JP2000006351A - 積層フィルム、並びに、磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

積層フィルム、並びに、磁気記録媒体およびその製造方法

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JP2000006351A
JP2000006351A JP17715598A JP17715598A JP2000006351A JP 2000006351 A JP2000006351 A JP 2000006351A JP 17715598 A JP17715598 A JP 17715598A JP 17715598 A JP17715598 A JP 17715598A JP 2000006351 A JP2000006351 A JP 2000006351A
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crystal polyester
laminated film
copolymer
resin composition
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JP17715598A
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Motonobu Furuta
元信 古田
Takazo Yamaguchi
登造 山口
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造が容易で、ガスバリア性や耐熱性、機械
的性質などに優れ、吸水率が低く、耐屈曲性に優れた安
価な積層フィルム、並びに、該積層フィルムよりなる磁
気記録媒体および該磁気記録媒体の製造方法を提供する
こと。 【解決手段】 (A)液晶ポリエステルを連続相とし
(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有す
る共重合体を分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物
よりなる層および磁性層を有する積層フィルム、並び
に、該積層フィルムよりなる磁気記録媒体、および該液
晶ポリエステル樹脂組成物を用いる該磁気記録媒体の製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製造が容易で、ガ
スバリア性や機械的性質に優れ、吸水率が低く、磁気テ
ープ、磁気ディスク、フロッピーディスクあるいはVT
Rテープなどの磁気記録媒体用途に好適な積層フィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】フロッピーディスク、磁気テープ、磁気
ディスク、フロッピーディスクあるいはVTRテープな
どの磁気記録媒体は、主として磁性層とベースフィルム
層から形成されるが、近年、それらの小型化、軽量化、
記録の高密度化などが促進されている。かかる磁気記録
媒体の構成成分であるベースフィルムとしては、紙、ア
セテート、ポリエチレンテレフタレートの如きポリエス
テル、ポリイミドなどが一般に使用されている。しかし
ながら、これらのベースフィルムは、用途によっては、
耐熱性、機械的強度が充分ではない、吸水率が高い、寸
法安定性や耐薬品性が不十分である、薄肉化が困難であ
る、あるいは高価であるなど、様々な問題点が市場から
指摘されており、その改良が望まれていた。
【0003】液晶ポリエステルはこれらの問題を改良で
きる材料として期待されるが、液晶ポリエステルはポリ
エチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート
のような結晶性ポリエステルと異なり、分子が剛直なた
め溶融状態でも絡み合いを起こさず、液晶状態を有する
ポリドメインを形成し、低剪断により分子鎖が流れ方向
に著しく配向する挙動を示し、一般に溶融型液晶(サー
モトロピック液晶)ポリマーと呼ばれている。この特異
的な挙動のため、溶融流動性が極めて優れ、0.2〜
0.5mm程度の薄肉成形品を容易に得ることができ、
しかもこの成形品は高強度、高剛性を示すという長所を
有している。しかし、異方性が極めて大きいという欠点
がある。さらに制振性能や耐衝撃性も充分ではなく、成
形加工温度も高いため用途が限られていた。また、液晶
ポリエステルは一般に高価であることも問題であった。
【0004】かかる液晶ポリエステルを磁気記録媒体の
ベースフィルムとして用いる例として、特開平2−50
320号公報には液晶ポリエステルと磁気層または写真
層からなる記録材料に関して開示されている。特公平6
−73179号公報には、液晶ポリエステルの一軸配向
シートを直交してラミネートさせた2軸配向シートと、
磁性層からなる磁気ディスクに関して開示されている。
特開平3−183016号公報には特定構造の液晶ポリ
エステルからなるディスク基板に関して記載されてい
る。しかしながら、いずれの場合も、磁気テープ、フロ
ッピーディスク、磁気ディスク、VTRテープなどに求
められる耐屈曲性などの物性が十分ではなかった。また
成形加工が容易でなく製造が困難であるという問題もあ
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる実状に鑑み本発
明が解決しようとする課題は、製造が容易で、ガスバリ
ア性や耐熱性、機械的性質などに優れ、吸水率が低く、
耐屈曲性に優れた安価な積層フィルム、並びに、該積層
フィルムよりなる磁気記録媒体および該磁気記録媒体の
製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達し
た。即ち本発明は、(A)液晶ポリエステルを連続相と
し(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有
する共重合体を分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成
物よりなる層および磁性層を有する積層フィルム、並び
に、該積層フィルムよりなる磁気記録媒体、および該液
晶ポリエステル樹脂組成物を用いる該磁気記録媒体の製
造方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明における液晶ポリエステル樹脂組成物の成分
(A)の液晶ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポ
リマーと呼ばれるポリエステルである。
【0008】具体的には、 (1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸との組み合わせからなるもの。 (2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸の組み合わせ
からなるもの。 (3)芳香族ジカルボン酸と核置換芳香族ジオールとの
組み合わせからなるもの。 (4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
に芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られるも
の。 などが挙げられ、400℃以下の温度で異方性溶融体を
形成するものである。なお、これらの芳香族ジカルボン
酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシカルボン酸の
代わりに、それらのエステル形成性誘導体が使用される
こともある。
【0009】該液晶ポリエステルの繰返し構造単位とし
ては、下記の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し構
造単位、芳香族ジオールに由来する繰返し構造単位、
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し構造単
位を例示することができるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0010】芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し
構造単位:
【0011】
【0012】芳香族ジオールに由来する繰返し構造単
位:
【0013】
【0014】芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する
繰返し構造単位:
【0015】耐熱性、機械的特性、加工性のバランスか
ら特に好ましい液晶ポリエステルは なる繰り返し構造単位を含むものであり、さらに好まし
くはかかる繰り返し構造単位を少なくとも全体の30モ
ル%以上含むものである。具体的には繰り返し構造単位
の組み合わせが下記(I)〜(VI)のいずれかのものが
好ましい。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】該液晶ポリエステル(I)〜(VI)の製法
については、例えば特公昭47−47870号公報、特
公昭63−3888号公報、特公昭63−3891号公
報、特公昭56−18016号公報、特開平2−515
23号公報などに記載されている。これらの中で好まし
くは(I)、(II)または(IV)の組合せであり、さら
に好ましくは(I)または(II)の組み合せが挙げられ
る。
【0023】本発明において、高い耐熱性が要求される
分野には成分(A)の液晶ポリエステルが、下記の繰り
返し単位(a’)が30〜80モル%、繰り返し単位
(b’)が0〜10モル%、繰り返し単位(c’)が1
0〜25モル%、繰り返し単位(d’)が10〜35モ
ル%からなる液晶ポリエステルが好ましく使用される。
【0024】 (式中、Arは2価の芳香族基である。)
【0025】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物に用
いられる成分(B)は、液晶ポリエステルと反応性を有
する官能基を有する共重合体である。かかる液晶ポリエ
ステルと反応性を有する官能基としては、液晶ポリエス
テルと反応性を有すれば何でもよく、具体的には、オキ
サゾリル基やエポキシ基、アミノ基等が挙げられる。好
ましくは、エポキシ基である。エポキシ基等は他の官能
基の一部として存在していてもよく、そのような例とし
ては例えばグリシジル基が挙げられる。
【0026】共重合体(B)において、かかる官能基を
共重合体中に導入する方法としては特に限定されるもの
ではなく、周知の方法で行うことができる。例えば共重
合体の合成段階で、該官能基を有する単量体を共重合に
より導入することも可能であるし、共重合体に該官能基
を有する単量体をグラフト共重合することも可能であ
る。
【0027】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有する単量体、中でもグリシジル基を含有する単量体
としては、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび
/または不飽和グリシジルエーテルが好ましく用いられ
る。
【0028】不飽和カルボン酸グリシジルエステルは好
ましくは一般式 (Rはエチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜13の
炭化水素基である。)で表される化合物であり、また不
飽和グリシジルエーテルは好ましくは一般式 (Rはエチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜18の
炭化水素基であり、Xは−CH2−O−または である。)で表される化合物である。
【0029】具体的には、不飽和カルボン酸グリシジル
エステルとしては、例えばグリシジルアクリレート、グ
リシジルメタクリレート、イタコン酸ジグリシジルエス
テル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、
p−スチレンカルボン酸グリシジルエステルなどを挙げ
ることができる。不飽和グリシジルエーテルとしては、
例えばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエ
ーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、メタク
リルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエ
ーテル等が例示される。
【0030】上記の液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基を有する共重合体(B)は、好ましくは、不飽和
カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽
和グリシジルエーテル単位を0.1〜30重量%含有す
る共重合体である。
【0031】また、上記の液晶ポリエステルと反応性を
有する官能基を有する共重合体(B)は、熱可塑性樹脂
であってもゴムであってもよいし、熱可塑性樹脂とゴム
の混合物であってもよい。ゴムを用いると組成物の成形
加工性や柔軟性がより優れ、好ましい。
【0032】さらに好ましくは、上記の液晶ポリエステ
ルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)は、
結晶の融解熱量が3J/g未満の共重合体である。また
共重合体(B)としては、ムーニー粘度が3〜70のも
のが好ましく、3〜30のものがさらに好ましく、4〜
25のものが特に好ましい。ここでいうムーニー粘度
は、JIS K6300に準じて100℃ラージロータ
ーを用いて測定した値をいう。
【0033】ここでいうゴムとは、新版高分子辞典(高
分子学会編、1988年出版、朝倉書店)による室温に
てゴム弾性を有する高分子物質に該当するものであり、
その具体例としては、天然ゴム、ブタジエン重合体、ブ
タジエン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロ
ック共重合体(SEBSゴムまたはSBSゴム等を含
む)、グラフト共重合体などすべて含まれる)又はその
水素添加物、イソプレン重合体、クロロブタジエン重合
体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチ
レン重合体、イソブチレン−ブタジエン共重合体ゴム、
イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリル酸エステ
ル−エチレン系共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共
重合体ゴム、エチレン−ブテン共重合体ゴム、エチレン
−プロピレン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−イソ
プレン共重合体ゴム、スチレン−ブチレン共重合体、ス
チレン−エチレン−プロピレン共重合体ゴム、パーフル
オロゴム、ふっ素ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴ
ム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジ
エン共重合体ゴム、チオールゴム、多硫化ゴム、ポリウ
レタンゴム、ポリエーテルゴム(例えばポリプロピレン
オキシド等)、エピクロルヒドリンゴム、ポリエステル
エラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げられ
る。中でも、アクリル酸エステル−エチレン系共重合体
が好ましく用いられ、(メタ)アクリル酸エステル−エ
チレン系共重合体ゴムがさらに好ましい。
【0034】これらのゴム様物質は、いかなる製造法
(例えば乳化重合法、溶液重合法等)、いかなる触媒
(例えば過酸化物、トリアルキルアルミニウム、ハロゲ
ン化リチウム、ニッケル系触媒等)でつくられたもので
もよい。
【0035】そして本発明においては、共重合体(B)
としてのゴムは上記のようなゴムにおいて、液晶ポリエ
ステルと反応性を有する官能基を有するゴムである。か
かるゴムにおいて、液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基をゴム中に導入する方法としては、特に限定され
るものではなく、周知の方法で行うことができる。例え
ばゴムの合成段階で、該官能基を有する単量体を共重合
により導入することも可能であるし、ゴムに該官能基を
有する単量体をグラフト共重合することも可能である。
【0036】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有する共重合体(B)の具体例として、エポキシ基を
有するゴムとしては、(メタ)アクリル酸エステル−エ
チレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび
/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムを挙
げることができる。
【0037】ここで(メタ)アクリル酸エステルとは、
アクリル酸またはメタクリル酸とアルコールから得られ
るエステルである。アルコールとしては、炭素原子数1
〜8のアルコールが好ましい。(メタ)アクリル酸エス
テルとして好ましくは、メチルアクリレート、メチルメ
タクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメ
タクリレート、tert−ブチルアクリレート、ter
t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、2−エチルヘキシルメタクリレートである。な
お、(メタ)アクリル酸エステルとしては、その一種を
単独で使用してもよく、または二種以上を併用してもよ
い。
【0038】好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル
単位が40重量%をこえ97重量%未満、さらに好まし
くは45〜70重量%、エチレン単位が3重量%以上5
0重量%未満、さらに好ましくは10〜49重量%、不
飽和カルボン酸グリシジルエーテル単位および/または
不飽和グリシジルエーテル単位が0.1〜30重量%、
さらに好ましくは0.5〜20重量%である。上記の範
囲外であると、組成物から得られるフィルムやシート等
の成形体の熱安定性や機械的性質が不十分となる場合が
あり好ましくない。
【0039】該共重合体ゴムは、通常の方法、例えばフ
リーラジカル開始剤による塊状重合、乳化重合、溶液重
合などによって製造することができる。なお、代表的な
重合方法は、特公昭46−45085号公報、特公昭6
1−127709号公報などに記載された方法、フリー
ラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力500k
g/cm2以上、温度40〜300℃の条件により製造
することができる。
【0040】本発明の共重合体(B)に使用できるゴム
として他には、液晶ポリエステルと反応性を有する官能
基を有するアクリルゴムや、液晶ポリエステルと反応性
を有する官能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−
共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムも例示すること
ができる。
【0041】ここでいうアクリルゴムとして好ましく
は、一般式(1) (式中、R1は炭素原子数1〜18のアルキル基または
シアノアルキル基を示す。)、一般式(2) (式中、R2は炭素原子数1〜12のアルキレン基、R3
は炭素原子数1〜12のアルキル基を示す。)、および
一般式(3) (式中、R4は水素原子またはメチル基、R5炭素原子数
3〜30のアルキレン基、R6は炭素原子数1〜20の
アルキル基またはその誘導体、nは1〜20の整数を示
す。)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の
単量体を主成分とするものである。
【0042】上記一般式(1)で表されるアクリル酸ア
ルキルエステルの具体例としては、例えばメチルアクリ
レート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、
ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシル
アクリレート、アクチルアクリレート、2−エチルヘキ
シルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリ
レート、ドデシルアクリレート、シアノエチルアクリレ
ートなどを挙げることができる。
【0043】また、上記一般式(2)で表されるアクリ
ル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばメト
キシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレー
ト、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルア
クリレートなどを挙げることができる。これらの1種あ
るいは2種以上を該アクリルゴムの主成分として用いる
ことができる。
【0044】かかるアクリルゴムの構成成分として、必
要に応じて上記の一般式(1)〜(3)で表される化合
物から選ばれる少なくとも一種の単量体と共重合可能な
不飽和単量体を用いることができる。このような不飽和
単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、
アクリロニトリル、ハロゲン化スチレン、メタクリロニ
トリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルナ
フタレン、N−メチロールアクリルアミド、酢酸ビニ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ベンジルアクリレー
ト、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸
などが挙げられる。
【0045】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有するアクリルゴムの好ましい構成成分比は、上記の
一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少
なくとも一種の単量体40.0〜99.9重量%、不飽
和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和
グリシジルエーテル0.1〜30.0重量%、上記の一
般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少な
くとも一種の単量体と共重合可能な不飽和単量体0.0
〜30.0重量%である。該アクリルゴムの構成成分比
が上記の範囲内であると、組成物の耐熱性や耐衝撃性、
成形加工性が良好であり好ましい。
【0046】該アクリルゴムの製法は特に限定するもの
ではなく、例えば特開昭59−113010号公報、特
開昭62−64809号公報、特開平3−160008
号公報、あるいはWO95/04764号公開明細書な
どに記載されているような周知の重合法を用いることが
でき、ラジカル開始剤の存在下で乳化重合、懸濁重合、
溶液重合あるいはバルク重合で製造することができる。
【0047】前記液晶ポリエステルと反応性を有する官
能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン
化合物ブロック共重合体ゴムとして好ましくは、(a)
ビニル芳香族炭化水素化合物を主体とするシーケンスと
(b)共役ジエン化合物を主体とするシーケンスからな
るブロック共重合体をエポキシ化して得られるゴム、ま
たは該ブロック共重合体の水添物をエポキシ化して得ら
れるゴムである。
【0048】ビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン
化合物ブロック共重合体あるいはその水添物は、周知の
方法で製造することができ、例えば、特公昭40−23
798号公報、特開昭59−133203号公報等に記
載されている。
【0049】芳香族炭化水素化合物としては、例えば、
スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン
などを挙げることができ、中でもスチレンが好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソ
プレン、ピレリレン、1,3−ペンタジエン、3−ブチ
ル−1,3−オクタジエンなどを挙げることができ、ブ
タジエンまたはイソプレンが好ましい。
【0050】共重合体(B)として用いるゴムとして好
ましくは、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−
(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または
不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムが用いられ
る。
【0051】共重合体(B)として用いるゴムは、必要
に応じて加硫を行い、加硫ゴムとして用いることができ
る。上記の(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−
(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または
不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムの加硫は、多
官能性有機酸、多官能性アミン化合物、イミダゾール化
合物などを用いることで達成されるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0052】また、液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基を有する共重合体(B)の具体例として、エポキ
シ基を有する熱可塑性樹脂としては(a)エチレン単位
が50〜99重量%、(b)不飽和カルボン酸グリシジ
ルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテ
ル単位が0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20
重量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位が
0〜50重量%からなるエポキシ基含有エチレン共重合
体を挙げることができる。
【0053】エチレン系不飽和エステル化合物(c)と
しては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル等のカルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カル
ボン酸アルキルエステル等が挙げられる。特に酢酸ビニ
ル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0054】該エポキシ基含有エチレン共重合体の具体
例としては、たとえばエチレン単位とグリシジルメタク
リレート単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシ
ジルメタクリレート単位およびアクリル酸メチル単位か
らなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレ
ート単位およびアクリル酸エチル単位からなる共重合
体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およ
び酢酸ビニル単位からなる共重合体等が挙げられる。
【0055】該エポキシ基含有エチレン共重合体のメル
トインデックス(以下、MFRということがある。JI
S K6760、190℃、2.16kg荷重)は、好
ましくは0.5〜100g/10分、更に好ましくは2
〜50g/10分である。メルトインデックスはこの範
囲外であってもよいが、メルトインデックスが100g
/10分を越えると組成物にした時の機械的物性の点で
好ましくなく、0.5g/10分未満では成分(A)の
液晶ポリエステルとの相溶性が劣り好ましくない。
【0056】また、該エポキシ基含有エチレン共重合体
は、曲げ剛性率が10〜1300kg/cm2の範囲の
ものが好ましく、20〜1100kg/cm2のものが
さらに好ましい。曲げ剛性率がこの範囲外であると組成
物の成形加工性や機械的性質が不十分となる場合があり
好ましくない。
【0057】該エポキシ基含有エチレン共重合体は、通
常不飽和エポキシ化合物とエチレンをラジカル発生剤の
存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適
当な溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下に共重合
させる高圧ラジカル重合法により製造される。また、ポ
リエチレンに不飽和エポキシ化合物およびラジカル発生
剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方
法によっても作られる。
【0058】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、
(A)液晶ポリエステルを連続相とし(B)液晶ポリエ
ステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分散
相とする樹脂組成物である。液晶ポリエステルが連続相
でない場合には、液晶ポリエステル樹脂組成物よりなる
積層フィルムのガスバリア性、耐熱性などが著しく低下
する場合があり、好ましくない。
【0059】このような官能基を有する共重合体と液晶
ポリエステルとの樹脂組成物においては、機構の詳細は
不明ではあるが、該組成物の成分(A)と成分(B)と
の間で反応が生起し、成分(A)が連続相を形成すると
ともに成分(B)が微細分散し、そのために該組成物の
成形加工性が向上するものと考えられる。
【0060】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の流
動開始温度(FT1)は、[該組成物の成分(A)の液
晶ポリエステルの流動開始温度(FT2)より10℃低
い温度]より高いことが好ましい。FT1がFT2より
高いことがより好ましい。FT1が[FT2−10]℃
より高いと該組成物の成形加工性が向上し好ましい。こ
こで、流動開始温度とは、毛細管型レオメーター(例え
ば島津社製高化式フローテスターCFT−500型)で
測定され、4℃/分の昇温速度で加熱溶融された樹脂
を、荷重100kgf/cm2のもとで、内径1mm、
長さ10mmのノズルから押し出したときに、溶融粘度
が48000ポイズを示す温度(℃)をいう。
【0061】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の一
実施態様は、(A)液晶ポリエステル56.0〜99.
9重量%、好ましくは65.0〜99.9重量%、さら
に好ましくは70〜98重量%、および(B)液晶ポリ
エステルと反応性を有する官能基を有する共重合体4
4.0〜0.1重量%、好ましくは35.0〜0.1重
量%、さらに好ましくは30〜2重量%を含有する樹脂
組成物である。成分(A)が56.0重量%未満である
と該組成物から得られるフィルムまたはシート等の成形
体のガスバリア性、耐熱性が低下する場合があり好まし
くない。また成分(A)が99.9重量%を超えると該
組成物の成形加工性が低下する場合があり、また価格的
にも高価なものとなり好ましくない。
【0062】本発明における液晶ポリエステル樹脂組成
物を製造する方法としては周知の方法を用いることがで
きる。たとえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸
発させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。工
業的見地からみると溶融状態で各成分を混練する方法が
好ましい。溶融混練には一般に使用されている一軸また
は二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いる
ことができる。特に二軸の高混練機が好ましい。溶融混
練に際しては、混練装置のシリンダー設定温度は200
〜360℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは230
〜350℃である。
【0063】混練に際しては、各成分は予めタンブラー
もしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均
一に混合してもよいし、必要な場合には混合を省き、混
練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いること
ができる。
【0064】本発明に使用する液晶ポリエステル樹脂組
成物においては、所望により無機充填剤が用いられる。
このような無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タル
ク、クレー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウ
ム、酸化チタン、アルミナ、石膏、ガラスフレーク、ガ
ラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊
維、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウム繊
維等が例示される。
【0065】本発明に使用する液晶ポリエステル樹脂組
成物に、必要に応じて、さらに、有機充填剤、酸化防止
剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、
防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光
沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤などの各種の添
加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程において、
積層フィルムの透明性を著しく損なわない範囲で用いる
ことができる。
【0066】上記の液晶ポリエステル樹脂組成物は成形
加工が容易であり、ガスバリア性や耐熱性、機械的性質
などに優れ、吸水率が低く、耐屈曲性に優れた安価なフ
ィルムやシートを得ることができ、該フィルムもしくは
シートを本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物よりなる
層として用いることが好ましい。上記の液晶ポリエステ
ル樹脂組成物よりなるフィルムの成形方法は特に制限す
るものではなく、周知の方法で行うことができる。
【0067】該組成物を成形する方法としては、例え
ば、Tダイから溶融樹脂を押出し巻き取るTダイ法、環
状ダイスを設置した押出し機から溶融樹脂を円筒状に押
出し、冷却し巻き取るインフレーション成膜法によりフ
ィルムまたはシートを得ることもできるし、あるいは射
出成形法や押出し法で得られたシートをさらに一軸延伸
してフィルムまたはシートを得ることもできる。射出成
形、押出成形などの場合にはあらかじめ混練の工程を経
ることなく、成分のペレットを成形時にドライブレンド
して溶融成形して、フィルムまたはシートを得ることも
できる。
【0068】T型ダイ法では、Tダイを通して押出した
溶融樹脂を巻き取り機方向(長手方向)に延伸しながら
巻き取って得られる一軸延伸フィルム、または二軸延伸
フィルムが好ましく用いられる。
【0069】一軸延伸フィルムの成膜時における押出機
の設定条件は組成物の組成に応じて適宜設定できるが、
シリンダー設定温度は200〜360℃の範囲が好まし
く、230〜350℃の範囲がさらに好ましい。この範
囲外であると組成物の熱分解が生じたり、成膜が困難と
なる場合があり好ましくない。
【0070】Tダイのスリット間隔は、0.2〜2.0
mmが好ましく、0.2〜1.2mmがさらに好ましい。
一軸延伸フィルムのドラフト比は、1.1〜40の範囲
のものが好ましく、さらに好ましくは10〜40であ
り、特に好ましくは15〜35である。
【0071】ここでいうドラフト比とは、Tダイスリッ
トの断面積を長手方向に垂直な面のフィルム断面積で除
した値をいう。ドラフト比が1.1未満であるとフィル
ム強度が不十分であり、ドラフト比が45を越すとフィ
ルムの表面平滑性が不十分となる場合があり、好ましく
ない。ドラフト比は押出機の設定条件、巻き取り速度な
どを制御して設定することができる。
【0072】二軸延伸フィルムは、一軸延伸フィルムの
成膜と同様の押出機の設定条件、すなわちシリンダー設
定温度が好ましくは200〜360℃の範囲、さらに好
ましくは230〜350℃の範囲、Tダイのスリット間
隔が好ましくは0.2〜1.2mmの範囲で該組成物の
溶融押出しを行い、Tダイから押出した溶融体シートを
長手方向および長手方向と垂直方向(横手方向)に同時
に延伸する方法、またはTダイから押出した溶融体シー
トをまず長手方向に延伸し、ついでこの延伸シートを同
一工程内で100〜300℃の高温下でテンターより横
手方向に延伸する逐次延伸の方法などにより得られる。
【0073】二軸延伸フィルムを得る際、その延伸比は
長手方向に1.2〜20倍、横手方向に1.2〜20倍
の範囲が好ましい。延伸比が上記の範囲外であると、該
組成物フィルムの強度が不十分となったり、または均一
な厚みのフィルムを得るのが困難となる場合があり好ま
しくない。
【0074】円筒形のダイから押出した溶融体シートを
インフレーション法で成膜して得られる、インフレーシ
ョンフィルムなども好ましく用いられる。
【0075】すなわち、上記の方法により得られた液晶
ポリエステル樹脂組成物は、環状スリットのダイを備え
た溶融混練押出機に供給され、シリンダー設定温度20
0〜360℃、好ましくは230〜350℃で溶融混練
を行って押出機の環状スリットから筒状フィルムは上方
または下方へ溶融樹脂が押出される。環状スリット間隔
は通常0.1〜5mm、好ましくは0.2〜2mm、環
状スリットの直径は通常20〜1000mm、好ましく
は25〜600mmである。
【0076】溶融押出しされた溶融樹脂フィルムに長手
方向(MD)にドラフトをかけるとともに、この筒状フ
ィルムの内側から空気または不活性ガス、例えば窒素ガ
スなどを吹き込むことにより長手方向と直角な横手方向
(TD)にフィルムを膨張延伸させる。
【0077】インフレーション成形(成膜)において、
好ましいブロー比は1.5〜10、好ましいMD延伸倍
率は1.5〜40である。インフレーション成膜時の設
定条件が上記の範囲外であると厚さが均一でしわの無い
高強度の液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムを得るの
が困難となる場合があり好ましくない。
【0078】膨張させたフィルムは、その円周を空冷あ
るいは水冷させた後、ニップロールを通過させて引き取
る。
【0079】インフレーション成膜に際しては液晶ポリ
エステル樹脂組成物の組成に応じて、筒状の溶融体フィ
ルムが均一な厚みで表面平滑な状態に膨張するような条
件を選択することができる。
【0080】フィルムの厚みは好ましくは3〜1000
μm、さらに好ましくは3〜500μmである。
【0081】本発明の積層フィルムは、上記の液晶ポリ
エステル樹脂組成物よりなる層および磁性層を有する積
層フィルムである。上記の液晶ポリエステル樹脂組成物
よりなる層としては、上記の方法で得られる液晶ポリエ
ステル樹脂組成物よりなるフィルムもしくはシートを用
いることができる。以後、かかるフィルムもしくはシー
トをベースフィルムと称することがある。
【0082】本発明における磁性層としての例示できる
第一の形態は、磁性粉をベースフィルム表面に塗布して
なるものであり、例えば該磁性粉をバインダー、接着
剤、各種安定剤、分散剤、帯電防止剤、潤滑剤、研磨剤
などとともに有機溶媒中に分散、混合しベースフィルム
上に塗布したのち有機溶媒を乾燥させて得られる。ここ
でいう磁性粉としては、具体的には、マグネタイト、ガ
ンマ酸化鉄、二酸化クロム、コバルト被着型酸化鉄、メ
タル粉などが挙げられる。またバインダーとしては、ポ
リウレタン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ニトロ
セルロースなどが挙げられる。
【0083】磁性層の第二の形態例は、磁性層が金属メ
ッキされたものである。メッキとしては、化学メッキ
法、電気メッキ法などが適用され、具体的にはCo−N
i−P、Co−Ni、Co−P、Co−Pt、Co−R
e、Co−Pt−M(但しMはNi、Ge、V、Mo、
CrまたはW。)、Co−Ni−N、Co−Ni−Cr
などが挙げられる。
【0084】本発明における積層フィルムは、必要に応
じて磁性層、液晶ポリエステル樹脂組成物よりなる層
に、熱可塑性樹脂(但し、該液晶ポリエステルおよび該
液晶ポリエステル樹脂組成物を除く。)よりなる層との
三層以上の積層構造をとることができる。
【0085】ここでいう熱可塑性樹脂としては、例えば
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフ
ィン共重合体のごときポリオレフィン、ポリスチレン、
ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートやポリ
ブチレンテレフタレートのごときポリエステル、ポリア
セタール、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリ
エーテルサルホン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンサ
ルファイド、フッ素樹脂などが挙げられる。これらの中
でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−
オレフィン共重合体、ポリエチレンテレフタレートが好
ましい。熱可塑性樹脂としては1種または2種以上のも
のを混合して用いることができる。また、熱可塑性樹脂
としては、分子鎖に官能基を導入し、変性した熱可塑性
樹脂も用いられる。
【0086】積層フィルムにこのような積層構造体を用
いる際には、必要に応じて各層の間にホットメルト接着
剤、ポリウレタン接着剤などを使用して各層間の接着強
度を向上させることも可能である。
【0087】このような積層構造体の形態は特に限定す
るものではなく、磁性層を外層とし、液晶ポリエステル
樹脂組成物よりなる層、熱可塑性樹脂よりなる層として
形成してもよいし、磁性層の上側に他の熱可塑性樹脂よ
りなる層があってもよい。
【0088】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物より
なる層の表面には、必要に応じて表面処理を施すことが
できる。このような表面処理法としては、例えばコロナ
放電処理、プラズマ処理、火炎処理、紫外線処理、赤外
線処理、溶剤処理、研磨処理などが挙げられる。
【0089】また、本発明における液晶ポリエステル樹
脂組成物よりなる層の表面には、フィルムの接着性を向
上させるために、アンカーコート剤を用いてアンカーコ
ート処理を施すことができる。アンカーコート剤は特に
限定するものではなく、例えば、アルキルチタネート化
合物、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリエチレ
ンイミン系アンカーコート剤、ウレタン系アンカーコー
ト剤などが挙げられる。
【0090】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、こ
れらは単なる例示であり、本発明はこれらに限定される
ことはない。
【0091】(1)成分(A)の液晶ポリエステル (i)p−アセトキシ安息香酸8.3kg(60モ
ル)、テレフタル酸2.49kg(15モル)、イソフ
タル酸0.83kg(5モル)および4,4’−ジアセ
トキシジフェニル5.45kg(20.2モル)を櫛型
撹拌翼をもつ重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌
しながら昇温し330℃で1時間重合させた。この間に
副生する酢酸ガスを冷却管で液化し回収、除去しなが
ら、強力な撹拌下で重合させた。その後、系を徐々に冷
却し、200℃で得られたポリマーを系外へ取出した。
この得られたポリマーを細川ミクロン(株)製のハンマ
ーミルで粉砕し、2.5mm以下の粒子とした。これを
更にロータリーキルン中で窒素ガス雰囲気下に280℃
で3時間処理することによって、流動開始温度が324
℃の粒子状の下記の繰り返し構造単位からなる全芳香族
ポリエステルを得た。ここで、流動開始温度とは、島津
社製高化式フローテスターCFT−500型で測定さ
れ、4℃/分の昇温速度で加熱溶融された樹脂を、荷重
100kgf/cm2のもとで、内径1mm、長さ10
mmのノズルから押し出したときに、溶融粘度が480
00ポイズを示す温度(℃)をいう。以下該液晶ポリエ
ステルをA−1と略記する。このポリマーは加圧下で3
40℃以上で光学異方性を示した。液晶ポリエステルA
−1の繰り返し構造単位は、次の通りである。
【0092】
【0093】(2)成分(B)の共重合体 (i)特開昭61―127709号公報の実施例5に記
載の方法に準じて、MA/E/GMA=59.0/3
8.7/2.3(重量比)、ムーニー粘度=15の共重
合体ゴムを得た。以下該共重合体ゴムを、B−1と略称
することがある。ここで、Eはエチレン、MAはアクリ
ル酸メチル、GMAはグリシジルメタクリレートをそれ
ぞれ示す。またムーニー粘度は、JIS K6300に
準じて100℃、ラージローターを用いて測定した値で
ある。
【0094】(3)物性の測定法 (i)酸素ガス透過率:JIS K7126 A法(差
圧法)に準拠して温度20℃の条件で測定した。単位は
cc/m2・24hr・1atmである。
【0095】(ii)水蒸気透過率:JIS Z0208
(カップ法)に準拠して温度40℃、相対湿度90%の
条件で測定した。単位はg/m2・24hr・1atm
である。なお酸素ガス透過率と水蒸気透過率は膜厚みを
25μmに換算して求めた。
【0096】(iii)屈曲試験:液晶ポリエステル樹脂組
成物層のMD方向、TD方向に積層材料を切り出し、そ
れぞれについて東洋精機(株)製MIT屈曲試験機 F
olding Endurance Tester M
IT−D型を使用し、JIS−p−8115に基づいて
荷重1Kgf、折り曲げ角 135度、折り曲げ面曲率
半径 1mm、折り曲げ速度175回/minで屈曲試
験を行い、フィルム、シートが破断するまでの屈曲回数
を求めた。
【0097】(iv)吸水率:ASTM D570に基づ
き、23℃、24hr後でのフィルム中の吸水率(重量
%)を求めた。
【0098】(v)表面固有抵抗:ASTM D257
に基づき、測定温度23℃、印加電圧 100V×1m
in で測定した。
【0099】(vi)フィルム外観:フィルム外観は以下
の基準に基づいて評価した。 ○:フィルムに厚みむら、皺などがほとんど認められな
い。 ×:フィルムに厚みむら、皺などが認められる。
【0100】実施例1 A−1 80重量%、およびB−1 20重量%を、日
本製鋼(株)製 TEX−30型二軸押出機を用い、シ
リンダー設定温度350℃、スクリュー回転数200r
pmで溶融混練を行って組成物を得た。得られた組成物
の流動開始温度は325℃であった。この組成物のペレ
ットを円筒ダイを備えた60mm径の単軸押出し機に供
給し、シリンダー設定温度350℃、スクリュー回転数
90rpmで溶融押出しして、ダイ径50mm、リップ
間隔1.5mm、ダイ設定温度350℃の円筒ダイから
溶融樹脂を上方へ押出し、この筒状フィルムの中空部へ
乾燥空気を圧入してブロー比 3.6として筒状フィル
ムを膨張させ、次に冷却させたのち、ニップロールに通
して巻き取り速度27m/minで巻き取った(MD延
伸倍率7.7)。得られたフィルムの厚みは36μmで
あった。フィルムの外観は○であった。得られたフィル
ムの屈曲試験結果は10万回以上で破断しなかった。酸
素ガス透過率は0.3cc/m2・24hr・1at
m、水蒸気透過率は0.3g/m2・24hr・1at
mであった。また吸水率は0.04%、表面固有抵抗は
5.1×1013Ωcmであった。また、該液晶ポリエス
テル樹脂組成物からなるフィルム上に、卓上コーターを
使用してγ−Fe23を含有する樹脂塗布剤を厚さ5μ
m塗布することにより、磁性層および液晶ポリエステル
樹脂組成物よりなる層からなる積層体を得ることができ
る。
【0101】
【発明の効果】本発明によれば、製造が容易で、ガスバ
リア性や耐熱性、機械的性質などに優れ、吸水率が低
く、耐屈曲性に優れた安価な、磁性を有する積層フィル
ムおよびその容易な製造方法が提供される。かかる積層
フィルムは磁気テープ、磁気ディスク、フロッピーディ
スク、VTRテープなどの磁気記録媒体に好適に使用で
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA10X AA42X AA43 AA43X AA45X AA47X AA48 AA88 AF08 AF10 AF12 AF17 AF35 AF41 AF45 AH14 BA01 BB06 BC01 4F100 AJ11A AK04J AK25J AK41A AK43A AK53J AK80 AL05A AN02A AN02J AR00B AR00C BA02 BA03 BA06 BA10A BA10B BA10C EH462 EH712 GB41 JA04A JA20A JB06A JD02 JD15 JG06B JG06C JK00 YY00A 5D006 CB01 CB07 CB08 EA01 EA02 FA00

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)液晶ポリエステルを連続相とし
    (B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有す
    る共重合体を分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物
    よりなる層および磁性層を有することを特徴とする積層
    フィルム。
  2. 【請求項2】液晶ポリエステル樹脂組成物が、(A)液
    晶ポリエステル56.0〜99.9重量%、および
    (B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有す
    る共重合体44.0〜0.1重量%を含有する組成物で
    あることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
  3. 【請求項3】液晶ポリエステル樹脂組成物が、(A)液
    晶ポリエステル56.0〜99.9重量%、および
    (B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有す
    る共重合体44.0〜0.1重量%を溶融混練して得ら
    れる組成物であることを特徴とする請求項1記載の積層
    フィルム。
  4. 【請求項4】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
    が、オキサゾリル基、エポキシ基またはアミノ基である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層
    フィルム。
  5. 【請求項5】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
    を有する共重合体(B)が、不飽和カルボン酸グリシジ
    ルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテ
    ル単位を0.1〜30重量%含有する共重合体であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フ
    ィルム。
  6. 【請求項6】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
    を有する共重合体(B)が、エポキシ基を有するゴムで
    あることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の
    積層フィルム。
  7. 【請求項7】液晶ポリエステル(A)が、芳香族ジカル
    ボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸
    とを反応させて得られるものであることを特徴とする請
    求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 【請求項8】液晶ポリエステル(A)が、異種の芳香族
    ヒドロキシカルボン酸の組合せを反応させて得られるも
    のであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記
    載の積層フィルム。
  9. 【請求項9】液晶ポリエステル樹脂組成物よりなる層の
    含水量が0.05重量%以下であることを特徴とする請
    求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルム。
  10. 【請求項10】液晶ポリエステル樹脂組成物の流動開始
    温度(FT1)が、[(A)液晶ポリエステルの流動開
    始温度(FT2)より10℃低い温度]より高いことを
    特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィル
    ム。ここで、流動開始温度とは、毛細管型レオメーター
    で測定され、4℃/分の昇温速度で加熱溶融された樹脂
    を、荷重100kgf/cm2のもとで、内径1mm、
    長さ10mmのノズルから押し出したときに、溶融粘度
    が48000ポイズを示す温度(℃)をいう。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載の積層
    フィルムよりなることを特徴とする磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】請求項1〜10のいずれかに記載の液晶
    ポリエステル樹脂組成物を用いることを特徴とする磁気
    記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】請求項1〜10のいずれかに記載の液晶
    ポリエステル樹脂組成物よりなるフィルムもしくはシー
    トを製造し、その片面もしくは両面に磁性粉塗布もしく
    は金属メッキにより磁性層を製造することを特徴とする
    磁気記録媒体の製造方法。
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