JP2004073050A - 発酵処理植物の製造方法及び乳酸発酵処理物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】沖縄に自生しうるミカン科(Rutaceae)植物及び/又はキク科(Asteraceae)植物を、乳酸菌、乳酸菌と酵母、乳酸菌と枯草菌、又は乳酸菌と酵母と枯草菌を用いて発酵させる。発酵菌が、ラクトバシルス・プランタリム、ストレプトコッカス・サーモフィルス、バシルス・ズブチルスの混合菌であることが好ましく、ミカン科植物が、シークワーサー(Citrus depressa)であり、キク科植物が、ニガナ(Ixeris dentata)であることが好ましい。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、沖縄に自生し得るミカン科植物やキク科植物等を、乳酸菌、酵母、枯草菌等により発酵させる発酵処理植物の製造方法や発酵処理植物、これを含有する食品素材や食品に関し、より詳しくはニガナやシークワーサーを使用した乳酸発酵処理物等に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニガナはキク科ニガナ属に属する多年草で、葉や茎に苦味のある白い乳液を含み、山地や野原にごく普通に植生し、沖縄でもよく見られる。ニガナは血液中に存在するペプチドのアンジオテイシンIが酵素の作用によりアンジオテイシンIIへ変換されるのを抑制する機能(ACE活性阻害機能)を有する成分を含有し、これにより血圧上昇抑制効果を奏することが知られているが、食材としてはその渋味やえぐ味により利用されていない。
また、シークワーサーは、和名をヒラミレモンとする奄美以南に自生するミカン科の常緑低木であり、沖縄では馴染みの植物であり、その果実はスダチや、カボスに似た緑色の外果皮を有し、果汁は独特の酸味を有し、飲料や、食物の調味に利用されている。果汁にはノビレチンやタンジェレチンなどのフラボノイド等の成分が大量に含まれ、疲労回復、高血圧、糖尿、美肌等に効果があると言われているが、外果皮は渋味やえぐ味を有するため、食材として活用されてはいない。
【0003】
一方、特開平6−225723号公報には、ニガナ全草等を凍結乾燥後、その粉砕した粉砕物を水抽出して得られた抽出物を含み、且つアンジオテイシン変換酵素の存在下において、アンジオテイシンIからアンジオテイシンIIの変換抑制機能(ACE活性阻害機能)を有する食品添加剤が記載されている。しかしながら、この食品添加剤はニガナ全草を乾燥、水抽出したものであり、ニガナそのものを食材とするのと基本的には何ら変わるものではなく、食味が改良された食品素材として利用するには問題があった。
【0004】
また、特開2001−333733号公報には、ヒラミレモン等の植物の乾燥粉末または抽出物を有効成分とするα−アミラーゼ活性を阻害する物質が記載され、特開平10−108654号公報には、サトウキビの原液と、ヒラミレモン等の植物原液とを混合してなるサトウキビの原液を含む飲料が記載され、特開平8−238058号公報には、白砂糖やさらし水飴などの飴基材をヒラミレモンの果汁に溶かして煮詰めたものに、紅芋をアルファー化して乾燥した粉末を混合する紅芋飴の製造法等が記載され、特開平7−167538号公報には、煮出し成分を抽出した薬草液にヒラミレモン、酢を調合混入し分離を防ぎ、次に水、甘味、果汁を混入し適度な味付をし製氷する薬草入り氷の製造方法が記載されている。しかしながら、これらの食品素材等もシークワーサー(ヒラミレモン)の乾燥粉末又は抽出物を利用したり、果汁に添加物を加え食味を改良したものであり、シークワーサーそのものを食品とし、又は、シークワーサーそのものを食品素材とするのと基本的には何ら変わるものではない。
【0005】
また、特開2000−245382号公報には、果皮ならびに果実をペクチナーゼなど分解酵素処理後粉砕液状化し、こうじかびおよび酵母菌などで発酵させて作る柑橘類食品素材の製造方法等が記載されて、特表2001−504510号公報には、化粧品に適合しうる微生物培養物、又はbifidobacterium属のバクテリア等の不活性化培養物を、精油油及び酸と混合した化粧剤が記載されている。しかしながら、特開2000−245382号公報記載の柑橘類食品素材の製造方法は、柑橘類の香味を失うことなく果皮を食材として利用するものであり、乳酸菌を用いて発酵させるものではなく、特表2001−504510号公報記載の化粧剤は、微生物培養物としては酢酸菌若しくは乳酸菌、凍結乾燥した酵母、微生物の縣濁液、発酵した有機物、例えば花粉、好ましくは発酵した花粉から選択された微生物の培養物が用いられ、特表2001−504510号公報には乳酸菌による柑橘類の発酵物については全く記載されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、抗酸化活性や血圧上昇抑制作用を有する成分を含有しながら食味に劣るため利用されていなかった沖縄に自生しうるキク科植物やミカン科植物の有効利用を図り、植物を発酵処理することにより、食味を改善し、且つ植物そのものより抗酸化活性や血圧上昇抑制作用を強化させ、有効ミネラル成分が増加した発酵処理植物の製造方法や、食品素材や食品、特に沖縄に多く自生しているニガナやシークワーサーの有効活用を図った乳酸発酵処理物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、沖縄に自生する植物について、抗酸化活性作用等を有する有効成分を含有しながらその苦味や、えぐ味等の食味の点から食材として利用されていない植物の有効利用を図る研究を行ない、その葉に多量のポリフェノールを含有し糖類分解酵素であるα−アミラーゼ阻害活性等の抗酸化性作用を有するグアバについて、発酵させた葉が薬効を増進しつつ渋味やえぐ味を抑制し食味が改善されることを見い出し、発酵させたグアバの葉を含む発酵食材を既に開発した(特願2001−63142号)。本発明者らは、更なる植物資源の有効利用を図るべく、鋭意研究の結果、ニガナ等のキク科植物の葉やシークワーサー等のミカン科植物の外果皮等の乳酸菌等による発酵処理物は食味が向上され、摂取しやすくなると共に、抗酸化性を有する有効成分のケルセチンの含量が増加し抗酸化作用が増加し、更に血圧上昇抑制作用が強化されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、沖縄に自生しうるミカン科(Rutaceae)植物及び/又はキク科(Asteraceae)植物を、乳酸菌、乳酸菌と酵母、乳酸菌と枯草菌、又は乳酸菌と酵母と枯草菌を用いて発酵させることを特徴とする発酵処理植物の製造方法(請求項1)や、乳酸菌が、ストレプトコッカス属(Storeptococcus)、ラクトバシルス属(Lactobacillus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)又はテトラジェノコッカス属(Tetragenococcus)のいずれかに属することを特徴とする請求項1記載の発酵処理植物の製造方法(請求項2)や、ストレプトコッカス属に属する菌が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(S. thermophilus)であることを特徴とする請求項2記載の発酵処理植物の製造方法(請求項3)や、ラクトバシルス属に属する菌が、ラクトバシルス・プランタリム(L. plantarum)、ラクトバシルス・デルブリッキ(L. delbruckii)、ラクトバシルス・ペントサス(L. pentosus)又はラクトバシルス・カセイ(L. casei)のいずれかに属することを特徴とする請求項2記載の発酵処理植物の製造方法(請求項4)や、テトラジェノコッカス属に属する菌が、テトラジェノ・ハロフィルス(T. halophilus)であることを特徴とする請求項2記載の発酵処理植物の製造方法(請求項5)や、酵母が、カンジダ属(Candida)又はサッカロマイセス属(Saccharomyces)に属することを特徴とする請求項1記載の発酵処理植物の製造方法(請求項6)や、カンジダ属に属する菌が、カンジダ・ビルサチルス(C. versatilis)であることを特徴とする請求項6記載の発酵処理植物の製造方法(請求項7)や、サッカロマイセス属に属する菌が、サッカロマイセス・セレビシアエ(S. cerevisiae)であることを特徴とする請求項6記載の発酵処理植物の製造方法(請求項8)や、枯草菌が、バシルス・ズブチルス(B. subtilis)であることを特徴とする請求項1記載の発酵処理植物の製造方法(請求項9)や、ラクトバシルス・プランタリム、ストレプトコッカス・サーモフィルス、バシルス・ズブチルスの混合菌を用いることを特徴とする請求項1記載の発酵処理植物の製造方法(請求項10)や、沖縄に自生しうるミカン科植物が、シークワーサー(Citrus depressa)であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の発酵処理植物の製造方法(請求項11)や、シークワーサー果皮を用いることを特徴とする請求項11記載の発酵処理植物の製造方法(請求項12)や、沖縄に自生しうるキク科植物が、ニガナ(Ixeris dentata)であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の発酵処理植物の製造方法(請求項13)や、ニガナの葉を用いることを特徴とする請求項13記載の発酵処理植物の製造方法(請求項14)や、キク科植物の乾物当たり、ケルセチン含量が10重量%以上となるまで発酵することを特徴とする請求項1〜10、13、14のいずれか記載の発酵処理植物の製造方法(請求項15)や、ミカン科植物及び/又はキク科植物の乾物1重量部に対し2〜10重量部の水分の存在下で発酵させることを特徴とする請求項1〜15のいずれか記載の発酵処理植物の製造方法(請求項16)や、炭水化物及び/又は蛋白質を添加して発酵させることを特徴とする請求項1〜16記載の発酵処理植物の製造方法(請求項17)や、蛋白質が、米ぬか及び/又はふすまであることを特徴とする請求項17記載の発酵処理植物の製造方法(請求項18)に関する。
【0009】
また本発明は、請求項1〜18のいずれか記載の製造方法により製造された発酵処理植物を含有することを特徴とする食品素材又は食品(請求項19)や、ニガナ(Ixeris dentata)の乳酸発酵処理物であって、ケルセチン含量が10重量%以上であることを特徴とする乳酸発酵処理物(請求項20)や、pHが5以下であることを特徴とする請求項20記載の乳酸発酵処理物(請求項21)や、熱水抽出法により測定した抗酸化活性が、発酵前より30%以上強化されたことを特徴とする請求項20又は21記載の乳酸発酵処理物(請求項22)や、熱水抽出法により測定した血圧上昇抑制効果が、発酵前より20%以上増大されたことを特徴とする請求項20〜22のいずれか記載の乳酸発酵処理物(請求項23)や、葉の処理物であることを特徴とする請求項20〜23のいずれか記載の乳酸発酵処理物(請求項24)や、シークワーサー(Citrus depressa)の乳酸発酵処理物であって、βカロチン法により測定した抗酸化活性が発酵前より10%以上強化されたことを特徴とする乳酸発酵処理物(請求項25)や、pHが3.7以下であることを特徴とする請求項25記載の乳酸発酵処理物(請求項26)や、熱水抽出法により測定した血圧上昇抑制効果が、発酵前より10%以上強化されたことを特徴とする請求項25又は26記載の乳酸発酵処理物(請求項27)や、果皮の処理物であることを特徴とする請求項25〜27のいずれか記載の乳酸発酵処理物(請求項28)や、乳酸菌、乳酸菌と酵母、乳酸菌と枯草菌、又は乳酸菌と酵母と枯草菌による発酵処理物であることを特徴とする請求項20〜28のいずれか記載の乳酸発酵処理物(請求項29)や、乳酸菌が、ストレプトコッカス属(Storeptococcus)、ラクトバシルス属(Lactobacillus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)又はテトラジェノコッカス属(Tetragenococcus)のいずれかに属することを特徴とする請求項29記載の乳酸発酵処理物(請求項30)や、ストレプトコッカス属に属する菌が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(S. thermophilus)であることを特徴とする請求項30記載の乳酸発酵処理物(請求項31)や、ラクトバシリルス属に属する菌が、ラクトバシルス・プランタリム(L. plantarum)、ラクトバシルス・デルブリッキ(L. delbruckii)、ラクトバシルス・ペントサス(L. pentosus)又はラクトバシルス・カセイ(L. casei)のいずれかに属することを特徴とする請求項30記載の乳酸発酵処理物(請求項32)や、テトラジェノコッカス属に属する菌が、テトラジェノ・ハロフィルス(T. halophilus)であることを特徴とする請求項30記載の乳酸発酵処理物(請求項33)や、酵母が、カンジダ属(Candida)又はサッカロマイセス属(Saccharomyces)に属することを特徴とする請求項29記載の乳酸発酵処理物(請求項34)や、カンジダ属に属する菌が、カンジダ・ビルサチルス(C. versatilis)であることを特徴とする請求項34記載の乳酸発酵処理物(請求項35)や、サッカロマイセス属に属する菌が、サッカロマイセス・セレビシアエ(S. cerevisiae)であることを特徴とする請求項34記載の乳酸発酵処理物(請求項36)や、枯草菌が、バシルス・ズブチルス(B. subtilis)であることを特徴とする請求項29記載の乳酸発酵処理物(請求項37)や、ラクトバシルス・プランタリム、ストレプトコッカス・サーモフィルス、バシルス・ズブチルスの混合菌による発酵処理物であることを特徴とする請求項29記載の乳酸発酵処理物(請求項38)に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の発酵処理植物の製造方法は、沖縄に自生しうるミカン科(Rutaceae)植物及び/又はキク科(Asteraceae)植物を、乳酸菌、乳酸菌と酵母、乳酸菌と枯草菌、又は乳酸菌と酵母と枯草菌を用いて発酵させる方法であれば特に制限されるものではなく、上記沖縄に自生しうる植物の中でも、沖縄に自生しているミカン科及び/又はキク科の植物を好適に例示することができる。上記沖縄に自生しうるミカン科の植物としては、沖縄に自生しうるミカン科に属するものであれば、ミカン属、キハダ属、サンショウ属等いずれの属に属するものでもあってもよいが、ミカン属に属する植物が好ましく、例えば、シークワーサー(Citrus depressa Hayata)、ウンシュウミカン(Citrus unshiu)、イヨカン(Citrus iyo)、グレープフルーツ(Citrus paradisi)、 ナツミカン(Citrus natsudaidai)、ユズ(Citrus junos)、ライム(Citrus aurantifolia)、レモン(Citruslimon)等を挙げることができ、このうち特にシークワーサーが好ましい。これらの植物の発酵処理の対象となる部分は、葉、根等であってもよいが、特に、果実が好適であり、このうち果皮が好ましく、果汁を利用した残りの外果皮が特に好ましく、これらは生体であっても、乾燥体であってもよい。
【0011】
また、本発明における沖縄に自生しうるキク科植物としては、沖縄に自生しうるキク科に属するものであれば、ニガナ属、シュンギク属、ヨメナ属、ヨモギ属等いずれの属に属するものであってもよく、例えば、ニガナ(Ixeris dentata)、シュンギク(Chrysanthemum coronarium)、ヨメナ(Kalimeris yomena)、ヨモギ(Artemisia princeps)等を例示することができ、これらのうち特にニガナが好ましい。これらの植物体の発酵処理の対象となる部分としては、全草であっても、また、葉、茎、根、花等、特定の部分であってもよく、これらは生体であっても乾燥体であってもよいが、特に、葉が好ましい。
【0012】
本発明の発酵処理植物の製造方法において、ミカン科植物及び/又はキク科植物を基材として発酵処理するために使用される微生物としては、乳酸菌、酵母、枯草菌を挙げることができ、これらを単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することもできるが、これらのうち乳酸菌を用いることが必要であり、乳酸菌単独、乳酸菌と酵母、乳酸菌と枯草菌、又は、乳酸菌と酵母と枯草菌の組み合わせとして使用することができる。
【0013】
本発明の発酵処理植物の製造方法に用いられる乳酸菌としては、ストレプトコッカス属(Storeptococcus)、ラクトバシルス属(Lactobacillus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)又はテトラジェノコッカス属(Tetragenococcus)のいずれかに属する菌が好ましく、特にラクトバシルス属が好ましい。上記ストレプトコッカス属に属する菌としては、ストレプトコッカス・サーモフィルス(S. thermophilus)であることが好ましく、ストレプトコッカス・サーモフィルスIFO13957菌株を具体的に例示することができる。また、ラクトバシリルス属に属する菌としては、ラクトバシルス・プランタリム(L. plantrum)、ラクトバシルス・デルブリッキ(L. delbruckii)、ラクトバシルス・ペントサス(L. pentosus)又はラクトバシルス・カセイ(L. casei)のいずれかに属する菌であることが好ましく、これらの菌のうち、特にラクトバシルス・プランタリムが好ましい。かかるラクトバシルス・プランタリムとしてIFO14712菌株やIFO14713菌株を、ラクトバシルス・デルブリッキとしてIFO13953菌株を、ラクトバシルス・ペントサスとしてIFO12011菌株を、ラクトバシルス・カセイとしてIFO15883菌株を、それぞれ具体的に例示することができる。また、テトラジェノコッカス属に属する菌としては、テトラジェノ・ハロフィルス(T. halophilus)であることが好ましく、テトラジェノ・ハロフィルスIFO12172菌株を具体的に例示することができる。これら乳酸菌は、ミカン科植物及び/又はキク科植物の乾物1gあたり、通常103〜107個、特に106〜107個用いることが好ましい。
【0014】
また、本発明の発酵処理植物の製造方法において用いられる酵母は、主として香りの改善のために添加され、かかる酵母としては、カンジダ属(Candida)又はサッカロマイセス属(Saccharomyces)に属する菌が好ましい。かかるカンジダ属に属する菌として、カンジダ・ビルサチルス(Candida versatilis)であることが好ましく、カンジダ・ビルサチルスとしてIFO10038菌株を具体的に例示することができる。サッカロマイセス属に属する菌として、サッカロマイセス・セレビシアエ(S. cerevisiae)であることが好ましく、サッカロマイセス・セレビシアエとしてIFO0555菌株を具体的に例示することができる。これら酵母菌は、ミカン科植物及び/又はキク科植物の乾物1gあたり、通常103〜107個、特に106〜107個用いることが好ましい。
【0015】
更に、本発明の発酵処理植物の製造方法において用いられる枯草菌としては、バシルス・ズブチルス(B. subtilis)IFO3013菌株を具体的に例示することができる。これら枯草菌は、ミカン科植物及び/又はキク科植物の乾物1gあたり、通常103〜107個、特に106〜107個用いることが好ましい。
【0016】
本発明の発酵処理植物の製造方法において、好ましく用いられる微生物群としては、乳酸菌、酵母及び枯草菌を含む微生物群が好ましく、これら微生物群の中でも、ラクトバシルス・プランタリム、ストレプトコッカス・サーモフィルス、バシルス・ズブチルスの混合菌であることが好ましく、これらはミカン科植物及び/又はキク科植物の乾物に対し、菌数として同数を使用することが好ましい。このような菌数の組合せにおいて菌を使用することにより、発酵時間の短縮を図り、ひいては雑菌の繁殖を抑制することができる。
【0017】
本発明の発酵植物の製造方法においては、上記ミカン科植物の葉、花、果実や、キク科植物の葉、茎、根、花あるいは全草等の生体又は乾燥体を、3mm以下、好ましくは0.5〜1.0mmの粒径まで粉砕する。3mm以下の粒径とすることにより、発酵菌との接触面積を十分に確保することができ、発酵を効果的に進行させることができ、0.5〜1.0mmの範囲の粒径であれば、かかる効果がより顕著に得られる。このような植物の粉砕物に、発酵の進行を促進するため、乾物1重量部に対し、2〜10重量部、特に5重量部程度の水分を添加することが好ましい。かかる粉砕植物に、上述の菌又は菌群を添加する。菌群は各々菌を培養後、培地へ添加する前に予め混合し、乾燥体である場合の植物の重量に対して、1〜10重量%添加することが好ましい。発酵は、温度20〜50℃、好ましくは40℃で行なわれることが好ましく、発酵時間は、pHや、菌数等の条件による発酵の進行状況や、嗜好により適宜選択することができ、例えば、pH4〜5、菌数106以上であれば、ニガナ等のキク科植物の全草では約72時間、シークワーサー等のミカン科植物の外果皮では約24時間とするのが好ましい。発酵処理時、必要に応じてエアレーションや脱酸素処理を行なうことができるが、脱酸素処理後に静置培養において発酵させることができる。発酵形式は、液体培養でなく固体培養が好ましい。
【0018】
かかる発酵処理において、発酵菌の資化剤として炭水化物や蛋白質を添加することができる。資化剤としての炭水化物は市販のブドウ糖、蔗糖、廃糖蜜等の糖が好ましく、これらの添加量としては培地当たり1〜10重量%が好ましく、特に3重量%前後が適当である。資化剤としての蛋白質は米糠、ふすま等が好ましく、これらの添加量としては培地当たり1〜5重量%が好ましい。これらの資化剤は1種を単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
発酵終了後、乾燥機により水分値が10重量%以下となるように乾燥することが好ましく、乾燥方法としては、加熱乾燥や凍結乾燥によることができ、加熱乾燥の場合は、品温が100℃以下で行われることが、生理活性成分の失活を防止することができるため好ましい。乾燥後、必要に応じて加熱等公知の方法により滅菌処理を行ない、食品素材や、エキスの原料として使用される発酵処理植物が得られる。
【0020】
本発明の発酵処理植物の製造方法により得られる本発明の乳酸発酵処理物は、ニガナ(Ixeris dentata)の乳酸発酵処理物であって、ケルセチン含量が10重量%以上であることを特徴とする。乳酸発酵処理植物のケルセチンの含量は、未発酵植物に含有されるケルセチン配糖体が発酵菌により加水分解を受け、アグリコンである抗酸化活性作用を有するケルセチンが生成される。このため、ニガナの乳酸発酵処理物においては、ケルセチンに起因する抗酸化活性が増大する。発酵前よりケルセチンの含有量が10%以上、特に15%以上増大したものが好ましい。尚、ケルセチンの含有量の測定は、100%エタノールで抽出し、高速液体クロマトグラフィーで測定した値である。
【0021】
また、本発明の乳酸発酵処理物として、ニガナを発酵処理物とする場合は発酵処理物としては、全草であっても、また、葉、茎、根、花等、特定の部分であってもよく、これらは生体であっても乾燥体であってもよいが、特に、乳酸発酵処理物として葉の処理物が好ましい。かかるニガナの発酵処理物はpHが5以下であることが、発酵の進行の程度との関係において好ましい。
【0022】
また、本発明の乳酸発酵処理物として、シークワーサーを発酵処理物とする場合は発酵処理物としては、葉、根等であってもよいが、特に、果実が好適であり、このうち果皮の処理物が好ましく、果汁を利用した残りの外果皮が特に好ましく、これらは生体であっても、乾燥体であってもよい。かかるシークワーサーの発酵処理物はpHが3.7以下であることが、発酵の進行の程度との関係において好ましい。
【0023】
本発明の乳酸発酵処理物は抗酸化活性が発酵前より強化される。抗酸化活性の強度はβカロチン法、DPPH法、ロダン鉄法等により測定することができる。ここで、βカロチン法とは、容易に酸化されることにより黄色が退色して透明になるβカロチンを利用した測定法であって、βカロチンとリノール酸及びサンプルの混合液を自動酸化させ、その退色の度合いを測定することにより抗酸化活性の強度を測定する方法であり、βカロチンの黄色が退色しなければそのサンプルには抗酸化活性があると判断できる。また、DPPH法とは、2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジルを利用したラジカル消去能の測定による方法であり、ロダン鉄法とは、リノール酸の自動酸化の度合いを分光光度計(500nm)で測定する方法である。
本発明の乳酸発酵処理物として、ニガナについては、熱水抽出法で測定した抗酸化活性が発酵処理前と比較して30%以上、特に40%以上強化されたものであることが好ましい。また、シークワーサーについては、βカロチン法で測定した抗酸化活性が発酵処理前と比較して10%以上、特に20%以上強化されたものであることが好ましい。
【0024】
また、本発明の乳酸発酵処理物において、未発酵植物と比較して血圧上昇抑制効果が向上される。これは、本発明により得られる発酵処理植物について、ACE(Angiotensin I Converting enzyme)阻害活性が未発酵植物より増加することに起因する。ACEは、アンギオテンシンIをアンギオテンシンIIへ変換するのに係わるアンギオテンシンI変換酵素であり、アンギオテンシンIIは血圧を上昇させるホルモンであるところから、ACEの活性を阻害することにより、血圧上昇を予防することが可能となる。ニガナについては、発酵前より20%以上、特に30%以上増大されたものが好ましく、シークワーサーについては、発酵前より10%以上、特に15%以上増大されたものが好ましい。尚、血圧上昇抑制効果の測定は熱水抽出法により測定した値であり、熱水抽出法とは、80℃の水で抽出したサンプルをACEに添加し、これに塩化ナトリウムを含むホウ酸緩衝液に溶解した馬尿酸誘導体であるHippuryl L−histidyl L−leucineを添加して遊離する馬尿酸量を測定し、コントロールとして水を用いた場合の生成比として求める方法である。
【0025】
また、本発明の発酵処理植物は未発酵植物より糖分の含有量が減少し、ミネラルの含量量が増加する。これは、未発酵植物や資化材に含まれる糖分が発酵菌により資化されることにより、発酵処理植物は未発酵植物よりその糖分の含有割合が減少するためである。
ミカン科植物や、キク科植物に含有される糖分としては、還元性を有するオリゴ糖、キシロース、グルコース等の還元糖と、還元性を有しない非還元糖とがあるが、還元糖については、アルカリ性銅・過マンガン酸カリウム滴定法(Bertrand法)、アルカリ性銅・ヨウ素滴定法(Somogyi法)、アルカリ性銅・モリブデン酸法(Somogyi−Nelson法)等のアルカリ性酒石酸銅を用いる定量方法により含有量を定量することができ、還元糖と非還元糖の合計の全糖量は、フェノール・硫酸法、ナフトール・硫酸法(Molish法)、ナフトレゾルシン・塩酸法、レゾルシン・塩酸法(Seliwanoff法)、アンスロン・硫酸法、フロログルシン・硫酸法、オルシン・塩化第二鉄・硫酸法等のフェノール性化合物と、強酸及び糖から生成されるフルフラール又はヒドロキシメチルフルフラールとの反応生成物を定量する方法により定量することができる。また、非還元糖の含有量は、上記方法により求められる全糖量の含有量から還元糖の含有量を減ずることにより求めることができる。
【0026】
このような効果を有する本発明により得られる発酵処理植物は、食品素材としては発酵処理植物自体や、飲用水に抽出したエキスから作製するタブレット、顆粒、カプセル等や、ティーバック、ペットボトル、缶、ドリンク剤用の茶葉を挙げることができる。また、発酵処理植物自体や抽出したエキスから作製する顆粒等をふりかけ等の食品素材として利用したり、健康食品として利用することもできる。また、かかるエキスや顆粒を飲用水や、ジュース等に溶解した飲料や、パン、ケーキ、煎餅などの焼き菓子、羊羹などの和菓子、冷菓、チューインガム等のパン・菓子類や、うどん、そば等の麺類や、かまぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、みそ、しょう油、ドレッシング、マヨネーズ、甘味料等の調味類や、チーズ、バター等の乳製品や、豆腐、こんにゃく、その他佃煮等の各種総菜へ配合して食品として使用することができる。
【0027】
また、本発明の乳酸発酵処理物のエキス等を抗酸化活性組成物や、血圧上昇抑制組成物等の医薬品として用いることもでき、その場合は、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分を添加することができる。またこれら予防若しくは治療剤は、経口的又は非経口的に投与することができる。すなわち通常用いられる投与形態、例えば粉末、顆粒、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液等の剤型で経口的に投与することができ、あるいは、例えば溶液、乳剤、懸濁液等の剤型にしたものを注射の型で非経口投与することができる他、スプレー剤の型で鼻孔内投与することもできる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1:発酵処理植物の製造
(1)乾燥したシークワーサーの外果皮30gを0.1〜3mmの粒径に粉砕し容器に入れた。シークワーサーを入れた容器に水150g、糖蜜0.9g、米ぬか0.9gを添加した。かかる粉砕シークワーサーを収納した容器に、ラクトバシルス・プランタリム、ストレプトコッカス・サーモフィルス、バシルス・ズブチルスの各々の菌を培養後、菌数1:1:1の割合で混合し、シークワーサーの重量に対し、10重量%を添加し、容器を密閉し、静置培養により発酵を行った。発酵温度は40℃、発酵時間は24時間とした。その後、乾燥機により水分値が10重量%以下になるまで60℃で乾燥した後、滅菌処理(130℃蒸気、5〜15秒)を行い、発酵シークワーサー31gを得た。
【0029】
(2)乾燥したニガナの葉30gを0.1〜3mmの粒径に粉砕し容器に入れた。ニガナを入れた容器に水150g、糖蜜0.9g、米ぬか0.9gを添加した。かかる粉砕ニガナを収納した容器に、ラクトバシルス・プランタリム、ストレプトコッカス・サーモフィルス、バシルス・ズブチルスの各々の菌を培養後、菌数1:1:1の割合で混合し、ニガナの重量に対し、10重量%を添加し、容器を密閉し、静置培養により発酵を行った。発酵温度は40℃、発酵時間は72時間とした。その後、乾燥機により水分値が10重量%以下になるまで、60℃で乾燥した後、滅菌処理(130℃蒸気、5〜15秒)を行い、発酵ニガナ31gを得た。
【0030】
実施例2:発酵処理植物の成分含有量の測定
(1)糖の測定
還元糖及び非還元糖の合計の全糖の含有量について、フェノール・硫酸法によって測定した。
粉砕試料1gに水20ml添加後超音波抽出を10分間行った。ろ過後、残渣について、同様に5回超音波抽出を反復し、残渣を100mlに定容した。得られた液の0.5mlに5%フェノール溶液0.5mlを添加後、濃硫酸2.5mlを加え攪拌し、15分間放置後、吸光度計(SHIMADZU社製「UV−1200V」)490nmで吸光度を測定し、グルコース量に換算した。
結果を表1に示す。結果から発酵後の全糖の含有量は著しく減少していることが明らかである。
【0031】
【表1】
【0032】
(2)ミネラルの測定
各種ミネラルについて発酵前と発酵後の含有量を測定した。測定は原子吸光法により行った。
試料0.5gをユニシールに入れ、硝酸10mlを加え、150℃で90分間反応させた。放冷後、100mlトールビーカーに移し、塩酸:過酸化水素(1:1)溶液を10ml加えサドンバス上にて蒸発乾固した後、希塩酸10mlを加え加熱した。放冷後50mlに定容し測定用サンプルとした。調製したサンプルは適宜希釈し、原子吸光度計(SHIMADZU社製「AA−660」)を用い各種ミネラルの含有量を測定した。
結果を表2に示す。結果から発酵後のミネラルの含有量は増加していることが明らかである。
【0033】
【表2】
【0034】
実施例3:発酵処理植物の特性検査
(1)pHの測定
実施例1の発酵処理植物の製造工程において、シークワーサーについては発酵前、1日経過後のpHを測定し、ニガナについては発酵前、1日経過後、3日経過後のpHを測定した。測定結果を、シークワーサーについては図1に、ニガナについては図2に示す。
結果から、発酵の進行に伴いpHが低下し、酸性度が高くなることがわかった。
【0035】
(2)抗酸化活性の測定
(i)発酵シークワーサーと発酵ニガナの抗酸化活性をβカロチン法で測定し、それぞれ発酵前の抗酸化活性と比較した。
実施例1で得られた発酵シークワーサーと発酵前のシークワーサーから80%エタノール抽出した各サンプルについて、コントロールとして水を用い、コントロールにおけるβカロチン残留量を100%とし、被測定物におけるβカロチン残留量をコントロールに対するパーセンテージとして求めた。比較例として、ビタミンE(V.E.)について同様に行なった。結果を図3に示す。
実施例1で得られた発酵ニガナと発酵前のニガナから80℃の熱水で抽出した各サンプルについて、コントロールとして水を用い、コントロールにおけるβカロチン残留量を100%とし、ニガナの被測定物におけるβカロチン残留量をコントロールに対するパーセンテージとして求めた。
比較例として、抗酸化剤として使用されるt−ブチル−4−オキシアニソール(BHA)について同様に行なった。結果を図4に示す。
結果から、発酵前において抗酸化活性を有するシークワーサー、ニガナは発酵によって、抗酸化活性が向上されることが明らかである。
(ii)ケルセチンの含有量の測定
実施例1で得られた発酵ニガナのケルセチンの含有量について、サンプルを100%エタノールで抽出し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(SHIMADZU社製)で測定し、発酵前のケルセチンの含有量と比較した。結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
結果から、発酵前においては検出できなかったが、発酵ニガナはケルセチンを含有することが明らかである。
【0038】
(3)ACE阻害活性の測定
発酵シークワーサーと発酵ニガナについて、ACE阻害活性をそれぞれ測定し、それぞれ発酵前のACE阻害活性と比較した。
ACE(ウサギ肺アセトンパウダー由来、67U/ml)50μlに、実施例1で得られた発酵シークワーサー及び発酵ニガナと、発酵前のシークワーサー及び発酵前ニガナのそれぞれのサンプルの80℃熱水抽出した抽出液15μlを添加し37℃、5分間加温した。その後608mM塩化ナトリウムを含むホウ酸緩衝液(pH8.3)に7.6mMとなるように溶解したHippuryl L−histidyl L−leucineを125μl添加し、正確に37℃、30分間反応させた。反応停止には10%トリフルオロ酢酸(TEA)20μlを加え酵素を失活させた。阻害活性は遊離した馬尿酸を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定し、コントロールとして水を用いた場合の生成比として求め、ACE阻害活性(%)とした。結果をシークワーサーについては図5に、ニガナについては図6に示す。
結果から、発酵前においてACE阻害活性を有するシークワーサー、ニガナは発酵によって、ACE阻害活性が向上されることが明らかである。
【0039】
(4)食味の検査
発酵シークワーサー及び発酵ニガナについて、嗜好性の試験を行った。
(i)実施例1で得られた発酵シークワーサー2gと、発酵前のシークワーサーの外果皮2gとを、それぞれ500mlの沸騰水で5分間煮出した。13人のパネラーが試飲した。結果を、表4に示す。
(ii)実施例1で得られた発酵ニガナの葉の乾燥物2gと、発酵前のニガナの葉の乾燥物2gとを、それぞれ500mlの沸騰水で5分間煮出した。12人のパネラーが試飲した。結果を、表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
結果から、発酵シークワーサー、発酵ニガナの食味が向上され、嗜好性の改善が図れたことが明らかである。
【0042】
【発明の効果】
本発明の発酵処理植物やその製造方法によれば、有効成分を含有するミカン科植物やキク科植物について、食味の改善を図り、糖分の含有量を軽減し、抗酸化活性や血圧上昇抑制効果を有する植物そのものより更にその効果を強化することができ、沖縄に自生し得る植物の有効利用を図ることができる。
本発明の製造方法により得られる発酵処理植物は、食味が向上され食品素材としての利用のみならず、抗酸化活性組成物や血圧上昇抑制組成物として利用することができ、特にシークワーサーやニガナの乳酸発酵処理物は食味が改善され、優れた抗酸化活性作用や血圧上昇抑制作用を有し、沖縄に自生する植物の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発酵処理植物の製造方法により得られた発酵シークワーサーのpHを示す図である。
【図2】本発明の発酵処理植物の製造方法により得られた発酵ニガナのpHを示す図である。
【図3】本発明の発酵処理植物の製造方法により得られた発酵シークワーサーの抗酸化活性を示す図である。
【図4】本発明の発酵処理植物の製造方法により得られた発酵ニガナの抗酸化活性を示す図である。
【図5】本発明の発酵処理植物の製造方法により得られた発酵シークワーサーのACE阻害活性を示す図である。
【図6】本発明の発酵処理植物の製造方法により得られた発酵ニガナのACE阻害活性を示す図である。
Claims (38)
- 沖縄に自生しうるミカン科(Rutaceae)植物及び/又はキク科(Asteraceae)植物を、乳酸菌、乳酸菌と酵母、乳酸菌と枯草菌、又は乳酸菌と酵母と枯草菌を用いて発酵させることを特徴とする発酵処理植物の製造方法。
- 乳酸菌が、ストレプトコッカス属(Storeptococcus)、ラクトバシルス属(Lactobacillus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)又はテトラジェノコッカス属(Tetragenococcus)のいずれかに属することを特徴とする請求項1記載の発酵処理植物の製造方法。
- ストレプトコッカス属に属する菌が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(S. thermophilus)であることを特徴とする請求項2記載の発酵処理植物の製造方法。
- ラクトバシルス属に属する菌が、ラクトバシルス・プランタリム(L. plantarum)、ラクトバシルス・デルブリッキ(L. delbruckii)、ラクトバシルス・ペントサス(L. pentosus)又はラクトバシルス・カセイ(L. casei)のいずれかに属することを特徴とする請求項2記載の発酵処理植物の製造方法。
- テトラジェノコッカス属に属する菌が、テトラジェノ・ハロフィルス(T. halophilus)であることを特徴とする請求項2記載の発酵処理植物の製造方法。
- 酵母が、カンジダ属(Candida)又はサッカロマイセス属(Saccharomyces)に属することを特徴とする請求項1記載の発酵処理植物の製造方法。
- カンジダ属に属する菌が、カンジダ・ビルサチルス(C. versatilis)であることを特徴とする請求項6記載の発酵処理植物の製造方法。
- サッカロマイセス属に属する菌が、サッカロマイセス・セレビシアエ(S. cerevisiae)であることを特徴とする請求項6記載の発酵処理植物の製造方法。
- 枯草菌が、バシルス・ズブチルス(B. subtilis)であることを特徴とする請求項1記載の発酵処理植物の製造方法。
- ラクトバシルス・プランタリム、ストレプトコッカス・サーモフィルス、バシルス・ズブチルスの混合菌を用いることを特徴とする請求項1記載の発酵処理植物の製造方法。
- 沖縄に自生しうるミカン科植物が、シークワーサー(Citrus depressa)であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の発酵処理植物の製造方法。
- シークワーサー果皮を用いることを特徴とする請求項11記載の発酵処理植物の製造方法。
- 沖縄に自生しうるキク科植物が、ニガナ(Ixeris dentata)であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の発酵処理植物の製造方法。
- ニガナの葉を用いることを特徴とする請求項13記載の発酵処理植物の製造方法。
- キク科植物の乾物当たり、ケルセチン含量が10重量%以上となるまで発酵することを特徴とする請求項1〜10、13、14のいずれか記載の発酵処理植物の製造方法。
- ミカン科植物及び/又はキク科植物の乾物1重量部に対し2〜10重量部の水分の存在下で発酵させることを特徴とする請求項1〜15のいずれか記載の発酵処理植物の製造方法。
- 炭水化物及び/又は蛋白質を添加して発酵させることを特徴とする請求項1〜16記載の発酵処理植物の製造方法。
- 蛋白質が、米ぬか及び/又はふすまであることを特徴とする請求項17記載の発酵処理植物の製造方法。
- 請求項1〜18のいずれか記載の製造方法により製造された発酵処理植物を含有することを特徴とする食品素材又は食品。
- ニガナ(Ixeris dentata)の乳酸発酵処理物であって、ケルセチン含量が10重量%以上であることを特徴とする乳酸発酵処理物。
- pHが5以下であることを特徴とする請求項20記載の乳酸発酵処理物。
- 熱水抽出法により測定した抗酸化活性が、発酵前より30%以上強化されたことを特徴とする請求項20又は21記載の乳酸発酵処理物。
- 熱水抽出法により測定した血圧上昇抑制効果が、発酵前より20%以上増大されたことを特徴とする請求項20〜22のいずれか記載の乳酸発酵処理物。
- 葉の処理物であることを特徴とする請求項20〜23のいずれか記載の乳酸発酵処理物。
- シークワーサー(Citrus depressa)の乳酸発酵処理物であって、βカロチン法により測定した抗酸化活性が発酵前より10%以上強化されたことを特徴とする乳酸発酵処理物。
- pHが3.7以下であることを特徴とする請求項25記載の乳酸発酵処理物。
- 熱水抽出法により測定した血圧上昇抑制効果が、発酵前より10%以上強化されたことを特徴とする請求項25又は26記載の乳酸発酵処理物。
- 果皮の処理物であることを特徴とする請求項25〜27のいずれか記載の乳酸発酵処理物。
- 乳酸菌、乳酸菌と酵母、乳酸菌と枯草菌、又は乳酸菌と酵母と枯草菌による発酵処理物であることを特徴とする請求項20〜28のいずれか記載の乳酸発酵処理物。
- 乳酸菌が、ストレプトコッカス属(Storeptococcus)、ラクトバシルス属(Lactobacillus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)又はテトラジェノコッカス属(Tetragenococcus)のいずれかに属することを特徴とする請求項29記載の乳酸発酵処理物。
- ストレプトコッカス属に属する菌が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(S. thermophilus)であることを特徴とする請求項30記載の乳酸発酵処理物。
- ラクトバシリルス属に属する菌が、ラクトバシルス・プランタリム(L. plantarum)、ラクトバシルス・デルブリッキ(L. delbruckii)、ラクトバシルス・ペントサス(L. pentosus)又はラクトバシルス・カセイ(L. casei)のいずれかに属することを特徴とする請求項30記載の乳酸発酵処理物。
- テトラジェノコッカス属に属する菌が、テトラジェノ・ハロフィルス(T. halophilus)であることを特徴とする請求項30記載の乳酸発酵処理物。
- 酵母が、カンジダ属(Candida)又はサッカロマイセス属(Saccharomyces)に属することを特徴とする請求項29記載の乳酸発酵処理物。
- カンジダ属に属する菌が、カンジダ・ビルサチルス(C. versatilis)であることを特徴とする請求項34記載の乳酸発酵処理物。
- サッカロマイセス属に属する菌が、サッカロマイセス・セレビシアエ(S. cerevisiae)であることを特徴とする請求項34記載の乳酸発酵処理物。
- 枯草菌が、バシルス・ズブチルス(B. subtilis)であることを特徴とする請求項29記載の乳酸発酵処理物。
- ラクトバシルス・プランタリム、ストレプトコッカス・サーモフィルス、バシルス・ズブチルスの混合菌による発酵処理物であることを特徴とする請求項29記載の乳酸発酵処理物。
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