JP2004013054A - 高耐熱ラベル - Google Patents
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Abstract
【課題】
高温に曝される被着材料に対しても使用可能な高耐熱ラベルを提供する。
【解決手段】
(1)支持基材と、溶融時に光学的異方性を呈する熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ポリイミドからなる熱溶融型接着層とを有することを特徴とする高耐熱ラベル。
(2)さらに粘着層を有し、該粘着層、熱溶融型接着層、支持基材の順に積層されていることを特徴とする上記(1)のラベル。
(3)溶融時に光学異方性を呈する熱可塑性樹脂が、全芳香族液晶ポリエステルからなることを特徴とする上記(1)、(2)のラベル。
【選択図】 なし
高温に曝される被着材料に対しても使用可能な高耐熱ラベルを提供する。
【解決手段】
(1)支持基材と、溶融時に光学的異方性を呈する熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ポリイミドからなる熱溶融型接着層とを有することを特徴とする高耐熱ラベル。
(2)さらに粘着層を有し、該粘着層、熱溶融型接着層、支持基材の順に積層されていることを特徴とする上記(1)のラベル。
(3)溶融時に光学異方性を呈する熱可塑性樹脂が、全芳香族液晶ポリエステルからなることを特徴とする上記(1)、(2)のラベル。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラベル、特に、350℃以上の高温に曝される被着材料に対しても使用可能な高耐熱ラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
食品、機械、化学などの広い工業分野において、生産物またはその包装に、記号、文字、パターンなどの表示が印刷されたラベル、例えば支持基材の一方の面に表示が印刷され、他方の面に粘着層を有するラベルが貼り付けられ、工程管理に利用されている。その代表的な例がバーコードラベルを利用した管理システムである。このバーコード管理システムでは、製品の製造状況、価格などの情報をバーコードラベルから機械的に読み取ることにより、製造、販売工程等の管理がなされている。
【0003】
しかし、通常のバーコードラベルは、アクリル樹脂などからなる粘着層を介して被着材料と貼合されるため、この層が350℃以上という過酷な温度条件において分解および蒸散してしまうことがあり、窯業、製鉄業、ガラス工業などの高温処理工程を有する工業分野、例えば400〜600℃の封入、焼き鈍し工程を有するテレビジョン用ブラウン管製造工程や熱圧延、熱成形後の金属製品の加工工程などでは使用できないという問題があった。
【0004】
また粘着層の耐熱性を改善するために、シリコーン樹脂と金属粉末などの無機物とを複合化させる検討がなされている(特開平7−334088号公報、特開平11−52861号公報など)。しかし、マトリックスであるシリコーン樹脂の耐熱性が十分でないため高温での接着力が必ずしも十分ではないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の現状に鑑み、高温に曝される被着材料に対しても使用可能な高耐熱ラベルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、接着層として、溶融時に光学的異方性を呈する熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ポリイミドという特定の樹脂からなる熱溶融型接着層を有するラベルが、優れた耐熱性を示すことを見出だすとともに、熱溶融型接着層側に粘着層を有するラベルが、低温で粘着層が被着材料と貼合し、高温では粘着層が分解又は流動除去されるとともに熱融解型接着層が溶融して被着材料と貼合し得、被着材料が低温であっても高温であってもラベル貼合が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、(1)支持基材と、溶融時に光学的異方性を呈する熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ポリイミドからなる熱溶融型接着層とを有することを特徴とする高耐熱ラベル、(2)さらに熱溶融型接着層側に粘着層を有することを特徴とする上記(1)の高耐熱ラベルを提供するものである。
なお、本発明において、高耐熱粘着ラベルにおけるラベルとは、テープや、シートなどのようにその形状等により名称が異なったものも含むものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の高耐熱ラベルは、支持基材と、溶融時に光学的異方性を呈する熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ポリイミドからなる熱溶融型接着層とを有することを特徴とするものである。ここで、支持基材と熱溶融型接着層とは直接積層されていても、接着層を介して積層されていても良い。前者の場合は、例えば熱圧着することにより、後者の場合は、例えば溶融ラミ、ドライラミの手法により積層し得る。
【0009】
また本発明の高耐熱ラベルは、支持基材における熱溶融型接着剤層が積層された面の反対の面に、表示が印刷されていても良く、さらに粘着層が、熱溶融型接着層における支持基材が積層された面と反対の面すなわち熱溶融型接着層側に積層されていても良い。
ここで、粘着層を有しない場合は、高温において、熱溶融型接着層が溶融して被着材料と貼合するが、粘着層を有する場合は、低温で粘着層が被着材料と貼合し、高温では粘着層が分解または流動除去されるとともに熱融解型接着層が溶融して被着材料と貼合するので、低温でのラベル貼合が可能となる。
【0010】
本発明の高耐熱ラベルは、上記のような積層構造を有することを特徴とするものであるが、支持基材としては、耐熱性に優れたものであれば特に制限はないが、例えばアルミニウム、鉛、鉄、銅などの金属箔、ガラス繊維紙、セラミック繊維紙、アラミド繊維紙、熱硬化性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ガラス板、ガラスシート、セラミック板、セラミックシートなどが挙げられる。好ましくは、アルミニウム箔などの金属箔が用いられる。もちろん、熱溶融型接着層が積層する面とは反対の面に、ラベルとして必要な情報の印刷が施されていても良い。
したがって好ましい積層構造としては、例えば、印刷層/金属箔/(接着層)/熱溶融型接着層、印刷層/金属箔/(接着層)/熱溶融型接着層/粘着層等の積層構造が挙げられる。
【0011】
また熱溶融型接着層としては、溶融時に光学的異方性を呈する熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ポリイミドが用いられる。
溶融時に光学的異方性を呈する熱可塑性樹脂としては、例えば全芳香族系もしくは半芳香族系のポリエステル、ポリエステルイミド、ポリエステルアミドなどや、それらを含有する樹脂組成物などが挙げられる。好ましくは全芳香族系もしくは半芳香族系のポリエステルすなわち液晶ポリエステル、該液晶ポリエステルを含有する樹脂組成物であり、さらに好ましくは全芳香族系液晶ポリエステルやそれを含有する樹脂組成物である。
【0012】
ここでいう液晶ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルである。その代表例としては、例えば、
(1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わせからなるもの。
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸の組み合わせからなるもの。
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせからなるもの。
(4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られるもの。
などが挙げられ、通常、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。なお、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、それらのエステル形成性誘導体が使用されることもある。さらに、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、核がハロゲン原子、アルキル基、アリール基等で置換されたものが使用されることもある。
【0013】
▲1▼芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
各構造における核中の水素原子はハロゲン原子、アルキル基、アリール基で置換されていてもよい。
【0014】
各構造における核中の水素原子はハロゲン原子、アルキル基、アリール基で置換されていてもよい。
【0015】
▲2▼芳香族ジオールに由来する繰返し構造単位:
各構造における核中の水素原子はハロゲン原子、アルキル基、アリール基で置換されていてもよい。
【0016】
各構造における核中の水素原子はハロゲン原子、アルキル基、アリール基で置換されていてもよい。
【0017】
▲3▼芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し構造単位:
各構造における核中の水素原子はハロゲン原子、アルキル基、アリール基で置換されていてもよい。
【0018】
耐熱性、機械的特性、加工性のバランスから特に好ましい液晶ポリエステルは
なる繰り返し構造単位を含むものであり、さらに好ましくは該繰り返し構造単位を少なくとも全体の30モル%以上含むものである。具体的には繰り返し構造単位の組み合わせが下記(I)〜(VI)のいずれかのものが好ましい。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
該液晶ポリエステル(I)〜(VI)の製法については、例えば特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報、特公昭63−3891号公報、特公昭56−18016号公報、特開平2−51523号公報などに記載されている。これらの中で好ましくは(I)、(II)または(IV)の組み合せであり、さらに好ましくは(I)または(II)の組み合せが挙げられる。
【0026】
特に高い耐熱性が要求される分野には液晶ポリエステルが、下記の繰り返し単位(a’)が30〜80モル%、繰り返し単位(b’)が0〜10モル%、繰り返し単位(c’)が10〜25モル%、繰り返し単位(d’)が10〜35モル%からなる液晶ポリエステルが好ましく使用される。
【0027】
(式中、Arは2価の芳香族基である。)
繰り返し単位(d’)は上述のジオールが好ましく、特に高い耐熱性が要求される用途には全芳香族のジオールが好ましい。
【0028】
本発明の液晶ポリエステルにおいて、環境問題等の見地から使用後の焼却などの排気の容易さを求められる分野には、ここまでに挙げたそれぞれに要求される分野の好ましい組み合わせの中で、特に炭素、水素、酸素のみからなる組み合わせによる液晶ポリエステルが好ましく用いられる。
【0029】
熱溶融型接着層に用いられる溶融時に光学異方性を呈する熱可塑性樹脂としては、成型加工性、得られるフィルムの性能の観点から、(A)液晶ポリエステルを連続相とし、(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分散層とする液晶ポリエステル樹脂組成物を用いることがさらに好ましい。
【0030】
上記の液晶ポリエステル樹脂組成物に用いられる成分(B)は、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体である。このような液晶ポリエステルと反応性を有する官能基としては、液晶ポリエステルと反応性を有すれば何でもよく、具体的には、オキサゾリル基やエポキシ基、アミノ基等が挙げられる。好ましくは、エポキシ基である。
エポキシ基等は他の官能基の一部として存在していてもよく、そのような例としては例えばグリシジル基が挙げられる。
【0031】
共重合体(B)において、このような液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を共重合体中に導入する方法としては特に限定されるものではなく、周知の方法で行うことができる。例えば共重合体の合成段階で、該官能基を有する単量体を共重合により導入することも可能であるし、共重合体に該官能基を有する単量体をグラフト共重合することも可能である。
【0032】
液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する単量体としては、グリシジル基を含有する単量体が好ましく使用される。グリシジル基を含有する単量体としては、例えば下記一般式
(式中、Rは、エチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜13の炭化水素基を表し、Xは、−C(O)O−、−CH2−O−または
を表す。)
で示される不飽和カルボン酸グリシジルエステル、不飽和グリシジルエーテルが好ましく用いられる。
【0033】
ここで、不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸グリシジルエステルなどを挙げることができる。
【0034】
不飽和グリシジルエーテルとしては、例えばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等が例示される。
【0035】
共重合体(B)においては、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30重量%含有することが好ましい。
【0036】
共重合体(B)としては、上記のような官能基を有する共重合体が使用される。その具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムを挙げることができる。この場合、詳細な機構は明らかではないが、(メタ)アクリル酸エステルを加えることで、共重合体全体の耐熱性、加工性を向上させることが出来る。
【0037】
ここで(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸またはメタクリル酸とアルコールから得られるエステルである。アルコールとしては、炭素原子数1〜8のアルコールが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどを挙げることができる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとしては、その一種を単独で使用してもよく、または二種以上を併用してもよい。
【0038】
上記の共重合体ゴムにおいて、(メタ)アクリル酸エステル単位が好ましくは40重量%を超え97重量%未満、さらに好ましくは45〜70重量%、エチレン単位が好ましくは3重量%以上50重量%未満、さらに好ましくは10〜49重量%、不飽和カルボン酸グリシジルエーテル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位が好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%である。
上記の範囲外であると、機械的性質が不十分となる場合があり、好ましくない。
【0039】
該共重合体ゴムは、通常の方法、例えばフリーラジカル開始剤による塊状重合、乳化重合、溶液重合などによって製造することができる。なお、代表的な重合方法は、特開昭48−11388号公報、特開昭61−127709号公報などに記載された方法であり、フリーラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力500kg/cm2以上、温度40〜300℃の条件により製造することができる。
【0040】
共重合体(B)の他の具体例としては、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有するアクリルゴムや、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムも例示することができる。
【0041】
ここでいうアクリルゴムとして好ましくは、一般式(1)〜(3)
CH2=CH−C(O)−OR1(1)
CH2=CH−C(O)−OR2OR3(2)
CH2=CR4−C(O)−O(R5(C(O)O)nR6(3)
(式中、R1は炭素原子数1〜18のアルキル基またはシアノアルキル基を示す。R2は炭素原子数1〜12のアルキレン基を、R3は炭素原子数1〜12のアルキル基を示す。R4は水素原子またはメチル基、R5は、炭素原子数3〜30のアルキレン基、R6は炭素原子数1〜20のアルキル基またはその誘導体、nは1〜20の整数を示す。)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体を主成分とするものである。
【0042】
上記一般式(1)で表されるアクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、シアノエチルアクリレートなどを挙げることができる。
【0043】
また、上記一般式(2)で表されるアクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばメトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレートなどを挙げることができる。これらの一種または二種以上を該アクリルゴムの主成分として用いることができる。
【0044】
このようなアクリルゴムの構成成分として、必要に応じて上記の一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体と共重合可能な不飽和単量体を用いることができる。
このような不飽和単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ハロゲン化スチレン、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルナフタレン、N−メチロールアクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ベンジルアクリレート、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
【0045】
上記のようなアクリルゴムの好ましい構成成分比は、上記の一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体40.0〜99.9重量%、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル0.1〜30.0重量%、上記の一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体と共重合可能な不飽和単量体0.0〜30.0重量%である。
該アクリルゴムの構成成分比が上記の範囲内であると、組成物の耐熱性や耐衝撃性、成形加工性が良好であり好ましい。
【0046】
該アクリルゴムの製法は特に限定するものではなく、例えば特開昭59−113010号公報、特開昭62−64809号公報、特開平3−160008号公報、あるいはWO95/04764などに記載されているような周知の重合法を用いることができ、ラジカル開始剤の存在下で乳化重合、懸濁重合、溶液重合あるいはバルク重合で製造することができる。
【0047】
また、前記液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムとしては、例えば(a)ビニル芳香族炭化水素化合物を主体とするシーケンスと(b)共役ジエン化合物を主体とするシーケンスからなるブロック共重合体をエポキシ化して得られるゴム、該ブロック共重合体の水添物をエポキシ化して得られるゴム等が挙げられる。
【0048】
ここでビニル芳香族炭化水素化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどを挙げることができ、中でもスチレンが好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどを挙げることができ、ブタジエンまたはイソプレンが好ましい。
【0049】
かかるビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体またはその水添物は、周知の方法で製造することができ、例えば、特公昭40−23798号公報、特開昭59−133203号公報等に記載されている。
【0050】
共重合体(B)具体例としては、上記のようなゴムの他に、熱可塑性樹脂として、(a)エチレン単位が50〜99重量%、(b)不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位が0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位が0〜50重量%からなるエポキシ基含有エチレン共重合体を挙げることができる。
【0051】
ここで、エチレン系不飽和エステル化合物(c)としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のカルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル等が挙げられる。特に酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0052】
該エポキシ基含有エチレン共重合体の具体例としては、たとえばエチレン単位とグリシジルメタクリレート単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびアクリル酸メチル単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびアクリル酸エチル単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位および酢酸ビニル単位からなる共重合体等が挙げられる。
【0053】
該エポキシ基含有エチレン共重合体のメルトマスフローレート(以下、MFRということがある。JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.5〜100g/10分、さらに好ましくは2〜50g/10分である。メルトインデックスはこの範囲外であってもよいが、メルトインデックスが100g/10分を越えると組成物にした時の機械的物性の点で好ましくなく、0.5g/10分未満では成分(A)の液晶ポリエステルとの相溶性が劣り好ましくない。
【0054】
また、該エポキシ基含有エチレン共重合体は、曲げ剛性率が10〜1300kg/cm2の範囲のものが好ましく、20〜1100kg/cm2のものがさらに好ましい。
曲げ剛性率がこの範囲外であると組成物の成形加工性や機械的性質が不十分となる場合がある。
【0055】
該エポキシ基含有エチレン共重合体は、通常不飽和エポキシ化合物とエチレンをラジカル発生剤の存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適当な溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下に共重合させる高圧ラジカル重合法により製造される。また、ポリエチレンに不飽和エポキシ化合物およびラジカル発生剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方法によっても製造しえる。
【0056】
上記のように、本発明における共重合体(B)は、熱可塑性樹脂であってもゴムであってもよいし、熱可塑性樹脂とゴムの混合物であってもよい。得られた組成物の熱安定性や柔軟性が優れるゴムがより好ましく、なかでも(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムが好ましく使用される。さらに、本発明における共重合体(B)においては、該共重合体を構成する単量体の種類
の数は、重合可能であれば特に制限はない。
【0057】
また、共重合体(B)は、結晶の融解熱量が3J/g未満の共重合体であることが好ましい。ムーニー粘度は、3〜70のものが好ましく、3〜30のものがさらに好ましく、4〜25のものが特に好ましい。
ここでいうムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃ラージローターを用いて測定した値をいう。
これらの範囲外であると、組成物の柔軟性が低下する場合があり好ましくない。
【0058】
また、共重合体(B)は、環境問題等の見地から使用後の焼却などの排気の容易さを求められる分野には、ここまでに挙げた好ましい組み合わせの中で、特に炭素、水素、酸素のみからなる組み合わせによる共重合体が好ましく用いられる。
【0059】
本発明における熱溶融型接着層は、上記のような液晶ポリエステル(A)を連続相とし液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)を分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物からなることが好ましい。
液晶ポリエステル(A)が連続相でない場合には、得られる組成物の耐熱性が低下する傾向にあり、好ましくない。
【0060】
このような官能基を有する共重合体と液晶ポリエステルとの樹脂組成物においては、機構の詳細は不明ではあるが、該組成物の成分(A)と成分(B)との間で反応が生起し、成分(A)が連続相を形成するとともに成分(B)が微細分散し、そのために得られる組成物の機械物性が向上するものと考えられる。
【0061】
かかる液晶ポリエステル樹脂組成物の一実施態様は、液晶ポリエステル(A)56.0〜99.9重量%、好ましくは70.0〜99.9重量%、さらに好ましくは85〜98重量%、および液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)44.0〜0.1重量%、好ましくは30.0〜0.1重量%、さらに好ましくは15〜2重量%を含有する樹脂組成物である。
成分(A)が56.0重量%未満であると該組成物から得られるフィルムの、耐熱性や耐薬品性などが低下する場合があり好ましくない。また成分(A)が
99.9重量%を超えると該組成物の成形加工性が低下する場合があり、また価格的にも高価なものとなり好ましくない。
【0062】
かかる液晶ポリエステル樹脂組成物を製造する方法としては周知の方法を用いることができる。たとえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸発させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。工業的見地からみると溶融状態で各成分を混練する方法が好ましい。溶融混練には一般に使用されている一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることができる。特に二軸の高混練機が好ましい。
【0063】
混練に際しては、各成分は予めタンブラーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均一に混合してもよいし、必要な場合には混合を省き、混練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いることができる。
【0064】
本発明に使用する溶融時に光学異方性を呈する熱可塑性樹脂には、性能を損なわない範囲で必要に応じて、熱安定剤、難燃剤などの各種添加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程において添加することができる。
【0065】
かかる溶融時に光学異方性を呈する熱可塑性樹脂は通常フィルムの形で使用される。フィルムの製造方法については、特に限定されるものではなく、例えば、Tダイから溶融樹脂を押出し巻き取るTダイ法、環状ダイスを設置した押出機から溶融樹脂を円筒状に押出し、冷却し巻き取るインフレーション成膜法、熱プレス法、またはカレンダもしくはロールを用いた成形法等が挙げられ、好ましくは、Tダイ法、インフレーション成膜法である。
【0066】
一方、熱溶融型接着層に使用される熱可塑性ポリイミドは、熱可塑性を示すものなら特に制限はなく、通常、ジアミンと酸無水物とを反応させて得ることができる。
ここで、ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、2,2―ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチルベンジジン、4,4’−ジアミノ−p−テルフェニル、4,4’−ジアミノ−p−クォーターフェニル、2,8−ジアミノジフェニレンオキサイドなどを、酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などを使用することができ、それぞれ1種または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0067】
該熱可塑性ポリイミドの製法については、特に制限は無く、例えば特開平5−47854号公報などに記載の方法が採用し得る。熱可塑性ポリイミドは通常フィルムの形で使用されるが、フィルムの製法としては、特に限定は無いが、例えば、ポリイミドの前駆体であるポリイミド酸の溶液を流延し乾燥、加熱するキャスト法、Tダイから溶融樹脂を押出し巻き取るTダイ法、環状ダイスを設置した押出機から溶融樹脂を円筒状に押出し、冷却し巻き取るインフレーション成膜法、熱プレス法、またはカレンダもしくはロールを用いた成形法等が挙げられ、好ましくは、Tダイ法、インフレーション成膜法である。
【0068】
本発明の高耐熱ラベルは、上記のように溶融型接着層を有することを特徴とするものであるが、該接着層には、耐熱性をさらに一層向上させるなどの目的のために、添加剤として、金属粉末や有機繊維などの無機化合物および/または有機化合物を適宜加えてもよいし、加熱処理などの後加工を行ってもよい。
【0069】
また溶融型接着層を構成する熱可塑性樹脂は、加熱により軟化して被着体と接着性を有するが、その軟化温度(FT)は、通常150〜500℃、好ましくは200℃〜450℃、より好ましくは250℃〜400℃である。耐熱性として分解温度は10℃/min.の昇温速度、窒素中で測定した際の熱重量測定における20%重量減少温度が350℃以上であることが好ましく、450℃以上がより好ましく、最も好ましくは、前記条件に加えて60%重量減少温度が600℃以上である。
ここで軟化温度(FT)とは、毛細管型レオメーターで測定され、4℃/分の昇温速度で加熱溶融された樹脂を、荷重100kgf/cm2のもとで、内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出した時に、該溶融粘度が48,000ポイズを示す温度(℃)をいう。
【0070】
本発明の高耐熱ラベルは、上記のような支持基材と熱溶融型接着層とを有することを特徴とするものであるが、熱溶融型接着層側に粘着層を有することもできる。
かかる粘着層を構成する粘着剤としては、一般的に知られる、アクリル系、ゴム系、シリコーン系など限定なく用いることができる。例えば、アクリル系についてはエマルジョン型、ソルベント型、ゴム系についてはエマルジョン型、ソルベント型、ホットメルト型、さらにシリコーン系については、ソルベント型が主に用いられる。また、粘着層は、通常かかる粘着剤を熱溶融型接着層に塗布することにより形成される。塗布は、熱溶融型接着層の全面であってもその一部であってもよい。その方法は特に制限はなく、周知の塗布方法で塗布することができる、具体的には、例えば、ソルベント型の粘着剤を塗布する場合については、ナイフコーターやリバースコーターを用いて離型紙側に粘着剤を塗布し、乾燥後、離型紙を調湿してから、熱溶融型接着層に貼り合わせるなどの方法が好ましく用いられる。
【0071】
アクリル系粘着剤としては、その構成成分として、粘着性を発現させるための主モノマー、凝集力を高めるコモノマー、接着力の向上のため、および、架橋剤と反応をさせるための官能基を有するモノマーの共重合体が挙げられ、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
主モノマーとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチルなど、アルキル基の炭素数2〜14のアクリル酸アルキルエステルやメタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチルなど、アルキル基の炭素数が4〜14のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられ、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
凝集力を高めるためのコモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルなど、アルキル基の炭素数が1〜8のアクリルエステル、さらには、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどが挙げられ、これらのうち二種以上を組み合わせてもよい。さらに、該粘着剤に各種添加剤を自由に加えることができる。
【0073】
さらに、接着性向上、架橋剤との反応のため、アクリル酸、メタクリル酸、などのモノカルボン酸やマレイン酸、グルタミン酸などの多価カルボン酸やそれらの無水物、さらには、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基を有するカルボン酸誘導体などが挙げられ、これらのうち二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
また架橋剤としては、一般に、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート、フェノール化合物、アミノ化合物、酸無水物、金属酸化物などが用いられるが、前記官能基を有するモノマーの種類に適応するよう適宜選択が可能である。
【0075】
また、シリコーン系粘着剤は、ポリマー成分と架橋樹脂の2つの主要成分からなり、ポリマーとしては主に、
−SiO(CH3)2−
を繰り返し単位とするポリマーの長連鎖の末端に残存のシラノール基(SiOH)を持つ高分子量のポリジメチレンシロキサン、またはポリジメチルフェニルシロキサンが主に用いられる。また架橋用樹脂は、3次元シリケート構造を有しており、末端がトリメチルシロキシ基となっている。
ポリマー末端のシラノール基と架橋用樹脂の成分末端のトリメチルシロキサン基を適宜反応させ、部分架橋することで、長連鎖部分と架橋部分および末端部とがミクロに相分離し不連続相となり粘着性を発現すると考えられる。
シリコーン系粘着剤の粘着力を向上するために、シロキサン架橋密度を高くすることもでき、触媒として有機過酸化物、アミノシラン、有機酸金属塩などを用いることができる。
【0076】
またゴム系粘着剤としては、天然ゴム系、スチレン/ブタジエンラテックス系、熱可塑性ゴム系、ブチルゴムなどが用いられる。
【0077】
上記のような粘着層は高温にさらされた場合に流動除去されて、耐熱溶融接着層の接着を阻害しなければ必ずしも分解される必要はは無いが、分解温度(熱重量測定における20%減少温度)が上記、溶融時に光学異方性を呈する熱可塑性樹脂、熱可塑性ポリイミドより低いことが好ましい。
なお、粘着層を有する場合は、その外側に粘着剤を保護する目的で離型紙や離型フィルムを積層しても良い。
【0078】
また本発明の高耐熱ラベルは、支持基材における熱溶融型接着剤層が積層される反対の面に、印字層を有することもできる。かかる印字層としては、一般に用いられている耐熱塗料を用いることができる。その樹脂成分としては、シリコーン樹脂の他、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂などの塗料用に使用する樹脂をシリコーン変性したものが挙げられる。また顔料としては鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム等の金属酸化物、ガラス、粘土やマグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属酸化物やこれらの複合酸化物が挙げられる。印字を鮮明にするために、白色の耐熱塗料が好ましく用いられる。
【0079】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性は次に示す方法により測定した。
【0080】
[物性の測定法]
軟化温度(FT):溶融流動性を表す指標であり、その測定法は、毛細管式レオメーター((株)島津製作所製 高化式フローテスターCFT500型)で測定され、4℃/分の昇温速度で加熱溶融されたサンプル樹脂(約2g)を100kg/cm2の荷重下で内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出した時に、該溶融粘度が48,000ポイズを示す温度(℃)として表した。
【0081】
耐熱性(熱分解温度):熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)社製示差熱熱重量同時測定装置 TG/DTA6200)にて窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度でサンプルを加熱し、重量変化を測定した。
【0082】
光学異方性:サンプル樹脂の溶融状態における光学異方性は、加熱ステージ上に置かれた粒径250μm以下のサンプル樹脂粉末を偏光下、25℃/分で昇温して、肉眼観察または透過光量をXYレコーダーに記録することにより行った。
【0083】
耐熱接着性試験:加熱した8mmの鋼板(被着体)に、約400mm長に切断した粘着ラベルサンプルを接着させた。そのまま放冷し、鋼板が室温になった後、鋼板の後ろよりハンマーでたたく、若しくは約1mの高さより落下させて、接着しているか否かを評価した。
【0084】
参考例1(成分(A)の液晶ポリエステル)
p−アセトキシ安息香酸8.3kg(60モル)、テレフタル酸2.49kg(15モル)、イソフタル酸0.83kg(5モル)および4,4’−ジアセトキシジフェニル5.45kg(20.2モル)を櫛型撹拌翼をもつ重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し320℃で2時間重合させた。この間に副生する酢酸ガスを冷却管で液化し回収、除去しながら、強力な撹拌下で重合させ、溶融状態でポリマーを系外へ取出した。この得られたポリマーを細川ミクロン(株)製のハンマーミルで粉砕し、2.5mm以下の粒子とした。これをさらにロータリーキルン中で窒素ガス雰囲気下に280℃で5時間処理することによって、軟化温度が333℃の粒子状の下記の繰り返し構造単位からなる全芳香族ポリエステルを得た。
以下該液晶ポリエステルをA−1と略記する。このポリマーは加圧下340℃以上で光学異方性を示した。液晶ポリエステルA−1の繰り返し構造単位は、次の通りである。
【0085】
【0086】
参考例2(成分(B))
特開昭61−127709号公報の実施例5に記載の方法に準じて、アクリル酸メチル/エチレン/グリシジルメタクリレート=60.0/37.0/3(重量比)、ムーニー粘度=15のゴムを得た。以下該ゴムをB−1と略称することがある。
ここでムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃、ラージローターを用いて測定した値である。
【0087】
参考例3(液晶ポリエステルフィルム)
A−1 90重量%、B−1 10重量%を日本製鋼(株)製TEX−30型二軸押出機を用いてシリンダー設定温度350℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行って組成物のペレットを得た。該組成物ペレットは加圧下で340℃以上で光学的異方性を示した。該組成物ペレットの軟化温度は328℃であった。
【0088】
この組成物のペレットを円筒ダイを備えた60mmφの単軸押出機に供給して、シリンダー設定温度350℃、回転数60rpmで溶融混練し、直径70mm、リップ間隔1.0mm、ダイ設定温度355℃の円筒ダイから上方へ溶融樹脂を押出し、その際この筒状フィルムの中空部へ乾燥空気を圧入して筒状フィルムを膨張させ、次に冷却させたのちニップロールに通して引取り、実測平均厚み約25μmの液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムを得た。引き取り方向への延伸比(引き取り速度/吐出速度)は、17.7また、ブロー比(膨張させた筒状フィルムの径/ダイリップ外径)は2.3であった。
軟化温度(FT)は322℃、熱分解温度(20%減量)は454℃であった。
【0089】
参考例4
アクリル酸n―ブチル97重量部、アクリル酸3重量部、重合開始剤としてラウロイルパーオキシド0.3重量部を酢酸エチルに溶解させ、窒素雰囲気中、酢酸エチルの還流温度で14時間反応させアクリル系共重合体を得た。得られたアクリル系共重合体をふくむ40%酢酸エチル溶液に、エポキシ系架橋剤0.1重量部を混合した粘着剤溶液を得た。以下、これをT−1と呼ぶことがある。
【0090】
実施例1
支持基材として500μmのアルミ板を、熱溶融型接着層として参考例3のフィルムを用い、固形のりを使用して両者を接着しラベルサンプルを作成した。熱溶融型接着層を接着していない面にはカーボンインキでアルファベットと数字の印刷を施し表示ラベルを得た。該ラベルをL−1と略称することがある。L−1を用いて、耐熱接着性試験を行った。耐熱接着試験結果を表1に示す。接着している場合を○、接着していない場合を×で示した。
【0091】
【表1】
【0092】
実施例2
実施例1で得たL−1の熱溶融型接着層側に参考例4で得たT−1を塗布して60℃の防爆型循環オーブン中で2時間乾燥し25μm厚みの粘着層を得た。T−1を塗布していない面にはカーボンインキでアルファベットと数字の印刷を施しラベルL−2を得た。
L−2は室温から350℃まではT−1からなる粘着層の粘着力で鋼板に接着可能であった。また、それ以上の温度では実施例1と同様の結果が得られた。
【0093】
比較例1
支持基材としての500μmのアルミ板に、参考例4で得たT−1を塗布して60℃の防爆型循環オーブン中で2時間乾燥し25μm厚みの粘着層を得た。T−1を塗布していない面にはカーボンインキでアルファベットと数字の印刷を施し表示ラベルを得た。該ラベルをL−3と略称することがある。L−3を用いて、耐熱接着性試験を行った。耐熱接着試験結果を表2に示す。接着している場合を○、接着していない場合を×で示した。被着体が450℃を超えると、粘着剤の分解が激しく貼り付けることもできなかった。
【0094】
【表2】
【0095】
【発明の効果】
本発明の耐熱ラベルは、柔軟性に優れ、400℃〜600℃という高温域においても優れた耐熱性を有している。また粘着層を有する本発明の耐熱ラベルは、室温から600℃という広い温度範囲において、被着体に直接貼り付け可能で、しかも剥がれることなく、優れた耐熱性を有している。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラベル、特に、350℃以上の高温に曝される被着材料に対しても使用可能な高耐熱ラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
食品、機械、化学などの広い工業分野において、生産物またはその包装に、記号、文字、パターンなどの表示が印刷されたラベル、例えば支持基材の一方の面に表示が印刷され、他方の面に粘着層を有するラベルが貼り付けられ、工程管理に利用されている。その代表的な例がバーコードラベルを利用した管理システムである。このバーコード管理システムでは、製品の製造状況、価格などの情報をバーコードラベルから機械的に読み取ることにより、製造、販売工程等の管理がなされている。
【0003】
しかし、通常のバーコードラベルは、アクリル樹脂などからなる粘着層を介して被着材料と貼合されるため、この層が350℃以上という過酷な温度条件において分解および蒸散してしまうことがあり、窯業、製鉄業、ガラス工業などの高温処理工程を有する工業分野、例えば400〜600℃の封入、焼き鈍し工程を有するテレビジョン用ブラウン管製造工程や熱圧延、熱成形後の金属製品の加工工程などでは使用できないという問題があった。
【0004】
また粘着層の耐熱性を改善するために、シリコーン樹脂と金属粉末などの無機物とを複合化させる検討がなされている(特開平7−334088号公報、特開平11−52861号公報など)。しかし、マトリックスであるシリコーン樹脂の耐熱性が十分でないため高温での接着力が必ずしも十分ではないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の現状に鑑み、高温に曝される被着材料に対しても使用可能な高耐熱ラベルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、接着層として、溶融時に光学的異方性を呈する熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ポリイミドという特定の樹脂からなる熱溶融型接着層を有するラベルが、優れた耐熱性を示すことを見出だすとともに、熱溶融型接着層側に粘着層を有するラベルが、低温で粘着層が被着材料と貼合し、高温では粘着層が分解又は流動除去されるとともに熱融解型接着層が溶融して被着材料と貼合し得、被着材料が低温であっても高温であってもラベル貼合が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、(1)支持基材と、溶融時に光学的異方性を呈する熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ポリイミドからなる熱溶融型接着層とを有することを特徴とする高耐熱ラベル、(2)さらに熱溶融型接着層側に粘着層を有することを特徴とする上記(1)の高耐熱ラベルを提供するものである。
なお、本発明において、高耐熱粘着ラベルにおけるラベルとは、テープや、シートなどのようにその形状等により名称が異なったものも含むものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の高耐熱ラベルは、支持基材と、溶融時に光学的異方性を呈する熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ポリイミドからなる熱溶融型接着層とを有することを特徴とするものである。ここで、支持基材と熱溶融型接着層とは直接積層されていても、接着層を介して積層されていても良い。前者の場合は、例えば熱圧着することにより、後者の場合は、例えば溶融ラミ、ドライラミの手法により積層し得る。
【0009】
また本発明の高耐熱ラベルは、支持基材における熱溶融型接着剤層が積層された面の反対の面に、表示が印刷されていても良く、さらに粘着層が、熱溶融型接着層における支持基材が積層された面と反対の面すなわち熱溶融型接着層側に積層されていても良い。
ここで、粘着層を有しない場合は、高温において、熱溶融型接着層が溶融して被着材料と貼合するが、粘着層を有する場合は、低温で粘着層が被着材料と貼合し、高温では粘着層が分解または流動除去されるとともに熱融解型接着層が溶融して被着材料と貼合するので、低温でのラベル貼合が可能となる。
【0010】
本発明の高耐熱ラベルは、上記のような積層構造を有することを特徴とするものであるが、支持基材としては、耐熱性に優れたものであれば特に制限はないが、例えばアルミニウム、鉛、鉄、銅などの金属箔、ガラス繊維紙、セラミック繊維紙、アラミド繊維紙、熱硬化性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ガラス板、ガラスシート、セラミック板、セラミックシートなどが挙げられる。好ましくは、アルミニウム箔などの金属箔が用いられる。もちろん、熱溶融型接着層が積層する面とは反対の面に、ラベルとして必要な情報の印刷が施されていても良い。
したがって好ましい積層構造としては、例えば、印刷層/金属箔/(接着層)/熱溶融型接着層、印刷層/金属箔/(接着層)/熱溶融型接着層/粘着層等の積層構造が挙げられる。
【0011】
また熱溶融型接着層としては、溶融時に光学的異方性を呈する熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ポリイミドが用いられる。
溶融時に光学的異方性を呈する熱可塑性樹脂としては、例えば全芳香族系もしくは半芳香族系のポリエステル、ポリエステルイミド、ポリエステルアミドなどや、それらを含有する樹脂組成物などが挙げられる。好ましくは全芳香族系もしくは半芳香族系のポリエステルすなわち液晶ポリエステル、該液晶ポリエステルを含有する樹脂組成物であり、さらに好ましくは全芳香族系液晶ポリエステルやそれを含有する樹脂組成物である。
【0012】
ここでいう液晶ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルである。その代表例としては、例えば、
(1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わせからなるもの。
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸の組み合わせからなるもの。
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせからなるもの。
(4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られるもの。
などが挙げられ、通常、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。なお、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、それらのエステル形成性誘導体が使用されることもある。さらに、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、核がハロゲン原子、アルキル基、アリール基等で置換されたものが使用されることもある。
【0013】
▲1▼芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
各構造における核中の水素原子はハロゲン原子、アルキル基、アリール基で置換されていてもよい。
【0014】
各構造における核中の水素原子はハロゲン原子、アルキル基、アリール基で置換されていてもよい。
【0015】
▲2▼芳香族ジオールに由来する繰返し構造単位:
各構造における核中の水素原子はハロゲン原子、アルキル基、アリール基で置換されていてもよい。
【0016】
各構造における核中の水素原子はハロゲン原子、アルキル基、アリール基で置換されていてもよい。
【0017】
▲3▼芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し構造単位:
各構造における核中の水素原子はハロゲン原子、アルキル基、アリール基で置換されていてもよい。
【0018】
耐熱性、機械的特性、加工性のバランスから特に好ましい液晶ポリエステルは
なる繰り返し構造単位を含むものであり、さらに好ましくは該繰り返し構造単位を少なくとも全体の30モル%以上含むものである。具体的には繰り返し構造単位の組み合わせが下記(I)〜(VI)のいずれかのものが好ましい。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
該液晶ポリエステル(I)〜(VI)の製法については、例えば特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報、特公昭63−3891号公報、特公昭56−18016号公報、特開平2−51523号公報などに記載されている。これらの中で好ましくは(I)、(II)または(IV)の組み合せであり、さらに好ましくは(I)または(II)の組み合せが挙げられる。
【0026】
特に高い耐熱性が要求される分野には液晶ポリエステルが、下記の繰り返し単位(a’)が30〜80モル%、繰り返し単位(b’)が0〜10モル%、繰り返し単位(c’)が10〜25モル%、繰り返し単位(d’)が10〜35モル%からなる液晶ポリエステルが好ましく使用される。
【0027】
(式中、Arは2価の芳香族基である。)
繰り返し単位(d’)は上述のジオールが好ましく、特に高い耐熱性が要求される用途には全芳香族のジオールが好ましい。
【0028】
本発明の液晶ポリエステルにおいて、環境問題等の見地から使用後の焼却などの排気の容易さを求められる分野には、ここまでに挙げたそれぞれに要求される分野の好ましい組み合わせの中で、特に炭素、水素、酸素のみからなる組み合わせによる液晶ポリエステルが好ましく用いられる。
【0029】
熱溶融型接着層に用いられる溶融時に光学異方性を呈する熱可塑性樹脂としては、成型加工性、得られるフィルムの性能の観点から、(A)液晶ポリエステルを連続相とし、(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分散層とする液晶ポリエステル樹脂組成物を用いることがさらに好ましい。
【0030】
上記の液晶ポリエステル樹脂組成物に用いられる成分(B)は、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体である。このような液晶ポリエステルと反応性を有する官能基としては、液晶ポリエステルと反応性を有すれば何でもよく、具体的には、オキサゾリル基やエポキシ基、アミノ基等が挙げられる。好ましくは、エポキシ基である。
エポキシ基等は他の官能基の一部として存在していてもよく、そのような例としては例えばグリシジル基が挙げられる。
【0031】
共重合体(B)において、このような液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を共重合体中に導入する方法としては特に限定されるものではなく、周知の方法で行うことができる。例えば共重合体の合成段階で、該官能基を有する単量体を共重合により導入することも可能であるし、共重合体に該官能基を有する単量体をグラフト共重合することも可能である。
【0032】
液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する単量体としては、グリシジル基を含有する単量体が好ましく使用される。グリシジル基を含有する単量体としては、例えば下記一般式
(式中、Rは、エチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜13の炭化水素基を表し、Xは、−C(O)O−、−CH2−O−または
を表す。)
で示される不飽和カルボン酸グリシジルエステル、不飽和グリシジルエーテルが好ましく用いられる。
【0033】
ここで、不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸グリシジルエステルなどを挙げることができる。
【0034】
不飽和グリシジルエーテルとしては、例えばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等が例示される。
【0035】
共重合体(B)においては、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30重量%含有することが好ましい。
【0036】
共重合体(B)としては、上記のような官能基を有する共重合体が使用される。その具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムを挙げることができる。この場合、詳細な機構は明らかではないが、(メタ)アクリル酸エステルを加えることで、共重合体全体の耐熱性、加工性を向上させることが出来る。
【0037】
ここで(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸またはメタクリル酸とアルコールから得られるエステルである。アルコールとしては、炭素原子数1〜8のアルコールが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどを挙げることができる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとしては、その一種を単独で使用してもよく、または二種以上を併用してもよい。
【0038】
上記の共重合体ゴムにおいて、(メタ)アクリル酸エステル単位が好ましくは40重量%を超え97重量%未満、さらに好ましくは45〜70重量%、エチレン単位が好ましくは3重量%以上50重量%未満、さらに好ましくは10〜49重量%、不飽和カルボン酸グリシジルエーテル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位が好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%である。
上記の範囲外であると、機械的性質が不十分となる場合があり、好ましくない。
【0039】
該共重合体ゴムは、通常の方法、例えばフリーラジカル開始剤による塊状重合、乳化重合、溶液重合などによって製造することができる。なお、代表的な重合方法は、特開昭48−11388号公報、特開昭61−127709号公報などに記載された方法であり、フリーラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力500kg/cm2以上、温度40〜300℃の条件により製造することができる。
【0040】
共重合体(B)の他の具体例としては、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有するアクリルゴムや、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムも例示することができる。
【0041】
ここでいうアクリルゴムとして好ましくは、一般式(1)〜(3)
CH2=CH−C(O)−OR1(1)
CH2=CH−C(O)−OR2OR3(2)
CH2=CR4−C(O)−O(R5(C(O)O)nR6(3)
(式中、R1は炭素原子数1〜18のアルキル基またはシアノアルキル基を示す。R2は炭素原子数1〜12のアルキレン基を、R3は炭素原子数1〜12のアルキル基を示す。R4は水素原子またはメチル基、R5は、炭素原子数3〜30のアルキレン基、R6は炭素原子数1〜20のアルキル基またはその誘導体、nは1〜20の整数を示す。)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体を主成分とするものである。
【0042】
上記一般式(1)で表されるアクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、シアノエチルアクリレートなどを挙げることができる。
【0043】
また、上記一般式(2)で表されるアクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばメトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレートなどを挙げることができる。これらの一種または二種以上を該アクリルゴムの主成分として用いることができる。
【0044】
このようなアクリルゴムの構成成分として、必要に応じて上記の一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体と共重合可能な不飽和単量体を用いることができる。
このような不飽和単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ハロゲン化スチレン、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルナフタレン、N−メチロールアクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ベンジルアクリレート、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
【0045】
上記のようなアクリルゴムの好ましい構成成分比は、上記の一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体40.0〜99.9重量%、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル0.1〜30.0重量%、上記の一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体と共重合可能な不飽和単量体0.0〜30.0重量%である。
該アクリルゴムの構成成分比が上記の範囲内であると、組成物の耐熱性や耐衝撃性、成形加工性が良好であり好ましい。
【0046】
該アクリルゴムの製法は特に限定するものではなく、例えば特開昭59−113010号公報、特開昭62−64809号公報、特開平3−160008号公報、あるいはWO95/04764などに記載されているような周知の重合法を用いることができ、ラジカル開始剤の存在下で乳化重合、懸濁重合、溶液重合あるいはバルク重合で製造することができる。
【0047】
また、前記液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムとしては、例えば(a)ビニル芳香族炭化水素化合物を主体とするシーケンスと(b)共役ジエン化合物を主体とするシーケンスからなるブロック共重合体をエポキシ化して得られるゴム、該ブロック共重合体の水添物をエポキシ化して得られるゴム等が挙げられる。
【0048】
ここでビニル芳香族炭化水素化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどを挙げることができ、中でもスチレンが好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどを挙げることができ、ブタジエンまたはイソプレンが好ましい。
【0049】
かかるビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体またはその水添物は、周知の方法で製造することができ、例えば、特公昭40−23798号公報、特開昭59−133203号公報等に記載されている。
【0050】
共重合体(B)具体例としては、上記のようなゴムの他に、熱可塑性樹脂として、(a)エチレン単位が50〜99重量%、(b)不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位が0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位が0〜50重量%からなるエポキシ基含有エチレン共重合体を挙げることができる。
【0051】
ここで、エチレン系不飽和エステル化合物(c)としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のカルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル等が挙げられる。特に酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0052】
該エポキシ基含有エチレン共重合体の具体例としては、たとえばエチレン単位とグリシジルメタクリレート単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびアクリル酸メチル単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびアクリル酸エチル単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位および酢酸ビニル単位からなる共重合体等が挙げられる。
【0053】
該エポキシ基含有エチレン共重合体のメルトマスフローレート(以下、MFRということがある。JIS K7210、190℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.5〜100g/10分、さらに好ましくは2〜50g/10分である。メルトインデックスはこの範囲外であってもよいが、メルトインデックスが100g/10分を越えると組成物にした時の機械的物性の点で好ましくなく、0.5g/10分未満では成分(A)の液晶ポリエステルとの相溶性が劣り好ましくない。
【0054】
また、該エポキシ基含有エチレン共重合体は、曲げ剛性率が10〜1300kg/cm2の範囲のものが好ましく、20〜1100kg/cm2のものがさらに好ましい。
曲げ剛性率がこの範囲外であると組成物の成形加工性や機械的性質が不十分となる場合がある。
【0055】
該エポキシ基含有エチレン共重合体は、通常不飽和エポキシ化合物とエチレンをラジカル発生剤の存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適当な溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下に共重合させる高圧ラジカル重合法により製造される。また、ポリエチレンに不飽和エポキシ化合物およびラジカル発生剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方法によっても製造しえる。
【0056】
上記のように、本発明における共重合体(B)は、熱可塑性樹脂であってもゴムであってもよいし、熱可塑性樹脂とゴムの混合物であってもよい。得られた組成物の熱安定性や柔軟性が優れるゴムがより好ましく、なかでも(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムが好ましく使用される。さらに、本発明における共重合体(B)においては、該共重合体を構成する単量体の種類
の数は、重合可能であれば特に制限はない。
【0057】
また、共重合体(B)は、結晶の融解熱量が3J/g未満の共重合体であることが好ましい。ムーニー粘度は、3〜70のものが好ましく、3〜30のものがさらに好ましく、4〜25のものが特に好ましい。
ここでいうムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃ラージローターを用いて測定した値をいう。
これらの範囲外であると、組成物の柔軟性が低下する場合があり好ましくない。
【0058】
また、共重合体(B)は、環境問題等の見地から使用後の焼却などの排気の容易さを求められる分野には、ここまでに挙げた好ましい組み合わせの中で、特に炭素、水素、酸素のみからなる組み合わせによる共重合体が好ましく用いられる。
【0059】
本発明における熱溶融型接着層は、上記のような液晶ポリエステル(A)を連続相とし液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)を分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物からなることが好ましい。
液晶ポリエステル(A)が連続相でない場合には、得られる組成物の耐熱性が低下する傾向にあり、好ましくない。
【0060】
このような官能基を有する共重合体と液晶ポリエステルとの樹脂組成物においては、機構の詳細は不明ではあるが、該組成物の成分(A)と成分(B)との間で反応が生起し、成分(A)が連続相を形成するとともに成分(B)が微細分散し、そのために得られる組成物の機械物性が向上するものと考えられる。
【0061】
かかる液晶ポリエステル樹脂組成物の一実施態様は、液晶ポリエステル(A)56.0〜99.9重量%、好ましくは70.0〜99.9重量%、さらに好ましくは85〜98重量%、および液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)44.0〜0.1重量%、好ましくは30.0〜0.1重量%、さらに好ましくは15〜2重量%を含有する樹脂組成物である。
成分(A)が56.0重量%未満であると該組成物から得られるフィルムの、耐熱性や耐薬品性などが低下する場合があり好ましくない。また成分(A)が
99.9重量%を超えると該組成物の成形加工性が低下する場合があり、また価格的にも高価なものとなり好ましくない。
【0062】
かかる液晶ポリエステル樹脂組成物を製造する方法としては周知の方法を用いることができる。たとえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸発させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。工業的見地からみると溶融状態で各成分を混練する方法が好ましい。溶融混練には一般に使用されている一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることができる。特に二軸の高混練機が好ましい。
【0063】
混練に際しては、各成分は予めタンブラーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均一に混合してもよいし、必要な場合には混合を省き、混練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いることができる。
【0064】
本発明に使用する溶融時に光学異方性を呈する熱可塑性樹脂には、性能を損なわない範囲で必要に応じて、熱安定剤、難燃剤などの各種添加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程において添加することができる。
【0065】
かかる溶融時に光学異方性を呈する熱可塑性樹脂は通常フィルムの形で使用される。フィルムの製造方法については、特に限定されるものではなく、例えば、Tダイから溶融樹脂を押出し巻き取るTダイ法、環状ダイスを設置した押出機から溶融樹脂を円筒状に押出し、冷却し巻き取るインフレーション成膜法、熱プレス法、またはカレンダもしくはロールを用いた成形法等が挙げられ、好ましくは、Tダイ法、インフレーション成膜法である。
【0066】
一方、熱溶融型接着層に使用される熱可塑性ポリイミドは、熱可塑性を示すものなら特に制限はなく、通常、ジアミンと酸無水物とを反応させて得ることができる。
ここで、ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、2,2―ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチルベンジジン、4,4’−ジアミノ−p−テルフェニル、4,4’−ジアミノ−p−クォーターフェニル、2,8−ジアミノジフェニレンオキサイドなどを、酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などを使用することができ、それぞれ1種または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0067】
該熱可塑性ポリイミドの製法については、特に制限は無く、例えば特開平5−47854号公報などに記載の方法が採用し得る。熱可塑性ポリイミドは通常フィルムの形で使用されるが、フィルムの製法としては、特に限定は無いが、例えば、ポリイミドの前駆体であるポリイミド酸の溶液を流延し乾燥、加熱するキャスト法、Tダイから溶融樹脂を押出し巻き取るTダイ法、環状ダイスを設置した押出機から溶融樹脂を円筒状に押出し、冷却し巻き取るインフレーション成膜法、熱プレス法、またはカレンダもしくはロールを用いた成形法等が挙げられ、好ましくは、Tダイ法、インフレーション成膜法である。
【0068】
本発明の高耐熱ラベルは、上記のように溶融型接着層を有することを特徴とするものであるが、該接着層には、耐熱性をさらに一層向上させるなどの目的のために、添加剤として、金属粉末や有機繊維などの無機化合物および/または有機化合物を適宜加えてもよいし、加熱処理などの後加工を行ってもよい。
【0069】
また溶融型接着層を構成する熱可塑性樹脂は、加熱により軟化して被着体と接着性を有するが、その軟化温度(FT)は、通常150〜500℃、好ましくは200℃〜450℃、より好ましくは250℃〜400℃である。耐熱性として分解温度は10℃/min.の昇温速度、窒素中で測定した際の熱重量測定における20%重量減少温度が350℃以上であることが好ましく、450℃以上がより好ましく、最も好ましくは、前記条件に加えて60%重量減少温度が600℃以上である。
ここで軟化温度(FT)とは、毛細管型レオメーターで測定され、4℃/分の昇温速度で加熱溶融された樹脂を、荷重100kgf/cm2のもとで、内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出した時に、該溶融粘度が48,000ポイズを示す温度(℃)をいう。
【0070】
本発明の高耐熱ラベルは、上記のような支持基材と熱溶融型接着層とを有することを特徴とするものであるが、熱溶融型接着層側に粘着層を有することもできる。
かかる粘着層を構成する粘着剤としては、一般的に知られる、アクリル系、ゴム系、シリコーン系など限定なく用いることができる。例えば、アクリル系についてはエマルジョン型、ソルベント型、ゴム系についてはエマルジョン型、ソルベント型、ホットメルト型、さらにシリコーン系については、ソルベント型が主に用いられる。また、粘着層は、通常かかる粘着剤を熱溶融型接着層に塗布することにより形成される。塗布は、熱溶融型接着層の全面であってもその一部であってもよい。その方法は特に制限はなく、周知の塗布方法で塗布することができる、具体的には、例えば、ソルベント型の粘着剤を塗布する場合については、ナイフコーターやリバースコーターを用いて離型紙側に粘着剤を塗布し、乾燥後、離型紙を調湿してから、熱溶融型接着層に貼り合わせるなどの方法が好ましく用いられる。
【0071】
アクリル系粘着剤としては、その構成成分として、粘着性を発現させるための主モノマー、凝集力を高めるコモノマー、接着力の向上のため、および、架橋剤と反応をさせるための官能基を有するモノマーの共重合体が挙げられ、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
主モノマーとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチルなど、アルキル基の炭素数2〜14のアクリル酸アルキルエステルやメタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチルなど、アルキル基の炭素数が4〜14のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられ、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
凝集力を高めるためのコモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルなど、アルキル基の炭素数が1〜8のアクリルエステル、さらには、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどが挙げられ、これらのうち二種以上を組み合わせてもよい。さらに、該粘着剤に各種添加剤を自由に加えることができる。
【0073】
さらに、接着性向上、架橋剤との反応のため、アクリル酸、メタクリル酸、などのモノカルボン酸やマレイン酸、グルタミン酸などの多価カルボン酸やそれらの無水物、さらには、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基を有するカルボン酸誘導体などが挙げられ、これらのうち二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
また架橋剤としては、一般に、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート、フェノール化合物、アミノ化合物、酸無水物、金属酸化物などが用いられるが、前記官能基を有するモノマーの種類に適応するよう適宜選択が可能である。
【0075】
また、シリコーン系粘着剤は、ポリマー成分と架橋樹脂の2つの主要成分からなり、ポリマーとしては主に、
−SiO(CH3)2−
を繰り返し単位とするポリマーの長連鎖の末端に残存のシラノール基(SiOH)を持つ高分子量のポリジメチレンシロキサン、またはポリジメチルフェニルシロキサンが主に用いられる。また架橋用樹脂は、3次元シリケート構造を有しており、末端がトリメチルシロキシ基となっている。
ポリマー末端のシラノール基と架橋用樹脂の成分末端のトリメチルシロキサン基を適宜反応させ、部分架橋することで、長連鎖部分と架橋部分および末端部とがミクロに相分離し不連続相となり粘着性を発現すると考えられる。
シリコーン系粘着剤の粘着力を向上するために、シロキサン架橋密度を高くすることもでき、触媒として有機過酸化物、アミノシラン、有機酸金属塩などを用いることができる。
【0076】
またゴム系粘着剤としては、天然ゴム系、スチレン/ブタジエンラテックス系、熱可塑性ゴム系、ブチルゴムなどが用いられる。
【0077】
上記のような粘着層は高温にさらされた場合に流動除去されて、耐熱溶融接着層の接着を阻害しなければ必ずしも分解される必要はは無いが、分解温度(熱重量測定における20%減少温度)が上記、溶融時に光学異方性を呈する熱可塑性樹脂、熱可塑性ポリイミドより低いことが好ましい。
なお、粘着層を有する場合は、その外側に粘着剤を保護する目的で離型紙や離型フィルムを積層しても良い。
【0078】
また本発明の高耐熱ラベルは、支持基材における熱溶融型接着剤層が積層される反対の面に、印字層を有することもできる。かかる印字層としては、一般に用いられている耐熱塗料を用いることができる。その樹脂成分としては、シリコーン樹脂の他、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂などの塗料用に使用する樹脂をシリコーン変性したものが挙げられる。また顔料としては鉄、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム等の金属酸化物、ガラス、粘土やマグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属酸化物やこれらの複合酸化物が挙げられる。印字を鮮明にするために、白色の耐熱塗料が好ましく用いられる。
【0079】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性は次に示す方法により測定した。
【0080】
[物性の測定法]
軟化温度(FT):溶融流動性を表す指標であり、その測定法は、毛細管式レオメーター((株)島津製作所製 高化式フローテスターCFT500型)で測定され、4℃/分の昇温速度で加熱溶融されたサンプル樹脂(約2g)を100kg/cm2の荷重下で内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出した時に、該溶融粘度が48,000ポイズを示す温度(℃)として表した。
【0081】
耐熱性(熱分解温度):熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)社製示差熱熱重量同時測定装置 TG/DTA6200)にて窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度でサンプルを加熱し、重量変化を測定した。
【0082】
光学異方性:サンプル樹脂の溶融状態における光学異方性は、加熱ステージ上に置かれた粒径250μm以下のサンプル樹脂粉末を偏光下、25℃/分で昇温して、肉眼観察または透過光量をXYレコーダーに記録することにより行った。
【0083】
耐熱接着性試験:加熱した8mmの鋼板(被着体)に、約400mm長に切断した粘着ラベルサンプルを接着させた。そのまま放冷し、鋼板が室温になった後、鋼板の後ろよりハンマーでたたく、若しくは約1mの高さより落下させて、接着しているか否かを評価した。
【0084】
参考例1(成分(A)の液晶ポリエステル)
p−アセトキシ安息香酸8.3kg(60モル)、テレフタル酸2.49kg(15モル)、イソフタル酸0.83kg(5モル)および4,4’−ジアセトキシジフェニル5.45kg(20.2モル)を櫛型撹拌翼をもつ重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し320℃で2時間重合させた。この間に副生する酢酸ガスを冷却管で液化し回収、除去しながら、強力な撹拌下で重合させ、溶融状態でポリマーを系外へ取出した。この得られたポリマーを細川ミクロン(株)製のハンマーミルで粉砕し、2.5mm以下の粒子とした。これをさらにロータリーキルン中で窒素ガス雰囲気下に280℃で5時間処理することによって、軟化温度が333℃の粒子状の下記の繰り返し構造単位からなる全芳香族ポリエステルを得た。
以下該液晶ポリエステルをA−1と略記する。このポリマーは加圧下340℃以上で光学異方性を示した。液晶ポリエステルA−1の繰り返し構造単位は、次の通りである。
【0085】
【0086】
参考例2(成分(B))
特開昭61−127709号公報の実施例5に記載の方法に準じて、アクリル酸メチル/エチレン/グリシジルメタクリレート=60.0/37.0/3(重量比)、ムーニー粘度=15のゴムを得た。以下該ゴムをB−1と略称することがある。
ここでムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃、ラージローターを用いて測定した値である。
【0087】
参考例3(液晶ポリエステルフィルム)
A−1 90重量%、B−1 10重量%を日本製鋼(株)製TEX−30型二軸押出機を用いてシリンダー設定温度350℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行って組成物のペレットを得た。該組成物ペレットは加圧下で340℃以上で光学的異方性を示した。該組成物ペレットの軟化温度は328℃であった。
【0088】
この組成物のペレットを円筒ダイを備えた60mmφの単軸押出機に供給して、シリンダー設定温度350℃、回転数60rpmで溶融混練し、直径70mm、リップ間隔1.0mm、ダイ設定温度355℃の円筒ダイから上方へ溶融樹脂を押出し、その際この筒状フィルムの中空部へ乾燥空気を圧入して筒状フィルムを膨張させ、次に冷却させたのちニップロールに通して引取り、実測平均厚み約25μmの液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムを得た。引き取り方向への延伸比(引き取り速度/吐出速度)は、17.7また、ブロー比(膨張させた筒状フィルムの径/ダイリップ外径)は2.3であった。
軟化温度(FT)は322℃、熱分解温度(20%減量)は454℃であった。
【0089】
参考例4
アクリル酸n―ブチル97重量部、アクリル酸3重量部、重合開始剤としてラウロイルパーオキシド0.3重量部を酢酸エチルに溶解させ、窒素雰囲気中、酢酸エチルの還流温度で14時間反応させアクリル系共重合体を得た。得られたアクリル系共重合体をふくむ40%酢酸エチル溶液に、エポキシ系架橋剤0.1重量部を混合した粘着剤溶液を得た。以下、これをT−1と呼ぶことがある。
【0090】
実施例1
支持基材として500μmのアルミ板を、熱溶融型接着層として参考例3のフィルムを用い、固形のりを使用して両者を接着しラベルサンプルを作成した。熱溶融型接着層を接着していない面にはカーボンインキでアルファベットと数字の印刷を施し表示ラベルを得た。該ラベルをL−1と略称することがある。L−1を用いて、耐熱接着性試験を行った。耐熱接着試験結果を表1に示す。接着している場合を○、接着していない場合を×で示した。
【0091】
【表1】
【0092】
実施例2
実施例1で得たL−1の熱溶融型接着層側に参考例4で得たT−1を塗布して60℃の防爆型循環オーブン中で2時間乾燥し25μm厚みの粘着層を得た。T−1を塗布していない面にはカーボンインキでアルファベットと数字の印刷を施しラベルL−2を得た。
L−2は室温から350℃まではT−1からなる粘着層の粘着力で鋼板に接着可能であった。また、それ以上の温度では実施例1と同様の結果が得られた。
【0093】
比較例1
支持基材としての500μmのアルミ板に、参考例4で得たT−1を塗布して60℃の防爆型循環オーブン中で2時間乾燥し25μm厚みの粘着層を得た。T−1を塗布していない面にはカーボンインキでアルファベットと数字の印刷を施し表示ラベルを得た。該ラベルをL−3と略称することがある。L−3を用いて、耐熱接着性試験を行った。耐熱接着試験結果を表2に示す。接着している場合を○、接着していない場合を×で示した。被着体が450℃を超えると、粘着剤の分解が激しく貼り付けることもできなかった。
【0094】
【表2】
【0095】
【発明の効果】
本発明の耐熱ラベルは、柔軟性に優れ、400℃〜600℃という高温域においても優れた耐熱性を有している。また粘着層を有する本発明の耐熱ラベルは、室温から600℃という広い温度範囲において、被着体に直接貼り付け可能で、しかも剥がれることなく、優れた耐熱性を有している。
Claims (11)
- 支持基材と、溶融時に光学的異方性を呈する熱可塑性樹脂および/または熱可塑性ポリイミドからなる熱溶融型接着層とを有することを特徴とする高耐熱ラベル。
- さらに粘着層を有し、該粘着層、熱溶融型接着層、支持基材の順に積層されていることを特徴とする請求項1記載のラベル。
- 熱溶融型接着層の耐熱性が、粘着剤層の耐熱性よりも高いことを特徴とする請求項2記載のラベル。
- 溶融時に光学異方性を呈する熱可塑性樹脂が、全芳香族液晶ポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載のラベル。
- 溶融時に光学異方性を呈する熱可塑性樹脂が(A)液晶ポリエステルを連続相とし、(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分散層とする液晶ポリエステル樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載のラベル。
- 液晶ポリエステルと反応性を有する官能基が、エポキシ基、オキサゾリル基またはアミノ基であることを特徴とする請求項5記載のラベル。
- 支持基材が金属、ガラス、または熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のラベル。
- 支持基材における熱溶融型接着剤層が積層される反対の面に、シリコーン樹脂を主成分とした耐熱塗料層を有することを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載のラベル。
- 耐熱塗料層に表示が印刷してあることを特徴とする請求項8に記載のラベル。
- 粘着剤層に使用される粘着剤が、アクリル系粘着剤を主成分とすることを特徴とする請求項2〜8いずれかに記載のラベル。
- 粘着剤層に使用される粘着剤が、シリコーン系粘着剤を主成分とすることを特徴とする請求項2〜8いずれかに記載のラベル。
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