JP2003313089A - 単結晶シリコンの製造方法、単結晶シリコンウェーハの製造方法、単結晶シリコン製造用種結晶、単結晶シリコンインゴットおよび単結晶シリコンウェーハ - Google Patents
単結晶シリコンの製造方法、単結晶シリコンウェーハの製造方法、単結晶シリコン製造用種結晶、単結晶シリコンインゴットおよび単結晶シリコンウェーハInfo
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Abstract
させるに際して、太い径ですべり転位を除去できるよう
にすることによって、大口径、大重量の単結晶シリコン
インゴットを引き上げることができるようにする。 【解決手段】{111}結晶面の稜線方向8が軸方向9
に対して傾斜するように、<110>結晶方位10が軸
方向9に対して所定角度θだけ傾斜している種結晶1を
用いて単結晶シリコンが製造される。
Description
製造するに際してすべり転位を除去する方法、すべり転
位を除去できる種結晶、すべり転位が除去された単結晶
シリコンインゴット、単結晶シリコンウェーハに関する
ものである。
晶シリコンの製造方法の1つにCZ法がある。
内に石英るつぼを設け、この石英るつぼ内で多結晶シリ
コンを加熱し溶融し、溶融が安定化すると、シードチャ
ックに取り付けた種結晶を融液に浸漬し、シードチャッ
クおよびるつぼを互いに同方向あるいは逆方向に回転し
つつシードチャックを引上げ単結晶シリコンを成長させ
て単結晶シリコンインゴットを製造するというものであ
る。
避けられない問題の1つに「すべり転位」がある。すべ
り転位は、1次元の結晶欠陥であり、種結晶が融液に着
液したときの熱応力に起因して発生し、一定の方向に沿
って伝播する。
取り込まれると、この単結晶シリコンに基づき製作され
る半導体デバイスの品質を低下させることになる。この
ためすべり転位は、これを除去する必要がある。
コンウェーハ(<100>軸結晶)を製造する場合につ
いては、従来よりすべり転位を除去する技術が確立され
ている。すなわち<100>結晶方位が種結晶の軸方向
と一致するように、種結晶を引き上げる際には、種結晶
を融液に着液させた後に、単結晶シリコンの直径を徐々
に絞るネッキング処理を施すことで、すべり転位を単結
晶シリコンから容易に除去することができる。
いるシリコンウェーハ(<110>軸結晶)を製造する
場合、つまり<110>結晶方位が種結晶の軸方向と一
致するように引き上げる場合には、すべり転位を除去す
ることは困難であることが判明し、すべり転位を除去す
る技術は未だ確立されていない。
致するように引き上げる場合には、ネッキング工程で、
単結晶シリコンの径を相当絞ったとしても、結晶中心部
に転位が残存し易く、半導体デバイス不良の要因にな
る。単結晶シリコンの径を<100>軸結晶を引き上げ
るときよりも相当細く絞らないと、すべり転位を除去す
ることができない。
造の要請があり、大径で大重量の単結晶シリコンインゴ
ットを、問題なく引き上げることが要求されており、単
結晶シリコンの径を細く絞ったとすると、すべり転位は
ある程度除去されるものの、径が細すぎて大径、大重量
の単結晶シリコンインゴットの引上げは不可能になるお
それがある。
ばれる技術がある。これは融液に磁場を印加することで
融液の粘性を高くし、融液中の対流を抑制して安定した
結晶成長を行うという方法である。
印加しつつ単結晶シリコンを引き上げる場合には、磁場
を印加しない場合と比較して、単結晶シリコンの径を更
に細くしなければ、すべり転位を除去することができな
い。単結晶シリコンの径を2.5mm程度まで細くしな
いとすべり転位を除去できないことが実験的に確かめら
れている。
10>結晶方位が種結晶の軸方向と一致するように引き
上げるに際して、磁場印加法を適用して磁場を印加しつ
つ単結晶シリコンを引上げネッキング工程で径を2.0
mm未満にして、すべり転位を除去せんとする発明が記
載されている。
大重量の単結晶シリコンインゴットを引き上げる場合に
適用すると、ネッキング部の破断および結晶落下が生じ
るおそれがあるため、これを採用することはできない。
なく、特殊な形状にすることで、すべり転位を除去する
技術が、外国公報USP4002523に記載されてい
る。この外国公報には、ネッキング工程で多段にわたり
絞りを施して「バルジ形状」にすることで、すべり転位
を除去せんとする技術が開示されている。
に可能ではあるが、自動化させたプロセスでこれを行う
ことは実際には困難である。
ング処理(絞り処理)以外の手法ですべり転位を除去で
きるようにして、大口径、大重量の単結晶シリコンイン
ゴットを問題なく引き上げることができる技術が要求さ
れている。
法で、転位を含む欠陥を除去せんとする技術に関して
は、以下のように従来より種々公知になっている。特開
昭57−17494号公報には、InSbなどの化合物半
導体の単結晶を成長させるに際して、種結晶の引上げ方
向を、<110>結晶方位に対して5〜10度傾斜させ
た方向にして、同化合物半導体単結晶を引上げ、エッチ
ピットを除去するとともに、不純物濃度を均一にさせる
という発明が記載されている。
去することに関して記載されてはいるものの、すべり転
位を除去することに関しては記載されていない。またこ
の公報記載の発明は、InSbなどの化合物半導体単結晶
を対象とするものであり、シリコン単結晶を対象とする
ものではない。
様にGaAsなどの化合物半導体の単結晶を成長させるに
際して、種結晶の引上げ方向を、<001>結晶方位と
<101>結晶方位との間の任意の方向にして、同化合
物半導体単結晶を引上げ、成長方向に真っ直ぐに伝播す
る軸上転位を除去するという発明が記載されている。ま
た、この公報には、化合物半導体で発生するすべり転位
に関して、「不純物を添加することによってその発生を
低減できる」という記載がある。
化合物半導体で発生するすべり転位を不純物添加によっ
て除去することに関して記載されてはいるものの、単結
晶シリコンで発生するすべり転位を除去する技術に関し
ては記載されていない。
のであり、CZ法で種結晶を引上げ単結晶シリコンを成
長させるに際して、<100>軸結晶と同様の太い径で
すべり転位を除去できるようにすることによって、大口
径、大重量の単結晶シリコンインゴットを引き上げるこ
とができるようにすることを解決課題とするものであ
る。
種結晶を融液に浸漬させ、前記種結晶をその軸方向に沿
って引き上げることにより単結晶シリコンを製造する単
結晶シリコンの製造方法において、<110>結晶方位
が前記種結晶の軸方向に対して傾斜された状態で当該種
結晶を引き上げることを特徴とする。
記種結晶をその軸方向に沿って引き上げることにより単
結晶シリコンを製造する単結晶シリコンの製造方法にお
いて、<110>結晶方位が軸方向に対して所定角度θ
だけ傾斜された種結晶を用意し、前記種結晶が前記融液
に着液された後に、単結晶シリコンを直径d1まで徐々
に絞る転位網除去工程と、単結晶シリコンの直径を概ね
d1に維持しつつ、少なくとも長さd1/tanθだけ更
に成長させるすべり転位除去工程とを含むことを特徴と
する。
いて、<110>結晶方位が単結晶シリコンインゴット
の軸方向に対して所定角度θだけ傾斜する向きは、その
<110>結晶方位に対して垂直な位置関係にある別の
<110>結晶方位を回転軸として回転する向きである
ことを特徴とする。
記種結晶をその軸方向に沿って引き上げることにより単
結晶シリコンインゴットに成長させ、この単結晶シリコ
ンインゴットをスライスすることにより単結晶シリコン
ウェーハを製造する単結晶シリコンウェーハの製造方法
において、<110>結晶方位が前記種結晶の軸方向に
対して所定角度θだけ傾斜された状態で当該種結晶を引
き上げ単結晶シリコンインゴットに成長させる引上げ工
程と、前記単結晶シリコンインゴットを、<110>結
晶方位に対して垂直な方向または略垂直な方向にスライ
スして単結晶シリコンウェーハを取り出すスライス工程
とを含むことを特徴とする。
記種結晶をその軸方向に沿って引き上げることにより単
結晶シリコンインゴットに成長させ、この単結晶シリコ
ンインゴットをスライスすることにより単結晶シリコン
ウェーハを製造する単結晶シリコンウェーハの製造方法
において、<110>結晶方位が軸方向に対して所定角
度θだけ傾斜された種結晶を用意し、前記種結晶が前記
融液に着液された後に、単結晶シリコンを直径d1まで
徐々に絞る転位網除去工程と、単結晶シリコンの直径を
概ねd1に維持しつつ、少なくとも長さd1/tanθだ
け更に成長させるすべり転位除去工程と、更に前記種結
晶を引き上げ単結晶シリコンインゴットを製造するイン
ゴット製造工程と、前記単結晶シリコンインゴットを、
<110>結晶方位に対して垂直な方向または略垂直な
方向にスライスして単結晶シリコンウェーハを取り出す
スライス工程とを含むことを特徴とする。
いて、<110>結晶方位が単結晶シリコンインゴット
の軸方向に対して所定角度θだけ傾斜する向きは、その
<110>結晶方位に対して垂直な位置関係にある別の
<110>結晶方位を回転軸として回転する向きである
ことを特徴とする。
いて、<110>結晶方位が種結晶の軸方向に対して傾
斜する所定角度θは、0.6゜≦θ≦ 10゜の範囲で
あることを特徴とする。
造するに際して使用される単結晶シリコン製造用種結晶
であって、<110>結晶方位が軸方向に対して傾斜し
てなる単結晶シリコン製造用種結晶であることを特徴と
する。
>結晶方位が種結晶の軸方向に対して傾斜する向きは、
その<110>結晶方位に対して垂直な位置関係にある
別の<110>結晶方位を回転軸として回転する向きで
あることを特徴とする。
結晶シリコンインゴットであって、<110>結晶方位
が軸方向に対して所定角度θだけ傾斜してなる単結晶シ
リコンインゴットであることを特徴とする。
10>結晶方位が単結晶シリコンインゴットの軸方向に
対して所定角度θだけ傾斜する向きは、その<110>
結晶方位に対して垂直な位置関係にある別の<110>
結晶方位を回転軸として回転する向きであることを特徴
とする。
10>結晶方位が単結晶シリコンインゴットの軸方向に
対して傾斜する所定角度θは、 0.6゜≦θ≦10
゜の範囲である単結晶シリコンインゴットであることを
特徴とする。
結晶シリコンインゴットをスライスすることにより取り
出された単結晶シリコンウェーハであって、<110>
結晶方位が軸方向に対して所定角度θだけ傾斜された単
結晶シリコンインゴットを、<110>結晶方位に対し
て垂直な方向または略垂直な方向にスライスして取り出
されてなる単結晶シリコンウェーハであることを特徴と
する。
明、第13発明によれば、図2、図3に示すように、
{111}結晶面の稜線方向8が軸方向9に対して傾斜
するように、<110>結晶方位10が軸方向9に対し
て所定角度θだけ傾斜している種結晶1を用いて単結晶
シリコンが製造される。
上げられると、すべり転位5が単結晶シリコンの軸方向
9に対し傾斜して伝播するため、すべり転位5がいずれ
単結晶シリコンの壁面に到達して消滅する。このためネ
ッキング工程で単結晶シリコンの径を<100>軸結晶
と同程度に絞れば、結晶中心部のすべり転位が容易に除
去される。この結果、大口径、大重量の単結晶シリコン
インゴットを引き上げることができる。
ようにすべり転位除去部4にて、単結晶シリコンの直径
が概ねd1に維持されつつ、少なくとも長さd1/tan
θだけ成長される。
に対し所定角度θだけ傾斜して伝播するため、長さd1/
tanθだけ単結晶シリコンを成長させると、すべり転
位5は単結晶シリコンの壁面に到達して消滅する。この
ように長さが少なくともd1/tanθのすべり転位除去
部4で、すべり転位5が単結晶シリコンから除去され
る。この後は、無転位の単結晶成長工程に移行する。
明によれば、図2、図6に示すように、<110>結晶
方位10が、その<110>結晶方位10に対して垂直
な位置関係にある別の<110>結晶方位13を回転軸
として回転する向き11に傾斜される。この結果、結晶
方位を検出する際にX線の回折面として使用する{22
0}面は、他の<100>軸結晶や<111>軸結晶に
おける{220}面と平行な位置関係になるので、他の
<100>軸結晶や<111>軸結晶で使用されている
通常の加工装置をそのまま共用することができる。この
ためオリエンテーションフラットやノッチの加工に要す
るコストを抑えることができる。
>結晶方位10が軸方向9に対して傾斜する所定角度θ
は、 0.6゜≦θ≦10 ゜の範囲とされる。
に示すすべり転位除去部4が長くなるので、CZ炉の高
さには制限があることから引き上げられる単結晶シリコ
ンの長さは、短くなる。また転位除去部4が長くなれば
なる程、製品とはならない部分の引上げに時間を要し生
産効率が損なわれる。このため傾斜角度θは、単結晶シ
リコンの引上げ工程を考慮すると、大きい程よい。
る程、図4に示すように、有用な単結晶シリコンウェー
ハ30以外の無駄な部分20a(斜線で示す)が大きく
なり、歩留まりが低下する。このため傾斜角度θは、イ
ンゴット20をスライスする工程を考慮すると、小さい
ほどよい。
ゴット20のスライスの両方を考慮したとき最も望まし
い傾斜角度θの範囲が存在し、その範囲は0.6゜≦θ
≦10゜の範囲となる。これにより単結晶シリコンの引
上げ長さ、引上げに要する時間を短縮しつつ、単結晶シ
リコンインゴット20をスライスするときに発生する無
駄な部分20aの量を抑えることができ、製造コストを
総合的に最小にすることができる。
ついて説明する。本実施形態では、表面が{110}結
晶面となっているシリコンウェーハ(<110>軸結
晶)を製造する場合を想定して説明する。
法を説明する図であり、種結晶(シード)1をシリコン
融液6に浸漬して引き上げられる単結晶シリコンの上端
部分を示している。
内に石英るつぼが設けられ、この石英るつぼ内でシリコ
ンが加熱し溶融される。溶融が安定化すると、シードチ
ャックに取り付けた種結晶1がシリコン融液6に浸漬さ
れ、シードチャックおよびるつぼを互いに同方向あるい
は逆方向に回転しつつシードチャックが引上げられ単結
晶シリコンが成長される。CZ法では種結晶1の長手軸
方向9と引上げ方向とは一致する。本実施形態では種結
晶1を融液表面6aに着液させた後に、単結晶シリコン
の径を徐々に絞るネッキング処理(絞り処理)が施され
る。図1で種結晶1の下方の径が細くなっている部分
が、ネッキング処理が施されたネッキング部2である。
避けられない問題の1つに「すべり転位」がある。すべ
り転位は、1次元の結晶欠陥であり、種結晶1が融液6
に着液したときの熱応力に起因して発生し、一定の方向
に沿って伝播する。
取り込まれると、この単結晶シリコンに基づき製作され
る半導体デバイスの品質を低下させることになる。この
ためすべり転位は、これを除去する必要がある。
ン結晶におけるすべり転位発生のメカニズムを見いだ
し、すべり転位を除去する方法を発見するに至った。以
下図5、図6、図7、図8を併せ参照して説明する。
の構造であり、図5は立方晶系の基本結晶方位を示して
いる。同図に示すように各結晶方位<100>、<01
0>、<001>、<110>、<111>は、X−Y
−Z座標系の原点を基点とする方位で定義される。同図
5に示す斜線が{110}結晶面となる。
いる。同図6に示す矢印10は、{110}結晶面の法
線方向たる<110>結晶方位であり、また矢印8は、
{111}結晶面の稜線方向である。
向8に沿ってすべり転位が伝播することを発見するに至
った。
コンを引き上げる際の種結晶1の軸方向(結晶引上げ方
向)9と、シリコン結晶7の<110>結晶方位10、
{111}結晶面の稜線方向8との関係を示している。
視A方向に相当しており、図8を図面正面から見た方向
は、図6の矢視B方向に相当している。
面稜線方向8が種結晶1の軸方向9と一致するように、
<110>結晶方位10を種結晶1の軸方向9と一致さ
せて種結晶1を引き上げたとすると、すべり転位5が単
結晶シリコンの軸方向に沿って伝播するため、すべり転
位5を単結晶シリコンから除去することは困難である。
種結晶1を融液表面6aに着液させた後に、単結晶シリ
コンの直径を徐々に絞るネッキング処理を施し、単結晶
シリコンの径を相当絞ったとしても、結晶中心部に転位
が残存し易く、半導体デバイス不良の要因になる。
1}結晶面稜線方向8が種結晶1の軸方向(結晶引上げ
方向)9に対して傾斜するように、<110>結晶方位
10を種結晶1の軸方向(結晶引上げ方向)9に対して
傾斜させて種結晶1を引き上げる。これによりすべり転
位5が単結晶シリコンの軸方向9に対し傾斜して伝播す
るため、すべり転位5がいずれ単結晶シリコンの壁面に
到達して消滅する。このためネッキング工程で単結晶シ
リコンの径を<100>軸結晶と同程度に絞れば、結晶
中心部の転位を容易に除去することが可能になる。
に対応する図であり、CZ法を用いて単結晶シリコンを
引き上げる際の種結晶1の軸方向(結晶引上げ方向)9
と、シリコン結晶7の<110>結晶方位10、{11
1}結晶面の稜線方向8との関係を示している。図2を
図面正面から見た方向は、図6の矢視A方向に相当して
おり、図3を図面正面から見た方向は、図6の矢視B方
向に相当している。
0が種結晶1の軸方向9に対して傾斜する向きが異なっ
ている。図2は、図6に矢印11で示すように、<11
0>結晶方位10が種結晶1の軸方向9に対して傾斜す
る向きが、{110}結晶面に隣接する{111}結晶
面の向き11になっている場合、つまり<110>結晶
方位10に対して垂直な位置関係にある別の<110>
結晶方位13を回転軸として回転する向き11になって
いる場合を示している。
110>結晶方位10が種結晶1の軸方向に対して傾斜
する向きが、{110}結晶面に隣接する{100}結
晶面の向き12である場合、つまり<110>結晶方位
10に対して垂直な位置関係にある<100>結晶方位
14を回転軸として回転する向き12である場合を示し
ている。
に、{111}結晶面稜線方向8が、軸方向9に対して
傾斜するように(図2参照)、<110>結晶方位10
が軸方向9に対して所定角度θだけ傾斜している種結晶
1が用意される。この場合、図6に矢印11で示すよう
に、<110>結晶方位10が種結晶1の軸方向9に対
して所定角度θだけ傾斜する向きは、{110}結晶面
に隣接する{111}結晶面の向き11、つまり<11
0>結晶方位10に対して垂直な位置関係にある別の<
110>結晶方位13を回転軸として回転する向き11
とされる。
チャックに取り付け、種結晶1を多結晶シリコン融液6
の表面6aに着液させる。すると着液時の熱ショックに
よって図2でハッチングにて示すように転位網が発生す
る。そこで着液後に、引き上げられる単結晶シリコンの
径を徐々に絞り、転位網の転位密度を徐々に減少させ
る。転位網が除去されたときの単結晶シリコンの直径
(以下最小直径)をd1とする。このように図1に示す
転位網除去部3で、転位網が単結晶シリコンから除去さ
れる。
単結晶シリコンから除去されていない転位が、すべり転
位となって単結晶シリコンに残存している。
をd1に維持しつつ、更に長さd1/tanθだけ単結晶
シリコンを成長させる。なお最小直径は概ねd1に維持
されればよい。
結晶シリコンの軸方向9に対し所定角度θだけ傾斜して
伝播するため、長さd1/tanθだけ単結晶シリコンを
成長させると、すべり転位5は単結晶シリコンの壁面に
到達して消滅する。このように図1に示すすべり転位除
去部4で、すべり転位5が単結晶シリコンから除去され
る。この後は、無転位の単結晶成長工程に移行する。な
おすべり転位除去工程では、単結晶シリコンの直径を概
ねd1に維持しつつ、少なくとも長さd1/tanθだけ
単結晶シリコンを成長させればよく、長さd1/tanθ
よりも長く単結晶シリコンを成長させてもよい。実験で
は単結晶シリコンの最小直径d1を6mmに絞る程度
で、すべり転位の除去が確認された。
引き上げられている<100>軸結晶の絞り部の直径と
同程度に絞ることで、結晶中心部の転位を容易に除去す
ることができる。太い径ですべり転位を除去できたた
め、大口径、大重量の単結晶シリコンインゴットを容易
に引き上げることができる。
下にすれば、すべり転位を高い確率で完全に除去できる
ことが確認されている。このように従来、結晶中心部分
に残存していたすべり転位を高い確率で、かつ完全に除
去することができるため、単結晶取得率が大幅に向上す
る。従来の単結晶化成功率は10%であったが、本実施
形態を適用したところ単結晶化成功率は95%に向上し
た。
程に続く工程では、更に種結晶1が引き上げられ、図4
(a)に示す単結晶シリコンインゴット20が製造され
る。すなわち肩作り工程を経てトップ部22が形成さ
れ、直胴工程を経て直胴部21が形成され、テール工程
を経てテール部23が形成される。
ンゴット20を、<110>結晶方位10に対して垂直
な方向にスライスして、図4(b)に示すように、表面
が{110}結晶面となっている単結晶シリコンウェー
ハ30、つまり<110>結晶方位が表面の法線方向に
なっている単結晶シリコンウェーハ30(<110>軸
結晶)が取り出される。
20を、<110>結晶方位10に対して垂直な方向に
スライスしてウェーハ30を取り出すと、後段のエピタ
キシャル成長工程でガスをウェーハ30上に導入したと
き表面が荒れるおそれがある。そこで、これを避けるた
めに単結晶シリコンインゴット20を、<110>結晶
方位10に対して垂直になる角度から1〜2度程度僅か
にずらした角度でスライスすることが高品質のウェーハ
を製作する上で望ましい。なお単結晶シリコンウェーハ
上にエピタキシャル層を設けたウェーハを製造する場合
に限らず、その他製品の仕様によっては、角度をずらし
てスライスすることで高品質のウェーハを製作すること
ができる場合がある。
ウェーハ30を用いて半導体デバイスを製造したとこ
ろ、従来、シリコンウェーハ30の面内中央部に残存し
ていたすべり転位が完全に除去されているため、デバイ
ス製作時の歩留まりが大幅に向上した。
9に対して傾斜する角度θの望ましい範囲について考察
する。
べり転位除去部4が長くなる。CZ炉の高さには制限が
あることから引き上げられる単結晶シリコンの長さはそ
の分短くなる。また転位除去部4が長くなればなる程、
製品とはならない部分の引上げに時間を要し生産効率が
損なわれる。このため傾斜角度θは、単結晶シリコンの
引上げ工程を考慮すると、大きい程よい。
る程、図4に示すように、有用な単結晶シリコンウェー
ハ30以外の無駄な部分20a(斜線で示す)が大きく
なり、歩留まりが低下する。このため傾斜角度θは、イ
ンゴット20をスライスする工程を考慮すると、小さい
ほどよい。
ゴット20のスライスの両方を考慮したとき最も望まし
い傾斜角度θの範囲が存在し、その範囲は0.6゜≦θ
≦10゜の範囲であることが実験的に確かめられた。そ
の理由は以下のとおりである。
定する。種結晶1を融液6に接触させ、径を絞ることに
よって転位網を除去するには転位網除去部3として長さ
100mm程度を要する。転位網除去部3の最小直径d
1を3mmとした場合、傾斜角度θが0.6゜未満で
は、つぎのすべり転位除去部4の長さは、d1/tanθ
=3/tan0.6゜より、約290mmとなり、29
0mmを超える。したがって転位網除去部3の長さ10
0mmと併せてネッキング部2全体で390mmを超え
る絞り長さが必要となる。通常の絞り長さが200mm
以内であることから、製造可能な単結晶シリコンの長さ
が少なくとも190mmを超えて短くなってしまい製造
コストの上昇を招く。転位網除去部3で最小直径d1を
3mm以下にすれば多少絞り長さを短縮することはでき
るが、最小直径d1を3mm以下にすると大重量のイン
ゴットを引き上げることができなくなる。したがって傾
斜角度θの下限は0.6゜とされる。
想定する。このような傾斜角度θで製造された単結晶シ
リコンインゴット20を4つのブロックに切り分けよう
とすると、直径が200mmのシリコンウェーハ30の
場合、図4において無駄な部分20aの長さは、200
×tan10×4で求められ約141mmとなる。これ
は重量で約10kgに相当する。1つの単結晶シリコン
インゴット20で重量10kgは歩留まりロスの限界で
ある。
≦10゜の範囲であることが望ましい。
方位10が種結晶1の軸方向に対して所定角度θだけ傾
斜する向きが、図6に示す{110}結晶面に隣接する
{100}結晶面の向き12である場合、つまり<11
0>結晶方位10に対して垂直な位置関係にある<10
0>結晶方位14を回転軸として回転する向き12であ
る場合の実施形態について説明する。
に、{111}結晶面稜線方向8が、軸方向9に対して
傾斜するように(図3参照)、<110>結晶方位10
が軸方向9に対して所定角度θだけ傾斜している種結晶
1が用意される。この場合、図6に矢印12で示すよう
に、<110>結晶方位10が種結晶1の軸方向9に対
して所定角度θだけ傾斜する向きは、{110}結晶面
に隣接する{100}結晶面の向き12、つまり<11
0>結晶方位10に対して垂直な位置関係にある<10
0>結晶方位14を回転軸として回転する向き12であ
るとされる。
除去工程)、(インゴット製造工程)、(スライス工
程)は、図2に示す実施形態と同様であるので説明を省
略する。本実施形態においても、図2に示す実施形態と
同様の効果が得られる。
ションフラットやノッチ加工を施す上で望ましい。その
理由を以下説明する。
表すオリエンテーションフラットやノッチを加工する必
要がある。これらオリエンテーションフラットやノッチ
は、ウェーハ状に加工した結晶についてその結晶方位を
示す印となり、半導体素子製造時の基準として使用され
る。
やノッチは、スライスしてウェーハ状に加工する前のイ
ンゴット20の状態で行われ、大抵の場合、これを行う
加工機には、結晶の外周部の凹凸を除去する機構、結晶
方位を検出する機構、検出された方位に基づいてオリエ
ンテーションフラットやノッチを加工する機構が備えら
れている。
折法が主流である。X線回折法によって結晶方位を検出
する場合、{110}面と平行な{220}面を回折面
として使用するのが一般的である。これは<110>軸
結晶以外の<100>軸結晶や<111>軸結晶でも同
じである。
ら、結晶引上げ軸を回転中心として結晶を回転させ、X
線の回折ピークを検出することで{220}面を検出す
る、という手順で行われる。このとき<110>結晶方
位10が隣接する{111}結晶面の向きに傾斜されて
いると、つまり<110>結晶方位10が、その<11
0>結晶方位10に対して垂直な位置関係にある別の<
110>結晶方位13を回転軸として回転する向きに傾
斜されていると、結晶方位を検出する際にX線の回折面
として使用する{220}面は、他の<100>軸結晶
や<111>軸結晶における{220}面と平行な位置
関係になるので、他の<100>軸結晶や<111>軸
結晶で使用されている通常の加工装置をそのまま共用す
ることができる。
晶方位10を傾斜させた場合、たとえば図3の実施形態
のように、<110>結晶方位10を、{110}結晶
面に隣接する{100}結晶面の向き、つまり<110
>結晶方位10に対して垂直な位置関係にある<100
>結晶方位14を回転軸として回転する向きに傾斜させ
た場合には、そのときの{220}面は他の<100>
軸結晶や<111>軸結晶面における{220}面とは
平行関係にならなくなる。平行関係にないということ
は、X線の回折方向が両者で異なることを意味する。し
たがってX線回折装置の位置を変更したり、複数台のX
線回折装置を用意したり、専用の加工機そのものを別途
用意したりするなどの対処が必要となり、製造コストが
上昇する。
フラットやノッチの加工に要するコストを抑える点で、
図2の実施形態が望ましい。
であり、以下に述べる技術を上述した実施形態に更に適
用してもよい。
するときに発生する熱応力に起因してすべり転位が発生
することから、着液時の熱応力を低くすれば、すべり転
位が種結晶1中に導入されない方向に向かう。
融液6との温度差ΔTが縮小されるように、種結晶1を
着液前に予熱する。これにより種結晶1が融液6に着液
したときに発生する熱応力が低くなり、融液6に接触す
ることで接触界面から下方向へ発生する転位密度が、予
熱しない場合よりも低くなる。この結果すべり転位の種
結晶1への導入を、予熱しない場合と比較して抑制する
ことができる。また予熱しない場合と比較してすべり転
位の導入が抑えられるので、その分転位網除去部3の最
小直径d1を、太くすることができる。実験では、種結
晶1を予熱しておけば、最小直径d1を8mmまで太く
したとしても、すべり転位5を完全に除去できることが
確認された。
a,X.Huang,T.Taishi,et.al.,"Dislocation-Free Czochr
alski Silicon Crystal Growth without the Dislocati
on-Elimination-Necking Process",Jpn.J.Appl.Phys.vo
l.38(1999)pp.L1369-L1371」によれば、「育成される結
晶に転位を導入しない条件として、シード中に必要なボ
ロン(B)の濃度は1E18atoms/cm3以上である」という
実験結果が開示されている。
(B)を添加し、望ましくはその不純物濃度を1E18atom
s/cm3以上にする。これによりすべり転位の種結晶1中
への導入が抑制される。また不純物を添加しない場合と
比較してすべり転位の導入が抑えられるので、その分転
位網除去部3の最小直径d1を、太くすることができ
る。 なお不純物としてはボロン(B)以外に、ゲルマ
ニウム(Ge)、インジウム(In)を種結晶1に添加す
る実施も可能である。
結晶に不純物添加)という技術を、傾斜角度θが零の場
合に適用してもよい。すなわち表面が{110}結晶面
となる(<110>結晶方位が表面法線方向となる)単
結晶シリコンウェーハ30を製造するに際して、<11
0>結晶方位が軸方向9と一致している(傾斜角度θが
零の)種結晶1を用い、この種結晶1に、上述したよう
に着液前に予熱を施すか、不純物を添加する実施も可能
である。
ンを製造する工程を説明する図である。
方向との関係を説明する図である。
方向との関係を説明する図である。
トをスライスして単結晶シリコンウェーハを取り出す様
子を説明する図である。
ある。
る。
方向との関係を説明する図である。
方向との関係を説明する図である。
Claims (13)
- 【請求項1】 種結晶を融液に浸漬させ、前記種結
晶をその軸方向に沿って引き上げることにより単結晶シ
リコンを製造する単結晶シリコンの製造方法において、 <110>結晶方位が前記種結晶の軸方向に対して傾斜
された状態で当該種結晶を引き上げることを特徴とする
単結晶シリコンの製造方法。 - 【請求項2】 種結晶を融液に浸漬させ、前記種結
晶をその軸方向に沿って引き上げることにより単結晶シ
リコンを製造する単結晶シリコンの製造方法において、 <110>結晶方位が軸方向に対して所定角度θだけ傾
斜された種結晶を用意し、 前記種結晶が前記融液に着液された後に、単結晶シリコ
ンを直径d1まで徐々に絞る転位網除去工程と、 単結晶シリコンの直径を概ねd1に維持しつつ、少なく
とも長さd1/tanθだけ更に成長させるすべり転位除
去工程とを含むことを特徴とする単結晶シリコンの製造
方法。 - 【請求項3】 <110>結晶方位が種結晶の軸
方向に対して傾斜する向きは、その<110>結晶方位
に対して垂直な位置関係にある別の<110>結晶方位
を回転軸として回転する向きであることを特徴とする請
求項1または2記載の単結晶シリコンの製造方法。 - 【請求項4】 種結晶を融液に浸漬させ、前記種結
晶をその軸方向に沿って引き上げることにより単結晶シ
リコンインゴットに成長させ、この単結晶シリコンイン
ゴットをスライスすることにより単結晶シリコンウェー
ハを製造する単結晶シリコンウェーハの製造方法におい
て、 <110>結晶方位が前記種結晶の軸方向に対して所定
角度θだけ傾斜された状態で当該種結晶を引き上げ単結
晶シリコンインゴットに成長させる引上げ工程と、 前記単結晶シリコンインゴットを、<110>結晶方位
に対して垂直な方向または略垂直な方向にスライスして
単結晶シリコンウェーハを取り出すスライス工程とを含
むことを特徴とする単結晶シリコンウェーハの製造方
法。 - 【請求項5】 種結晶を融液に浸漬させ、前記種結
晶をその軸方向に沿って引き上げることにより単結晶シ
リコンインゴットに成長させ、この単結晶シリコンイン
ゴットをスライスすることにより単結晶シリコンウェー
ハを製造する単結晶シリコンウェーハの製造方法におい
て、 <110>結晶方位が軸方向に対して所定角度θだけ傾
斜された種結晶を用意し、 前記種結晶が前記融液に着液された後に、単結晶シリコ
ンを直径d1まで徐々に絞る転位網除去工程と、 単結晶シリコンの直径を概ねd1に維持しつつ、少なく
とも長さd1/tanθだけ更に成長させるすべり転位除
去工程と、 更に前記種結晶を引き上げ単結晶シリコンインゴットを
製造するインゴット製造工程と、 前記単結晶シリコンインゴットを、<110>結晶方位
に対して垂直な方向または略垂直な方向にスライスして
単結晶シリコンウェーハを取り出すスライス工程とを含
むことを特徴とする単結晶シリコンウェーハの製造方
法。 - 【請求項6】 <110>結晶方位が種結晶の軸
方向に対して所定角度θだけ傾斜する向きは、その<1
10>結晶方位に対して垂直な位置関係にある別の<1
10>結晶方位を回転軸として回転する向きであること
を特徴とする請求項4または5記載の単結晶シリコンウ
ェーハの製造方法。 - 【請求項7】 <110>結晶方位が種結晶の軸
方向に対して傾斜する所定角度θは、0.6 ゜≦θ≦
10゜の範囲であることを特徴とする請求項4または
5記載の単結晶シリコンウェーハの製造方法。 - 【請求項8】 CZ法で単結晶シリコンを製造する
に際して使用される単結晶シリコン製造用種結晶であっ
て、 <110>結晶方位が軸方向に対して傾斜してなること
を特徴とする単結晶シリコン製造用種結晶。 - 【請求項9】 <110>結晶方位が種結晶の軸方
向に対して傾斜する向きは、その<110>結晶方位に
対して垂直な位置関係にある別の<110>結晶方位を
回転軸として回転する向きであることを特徴とする請求
項8記載の単結晶シリコン製造用種結晶。 - 【請求項10】 CZ法により製造された単結晶シ
リコンインゴットであって、 <110>結晶方位が軸方向に対して所定角度θだけ傾
斜してなることを特徴とする単結晶シリコンインゴッ
ト。 - 【請求項11】 <110>結晶方位が単結晶シ
リコンインゴットの軸方向に対して所定角度θだけ傾斜
する向きは、その<110>結晶方位に対して垂直な位
置関係にある別の<110>結晶方位を回転軸として回
転する向きであることを特徴とする請求項10記載の単
結晶シリコンインゴット。 - 【請求項12】 <110>結晶方位が単結晶シ
リコンインゴットの軸方向に対して傾斜する所定角度θ
は、 0.6゜≦θ≦10 ゜の範囲であることを特徴
とする請求項10記載の単結晶シリコンインゴット。 - 【請求項13】 CZ法により製造された単結晶シ
リコンインゴットをスライスすることにより取り出され
た単結晶シリコンウェーハであって、 <110>結晶方位が軸方向に対して所定角度θだけ傾
斜された単結晶シリコンインゴットを、<110>結晶
方位に対して垂直な方向または略垂直な方向にスライス
して取り出されてなることを特徴とする単結晶シリコン
ウェーハ。
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