JP3751054B2 - 電子部品用接着剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、耐熱性に優れ吸水性が低く電子部品用途、特に半導体実装材料として適しており、シリコン基板や金属に対する接着力が優れ、250〜300℃の温度で短時間の加圧下で接着可能な電子部品用接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体チップが高機能大容量化によって大型化する一方で電子機器小型化の要求から従来と変わらない、あるいはむしろ小さな外形にすることが要求されている。この傾向に対応して半導体チップの高密度化と高密度実装に対応した新しい実装方式が幾つか提案されている。一つはメモリー素子に提案されているダイ・パッドのないリードフレームとチップを両面接着テープで固定するLOC(リード・オン・チップ)構造である。
【0003】
一方、論理素子には電源、グランドを別フレームにし、さらに放熱のための金属プレートを多層化した多層リードフレーム構造が提案されている。これらによると、チップ内配線やワイヤー・ボンディングの合理化、配線短縮による信号高速化、消費電力の増大に伴って発生する熱の放散等と素子サイズの小型化を図ることが可能である。
【0004】
この新しい実装形態では、半導体チップとリードフレーム、リードフレームとプレ−ト、リードフレーム同士など同種異種材質の接着界面が存在し、その接着信頼性が素子の信頼性に大きな影響を与える。素子組立作業時の工程温度に耐える信頼性は勿論のこと、吸湿時、加熱時などの接着信頼性が重要である。さらに接着作業性も重要な項目である。
【0005】
従来、これらの接着にはペースト状の接着剤や耐熱性基材に接着剤を塗布したものが使用されていた。エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ゴム−フェノール樹脂系の熱硬化性樹脂が接着剤として使用されているが、イオン性不純物が多い、加熱硬化に高温長時間を必要とし生産性が悪い、加熱硬化時に多量の揮発分が発生しリードを汚染する、吸湿性が高い、など高信頼性接着剤としての要求を満たしているとは言い難く、満足できる材料が見当たらない。
【0006】
一方、耐熱性の熱圧着可能なフィルム接着剤についてはいくつか知られており、例えば、特開平1−282283号公報には、ポリアミドイミド系やポリアミド系のホットメルト接着剤、特開昭58−157190号公報には、ポリイミド系接着剤によるフレキシブル印刷回路基板の製造法、特開昭62−235382号、特開昭62−235383号および特開平2−15663号公報には、熱硬化性のポリイミド系フィルム接着剤が記載されている。
【0007】
ところが、ポリアミド系やポリアミドイミド系樹脂は、アミド基の親水性のために吸水率が大きくなるという欠点を有し、信頼性を必要とするエレクトロニクス用途としての接着剤に用いるには限界があった。また熱硬化性のポリイミド系フィルム接着剤は、熱圧着条件が、275℃、50kg重/cm2 、30分間であったり、半硬化状態のものを高温で長時間硬化させたりすることが必要で、また硬化時に縮合水が発生するなど、熱や圧力、水の影響などに鋭敏な電子部品や、量産性を必要とされる用途のフィルム接着剤としては充分なものとはいえなかった。このような理由で、新しい実装形態に適した接着剤、特に生産性の観点から接着テープの開発が求められている。
【0008】
一方、ポリイミドは耐熱性が高く難燃性で電気絶縁性に優れていることから電気、電子用途に広く使用されている。しかし、従来のポリイミドは吸湿性が高く、耐熱性に優れている反面不溶不融であったり極めて融点が高く、加工性の点で決して使いやすい材料とはいえなかった。
【0009】
また、ポリイミドは半導体の実装材料として層間絶縁膜、表面保護膜などに使用されているが、これらは有機溶媒に可溶な前駆体であるポリアミック酸を半導体表面に塗布し、加熱処理によって溶媒を除去するとともにイミド化を進めている。このとき一般に用いられているアミド系溶媒は高沸点であり皮膜の発泡の原因になったり、完全に溶媒を揮散させるために長時間の高温乾燥工程を必要とし、素子を高温に晒すためアセンブリ工程の収率を低下させる原因となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、250〜300℃の温度で短時間で接着可能な耐熱性に優れ吸水性の低い、しかも加工作業性を良好にするため低沸点の有機溶媒、好適にはテトラヒドロフラン(以下THFと略記することもある)に可溶なポリイミドを得るべく鋭意研究をした結果、特定構造のポリイミドシロキサンと特定の化合物とを組み合わせて用いることによって上記課題が解決できることを見出だし、本発明に到達した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、(a)2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物やエステル化物が75モル%以上で、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ピロメリット酸、またはそれらの酸二無水物やエステル化物が0〜25モル%である芳香族テトラカルボン酸二無水物ないしはその誘導体と、下記一般式(1)
【化5】
Figure 0003751054
(ただし、式中のRは2価の炭化水素残基を示し、R1、R2、R3およびR4は低級アルキル基またはフェニル基を示し、lは0〜30を示す。)で示されるジアミノシロキサン5〜25モル%および1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス−4−(4−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、ビス−4−(3−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンのいずれかである芳香族ジアミン75〜95モル%のジアミン成分とから得られるガラス転移温度(Tg)が200℃以上で、テトラヒドロフランに可溶性のポリイミドシロキサン100重量部および、(b)グリシジル基を有するシランカップリング剤0.2〜5重量部がテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンあるいはモノグライムに均一に溶解されていることを特徴とする電子部品用接着剤に関するものである。
【0012】
この発明において、芳香族テトラカルボン酸二無水物ないしはその誘導体としては2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好適に挙げられ、他の芳香族テトラカルボン酸二無水物ないしはその誘導体として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ピロメリット酸、またはそれらの酸二無水物やエステル化物などを挙げることができる。芳香族テトラカルボン酸二無水物ないしはその誘導体として、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分の量が全酸成分の75モル%以上であることが好ましい。
【0013】
この発明において、一般式(1)で示されるジアミノシロキサンとしては、式中のRが炭素数2〜6個、特に3〜5個の複数のメチレン基、またはフェニレン基からなる2価の炭化水素残基であり、R1 〜R4 がメチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜5の低級アルキル基またはフェニル基であることが好ましく、更に、lが0〜30、特に1〜20、更に好ましくは、3〜15であることが好ましい。R、R1 〜R4 の炭素数が多すぎたり、lの数が大きすぎると反応性が低下したり得られるポリイミドシロキサンの耐熱性が悪くなったりするので前記程度のものが適当である。必須成分のジアミノシロキサンの量は、全ジアミン成分の5〜25モル%であることが好ましい。5モル%より少ないとTHF等の有機溶媒に対する溶解性が低下して好ましくない。また、25モル%より多いとTgが200℃より低くなり耐熱性が低下し、高温時の特性を重視する用途、例えばワイヤーボンディング特性が悪くなり好ましくない。
【0014】
一般式(1)で示されるジアミノシロキサンの具体的種類としては、ω,ω’−ビス(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(4−アミノフェニル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン、ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンなどを好適に挙げることができる。
【0015】
この発明において、芳香族ジアミン成分として一般式(2)で示される芳香環を2個以上有するものが適当である。芳香環1個のジアミン成分であるとTHF等の有機溶媒に対する溶解性が低下して好ましくない。また、芳香族以外のジアミンを使用すれば耐熱性が低下し好ましくない。
【0016】
一般式(2)で示される芳香族ジアミン成分の具体的種類としては、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(1,4,3−APB)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3,3−APB)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3,4−APB)、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DDE)、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス−4−(4−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、ビス−4−(3−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどのジアミンを好適に挙げることができる。
【0017】
本発明では、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分ないしはその誘導体とジアミン成分の当量比rが0.900≦r≦1.08の範囲にあることが好ましい。ただし、r=〔全酸成分の当量数〕/〔全アミン成分の当量数〕である。rが0.900未満または1.08を越えると、分子量が低く熱処理による高分子量化の効果が顕著ではない。またrが1.08を越えると、未反応のカルボン酸が加熱時に脱炭酸してガス発生、発泡の原因となり好ましくないことがある。特に好ましくはr=1である。
【0018】
芳香族テトラカルボン酸二無水物ないしはその誘導体とジアミンとの反応は、非プロトン性極性溶媒中で公知の方法で行われる。非プロトン性極性溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジグライム、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサンなどである。非プロトン性極性溶媒は、一種類のみ用いても良いし、二種類以上を混合して用いても良い。この時、上記非プロトン性極性溶媒と相溶性がある非極性溶媒を混合して使用しても良い。トルエン、キシレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素が良く使用される。混合溶媒における非極性溶媒の割合は、30重量%以下であることが好ましい。これは非極性溶媒が30重量%以上では溶媒の溶解力が低下しポリアミック酸が析出する恐れがあるためである。
【0019】
芳香族テトラカルボン酸二無水物ないしはその誘導体とジアミンとの反応は、良く乾燥したジアミン成分を前述反応溶媒に溶解し、これに閉環率98%、より好ましくは99%以上の良く乾燥した芳香族テトラカルボン酸二無水物を添加して反応を進める。このようにして得たポリアミック酸溶液を続いて有機溶媒中で加熱脱水環化してイミド化してポリイミドシロキサンにする。イミド化反応によって生じた水は閉環反応を妨害するため、水と相溶しない有機溶媒を系中に加えて共沸させてディーン・スターク(Dean-Stark)管などの装置を使用して系外に排出する。水と相溶しない有機溶媒としては前記芳香族炭化水素などを使用する。また、イミド化反応の触媒として無水酢酸、β−ピコリン、ピリジンなどの化合物を使用することは妨げない。ポリイミドシロキサンは分子量(Mn)が5000〜50000、対数粘度が0.2〜1.5であるものが好ましい。
【0020】
本発明において、イミド閉環は程度が高いほど良く、イミド化率が低いと接着時の熱でイミド化が起り水が発生して好ましくないため、95%以上、より好ましくは98%以上のイミド化率が達成されていることが望まれる。この反応溶液をそのまま、あるいは樹脂固形分濃度を調整して使用しても良いが、反応溶液を貧溶媒中に投入してポリイミド樹脂を再沈析出させて未反応モノマ−を取り除き、濾過、乾燥して精製することが好ましい。
【0021】
本発明において使用する(b)グリシジル基を有するシランカップリング剤は沸点250℃以上の耐熱性があるものが好ましく、具体的にはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどを好適に挙げることができる。また、使用する上記グリシジル基を有するシランカップリング剤の量は、前記ポリイミドシロキサン100重量部に対して0.2〜5重量部であることが、高温下での接合時に接着性を向上させるうえで好ましい。使用量が0.2重量部より少ないと接着性が低下し好ましくない。5重量部より多くなると接着強度が平衡に達し過剰量の添加になり、可塑剤的な効果も現れ、また高温加熱時の不揮発成分の原因になるなど高温時の特性を重視する用途で不適となり好ましくない。
【0022】
本発明において使用する(c)エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などの1分中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物が好ましい。このエポキシ樹脂は、融点が90℃以下、特に0〜80℃程度であるものが、あるいは室温(23℃)で液状であるものが好ましい。また、使用するエポキシ樹脂量は、ポリイミドシロキサン100重量部に対して0.1〜30重量部、特に0.2〜15重量部であることが、加工性を良好にする上で、特に高温下での接合時に流動性を良好にさせ接着性を向上させる上で好ましい。
【0023】
本発明において、電子部品用液状接着剤および電子部品用接着フィルム(またはテープ)状の形態にするには、高分子量化したポリイミドシロキサンとエポキシ樹脂と前記グリシジル基を有するシランカップリング剤をTHF等の有機溶媒に溶解してワニスとし、これを支持体に塗布・乾燥してフィルムにする。
【0024】
電子部品用液状接着剤は、このワニス状態であり固形分濃度が、好ましくは10〜45重量%、特に15〜40重量%、更に好ましくは20〜35重量%である。固形分濃度10重量%以下であれば乾燥後の一定の塗布厚さを得るのに大量塗布する必要があり経済的に好ましくない。また、45重量%以上であればポリイミド樹脂の粉末を再溶解に長時間を要し、またワニスの粘度が高くなり塗布するとき気泡を噛み込みやすく好ましくない。
【0025】
有機溶媒としては、フィルム中の残留溶媒分を可能な限り少なくするためと、経済性と作業性を考えて沸点が160℃以下のものが好ましく、好適にはTHF(bp:66℃)、1,4−ジオキサン(bp:101℃)、モノグライム(bp:84℃)を使用することができる。
【0026】
このワニスの支持体への塗布、乾燥は、フローコーター、ロールコーターなどの塗布設備と熱風乾燥炉を組み合わせた塗工装置を用いることができる。ワニスを支持体に塗工後、熱風乾燥炉に導きワニスの溶媒を揮散させるに充分な温度と風量でもって乾燥し、支持体より剥離して接着テープであるフィルムを得る。このとき使用する支持体は、ステンレス、アルミ、銅などの金属箔、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムが使用できる。
支持体をそのまま基材とした2層あるいは3層構造の形態で電子部品用接着テープとして使用することも可能であり、また支持体無しで使用することも可能である。
【0027】
本発明の電子部品用接着フィルム(テープ)および液状接着剤の使用方法は特に限定されるものではないが、所定の形状に切断して加熱したヒートブロックで熱圧着して接着する方法、被着体の断面にワニスを塗布乾燥後加熱したヒートブロックで熱圧着して接着する方法など、電子部品用接着テープおよび液状接着剤として使用することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例および比較例を示し本発明を詳細に説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。なお、部は重量部を示す。
本実施例では、分子量測定は、東ソウ(株)製HLC−8020を使用し、単分散ポリスチレンで検量線を作成してポリスチレン換算分子量を求めた。また、他の測定は以下のようにして行った。
【0029】
ポリイミドシロキサンおよび接着剤シートの特性
・TGA
島津製作所製 TGA−50にて測定。
測定条件
昇温 :5℃/分
温度範囲 :室温〜600℃
雰囲気 :空気中、30ミリリットル/分
・接着強度
アセトン洗浄した2枚の25μmのFe−Ni合金(42合金)箔を使用して作製した試験片を用い、インテスコ社製引張試験機2000型にて剥離速度50mm/分、測定温度25℃で180度剥離試験を行って測定した。
・動的粘弾性
レオメトリックス社製 粘弾性アナライザー RSA II にて(サンプル:フィルム状、幅5mm×長さ22mm)測定。
Figure 0003751054
・対数粘度
対数粘度(ηinh )は、樹脂成分濃度が0.5g/100ミリリットル溶媒となるように、N−メチル−2−ピロリドンに均一に溶解して樹脂溶液を調製しその溶液の溶液粘度と溶媒のみの溶液粘度を30℃で測定し、下記の計算式で算出した。
対数粘度(ηinh )=ln (溶液粘度/溶媒粘度)/溶液の濃度
・Mn
ポリスチレン換算により求めた。
【0030】
実施例1
温度計、仕込・留出口および攪拌機を備えた容量500容量部のガラス製フラスコに2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)26.48部(90ミリモル)、ω,ω’−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(BAPS)(信越シリコン(株)製、X−22−161AS、l=8)16.8部(20ミリモル)、およびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)300部を仕込み、窒素気流中で50℃の温度に高め溶解させた後に、更に2,2−ビス〔4−(4−ジアミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)28.74部(70ミリモル)を添加して、この温度で1時間攪拌して、その後この溶液にキシレンを50部添加し200℃に昇温して3時間還流下に攪拌して反応水を除去した後ポリイミドシロキサンが18重量%均一に溶解しているポリマー溶液が得られた。次に、室温に戻したポリマー液を加圧濾過してイオン交換水を使用して析出、洗浄させて、ポリイミドシロキサンを回収した。250℃で5時間乾燥して粉末状のポリイミドシロキサン54部(収率95%、イミド化率:実質的に100%、対数粘度:0.52)が得られた。得られたポリイミドシロキサンのGPCを測定した結果、数平均分子量は15,600、重量平均分子量は59,500であった。このポリイミドシロキサンを熱重量分析したところ熱分解開始温度は、418℃であった。また、レオメトリックス社製粘弾性アナライザーRSA II で動的粘弾性を測定したtanδの結果、Tgは234℃であった。
【0031】
容量500容量部のガラス製フラスコに、上記で製造したポリイミドシロキサン100部、2官能性エポキシ化合物(油化シェルエポキシ社製:Ep807、液状)5部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコン(株)製)2部、および溶剤としてTHF300部を仕込み、23℃で約5時間攪拌して均一な電子部品用液状接着剤(30℃の粘度:45ポイズ)を調製した。この溶液組成物は室温で1週間放置しても均一な溶液(粘度)の状態を保持していた。
【0032】
このようにして得た電子部品用液状接着剤を離型処理を施したポリエステルフィルム〔藤森工業(株)製:バイナシート〕に塗布し、120℃で10分乾燥した。乾燥後、バイナシートから簡単に剥離し電子部品用接着テープを得た。この接着テープの物性(Tg)を測定したところ、使用したポリイミドシロキサンと同じ物性値を示した。この接着テープを、島津製作所製GC−MSで250℃で10分加熱した時の発生ガスを測定したところ、ほとんど認められなかった。
この35μm厚さの電子部品用接着テープを前記の42合金箔(厚さ25μm)2枚の間に挟み込み熱プレスで30秒/300℃、50Kg/cm2 の条件で接着した。得られた金属箔積層体について測定した180度剥離試験による接着強度が2.8Kg/cmと良好な接着力を示し、フィルムに発泡は認められなかった。
【0033】
実施例2〜3、比較例1〜2
表1に示す組成と重合度のポリイミドシロキサンを合成し、表1に示す割合で調製した他は、実施例1と同様に実施した。
結果をまとめて表1および表2に示す。
比較例2では重合時にポリマ−が析出し、均一な接着剤を得ることができなかった。
また、実施例1〜3で得られた金属箔積層体を表3に示す条件(温度、時間)で熱風乾燥機中に静置後の接着強度を測定し、接着強度保持率を求めた。
結果をまとめて表3に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003751054
【0035】
【表2】
Figure 0003751054
【0036】
【表3】
Figure 0003751054
【0037】
比較例3
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2部に代えてN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン2部を使用した他は実施例3と同様に実施した。
得られた液状接着剤から実施例1に記載の方法によって接着テ−プを得た。このテ−プを使用して金属箔積層体を作成し、接着強度を測定した。
接着強度は0.2kg/cmであった。
【0038】
比較例4
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2部に代えてビニルトリエトキシシラン2部を使用した他は実施例3と同様に実施した。
得られた液状接着剤から実施例1に記載の方法によって接着テ−プを得た。このテ−プを使用して金属箔積層体を作成し、接着強度を測定した。
接着強度は0.1kg/cmであった。
【0039】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成されているので、以下に記載のような効果を奏する。
【0040】
本発明によれば、基材と接着した場合に優れた熱特性、接着強度を持つ接着剤を提供することが可能である。特に、低吸水で不純物レベルが低く、加熱時に発生するガス成分が極めて少ないため、電子部品用材料として工業的に極めて利用価値が高い。
【0041】
本発明によれば、基材と接着した場合に優れた熱特性、接着強度を持ち良好な皮膜を与える電子部品用の液状接着剤を提供することが可能である。特に、低吸水で不純物レベルが低く、加熱時に発生するガス成分が極めて少ないため、電子部品用材料として工業的に極めて利用価値が高い。
【0042】
本発明によれば、基材と接着した場合に優れた成形加工性、熱特性、接着強度を持つ電子部品用接着テープを提供することが可能である。特に、低吸水で不純物レベルが低く、加熱時に発生するガス成分が極めて少ないため、電子部品用材料として工業的に極めて利用価値が高い。

Claims (3)

  1. (a)2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が75モル%以上で、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ピロメリット酸、またはそれらの酸二無水物やエステル化物が0〜25モル%である芳香族テトラカルボン酸二無水物ないしはその誘導体と、下記一般式(1)
    Figure 0003751054
    (ただし、式中のRは2価の炭化水素残基を示し、R1、R2、R3およびR4は低級アルキル基またはフェニル基を示し、lは0〜30を示す。)で示されるジアミノシロキサン5〜25モル%および1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス−4−(4−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、ビス−4−(3−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンのいずれかである芳香族ジアミン75〜95モル%のジアミン成分とから得られるガラス転移温度(Tg)が200℃以上で、テトラヒドロフランに可溶性のポリイミドシロキサン100重量部および、(b)グリシジル基を有するシランカップリング剤0.2〜5重量部がテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンあるいはモノグライムに均一に溶解されていることを特徴とする電子部品用接着剤。
  2. さらに、(c)ポリイミドシロキサン100重量部に対して0.1〜30重量部のエポキシ樹脂を含有させてなる請求項1記載の電子部品用接着剤。
  3. 各成分を有機溶媒に均一に溶解後、フィルム状に成形してなる請求項1記載の電子部品用接着剤。
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