JP2004075367A - 樹脂発泡体製リール - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の分割部材10A,10Bを一体化して作られる樹脂発泡体製リール1において、接着剤を用いないで各分割部材を堅固に組み付けることを可能とする。それにより、組み付け作業を容易化すると共に、接着剤のはみ出しによる不都合が生じるのを解消することを目的とする。
【解決手段】樹脂発泡体製リール1を構成する分割部材10A,10Bの分割面P1に、蛇腹状凹凸を備えた連結部材20(20A,20B)を、分割部材の成形時に一体に固定する。連結部材同士を嵌合することによって、分割部材同士を接続一体化する。
【選択図】 図3
【解決手段】樹脂発泡体製リール1を構成する分割部材10A,10Bの分割面P1に、蛇腹状凹凸を備えた連結部材20(20A,20B)を、分割部材の成形時に一体に固定する。連結部材同士を嵌合することによって、分割部材同士を接続一体化する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア部材とその両側に位置する左右の側板部材とを備えた樹脂発泡体製のリール、特に、光ファイバーケーブルや電線などの巻き取りに好適な樹脂発泡体製リールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の巻き取り用リールとして木製のものが多く使用されてきたが、軽量化の観点から合成樹脂発泡体製のものや紙材を用いたものも使用されるようになってきている。また、複数の分割部材を接着剤により接着一体化して1個のリールとして組み立てることも行われている。
【0003】
実開平6−14178号公報には、ビーズ発泡成形などの合成樹脂発泡体で全体が作られたリールが記載されている。ここでは、同形に成形された左右一対の側部体(分割部材)を用いており、各側部体の中心位置にコア部材を一体成形している。コア部材同士の対向面であるコア部材の中心軸線に垂直方向の分割面には凸起と該凸起が嵌合し得る凹穴とが交互に形成されており、凹穴内に接着剤を塗布した状態で、凸起が凹穴内に嵌合するように2つの側部体を組み付けることにより、両者が接着一体化して樹脂発泡体製リールが構成される。凹穴内に塗布した接着剤がコア部材の表面に飛び出ると凹凸が生じて巻き取りに支障がきたすので、余分な接着剤の逃げ場の役目を果たす縦溝が凹穴に縦方向に形成されている。
【0004】
実開平6−42870号公報には硬質板状の紙材を主材料とするケーブル巻き取り用リールが記載されている。リールは左右の側板とコア部材とからなっており、側板に貼り合わせた小径円板の周囲に接着剤を塗布した状態で円筒状のコア部材を嵌め込み接着することで一体化している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平6−14178号公報に記載される樹脂発泡体製リールは、左右一対の側部材を同じ成形型を用いて成形することができる利点がある。また、接着剤により一体に接着する前の各側部材は、分割部材として小さなスペースに収容保管しておくことができる。さらに、余分な接着剤は凹穴に形成した縦溝内に逃げ込むことができるので、適量の接着剤を使用する限り、コア部材の巻き取り表面に接着剤がはみ出ることはない。しかし、複数ある凹穴内のすべてに適量の接着剤を塗布する作業は容易でなく、慎重な作業を必要としている。
【0006】
特開平6−42870号公報に記載されるリールも、接着剤の塗布作業は必須であり、しかも、塗布した接着剤の量次第では、接着剤がコア部材の端面と側板の内側面との隙間を通ってコア部材の外表面にまではみ出てしまう。外側にはみ出した接着剤はコア部材の表面に凹凸を形成し、巻き取り物品が光ファイバーケーブルのように精巧な物品の場合には、悪影響を及ぼす。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、複数の分割部材を一体に組み付けて作られる樹脂発泡体製リールにおいて、接着剤を用いないで各分割部材を堅固に組み付けることを可能とし、それにより、組み付け作業を容易化すると共に、接着剤のはみ出しによる上記のような不都合が生じるのを解消することを目的とする。また、本発明の他の目的は、樹脂発泡体製である各分割部材の形状を単純化して、その成形をも容易化することのできる樹脂発泡体製リールを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明による樹脂発泡体製リールは、基本的に、コア部材とその両側に位置する左右の側板部材とを備えた樹脂発泡体製のリールにおいて、該リールはコア部材の中心軸線に交差方向(垂直方向が望ましいが、これに限らない)の分割面により分割された2個以上の分割部材により構成されており、対向する各分割部材は、分割部材の成形時にその分割面に一体に固定された連結部材が相互に連結状態となることにより連結一体化されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成である樹脂発泡体製リールでは、各分割部材は、発泡成形時に一体化された連結部材を互いに嵌合するなどにより連結状態とすることのみで、相互に連結一体化されており、組み付けに接着剤をまったく使用しない。そのために、コア部材表面への接着剤のはみ出し現象に伴う不都合を完全に回避することができる。また、成形型から取り出した各分割部材を、接着剤の塗布作業などを行うことなく、その分割面を対向させた状態でそのまま押し付ければ組み付けが完了するので、組み付け作業はきわめて容易となる。一体化は連結部材によってもっぱら行われるので、分割面は単に平坦面でよく、成形型も簡素化できる。
【0010】
連結部材は、相互に押し付けることによりしっかりと連結状態となる形式のものであれば任意であるが、一方が蛇腹状凹凸を周面に有する中空部材であり、他方が該中空部材に形成された蛇腹状凹凸と噛み合うことのできる蛇腹状凹凸を周面に有する部材であり、対向する分割部材を互いの分割面を対向させた姿勢で押し付けたときに、一方が他方に内嵌合あるいは外嵌合することにより連結部材の相互の連結状態が形成されるような連結部材は、組み付けが容易であること、組み付け状態が堅固であり、組み付け後は容易には分離しないこと、などの理由からきわめて好ましい。
【0011】
連結部材の材料としては、嵌入時に適度に変形し、また嵌合後にほぼ元姿勢に復帰して蛇腹状凹凸の噛み合いによる係合状態を維持できる材料が望ましく、アルミニウムやステンレスのような金属材料、樹脂材料などを用いることができる。嵌合性が良く強度もあるアルミニウムは特に好ましい。
【0012】
本発明の樹脂発泡体製リールにおいて、リールを構成する分割部材の数は2個に限らず、3個以上であってもよい。また、分割面は、コア部材の位置に形成することが好ましいが、左右の側板部材とコア部材の繋ぎ目部分に形成してもよい。分割部材の数が多くなるほど各分割部材の容積を小さくすることができ、組み付け前の各分割部材の保管スペースを少なくできる利点がある。しかし、一方において、多種の成形型を必要とし、また、多くの連結部材を必要とする。組み付け工程も多くなる。従って、実際の樹脂発泡体製リールにおいては、1つの分割面がコア部材の中心軸線方向の中央部に形成されているものが好ましい。
【0013】
本発明による樹脂発泡体製リールは任意の樹脂材料で作ることができるが、ビーズ発泡成形による合成樹脂発泡体は、成形のし易さ、軽量でありながら所要の強度を備えること、などの理由から最も好ましい。中でも、発泡状態での粒子径が1mm前後のポリスチレン系樹脂発泡ビーズによる発泡体で、発泡倍率が数倍から10倍程度の発泡体が特に好適に用いられる。他に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂による合成樹脂発泡体でもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明による樹脂発泡体製リールを実施の形態に基づきより詳細に説明する。図1は一実施の形態である樹脂発泡体製リール全体を示す斜視図、図2は図1のII−II線による断面図、図3は樹脂発泡体製リールを構成する各分割部材とその組み付け方法を説明する図、図4は他の態様の連結部材を説明する図である。
【0015】
樹脂発泡体製リール1は、円筒状コア部材2とその両側に位置する左右の側板部材3、3とを備えると共に、円筒状コア部材2の中心軸線Lに好ましくは垂直な分割面Pにより分割された2個以上の分割部材が後記する接合部材により一体に接合されて形成される。この例では、円筒状コア部材2の中心軸線方向の中央部に位置する分割面P1により樹脂発泡体製リール1は2分割されている。好ましくは、2つの分割部材10A,10Bは共に型内ビーズ発泡成形により一体成形される。
【0016】
一方の分割部材10Aは、円盤状である側板部材3と、そこに一体成形された円筒状のコア部2aとを有し、コア部2aの内部は中空とされている。必須ではないが、型抜きを容易にするために、分割面P1側が薄くなるように内面2c側にテーパが付けてある。分割面P1には、円周方向に等しい間隔をおいて6個の連結部材20が取り付けてある。
【0017】
図示の例では、連結部材20は3個の第1の連結部材20Aと3個の第2の連結部材20Bとで構成される。第1の連結部材20Aは、アルミ材の成形品であり、周面に蛇腹状凹凸を有する円筒部21Aと底面22Aとからなる。第2の連結部材20Bもアルミ材の成形品であり、同様に、周面に蛇腹状凹凸を有する円筒部21Bと底面22Bとからなる。ただし、第2の連結部材20Bの円筒部21Bの長さは第1の連結部材20Aの円筒部21Aの長さよりも長く、かつ、その外形寸法は第1の連結部材20Aの円筒部21Aに密接した状態で内嵌合できる大きさとされている。蛇腹状凹凸の寸法も実質的に同じようにされる。従って、第1の連結部材20Aの内部空間に第2の連結部材20Bの円筒部21Bを挿入していくと、双方の蛇腹状凹凸が適度に変形しあいながら挿入が進行し、挿入を停止した後は、双方の蛇腹状凹凸ほぼ元姿勢に復帰して蛇腹状凹凸同士の噛み合いによる係合状態ができあがる。
【0018】
3個の第1の連結部材20Aと3個の第2の連結部材20Bとは、分割部材10Aを型内発泡成形するのに用いる成形型内の所定位置に60°の間隔をおいて配置され、定法により型内発泡成形が行われて、成形後の分割部材10A内に一体に取り付けられる。その際に、第1の連結部材20Aはその開放側先端が分割面P1とほぼ同じ面となるように、また、第2の連結部材20Bはその底面22Bが分割面P1よりも好ましくは第1の連結部材20Aの内部空間の深さ分だけ突出するようにして配置する。それにより、成形後の分割部材10Aの分割面P1には、図3に示すように、60°の間隔をおいて3個の第1の連結部材20Aが内部空間を開放した姿勢で、また、3個の第2の連結部材20Bが円筒部21Bの一部を突出させた姿勢で、一体に固定される。なお、図示の例では、3個ずつ分けた状態で第1の連結部材20Aと3個の第2の連結部材20Bとを取り付けているが、1つおきに取り付けてもよい。また、6個に限ることもなく、それぞれ2個ずつあるいは4個ずつなどであってもよい。
【0019】
他方の分割部材10Bも同じ形状であり、円盤状である側板部材3と、そこに一体成形された円筒状コア部2bとを有している。そして、円筒状コア部2b先端の分割面P1には、同じようにして、3個の第1の連結部材20Aと3個の第2の連結部材20Bとが固定される。前記のように、この樹脂発泡体製リール1では、コア部材2の中心軸線方向の中央部に位置する分割面P1により2分割して分割部材10A,10Bとしているので、2つの分割片は同じ成形型で成形することができる。
【0020】
2つの分割部材10A,10Bを一体化するに際しては、双方の分割面P1を対向させ、かつ、一方が他方に対して180°回転した姿勢とする。その状態で双方を接近させる。それにより、一方の連結部材20Aの中に他方の連結部材20Bが、蛇腹状凹凸を適宜変形させながら次第に嵌入していくようになり、双方の分割面P1が衝接した時点で、組み付け作業は終了する。その状態を放置することにより、蛇腹状凹凸はほぼ元姿勢に復帰する。なお、本発明のリールにおいて、このような変形と変形後の復帰は分割部材が樹脂発泡体製であることも要因となって確実に進行する。図2は組み付け終了時でのリールの断面を示している。
【0021】
上記のように、本発明による樹脂発泡体製リールでは、各分割部材の組み付け一体化に接着剤をまったく使用しないので、組み付け作業も容易であり、また、接着剤の巻き取り面へのはみ出しによる不都合も生じない。図5に示すように、コア部材に軸方向の凹凸係合部51、52を多数形成し、凹凸係合部を相互に係合させることによって、接着剤を用いずに1つのリールとして組み立てることもできる。しかし、この態様のものは、組み付け状態が充分でなく、軸方向に分離しやすい。それを防ぐためには、図示しない固定用の他の部材を中心孔53に挿入するか、接合面に接着剤を塗布することが必要となる。また、このような形状の分割部材を成形する金型を製造するのも容易でない。本発明による樹脂発泡体製リールはこのような不都合を簡単な構成でもって解消している。
【0022】
図4は本発明による樹脂発泡体製リールで用いる連結部材の他の態様を示している。この連結部材20A,20Bは、姿勢安定用のフランジ25A,25Bを、第1の連結部材20Aにおいてはその底面22Aの部分に、第2の連結部材20Bにおいてはその円筒部21Bの先端に、それぞれ取り付けている点で、前記した連結部材10A,10Bと相違している。このようなフランジ25A,25Bを備えることにより、軸方向に必要以上の引張力が作用したときに、連結部材20A,20Bが分割部材10A,10Bから分離するのを回避することができる。
【0023】
上記した樹脂発泡体製リールでは、分割部材の分割面に第1と第2の連結部材20A,20Bの双方を取り付けるようにしたが、1つの分割面に一方の連結部材(例えば、連結部材20A)のみを取り付けてもよい。ただし、その際には、組み付けられる相手方の分割部材の分割面には、他方の連結部材(例えば、連結部材20B)のみが取り付けられる。また、図示のものでは第2の連結部材20Bを中空のものとして示したが、中実体であってもよい。さらに、第1の連結部材20Aの開放側先端を分割面P1と一致するようにしたが、多少は内側に入り込んでいても、また、外側に飛び出していても、実際上は差し支えない。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の分割部材を一体に組み付けて作られる樹脂発泡体製リールにおいて、接着剤を用いないで各分割部材を堅固に組み付けることが可能となる。それにより、組み付け作業は容易化すると共に、接着剤のはみ出しによる不都合が生じるのを完全に解消することができる。また、樹脂発泡体製である各分割部材の形状を単純化できるので、その成形を容易化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による樹脂発泡体製リールの全体を示す斜視図。
【図2】図1のII−II線による断面図。
【図3】樹脂発泡体製リールを構成する各分割部材とその組み付け方法を説明する図。
【図4】本発明に用いる連結部材の他の例を説明する図。
【図5】分割部材を組み付けて作られるリールの他の例を示す図。
【符号の説明】
1…樹脂発泡体製リール、2…コア部材、3…側板部材、L…円筒状コア部材の中心軸線、P,P1…中心軸線に交差した分割面、10A,10B…分割部材、20(20A,20B)…連結部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア部材とその両側に位置する左右の側板部材とを備えた樹脂発泡体製のリール、特に、光ファイバーケーブルや電線などの巻き取りに好適な樹脂発泡体製リールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の巻き取り用リールとして木製のものが多く使用されてきたが、軽量化の観点から合成樹脂発泡体製のものや紙材を用いたものも使用されるようになってきている。また、複数の分割部材を接着剤により接着一体化して1個のリールとして組み立てることも行われている。
【0003】
実開平6−14178号公報には、ビーズ発泡成形などの合成樹脂発泡体で全体が作られたリールが記載されている。ここでは、同形に成形された左右一対の側部体(分割部材)を用いており、各側部体の中心位置にコア部材を一体成形している。コア部材同士の対向面であるコア部材の中心軸線に垂直方向の分割面には凸起と該凸起が嵌合し得る凹穴とが交互に形成されており、凹穴内に接着剤を塗布した状態で、凸起が凹穴内に嵌合するように2つの側部体を組み付けることにより、両者が接着一体化して樹脂発泡体製リールが構成される。凹穴内に塗布した接着剤がコア部材の表面に飛び出ると凹凸が生じて巻き取りに支障がきたすので、余分な接着剤の逃げ場の役目を果たす縦溝が凹穴に縦方向に形成されている。
【0004】
実開平6−42870号公報には硬質板状の紙材を主材料とするケーブル巻き取り用リールが記載されている。リールは左右の側板とコア部材とからなっており、側板に貼り合わせた小径円板の周囲に接着剤を塗布した状態で円筒状のコア部材を嵌め込み接着することで一体化している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平6−14178号公報に記載される樹脂発泡体製リールは、左右一対の側部材を同じ成形型を用いて成形することができる利点がある。また、接着剤により一体に接着する前の各側部材は、分割部材として小さなスペースに収容保管しておくことができる。さらに、余分な接着剤は凹穴に形成した縦溝内に逃げ込むことができるので、適量の接着剤を使用する限り、コア部材の巻き取り表面に接着剤がはみ出ることはない。しかし、複数ある凹穴内のすべてに適量の接着剤を塗布する作業は容易でなく、慎重な作業を必要としている。
【0006】
特開平6−42870号公報に記載されるリールも、接着剤の塗布作業は必須であり、しかも、塗布した接着剤の量次第では、接着剤がコア部材の端面と側板の内側面との隙間を通ってコア部材の外表面にまではみ出てしまう。外側にはみ出した接着剤はコア部材の表面に凹凸を形成し、巻き取り物品が光ファイバーケーブルのように精巧な物品の場合には、悪影響を及ぼす。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、複数の分割部材を一体に組み付けて作られる樹脂発泡体製リールにおいて、接着剤を用いないで各分割部材を堅固に組み付けることを可能とし、それにより、組み付け作業を容易化すると共に、接着剤のはみ出しによる上記のような不都合が生じるのを解消することを目的とする。また、本発明の他の目的は、樹脂発泡体製である各分割部材の形状を単純化して、その成形をも容易化することのできる樹脂発泡体製リールを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明による樹脂発泡体製リールは、基本的に、コア部材とその両側に位置する左右の側板部材とを備えた樹脂発泡体製のリールにおいて、該リールはコア部材の中心軸線に交差方向(垂直方向が望ましいが、これに限らない)の分割面により分割された2個以上の分割部材により構成されており、対向する各分割部材は、分割部材の成形時にその分割面に一体に固定された連結部材が相互に連結状態となることにより連結一体化されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成である樹脂発泡体製リールでは、各分割部材は、発泡成形時に一体化された連結部材を互いに嵌合するなどにより連結状態とすることのみで、相互に連結一体化されており、組み付けに接着剤をまったく使用しない。そのために、コア部材表面への接着剤のはみ出し現象に伴う不都合を完全に回避することができる。また、成形型から取り出した各分割部材を、接着剤の塗布作業などを行うことなく、その分割面を対向させた状態でそのまま押し付ければ組み付けが完了するので、組み付け作業はきわめて容易となる。一体化は連結部材によってもっぱら行われるので、分割面は単に平坦面でよく、成形型も簡素化できる。
【0010】
連結部材は、相互に押し付けることによりしっかりと連結状態となる形式のものであれば任意であるが、一方が蛇腹状凹凸を周面に有する中空部材であり、他方が該中空部材に形成された蛇腹状凹凸と噛み合うことのできる蛇腹状凹凸を周面に有する部材であり、対向する分割部材を互いの分割面を対向させた姿勢で押し付けたときに、一方が他方に内嵌合あるいは外嵌合することにより連結部材の相互の連結状態が形成されるような連結部材は、組み付けが容易であること、組み付け状態が堅固であり、組み付け後は容易には分離しないこと、などの理由からきわめて好ましい。
【0011】
連結部材の材料としては、嵌入時に適度に変形し、また嵌合後にほぼ元姿勢に復帰して蛇腹状凹凸の噛み合いによる係合状態を維持できる材料が望ましく、アルミニウムやステンレスのような金属材料、樹脂材料などを用いることができる。嵌合性が良く強度もあるアルミニウムは特に好ましい。
【0012】
本発明の樹脂発泡体製リールにおいて、リールを構成する分割部材の数は2個に限らず、3個以上であってもよい。また、分割面は、コア部材の位置に形成することが好ましいが、左右の側板部材とコア部材の繋ぎ目部分に形成してもよい。分割部材の数が多くなるほど各分割部材の容積を小さくすることができ、組み付け前の各分割部材の保管スペースを少なくできる利点がある。しかし、一方において、多種の成形型を必要とし、また、多くの連結部材を必要とする。組み付け工程も多くなる。従って、実際の樹脂発泡体製リールにおいては、1つの分割面がコア部材の中心軸線方向の中央部に形成されているものが好ましい。
【0013】
本発明による樹脂発泡体製リールは任意の樹脂材料で作ることができるが、ビーズ発泡成形による合成樹脂発泡体は、成形のし易さ、軽量でありながら所要の強度を備えること、などの理由から最も好ましい。中でも、発泡状態での粒子径が1mm前後のポリスチレン系樹脂発泡ビーズによる発泡体で、発泡倍率が数倍から10倍程度の発泡体が特に好適に用いられる。他に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂による合成樹脂発泡体でもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明による樹脂発泡体製リールを実施の形態に基づきより詳細に説明する。図1は一実施の形態である樹脂発泡体製リール全体を示す斜視図、図2は図1のII−II線による断面図、図3は樹脂発泡体製リールを構成する各分割部材とその組み付け方法を説明する図、図4は他の態様の連結部材を説明する図である。
【0015】
樹脂発泡体製リール1は、円筒状コア部材2とその両側に位置する左右の側板部材3、3とを備えると共に、円筒状コア部材2の中心軸線Lに好ましくは垂直な分割面Pにより分割された2個以上の分割部材が後記する接合部材により一体に接合されて形成される。この例では、円筒状コア部材2の中心軸線方向の中央部に位置する分割面P1により樹脂発泡体製リール1は2分割されている。好ましくは、2つの分割部材10A,10Bは共に型内ビーズ発泡成形により一体成形される。
【0016】
一方の分割部材10Aは、円盤状である側板部材3と、そこに一体成形された円筒状のコア部2aとを有し、コア部2aの内部は中空とされている。必須ではないが、型抜きを容易にするために、分割面P1側が薄くなるように内面2c側にテーパが付けてある。分割面P1には、円周方向に等しい間隔をおいて6個の連結部材20が取り付けてある。
【0017】
図示の例では、連結部材20は3個の第1の連結部材20Aと3個の第2の連結部材20Bとで構成される。第1の連結部材20Aは、アルミ材の成形品であり、周面に蛇腹状凹凸を有する円筒部21Aと底面22Aとからなる。第2の連結部材20Bもアルミ材の成形品であり、同様に、周面に蛇腹状凹凸を有する円筒部21Bと底面22Bとからなる。ただし、第2の連結部材20Bの円筒部21Bの長さは第1の連結部材20Aの円筒部21Aの長さよりも長く、かつ、その外形寸法は第1の連結部材20Aの円筒部21Aに密接した状態で内嵌合できる大きさとされている。蛇腹状凹凸の寸法も実質的に同じようにされる。従って、第1の連結部材20Aの内部空間に第2の連結部材20Bの円筒部21Bを挿入していくと、双方の蛇腹状凹凸が適度に変形しあいながら挿入が進行し、挿入を停止した後は、双方の蛇腹状凹凸ほぼ元姿勢に復帰して蛇腹状凹凸同士の噛み合いによる係合状態ができあがる。
【0018】
3個の第1の連結部材20Aと3個の第2の連結部材20Bとは、分割部材10Aを型内発泡成形するのに用いる成形型内の所定位置に60°の間隔をおいて配置され、定法により型内発泡成形が行われて、成形後の分割部材10A内に一体に取り付けられる。その際に、第1の連結部材20Aはその開放側先端が分割面P1とほぼ同じ面となるように、また、第2の連結部材20Bはその底面22Bが分割面P1よりも好ましくは第1の連結部材20Aの内部空間の深さ分だけ突出するようにして配置する。それにより、成形後の分割部材10Aの分割面P1には、図3に示すように、60°の間隔をおいて3個の第1の連結部材20Aが内部空間を開放した姿勢で、また、3個の第2の連結部材20Bが円筒部21Bの一部を突出させた姿勢で、一体に固定される。なお、図示の例では、3個ずつ分けた状態で第1の連結部材20Aと3個の第2の連結部材20Bとを取り付けているが、1つおきに取り付けてもよい。また、6個に限ることもなく、それぞれ2個ずつあるいは4個ずつなどであってもよい。
【0019】
他方の分割部材10Bも同じ形状であり、円盤状である側板部材3と、そこに一体成形された円筒状コア部2bとを有している。そして、円筒状コア部2b先端の分割面P1には、同じようにして、3個の第1の連結部材20Aと3個の第2の連結部材20Bとが固定される。前記のように、この樹脂発泡体製リール1では、コア部材2の中心軸線方向の中央部に位置する分割面P1により2分割して分割部材10A,10Bとしているので、2つの分割片は同じ成形型で成形することができる。
【0020】
2つの分割部材10A,10Bを一体化するに際しては、双方の分割面P1を対向させ、かつ、一方が他方に対して180°回転した姿勢とする。その状態で双方を接近させる。それにより、一方の連結部材20Aの中に他方の連結部材20Bが、蛇腹状凹凸を適宜変形させながら次第に嵌入していくようになり、双方の分割面P1が衝接した時点で、組み付け作業は終了する。その状態を放置することにより、蛇腹状凹凸はほぼ元姿勢に復帰する。なお、本発明のリールにおいて、このような変形と変形後の復帰は分割部材が樹脂発泡体製であることも要因となって確実に進行する。図2は組み付け終了時でのリールの断面を示している。
【0021】
上記のように、本発明による樹脂発泡体製リールでは、各分割部材の組み付け一体化に接着剤をまったく使用しないので、組み付け作業も容易であり、また、接着剤の巻き取り面へのはみ出しによる不都合も生じない。図5に示すように、コア部材に軸方向の凹凸係合部51、52を多数形成し、凹凸係合部を相互に係合させることによって、接着剤を用いずに1つのリールとして組み立てることもできる。しかし、この態様のものは、組み付け状態が充分でなく、軸方向に分離しやすい。それを防ぐためには、図示しない固定用の他の部材を中心孔53に挿入するか、接合面に接着剤を塗布することが必要となる。また、このような形状の分割部材を成形する金型を製造するのも容易でない。本発明による樹脂発泡体製リールはこのような不都合を簡単な構成でもって解消している。
【0022】
図4は本発明による樹脂発泡体製リールで用いる連結部材の他の態様を示している。この連結部材20A,20Bは、姿勢安定用のフランジ25A,25Bを、第1の連結部材20Aにおいてはその底面22Aの部分に、第2の連結部材20Bにおいてはその円筒部21Bの先端に、それぞれ取り付けている点で、前記した連結部材10A,10Bと相違している。このようなフランジ25A,25Bを備えることにより、軸方向に必要以上の引張力が作用したときに、連結部材20A,20Bが分割部材10A,10Bから分離するのを回避することができる。
【0023】
上記した樹脂発泡体製リールでは、分割部材の分割面に第1と第2の連結部材20A,20Bの双方を取り付けるようにしたが、1つの分割面に一方の連結部材(例えば、連結部材20A)のみを取り付けてもよい。ただし、その際には、組み付けられる相手方の分割部材の分割面には、他方の連結部材(例えば、連結部材20B)のみが取り付けられる。また、図示のものでは第2の連結部材20Bを中空のものとして示したが、中実体であってもよい。さらに、第1の連結部材20Aの開放側先端を分割面P1と一致するようにしたが、多少は内側に入り込んでいても、また、外側に飛び出していても、実際上は差し支えない。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の分割部材を一体に組み付けて作られる樹脂発泡体製リールにおいて、接着剤を用いないで各分割部材を堅固に組み付けることが可能となる。それにより、組み付け作業は容易化すると共に、接着剤のはみ出しによる不都合が生じるのを完全に解消することができる。また、樹脂発泡体製である各分割部材の形状を単純化できるので、その成形を容易化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による樹脂発泡体製リールの全体を示す斜視図。
【図2】図1のII−II線による断面図。
【図3】樹脂発泡体製リールを構成する各分割部材とその組み付け方法を説明する図。
【図4】本発明に用いる連結部材の他の例を説明する図。
【図5】分割部材を組み付けて作られるリールの他の例を示す図。
【符号の説明】
1…樹脂発泡体製リール、2…コア部材、3…側板部材、L…円筒状コア部材の中心軸線、P,P1…中心軸線に交差した分割面、10A,10B…分割部材、20(20A,20B)…連結部材
Claims (3)
- コア部材とその両側に位置する左右の側板部材とを備えた樹脂発泡体製のリールであり、該樹脂発泡体製リールはコア部材の中心軸線に交差方向の分割面により分割された2個以上の分割部材により構成されており、対向する各分割部材は、分割部材の成形時にその分割面に一体に固定された連結部材が相互に連結状態となることにより連結一体化されていることを特徴とする樹脂発泡体製リール。
- 連結部材は、一方が蛇腹状凹凸を周面に有する中空部材であり、他方が該中空部材に形成された蛇腹状凹凸と噛み合うことのできる蛇腹状凹凸を周面に有する部材であり、一方が他方に内嵌合あるいは外嵌合することにより連結部材の相互の連結状態が形成されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂発泡体製リール。
- 連結部材は、金属材料または樹脂材料で作られていることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂発泡体製リール。
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JP2002241377A JP2004075367A (ja) | 2002-08-22 | 2002-08-22 | 樹脂発泡体製リール |
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ID=32023874
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004075367A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013124168A (ja) * | 2011-12-15 | 2013-06-24 | Kazuhiro Kawasaki | 巻取リール |
CN103213880A (zh) * | 2012-01-19 | 2013-07-24 | 村角株式会社 | 卷筒芯 |
JP2015044688A (ja) * | 2013-08-29 | 2015-03-12 | 村角株式会社 | 巻き芯 |
CN105035875A (zh) * | 2015-08-17 | 2015-11-11 | 吴江金叶织造有限公司 | 一种便于存放的纺织纱管 |
-
2002
- 2002-08-22 JP JP2002241377A patent/JP2004075367A/ja active Pending
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