JPH11181116A - 絶縁フィルムおよび該絶縁フィルムよりなるtabテープ用基材フィルム - Google Patents

絶縁フィルムおよび該絶縁フィルムよりなるtabテープ用基材フィルム

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JPH11181116A
JPH11181116A JP35484397A JP35484397A JPH11181116A JP H11181116 A JPH11181116 A JP H11181116A JP 35484397 A JP35484397 A JP 35484397A JP 35484397 A JP35484397 A JP 35484397A JP H11181116 A JPH11181116 A JP H11181116A
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liquid crystal
crystal polyester
insulating film
copolymer
functional group
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JP35484397A
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English (en)
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Motonobu Furuta
元信 古田
Takazou Yamaguchi
登造 山口
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気絶縁性、耐熱性、耐屈曲性などに優れ、
成形加工性が良好であり、吸水率が低くしかも安価な絶
縁フィルム、および該絶縁フィルムよりなるTABテー
プ用基材フィルムを提供すること。 【解決手段】 (A)液晶ポリエステルを連続相とし
(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有す
る共重合体を分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物
よりなる絶縁フィルム、および、少なくとも、(A)液
晶ポリエステルを連続相とし(B)液晶ポリエステルと
反応性を有する官能基を有する共重合体を分散相とする
液晶ポリエステル樹脂組成物よりなる層と、熱可塑性樹
脂(但し、該液晶ポリエステルおよび該液晶ポリエステ
ル樹脂組成物を除く。)よりなる層とを有する積層構造
体から構成される絶縁フィルム、ならびに、該絶縁フィ
ルムよりなるTABテープ用基材フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れた電気絶縁性、
耐熱性、耐屈曲性を有し、成形加工性も良好であり、吸
水率が低くしかも安価な絶縁フィルムおよび該絶縁フィ
ルムよりなるTABテープ用基材フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、市場における電気、電子部品の小
型軽量化、低価格化の要求に伴い、樹脂製絶縁フィルム
が一層幅広く用いられている。一方、従来、樹脂製絶縁
フィルム性能では市場における高性能絶縁フィルムへの
要求に対し、充分には対応できないという問題も生じて
いる。
【0003】例えば、ポリエチレンやポリプロピレンな
どのオレフィン系樹脂は、耐熱性などが低く、ポリ塩化
ビニルあるいはポリ塩化ビニリデンは耐熱性が低く、燃
焼時に有毒ガスを発生するという問題がある。ポリエス
テル、ポリアミドなどは、耐熱性が依然不十分である。
ポリイミドは耐熱性、電気的性質などは優れているが吸
水率が高い、非常に高価であるなどの問題点が市場から
指摘されている。これらの問題点を改良した絶縁フィル
ムは市場から強く要求されていた。
【0004】また、電子、電気工業界においてはLSI
の高集積化による端子数の急激な増大に対応して、従来
のワイヤーボンディング方式から、多ピンの一括ボンデ
ィングが可能で小型薄型パッケージが得られるテープオ
ートメーテッドボンディング(以下TAB)方式が広く
用いられるところとなっている。基本的にTABテープ
は基材フィルムと金属層から構成されるが、その基材フ
ィルムとしては優れた電気絶縁性、耐熱性、耐屈曲性、
ガスバリア性、成形加工性などが要求され、ポリイミド
が一般に用いられている。しかしながら、キャリヤテー
プとしてポリイミドを用いた場合には、高価である、吸
水率が比較的高い、ガスバリア性が不十分であるなどの
問題点が市場から指摘されており、それらが改善された
TABテープ用基材フィルムが市場から強く求められて
いた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる実状に鑑み本発
明が解決しようとする課題は、電気絶縁性、耐熱性、耐
屈曲性などに優れ、成形加工性が良好であり、吸水率が
低くしかも安価な絶縁フィルム、および該絶縁フィルム
よりなるTABテープ用基材フィルムを提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達し
た。即ち本発明は、(A)液晶ポリエステルを連続相と
し(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有
する共重合体を分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成
物よりなる絶縁フィルム、および、少なくとも、(A)
液晶ポリエステルを連続相とし(B)液晶ポリエステル
と反応性を有する官能基を有する共重合体を分散相とす
る液晶ポリエステル樹脂組成物よりなる層と、熱可塑性
樹脂(但し、該液晶ポリエステルおよび該液晶ポリエス
テル樹脂組成物を除く。)よりなる層とを有する積層構
造体から構成される絶縁フィルム、ならびに、該絶縁フ
ィルムよりなるTABテープ用基材フィルムに関するも
のである。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明における液晶ポリエステル樹脂組成物の成分
(A)の液晶ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポ
リマーと呼ばれるポリエステルである。
【0008】具体的には、 (1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸との組み合わせからなるもの。 (2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸の組み合わせ
からなるもの。 (3)芳香族ジカルボン酸と核置換芳香族ジオールとの
組み合わせからなるもの。 (4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
に芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られるも
の。などが挙げられ、400℃以下の温度で異方性溶融
体を形成するものである。なお、これらの芳香族ジカル
ボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシカルボン
酸の代わりに、それらのエステル形成性誘導体が使用さ
れることもある。
【0009】該液晶ポリエステルの繰返し構造単位とし
ては、下記の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し構
造単位、芳香族ジオールに由来する繰返し構造単位、
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し構造単
位を例示することができるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0010】芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し
構造単位:
【0011】
【0012】芳香族ジオールに由来する繰返し構造単
位:
【0013】
【0014】芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する
繰返し構造単位:
【0015】耐熱性、機械的特性、加工性のバランスか
ら特に好ましい液晶ポリエステルは なる繰り返し構造単位を含むものであり、さらに好まし
くはかかる繰り返し構造単位を少なくとも全体の30モ
ル%以上含むものである。具体的には繰り返し構造単位
の組み合わせが下記(I)〜(VI)のいずれかのものが
好ましい。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】該液晶ポリエステル(I)〜(VI)の製法
については、例えば特公昭47−47870号公報、特
公昭63−3888号公報、特公昭63−3891号公
報、特公昭56−18016号公報、特開平2−515
23号公報などに記載されている。これらの中で好まし
くは(I)、(II)または(IV)の組合せであり、さら
に好ましくは(I)または(II)の組み合せが挙げられ
る。
【0023】本発明において、高い耐熱性が要求される
分野には成分(A)の液晶ポリエステルが、下記の繰り
返し単位(a’)が30〜80モル%、繰り返し単位
(b’)が0〜10モル%、繰り返し単位(c’)が1
0〜25モル%、繰り返し単位(d’)が10〜35モ
ル%からなる液晶ポリエステルが好ましく使用される。
【0024】 (式中、Arは2価の芳香族基である。)
【0025】本発明の絶縁フィルムとして、環境問題の
見地から使用後の焼却などの廃棄の容易さが求められる
分野には、ここまで挙げたそれぞれに要求される分野の
好ましい組み合わせの中で特に炭素、水素、酸素のみの
元素からなる組み合わせによる液晶ポリエステルが特に
好ましく使用される。
【0026】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物に用
いられる成分(B)は、液晶ポリエステルと反応性を有
する官能基を有する共重合体である。かかる液晶ポリエ
ステルと反応性を有する官能基としては、液晶ポリエス
テルと反応性を有すれば何でもよく、具体的には、オキ
サゾリル基やエポキシ基、アミノ基等が挙げられる。好
ましくは、エポキシ基である。エポキシ基等は他の官能
基の一部として存在していてもよく、そのような例とし
ては例えばグリシジル基が挙げられる。
【0027】共重合体(B)において、かかる官能基を
共重合体中に導入する方法としては特に限定されるもの
ではなく、周知の方法で行うことができる。例えば共重
合体の合成段階で、該官能基を有する単量体を共重合に
より導入することも可能であるし、共重合体に該官能基
を有する単量体をグラフト共重合することも可能であ
る。
【0028】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有する単量体、中でもグリシジル基を含有する単量体
としては、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび
/または不飽和グリシジルエーテルが好ましく用いられ
る。
【0029】不飽和カルボン酸グリシジルエステルは好
ましくは一般式 (Rはエチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜13の
炭化水素基である。)で表される化合物であり、また不
飽和グリシジルエーテルは好ましくは一般式 (Rはエチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜18の
炭化水素基であり、Xは−CH2−O−または である。)で表される化合物である。
【0030】具体的には、不飽和カルボン酸グリシジル
エステルとしては、例えばグリシジルアクリレート、グ
リシジルメタクリレート、イタコン酸ジグリシジルエス
テル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、
p−スチレンカルボン酸グリシジルエステルなどを挙げ
ることができる。不飽和グリシジルエーテルとしては、
例えばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエ
ーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、メタク
リルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエ
ーテル等が例示される。
【0031】上記の液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基を有する共重合体(B)は、好ましくは、不飽和
カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽
和グリシジルエーテル単位を0.1〜30重量%含有す
る共重合体である。
【0032】また、上記の液晶ポリエステルと反応性を
有する官能基を有する共重合体(B)は、熱可塑性樹脂
であってもゴムであってもよいし、熱可塑性樹脂とゴム
の混合物であってもよい。ゴムを用いると組成物の成形
加工性がより優れ、好ましい。
【0033】さらに好ましくは、上記の液晶ポリエステ
ルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)は、
結晶の融解熱量が3J/g未満の共重合体である。また
共重合体(B)としては、ムーニー粘度が3〜70のも
のが好ましく、3〜30のものがさらに好ましく、4〜
25のものが特に好ましい。ここでいうムーニー粘度
は、JIS K6300に準じて100℃ラージロータ
ーを用いて測定した値をいう。
【0034】ここでいうゴムとは、新版高分子辞典(高
分子学会編、1988年出版、朝倉書店)による室温に
てゴム弾性を有する高分子物質に該当するものであり、
その具体例としては、天然ゴム、ブタジエン重合体、ブ
タジエン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロ
ック共重合体(SEBSゴムまたはSBSゴム等を含
む)、グラフト共重合体などすべて含まれる)又はその
水素添加物、イソプレン重合体、クロロブタジエン重合
体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチ
レン重合体、イソブチレン−ブタジエン共重合体ゴム、
イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリル酸エステ
ル−エチレン系共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共
重合体ゴム、エチレン−ブテン共重合体ゴム、エチレン
−プロピレン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−イソ
プレン共重合体ゴム、スチレン−ブチレン共重合体、ス
チレン−エチレン−プロピレン共重合体ゴム、パーフル
オロゴム、ふっ素ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴ
ム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジ
エン共重合体ゴム、チオールゴム、多硫化ゴム、ポリウ
レタンゴム、ポリエーテルゴム(例えばポリプロピレン
オキシド等)、エピクロルヒドリンゴム、ポリエステル
エラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げられ
る。中でも、アクリル酸エステル−エチレン系共重合体
が好ましく用いられ、(メタ)アクリル酸エステル−エ
チレン系共重合体ゴムがさらに好ましい。
【0035】これらのゴム様物質は、いかなる製造法
(例えば乳化重合法、溶液重合法等)、いかなる触媒
(例えば過酸化物、トリアルキルアルミニウム、ハロゲ
ン化リチウム、ニッケル系触媒等)でつくられたもので
もよい。
【0036】そして本発明においては、共重合体(B)
としてのゴムは上記のようなゴムにおいて、液晶ポリエ
ステルと反応性を有する官能基を有するゴムである。か
かるゴムにおいて、液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基をゴム中に導入する方法としては、特に限定され
るものではなく、周知の方法で行うことができる。例え
ばゴムの合成段階で、該官能基を有する単量体を共重合
により導入することも可能であるし、ゴムに該官能基を
有する単量体をグラフト共重合することも可能である。
【0037】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有する共重合体(B)の具体例として、エポキシ基を
有するゴムとしては、(メタ)アクリル酸エステル−エ
チレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび
/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムを挙
げることができる。
【0038】ここで(メタ)アクリル酸エステルとは、
アクリル酸またはメタクリル酸とアルコールから得られ
るエステルである。アルコールとしては、炭素原子数1
〜8のアルコールが好ましい。(メタ)アクリル酸エス
テルの具体例としては、メチルアクリレート、メチルメ
タクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメ
タクリレート、tert−ブチルアクリレート、ter
t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどを挙げ
ることができる。なお、(メタ)アクリル酸エステルと
しては、その一種を単独で使用してもよく、または二種
以上を併用してもよい。
【0039】好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル
単位が40重量%をこえ97重量%未満、さらに好まし
くは45〜70重量%、エチレン単位が3重量%以上5
0重量%未満、さらに好ましくは10〜49重量%、不
飽和カルボン酸グリシジルエーテル単位および/または
不飽和グリシジルエーテル単位が0.1〜30重量%、
さらに好ましくは0.5〜20重量%である。上記の範
囲外であると、組成物から得られるフィルムやシート等
の成形体の熱安定性や機械的性質が不十分となる場合が
あり好ましくない。
【0040】該共重合体ゴムは、通常の方法、例えばフ
リーラジカル開始剤による塊状重合、乳化重合、溶液重
合などによって製造することができる。なお、代表的な
重合方法は、特公昭46−45085号公報、特公昭6
1−127709号公報などに記載された方法、フリー
ラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力500k
g/cm2以上、温度40〜300℃の条件により製造
することができる。
【0041】本発明の共重合体(B)に使用できるゴム
として他には、液晶ポリエステルと反応性を有する官能
基を有するアクリルゴムや、液晶ポリエステルと反応性
を有する官能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−
共役ジエン化合物ブロック共重合体ゴムも例示すること
ができる。
【0042】ここでいうアクリルゴムとして好ましく
は、一般式(1) (式中、R1は炭素原子数1〜18のアルキル基または
シアノアルキル基を示す。)、一般式(2) (式中、R2は炭素原子数1〜12のアルキレン基、R3
は炭素原子数1〜12のアルキル基を示す。)、および
一般式(3) (式中、R4は水素原子またはメチル基、R5炭素原子数
3〜30のアルキレン基、R6は炭素原子数1〜20の
アルキル基またはその誘導体、nは1〜20の整数を示
す。)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の
単量体を主成分とするものである。
【0043】上記一般式(1)で表されるアクリル酸ア
ルキルエステルの具体例としては、例えばメチルアクリ
レート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、
ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシル
アクリレート、アクチルアクリレート、2−エチルヘキ
シルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリ
レート、ドデシルアクリレート、シアノエチルアクリレ
ートなどを挙げることができる。
【0044】また、上記一般式(2)で表されるアクリ
ル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばメト
キシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレー
ト、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルア
クリレートなどを挙げることができる。これらの1種あ
るいは2種以上を該アクリルゴムの主成分として用いる
ことができる。
【0045】かかるアクリルゴムの構成成分として、必
要に応じて上記の一般式(1)〜(3)で表される化合
物から選ばれる少なくとも一種の単量体と共重合可能な
不飽和単量体を用いることができる。このような不飽和
単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、
アクリロニトリル、ハロゲン化スチレン、メタクリロニ
トリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルナ
フタレン、N−メチロールアクリルアミド、酢酸ビニ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ベンジルアクリレー
ト、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸
などが挙げられる。
【0046】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
を有するアクリルゴムの好ましい構成成分比は、上記の
一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少
なくとも一種の単量体40.0〜99.9重量%、不飽
和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和
グリシジルエーテル0.1〜30.0重量%、上記の一
般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少な
くとも一種の単量体と共重合可能な不飽和単量体0.0
〜30.0重量%である。該アクリルゴムの構成成分比
が上記の範囲内であると、組成物の耐熱性や耐衝撃性、
成形加工性が良好であり好ましい。
【0047】該アクリルゴムの製法は特に限定するもの
ではなく、例えば特開昭59−113010号公報、特
開昭62−64809号公報、特開平3−160008
号公報、あるいはWO95/04764号公開明細書な
どに記載されているような周知の重合法を用いることが
でき、ラジカル開始剤の存在下で乳化重合、懸濁重合、
溶液重合あるいはバルク重合で製造することができる。
【0048】前記液晶ポリエステルと反応性を有する官
能基を有するビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン
化合物ブロック共重合体ゴムとして好ましくは、(a)
ビニル芳香族炭化水素化合物を主体とするシーケンスと
(b)共役ジエン化合物を主体とするシーケンスからな
るブロック共重合体をエポキシ化して得られるゴム、ま
たは該ブロック共重合体の水添物をエポキシ化して得ら
れるゴムである。
【0049】ビニル芳香族炭化水素化合物−共役ジエン
化合物ブロック共重合体あるいはその水添物は、周知の
方法で製造することができ、例えば、特公昭40−23
798号公報、特開昭59−133203号公報等に記
載されている。
【0050】芳香族炭化水素化合物としては、例えば、
スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン
などを挙げることができ、中でもスチレンが好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソ
プレン、ピレリレン、1,3−ペンタジエン、3−ブチ
ル−1,3−オクタジエンなどを挙げることができ、ブ
タジエンまたはイソプレンが好ましい。
【0051】共重合体(B)として用いるゴムとして好
ましくは、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−
(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または
不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムが用いられ
る。
【0052】共重合体(B)として用いるゴムは、必要
に応じて加硫を行い、加硫ゴムとして用いることができ
る。上記の(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−
(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または
不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムの加硫は、多
官能性有機酸、多官能性アミン化合物、イミダゾール化
合物などを用いることで達成されるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0053】また、液晶ポリエステルと反応性を有する
官能基を有する共重合体(B)の具体例として、エポキ
シ基を有する熱可塑性樹脂としては(a)エチレン単位
が50〜99重量%、(b)不飽和カルボン酸グリシジ
ルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテ
ル単位が0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20
重量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位が
0〜50重量%からなるエポキシ基含有エチレン共重合
体を挙げることができる。
【0054】エチレン系不飽和エステル化合物(c)と
しては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル等のカルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カル
ボン酸アルキルエステル等が挙げられる。特に酢酸ビニ
ル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0055】該エポキシ基含有エチレン共重合体の具体
例としては、たとえばエチレン単位とグリシジルメタク
リレート単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシ
ジルメタクリレート単位およびアクリル酸メチル単位か
らなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレ
ート単位およびアクリル酸エチル単位からなる共重合
体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およ
び酢酸ビニル単位からなる共重合体等が挙げられる。
【0056】該エポキシ基含有エチレン共重合体のメル
トインデックス(以下、MFRということがある。JI
S K6760、190℃、2.16kg荷重)は、好
ましくは0.5〜100g/10分、更に好ましくは2
〜50g/10分である。メルトインデックスはこの範
囲外であってもよいが、メルトインデックスが100g
/10分を越えると組成物にした時の機械的物性の点で
好ましくなく、0.5g/10分未満では成分(A)の
液晶ポリエステルとの相溶性が劣り好ましくない。
【0057】また、該エポキシ基含有エチレン共重合体
は、曲げ剛性率が10〜1300kg/cm2の範囲の
ものが好ましく、20〜1100kg/cm2のものが
さらに好ましい。曲げ剛性率がこの範囲外であると組成
物の成形加工性や機械的性質が不十分となる場合があり
好ましくない。
【0058】該エポキシ基含有エチレン共重合体は、通
常不飽和エポキシ化合物とエチレンをラジカル発生剤の
存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適
当な溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下に共重合
させる高圧ラジカル重合法により製造される。また、ポ
リエチレンに不飽和エポキシ化合物およびラジカル発生
剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方
法によっても作られる。
【0059】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、
上記の液晶ポリエステルを含有する樹脂組成物であり、
(A)液晶ポリエステルを連続相とし(B)液晶ポリエ
ステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分散
相とする樹脂組成物である。液晶ポリエステルが連続相
でない場合には、液晶ポリエステル樹脂組成物よりなる
絶縁フィルムのガスバリア性、耐熱性などが著しく低下
する場合があり、好ましくない。
【0060】このような官能基を有する共重合体と液晶
ポリエステルとの樹脂組成物においては、機構の詳細は
不明ではあるが、該組成物の成分(A)と成分(B)と
の間で反応が生起し、成分(A)が連続相を形成すると
ともに成分(B)が微細分散し、そのために該組成物の
成形加工性が向上するものと考えられる。
【0061】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の流
動開始温度(FT1)は、[該組成物の成分(A)の液
晶ポリエステルの流動開始温度(FT2)−10]℃よ
り高いことが好ましい。FT1がFT2より高いことが
より好ましい。FT1が[FT2−10]℃より高いと
該組成物の成形加工性が向上し好ましい。ここで、流動
開始温度とは、島津社製高化式フローテスターCFT−
500型を用いて、4℃/分の昇温速度で加熱された樹
脂を、荷重100kgf/cm2のもとで、内径1m
m、長さ10mmのノズルから押し出すときに、溶融粘
度が48000ポイズを示す温度のことをいう。
【0062】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の一
実施態様は、(A)液晶ポリエステル56.0〜99.
9重量%、好ましくは65.0〜99.9重量%、さら
に好ましくは70〜98重量%、および(B)液晶ポリ
エステルと反応性を有する官能基を有する共重合体4
4.0〜0.1重量%、好ましくは35.0〜0.1重
量%、さらに好ましくは30〜2重量%を含有する樹脂
組成物である。成分(A)が56.0重量%未満である
と該組成物から得られるフィルムまたはシート等の成形
体のガスバリア性、耐熱性が低下する場合があり好まし
くない。また成分(A)が99.9重量%を超えると該
組成物の成形加工性が低下する場合があり、また価格的
にも高価なものとなり好ましくない。
【0063】本発明における液晶ポリエステル樹脂組成
物を製造する方法としては周知の方法を用いることがで
きる。たとえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸
発させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。工
業的見地からみると溶融状態で各成分を混練する方法が
好ましい。溶融混練には一般に使用されている一軸また
は二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いる
ことができる。特に二軸の高混練機が好ましい。溶融混
練に際しては、混練装置のシリンダー設定温度は200
〜360℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは230
〜350℃である。
【0064】混練に際しては、各成分は予めタンブラー
もしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均
一に混合してもよいし、必要な場合には混合を省き、混
練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いること
ができる。
【0065】本発明に使用する液晶ポリエステル樹脂組
成物においては、所望により無機充填剤が用いられる。
このような無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タル
ク、クレー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウ
ム、酸化チタン、アルミナ、石膏、ガラスフレーク、ガ
ラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊
維、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウム繊
維等が例示される。
【0066】本発明に使用する液晶ポリエステル樹脂組
成物に、必要に応じて、さらに、有機充填剤、酸化防止
剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、
防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光
沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤などの各種の添
加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程において、
絶縁フィルムの透明性を著しく損なわない範囲で用いる
ことができる。
【0067】本発明における液晶ポリエステル樹脂組成
物からなる絶縁フィルムの成形方法は特に制限するもの
ではなく、周知の方法で行うことができる。
【0068】該組成物を成膜する方法としては、例え
ば、Tダイから溶融樹脂を押出し巻き取るTダイ法、環
状ダイスを設置した押出し機から溶融樹脂を円筒状に押
出し、冷却し巻き取るインフレーション成膜法によりフ
ィルムまたはシートを得ることもできるし、あるいは射
出成形法や押出し法で得られたシートをさらに一軸延伸
してフィルムまたはシートを得ることもできる。射出成
形、押出成形などの場合にはあらかじめ混練の工程を経
ることなく、成分のペレットを成形時にドライブレンド
して溶融成形して、フィルムまたはシートを得ることも
できる。
【0069】T型ダイ法では、Tダイを通して押出した
溶融樹脂を巻き取り機方向(長手方向)に延伸しながら
巻き取って得られる一軸延伸フィルム、または二軸延伸
フィルムが好ましく用いられる。
【0070】一軸延伸フィルムの成膜時における押出機
の設定条件は組成物の組成に応じて適宜設定できるが、
シリンダー設定温度は200〜360℃の範囲が好まし
く、230〜350℃の範囲がさらに好ましい。この範
囲外であると組成物の熱分解が生じたり、成膜が困難と
なる場合があり好ましくない。
【0071】Tダイのスリット間隔は、0.2〜2.0
mmが好ましく、0.2〜1.2mmがさらに好ましい。
一軸延伸フィルムのドラフト比は、1.1〜40の範囲
のものが好ましく、さらに好ましくは10〜40であ
り、特に好ましくは15〜35である。
【0072】ここでいうドラフト比とは、Tダイスリッ
トの断面積を長手方向に垂直な面のフィルム断面積で除
した値をいう。ドラフト比が1.1未満であるとフィル
ム強度が不十分であり、ドラフト比が45を越すとフィ
ルムの表面平滑性が不十分となる場合があり、好ましく
ない。ドラフト比は押出機の設定条件、巻き取り速度な
どを制御して設定することができる。
【0073】二軸延伸フィルムは、一軸延伸フィルムの
成膜と同様の押出機の設定条件、すなわちシリンダー設
定温度が好ましくは200〜360℃の範囲、さらに好
ましくは230〜350℃の範囲、Tダイのスリット間
隔が好ましくは0.2〜1.2mmの範囲で該組成物の
溶融押出しを行い、Tダイから押出した溶融体シートを
長手方向および長手方向と垂直方向(横手方向)に同時
に延伸する方法、またはTダイから押出した溶融体シー
トをまず長手方向に延伸し、ついでこの延伸シートを同
一工程内で100〜300℃の高温下でテンターより横
手方向に延伸する逐次延伸の方法などにより得られる。
【0074】二軸延伸フィルムを得る際、その延伸比は
長手方向に1.2〜20倍、横手方向に1.2〜20倍
の範囲が好ましい。延伸比が上記の範囲外であると、該
組成物フィルムの強度が不十分となったり、または均一
な厚みのフィルムを得るのが困難となる場合があり好ま
しくない。
【0075】円筒形のダイから押出した溶融体シートを
インフレーション法で成膜して得られる、インフレーシ
ョンフィルムなども好ましく用いられる。
【0076】すなわち、上記の方法により得られた液晶
ポリエステル樹脂組成物は、環状スリットのダイを備え
た溶融混練押出機に供給され、シリンダー設定温度20
0〜360℃、好ましくは230〜350℃で溶融混練
を行って押出機の環状スリットから筒状フィルムは上方
または下方へ溶融樹脂が押出される。環状スリット間隔
は通常0.1〜5mm、好ましくは0.2〜2mm、環
状スリットの直径は通常20〜1000mm、好ましく
は25〜600mmである。
【0077】溶融押出しされた溶融樹脂フィルムに長手
方向(MD)にドラフトをかけるとともに、この筒状フ
ィルムの内側から空気または不活性ガス、例えば窒素ガ
スなどを吹き込むことにより長手方向と直角な横手方向
(TD)にフィルムを膨張延伸させる。
【0078】インフレーション成形(成膜)において、
好ましいブロー比は1.5〜10、好ましいMD延伸倍
率は1.5〜40である。インフレーション成膜時の設
定条件が上記の範囲外であると厚さが均一でしわの無い
高強度の液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムを得るの
が困難となる場合があり好ましくない。
【0079】膨張させたフィルムは、その円周を空冷あ
るいは水冷させた後、ニップロールを通過させて引き取
る。
【0080】インフレーション成膜に際しては液晶ポリ
エステル樹脂組成物の組成に応じて、筒状の溶融体フィ
ルムが均一な厚みで表面平滑な状態に膨張するような条
件を選択することができる。
【0081】フィルムの厚みは好ましくは3〜1000
μm、さらに好ましくは3〜500μmである。
【0082】本発明における絶縁フィルムは、液晶ポリ
エステル樹脂組成物層と液晶ポリエステルあるいは液晶
ポリエステル樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂層との二層
以上の積層構造をとることができる。即ち本発明の絶縁
フィルムとしては、少なくとも、上記の液晶ポリエステ
ル樹脂組成物よりなる層と、熱可塑性樹脂(但し、該液
晶ポリエステルおよび該液晶ポリエステル樹脂組成物を
除く。)よりなる層とを有する積層構造体から構成され
る絶縁フィルムも用いられる。
【0083】ここでいう熱可塑性樹脂としては、例えば
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフ
ィン共重合体のごときポリオレフィン、ポリスチレン、
ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートやポリ
ブチレンテレフタレートのごときポリエステル、ポリア
セタール、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリ
エーテルサルホン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンサ
ルファイド、フッ素樹脂などが挙げられる。これらの中
でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−
オレフィン共重合体、ポリエチレンテレフタレートが好
ましい。熱可塑性樹脂としては1種または2種以上のも
のを混合して用いることができる。また、熱可塑性樹脂
としては、分子鎖に官能基を導入し、変性した熱可塑性
樹脂も用いられる。
【0084】絶縁フィルムにこのような積層構造体を用
いる際には、必要に応じて各層の間にホットメルト接着
剤、ポリウレタン接着剤などを使用して各層間の接着強
度を向上させることも可能である。
【0085】このような積層構造体の形態は特に限定す
るものではなく、液晶ポリエステル樹脂組成物フィルム
を外層とし、他の熱可塑性樹脂フィルムを内容物と接す
る内層として形成してもよいし、液晶ポリエステル樹脂
組成物フィルムを他の熱可塑性樹脂フィルムでサンドイ
ッチ上に挟んで成形してもよい。
【0086】本発明の絶縁フィルムの表面には、必要に
応じて表面処理を施すことができる。このような表面処
理法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、
火炎処理、紫外線処理、赤外線処理、スパッタリング処
理、溶剤処理、研磨処理などが挙げられる。
【0087】本発明において得られた液晶ポリエステル
樹脂組成物からなる絶縁フィルムは産業界で幅広く用い
ることができる。例えば、発電機、高圧交流モーター、
直流モーター、電車モーター、汎用モーターなど各種回
転機における絶縁層として用いることができるし、半導
体における絶縁材にも適用できる。本発明の絶縁フィル
ムは特に、TABテープ用基材フィルムとして好適に用
いられる。
【0088】TABテープは基本的に、上述の方法で得
られた液晶ポリエステル樹脂組成物からなる絶縁フィル
ムに金属層を積層させることにより得られる。ここで、
金属層としては、金属箔、金属粉、金属スパッタ膜など
が用いられる。ここで用いられる金属としては、金、
銀、銅、ニッケル、アルミニウム、クロム、チタニウ
ム、錫、亜鉛または、これらの金属を含有する合金が挙
げられるが、なかでも銅またはアルミニウムが好まし
い。金属箔を使用する場合、金属箔の厚さは1―500
μmの範囲が好ましく、5―200μmの範囲がさらに
好ましい。
【0089】本発明において絶縁フィルムと金属箔と
は、熱圧着により積層することもできるし、各層間に接
着剤層が介在しても良い。必要に応じて得られた積層体
を加熱処理、加圧処理、加熱加圧処理、超音波処理など
を施してもよい。
【0090】本発明におけるTAB用キャリヤテープ
は、液晶ポリエステル樹脂組成物(I)層と金属層(I
I)の二層積層体、(I)層の両側に(II)層が存在す
る三層積層体、などの積層構造をとることができ、必要
に応じて各層間に接着剤層があってもよい。
【0091】本発明において、得られた液晶ポリエステ
ル樹脂組成物からなる絶縁フィルムと金属層などから構
成されるTABテープは通常、さらに、レジストラミ、
現像、エッチング、レジスト除去、メッキなどの工程を
経て実用に供される。得られたTABテープは電卓、時
計、パソコン、ビデオカメラ、メモリカード、携帯電
話、液晶テレビなど各種用途へ幅広く使用することが可
能である。
【0092】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、こ
れらは単なる例示であり、本発明はこれらに限定される
ことはない。
【0093】(1)成分(A)の液晶ポリエステル (i)p−アセトキシ安息香酸8.3kg(60モ
ル)、テレフタル酸2.49kg(15モル)、イソフ
タル酸0.83kg(5モル)および4,4’−ジアセ
トキシジフェニル5.45kg(20.2モル)を櫛型
撹拌翼をもつ重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌
しながら昇温し330℃で1時間重合させた。この間に
副生する酢酸ガスを冷却管で液化し回収、除去しなが
ら、強力な撹拌下で重合させた。その後、系を徐々に冷
却し、200℃で得られたポリマーを系外へ取出した。
この得られたポリマーを細川ミクロン(株)製のハンマ
ーミルで粉砕し、2.5mm以下の粒子とした。これを
更にロータリーキルン中で窒素ガス雰囲気下に280℃
で3時間処理することによって、流動温度が324℃の
粒子状の下記の繰り返し構造単位からなる全芳香族ポリ
エステルを得た。ここで、流動温度とは、島津社製高化
式フローテスターCFT−500型を用いて、4℃/分
の昇温速度で加熱された樹脂を、荷重100kgf/c
2のもとで、内径1mm、長さ10mmのノズルから
押し出すときに、溶融粘度が48000ポイズを示す温
度のことをいう。以下該液晶ポリエステルをA−1と略
記する。このポリマーは加圧下で340℃以上で光学異
方性を示した。液晶ポリエステルA−1の繰り返し構造
単位は、次の通りである。
【0094】
【0095】(ii)p−ヒドロキシ安息香酸16.6k
g(12.1モル)と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
8.4kg(45モル)および無水酢酸18.6kg
(182モル)を櫛型撹拌翼付きの重合槽に仕込み、窒
素ガス雰囲気下で攪拌しながら昇温し、320℃で1時
間、そしてさらに2.0torrの減圧下に320℃で
1時間重合させた。この間に、副生する酢酸を系外へ留
出し続けた。その後、系を除々に冷却し、180℃で得
られたポリマーを系外へ取出した。この得られたポリマ
ーを前記の(A−1)と同様に粉砕したあと、ロータリ
ーキルン中で窒素ガス雰囲気下に240℃で5時間処理
することによって、流動温度が270℃の粒子状の下記
の繰り返し単位からなる全芳香族ポリエステルを得た。
以下該液晶ポリエステルをA−2と略記する。このポリ
マーは加圧下で280℃以上で光学異方性を示した。液
晶ポリエステルA−2の繰り返し構造単位の比率は次の
通りである。
【0096】
【0097】(2)成分(B)の共重合体 (i)特開昭61―127709号公報の実施例5に記
載の方法に準じて、MA/E/GMA=59.0/3
8.7/2.3(重量比)、ムーニー粘度=15の共重
合体ゴムを得た。以下該共重合体ゴムを、B―1と略称
することがある。
【0098】(ii)特開昭61−127709号公報の
実施例5に記載に方法に準じて、MA/E/GMA=5
6.0/40.7/3.3(重量比)、ムーニー粘度=
12の共重合体ゴムを得た。以下該ゴムをB−2と略称
することがある。
【0099】ここで、Eはエチレン、MAはアクリル酸
メチル、GMAはグリシジルメタクリレートをそれぞれ
示す。またムーニー粘度は、JIS K6300に準じ
て100℃、ラージローターを用いて測定した値であ
る。
【0100】(ii)(株)日本触媒製、アクリロニトリル
/2−イソプロペニル−オキサゾリン/スチレン共重合
体、エポクロス RAS1005以下、該共重合体をB
−2と略称することがある。
【0101】(3)物性の測定法 (i)酸素ガス透過率:JIS K7126 A法(差
圧法)に準拠して温度20℃の条件で測定した。単位は
cc/m2・24hr・1atmである。
【0102】(ii)水蒸気透過率:JIS Z0208
(カップ法)に準拠して温度40℃、相対湿度90%の
条件で測定した。単位はg/m2・24hr・1atm
である。なお酸素ガス透過率と水蒸気透過率は膜厚みを
25μmに換算して求めた。
【0103】(iii)耐屈曲性:液晶ポリエステル樹脂組
成物層のMD方向、TD方向に積層材料を切り出し、そ
れぞれについて東洋精機(株)製MIT屈曲試験機 F
olding Endurance Tester M
IT−D型を使用し、JIS−p−8115に基づいて
荷重1Kgf、折り曲げ角 135度、折り曲げ面曲率
半径 1mm、折り曲げ速度175回/minで屈曲試
験を行い、フィルム、シートが破断するまでの屈曲回数
を求めた。
【0104】(iv)吸水率:ASTM D570に基づ
き、23℃、24hr後でのフィルム中の吸水率を求め
た。
【0105】(v)体積固有抵抗:ASTM D257
に基づき、測定温度23℃、印加電圧 100V×1m
in で測定した。
【0106】(vi)表面抵抗:ASTM D257に基
づき、測定温度23℃、印加電圧100V×1min
で測定した。
【0107】(vii)誘電率、誘電正接:ASTM D1
50に基づき、測定温度23℃、周波数 1KHzで測
定した。
【0108】(viii)フィルム外観:フィルム外観は以
下の基準に基づいて評価した。 ○:フィルムに厚みむら、皺などがほとんど認められな
い。 ×:フィルムに厚みむら、皺などが認められる。
【0109】(ix)層間剥離強度:JPCA規格に基づ
く180度方向引きはがし法(A法)により、速度50
m/minで積層材料の層間剥離強度を測定した。
【0110】実施例1 A−1 80重量%、およびB−1 20重量%を、日
本製鋼(株)製 TEX−30型二軸押出機を用い、シ
リンダー設定温度350℃、スクリュー回転数200r
pmで溶融混練を行って組成物を得た。得られた組成物
の流動開始温度は325℃であった。この組成物のペレ
ットを円筒ダイを備えた60mm径の単軸押出し機に供
給し、シリンダー設定温度350℃、スクリュー回転数
90rpmで溶融押出しして、ダイ径50mm、リップ
間隔1.5mm、ダイ設定温度350℃の円筒ダイから
溶融樹脂を上方へ押出し、この筒状フィルムの中空部へ
乾燥空気を圧入してブロー比 2.6として筒状フィル
ムを膨張させ、次に冷却させたのち、ニップロールに通
して巻き取り速度16m/minで巻き取った(MD延
伸倍率3.6)。得られたフィルムの厚みは36μmで
あった。フィルムの外観は○であった。得られたフィル
ムの屈曲試験結果は10万回以上であった。酸素透過度
は0.3cc/m2・atm・24h、水蒸気透過率度
は0.3g/m2・atm・24hであった。また吸水
率は0.04%、体積固有抵抗は3.6×1015Ωc
m,表面固有抵抗は5.1×1013Ωcm、周波数1K
Hzでの誘電率は4.3ε、誘電正接は0.019であ
った。
【0111】実施例2、3 表1に示す配合比で、日本製鋼(株)製TEX−30型
二軸押出機を用い、表1に示す条件で溶融混練を行って
組成物を得た。この組成物のペレットを円筒ダイを備え
た60mmφの単軸押出機を用いて表2に示す条件で溶
融押出しして、直径50mm、リップ間隔1.0mm、
ダイ設定温度348℃の円筒ダイから上方へ溶融樹脂を
押出し、この筒状フィルムの中空部へ乾燥空気を圧入し
て筒状フィルムを膨張させ、次に冷却させたのちニップ
ロールに通して引取速度23m/minで引取り、液晶
ポリエステル樹脂組成物フィルムを得た。この際のフィ
ルムMD方向の延伸倍率、ブロー比は表2に示すとおり
である。得られたフィルム上に東洋モートン(株)製二
液反応型接着剤AD−503を塗布、乾燥したのち塗布
面に厚さ18μmの電解銅箔を重ね熱圧着して積層材料
を得た。該積層材料の物性は表3に示す通りである。
【0112】比較例1 上記組成物の代わりに液晶ポリエステルA−1のみを用
いた他は実施例2、3の場合と同様にして成膜を試みた
がフィルムは得られなかった(表1〜2)。
【0113】実施例4 成分配合比、溶融混練条件を表1に示す条件とした外は
実施例2、3と同様にして溶融混練を行ったのち、イン
フレーション成膜条件を表2に示す通りとしたほかは、
実施例2、3と同様にしてインフレーション成膜を行い
フィルムを得た。得られたフィルムに住友化学工業
(株)製接着フィルム、7B−402(厚さ50μm)
を重ね、さらに該接着フィルム上に厚さ18μmの圧延
銅を重ねたのち熱ロールに通して積層材料を得た。得ら
れた積層材料の物性は表3に示す通りであった。
【0114】比較例2 成分配合比を表1に示す通りにした外は実施例4と同様
にして溶融混練、インフレーション成膜を試みたが良好
なフィルムは得られなかった。
【0115】
【表1】 *1:日本ユニカー(株)製EVAポリマーNUC-3808(エチレン
/酢酸ヒ゛ニル=94/6重量比の共重合体、MFR(190℃、
2.16kg荷重)=8g/10min、剛性率=750kg/cm2)
【0116】
【表2】
【0117】
【表3】
【0118】
【発明の効果】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物よ
りなる絶縁フィルムは、電気絶縁性に優れ、耐熱性、ガ
スバリア性、耐屈曲性などが良好であり、しかも安価な
ものであることから、発電機、高圧交流モーター、直流
モーター、電車モーター、汎用モーターなど各種回転機
における絶縁層として用いることができる。また、該フ
ィルムを基材フィルムとして用いることにより、電気絶
縁性に優れ安価なTABテープを得ることができる。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)液晶ポリエステルを連続相とし
    (B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有す
    る共重合体を分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物
    よりなることを特徴とする絶縁フィルム。
  2. 【請求項2】少なくとも、(A)液晶ポリエステルを連
    続相とし(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能
    基を有する共重合体を分散相とする液晶ポリエステル樹
    脂組成物よりなる層と、熱可塑性樹脂(但し、該液晶ポ
    リエステルおよび該液晶ポリエステル樹脂組成物を除
    く。)よりなる層とを有する積層構造体から構成される
    ことを特徴とする絶縁フィルム。
  3. 【請求項3】液晶ポリエステル樹脂組成物が、(A)液
    晶ポリエステル56.0〜99.9重量%、および
    (B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有す
    る共重合体44.0〜0.1重量%を含有する組成物で
    あることを特徴とする請求項1または2記載の絶縁フィ
    ルム。
  4. 【請求項4】液晶ポリエステル樹脂組成物が、(A)液
    晶ポリエステル56.0〜99.9重量%、および
    (B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有す
    る共重合体44.0〜0.1重量%を溶融混練して得ら
    れる組成物であることを特徴とする請求項1または2記
    載の絶縁フィルム。
  5. 【請求項5】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
    が、オキサゾリル基、エポキシ基またはアミノ基である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の絶縁
    フィルム。
  6. 【請求項6】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
    が、エポキシ基であることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれかに記載の絶縁フィルム。
  7. 【請求項7】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
    を有する共重合体(B)が、不飽和カルボン酸グリシジ
    ルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテ
    ル単位を0.1〜30重量%含有する共重合体であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の絶縁フ
    ィルム。
  8. 【請求項8】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
    を有する共重合体(B)が、結晶の融解熱量が3J/g
    未満の共重合体であることを特徴とする請求項1〜7の
    いずれかに記載の絶縁フィルム。
  9. 【請求項9】液晶ポリエステルと反応性を有する官能基
    を有する共重合体(B)のムーニー粘度が、3〜70の
    範囲であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに
    記載の絶縁フィルム。ここでいうムーニー粘度は、JI
    S K6300に準じて100℃でラージロータを用い
    て測定した値をいう。
  10. 【請求項10】液晶ポリエステルと反応性を有する官能
    基を有する共重合体(B)が、エポキシ基を有するゴム
    であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載
    の絶縁フィルム。
  11. 【請求項11】エポキシ基を有するゴムが、(メタ)ア
    クリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリ
    シジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテ
    ル)共重合体ゴムからなることを特徴とする請求項10
    記載の絶縁フィルム。
  12. 【請求項12】エポキシ基を有するゴムが、(メタ)ア
    クリル酸エステル単位が40重量%をこえ97重量%未
    満、エチレン単位が3重量%以上50重量%未満、不飽
    和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不
    飽和グリシジルエーテル単位が0.1〜30重量%より
    なる共重合体であることを特徴とする請求項10記載の
    絶縁フィルム。
  13. 【請求項13】(メタ)アクリル酸エステルが、メチル
    アクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアク
    リレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチ
    ルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2
    −エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメ
    タクリレートから選ばれる少なくとも1種を含むもので
    あることを特徴とする請求項11または12記載の絶縁
    フィルム。
  14. 【請求項14】液晶ポリエステル(A)が、下記の繰り
    返し構造単位を少なくとも全体の30モル%含むもので
    あることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載
    の絶縁フィルム。
  15. 【請求項15】液晶ポリエステル(A)が、芳香族ジカ
    ルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン
    酸とを反応させて得られるものであることを特徴とする
    請求項1〜13のいずれかに記載の絶縁フィルム。
  16. 【請求項16】液晶ポリエステル(A)が、異種の芳香
    族ヒドロキシカルボン酸の組合せを反応させて得られる
    ものであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか
    に記載の絶縁フィルム。
  17. 【請求項17】請求項1〜16のいずれかに記載の絶縁
    フィルムよりなることを特徴とするTABテープ用基材
    フィルム。
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