JP2004065801A - 監視システム、遊技機及び装置管理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板ボックス80は、透明な樹脂製の上蓋部80aと、透明な樹脂製の下蓋部80cとから構成されている。下蓋部80c上には、パチンコ機1の主制御を司る主制御基板41が配置され、上蓋部80aの裏面側には、薄い長方形のICタグ86が設置されている。主制御基板41の右下端部には、ICタグ86とRF送受信を行うためのコイル状のアンテナ68が設けられている。このアンテナ68とICタグ86との距離は、上蓋部80aと下蓋部80cを組み付けた状態で約3mmに配置され、R/Wユニットがアンテナ68を介してICタグ86を常時ポーリングする。上蓋部80aが開放され、アンテナ68とICタグ86の距離が約5mmを超えると通信不能になり、開放がすぐに検知される。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技機、例えばパチンコ機などの装置の状態を監視する監視システム、遊技機及び装置管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、遊技機のうちパチンコ機においては、不当に遊技球を獲得する不正行為が後を絶たず、種々の防止策が施されている。特に、遊技機の制御を司る制御基板の不正改造、例えば、不正ROMへの交換を防止するために、制御基板を収納する制御基板収納ボックスには、様々な工夫が施されている。例えば、制御基板収納ボックスに封印シールを設けたり、また、特開平10−216324号公報に記載のパチンコ機の制御基板収納ボックスでは、主制御基板に触われないように、制御基板収納ボックスを閉じるかしめ方向にのみ回転する封印ビスによって、制御基板収納ボックスの開放が困難になっている。さらに、特開平9−34365号公報に記載のパチンコ機では、可動接点を用いて収納ボックスの開閉を検出して、その検出信号を記憶して、発光ダイオードにより報知するようになっている。また、特開2000−288218号公報に記載の遊技用装置では、制御基板収納ボックスの表面にICタグを貼着し、ID読取装置からの送信要求に応じてICタグからその内部に記憶された識別情報をID読取装置に送信させ、識別情報を確認することにより、制御基板収納ボックスごと制御基板がすり替えられたか否かを判断するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、封印シールを用いるものでは、制御基板収納ボックスを開放して不正ROMへの交換が終了した後に、精巧な偽造封印シールを張られてしまうと制御基板収納ボックスが開閉されたか否かを判断することは困難だった。また、封印ビスを用いるものでは、特殊な工具で強制的に封印ビスを開放方向へ回して制御基板収納ボックスを開放して不正ROMへの交換が行われてしまうことがあった。さらに、可動接点を用いて制御基板収納ボックスの開閉を検出するものでは、制御基板収納ボックスは、通常透明の樹脂により形成されているために、収納ボックスの開閉を検出する可動接点が用いられているのが目視により分かり、基板収納ボックスの隙間から、ピアノ線などを入れて可動接点が動かないようにされてしまうことがあった。この場合には、制御基板収納ボックスの開閉を検出することができなくなると言う問題点があった。さらに、上記の従来技術では、制御基板収納ボックスが開閉されたか否かは、制御基板を目視しないと判断できないという問題点があり、このような不正行為は夜間に行われることが多いが、遊技場に何百台とある遊技機を毎朝点検確認するのは煩雑であった。また、ICタグの識別により制御基板収納ボックスのすり替えを監視するものでは、ID読取装置が制御基板収納ボックスの外側に配置されているため、ICタグとID読取装置の相対位置を変更せずに制御基板収納ボックスを開放し、収納された制御基板上のROMをすり替えることが可能であり、結局は、不正行為の早期発見には至らなかった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、制御基板収納ボックスの開閉等の装置の状態をリアルタイムに監視する監視システム、遊技機及び装置管理システムを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の監視システムは、ICタグと、そのICタグと通信を行うICタグ監視装置とからなる監視システムであって、前記ICタグは、他のICタグと区別するための識別データを記憶し、前記ICタグ監視装置は、前記ICタグを呼び出す呼出波を送信する送信回路と、前記ICタグから返送される反射波を受信する受信回路と、前記送信回路及び前記受信回路に接続されたアンテナと、前記送信回路が呼出波を送信してから所定時間内に前記受信回路が反射波を受信せず通信不能状態となった場合、又は、前記反射波に含まれる前記識別データが予め登録されている登録データと異なっている場合に異常と判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成の監視システムでは、ICチップを内蔵したICタグに対し、ICタグ監視装置に備えられた送信回路がアンテナを介して呼出波を送信してICタグを呼び出す。すると、ICタグは記憶しているIDコード等の識別データを含む反射波を返し、これをICタグ監視装置に備えられた受信回路がアンテナを介して受信する。そして、送信回路が呼出波を送信してから所定時間内に受信回路が反射波を受信せず通信不能状態となった場合、又は、反射波に含まれる識別データが予め登録されている登録データと異なっていた場合には、判定手段が異常と判定する。
【0007】
ICタグは、RFID(Radio Frequency−IDentification)とも呼ばれ、内蔵のICチップは非接触型のICカードと同様のものであり、非接触通信により交信を行う。ICチップ内のメモリ領域には、識別データとして、ICタグ固有のIDコードに加えて、設置されている装置のID(メーカーID)、遊技場の管理コード(ホールID)等を追記して記憶させておくことが可能である。これらのIDは、それぞれが64bit程度のユニークな(一意に識別できる)情報で構成されており、IDを2重3重に構成することで、複製して不正に利用することは非常に困難になる。呼出波に応えて送信される反射波にはこのような識別データが含まれるため、光や電気等に比べて改竄やいわゆる「なりすまし」が難しい。従って、常にはICタグをアンテナから通信可能な位置に設置しておくと、ICタグを固着した部材が通信可能な範囲外へ移動する等した場合には、反射波が受信できなくなり、通信不能となる。また、通信不能状態から、通信可能範囲内の位置へ再び復帰すると反射波が受信できるようになる。このため、目視によらず部材の開放や移動等装置の状態の変化を検知することができる。このような通信不能と復帰を記憶させて履歴に残すようにすれば、正常な場合と不正な場合とを区別することもでき、効果的に監視を行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の監視システムは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記受信回路は、前記ICタグと前記アンテナの距離が所定の閾値を超えて変位すると、前記反射波が受信できなくなることを特徴とする。
【0009】
この構成の監視システムでは、請求項1に記載の発明の作用に加え、ICタグとアンテナの距離が離れると、受信回路が反射波を受信できなくなり、通信不能となる。従って、ICタグを開閉する部材に設置したような場合、部材が開放されることによってICタグとアンテナの距離が離れると通信不能になるので、開放を検知することができる。
【0010】
請求項3に記載の監視システムは、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記ICタグ監視装置は、前記判定手段による判定結果、又は、前記受信回路が前記反射波を受信できる通信可能状態から前記反射波を受信できない通信不能状態となった時点の時刻である消失時刻、前記通信不能状態から前記通信可能状態になった時点の時刻である復帰時刻、もしくは、予め登録されている登録データと異なる識別データが受信された時点の時刻であるID異常時刻のうち少なくとも1つを含む監視履歴データを記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
この構成の監視システムでは、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、記憶手段が、判定結果又は、監視履歴データを記憶する。監視履歴データには、受信回路が反射波を受信できなくなった時点の時刻(消失時刻)、再び受信できるようになった時点の時刻(復帰時刻)、ICタグのすり替え等により予め登録されている登録データと異なる識別データが受信された時点の時刻(ID異常時刻)のいずれかが含まれる。従って、ICタグの監視履歴を後から参照することができる。また、不正が行われた正確な時刻を知ることができるため、監視システムの設置された装置のある遊技場等に監視カメラが設置されている場合には、監視カメラと照合すれば、不正行為をなした人物を特定することも可能である。
【0012】
請求項4に記載の監視システムは、請求項3に記載の発明の構成に加え、前記記憶手段は、前記判定手段による判定結果が前回から継続して正常である場合、及び、前回から継続して異常である場合には、前記判定結果及び前記監視履歴データを記憶しないことを特徴とする。
【0013】
この構成の監視システムでは、請求項3に記載の発明の作用に加え、判定手段による判定結果が前回から継続して正常又は異常である場合には、判定結果や監視履歴データは記憶されない。従って、正常であれ異常であれ状態の変化がない場合は記憶せず、状態の変化があった場合のみ記憶するようにしたので、記憶容量を節約することができる。
【0014】
請求項5に記載の監視システムは、請求項3又は4に記載の発明の構成に加え、前記送信回路は、前記ICタグに対して呼出波を送信し、前記判定手段による判定及び前記記憶手段による記憶後直ちに、再び前記ICタグに対して呼出波を送信することを特徴とする。
【0015】
この構成の監視システムでは、請求項3又は4に記載の発明の作用に加え、ICタグに対して呼出波を送信し、所定時間待機して反射波が受信できなければ通信不能状態として異常と判定し、必要な場合は判定結果や監視履歴データを記憶して、その後すぐに再びICタグに対して呼出波を送信する。反射波を受信した場合には、これに含まれる識別データが真正であるかどうかをチェックし、真正でなければ異常と判定し、通信不能状態の場合と同様に、必要な場合は判定結果や監視履歴データを記憶して、その後すぐに再びICタグに対して呼出波を送信する。反射波に含まれる識別データが真正であれば、正常と判定し、必要な場合は判定結果や監視履歴データを記憶して、すぐに再びICタグを呼び出す。このような方法によりICタグを常時呼び出して、装置の状態を監視するため、リアルタイムに異常を発見し、外部に出力したり履歴を残すことができる。
【0016】
請求項6に記載の監視システムは、請求項3又は4に記載の発明の構成に加え、前記ICタグ監視装置は、前記記憶手段が記憶した内容を外部に出力する出力手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成の監視システムでは、請求項3又は4に記載の発明の作用に加え、記憶された判定結果や監視履歴データが外部に出力される。従って、異常と判定された場合に光や音等で報知する等して注意を喚起することができる。
【0018】
請求項7に記載の監視システムは、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記ICタグ監視装置は、前記判定手段による判定結果、又は、前記受信回路が前記反射波を受信できる通信可能状態から前記反射波を受信できない通信不能状態となった時点の時刻である消失時刻、前記通信不能状態から前記通信可能状態になった時点の時刻である復帰時刻、もしくは、予め登録されている登録データと異なる識別データが受信された時点の時刻であるID異常時刻のうち少なくとも1つを含む監視履歴データを外部に出力する出力手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
この構成の監視システムでは、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、出力手段が、判定結果又は、監視履歴データを外部に出力する。監視履歴データには、受信回路が反射波を受信できなくなった時点の時刻(消失時刻)、再び受信できるようになった時点の時刻(復帰時刻)、ICタグのすり替え等により予め登録されている登録データと異なる識別データが受信された時点の時刻(ID異常時刻)のいずれかが含まれる。出力された判定結果や監視履歴データは外部装置において報知を行ったり、外部装置側で記憶してICタグの監視履歴を後から参照することができる。また、不正が行われた正確な時刻を知ることができるため、監視システムの設置された装置のある遊技場等に監視カメラが設置されている場合には、監視カメラと照合すれば、不正行為をなした人物を特定することも可能である。
【0020】
請求項8に記載の監視システムは、請求項7に記載の発明の構成に加え、前記出力手段は、前記判定手段による判定結果が前回から継続して正常である場合、及び、前回から継続して異常である場合には、前記判定結果及び前記監視履歴データを出力しないことを特徴とする。
【0021】
この構成の監視システムでは、請求項7に記載の発明の作用に加え、判定手段による判定結果が前回から継続して正常又は異常である場合には、判定結果や監視履歴データは外部に出力されない。従って、正常であれ異常であれ状態の変化がない場合は外部に出力せず、状態の変化があった場合のみ外部に出力するようにしたので、効率的に出力結果を利用することができる。
【0022】
請求項9に記載の監視システムは、請求項6乃至8のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記送信回路は、前記ICタグに対して呼出波を送信し、前記判定手段による判定及び前記出力手段による出力後直ちに、再び前記ICタグに対して呼出波を送信することを特徴とする。
【0023】
この構成の監視システムでは、請求項6乃至8のいずれかに記載の発明の作用に加え、ICタグに対して呼出波を送信し、所定時間待機して反射波が受信できなければ通信不能状態として異常と判定し、必要な場合は判定結果や監視履歴データを外部に出力して、その後すぐに再びICタグに対して呼出波を送信する。反射波を受信した場合には、これに含まれる識別データが真正であるかどうかをチェックし、真正でなければ異常と判定し、通信不能状態の場合と同様に、必要な場合は判定結果や監視履歴データを外部に出力して、その後すぐに再びICタグに対して呼出波を送信する。反射波に含まれる識別データが真正であれば、正常と判定し、必要な場合は判定結果や監視履歴データを外部に出力して、すぐに再びICタグを呼び出す。このような方法によりICタグを常時呼び出して装置の状態を監視するため、リアルタイムに異常を発見し、外部に出力したり履歴を残すことができる。
【0024】
請求項10に記載の遊技機は、請求項1乃至9のいずれかに記載の監視システムを備えたことを特徴とする。この構成の遊技機では、請求項1乃至9のいずれかに記載の発明の作用を奏することができる。
【0025】
請求項11に記載の遊技機は、請求項10に記載の発明の構成に加え、遊技機を制御する制御素子を搭載した基板を封入し、本体部材とその本体部材から分離して取り外されるカバー部材とから構成される封入部材を備え、前記ICタグ及び前記アンテナは、一方が前記本体部材に、他方が前記カバー部材に設けられ、かつ、両者は、前記本体部材と前記カバー部材が組み付けられた状態の時に、前記封入部材に封入されて設置されていることを特徴とする。
【0026】
この構成の遊技機では、請求項10に記載の発明の作用に加え、ICタグと、アンテナとが本体部材とカバー部材に別個に設けられ、本体部材とカバー部材が組み付けられた状態の時に、両者は封入部材に封入されているため、カバー部材が開けられると、ICタグとアンテナの相対位置が変化し、通信不能状態となる。これを外部に出力したり、記憶して履歴を取ったりすることにより、基板の交換等を目的とした不正な開放を検知することができる。すぐに報知するように構成すれば、不正行為の早期発見に役立つ。
【0027】
請求項12に記載の遊技機は、請求項10に記載の発明の構成に加え、所定条件の成立により動作する可動部材を備え、前記ICタグ及び前記アンテナのいずれか一方が前記可動部材に設けられ、他方がその通信可能な近傍に設けられていることを特徴とする。
【0028】
この構成の遊技機では、請求項10に記載の発明の作用に加え、入賞口や始動口等の所定条件の成立により動作する可動部材を備えた遊技部材にICタグかアンテナを備え、その通信可能な近傍に他方を備えている。従って、可動部材が動作すると、反射波が受信できなくなり、これを所定条件の成立の有無とつきあわせることにより、正常な動作か不正行為かを検知することができる。ここで、所定条件の成立には、遊技媒体の入賞により抽選が行われ、その結果が予め定められた当りの値に該当する場合等が該当する。
【0029】
請求項13に記載の装置管理システムは、請求項6乃至9のいずれかに記載の監視システムを備えた装置とその装置を管理する管理機とがネットワークを介して接続された装置管理システムであって、前記管理機は、前記出力手段から出力される前記判定結果又は前記監視履歴データを受信する監視履歴データ受信手段を備えたことを特徴とする。
【0030】
この構成の装置管理システムでは、請求項6乃至9のいずれかに記載の発明の作用に加え、管理機の監視履歴データ受信手段が、ICタグ監視装置の出力手段から出力された判定結果や監視履歴データを受信する。従って、個々の装置の監視履歴データを管理機側で把握して早期に対応することが可能になる。
【0031】
請求項14に記載の装置管理システムは、請求項13に記載の発明の構成に加え、前記管理機は、前記監視履歴データ受信手段が受信した前記判定結果又は前記監視履歴データを記憶する監視履歴データ記憶手段を備えたことを特徴とする。
【0032】
この構成の装置管理システムでは、請求項13に記載の発明の作用に加え、受信した監視履歴データを管理機の監視履歴データ記憶手段が記憶する。従って、個々の装置の監視履歴データを管理機側で一括して記憶し、IC監視装置の記憶内容をクリアしたり、複数の装置の監視履歴を比較したりする等、柔軟な対応が可能になる。
【0033】
請求項15に記載の装置管理システムは、請求項13又は14に記載の発明の構成に加え、前記管理機は、前記監視履歴データ受信手段が受信した前記判定結果又は前記監視履歴データを出力する監視履歴データ出力手段を備えたことを特徴とする。
【0034】
この構成の装置管理システムでは、請求項13又は14に記載の発明の作用に加え、受信した監視履歴データを管理機の監視履歴データ出力手段が出力する。従って、複数の装置の監視履歴をまとめて一ヶ所で表示したり、警告ランプや音等で報知したりして不正行為等に効率的に対応できる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して以下の順で説明する。
1.システム構成の概要説明
2.装置の構成の説明
3.発明部分の構成説明
4.装置内部のハード部分の構成説明
5.発明部分のハード部分の構成説明
6.発明部分の動作説明
7.変形例の説明
8.実施の形態の効果
【0036】
1.システム構成の概要説明
図1は、本実施の形態である遊技場における遊技機の管理システム200の構成図である。管理システム200は、遊技場内にある複数台のパチンコ機1を背中合わせに2列に並べて設置した遊技機設置島の各々に管理機100を設置し、その遊技機設置島にあるパチンコ機(遊技機)1が付属のリーダライタユニット(以下、「R/Wユニット」と称する。)56を介して管理機100に接続される構成となっている。そして、パチンコ機1には、背面の遊技機を制御するための主制御基板41を収納した基板ボックス80(図4参照)と大入賞口16(図2参照)の開閉扉にそれぞれIDコード(識別データ)を記憶したICタグを設置し、ICタグに呼出波を送信して反射波を受信し、反射波に含まれたIDコードを読み取ることにより、設置箇所の開放を検知して、検知した結果を管理機100に送信して管理機100にて報知を行い、遊技場内で対応ができるように構成されている。また、管理システム200は、各R/Wユニット56と管理機100とをLANケーブル等の通信ケーブル150で接続している。各パチンコ機1には、ICタグを呼び出して識別データを読み取るための独立したR/Wユニット56(ICタグ監視装置)が付属している。管理機100は、さらに遊技場全体を管理する遊技場管理用ホールコンピュータ300に接続されており、この遊技場管理用ホールコンピュータ300が各管理機100を一括管理している。
【0037】
2.装置の構成の説明
図2はパチンコ機1の正面図であり、図3はパチンコ機1の遊技盤2の正面図である。図2及び図3に示すように、パチンコ機1の正面の上半分の部分には、略正方形の遊技盤2が設けられ、遊技盤2には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が設けられている。遊技盤2は、遊技領域4を保護するとともに遊技者から見える透明なガラス板で覆われ、ガラス板はガラス枠13で保持されている。パチンコ機1の遊技盤2の下方部には、図示外の発射機に遊技球を供給し、また、賞品球を受ける上皿5が設けられ、上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられ、下皿6の右横には、発射ハンドル7が設けられ、上皿5と下皿6との間には、スピーカー48が設けられている。
【0038】
また、遊技領域4の略中央には、液晶画面を備えた特別図柄表示装置8が設けられている。この特別図柄表示装置8には、第1図柄停止部L1、第2図柄停止部L2、第3図柄停止部L3及び普通図柄表示部8aが設けられており、普通図柄表示部8aには、一桁の数字や一文字のアルファベットあるいは記号やマーク等の図柄を表示できるようになっている。また、特別図柄表示装置8の右上方には電飾風車9が設けられ、左上方にも電飾風車10が設けられている。さらに、特別図柄表示装置8の右側には普通図柄始動ゲート11が設けられ、左側にも普通図柄始動ゲート12が設けられている。また、特別図柄表示装置8の下側には、特別図柄始動電動役物15が設けられており、その特別図柄始動電動役物15の下方には、大入賞口16が設けられている。尚、遊技盤2には、上記以外に、種々の電飾ランプ、風車及び多数の障害釘等が設けられている。
【0039】
次に、図4を参照して、パチンコ機1の背面の構造について説明する。図4はパチンコ機1の背面図である。図4に示すように、パチンコ機1の左下部背面には、パチンコ機1の主制御を司る主制御基板41を収納した基板ボックス80が設けられ、基板ボックス80の右隣には音基板43が、音基板43の右隣上方には電源基板42が、その下方には払出制御基板45がそれぞれ透明な樹脂製のボックスに収められて配置されている。さらに、基板ボックス80の上方には、遊技盤の裏面を保護し、各種配線を覆うセンターカバー90が配置され、そのセンターカバー90の外側にICタグを呼び出してIDコードを読み取るためのR/Wユニット56が設置されている。
【0040】
3.発明部分の構成説明
次に、図5を用いてICタグ監視装置であるR/W(リーダ・ライタ)ユニット56について説明する。図5は、R/Wユニット56の分解斜視図である。図5に示すように、R/Wユニット56は、基板ボックス80の上方、センターカバー90の外側に取り付けられており(図4参照)、パチンコ機1とは独立してなるユニットとして構成され、島設備から電源供給を受けている。図5に示すように、R/Wユニット56には、CPU56a、RAM56b、ROM56c、EEPROM56d、RF回路56g、LANカード56h、入力ポート56iが備えられ、送信回路及び受信回路であるRF回路56gから同軸ケーブル56kによりアンテナ68,168(後述)に接続し、LANカード56hからLANケーブルにより管理機100に接続している。また、入力ポート56iを経由して、パチンコ機1の主制御基板41からの信号を受信する。R/Wユニット56は、アンテナ68,168を介してICタグ86,186と無線通信を行う。さらに、R/Wユニット56には、ICタグ86,186との通信に異常があった場合に点灯される7セグメント表示器69が設けられている。7セグメント表示器69は、ICタグが識別不能状態になったり、IDエラーになったりして、設置箇所に開閉等の異常が判定された場合に、異常箇所を特定し(例えばA,B等の記号による)、異常(開閉)回数の累計を表示する。
【0041】
次に、図6乃至図9を参照して、基板ボックス80の構造について説明する。図6は、基板ボックス80の平面図であり、図7は、基板ボックス80の斜視図であり、図8及び図9は、基板ボックス80の分解斜視図である。
【0042】
図6乃至図9に示すように、基板ボックス80は、透明な樹脂製の平面視略長方形の上蓋部80aと、同じく透明な樹脂製の平面視略長方形の下蓋部80cとから構成されている。また、上蓋部80aに対向する下蓋部80c上には、パチンコ機1の主制御を司る主制御基板41が配置されている。そして、図9に示すように、上蓋部80aの裏面側には、小型で長方形のICタグ86が接着剤等で接着されている。
【0043】
ここで、ICタグ86の構造について説明する。図10は、ICタグ86の平面図である。ICタグ86は、図10に示すように、薄いフレキシブルプリント基板上にRF回路86aとEEPROM86c(図16参照)とが一体となったICチップ86d及びアンテナ回路86bが設けられてなっている。
【0044】
また、図8に示すように、主制御基板41の右下端部には、ICタグ86と電磁波によるRF(Radio Frequency:高周波無線)送受信を行うためのコイル状のアンテナ68が設けられ、アンテナ68は同軸ケーブル56kによりR/Wユニット56に接続されている。本実施形態において、ICタグ86とアンテナ68は、13.56MHzの短波帯で通信を行っている。アンテナ68とICタグ86との距離は、上蓋部80aと下蓋部80cを組み付けた状態で約3mmになるように配置されている。この距離間ではRF送受信が可能でありアンテナ68を介したR/Wユニット56からの呼び出しにICタグ86が応答することができ、アンテナ68とICタグ86との距離が約5mmを超えると通信不能となるように設定されている。この通信可能距離は、アンテナ68のコイルの巻き数やリアクタンス値により調節が可能である。このように通信可能距離を設定することにより、上蓋部80aのわずかな隙間の開放であっても検知することができ、また、振動等によるわずかな揺れでは通信不能とならないように調整されている。
【0045】
アンテナ68とICタグ86間の通信は電磁波を使用するので、他の電磁波を使用する部材からのノイズの影響による誤動作を防ぐために、ICタグ86やアンテナ68は、ソレノイドを使用している賞品払出装置49や発射モータ67(後述)から離した位置である主制御基板41の右下端部に配置している。
【0046】
次に、所定条件の成立により扉を開閉する可変入賞装置の一種である大入賞口16が設けられているアタッカ部材160へのICタグの設置について図11及び図12に基づいて詳細に説明する。図11は、開閉扉16aが閉鎖されている状態のアタッカ部材160の斜視図であり、図12は、開閉扉16aが開放されている状態のアタッカ部材160の斜視図である。
【0047】
図11及び図12に示すように、アタッカ部材160の開閉扉16aの表面には、前述したICタグ86と同形状のICタグ186(図10参照)が貼り付けられ、さらにICタグ186を覆うように装飾シール等が貼付されて遊技者からは見えないようになっている。また、アタッカ部材160の開口部である大入賞口16の周囲には、ICタグ186を囲むようにループ形状のアンテナ168が設けられ、アンテナ168は同軸ケーブル56kによりR/Wユニット56に接続されている。図11に示す大入賞口16の閉鎖状態では、ICタグ186とアンテナ168はほぼ同一平面上に位置している。このICタグ186は、送受信方向に指向性があり、アンテナと平行に位置した場合のみ送受信可能である。図11に示すように、開閉扉16aが閉鎖された状態ではアンテナ168とICタグ186は平行となるので、アンテナ168を介したR/Wユニット56からの呼出波に対してICタグ186から反射波が返される。一方、図12に示すように開閉扉16aが開くと、ICタグ186とアンテナ168とは平行でなくなり、通信可能な臨界角度を超えると、ICタグ186はR/Wユニット56からの呼び出しに応答できなくなる。
【0048】
前述したように、アンテナ168とICタグ186間の通信は電磁波を使用するため、他の電磁波を使用する部材からのノイズの影響による誤動作を防ぐために、ICタグ186やアンテナ168は、アタッカ部材160の左奥に位置する大入賞口開放ソレノイド70(後述)から離した位置に配置されている。
【0049】
次に、管理機100の構成について図13を参照して説明する。図13は、管理機100の正面図である。図13に示すように、管理機100は、上部に警告ランプ108を、正面に表示器107を備えている。警告ランプ108の上段は大入賞口16の開閉扉16aの開放を報知する赤いランプ108aであり、下段は基板ボックス80の不正開放を報知する青いランプ108bである。管理機100に接続されているパチンコ機1のいずれかで大入賞口16の開閉扉16aの不正開放もしくは基板ボックス80の開放が検知され、管理機100に報知された場合には、ランプ108a,108bが点灯し、遊技場の係員の注意を喚起するようになっている。また、表示器107には、どのパチンコ機1で何の開放が検知されたのかを表示するようになっている。図13では、104番台のアタッカ(大入賞口16の開閉扉16a)が不正開放された旨が表示器107に表示され、赤いランプ108aが点灯している。警告ランプ108は、約5秒程度で消灯するようになっており、表示器107の表示は、係員が暗証番号等で管理者権限を入力し、クリアボタン110を押下することにより消去することができる。
【0050】
4.装置内部のハード部分の構成説明
次に、パチンコ機1の電気的構成について図14を参照して説明する。図14は、パチンコ機1の電気的回路構成を示すブロック図である。パチンコ機1の制御部40はパチンコ機1の裏側に設けられ、この制御部40は、主制御基板41、電源基板42、音基板43、図柄表示基板44、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47及び発射基板66から構成され、主制御基板41には、プログラムに従って各種の処理を行うLSI50が設けられている(図8参照)。このLSI50には、各種の演算処理を行うCPU51、フラグやカウンタ値やデータやプログラム等を記憶するRAM52と、制御プログラム及び各種の初期値のデータや特別図柄表示装置8への表示内容のデータ等を記憶したROM53とが設けられており、これらは一つのLSIとして一体にモールディングされている。
【0051】
また、主制御基板41には、音基板43、図柄表示基板44、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47等とデータ信号の送受信を行うI/Oインターフェース54が設けられている。このI/Oインターフェース54には、遊技場管理用ホールコンピュータ300にR/Wユニット56を介してパチンコ機1の各種遊技情報を出力する出力ポート55が接続されている。
【0052】
音基板43、図柄表示基板44、払出制御基板45、電飾基板46、及び発射基板66にも、CPU(図示外)、RAM(図示外)、ROM(図示外)、I/Oインターフェース(図示外)が各々搭載されている。主制御基板41はパチンコ機1の主制御を司り、電源基板42は島側から供給された交流電流(24V)を直流電流に変換して各基板に直流電流を供給し、音基板43はパチンコ機1の効果音の発生を制御し、図柄表示基板44は特別図柄表示装置8の制御を行い、払出制御基板45は賞品球払出装置49の制御を行い、電飾基板46はパチンコ1の各電飾の発光態様を制御し、中継基板47は、各センサーの配線の中継を行っている。また、発射基板66は、遊技球を発射する発射モーター67の制御を行っている。
【0053】
電飾基板46には、LED62、及び電飾ランプ63が接続されている。また、図柄表示基板44には特別図柄表示装置8が接続され、音基板43には、スピーカー48が接続され、また、払出制御基板45には、賞品球払出装置49が接続され、さらに、中継基板47には、大入賞口16の開閉扉16aを開放する大入賞口開放ソレノイド70、特別図柄始動電動役物開放ソレノイド71、特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する始動口スイッチ72、普通図柄始動ゲート11,12を通過した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ73、大入賞口16内のVゾーンに入賞した遊技球を検出するVスイッチ74、大入賞口16に入賞した遊技球数を計数するためのカウントスイッチ75、普通入賞口19,20等に入賞して図示外の案内通路により入賞球集合部に集められた入賞球を検出する入賞口スイッチ76とが接続されている。
【0054】
また、電源基板42は、主制御基板41、音基板43、図柄表示基板44、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47に各々接続されて、直流の安定化された電力が供給されるようになっている。尚、電源基板42には、交流24Vが供給されている。電源基板42には、図示外のシリコンダイオードブリッジからなる整流器、電解コンデンサからなる平滑回路、レギュレータICからなる安定化回路等が設けられており、安定化された直流の12V及び5V等を供給できるようになっている。尚、図14では、特に図示しないが、主制御基板41、電源基板42、音基板43、図柄表示基板44、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47は、全て、アースラインで接続されている。
【0055】
5.発明部分のハード部分の構成説明
次に、R/Wユニット56の電気的構成について図15を参照して説明する。図15は、R/Wユニット56の電気的回路構成を示すブロック図である。R/Wユニット56には、各種の演算処理を行うCPU56a、フラグやデータ等を一時的に記憶するRAM56b、制御プログラム及び各種の初期値のデータ等を記憶したROM56c、ICタグ86,186との通信履歴を記憶するEEPROM56d、I/Oインターフェース56e、タイマ56f、ICタグ86,186へ呼出波を放出し、ICタグ86,186から反射波を受信するRF回路56g、管理機100の通信回路106に接続するLANカード56h、パチンコ機の主制御基板41から各種信号を受信する入力ポート56i、7セグメント表示器69が搭載されている。
【0056】
CPU56aが、RF回路56gからアンテナ68,168を介してICタグ86,186に呼出波を発信し、ICタグ86,186からの反射波の返信の有無に変化があれば、EEPROM56dに時刻を記憶する。反射波が返ってきた場合には、すぐにまた次の呼び出しを行い、反射波が返ってこない場合には、時刻を記憶して再び次の呼び出しを行う。このようにして、R/Wユニット56は、ほぼ常時ICタグ86,186と通信を行って状態を確認している。また、I/Oインターフェース56eは、LANカード56hを介して管理機100の通信回路106(後述)に接続しており、I/Oインターフェース56eから通信回路106に向けてIDコードや消失時刻、復帰時刻等の監視履歴データが送信される。また、R/Wユニット56は、大当たり信号等の各種信号をパチンコ機1の主制御基板41から入力ポート56iを経由して受信する。受信した大当たり信号は、大入賞口16のの開閉扉16aの開放を監視する処理の中で正常な開放であるかどうかを照合するために使用される。
【0057】
次に、ICタグ86の電気的構成について図16を参照して説明する。ICタグ186についても同様の構成となっている。図16は、ICタグ86の電気的回路構成を示すブロック図である。ICタグ86には、R/Wユニット56からの呼出波に応答して反射波を放出するRF回路86a、コイルアンテナ86b、EEPROM86cが搭載されている。EEPROM86cには、ICタグ86を他のICタグ86から識別するためのIDコード、メーカーID、ホールID等の識別データが上書消去禁止区域に記憶されている。R/Wユニット56からアンテナ68を介して呼出波が送られてくると、コイルアンテナ86bがこれを受信するが、この呼出波には搬送波成分が含まれており、これを受信してRF回路86aで整流して直流電圧を得る。従って、ICタグ86は、電池や外部電源を使用せずに必要な時にいつでもデータを発信することができる。データの発信は、EEPROM86cからIDコード等の識別データを読み出して反射波に乗せ、RF回路86aからアンテナ68に向けて送信する。また、一旦R/Wユニット56のRAM56bに記憶された消失時刻や復帰時刻などのデータを後に受信してEEPROM86cに記憶しておくこともできる。
【0058】
次に、管理機100の電気的構成について図17を参照して説明する。図17は管理機100の電気的構成を示すブロック図である。図17に示すように、管理機100は、各種の演算を行うCPU101と、フラグやデータ等を一時的に記憶するRAM102と、制御プログラム及び各種の初期値のデータ等を記憶したROM103と、管理者権限データベースや、履歴データベースを記憶したEEPROM104と、R/Wユニット56とデータの送受信を行うためのI/0インターフェース105と、通信回路106と、受信した監視履歴データを表示するための表示器107と、受信した監視履歴データに基づいて点灯される警告ランプ108とから構成されている。
【0059】
ROM103に管理プログラムが格納され、これを呼び出してCPU101が管理処理を実行する。通信回路106は、R/Wユニット56のI/Oインターフェース56eからLANカード56hを介し、LANケーブル等の通信ケーブル150を経由してIDコード、消失時刻、復帰時刻等の監視履歴データを受信する。受信した監視履歴データに基づき、表示器107への表示、警告ランプ108の点灯が行われる。
【0060】
6.発明部分の動作説明
次に、R/Wユニット56で行われる、基板ボックス80の状態を監視する監視処理について、図18のフローチャートを参照して説明する。図18は、基板ボックス80の状態を監視する監視処理のフローチャートである。R/Wユニット56は、遊技場の営業中・夜間を問わず常時基板ボックス80の監視処理を行っている。本実施形態では、R/Wユニット56は、島電源から電源供給を受けており、島電源は夜間も電源が投入されたままとなっている。
【0061】
まず、R/Wユニット56内のCPU56aは、RF回路56gからアンテナ68を介して、ICタグ86に呼出波を送信してポーリングし(S1)、ICタグ86が反射波にIDコード(識別データ)を乗せて返信してくるのを待つ。次に、ICタグ86から設定時間内に反射波が返ってきたかどうかを判断する(S3)。本実施形態では、待ち時間を50ミリ秒に設定している。
【0062】
ICタグ86から設定時間内に真正IDコードが含まれた反射波が返信され、かつ、その応答が前回から継続していれば、基板ボックス80は正常な状態と判定できる。この判定は、具体的には、以下のように処理を行う。設定時間内に応答が返ってきた場合(S3:YES)、返って来たIDコードが正しいものであるかどうかを判断し(S13)、IDコードが正しい場合には(S13:YES)、IDエラーフラグがONにされているかどうかを判断する(S23)。IDエラーフラグは、前回から継続して正しいIDが返信されてきたかどうかをチェックするものである。IDエラーフラグがOFFの場合には(S23:NO)、前回から継続して正しいIDが返信されてきている。次に、消失フラグがONになっているかどうかを判断する(S27)。消失フラグは、前回設定時間内にICタグ86から応答があったかどうかをチェックするものである。消失フラグがOFFになっていれば(S27:NO)、前回も設定時間内にICタグ86からIDコードが返信されている。従って、前回から継続して設定時間内に正しいIDコードが返信されているので、基板ボックス80は正常と判定され、何ら記憶も行われず、管理機100にデータの送信も行われない。そのままS35に進む。
【0063】
時間内に応答が帰って来なかった場合は(S3:NO)、故障でないとすれば、ICタグ86がアンテナ68から通信範囲外まで離れたためであると考えられるから、ICタグ86が取り付けられた基板ボックス80の上蓋部80aが開放された可能性がある。この時点で基板ボックス80の状態は異常であると判定されるが、この異常な状態が継続しているかどうかを次に判断する。異常な状態が継続していれば、後述のように時刻の記憶や異常データの管理機への送信等が既に行われており、状態の変化がない場合に重ねて記憶したり送信を行うまでもない。これにより、記憶容量の節約になる。具体的には、EEPROM56dに記憶されている消失フラグがOFFにされているかどうかを判断する(S5)。消失フラグは、ICタグからの応答が返ってこない間はONに、応答が返ってくる間はOFFに設定される。ここで消失フラグがOFFでなくONになっている場合には(S5:NO)、前回の呼び出しから継続して応答がない場合であるから、何らその後の処理は行わず、S35に進む。
【0064】
消失フラグがOFFになっている場合には(S5:YES)、今回はじめて応答がなくなったことを示しているので、状態に変化が生じたと判断して、ICタグにポーリングした時刻を消失時刻としてEEPROM56dに記憶する(S7)。そして、消失フラグをONにする(S9)。次に、IDコードと消失時刻を組にしてI/Oインターフェース56e,LANカード56hから管理機100にLANケーブル等の通信ケーブル150を介して送信する(S11)。このようにして、異常が発生した時点で履歴を記憶し、管理機100にデータを送信して管理機100側で報知を行うようにしている。
【0065】
設定時間内に応答が返ってきたが(S3:YES)、返って来たIDコードが正しいものでなければ(S13:NO)、ICタグ86の付け替えによる不正が行われた可能性がある。この時点で基板ボックス80の状態は異常であると判定されるが、応答が得られなかった場合と同様に、この異常な状態が継続しているかどうかを次に判断する。すなわち、IDエラーフラグがOFFにされているかどうかを判断する(S15)。IDエラーフラグは、IDコードが正しくない間はONに設定される。ここでIDエラーフラグがOFFでなくONになっている場合には(S15:NO)、前回から継続してIDコードが正しくない場合であるので、何らその後の処理は行わず、S35に進む。
【0066】
IDエラーフラグがOFFになっている場合には(S15:YES)、今回はじめてIDコードが正しくなくなったことを示しているので、ポーリング時刻をIDエラー発生時刻としてEEPROM56dに記憶する(S17)。そして、IDエラーフラグをONにする(S19)。そして、IDコードとIDエラー発生時刻を組にしてI/Oインターフェース56e,LANカード56hから管理機100にLANケーブル等の通信ケーブル150を介して送信する(S21)。
【0067】
IDコードが正しい場合には(S13:YES)、IDエラーフラグがONにされているかどうかを判断する(S23)。IDエラーフラグがONになっている場合には(S23:YES)、今回正しいIDコードに戻ったことを示しているので、IDエラーフラグがをOFFにする(S25)。そして、消失フラグがONになっているかどうかを判断する(S27)。
【0068】
消失フラグがONになっている場合には(S27:YES)、前回応答がなかったものが今回応答してきたことを示すので、状態に変化が生じたと判断して、今回の応答時刻を復帰時刻としてEEPROM56dに記憶する(S29)。応答がなくなった時点で消失時刻を記憶しており、今回復帰時刻も記憶することで基板ボックス80が開放されていた時間を算出することができる。そして、消失フラグをOFFにする(S31)。そして、IDコードと復帰時刻を組にして管理機100にLANケーブル等の通信ケーブル150を介して送信する(S33)。そして、処理終了かどうかを判断し(S35)、終了であれば(S35:YES)処理を終了し、終了でなければ(S35:NO)S1に戻って処理を継続する。
【0069】
以上のように処理を行うことにより、前回の呼び出しから継続して設定時間内に真正IDコードが返信されてくれば正常と判定して再びIDコードのポーリングに戻る(S1)。また、設定時間内に応答がない場合、設定時間内に応答があっても正しいIDコードでない場合は、基板ボックス80に異常ありと判定するが、いずれの場合もその状態が前回から継続しているかどうかをチェックし、今回初めて状態変化が起こっている場合のみ時刻の記憶を行う。さらに、設定時間内に真正IDコードが返信されてきても、前回が応答のなかった場合には、正常であっても状態の変化があったとして時刻の記憶を行う。そして、記憶処理と併せて管理機100へのデータの送信も行うようにしている。記憶やデータ送信を行う場合には、一連の処理が終了した後すぐにS1に戻って再びIDコードを呼び出す。このように常時ICタグ86を呼び出して状態を判定し、判定結果に基づいて必要な処理を行うことによって、最小限の記憶容量で基板ボックス80の異常をチェックし、状態の変化の履歴を記憶させて効率よく監視を行うことができる。
【0070】
次に、R/Wユニット56で行われる、アタッカ部材160の状態を監視する監視処理について、図19のフローチャートを参照して説明する。図19は、アタッカ部材160の状態を監視する監視処理のフローチャートである。処理の流れはほとんど基板ボックス80の監視処理と同様である。ただし、アタッカ部材160は、基板ボックス80と異なり、大当たり時には大入賞口16の開閉扉16aが正常に開放されるので、主制御基板41から大当たり信号をもらって、正常な開放かどうかを照合する必要がある。また、営業終了後、パチンコ機1の電源が落とされた後は、大当たりを装った大入賞口16の開閉扉16aの不正開放は考えにくいので、アタッカ部材160の監視処理は行われない。
【0071】
まず、R/Wユニット56内のCPU56aは、RF回路56gからアンテナ168を介して、ICタグ186に呼出波を送信してポーリングし(S101)、ICタグ186がIDコード(識別データ)を返信してくるのを待つ。次に、ICタグ186から設定時間内に反射波が返ってきたかどうかを判断する(S103)。本実施形態では、待ち時間を50ミリ秒に設定している。
【0072】
ICタグ186から設定時間内に真正IDコードが返信され、かつ、その応答が前回から継続していれば、大入賞口16の開閉扉16aは開放されていないと判定できる。この判定は、具体的には、以下のように処理を行う。設定時間内に応答が返ってきた場合は(S103:YES)、返って来たIDコードが正しいものであるかどうかを判断し(S113)、IDコードが正しい場合には(S113:YES)、IDエラーフラグがONにされているかどうかを判断する(S123)。IDエラーフラグは、前回から継続して正しいIDが返信されてきたかどうかをチェックするものである。IDエラーフラグがOFFの場合には(S123:NO)、前回から継続して正しいIDが返信されてきている。次に、消失フラグがONになっているかどうかを判断する(S127)。消失フラグは、前回設定時間内にICタグ186から応答があったかどうかをチェックするものである。消失フラグがOFFになっていれば(S127:NO)、前回も設定時間内にICタグ186からIDコードが返信されている。従って、前回から継続して設定時間内に正しいIDコードが返信されているので、大入賞口16の開閉扉16aは開放されていないと判定され、何ら記憶も行われず、管理機100にデータの送信も行われない。そのままS135に進む。
【0073】
時間内に応答が帰って来なかった場合は(S103:NO)、故障でなければ、ICタグ186が取り付けられた開閉扉16aが開放されたと考えられるので、次に、主制御基板41の出力ポート55から入力ポート56iに大当たり信号を受信しているかどうかを判断する(S104)。大当たり信号を受信していれば(S104:YES)、大当たりによる大入賞口16の開閉扉16aの正常な開放であるから、そのままS135に進む。大当たり信号を受信していなければ(S104:NO)、この時点で大入賞口16の状態は異常であると判定されるが、この異常な状態が継続しているかどうかを次に判断する。異常な状態が継続していれば、後述のように時刻の記憶や異常データの管理機への送信等が既に行われており、状態の変化がない場合に重ねて記憶したり送信を行うまでもない。これにより、記憶容量の節約になる。具体的には、EEPROM56dに記憶されている消失フラグがOFFにされているかどうかを判断する(S105)。消失フラグは、ICタグからの応答が返ってこない間はONに、応答が返ってくる間はOFFに設定される。ここで消失フラグがOFFでなくONになっている場合には(S105:NO)、前回の呼び出しから継続して応答がない場合であるから、何らその後の処理は行わず、S135に進む。
【0074】
消失フラグがOFFになっている場合には(S105:YES)、今回はじめて応答がなくなったことを示しているので、状態に変化が生じたと判断して、ICタグにポーリングした時刻を消失時刻としてEEPROM56dに記憶する(S107)。そして、消失フラグをONにする(S109)。次に、IDコードと消失時刻を組にして管理機100にLANケーブル等の通信ケーブル150を介して送信する(S111)。このようにして、異常が発生した時点で履歴を記憶し、管理機100にデータを送信して管理機100側で報知を行うようにしている。
【0075】
設定時間内に応答が返ってきたが(S103:YES)、返って来たIDコードが正しいものでなければ(S113:NO)、ICタグ186の付け替えによる不正が行われた可能性がある。この時点で大入賞口16の状態は異常であると判定されるが、応答が得られなかった場合と同様に、この異常な状態が継続しているかどうかを次に判断する。すなわち、IDエラーフラグがOFFにされているかどうかを判断する(S115)。IDエラーフラグは、IDコードが正しくない間はONに設定される。ここでIDエラーフラグがOFFでなくONになっている場合には(S115:NO)、前回から継続してIDコードが正しくない場合であるので、何らその後の処理は行わず、S135に進む。
【0076】
IDエラーフラグがOFFになっている場合には(S115:YES)、今回はじめてIDコードが正しくなくなったことを示しているので、ポーリング時刻をIDエラー発生時刻としてEEPROM56dに記憶する(S117)。そして、IDエラーフラグをONにする(S119)。そして、IDコードとIDエラー発生時刻を組にしてI/Oインターフェース56eから管理機100にLANケーブル等の通信ケーブル150を介して送信する(S121)。
【0077】
IDコードが正しい場合には(S113:YES)、IDエラーフラグがONにされているかどうかを判断する(S123)。IDエラーフラグがONになっている場合には(S123:YES)、今回正しいIDコードに戻ったことを示しているので、IDエラーフラグがをOFFにする(S125)。そして、消失フラグがONになっているかどうかを判断する(S127)。
【0078】
消失フラグがONになっている場合には(S127:YES)、前回応答がなかったものが今回応答してきたことを示すので、状態に変化が生じたと判断して、今回の応答時刻を復帰時刻としてEEPROM56dに記憶する(S129)。応答がなくなった時点で消失時刻を記憶しており、今回復帰時刻も記憶することで大入賞口16の開閉扉16aが開放されていた時間を算出することができる。そして、消失フラグをOFFにする(S131)。そして、IDコードと復帰時刻を組にして管理機100にLANケーブル等の通信ケーブル150を介して送信する(S133)。そして、処理終了かどうかを判断し(S135)、終了であれば(S135:YES)処理を終了し、終了でなければ(S135:NO)S101に戻って処理を継続する。
【0079】
以上のように処理を行うことにより、前回の呼び出しから継続して設定時間内に真正IDコードが返信されてくれば正常と判定して再びIDコードの呼び出しに戻る(S101)。また、設定時間内に応答がなく、大当たりでない場合、又は、設定時間内に応答があっても正しいIDコードでない場合は、大入賞口16の開閉扉16aに異常ありと判定するが、いずれの場合もその状態が前回から継続しているかどうかをチェックし、今回初めて状態変化が起こっている場合のみ時刻の記憶を行う。さらに、設定時間内に真正IDコードが返信されてきても、前回が大当たりでないのに応答のなかった場合には、正常であっても状態の変化があったとして時刻の記憶を行う。そして、記憶処理と併せて管理機100へのデータの送信も行うようにしている。記憶やデータ送信を行う場合には、一連の処理が終了した後すぐにS101に戻って再びIDコードを呼び出す。このように常時ICタグを呼び出して状態を判定し、判定結果に基づいて必要な処理を行うことによって、最小限の記憶容量でアタッカの異常をチェックし、状態の変化の履歴を記憶させて効率よく監視を行うことができる。
【0080】
次に、管理機100で行われる処理について図20のフローチャート及び図21の履歴データベースに基づいて説明する。図20は、管理機100の処理の概略を示すフローチャートであり、図21は、管理機100のEEPROM104に記憶される履歴データベースの模式図である。
【0081】
遊技場が開店して管理機100の電源が投入されると、S301〜S311の開店時処理を行う。まず、係員の入力を受け付け、パスワードやIDカード等の管理者権限が確認されたかどうかを判断する(S301)。管理者権限は、管理機100ののEEPROM104内に管理者権限データベースを記憶し、入力されたパスワードや係員のIDとデータベースに記憶されたパスワードやIDとを照合して判断する。管理者権限がない場合には(S301:NO)、処理を終了する。管理者権限がある場合には(S301:YES)、各パチンコ機1に付属したR/Wユニット56をLANケーブルを介してポーリングする(S303)。そして、閉店時間中についての監視履歴を受信する(S305)。エラー履歴を受信した場合には(S307:YES)、その履歴をEEPROM104の履歴データベースに記憶し(S309)、表示器107にそのエラーの内容を表示する(S311)。
【0082】
開店時処理終了後は、S312〜S341の営業中監視処理を繰り返し行う。まず、パチンコ機1に付属したR/Wユニット56からデータを受信したかどうかを判断する(S312)。データを受信した場合は(S312:YES)、そのデータがIDエラーデータであるかどうかを判断する(S327)。IDエラーデータの場合は(S327:YES)、そのIDコードから、パチンコ機1の台番とIDエラーのICタグの設置場所(種別)を判別し、これらの情報とIDエラー時刻をEEPROM104の履歴データベースに記憶する(S329)。履歴データベースは、図21に示すように、IDコード、パチンコ機1の台番、識別不能になったICタグの設置場所(種別)、消失時刻、復帰時刻、消失時刻から復帰時刻までの識別不能時間、IDエラー時刻を1週間程度分記憶しているものである。そして、表示器107に「○○番台基板ボックスIDエラー」のようなエラー表示を行い(S335)、該当の警告ランプを点灯する(S337)。警告ランプが点灯され表示器107にエラー表示がなされることにより、巡回中の遊技場の係員等が基板ボックス80や大入賞口16の状態を知ることができ、該当のパチンコ機1に赴いて状態を調べることができる。
【0083】
受信したデータがIDエラーデータでない場合には(S327:NO)、IDコードと消失時刻との組である消失データであるかどうかを判断する(S331)。消失データの場合は(S331:YES)、そのIDコードからパチンコ機1の台番と消失したICタグの設置場所(種別)を判別し、これらの情報と消失時刻をEEPROM104の履歴データベースに記憶する(S333)。次いで、表示器107に図13に示すように、「○○番台アタッカ不正開放」のようなエラー表示を行い(S335)、該当の警告ランプを点灯する(S337)。
【0084】
受信したデータが消失データでない場合は(S331:NO)、一旦通信不能状態になっていたICタグが再び通信可能になった復帰データであるから、送られてきたIDコードを履歴データベースで検索し、該当レコードに復帰時刻を記憶し(S339)、さらに消失時刻から復帰時刻までの識別不能時間を計算して記憶する。
【0085】
R/Wユニット56からデータを受信していない場合は(S312:NO)、遊技場の係員等によるマニュアル操作を受け付けたかどうかを判断する(S313)。マニュアル操作でなければ(S313:NO)、S312に戻る。マニュアル操作を受け付けた場合は(S313:YES)、管理者権限が確認されたかどうかを判断する(S315)。管理者権限がない場合には(S315:NO)、S312に戻る。管理者権限がある場合には(S315:YES)、表示器の表示を消去するクリアボタン110が押下されたかどうかを判断する(S317)。表示消去であれば(S317:YES)、表示器107のエラー表示を消去する(S319)。管理機100の表示器107は、図13に示すように、パチンコ機1の台番と、消失があったICタグの設置場所(基板ボックス80・アタッカ部材160)が表示され、同時に基板ボックス80の場合は警告ランプ108bが、アタッカ部材160の場合は警告ランプ108aが点灯される。このような報知を受けて遊技場の係員等が場内で対応した場合には、それ以降の表示は不要となるので、マニュアル操作により表示を消去するものである。
【0086】
表示消去でなければ(S317:NO)、履歴データのクリア処理かどうかを判断する(S321)。ICタグやR/Wユニット56内に記憶された履歴データは、予め定めた期間を経過した後、クリア指令を受けるとクリアされ、新しい履歴データが記憶できるように構成されている。履歴データをホールコン300に送信した後は、ICタグやR/Wユニット56や管理機100内に履歴を記憶させておく必要はないので、定期的にクリア処理を行うことにより、少ない記憶容量で構成することができる。履歴データのクリア処理であれば(S321:YES)、ICタグやR/Wユニット56,管理機100のEEPROM104に記憶された履歴データを消去する(S323)。履歴データのクリア処理でなければ(S321:NO)、R/Wユニット56にポーリングし(S325)、データの受信を待つ(S312)。R/Wユニット56の呼び出しは、管理機100のキーボードを操作して行う。このようにして、遊技場の係員等が監視対象となっている基板ボックス80や大入賞口16の状態を随時確認することができる。
【0087】
次いで、処理を終了するかどうかを判断し(S341)、終了の場合は(S341:YES)、全体の処理を終了し、終了でなければ(S341:NO)、S327に戻ってデータの受信を待つ。
【0088】
7.変形例の説明
尚、本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。以下に、本発明を適用する実施の形態の変形例について、以下に説明する。まず、本実施形態では、有線の通信ケーブル150を用いてR/Wユニット56と管理機100とを接続しているが、赤外線通信や無線通信等の無線接続でも同様に構成できる。また、上記実施形態では、遊技機設置島毎に管理機100を1台設置する構成としたが、複数の島でまとめて管理機100を1台設置してもよいし、遊技場全体を管理する遊技場管理用ホールコンピュータ300に管理機を兼ねさせるように構成してもよい。尚、パチンコ機1の各種遊技情報は、R/Wユニット56や管理機100を経由せず、ホールコンピュータ300に直接送信するようにして、R/Wユニット56は大当たり信号のみを受信するように構成すれば、上記実施の形態と同様の効果を実現できる。
【0089】
R/Wユニット56は、センターカバー90の外側に限らず、パチンコ機1のその他の場所に設置してもよいし、島設備に備え付けるようにしてもよい。また、パチンコ機1に1台のR/Wユニット56を用意するのではなく、島に1台又は複数台のR/Wユニット56を設け、複数のパチンコ機1に設置されたICタグを監視するように構成してもよい。さらに、R/Wユニット56は、島設備から電源供給を受けるのではなく、主制御基板41やバックアップ電源を持つ電源基板42等のパチンコ機1側から電源供給を受けるように構成してもよい。パチンコ機1の主制御基板41から電源供給を受けるように構成した場合には、営業終了後パチンコ機1の電源が落とされるとパチンコ機1のバックアップ電源から電源をもらって監視処理を継続することができる。また、R/Wユニット56の中にバックアップ電源を持つように構成し、営業中に充電を行い、閉店後はそのバックアップ電源を使用するようにしてもよい。
【0090】
上記実施形態では可動部材としてアタッカ部材(特別電動役物)にICタグを設置しているが、アタッカ部材に限らず普通電動役物等の可変入賞装置にICタグを設置してもよい。アタッカ部材に設置した場合と同様に、不正に可変入賞装置が開放されるのを監視することができる。
【0091】
ICタグ86は、上記実施形態のような薄い小型長方形の物に限らず、例えばコイン型やスティック型等、形状や大きさを自由に構成することができる。また、上記実施形態のような電磁誘導方式に限定されず、電磁結合方式やマイクロ波方式、光方式等、様々な方式を利用可能である。さらに、ICタグ86は、上蓋部80aの裏面に固着するのでなく、LSI50のモールディング部に埋め込んで設置してもよい。図22及び図23は、ICタグ86を主制御基板41上のLSI50に埋め込んで形成した場合の基板ボックス80の分解斜視図である。この変形例では、ICタグ68が主制御基板41上のLSI50内にあり、アンテナ68が上蓋部80aに配置されている。アンテナ68とICタグ86間の通信により上蓋部80aの開放を検知する監視システムであるから、前述の実施形態でも本変形例でも実現される効果は同様である。また、開閉の痕跡だけでなく、ROMのすり替えについても発見できる。また、ICタグは上蓋部内に一体成型してもよく、一旦貼り付けたら剥がすと破壊されるように構成してもよい。
【0092】
アンテナ68は、図24の斜視図に示すように、主制御基板41上に回路パターン作成と同時にプリントして形成してもよい。主制御基板41上にプリントすることで、部品点数を削減することができる。プリントされるアンテナ68の位置や形状は図24に示すような右下部位置や渦巻き形状に限らず、基板の外周に沿って渦巻きを数周形成してプリントするようなものでもよい。この場合には、ICタグ86が主制御基板41上のどこに配置されてもアンテナ68との通信を確保することができる。さらに、大入賞口16の開閉扉16aに取り付けられるICタグ186と通信するアンテナ168は、ガラス枠13側やガラス板に取り付けてもよい。尚、ICタグとアンテナの通信可能距離は、上記実施形態のような約5mmに限定されず、ICタグの監視場所により任意に調節可能である。
【0093】
上記実施の形態における監視処理では、ICタグから反射波が返答されてくるのを待つ待ち時間を50ミリ秒に設定しているが、これに限定されず、リアルタイムに監視できる数ミリ秒〜数秒の範囲で変更可能である。また、消失時刻と復帰時刻をR/Wユニット56のEEPROM56dに記憶するように構成しているが、R/Wユニット56内にハードディスクを設けて記憶させてもよいし、光メディア等の他の記憶媒体を使用してもよい。また、RAM56bに一旦記憶し、データを管理機に送信した後にRAM56bをクリアするように構成してもよい。このように構成すれば、EEPROM56dは不要となる。また、応答がなかった場合に、ポーリング時刻を消失時刻としてR/Wユニット56のRAM56bに一旦記憶しておき、復帰した場合に復帰時刻と合わせてICタグ86のEEPROM86cに記憶させるようにしてもよい。このように構成すると、履歴を管理機と二重に保持することになるので、万一管理機内のデータが消えてしまった場合にも履歴が残ることになる。さらに、そのICタグをパチンコ機1のメーカーへ返却すれば、履歴をメーカー側でも管理できる。さらに、ICタグ86の内部に電源を持たせ、EEPROM56dに記憶すると同時にEEPROM86cに記憶したり、EEPROM56dに記憶する代わりにEEPROM86cに記憶するようにしてもよい。また、営業中は、管理機100に結果を送信するのみで、RAMやEEPROM86cに記憶させず、閉店後のみ記憶するようにしてもよい。また、管理機100の処理において、データの受信内容を記憶して表示器への表示と警告ランプの点灯をするのみにとどめているが、記憶内容を遊技場管理用ホールコンピュータ300に送信して1ヶ月程度記憶させたり、外部の記憶装置に送信するように構成してもよい。尚、識別不能時間の算出は、管理機100でなく、R/Wユニット56で行い、復帰データとともにR/Wユニット56から管理機100に送信するようにしてもよい。
【0094】
8.実施の形態の効果
以上説明したように、本実施形態の管理システムによれば、管理機100に接続されたパチンコ機1の基板ボックス80と大入賞口16の開閉扉16aにICタグを設置し、R/Wユニット56からほぼ常時にそれぞれのICタグに呼出波を送信してICタグの識別データを乗せた反射波を応答させ、応答がなくなった場合(消失)や、再び応答するようになった場合(復帰)にそのICタグのIDコードと消失時刻・復帰時刻を管理機100に送信させるように構成している。そして、このようなデータ送信を受けた管理機100では、この内容を記憶するとともに、表示器107に表示するようにして、係員等の注意を促し、不正行為の早期発見や防止に役立てることができる。
【0095】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、請求項1に記載の監視システムによれば、送信回路がアンテナを介して呼出波を送信してICタグを呼び出すと、ICタグは識別データを含む反射波を返すので、この通信が可能であるか否か、識別データが真正であるか否かにより正常か異常かを判定することができる。識別データを含む無線通信によるため、光や電気等に比べて改竄やいわゆる「なりすまし」が難しい。従って、常にはICタグをアンテナから通信可能な位置に設置しておけば、ICタグを固着した部材が通信可能な範囲外へ移動する等した場合には、反射波が受信できなくなり、通信不能となる。また、通信不能状態から、通信可能範囲内の位置へ再び復帰すると反射波が受信できるようになる。このため、目視によらず部材の開放や移動等装置の状態の変化を検知することができる。このような通信不能と復帰を記憶させて履歴に残すようにすれば、正常な場合と不正な場合とを区別することもでき、効果的に監視を行うことができる。
【0096】
請求項2に記載の監視システムによれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、ICタグとアンテナの距離が離れると、受信回路が反射波を受信できなくなり、通信不能となる。従って、ICタグを開閉する部材に設置したような場合、部材が開放されることによってICタグとアンテナの距離が離れると通信不能になるので、開放を検知することができる。
【0097】
請求項3に記載の監視システムによれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、ICタグの監視履歴を後から参照することができる。また、不正が行われた正確な時刻を知ることができるため、監視システムの設置された装置のある遊技場等に監視カメラが設置されている場合には、監視カメラと照合すれば、不正行為をなした人物を特定することも可能である。
【0098】
請求項4に記載の監視システムによれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、正常であれ異常であれ状態の変化がない場合は記憶せず、状態の変化があった場合のみ記憶するようにしたので、記憶容量を節約することができる。
【0099】
請求項5に記載の監視システムによれば、請求項3又は4に記載の発明の効果に加え、ICタグを常時呼び出して、装置の状態を監視するため、リアルタイムに異常を発見し、外部に出力したり履歴を残すことができる。
【0100】
請求項6に記載の監視システムによれば、請求項3又は4に記載の発明の効果に加え、記憶された判定結果や監視履歴データが外部に出力されるので、異常と判定された場合に光や音等で報知する等して注意を喚起することができる。
【0101】
請求項7に記載の監視システムによれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、出力された判定結果や監視履歴データに基づいて外部装置において報知を行ったり、外部装置側で記憶してICタグの監視履歴を後から参照することができる。また、不正が行われた正確な時刻を知ることができるため、監視システムの設置された装置のある遊技場等に監視カメラが設置されている場合には、監視カメラと照合すれば、不正行為をなした人物を特定することも可能である。
【0102】
請求項8に記載の監視システムによれば、請求項7に記載の発明の効果に加え、正常であれ異常であれ状態の変化がない場合は外部に出力せず、状態の変化があった場合のみ外部に出力するようにしたので、効率的に出力結果を利用することができる。
【0103】
請求項9に記載の監視システムによれば、請求項6乃至8のいずれかに記載の発明の効果に加え、ICタグを常時呼び出して装置の状態を監視するため、リアルタイムに異常を発見し、外部に出力したり履歴を残すことができる。
【0104】
請求項10に記載の遊技機によれば、請求項1乃至9のいずれかに記載の発明の効果を奏することができる。
【0105】
請求項11に記載の遊技機によれば、請求項10に記載の発明の効果に加え、ICタグとアンテナとが本体部材とカバー部材に別個に設けられ、本体部材とカバー部材が組み付けられた状態の時に、両者は封入部材に封入されているため、カバー部材が開けられると、ICタグとアンテナの相対位置が変化し、通信不能状態となる。これを外部に出力したり、記憶して履歴を取ったりすることにより、基板の交換等を目的とした不正な開放を検知することができる。すぐに報知するように構成すれば、不正行為の早期発見に役立てることができる。
【0106】
請求項12に記載の遊技機によれば、請求項10に記載の発明の効果に加え、可動部材が動作すると、反射波が受信できなくなり、これを所定条件の成立の有無とつきあわせることにより、正常な動作か不正行為かを検知することができる。
【0107】
請求項13に記載の装置管理システムによれば、請求項6乃至9のいずれかに記載の発明の効果に加え、管理機の監視履歴データ受信手段が、ICタグ監視装置の出力手段から出力された判定結果や監視履歴データを受信する。従って、個々の装置の監視履歴データを管理機側で把握して早期に対応することが可能になる。
【0108】
請求項14に記載の装置管理システムによれば、請求項13に記載の発明の効果に加え、受信した個々の装置の監視履歴データを管理機側で一括して記憶し、IC監視装置の記憶内容をクリアしたり、複数の装置の監視履歴を比較したりする等、柔軟な対応が可能になる。
【0109】
請求項15に記載の装置管理システムによれば、請求項13又は14に記載の発明の効果に加え、複数の装置から受信した監視履歴をまとめて一ヶ所で表示したり、警告ランプや音等で報知したりして不正行為等に効率的に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】管理システム200のシステム構成図である。
【図2】パチンコ機1の正面図である。
【図3】パチンコ機1の遊技盤2の正面図である。
【図4】パチンコ機1の背面図である。
【図5】R/Wユニット56の分解斜視図である。
【図6】基板ボックス80の平面図である。
【図7】基板ボックス80の斜視図である。
【図8】基板ボックス80の分解斜視図である。
【図9】基板ボックス80の分解斜視図である。
【図10】ICタグ86,186の正面図である。
【図11】開閉扉16aが閉鎖されている状態のアタッカ部材160の斜視図である。
【図12】開閉扉16aが開放されている状態のアタッカ部材160の斜視図である。
【図13】管理機100の正面図である。
【図14】パチンコ機1の電気的回路構成を示すブロック図である。
【図15】R/Wユニット56の電気的回路構成を示すブロック図である。
【図16】ICタグ86の電気的回路構成を示すブロック図である。
【図17】管理機100の構成を示すブロック図である。
【図18】基板ボックス80の状態を監視する監視処理のフローチャートである。
【図19】アタッカ部材160の状態を監視する監視処理のフローチャートである。
【図20】管理機100の処理の概略を示すフローチャートである。
【図21】履歴データベースの模式図である。
【図22】変形例の基板ボックス80の分解斜視図である。
【図23】変形例の基板ボックス80の分解斜視図である。
【図24】別の変形例の基板ボックス80の斜視図である。
【符号の説明】
1 パチンコ機
2 遊技盤
16 大入賞口
16a 開閉扉
41 主制御基板
42 電源基板
50 LSI
51 CPU
52 RAM
53 ROM
55 出力ポート
56 R/Wユニット
56a CPU
56b RAM
56c ROM
56d EEPROM
56g RF回路
56h LANカード
56i 入力ポート
56k 同軸ケーブル
68 アンテナ
69 7セグメント表示器
80 基板ボックス
80a 上蓋部
80c 下蓋部
86 ICタグ
86c EEPROM
100 管理機
104 EEPROM
106 通信回路
107 表示器
108 警告ランプ
160 アタッカ部材
186 ICタグ
168 アンテナ
200 管理システム
300 遊技場管理用ホールコンピュータ
Claims (15)
- ICタグと、そのICタグと通信を行うICタグ監視装置とからなる監視システムであって、
前記ICタグは、
他のICタグと区別するための識別データを記憶し、
前記ICタグ監視装置は、
前記ICタグを呼び出す呼出波を送信する送信回路と、
前記ICタグから返送される反射波を受信する受信回路と、
前記送信回路及び前記受信回路に接続されたアンテナと、
前記送信回路が呼出波を送信してから所定時間内に前記受信回路が反射波を受信せず通信不能状態となった場合、又は、前記反射波に含まれる前記識別データが予め登録されている登録データと異なっている場合に異常と判定する判定手段とを備えたことを特徴とする監視システム。 - 前記受信回路は、前記ICタグと前記アンテナの距離が所定の閾値を超えて変位すると、前記反射波が受信できなくなることを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
- 前記ICタグ監視装置は、前記判定手段による判定結果、又は、前記受信回路が前記反射波を受信できる通信可能状態から前記反射波を受信できない通信不能状態となった時点の時刻である消失時刻、前記通信不能状態から前記通信可能状態になった時点の時刻である復帰時刻、もしくは、予め登録されている登録データと異なる識別データが受信された時点の時刻であるID異常時刻のうち少なくとも1つを含む監視履歴データを記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の監視システム。
- 前記記憶手段は、前記判定手段による判定結果が前回から継続して正常である場合、及び、前回から継続して異常である場合には、前記判定結果及び前記監視履歴データを記憶しないことを特徴とする請求項3に記載の監視システム。
- 前記送信回路は、前記ICタグに対して呼出波を送信し、前記判定手段による判定及び前記記憶手段による記憶後直ちに、再び前記ICタグに対して呼出波を送信することを特徴とする請求項3又は4に記載の監視システム。
- 前記ICタグ監視装置は、前記記憶手段が記憶した内容を外部に出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の監視システム。
- 前記ICタグ監視装置は、前記判定手段による判定結果、又は、前記受信回路が前記反射波を受信できる通信可能状態から前記反射波を受信できない通信不能状態となった時点の時刻である消失時刻、前記通信不能状態から前記通信可能状態になった時点の時刻である復帰時刻、もしくは、予め登録されている登録データと異なる識別データが受信された時点の時刻であるID異常時刻のうち少なくとも1つを含む監視履歴データを外部に出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の監視システム。
- 前記出力手段は、前記判定手段による判定結果が前回から継続して正常である場合、及び、前回から継続して異常である場合には、前記判定結果及び前記監視履歴データを出力しないことを特徴とする請求項7に記載の監視システム。
- 前記送信回路は、前記ICタグに対して呼出波を送信し、前記判定手段による判定及び前記出力手段による出力後直ちに、再び前記ICタグに対して呼出波を送信することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の監視システム。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載の監視システムを備えた遊技機。
- 遊技機を制御する制御素子を搭載した基板を封入し、本体部材とその本体部材から分離して取り外されるカバー部材とから構成される封入部材を備え、
前記ICタグ及び前記アンテナは、一方が前記本体部材に、他方が前記カバー部材に設けられ、かつ、両者は、前記本体部材と前記カバー部材が組み付けられた状態の時に、前記封入部材に封入されて設置されていることを特徴とする請求項10に記載の遊技機。 - 所定条件の成立により動作する可動部材を備え、
前記ICタグ及び前記アンテナのいずれか一方が前記可動部材に設けられ、他方がその通信可能な近傍に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の遊技機。 - 請求項6乃至9のいずれかに記載の監視システムを備えた装置とその装置を管理する管理機とがネットワークを介して接続された装置管理システムであって、
前記管理機は、
前記出力手段から出力される前記判定結果又は前記監視履歴データを受信する監視履歴データ受信手段を備えたことを特徴とする装置管理システム。 - 前記管理機は、前記監視履歴データ受信手段が受信した前記判定結果又は前記監視履歴データを記憶する監視履歴データ記憶手段を備えたことを特徴とする請求項13に記載の装置管理システム。
- 前記管理機は、前記監視履歴データ受信手段が受信した前記判定結果又は前記監視履歴データを出力する監視履歴データ出力手段を備えたことを特徴とする請求項13又は14に記載の装置管理システム。
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