JP2003515033A - 燃料噴射システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、内燃機関、特に実用車のディーゼルエンジンに燃料を供給するための燃料噴射システム、特にコモンレールシステムであって、低圧回路（１〜９）が設けられており、該低圧回路で少なくとも１つの低圧フィードポンプ（５，７）が、燃料を燃料タンク（１）から高圧ポンプ（１０）へ供給するようになっており、該高圧ポンプ（１０）が、高圧で負荷された燃料を中央の燃料高圧蓄え器（１７）へ圧送するようになっている形式のものに関する。低圧回路の空気抜きを簡単にするために、低圧回路（１〜９）内の圧力を適切に減少させるための装置（２２；２５，２７；３４，３５）が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 背景技術 本発明は、内燃機関、特に実用車のディーゼルエンジンに燃料を供給するため
の燃料噴射システム、特にコモンレールシステムであって、低圧回路が設けられ
ており、該低圧回路で少なくとも１つの低圧フィードポンプが、燃料を燃料タン
クから高圧ポンプへ供給するようになっており、該高圧ポンプが、高圧で負荷さ
れた燃料を中央の燃料高圧蓄え器へ圧送するようになっている形式のものに関す
る。

【０００２】 ディーゼルエンジンでは、空気が吸い込まれて、圧縮される。圧縮行程の終了
時に、高圧で負荷された燃料が燃焼室内へ噴射され、これによって、空気と燃料
とから成る混合気が自己発火する。

【０００３】 コモンレール噴射システムでは、高圧ポンプが、プレフィードポンプの補助を
受けて、噴射したい燃料を燃料タンクから、「コモンレール」と呼ばれる中央の
燃料高圧蓄え器へ圧送する。コモンレールからは、複数の燃料管路が導出されて
おり、これらの燃料管路は、内燃機関の各シリンダに対応配置されている個々の
インジェクタに通じている。これらのインジェクタは内燃機関の種々の運転パラ
メータに関連して個別にエンジン電子装置によって制御され、これによって、燃
料が内燃機関の燃焼室内へ噴射される。

【０００４】 燃料タンクが空にされた場合またはサービス作業の後では、低圧回路が空気で
満たされている。慣用の燃料噴射システムでは、低圧回路内に存在する空気が、
高圧ポンプの吸込み弁の開放圧（約１．５バール）に抗して、高圧ポンプを通じ
て燃料高圧蓄え器へ圧送されなければならない。次いで、燃料高圧蓄え器から空
気は戻し管路を介して逃出することができる。吸込み弁の開放圧に抗して行われ
るこのような空気抜きは、慣用の低圧フィードポンプを用いると、極めて長時間
かかってしまう。

【０００５】 空気抜き過程を促進するためには、より大きな圧送容量を備えた低圧フィード
ポンプを使用することができるが、しかし、このような大容量を備えた低圧フィ
ードポンプは、通常運転のためには著しく過剰に寸法設定されてしまう。したが
って、このような低圧フィードポンプにより供給される燃料流は、通常運転時に
絞られなければならなくなる。

【０００６】 本発明の課題は、慣用の燃料噴射システムの低圧回路の空気抜きを容易にする
ことである。さらに、本発明による燃料噴射システムは単純に形成されていて、
しかも廉価に製造可能であることが望ましい。

【０００７】 この課題を解決するために本発明の構成では、内燃機関、特に実用車のディー
ゼルエンジンに燃料を供給するための燃料噴射システム、特にコモンレールシス
テムであって、低圧回路が設けられており、該低圧回路で少なくとも１つの低圧
フィードポンプが、燃料を燃料タンクから高圧ポンプへ供給するようになってお
り、該高圧ポンプが、高圧で負荷された燃料を中央の燃料高圧蓄え器へ圧送する
ようになっている形式のものにおいて、低圧回路内の圧力を適切に減少させるた
めの装置が設けられているようにした。

【０００８】 発明の利点 これにより、空気抜きの際に低圧回路内の圧力を低下させることができる。こ
のことは、低圧回路内に存在する空気を、過剰に寸法設定されていない慣用の低
圧フィードポンプを用いて、許容し得る時間内で押しのけることができるという
利点を提供している。

【０００９】 本発明の特に有利な構成では、低圧回路が、戻し管路を介して燃料タンクに接
続されており、前記戻し管路に絞りが設けられている。この絞りを介して、燃料
タンクへの低圧回路の空気抜きが行われる。このことは、空気抜き時に大きな対
圧を克服する必要がないという利点を有している。

【００１０】 本発明の別の特に有利な構成では、前記絞りが、戻し管路に設けられたオーバ
フロー弁に組み込まれている。この絞りは、たとえば適切に不密にされた弁座の
形または付加的な絞り孔として実現することができる。絞りをオーバフロー弁に
組み込むことによって、コストが節約される。

【００１１】 本発明のさらに別の有利な構成では、取り付けられた状態で低圧回路の最も高
く設置された個所で、特に高圧ポンプのための調量ユニットに、空気抜きねじを
備えた空気抜き孔が配置されている。手で操作可能な空気抜きねじを介して、低
圧回路内に存在する空気は大気中へ逃出することができる。このような構成は、
その単純性に基づき廉価に実現することができるという利点を有している。空気
抜き孔は、場合によって流出してしまう燃料が容器内に捕集され得るように配置
することができる。

【００１２】 本発明のさらに別の有利な構成では、前記空気抜きねじが、ねじ山範囲に平ら
な面取り部を有しており、前記空気抜きねじが少しだけ回動させられると、前記
面取り部が、前記空気抜き孔を通る燃料の通流を可能にするようになっている。
これにより、空気抜き過程の開始時における燃料の、コントロールされていない
噴出を回避することができる。

【００１３】 本発明のさらに別の有利な構成では、高圧ポンプが調量ユニットを備えており
、該調量ユニットが電磁弁を有しており、該電磁弁が、通電された状態で低圧回
路と、燃料タンクに通じた戻し管路との間の接続を開放するようになっている。
通常、この電磁弁は内燃機関の始動時に閉鎖されている。電磁弁が空気抜き時に
短時間通電されると、低圧回路内に存在する空気は燃料タンク内へ逃出すること
ができる。

【００１４】 本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、以下の実施例の説明に記載されて
いる。以下に、本発明の３つの実施例を唯一つの図面につき詳しく説明する。特
許請求の範囲および発明の詳細な説明に記載した特徴は、それぞれそれ自体単独
でも、任意に組み合わされた形でも、本発明によって重要となり得る。

【００１５】 実施例の説明 説明を簡単にするために、図１には、本発明の３つの異なる実施例が例示的に
示してある。以下に、まずハイドロリック回路図について説明し、それに続いて
本発明の３つの実施例について詳しく説明する。

【００１６】 燃料タンク１から燃料は管路２を通って冷却体３もしくはヒートシンクに流入
する。この冷却体３から燃料は管路４を介してプライミングポンプ５に流入する
。このプライミングポンプ５に対して並列に逆止弁６が接続されている。この逆
止弁６はバイパスを形成している。このバイパスは、たとえばプライミングポン
プ５が故障した場合または閉塞した場合に開放される。

【００１７】 プライミングポンプ５に続いて、管路４には、機械的に駆動されるプレフィー
ドポンプ７が配置されている。機械的に駆動されるプレフィードポンプ７に対し
て並列に、互いに逆向きに配置された２つの逆止弁３８，３９が接続されている
。両逆止弁３８，３９により、プレフィードポンプ７は規定の圧力差で迂回され
るようになる。

【００１８】 プレフィードポンプ７に続いて、管路４には、水分離器を備えた燃料フィルタ
８が配置されている。この燃料フィルタ８に対して並列に、逆止弁を備えたバイ
パス管路（図示しない）が接続されていてよい。

【００１９】 プライミングポンプ５もしくは機械的または電気的に駆動されるプレフィード
ポンプ７により燃料タンク１から圧送された燃料は、管路４と管路９とを介して
高圧ポンプ１０に流入する。この高圧ポンプ１０は２つの高圧ポンプエレメント
１１，１２を有しており、両高圧ポンプエレメント１１，１２において、プレフ
ィードポンプ７もしくはプライミングポンプ５により供給された燃料が高圧で負
荷される。

【００２０】 両高圧ポンプエレメント１１，１２からは、それぞれ高圧管路１３，１４が導
出されており、両高圧管路１３，１４には、それぞれ逆止弁１５，１６が配置さ
れている。高圧管路１３，１４は高圧ポンプエレメント１１，１２を中央の１つ
の燃料高圧蓄え器１７に接続している。この燃料高圧蓄え器１７から引き出され
ている矢印１８により、燃料供給されるべき内燃機関の個々のインジェクタ（図
示しない）への接続が示してある。

【００２１】 管路９には、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７２５４７２号明
細書に記載されているような量調節弁１９が配置されている。この量調節弁１９
を介して管路９を戻し管路２４に接続することができる。この戻し管路２４は燃
料タンク１に開口している。

【００２２】 管路４はさらに管路２０に接続されており、この管路２０には絞り２１が配置
されている。管路２０は２ポート２位置電磁弁２２を介して戻し管路２４に接続
可能である。この電磁弁２２が制御装置（図示しない）を介して短時間開放され
ると、場合によっては低圧回路に存在する空気が、管路２０と戻し管路２４とを
介して燃料タンク１へ逃出し得る。

【００２３】 さらに、管路４は、逆止弁２６が配置されている管路２５を介して戻し管路２
４に接続されている。本発明の第２実施例では、逆止弁２６に対して並列に絞り
２７が接続されており、この絞り２７を介して、場合によっては低圧回路に存在
する空気が燃料タンク１へ逃出し得る。

【００２４】 さらに、本発明の第３実施例では、管路４が管路３４に接続されており、この
管路３４は容器３５に開口している。管路３４は、空気抜きねじによって閉鎖可
能となる空気抜き孔（図示しない）を示している。

【００２５】 念のため付言しておくと、燃料高圧蓄え器１７は、逆止弁３１が配置されてい
る戻し管路３０を介して冷却体３に接続されている。

【００２６】 量調節弁１９と２ポート２位置電磁弁２２とは、高圧エレメント１２のための
調量ユニットを形成している。高圧エレメント１１のためにも、やはりこのよう
な調量ユニットは必要であるが、しかし図面を見易くするという理由から図示し
ていない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による燃料噴射システムのハイドロリック回路図である。

【符号の説明】

１ 燃料タンク、 ２ 管路、 ３ 冷却体、 ４ 管路、 ５ プライミン
グポンプ、 ６ 逆止弁、 ７ プレフィードポンプ、 ８ 燃料フィルタ、 ９ 管路、 １０ 高圧ポンプ、 １１ 高圧ポンプエレメント、 １２ 高圧
ポンプエレメント、 １３ 高圧管路、 １４ 高圧管路、 １５ 逆止弁、 １６ 逆止弁、 １７ 燃料高圧蓄え器、 １８ 矢印、 １９ 量調節弁、 ２０ 管路、 ２１ 絞り、 ２２ ２ポート２位置電磁弁、 ２４ 戻し管路
、 ２５ 管路、 ２６ 逆止弁、 ２７ 絞り、 ３０ 戻し管路、 ３１ 逆止弁、 ３４ 管路、 ３５ 容器、 ３８ 逆止弁、 ３９ 逆止弁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｆ０２Ｍ 59/44 Ｆ０２Ｍ 59/44 Ｇ Ｖ Ｆターム(参考） 3G066 AA07 AB02 AC09 BA37 CA08 CA09 CB07U CB09 CB11 CB16 CC01 CD01 CD02 CD03 CD12 CE22

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関、特に実用車のディーゼルエンジンに燃料を供給す
   るための燃料噴射システム、特にコモンレールシステムであって、低圧回路（１
   〜９）が設けられており、該低圧回路で少なくとも１つの低圧フィードポンプ（
   ５，７）が、燃料を燃料タンク（１）から高圧ポンプ（１０）へ供給するように
   なっており、該高圧ポンプ（１０）が、高圧で負荷された燃料を中央の燃料高圧
   蓄え器（１７）へ圧送するようになっている形式のものにおいて、低圧回路（１
   〜９）内の圧力を適切に減少させるための装置（２２；２５，２７；３４，３５
   ）が設けられていることを特徴とする、燃料噴射システム。
2. 【請求項２】 低圧回路（１〜９）が、戻し管路（２４，２５）を介して燃
   料タンク（１）に接続されており、前記戻し管路（２４，２５）に絞り（２７）
   が設けられている、請求項１記載の燃料噴射システム。
3. 【請求項３】 前記絞り（２７）が、戻し管路（２５）に設けられたオーバ
   フロー弁（２６）に組み込まれている、請求項２記載の燃料噴射システム。
4. 【請求項４】 取り付けられた状態で低圧回路（１〜９）の最も高く設置さ
   れた個所で、特に高圧ポンプ（１０）のための調量ユニットに、空気抜きねじを
   備えた空気抜き孔（３４）が配置されている、請求項１記載の燃料噴射システム
   。
5. 【請求項５】 前記空気抜きねじが、ねじ山範囲に平らな面取り部を有して
   おり、前記空気抜きねじが少しだけ回動させられると、前記面取り部が、前記空
   気抜き孔（３４）を通る燃料の通流を可能にするようになっている、請求項４記
   載の燃料噴射システム。
6. 【請求項６】 高圧ポンプ（１０）が調量ユニット（１９）を備えており、
   該調量ユニット（１９）が電磁弁（２２）を有しており、該電磁弁（２２）が、
   通電された状態で低圧回路（１〜９）と、燃料タンク（１）に通じた戻し管路（
   ２４）との間の接続を開放するようになっている、請求項１記載の燃料噴射シス
   テム。