JP3949215B2 - 積層体、積層体の製造方法および多層基板 - Google Patents

積層体、積層体の製造方法および多層基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層と繊維材料の層からなる積層体、さらには金属箔、液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層および繊維材料の層からなる積層体に関するものであり、耐熱性に優れ、比誘電率、誘電正接、吸水率が小さく、しかも安価な電気、電子部品、回路、多層基板などへ用いられる積層体およびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気、電子産業においては、繊維材料とエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂およびポリイミドフィルムとの積層体、さらには金属箔、熱硬化性樹脂、ポリイミドフィルムおよび繊維材料との積層体は、多層基板、TAB用テープなどに幅広く用いられている。
【0003】
しかしながら、硝子繊維織物にエポキシ樹脂を含侵し、それとポリイミド樹脂層および金属箔からなる積層体は、多層基板として広く産業界で用いられているが、該基板はエポキシ樹脂の誘電率も高く製造工程が複雑であるため、非常に高価であるという問題があった。
例えば、特開昭62−11289号公報には、硝子繊維の代わりにアラミド繊維を使用した技術が開示されているが、この場合にはアラミド繊維の誘電率が高く、また吸水性があるという問題があった。
米国特許第4975312号明細書には、二軸配向した液晶ポリマーフィルム、硝子繊維、エポキシ補強材からなる積層体を用いた多層基板が開示されているが、該液晶ポリマーフィルムは薄肉化できず、物性的にも不十分なものであった。
特開平2−175731号公報には、低比誘電率のエポキシ樹脂を硝子繊維に含侵し、多層基板に適用する方法が開示されているが、その効果は十分ではなかった。
特開昭62−283694号公報、特開平8−157621号公報などには、テフロンの多孔質シートに熱硬化性樹脂を含侵してプリプレグとして使用する方法が開示されているが、非常に高価であったり、あるいは物性が不十分なものであった。
耐熱性に優れ、比誘電率、誘電正接、吸水率が小さく、しかも安価な積層体は市場から強く要望されるところであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱性に優れ、比誘電率、誘電正接、吸水率が小さく、外観も良好で、しかも安価な積層体、それを使用する多層基板およびその製法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、本発明に到達した。即ち本発明は、(A)液晶ポリエステルを連続相とし(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層と、有機繊維材料および/または無機繊維材料を含有する繊維材料の層を有する積層体、及び金属箔、(A)液晶ポリエステルを連続相とし(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層、並びに有機繊維材料および/または無機繊維材料を含有する繊維材料の層からなる積層体にかかるものである。さらには、各層を重ね合わせ、熱圧着する該積層体の製造方法、及び該積層体よりなる多層基板にかかるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を詳細に説明する。
本発明における液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層に用いられる液晶ポリエステル(A)は、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルである。
具体的には、
【0007】
(1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わせからなるもの、
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸の組み合わせからなるもの、
(3)芳香族ジカルボン酸と核置換芳香族ジオールとの組み合わせからなるもの、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られるもの、
【0008】
などが挙げられ、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。なお、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよび芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、それらのエステル形成性誘導体が使用されることもある。該液晶ポリエステルの繰返し構造単位としては下記のものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
Figure 0003949215
【0010】
Figure 0003949215
【0011】
芳香族ジオールに由来する繰返し構造単位:
Figure 0003949215
【0012】
Figure 0003949215
【0013】
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し構造単位:
Figure 0003949215
【0014】
耐熱性、機械的特性、加工性のバランスから特に好ましい液晶ポリエステルは
Figure 0003949215
なる繰り返し構造単位を、好ましくは30モル%以上、含むものであり、具体的には繰り返し構造単位の組み合わせが下記(I)〜(VI)のものである。
【0015】
Figure 0003949215
【0016】
Figure 0003949215
【0017】
Figure 0003949215
【0018】
Figure 0003949215
【0019】
Figure 0003949215
【0020】
Figure 0003949215
【0021】
該液晶ポリエステル(I)〜(VI)の製法については、例えば特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報、特公昭63−3891号公報、特公昭56−18016号公報、特公平2−51523号公報などに記載されている。これらの中で好ましくは(I)、(II)、(IV)の組合せであり、さらに好ましくは(I)、(II)の組み合せである。
【0022】
本発明における液晶ポリエステル樹脂組成物において、高い耐熱性が要求される分野には成分(A)の液晶ポリエステルが、下記の繰り返し単位(a’)が30〜80モル%、繰り返し単位(b’)が0〜10モル%、繰り返し単位(c’)が10〜25モル%、繰り返し単位(d’)が10〜35モル%からなる液晶ポリエステルが好ましく使用される。
【0023】
Figure 0003949215
(式中、Arは2価の芳香族基である。)
【0024】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層に用いられる成分(B)は、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体である。かかる液晶ポリエステルと反応性を有する官能基としては、液晶ポリエステルと反応性を有すれば何でもよく、具体的には、オキサゾリル基やエポキシ基、アミノ基等が挙げられる。好ましくは、エポキシ基である。
エポキシ基は他の官能基の一部として存在していてもよく、そのような例としては例えばグリシジル基が挙げられる。
【0025】
エポキシ基を有する単量体、中でもグリシジル基を含有する単量体としては、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテルが好ましく用いられる。
【0026】
不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位は、一般式
Figure 0003949215
(Rはエチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜13の炭化水素基である。)
【0027】
で表され、不飽和グリシジルエーテル単位を与える化合物は、一般式
Figure 0003949215
(Rはエチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜18の炭化水素基であり、Xは−CH2 −O−または
Figure 0003949215
である。)
で表される。
【0028】
具体的には、不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸グリシジルエステルなどを挙げることができる。
不飽和グリシジルエーテルとしては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0029】
上記の液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)は、好ましくは、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位を0.1〜30重量%含有する共重合体である。
【0030】
また、上記の液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)は、熱可塑性樹脂であってもゴムであってもよいし、熱可塑性樹脂とゴムの混合物であってもよい。結晶性の小さいゴムがより好ましい。
【0031】
好ましくは、上記の液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)は、結晶の融解熱量が3J/g未満の共重合体である。
また本発明の共重合体(B)としては、ムーニー粘度が3〜70のものが好ましく、3〜30のものがさらに好ましく、4〜25のものが特に好ましい。
ここでいうムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃ラージローターを用いて測定した値をいう。
【0032】
ここでいうゴムとは、新版高分子辞典(高分子学会編、1988年出版、朝倉書店)による室温にてゴム弾性を有する高分子物質に該当するものであり、その具体例としては、天然ゴム、ブタジエン重合体、ブタジエン−スチレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体(SEBSゴムまたはSBSゴム等を含む)、グラフト共重合体などすべて含まれる)又はその水素添加物、イソプレン重合体、クロロブタジエン重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン重合体、イソブチレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル−エチレン系共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−ブテン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−ブチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体ゴム、パーフルオロゴム、ふっ素ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、チオールゴム、多硫化ゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム(例えばポリプロピレンオキシド等)、エピクロルヒドリンゴム、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げられる。中でも、アクリル酸エステル−エチレン系共重合体が好ましく用いられ、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン系共重合体ゴムがさらに好ましい。
【0033】
これらのゴム様物質は、いかなる製造法(例えば乳化重合法、溶液重合法等)、いかなる触媒(例えば過酸化物、トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化リチウム、ニッケル系触媒等)でつくられたものでもよい。
【0034】
そして本発明においては、共重合体(B)としてのゴムは上記のようなゴムにおいて、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有するゴムである。
かかるゴムにおいて、液晶ポリエステルと反応性を有する官能基をゴム中に導入する方法としては、特に限定されるものではなく、周知の方法で行うことができる。例えばゴムの合成段階で、該官能基を有するモノマーを共重合により導入することも可能であるし、ゴムに該官能基を有するモノマーをグラフト共重合することも可能である。
【0035】
液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体(B)の具体例として、エポキシ基を有する共重合体ゴムとしては、(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムを挙げることができる。
【0036】
好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル単位が40重量%をこえ97重量%未満、さらに好ましくは45〜70重量%、エチレン単位が3重量%以上50重量%未満、さらに好ましくは10〜49重量%、不飽和カルボン酸グリシジルエーテル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位が0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%である。
【0037】
かかる共重合体ゴムの(メタ)アクリル酸エステルが40重量%以下であるとゴム弾性が低下し、該組成物の耐衝撃性改良の効果が小さくなり、また(メタ)アクリル酸エステルが97重量%以上であると、該共重合耐ゴムの脆化点が高くなり、該組成物の低温での機械的性質が低下する場合があり好ましくない。
また、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテルが0.1重量%未満であると、液晶ポリエステル樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、30重量%を超えると該組成物の剛性が低下する場合があり好ましくない。
【0038】
ここで(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸またはメタクリル酸とアルコールから得られるエステルである。アルコールとしては、炭素原子数1〜8のアルコールが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどを挙げることができる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとしては、その一種を単独で使用してもよく、または二種以上を併用してもよい。
【0039】
該共重合体ゴムは、通常の方法、例えばフリーラジカル開始剤による塊状重合、乳化重合、溶液重合などによって製造することができる。なお、代表的な重合方法は、特公昭46−45085号公報、特公昭61−127709号公報などに記載された方法、フリーラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力500kg/cm2 以上、温度40〜300℃の条件により製造することができる。
【0040】
共重合体(B)として用いるゴムは、必要に応じて加硫を行い、加硫ゴムとして用いることができる。
上記の(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−(不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/または不飽和グリシジルエーテル)共重合体ゴムの加硫は、多官能性有機酸、多官能性アミン化合物、イミダゾール化合物などを用いることで達成されるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
また、共重合体(B)の具体例として、エポキシ基を有する熱可塑性樹脂としては(a)エチレン単位が50〜99重量%、(b)不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位が0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、(c)エチレン系不飽和エステル化合物単位が0〜50重量%からなるエポキシ基含有エチレン共重合体を挙げることができる。
【0042】
エチレン系不飽和エステル化合物(c)としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のカルボン酸ビニルエステル、α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル等が挙げられる。特に酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0043】
該エポキシ基含有エチレン共重合体の具体例としては、たとえばエチレン単位とグリシジルメタクリレート単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびアクリル酸メチル単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびアクリル酸エチル単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位および酢酸ビニル単位からなる共重合体等が挙げられる。
【0044】
該エポキシ基含有エチレン共重合体のメルトインデックス(以下、MFRということがある。JIS K6760、190℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.5〜100g/10分、更に好ましくは2〜50g/10分である。メルトインデックスはこの範囲外であってもよいが、メルトインデックスが100g/10分を越えると組成物にした時の機械的物性の点で好ましくなく、0.5g/10分未満では成分(A)の液晶ポリエステルとの相溶性が劣り好ましくない。
【0045】
また、該エポキシ基含有エチレン共重合体は、曲げ剛性率が10〜1300kg/cm2 の範囲のものが好ましく、20〜1100kg/cm2 のものがさらに好ましい。
曲げ剛性率がこの範囲外であると組成物の成形加工性や機械的性質が不十分となる場合があり好ましくない。
【0046】
該エポキシ基含有エチレン共重合体は、通常不飽和エポキシ化合物とエチレンをラジカル発生剤の存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適当な溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下に共重合させる高圧ラジカル重合法により製造される。また、ポリエチレンに不飽和エポキシ化合物およびラジカル発生剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方法によっても作られる。
【0047】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層に用いられる液晶ポリエステル樹脂組成物は、上記の液晶ポリエステルを含有する樹脂組成物であり、(A)液晶ポリエステルを連続相とし、(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体を分散相とする樹脂組成物である。
液晶ポリエステルが連続相でない場合、積層体の耐熱性、強度、吸水率や比誘電率などが不十分となる場合があり、好ましくない。
【0048】
このような官能基を有する共重合体と液晶ポリエステルとの樹脂組成物においては、機構の詳細は不明ではあるが、該組成物の成分(A)と成分(B)との間で反応が生起し、そのために該組成物の成形性が向上するものと考えられる。
【0049】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層に用いられる液晶ポリエステル樹脂組成物の一実施態様は、(A)液晶ポリエステル56.0〜99.9重量%、好ましくは65.0〜99.9重量%、さらに好ましくは70〜98重量%、および(B)液晶ポリエステルと反応性を有する官能基を有する共重合体44.0〜0.1重量%、好ましくは35.0〜0.1重量%、さらに好ましくは30〜2重量%を含有する樹脂組成物である。
成分(A)が56.0重量%未満であると該組成物の耐熱性が低下し、またフィルムにした際のガスバリア性も低下するため好ましくない。また成分(A)が99.9重量%を超えると該組成物の成膜性の改良効果が充分でない場合があり、価格的にも高価なものとなり好ましくない。
【0050】
本発明における液晶ポリエステル樹脂組成物を製造する方法に特に制限はなく、周知の方法を用いることができる。たとえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸発させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。工業的見地からみると溶融状態で各成分を混練する方法が好ましい。溶融混練には一般に使用されている一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることができる。特に二軸の高混練機が好ましい。
溶融混練に際しては、混練装置のシリンダー設定温度は200〜360℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは230〜350℃である。
【0051】
混練に際しては、各成分は予めタンブラーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均一に混合してもよいし、必要な場合には混合を省き、混練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いることができる。
【0052】
本発明に使用する液晶ポリエステル樹脂組成物においては、所望により無機充填剤が用いられる。このような無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ、石膏、ガラスフレーク、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウム繊維等が例示される。
【0053】
本発明に使用する液晶ポリエステル樹脂組成物に、必要に応じて、さらに、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機または有機系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤などの各種の添加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程において添加することができる。
【0054】
液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムもしくはシートを製造するには、上記の方法で得られた液晶ポリエステル樹脂組成物を押出機で溶融混練し、口金(ダイ)を通して押出した溶融樹脂を引き取ることによって得ることができる、予め混練の過程を経ず、成形時に各成分をドライブレンドして溶融加工操作中に混練して樹脂組成物とし、直接成形加工品を得ることもできる。口金(ダイ)は、通常Tダイ(以下、Tダイということがある)あるいは環状スリットのダイを用いることができる。
【0055】
Tダイを用いたフィルム(シート)成形の場合、押出機によって溶融混練された液晶ポリエステル樹脂組成物は、通常下向きのTダイを通してシート状の溶融体となり、次に圧着ロールを通して長手方向に引取り装置で巻き取られる。
【0056】
このような成膜時における押出機の設定条件は、組成物の組成物に応じて適宜選ばれるが、押出機のシリンダーの設定温度は200〜360℃の範囲が好ましく,230〜350℃の範囲がさらに好ましい。この範囲外であると、組成物の熱分解が生じたり、成膜が困難となる場合があり好ましくない。
【0057】
Tダイ法における液晶ポリエステル樹脂組成物フィルム(シート)の厚みは1〜1000μmの範囲で制御可能であるが、5〜100μmのものが実用上多く用いられ好ましい。本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムのドラフト比は1.1〜40.0の範囲のものである。
【0058】
また、Tダイから押出された外樹脂組成物の二軸延伸フィルムも得ることができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムの製造における二軸延伸の方法に特に制限はないが、具体的には押出機のTダイから押し出した本発明の組成物の溶融物をMD方向(長手方向)に一軸延伸し、それからTD方向(横手方向)に延伸する逐次延伸、Tダイから押出したシートをMD、TD方向同時に延伸する同時延伸、さらにはTダイから押出した未延伸シートを二軸延伸機、テンター等により逐次、または、同時延伸するなどの二軸延伸の方法も挙げられる。
【0059】
どの方法による場合でも、成膜温度は本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の流動開始温度マイナス60℃以上、流動開始温度プラス60℃以下の温度範囲が好ましいが、流動開始温度以上、流動開始温度プラス30℃以下の温度範囲で成膜加工されることがさらに好ましい。
【0060】
また、Tダイのスリット間隔は、0.2mm〜1.5mmが好ましい。延伸倍率は、成形法により適当な値が決められるが、たとえば、二軸延伸機で延伸する場合、延伸倍率を(延伸後の長さ/元の長さ)で定義すると、MD延伸方向、TD方向のそれぞれの方向の延伸倍率は1.2〜20.0、好ましくは1.5〜5.0が用いられる。延伸倍率が1.2より小さいと引張物性が低下する場合があり、20.0より大きいとフィルムの平滑性が不十分な場合がある。
【0061】
環状スリットのダイを使用するインフレーション成形(成膜)の場合、得られた液晶ポリエステル樹脂組成物は、環状スリットのダイを備えた溶融混練押出機に供給され、シリンダー設定温度200〜360℃、好ましくは230〜350℃で溶融混練を行って押出機の環状スリットから筒状フィルムは上方または下方へ溶融樹脂が押し出される。環状スリット間隔は通常0.1〜5mm、好ましくは0.2〜2mm、環状スリットの直径は通常20〜1000mm、好ましくは25〜600mmである。
【0062】
溶融押出された筒状の溶融樹脂フィルムに、長手方向(MD)にドラフトをかけると共に、この筒状フィルムの内側から空気または不活性ガス、例えば窒素ガス等を吹き込むにより長手方向と直角な横手方向(TD)にフィルムを膨張延伸させることができる。
本発明における液晶ポリエステル樹脂組成物のインフレーション成膜において、好ましいブロー比は1.5〜10、好ましいMD延伸倍率は1.5〜40である。
インフレーション成膜時の設定条件が上記の範囲外であると厚さが均一でしわのない高強度の液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムを得るのが困難となり好ましくない。
膨張させたフィルムは、その円周を空冷、あるいは水冷させたのち、ニップロールを通過させて引き取る。
【0063】
インフレーション成膜に際しては液晶ポリエステル樹脂組成物の組成に応じて、筒状の溶融体フィルムが均一な厚みで表面平滑な状態に膨張するような条件を選択することができる。
【0064】
インフレーション成膜における液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムの膜厚は5〜1000μmの範囲で制御可能であるが、実用上5〜100μmのものが多く用いられる。
【0065】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物から得られるフィルムには、必要に応じて表面処理を施すことができる。このような表面処理法としては、例えばコロナ放電処理、火炎処理、スパッタリング処理、溶剤処理等が挙げられる。
【0066】
本発明における繊維材料は、通常、積層体の強度を補強する役割を有し、無機繊維材料や有機繊維材料を用いることができる。
本発明における繊維材料の層の厚みは通常、5〜1000μmであり、好ましくは10〜500μmである。
【0067】
無機繊維材料の具体例としては、硝子繊維、石英繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、ステンレス繊維、チタン繊維、ボロン繊維などが挙げられ、これらの混合物も使用可能であるが、中でも強度があり安価である硝子繊維が好ましい。
有機繊維材料の具体例としては、アラミド繊維、ポリアミド繊維、液晶ポリエステル繊維などであり、これらの混合物も用いることができる。
本発明においては、軽量の積層体を得るためには、弾性率の高い有機繊維材料が好ましく用いられる。
【0068】
また、該有機繊維材料と、後述する熱硬化性樹脂との接着性を向上させるため、該有機繊維材料に表面処理を施すことができる。
かかる表面処理の例としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理あるいは溶剤処理などが挙げられる。
【0069】
繊維材料は、取り扱い上の観点から織物、不織布などの形態で使用されるのが好ましく、織物の形態がさらに好ましい。
【0070】
本発明においては、かかる繊維材料をそのまま構成成分としても使用することができるが、かかる繊維材料に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂を含侵してプリプレグとし使用することもできる。
【0071】
これらの中では機械的性質、耐熱性などに優れ、しかも安価であるという観点からはエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
ここでいうエポキシ樹脂は、周知のものを用いることができ、二官能エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、フェノールノボラックのグリシジルエーエル、クレゾールノボラックのグリシジルエーテル、マレイミド樹脂、シアネート樹脂などを挙げることができる。
【0072】
本発明において、繊維材料を熱硬化性樹脂に含浸し、プリプレグを製造する方法は公知の方法でよく、熱硬化性樹脂を溶媒に溶解して繊維材料に含浸、乾燥させる方法、無溶媒で熱硬化性樹脂を加熱、加圧下、繊維材料に含浸させる方法などが挙げられる。熱硬化性樹脂と繊維材料の割合は、繊維材料が10〜90重量%であるのが好ましい。
【0073】
本発明の積層体は、上記の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層と、有機繊維材料および/または無機繊維材料を含有する繊維材料の層を有する積層体である。
【0074】
本発明においては、液晶ポリエステル樹脂組成物からなるフィルムもしくはシートをあらかじめ製造し、該フィルムもしくはシートと繊維材料とを加熱、加圧して積層体を形成することができる。
【0075】
本発明において、上述の方法で得られた液晶ポリエステル樹脂組成物からなるフィルムと繊維材料の層とを加熱、加圧する条件は、特に制限するものではなく、該フィルムと繊維材料の層の性状に応じて適宜条件を選択することができる。
【0076】
本発明における液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層と繊維材料の層との積層体を得るには、繊維材料層上に、Tダイから液晶ポリエステル樹脂組成物を溶融押出しし、次にロールなどでそれらを圧着する方法も用いることができる。液晶ポリエステル樹脂組成物をTダイから溶融押出しするには、上述のTダイ法と同様の条件で行うことができる。
【0077】
本発明に用いられる金属箔としては、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、ステンレス鋼、ニッケル、マグネシウム、真鍮、亜鉛、ゲラファイトあるいはニッケル/クロルの如き金属合金、金属混合物などを用いることができるが、好ましくは金、銀、銅、ニッケルまたはアルミニウムであり、さらに好ましくは銅が用いられる。
使用される金属箔の厚さは、1〜1000μmの範囲が好ましく、5〜100μmの範囲がさらに好ましい。また金属箔の片面もしくは両面を表面処理してもよい。
【0078】
本発明の金属箔を含む積層体は、金属箔、上記の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層、並びに有機繊維材料および/または無機繊維材料を含有する繊維材料の層からなる。
【0079】
本発明における金属箔を含む積層体を得るには、上述の方法で得られた液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層と繊維材料からなる層の積層体の上に金属箔を重ね合わせて加熱、加圧(熱圧着)して積層体を得ることができる。
さらには、金属箔と、あらかじめ製造した液晶ポリエステル樹脂組成物からなるフィルムと、繊維材料とを重ね、一度に加熱、加圧(熱圧着)して積層体を形成することができる。
熱圧着は、該液晶ポリエステル樹脂組成物の流動開始温度付近でプレス機、または加圧ロールによって行うのが簡便であり好ましい。
【0080】
本発明の積層体は、市場における必要性に応じて、液晶ポリエステルフィルムと金属箔の間に接着剤層を有する構造をとることも可能である。
かかる接着剤層の具体例としては、ホットメルト接着材、ポリウレタン接着剤等を例示することができる。中でも、エポキシ基含有エチレン共重合体などが好ましく用いられる。
【0081】
本発明により得られる金属箔を含む積層体は多層基板などに適当であり、繊維材料の層、液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層および金属箔との三層以上の積層体であり、例えば、無機繊維材料の層、該組成物からなる層と金属箔との三層構造、金属箔両面に該組成物からなる層および繊維材料の層を積層させた五層構造、または繊維材料の層と該組成物からなる層と金属箔を交互に積層させた六層以上の構造も可能である。
また、繊維材料の層、液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層、金属箔のそれぞれの層間、あるいは一部の層間に接着層がある積層体構造も可能である。
接着層は、あらかじめ製造された接着性フィルムを用いてもよいし、Tダイやコーターなどを用いて各層間に溶融押出し、あるいは塗付してもよい。
【0082】
本発明における積層体の構成は、繊維材料を▲1▼、液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層を▲2▼、金属箔を▲3▼と略記すると、例えば、
▲1▼/▲2▼ , ▲2▼/▲1▼/▲2▼
▲3▼/▲2▼/▲1▼/▲2▼/▲3▼
▲3▼/▲2▼/▲1▼/▲2▼/▲3▼/▲2▼/▲1▼
など、多くの組合わせが可能である。
【0083】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらは単なる例示であり、本発明はこれらに限定されることはない。
(1)成分(A)の液晶ポリエステル
(i)p−アセトキシ安息香酸8.3kg(60モル)、テレフタル酸2.49kg(15モル)、イソフタル酸0.83kg(5モル)および4,4’−ジアセトキシジフェニル5.45kg(20.2モル)を櫛型撹拌翼をもつ重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し330℃で1時間重合させた。この間に副生する酢酸を除去しながら、強力な撹拌下で重合させた。その後、系を徐々に冷却し、200℃で得られたポリマーを系外へ取出した。この得られたポリマーを細川ミクロン(株)製のハンマーミルで粉砕し、2.5mm以下の粒子とした。これを更にロータリーキルン中で窒素ガス雰囲気下に280℃で3時間処理することによって、流動温度が324℃の粒子状の下記の繰り返し構造単位からなる全芳香族ポリエステルを得た。
ここで、流動温度とは、島津社製高化式フローテスターCFT−500型を用いて、4℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を、荷重100kgf/cm2 のもとで、内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出すときに、溶融粘度が48000ポイズを示す温度のことをいう。
以下該液晶ポリエステルをA−1と略記する。このポリマーは加圧下で340℃以上で光学異方性を示した。液晶ポリエステルA−1の繰り返し構造単位は、次の通りである。
【0084】
Figure 0003949215
【0085】
(ii)p−ヒドロキシ安息香酸16.6kg(12.1モル)と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸8.4kg(4.5モル)および無水酢酸18.6kg(18.2モル)を櫛型撹拌翼付きの重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら昇温し、320℃で1時間、そしてさらに2.0torrの減圧下に320℃で1時間重合させた。この間に、副生する酢酸を系外へ留出し続けた。その後、系を除々に冷却し、180℃で得られたポリマーを系外へ取出した。
この得られたポリマーを前記の(i)と同様に粉砕したあと、ロータリーキルン中で窒素ガス雰囲気下に240℃で5時間処理することによって、流動温度が270℃の粒子状の下記の繰り返し単位からなる全芳香族ポリエステルを得た。以下該液晶ポリエステルをA−2と略記する。このポリマーは加圧下で280℃以上で光学異方性を示した。
液晶ポリエステルA−2の繰り返し構造単位の比率は次の通りである。
【0086】
Figure 0003949215
【0087】
(2)成分(B)
(i)(メタ)アクリル酸エステル−エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体ゴム
【0088】
特開昭61−127709号公報の実施例5に記載の方法に準じて、アクリル酸メチル/エチレン/グリシジルメタクリレート=59.0/38.7/2.3(重量比)、ムーニー粘度=15のゴムを得た。以下、該ゴムをB−1と略称することがある。
【0089】
ここでムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃、ラージローターを用いて測定した値である。
【0090】
(ii)エポキシ基含有エチレン共重合体
住友化学工業(株)製、ボンドファースト7M
ET/MA/GMA共重合体
ET/MA/GMA=64/30/6(重量比)
MI(190℃)=9
ET:エチレン、MA:メチルアクリレート、
GMA:グリシジルメタクリレート
【0091】
(3)誘電率、誘電正接の測定:横河ヒューレットパッカード社製 LCRメーター4275A装置を用い、金電極をサンプル両面に蒸着し、1MHzにて測定した。
【0092】
(4)液晶ポリエステル樹脂組成物の成膜
表1の組成で各成分をヘンシェルミキサーで混合し、日本製鋼(株)製TEX−30型二軸押出機を用いて、表1の条件で溶融混練を行って組成物を得た。
この組成物のペレットを円筒ダイを備えた50mmφの単軸押出機を用い、表1に示す条件で溶融押出しし、直径50mm、リップ間隔1.5mmの円筒ダイから、表1の条件で上方へ溶融樹脂を押出し、この筒状フィルムの中空部へ乾燥空気を圧入して筒状フィルムを膨張させ、次に冷却させたのちニップロールに通して液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムを得た。
該液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムの引取方向(MD方向)、引取方向に垂直方向(TD方向)の延伸倍率は、圧入する乾燥空気量、フィルム引取速度により制御した。この際、TD方向のブロー比、MD方向の延伸倍率は表1の通りである。得られた液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムの試料番号、厚みは表1に示す通りである。
【0093】
【表1】
Figure 0003949215
【0094】
実施例1
エポキシ樹脂として、住友化学工業(株)製 ノボラック型エポキシ樹脂 ESCN−195を100重量部に対し、硬化剤ジシアンアミドを5.4重量部、触媒として2−エチル−4−メチルイミダゾールを0.2重量部添加したものへ,TYPE181の無処理のガラス繊維布を、ガラス含量62重量%となるよう浸積し、減圧下200℃で3時間加熱処理し、エポキシ樹脂の硬化を行ない、厚さ40μmのガラス繊維布を与えた。
該ガラス繊維布の両面に、それぞれ樹脂フィルムF−1、パーマタック AW−060(共同薬品(株)製 エポキシ樹脂)および厚さ35μmの電解銅箔を順次積み重ね、乾燥してパーマタック AW−060の溶剤を除いたのち、330℃、90kg/cm2 、20分の成形条件でプレスして積層体を得た。
得られた積層体の誘電正接は0.007、比誘電率は2.5であった。
【0095】
比較例1
樹脂フィルム F−1を使用しない以外は、実施例1と同様の方法により積層体を得た。得られた積層体の誘電正接は0.030、比誘電率は4.3であった。
【0096】
実施例2
住友化学工業(株)製 汎用エポキシ樹脂 スミエポキシ ELA−128(商品名)100重量部に、住友化学工業(株)製 末端官能性イミドオリゴマーSM−20(商品名)127重量部を加えたものへ東邦ベスロン(株)製 炭素繊維織布 W−3121(商品名)を含浸、200℃で45分間加熱して樹脂を硬化させ、厚さ90μmのシートを得た。この際、炭素繊維の量は39重量%であった。
樹脂フィルムF−3を4枚重ねた間に、上述の得られたシートを1枚ずつ計3枚挟み、さらに外側のF−3に厚さ18μmの電解銅箔を積み重ね、250℃、120kg/cm2 、30分の条件でプレス成形し、9層の積層体を得た。該積層体の誘電正接は0.005、比誘電率は2.5であった。
【0098】
【発明の効果】
本発明で得られる積層体は、低誘電率、低誘電正接で、低吸水率で、しかも安価であり、多層基板として好適に使用することができる。

Claims (20)

  1. (A)液晶ポリエステルを連続相とし(B)(メタ)アクリル酸エステル単位が45〜70重量%、エチレン単位が10〜49重量%、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位が0.5〜20重量%からなる共重合体ゴムを分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層と、有機繊維材料および/または無機繊維材料を含有する層を有することを特徴とする積層体。
  2. 金属箔、(A)液晶ポリエステルを連続相とし(B)(メタ)アクリル酸エステル単位が45〜70重量%、エチレン単位が10〜49重量%、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位および/または不飽和グリシジルエーテル単位が0.5〜20重量%からなる共重合体ゴムを分散相とする液晶ポリエステル樹脂組成物からなる層、並びに有機繊維材料および/または無機繊維材料を含有する層からなることを特徴とする積層体。
  3. 金属箔が、金、銀、銅、ニッケルまたはアルミニウムのいずれかよりなる金属箔であることを特徴とする請求項2記載の積層体。
  4. 金属箔が、銅箔であることを特徴とする請求項2記載の積層体。
  5. 無機繊維材料が、硝子繊維、石英繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、ステンレス繊維、チタン繊維、ボロン繊維から選ばれる少なくとも一種を含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 有機繊維材料が、アラミド繊維、ポリアミド繊維、液晶ポリエステル繊維から選ばれる少なくとも一種を含むものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. 有機繊維材料および/または無機繊維材料を含有する層が、有機繊維材料および/または無機繊維材料からなる織物または不織布であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. 液晶ポリエステル樹脂組成物が、(A)液晶ポリエステル56.0〜99.9重量%、および(B)共重合体ゴム44.0〜0.1重量%を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
  9. 共重合体ゴム(B)が、結晶の融解熱量が3J/g未満の共重合体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の積層体
  10. 共重合体ゴム(B)が、ムーニー粘度が3〜70の範囲の共重合体ゴムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の積層体
    ここでいうムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃でラージロータを用いて測定した値をいう
  11. 共重合体ゴム(B)が、ムーニー粘度が3〜30の範囲の共重合体ゴムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の積層体
    ここでいうムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃でラージロータを用いて測定した値をいう
  12. (メタ)アクリル酸エステルが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、ter t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートの少なくとも一種を含むものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
  13. 液晶ポリエステル(A)が、下記の繰り返し構造単位を少なくとも全体の30モル%含むものであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の積層体
    Figure 0003949215
  14. 液晶ポリエステル(A)が、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを反応させて得られるものであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の積層体
  15. 液晶ポリエステル(A)が、異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸の組合せを反応させて得られるものであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の積層体
  16. 液晶ポリエステル樹脂組成物の層が、Tダイから溶融押出しして得られる液晶ポリエステル樹脂組成物フィルムまたはシートであることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の積層体
  17. 液晶ポリエステル樹脂組成物の層が、Tダイから溶融押出しされた該液晶ポリエステル樹脂組成物を一軸延伸、あるいは二軸延伸して得られるフィルムであることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の積層体
  18. 液晶ポリエステル樹脂組成物の層が、該液晶ポリエステル樹脂組成物をインフレーション成形して得られたフィルムであることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の積層体
  19. 各層を重ね合わせ、熱圧着することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の積層体の製造方法
  20. 請求項2〜18のいずれかに記載の積層体よりなることを特徴とする多層基板
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