JP3808230B2 - 高圧燃料ポンプの金属ダイヤフラム式脈動吸収装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高圧燃料ポンプの金属ダイヤフラム式脈動吸収装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる筒内噴射式エンジンあるいは直接噴射式エンジンと呼ばれている、燃料をエンジンのシリンダ内で噴射する方式のエンジンとしては、ディーゼルエンジンが広く知られているが、近年、火花点火エンジン(ガソリンエンジン)においても、筒内噴射式のものが提案されている。このような、筒内噴射式エンジンでは、十分に高い燃料噴射圧が得られるようにされているとともに、噴射の安定性のため、燃圧脈動が小さいことが要求される。このため、構造が簡単で、製造コストが安価で、コンパクトである単気筒式の高圧燃料ポンプが公知となっている。一方、単気筒ではプランジャが1本であるため、吐出される燃料の圧力にかなりの脈動幅があるため、この脈動を吸収する金属ベローズ式や金属ダイヤフラム式の脈動吸収装置が提案されている。
【0003】
図7は従来の自動車の燃料供給系統を示す模式図である。図7において、1は燃料噴射機器であるディリバリパイプ、2はディリバリパイプ1のインジェクタであって、図示しないエンジンの気筒数と対応している。3はエンジンのハウジングに装着される高圧燃料ポンプ、4は高圧燃料ポンプ3の高圧ポンプである。この高圧ポンプ4は、エンジンの1/2の回転数で回転する図示しないカムにより駆動されるピストンと、このピストンを往復移動可能に収納するシリンダとにより燃料を高圧に加圧する要素である。5は高圧ポンプ4の吸入口に接続された低圧通路、6は低圧通路5に配置されたフィルタ、7は高圧ポンプ4とフィルタ6との間で低圧通路5に接続された金属ベローズ式の低圧ダンパ、9は高圧ポンプ4の吐出口に接続された高圧通路、10は高圧通路9に分岐通路11を介して接続されたダイヤフラム式の高圧ダンパ、12は高圧ダンパ10よりも吐出側で高圧通路9に配置された高圧チェックバルブ、13は高圧チェックバルブ12よりも吐出側で高圧通路9より分岐された高圧戻し通路、14は高圧戻し通路13に配置されたフィルタ、15はフィルタ14よりも下流側で高圧戻し通路13に配置された高圧レギュレータ、16は高圧ポンプ4のドレン通路、17は高圧燃料ポンプ3の高圧通路9とディリバリパイプ1とを接続した高圧配管、18は燃料タンク、19は燃料タンク18の内部に設けられた低圧ポンプ、20は低圧ポンプ19の吸入側のフィルタ、21は低圧ポンプ19の吐出側と高圧燃料ポンプ3の吸入側とを接続した低圧配管、22は低圧配管21に配置された低圧チェックバルブ、23は低圧チェックバルブ22よりも高圧燃料ポンプ3側で低圧配管21に配置されたフィルタ、24は低圧配管21のフィルタ23よりも高圧燃料ポンプ3側と燃料タンク18とを接続した低圧戻し配管、25は低圧戻し配管24に配置された低圧レギュレータ、26は高圧燃料ポンプ3のドレン通路16と燃料タンク18とを接続したドレン配管、27は高圧燃料ポンプ3の高圧戻し通路13と燃料タンク18とを接続した高圧戻し配管、28は燃料タンク18の内部に入れられた燃料である。
【0004】
次に前記燃料供給系統の動作について説明する。低圧ポンプ19が燃料28をフィルタ20を経由して吸入し低圧に加圧して吐出する。この低圧の燃料28は低圧チェックバルブ22とフィルタ23とを順に経由しつつ低圧配管21により高圧燃料ポンプ3に送られる。低圧配管21における燃料圧力が低圧レギュレータ25による低圧設定値を越えた場合、低圧配管21における燃料28の一部が低圧レギュレータ25を経由して低圧戻し配管24により燃料タンク18に戻されることにより、燃料タンク18より高圧燃料ポンプ3側に送られる燃料28の圧力が所定の低圧に調整される。高圧燃料ポンプ3に到達した燃料28は低圧通路5においてフィルタ6と低圧ダンパ7とを順に経由して高圧ポンプ4に吸入される。高圧ポンプ4は吸入した燃料28を高圧に加圧して高圧通路9に吐出するとともに高圧ポンプ4のピストンとシリンダとの間から漏れた燃料28をドレン通路16に流出する。ドレン通路16に流出した燃料はドレン配管26を経由して燃料タンク18に戻る。高圧通路9に送られた燃料28は高圧ダンパ10と高圧チェックバルブ12とを順に経由してディリバリパイプ1に送られる。高圧通路9における燃料圧力が高圧レギュレータ15による高圧設定値を越えた場合、高圧通路9における燃料28の一部がフィルタ14と高圧レギュレータ15とを順に経由して高圧戻し通路13と高圧戻し配管27とにより燃料タンク18に戻されることにより、高圧燃料ポンプ3よりディリバリパイプ1側に送られる燃料28の圧力が所定の高圧に調整される。この状態において、エンジンの各気筒における燃料噴射時期に対応するディリバリパイプ1のインジェクタ2が高圧の燃料を上記燃料噴射時期の気筒内に噴射する。
【0005】
図8は前記高圧燃料ポンプ3の高圧ダンパ10まわりを示す断面図である。図8において、高圧ダンパ10は高圧燃料ポンプ3のボディ30に形成された収納凹部31に収容され、燃料の脈動吸収装置である高圧ダンパを構成する。100は高圧容器の一方であるケース、101は高圧容器の他方であるプレートであって、ボディ30の収納凹部31の底部に収納される。102はケース100と共働して第1高圧室103を形成するとともにプレート101と共働して第2高圧室104を形成する可撓性の薄い金属円板状のダイヤフラムである。ダイヤフラム102の周縁部はケース100とプレート101との間に封止支持されている。105は環状の締結ねじであって、ボディ30のねじ部32に螺合してケース100とダイヤフラム102とプレート101とを収容凹部31の底部に押圧固着する。プレート101の外周面と収納凹部31の内周面との嵌合面はオーリングのようなシール部材33により燃料漏れ防止されている。ボディ30には分岐通路11を構成する第1・第2通路部34,35が収納凹部31の底部に連通するように形成されている。そして、ケース100は下面(ダイヤフラム102側面)にダイヤフラム102の移動を規制する上方に窪む皿形の第1高圧室側ストッパ106が形成されている。また、プレート101は、下面(第1・第2通路部34,35側面)に第1・第2通路部34,35のそれぞれに連なる連絡凹部107が形成され、上面(ダイヤフラム102側面)にダイヤフラム102の移動を規制する下方に窪む皿形の第2高圧室側ストッパ108が形成され、連絡凹部107と第2高圧室側ストッパ108との中間に連絡凹部107と第2高圧室側ストッパ108とに開口する複数の貫通孔109が形成されている。第1高圧室103には図示しないガスがケース100に設けられたガス充填口部110を介して所定圧力に充填され止め栓111で封止されている。この所定圧力は第1通路部34より連絡凹部107を経由して第2通路部35を通過する高圧の燃料の脈動を吸収するために必要な圧力である。第2高圧室104には高圧の燃料の一部が連絡凹部107より貫通孔109を経由して満たされる。105aは締結ねじ105を操作する工具用孔である。112はダイヤフラム102の周縁部をケース100とプレート101とに封止支持した溶接である。
【0006】
次に前記高圧ダンパ10の動作について説明する。第1高圧室103にガスが満たされ、第2高圧室104に燃料が満たされた状態において、エンジン駆動により図7の燃料供給系統が動作を開始すると、矢印で示すように高圧ポンプ4より吐出された高圧の燃料が第1通路部34より連絡凹部107を経由して第2通路部35へと流れる。この燃料に脈動が発生すると、第1高圧室103の内部のガス圧とダイヤフラム102自身のばね力との総和により、ダイヤフラム102がケース100側に撓んだり、ダイヤフラム102がプレート101側に撓むことにより、ダイヤフラム102が上記燃料の脈動を吸収する。そして、運転者が自動車のキースイッチをオフ操作することにより、エンジンが停止すると、上記矢印で示す燃料の流れが止まり、第2高圧室104内の燃料の圧力が低下する。それに伴い、第1高圧室103内部のガスの圧力が第2高圧室104の内部における燃料圧とダイヤフラム102自身のばね力との総和よりも増加することにより、ダイヤフラム102が撓み、最終的にはダイヤフラム102が第2高圧室側ストッパ108に接触する。また、第1高圧室103よりガスが抜けて、第1高圧室103のガス圧が低下したり、燃料の脈動圧が突発的に高くなり、ダイヤフラム102の撓みが大きくなると、最終的にはダイヤフラム102が第1高圧室側ストッパ106に接触する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の金属ダイヤフラム式脈動吸収装置である高圧ダンパ10は以上のように構成されているので、作動時にはダイヤフラム102が第1・第2高圧室側ストッパ106,108とに隙間を有する位置に可動し、また、ダイヤフラム102は厚さが薄い程燃料の脈動を良好に低減する。一方、燃料が第1通路部34より連絡凹部107を経由して第2通路部35へと流れる過程において、燃料に混入された金属粉のような異物が貫通孔109より第2高圧室104に侵入することがある。第2高圧室104に異物が侵入した場合、上記ダイヤフラム102の可動による第2高圧室104内での燃料の動きにより、異物は第2高圧室104の周囲に堆積する。そして、高圧燃料ポンプ3の動作停止により、ダイヤフラム102が第2高圧室側ストッパ108に接触する際、ダイヤフラム102が上記第2高圧室104の周囲に堆積した異物を第2高圧室側ストッパ108との間に挟み込み、ダイヤフラム102が異物により変形される。その変形部に局部的に高い応力が発生し、ダイヤフラム102が亀裂を生じて破損する可能性があった。
【0008】
この発明の目的は上記課題を解決するためになされたもので、ダイヤフラムの剛性を向上することができる高圧燃料ポンプの金属ダイヤフラム式脈動吸収装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る高圧燃料ポンプの金属ダイヤフラム式脈動吸収装置は、可撓性を有する金属円板状のダイヤフラムが高圧室を形成する高圧容器に設けられ、ダイヤフラムの周縁部が高圧容器に封止支持された高圧燃料ポンプの金属ダイヤフラム式脈動吸収装置において、前記可撓性を有する金属円板状のダイヤフラムは厚さおよび大きさの同じな複数のダイヤフラムが重ね合せられるとともに、その重ね合せられた全体の厚さが前記ダイヤフラムの重ね合せ枚数倍に構成され、一方が析出硬化型ステンレス鋼により形成され、複数のダイヤフラムの他方がオーステナイト系ステンレス鋼により形成され、オーステナイト系ステンレス鋼により形成されたダイヤフラムが高圧な燃料の脈動を受ける側に配置されたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
参考例
図1はこの発明の参考例に係る高圧燃料ポンプ3の高圧ダンパ10まわりを示す断面図、図2は対比例を示す断面図、図3は高圧ダンパ10の剛性比較を示す試験結果図、図4は高圧ダンパ10の応力比較を示す試験結果図、図5は高圧ダンパ10の判定結果を示す図表である。図1において、高圧ダンパ10は複数のダイヤフラム102A,102Bを重ね合せて、ダイヤフラム102A,102Bによる剛性を向上する特徴がある。つまり、ダイヤフラム102A,102Bそれぞれは前述のダイヤフラム102と同一の厚さと大きさを有するものが2枚重ね合せられ、それらのダイヤフラム102A,102Bの周縁部がケース100とプレート101との間に封止支持されている。ダイヤフラム102A,102B以外の要素は従来の図8と同じである。
【0014】
図2において、対比例はダイヤフラム102Cが単一であるが、ダイヤフラム102Cは厚さが前述のダイヤフラム102の2倍であり、大きさが前述のダイヤフラム102と同一であり、ダイヤフラム102Cの周縁部がケース100とプレート101との間に封止支持されている。
【0015】
図3において、前記従来例と前記対比例と参考例との圧力と変化量とに依存する剛性比較を行った実験結果について説明する。図3は、横軸にダイヤフラム前後の圧力差を示し、縦軸に第1高圧室103の容積変化量を示し、それぞれのダイヤフラム102,102A〜102B,102Cに第1高圧室103側から圧力を印加した状態においてそれぞれのダイヤフラム102,102A〜102B,102Cが第2高圧室104側に撓むことにより、その撓み量を第1高圧室103の容積変化量として換算し、プロットしたものであって、曲線L1が従来例を表し、曲線L2が対比例を表し、曲線L3が参考例を表している。この図3を考察すると、従来例に対し対比例は容積変化量が小さく剛性が高くなっていることがわかる。それに対し参考例はダイヤフラム102A,102Bを2枚重ね、ダイヤフラム102A,102Bよりなる全体の厚みを対比例と同一にした場合、対比例とほぼ同等まで剛性が高くなっていることがわかる。また脈動吸収性能において剛性を高くした場合、性能の低下が懸念されるが、従来例に対し対比例、参考例の脈動吸収性能への影響が小さいことも確認した。
【0016】
図4において、前記従来例と前記対比例と参考例との上記容積変化量と表面発生応力とに依存する応力比較を行った実験結果について説明する。図4は、横軸に第1高圧室103の容積変化量を示し、縦軸にダイヤフラムの表面発生応力を示し、それぞれのダイヤフラム102,102A〜102B,102Cが図3の容積変化量を示した際におけるそれぞれのダイヤフラム102,102A〜102B,102Cの表面発生応力をプロットしたものであって、曲線L4が従来例を表し、曲線L6が対比例を表し、曲線L5が参考例を表している。この図3を考察すると、参考例の表面発生応力は従来例に類似する直線性を有することがわかる。対比例は、容積変化量が小さい間は表面発生応力が参考例に類似する直線性を有するが、容積変化量が大きくなるにしたがい、表面発生応力が参考例よりも大きくなり、しかも非直線性となることがわかる。
【0017】
図3と図4との実験結果を合わせて考察すると、異物に対する剛性を上げるには対比例のダイヤフラム102Cのように単一で厚さを従来例のダイヤフラム102の2倍にすれば良いが、対比例のダイヤフラム102Cのように単一で厚い場合には容積変化量が大きくなるにしたがい表面発生応力が急激に大きくなり、高圧ダンパ10として通常作動した場合の表面発生応力が高くなり作動時の耐久性を低下させる可能性がある。これに対し、参考例のように従来例のダイヤフラム102と厚さと大きさとが同じダイヤフラム102A,102Bを重ね合せ、それらのダイヤフラム102A,102Bの周縁部をケース100とプレート101との間に封止支持した場合には、表面発生応力を従来例と同等に抑え、剛性をほぼ対比例と同等まで高くすることができることが明らかであろう。また、対比例の場合には、ダイヤフラム102Cの大きさを大きくすれば、表面発生応力を参考例や従来例に類似する直線性とすることは可能であるが、高圧ダンパ10の大きさが大きくなることは否めない。よって、参考例の構造によれば、従来例よりも剛性が高くなるが、高圧ダンパ10の大きさはそのままで、高圧ダンパ10としての高圧な燃料の脈動吸収性能が良好であることが理解できるであろう。
【0018】
図5において、図3の剛性比較実験結果と図4の表面発生応力比較結果とを判定すると、従来例では表面発生応力は「〇」であるが、剛性は「×」である。対比例では表面発生応力は「×」であるが、剛性は「〇」である。参考例では表面発生応力と剛性とがともに「〇」であると、判定できた。
【0019】
参考例の構造によれば、厚さと大きさが従来と同じダイヤフラム102A,102Bを重ね合せ、それらのダイヤフラム102A,102Bの周縁部をケース100とプレート101との間に封止支持したことにより、ダイヤフラム102A,102Bに発生する応力を従来例と同レベルに抑えたまま、ダイヤフラム102A,102Bの剛性が高くなり、金属粉のような異物に対するダイヤフラム102A,102Bの変形や破損を防止することができる。また、第2高圧室104よりダイヤフラム102A,102Bに異常に高い圧力がかかったり、第1高圧室103のガス圧が異常に低下した場合、ダイヤフラム102A,102Bが第1高圧室側ストッパ106に当接し、さらに、圧力が同方向にかかった場合におけるダイヤフラム102A,102Bの耐久性を向上することができる。
【0020】
実施の形態
図6は、この発明の実施の形態に係る高圧ダンパ10のダイヤフラム102D,102Eの周縁部まわりを示す断面図である。前記参考例ではダイヤフラム102A,102Bの材質が同じとしたが、図6では、ダイヤフラム102D,102Eの材質を互いに異なる材質で構成した。ダイヤフラム102D,102Eは厚さと大きさが従来例のダイヤフラム102と同じものを2重にするが、ダイヤフラム102Dの材質はオーステナイト系ステンレス鋼とし、ダイヤフラム102Eの材質は析出硬化型ステンレス鋼である。これらのダイヤフラム102D,102Eを重ね合せ、ダイヤフラム102D,102Eの周縁部をケース100とプレート101とに封止支持することにより、溶接部112にフェライトが析出し、溶接部112の延性が良くなり、溶接部112の破壊強度が向上する。しかも、材料強度的に有利な析出硬化型ステンレス鋼からなるダイヤフラム102Eが第1高圧室103側に配置され、オーステナイト系ステンレス鋼により形成されたダイヤフラム102Dが高圧な燃料の脈動を受ける側である第2高圧室104側に配置されたので、異物に対する耐久性を維持したまま、溶接部112の耐圧強度を向上させることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、厚さおよび大きさの同一な可撓性を有する金属円盤状の複数のダイヤフラムが重ね合せられるとともに、それらの重ね合せられた全体の厚さがダイヤフラムの重ね合せ枚数倍に構成され、それらの重ね合せられた複数のダイヤフラムの周縁部が高圧容器に封止支持されたことにより、ダイヤフラムに発生する応力を従来例と同レベルに抑えたまま、ダイヤフラムの剛性が高くなり、金属粉のような異物に対するダイヤフラムの変形や破損を防止することができ、複数のダイヤフラムの一方が析出硬化型ステンレス鋼により形成され、複数のダイヤフラムの他方がオーステナイト系ステンレス鋼により形成されたので、それらのダイヤフラム周縁部を高圧容器に溶接で封止支持することにより、溶接部にフェライトが析出し、溶接部の延性が良くなり、溶接部の破壊強度を向上することができ、オーステナイト系ステンレス鋼により形成されたダイヤフラムが高圧な燃料の脈動を受ける側に配置されたので、異物に対する耐久性を維持したまま、溶接部の耐破壊度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る高圧燃料ポンプの高圧ダンパまわりを示す断面図である。
【図2】 対比例を示す断面図である。
【図3】 従来例と対比例と実施の形態1とにおける剛性比較を示す試験結果図である。
【図4】 従来例と対比例と実施の形態1とにおける応力比較を示す試験結果図である。
【図5】 従来例と対比例と実施の形態1とにおける判定結果を示す図表である。
【図6】 この発明の実施の形態2に係る高圧燃料ポンプの高圧ダンパまわりを示す断面図である。
【図7】 従来の自動車の燃料供給系統を示す模式図である。
【図8】 同従来の高圧燃料ポンプの高圧ダンパまわりを示す断面図である。
【符号の説明】
10 高圧ダンパ、100 ケース、101 プレート、
102A,102B,102D,102E ダイヤフラム、
103 第1高圧室、104 第2高圧室、106 第1高圧室側ストッパ、
108 第2高圧室側ストッパ。
Claims (1)
- 可撓性を有する金属円板状のダイヤフラムが高圧室を形成する高圧容器に設けられ、ダイヤフラムの周縁部が高圧容器に封止支持された高圧燃料ポンプの金属ダイヤフラム式脈動吸収装置において、前記可撓性を有する金属円板状のダイヤフラムは厚さおよび大きさの同じな複数のダイヤフラムが重ね合せられるとともに、その重ね合せられた全体の厚さが前記ダイヤフラムの重ね合せ枚数倍に構成され、複数のダイヤフラムの一方が析出硬化型ステンレス鋼により形成され、複数のダイヤフラムの他方がオーステナイト系ステンレス鋼により形成され、オーステナイト系ステンレス鋼により形成されたダイヤフラムが高圧な燃料の脈動を受ける側に配置されたことを特徴とする高圧燃料ポンプの金属ダイヤフラム式脈動吸収装置。
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