JP2002239987A - 打ち抜き樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

打ち抜き樹脂成形体の製造方法

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JP2002239987A
JP2002239987A JP2001036571A JP2001036571A JP2002239987A JP 2002239987 A JP2002239987 A JP 2002239987A JP 2001036571 A JP2001036571 A JP 2001036571A JP 2001036571 A JP2001036571 A JP 2001036571A JP 2002239987 A JP2002239987 A JP 2002239987A
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crystal polyester
resin
copolymer
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JP2001036571A
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Hiroaki Kumada
浩明 熊田
Takazo Yamaguchi
登造 山口
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】打ち抜き加工時の微細な屑の飛散、該微細な屑
の打ち抜き樹脂成形体への付着等を防止し得る打ち抜き
樹脂成形体の製造方法を提供する。 【解決手段】粘着層を少なくとも片面に有する樹脂シー
ト類を打ち抜き加工することを特徴とする打ち抜き樹脂
成形体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、打ち抜き樹脂成形
体の製造方法に関し、詳しくは、粘着層を少なくとも片
面に有する樹脂シート類を打ち抜き加工することを特徴
とする打ち抜き樹脂成形体の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】近年、樹
脂シート類を、例えばシート状またはフィルム状等の成
形物を、打ち抜き型を用いた加工機により、電子部品や
配線基盤の形状に合わせて打ち抜き加工し、絶縁体とし
て、また、水蒸気バリアなどの保護シート類として用い
る等の用途が広がっている。ところが、打ち抜き加工時
に生じる、切断面から飛散する微細な切り屑、削り屑等
が、打ち抜き樹脂成形体に付着する結果、該成形体の使
用時にこれが電子部品、配線基盤などに付着し汚染する
などの問題があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑み、樹脂シート類の絶縁性や、打ち抜き加工性等
の特性を損なうことなく、打ち抜き加工時の微細な屑の
飛散を防止し、電子部品や配線基盤などへの汚染を防止
しし得る打ち抜き樹脂成形体の製造方法を見出すべく鋭
意検討を重ねた結果、樹脂シート類として、粘着層を少
なくとも片面に有するという特定のシート類を用いるこ
とにより、その目的を達成し得ることを見出し、本発明
を完成した。
【0004】すなわち本発明は、粘着層を少なくとも片
面に有する樹脂シート類を打ち抜き加工することを特徴
とする工業的に優れた打ち抜き樹脂成形体の製造方法を
提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明は、粘着層を少なくとも片面に有する樹脂
シート類を使用することを特徴とするものである。ここ
で、樹脂シート類における粘着層の形成方法としては、
特に制限はないが、例えば粘着剤を塗布する、粘着剤を
有するテープなどを積層する、用いる樹脂シート類の表
面に該樹脂を部分溶解または該樹脂を膨潤させうる溶剤
を塗布するなどの方法が挙げられるが、粘着剤を塗布す
る方法が好ましく用いられる。また粘着剤を樹脂シート
類に塗布する方法としては、樹脂シート類に、粘着剤を
直接塗布してもよいが、粘着剤を溶剤に溶かして塗布し
た後乾燥させる方法、離型紙、離型フィルム等に何らか
の方法であらかじめ塗布された粘着剤を樹脂シート類に
転着させる方法であっても良い。粘着剤としては、一般
的に知られているアクリル系、ゴム系、シリコーン系な
どが挙げられる。例えば、アクリル系についてはエマル
ション型、ソルベント型、ゴム系についてはエマルショ
ン型、ソルベント型、ホットメルト型、またシリコーン
系についてはソルベント型が主に用いられる。
【0006】アクリル系粘着剤としては、その構成成分
として、粘着性を発現させるための主モノマー、凝集力
を高めるコモノマー、接着力の向上のためおよび架橋剤
と反応させるための官能基を有するモノマーの共重合体
が通常使用される。架橋剤を用いて架橋させたものも使
用し得る。アクリル系粘着剤の構成成分である主モノマ
ーとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸n
−ブチル、アクリル酸n−オクチルなどのアルキル基の
炭素数が2〜14のアクリル酸アルキルエステルや、メ
タクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチルなど
のアルキル基の炭素数が4〜14のメタクリル酸アルキ
ルエステルが挙げられ、二種以上を組み合わせることも
できる。
【0007】凝集力を高めるためのコモノマーとして
は、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸プロピルなどのアルキル基の
炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエステル、メタク
リル酸アルキルエステル、さらには、スチレン、酢酸ビ
ニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリ
ルアミドなどが挙げられ、これらのうち二種以上を組み
合わせてもよい。
【0008】さらに、接着性向上、架橋剤との反応のた
めの官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メ
タクリル酸などのモノカルボン酸や、マレイン酸、グル
タミン酸などの多価カルボン酸やそれらの無水物、さら
には、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプ
ロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基を有するカル
ボン酸誘導体などが挙げられ、これらのうち二種以上を
組み合わせてても良い。 また架橋剤としては、一般
に、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソ
シアネート、フェノール化合物、アミノ化合物、酸無水
物、金属酸化物などが挙げられるが、前記官能基を有す
るモノマーの種類に適応するよう適宜選択が可能であ
る。
【0009】また、シリコーン系粘着剤としては、ポリ
マー成分と架橋用樹脂の2つの主要成分からなるものが
通常使用され、ポリマーとしては主に、 −SiO(CH32− を繰り返し単位とするポリマーの長連鎖の末端に残存の
シラノール基(SiOH)を持つもの、例えば、高分子
量のポリジメチルシロキサン、またはポリジメチルジフ
ェニルシロキサンが挙げられる。また、架橋用樹脂とし
ては、3次元シリケート構造を有しており、末端がトリ
メチルシロキシ基となっているものが挙げられる。
【0010】ポリマー末端のシラノール基と架橋用樹脂
成分末端のトリメチルシロキシ基を適宜反応させ、部分
架橋したポリシロキサンを得ることができ、かかる部分
架橋することにより、長連鎖部分と架橋部分および末端
部とがミクロに相分離し不連続相となり粘着性を発現す
ると考えられている。 シリコーン系粘着剤の粘着力を
向上するために、シロキサン架橋密度を高くすることも
でき、その触媒として有機過酸化物、アミノシラン、有
機酸金属塩などを用いることもできる。
【0011】ゴム系粘着剤としては、天然ゴム系、スチ
レン/ブタジエンラテックス系、熱可塑性ゴム系、ブチ
ルゴムなどが挙げられる。また上記のような粘着剤の中
で、耐熱性という観点からは、アクリル系粘着剤、シリ
コーン系粘着剤が好ましく用いられる。ゴム系粘着剤
は、耐熱性、耐老化性が十分でない場合がある。また、
防湿性という観点からは、シリコーン系粘着剤が特に好
ましく用いられる。
【0012】本発明における粘着剤は、塗布後の粘着剤
の粘着力が通常10g/cm以上500g/cm以下の
ものが使用される。好ましくは、30g/cm以上40
0g/cm以下、より好ましくは、50g/cm以上2
00g/cm以下である。粘着力が10g/cm以下で
あると、発生した微細な屑の捕獲力が低下る傾向にあり
好ましくない。また、粘着力が500g/cm以上であ
ると打ち抜き加工時のサンプル取替え時の作業性が低下
したり、打ち抜き加工用の刃に粘着剤が付着して加工性
が低下する場合があり好ましくない。 接着力は、上記
の凝集力を高めるコモノマー、接着力を高めるコモノマ
ー、さらには、架橋剤と反応するコモノマーおよび添加
する架橋剤等を用いることにより、適宜調整することが
できる。 また、本発明における粘着剤の塗布量(保有
量)は。通常2〜150g/m 2程度であり、好ましく
は、3〜100g/m2程度、より好ましくは、5〜5
0g/m2程度である。
【0013】本発明は、上記の様な粘着層を少なくとも
片面に有する樹脂シート類を使用することを特徴とする
ものであるが、もちろん両面に粘着層を有するものも使
用し得る。本発明における樹脂シート類自体は、その厚
みが、通常2〜3000μm程度のものが使用される。
好ましくは5〜1000μm程度、より好ましくは10
〜500μm程度である。これらは、通常、押し出し成
形、Tダイを用いたキャスト法やインフレーション成膜
のようなフィルム成形、プレス成形、カレンダーロール
によるシート成形などで製造されたものが用いられる。
また、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フ
ィルムいずれであっても良い。
【0014】また樹脂シート類の原料となる樹脂として
は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、、アラミド樹脂等が
挙げられる。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、また、それらの共重合体を含む
ポリオレフィン類、ポリスチレン、エチレンビニルアセ
テート共重合体、ポリビニルクロライドやポリビニリデ
ンクロライド、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、
ABS、さらには、ポリエステル、ポリアセタール、ポ
リアミド、ポリフェニレンエーテル、PPS、PES、
ポリエーテルケトン、PTFEなどのエンジニアリング
プラスチック、さらには、溶融時に光学的異方性を有す
る液晶製ポリマー等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂
の具体例としては、エポキシ樹脂、ポリイミド等が挙げ
られる。
【0015】なかでも、弾性率が高く、打ち抜き加工性
に優れながら、その分子配向により、打ち抜き加工時に
フィブリル状の微細な屑を発生しやすい、溶融時に光学
的異方性を有する液晶ポリマーが好ましく用いられる。
該液晶ポリマーは、電子部品の保護、絶縁という用途の
観点からも、耐熱性、絶縁性、水蒸気バリア性に優れ好
ましく用いられる。かかる溶融時に光学的異方性を示す
液晶ポリマーとしては、例えば全芳香族系もしくは半芳
香族系の、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリエ
ステルアミドなどや、それらを含有する樹脂組成物など
が挙げられる。とりわけ全芳香族系液晶ポリエステルや
それを含有する樹脂組成物が好ましく使用される。
【0016】ここでいう液晶ポリエステルは、サーモト
ロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルである。
その代表例としたは、例えば、(1)芳香族ジカルボン
酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを
反応させて得られるもの、(2)異種の芳香族ヒドロキ
シカルボン酸の組み合わせを反応させて得られるもの、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとを反応さ
せて得られるもの、(4)ポリエチレンテレフタレート
などのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反
応させて得られるもの、などが挙げられ、通常、400
℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。な
お、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール及び
芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、それらのエス
テル誘導体が使用されることもある。さらに、これらの
芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロ
キシカルボン酸は、芳香族部分がハロゲン原子、アルキ
ル基、アリール基等で置換されたものが使用されること
もある。
【0017】該液晶ポリエステルの繰返し構造単位とし
ては、下記の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し構
造単位、芳香族ジオールに由来する繰返し構造単位、
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し構造単
位を例示することができるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0018】芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し
構造単位:
【0019】これらの各構造単位における芳香環は、ハ
ロゲン原子、アルキル基、アリール基等で置換されてい
てもよい。
【0020】芳香族ジオールに由来する繰返し構造単
位:
【0021】これらの各構造単位における芳香環は、ハ
ロゲン原子、アルキル基、アリール基等で置換されてい
てもよい。
【0022】芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する
繰返し構造単位: これらの各構造単位における芳香環は、ハロゲン原子、
アルキル基、アリール基等で置換されていてもよい。
【0023】耐熱性、機械的特性、加工性のバランスか
ら特に好ましい液晶ポリエステルは、 なる繰り返し構造単位を含むものであり、さらに好まし
くはこのような繰り返し構造単位を少なくとも全体の3
0モル%以上含むものである。具体的には繰り返し構造
単位の組み合わせが下記(I)〜(VI)のいずれかのも
のが好ましい。また、防湿性の観点からは(IV)以外
の、全芳香族ポリエステルタイプがさらに好ましい。
【0024】(I)
【0025】(II)
【0026】(III)
【0027】(IV)
【0028】(V)
【0029】(VI)
【0030】上記(I)〜(VI)における組合せの液晶
ポリエステルは、例えば特公昭47−47870号公
報、特公昭63−3888号公報、特公昭63−389
1号公報、特公昭56−18016号公報、特開平2−
51523号公報などに記載の方法に準拠して製造し得
る。これらの中で好ましい組合せとしては(I)、(I
I)または(IV)、さらに好ましくは(I)または(I
I)が挙げられる。
【0031】本発明において、高い耐熱性が要求される
分野には、下記の繰り返し単位(a’)が30〜80モ
ル%、繰り返し単位(b’)が0〜10モル%、繰り返
し単位(c’)が10〜25モル%、繰り返し単位
(d’)が10〜35モル%からなる液晶ポリエステル
が好ましく使用される。
【0032】 (式中、Arは2価の芳香族基を示す。) 繰り返し単位(d’)における2価の芳香族基は、上述
の芳香族ジオールにおける2価の芳香族基が好ましく、
特に高い耐熱性が要求される用途には全芳香族のジオー
ルが好ましい。
【0033】また環境問題等の見地から使用後の焼却な
どの廃棄の容易さが求められる分野には、ここまで挙げ
たそれぞれに要求される分野の好ましい組み合わせの中
で特に炭素、水素、酸素のみの元素からなる組み合わせ
による液晶ポリエステルが特に好ましく使用される。ま
た成形加工性、得られるフィルムの性能の点から、本発
明においては(A)液晶ポリエステルを連続相とし
(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有す
る共重合体を分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物
を用いることがさらに好ましい。
【0034】上記の液晶ポリエステル樹脂組成物に用い
られる成分(B)は、液晶ポリエステルと反応性を有す
る官能基を有する共重合体である。このような液晶ポリ
エステルと反応性を有する官能基としては、液晶ポリエ
ステルと反応性を有すれば特に限定は無く、具体的に
は、オキサゾリル基やエポキシ基、アミノ基等が挙げら
れる。好ましくは、エポキシ基である。エポキシ基等は
他の官能基の一部として存在していてもよく、そのよう
な例としては例えばグリシジル基が挙げられる。
【0035】共重合体(B)において、このような官能
基を共重合体中に導入する方法としては特に限定される
ものではなく、周知の方法で行うことができる。例えば
共重合体の合成段階で、該官能基を有する単量体を共重
合により導入することも可能であるし、共重合体に該官
能基を有する単量体をグラフト共重合することも可能で
ある。
【0036】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有する単量体、中でもグリシジル基を含有する単量体
が好ましく使用される。グリシジル基を含有する単量体
としては、例えば下記一般式 (式中、Rは、エチレン系不飽和結合を有する炭素数2
〜13の炭化水素基を表し、Xは、−C(O)O−、−C
2−O−または を表す。)で示される不飽和カルボン酸グリシジルエス
テル、不飽和グリシジルエーテルが好ましく用いられ
る。
【0037】ここで、不飽和カルボン酸グリシジルエス
テルとしては、例えばグリシジルアクリレート、グリシ
ジルメタクリレート、イタコン酸ジグリシジルエステ
ル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、p
−スチレンカルボン酸グリシジルエステルなどを挙げる
ことができる。
【0038】不飽和グリシジルエーテルとしては、例え
ばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテ
ル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、メタクリル
グリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテ
ル等が例示される。
【0039】上記の液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基を有する共重合体(B)は、好ましくは、不飽和
カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽
和グリシジルエーテル単位を0.1〜30重量%含有す
る共重合体である。
【0040】好ましくは、上記の液晶ポリエステルと反
応性を有する官能基を有する共重合体(B)は、結晶の
融解熱量が3J/g未満の共重合体である。また共重合
体(B)としては、ムーニー粘度が3〜70のものが好
ましく、3〜30のものがさらに好ましく、4〜25の
ものが特に好ましい。ここでいうムーニー粘度は、JI
S K6300に準じて100℃ラージローターを用い
て測定した値をいう。これらの範囲外であると、組成物
の熱安定性や柔軟性が低下する場合があり好ましくな
い。
【0041】また、上記の液晶ポリエステルと反応性を
有する官能基を有する共重合体(B)は、熱可塑性樹脂
であってもゴムであってもよいし、熱可塑性樹脂とゴム
の混合物であってもよい。該液晶ポリエステル樹脂組成
物を用いて得られるフィルムまたはシート等の成形体の
熱安定性や柔軟性が優れるゴムがより好ましい。
【0042】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
をゴム中に導入する方法としては、特に限定されるもの
ではなく、周知の方法で行うことができる。例えばゴム
の合成段階で、該官能基を有する単量体を共重合により
導入することも可能であるし、ゴムに該官能基を有する
単量体をグラフト共重合することも可能である。
【0043】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有する共重合体(B)の具体例としてのエポキシ基を
有するゴムとしては、(メタ)アクリル酸エステル−エ
チレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび
/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムを挙
げることができる。
【0044】ここで(メタ)アクリル酸エステルとは、
アクリル酸またはメタクリル酸とアルコールから得られ
るエステルである。アルコールとしては、炭素原子数1
〜8のアルコールが好ましい。(メタ)アクリル酸エス
テルの具体例としては、メチルアクリレート、メチルメ
タクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメ
タクリレート、tert−ブチルアクリレート、ter
t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどを挙げ
ることができる。なお、(メタ)アクリル酸エステルと
しては、その一種を単独で使用してもよく、または二種
以上を併用してもよい。
【0045】本発明における共重合体ゴムにおいて、
(メタ)アクリル酸エステル単位が好ましくは40重量
%を超え97重量%未満、さらに好ましくは45〜70
重量%、エチレン単位が好ましくは3重量%以上50重
量%未満、さらに好ましくは10〜49重量%、不飽和
カルボン酸グリシジルエーテル単位および/または不飽
和グリシジルエーテル単位が好ましくは0.1〜30重
量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%である。上
記の範囲外であると、得られるフィルムまたはシート等
の成形体の熱安定性や機械的性質が不十分となる場合が
あり、好ましくない。
【0046】該共重合体ゴムは、通常の方法、例えばフ
リーラジカル開始剤による塊状重合、乳化重合、溶液重
合などによって製造することができる。なお、代表的な
重合方法は、特開昭48−11388号公報、特開昭6
1−127709号公報などに記載された方法であり、
フリーラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力5
00kg/cm2以上、温度40〜300℃の条件によ
り製造することができる。
【0047】共重合体(B)に使用できるゴムとして他
には、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有す
るアクリルゴムや、液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエ
ン化合物ブロック共重合体ゴムも例示することができ
る。
【0048】ここでいうアクリルゴムとして好ましく
は、一般式(1)〜(3) CH2=CH−C(O)−OR1 (1) CH2=CH−C(O)−OR2OR3 (2) CH2=CR4H−C(O)−O(R5(C(O)O)nR6 (3) (式中、R1は炭素原子数1〜18のアルキル基または
シアノアルキル基を示す。R2は炭素原子数1〜12の
アルキレン基を、R3は炭素原子数1〜12のアルキル
基を示す。R4は水素原子またはメチル基、R5は、炭素
原子数3〜30のアルキレン基、R6は炭素原子数1〜
20のアルキル基またはその誘導体、nは1〜20の整
数を示す。)で表される化合物から選ばれる少なくとも
1種の単量体を主成分とするものである。
【0049】上記一般式(1)で表されるアクリル酸ア
ルキルエステルの具体例としては、例えばメチルアクリ
レート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、
ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシル
アクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキ
シルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリ
レート、ドデシルアクリレート、シアノエチルアクリレ
ートなどを挙げることができる。
【0050】また、上記一般式(2)で表されるアクリ
ル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばメト
キシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレー
ト、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルア
クリレートなどを挙げることができる。これらの一種ま
たは二種以上を該アクリルゴムの主成分として用いるこ
とができる。
【0051】このようなアクリルゴムの構成成分とし
て、必要に応じて上記の一般式(1)〜(3)で表され
る化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体と共重合
可能な不飽和単量体を用いることができる。このような
不飽和単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチ
レン、アクリロニトリル、ハロゲン化スチレン、メタク
リロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビ
ニルナフタレン、N−メチロールアクリルアミド、酢酸
ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ベンジルアクリ
レート、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイ
ン酸などが挙げられる。
【0052】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有するアクリルゴムの好ましい構成成分比は、上記の
一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少
なくとも一種の単量体40.0〜99.9重量%、不飽
和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和
グリシジルエーテル0.1〜30.0重量%、上記の一
般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少な
くとも一種の単量体と共重合可能な不飽和単量体0.0
〜30.0重量%である。該アクリルゴムの構成成分比
が上記の範囲内であると、組成物の耐熱性や耐衝撃性、
成形加工性が良好であり好ましい。
【0053】該アクリルゴムの製法は特に限定するもの
ではなく、例えば特開昭59−113010号公報、特
開昭62−64809号公報、特開平3−160008
号公報、あるいはWO95/04764などに記載され
ているような周知の重合法を用いることができ、ラジカ
ル開始剤の存在下で乳化重合、懸濁重合、溶液重合ある
いはバルク重合で製造することができる。
【0054】前記液晶ポリエステルと反応性を有する官
能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン
化合物ブロック共重合体ゴムとしては、例えば(イ)ビ
ニル芳香族炭化水素化合物を主体とするシーケンスと
(ロ)共役ジエン化合物を主体とするシーケンスからな
るブロック共重合体をエポキシ化して得られるゴム、該
ブロック共重合体の水添物をエポキシ化して得られるゴ
ム等が挙げられる。
【0055】ここでビニル芳香族炭化水素化合物として
は、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベン
ゼン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニ
ルナフタレンなどを挙げることができ、中でもスチレン
が好ましい。共役ジエン化合物としては、例えば、ブタ
ジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、3−ブチ
ル−1,3−オクタジエンなどを挙げることができ、ブ
タジエンまたはイソプレンが好ましい。
【0056】かかるビニル芳香族炭化水素化合物−共役
ジエン化合物ブロック共重合体またはその水添物は、周
知の方法で製造することができ、例えば、特公昭40−
23798号公報、特開昭59−133203号公報等
に記載されている。
【0057】共重合体(B)として用いるゴムとして好
ましくは、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−
(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または
不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムが用いられ
る。
【0058】共重合体(B)として用いるゴムは、必要
に応じて加硫を行い、加硫ゴムとして用いることができ
る。上記の(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−
(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または
不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムの加硫は、多
官能性有機酸、多官能性アミン化合物、イミダゾール化
合物などを用いることで達成されるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0059】一方、液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基を有する共重合体(B)の具体例としてのエポキ
シ基を有する熱可塑性樹脂としては、(a)エチレン単
位が50〜99重量%、(b)不飽和カルボン酸グリシ
ジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエー
テル単位が0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜2
0重量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位
が0〜50重量%からなるエポキシ基含有エチレン共重
合体を挙げることができる。
【0060】エチレン系不飽和エステル化合物(c)と
しては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル等のカルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カル
ボン酸アルキルエステル等が挙げられる。特に酢酸ビニ
ル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0061】該エポキシ基含有エチレン共重合体の具体
例としては、たとえばエチレン単位とグリシジルメタク
リレート単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシ
ジルメタクリレート単位およびアクリル酸メチル単位か
らなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレ
ート単位およびアクリル酸エチル単位からなる共重合
体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およ
び酢酸ビニル単位からなる共重合体等が挙げられる。
【0062】該エポキシ基含有エチレン共重合体のメル
トインデックス(以下、MFRということがある。JI
S K6760、190℃、2.16kg荷重)は、好
ましくは0.5〜100g/10分、さらに好ましくは
2〜50g/10分である。メルトインデックスはこの
範囲外であってもよいが、メルトインデックスが100
g/10分を越えると組成物にした時の機械的物性の点
で好ましくなく、0.5g/10分未満では成分(A)
の液晶ポリエステルとの相溶性が劣り好ましくない。
【0063】また、該エポキシ基含有エチレン共重合体
は、曲げ剛性率が10〜1300kg/cm2の範囲の
ものが好ましく、20〜1100kg/cm2のものが
さらに好ましい。曲げ剛性率がこの範囲外であると組成
物の成形加工性や機械的性質が不十分となる場合があ
る。
【0064】該エポキシ基含有エチレン共重合体は、通
常不飽和エポキシ化合物とエチレンをラジカル発生剤の
存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適
当な溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下に共重合
させる高圧ラジカル重合法により製造される。また、ポ
リエチレンに不飽和エポキシ化合物およびラジカル発生
剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方
法によっても製造しえる。
【0065】本発明における樹脂シート類は、前記のよ
うな(A)液晶ポリエステルを連続相とし、前記のよう
な(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有
する共重合体を分散相とする樹脂組成物から得られたも
のであることがとりわけ好ましい。 液晶ポリエステル
が連続相でない場合には、液晶ポリエステル樹脂組成物
からなるフィルムのガスバリア性、耐熱性などが著しく
低下する場合がある。このような官能基を有する共重合
体と液晶ポリエステルとの樹脂組成物においては、機構
の詳細は不明ではあるが、該組成物の成分(A)と成分
(B)との間で反応が生起し、成分(A)が連続相を形
成するとともに成分(B)が微細分散し、そのために該
組成物の成形性が向上するものと考えられる。
【0066】上記の液晶ポリエステル樹脂組成物の一実
施態様は、(A)液晶ポリエステル56.0〜99.9
重量%、好ましくは65.0〜99.9重量%、さらに
好ましくは70〜98重量%、および(B)液晶ポリエ
ステルと反応性を有する官能基を有する共重合体44.
0〜0.1重量%、好ましくは35.0〜0.1重量
%、さらに好ましくは30〜2重量%を含有する樹脂組
成物である。成分(A)が56.0重量%未満であると
該組成物から得られるフィルムの水蒸気バリア性、耐熱
性が低下する場合がある。また、成分(A)が99.9
重量%を超えると該組成物の成形加工性が低下する場合
があり、また価格的にも高価なものとなる。
【0067】このような液晶ポリエステル樹脂組成物を
製造する方法としては周知の方法を用いることができ
る。たとえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸発
させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。工業
的見地からみると溶融状態で上記組成の各成分を混練す
る方法が好ましい。溶融混練には一般に使用されている
一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置
を用いることができる。特に二軸の高混練機が好まし
い。溶融混練に際しては、混練装置のシリンダー設定温
度は、200〜360℃の範囲が好ましく、さらに好ま
しくは230〜350℃である。
【0068】混練に際しては、各成分は、予めタンブラ
ーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を
均一に混合してもよいし、必要な場合には混合を省き、
混練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いるこ
とができる。かかる液晶ポリマーに、必要に応じて、さ
らに、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、
難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機または有機系着色剤、
防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光
沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤などの各種の添
加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程において添
加することができる。
【0069】上記のような液晶ポリマーを用いたシート
類は、同時に二軸延伸可能なインフレーション成膜によ
るものが好ましい。すなわち、液晶ポリマーは、環状ス
リットのダイを備えた溶融混練押出機に供給され、シリ
ンダー設定温度好ましくは200〜360℃、さらに好
ましくは230〜350℃で溶融混練される。次に、押
出機の環状スリットから上方または下方へ溶融樹脂が押
出され、筒状シート類となる(この方向(長手方向)が
MD方向であり、シート類面内でそれに直行する方向が
TD方向である)。環状スリット間隔は、通常0.1〜
5mm、好ましくは0.5〜2mm、環状スリットの直
径は、通常20〜1000mm、好ましくは50〜30
0mmである。
【0070】インフレーション成形(成膜)において、
好ましいブロー比は、通常1.5〜10、好ましいMD
延伸倍率は、1.5〜40である。 インフレーション
成膜時の設定条件が上記の範囲外であると、厚さが均一
でしわの無い高強度のシート類を得るのが困難となる場
合がある。 膨張させたフィルムは、その円周を空冷あ
るいは水冷させた後、ニップロールを通過させて引き取
る。 インフレーション成膜に際しては、組成物の性質
に応じて、筒状の溶融体シート類が均一な厚みで表面平
滑な状態に膨張するような条件を選択することができ
る。インフレーション成膜以外の方法であると、シート
類が二軸延伸されず必要最小限の強度が得られなかった
り、別の方法で逐次二軸延伸しても製法にコストがかか
りすぎることがある。
【0071】かくして液晶ポリマーからなるシート類が
得られるが、このものはMD方向の引張り弾性率が大き
く、寸法安定性に優れたものが得られる。該引張弾性率
は、好ましくは1500kgf/mm以上であり、さら
に好ましくは1800kgf/mm以上である。また該
シート類の常用耐熱温度は、好ましくは140℃以上で
あり、さらに好ましくは160℃以上である。ここで、
常用耐熱温度とは、MD方向の引張破断強度が半分にな
る時間が40000時間である温度を示す。また該シー
ト類の吸水率は、好ましくは0.2%以下であり、さら
に好ましくは0.1%以下である。 吸水率は大きい
と、高温および長時間の乾燥を必要とするため好ましく
ない。該シート類の水蒸気透過度は、好ましくは1.0
g/m 2・24hr以下であり、さらに好ましくは0.
8g/m2・24hr以下である。 水蒸気透過度が大き
いと、高湿度下で粘着性が低下することがある。また該
シート類のはんだ耐熱温度が250℃以上であることが
好ましく、280℃以上であることがより好ましい。こ
こで、はんだ耐熱温度は、加熱したハンダ浴に10秒間
シート類を浸漬し、収縮、熱分解による発泡が認められ
ない上限の温度を示す。
【0072】本発明における樹脂シート類としては、上
記のような樹脂シート類が通常使用される。粘着加工す
る面の表面自由エネルギーは30dyne/cm以上が
好ましく、それ未満である場合にはコロナ処理、オゾン
処理などの方法で、表面自由エネルギーを30dyne
/cm以上にすることができる。表面自由エネルギーが
30dyne/cm未満であると、粘着剤の樹脂シート
類への塗布にムラ等が生じる場合があり好ましくない。
【0073】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、これらは単なる例示であり、本発明はこれら
に限定されることはない。
【0074】(1)成分(A)の液晶ポリエステル (i)p−アセトキシ安息香酸8.3kg(60モ
ル)、テレフタル酸2.49kg(15モル)、イソフ
タル酸0.83kg(5モル)および4,4’−ジアセ
トキシジフェニル5.45kg(20.2モル)を、櫛
型撹拌翼をもつ重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹
拌しながら昇温し330℃で1時間重合させた。この間
に副生する酢酸ガスを冷却管で液化し回収、除去しなが
ら、強力な撹拌下で重合させた。その後、系を徐々に冷
却し、200℃で得られたポリマーを系外へ取出した。
この得られたポリマーを細川ミクロン(株)製のハンマ
ーミルで粉砕し、2.5mm以下の粒子とした。これを
更にロータリーキルン中で窒素ガス雰囲気下に280℃
で3時間処理することによって、流動開始温度が324
℃の粒子状の下記繰り返し構造単位からなる全芳香族ポ
リエステルを得た。
【0075】ここで流動開始温度とは、島津製作所製島
津フローテスターCFT−500型を用いて、4℃/分
の昇温速度で加熱溶融された樹脂を、荷重100kgf
/cm2のもとで、内径1mm、長さ10mmのノズル
から押し出したときに、溶融粘度が48000ポイズを
示す温度(℃)をいう。以下、該液晶ポリエステルをA
−1と略記する。このポリマーは、加圧下で340℃以
上で光学異方性を示した。液晶ポリエステルA−1の繰
り返し構造単位は、次の通りである。
【0076】
【0077】(ii)p−ヒドロキシ安息香酸16.6k
g(12.1モル)と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
8.4kg(4.5モル)および無水酢酸18.6kg
(18.2モル)を櫛型撹拌翼付きの重合槽に仕込み、
窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら昇温し、320℃で1
時間、そしてさらに2.0torrの減圧下に320℃
で1時間重合させた。この間に、副生する酢酸を系外へ
留出し続けた。その後、系を除々に冷却し、180℃で
得られたポリマーを系外へ取出した。この得られたポリ
マーを前記の(A−1)と同様に粉砕したあと、ロータ
リーキルン中で窒素ガス雰囲気下に240℃で5時間処
理することによって、流動開始温度が270℃の粒子状
の下記繰り返し単位からなる全芳香族ポリエステルを得
た。以下該液晶ポリエステルをA−2と略記する。この
ポリマーは加圧下で280℃以上で光学異方性を示し
た。液晶ポリエステルA−2の繰り返し構造単位の比率
は次の通りである。
【0078】
【0079】(2)成分(B)のゴム (i)特開昭61−127709号公報の実施例5に記
載の方法に準じて、アクリル酸メチル/エチレン/グリ
シジルメタクリレート=59.0/38.7/2.3
(重量比)、ムーニー粘度=15のゴムを得た。以下該
ゴムをB−1と略称することがある。ここでムーニー粘
度は、JIS K6300に準じて100℃、ラージロ
ーターを用いて測定した値である。また、融解熱は0.
01J/gの感度を有するShimazdu社製DSC
−50を用いて、10mgのサンプルにつき、走査温度
10℃/min.で測定した。融点は検出できず、融解
熱は測定できなかった。
【0080】(3)粘着剤 アクリル酸n―ブチル97重量部、アクリル酸3重量
部、重合開始剤としてラウロイルパーオキシド0.3重
量部を酢酸エチルに溶解させ、窒素雰囲気中、酢酸エチ
ルの還流温度で14時間反応させアクリル系共重合体を
得た。得られたアクリル系共重合体をふくむ40%酢酸
エチル溶液に、エポキシ系架橋剤0.2重量部を混合し
た粘着剤溶液を得た。以下、これをT−1と呼ぶことが
ある。
【0081】(4)粘着力 粘着剤を塗布したフィルム状成形体につき、JIS Z
0237に準拠した、90度引き剥がし法により測定し
た。
【0082】(5)打ち抜き試験 Dumb Bell社製、打ち抜き用プレス台(SDL
−100)に、Dumb Bell社製の63mm×7
5mmの打ち抜き刃を取り付け、フィルム状成形体を2
0枚打ち抜き、微細な屑の飛散状況を目視で評価した。
【0083】(6)フィルムの水蒸気透過率の測定法 JIS Z0208(カップ法)に準拠して温度35
℃、相対湿度90%の条件で測定した。単位はg/m2
・24hr・1atmである。なお水蒸気透過率は膜厚
み換算していない。
【0084】(7a)フィルムの引張試験 JIS C2318に準拠して行った。 (7b)フィルムの耐熱性の測定法 フィルムを50℃、100℃、150℃、200℃、2
50℃に保った循環オーブン中に入れ、0時間から25
00時間まで500時間毎に取り出して一日恒温恒湿室
(23℃、55%RH)に放置後、MD方向の引張強度
を測定し、強度の時間依存性曲線を得た。そこから、各
温度で0時間での強度に対して半分の強度になる時間を
求め、つぎに、得られた時間(半減時間)を温度に対し
てプロットし、曲線を得て、半減時間40000時間の
場合の温度を常用耐熱温度とした。
【0085】(8)支持基材フィルムの表面自由エネル
ギーの評価 JIS K6768に準じ、標準液を塗布して判定し
た。
【0086】参考例1 A−2を90重量%、およびB−1を10重量%の配合
比で、日本製鋼(株)製TEX−30型二軸押出機を用
いて、シリンダー設定温度305℃、スクリュー回転数
250rpmで溶融混練を行ってA−2を連続相、B−
1を分散相とする組成物を得た。この組成物ペレット
は、加圧下で282℃以上で光学的異方性を示した。こ
の組成物をS−1と呼ぶことがある。S−1を、円筒ダ
イを備えた60mmφの単軸押出機を用いてシリンダー
設定温度310℃、スクリュー回転数60rpmで溶融
押出して、直径50mm、リップ間隔1.0mm、ダイ
設定温度318℃の円筒ダイから上方へ溶融樹脂を押出
し、得られた筒状フィルムの中空部へ乾燥空気を圧入
し、膨張させ、次に冷却させたのちニップロールに通し
てフィルムを得た。ブロー比4、ドローダウン比10で
あり、フィルムの実測平均厚みは26μmであった。該
フィルムの水蒸気透過度は0.2(g/m2・24h・
1atm)であり、良好であった。また、MD方向の引
張弾性率は3000kgf/mmであり、破断伸びは2
%以下であった。常用耐熱温度は147℃であった。ま
た、該フィルムの表面自由エネルギーは40dyne/cmで
あった。このフィルムをF−1と呼ぶことがある。
【0087】参考例2 A−1 80重量部、およびB−1 20重量部の配合
比で、日本製鋼(株)製TEX−30型二軸押出機を用
い、シリンダー設定温度350℃、スクリュー回転数2
50rpmで溶融混練を行ってA−1を連続相、B−1
を分散相とする組成物を得た。この組成物ペレットは、
加圧下で340℃以上で光学的異方性を示した。得られ
た組成物をD−2と呼ぶことがある。D−2を、円筒ダ
イを備えた60mmφの単軸押出機を用いてシリンダー
設定温度350℃、スクリュー回転数120rpmで溶
融押出して、直径50mm、リップ間隔1.0mm、ダ
イ設定温度348℃の円筒ダイから上方へ溶融樹脂を押
出し、得られた筒状フィルムの中空部へ乾燥空気を圧入
し、膨張させ、次に冷却させたのちニップロールに通し
てフィルムを得た。ブロー比2.1、ドローダウン比
9.6であり、フィルムの実測平均厚みは50μmであ
った。該フィルムの水蒸気透過度は0.3(g/m2
24h・1atm)であり、良好であった。また、MD
方向の引張弾性率は2200kgf/mmであり、破断
伸びは2%以下であった。常用耐熱温度は170℃であ
った。また、該フィルムの表面自由エネルギーは40dy
ne/cmであった。このフィルムをF−2と呼ぶことがあ
る。
【0088】実施例1 参考例1で得たF−1をA4サイズに切り、その片面に
バーコーターを用いてT−1を塗布量15g/m2にな
るよう塗布して60℃の防爆型循環オーブン中で2時間
乾燥し、TP−1を得た。TP−1の粘着力は90g/
cmであった。TP−1を20枚打ち抜き試験したとこ
ろ、打ち抜き刃、打ち抜き台のどちらにも微細な屑は認
められなかった。
【0089】実施例2 参考例2で得たF−2をA4サイズに切り、その片面に
バーコーターを用いてT−1を塗布量20g/m2にな
るよう塗布し60℃の防爆型循環オーブン中で2時間3
0分乾燥し、TP−2を得た。TP−2の粘着力は10
0g/cmであった。TP−2を20枚打ち抜き試験し
たところ、打ち抜き刃、打ち抜き台のどちらにも微細な
屑は認められなかった。
【0090】実施例3 市販の25μm厚みPETフィルム(東洋紡エスペッ
ト)をA4サイズに切り、その片面にバーコーターを用
いてT−1を塗布量15g/m2になるよう塗布して5
0℃の防爆型循環オーブン中で3時間乾燥し、TP−3
を得た。TP−3の粘着力は80g/cmであった。
TP−3を20枚打ち抜き試験したところ、打ち抜き
刃、打ち抜き台のどちらにも微細な屑は認められなかっ
た。
【0091】比較例1 参考例1で得たF−1を20枚打ち抜き試験したとこ
ろ、打ち抜き刃にフィブリル状の微細な屑の付着が認め
られた。
【0092】比較例2 参考例2で得たF−2を20枚打ち抜き試験したとこ
ろ、打ち抜き刃にフィブリル状の微細な屑の付着が、ま
た、打ち抜き台にもフィブリル状の微細な屑の飛散が認
められた。
【0093】比較例3 市販の25μm厚みPETフィルム(東洋紡エスペッ
ト)を20枚打ち抜き試験したところ、打ち抜き刃に樹
脂のかけらと思われる微細な屑の付着が認められた。
【0094】
【発明の効果】本発明によれば、粘着層を少なくとも片
面に有するという特定のシート類を用いて、これを打ち
抜き加工することにより、打ち抜き加工時の微細な屑の
飛散防止、該微細な屑の打ち抜き樹脂成形体への付着防
止を図ることができ、打ち抜き樹脂成形体を用いた電子
部品や配線基盤などへの汚染を防止しし得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 183/04 C09J 183/04 201/00 201/00 Fターム(参考) 3C060 AA04 AB01 BH01 4F071 AA33 AA42 AA43 AF07 AF39 BB06 BB09 BC01 4J002 BE042 BG072 BP032 CD192 CF161 CF181 GJ02 GQ00 4J004 AA05 AA10 AA11 AB05 CA04 CA06 CC02 FA10 4J040 CA001 DF041 DF051 EB112 EB132 EC002 EF282 EK031 GA05 GA07 GA20 GA22 HA136 HB22 HB36 HC01 JA02 JA03 JB01 JB02 JB09 KA16 LA09 LA11 MA10 MB03 NA19 NA20 PA30

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粘着層を少なくとも片面に有する樹脂シー
    ト類を打ち抜き加工することを特徴とする打ち抜き樹脂
    成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】樹脂シート類を打ち抜き加工するに当た
    り、樹脂シート類として、粘着層を少なくとも片面に有
    する樹脂シート類を用いることを特徴とする打ち抜き加
    工時の樹脂屑飛散防止方法。
  3. 【請求項3】粘着層を有する面の粘着力が、10g/c
    m以上500g/cm以下であることを特徴とする請求
    項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】粘着層がシリコーン系粘着剤を主成分とす
    ることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の方
    法。
  5. 【請求項5】粘着層がアクリル系粘着剤を主成分とする
    ことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】粘着層が架橋剤と反応可能な官能基を有す
    るモノマーを含む共重合体であることを特徴とする請求
    項1〜5いずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】樹脂が溶融時に光学的異方性を示す液晶性
    ポリマーであることを特徴とする請求項1〜6に記載の
    方法。
  8. 【請求項8】溶融時に光学的異方性を示す液晶性ポリマ
    ーが、全芳香族液晶ポリエステルであることを特徴とす
    る請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】溶融時に光学的異方性を示す液晶ポリマー
    が、(A)液晶ポリエステルを連続相とし、(B)液晶ポリ
    エステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分
    散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物であることを特
    徴とする請求項7に記載の方法。
  10. 【請求項10】溶融時に光学的異方性を示す液晶ポリマ
    ーが、(A)液晶ポリエステル56.0〜99.9重量
    %、および(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官
    能基を有する共重合体44.0〜0.1重量%を溶融混
    錬して得られる組成物であることを特徴とする請求項7
    又は9記載の方法。
  11. 【請求項11】液晶ポリエステルと反応性を有する官能
    基が、エポキシ基、オキサゾリル基またはアミノ基であ
    ることを特徴とする請求項9又は10記載の方法。
  12. 【請求項12】液晶ポリエステルと反応性を有する官能
    基を有する共重合体(B)が、不飽和カルボン酸グリシ
    ジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエー
    テル単位を0.1〜30重量%含有する共重合体である
    ことを特徴とする請求項9〜11記載の方法。
  13. 【請求項13】液晶ポリエステルと反応性を有する官能
    基を有する共重合体(B)が、エポキシ基を有するゴム
    であることを特徴とする請求項9〜11記載の方法。
  14. 【請求項14】液晶ポリエステルと反応性を有する官能
    基を有する共重合体(B)が、エポキシ基を有する熱可
    塑性樹脂であることを特徴とする請求項9〜11記載の
    方法。
  15. 【請求項15】液晶ポリエステル(A)が、芳香族ジカ
    ルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン
    酸とを反応させて得られるものであることを特徴とする
    請求項7〜14いずれかに記載の方法。
  16. 【請求項16】液晶ポリエステル(A)が、異種の芳香
    族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られるものであ
    ることを特徴とする請求項7〜14いずれかに記載の方
    法。
  17. 【請求項17】樹脂シート類が、インフレーション成膜
    法により得られたものであることを特徴とする請求項1
    〜16いずれかに記載の方法。
  18. 【請求項18】請求項1〜17の方法によって得られた
    打ち抜き樹脂成形体。
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JP2010209347A (ja) * 2002-09-18 2010-09-24 Sekisui Chem Co Ltd アクリル系粘着剤及び粘着テープ

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