JP2004128158A - 電磁波シールド材 - Google Patents
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- C23C14/14—Metallic material, boron or silicon
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Abstract
【課題】本発明の目的は、軽薄短小化した各種の製品に対応可能とするべくその厚みを薄くすることにより可撓性に富んだ性状の電磁波シールド材を提供することにある。また、本発明は、所望により低周波数および高周波数の両者の電磁波に対して同時にこれらを遮蔽することが可能な電磁波シールド材を提供することも目的とする。
【解決手段】本発明の電磁波シールド材は、ポリマーフィルム101の表面に、厚さが1〜8μmであり、かつNi、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるシールド層103が、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されていることを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の電磁波シールド材は、ポリマーフィルム101の表面に、厚さが1〜8μmであり、かつNi、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるシールド層103が、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されていることを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波シールド材に関する。さらに詳しくは、各種の通信機、コンピュータ、家電製品あるいは自動車や電線等に取付けて、それらから発生する各種ノイズ等の電磁波を外部に放出しないようこれを有効に遮蔽したり、他の発生源からそれらに対して照射される電磁波を内部に侵入しないようこれを有効に遮蔽する電磁波シールド材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、通信機、コンピュータ、家電製品、自動車、電線等から各種の周波数を有する電磁波がノイズ等として発生することが知られている。これらの電磁波は、他の電気製品の誤作動を生じる原因となったり人体に対して悪影響を及ぼすことが知られており、このため様々な方法によりこれを遮蔽する試みがなされている。たとえば、低周波数の電磁波の遮蔽対策としては、古くから圧延した鉄帯やフェライトが用いられてきたが、これらは重くしかも嵩高いものであるため近年の軽薄短小化した各種の製品に応用することは困難であった。一方、高周波数の電磁波の遮蔽対策としては、合成樹脂フィルムに銅箔を貼り合わせたものが用いられてきたが、これは上記の鉄帯等に比べるとある程度の厚みまで薄くすることができるものの、銅箔を薄く製造するには限界があり9μm以下の厚みのものを安価に製造することは困難であった。このため、近年の軽薄短小化された製品に用いる場合等特に可撓性が要求される用途に用いる場合にはさらにその性能の向上が望まれていた。またさらに、これら従来の遮蔽対策手段においては、低周波数および高周波数の両者に同時に対応できるものはなかった。
【0003】
なお、以上本発明についての従来の技術を、出願人の知得した一般的技術情報に基づいて説明したが、出願人の記憶する範囲において、出願前までに先行技術文献情報として開示すべき情報を出願人は有していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであってその目的とするところは、軽薄短小化した各種の製品に対応可能とするべくその厚みを薄くすることにより可撓性に富んだ性状の電磁波シールド材を提供することにある。また、本発明の別の目的は、所望により低周波数および高周波数の両者の電磁波に対して同時にこれらを遮蔽することが可能な電磁波シールド材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、従来のシールド層の形成方法により上記課題を解決するのは困難であり全く新規な形成方法でシールド層を形成する必要があるとの知見を得、この知見に基づきさらに研究を続けることによりついに本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
すなわち、本発明の電磁波シールド材は、ポリマーフィルムの表面に、厚さが1〜8μmであり、かつNi、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるシールド層が、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の電磁波シールド材は、ポリマーフィルムの表面とシールド層との間に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層が、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されたものとすることができる。
【0008】
また、本発明の電磁波シールド材は、ポリマーフィルムの表面とシールド層との間に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により形成されている酸化防止効果を有する下地層と、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Fe、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により形成されている電極として作用する下地層が、それぞれこの順序で形成されたものとすることができる。
【0009】
また、本発明の電磁波シールド材は、シールド層が、Ni、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種で構成されたものとすることができる。
【0010】
また、本発明の電磁波シールド材は、シールド層がCuにより構成されたものとすることができる。
【0011】
また、本発明の電磁波シールド材は、シールド層が2層に分かれて形成されており、その一方がCuにより構成され、もう一方がNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種で構成されたものとすることができる。
【0012】
また、本発明の電磁波シールド材は、シールド層が3層に分かれて形成されており、該3層の中間の層としてCuからなる層が形成され、該層を挟むようにしてその上下にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる層が形成されたものとすることができる。
【0013】
また、本発明の電磁波シールド材は、ポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にCuからなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されたものとすることができる。
【0014】
また、本発明の電磁波シールド材は、ポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にCuからなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されたものとすることができる。
【0015】
また、本発明の電磁波シールド材は、Cuからなるシールド層上に、Sn、Ni、Co、Ti、ZnまたはCrからなる変色防止層が形成されたものとすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
<電磁波シールド材>
本発明の電磁波シールド材は、基本的にポリマーフィルムの表面にシールド層を形成した構成を有する。以下、各構成について説明する。
【0017】
<ポリマーフィルム>
本発明に用いられるポリマーフィルムとしては、たとえば合成樹脂フィルム、熱可塑性エラストマーフィルム、ゴムフィルム等を挙げることができる。合成樹脂フィルムとしては、たとえばPET、PEN、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリイミド、液晶ポリマ、エポキシ等の合成樹脂からなるフィルムを挙げることができる。熱可塑性エラストマーフィルムとしては、たとえばスチレン系、塩ビ系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、アミド系等の熱可塑性エラストマーからなるフィルムを挙げることができる。また、ゴムフィルムとしては、たとえば天然ゴムの他、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムからなるフィルムを挙げることができる。ここに挙げた合成樹脂、熱可塑性エラストマーまたはゴムの種類は、あくまでも例示であってこれらのみに限られるものではない。また、本発明でいうフィルムとしては、厚さが2〜200μm、好ましくは4〜30μmのシート状の形状を有するものが含まれる。厚さが2μm未満の場合は、後述のシールド層を支持する基体として十分に機能することが困難となる一方、200μmを超える場合は、可撓性に欠けるものとなり軽薄短小化された製品への適応が困難となるため、いずれも好ましくない。本発明においては、上記合成樹脂、熱可塑性エラストマーまたはゴムの種類および厚みをその用途に応じて選択することができる。たとえば、耐熱性が要求される用途においては、合成樹脂としてポリイミドや液晶ポリマを選択することが好ましく、耐熱性が要求されないような場合にはコスト等を考慮してPET等を選択することが好適であり、また弾性が要求される用途においては熱可塑性エラストマーやゴムを選択することが好適である。また、このようなポリマーフィルムには、強度を向上させたり難燃効果等を付与することを目的として、たとえばガラス繊維等の各種のフィラー類を添加することができる。
【0018】
なお、本発明に用いるポリマーフィルムは、後述の各層を形成する前に含有水分量が大略0.01%未満となるように乾燥処理することが好ましい。後述の各層、とりわけシールド層との密着性を向上させるためである。該乾燥処理方法としては常法に従って実行することができるが、たとえば40〜200℃、好ましくは40〜120℃の温度に加熱された真空状態(1×10−3〜1.5×10−1Pa)でボンバード処理する方法を挙げることができる。該ボンバード処理の条件としては、Arガス60〜300cc/分、好ましくは100〜200cc/分、出力0.5〜2kW、好ましくは0.8〜1.3kWの下、スパッタリング装置等を用いることにより行なうことができる。
【0019】
<シールド層>
本発明のシールド層は、各種の周波数を有する電磁波をシールド、すなわち遮蔽する作用を有するものであり、前記ポリマーフィルムの表面に、あるいは後述の下地層が形成されている場合にはその上に形成されるものである。このようなシールド層は、厚さが1〜8μmであり、かつNi、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により1層または2層以上に分かれて形成されていることを特徴としている。その厚さが1〜8μmに限定されるのは、厚さが1μm未満の場合には電磁波に対するシールド性が十分でなくなるためであり、一方8μmを超えても電磁波のシールド性に大差なく却って可撓性が阻害されることとなるからである。これらの点を考慮するとその厚さは、2〜5μmとすることが特に好ましい。また、構成成分が上述の金属類に限定されるのは、電磁波に対するシールド性に優れており、しかも形成手段としてスパッタリング法、蒸着法またはめっき法の採用を可能とするものでなければならないからである。また、形成手段としてスパッタリング法、蒸着法またはめっき法が採用されるのは、前述の通りこれらの金属を金属箔として用いることができないからであり、しかもその性能面においてポリマーフィルム等と十分な密着性を有し、かつ所望によりその厚みを自由に設定することが必要とされるからである。
【0020】
本発明のシールド層は、シールドしようとする電磁波の周波数に応じて構成する金属の種類を選択することが好ましい。たとえば、周波数が大略5000Hz以下の低周波数の電磁波に対しては、Ni、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種を選択することが好ましく、周波数が大略5000Hz以上の高周波数の電磁波に対しては、Cuを選択することが好ましい。より具体的には、シールド層をこのようなCuにより構成する場合、ポリマーフィルムの表面、好ましくはその表面に後述の酸化防止効果を有する下地層を形成しその上にCuからなる後述の下地層を形成させた上に、めっき液の組成(硫酸銅50〜300g/l、好ましくは80〜150g/l、硫酸50〜300g/l、好ましくは90〜160g/l、塩素30〜100ppm、好ましくは50〜70ppmその他所望により少量の添加剤を配合させたもの)、電流密度0.1〜20A/dm2、好ましくは0.5〜4A/dm2、液温10〜70℃、好ましくは25〜35℃の条件下で電気めっきすることにより1〜8μmの厚さとして形成することができる。これにより、高周波数の電磁波に対して特に優れたシールド性を示すシールド層を形成することができる。
【0021】
また、本発明のシールド層は、2層以上に分けて形成することができる。たとえば、シールド層をNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種と、Cuとの両者により2層に分けて構成すると、低周波数と高周波数の両者の電磁波に対してシールド性を示すシールド層とすることができ、本発明の特に好ましい態様の一つとなる。より具体的には、ポリマーフィルムの表面、好ましくはその表面に形成された後述の下地層の表面にめっき液の組成(硫酸ニッケル50〜350g/l、好ましくは200〜250g/l、塩化ニッケル10〜100g/l、好ましくは40〜50g/l、硼酸10〜60g/l、好ましくは30〜50g/l、その他所望により少量の添加剤を配合させ、pH0.5〜6.0、好ましくはpH3.0〜4.5としたもの)、電流密度1〜10A/dm2、好ましくは2〜4A/dm2、液温30〜70℃、好ましくは45〜55℃の条件下で電気めっきすることにより1〜8μmの厚さのNiからなる第1のシールド層を形成し、その上に上記と同一の条件下で1〜8μmの厚さのCuからなる第2のシールド層を形成することができる。なお、これら両シールド層の形成順序は、勿論上記の逆とすることもでき、この場合においても低周波数および高周波数の両者の電磁波をシールドすることができる。また、上記Niの代わりにたとえばFeとNiからなる合金によりシールド層を構成する場合は、めっき液の組成(硫酸ニッケル40〜400g/l、好ましくは80〜320g/l、塩化ニッケル20〜100g/l、好ましくは40〜80g/l、硼酸10〜70g/l、好ましくは35〜50g/l、硫酸第1鉄2〜50g/l、好ましくは5〜20g/l、その他所望により少量の添加剤を配合させ、pH2〜5、好ましくはpH3〜3.8としたもの)、電流密度1〜15A/dm2、好ましくは4〜6A/dm2、液温30〜70℃、好ましくは50〜60℃の条件下で電気めっきすることにより形成することができる。
【0022】
さらに、本発明のシールド層は、3層以上形成することもできる。たとえば、上記のようにNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第1のシールド層を形成し、その上にCuからなる第2のシールド層を形成し、さらにその上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層を形成させたもの等を例示することができる。このような構成の電磁波シールド材をたとえば電気製品に取付けると、低周波数の電磁波に対しては該電気製品の内部から発生するものをシールドできるとともに、外部から内部へ浸入しようとするものも有効にシールドすることができることとなる。
【0023】
一方、本発明のシールド層は、ポリマーフィルムの表裏両面に形成させることもできる。たとえば、ポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる後述の下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にCuからなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる後述の下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されている態様を挙げることができる。また別の態様として、たとえば、ポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる後述の下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にCuからなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる後述の下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されている態様を挙げることができる。
【0024】
<下地層>
本発明の下地層は、前記シールド層を形成させる際の一種の電極としての作用を有するものであり、特に前記シールド層をめっき法により形成する場合に有用となる。また、該下地層は、該層より上層に形成される層、すなわち、前記シールド層や他の下地層等が酸化されるのを防止する酸化防止層としての作用を有したものとすることもできる。該シールド層等は、空気中の酸素やポリマーフィルムに含まれる水分に溶存している酸素の作用により経時的に酸化され、このようにこれらの層が一旦酸化されるとポリマーフィルムとの密着力が著しく低減し容易に剥離等の不都合を生じることとなる。このような場合において、酸化防止効果を有する下地層がこれらの層とポリマーフィルムとの間に存在すると、ポリマーフィルムからこれらの層の方向に拡散する前記酸素を有効に捕捉し、以って当該酸素がこれらの層に到達するまでに有効に除去されることとなる。このような酸化防止効果を有する下地層は、シールド層や他の下地層がFeやCuで構成されている場合に特に有効であり、それ以外の金属で構成されている場合にはあえて形成する必要はない。
【0025】
このような下地層は、前記ポリマーフィルムの表面とシールド層との間に形成され、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されるものである。厚さが1μm以下に限定されるのは、電極および/または酸化防止層として作用するには1μmあれば十分でありそれ以上厚くする必要がないからである。また、構成成分が上記の金属類に限定されるのは、これらの金属が優れた導電性や酸化防止効果を示すからであり、しかもスパッタリング法や蒸着法で形成するのに適しているからである。これらの金属類について、主としてFeおよびCuは電極としての作用に優れるものであり、TiおよびCrは酸化防止層としての効果に優れており、またNi、CoおよびZnはこれら両者の作用を併せ持つ点に特徴がある。一方、形成手段としてスパッタリング法または蒸着法が採用されるのは、比較的厚い層を形成するのに適するめっき法を採用する必要がなく、しかもポリマーフィルムを乾燥状態のままで処理することができるからである。また、このような下地層は、上述の通り1層または2層以上形成することができ、2層以上に亘って形成される場合には、主としてポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する下地層を形成することが好ましい。
【0026】
このような下地層は、たとえばスパッタリング法で形成される場合、その条件としては、真空度1×10−4〜1.5×10−1Pa、好ましくは1×10−4〜1.5×10−2Pa、出力0.5〜15kW、好ましくは0.8〜10kW、Arガス100〜400cc/分、好ましくは100〜250cc/分の条件を採用することが好ましい。また、蒸着法で形成される場合、その条件としては、真空度1×10−5〜1×10−2Pa、好ましくは1×10−4〜1×10−3Pa、出力10〜150kW、好ましくは40〜90kWの条件を採用することが好ましい。このような条件を採用することにより、その厚みを20Å〜1μm、好ましくは50〜3000Åとすることができる。
【0027】
なお、このような下地層の上に前記シールド層を形成するのに先立って、該下地層上を0.5〜50%、好ましくは3〜10%濃度の硫酸により0.1〜3分間、好ましくは0.5〜1.5分間酸活性処理することにより活性化させておくことが好ましい。このような酸活性処理を行なうことにより、下地層を構成する金属がたとえ酸化されているような場合であっても(すなわち該金属がCuの場合それが酸化されて酸化銅となっていても)これを効果的に還元乃至溶解除去し、シールド層を密着性高く下地層上に形成させることが可能となる。
【0028】
<変色防止層>
本発明の変色防止層は、シールド層がCuで構成されている場合(シールド層が2以上形成される場合は最上層がCuで構成される場合)に形成されるものであり、Cuが酸化等されて変色するのを有効に防止する作用を示すものである。したがって、Cuにより構成されるシールド層のすぐ上に形成される。このような変色防止層はSn、Ni、Co、Ti、ZnまたはCrにより形成され、その形成方法は特に限定されないが、通常スパッタリング法、蒸着法またはめっき法により形成することができる。たとえば、Snを電気めっき法により形成する場合、その条件としては、めっき液の組成(Sn10〜70g/l、好ましくは20〜60g/l、有機酸70〜200g/l、好ましくは90〜130g/l、その他所望により少量の添加剤を配合させたもの)、電流密度0.5〜10A/dm2、好ましくは1〜2A/dm2、液温10〜70℃、好ましくは20〜30℃等の条件を採用することができる。このような条件を採用することにより、その厚みを0.01〜2μm、好ましくは0.1〜1μmとすることができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
<実施例1>
本実施例は、ポリマーフィルムの表面に下地層を形成し、その上にNiとFeからなる合金で構成されるシールド層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図1を参照して説明する。
【0031】
ポリマーフィルム101として厚さ25μmのPETフィルムを幅250mm、長さ100mにスリットした後、ステンレス製のコアに巻取り、スパッタリング装置のチャンバ内の送出しシャフトに装着するとともに、その先端部を接着剤付ポリイミドテープにより巻取りシャフトに取付けた。そして、真空ポンプによりチャンバ内を4×10−2Paの真空状態とした後、ポリマーフィルムが0.4m/分の速度で巻き取られるように冷却装置付駆動ドラム、送出しシャフトおよび巻取りシャフトをそれぞれ回転させた。その後、ヒータにより温度を110℃とし、ボンバード処理部においてArガス120cc/分、出力0.9kWの条件下でボンバード処理を行なうことによりポリマーフィルムの水分含有量が0.01%未満となるように真空乾燥した。
【0032】
続いて、上記チャンバ内の第1ターゲットおよび第2ターゲットにそれぞれNiを装着し、Arガス各200cc/分、出力各8kWの高磁波のマグネットを使用してNiをスパッタリングすることにより前記真空乾燥処理されたポリマーフィルム101の表面上に厚さ1800Åの下地層102を形成した。
【0033】
その後、このように下地層を形成したポリマーフィルムをスパッタリング装置から取出し、続いて連続めっき装置にセットした。5%の硫酸が充填されているめっき浴に上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で1分間連続的に浸漬することにより、上記下地層を酸活性化処理した。次いで、2回水洗を繰り返した後、上記装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(エバラユージライト(株)製)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記下地層102上に厚み4.3μmのNiとFeからなる合金(Ni:Fe=70:30)で構成されたシールド層103を形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図1に示した本発明の電磁波シールド材を得た。
【0034】
このようにして得られた電磁波シールド材を、移相発振器を使用して100〜200ヘルツの電磁波を照射させながらオシロスコープにて測定したところ、電磁波を照射させない方の面において100〜200ヘルツの電磁波は検出されなかった。このため、上記で得られた電磁波シールド材は、低周波数用の電磁波シールド材として各種の用途に用いることができるものであった。また、該電磁波シールド材は、可撓性にも優れていたため軽薄短小化した各種の製品にも広範囲に使用することができた。
【0035】
<実施例2>
本実施例は、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する2層目の下地層を形成し、その上にCuからなるシールド層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図2を参照して説明する。
【0036】
ポリマーフィルム201として厚さ25μmのPETフィルムを幅250mm、長さ100mにスリットした後、ステンレス製のコアに巻取り、スパッタリング装置のチャンバ内の送出しシャフトに装着するとともに、その先端部を接着剤付ポリイミドテープにより巻取りシャフトに取付けた。そして、真空ポンプによりチャンバ内を4×10−2Paの真空状態とした後、ポリマーフィルムが0.4m/分の速度で巻き取られるように冷却装置付駆動ドラム、送出しシャフトおよび巻取りシャフトをそれぞれ回転させた。その後、ヒータにより温度を110℃とし、ボンバード処理部においてArガス120cc/分、出力0.9kWの条件下でボンバード処理を行なうことによりポリマーフィルムの水分含有量が0.01%未満となるように真空乾燥した。
【0037】
続いて、上記チャンバ内の第1ターゲットにCrを装着し、Arガス100cc/分、出力2.2kWの条件下Crをスパッタリングすることにより前記真空乾燥処理されたポリマーフィルム201の表面上に厚さ70Åの酸化防止効果を有する下地層204を形成した。
【0038】
続いて、上記チャンバ内の第2ターゲットにCuを装着し、Arガス200cc/分、出力9kWの条件下Cuをスパッタリングすることにより前記酸化防止効果を有する下地層204上に厚さ2100Åの電極として作用する2層目の下地層202を形成した。
【0039】
その後、このように下地層を形成したポリマーフィルムをスパッタリング装置から取出し、続いて連続めっき装置にセットした。5%の硫酸が充填されているめっき浴に上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で1分間連続的に浸漬することにより、上記2層目の下地層202を酸活性化処理した。次いで、2回水洗を繰り返した後、上記装置のめっき浴にめっき液(硫酸銅90g/l、硫酸150g/l、塩素50ppmおよびトップルチナ380H(奥野製薬工業(株)製)10cc/lからなるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温29℃、電流密度4A/dm2の条件下で4分間電気めっきすることにより、前記2層目の下地層202上に厚み3.5μmのCuからなるシールド層203を形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図2に示した本発明の電磁波シールド材を得た。
【0040】
このようにして得られた電磁波シールド材を、移相発振器を使用して1〜2ギガヘルツの電磁波を照射させながらオシロスコープにて測定したところ、電磁波を照射させない方の面において1〜2ギガヘルツの電磁波は検出されなかった。このため、上記で得られた電磁波シールド材は、高周波数用の電磁波シールド材として各種の用途に用いることができるものであった。また、該電磁波シールド材は、可撓性にも優れていたため軽薄短小化した各種の製品にも広範囲に使用することができた。
【0041】
<実施例3>
本実施例は、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する2層目の下地層を形成し、その上にCuからなるシールド層を形成し、さらにその上に変色防止層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図3を参照して説明する。
【0042】
まず、Cuからなるシールド層を形成するところまでは上記実施例2と全く同様にしてシールド層303が形成されたポリマーフィルム301を得た。続いて、連続めっき装置のめっき浴にめっき液(Sn55g/l、有機酸としてメタスAM(ユケン工業(株)製)120g/lおよびSBS−R(ユケン工業(株)製)60cc/lからなるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温30℃、電流密度2A/dm2の条件下で1分間電気めっきすることにより、前記シールド層303上に厚み0.6μmのSnからなる変色防止層305を形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図3に示した本発明の電磁波シールド材を得た。
【0043】
このようにして得られた電磁波シールド材を、移相発振器を使用して1〜2ギガヘルツの電磁波を照射させながらオシロスコープにて測定したところ、電磁波を照射させない方の面において1〜2ギガヘルツの電磁波は検出されなかった。このため、上記で得られた電磁波シールド材は、高周波数用の電磁波シールド材として各種の用途に用いることができるものであった。また、該電磁波シールド材は、可撓性にも優れていたため軽薄短小化した各種の製品にも広範囲に使用することができた。
【0044】
<実施例4>
本実施例は、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上にシールド層を3層形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図4を参照して説明する。
【0045】
ポリマーフィルム401として厚さ25μmのPETフィルムを幅250mm、長さ100mにスリットした後、ステンレス製のコアに巻取り、スパッタリング装置のチャンバ内の送出しシャフトに装着するとともに、その先端部を接着剤付ポリイミドテープにより巻取りシャフトに取付けた。そして、真空ポンプによりチャンバ内を4×10−2Paの真空状態とした後、ポリマーフィルムが0.4m/分の速度で巻き取られるように冷却装置付駆動ドラム、送出しシャフトおよび巻取りシャフトをそれぞれ回転させた。その後、ヒータにより温度を110℃とし、ボンバード処理部においてArガス120cc/分、出力0.9kWの条件下でボンバード処理を行なうことによりポリマーフィルムの水分含有量が0.01%未満となるように真空乾燥した。
【0046】
続いて、上記チャンバ内の第1ターゲットおよび第2ターゲットにそれぞれNiを装着し、Arガス各200cc/分、出力各8kWの高磁波のマグネットを使用してNiをスパッタリングすることにより前記真空乾燥処理されたポリマーフィルム401の表面上に厚さ1800Åの酸化防止効果を有する下地層404を形成した。
【0047】
その後、このように酸化防止効果を有する下地層を形成したポリマーフィルムをスパッタリング装置から取出し、続いて連続めっき装置にセットした。該装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(エバラユージライト(株)製)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記酸化防止効果を有する下地層404上に厚み4.5μmのNiとFeからなる合金で構成される第1のシールド層403aを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させた。
【0048】
次いで、該連続めっき装置のめっき浴にめっき液(硫酸銅90g/l、硫酸150g/l、塩素50ppmおよびトップルチナ380H(奥野製薬工業(株)製)10cc/lからなるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温29℃、電流密度4A/dm2の条件下で4分間電気めっきすることにより、前記第1のシールド層403a上に厚み3.5μmのCuからなる第2のシールド層403bを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させた。
【0049】
さらに、該連続めっき装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(前出)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記第2のシールド層403b上に厚み4.4μmのNiとFeからなる合金で構成される第3のシールド層403cを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図4に示した本発明の電磁波シールド材を得た。
【0050】
このようにして得られた電磁波シールド材を、移相発振器を使用して100〜200ヘルツおよび1〜2ギガヘルツの電磁波をそれぞれ照射させながらオシロスコープにて測定したところ、電磁波を照射させない方の面において100〜200ヘルツおよび1〜2ギガヘルツの電磁波は両者とも検出されなかった。このため、上記で得られた電磁波シールド材は、低周波数および高周波数の両者用の電磁波シールド材として各種の用途に用いることができるものであった。また、該電磁波シールド材は、可撓性にも優れていたため軽薄短小化した各種の製品にも広範囲に使用することができた。
【0051】
<実施例5>
本実施例は、ポリマーフィルムの表裏両面にシールド層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図5を参照して説明する。
【0052】
ポリマーフィルム501として厚さ25μmのPETフィルムを幅250mm、長さ100mにスリットした後、ステンレス製のコアに巻取り、スパッタリング装置のチャンバ内の送出しシャフトに装着するとともに、その先端部を接着剤付ポリイミドテープにより巻取りシャフトに取付けた。そして、真空ポンプによりチャンバ内を4×10−2Paの真空状態とした後、ポリマーフィルムが0.4m/分の速度で巻き取られるように冷却装置付駆動ドラム、送出しシャフトおよび巻取りシャフトをそれぞれ回転させた。その後、ヒータにより温度を110℃とし、ボンバード処理部においてArガス120cc/分、出力0.9kWの条件下でボンバード処理を行なうことによりポリマーフィルムの水分含有量が0.01%未満となるように真空乾燥した。
【0053】
続いて、上記チャンバ内の第1ターゲットおよび第2ターゲットにそれぞれNiを装着し、Arガス各200cc/分、出力各8kWの高磁波のマグネットを使用してNiをスパッタリングすることにより前記真空乾燥処理されたポリマーフィルム501の表面上に厚さ1800Åの酸化防止効果を有する下地層504を形成した。
【0054】
その後、このように酸化防止効果を有する下地層を形成したポリマーフィルムをスパッタリング装置から取出し、続いて連続めっき装置にセットした。5%の硫酸が充填されているめっき浴に上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で1分間連続的に浸漬することにより、上記酸化防止効果を有する下地層を酸活性化処理した。次いで、2回水洗を繰り返した後、上記装置のめっき浴にめっき液(硫酸銅90g/l、硫酸150g/l、塩素50ppmおよびトップルチナ380H(奥野製薬工業(株)製)10cc/lからなるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温29℃、電流密度4A/dm2の条件下で4分間電気めっきすることにより、前記酸化防止効果を有する下地層504上に厚み3.5μmのCuからなる第1のシールド層503aを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させた。
【0055】
次いで、該連続めっき装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(エバラユージライト(株)製)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記第1のシールド層503a上に厚み4.5μmのNiとFeからなる合金で構成される第2のシールド層503bを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させた。
【0056】
さらに、このように第2のシールド層を形成したポリマーフィルムに対して続いてもう一方の面を処理するべく再度スパッタリング装置にセットした。そして、該スパッタリング装置のチャンバ内の第1ターゲットおよび第2ターゲットにそれぞれNiを装着し、Arガス各200cc/分、出力各8kWの高磁波のマグネットを使用してNiをスパッタリングすることにより前記ポリマーフィルム501のもう一方の表面上に厚さ1800Åの下地層502を形成した。
【0057】
続いて、このように下地層を形成したポリマーフィルムをスパッタリング装置から再度取出し、続いて連続めっき装置にセットした。5%の硫酸が充填されているめっき浴に上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で1分間連続的に浸漬することにより、上記下地層を酸活性化処理した。次いで、2回水洗を繰り返した後、上記装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(エバラユージライト(株)製)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記下地層502上に厚み4.3μmのNiとFeからなる合金(Ni:Fe=70:30)で構成された第3のシールド層503cを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図5に示した本発明の電磁波シールド材を得た。
【0058】
このようにして得られた電磁波シールド材を、移相発振器を使用して100〜200ヘルツおよび1〜2ギガヘルツの電磁波をそれぞれ照射させながらオシロスコープにて測定したところ、電磁波を照射させない方の面において100〜200ヘルツおよび1〜2ギガヘルツの電磁波は両者とも検出されなかった。このため、上記で得られた電磁波シールド材は、低周波数および高周波数の両者用の電磁波シールド材として各種の用途に用いることができるものであった。また、該電磁波シールド材は、可撓性にも優れていたため軽薄短小化した各種の製品にも広範囲に使用することができた。
【0059】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0060】
【発明の効果】
本発明の電磁波シールド材は、その厚みを薄くすることにより可撓性に富んだ性状を有しているため、軽薄短小化した各種の製品に対しても対応することができる。また、本発明の電磁波シールド材は、所望により低周波数および高周波数の両者の電磁波に対して同時にこれらを遮蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリマーフィルムの表面に下地層を形成し、その上にシールド層を形成した電磁波シールド材の概略断面図である。
【図2】ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する2層目の下地層を形成し、その上にシールド層を形成した電磁波シールド材の概略断面図である。
【図3】ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する2層目の下地層を形成し、その上にシールド層を形成し、さらにその上に変色防止層を形成した電磁波シールド材の概略断面図である。
【図4】ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上にシールド層を3層形成した電磁波シールド材の概略断面図である。
【図5】ポリマーフィルムの表裏両面にシールド層を形成した電磁波シールド材の概略断面図である。
【符号の説明】
101,201,301,401,501 ポリマーフィルム、102,202,302,502 下地層、103,203,303,403a、403b、403c、503a、503b、503c シールド層、204,304,404,504 酸化防止効果を有する下地層、305 変色防止層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波シールド材に関する。さらに詳しくは、各種の通信機、コンピュータ、家電製品あるいは自動車や電線等に取付けて、それらから発生する各種ノイズ等の電磁波を外部に放出しないようこれを有効に遮蔽したり、他の発生源からそれらに対して照射される電磁波を内部に侵入しないようこれを有効に遮蔽する電磁波シールド材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、通信機、コンピュータ、家電製品、自動車、電線等から各種の周波数を有する電磁波がノイズ等として発生することが知られている。これらの電磁波は、他の電気製品の誤作動を生じる原因となったり人体に対して悪影響を及ぼすことが知られており、このため様々な方法によりこれを遮蔽する試みがなされている。たとえば、低周波数の電磁波の遮蔽対策としては、古くから圧延した鉄帯やフェライトが用いられてきたが、これらは重くしかも嵩高いものであるため近年の軽薄短小化した各種の製品に応用することは困難であった。一方、高周波数の電磁波の遮蔽対策としては、合成樹脂フィルムに銅箔を貼り合わせたものが用いられてきたが、これは上記の鉄帯等に比べるとある程度の厚みまで薄くすることができるものの、銅箔を薄く製造するには限界があり9μm以下の厚みのものを安価に製造することは困難であった。このため、近年の軽薄短小化された製品に用いる場合等特に可撓性が要求される用途に用いる場合にはさらにその性能の向上が望まれていた。またさらに、これら従来の遮蔽対策手段においては、低周波数および高周波数の両者に同時に対応できるものはなかった。
【0003】
なお、以上本発明についての従来の技術を、出願人の知得した一般的技術情報に基づいて説明したが、出願人の記憶する範囲において、出願前までに先行技術文献情報として開示すべき情報を出願人は有していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであってその目的とするところは、軽薄短小化した各種の製品に対応可能とするべくその厚みを薄くすることにより可撓性に富んだ性状の電磁波シールド材を提供することにある。また、本発明の別の目的は、所望により低周波数および高周波数の両者の電磁波に対して同時にこれらを遮蔽することが可能な電磁波シールド材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、従来のシールド層の形成方法により上記課題を解決するのは困難であり全く新規な形成方法でシールド層を形成する必要があるとの知見を得、この知見に基づきさらに研究を続けることによりついに本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
すなわち、本発明の電磁波シールド材は、ポリマーフィルムの表面に、厚さが1〜8μmであり、かつNi、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるシールド層が、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の電磁波シールド材は、ポリマーフィルムの表面とシールド層との間に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層が、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されたものとすることができる。
【0008】
また、本発明の電磁波シールド材は、ポリマーフィルムの表面とシールド層との間に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により形成されている酸化防止効果を有する下地層と、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Fe、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により形成されている電極として作用する下地層が、それぞれこの順序で形成されたものとすることができる。
【0009】
また、本発明の電磁波シールド材は、シールド層が、Ni、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種で構成されたものとすることができる。
【0010】
また、本発明の電磁波シールド材は、シールド層がCuにより構成されたものとすることができる。
【0011】
また、本発明の電磁波シールド材は、シールド層が2層に分かれて形成されており、その一方がCuにより構成され、もう一方がNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種で構成されたものとすることができる。
【0012】
また、本発明の電磁波シールド材は、シールド層が3層に分かれて形成されており、該3層の中間の層としてCuからなる層が形成され、該層を挟むようにしてその上下にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる層が形成されたものとすることができる。
【0013】
また、本発明の電磁波シールド材は、ポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にCuからなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されたものとすることができる。
【0014】
また、本発明の電磁波シールド材は、ポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にCuからなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されたものとすることができる。
【0015】
また、本発明の電磁波シールド材は、Cuからなるシールド層上に、Sn、Ni、Co、Ti、ZnまたはCrからなる変色防止層が形成されたものとすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
<電磁波シールド材>
本発明の電磁波シールド材は、基本的にポリマーフィルムの表面にシールド層を形成した構成を有する。以下、各構成について説明する。
【0017】
<ポリマーフィルム>
本発明に用いられるポリマーフィルムとしては、たとえば合成樹脂フィルム、熱可塑性エラストマーフィルム、ゴムフィルム等を挙げることができる。合成樹脂フィルムとしては、たとえばPET、PEN、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリイミド、液晶ポリマ、エポキシ等の合成樹脂からなるフィルムを挙げることができる。熱可塑性エラストマーフィルムとしては、たとえばスチレン系、塩ビ系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、アミド系等の熱可塑性エラストマーからなるフィルムを挙げることができる。また、ゴムフィルムとしては、たとえば天然ゴムの他、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムからなるフィルムを挙げることができる。ここに挙げた合成樹脂、熱可塑性エラストマーまたはゴムの種類は、あくまでも例示であってこれらのみに限られるものではない。また、本発明でいうフィルムとしては、厚さが2〜200μm、好ましくは4〜30μmのシート状の形状を有するものが含まれる。厚さが2μm未満の場合は、後述のシールド層を支持する基体として十分に機能することが困難となる一方、200μmを超える場合は、可撓性に欠けるものとなり軽薄短小化された製品への適応が困難となるため、いずれも好ましくない。本発明においては、上記合成樹脂、熱可塑性エラストマーまたはゴムの種類および厚みをその用途に応じて選択することができる。たとえば、耐熱性が要求される用途においては、合成樹脂としてポリイミドや液晶ポリマを選択することが好ましく、耐熱性が要求されないような場合にはコスト等を考慮してPET等を選択することが好適であり、また弾性が要求される用途においては熱可塑性エラストマーやゴムを選択することが好適である。また、このようなポリマーフィルムには、強度を向上させたり難燃効果等を付与することを目的として、たとえばガラス繊維等の各種のフィラー類を添加することができる。
【0018】
なお、本発明に用いるポリマーフィルムは、後述の各層を形成する前に含有水分量が大略0.01%未満となるように乾燥処理することが好ましい。後述の各層、とりわけシールド層との密着性を向上させるためである。該乾燥処理方法としては常法に従って実行することができるが、たとえば40〜200℃、好ましくは40〜120℃の温度に加熱された真空状態(1×10−3〜1.5×10−1Pa)でボンバード処理する方法を挙げることができる。該ボンバード処理の条件としては、Arガス60〜300cc/分、好ましくは100〜200cc/分、出力0.5〜2kW、好ましくは0.8〜1.3kWの下、スパッタリング装置等を用いることにより行なうことができる。
【0019】
<シールド層>
本発明のシールド層は、各種の周波数を有する電磁波をシールド、すなわち遮蔽する作用を有するものであり、前記ポリマーフィルムの表面に、あるいは後述の下地層が形成されている場合にはその上に形成されるものである。このようなシールド層は、厚さが1〜8μmであり、かつNi、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により1層または2層以上に分かれて形成されていることを特徴としている。その厚さが1〜8μmに限定されるのは、厚さが1μm未満の場合には電磁波に対するシールド性が十分でなくなるためであり、一方8μmを超えても電磁波のシールド性に大差なく却って可撓性が阻害されることとなるからである。これらの点を考慮するとその厚さは、2〜5μmとすることが特に好ましい。また、構成成分が上述の金属類に限定されるのは、電磁波に対するシールド性に優れており、しかも形成手段としてスパッタリング法、蒸着法またはめっき法の採用を可能とするものでなければならないからである。また、形成手段としてスパッタリング法、蒸着法またはめっき法が採用されるのは、前述の通りこれらの金属を金属箔として用いることができないからであり、しかもその性能面においてポリマーフィルム等と十分な密着性を有し、かつ所望によりその厚みを自由に設定することが必要とされるからである。
【0020】
本発明のシールド層は、シールドしようとする電磁波の周波数に応じて構成する金属の種類を選択することが好ましい。たとえば、周波数が大略5000Hz以下の低周波数の電磁波に対しては、Ni、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種を選択することが好ましく、周波数が大略5000Hz以上の高周波数の電磁波に対しては、Cuを選択することが好ましい。より具体的には、シールド層をこのようなCuにより構成する場合、ポリマーフィルムの表面、好ましくはその表面に後述の酸化防止効果を有する下地層を形成しその上にCuからなる後述の下地層を形成させた上に、めっき液の組成(硫酸銅50〜300g/l、好ましくは80〜150g/l、硫酸50〜300g/l、好ましくは90〜160g/l、塩素30〜100ppm、好ましくは50〜70ppmその他所望により少量の添加剤を配合させたもの)、電流密度0.1〜20A/dm2、好ましくは0.5〜4A/dm2、液温10〜70℃、好ましくは25〜35℃の条件下で電気めっきすることにより1〜8μmの厚さとして形成することができる。これにより、高周波数の電磁波に対して特に優れたシールド性を示すシールド層を形成することができる。
【0021】
また、本発明のシールド層は、2層以上に分けて形成することができる。たとえば、シールド層をNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種と、Cuとの両者により2層に分けて構成すると、低周波数と高周波数の両者の電磁波に対してシールド性を示すシールド層とすることができ、本発明の特に好ましい態様の一つとなる。より具体的には、ポリマーフィルムの表面、好ましくはその表面に形成された後述の下地層の表面にめっき液の組成(硫酸ニッケル50〜350g/l、好ましくは200〜250g/l、塩化ニッケル10〜100g/l、好ましくは40〜50g/l、硼酸10〜60g/l、好ましくは30〜50g/l、その他所望により少量の添加剤を配合させ、pH0.5〜6.0、好ましくはpH3.0〜4.5としたもの)、電流密度1〜10A/dm2、好ましくは2〜4A/dm2、液温30〜70℃、好ましくは45〜55℃の条件下で電気めっきすることにより1〜8μmの厚さのNiからなる第1のシールド層を形成し、その上に上記と同一の条件下で1〜8μmの厚さのCuからなる第2のシールド層を形成することができる。なお、これら両シールド層の形成順序は、勿論上記の逆とすることもでき、この場合においても低周波数および高周波数の両者の電磁波をシールドすることができる。また、上記Niの代わりにたとえばFeとNiからなる合金によりシールド層を構成する場合は、めっき液の組成(硫酸ニッケル40〜400g/l、好ましくは80〜320g/l、塩化ニッケル20〜100g/l、好ましくは40〜80g/l、硼酸10〜70g/l、好ましくは35〜50g/l、硫酸第1鉄2〜50g/l、好ましくは5〜20g/l、その他所望により少量の添加剤を配合させ、pH2〜5、好ましくはpH3〜3.8としたもの)、電流密度1〜15A/dm2、好ましくは4〜6A/dm2、液温30〜70℃、好ましくは50〜60℃の条件下で電気めっきすることにより形成することができる。
【0022】
さらに、本発明のシールド層は、3層以上形成することもできる。たとえば、上記のようにNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第1のシールド層を形成し、その上にCuからなる第2のシールド層を形成し、さらにその上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層を形成させたもの等を例示することができる。このような構成の電磁波シールド材をたとえば電気製品に取付けると、低周波数の電磁波に対しては該電気製品の内部から発生するものをシールドできるとともに、外部から内部へ浸入しようとするものも有効にシールドすることができることとなる。
【0023】
一方、本発明のシールド層は、ポリマーフィルムの表裏両面に形成させることもできる。たとえば、ポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる後述の下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にCuからなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる後述の下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されている態様を挙げることができる。また別の態様として、たとえば、ポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる後述の下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にCuからなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる後述の下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されている態様を挙げることができる。
【0024】
<下地層>
本発明の下地層は、前記シールド層を形成させる際の一種の電極としての作用を有するものであり、特に前記シールド層をめっき法により形成する場合に有用となる。また、該下地層は、該層より上層に形成される層、すなわち、前記シールド層や他の下地層等が酸化されるのを防止する酸化防止層としての作用を有したものとすることもできる。該シールド層等は、空気中の酸素やポリマーフィルムに含まれる水分に溶存している酸素の作用により経時的に酸化され、このようにこれらの層が一旦酸化されるとポリマーフィルムとの密着力が著しく低減し容易に剥離等の不都合を生じることとなる。このような場合において、酸化防止効果を有する下地層がこれらの層とポリマーフィルムとの間に存在すると、ポリマーフィルムからこれらの層の方向に拡散する前記酸素を有効に捕捉し、以って当該酸素がこれらの層に到達するまでに有効に除去されることとなる。このような酸化防止効果を有する下地層は、シールド層や他の下地層がFeやCuで構成されている場合に特に有効であり、それ以外の金属で構成されている場合にはあえて形成する必要はない。
【0025】
このような下地層は、前記ポリマーフィルムの表面とシールド層との間に形成され、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されるものである。厚さが1μm以下に限定されるのは、電極および/または酸化防止層として作用するには1μmあれば十分でありそれ以上厚くする必要がないからである。また、構成成分が上記の金属類に限定されるのは、これらの金属が優れた導電性や酸化防止効果を示すからであり、しかもスパッタリング法や蒸着法で形成するのに適しているからである。これらの金属類について、主としてFeおよびCuは電極としての作用に優れるものであり、TiおよびCrは酸化防止層としての効果に優れており、またNi、CoおよびZnはこれら両者の作用を併せ持つ点に特徴がある。一方、形成手段としてスパッタリング法または蒸着法が採用されるのは、比較的厚い層を形成するのに適するめっき法を採用する必要がなく、しかもポリマーフィルムを乾燥状態のままで処理することができるからである。また、このような下地層は、上述の通り1層または2層以上形成することができ、2層以上に亘って形成される場合には、主としてポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する下地層を形成することが好ましい。
【0026】
このような下地層は、たとえばスパッタリング法で形成される場合、その条件としては、真空度1×10−4〜1.5×10−1Pa、好ましくは1×10−4〜1.5×10−2Pa、出力0.5〜15kW、好ましくは0.8〜10kW、Arガス100〜400cc/分、好ましくは100〜250cc/分の条件を採用することが好ましい。また、蒸着法で形成される場合、その条件としては、真空度1×10−5〜1×10−2Pa、好ましくは1×10−4〜1×10−3Pa、出力10〜150kW、好ましくは40〜90kWの条件を採用することが好ましい。このような条件を採用することにより、その厚みを20Å〜1μm、好ましくは50〜3000Åとすることができる。
【0027】
なお、このような下地層の上に前記シールド層を形成するのに先立って、該下地層上を0.5〜50%、好ましくは3〜10%濃度の硫酸により0.1〜3分間、好ましくは0.5〜1.5分間酸活性処理することにより活性化させておくことが好ましい。このような酸活性処理を行なうことにより、下地層を構成する金属がたとえ酸化されているような場合であっても(すなわち該金属がCuの場合それが酸化されて酸化銅となっていても)これを効果的に還元乃至溶解除去し、シールド層を密着性高く下地層上に形成させることが可能となる。
【0028】
<変色防止層>
本発明の変色防止層は、シールド層がCuで構成されている場合(シールド層が2以上形成される場合は最上層がCuで構成される場合)に形成されるものであり、Cuが酸化等されて変色するのを有効に防止する作用を示すものである。したがって、Cuにより構成されるシールド層のすぐ上に形成される。このような変色防止層はSn、Ni、Co、Ti、ZnまたはCrにより形成され、その形成方法は特に限定されないが、通常スパッタリング法、蒸着法またはめっき法により形成することができる。たとえば、Snを電気めっき法により形成する場合、その条件としては、めっき液の組成(Sn10〜70g/l、好ましくは20〜60g/l、有機酸70〜200g/l、好ましくは90〜130g/l、その他所望により少量の添加剤を配合させたもの)、電流密度0.5〜10A/dm2、好ましくは1〜2A/dm2、液温10〜70℃、好ましくは20〜30℃等の条件を採用することができる。このような条件を採用することにより、その厚みを0.01〜2μm、好ましくは0.1〜1μmとすることができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
<実施例1>
本実施例は、ポリマーフィルムの表面に下地層を形成し、その上にNiとFeからなる合金で構成されるシールド層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図1を参照して説明する。
【0031】
ポリマーフィルム101として厚さ25μmのPETフィルムを幅250mm、長さ100mにスリットした後、ステンレス製のコアに巻取り、スパッタリング装置のチャンバ内の送出しシャフトに装着するとともに、その先端部を接着剤付ポリイミドテープにより巻取りシャフトに取付けた。そして、真空ポンプによりチャンバ内を4×10−2Paの真空状態とした後、ポリマーフィルムが0.4m/分の速度で巻き取られるように冷却装置付駆動ドラム、送出しシャフトおよび巻取りシャフトをそれぞれ回転させた。その後、ヒータにより温度を110℃とし、ボンバード処理部においてArガス120cc/分、出力0.9kWの条件下でボンバード処理を行なうことによりポリマーフィルムの水分含有量が0.01%未満となるように真空乾燥した。
【0032】
続いて、上記チャンバ内の第1ターゲットおよび第2ターゲットにそれぞれNiを装着し、Arガス各200cc/分、出力各8kWの高磁波のマグネットを使用してNiをスパッタリングすることにより前記真空乾燥処理されたポリマーフィルム101の表面上に厚さ1800Åの下地層102を形成した。
【0033】
その後、このように下地層を形成したポリマーフィルムをスパッタリング装置から取出し、続いて連続めっき装置にセットした。5%の硫酸が充填されているめっき浴に上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で1分間連続的に浸漬することにより、上記下地層を酸活性化処理した。次いで、2回水洗を繰り返した後、上記装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(エバラユージライト(株)製)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記下地層102上に厚み4.3μmのNiとFeからなる合金(Ni:Fe=70:30)で構成されたシールド層103を形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図1に示した本発明の電磁波シールド材を得た。
【0034】
このようにして得られた電磁波シールド材を、移相発振器を使用して100〜200ヘルツの電磁波を照射させながらオシロスコープにて測定したところ、電磁波を照射させない方の面において100〜200ヘルツの電磁波は検出されなかった。このため、上記で得られた電磁波シールド材は、低周波数用の電磁波シールド材として各種の用途に用いることができるものであった。また、該電磁波シールド材は、可撓性にも優れていたため軽薄短小化した各種の製品にも広範囲に使用することができた。
【0035】
<実施例2>
本実施例は、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する2層目の下地層を形成し、その上にCuからなるシールド層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図2を参照して説明する。
【0036】
ポリマーフィルム201として厚さ25μmのPETフィルムを幅250mm、長さ100mにスリットした後、ステンレス製のコアに巻取り、スパッタリング装置のチャンバ内の送出しシャフトに装着するとともに、その先端部を接着剤付ポリイミドテープにより巻取りシャフトに取付けた。そして、真空ポンプによりチャンバ内を4×10−2Paの真空状態とした後、ポリマーフィルムが0.4m/分の速度で巻き取られるように冷却装置付駆動ドラム、送出しシャフトおよび巻取りシャフトをそれぞれ回転させた。その後、ヒータにより温度を110℃とし、ボンバード処理部においてArガス120cc/分、出力0.9kWの条件下でボンバード処理を行なうことによりポリマーフィルムの水分含有量が0.01%未満となるように真空乾燥した。
【0037】
続いて、上記チャンバ内の第1ターゲットにCrを装着し、Arガス100cc/分、出力2.2kWの条件下Crをスパッタリングすることにより前記真空乾燥処理されたポリマーフィルム201の表面上に厚さ70Åの酸化防止効果を有する下地層204を形成した。
【0038】
続いて、上記チャンバ内の第2ターゲットにCuを装着し、Arガス200cc/分、出力9kWの条件下Cuをスパッタリングすることにより前記酸化防止効果を有する下地層204上に厚さ2100Åの電極として作用する2層目の下地層202を形成した。
【0039】
その後、このように下地層を形成したポリマーフィルムをスパッタリング装置から取出し、続いて連続めっき装置にセットした。5%の硫酸が充填されているめっき浴に上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で1分間連続的に浸漬することにより、上記2層目の下地層202を酸活性化処理した。次いで、2回水洗を繰り返した後、上記装置のめっき浴にめっき液(硫酸銅90g/l、硫酸150g/l、塩素50ppmおよびトップルチナ380H(奥野製薬工業(株)製)10cc/lからなるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温29℃、電流密度4A/dm2の条件下で4分間電気めっきすることにより、前記2層目の下地層202上に厚み3.5μmのCuからなるシールド層203を形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図2に示した本発明の電磁波シールド材を得た。
【0040】
このようにして得られた電磁波シールド材を、移相発振器を使用して1〜2ギガヘルツの電磁波を照射させながらオシロスコープにて測定したところ、電磁波を照射させない方の面において1〜2ギガヘルツの電磁波は検出されなかった。このため、上記で得られた電磁波シールド材は、高周波数用の電磁波シールド材として各種の用途に用いることができるものであった。また、該電磁波シールド材は、可撓性にも優れていたため軽薄短小化した各種の製品にも広範囲に使用することができた。
【0041】
<実施例3>
本実施例は、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する2層目の下地層を形成し、その上にCuからなるシールド層を形成し、さらにその上に変色防止層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図3を参照して説明する。
【0042】
まず、Cuからなるシールド層を形成するところまでは上記実施例2と全く同様にしてシールド層303が形成されたポリマーフィルム301を得た。続いて、連続めっき装置のめっき浴にめっき液(Sn55g/l、有機酸としてメタスAM(ユケン工業(株)製)120g/lおよびSBS−R(ユケン工業(株)製)60cc/lからなるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温30℃、電流密度2A/dm2の条件下で1分間電気めっきすることにより、前記シールド層303上に厚み0.6μmのSnからなる変色防止層305を形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図3に示した本発明の電磁波シールド材を得た。
【0043】
このようにして得られた電磁波シールド材を、移相発振器を使用して1〜2ギガヘルツの電磁波を照射させながらオシロスコープにて測定したところ、電磁波を照射させない方の面において1〜2ギガヘルツの電磁波は検出されなかった。このため、上記で得られた電磁波シールド材は、高周波数用の電磁波シールド材として各種の用途に用いることができるものであった。また、該電磁波シールド材は、可撓性にも優れていたため軽薄短小化した各種の製品にも広範囲に使用することができた。
【0044】
<実施例4>
本実施例は、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上にシールド層を3層形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図4を参照して説明する。
【0045】
ポリマーフィルム401として厚さ25μmのPETフィルムを幅250mm、長さ100mにスリットした後、ステンレス製のコアに巻取り、スパッタリング装置のチャンバ内の送出しシャフトに装着するとともに、その先端部を接着剤付ポリイミドテープにより巻取りシャフトに取付けた。そして、真空ポンプによりチャンバ内を4×10−2Paの真空状態とした後、ポリマーフィルムが0.4m/分の速度で巻き取られるように冷却装置付駆動ドラム、送出しシャフトおよび巻取りシャフトをそれぞれ回転させた。その後、ヒータにより温度を110℃とし、ボンバード処理部においてArガス120cc/分、出力0.9kWの条件下でボンバード処理を行なうことによりポリマーフィルムの水分含有量が0.01%未満となるように真空乾燥した。
【0046】
続いて、上記チャンバ内の第1ターゲットおよび第2ターゲットにそれぞれNiを装着し、Arガス各200cc/分、出力各8kWの高磁波のマグネットを使用してNiをスパッタリングすることにより前記真空乾燥処理されたポリマーフィルム401の表面上に厚さ1800Åの酸化防止効果を有する下地層404を形成した。
【0047】
その後、このように酸化防止効果を有する下地層を形成したポリマーフィルムをスパッタリング装置から取出し、続いて連続めっき装置にセットした。該装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(エバラユージライト(株)製)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記酸化防止効果を有する下地層404上に厚み4.5μmのNiとFeからなる合金で構成される第1のシールド層403aを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させた。
【0048】
次いで、該連続めっき装置のめっき浴にめっき液(硫酸銅90g/l、硫酸150g/l、塩素50ppmおよびトップルチナ380H(奥野製薬工業(株)製)10cc/lからなるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温29℃、電流密度4A/dm2の条件下で4分間電気めっきすることにより、前記第1のシールド層403a上に厚み3.5μmのCuからなる第2のシールド層403bを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させた。
【0049】
さらに、該連続めっき装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(前出)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記第2のシールド層403b上に厚み4.4μmのNiとFeからなる合金で構成される第3のシールド層403cを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図4に示した本発明の電磁波シールド材を得た。
【0050】
このようにして得られた電磁波シールド材を、移相発振器を使用して100〜200ヘルツおよび1〜2ギガヘルツの電磁波をそれぞれ照射させながらオシロスコープにて測定したところ、電磁波を照射させない方の面において100〜200ヘルツおよび1〜2ギガヘルツの電磁波は両者とも検出されなかった。このため、上記で得られた電磁波シールド材は、低周波数および高周波数の両者用の電磁波シールド材として各種の用途に用いることができるものであった。また、該電磁波シールド材は、可撓性にも優れていたため軽薄短小化した各種の製品にも広範囲に使用することができた。
【0051】
<実施例5>
本実施例は、ポリマーフィルムの表裏両面にシールド層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図5を参照して説明する。
【0052】
ポリマーフィルム501として厚さ25μmのPETフィルムを幅250mm、長さ100mにスリットした後、ステンレス製のコアに巻取り、スパッタリング装置のチャンバ内の送出しシャフトに装着するとともに、その先端部を接着剤付ポリイミドテープにより巻取りシャフトに取付けた。そして、真空ポンプによりチャンバ内を4×10−2Paの真空状態とした後、ポリマーフィルムが0.4m/分の速度で巻き取られるように冷却装置付駆動ドラム、送出しシャフトおよび巻取りシャフトをそれぞれ回転させた。その後、ヒータにより温度を110℃とし、ボンバード処理部においてArガス120cc/分、出力0.9kWの条件下でボンバード処理を行なうことによりポリマーフィルムの水分含有量が0.01%未満となるように真空乾燥した。
【0053】
続いて、上記チャンバ内の第1ターゲットおよび第2ターゲットにそれぞれNiを装着し、Arガス各200cc/分、出力各8kWの高磁波のマグネットを使用してNiをスパッタリングすることにより前記真空乾燥処理されたポリマーフィルム501の表面上に厚さ1800Åの酸化防止効果を有する下地層504を形成した。
【0054】
その後、このように酸化防止効果を有する下地層を形成したポリマーフィルムをスパッタリング装置から取出し、続いて連続めっき装置にセットした。5%の硫酸が充填されているめっき浴に上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で1分間連続的に浸漬することにより、上記酸化防止効果を有する下地層を酸活性化処理した。次いで、2回水洗を繰り返した後、上記装置のめっき浴にめっき液(硫酸銅90g/l、硫酸150g/l、塩素50ppmおよびトップルチナ380H(奥野製薬工業(株)製)10cc/lからなるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温29℃、電流密度4A/dm2の条件下で4分間電気めっきすることにより、前記酸化防止効果を有する下地層504上に厚み3.5μmのCuからなる第1のシールド層503aを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させた。
【0055】
次いで、該連続めっき装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(エバラユージライト(株)製)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記第1のシールド層503a上に厚み4.5μmのNiとFeからなる合金で構成される第2のシールド層503bを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させた。
【0056】
さらに、このように第2のシールド層を形成したポリマーフィルムに対して続いてもう一方の面を処理するべく再度スパッタリング装置にセットした。そして、該スパッタリング装置のチャンバ内の第1ターゲットおよび第2ターゲットにそれぞれNiを装着し、Arガス各200cc/分、出力各8kWの高磁波のマグネットを使用してNiをスパッタリングすることにより前記ポリマーフィルム501のもう一方の表面上に厚さ1800Åの下地層502を形成した。
【0057】
続いて、このように下地層を形成したポリマーフィルムをスパッタリング装置から再度取出し、続いて連続めっき装置にセットした。5%の硫酸が充填されているめっき浴に上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で1分間連続的に浸漬することにより、上記下地層を酸活性化処理した。次いで、2回水洗を繰り返した後、上記装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(エバラユージライト(株)製)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記下地層502上に厚み4.3μmのNiとFeからなる合金(Ni:Fe=70:30)で構成された第3のシールド層503cを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図5に示した本発明の電磁波シールド材を得た。
【0058】
このようにして得られた電磁波シールド材を、移相発振器を使用して100〜200ヘルツおよび1〜2ギガヘルツの電磁波をそれぞれ照射させながらオシロスコープにて測定したところ、電磁波を照射させない方の面において100〜200ヘルツおよび1〜2ギガヘルツの電磁波は両者とも検出されなかった。このため、上記で得られた電磁波シールド材は、低周波数および高周波数の両者用の電磁波シールド材として各種の用途に用いることができるものであった。また、該電磁波シールド材は、可撓性にも優れていたため軽薄短小化した各種の製品にも広範囲に使用することができた。
【0059】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0060】
【発明の効果】
本発明の電磁波シールド材は、その厚みを薄くすることにより可撓性に富んだ性状を有しているため、軽薄短小化した各種の製品に対しても対応することができる。また、本発明の電磁波シールド材は、所望により低周波数および高周波数の両者の電磁波に対して同時にこれらを遮蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリマーフィルムの表面に下地層を形成し、その上にシールド層を形成した電磁波シールド材の概略断面図である。
【図2】ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する2層目の下地層を形成し、その上にシールド層を形成した電磁波シールド材の概略断面図である。
【図3】ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する2層目の下地層を形成し、その上にシールド層を形成し、さらにその上に変色防止層を形成した電磁波シールド材の概略断面図である。
【図4】ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上にシールド層を3層形成した電磁波シールド材の概略断面図である。
【図5】ポリマーフィルムの表裏両面にシールド層を形成した電磁波シールド材の概略断面図である。
【符号の説明】
101,201,301,401,501 ポリマーフィルム、102,202,302,502 下地層、103,203,303,403a、403b、403c、503a、503b、503c シールド層、204,304,404,504 酸化防止効果を有する下地層、305 変色防止層。
【0006】
すなわち、本発明の電磁波シールド材は、水分含有量が0 . 01%未満であるポリマーフィルムの表面に、厚さが1〜8μmであり、かつNi、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるシールド層が、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されていることを特徴としている。
すなわち、本発明の電磁波シールド材は、水分含有量が0 . 01%未満であるポリマーフィルムの表面に、厚さが1〜8μmであり、かつNi、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるシールド層が、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されていることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の電磁波シールド材は、水分含有量が0 . 01%未満であるポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にCuからなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されたものとすることができる。
また、本発明の電磁波シールド材は、水分含有量が0 . 01%未満であるポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にCuからなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されたものとすることができる。
【0014】
また、本発明の電磁波シールド材は、水分含有量が0 . 01%未満であるポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にCuからなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されたものとすることができる。
また、本発明の電磁波シールド材は、水分含有量が0 . 01%未満であるポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にCuからなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されたものとすることができる。
【0006】
すなわち、本発明の電磁波シールド材は、水分含有量が0.01%未満であるポリマーフィルムの表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる酸化防止効果を有する下地層が、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により形成されており、該酸化防止効果を有する下地層上に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Fe、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる電極として作用する下地層が、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により形成されており、該電極として作用する下地層上に、厚さが1〜8μmであり、かつNi、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるシールド層が、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されていることを特徴としている。
すなわち、本発明の電磁波シールド材は、水分含有量が0.01%未満であるポリマーフィルムの表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる酸化防止効果を有する下地層が、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により形成されており、該酸化防止効果を有する下地層上に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Fe、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる電極として作用する下地層が、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により形成されており、該電極として作用する下地層上に、厚さが1〜8μmであり、かつNi、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるシールド層が、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されていることを特徴としている。
【0019】
<シールド層>
本発明のシールド層は、各種の周波数を有する電磁波をシールド、すなわち遮蔽する作用を有するものであり、前記ポリマーフィルムの表面に形成された後述の下地層上に形成されるものである。このようなシールド層は、厚さが1〜8μmであり、かつNi、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により1層または2層以上に分かれて形成されていることを特徴としている。その厚さが1〜8μmに限定されるのは、厚さが1μm未満の場合には電磁波に対するシールド性が十分でなくなるためであり、一方8μmを超えても電磁波のシールド性に大差なく却って可撓性が阻害されることとなるからである。これらの点を考慮するとその厚さは、2〜5μmとすることが特に好ましい。また、構成成分が上述の金属類に限定されるのは、電磁波に対するシールド性に優れており、しかも形成手段としてスパッタリング法、蒸着法またはめっき法の採用を可能とするものでなければならないからである。また、形成手段としてスパッタリング法、蒸着法またはめっき法が採用されるのは、前述の通りこれらの金属を金属箔として用いることができないからであり、しかもその性能面においてポリマーフィルム等と十分な密着性を有し、かつ所望によりその厚みを自由に設定することが必要とされるからである。
<シールド層>
本発明のシールド層は、各種の周波数を有する電磁波をシールド、すなわち遮蔽する作用を有するものであり、前記ポリマーフィルムの表面に形成された後述の下地層上に形成されるものである。このようなシールド層は、厚さが1〜8μmであり、かつNi、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により1層または2層以上に分かれて形成されていることを特徴としている。その厚さが1〜8μmに限定されるのは、厚さが1μm未満の場合には電磁波に対するシールド性が十分でなくなるためであり、一方8μmを超えても電磁波のシールド性に大差なく却って可撓性が阻害されることとなるからである。これらの点を考慮するとその厚さは、2〜5μmとすることが特に好ましい。また、構成成分が上述の金属類に限定されるのは、電磁波に対するシールド性に優れており、しかも形成手段としてスパッタリング法、蒸着法またはめっき法の採用を可能とするものでなければならないからである。また、形成手段としてスパッタリング法、蒸着法またはめっき法が採用されるのは、前述の通りこれらの金属を金属箔として用いることができないからであり、しかもその性能面においてポリマーフィルム等と十分な密着性を有し、かつ所望によりその厚みを自由に設定することが必要とされるからである。
【0024】
<下地層>
本発明の下地層は、前記シールド層を形成させる際の一種の電極としての作用を有するものであり、特に前記シールド層をめっき法により形成する場合に有用となる。また、該下地層は、該層より上層に形成される層、すなわち、前記シールド層や他の下地層等が酸化されるのを防止する酸化防止層としての作用を有したものである。該シールド層等は、空気中の酸素やポリマーフィルムに含まれる水分に溶存している酸素の作用により経時的に酸化され、このようにこれらの層が一旦酸化されるとポリマーフィルムとの密着力が著しく低減し容易に剥離等の不都合を生じることとなる。このような場合において、酸化防止効果を有する下地層がこれらの層とポリマーフィルムとの間に存在すると、ポリマーフィルムからこれらの層の方向に拡散する前記酸素を有効に捕捉し、以って当該酸素がこれらの層に到達するまでに有効に除去されることとなる。このような酸化防止効果を有する下地層は、シールド層や他の下地層がFeやCuで構成されている場合に特に有効である。
<下地層>
本発明の下地層は、前記シールド層を形成させる際の一種の電極としての作用を有するものであり、特に前記シールド層をめっき法により形成する場合に有用となる。また、該下地層は、該層より上層に形成される層、すなわち、前記シールド層や他の下地層等が酸化されるのを防止する酸化防止層としての作用を有したものである。該シールド層等は、空気中の酸素やポリマーフィルムに含まれる水分に溶存している酸素の作用により経時的に酸化され、このようにこれらの層が一旦酸化されるとポリマーフィルムとの密着力が著しく低減し容易に剥離等の不都合を生じることとなる。このような場合において、酸化防止効果を有する下地層がこれらの層とポリマーフィルムとの間に存在すると、ポリマーフィルムからこれらの層の方向に拡散する前記酸素を有効に捕捉し、以って当該酸素がこれらの層に到達するまでに有効に除去されることとなる。このような酸化防止効果を有する下地層は、シールド層や他の下地層がFeやCuで構成されている場合に特に有効である。
【0025】
このような下地層は、前記ポリマーフィルムの表面とシールド層との間に形成され、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により2層以上形成されるものである。厚さが1μm以下に限定されるのは、電極および/または酸化防止層として作用するには1μmあれば十分でありそれ以上厚くする必要がないからである。また、構成成分が上記の金属類に限定されるのは、これらの金属が優れた導電性や酸化防止効果を示すからであり、しかもスパッタリング法や蒸着法で形成するのに適しているからである。これらの金属類について、主としてFeおよびCuは電極としての作用に優れるものであり、TiおよびCrは酸化防止層としての効果に優れており、またNi、CoおよびZnはこれら両者の作用を併せ持つ点に特徴がある。一方、形成手段としてスパッタリング法または蒸着法が採用されるのは、比較的厚い層を形成するのに適するめっき法を採用する必要がなく、しかもポリマーフィルムを乾燥状態のままで処理することができるからである。また、このような下地層は、上述の通り2層以上形成することができ、この場合、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する下地層を形成する。
このような下地層は、前記ポリマーフィルムの表面とシールド層との間に形成され、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により2層以上形成されるものである。厚さが1μm以下に限定されるのは、電極および/または酸化防止層として作用するには1μmあれば十分でありそれ以上厚くする必要がないからである。また、構成成分が上記の金属類に限定されるのは、これらの金属が優れた導電性や酸化防止効果を示すからであり、しかもスパッタリング法や蒸着法で形成するのに適しているからである。これらの金属類について、主としてFeおよびCuは電極としての作用に優れるものであり、TiおよびCrは酸化防止層としての効果に優れており、またNi、CoおよびZnはこれら両者の作用を併せ持つ点に特徴がある。一方、形成手段としてスパッタリング法または蒸着法が採用されるのは、比較的厚い層を形成するのに適するめっき法を採用する必要がなく、しかもポリマーフィルムを乾燥状態のままで処理することができるからである。また、このような下地層は、上述の通り2層以上形成することができ、この場合、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する下地層を形成する。
【0030】
<参考例1>
本参考例は、ポリマーフィルムの表面に下地層を形成し、その上にNiとFeからなる合金で構成されるシールド層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図1を参照して説明する。
<参考例1>
本参考例は、ポリマーフィルムの表面に下地層を形成し、その上にNiとFeからなる合金で構成されるシールド層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図1を参照して説明する。
【0033】
その後、このように下地層を形成したポリマーフィルムをスパッタリング装置から取出し、続いて連続めっき装置にセットした。5%の硫酸が充填されているめっき浴に上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で1分間連続的に浸漬することにより、上記下地層を酸活性化処理した。次いで、2回水洗を繰り返した後、上記装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(エバラユージライト(株)製)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記下地層102上に厚み4.3μmのNiとFeからなる合金(Ni:Fe=70:30)で構成されたシールド層103を形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図1に示した電磁波シールド材を得た。
その後、このように下地層を形成したポリマーフィルムをスパッタリング装置から取出し、続いて連続めっき装置にセットした。5%の硫酸が充填されているめっき浴に上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で1分間連続的に浸漬することにより、上記下地層を酸活性化処理した。次いで、2回水洗を繰り返した後、上記装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(エバラユージライト(株)製)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記下地層102上に厚み4.3μmのNiとFeからなる合金(Ni:Fe=70:30)で構成されたシールド層103を形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図1に示した電磁波シールド材を得た。
【0035】
<実施例1>
本実施例は、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する2層目の下地層を形成し、その上にCuからなるシールド層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図2を参照して説明する。
<実施例1>
本実施例は、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する2層目の下地層を形成し、その上にCuからなるシールド層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図2を参照して説明する。
【0041】
<実施例2>
本実施例は、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する2層目の下地層を形成し、その上にCuからなるシールド層を形成し、さらにその上に変色防止層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図3を参照して説明する。
<実施例2>
本実施例は、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上に電極として作用する2層目の下地層を形成し、その上にCuからなるシールド層を形成し、さらにその上に変色防止層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図3を参照して説明する。
【0044】
<参考例2>
本参考例は、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上にシールド層を3層形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図4を参照して説明する。
<参考例2>
本参考例は、ポリマーフィルムの表面に酸化防止効果を有する下地層を形成し、その上にシールド層を3層形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図4を参照して説明する。
【0049】
さらに、該連続めっき装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(前出)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記第2のシールド層403b上に厚み4.4μmのNiとFeからなる合金で構成される第3のシールド層403cを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図4に示した電磁波シールド材を得た。
さらに、該連続めっき装置のめっき浴にめっき液(硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル50g/l、硼酸40g/l、硫酸第1鉄20g/lおよびフェロアロイFA(前出)70cc/lからなり、pH3.8であるもの)を充填し、上記ポリマーフィルムを1.0m/分の移動速度で連続的に浸漬させ、液温55℃、電流密度4A/dm2の条件下で5分間電気めっきすることにより、前記第2のシールド層403b上に厚み4.4μmのNiとFeからなる合金で構成される第3のシールド層403cを形成した。続いて、水洗を3回繰り返し、ブロアによる水切り後60℃で1分間乾燥させることにより図4に示した電磁波シールド材を得た。
【0051】
<実施例3>
本実施例は、ポリマーフィルムの表裏両面にシールド層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図5を参照して説明する。
<実施例3>
本実施例は、ポリマーフィルムの表裏両面にシールド層を形成した電磁波シールド材に関するものである。以下、図5を参照して説明する。
Claims (10)
- ポリマーフィルムの表面に、厚さが1〜8μmであり、かつNi、Fe、Co、Ti、Zn、Cr、Sn、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるシールド層が、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されていることを特徴とする電磁波シールド材。
- ポリマーフィルムの表面とシールド層との間に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層が、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成されている請求項1記載の電磁波シールド材。
- ポリマーフィルムの表面とシールド層との間に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により形成されている酸化防止効果を有する下地層と、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Fe、Cuおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなるものであって、スパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により形成されている電極として作用する下地層が、それぞれこの順序で形成されている請求項1記載の電磁波シールド材。
- シールド層が、Ni、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種で構成される請求項2記載の電磁波シールド材。
- シールド層が、Cuにより構成されている請求項3記載の電磁波シールド材。
- シールド層が2層に分かれて形成されており、その一方がCuにより構成され、もう一方がNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種で構成されている請求項2または3記載の電磁波シールド材。
- シールド層が3層に分かれて形成されており、該3層の中間の層としてCuからなる層が形成され、該層を挟むようにしてその上下にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる層が形成されている請求項2または3記載の電磁波シールド材。
- ポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にCuからなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されている電磁波シールド材。
- ポリマーフィルムのいずれか一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にCuからなる第1のシールド層が形成され、さらにその上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第2のシールド層が形成されているとともに、該ポリマーフィルムのもう一方の表面に、厚さが1μm以下であり、かつNi、Co、Zn、Fe、Cu、Ti、Cr、これらの金属の酸化物、窒化物およびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる下地層がスパッタリング法または蒸着法のいずれかの方法により1層または2層以上形成され、その上にNi、Co、Feおよびこれらの金属を少なくとも1種含む合金からなる群から選ばれる1種からなる第3のシールド層が形成されている電磁波シールド材。
- Cuからなるシールド層上に、Sn、Ni、Co、Ti、ZnまたはCrからなる変色防止層が形成されている請求項5、6または8記載の電磁波シールド材。
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