JP2004134440A - シリコン膜の形態学的変化法 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の分子形態学的状態にあるシリコン膜を低コストで、効率的且つ簡便に形成ないし製造する方法を提供すること。
【解決手段】塗布法で形成されたシリコン膜に閃光を照射してシリコン膜に分子形態学的変化、すなわち分子レベルにおける形態学的変化、例えばアモルファス構造と結晶構造間の変化、結晶構造間の変化を生じさせる、シリコン膜の形態学的変化法。
【選択図】 なし
【解決手段】塗布法で形成されたシリコン膜に閃光を照射してシリコン膜に分子形態学的変化、すなわち分子レベルにおける形態学的変化、例えばアモルファス構造と結晶構造間の変化、結晶構造間の変化を生じさせる、シリコン膜の形態学的変化法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は塗布法で形成されたシリコン膜に分子形態学的変化を生じさせるシリコン膜の形態学的変化法および得られたシリコン膜を用いたデバイスに関する。さらに詳しくは、塗布法で形成されたシリコン膜に、高電流密度、短パルス状態の閃光を照射して、シリコン膜に分子形態学的変化を生じさせる方法および得られたシリコン膜を用いたデバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、太陽電池の製造に用いられるアモルファスシリコン膜や多結晶シリコン膜の形成方法としては、モノシランガスやジシランガスの熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、プラズマCVD法あるいは光CVD法等が利用されている。一般的にはポリシリコン膜の形成には熱CVD法(J.Vac.Sci.Technology.,14巻1082頁(1977年)参照)が、またアモルファスシリコン膜の形成にはプラズマCVD法(Solid State Com.,17巻1193頁(1975年)参照)が広く用いられている。
【0003】
しかし、これらのCVD法によるシリコン膜の形成においては、気相反応を用いるため気相でシリコン粒子の副生による装置の汚染や異物の発生が生じ、生産歩留まりが低い、原料がガス状であるため表面に凹凸のある基板上には均一膜厚のものが得られにくい、膜の形成速度が遅いため生産性が低い、プラズマCVD法においては複雑で高価な高周波発生装置や真空装置などが必要である、などの問題があり更なる改良が待たれていた。
【0004】
また、材料面では毒性、反応性の高いガス状の水素化ケイ素を用いるため取り扱いに難点があるのみでなく、ガス状であるため密閉状の真空装置が必要である。一般にこれらの装置は大掛かりなもので装置自体が高価であるのみでなく、真空系やプラズマ系に多大のエネルギーを消費するため製品のコスト高につながっている。
【0005】
近年、これに対して真空系を使わずに液体状の水素化ケイ素を塗布する方法が提案されている。特開平1−29661号公報にはガス状の原料を冷却した基板上に液体化して吸着させ、化学的に活性な原子状の水素と反応させてシリコン系の薄膜を形成する方法が開示されているが、原料の水素化ケイ素を気化と冷却を続けて行うため複雑な装置が必要になるのみでなく、膜厚の制御が困難であるという問題がある。
【0006】
また、特開平7−267621号公報には、低分子量の液体状水素化ケイ素を基板に塗布する方法が開示されているが、この方法は系が不安定なために取り扱いに難点があるとともに、液体状であるため、大面積基板に応用する場合に均一膜厚を得るのが困難である。
【0007】
一方、固体状の水素化ケイ素ポリマーの例が英国特許GB−2077710Aに報告されているが、溶媒に不溶なためコーティング法によって膜を形成することはできない。
【0008】
さらに、太陽電池などに用いるための多結晶シリコン膜の製造は、モノシランガスやジシランガスを原料とした熱CVD法(J.Vac.Sci.Technology.,14巻1082頁(1977年)等)によるか、またはプラズマCVD法(Solid State Com.,17巻1193頁(1975年)等)等により先ずアモルファスシリコン膜を形成し、次いでレーザーアニールや水素プラズマ処理等で多結晶シリコン膜に変換する方法によるのが主流である。このような熱またはプラズマCVD法を利用するシリコン膜の形成においては、▲1▼気相反応が用いられるため、気相においてシリコンの粒子が発生して装置の汚染や異物の発生が生じそれにより生産歩留まりが低くなる、▲2▼原料がガス状であるため表面に凹凸のある基板上には均一膜厚のシリコン膜を形成し難い、▲3▼膜の形成速度が遅いため生産性が低い、▲4▼プラズマCVD法においては複雑で高価な高周波発生装置や真空装置などが必要である、などの問題があり更なる改良が待たれていた。
【0009】
近年、アモルファスシリコンを多結晶シリコンに変換するに際し、アモルファスシリコン表面に異種金属または金属シリサイド薄膜層を設け、熱処理を施す方法が報告されている。例えば、J.Appl.Phy.,69,6394(1991)、J.Appl.Phy.,70,5153(1991),Jpn.J.Appl.Phys.,Part 1,29,729(1990)、J.Appl.Phy.,87,609(2000)等では、アモルファスシリコン上にアルミニウム、銅、ニッケル等の薄膜層を設け、500℃程度の熱処理により多結晶シリコンに変換できることが報告されている。
【0010】
しかしこの方法によると、熱処理に比較的高温が必要なため、使用しうる基板の材質が限られてしまう欠点があり、そもそもアモルファスシリコン形成時にCVD法を採用しているため、上述した問題点をも有している。
【0011】
また、近年、アモルファスシリコン表面の一部にNiSi2を付着させ、380℃程度で熱処理することにより多結晶シリコンに変換できることが報告されている。この方法によると比較的低温で多結晶化が可能であるため、使用しうる基板の材料の自由度は大きいが、やはりアモルファスシリコン形成時にCVD法が必要なため、同様の問題点を有している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の如き従来技術の欠点を解消して、所望の分子形態学的状態にあるシリコン膜を低コストで、効率的且つ簡便に形成ないし製造する方法を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、所望の分子形態学的状態にあるシリコン膜を、耐熱性が必ずしも十分とはいえないプラスチック基板上においても形成ないし製造しうる方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、塗布法で形成されたシリコン膜に閃光を照射してシリコン膜に分子形態学的変化を生じさせることを特徴とするシリコン膜の形態学的変化法によって達成される。
【0016】
本発明において分子形態学的変化とは、分子レベルにおける形態学的変化、例えばアモルファス構造と結晶構造間の変化、結晶構造間の変化等を意味している。
【0017】
【発明の好ましい実施態様】
本発明において、閃光照射の対象として用いられるシリコン膜は、例えばインクジェットやディップ方式等の塗布法によって作製された膜が相当する。
【0018】
かかるシリコン膜の製造材料は、特に限定されないが、例えば、以下に示すシラン組成物(i)、(ii)が好ましいものとして挙げられる。
【0019】
(i)(A)式SinRm
ここで、nは11以上の整数であり、mはn〜(2n+2)の整数でありそしてm個のRは互いに独立に水素原子、アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子である、但しm=nのときはnが偶数であるものとする、
で表されるポリシラン化合物 並びに
(B)シクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を含有するシラン組成物。
(ii)(A’)式SiiH2i+2
ここで、iは2〜10の整数である、
で表される水素化鎖状シラン化合物、
式SijH2j
ここで、jは3〜10の整数である、
で表される水素化環状シラン化合物 および
式SikHk
ここで、kは6〜10の偶数である、
で表される水素化かご状シラン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物が光照射を受けて生成する生成物、並びに
(B)シクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を含有するシラン組成物。
【0020】
上記シラン組成物(i)におけるポリシラン化合物(A)は上記式で表される。
【0021】
上記式中Rが表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基およびn−デシル基などの炭素数1〜10のアルキル基を好ましいものとして挙げることができる。
【0022】
また、ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素および臭素を好ましいものとして挙げることができる。
【0023】
上記ポリシラン化合物は、鎖状、環状、またはかご状であることができる。
【0024】
上記ポリシラン化合物のうち、Rのすべてが水素原子である水素化ポリシラン化合物が好ましく用いられる。このような水素化ポリシラン化合物としては、式SinH2n+2で表される水素化鎖状ポリシラン、式SinH2nで表される水素化環状ポリシラン、および式SinHnで表される水素化かご状ポリシラン化合物が好適に用いられる。なお、「かご状」とは、プリズマン骨格、キューバン骨格、5角柱型骨格等を含むものを意味する。
【0025】
ただし、上記各式におけるnは、水素化鎖状ポリシランにおいて、好ましくは3〜100,000、より好ましくは5〜50,000の整数であり、水素化環状ポリシランにおいて、好ましくは7〜100,000、より好ましくは8〜50,000の整数であり、そして水素化かご状ポリシランにおいて好ましくは6〜100,000、より好ましくは7〜50,000の整数である。
【0026】
この場合、nが上記した最小値より小さい場合にはポリシラン化合物の成膜性に難点が生じる場合があり、またnが上記した最大値より大きい場合にはポリシラン化合物の凝集力に起因する溶解性の低下が認められる場合がある。
【0027】
このようなポリシラン化合物は、単独で、また、2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
本発明で使用するポリシラン化合物は、所望の構造単位を有するモノマ−を原料として、例えば以下の方法により製造することができる。(a)アルカリ金属の存在下にハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(いわゆる「キッピング法」、J.Am.Chem.Soc.,110,2342(1988)およびMacromolecules,23,3423(1990)参照);(b)電極還元によりハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1161(1990)およびJ.Chem.Soc.,Chem.Commun.,896(1992)参照);(c)金属触媒の存在下にヒドロシラン類を脱水素縮重合させる方法(特開平4−334551号公報参照):(d)ビフェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合による方法(Macro molecules,23,4494(1990)参照)。(e)フェニル基やアルキル基で置換された環状ケイ素化合物を上記の方法で合成した後、公知の方法(例えば、Z.Anorg.Allg.Chem.,459,123−130 (1979)、E.Henggeら Mh.Chem.第106巻、503頁、1975年など)によりヒドロ置換体やハロゲン置換体などに誘導することができ、(f)上記の方法で合成したシラン化合物に光照射することによりさらに高分子量のポリシラン化合物とすることができる。
【0029】
また、上記シラン組成物(ii)において、少なくとも1種のシラン化合物が光照射を受けて生成する生成物であるポリシラン化合物が用いられる。その原料となる少なくとも1種のシラン化合物としては、式SiiH2i+2(ここでiは2〜10の整数であり、好ましくは2〜4の整数である。)で表される水素化鎖状シラン化合物、式SijH2j(ここでjは3〜10の整数であり、好ましくは3〜6の整数である。)で表される水素化環状シラン化合物、および式SikHk(ここでkは6〜10の偶数である。)で表される水素化かご状シラン化合物が用いられる。そのうちでも上記水素化環状シラン化合物がさらに好ましく、特に好ましくはシクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が特に好ましい。これらはそれぞれ、下記式で表される。
【0030】
【化1】
【0031】
これらのシラン化合物は、ジフェニルジクロロシランから製造されるデカフェニルシクロペンタシランおよびドデカフェニルシクロペンタシランを経て製造することができる。
【0032】
これらのシラン化合物は単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
【0033】
かかるシラン化合物に照射する光は、可視光線、紫外線、遠紫外線の他、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源としては、好ましくは10〜5,000Wの出力のものが用いられる。通常100〜1,000Wで十分である。これらの光源の波長は原料のシラン化合物が多少でも吸収するものであれば特に限定されないが、170nm〜600nmが好ましい。
【0034】
光照射処理を行う際の温度は、好ましくは室温〜300℃以下である。処理時間は0.1〜30分程度である。光照射処理は、非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。
【0035】
また、光照射処理は、適当な溶媒の存在下に行ってもよい。このような溶媒としては、本発明の組成物の任意添加成分として後述する溶媒と同様のものを使用することができる。
【0036】
上記シラン組成物(i)におけるポリシラン化合物および上記シラン組成物(ii)における、シラン化合物に光照射をして生じる生成物であるポリシラン化合物は、式SinRmにおける重合度nが10程度以上の高分子量体になると、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒等の汎用溶媒に対する溶解性が著しく低くなり、実質的に不溶性となるので、このようなポリシラン化合物を基板上に成膜し、シリコン膜に変換することは実質的に不可能であった。
【0037】
本発明において、このような本来は溶媒不溶のポリシラン化合物に対し、特定の液状のシラン化合物が良好な溶解性を示すことを見い出し、ポリシラン化合物をシリコン膜またはシリコン酸化膜の原料として使用することが可能となった。
【0038】
このような比較的高分子量のポリシラン化合物をシリコン膜の原料として使用することにより、形成された膜が緻密で均一性に優れた高品位のものとなる利点がある。
【0039】
本発明に用いられる、上記特定のシラン化合物(B)は、シクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物である。
【0040】
本発明において、これらのシラン化合物(B)は単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
【0041】
本発明の溶液組成物を構成する上記シラン化合物(B)に対するポリシラン化合物(A)、(A’)の割合は好ましくは0.01〜1,000重量%、さらに好ましくは0.05〜500重量%、特に好ましくは0.1〜100重量%である。
【0042】
この値が0.01重量%未満の場合は、塗布した後に塗膜が薄すぎ最終的に連続したシリコン膜にならない場合がある。一方、この値が1,000重量%を越える場合は、ポリシラン化合物が完全に溶解しない場合がある。
【0043】
上記シラン組成物(i)、(ii)は、さらに溶媒を含有することができる。
【0044】
ここで使用する溶媒としては、上記した組成物の各成分と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフランテトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;およびプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの極性溶媒を挙げることができる。これらのうち、該溶液の安定性の点で炭化水素系溶媒が好ましい。これらの溶媒は、単独でもあるいは2種以上の混合物としても使用できる。
【0045】
上記の溶媒を使用する場合、その使用量は、所望のシリコン膜の膜厚に応じて適宜調整することができる。好ましくは上記シラン化合物に対し10,000重量%以下であり、特に好ましくは5,000重量%以下である。10,000重量%を越えるとポリシラン化合物が析出する場合があり好ましくない。
【0046】
本発明における上記シラン組成物には、本発明の目的と機能を損なわない範囲で必要に応じて界面活性剤を添加することができる。このような界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、両イオン系、または非イオン系であることができる。このうち、非イオン系界面活性剤は、組成物の塗布対象物への濡れ性を良好化し、塗布した膜のレベルリング性を改良し、塗膜のぶつぶつの発生、ゆず肌の発生などの防止に役立つ点で好ましく使用できる。
【0047】
かかる非イオン性界面活性剤としては、例えばフッ化アルキル基もしくはパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤、またはオキシアルキル基を有するポリエーテルアルキル系界面活性剤を挙げることができる。
【0048】
前記フッ素系界面活性剤としては、例えばエフトップEF301、同EF303、同EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F173(大日本インキ(株)製)、アサヒガードAG710(旭硝子(株)製)、フロラードFC−170C、同FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)、BM−1000、同1100(B.M−Chemie社製)、Schsego−Fluor(Schwegmann社製)、C9F19CONHC12H25、C8F17SO2NH−(C2H4O)6H、C9F17O(プルロニックL−35)C9F17、C9F17O(プルロニックP−84)C9F17、C9F7O(テトロニック−704)(C9F17)2などを挙げることができる。(ここで、プルロニックL−35:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量1,900;プルロニックP−84:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量4,200;テトロニック−704:旭電化工業(株)製、N,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体)、平均分子量5,000である。)
【0049】
またポリエーテルアルキル系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマーなどを挙げることができる。
【0050】
これらのポリエーテルアルキル系界面活性剤の具体例としては、エマルゲン105、同430、同810、同920、レオドールSP−40S、同TW−L120、エマノール3199、同4110、エキセルP−40S、ブリッジ30、同52、同72、同92、アラッセル20、エマゾール320、ツィーン20、同60、マージ45(いずれも(株)花王製)、ノニボール55(三洋化成(株)製)などを挙げることができる。上記以外の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体などがあり、具体的にはケミスタット2500(三洋化成工業(株)製)、SN−EX9228(サンノプコ(株)製)、ノナール530(東邦化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0051】
このような界面活性剤の使用量は、ポリシラン化合物およびシラン化合物、ならびに任意的に添加される溶媒の合計100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、特に好ましくは0.1〜5重量部である。ここで、10重量部を超えると得られる組成物が発泡し易くなると共に、熱変色を起こす場合があり好ましくない。
【0052】
本発明においては、シリコン膜を準備するために、先ず、上記シラン組成物を、基板上に、例えばスプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法などの適宜の方法により、膜厚が好ましくは0.005〜10μm、特に好ましくは0.01〜5μm程度になるように塗布する。なお、組成物が溶媒を含有するものであるとき、上記膜厚は溶媒除去後の膜厚として理解されるべきである。
【0053】
成膜工程は非酸化性雰囲気下で実施される。このような雰囲気を実現するためには、酸素、二酸化炭素等の酸化性物質を実質的に含有しない雰囲気とすればよく、具体的には、窒素、水素、希ガスおよびこれらの混合ガス中の雰囲気が好ましく使用できる。
【0054】
また、シラン組成物の塗膜を密着性よくかつ緻密に基板上に成膜するために、塗布前に少なくとも一回、光照射処理を施すことが好ましい。
【0055】
このような光照射処理に際しては、可視光線、紫外線、遠紫外線の他、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源としては、好ましくは10〜5,000Wの出力のものが用いられる。通常100〜1,000Wで十分である。これらの光源の波長は組成物または塗膜中のポリシラン化合物が多少でも吸収するものであれば特に限定されないが170nm〜600nmが好ましい。
【0056】
光照射処理を行う際の温度は、好ましくは室温〜300℃である。処理時間は0.1〜30分程度である。これらの光照射処理は、ポリシラン化合物の成膜工程と同様の非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。
【0057】
このような光照射処理により、塗膜中のポリシラン化合物のケイ素―ケイ素結合の解裂および再結合反応を生起させることにより、基材への密着性等の膜物性が改善されるものと推察される。さらには、塗膜中のシラン化合物が光照射により開環重合してポリシランとなり、より緻密な膜が形成されるものと考えられる。
【0058】
シリコン膜は、上記の如く形成されたシラン組成物の塗膜を、非酸化性雰囲気下、好ましくは窒素、アルゴン、水素を含有するアルゴンあるいは水素を含有する窒素の雰囲気下で、好ましくは100〜1,000℃で、より好ましくは200〜850℃で、さらに好ましくは300℃〜500℃で熱処理することにより形成される。
【0059】
一般に、到達温度が約550℃以下の温度ではアモルファス状、それ以上の温度では多結晶状のシリコン膜が得られる。到達温度が300℃未満の場合は、ポリシラン化合物の熱分解が十分に進行せず、十分な厚さのシリコン膜を形成できない場合がある。多結晶状のシリコン膜を得ようとする場合には、上記で得られたアモルファス状シリコン膜にレーザーを照射して多結晶シリコン膜に変換することもできる。上記レーザーを照射する場合の雰囲気としては、例えばヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス、もしくはそれらに水素などの還元性ガスを混入したものを用いることが好ましい。
【0060】
このときの光照射処理は、上記したシラン組成物の成膜の際の光照射処理と同様に実施することができる。
【0061】
本発明におけるシリコン膜は、本発明の目的を損なわない範囲において、酸化シリコンや炭素等の不純物を含有するものであってもよい。
【0062】
本発明におけるシリコン膜の膜厚は、好ましくは0.005〜20μm、より好ましくは0.01〜10μmである。
【0063】
また、成膜を複数回重ねて行うことにより、得られるシリコン膜の膜厚をさらに大きくすることもでき、例えば厚さ1mm程度のシリコン膜の形成も可能である。
【0064】
シリコン膜の形成に使用する基板は特に限定されない。塗膜を形成する基板は平面でも、段差のある非平面でもよく、その形態は特に限定されるものではない。ポリシラン化合物塗膜の酸化処理を熱処理にて行う場合には、基板の材質は、処理温度に耐えられるものが好ましい。
【0065】
基板の材質の具体例としては、ガラス、金属、プラスチック、セラミックスなどを挙げることができる。ガラスとしては、例えば石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス、鉛ガラス、ランタン系ガラス等が使用できる。金属としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、シリコン、アルミニウム、鉄の他ステンレス鋼などが使用できる。プラスチックとしては、例えばポリイミド、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン系開環重合体およびその水素添加物等を使用することができる。これらのプラスチックは、ガラスや金属に比べ周知のとおり耐熱性が劣り、必ずしも十分な耐熱性を有しているとはいえないが、本発明方法ではプラスチック基板も用いることができる。さらにこれらの基板の形状は塊状、板状、フィルム形状などで特に制限されるものではない。
【0066】
上記の如くすることにより、基板の面積や形状に関わらずに緻密なシリコン膜を形成することができる。
【0067】
本発明方法は、上記の如くして塗布法により形成されたシリコン膜に閃光を照射してシリコン膜に分子形態的変化を生じさせる。
【0068】
塗布法で形成したアモルファスシリコン膜は、エキシマレーザー等のレーザー光の照射によっても結晶化することが可能ではあるが、その際の最適エネルギー値の許容幅が極めて狭く、許容幅を超えて照射エネルギーが大きくなると、膜のアブレーション(abrasion)が起こる場合があり、製品の歩留まり上問題が生ずる場合がある。
【0069】
また、レーザー光は広域への照射という点で不利である。例えば、数cmあるいはそれ以上におよぶ領域に照射する場合は、ビームエキスパンダーなどの光学系を使う必要があるが、当然のことながら照射強度密度は低下するという問題を生じる。また、広い領域への高強度照射を要する場合には高価な大型高出力のレーザー装置を必要となり、さらに、レーザー装置からのレーザー光を広げるにも当然のことながら限界がある。
【0070】
また、水銀ランプやキセノンランプを連続点灯させて光照射する方法も存在する。
【0071】
しかし、連続点灯による光照射では、被照射物、特に基板に対して熱的影響を及ぼす点で好ましい方法ではない。
【0072】
さらに水銀ランプやキセノンランプを連続点灯させながら、ランプにパルス的に高い入力を重畳させる手段、あるいはランプと被照射物の間に機械的なシャッターを設けて、光を断続的に照射する手段などもあるが、前者は、パルス点灯を重畳させる時間とランプ入力に制約が多く、ランプの消費電力を抑える目的では効果があるものの、被照射物の熱的な影響を根本的に解決するものではない。また後者は、シャッター機構をあらたに設けることとなり装置が複雑化し、短パルス化とピーク出力向上を同時達成するためには、ランプの大型化とシャッター機構の高速化が必要であり、特にシャッター機構の高速化には限界がある。
【0073】
この点でフラッシュランプを使った閃光照射は、最適エネルギー値の許容幅を広く選定することができ、また、広域の照射が極めて簡単に、かつ被照射物に熱的影響を及ぼすことなく達成できる。また、フラッシュランプからの放射光は、コヒーレンシーではなく、波長域が広いので、波長選択フィルターを使い被照射物に対応させて必要な波長域の光のみを極めて容易に利用することができる。
【0074】
ここで、フラッシュランプによる閃光照射とは、いわゆる放電ランプに高電圧トリガーを印加することで、外部コンデンサに蓄積された電気エネルギーを瞬間的に放電発光させるもので、トリガーの印加のタイミングで、1ショットのみから繰り返し間欠的(パルス)に点灯させることができ、レーザー装置による間欠照射や放電ランプの連続点灯等とは異なるものである。間欠点灯の数値例をあげると、先述のとおり、1ショットのみから周波数100KHz程度まで、好ましくは0.01〜10KHzである。
【0075】
フラッシュランプの照射条件は対象とする物質および目的に依存するので、それに応じて設定される。定性的には照射効果はパルス幅が長い程被照射物の深部まで及び、逆にパルス幅が短い程その効果は被照射物の表面および浅い領域に限定される傾向を示す。実際に効果が及ぶ深さは被照射物の光吸収あるいは光反射特性に大きく左右される。一方、可能な照射条件にはフラッシュランプ自体の技術的側面からも自ずと制約が存在する。フラッシュランプとしてのパルス幅は長い方では最大100ms程度まで可能である。また、短い方では実用的には0.01ms程度である。放電の際のピーク電流値が7,000A/cm2を越える場合には電極に大きな負担がかかり電極材料の劣化が著しい。また、この際のプラズマ温度は10,000度Kを越える場合もあり得るために、石英ガラス管自身が急速に劣化し破損の危険すらある。これらのことにより放電灯の寿命が極端に短くなるためにこのような条件から逸脱した照射条件の使用は適当ではない。
【0076】
本願の目的とする塗布法により得られたシリコン膜例えばアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜あるいは単結晶シリコン膜に変化させるのに十分なエネルギーを付与するとともに塗布シリコン膜を形成する基板材料への配慮が必要である。原理的にはシリコンが溶融する温度あるいはそれに近い温度にまで昇温することが可能であれば溶融再結晶の通常のメカニズムにより結晶性のシリコン膜を作成できる。その場合には単純に高温炉での熱処理すれば良い。しかしながら、実用上は使用可能な温度には制約が多く、例えばガラス基板上に塗布法で形成したアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜、単結晶シリコン膜に変える場合にはガラス基板の耐熱性以上の高温には加熱できない。今後、使用が増えるであろう樹脂基板に至ってはその温度はさらに低い。
【0077】
上述の如く、フラッシュランプの照射効果はパルス幅が大きいほど被照射物の深部にまで及ぶため、極端に長いパルスを使用する場合には目的とする薄膜のみならず基板材料を相当程度加熱するのと同等の状況を生じることとなり、基板へのダメージが避けられない。以上の事項を勘案すると、実用的なフラッシュランプの照射条件としては、好ましくはパルス幅0.01ms〜50msであり、より好ましくは0.05ms〜30msである。この範囲内で、例えば実施例で採用の基板、シリコン膜の場合、0.01〜1.5msとすることができる。なお、上記パルス幅とは、通常、半値幅と呼ばれているものに相当し、パルスの尖頭値の1/2に相当する値の時間幅のことをいう。
【0078】
ところで、フラッシュランプの照射に際しての試料の温度は、装置および試料の耐久性しだいであり、原理的にはいかなる温度においても照射そのものは可能である。結露などの恐れが無い環境であれば極低温でもよく、また、必要な排熱、断熱をほどこせるのであれば数100℃あるいは1,000℃を上回る温度でもよいわけである。しかしながら現実的には被照射物を構成する材料の種類などその他の条件を勘案して適当な範囲内の温度を用いることとなる。たとえば、基板上の薄膜材料の結晶化を目的とする場合には次のようにして最適な温度範囲の設定を行う。
【0079】
実用上まず考慮する点は基板の材質である。加熱の必要が無い場合には室温でよいわけであるが、加熱を併用する場合には基板自体が軟化、溶融などを起こさないことがまず第一である。Si基板を用いる場合であれば融点である1,400℃付近には至らないことが必須である。石英基板の場合には透明材料としては相当の高温域での使用が可能なものであり、軟化点で考えるならば1,600℃近辺、徐冷点で考えるならば1,100℃近辺が可能最高温度となろう。また、同じ透明材料であってもガラス基板を用いる場合にはその種類にも依存するが軟化点に至らない温度、典型的には600℃程度あるいはそれ以下に設定することが必要となる。
【0080】
ところで、照射エネルギーが低い場合には基板をある程度昇温しておく方が結晶化しやすい傾向があり、また、照射エネルギーが高い場合には基板温度が高いと薄膜に対してダメージを与える場合がある。さらに、プリベークや仮焼成などフラッシュランプの照射以前の工程での最高温度との関係も考慮する必要がある。当然のことながら、フラッシュランプの照射の際に、それ以前の工程での最高温度を超える温度に基板温度を設定するということはそれ自体が焼成を行うことと同等であり、意図せぬ変性を材料に与えてしまう結果となり、好ましくない。
【0081】
したがって、例外的な場合を除いてはフラッシュランプ照射の際の基板温度は履歴最高温度よりは低く設定することがより純粋に照射効果をもたらすことになる。一方、この事実は、フラッシュランプ照射に際し加熱効果を重畳させる方が好ましい場合にはそれに応じて適正温度に設定すればよいことを意味することでもある。実用的には生産性という観点も重要であり、一般的には昇温および降温工程を少なくする方が時間的には効率が良いことから、同様の物性が得られる複数の条件が存在する場合には基板加熱を必要としないあるいは低い設定温度の条件を選択することが好ましい場合もある。
【0082】
また。照射時の雰囲気は特に限定されないが、非酸化性雰囲気中で実施するのが好ましい。酸化性雰囲気としては前記したと同様の雰囲気が用いられる。
【0083】
ここで、フラッシュランプを光源とした光照射装置について、図2に示す概略構成について説明する。
【0084】
光照射装置10は、複数本のフラッシュランプ1が反射鏡2に囲まれて配置する。このフラッシュランプ1は、この例では等間隔で並行に配列されており、各フラッシュランプ1に対して給電装置が接続されるが、千鳥配置したりしてもよい。
【0085】
フラッシュランプ1からの放射光は、直接あるいは反射鏡2で反射されて拡散板3を介して、ステージ4にセットされる試料5を照射する。拡散板3は、例えば、フロスト処理した石英ガラス板からなり、ランプ1からの放射光は均一にする機能を有する。
【0086】
試料5はチャンバー7内にセットさせるが、チャンバー内の雰囲気は、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、真空、大気雰囲気あるいは、反応性ガスと目的に応じて所望のガス雰囲気を設定できる。また、ステージ4は下方にヒータ8を有しており、試料5を予熱できるとともに、ランプ1との距離を調節できる昇降機構も設けられている。ランプ1と試料5の距離は、例えば10〜70mmであって、例えば25mmである。ステージ4は表面がアルミニウム(Al)を用いた高反射面処理が行なわれ、紫外域から赤外域にいたるまでの広帯域にわたって均一かつ高い反射特性を有している。
【0087】
なお、ステージ4は、表面の材質としてセラミックス(アルミナ、チッ化アルミニウム、シリコンカーバイトなど)、金属(アルミニウム、ステンレスなど)などが材質の熱伝導率、耐光性、耐薬品性などを考慮し、また被照射物の性質、使用温度、試料の均熱性などを考慮して適宜選択できる。
【0088】
図3はフラッシュランプ1の概略構成を示す。
【0089】
直管型の石英ガラス製放電容器11には、例えば、キセノンガスが封入されており、両端が封止されて内部に放電空間が区画される。放電空間内には陽極12、陰極13が対向配置しており、放電容器11の外面には長手方向にトリガ電極14がトリガバンド15に保持されて配設される。
【0090】
フラッシュランプについて数値例をあげると、放電容器の内径はφ8〜15mmの範囲から選択され、例えば10mm、放電容器の長さは200〜550mmの範囲から選択され、例えば300mmである。
【0091】
この放電容器に用いられる石英ガラスは、一般的に合成石英ガラス、溶融石英ガラス、オゾンなど不所望なガスの発生を抑えるためには、250nm以下の短波長の発生を抑えた、酸化チタンをドープした石英ガラス、酸化チタンと酸化セリウムをドープした石英ガラスなどが利用される。被照射物への照射効果から250nm以下の短波長の存在が好ましい場合には、合成石英ガラス、溶融石英ガラスが適宜利用される。
【0092】
封入ガスであるキセノンガスの封入量は200〜1,500torrの範囲から選択され、例えば500torrである。また、主発光成分としてはキセノンガスに限らず、その代わりにアルゴンやクリプトンガスを採用することもできる。また、キセノンガスに加えて水銀など他の物質を添加することもできる。
【0093】
電極は、タングステンを主成分とする焼結型電極であって、大きさは外径が4〜10mmの範囲から選択され、例えば5mm、長さが5〜9mmの範囲から選択され、例えば7mmである。電極間距離は100〜2,000mmの範囲から選択され、例えば500mmである。また、陰極にはエミッターとして酸化バリウム(BaO),酸化カルシウム(CaO),酸化ストロンチウム(SrO),アルミナ(Al2O3)、希土類酸化物などが混入されている。
【0094】
さらに、トリガ電極は、ニッケルやタングステンで形成されるワイヤ状のものであり放電容器に直接あるいは、適宜誘電体を介して接触させる。
【0095】
なお、塗布法で形成されたシリコン膜に対するフラッシュランプによる閃光照射の条件については、パルス幅、ピーク電流値については上記に掲げたが、それ以外に、照射エネルギー密度などがある。
【0096】
照射エネルギー密度は、被照射物の単位面積当たりの照射エネルギーであって、好ましくは5〜50J/cm2、より好ましくは10〜30J/cm2の範囲から選定され、具体的には、12J/cm2、18J/cm2、25J/cm2等である。
【0097】
本発明の分子形態学的変化法によれば、例えばアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜あるいは単結晶シリコン膜に変化させたり、あるいは多結晶シリコン膜を単結晶シリコン膜に変化させたりすることを簡単に行うことができる。
【0098】
一般に半導体シリコンでトランジスターを作製する場合、その特性を左右する電子移動度はアモルファス状シリコンより多結晶状シリコンの方が大きく、しかも結晶化度の高い方が良質なトランジスターが得られる。さらに結晶配向性が高い程良質なトランジスター特性が得られることが知られている。本発明で得られる多結晶状シリコン膜は結晶化度が80%以上のものであり、(111)配向/(220)配向の比が2以上とすることができ、さらに4以上とすることもできる。
【0099】
これらのうち、アモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜に変化させる際には、種晶の生成を促進する金属またはその化合物を用いるのが好ましい。かかる金属としては、例えばニッケル、コバルト、鉄、パラジウム、イリジウム、プラチナ、銅、金、アルミニウム、好ましくはニッケル、コバルト、鉄、パラジウムを挙げることができる。またその化合物としては、例えばフッ化ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、沃化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、ニッケルビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン)、オクタン酸ニッケル、蓚酸ニッケル、過塩素酸ニッケル、リン酸ニッケル、ニッケルテトラフルオロボレート、ニッケルテトラキスカルボニル、Ni(CO)3(SiF3)2、フッ化コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、沃化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトナート、コバルトビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン)、オクタン酸コバルト、蓚酸コバルト、過塩素酸コバルト、リン酸コバルト、コバルトテトラフルオロボレート、フッ化鉄、塩化鉄、臭化鉄、沃化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、酢酸鉄、炭酸鉄、鉄アセチルアセトナート、鉄ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン)、オクタン酸鉄、蓚酸鉄、過塩素酸鉄、リン酸鉄および鉄テトラフルオロボレートを挙げることができる。
【0100】
かかる金属またはその化合物は、例えば(i)アモルファスシリコン膜上に塗布する方法、(ii)アモルファスシリコン膜中に混在せしめる方法あるいは(iii)アモルファスシリコン膜の下、例えば基板上に塗布して存在せしめる方法により用いることができる。上記(i)および(iii)の方法では、上記金属またはその化合物を溶媒例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの脂肪族炭化水素系溶媒または芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、p−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、塩化メチレン、クロロホルムなどの極性溶媒中に分散ないし溶解した溶液として塗布することが好ましい。溶液中における上記化合物の濃度は好ましくは0.00001〜1.0重量%、より好ましくは0.0001〜0.5重量%、特に好ましくは0.0005〜0.1重量%である。
【0101】
また、上記(ii)の方法では、上記金属またはその化合物をアモルファスシリコン膜を形成する前のシラン組成物中に予め含有せしめておくのが好ましい。その際シラン組成物中における上記金属またはその化合物の濃度は、好ましくは0.0001〜10重量%、より好ましくは0.001〜5重量%、特に好ましくは0.002〜1重量%である。
【0102】
塗布は、例えばスプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法などの適宜の方法により、膜厚が好ましくは0.00001〜1.0μm、特に好ましくは0.0001〜0.1μm程度になるように行われる。なお、上記膜厚は溶媒除去後の膜厚として理解されるべきである。
【0103】
塗布は非酸化性雰囲気下で実施されることが好ましい。このような雰囲気を実現するためには、酸素、二酸化炭素等の酸化性物質を実質的に含有しない雰囲気とすればよく、具体的には、窒素、水素、希ガスおよびこれらの混合ガス中の雰囲気が好ましく使用できる。
【0104】
上記(i)、(ii)および(iii)の方法のうち、(i)の方法が好ましい。(i)の方法では、多結晶せしめたのち、表層を除去することにより多結晶シリコン膜を露出せしめることが可能である。
【0105】
上記において、基板上に形成したシラン組成物の塗膜を一旦シリコン膜に変換し、次いでこのシリコン膜に本発明方法を適用する方法について説明した。
【0106】
本発明方法は、さらに、基板上に形成したシラン組成物の塗膜に、直接閃光を照射してシリコン膜に変換する方法をも包含する。すなわち、この場合、閃光照射により、一旦シリコン膜が生成しそしてこれがさらに分子形態学的変化を生じ、所望のシリコン膜を与えるものと理解される。この場合の閃光照射回数、温度あるいは雰囲気等は前記した条件と何ら変わるものではない。
【0107】
本発明方法は、高信頼性が要求されるデバイスを製造するために好適に使用することができる。また、本発明の方法は、真空装置などの高価な装置が不要なので低コストである。
【0108】
また、閃光照射時に、所望のパターンを有するフォトマスクの使用等により、閃光を膜の一部に選択的に照射すれば、任意のパターンを有するシリコン膜を形成することも可能である。
【0109】
本発明で形成されたシリコン膜は液晶デバイス、有機EL表示素子、バイオチップ、太陽電池などの各種デバイスに好適に使用できる。
【0110】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0111】
合成例1
温度計、冷却コンデンサー、滴下ロートおよび攪拌装置を取り付けた内容量が3Lの4つ口フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、乾燥したテトラヒドロフラン1Lとリチウム金属18.3gを仕込み、アルゴンガスでバブリングした。この懸濁液を0℃で攪拌しながらジフェニルジクロロシラン333gを滴下ロートより添加し、滴下終了後、室温下でリチウム金属が完全に消失するまでさらに12時間攪拌を続けた。反応混合物を5Lの氷水に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物を濾別し、水でよく洗滌した後シクロヘキサンで洗滌し、真空乾燥することにより白色固体140gを得た。この白色固体100gと乾燥したシクロヘキサン1,000mLを2Lのフラスコに仕込み、塩化アルミニウム4gを加え、攪拌しながら室温下で乾燥した塩化水素ガスを8時間バブリングした。ここで別途に、水素化リチウムアルミニウム40gとジエチルエーテル400mLを3Lのフラスコに仕込み、アルゴン雰囲気下、0℃で攪拌しながら上記反応混合物を加え、同温にて1時間撹拌後さらに室温で12時間撹拌を続けた。反応混合物より副生物を除去した後、70℃、10mmHgで減圧蒸留を行ったところ、無色の液体が10g得られた。このものはIR、1H−NMR、29Si−NMR、GC−MSの各スペクトルより、シクロペンタシランであることが判った。
【0112】
このようにして得られたシクロペンタシラン10gを100mLのフラスコに加え、アルゴン雰囲気下で攪拌しながら500Wの高圧水銀灯を25分間照射したところ、白色固体が得られた。ここで得られた白色固体はトルエン、シクロヘキサンには不溶であった。このものにシクロペンタシランを90g加え無色透明の塗布溶液を調整した。
【0113】
実施例1
合成例1で得られた塗布溶液をアルゴン雰囲気下で石英ガラス基板に2,000rpmでスピンコートし200℃で10分間プレベークをおこなった後、400℃で30分間焼成して0.2μm膜厚の褐色の膜を形成した。この膜のESCA測定の結果、99.0eVに単一ピークを示しシリコン膜であることが判った。またラマンスペクトル測定の結果、480cm−1にTOフォノンに帰属されるピークを示しこのシリコン膜がアモルファス状であることが判った。さらにこのシリコン膜をXRD測定結果もアモルファス状であることが判り、そのスペクトルを図1のB0に示す。
【0114】
かくして塗布法で得られたアモルファス状シリコン膜基板にキセノンガスを封入したフラッシュランプでパルス幅0.7ms、照射エネルギーがおよそ18J/cm2において1回の照射を行った。なお、この際に基板温度は200℃とした。すでに説明したように照射エネルギーが低い場合には基板をある程度昇温しておく方が結晶化しやすい傾向があり、また、照射エネルギーが高い場合には基板温度が高いと薄膜に対してダメージを与える場合がある。また、本例の試料はフラッシュランプの照射以前の工程での最高温度400℃を経ているので、この温度は超えないものに設定した。
照射後の試料は、典型的には褐色から黄色に変化していた。この試料ラマン散乱分光法により評価したところ、517.0cm−1近傍にややブロードながら明確なピークが観測された。また、XRD測定(図1のB1)からも本シリコン膜が多結晶化されたことが判った。
【0115】
実施例2
合成例1の塗布溶液を窒素雰囲気のグローブボックス中でインクジェット塗布装置を用いてホウケイ酸ガラス上にパターン塗布した後、塗布した基板を300℃で1時間焼成した。焼成した部分が褐色のシリコン膜のパターンへと変化しラマン分析の結果、100%アモルファス状であることが判った。
【0116】
このアモルファス状シリコン膜パターン基板にキセノンフラッシュランプでパルス幅0.7ms、照射エネルギーがおよそ20J/cm2において1回の照射を行った。なお、この際に基板温度は室温と150℃とした。
【0117】
フラッシュランプによる照射後の試料をラマン散乱分光法により評価を行ったところ、518.5cm−1近傍に明確なピークが観測された。このピークは単結晶のそれよりはブロードであるが、実施例1のポリシリコンのものと比較して半値幅が半分程度である。このようにピーク位置がより単結晶の520.2cm−1に近いこと、および鋭いピークであることは、ポリシリコンとしての結晶性が実施例1のものよりも優れていることを示している。これは、平面状のべた膜を結晶化する場合と比較して島状領域での結晶化の場合には粒界での束縛条件がゆるいために結晶核がより自由に大きく成長することにとって有利な条件となっているためであると推定される。
【0118】
実施例3
合成例2で用いたホウケイ酸ガラス基板に替えてノルボルネン系の透明樹脂基板(ジェイエスアール(株)製、商品名「ARTON」、厚さ100μm)を用いて、他は実施例2と同様にしてインクジェット塗布装置を用いてパターン塗布した後、塗布した基板を250℃で1時間焼成した。焼成した部分が黄褐色のシリコン膜のパターンへと変化したラマン分析の結果、100%アモルファス状であることが判った。
【0119】
このアモルファス状シリコン膜をキセノンフラッシュランプでパルス幅0.3ms、照射エネルギーがおよそ16J/cm2において1回の照射を行った。なお、この際に基板温度は室温とした。本例の場合においても実施例2におけるのと同様にすでに焼成(250℃)によりアモルファス化を十分に進行させた試料であることに加えてパターン塗布により島状に膜が形成されている。しかしながら、本例ではガラス基板ではなく樹脂基板を用いていることから熱的にはより弱い系を構成している。したがって、基板加熱温度のみならずフラッシュランプによる照射条件も検討した。
【0120】
すでに述べたように、定性的には照射効果はパルス幅が長いほど被照射物の深部にまでおよび、逆にパルス幅が短いほどその効果は被照射物の表面および浅い領域に限定される傾向を有する。もちろん、実際に効果がおよぶ深さは被照射物の光物性に大きく左右されるものであり、ある特定の照射条件であればあらゆる物質に対して必ずある特定の深さにまで効果がおよぶというものではまったく無い。本実施例においては樹脂基板、すなわち前述の実施例1あるいは2と比較した場合にフラッシュランプの効果は相対的に深部にまでおよばない方が好ましいであろうと考えられる。そのためにパルス幅を0.3msというように短く設定した。
【0121】
フラッシュランプによる照射後の試料を顕微ラマン分光法により評価を行ったところ、518.0cm−1近傍に明確なピークが観測された。このピークは単結晶のそれよりはブロードであり、実施例2のポリシリコンのものと比較してやや半値幅が大きめではあるが、ピーク位置が単結晶の520.2cm−1に近いこと、およびかなり鋭いピークであることから、実施例1のものよりも優れた結晶性のポリシリコンが形成されていることを示している。
【0122】
実施例4
合成例1で得られた塗布溶液をアルゴン雰囲気下でノルボルネン系透明樹脂基板(ジェイエスアール(株)製、商品名「ARTON」、厚さ100μm)に2,000rpmでスピンコートし200℃で10分間プレベークをおこなった後、300℃で60分間焼成して0.17μm膜厚のアモルファスシリコン膜を形成した。このアモルファスシリコン膜上に5重量%の酢酸ニッケルのジエチレングリコールジエチルエーテル溶液をインクジェット塗布装置を用いて間隔1mmで碁盤目状にパターン塗布した。この基板を250℃で30分間乾燥した。
【0123】
この試料をアルゴン雰囲気中でキセノンフラッシュランプでパルス幅0.3ms、照射エネルギーがおよそ13J/cm2において1回の照射を行った。なお、この際に基板温度は実施例3と同様に室温とした。本実施例においても樹脂基板、すなわち前述の実施例1あるいは2と比較した場合にフラッシュランプの効果は相対的に深部にまでおよばない方が好ましいであろうと考えられることからパルス幅を0.3msというように短く設定した。
【0124】
ついで、この試料表面を0.1N塩酸で処理し、酢酸ニッケルを除去した後に顕微ラマン分光法により評価を行った。その結果、酢酸ニッケルを塗布した部分としていない部分とで明らかな相違が認められた。ピーク位置はいずれもほぼ517.5cm−1近傍であり、その相違は誤差範囲程度であったが、酢酸ニッケルを塗布した部分の方が塗布をしていない部分と比較して半値幅が明らかに小さく、ポリシリコンとしての結晶性が優れていることを示している。これは酢酸ニッケルパターンの存在が結晶核形成を促し、より大きなグレインの成長に有利に作用したためと推測される。また、XRDで結晶配向性をピーク強度比で調べたところ、酢酸ニッケルを塗布した部分は(111)/(220)比が8.3であったのに対し、酢酸ニッケルの未塗布部分の(111)/(220)比は4.7であった。
【0125】
比較例1
実施例1で用いたアモルファス状のシリコン膜基板を800℃で2時間熱アニール処理による多結晶化を試みたところ、部分的に多結晶化が起こっているもののXRD分析結果は図1のサンプルEに示す如くピークの半値幅は広いものであった。また、実施例2、3の閃光照射前のアモルファスシリコン基板を熱アニールによる多結晶化を試みたが、実施例2に使用したホウケイ酸ガラス基板の耐熱限界温度の650℃では多結晶化は起こらなかった。また実施例3に使用したノルボルネン系透明樹脂基板の耐熱限界温度の400℃では多結晶化は全く起こらなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により得られたシリコン膜(B1)および比較対照法により得られた膜(B0,E)のXRDチャート。
【図2】フラッシュランプを光源とした光照射装置の概略構成を示す図。
【図3】フラッシュランプの概略構成を示す図。
【符号の説明】
1 フラッシュランプ
2 反射鏡
3 拡散板
4 ステージ
5 試料
7 チャンバー
8 ヒータ
10 光照射装置
11 放電容器
12 陽極
13 陰極
14 電極
15 トリガバンド
【発明の属する技術分野】
本発明は塗布法で形成されたシリコン膜に分子形態学的変化を生じさせるシリコン膜の形態学的変化法および得られたシリコン膜を用いたデバイスに関する。さらに詳しくは、塗布法で形成されたシリコン膜に、高電流密度、短パルス状態の閃光を照射して、シリコン膜に分子形態学的変化を生じさせる方法および得られたシリコン膜を用いたデバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、太陽電池の製造に用いられるアモルファスシリコン膜や多結晶シリコン膜の形成方法としては、モノシランガスやジシランガスの熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、プラズマCVD法あるいは光CVD法等が利用されている。一般的にはポリシリコン膜の形成には熱CVD法(J.Vac.Sci.Technology.,14巻1082頁(1977年)参照)が、またアモルファスシリコン膜の形成にはプラズマCVD法(Solid State Com.,17巻1193頁(1975年)参照)が広く用いられている。
【0003】
しかし、これらのCVD法によるシリコン膜の形成においては、気相反応を用いるため気相でシリコン粒子の副生による装置の汚染や異物の発生が生じ、生産歩留まりが低い、原料がガス状であるため表面に凹凸のある基板上には均一膜厚のものが得られにくい、膜の形成速度が遅いため生産性が低い、プラズマCVD法においては複雑で高価な高周波発生装置や真空装置などが必要である、などの問題があり更なる改良が待たれていた。
【0004】
また、材料面では毒性、反応性の高いガス状の水素化ケイ素を用いるため取り扱いに難点があるのみでなく、ガス状であるため密閉状の真空装置が必要である。一般にこれらの装置は大掛かりなもので装置自体が高価であるのみでなく、真空系やプラズマ系に多大のエネルギーを消費するため製品のコスト高につながっている。
【0005】
近年、これに対して真空系を使わずに液体状の水素化ケイ素を塗布する方法が提案されている。特開平1−29661号公報にはガス状の原料を冷却した基板上に液体化して吸着させ、化学的に活性な原子状の水素と反応させてシリコン系の薄膜を形成する方法が開示されているが、原料の水素化ケイ素を気化と冷却を続けて行うため複雑な装置が必要になるのみでなく、膜厚の制御が困難であるという問題がある。
【0006】
また、特開平7−267621号公報には、低分子量の液体状水素化ケイ素を基板に塗布する方法が開示されているが、この方法は系が不安定なために取り扱いに難点があるとともに、液体状であるため、大面積基板に応用する場合に均一膜厚を得るのが困難である。
【0007】
一方、固体状の水素化ケイ素ポリマーの例が英国特許GB−2077710Aに報告されているが、溶媒に不溶なためコーティング法によって膜を形成することはできない。
【0008】
さらに、太陽電池などに用いるための多結晶シリコン膜の製造は、モノシランガスやジシランガスを原料とした熱CVD法(J.Vac.Sci.Technology.,14巻1082頁(1977年)等)によるか、またはプラズマCVD法(Solid State Com.,17巻1193頁(1975年)等)等により先ずアモルファスシリコン膜を形成し、次いでレーザーアニールや水素プラズマ処理等で多結晶シリコン膜に変換する方法によるのが主流である。このような熱またはプラズマCVD法を利用するシリコン膜の形成においては、▲1▼気相反応が用いられるため、気相においてシリコンの粒子が発生して装置の汚染や異物の発生が生じそれにより生産歩留まりが低くなる、▲2▼原料がガス状であるため表面に凹凸のある基板上には均一膜厚のシリコン膜を形成し難い、▲3▼膜の形成速度が遅いため生産性が低い、▲4▼プラズマCVD法においては複雑で高価な高周波発生装置や真空装置などが必要である、などの問題があり更なる改良が待たれていた。
【0009】
近年、アモルファスシリコンを多結晶シリコンに変換するに際し、アモルファスシリコン表面に異種金属または金属シリサイド薄膜層を設け、熱処理を施す方法が報告されている。例えば、J.Appl.Phy.,69,6394(1991)、J.Appl.Phy.,70,5153(1991),Jpn.J.Appl.Phys.,Part 1,29,729(1990)、J.Appl.Phy.,87,609(2000)等では、アモルファスシリコン上にアルミニウム、銅、ニッケル等の薄膜層を設け、500℃程度の熱処理により多結晶シリコンに変換できることが報告されている。
【0010】
しかしこの方法によると、熱処理に比較的高温が必要なため、使用しうる基板の材質が限られてしまう欠点があり、そもそもアモルファスシリコン形成時にCVD法を採用しているため、上述した問題点をも有している。
【0011】
また、近年、アモルファスシリコン表面の一部にNiSi2を付着させ、380℃程度で熱処理することにより多結晶シリコンに変換できることが報告されている。この方法によると比較的低温で多結晶化が可能であるため、使用しうる基板の材料の自由度は大きいが、やはりアモルファスシリコン形成時にCVD法が必要なため、同様の問題点を有している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の如き従来技術の欠点を解消して、所望の分子形態学的状態にあるシリコン膜を低コストで、効率的且つ簡便に形成ないし製造する方法を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、所望の分子形態学的状態にあるシリコン膜を、耐熱性が必ずしも十分とはいえないプラスチック基板上においても形成ないし製造しうる方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、塗布法で形成されたシリコン膜に閃光を照射してシリコン膜に分子形態学的変化を生じさせることを特徴とするシリコン膜の形態学的変化法によって達成される。
【0016】
本発明において分子形態学的変化とは、分子レベルにおける形態学的変化、例えばアモルファス構造と結晶構造間の変化、結晶構造間の変化等を意味している。
【0017】
【発明の好ましい実施態様】
本発明において、閃光照射の対象として用いられるシリコン膜は、例えばインクジェットやディップ方式等の塗布法によって作製された膜が相当する。
【0018】
かかるシリコン膜の製造材料は、特に限定されないが、例えば、以下に示すシラン組成物(i)、(ii)が好ましいものとして挙げられる。
【0019】
(i)(A)式SinRm
ここで、nは11以上の整数であり、mはn〜(2n+2)の整数でありそしてm個のRは互いに独立に水素原子、アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子である、但しm=nのときはnが偶数であるものとする、
で表されるポリシラン化合物 並びに
(B)シクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を含有するシラン組成物。
(ii)(A’)式SiiH2i+2
ここで、iは2〜10の整数である、
で表される水素化鎖状シラン化合物、
式SijH2j
ここで、jは3〜10の整数である、
で表される水素化環状シラン化合物 および
式SikHk
ここで、kは6〜10の偶数である、
で表される水素化かご状シラン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物が光照射を受けて生成する生成物、並びに
(B)シクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を含有するシラン組成物。
【0020】
上記シラン組成物(i)におけるポリシラン化合物(A)は上記式で表される。
【0021】
上記式中Rが表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基およびn−デシル基などの炭素数1〜10のアルキル基を好ましいものとして挙げることができる。
【0022】
また、ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素および臭素を好ましいものとして挙げることができる。
【0023】
上記ポリシラン化合物は、鎖状、環状、またはかご状であることができる。
【0024】
上記ポリシラン化合物のうち、Rのすべてが水素原子である水素化ポリシラン化合物が好ましく用いられる。このような水素化ポリシラン化合物としては、式SinH2n+2で表される水素化鎖状ポリシラン、式SinH2nで表される水素化環状ポリシラン、および式SinHnで表される水素化かご状ポリシラン化合物が好適に用いられる。なお、「かご状」とは、プリズマン骨格、キューバン骨格、5角柱型骨格等を含むものを意味する。
【0025】
ただし、上記各式におけるnは、水素化鎖状ポリシランにおいて、好ましくは3〜100,000、より好ましくは5〜50,000の整数であり、水素化環状ポリシランにおいて、好ましくは7〜100,000、より好ましくは8〜50,000の整数であり、そして水素化かご状ポリシランにおいて好ましくは6〜100,000、より好ましくは7〜50,000の整数である。
【0026】
この場合、nが上記した最小値より小さい場合にはポリシラン化合物の成膜性に難点が生じる場合があり、またnが上記した最大値より大きい場合にはポリシラン化合物の凝集力に起因する溶解性の低下が認められる場合がある。
【0027】
このようなポリシラン化合物は、単独で、また、2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
本発明で使用するポリシラン化合物は、所望の構造単位を有するモノマ−を原料として、例えば以下の方法により製造することができる。(a)アルカリ金属の存在下にハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(いわゆる「キッピング法」、J.Am.Chem.Soc.,110,2342(1988)およびMacromolecules,23,3423(1990)参照);(b)電極還元によりハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1161(1990)およびJ.Chem.Soc.,Chem.Commun.,896(1992)参照);(c)金属触媒の存在下にヒドロシラン類を脱水素縮重合させる方法(特開平4−334551号公報参照):(d)ビフェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合による方法(Macro molecules,23,4494(1990)参照)。(e)フェニル基やアルキル基で置換された環状ケイ素化合物を上記の方法で合成した後、公知の方法(例えば、Z.Anorg.Allg.Chem.,459,123−130 (1979)、E.Henggeら Mh.Chem.第106巻、503頁、1975年など)によりヒドロ置換体やハロゲン置換体などに誘導することができ、(f)上記の方法で合成したシラン化合物に光照射することによりさらに高分子量のポリシラン化合物とすることができる。
【0029】
また、上記シラン組成物(ii)において、少なくとも1種のシラン化合物が光照射を受けて生成する生成物であるポリシラン化合物が用いられる。その原料となる少なくとも1種のシラン化合物としては、式SiiH2i+2(ここでiは2〜10の整数であり、好ましくは2〜4の整数である。)で表される水素化鎖状シラン化合物、式SijH2j(ここでjは3〜10の整数であり、好ましくは3〜6の整数である。)で表される水素化環状シラン化合物、および式SikHk(ここでkは6〜10の偶数である。)で表される水素化かご状シラン化合物が用いられる。そのうちでも上記水素化環状シラン化合物がさらに好ましく、特に好ましくはシクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が特に好ましい。これらはそれぞれ、下記式で表される。
【0030】
【化1】
【0031】
これらのシラン化合物は、ジフェニルジクロロシランから製造されるデカフェニルシクロペンタシランおよびドデカフェニルシクロペンタシランを経て製造することができる。
【0032】
これらのシラン化合物は単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
【0033】
かかるシラン化合物に照射する光は、可視光線、紫外線、遠紫外線の他、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源としては、好ましくは10〜5,000Wの出力のものが用いられる。通常100〜1,000Wで十分である。これらの光源の波長は原料のシラン化合物が多少でも吸収するものであれば特に限定されないが、170nm〜600nmが好ましい。
【0034】
光照射処理を行う際の温度は、好ましくは室温〜300℃以下である。処理時間は0.1〜30分程度である。光照射処理は、非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。
【0035】
また、光照射処理は、適当な溶媒の存在下に行ってもよい。このような溶媒としては、本発明の組成物の任意添加成分として後述する溶媒と同様のものを使用することができる。
【0036】
上記シラン組成物(i)におけるポリシラン化合物および上記シラン組成物(ii)における、シラン化合物に光照射をして生じる生成物であるポリシラン化合物は、式SinRmにおける重合度nが10程度以上の高分子量体になると、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒等の汎用溶媒に対する溶解性が著しく低くなり、実質的に不溶性となるので、このようなポリシラン化合物を基板上に成膜し、シリコン膜に変換することは実質的に不可能であった。
【0037】
本発明において、このような本来は溶媒不溶のポリシラン化合物に対し、特定の液状のシラン化合物が良好な溶解性を示すことを見い出し、ポリシラン化合物をシリコン膜またはシリコン酸化膜の原料として使用することが可能となった。
【0038】
このような比較的高分子量のポリシラン化合物をシリコン膜の原料として使用することにより、形成された膜が緻密で均一性に優れた高品位のものとなる利点がある。
【0039】
本発明に用いられる、上記特定のシラン化合物(B)は、シクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物である。
【0040】
本発明において、これらのシラン化合物(B)は単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
【0041】
本発明の溶液組成物を構成する上記シラン化合物(B)に対するポリシラン化合物(A)、(A’)の割合は好ましくは0.01〜1,000重量%、さらに好ましくは0.05〜500重量%、特に好ましくは0.1〜100重量%である。
【0042】
この値が0.01重量%未満の場合は、塗布した後に塗膜が薄すぎ最終的に連続したシリコン膜にならない場合がある。一方、この値が1,000重量%を越える場合は、ポリシラン化合物が完全に溶解しない場合がある。
【0043】
上記シラン組成物(i)、(ii)は、さらに溶媒を含有することができる。
【0044】
ここで使用する溶媒としては、上記した組成物の各成分と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフランテトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;およびプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの極性溶媒を挙げることができる。これらのうち、該溶液の安定性の点で炭化水素系溶媒が好ましい。これらの溶媒は、単独でもあるいは2種以上の混合物としても使用できる。
【0045】
上記の溶媒を使用する場合、その使用量は、所望のシリコン膜の膜厚に応じて適宜調整することができる。好ましくは上記シラン化合物に対し10,000重量%以下であり、特に好ましくは5,000重量%以下である。10,000重量%を越えるとポリシラン化合物が析出する場合があり好ましくない。
【0046】
本発明における上記シラン組成物には、本発明の目的と機能を損なわない範囲で必要に応じて界面活性剤を添加することができる。このような界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、両イオン系、または非イオン系であることができる。このうち、非イオン系界面活性剤は、組成物の塗布対象物への濡れ性を良好化し、塗布した膜のレベルリング性を改良し、塗膜のぶつぶつの発生、ゆず肌の発生などの防止に役立つ点で好ましく使用できる。
【0047】
かかる非イオン性界面活性剤としては、例えばフッ化アルキル基もしくはパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤、またはオキシアルキル基を有するポリエーテルアルキル系界面活性剤を挙げることができる。
【0048】
前記フッ素系界面活性剤としては、例えばエフトップEF301、同EF303、同EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F173(大日本インキ(株)製)、アサヒガードAG710(旭硝子(株)製)、フロラードFC−170C、同FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)、BM−1000、同1100(B.M−Chemie社製)、Schsego−Fluor(Schwegmann社製)、C9F19CONHC12H25、C8F17SO2NH−(C2H4O)6H、C9F17O(プルロニックL−35)C9F17、C9F17O(プルロニックP−84)C9F17、C9F7O(テトロニック−704)(C9F17)2などを挙げることができる。(ここで、プルロニックL−35:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量1,900;プルロニックP−84:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量4,200;テトロニック−704:旭電化工業(株)製、N,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体)、平均分子量5,000である。)
【0049】
またポリエーテルアルキル系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマーなどを挙げることができる。
【0050】
これらのポリエーテルアルキル系界面活性剤の具体例としては、エマルゲン105、同430、同810、同920、レオドールSP−40S、同TW−L120、エマノール3199、同4110、エキセルP−40S、ブリッジ30、同52、同72、同92、アラッセル20、エマゾール320、ツィーン20、同60、マージ45(いずれも(株)花王製)、ノニボール55(三洋化成(株)製)などを挙げることができる。上記以外の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体などがあり、具体的にはケミスタット2500(三洋化成工業(株)製)、SN−EX9228(サンノプコ(株)製)、ノナール530(東邦化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0051】
このような界面活性剤の使用量は、ポリシラン化合物およびシラン化合物、ならびに任意的に添加される溶媒の合計100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、特に好ましくは0.1〜5重量部である。ここで、10重量部を超えると得られる組成物が発泡し易くなると共に、熱変色を起こす場合があり好ましくない。
【0052】
本発明においては、シリコン膜を準備するために、先ず、上記シラン組成物を、基板上に、例えばスプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法などの適宜の方法により、膜厚が好ましくは0.005〜10μm、特に好ましくは0.01〜5μm程度になるように塗布する。なお、組成物が溶媒を含有するものであるとき、上記膜厚は溶媒除去後の膜厚として理解されるべきである。
【0053】
成膜工程は非酸化性雰囲気下で実施される。このような雰囲気を実現するためには、酸素、二酸化炭素等の酸化性物質を実質的に含有しない雰囲気とすればよく、具体的には、窒素、水素、希ガスおよびこれらの混合ガス中の雰囲気が好ましく使用できる。
【0054】
また、シラン組成物の塗膜を密着性よくかつ緻密に基板上に成膜するために、塗布前に少なくとも一回、光照射処理を施すことが好ましい。
【0055】
このような光照射処理に際しては、可視光線、紫外線、遠紫外線の他、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源としては、好ましくは10〜5,000Wの出力のものが用いられる。通常100〜1,000Wで十分である。これらの光源の波長は組成物または塗膜中のポリシラン化合物が多少でも吸収するものであれば特に限定されないが170nm〜600nmが好ましい。
【0056】
光照射処理を行う際の温度は、好ましくは室温〜300℃である。処理時間は0.1〜30分程度である。これらの光照射処理は、ポリシラン化合物の成膜工程と同様の非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。
【0057】
このような光照射処理により、塗膜中のポリシラン化合物のケイ素―ケイ素結合の解裂および再結合反応を生起させることにより、基材への密着性等の膜物性が改善されるものと推察される。さらには、塗膜中のシラン化合物が光照射により開環重合してポリシランとなり、より緻密な膜が形成されるものと考えられる。
【0058】
シリコン膜は、上記の如く形成されたシラン組成物の塗膜を、非酸化性雰囲気下、好ましくは窒素、アルゴン、水素を含有するアルゴンあるいは水素を含有する窒素の雰囲気下で、好ましくは100〜1,000℃で、より好ましくは200〜850℃で、さらに好ましくは300℃〜500℃で熱処理することにより形成される。
【0059】
一般に、到達温度が約550℃以下の温度ではアモルファス状、それ以上の温度では多結晶状のシリコン膜が得られる。到達温度が300℃未満の場合は、ポリシラン化合物の熱分解が十分に進行せず、十分な厚さのシリコン膜を形成できない場合がある。多結晶状のシリコン膜を得ようとする場合には、上記で得られたアモルファス状シリコン膜にレーザーを照射して多結晶シリコン膜に変換することもできる。上記レーザーを照射する場合の雰囲気としては、例えばヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス、もしくはそれらに水素などの還元性ガスを混入したものを用いることが好ましい。
【0060】
このときの光照射処理は、上記したシラン組成物の成膜の際の光照射処理と同様に実施することができる。
【0061】
本発明におけるシリコン膜は、本発明の目的を損なわない範囲において、酸化シリコンや炭素等の不純物を含有するものであってもよい。
【0062】
本発明におけるシリコン膜の膜厚は、好ましくは0.005〜20μm、より好ましくは0.01〜10μmである。
【0063】
また、成膜を複数回重ねて行うことにより、得られるシリコン膜の膜厚をさらに大きくすることもでき、例えば厚さ1mm程度のシリコン膜の形成も可能である。
【0064】
シリコン膜の形成に使用する基板は特に限定されない。塗膜を形成する基板は平面でも、段差のある非平面でもよく、その形態は特に限定されるものではない。ポリシラン化合物塗膜の酸化処理を熱処理にて行う場合には、基板の材質は、処理温度に耐えられるものが好ましい。
【0065】
基板の材質の具体例としては、ガラス、金属、プラスチック、セラミックスなどを挙げることができる。ガラスとしては、例えば石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス、鉛ガラス、ランタン系ガラス等が使用できる。金属としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、シリコン、アルミニウム、鉄の他ステンレス鋼などが使用できる。プラスチックとしては、例えばポリイミド、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン系開環重合体およびその水素添加物等を使用することができる。これらのプラスチックは、ガラスや金属に比べ周知のとおり耐熱性が劣り、必ずしも十分な耐熱性を有しているとはいえないが、本発明方法ではプラスチック基板も用いることができる。さらにこれらの基板の形状は塊状、板状、フィルム形状などで特に制限されるものではない。
【0066】
上記の如くすることにより、基板の面積や形状に関わらずに緻密なシリコン膜を形成することができる。
【0067】
本発明方法は、上記の如くして塗布法により形成されたシリコン膜に閃光を照射してシリコン膜に分子形態的変化を生じさせる。
【0068】
塗布法で形成したアモルファスシリコン膜は、エキシマレーザー等のレーザー光の照射によっても結晶化することが可能ではあるが、その際の最適エネルギー値の許容幅が極めて狭く、許容幅を超えて照射エネルギーが大きくなると、膜のアブレーション(abrasion)が起こる場合があり、製品の歩留まり上問題が生ずる場合がある。
【0069】
また、レーザー光は広域への照射という点で不利である。例えば、数cmあるいはそれ以上におよぶ領域に照射する場合は、ビームエキスパンダーなどの光学系を使う必要があるが、当然のことながら照射強度密度は低下するという問題を生じる。また、広い領域への高強度照射を要する場合には高価な大型高出力のレーザー装置を必要となり、さらに、レーザー装置からのレーザー光を広げるにも当然のことながら限界がある。
【0070】
また、水銀ランプやキセノンランプを連続点灯させて光照射する方法も存在する。
【0071】
しかし、連続点灯による光照射では、被照射物、特に基板に対して熱的影響を及ぼす点で好ましい方法ではない。
【0072】
さらに水銀ランプやキセノンランプを連続点灯させながら、ランプにパルス的に高い入力を重畳させる手段、あるいはランプと被照射物の間に機械的なシャッターを設けて、光を断続的に照射する手段などもあるが、前者は、パルス点灯を重畳させる時間とランプ入力に制約が多く、ランプの消費電力を抑える目的では効果があるものの、被照射物の熱的な影響を根本的に解決するものではない。また後者は、シャッター機構をあらたに設けることとなり装置が複雑化し、短パルス化とピーク出力向上を同時達成するためには、ランプの大型化とシャッター機構の高速化が必要であり、特にシャッター機構の高速化には限界がある。
【0073】
この点でフラッシュランプを使った閃光照射は、最適エネルギー値の許容幅を広く選定することができ、また、広域の照射が極めて簡単に、かつ被照射物に熱的影響を及ぼすことなく達成できる。また、フラッシュランプからの放射光は、コヒーレンシーではなく、波長域が広いので、波長選択フィルターを使い被照射物に対応させて必要な波長域の光のみを極めて容易に利用することができる。
【0074】
ここで、フラッシュランプによる閃光照射とは、いわゆる放電ランプに高電圧トリガーを印加することで、外部コンデンサに蓄積された電気エネルギーを瞬間的に放電発光させるもので、トリガーの印加のタイミングで、1ショットのみから繰り返し間欠的(パルス)に点灯させることができ、レーザー装置による間欠照射や放電ランプの連続点灯等とは異なるものである。間欠点灯の数値例をあげると、先述のとおり、1ショットのみから周波数100KHz程度まで、好ましくは0.01〜10KHzである。
【0075】
フラッシュランプの照射条件は対象とする物質および目的に依存するので、それに応じて設定される。定性的には照射効果はパルス幅が長い程被照射物の深部まで及び、逆にパルス幅が短い程その効果は被照射物の表面および浅い領域に限定される傾向を示す。実際に効果が及ぶ深さは被照射物の光吸収あるいは光反射特性に大きく左右される。一方、可能な照射条件にはフラッシュランプ自体の技術的側面からも自ずと制約が存在する。フラッシュランプとしてのパルス幅は長い方では最大100ms程度まで可能である。また、短い方では実用的には0.01ms程度である。放電の際のピーク電流値が7,000A/cm2を越える場合には電極に大きな負担がかかり電極材料の劣化が著しい。また、この際のプラズマ温度は10,000度Kを越える場合もあり得るために、石英ガラス管自身が急速に劣化し破損の危険すらある。これらのことにより放電灯の寿命が極端に短くなるためにこのような条件から逸脱した照射条件の使用は適当ではない。
【0076】
本願の目的とする塗布法により得られたシリコン膜例えばアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜あるいは単結晶シリコン膜に変化させるのに十分なエネルギーを付与するとともに塗布シリコン膜を形成する基板材料への配慮が必要である。原理的にはシリコンが溶融する温度あるいはそれに近い温度にまで昇温することが可能であれば溶融再結晶の通常のメカニズムにより結晶性のシリコン膜を作成できる。その場合には単純に高温炉での熱処理すれば良い。しかしながら、実用上は使用可能な温度には制約が多く、例えばガラス基板上に塗布法で形成したアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜、単結晶シリコン膜に変える場合にはガラス基板の耐熱性以上の高温には加熱できない。今後、使用が増えるであろう樹脂基板に至ってはその温度はさらに低い。
【0077】
上述の如く、フラッシュランプの照射効果はパルス幅が大きいほど被照射物の深部にまで及ぶため、極端に長いパルスを使用する場合には目的とする薄膜のみならず基板材料を相当程度加熱するのと同等の状況を生じることとなり、基板へのダメージが避けられない。以上の事項を勘案すると、実用的なフラッシュランプの照射条件としては、好ましくはパルス幅0.01ms〜50msであり、より好ましくは0.05ms〜30msである。この範囲内で、例えば実施例で採用の基板、シリコン膜の場合、0.01〜1.5msとすることができる。なお、上記パルス幅とは、通常、半値幅と呼ばれているものに相当し、パルスの尖頭値の1/2に相当する値の時間幅のことをいう。
【0078】
ところで、フラッシュランプの照射に際しての試料の温度は、装置および試料の耐久性しだいであり、原理的にはいかなる温度においても照射そのものは可能である。結露などの恐れが無い環境であれば極低温でもよく、また、必要な排熱、断熱をほどこせるのであれば数100℃あるいは1,000℃を上回る温度でもよいわけである。しかしながら現実的には被照射物を構成する材料の種類などその他の条件を勘案して適当な範囲内の温度を用いることとなる。たとえば、基板上の薄膜材料の結晶化を目的とする場合には次のようにして最適な温度範囲の設定を行う。
【0079】
実用上まず考慮する点は基板の材質である。加熱の必要が無い場合には室温でよいわけであるが、加熱を併用する場合には基板自体が軟化、溶融などを起こさないことがまず第一である。Si基板を用いる場合であれば融点である1,400℃付近には至らないことが必須である。石英基板の場合には透明材料としては相当の高温域での使用が可能なものであり、軟化点で考えるならば1,600℃近辺、徐冷点で考えるならば1,100℃近辺が可能最高温度となろう。また、同じ透明材料であってもガラス基板を用いる場合にはその種類にも依存するが軟化点に至らない温度、典型的には600℃程度あるいはそれ以下に設定することが必要となる。
【0080】
ところで、照射エネルギーが低い場合には基板をある程度昇温しておく方が結晶化しやすい傾向があり、また、照射エネルギーが高い場合には基板温度が高いと薄膜に対してダメージを与える場合がある。さらに、プリベークや仮焼成などフラッシュランプの照射以前の工程での最高温度との関係も考慮する必要がある。当然のことながら、フラッシュランプの照射の際に、それ以前の工程での最高温度を超える温度に基板温度を設定するということはそれ自体が焼成を行うことと同等であり、意図せぬ変性を材料に与えてしまう結果となり、好ましくない。
【0081】
したがって、例外的な場合を除いてはフラッシュランプ照射の際の基板温度は履歴最高温度よりは低く設定することがより純粋に照射効果をもたらすことになる。一方、この事実は、フラッシュランプ照射に際し加熱効果を重畳させる方が好ましい場合にはそれに応じて適正温度に設定すればよいことを意味することでもある。実用的には生産性という観点も重要であり、一般的には昇温および降温工程を少なくする方が時間的には効率が良いことから、同様の物性が得られる複数の条件が存在する場合には基板加熱を必要としないあるいは低い設定温度の条件を選択することが好ましい場合もある。
【0082】
また。照射時の雰囲気は特に限定されないが、非酸化性雰囲気中で実施するのが好ましい。酸化性雰囲気としては前記したと同様の雰囲気が用いられる。
【0083】
ここで、フラッシュランプを光源とした光照射装置について、図2に示す概略構成について説明する。
【0084】
光照射装置10は、複数本のフラッシュランプ1が反射鏡2に囲まれて配置する。このフラッシュランプ1は、この例では等間隔で並行に配列されており、各フラッシュランプ1に対して給電装置が接続されるが、千鳥配置したりしてもよい。
【0085】
フラッシュランプ1からの放射光は、直接あるいは反射鏡2で反射されて拡散板3を介して、ステージ4にセットされる試料5を照射する。拡散板3は、例えば、フロスト処理した石英ガラス板からなり、ランプ1からの放射光は均一にする機能を有する。
【0086】
試料5はチャンバー7内にセットさせるが、チャンバー内の雰囲気は、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、真空、大気雰囲気あるいは、反応性ガスと目的に応じて所望のガス雰囲気を設定できる。また、ステージ4は下方にヒータ8を有しており、試料5を予熱できるとともに、ランプ1との距離を調節できる昇降機構も設けられている。ランプ1と試料5の距離は、例えば10〜70mmであって、例えば25mmである。ステージ4は表面がアルミニウム(Al)を用いた高反射面処理が行なわれ、紫外域から赤外域にいたるまでの広帯域にわたって均一かつ高い反射特性を有している。
【0087】
なお、ステージ4は、表面の材質としてセラミックス(アルミナ、チッ化アルミニウム、シリコンカーバイトなど)、金属(アルミニウム、ステンレスなど)などが材質の熱伝導率、耐光性、耐薬品性などを考慮し、また被照射物の性質、使用温度、試料の均熱性などを考慮して適宜選択できる。
【0088】
図3はフラッシュランプ1の概略構成を示す。
【0089】
直管型の石英ガラス製放電容器11には、例えば、キセノンガスが封入されており、両端が封止されて内部に放電空間が区画される。放電空間内には陽極12、陰極13が対向配置しており、放電容器11の外面には長手方向にトリガ電極14がトリガバンド15に保持されて配設される。
【0090】
フラッシュランプについて数値例をあげると、放電容器の内径はφ8〜15mmの範囲から選択され、例えば10mm、放電容器の長さは200〜550mmの範囲から選択され、例えば300mmである。
【0091】
この放電容器に用いられる石英ガラスは、一般的に合成石英ガラス、溶融石英ガラス、オゾンなど不所望なガスの発生を抑えるためには、250nm以下の短波長の発生を抑えた、酸化チタンをドープした石英ガラス、酸化チタンと酸化セリウムをドープした石英ガラスなどが利用される。被照射物への照射効果から250nm以下の短波長の存在が好ましい場合には、合成石英ガラス、溶融石英ガラスが適宜利用される。
【0092】
封入ガスであるキセノンガスの封入量は200〜1,500torrの範囲から選択され、例えば500torrである。また、主発光成分としてはキセノンガスに限らず、その代わりにアルゴンやクリプトンガスを採用することもできる。また、キセノンガスに加えて水銀など他の物質を添加することもできる。
【0093】
電極は、タングステンを主成分とする焼結型電極であって、大きさは外径が4〜10mmの範囲から選択され、例えば5mm、長さが5〜9mmの範囲から選択され、例えば7mmである。電極間距離は100〜2,000mmの範囲から選択され、例えば500mmである。また、陰極にはエミッターとして酸化バリウム(BaO),酸化カルシウム(CaO),酸化ストロンチウム(SrO),アルミナ(Al2O3)、希土類酸化物などが混入されている。
【0094】
さらに、トリガ電極は、ニッケルやタングステンで形成されるワイヤ状のものであり放電容器に直接あるいは、適宜誘電体を介して接触させる。
【0095】
なお、塗布法で形成されたシリコン膜に対するフラッシュランプによる閃光照射の条件については、パルス幅、ピーク電流値については上記に掲げたが、それ以外に、照射エネルギー密度などがある。
【0096】
照射エネルギー密度は、被照射物の単位面積当たりの照射エネルギーであって、好ましくは5〜50J/cm2、より好ましくは10〜30J/cm2の範囲から選定され、具体的には、12J/cm2、18J/cm2、25J/cm2等である。
【0097】
本発明の分子形態学的変化法によれば、例えばアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜あるいは単結晶シリコン膜に変化させたり、あるいは多結晶シリコン膜を単結晶シリコン膜に変化させたりすることを簡単に行うことができる。
【0098】
一般に半導体シリコンでトランジスターを作製する場合、その特性を左右する電子移動度はアモルファス状シリコンより多結晶状シリコンの方が大きく、しかも結晶化度の高い方が良質なトランジスターが得られる。さらに結晶配向性が高い程良質なトランジスター特性が得られることが知られている。本発明で得られる多結晶状シリコン膜は結晶化度が80%以上のものであり、(111)配向/(220)配向の比が2以上とすることができ、さらに4以上とすることもできる。
【0099】
これらのうち、アモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜に変化させる際には、種晶の生成を促進する金属またはその化合物を用いるのが好ましい。かかる金属としては、例えばニッケル、コバルト、鉄、パラジウム、イリジウム、プラチナ、銅、金、アルミニウム、好ましくはニッケル、コバルト、鉄、パラジウムを挙げることができる。またその化合物としては、例えばフッ化ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、沃化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、ニッケルビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン)、オクタン酸ニッケル、蓚酸ニッケル、過塩素酸ニッケル、リン酸ニッケル、ニッケルテトラフルオロボレート、ニッケルテトラキスカルボニル、Ni(CO)3(SiF3)2、フッ化コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、沃化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトナート、コバルトビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン)、オクタン酸コバルト、蓚酸コバルト、過塩素酸コバルト、リン酸コバルト、コバルトテトラフルオロボレート、フッ化鉄、塩化鉄、臭化鉄、沃化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、酢酸鉄、炭酸鉄、鉄アセチルアセトナート、鉄ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン)、オクタン酸鉄、蓚酸鉄、過塩素酸鉄、リン酸鉄および鉄テトラフルオロボレートを挙げることができる。
【0100】
かかる金属またはその化合物は、例えば(i)アモルファスシリコン膜上に塗布する方法、(ii)アモルファスシリコン膜中に混在せしめる方法あるいは(iii)アモルファスシリコン膜の下、例えば基板上に塗布して存在せしめる方法により用いることができる。上記(i)および(iii)の方法では、上記金属またはその化合物を溶媒例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの脂肪族炭化水素系溶媒または芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、p−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、塩化メチレン、クロロホルムなどの極性溶媒中に分散ないし溶解した溶液として塗布することが好ましい。溶液中における上記化合物の濃度は好ましくは0.00001〜1.0重量%、より好ましくは0.0001〜0.5重量%、特に好ましくは0.0005〜0.1重量%である。
【0101】
また、上記(ii)の方法では、上記金属またはその化合物をアモルファスシリコン膜を形成する前のシラン組成物中に予め含有せしめておくのが好ましい。その際シラン組成物中における上記金属またはその化合物の濃度は、好ましくは0.0001〜10重量%、より好ましくは0.001〜5重量%、特に好ましくは0.002〜1重量%である。
【0102】
塗布は、例えばスプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法などの適宜の方法により、膜厚が好ましくは0.00001〜1.0μm、特に好ましくは0.0001〜0.1μm程度になるように行われる。なお、上記膜厚は溶媒除去後の膜厚として理解されるべきである。
【0103】
塗布は非酸化性雰囲気下で実施されることが好ましい。このような雰囲気を実現するためには、酸素、二酸化炭素等の酸化性物質を実質的に含有しない雰囲気とすればよく、具体的には、窒素、水素、希ガスおよびこれらの混合ガス中の雰囲気が好ましく使用できる。
【0104】
上記(i)、(ii)および(iii)の方法のうち、(i)の方法が好ましい。(i)の方法では、多結晶せしめたのち、表層を除去することにより多結晶シリコン膜を露出せしめることが可能である。
【0105】
上記において、基板上に形成したシラン組成物の塗膜を一旦シリコン膜に変換し、次いでこのシリコン膜に本発明方法を適用する方法について説明した。
【0106】
本発明方法は、さらに、基板上に形成したシラン組成物の塗膜に、直接閃光を照射してシリコン膜に変換する方法をも包含する。すなわち、この場合、閃光照射により、一旦シリコン膜が生成しそしてこれがさらに分子形態学的変化を生じ、所望のシリコン膜を与えるものと理解される。この場合の閃光照射回数、温度あるいは雰囲気等は前記した条件と何ら変わるものではない。
【0107】
本発明方法は、高信頼性が要求されるデバイスを製造するために好適に使用することができる。また、本発明の方法は、真空装置などの高価な装置が不要なので低コストである。
【0108】
また、閃光照射時に、所望のパターンを有するフォトマスクの使用等により、閃光を膜の一部に選択的に照射すれば、任意のパターンを有するシリコン膜を形成することも可能である。
【0109】
本発明で形成されたシリコン膜は液晶デバイス、有機EL表示素子、バイオチップ、太陽電池などの各種デバイスに好適に使用できる。
【0110】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0111】
合成例1
温度計、冷却コンデンサー、滴下ロートおよび攪拌装置を取り付けた内容量が3Lの4つ口フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、乾燥したテトラヒドロフラン1Lとリチウム金属18.3gを仕込み、アルゴンガスでバブリングした。この懸濁液を0℃で攪拌しながらジフェニルジクロロシラン333gを滴下ロートより添加し、滴下終了後、室温下でリチウム金属が完全に消失するまでさらに12時間攪拌を続けた。反応混合物を5Lの氷水に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物を濾別し、水でよく洗滌した後シクロヘキサンで洗滌し、真空乾燥することにより白色固体140gを得た。この白色固体100gと乾燥したシクロヘキサン1,000mLを2Lのフラスコに仕込み、塩化アルミニウム4gを加え、攪拌しながら室温下で乾燥した塩化水素ガスを8時間バブリングした。ここで別途に、水素化リチウムアルミニウム40gとジエチルエーテル400mLを3Lのフラスコに仕込み、アルゴン雰囲気下、0℃で攪拌しながら上記反応混合物を加え、同温にて1時間撹拌後さらに室温で12時間撹拌を続けた。反応混合物より副生物を除去した後、70℃、10mmHgで減圧蒸留を行ったところ、無色の液体が10g得られた。このものはIR、1H−NMR、29Si−NMR、GC−MSの各スペクトルより、シクロペンタシランであることが判った。
【0112】
このようにして得られたシクロペンタシラン10gを100mLのフラスコに加え、アルゴン雰囲気下で攪拌しながら500Wの高圧水銀灯を25分間照射したところ、白色固体が得られた。ここで得られた白色固体はトルエン、シクロヘキサンには不溶であった。このものにシクロペンタシランを90g加え無色透明の塗布溶液を調整した。
【0113】
実施例1
合成例1で得られた塗布溶液をアルゴン雰囲気下で石英ガラス基板に2,000rpmでスピンコートし200℃で10分間プレベークをおこなった後、400℃で30分間焼成して0.2μm膜厚の褐色の膜を形成した。この膜のESCA測定の結果、99.0eVに単一ピークを示しシリコン膜であることが判った。またラマンスペクトル測定の結果、480cm−1にTOフォノンに帰属されるピークを示しこのシリコン膜がアモルファス状であることが判った。さらにこのシリコン膜をXRD測定結果もアモルファス状であることが判り、そのスペクトルを図1のB0に示す。
【0114】
かくして塗布法で得られたアモルファス状シリコン膜基板にキセノンガスを封入したフラッシュランプでパルス幅0.7ms、照射エネルギーがおよそ18J/cm2において1回の照射を行った。なお、この際に基板温度は200℃とした。すでに説明したように照射エネルギーが低い場合には基板をある程度昇温しておく方が結晶化しやすい傾向があり、また、照射エネルギーが高い場合には基板温度が高いと薄膜に対してダメージを与える場合がある。また、本例の試料はフラッシュランプの照射以前の工程での最高温度400℃を経ているので、この温度は超えないものに設定した。
照射後の試料は、典型的には褐色から黄色に変化していた。この試料ラマン散乱分光法により評価したところ、517.0cm−1近傍にややブロードながら明確なピークが観測された。また、XRD測定(図1のB1)からも本シリコン膜が多結晶化されたことが判った。
【0115】
実施例2
合成例1の塗布溶液を窒素雰囲気のグローブボックス中でインクジェット塗布装置を用いてホウケイ酸ガラス上にパターン塗布した後、塗布した基板を300℃で1時間焼成した。焼成した部分が褐色のシリコン膜のパターンへと変化しラマン分析の結果、100%アモルファス状であることが判った。
【0116】
このアモルファス状シリコン膜パターン基板にキセノンフラッシュランプでパルス幅0.7ms、照射エネルギーがおよそ20J/cm2において1回の照射を行った。なお、この際に基板温度は室温と150℃とした。
【0117】
フラッシュランプによる照射後の試料をラマン散乱分光法により評価を行ったところ、518.5cm−1近傍に明確なピークが観測された。このピークは単結晶のそれよりはブロードであるが、実施例1のポリシリコンのものと比較して半値幅が半分程度である。このようにピーク位置がより単結晶の520.2cm−1に近いこと、および鋭いピークであることは、ポリシリコンとしての結晶性が実施例1のものよりも優れていることを示している。これは、平面状のべた膜を結晶化する場合と比較して島状領域での結晶化の場合には粒界での束縛条件がゆるいために結晶核がより自由に大きく成長することにとって有利な条件となっているためであると推定される。
【0118】
実施例3
合成例2で用いたホウケイ酸ガラス基板に替えてノルボルネン系の透明樹脂基板(ジェイエスアール(株)製、商品名「ARTON」、厚さ100μm)を用いて、他は実施例2と同様にしてインクジェット塗布装置を用いてパターン塗布した後、塗布した基板を250℃で1時間焼成した。焼成した部分が黄褐色のシリコン膜のパターンへと変化したラマン分析の結果、100%アモルファス状であることが判った。
【0119】
このアモルファス状シリコン膜をキセノンフラッシュランプでパルス幅0.3ms、照射エネルギーがおよそ16J/cm2において1回の照射を行った。なお、この際に基板温度は室温とした。本例の場合においても実施例2におけるのと同様にすでに焼成(250℃)によりアモルファス化を十分に進行させた試料であることに加えてパターン塗布により島状に膜が形成されている。しかしながら、本例ではガラス基板ではなく樹脂基板を用いていることから熱的にはより弱い系を構成している。したがって、基板加熱温度のみならずフラッシュランプによる照射条件も検討した。
【0120】
すでに述べたように、定性的には照射効果はパルス幅が長いほど被照射物の深部にまでおよび、逆にパルス幅が短いほどその効果は被照射物の表面および浅い領域に限定される傾向を有する。もちろん、実際に効果がおよぶ深さは被照射物の光物性に大きく左右されるものであり、ある特定の照射条件であればあらゆる物質に対して必ずある特定の深さにまで効果がおよぶというものではまったく無い。本実施例においては樹脂基板、すなわち前述の実施例1あるいは2と比較した場合にフラッシュランプの効果は相対的に深部にまでおよばない方が好ましいであろうと考えられる。そのためにパルス幅を0.3msというように短く設定した。
【0121】
フラッシュランプによる照射後の試料を顕微ラマン分光法により評価を行ったところ、518.0cm−1近傍に明確なピークが観測された。このピークは単結晶のそれよりはブロードであり、実施例2のポリシリコンのものと比較してやや半値幅が大きめではあるが、ピーク位置が単結晶の520.2cm−1に近いこと、およびかなり鋭いピークであることから、実施例1のものよりも優れた結晶性のポリシリコンが形成されていることを示している。
【0122】
実施例4
合成例1で得られた塗布溶液をアルゴン雰囲気下でノルボルネン系透明樹脂基板(ジェイエスアール(株)製、商品名「ARTON」、厚さ100μm)に2,000rpmでスピンコートし200℃で10分間プレベークをおこなった後、300℃で60分間焼成して0.17μm膜厚のアモルファスシリコン膜を形成した。このアモルファスシリコン膜上に5重量%の酢酸ニッケルのジエチレングリコールジエチルエーテル溶液をインクジェット塗布装置を用いて間隔1mmで碁盤目状にパターン塗布した。この基板を250℃で30分間乾燥した。
【0123】
この試料をアルゴン雰囲気中でキセノンフラッシュランプでパルス幅0.3ms、照射エネルギーがおよそ13J/cm2において1回の照射を行った。なお、この際に基板温度は実施例3と同様に室温とした。本実施例においても樹脂基板、すなわち前述の実施例1あるいは2と比較した場合にフラッシュランプの効果は相対的に深部にまでおよばない方が好ましいであろうと考えられることからパルス幅を0.3msというように短く設定した。
【0124】
ついで、この試料表面を0.1N塩酸で処理し、酢酸ニッケルを除去した後に顕微ラマン分光法により評価を行った。その結果、酢酸ニッケルを塗布した部分としていない部分とで明らかな相違が認められた。ピーク位置はいずれもほぼ517.5cm−1近傍であり、その相違は誤差範囲程度であったが、酢酸ニッケルを塗布した部分の方が塗布をしていない部分と比較して半値幅が明らかに小さく、ポリシリコンとしての結晶性が優れていることを示している。これは酢酸ニッケルパターンの存在が結晶核形成を促し、より大きなグレインの成長に有利に作用したためと推測される。また、XRDで結晶配向性をピーク強度比で調べたところ、酢酸ニッケルを塗布した部分は(111)/(220)比が8.3であったのに対し、酢酸ニッケルの未塗布部分の(111)/(220)比は4.7であった。
【0125】
比較例1
実施例1で用いたアモルファス状のシリコン膜基板を800℃で2時間熱アニール処理による多結晶化を試みたところ、部分的に多結晶化が起こっているもののXRD分析結果は図1のサンプルEに示す如くピークの半値幅は広いものであった。また、実施例2、3の閃光照射前のアモルファスシリコン基板を熱アニールによる多結晶化を試みたが、実施例2に使用したホウケイ酸ガラス基板の耐熱限界温度の650℃では多結晶化は起こらなかった。また実施例3に使用したノルボルネン系透明樹脂基板の耐熱限界温度の400℃では多結晶化は全く起こらなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により得られたシリコン膜(B1)および比較対照法により得られた膜(B0,E)のXRDチャート。
【図2】フラッシュランプを光源とした光照射装置の概略構成を示す図。
【図3】フラッシュランプの概略構成を示す図。
【符号の説明】
1 フラッシュランプ
2 反射鏡
3 拡散板
4 ステージ
5 試料
7 チャンバー
8 ヒータ
10 光照射装置
11 放電容器
12 陽極
13 陰極
14 電極
15 トリガバンド
Claims (6)
- 塗布法で形成されたシリコン膜に閃光を照射してシリコン膜に分子形態学的変化を生じさせることを特徴とするシリコン膜の形態学的変化法。
- 塗布法で形成されたシリコン膜が、下記シラン組成物(i)または(ii)を溶媒の存在下または不存在下で塗布し、次いで熱および/または光で処理することにより製造されたものである請求項1に記載の方法。
シラン組成物(i):
(A)式SinRm
ここで、nは11以上の整数であり、mはn〜(2n+2)の整数でありそしてm個のRは互いに独立に水素原子、アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子である、但しm=nのときはnが偶数であるものとする、
で表されるポリシラン化合物 並びに
(B)シクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を含有してなる。
シラン組成物(ii):
(A’)式SiiH2i+2
ここで、iは2〜10の整数である、
で表される水素化鎖状シラン化合物、
式SijH2j
ここで、jは3〜10の整数である、
で表される水素化環状シラン化合物 および
式SikHk
ここで、kは6〜10の偶数である、
で表される水素化かご状シラン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物が光照射を受けて生成する生成物、並びに
(B)シクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を含有してなる。 - 塗布法で形成されたシリコン膜がアモルファスシリコン膜でありそしてこの膜を多結晶シリコン膜または単結晶シリコン膜に変化させる請求項1に記載の方法。
- 塗布法で形成されたシリコン膜がアモルファスシリコン膜そしてこの膜を種晶の生成を促進する金属またはその化合物の存在下に多結晶シリコン膜に変化させる請求項1に記載の方法。
- 多結晶シリコン膜を単結晶シリコン膜に変化させる請求項1に記載の方法。
- 請求項1の方法で得られたシリコン膜を用いたデバイス。
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