と、
該照明光学系で照射された複数照明スポットの走査による前記被検査対象基板からの反射散乱光を集光して結像させる結像光学系と該結像光学系で結像された複数照明スポットの走査による反射散乱光像を受光して信号に変換する光検出器とを有する検出光学系と、
該検出光学系の光検出器で変換された信号から前記各光変調器で変調された周波数に相当する成分を抽出する複数の同期検波回路と該複数の同期検波回路から抽出された信号に基づいて欠陥を検出する信号処理系とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。 - 前記照明光学系において、複数の照明光束を作る分岐光学系を有することを特徴とする請求項17記載の欠陥検査装置。
- 前記検出光学系において、前記光検出器を、受光する複数照明スポットの走査による反射散乱光像を導く光ファイバと該光ファイバで導かれた複数照明スポットの走査による光像を受光して信号に変換する光電子増倍管とで構成することを特徴とする請求項17記載の欠陥検査装置。
- 照明光学系により照明光束を被検査対象基板の回路パターンを有する表面に対して所定の傾斜角度で照射し、該照射された被検査対象基板からの反射散乱光を上方に設けた対物レンズで集光して上方結像光学系で結像させ、該結像された反射散乱光を上方用光検出器で受光して第1の画像信号に変換し、該変換された第1の画像信号をA/D変換器により第1のデジタル画像信号に変換し、該変換された第1のデジタル画像信号に基づいて前記被検査対象基板の回路パターンを有する表面上に存在する欠陥を検出する第1の工程と、
照明光学系により照明光束を被検査対象基板の透明膜の表面に対して所定の傾斜角度で照射し、該照射された被検査対象基板からの反射散乱光を、平面的に前記照明方向に対して交差する方向で傾斜した方向から結像光学系で集光して結像させ、該結像された反射散乱光を光検出器で受光して第2の画像信号に変換し、該変換された第2の画像信号をA/D変換器により第2のデジタル画像信号に変換し、該変換された第2のデジタル画像信号に基づいて前記被検査対象基板の透明膜の表面上に存在する欠陥を検出する第2の工程とを有することを特徴とする欠陥検査方法。 - 前記第1及び第2の工程において、被検査対象基板の表面に対して該被検査対象基板の走行方向に対してほぼ直角方向に長手方向を有するスリット状ビームを照射することを特徴とする請求項20記載の欠陥検査方法。
- 複数の照明光束の各々に対して複数の変調器の各々で互いに異なる周波数で変調させた複数の照明光束を前記走査ステージの走行方向にほぼ直角方向に対して光偏向器で偏向させて被検査対象基板の表面に対して複数照明スポットとして集光して照射する照明ステップと、
該照明ステップにおいて照射された複数照明スポットの走査による前記被検査対象基板からの反射散乱光を結像光学系により集光して結像させ、該結像された複数照明スポットの走査による反射散乱光像を光検出器により受光して信号に変換する検出ステップと、
該検出ステップにおいて前記光検出器で変換された信号から複数の同期検波回路の各々で前記各光変調器で変調された周波数に相当する成分を抽出し、該抽出された信号に基づいて欠陥を検出する信号処理ステップとを有することを特徴とする欠陥検査方法。
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