JP3093064B2 - フィルム接着剤およびその製造方法 - Google Patents

フィルム接着剤およびその製造方法

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JP3093064B2 JP04325019A JP32501992A JP3093064B2 JP 3093064 B2 JP3093064 B2 JP 3093064B2 JP 04325019 A JP04325019 A JP 04325019A JP 32501992 A JP32501992 A JP 32501992A JP 3093064 B2 JP3093064 B2 JP 3093064B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低吸水性と耐熱性に優
れたエレクトロニクス用途、特に半導体実装材料として
適したシリコン基板や金属に対する接着力が優れ、低温
短時間で接着可能なフィルム接着剤とその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体チップが高機能大容量化に
よって大型化する一方、パッケージの大きさはプリント
回路設計上の制約、電子機器小型化の要求などから従来
と変わらない、あるいはむしろ小さな外形を要求されて
いる。この傾向に対応して半導体チップの高密度化と高
密度実装に対応した新しい実装方式が幾つか提案されて
いる。一つはメモリー素子に提案されているダイ・パッ
ドのないリードフレームの上にチップを載せるCOL
(チップ・オン・リード)構造とその発展形であるチッ
プの上にリードを載せるLOC(リード・オン・チッ
プ)構造である。一方論理素子には電源、グランドを別
フレームにし、さらに放熱のための金属プレートを多層
化した多層リードフレーム構造がある。これらによると
チップ内配線やワイヤー・ボンディングの合理化、配線
短縮による信号高速化、消費電力の増大に伴って発生す
る熱の放散等と素子サイズの小型化を図ることができ
る。
【0003】この新しい実装形態では、半導体チップと
リードフレーム、リードフレームとプレート、リードフ
レーム同士など同種異種材質の接着界面が存在し、その
接着信頼性が素子の信頼性に非常に大きな影響を与え
る。素子組立作業時の工程温度に耐える信頼性は勿論の
こと、吸湿時、湿熱時などの接着信頼性である。さらに
接着作業性も重要な項目である。
【0004】従来、これらの接着にはペースト状の接着
剤や耐熱性基材に接着剤を塗布したものが使用されてい
た。エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ゴム−フェノー
ル樹脂系の熱硬化性樹脂が接着剤として使用されている
が、イオン性不純物が多い、加熱硬化に高温長時間を必
要とし生産性が悪い、加熱硬化時に多量の揮発分が発生
しリードを汚染する、吸湿性が高い、など高信頼性接着
剤としての要求を満たしているとは言い難く、満足でき
る材料が見当らない。新しい実装形態に適した接着剤の
開発が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低温短時間
で接着可能な低吸水性と耐熱性に優れたフィルム接着剤
を得るべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のポリイミ
ド樹脂が上記課題を解決することを見出し本発明に到達
したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、特定構造のポ
リイミド樹脂を接着剤の主成分とするフィルム接着剤、
およびその製造法に関する。
【0007】本発明は、4,4'-オキシジフタル酸二無水
物aモルと、無水ピロメリット酸bモルとを酸成分と
し、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパ
ンcモルと、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンと
ジメチルフェニレンジアミンの群から選ばれた1種類ま
たは2種類のジアミンdモルと、α,ω-ビス(3-アミノ
プロピル)ポリジメチルシロキサンeモルとからなる3
ないし4成分をアミン成分とし、a、b、c、d、eの
モル比が a/(a+b)≧ 0.8、b/(a+b)≦ 0.
2、かつ 0.05 ≦e/(c+d+e)≦ 0.5 の割合で両
成分を反応させてイミド閉環せしめた有機溶剤に可溶な
ポリイミド樹脂であり、また該ポリイミド樹脂の分子末
端を一般式(1)で表される酸無水物fモルまたは一般
式(2)で表される芳香族アミンgモルでエンドキャッ
プし、a、b、c、d、e、f、gのモル比が a/
(a+b+0.5f)≧ 0.8、b/(a+b+0.5f)≦
0.2、0.01 ≦ f/(a+b+0.5f)≦ 0.05、0.01 ≦
g/(c+d+e+0.5g)≦0.05、0.05 ≦ e/(c
+d+e+0.5g)≦ 0.5 かつfまたはgのうちどちら
か一方は0である割合で両成分を反応させてイミド閉環
せしめた有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂を主たる構成
成分とするフィルム接着剤である。
【化1】 (式中、Xは
【化2】 のうちから選ばれた少なくとも1種類の基)
【化3】 (式中、Yは水素原子、あるいはメチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、プロポ
キシ、ブトキシ、もしくはフェノキシ基のうちから選ば
れた少なくとも1種類の基)
【0008】本発明のポリイミド樹脂を得るのに用いる
α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン
は式(3)で表わされるものである。
【化4】
【0009】酸成分の主要な構成成分である4,4'-オキ
シジフタル酸二無水物の量比は、得られるポリイミド樹
脂の溶解性に極めて重要で、上記の範囲内にないと低沸
点溶剤に溶解するという本発明の特徴が失われる。
【0010】式(3)で表されるα,ω-ビス(3-アミノ
プロピル)ポリジメチルシロキサンはn=0〜10 が好ま
しく、特にnの値が 4〜10 の範囲が、ガラス転移温
度、接着性、耐熱性の点から好ましい。またn=0 と上
記n=4〜10 のものをブレンドして用いることは特に接
着性を重視する用途では好ましい。
【0011】またその他ポリイミドの製造に用いられる
酸無水物やジアミン、例えば、4,4'-オキシジフタル酸
二無水物、無水ピロメリット酸、3,3',4,4'-ジフェニル
スルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(4-(4-ア
ミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(B
APPF)、2,2-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘキサフル
オロプロパン(BAPF)、ビス-4-(4-アミノフェノキ
シ)フェニルスルフォン(BAPS)、ビス-4-(3-アミ
ノフェノキシ)フェニルスルフォン(BAPSM)など
を特性を損わない範囲で少量添加することは可能であ
る。
【0012】各成分の量比は上記範囲内にあることが重
要で、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロ
キサンが全アミン成分の5モル%より少ないと低吸湿性
の特徴が現れず、50モル%を越えるとガラス転移温度が
著しく低下し耐熱性に問題が生じる。2,2-ビス(4-(4-ア
ミノフェノキシ)フェニル)プロパンのモル比に関して
は、全アミン成分の10モル%から90モル%であることが
好ましく、上記の範囲を越えると溶解性や耐熱性に問題
が生じる。
【0013】ジメチルフェニレンジアミンを添加するこ
とにより、低沸点溶剤への溶解性を低下させずに耐熱性
を向上させることができる。ジメチルフェニレンジアミ
ンとして、2,5-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,4-
ジメチル-m-フェニレンジアミンが好ましい。また接着
剤用途として低温接着が要求される時は、1,3-ビス(3-
アミノフェノキシ)ベンゼンを加えることができる。
【0014】接着剤として当該ポリイミド樹脂を使用す
る場合、分子末端をエンドキャップし分子量をコントロ
ールすることにより、被着材との接着に適した溶融粘度
を得ることができ、濡れ性を向上させ、接着力を高める
ことができる。エンドキャップ剤である酸無水物、ある
いは芳香族アミンの量比については1モル%から5モル
%の範囲が好ましい。1モル%未満では分子量が高くな
りすぎて、本発明の特徴である低沸点溶剤への溶解性が
低下し、また接着性を重視する用途では溶融粘度の増加
により濡れ性が悪くなり好ましくない。5モル%を越え
ると分子量が著しく低下し、耐熱性に問題が生じる。で
あることが好ましく、上記の範囲を越えると溶解性や耐
熱性に問題が生じる。
【0015】エンドキャップ剤としては、一般式(1)
で表される酸無水物及び一般式(2)で表される芳香族
アミンが挙げられる。酸無水物としては、無水フタル
酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸など、芳香族アミ
ンとしては、p-メチルアニリン、p-メトキシアニリン、
p-フェノキシアニリンなどが用いられる。
【0016】重縮合反応における酸成分とアミン成分の
当量比は、得られるポリアミック酸の分子量を決定する
重要な因子である。ポリマの分子量と物性、特に数平均
分子量と機械的性質の間に相関があることは良く知られ
ている。数平均分子量が大きいほど機械的性質が優れて
いる。従って、実用的に優れた強度を得るためには、あ
る程度高分子量であることが必要である。本発明では、
酸成分とアミン成分の当量比rが 0.900 ≦ r ≦ 1.06 より好ましくは、 0.975 ≦
r ≦ 1.06 の範囲にあることが好ましい。ただし、r=[全酸成分
の当量数]/[全アミン成分の当量数]である。rが0.
900未満では、分子量が低くて脆くなるため接着力が弱
くなる。また1.06を越えると、未反応のカルボン酸が加
熱時に脱炭酸してガス発生、発泡の原因となり好ましく
ないことがある。
【0017】テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの
反応は、非プロトン性極性溶媒中で公知の方法で行われ
る。非プロトン性極性溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミ
ド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA
C)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、テトラヒド
ロフラン(THF)、ジグライム、シクロヘキサノン、
1,4-ジオキサンなどである。非プロトン性極性溶媒は、
一種類のみ用いてもよいし、二種類以上を混合して用い
てもよい。この時、上記非プロトン性極性溶媒と相溶性
がある非極性溶媒を混合して使用しても良い。トルエ
ン、キシレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素
が良く使用される。混合溶媒における非極性溶媒の割合
は、30重量%以下であることが好ましい。これは非極性
溶媒が30重量%以上では溶媒の溶解力が低下しポリアミ
ック酸が析出する恐れがあるためである。テトラカルボ
ン酸二無水物とジアミンとの反応は、良く乾燥したジア
ミン成分を脱水精製した前述反応溶媒に溶解し、これに
閉環率98%、より好ましくは99%以上の良く乾燥したテ
トラカルボン酸二無水物を添加して反応を進める。
【0018】このようにして得たポリアミック酸溶液
を、続いて有機溶剤中で加熱脱水環化してイミド化しポ
リイミドにする。イミド化反応によって生じた水は閉環
反応を妨害するため、水と相溶しない有機溶剤を系中に
加えて共沸させてディーン・スターク(Dean-Stark)管
などの装置を使用して系外に排出する。水と相溶しない
有機溶剤としてはジクロルベンゼンが知られているが、
エレクトロニクス用としては塩素成分が混入する恐れが
あるので、好ましくは前記芳香族炭化水素を使用する。
また、イミド化反応の触媒として無水酢酸、β-ピコリ
ン、ピリジンなどの化合物を使用することは妨げない。
【0019】本発明において、イミド閉環は程度が高い
ほど良く、イミド化率が低いと使用時の熱でイミド化が
起こり水が発生して好ましくないため、95%以上、より
好ましくは98%以上のイミド化率が達成されていること
が望ましい。
【0020】本発明では得られたポリイミド溶液は塗布
用ワニスとしてそのまま使用することができる。また、
該ポリイミド溶液を貧溶媒中に投入してポリイミド樹脂
を再沈析出させて未反応モノマを取り除いて精製し、乾
燥して固形のポリイミド樹脂として使用することもでき
る。高温工程を嫌う用途や特に不純物や異物が問題にな
る用途では、再び有機溶剤に溶解して濾過精製ワニスと
することが好ましい。この時使用する溶剤は加工作業性
を考え、沸点の低い溶剤を選択することが可能である。
【0021】本発明のポリイミド樹脂では、ケトン系溶
剤として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン
を、エーテル系溶剤として、1,4-ジオキサン、テトラヒ
ドロフラン、ジグライムを沸点180℃以下の低沸点溶剤
として使用することができる。これらの溶剤は単独で使
用しても良いし、2種以上を混合して用いることもでき
る。イミド化率が低いと接着時の熱でイミド化が起こり
水が発生して好ましくないため、95%以上、より好まし
くは98%以上のイミド化率が達成できる条件であること
が必要である。
【0022】本発明では得られたポリイミド溶液はその
まま支持体に塗布しても良いが、該ポリイミド溶液を貧
溶媒中に投入してポリイミド樹脂を再沈析出させて未反
応モノマを取り除いて精製することが好ましい。精製、
濾過、乾燥したポリイミド樹脂は再び有機溶剤に溶解し
てワニスとする。この時使用する溶剤は反応溶媒と同じ
でも良いが、塗布乾燥工程の作業性を考え沸点の低い、
好ましくは沸点が180℃以下の溶剤を選択することが好
ましい。180℃以下の溶剤として、本発明ではケトン系
溶剤としてアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン
を、エーテル系溶剤として1,4-ジオキサン、テトラヒド
ロフラン、ジグライムを挙げることができる。これらの
溶剤は単独で使用しても良いし、2種以上を混合して用
いることもできる。アミド系溶剤のN,N-ジメチルホルム
アミド、N,N-ジメチルアセトアミドは沸点180℃以下で
本発明のポリイミド樹脂を良く溶解するが、ポリイミド
との相互作用が強く乾燥には250℃以上の高温を必要と
すること、また吸湿性が高いためワニス塗布時にフィル
ムが白化することでその使用は好ましくない。
【0023】ポリイミド樹脂ワニスには表面平滑性を出
すための平滑剤、レベリング剤、脱泡剤などの各種添加
剤を必要に応じて添加することができる。また、溶剤の
蒸発速度を調節するために均一に溶解する範囲で芳香族
炭化水素系溶剤を使用することもできる。
【0024】フィルム接着剤とするには、ポリイミド樹
脂ワニスを流延成形してフィルム状にし、フィルム単体
あるいはフィルム支持体と一体にして使用する。ポリイ
ミド樹脂ワニスの流延成形は、ロールコーターなどの塗
布設備と熱風乾燥炉を組み合わせた装置などを用いるこ
とができる。ポリイミド樹脂ワニスを支持体に塗工後、
熱風乾燥炉に導きワニスの溶剤を揮散させるに十分な温
度と風量でもって乾燥する。フィルム単体として使用す
る場合は、支持体より剥離し、支持体を一体で使用する
場合は、支持体の片面又は両面に付けたまま使用する。
本発明のフィルム接着剤の使用方法は特に限定されるも
のではないが、所定の形状に切断して加熱したヒートブ
ロックで熱圧着して接着するなど、接着テープとして使
用することができる。
【0025】
【作用】本発明のフィルム接着剤は、低沸点の有機溶剤
に可溶である特定構造の完全にイミド化されたポリイミ
ド樹脂を主たる構成成分とすることを特徴とする。接着
剤のポリイミド樹脂は再沈精製することによって極めて
低いイオン性不純物レベルを達成できると共に、低沸点
の溶剤を使用しイミド化されていることを合わせて加熱
時の発生ガスをほぼ完全に無くすことができる。
【0026】また、低吸水性と耐熱性に優れ、化学反応
を伴う熱硬化性接着剤に比べると極めて短時間に接着可
能である。テープ状に加工することにより、接着作業
性、接着部の寸法精度を優れたものにすることができ
る。以下実施例で本発明を詳細に説明するが、これらの
実施例に限定されるものではない。
【0027】
【実施例】
(実施例1)乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、撹
拌機を備えた四口フラスコに、脱水精製したNMP762
gを入れ、窒素ガスを流しながら10分間激しくかき混ぜ
る。次に2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プ
ロパン(BAPP)49.2618g(0.120モル)、2,5-ジメ
チル-p-フェニレンジアミン(DPX)16.3435g(0.12
0モル)とα,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチル
シロキサン(APPS)133.9200g(平均分子量837.0
0、0.160モル)を投入し、系を60℃に加熱し、均一にな
るまでかき混ぜる。均一に溶解後、無水フタル酸 2.926
4g(0.020モル)を加え、1時間撹拌した。その後、系
を氷水浴で5℃に冷却し、4,4'-オキシジフタル酸二無
水物 99.2710g(0.320モル)、無水ピロメリット酸 1
5.2686g(0.070モル)を粉末状のまま15分間かけて添
加し、3時間撹拌を続けた。この間フラスコは5℃に保
った。
【0028】その後、窒素ガス導入管と冷却器を外し、
キシレンを満たしたディーン・スターク管をフラスコに
装着し、系にトルエン191gを添加した。油浴に代えて
系を175℃に加熱し発生する水を系外に除いた。4時間
加熱したところ、系からの水の発生は認められなくなっ
た。冷却後この反応溶液を大量のメタノール中に投入
し、ポリイミド樹脂を析出させた。固形分を濾過後、80
℃で12時間減圧乾燥し溶剤を除き、287.22g(収率90.6
%)の固形樹脂を得た。KBr錠剤法で赤外吸収スペク
トルを測定したところ、環状イミド結合に由来する5.6
μmの吸収を認めたが、アミド結合に由来する6.06μm
の吸収を認めることはできず、この樹脂はほぼ100%イ
ミド化していることが確かめられた。この時の酸、アミ
ンのモル比はそれぞれa/(a+b+0.5f)= 0.8、
b/(a+b+0.5f)= 0.175、e/(c+d+e)
= 0.4 である。
【0029】このようにして得たポリイミド樹脂をシク
ロヘキサノン/トルエン(90/10w/w%)に溶解し、
固形分25%のポリイミド樹脂ワニスを調製した。この
ワニスをリバースロールコーターでポリイミドフィルム
(商品名ユーピレックスSGA、厚み50μm、宇部興産
(株)製)の片面に塗布し、接着剤層の厚みが30μmの接
着テープを得た。乾燥温度は最高185℃で乾燥時間6分
であった。この接着テープを35μm銅箔に熱プレスして
試験片を作製した。銅箔の処理面に250℃2秒間熱圧着
し、圧を開放後250℃で30秒間アニールした。接着面に
かかる圧力はゲージ圧力と接着面積から計算の結果4kgf
/cm2であった。この試験片の180度ピール強度は2.68kg
f/cmであり、優れた接着力を示した。破断面は接着樹
脂層が凝集破壊し、発泡は全く認められなかった。
【0030】(実施例2)実施例1のワニスを二軸延伸
ポリエステルフィルム(商品名ダイヤホイル、厚さ50μ
m、三菱レーヨン(株)製)に塗布し、乾燥温度は最高18
5℃で乾燥時間6分であった。乾燥後ポリエステルフィ
ルムから剥離し、32μm厚みの支持体なしの単層フィル
ムを得た。剥離は容易で特に支障はなかった。実施例1
と同様に銅箔光沢面に接着した結果を表1に示す。
【0031】(実施例3〜5)実施例1と同様にして反
応して可溶性ポリイミド樹脂を得た。これらのポリイミ
ド樹脂について得られた評価結果を第1表に示す。いず
れも接着テープとして優れた性能を持つことが分かる。
【0032】
【表1】
【0033】なお、第1表でODPAは4,4'-オキシジ
フタル酸二無水物を、PMDAは無水ピロメリット酸
を、PAは無水フタル酸を、BAPPは2,2-ビス(4-(4-
アミノフェノキシ)フェニル)プロパンを、APBは1,3-
ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンを、DPXは2,5-ジ
メチル-p-フェニレンジアミンを、APPSはα,ω-ビ
ス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンを、PP
Aはp-フェノキシアニリンをそれぞれ略記したものであ
る。
【0034】また、配合の数値はそれぞれの成分中の配
合当量比であり、吸水率は85℃85%RHの環境下で168
時間放置(HH-168処理)後の飽和吸水率を、発生ガス、
発生水分は250℃で15分間加熱した時に発生するガスを
GC-MS法で、水分はカール・フィッシャー法でそれ
ぞれ定量した値を示す。溶解性の欄のSは該当する溶媒
に溶解することを示す。
【0035】(比較例1)第2表の配合に従って、実施
例1と同条件で、a/(a+b)= 0.8、b/(a+
b)= 0.2、e/(c+d+e)= 0.4の量比で反応
し、ポリイミド樹脂を得た。このようにして得たポリイ
ミド樹脂をシクロヘキサノン/トルエン(90/10 w/
w%)に溶解し、固形分25%のポリイミド樹脂ワニスを
調製し、接着テープを作成した。この接着テープと銅箔
との試験片の180度ピール強度は0.89kgf/cmであった。
【0036】(比較例2)比較例1のワニスを実施例2
と同様にポリエステルフィルムに塗工して支持体なしの
フィルムを作成し、銅箔との180度ピール強度を測定し
たところ0.91kgf/cmであった。
【0037】(比較例3〜4)実施例1と同様に反応
し、得られたポリイミド樹脂について評価した結果を第
2表に示す。
【0038】
【表2】
【0039】以上の実施例から本発明により、有機溶剤
に可溶で耐熱性と低吸湿性に優れたポリイミド樹脂が得
られることが示される。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、低吸水性と耐熱性と接
着作業性を両立させた信頼性の高いフィルム接着剤を提
供することが可能である。特に、不純物レベルが低く、
加熱時に発生するガス成分が極めて低いため、マイクロ
エレクトロニクス材料、半導体実装材料として工業的に
極めて利用価値が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 73/00 - 73/26 C09J 179/00 - 179/08 C08L 79/00 - 79/08 CA(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4,4'-オキシジフタル酸二無水物aモル
    と、無水ピロメリット酸bモルとを酸成分とし、2,2-ビ
    ス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパンcモル
    と、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンとジメチル
    フェニレンジアミンの群から選ばれた1種類または2種
    類のジアミンdモルと、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)
    ポリジメチルシロキサンeモルとからなる3ないし4成
    をアミン成分とし、a、b、c、d、eのモル比が
    a/(a+b)≧ 0.8、b/(a+b)≦ 0.2、かつ
    0.05 ≦ e/(c+d+e)≦ 0.5 の割合で両成分を
    反応させてイミド閉環せしめた有機溶剤に可溶なポリイ
    ミド樹脂を主たる構成成分とするフィルム接着剤。
  2. 【請求項2】 4,4'-オキシジフタル酸二無水物aモル
    と、無水ピロメリット酸bモルとを酸成分とし、2,2-ビ
    ス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパンcモル
    と、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンとジメチル
    フェニレンジアミンの群から選ばれた1種類または2種
    類のジアミンdモルと、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)
    ポリジメチルシロキサンeモルとからなる3ないし4成
    をアミン成分とし、該ポリイミド樹脂の分子末端を一
    般式(1)で表される酸無水物fモルまたは一般式
    (2)で表される芳香族アミンgモルでエンドキャップ
    し、a、b、c、d、e、f、gのモル比がa/(a+
    b+0.5f)≧ 0.8、b/(a+b+0.5f)≦ 0.2、0.
    01 ≦ f/(a+b+0.5f)≦ 0.05、0.01 ≦ g/
    (c+d+e+0.5g)≦ 0.05、0.05 ≦ e/(c+d
    +e+0.5g)≦ 0.5かつfまたはgのうちどちらか一
    方は0である割合で両成分を反応させてイミド閉環せし
    めた有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂を主たる構成成分
    とするフィルム接着剤。 【化1】 (式中、Xは 【化2】 のうちから選ばれた少なくとも1種類の基) 【化3】 (式中、Yは水素原子、あるいはメチル、エチル、プロ
    ピル、ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、プロポ
    キシ、ブトキシ、もしくはフェノキシ基のうちから選ば
    れた少なくとも1種類の基)
  3. 【請求項3】 ポリアミック酸を有機溶剤中で加熱脱水
    してイミド閉環反応を完結させたポリイミド樹脂の有機
    溶剤溶液を支持体の片面又は両面に流延成形する請求項
    1または請求項2記載のフィルム接着剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 沸点が180℃以下である有機溶剤を使用
    して支持体の上に流延成形、乾燥後、支持体から剥離し
    て得る請求項1または請求項2記載のフィルム接着剤の
    製造方法。
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