JP2002539374A - １つの高圧ポンプと２つの圧力アキュムレータとを備えた、内燃機関に用いられる燃料噴射システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 少なくとも２種の互いに異なる高さのシステム圧を有する、内燃機関に用いられる燃料噴射システムであって、高圧ポンプ（３）から燃料供給される、高い方のシステム圧のための第１の圧力アキュムレータ（４）と、低い方のシステム圧のための第２の圧力アキュムレータ（６）とが設けられていて、少なくとも第１の圧力アキュムレータ（４）が、燃料噴射の目的で、内燃機関の個々のシリンダに設けられたインジェクタ（１０）に管路を介して接続可能である形式のものにおいて、高圧ポンプ（３）の圧力レベルが、高い方のシステム圧よりも大きく形成されており、第１の圧力アキュムレータ（４）が、第２の圧力アキュムレータ（６）に通じた、過圧を制限する圧力制御弁（５）を有しており、第２の圧力アキュムレータ（６）が、過圧を制限する圧力制御弁（７）を有している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 背景技術 本発明は、請求項１の上位概念部に記載の形式の、内燃機関に用いられる燃料
噴射システムから出発する。

【０００２】 このような形式の燃料噴射システムは、たとえば欧州特許出願公開第０７１１
９１４号明細書に基づき公知である。

【０００３】 圧力アキュムレータを備えた燃料噴射システムの使用は、ディーゼルエンジン
において、もしくはガソリン直接噴射において知られている。このような燃料噴
射システムは高圧ポンプと、さらに部分的にプレフィードポンプ（最大約１０バ
ールまでの圧力）とを用いて動作する。また、吸込絞りコントロールを行うシス
テムも知られている。

【０００４】 ディーゼル燃料を噴射するためのインジェクタは、現在、行程制御型のシステ
ムと圧力制御型のシステムとに区別される。圧力制御型の燃料噴射システムでは
、インジェクタのノズル室に形成される燃料圧によって弁体（たとえばノズルニ
ードル）が、閉鎖力の作用に抗して開制御され、こうして燃料を噴射するための
ノズル開口が開放される。行程制御型の燃料噴射システムでは、弁体を用いた噴
射開口の開閉動作が、ノズル室内と制御室内の２つの燃料圧がハイドロリック的
に互いに協働することに基づいて行われる。燃料がノズル室からシリンダ内へ流
出する際の圧力が「噴射圧」と呼ばれるのに対して、「システム圧」とは、燃料
が燃料噴射システム内に貯えられている際の圧力を意味する。すなわち、燃料は
燃料噴射システム内に「システム圧」下に準備されているか、もしくは貯えられ
ている。インジェクタには、さらに可変の噴射孔横断面を有する噴射ノズル（可
変ノズル）もしくは２段式のノズルニードル行程を有する噴射ノズルも存在する
。

【０００５】 欧州特許出願公開第０７１１９１４号明細書に基づき公知の圧力制御型の燃料
噴射システムでは、高圧ポンプを用いて、燃料が約１２００バールの第１の高い
システム圧にまで圧縮され、そして第１の圧力アキュムレータ内に蓄えられる。
さらに、この高圧下にある燃料は第２の圧力アキュムレータ内へも圧送される。
この第２の圧力アキュムレータ内では、２ポート２位置弁を用いた燃料供給のコ
ントロールによって、約４００バールの第２の高いシステム圧が維持される。こ
の場合、弁制御ユニットを介して、低い方のシステム圧か、または高い方のシス
テム圧がインジェクタのノズル室内へ導入される。インジェクタのノズル室内で
は、この圧力によって、ばね負荷された弁体が弁座から持ち上げられるので、燃
料はノズル開口から流出することができる。

【０００６】 発明の利点 本発明による燃料噴射システムは、請求項１の特徴部に記載の特徴を有してい
る。本発明の別の有利な改良形は、請求項２以下に記載されている。

【０００７】 本発明による燃料噴射システムでは、高圧ポンプが、内燃機関の全負荷時に最
大となる噴射圧よりも高い圧力レベルを発生させる。すなわち、高圧ポンプの圧
送量が、全負荷時に必要とされる最大噴射量よりも大きく形成されている。高い
方のシステム圧（第２の高圧段、たとえば約８００〜約１８００バール）のため
の圧力アキュムレータに設けられた圧力制限器（圧力制御器）により、過剰量が
第２の圧力アキュムレータ（第１の高圧段、たとえば約２００〜１０００バール
）へ逃がされる。この第２の圧力アキュムレータの圧力は、別の圧力制限器を介
して、タンク戻し路に向かってコントロールされている。

【０００８】 第１の高圧段の圧力（たとえば約２００バール）は、たとえば吸気弁もしくは
排気弁のハイドロリック的な弁調節、カムシャフトとの対応関係の調節、排気ブ
レーキシステム（Ｍｏｔｏｒｂｒｅｍｓｓｙｓｔｅｍｅｎ）の操作等を可能にす
るために使用され得る。さらに、第１の高圧段の圧力を用いて、パイロット噴射
および／またはポスト噴射を実現することもできる。

【０００９】 特定の使用、たとえばオットエンジンにおける使用のためには、潤滑オイルか
ら燃料への、または燃料から潤滑オイルへのハイドロリック的な圧力引渡しを行
うことができる（選択的に第１の高圧段もしくは第２の高圧段において）。さら
に、第１の高圧段の圧力を、開放横断面を制御するか、もしくは噴射ノズルを行
程制御式または圧力制御式に制御する（制御圧）ために使用することも可能であ
る。行程の制御は、圧力／移動距離（ばね力）または固定のストッパにより極め
て簡単に行なわれ得る。圧力は圧電式の弁または電磁弁を介して切り換えること
ができる。この場合、制御圧は全てのシリンダに対して中央で１つの弁を介して
切り換えられるか、または局所的に複数の弁を介して切り換えられ得る。噴射ノ
ズルを制御するためには、場合によっては噴射ノズルの漏れオイル管路も適して
いる。第１の高圧段のこのような制御圧を用いて、たとえば可変ノズル（Ｖａｒ
ｉｏｄｕｅｓｅ）を制御することもできる。当該燃料噴射システムはオットエン
ジンおよびディーゼルエンジンのために適している。

【００１０】 本発明による燃料噴射システムはさらに、以下のことを可能にする： −エンジンに存在する既存システム、たとえば吸気機構もしくは排気機構の、燃
料噴射システムによる制御。

【００１１】 −コンパクトな構造。圧電式の弁または電磁弁を、一方もしくは両方の圧力アキ
ュムレータに設けることができるので、圧電式の弁または電磁弁をシリンダヘッ
ドにおいて直接にノズルホルダに配置する必要がない。

【００１２】 −噴射圧とは無関係な噴射ノズルの制御。この場合、噴射ノズルを圧力制御式ま
たは行程制御式に、かつ無段式にまたは行程ストッパを介して制御することがで
きる。

【００１３】 −圧電式の弁または電磁弁を操作するための少ない電気出力。なぜならば、小さ
な制御圧および小さな移動距離が可能となるからである。

【００１４】 −モジュール構造 −当該燃料噴射システムが噴射開始時機の設定に関して自由であること。したが
って、パイロット噴射およびポスト噴射が可能となる。

【００１５】 −第１の高圧段の圧力の、パイロット噴射および／またはポスト噴射のための使
用。噴射圧低減により、煤形成およびオイル希釈が十分に回避される。

【００１６】 本発明の対象の別の利点および別の有利な構成は、実施例の説明、図面および
請求の範囲に記載されている。

【００１７】 実施例の説明 図示の燃料噴射システムでは、燃料が燃料タンク１からフィルタ２を介して、
高圧ポンプ３によってたとえば１８００バールの圧力にまで圧縮されて、第１の
圧力アキュムレータ４（たとえばレール）内にまで圧送される。第１の圧力アキ
ュムレータ４内に形成される圧力は、過圧を制限するリリーフ弁もしくは圧力制
御弁５を介して、たとえば１５００バールの（高い方の）システム圧（第２の高
圧段）にまで制限されるか、もしくはコントロールされる。したがって、高圧ポ
ンプ３の圧力レベルはこのシステム圧よりも高く形成されており、ひいては高圧
ポンプ３の圧送量は、全負荷時に必要となる燃料量よりも大きく形成される。し
たがって、過剰量の燃料が圧力制御弁５を介して第２の圧力アキュムレータ６（
たとえばレール）へ圧送される。この第２の圧力アキュムレータ６内に形成され
る圧力は、過圧を制限するリリーフ弁もしくは圧力制御弁７を介して、たとえば
２００バールの（低い方の）システム圧（第１の高圧段）にまで制限される。こ
の圧力制御弁７は、漏れ管路８を介して燃料タンク１へ戻る燃料戻し流をコント
ロールする。この漏れ管路８は高圧ポンプ３によっても利用される。

【００１８】 第１の圧力アキュムレータ４内に存在する燃料は、４つの管路９を介して４つ
のシリンダのインジェクタ１０にまで圧送され、そしてインジェクタ１０から各
シリンダの燃焼室内へ噴射される。第２の圧力アキュムレータ６内に存在する燃
料は１つの中央の弁１１を介して制御されて、各インジェクタ１０に通じた１つ
の共通の管路１２を介して、パイロット噴射および／またはポスト噴射のために
使用され得る。さらに、この低い方のシステム圧は、吸気弁もしくは排気弁のハ
イドロリック調節のための弁１３、カムシャフトに対する対応関係を調節するた
めの弁１３、排気ブレーキシステムを操作するための弁１３等を１つの管路１４
を介して制御するためにも使用され得る。

【００１９】 弁１１，１３は圧電式の弁または電磁弁として形成されていてよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】 １つの高圧ポンプと、２つの圧力アキュムレータとを備えた４シリンダエンジ
ンの燃料噴射システムを示す回路図である。

【符号の説明】

１ 燃料タンク、 ２ フィルタ、 ３ 高圧ポンプ、 ４ 第１の圧力アキ
ュムレータ、 ５ 圧力制御弁、 ６ 第２の圧力アキュムレータ、 ７ 圧力
制御弁、 ８ 漏れ管路、 ９ 管路、 １０ インジェクタ、 １１ 中央の
弁、 １２ 管路、 １３ 弁、 １４ 管路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｆ０２Ｍ 55/02 Ｆ０２Ｍ 55/02 ３５０Ｐ ３５０Ｕ 63/02 63/02 Ａ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも２種の互いに異なる高さのシステム圧を有する、
   内燃機関に用いられる燃料噴射システムであって、高圧ポンプ（３）から燃料供
   給される、高い方のシステム圧のための第１の圧力アキュムレータ（４）と、低
   い方のシステム圧のための第２の圧力アキュムレータ（６）とが設けられていて
   、少なくとも第１の圧力アキュムレータ（４）が、燃料噴射の目的で、内燃機関
   の個々のシリンダに設けられたインジェクタ（１０）に管路を介して接続可能で
   ある形式のものにおいて、高圧ポンプ（３）の圧力レベルが、高い方のシステム
   圧よりも高く形成されており、第１の圧力アキュムレータ（４）が、第２の圧力
   アキュムレータ（６）に通じた、過圧を制限する圧力制御弁（５）を有しており
   、第２の圧力アキュムレータ（６）が、過圧を制限する圧力制御弁（７）を有し
   ていることを特徴とする、１つの高圧ポンプと２つの圧力アキュムレータとを備
   えた、内燃機関に用いられる燃料噴射システム。
2. 【請求項２】 第２の圧力アキュムレータ（６）の圧力制御弁（７）が、漏
   れ管路（８）に接続されている、請求項１記載の燃料噴射システム。
3. 【請求項３】 個々のインジェクタ（１０）が、中央の１つの弁ユニット（
   １１）を介して、またはそれぞれ局所的な弁ユニットを介して、第２の圧力アキ
   ュムレータ（６）に接続されている、請求項１または２記載の燃料噴射システム
   。
4. 【請求項４】 第２の圧力アキュムレータ（６）が、１つまたは複数の弁ユ
   ニット（１３）を介して、当該燃料噴射システムの少なくとも１つのハイドロリ
   ック制御ユニットに接続されている、請求項１から３までのいずれか１項記載の
   燃料噴射システム。