JP2003337435A - 電子写真感光体及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体及び電子写真装置

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JP2003337435A JP2003067020A JP2003067020A JP2003337435A JP 2003337435 A JP2003337435 A JP 2003337435A JP 2003067020 A JP2003067020 A JP 2003067020A JP 2003067020 A JP2003067020 A JP 2003067020A JP 2003337435 A JP2003337435 A JP 2003337435A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面の滑り性及び耐久性に優れた電子写真感光
体及び良好な画像を得る電子写真装置を提供する。 【解決手段】少なくともクリーニング装置および現像装
置を有する電子写真装置に用いられる電子写真感光体で
あって、該電子写真感光体は、円筒状導電性支持体上
に、少なくとも感光層を有し、かつ該感光層の最外表面
層のガラス転移点が100℃以下であり、かつ該電子写
真感光体にクリーニング装置が接触することにより発生
する動摩擦トルクがポリカーボネート管比1.5以下で
あることを特徴とする電子写真感光体及び該電子写真感
光体を用いる電子写真装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体に
関し、更に詳しくは、電気特性に優れると共に表面の滑
り性にも優れた電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より電子写真方式の画像形成方法と
して、感光体を一様に帯電させ、次いで、露光して、露
光された部分の電荷を消散させることにより静電荷潜像
を形成し、これに荷電させたトナーを付着させることに
よってその静電荷潜像を可視化させ、得られた可視像を
転写紙等の転写材に転写させ、加熱、加圧等によってそ
の可視像を転写材に定着させる方法が、即時に高品質の
画像が得られることから、複写機やプリンター等におい
て広く利用されている。
【0003】このような画像形成方法で用いられる電子
写真感光体の感光層には、従来、セレン、セレン−テル
ル合金、セレン化ヒ素、硫化カドミウム等の無機系光導
電物質が広く用いられてきたが、近年では低公害であ
り、製造が容易な有機系の光導電物質を感光層に用いた
研究が盛んになっている。特に、光を吸収して電荷を発
生する機能を有する電荷発生層を導電性支持体上に形成
させ、さらに、発生した電荷を輸送する機能を有する電
荷輸送層を電荷発生層上に積層した感光体が主流となっ
ており、広く用いられている。このような積層型電子写
真感光体の中には、電荷輸送層が正孔輸送機能を持つも
のと電子輸送機能をもつものがあるが、正孔輸送機能を
持つ電荷輸送層が主流となっている。このような感光体
は負に帯電した場合にのみ感度を有し、負帯電下で使用
される。
【0004】一方、支持体上に電荷輸送層、電荷発生層
をこの順に積層したいわゆる逆二層型の感光体、電荷輸
送媒体中に電荷発生物質の粒子を分散した分散型感光体
が提案され検討が行なわれている。逆二層、分散型感光
体では入射光は表面で吸収され、正孔の発生する領域が
表面付近となり正帯電下で使用される。
【0005】これらの感光体は、転写材へのトナー転写
後に、表面に残留するトナーの除去(クリーニング)及
び場合により除電等が行われ、繰り返し使用される。ト
ナーの除去に使用されるクリーニング装置は、多くの場
合、クリーニングブレードであるが、感光体にはこのよ
うなクリーニングブレードとの繰り返しの接触によって
も円滑に作動するように、表面の滑り性や耐久性が求め
られている。また、最近では、従来のコロナ放電を利用
した非接触の帯電方式に比べ、オゾン発生も少なく環境
に優しいことから、接触帯電方式が使われ始めているた
め、感光体には転写材、クリーニング装置ばかりでな
く、接触型帯電部材等との繰り返しの接触によっても円
滑に作動することが求められている。このような要求に
対して、感光層を形成する電荷輸送物質の使用量、バイ
ンダー樹脂の種類及び分子量等が検討されている。例え
ば、特許文献1には、樹脂中の窒素化合物の含有量が重
量で100ppm以下のポリアリレート樹脂を用いた滑り性の
良い感光体が記載されており、全自動摩擦摩耗試験機を
用いてシート状サンプルのウレタンゴムに対する摩擦係
数を測定している。
【0006】特許文献2には、感光体表面のウレタンゴ
ムに対する摩擦係数(ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム基準)が0.7以下である円筒状感光体が記載され
ている。特許文献3及び特許文献4には、クリーニング
ブレード及びブラシローラーを有し、ブラシローラーの
有効駆動トルクが0.1kgf・cm〜2.0kgf・
cmである画像形成装置が記載されている。
【0007】特許文献5には、40℃と50℃で測定さ
れたウレタンクリーニングブレードに対するトルク比が
1.0〜2.0である保護層を有する感光体が記載され
ている。しかしながら、保護層を有する感光体の場合、
様々な温湿度条件で安定画質を得るために、感光体ヒー
ターを用いる必要があり、電力使用量の上でも、コスト
の上でも望ましくない。
【0008】
【特許文献1】特開2001−201873号公報
【特許文献2】特開昭62−75483号公報
【特許文献3】特開平9−288441号公報
【特許文献4】特開2001−51576号公報
【特許文献5】特開2001−265039号公報
【0009】以上のように様々な感光体が提案されては
いるが、未だ十分とは言えず、更なる改良が求められて
いるのが現状である。更に画像形成に際しては、感光体
から紙等の転写材へのトナーの転写効率の高いことが求
められており、感光体には上述の表面の滑り性や耐久性
に加えて、トナーの離型性にも優れていることが要望さ
れている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の従来
技術に鑑みてなされたもので、表面の滑り性、耐久性及
びトナーの離型性に優れた電子写真感光体を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、少なくとも電子写真感光
体、クリーニング装置および現像装置を有する電子写真
装置に用いる電子写真感光体の感光層の最外表面層のガ
ラス転移点が100℃以下であり、かつ該電子写真感光
体にクリーニング装置が接触することにより発生する動
摩擦トルクがポリカーボネート管比1.5以下である場
合に前記目的が達成できることを見出し本発明を完成し
た。即ち、本発明は、少なくともクリーニング装置およ
び現像装置を有する電子写真装置に用いられる電子写真
感光体であって、該電子写真感光体は、円筒状導電性支
持体上に、少なくとも感光層を有し、かつ該感光層の最
外表面層のガラス転移点が100℃以下であり、該電子
写真感光体にクリーニング装置が接触することにより発
生する動摩擦トルクがポリカーボネート管比1.5以下
であることを特徴とする電子写真感光体および、これを
用いた電子写真装置を要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る電子写真感光体に用
いる円筒状導電性支持体としては、特に限定されるもの
ではなく、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッ
ケル、銅、亜鉛、インジウム、銀、金等の金属或いはそ
の合金、導電性化合物を含有させて導電性を持たせたポ
リエステル、ポリアミド等の樹脂、更には樹脂、ガラ
ス、紙等の絶縁性基体上にアルミニウム、ニッケル、
銅、亜鉛、パラジウム等の金属、酸化錫、酸化インジウ
ム等の金属酸化物等の導電性蒸着層を設けた積層体等か
らなる円筒状のものが挙げられる。
【0013】また、この導電性支持体上に形成された感
光層としては、電荷発生物質と電荷輸送物質がバインダ
ー樹脂中に分散された一層からなる単層型と、電荷発生
物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層と、電
荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層
の二層からなる積層型のいずれであってもよい。
【0014】電荷発生物質としては、特に限定されるも
のではなく、例えば、セレン、及びセレン−テルル合金
等のその合金、セレン化砒素、硫化亜鉛、硫化カドミウ
ム、硫化アンチモン等の金属硫化物、酸化亜鉛、酸化チ
タン等の金属酸化物、アモルファスシリコン等のシリコ
ン系材料等の無機光導電性物質、フタロシアニン系、ア
ゾ系、キナクリドン系、多環キノン系、ピリリウム系、
ペリレン系、インジゴ系、チオインジゴ系、アントアン
トロン系、ピラントロン系、シアニン系等の各種染顔料
等の有機光導電性物質等が挙げられる。中でも、珪素、
チタン、バナジウム、ガリウム、銅、亜鉛、インジウ
ム、錫等の金属、又はその酸化物、塩化物、水酸化物が
配位した、又は無配位のフタロシアニン系顔料、モノア
ゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾ等のアゾ系
顔料が好ましい。これらの電荷発生物質は、単独で用い
ても又は2種以上を併用してもよい。
【0015】積層型感光体の場合、電荷発生物質は電荷
発生層を構成する主成分であり、例えば蒸着、スパッタ
ーの様な方法で成膜した均一な層として用いてもよく、
また微粒子の形でバインダー樹脂に分散された形で用い
られてもよい。この場合、電荷発生層は、前記電荷発生
物質、及び公知のバインダー樹脂や添加剤等を、分散媒
に分散させて塗布液とし、これを前記支持体上に、或い
はその上に形成された下引き層上に塗布し、乾燥させる
ことにより形成される。バインダー樹脂としてはポリ酢
酸ビニル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタ
クリル酸エステル樹脂、ポリエスエル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマ
ール等のポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、
セルロースエステル、セルロースエーテル、ウレタン樹
脂、エポキシ樹脂などバインダー樹脂として公知の各種
のものが使用できる。
【0016】電荷発生物質とバインダー樹脂との組成比
は、通常重量比で100対10ないし5対100の範囲が好まし
く、またこの電荷発生層には電荷輸送物質が含有されて
いてもよい。電荷輸送物質としては例えば、フルオレノ
ン誘導体、テトラシアノキノジメタン、ベンゾキノン誘
導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジ
フェノキノン誘導体などの電子吸引性物質、カルバゾー
ル、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾ
ール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール
などの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導
体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、或いはこ
れらの化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合
体などの電子供与性物質が挙げられる。電荷輸送物質と
バインダー樹脂との割合は、バインダー樹脂100重量
に対して電荷輸送物質が5〜500重量部の範囲で使用
される。電荷発生層の乾燥膜厚は通常0.1〜10μmが好
ましい。
【0017】電荷輸送層は、電荷輸送物質をバインダー
樹脂として優れた性能を有する公知のポリマーと共に適
当な溶剤中に溶解し、必要に応じて更にこれに電子吸引
性化合物、あるいは、酸化防止剤、可塑剤、レベリング
剤、顔料その他の添加剤を添加して塗布液を調製し、こ
れを上記電荷発生層の上に塗布することにより、製造す
ることができる。バインダー樹脂としては種々の公知の
樹脂が使用できる。ポリカーボネート樹脂、ポリエステ
ル樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリ
ル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂などの熱可塑性
樹脂や硬化性の樹脂が使用できる。とくに摩耗、傷の発
生の少ないポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹
脂、ポリエステル樹脂が好ましく、また、これらの混合
物であっても良いことは言うまでもない。中でも、ポリ
アリレート系樹脂を主成分として用いるのが特に好まし
い。電荷輸送物質は、バインダー樹脂100重量部に対
して例えば10〜200重量部、好ましくは30〜15
0重量部の範囲で配合される。電荷輸送層の乾燥膜厚
は、好ましくは10〜50μm、更に好ましくは13〜
35μmである。
【0018】電荷輸送物質としては、各種ピラゾリン誘
導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチル
ベン誘導体、アリールアミン誘導体等の有機低分子化合
物、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖または側鎖
に有する重合体や、ポリビニルカルバゾール、ポリピニ
ルピレン、ポリアセナフチレン等の有機高分子化合物な
どが使用できる。これらのうち、ヒドラゾン誘導体、ス
チルベン誘導体、アリールアミン誘導体等の化合物が好
ましく、中でもヒドラゾン化合物が特に好ましい。
【0019】一般的に積層型感光体の場合、電荷発生層
の上に電荷輸送層が形成されることが多い。この場合、
電子写真感光体の最外表面層は電荷輸送層となるが、そ
のガラス転移点は、通常は30℃以上かつ100℃以下
であり、好ましくは、40℃以上かつ90℃以下であ
る。このような範囲のガラス転移点を有するものが良好
な結果を示す理由は定かではないが、ガラス転移点が低
いと、クリーニングブレードが感光層に圧接したとき、
圧接により感光層に微視的な変形が起こりやすいと予想
され、この変形がブレードの滑りを助けると考えられ
る。しかしながら、ガラス転移点が低過ぎて常温に近い
ものは、感光体の非使用時にも変形が生じ、この変形が
画像欠陥を引き起こすと考えられる。なお、本発明に係
る電子写真感光体は、電荷輸送層の上に電荷発生層が形
成されている逆二層型の積層型感光体、すなわち最外表
面層が電荷発生層となるものであってもよく、この場合
には電荷発生層のガラス転移点が上記の条件を満たすよ
うにすればよい。
【0020】また本発明に係る電子写真感光体は単層型
感光体、すなわち感光層自身が最外表面層となるもので
あってもよく、この場合には感光層そのもののガラス転
移点が上記の条件を満たすようにすればよい。単層型感
光体の感光層の形成は、前記のような電荷発生物質、電
荷輸送物質、及びバインダー樹脂を、溶媒或いは分散媒
に溶解或いは分散させたものに、更に所望により種々の
添加剤などを加えたものを塗布液として、前記した支持
体上に、或いはその上に形成された下引き層などの上に
塗布し、乾燥させることによりなされる。感光層の乾燥
膜厚は、好ましくは5〜50μm、更に好ましくは10
〜30μmである。
【0021】本発明に係る積層型電子写真感光体の感光
層に使用される電荷輸送物質としては、ヒドラゾン化合
物が好ましく、バインダー樹脂としては、ポリアリレー
ト系樹脂を主成分として用いるのが好ましいことは先に
説明したとおりであるが、逆二層型や単層型の電子写真
感光体にもこれらを用いるのが好ましい。本発明で用い
るのに好適なポリアリレート系樹脂の例としては、下記
一般式(1)で表される構成単位を含むポリアリレート
樹脂が挙げられる。
【0022】
【化1】
【0023】〔式(1)中、Xは、置換基を有していて
もよいアルキレン基、置換基を有していてもよいシクロ
アルキレン基、置換基を有していてもよいフェニルアル
キレン基、置換基を有していてもよいフルオレンジイル
基、エーテル基、カルボニル基、チオエーテル基、スル
フィニル基、スルホニル基、又は単結合を示し、Yは置
換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有して
いてもよいビフェニレン基、又は置換基を有していても
よいナフチレン基を示し、二つのベンゼン環A、Bは置換
基を有していてもよい。〕
【0024】ここで、Xがアルキレン基であるときの炭
素数は、1〜10であるのが好ましく、1〜4であるの
が更に好ましく、又、シクロアルキレン基であるときの
炭素数は、3〜10であるのが好ましく、5〜7である
のが更に好ましく、又、フェニルアルキレン基であると
きのアルキレン基の炭素数は、1〜4であるのが好まし
く、1〜3であるのが更に好ましい。
【0025】又、Xがアルキレン基、シクロアルキレン
基、フェニルアルキレン基、又はフルオレンジイル基で
あるときの置換基、及び、Yのフェニレン基、ビフェニ
レン基、ナフチレン基の置換基としては、例えば、炭素
数1〜4のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ニト
ロ基、ハロゲン原子等が挙げられ、又、二つのベンゼン
環A、Bにおける置換基としては、例えば、炭素数1〜4
のアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子等が挙げられ
る。
【0026】前記式(1)で表される構成単位のなかで
も、Xがアルキレン基、又はフェニルアルキレン基であ
るものが好ましく、メチレン基であるものが特に好まし
い。又、Yは置換基を有していてもよい1,3−結合の
フェニレン基と、置換基を有していてもよい1,4−結
合のフェニレン基との混合物であって、両者の合計に対
して1,3−結合のフェニレン基の割合が、0〜0.5
のモル比であるものが好ましく、0.1〜0.4のモル
比であるものが特に好ましい。又、二つのベンゼン環
A、Bが、3−メチル置換又は3,5−ジメチル置換であ
るものが好ましく、3,5−ジメチル置換であるものが
特に好ましい。
【0027】なお、前記式(1)で表されるポリアリレ
ート系樹脂は、芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸又
はそのクロライドとを溶融重合法、溶液重合法、又は界
面重合法で反応させる公知の方法によって製造される。
【0028】又、本発明に係る電子写真感光体において
は、導電性支持体と感光層との間には、下引き層或いは
陽極酸化被膜が設けられていてもよく、両者が併用され
ていてもよい。下引き層は、酸化アルミニウム、酸化珪
素、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム
等の金属酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロ
ンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸金属塩、窒化
チタン、窒化珪素等の窒化物、炭化チタン、炭化珪素等
の炭化物等の微粒子が、通常、ポリアクリル酸、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン
樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース、カゼイン、エポキ
シ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等のバインダー
樹脂中に分散されている層で、それらの微粒子とバイン
ダー樹脂を溶媒或いは分散媒に溶解或いは分散させて塗
布液を調製し、これを支持体表面に塗布し、乾燥させる
ことにより形成される。上記微粒子は、処理、未処理の
どちらであってもよい。下引き層の乾燥膜厚は、好まし
くは0.01〜50μm、更に好ましくは0.1〜10
μmである。
【0029】陽極酸化被膜は、最も一般的なアルミニウ
ム支持体表面に陽極酸化処理により形成される。支持体
は陽極酸化処理を施す前に、酸、アルカリ、有機溶剤、
界面活性剤、エマルジョン、電解などの各種脱脂洗浄方
法により脱脂処理されることが好ましい。陽極酸化被膜
は通常の方法、例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホ
ウ酸、スルファミン酸などの酸性浴中で、陽極酸化処理
することにより形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理
が最も良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の
場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニ
ウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解
電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2
の範囲内に設定されるのが好ましいが、これに限られる
ものではない。このようにして形成された陽極酸化被膜
の膜厚としては、通常は20μm以下であり、好ましく
は10μm以下、更に好ましくは7μm以下である。
【0030】陽極酸化処理された支持体は封孔処理が行
なわれる。封孔処理液としては、ニッケルイオンを含む
液(例えば酢酸ニッケルを含む液、フッ化ニッケルを含
む液)等、常法の封孔処理液が使用できる。
【0031】本発明において、感光層や下引き層の塗布
液の作製に用いられる溶媒或いは分散媒としては、電子
写真感光体の製造工程で用いられるものであれば特に限
定されるものではなく種々の溶媒を用いてよい。例え
ば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコ
ール類; テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、
1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル
類;メチルエチルケトン、2,4−ペンタンジオン、シ
クロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素;酢酸エチル、蟻酸メチル、マロン酸ジ
メチル等のエステル類;3−メトキシブチルアセテー
ト、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等
のエーテルエステル類;ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン等の塩素化炭化水素などが挙げられる。もちろんこれ
らの中から1種または2種以上選択して用いてもよい。
好ましくは、メタノール、プロパノール、1,2−ジメ
トキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン、2,4−ペンタンジオン、アニソール、トルエン、
マロン酸ジメチル、3−メトキシブチルアセテート、プ
ロピレングリコールメチルエーテルアセテートの中から
選択するのがよい。
【0032】本発明において、前記の各層を形成するた
めの塗布操作は、従来公知の塗布方法に従う。例えば、
浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、スピンナ
ーコーティング法、ブレードコーティング法等を採用し
て行うことができる。
【0033】本発明に係る電子写真装置において、帯電
器としては、コロトロン、スコロトロンに代表されるコ
ロナ帯電器等の非接触帯電器;帯電ローラー、帯電ブラ
シ等の接触帯電器等が用いられる。露光は、ハロゲンラ
ンプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LE
D等の光源を用いて、通常の感光体外部からの露光方
式、感光体内部からの露光方式等により行われる。又、
現像は、カスケード現像、非磁性一成分トナーによる接
触或いは非接触現像、磁性一成分トナーによる接触或い
は非接触現像、二成分磁気ブラシ現像等の乾式現像方式
や液体トナーによる湿式現像方式等により行われる。転
写は、コロナ転写、ローラー転写、ベルト転写等の静電
転写法、圧力転写法、粘着転写法等により、定着は、熱
ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着
等により行われる。又、クリーニングは、ブラシクリー
ニング、磁気ブラシクリーニング、静電ブラシクリーニ
ング、磁気ローラクリーニング、ブレードクリーニング
等により行われる。中でも、ブレードクリーニングが好
ましい。
【0034】図1は、本発明において電子写真感光体に
クリーニング装置が接触することにより発生する動摩擦
トルク測定に用いられる装置概要図の1例である。図1
では感光体ドラムに連結された負荷トルク計が用いられ
ている。すなわち、図1では、負荷トルク計自身がモー
ターを内蔵している例を示しており、感光体ドラムを回
転させながらのトルク測定が可能である。このような負
荷トルク計の例としては、(株)プロテックのPT―1
920型負荷トルク計が挙げられる。
【0035】しかしながら、トルク測定装置は、上記負
荷トルク計に限らず、感光体を回転させながら、回転軸
にかかる回転トルクを測定できる装置であればよい。図
1の動摩擦トルク測定装置においては、感光体ドラムに
クリーニングブレードを圧接した場合の回転トルクから
ブレードを圧接しない場合の回転トルクを差し引くこと
により、感光体にクリーニングブレードが圧接した場合
の動摩擦トルク、すなわち、本発明における電子写真感
光体にクリーニング装置が接触することにより発生する
動摩擦トルクが測定できる。
【0036】図2は、トルク測定装置における感光体ド
ラム部分の断面図である。本装置では、クリーニングブ
レードの感光体への当接部が、感光体の回転軸に対し平
行であり、かつ、感光体静止時においてクリーニングブ
レードが受ける圧力の方向(感光体とクリーニングブレ
ードの当接点における法線方向)が実質上圧力検知装置
の方向である。したがって、クリーニングブレードが受
ける圧力を測定しながら、クリーニングブレードと感光
体の相対的位置を調節することにより、感光体にクリー
ニングブレードを常に同じ条件で圧接させることが可能
である。前記クリーニングブレードが受ける圧力の測定
には、フォースゲージ等が用いられる。中でも、応答性
の速い歪ゲージ、ロードセル等が好ましい。
【0037】さらに、動摩擦トルクの値がクリーニング
ブレードの形状・材質等により、或いは、クリーニング
ブレードを感光体に圧接させる条件により変化すること
を補正するため、感光体ドラムの代わりにポリカーボネ
ート管を用いた場合のトルクの値を標準としている。こ
のようなポリカーボネート管の例として、帝人(株)製
パンライトパイプ等が挙げられる。また、測定に際して
は、なるべく実際の使用条件に合わせるため、感光体上
に少量のトナーを載せて動摩擦トルク測定を行う。例え
ば、水などで十分にほぐした書道用の筆などのような柔
らかい毛をもつものにトナーを含ませて、感光体にトナ
ーを載せればよい。この感光体上のトナーが、クリーニ
ングブレードにより効率よく取り除かれるように感光体
へのクリーニングブレードの圧接条件を決定する。クリ
ーニングブレードには、ウレタンゴムブレードを用い
た。本発明の電子写真装置では、該装置に用いられるト
ナー及びブレードを用いる。
【0038】本発明でいう感光体の動摩擦トルクとは、
感光体ドラムの回転を開始後100回転目付近のトルク
測定値である。感光体ドラムの回転を開始後、感光層の
種類やトナーの種類により、動摩擦トルクが増加するも
のと減少するものがあることがわかっているが、どちら
の変化があるにせよ、100回転目付近では事実上安定
し、動摩擦トルク値とするに適当と考えられる。また、
感光体が1分間に50回転する条件で動摩擦トルクが測
定される。同じ感光層及びトナーであっても、多くの場
合には感光層表面に対する先行する物理的負荷や電気的
負荷の有無により動摩擦トルクの挙動が変化する。一般
に感光層表面に対し物理的または電気的負荷のかかって
いないものを測定した場合には、感光体ドラムの回転に
より動摩擦トルクが次第に増加するが、逆に既に負荷を
受けたことのある感光層の場合には動摩擦トルクは次第
に減少することが多い。従って動摩擦トルクの測定に用
いる感光体ドラムは、表面状態が安定したもの、すなわ
ち感光層を塗布したのち少なくとも数日経過したもので
ある。また感光体ドラムは電子写真装置での使用等の表
面に対する物理的あるいは電気的負荷を受けていないも
のを用いる。標準として用いるポリカーボネート管とし
ては、試料ドラムと同じ形状で、同じく物理的負荷を受
けていないものを用いる。
【0039】本発明に係る電子写真感光体は、上述の方
法で測定された動摩擦トルクが1.5以下、好ましくは
1.4以下であることが必要である。この範囲の動摩擦
トルクを有するものは、クリーニングブレード等のクリ
ーニング装置に対する感光体の滑り性が良好であり、結
果として耐刷性に優れている。本発明に係る電子写真感
光体は、電気特性に優れると共に表面の滑り性やトナー
の離型性にも優れ、複写機やプリンター等に組み込まれ
て好適に使用される。
【0040】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
るが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に
よって限定されるものではない。なお、実施例中に
「部」とあるのは、重量部を表す。
【0041】[実施例1]酸化チタン(石原産業(株)
製 製品名TTO−55N)の表面に3重量%のメチル
水素ポリシロキサンを均一に施した。このメチル水素ポ
リシロキサン処理を施した酸化チタンと混合アルコール
(メタノール/1−プロパノール=7/3)をボールミ
ルに仕込み、16時間分散した。得られた酸化チタン分
散液を、特開平4−31870号公報の実施例に記載の
製造法により製造された下記構造のランダム共重合ポリ
アミドの混合アルコール(メタノール/1−プロパノー
ル=7/3)溶液に加え、最終的に酸化チタン/ポリア
ミド比3/1(重量比)で固形分濃度16重量%の分散
液を調製した。得られた分散液を用いて、表面が鏡面仕
上げされた外径30mm、長さ254mm、肉厚1.0
mmのアルミニウム製シリンダーを浸漬塗布し、乾燥膜
厚が、0.75μmの下引き層を設けた。
【0042】
【化2】
【0043】X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角
(2θ±0.2度) 9.3度、10.6度、13.2
度、15.1度、15.7度、16.1度、20.8
度、23.3度、26.3度、及び27.1度に主たる
回折ピークを持つオキシチタニウムフタロシアニン 1
0重量部を1,2-ジメトキシエタン150重量部に加
え、サンドグラインドミルによって粉砕、分散処理を行
ない顔料分散液Pを作製した。
【0044】次に、X線回折スペクトルにおいて、ブラ
ッグ角(2θ±0.2度) 27.3度に主たる回折ピ
ークを持つオキシチタニウムフタロシアニンについて
も、全く同様にして顔料分散液Qを作製した。このよう
にして作製した顔料分散液P80重量部と、顔料分散液
Q80重量部を混合し、得られた160重量部の顔料分
散液を、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)
製、商品名#6000−C)の5%1,2−ジメトキシ
エタン溶液100重量部に加え、最終的に固形分濃度
4.0%の分散液Rを作製した。この分散液を用いて先
に下引き層を設けたアルミニウム製シリンダーを浸漬塗
布し、乾燥膜厚が0.3g/m2 (約0.3μm)の電
荷発生層を設けた。
【0045】次に、このアルミニウム製シリンダーを、
下記のヒドラゾン化合物70重量部、
【0046】
【化3】
【0047】公知の酸化防止剤である3、5―ジ・t−
ブチル,4−ヒドロキシトルエン(以下、BHTと略す
る)16重量部、下記のシアノ化合物1重量部、
【0048】
【化4】
【0049】及び、バインダー樹脂として、前記一般式
(1)におけるXがメチレン基、Yが1,3−結合のフ
ェニレン基と1,4−結合のフェニレン基とからなり、
両者の合計に対して1,3−結合のフェニレン基を有す
る構成単位の割合が、0.3のモル比であり、二つのベ
ンゼン環が3,5−ジメチル置換体である下記に示す構
成単位からなるポリアリレート樹脂(粘度平均分子量3
4,200)100重量部を、トルエン及びテトラヒド
ロフランの混合溶媒に溶解させた液を用いて、下引き層
および電荷発生層を設けた上記アルミニウムシリンダー
を浸漬塗布することにより、乾燥膜厚が21μmの電荷
輸送層を設けた。このようにして得られたドラムを感光
体Aとする。
【0050】
【化5】
【0051】[実施例2]電荷輸送層用塗布液に、ジメ
チルポリシロキサンと飽和脂肪族炭化水素の混合物(商
品名:Pro-Sur W. Ulrich Additi
ves社製)(以下Pro-Surと略す)0.03重量部を
添加する以外は、実施例1と同様にして感光体Bを作製
した。
【0052】[比較例1]電荷輸送層用塗布液のバイン
ダー樹脂として、ポリアリレート樹脂の代わりに、特開
平3−221962号公報の実施例の製造法により製造
された、2つの繰り返し構造単位を有する下記で表され
るポリカーボネート樹脂100重量部を用い、更に下記
繰り返し構造単位を有する化合物(CT−3)0.15
重量部を添加する以外は、実施例1と同様にして感光体
Cを作製した。
【0053】
【化6】
【0054】
【化7】
【0055】[比較例2]電荷輸送層用塗布液に、前記
CT−3の代わりにPro-Surを0.03重量部添加
する以外は、比較例1と同様にして感光体Dを作製し
た。
【0056】[実施例3]電荷輸送層用塗布液に、次に
示す構造を有する酸化防止剤(商品名:Irganox1076、
チバガイギー社製、CT−4)を26重量部添加する以
外は、比較例1と同様にして感光体Eを作製した。
【0057】
【化8】
【0058】[比較例3]下記のアリールアミン化合物
(CT−5)70重量部、
【0059】
【化9】
【0060】BHT8重量部、前記のシアノ化合物(CT
−2)1重量部、及び、バインダー樹脂として、2つの
繰り返し構造単位を有する下記で表されるポリカーボネ
ート樹脂100重量部を、アニソール及びテトラヒドロ
フランの混合溶媒に溶解させた液を用いて、実施例1と
同様にして下引き層および電荷発生層を設けたアルミニ
ウムシリンダーを浸漬塗布することにより、乾燥膜厚が
21μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られ
たドラムを感光体Fとする。
【0061】
【化10】
【0062】[比較例4]電荷輸送層用塗布液に、前記
化合物(CT−3)0.15重量部を添加する以外は、
比較例3と同様にして感光体Gを作製した。
【0063】[比較例5]前記アリールアミン化合物
(CT−5)50重量部、BHT8重量部、前記のシアノ
化合物(CT−2)1重量部、及び、バインダー樹脂とし
て、以下に示す繰り返し構造単位からなり、1,3−結
合のフェニレン基を有する構成単位と、1,4−結合の
フェニレン基を有する構成単位との合計量に対して前者
の割合が0.05のモル比であるポリアリレート樹脂
(粘度平均分子量35,700)100重量部を、トル
エン及びテトラヒドロフランの混合溶媒に溶解させた液
を用いて、実施例1と同様にして下引き層および電荷発
生層を設けたアルミニウムシリンダーを浸漬塗布するこ
とにより、乾燥膜厚が21μmの電荷輸送層を設けた。
このようにして得られたドラムを感光体Hとする。
【0064】
【化11】
【0065】得られた電子写真感光体について、動摩擦
トルク、特開昭62−75483号公報による摩擦係数
及び感光層のガラス転移点を測定した。結果を表1に示
す。動摩擦トルクは帝人(株)製のパンライトパイプを
標準とした。クリーニングブレードには、ウレタンゴム
ブレードを用い、トナーとしては市販のプリンターであ
るHewlett Packard社製のLaser Jet 4 plus用のトナー
を用いた。特開昭62−75483号公報による摩擦係
数は、同公報に記載された方法に従い、以下のように行
った。測定器は、ヘイドン社製表面試験機14型をドラ
ム状の試料測定用に改造し、ウレタンゴムのブレードが
感光体ドラムに30°の角度をもって接するようにした
(図3)。ウレタンゴムのブレード(商品名:バンコラ
ン、バンドー化学(株)製)の寸法は、幅5mm、長さ
12mm、自由長8mm、厚さ2mmに調整した。ウレ
タンゴムブレードにかけられる荷重は10gであり、ブ
レードはドラム状サンプルに対し順方向に動かし、この
時の荷重を摩擦力とした。また、基準試料として、25
μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:
ルミラー、東レ(株)製)を試料と同じ直径のドラムに
巻き付けたものを用いた。摩擦係数は、以下の式、
【0066】
【数1】 により算出した。
【0067】感光層のガラス転移点は、示差走査熱量分
析装置(DSC220;セイコーインスツルメンツ製)
を用いて、DSCカーブの吸熱ピークの位置より求め
た。また、表1の結果に基づき、動摩擦トルクを特開昭
62−75483号公報による摩擦係数に対しプロット
したものが図4である。図4の結果より、特開昭62−
75483号公報による摩擦係数の小さいものが必ずし
も、動摩擦トルクが小さいと言えず、両者に相関は見ら
れない。
【0068】
【表1】
【0069】電子写真感光体の電気特性の測定には、実
際の電子写真装置の除電、帯電、露光プロセスを模倣す
る機能を持つ電気特性測定装置(三菱化学(株)製)を
用いた。該装置では、帯電は、スコロトロンにより、露
光は、780nmの単色光により、帯電前除電は、66
0nmの赤色LEDにより行い、実際の電子写真装置の
現像位置で感光体の表面電位を測定することが可能であ
る。1分間に感光体が50回転する条件で電気特性を測
定した結果、感光体A、B、Eは、感度・帯電性能共に良
好であることがわかった。
【0070】さらに、感光体A〜Hを市販のプリンタ
ー、Hewlett Packard製 LaserJet4plusに装着し、画像
形成を行った。感光体A、B、Eは、良好な画像が得ら
れ、感光体ドラム回転中の音鳴りも問題なかったが、感
光体C、D、F、G、Hは、良好な画像であるものの僅かな
音鳴りが観測された。この現象を詳しく調べるために、
上記LaserJet 4plus用カートリッジから現像ユニットを
取り外した感光体ドラム、クリーニングブレード及び帯
電ローラー等からなるドラムプロセスユニットを取り出
し、感光体ドラムを回転させながら回転の滑らかさ及び
音の発生の有無を調べた所、感光体A、B、Eは、感光体
C、D、F、G、Hに比べ優れていることがわかった。
【0071】[実施例4]実施例1の下引き層用分散液
に、表面が鏡面仕上げられた外径30mm、長さ351
mm、肉厚1.0mmのアルミニウム製シリンダーを浸
漬塗布し、乾燥膜厚が0.75μmの下引き層を設け
た。実施例1で調製した顔料分散液Q160重量部を、
実施例1で用いたのと同じポリビニルブチラール溶液1
00重量部に加え、最終的に固形分濃度4.0%の分散
液Sを作成した。上記で下引き層を設けたアルミニウム
製シリンダーをこの分散液Sに浸漬塗布し、乾燥膜厚が
0.3g/m2(約0.3μm)の電荷発生層を設け
た。
【0072】ヒドラゾン化合物の量を50重量部とした
以外は実施例1と同様にして調製した電荷輸送層塗布液
を用いて、上記で電荷発生層を設けたアルミニウム製シ
リンダーに、乾燥膜厚が21μmとなるように電荷輸送
層を浸漬塗布により形成し、感光体Iを作製した。
【0073】[比較例6]電荷輸送層用塗布液の調製に
用いるバインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂の代
りに比較例1で用いたポリカーボネート樹脂100重量
部を用いた以外は、実施例4と同様にして感光体Jを作
製した。
【0074】感光体I及びJについて動摩擦トルク及び
ガラス転移点を測定した。結果を表2に示す。また感光
体I及びJを市販のカラープリンター(沖データ社製
MICROLINE3050C)に装着してシアントナ
ーの転写率を測定した。トナー転写率は、25%グレー
(ハーフトーン)のプリントを行い、転写直後にプリン
トプロセスを停止させ、記録媒体である紙上のトナーと
感光体上のトナーをセロハンテープに転写させ、それぞ
れの濃度をマクベス濃度計で測定した。バックグラウン
ドとしてのセロハンテープの濃度を差し引いたうえで、
紙上及び感光体上のトナー濃度の和に対する紙上のトナ
ー濃度の割合をもってトナー転写率とした。結果を表2
に示す。
【0075】
【表2】
【0076】表2より、本発明に係る感光体Iは、感光
体Jよりも高い転写率を示し、トナーの離型性に優れて
いることがわかる。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、電気特性に優れると共
に表面の滑り性に優れ、その結果、耐久性に優れかつト
ナーの離型性にも優れた電子写真感光体を提供すること
ができる。また、本発明の電子写真装置は、音鳴りもな
く、高いトナー転写効率で良好な画像を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 動摩擦トルク測定に用いられた装置概要図
【図2】 動摩擦トルク測定装置における感光体ドラム
部分の断面図
【図3】 摩擦係数の測定機
【図4】 動摩擦トルクを摩擦係数に対しプロットした

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともクリーニング装置および現像
    装置を有する電子写真装置に用いられる電子写真感光体
    であって、該電子写真感光体は、円筒状導電性支持体上
    に、少なくとも感光層を有し、かつ該感光層の最外表面
    層のガラス転移点が100℃以下であり、該電子写真感
    光体にクリーニング装置が接触することにより発生する
    動摩擦トルクがポリカーボネート管比1.5以下である
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 該感光層の最外表面層にポリアリレート
    系樹脂が含まれることを特徴とする請求項1に記載の電
    子写真感光体。
  3. 【請求項3】 該感光層の最外表面層にヒドラゾン化合
    物が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 少なくとも電子写真感光体、クリーニン
    グ装置および現像装置を有する電子写真装置であって、
    該電子写真感光体は、円筒状導電性支持体上に、少なく
    とも感光層を有し、この感光層の最外表面層のガラス転
    移点が100℃以下であり、かつ該電子写真感光体にク
    リーニング装置が接触することにより発生する動摩擦ト
    ルクがポリカーボネート管比1.5以下であることを特
    徴とする電子写真装置。
  5. 【請求項5】 該感光層の最外表面層にポリアリレート
    系樹脂が含まれることを特徴とする請求項4に記載の電
    子写真装置。
  6. 【請求項6】 該感光層の最外表面層にヒドラゾン化合
    物が含まれることを特徴とする請求項4又は5に記載の
    電子写真装置。
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