JP5816427B2 - リール構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工業製品等の保持に有用な構造体、特にリール状構造体及びその製造方法に関する。
従来、微小な電子部品を収納、運搬、供給するために、TAB(Tape Automated Bonding)テープ等、テープ状に部品等を固定または収納したキャリアテープが広く利用されている。これは、一般にキャリアテープ用リールに巻回して保存・運搬される。
このリールとしては様々な形状のものが提案されているが、典型的にはキャリアテープ用リール(以下、「リール」と略する。)は、図1(A)及びそのAAにおける断面図(B)に示すように、キャリアテープが巻きつけられるコア21と、該コアの上下に固定される円盤状に形成された一対22a、22bのフランジとを備えてなる構造体20である(例えば、特許文献1(特開平5−330745号公報)参照)。しかし、このようなリールは、複数を積み重ねた際にリールの厚み×個数分の厚みをなすため、運搬、保管において嵩高となり、不便であった。
特許文献2(実開昭60−85557号公報)に記載のリールは、複雑な形状のリブを有する側板、テープ幅の約1/2の高さを有する突成面、係止切欠を有する軸孔等を備えた同型の半割体を薄肉のプラスチックシートで真空成型し、二個一対の半割体を上記突成面で互いに嵌合可能な凹凸によって接合可能としてリールを完成するものである。
この種のリールは、その構成によって製品コストも安価であり、運搬・保管の際も、突成面を同一向きに積み重ねれば、突成面が嵌り合って積み嵩も抑制できるとして提案されたものであるが、薄肉のプラスチックシート製であるため、重量がある割に強度面や変形たわみなどの面で問題があり、かつまた半割体の接合が相互の凹凸嵌合によるもので組成製造における作業性が悪かった。
そこで、外周縁内面にアールを付した側板が一体の軸孔を有する半截巻芯の係接端面にそれぞれテーパ外周の相互嵌合可能な凹凸部を対設した同型の半割体を発泡性合成樹脂材料で構成し、該半割体を凹凸部嵌合によって係接端面において接合させたものも提案されているが(特許文献3(実開平06−020370)参照)、この構成のリールにおいても、成型上、側板のたわみを排除することは困難であると共に、複雑な形状の型を必要とし、コストの面で問題がある。また、この構造では、運搬・保管時に嵩高となるという問題が解決できない。
特開平5−330745号公報 実開昭60−85557号公報 実開平6−20370号公報
本発明は、本発明は、上述した諸課題に鑑みてなされたものであり、より安価で、回転時の安定性や安全性が高く、運搬・保管時の嵩高さの問題を解消したリール構造体及びその製造方法を提供することを目的としたものである。
本発明は、一般的に言えば、
[1]少なくとも1つの凹部を有する1対の板状部材を前記凹部の底面どうしが密着する第1の位置で結合した形状を有し得るリール構造体であって、前記板状部材の凹部は凹凸が反転可能であり、いずれか一方のみの板状部材の凹部を反転させた第2の位置を有し得るものであり、前記第2の位置におけるリール構造体の厚みが第1の位置におけるリール構造体の厚みより小さいことを特徴とするリール構造体を提供するものであり、リール構造に即して言えば、板状部材が概ね円盤状の部材であり、前記凹部が円盤の中心と同心円をなす領域により形成され、前記凹部が円盤の中心から半径r1の同心円をなす領域により形成され、そのうち中心から半径r2(ここで、r1>r2)の同心円をなす領域が実質的に平坦な底面を形成し、中心からの距離がr2からr1にかけての領域が傾斜面を形成している上記のリール構造体に関する。
本発明には、さらに以下のリール構造体及びその製造方法に関する。
[2]中心から半径r1の円周部及び/または中心から半径r2の円周部に反転補助構造を有する前記[]のいずれかに記載のリール構造体。
]反転補助構造が溝または突起部である前記[]に記載のリール構造体。
]中心からr1から円盤の周に至る領域に、円盤内において半径に対し一定の方向を向いたパターンを有し、前記パターンの前記方向が相対する円盤において異なる方向を向いている前記[]〜[]のいずれかに記載のリール構造体。
]前記凹部の底面どうしが密着が一体成形、融着または接着によるものである前記[]〜[]のいずれかに記載のリール構造体。
]前記凹部の底面どうしが密着する第1の位置においてリールとして機能し、リールとしての使用前後はいずれか一方のみの部材の凹部を反転させた第2の位置として保持可能な前記[]〜[]のいずれかに記載のリール構造体。
]リールに巻き回すテープが電子部品製造用テープである、電子部品製造用の前記[]に記載のリール構造体。
前記[1]〜[7]のいずれかに記載のリール構造体の製造方法であって、円盤の中心と同心円をなす領域に凹部を有する円盤状部材を製造し、2枚の前記円盤状部材を前記凹部の底面どうしが密着した位置に保持して結合することを特徴とするリール構造体の製造方法。
本発明の構造体は、凹部の底面どうしが密着する第1の位置では、フランジ(上述の説明でいう「板状部材」または「円盤状部材」)間が一定距離に保持される剛構造を形成するとともに、一方の凹部を反転させると、前記フランジ間の距離が実質的にゼロとなり、占有する空間の容積を著しく低減できる。
従来技術におけるコア−フランジ構造のリールの上面図(A)及びそのAA面における断面図(B)である。 本発明の第1の実施形態における構造体の構成を示す上面図(A)及びそのBB面における断面図(B)である。 本発明の第1の実施形態における構造体の斜視図である。 本発明の構造体における凹凸反転過程を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態における構造体の斜視図である。 本発明の構造体における凹凸反転補助構造を示す模式図である。 本発明の構造体における体積の縮減過程を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態における構造体の斜視図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。なお、以下の説明では主として円盤状の部材を用いたリール状構造体について説明するが、矩形状その他、任意の形状の部材を用いてもその間が一定距離に保持される剛構造を形成するとともに、一方の凹部を反転させると、前記部材間の距離が実質的にゼロとなり、占有する空間の容積を著しく低減できる。
(第1の実施形態)
図2は、本発明に係る構造体の上面図(A)及びそのBB面における断面図(B)であり、図3はその斜視図である。
図2〜3において、円盤状の部材2a及び2bは円盤の中心にそれぞれ凹部1a及び1bを有する同形部材である。これらの部材は凹部の底面3aと3bが相対して密着し得る第1の位置で結合した形状を有している(なお、後述の通り図2(B)の上段に示すように底面3aと3bとは一体となって面3を形成していてもよい)。この凹部の形状は当該結合状態において、いずれか一方の凹部の凹凸を反転され得るように形成される。この限りにおいてその形状は特に限定されないが、通常は、前記凹部1a(1b)が円盤の中心Cから半径r1の同心円をなす領域により形成され、そのうち中心から半径r2(ここで、r1>r2)の同心円をなす領域が実質的に平坦な底面3a及び3b(または一体となって3)を形成し、中心からの距離がr2からr1にかけての領域が傾斜面4a及び4bを形成する構造が好ましい。
すなわち、図2〜3の構造において、上記凹部1a及び1bとして表される円錐台状の構造は円錐台の高さ方向に剛性を示し、所定の圧力が軸方向に掛からない限り、円盤状の部材1a及び1bは所定の距離(例えば、テープリールの場合、テープ幅にほぼ相当)に保持されている。ここで、軸方向に所定以上の圧力を負荷すると、一方の円錐台形状が図4に示すように反転する。図4においてAは当初の状態であり、円盤状部材2aと2bは凹部の凹み分t1のほぼ2倍の距離で隔てられた状態にある。ここで、軸方向に所定以上の圧力を負荷すると、構造体はB(反転初期)、C(反転中期)を経て、D(反転完了状態)に至る。この時点での厚みは実質的にt1であり、当初の約半分の厚みとなる。
本発明の上記構造体は、全体を一体成型して製造することができるが、対となる構造それぞれを形成し、しかる後にそれぞれの凹部の底面が互いに密着するように配置し、融着または接着してもよい。
上記構造体の材料は、このような成型時の特性と前記第1の位置で必要とされる剛性及び圧力を負荷した際の反転の容易さ(これらは使用目的によって決定される)にもよるが、一般には樹脂、金属等であり、特に樹脂が好ましく、これらを真空成型、薄肉射出成型等により製造する。
(第2の実施形態)
構造体10には、その目的に応じて適宜、他の構造を設ける。例えば、図5に示すように、外周面5a(5b)と凹部と円盤部との接続部分7A(7B)との間にスポーク状構造6a(6b)を設ける。スポーク状構造6a(6b)以外の部分は薄肉な円盤としてもよいし(この場合、スポーク状構造6a(6b)はリブ構造となる)、あるいはスポーク状構造6a(6b)が十分に剛性を有する場合、それ以外の部分は開口部としてもよい(この場合、円盤状部材2a及び2bは車輪状となるが、本願において円盤はそのような形状をも含むものとする)。
また、構造体10をリールとして用いる場合、その中心部には、回転軸を挿入するための軸穴4を設ける。軸穴4は一般には軸と係合してその回転力を伝える形状(例えば、半径方向外周に向けて1以上の凸部を有する形状)を有する。
円周部7a(7b)は、単純に外周面5a(5b)と凹部と円盤部とが接続する構造としてもよい。底面3a(3b)と傾斜部との境界においても同様であり、すなわち、これらの部分の断面が単純に屈曲しているだけでもよい。もっとも、好ましくはこれらの部分に反転補助構造を設ける。反転補助構造は、所定の圧力を加えたときに反転を円滑かつ均一に生じさせる目的で設けるものであり、図6(A)に示すように切り欠け11a、11bとしてもよいし、図6(B)に示すように溝12a、12b,13としてもよい。これらの切り欠け及び/または溝は、当該部分の全周にわたって設けてもよいし、一部に断続的に設けてもよい。図6Bの構造の場合、溝に円筒状部材を嵌め込み、テープを円滑に巻き取るように構成することも可能である。
本発明による構造体は、図4に示すように、凹凸の反転によって厚みをほぼ半分とすることができるが、この場合、同じ方向に反転を行えば、図7に示すようにさらに効果的である。すなわち、図7では、凹凸どうしが互いに嵌り合うために、多数枚の構造体を積み重ねて(A)一度に圧力を加えた場合に、全体の厚みを著しく低減できる(B)。なお、この際、凹凸が一方方向に反転するように、前記の反転補助構造を対となる円盤状部材で非対称としてもよい。例えば、溝の深さやリブの厚みを非対称としたり、全周における割合を非対称とすることが可能である。
(第3の実施形態)
上記の形態では、円盤状部材の表面には同じ形状の構造(上記のスポーク状構造6a(6b))を設けたが、別の実施形態では、図8に示すように、円盤内において半径に対し一定の方向を向いたパターンP1を設ける。図7では概ね三日月型形状のパターンP1を設けているが、矢印型でもよいし、すべてが同じ形状でなくてもよい。この場合、対となる他方の円盤には、前記と同形で方向が逆のパターンP2を設ける。これにより、全体として角面の剛性が補強され、円盤平面内の半径方向の強度が増大する。
本発明の構造体は様々な物品の保持に利用できるが、特に円盤状構造を有する場合にはリール状構造体として様々なテープを保持するのに用いることができる。例えば、半導体部品や電子装置製造用のTAB(Tape Automated Bonding)テープが含まれるが、これらに限定されることなく、様々なテープキャリアとして利用可能である。
1a、1b・・・凹部
2a、2b・・・円盤状部材
3a、3b・・・底部
4a、4b・・・傾斜部
5・・・軸穴
6a、6b・・・スポーク構造
10・・・巻回リール(本発明)
20・・・巻回リール(従来品)
21・・・コア

Claims (8)

  1. 少なくとも1つの凹部を有する1対の板状部材を前記凹部の底面どうしが密着する第1の位置で結合した形状を有し得る構造体であって、前記板状部材の凹部は凹凸が反転可能であり、いずれか一方のみの板状部材の凹部を反転させた第2の位置を有し得るものであり、前記第2の位置における構造体の厚みが第1の位置における構造体の厚みより小さく、前記板状部材が概ね円盤状の部材であり、前記凹部が円盤の中心と同心円をなす領域により形成され、前記凹部が円盤の中心から半径r1の同心円をなす領域により形成され、そのうち中心から半径r2(ここで、r1>r2)の同心円をなす領域が実質的に平坦な底面を形成し、中心からの距離がr2からr1にかけての領域が傾斜面を形成することを特徴とするリール構造体。
  2. 中心から半径r1の円周部及び/または中心から半径r2の円周部に反転補助構造を有する請求項に記載のリール構造体。
  3. 反転補助構造が溝または突起部である請求項に記載のリール構造体。
  4. 中心からr1から円盤の周に至る領域に、円盤内において半径に対し一定の方向を向いたパターンを有し、前記パターンの前記方向が相対する円盤において異なる方向を向いている請求項のいずれかに記載のリール構造体。
  5. 前記凹部の底面どうしが密着が一体成形、融着または接着によるものである請求項のいずれかに記載のリール構造体。
  6. 前記凹部の底面どうしが密着する第1の位置においてリールとして機能し、リールとしての使用前後はいずれか一方のみの部材の凹部を反転させた第2の位置として保持可能な請求項のいずれかに記載のリール構造体。
  7. リールに巻き回すテープが電子部品製造用テープである、電子部品製造用の、請求項に記載のリール構造体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のリール構造体の製造方法であって、円盤の中心と同心円をなす領域に凹部を有する円盤状部材を製造し、2枚の前記円盤状部材を前記凹部の底面どうしが密着した位置に保持して結合することを特徴とするリール構造体の製造方法。
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