JP2003506543A - ポリエーテルポリオールの製造方法 - Google Patents

ポリエーテルポリオールの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、誘導時間を劇的に短縮する複金属シアン化物(DMC)触媒作用によるポリエーテルポリオールの製造方法に関する。アルキレンオキシドの出発物-触媒混合物への連続供給により誘導段階を、バッチ式活性化と比べて劇的に短縮することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、誘導段階を著しく短縮させる、複金属シアン化物(DMC)触媒作
用によるポリエーテルポリオールの製造方法に関する。
【0002】 (背景技術) 先行技術によればポリエーテルポリオールは、金属水酸化物触媒作用(例えば
KOH)によるアルキレンオキシドの活性水素原子含有出発化合物への重付加に
より製造される。Ullmanns "Encyclopaedie der technischen Chemie", 第14巻,
1963年, 第49頁以降参照。この方法における重付加反応速度は非常に遅い。先
行技術の方法における反応温度、触媒濃度および製造するポリエーテルポリオー
ルのOH価に応じて、末端二重結合を有する単官能性ポリエーテル、いわゆるモ
ノオールがさらに形成し、その後のポリウレタンへの適用のための生成物の使用
を制限する。さらに、重付加後に使用した塩基を除去しなければならない。これ
は、例えば酸の添加、中和吸収剤、イオン交換体を使用すること、または他の方
法のいずれかにより達成することができる。この場合に生ずる中和水および形成
した塩を、さらなる加工の前に同様に分離しなければならない。現状の技術に従
い使用する方法のこの簡単な記載は、労働集約およびコスト集約性のポリエーテ
ルポリオール製造を示す。
【0003】 複金属シアン化物(DMC)触媒は、ポリエーテルポリオールを製造するため
にかなり前から知られている(例えば、US-A 3 404 109、US-A 3 829 505、US-A
3 941 849 および US-A 5 158 922 参照)。これらDMC触媒をポリエーテル
ポリオールの製造のために使用することにより、特に末端二重結合を有する単官
能性ポリエーテル、いわゆるモノオールの割合が、通例の塩基触媒によるポリエ
ーテルポリオールの製造と比べて減少する。こうして得られたポリエーテルポリ
オールは、高品質ポリウレタン(例えばエラストマー、フォーム、塗料)に加工
することができる。そのような改良DMC触媒は、EP-A 700 949、EP-A 761 708
、WO 97/40086、WO 98/16310、DE-A 197 45 120、DE-A 197 57 574 および DE-A
198 10 269 に例えば記載されており、それらはさらに極端に高活性であり、非
常に低い触媒濃度(25ppm以下)でポリエーテルポリオールを製造すること
ができ、それによりポリオールから触媒の分離がもはや不要となる。
【0004】 時々長引く誘導時間は、DMC触媒ポリエーテルポリオール製造にとって不都
合である。この段階中で、分子鎖は非常にゆっくりとのみ増成し、それにより非
常に貧弱な空間-時間収率となる。これは結局、KOH触媒法に比べより急速な
重付加および本質的に単純化される生成物の後処理により与えられる経済的利点
を減少させることを意味する。
【0005】 誘導時間を減少させる1つの可能性は、反応器内のアルキレンオキシド濃度を
向上させることである。しかしながら高濃度の自由アルキレンオキシドは大きな
危険の可能性を作り出す。なぜなら触媒活性化により強烈な熱が放出される場合
があり、その結果温度が未制御に上昇し得る。これはポリオールへの大きな熱供
給につながり、それにより一方で、例えばより高い粘度またはより広い分子量分
布によって生成物品質が損なわれる場合があり、他方で、促進される老化によっ
て触媒活性が減少し得る。極端な場合、未制御の温度上昇は、ポリエーテルポリ
オールの断熱的熱分解にさえつながり得る。
【0006】 上欄に記載した問題を考慮して、反応器には、通常(例えば WO 97/23544 参
照)、ポリオールの反応を行うために必要なアルキレンオキシド総量の一部だけ
が装填される。その後、明らかな反応器内の圧力低下により触媒が完全に活性化
したことが示されるまで待機した後でのみ、さらなるアルキレンオキシドを反応
器に供給する。
【0007】 (発明の開示) 驚くべきことにDMC触媒ポリエーテルポリオール製造における誘導段階が、
少量のアルキレンオキシドを誘導段階中において連続的に、好ましくは反応器内
で一定圧力となるような量で供給する場合、著しく短縮し得ることを見出した。
【0008】 (発明を実施するための最良の形態) 活性化のために使用する自由アルキレンオキシド量を、この場合、最大許容反
応器温度(Tmax)、またはこれが製造すべきポリエーテルポリオールの分解温
度を超える場合にはその分解温度(Tmax)のいずれかに基づき修正すべきであ
る。反応器内における自由アルキレンオキシドの限界濃度(C限界)を、反応温
度(T反応)および反応エンタルピー(ΔHR)の関数として次式:
【数1】 に従い計算することができる。
【0009】 それゆえ本発明は、アルキレンオキシドの活性水素原子含有出発化合物へのD
MC触媒重付加によるポリエーテルポリオールの製造方法であって、アルキレン
オキシドを誘導段階中に反応器に連続的に供給する方法を提供する。ポリエーテ
ルポリオールの製造のために必要な出発化合物および触媒の総量が、好ましくは
反応開始における当初反応器投入物中に存在する。アルキレンオキシドを、好ま
しくは反応器内の圧力を誘導段階中に一定に保持するように添加する。
【0010】 DMC触媒を、誘導段階中に一般に20〜200℃の温度、好ましくは40〜
180℃の範囲内、特に好ましくは50〜150℃の温度で活性化させる。この
段階における反応を、0.001〜20barの全圧、好ましくは0.5〜10b
arの全圧、特に好ましくは1〜6barの全圧で行い得る。
【0011】 誘導時間は、反応器圧力を一定に保持するために非常に少量のアルキレンオキ
シドのみを投入する必要があることに特色がある。この段階において触媒活性が
ゆっくりと増加するので、投入量も徐々に増加させることができる。触媒の完全
な活性化は、アルキレンオキシド投入速度が著しく増大し、同時に反応器内で圧
力上昇が観測されないという事実により確認することができる。触媒の完全な活
性化後に重付加が開始し、重付加は、しばしば投入速度が反応器または外部熱移
動手段の熱移動速度のみにより制限されるように急速に進行する。図1は、不連
続投入よりも著しく急速な触媒活性化が本発明の方法により達成できることを示
す。
【0012】 使用する出発物質量に対し10質量%の自由アルキレンオキシドを用いること
により、連続投入により達成することができる誘導時間は、約18質量%の含有
量での不連続投入により達成されるものに匹敵する。触媒誘導時間の次に、DM
C混合物のアルコキシル化段階が来る。この段階での反応制御は、一般にもはや
反応圧力ではなく、反応器温度による。それゆえ投入速度は、高触媒活性の故に
、反応器またはバイパスに連結された熱伝導手段の熱移動速度によりしばしば制
限される。
【0013】 本発明の方法のために好適なDMC触媒は基本的に既知であり、上記の先行技
術で詳細に記載されている。例えば EP-A 700 949、EP-A 761 708、WO 97/40086
、WO 98/16310、DE-A 197 45 120、DE-A 197 57 574 および DE-A 198 10 269
に記載されている改良高活性DMC触媒を好ましくは使用する。典型例は、DE-A
198 10 269 に記載されているDMC触媒であり、それは複金属シアン化物化合
物(例えばヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛)および有機錯体配位子(例え
ば tert-ブタノール)に加えて、500g/molを超える数平均分子量を有す
るエチレンオキシドポリエーテルも含有する。
【0014】 好ましく使用するアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキ
シド、ブチレンオキシドおよびこれらの混合物である。ポリエーテル鎖のアルコ
キシル化による製造は、例えば1種のみのエポキシドモノマーを用いて、または
2または3種の異なるエポキシドモノマーをランダムまたはブロック的に用いて
行うことができる。より詳細な情報は、Ullmanns "Encyclopaedie der industri
ellen Chemie", 第A21巻, 1992年, 第670頁以降にある。
【0015】 好ましく使用する活性水素原子含有出発化合物は、分子量18〜2,000g
/mol、好ましくは200〜2,000g/mol、およびヒドロキシル基1
〜8個、好ましくは2〜6個を有する化合物である。次のものを例として挙げる
ことができる:ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1
,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、グリセロ
ール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、分解デンプンまたは
水。
【0016】 例えば通例のアルカリ触媒作用により上記低分子量出発化合物から製造された
ものであり、数平均分子量200〜2,000g/molを有するオリゴマーア
ルコキシル化生成物であるような活性水素原子含有出発化合物を、より有利には
使用する。
【0017】 ヒドロキシル基1〜8個、特に好ましくは2〜6個、および数平均分子量20
0〜2,000g/molを有するプロポキシル化オリゴマー出発化合物を、好
ましくは使用する。これらの化合物を、例えば Ullmanns "Encyclopaedie der i
ndustriellen Chemie", 第A21巻, 1992年, 第670頁以降に従い製造し得る。
【0018】 アルキレンオキシドの出発化合物へのDMC触媒重付加は、一般に20〜20
0℃の温度、好ましくは40〜180℃の範囲内、特に好ましくは50〜150
℃の温度で行う。反応を、全圧0.001〜20barで行い得る。重付加を、
成分のみを用いて、または不活性有機溶媒(例えばトルエンまたはTHF)中で
行い得る。溶媒量は、製造すべきポリエーテルポリオールの量に対して通常10
〜30質量%である。
【0019】 DMC触媒濃度を、所定の反応条件下で重付加の良好な制御ができるように選
択する。触媒濃度は、製造すべきポリエーテルポリオールに対して、通常は0.
0005〜1質量%の範囲内、好ましくは0.001〜0.1質量%の範囲内、特
に好ましくは0.001〜0.01質量%の範囲内である。
【0020】 本発明の方法により製造されるポリエーテルポリオールの分子量は、1,00
0〜100,000g/molの範囲内、好ましくは1,500〜50,000g
/molの範囲内、特に好ましくは2,000〜20,000g/molの範囲内
である。
【0021】 高分子量ポリエーテルアルコールは、ポリウレタン製造のための出発生成物と
して非常に重要である。それらを、分子量および官能性に応じて、エラストマー
、分散液用プレポリマー、軟質フォームおよびポリウレタン塗料の製造のために
好ましくは使用する。
【0022】 実施例 高活性DMC触媒の製造(EP-A 700 949 による合成) 脱イオン水20ml中塩化亜鉛12.5g(91.5mmol)の溶液を、激し
く撹拌しながら(24,000rpm)、脱イオン水70ml中ヘキサシアノコ
バルト酸カリウム4g(12mmol)の溶液に添加する。その直後に、tert-
ブタノール50gと脱イオン水50gとの混合物を、形成した懸濁液に添加し、
次いで10分間激しく撹拌する(24,000rpm)。次いでポリプロピレン
グリコール(数平均分子量2,000g/mol)1g、tert-ブタノール1gお
よび脱イオン水100gから調製した混合物を添加し、3分間攪拌する(1,0
00rpm)。固体物を濾過により単離し、次いで tert-ブタノール70g、脱
イオン水30gおよび上記ポリプロピレングリコール1gから調製した混合物を
用いて10分間撹拌し(10,000rpm)、再濾過する。最後に該生成物を
、tert-ブタノール100gおよび上記ポリプロピレングリコール0.5gから調
製した混合物を用いて、再び10分間攪拌する(10,000rpm)。濾過後
、質量が一定になるまで触媒を標準圧力下50℃で乾燥する。 乾燥粉末触媒の収量:6.23g
【0023】 実施例1 プロピレンオキシド連続投入によるポリエーテルポリオールの製造 ポリエーテル(分子量416g/mol)2696gおよびDMC触媒0.4
gを20L反応器に入れ、105℃に加熱する。反応器を不活性にした後、プロ
ピレンオキシド268g(使用する出発物の10%に対応)を添加する。その後
圧力は、2.3bar(絶対圧力)である。この圧力を、プロピレンオキシドの
連続投入による活性化段階中に一定に保持する。触媒の完全な活性化(誘導時間
の終了に対応)は、投入速度の著しい増加により確認することができる。温度を
反応中一定に保持する。触媒活性化後、プロピレンオキシドの残量(10,00
0g)を、投入速度4.6kg/時間で添加する。こうして製造したポリエーテ
ルは、粘度η=384mPas(25℃)、OH価=55.3mgKOH/g、
二重結合含有量=5mmol/kgを有する。誘導時間は224分である。
【0024】 実施例2(比較例) 誘導段階中のプロピレンオキシド不連続投入によるポリエーテルポリオールの 製造 ポリエーテル(分子量416g/mol)2724gおよびDMC触媒0.4
gを20L反応器に入れ、105℃に加熱する。反応器を不活性にした後、プロ
ピレンオキシド545g(使用する出発物の質量に対して20質量%に対応)を
添加する。その後圧力は、3.4bar(絶対圧力)である。触媒の活性化は、
圧力のより急速な圧力低下により確認することができる。温度を反応中一定に保
持する。触媒活性化後、プロピレンオキシドの残量(10,234g)を、投入
速度4.6kg/時間で添加する。こうして製造したポリエーテルは次の特性を
有する:粘度η=382mPas(25℃)、OH価=55.2mgKOH/g
、二重結合含有量=5mmol/kgを有する。誘導時間は144分である。
【0025】 この投入変法によるさらなる比較例により、活性化時間は反応器内の自由プロ
ピレンオキシド濃度の上昇により減少させ得ることが示されるが、それは系の安
全性を犠牲にする。例えばアルキレンオキシド濃度を10質量%に低減させるこ
とにより、不連続法の変法における成果は実現されない。なぜならこの場合、経
済的利点がほとんど無いかまたは全く無くなるほど誘導時間が長くなるからであ
る。図1に示すように本発明の方法を使用することにより、使用する出発物質量
に対して約18質量%のアルキレンオキシドを使用する不連続活性化での誘導時
間に匹敵する誘導時間を達成しながら、触媒活性化のための自由アルキレンオキ
シド濃度を所定の反応条件下で問題無く10質量%に低減させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 マンフレート・ディートリッヒ ドイツ連邦共和国デー−60599フランクフ ルト、ヴァッサーホーフシュトラーセ1 /1番 (72)発明者 プラモト・グプタ ドイツ連邦共和国デー−50181ベットブル ク、カルディナル−フリングス−シュトラ ーセ20アー番 (72)発明者 クリスティアン・シュタインライン ドイツ連邦共和国デー−40882ラーティン ゲン、ミランシュトラーセ47番 (72)発明者 ホルスト・ツヴィック ドイツ連邦共和国デー−41539ドルマゲン、 ヴァルホーフェナーシュトラーセ90番 Fターム(参考) 4J005 AA12 BB02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキレンオキシドの活性水素原子含有出発化合物へのDM
    C触媒重付加によるポリエーテルポリオールの製造方法であって、アルキレンオ
    キシドを誘導段階中に反応器に連続的に供給する方法。
  2. 【請求項2】 ポリエーテルポリオールの製造のために必要な出発化合物お
    よび触媒の総量が、反応開始における当初反応器投入物中に存在する請求項1に
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 反応器内の圧力を、誘導段階中に一定に保持する請求項1ま
    たは2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 ヒドロキシル基1〜8個および分子量18〜2,000g/
    molを有する出発化合物を使用する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 ヒドロキシル基1〜8個および数平均分子量200〜2,0
    00g/molを有するプロポキシル化オリゴマー出発化合物を、活性水素原子
    含有出発化合物として使用する請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 DMC触媒を、製造すべきポリエーテルポリオールの量に対
    し0.001〜0.1質量%の濃度で使用する請求項1〜5のいずれかに記載の方
    法。
JP2001515737A 1999-08-06 2000-07-25 ポリエーテルポリオールの製造方法 Pending JP2003506543A (ja)

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