JP4082213B2 - 単結晶の成長方法及び単結晶製造装置並びにこの方法によって製造されたシリコン単結晶 - Google Patents

単結晶の成長方法及び単結晶製造装置並びにこの方法によって製造されたシリコン単結晶 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、チョクラルスキー法(以下、CZ法と称することがある)により単結晶を成長する方法、及び単結晶製造装置、並びにこの方法によって製造されたシリコン単結晶に関する。
背景技術
現在、シリコン単結晶はCZ法によって製造される場合が多い。このCZ法に用いられる単結晶製造装置は、図2に示すように原料融液9を充填する石英坩堝4とこれを保持するための黒鉛製の坩堝5と、これら坩堝を加熱するヒータ2と該ヒータ2の周囲に配された断熱材8と、石英坩堝4内の原料融液9に種結晶11を接触させてその下方に単結晶10を成長させる引き上げ手段と、前記の各部材を収容する金属チャンバー21とを具備している。
前記シリコン単結晶製造装置1を用いてCZ法によってシリコン単結晶を成長させるには、坩堝4に原料を充填し、前記坩堝4を加熱するヒータ2により原料を加熱して原料融液9とし、該融液に種結晶11を接触させた後、回転させながらゆっくりと引き上げることで単結晶10を成長させることが行われてきた。そして図3に示すように、単結晶10は拡径部10a、製品として使用できる定径部(以下、直胴部と称することがある)10b、縮径部10cを持つように引き上げられ、縮径部10cを形成した後に融液から切り離し、チャンバー内で常温近くまで冷却した上で炉外へと取り出される。
ここで縮径部10cを形成することは、単結晶10が高温の原料融液9から切り離されることにより生じる熱衝撃に起因する、スリップ転位と呼ばれる転位の導入を防止し、仮に転位が導入されても定径部への進入量を極力抑制するために不可欠とされていた。
しかし、縮径部の形成においては徐々に結晶直径を減じるように、しかも融液から結晶が切り離れてしまわないように結晶の引上条件を制御する必要があり、非常に慎重な引き上げを行わなければならなかった。このため、この縮径部の形成には原料を育成装置に仕込んだ後に単結晶の引き上げを行い、装置を解体清掃し次の結晶製造に移るまでの時間を表した単結晶成長サイクルタイムの中で、約10%以上の割合を占める長い時間が必要とされていた。
縮径部の形成に要する時間は結晶直径の増加とともに長くなり、特に直径が8インチ(200mm)以上の大直径結晶の場合には、縮径部の形成に非常に長い時間がかかる。また、もし縮径部の前半で転位が導入されれば、少なくとも結晶直径に相当する長さのスリップ転位が定径部に導入されることになり、定径部の損失が大きくなる。しかし、このようにスリップ転位を導入させないように慎重に縮径部を成長させても、定径部とは直径も品質も大きく異なるという理由から、最終的にこの縮径部は切り落とされてしまい製品とならず、単結晶製造の歩留りという観点からもこの低減が求められている。
そこで、従来から、縮径部を作製しないで、しかも無転位状態で結晶を融液から切り離す技術が提案されていた。例えば、特開平9−208379号公報では、単結晶を融液から切り離す前に引き上げ速度を停止するか、あるいはそれ以前の引上速度より遅くして、固液界面形状を融液側から見て凹形状から凸形状へと移行するように制御し、結晶を融液から切り離し易くすることが提案されている。この操作により融液から結晶を切り離しやすくなり、融液の振動が抑えられるので、結晶の切り離し面への融液の飛び跳ねが少なくなり、有転位化を抑制できるとしている。
また、特開平9−208376号公報においては、切り離し速度を300mm/分以上とし、切り離し距離を20mm以上とすることを提案している。このように急激な切り離し速度で切り離すことにより、それまで無転位で成長していた単結晶が有転位化することがないとしている。さらに、融液からの飛び跳ねが切り離した結晶のボトムに付着しないので、融液からの飛び跳ねの付着による転位の導入を防ぐことができるとしている。
しかし、上記いずれの方法においても、以下に示す大きな問題が残されていた。
一番目の問題としては、単結晶を融液から切り離す際の結晶切り離しを、非常に速い引き上げ速度で行っていることである。この方法は、融液からの飛び跳ねが結晶に届かないようにするには有効かもしれないが、しかし、その為には結晶成長時の高々1mm/分程度の引上げ速度から、300mm/分以上の速い引き上げ速度に瞬間的に切り換える必要がある。一方、結晶の大直径化、生産性向上を目指した定径部の長尺化に伴って結晶重量は益々重くなり慣性力は大きくなっている。その大きな慣性力ため、引上速度を急に速くすると、引き上げる力がそのまま衝撃となって、結晶のネッキング部や種ホルダーとワイヤーの取り付け部など作用する。そして、最悪の場合には弱い部分から破断し結晶が落下する可能性がある。
二番目の問題は、引上げ速度を極端に遅くするか停止した場合に結晶径が太くなり単結晶が乱れ易くなる(有転位化する)ことである。結晶径が太くなるために単結晶に転位が入り乱れ易くなる原因は不明だが、格子間シリコンが過剰となって転位が入り易くなるとも考えられている。
以上、従来の縮径部を形成せず結晶を融液から切り離す技術では、ますます高重量化する結晶を落下させることなく安全に、かつ確実に無転位で引き上げるための課題が解決されておらず適切な解決手段が必要となっていた。
三番目の問題は、切り離した固液界面近傍における酸素の異常析出の問題が解決されていないことである。ここで酸素の異常析出とは、シリコン単結晶の場合に1000℃以上の高温熱処理によって過剰に酸素析出が生じることである。シリコン単結晶の成長中に取り込まれた酸素は、単結晶をウエーハに加工しその表層に半導体素子を形成するための熱処理によって過飽和度に応じ酸素析出を生じるが、一般に1000℃以上の熱処理のみでは酸素析出はほとんど起こらない。これは、結晶成長中に形成された酸素析出核が1000℃以上では収縮するためと考えられる。
これに対し酸素の異常析出が発生する領域(以下、異常析出領域と称する。)では、固液界面から取り込まれた空孔が急冷により凝集せずに凍結されているため、1000℃以上の高温においても酸素析出核が成長できるものと考えられている。従って、融液から切り離した後に必要以上に融液と結晶との距離を離すと、結晶の高温部が急冷され広い範囲に渡って空孔の凍結が起こり異常析出領域が形成されることになる。
このような異常析出領域から切り出したウェーハを用いて半導体素子を形成すると、素子形成工程における熱処理により過剰な酸素析出物が素子形成領域に形成され、回路を切断する等の問題が生じ素子の機能が損なわれる恐れがある。従って、結晶の定径部の中にこの領域が極力発生しないように引き上げることは重要な課題である。
四番目の問題は、切り離し操作によって、定径部の結晶欠陥の分布が変化する問題が解決されていないことである。ここで結晶欠陥とは、例えば結晶の成長界面で取り込まれた点欠陥である空孔や格子間原子が、その後の結晶冷却により凝集し、その結果形成されたボイド(穴)と呼ばれる空洞や転位の塊(クラスタ)を言う(グローンイン欠陥と呼ばれている)。
これらの結晶欠陥は、シリコン単結晶の場合、結晶の冷却過程において空孔ならば約1150℃〜約1080℃で、格子間シリコンの場合は約1000℃〜約900℃の範囲で凝集する。この温度領域は、成長界面から上へ10〜30cmの低温側に位置し、結晶を融液から切り離した後も、切り離し端部が少なくともこの部分を通過するまでは、それまでの引上速度をほぼ同一に保つ必要がある。
結晶を切り離した後に、直ちに速い引上速度で融液から結晶を遠ざけると、切り離した部分から上方の上記温度領域部分は急冷され、サイズが小さく高密度に結晶欠陥が存在する領域が結晶の尾部に形成されることになる。特に、過度な冷却速度で結晶を冷却した場合には、点欠陥は結晶欠陥として凝集することなく結晶内に凍結され、一番目の問題として説明した異常酸素析出領域として存在することになり、一つの結晶で品質の異なる領域ができてしまう。
一方、結晶を切り離すために引き上げ速度を低下させることは、既に成長した結晶が前述の空孔や格子間シリコンの凝集温度帯を通過する熱履歴が変化することになり、単結晶の引き上げ軸方向の欠陥分布が一様でなくなる。
以上、従来の縮径部を形成せず結晶を融液から切り離す技術では、ますます高重量化する結晶を落下させることなく安全に引き上げるための課題のみならず、異常析出領域が少なくなるように、或いは定径部の全ての領域で引上方向に対し結晶欠陥分布がほぼ一定になるような結晶を切り離す方法が確立されておらず、適切な解決手段が必要となっている。
発明の開示
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、単結晶の縮径部を形成することなく無転位状態で融液から切り離す方法において、高重量結晶の場合でも安全かつ確実に切り離すことができるようにするとともに、シリコン単結晶の成長においては定径部の結晶欠陥分布が引上方向に対し一定の分布となるようにシリコン単結晶を切り離すことができるシリコン単結晶の成長方法を提供することを主たる目的とする。
本発明者らは、CZ法で育成した単結晶の縮径部を形成することなく結晶を無転位で融液から切り離す方法において、高重量の結晶であっても安全にかつ育成すた単結晶を有転位化させることなく製造する方法について鋭意研究を重ね発明を完成させた。
その結果、育成単結晶を原料融液から切り離す際に、融液が結晶に繋がったまま高く持ち上がらないように融液と結晶成長界面を強制的に分離させ、切り離した瞬間に融液が大きく振動するのを未然に防ぎ、結晶を融液から切り離した後も安定した引上速度で引上げることが可能な方法及び装置について検討を重ねた結果、本発明を完成するに到ったものである。
上記の目的を達成するため本発明の第1の側面における単結晶の成長方法は、少なくとも原料を充填した坩堝と、該坩堝を加熱するヒータと、該坩堝内の融液に種結晶を接触させて単結晶を成長させる引き上げ手段と、前記各部材を収容する金属チャンバーを備えた単結晶製造装置を用いたチョクラルスキー法による単結晶の成長方法において、単結晶の所定の定径部を育成した後に該単結晶の固液界面下方の融液内に空間を形成し、単結晶の縮径部を形成することなくあるいは縮径部を部分的にのみ形成し、融液から単結晶を切り離すことを特徴とする単結晶の成長方法である。
このように、所望の長さまで定径部を成長させた後に、原料融液と単結晶の成長界面との間に空間を作り融液と単結晶を分離し、その後、育成単結晶を融液から切り離せば、単結晶下端を融液から切り離した時に生じる湯面の波立ちが抑制され、スムーズに融液から結晶を切り離すことができる。そして、この方法を用いれば、固液界面下方に形成した空間により結晶を融液から切り離した時に生じる熱衝撃が結晶に加わることがほとんど無く、無転位で縮径部のない、あるいは縮径部が一部しかない結晶を得ることができる。
更には、引上げ速度等の操業条件を結晶切り離し時に急激に大きく変化させる必要がないので、機械的な負担を装置や育成結晶に与えること無く安全に操業を継続することが可能となる。特に、直径が8インチ(200mm)以上の大型で高重量の結晶成長においては有効な製造方法である。
そして、結晶成長界面と融液の間に空間を設ける方法として、単結晶の固液界面下方の融液内に形成される前記空間は、該単結晶の所定の定径部を育成した後に融液内に不活性ガスを送入し形成するのが良い。
この方法を用いて結晶成長界面と融液の間に不活性ガスを流し込み空間を形成すれば、容易に固液界面と原料融液を不活性ガスで満たした空間により分離することが可能となる。
この時、単結晶の固液界面下方の融液内に形成される前記空間に送入する不活性ガスは、Ar(アルゴン)ガスとするのが好ましい。
通常、シリコン単結晶の育成装置内はAr(アルゴン)ガスで満たされており、これと同じガスで固液界面と原料融液の間に空間を作るようにすれば、新たなガス供給設備を導入することなく本発明を実施することが可能となる。
また、アルゴンガスであれば物質的に安定であり原料融液や黒鉛材等の炉内にある構造物とも反応し難いので、結晶の品質に影響することなく安定して操業を継続することができる。
また、本発明は、単結晶の所定の定径部を形成した後に、該単結晶の直径を所望の値まで縮径し、その後、該単結晶の固液界面下方の融液内に前記空間を形成し該単結晶を融液から切り離すようにしても良い。
育成単結晶の定径部を所望の長さまで引上げた後に、結晶直径を徐々に縮径してある程度直径を小さくしてから固液界面と融液の間に空間を形成すれば、形成する空間の体積を小さくすることができるので、直径が太い定径部のまま空間を作るよりは送入する不活性ガスの量も減り、より容易に空間を形成することが可能となる。また、切り離し時の単結晶と融液が接触している面積も小さくなるので、切り離しを行なった時の湯面振動も小さくて済む。
そして、これら結晶成長界面と原料融液との間に空間を形成するための本発明の装置としては、少なくとも原料を充填した坩堝と、該坩堝を加熱するヒータと、坩堝内の融液に種結晶を接触させて単結晶を成長させる引き上げ手段と、前記各部材を収容する金属チャンバーを備えた単結晶の製造装置であって、該坩堝内の融液に挿入し単結晶の固液界面下方の融液内に空間を形成するための不活性ガスを送入する不活性ガス導入管と、該不活性ガス導入管を該単結晶製造装置の外側にある不活性ガス供給配管につなぐ繋ぎ部品と、該製造装置内に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給管を備えたものとすることができる。
本発明の装置は、単結晶の固液界面下から不活性ガスを送入し固液界面と融液の間に空間を形成するべく、原料融液内に挿入され固液界面下から不活性ガスを送入する不活性ガス導入管と、単結晶製造装置を介してガス導入管と製造装置の外に配設された不活性ガスを供給する不活性ガス供給配管につなぐ繋ぎ部品と、これに引上機内にガスを供給するための不活性ガス供給管から構成されている。
そして、この装置では単結晶の定径部成長が終了した時点で、不活性ガス供給管から不活性ガスを供給し、繋ぎ部品を経由して不活性ガス導入管先端から不活性ガスを融液中に送り出すことにより、固液界面と融液の間に不活性ガスで作られた空間を形成する。また、この時の不活性ガスを吹き出すガス導入管先端の位置は、結晶の引上軸上となるように配設するのが好ましい。このようにすれば、ガス導入管から排出された不活性ガスを精度よく結晶成長界面下に到達させることができる装置となる。
この時、不活性ガス導入管の材質には高純度石英を用いるのが望ましい。原料融液と接する不活性ガス導入管の材質を高純度石英とすれば、ガス導入管により融液が汚染されることを防止することができる。
そして、本発明の装置は、前記不活性ガス導入管を、前記坩堝内の融液中に沈み込ませる或いは該融液から取り出すことができるように該不活性ガス導入管に駆動機構を備えたとすれば、より望ましい単結晶の製造装置とすることができる。
このように、本発明の装置の不活性ガス導入管を坩堝内の融液中に沈み込ませる、或いは該融液から取り出すことができるような駆動機構を設ければ、単結晶の定径部形成時はガス導入管を融液の外に保持して置くことができるので、単結晶の育成を妨げることを防止できる。また、同時に不活性ガス導入管が高温の融液に長時間さらされることも無くなるので、不活性ガス導入管の劣化を抑制することも可能となり、ガス導入管の使用可能時間が延びメンテナンス回数も減り、これによるコスト低減も期待できる。
次に、本発明の第2の側面における単結晶の成長方法は、少なくとも原料を充填した坩堝と、該坩堝を加熱するヒータと、坩堝内の融液に種結晶を接触させて単結晶を成長させる引き上げ手段と、前記各部材を収容する金属チャンバーを具備する単結晶製造装置を使用するチョクラルスキー法による単結晶の成長方法において、単結晶の定径部形成が終了した後に種結晶と原料融液を収容した坩堝を同一方向に回転させながら、前記単結晶の縮径部を形成することなくあるいは縮径部を部分的にのみ形成し、無転位状態で単結晶を坩堝内の融液から切り離すことを特徴とする単結晶の成長方法である。
この様に、種結晶の回転方向と坩堝の回転方向を同一にすることにより坩堝内の融液の攪拌が抑えられ、ヒータからの熱が成長界面近傍の融液に伝わらないようになり固液界面近傍の融液温度が低下し、結晶の固液界面が下に凸となるように変化する。この固液界面が下に凸となった状態で結晶を融液から切り離せば、結晶切離し時に生じる融液の振動が少なくなり融液面の波立ちを効率的に抑えることができる。
また、この時に結晶下端が下に凸となっているので、結晶を融液から切離したときに生じる結晶下端での液滴れが少なくなり、短時間のうちに結晶を融液面から分離させられる。そのため、結晶下端から融液が滴れることにより結晶が再び融液と接することがなく、融液からもたらされる熱歪により結晶にスリップ転位が発生することも抑制される。
また、融液に静磁場を印加しながら結晶を成長させるMCZ法(磁場印加引上げ法)の場合には、融液の対流が抑制されるので坩堝回転の影響を受けにくくなるが、この場合、坩堝回転の効果の度合いが小さいだけであって、本発明の方法は水平磁場や縦磁場、あるいはカスプ磁場等を用いたMCZ法にも適用可能であることは言うまでもない。
本発明では、単結晶の成長開始から定径部形成が終了するまでは、該単結晶と坩堝の回転を逆方向にし、定径部の形成が終了した後に坩堝の回転方向を単結晶の回転方向と同一方向にすることができる。
また、本発明では、単結晶の成長開始から定径部形成が終了するまでは、該単結晶と坩堝の回転を逆方向にし、定径部の形成が終了した後に単結晶の回転方向を坩堝の回転方向と同一方向にするようにしてもよい。
また、前記単結晶の定径部終了後、融液からの切り離しが完了するまでの間、種結晶の引き上げ速度を前記単結晶の定径部形成時と同じ速度に保つことが好ましい。
さらに、本発明者は、CZ法で育成した単結晶の縮径部を形成することなく結晶を無転位で融液から切り離す方法において、高重量の結晶であっても安全に、かつ定径部の結晶欠陥分布を引上軸方向にほぼ一定に保ったままで結晶を育成する方法について鋭意研究を重ねた。
その結果、結晶を融液から切り離す際に、融液が結晶に繋がったまま高く持ち上がらないように融液と結晶成長界面を強制的に分離させ、切り離した瞬間に融液が大きく振動するのを未然に防ぎ、結晶を切り離した後も一定の引上速度で結晶を引上げることが可能となり、結晶欠陥が形成される所定の温度帯を徐冷できることで結晶品質を安定させることができることを見出し、本発明を完成するに到ったものである。
すなわち、本発明の第3の側面におけるシリコン単結晶の成長方法は、少なくとも原料を充填した坩堝と、該坩堝を加熱するヒータと、坩堝内の融液に種結晶を接触させて単結晶を成長させる引き上げ手段と、前記各部材を収容する金属チャンバーとを具備するシリコン単結晶製造装置を使用するチョクラルスキー法であって、シリコン単結晶定径部の育成が終了した後に無転位状態でシリコン単結晶を坩堝内の融液から切り離すシリコン単結晶の成長方法において、前記定径部の成長終了後、結晶と融液を切り離した後に単結晶の切り離し端部が少なくとも融点から1200℃までの温度帯では、平均35℃/分以下の冷却速度で前記温度帯を通過するように切り離し後の単結晶を引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の成長方法である。
このように、結晶の切り離し部を徐々に冷却することにより、固液界面で導入された格子間原子と空孔が十分な時間をかけて拡散・対消滅する。その結果、前記切り離し部における空孔濃度が他の定径部分と同じ濃度となる。
従って、高濃度の空孔が結晶中に凍結されないので、異常酸素析出領域が発生しないし、もし発生したとしても、表面からの熱放射によって急冷された切り離し界面の極く近い領域のみに留めることができる。
この時、好ましくは、シリコン単結晶定径部の育成が終了した後に、該単結晶の切り離し端部が少なくとも1150℃から1080℃までの温度帯を通過する間の平均冷却速度が、結晶成長中における定径部の前記温度帯の冷却速度に対し10%以内の急冷となるように、切り離し後のシリコン単結晶を引上げるのが良い。
また、好ましくは、シリコン単結晶定径部の育成が終了した後に、該単結晶の切り離し端部が少なくとも1150℃から1080℃までの温度帯を通過する時間が、30分〜80分となるように、切り離し後のシリコン単結晶を引上げるのが良い。
このように、1150℃から1080℃までの温度帯における冷却速度が、定径部全ての部分においてほぼ同じになるように結晶を引上げることにより、切り離し部分の点欠陥が他の定径部分と同じ時間をかけて凝集するので、結晶欠陥のサイズと密度も同じになる。従って、定径部の引き上げ軸方向に結晶欠陥分布が均一になる。単結晶の切り離し端部が上記温度帯を通過する時間が30〜80分であることが好ましい。
ここで、シリコン単結晶定径部の育成が終了した後に無転位状態でシリコン単結晶を坩堝内の融液から切り離すシリコン単結晶の成長方法が、シリコン単結晶の縮径部を形成せずに融液から切り離すものであるとすることができる。
また、シリコン単結晶定径部の育成が終了した後に無転位状態でシリコン単結晶を坩堝内の融液から切り離すシリコン単結晶の成長方法が、シリコン単結晶の縮径部を部分的に形成して融液から切り離すものであるとすることができる。
さらに、前記シリコン単結晶定径部の育成が終了した後に無転位状態でシリコン単結晶を坩堝内の融液から切り離すまでは、シリコン単結晶の成長速度を前記定径部の成長速度と等しくほぼ一定とすることが好ましい。
このように、定径部の育成終了後からシリコン単結晶の切り離しまでの間のシリコン単結晶の成長速度をほぼ一定とすることにより、シリコン単結晶の下端に加わる熱履歴を大きく変えることがなく、異常析出部の形成や結晶欠陥分布に悪影響を及ぼすことがなくなる。
そして、本発明のシリコン単結晶は、単結晶定径部の育成が終了した後に無転位状態で単結晶を坩堝内の融液から切り離すことを特徴としたチョクラルスキー法で製造したシリコン単結晶であって、該単結晶をウエーハに加工し熱処理を施したときに異常酸素析出として観察される領域が、前記単結晶の切り離し端部から種結晶側に50mm以内の範囲に止まっていることを特徴とするシリコン単結晶である。
このような単結晶であれば、結晶軸方向全体に渡って均一な品質を有しているので、結晶のほぼ全てから製品となる単結晶ウエーハを取ることができる。これにより単結晶の生産性及び歩留りが著しく向上する。特に単結晶縮径部の割合が定径部に比較して大きくなる直径300mm以上の大直径結晶においては、本発明のように縮径部を完全には形成せず異常析出部が短い結晶であることは非常に好ましい。
結晶切離し付近の定径部の熱履歴が安定したものであれば、引上速度を急に速くしたことによる急激な結晶冷却が起こらないので、異常酸素析出が生じる原因となる過剰な空孔が結晶中に閉じ込められず、結晶の融液近くの下方部であっても異常酸素析出領域が形成されることが無くなる。
そして、この酸素析出を促進させる結晶中の空孔は、原料融液の融点から1200℃の温度域で形成されるため、この温度帯を結晶が通過する時間を徐冷することによって制御可能であり、異常酸素析出領域を形成させないためには結晶冷却速度を35℃/分以下となるように引上速度を選択すれば良い。
また、最近の研究では、育成した単結晶が1150〜1080℃の温度域を通過する時間により結晶内に生じる空孔型の点欠陥のサイズと密度を調整できることが知られている。即ち、この温度帯の結晶通過時間を長くすれば欠陥の密度は低密度となるが反対にサイズは大きくなり、結晶通過時間を短くすれば欠陥密度は高密度となるが欠陥のサイズは小さくなる。この通過時間は単結晶定径部の成長速度に依存して決定すればよいが、実用的な単結晶定径部の成長速度範囲が0.5mm/分から1.3mm/分程度であることから30分〜80分であることが好ましい。30分未満であることは極めて早い成長速度となり結晶欠陥密度の増加につながる。80分以上では単結晶定径部の成長速度が遅く生産性の低下につながる。
そして、欠陥が高密度に存在していても、欠陥のサイズがある一定以下の大きさであれば、ウエーハの加工工程で熱処理を加えることにより消滅させることが可能であることが知られており、定径部形成後の単結晶切離し部近傍の1150〜1080℃温度帯通過時間を、成長中の定径部が該温度帯を通過した時間に対し10%以内の急冷速度で通過させれば、単結晶の切離し部付近であってもその他の定径部と欠陥分布の変わりのない、結晶成長軸方向においてほぼ均一な欠陥分布を持つ単結晶が得られる。
以上説明したように、本発明によれば、半導体単結晶を無転位状態で融液から切り離す方法において、高重量結晶の場合でも安全に切り離すことができ、定径部の結晶欠陥分布が成長軸方向にほぼ均一な結晶を引き上げることが可能となる。その結果、大直径、高重量の半導体結晶を高い生産性で歩留よく生産することが可能となる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の第1の側面においては、単結晶を原料融液から切離す前に固液界面下方の融液内に不活性ガスを注入し、固液界面の融液側に気相空間を形成した後に、融液から単結晶を切り離すことを特徴としている。
このように、一旦、固液界面下に空間が作られると融液中に溶け込んでいた不純物が高温の融液によりもたらされる蒸気圧によって前記空間に蒸発・発散し、更にその空間が広がっていく。その結果、前記空間の拡大に伴って結晶の中心軸から外周方向に向けてしだいに融液と結晶が離れ、固液界面下で結晶の中心軸側から外周に方向に向けて融液を掃引するように融液と結晶成長界面の離間が進むので、固液界面に融液が残ること無く切り離しが行われる。
これによって、結晶を融液から切り離した時に生ずる結晶切り離し端部からの液弛れが抑制防止され、液滴が原料融液に落下することで起こる湯面振動や、更なる原料融液からの融液の跳ね返りによって融液が結晶端部に付着することで生じるスリップ転位を防ぐことができるものである。
なお、ここで固液界面の直近下に不活性ガスによる空間を設け、不活性ガスが固液界面に当たっても単結晶が有転位化しないことは、通常の単結晶であっても時折単結晶内に“す”と呼ばれる直径数mm以上の空間が形成されていることがあり、単結晶内にこの“す”が存在していても単結晶にスリップ転位が生じることなく引上げられることからも明かである。
そして、更に本発明の製造方法が優れている点は、結晶成長界面下に前記空間が形成されることにより融液からの直接の熱伝達が無くなり、特に結晶成長軸近傍で結晶温度を低下させられる点にある。この温度低下効果により、結晶の成長軸方向の熱膨張が抑制され、育成結晶内での熱応力が小さくなり転位の発生が防止されるものである。
図1は、本発明における単結晶引上装置の一例を示した説明図である。図1に示すように、チョクラルスキー法により単結晶を製造する結晶製造装置1の中には、原料融液9を充填する石英坩堝4とこれを支持する黒鉛坩堝5を備えており、黒鉛坩堝5の外側には、これを囲繞するように原料を加熱するヒータ2を有する。更に、ヒータ2の外側には断熱材8が配置され、製造装置1炉内の保温効果を得ている。
そして、単結晶10の引上げにおいては、結晶引上げ機構(図示せず)に端部が繋がれたワイヤー13に連結された種ホルダー12に種結晶11を保持し、前記種結晶11を融液9に接触させて回転させながら、ゆっくりと融液上方に引き上げることにより単結晶10を成長させる。この時、単結晶10は拡径部10a、定径部10bと形成された後に融液から切り離されるか、あるいは結晶定径部を縮小して縮径部10cの一部を形成した後、融液から切り離され、その後、一定時間をかけて常温まで冷却した後に、単結晶製造装置1から取り出されて単結晶育成が完了する。
なお、この時融液9から単結晶10を切り離すときの操作は、次のように行う。
まず、駆動機構15を操作し静かに不活性ガス導入管14を原料融液内に沈める。そして、不活性ガス導入管の先端部19が固液界面下の結晶引上げ軸近傍に到達したところでガス導入管14を停止させ、不活性ガスを導入管より供給する操作に移る。
融液内への不活性ガスの供給は、結晶製造装置1の外側に配設されている不活性ガスの供給源(図示せず)から供給配管を介して送られるガスを導く不活性ガス供給管17と、このガス供給管17に繋ぎ部品16の一端が接続されていて、繋ぎ部品16は結晶製造装置1内の不活性ガス導入管14へと繋がっており、そして、不活性ガスを融液内に送入する際には、これら装置を経て不活性ガス導入管先端の導入管先端部19より不活性ガス、例えば、製造装置1内を満たしているガスと同じAr(アルゴン)が原料融液9内に送入され、育成結晶の固液界面下にArガスによる空間20を形成する。
この時、融液内に注入する不活性ガスの容積は、固液界面と融液の間に融液中のガスが蒸発していくわずかな隙間が形成される程度で良い。即ち、製造装置炉内の高温の融液下で、直径8インチ(200mm)の結晶の場合は数十cm程度、直径12インチ(300mm)以上では高々200cm程度の体積となるようにガスを送入するのが好ましい。但し、固液界面の結晶周辺部からガスが吹き出すほど、一度に大量のガスを送り込まないように注意する必要がある。
また、不活性ガスを融液内に供給する際には、引上げ途中の単結晶にスリップ転位を導入することのないよう、少しずつ静かに不活性ガスを融液内に送出する。そして、融液からの結晶の切り離しを終え単結晶の引上げ速度が所定の速度に安定したら、駆動機構15を用いて不活性ガス導入管14を原料融液9内から静かに融液の外に引き抜き、以降の操業の妨げとならない位置に待機させる。
なお、不活性ガスを融液に送入するための不活性ガス導入管14の接続機構や駆動機構、或いはそれらの配置はこれに限定されるものではなく、例えば、結晶を加熱する冷却筒に沿わせても良いし、または進退動と回転を組み合わせた駆動機構としても良い。また、ガス導入管の材質は、結晶成長に影響を与えないものであれば育成装置の設計条件に合わせて適宜選択すれば問題ない。例えば、シリコン単結晶の育成の場合は、不純物の面でも耐熱性の面でも石英管が好適な材料と言える。更に、ガス導入管を石英とする場合は、結晶品質への影響に配慮すれば高純度石英材を用いるのがより好ましい。
また、不活性ガスをガス導入管に送る機構は、結晶直径や引上げ速度に応じて送入ガスの流速と送入時間を制御するようにしても良いし、予め規定の容積をシリンダーに貯めて置いてピストン動作により所望の体積のガスを送り込むようにしても良い。
次に、本発明の第2の側面においては、シリコン単結晶の定径部の形成が終了した後に、種結晶の回転方向と坩堝の回転方向を同一にする。こうすることにより融液内の結晶直下にTaylor−Proudman cell(S.Chandrasekhar,Hydrodynamic and Hydromagnetic Stability,DOVER PUBLICATIONS,INC.NEW YORK,ISBN:O−486−64071−X)が形成される。
このTaylor−Proudman cell内の融液は坩堝壁近傍の融液とは容易に混ざり合わないために、このcellに対するヒータからの熱の伝達量が少なくなる。その結果、cell内の融液の温度が低下し、その直上で接している結晶の固液界面が融液側に凸形状に変化していく。そして、固液界面が融液側に凸形状に近づくことにより融液が結晶から剥がれ易くなり、切り離した時の融液の振動を小さくすることが可能となる。
切り離し時の融液の振動を抑えることができるので、引き上げ速度を急激に速くして結晶端が融液から遠くまで離れるようにして切り離す必要がなくなり、引き上げ速度切換時の衝撃を少なくすることができる。この結果、結晶のネッキング部や種ホルダーとワイヤーの取り付け部などに大きな衝撃が加わることが避けられ、結晶直径が8インチ(200mm)或いは12インチ(300mm)以上の大直径結晶の引上げにおいても安全に結晶切り離しを行なうことが可能となる。
また、切り離した瞬間の融液表面の振動が小さくなることで、結晶の切り離し界面に対する融液からの飛び跳ねを防止することができる。その結果、飛び跳ねによる結晶の有転位化を防止することができ、確実に無転位状態で結晶を切り離すことができる。
さらに、融液表面の振動が小さくなることにより、坩堝と融液と雰囲気の境界部における融液の振動が小さくなるから、前記境界部における融液による坩堝の過度な浸食現象が生じることもない。その結果、坩堝の内壁が融液中に剥がれることが無くなり、残った融液から、あるいは再度多結晶原料を坩堝に投入して同じ坩堝から再び単結晶を成長させることが可能となる。
本発明の第2の側面においては、シリコン単結晶引き上げ装置は種ホルダー12と黒鉛坩堝5を同じ方向に回転できる装置であれば、図2に示したものを用いることができる。これを用いて、従来法と同様に坩堝4に原料を充填し、前記坩堝4を加熱するヒータ2により原料を加熱して原料融液9とし、該融液に種結晶11を接触させた後、回転させながらゆっくりと引き上げることでシリコン単結晶10を成長させる。ここで、本発明のシリコン単結晶成長方法においても、結晶の定径部の成長までは、原則として種結晶11と坩堝4の回転方向は、抵抗率と酸素濃度の面内分布を向上させるために逆方向に回転させる。ただし、定径部より回転方向を同一とすることも可能である。種結晶11と坩堝4の回転速度は通常用いられる速度とすればよい。
シリコン単結晶の定径部が所望の長さに達したら、種結晶11あるいは坩堝4の回転を逆方向にして両者の回転方向を同一とすることによって坩堝内の融液の攪拌が抑えられ、ヒータからの熱が成長界面近傍の融液に伝わらないようになり固液界面近傍の融液温度が低下し、結晶の固液界面が下に凸となるように変化する。この固液界面が下に凸となった状態で結晶を融液から切り離せば、結晶切離し時に生じる融液の振動が少なくなり融液面の波立ちを効率的に抑えることができる。
この種結晶と坩堝の回転方向を同一とする操作は以下のようにして行う。まず、結晶10の定径部10bが所望の長さまで成長したら、坩堝4の回転を止め坩堝軸7を駆動している坩堝軸駆動装置(不図示)を操作して、静かに逆方向、即ち育成中の結晶と同じ方向に回転させる。
そして、坩堝の回転と融液面が安定したのを確認し、10分程度以上経過すれば結晶の固液界面形状が安定するので、結晶の引上速度をわずかに速くするか、坩堝を下降させて結晶を原料融液から切離す。ここでは坩堝の回転方向を逆方向にする操作を示したが、種結晶の回転方向を逆方向としてもよい。一般的には種結晶の回転数の方が坩堝の回転数よりも高いので、坩堝の回転方向を逆方向にすることが好ましい。
坩堝あるいは種結晶の回転方向を逆にする操作は、回転を瞬時に停止して逆回転とするのではなく、2分程度で逆回転となるように徐々にもしくは段階的に回転数を低下させた後に逆回転することが好ましい。また、種結晶と坩堝の回転数の比率は、融液内の結晶直下にTaylor−Proudman cellが形成される条件で行う必要があり、種結晶の回転数と坩堝の回転数が近い方が好ましいが、坩堝の回転数が種結晶の回転数の1/4以上であれば実用上問題はない。また、種結晶の回転数を坩堝の回転数より若干低下させることも可能である。
本発明の第3の側面では、結晶欠陥分布が成長軸方向にほぼ一定となるように結晶を引き上げるため、切り離し後の結晶を上方に引き上げて冷却速度を制御する。従って、シリコン単結晶の引き上げ開始から定径部の形成終了までは、図2に示した装置を用いる公知の方法で行えばよいので詳細な記述は省略する。
定径部の形成が終了した後直ちにもしくは、成長中の単結晶径の約半分までといったある程度の縮径部を形成した後に、無転位状態で単結晶を坩堝内の融液から切り離す操作を行う。切り離す操作においては実際の切り離しまでの間単結晶の成長速度(種結晶の引き上げ速度)を定径部の成長速度と等しく、ほぼ一定とすることが好ましい。ここで、成長速度がほぼ一定というのは、CZ法によるシリコン単結晶成長においては、定径部の直径を制御するために成長速度の微細な変動を印加して行っているためであり、厳密に成長速度を一定とすると直径の制御が困難になる。従って、平均成長速度を一定とすればよい。
具体的な切り離しの方法としては、前記単結晶の定径部形成が終了した後に単結晶の固液界面下方の融液内に不活性ガスを注入し該固液界面の融液側に空間を形成した後、融液から単結晶を切り離す方法(第1の方法)や、単結晶の定径部形成が終了した後に種結晶と坩堝を同一方向に回転させながら、融液から単結晶を切り離す方法(第2の方法)で行うことが好ましい。
そして、CZ法により育成した単結晶の縮径部を形成することなくあるいは縮径部を部分的にのみ形成し、無転位で原料融液から切離す前記第1または第2の方法を用いることにより、切り離し時の融液の振動を抑えることができるので、引き上げ速度を急激に速くして結晶端が融液から遠くまで離れるようにして切り離す必要がなくなり、引き上げ速度切換時の衝撃を少なくすることができる。この結果、結晶のネッキング部や種ホルダーとワイヤーの取り付け部などに大きな衝撃が加わることが避けられ、結晶直径が8インチ(200mm)或いは12インチ(300mm)以上の大直径結晶の引上げにおいても安全に結晶切り離しを行なうことが可能となる。
また、切り離した瞬間の融液表面の振動が小さくなることで、結晶の切り離し界面に対する融液からの飛び跳ねを防止することができる。その結果、飛び跳ねによる結晶の有転位化を防止することができ、確実に無転位状態で結晶を切り離すことができる。
さらに、融液表面の振動が小さくなることにより、坩堝と融液と雰囲気の境界部における融液の振動が小さくなるから、前記境界部における融液による坩堝の過度な浸食現象が生じることもない。その結果、坩堝の内壁が融液中に剥がれることが無くなり、残った融液、あるいは再度多結晶原料を坩堝に投入して同じ坩堝から再び単結晶を成長させることが可能となる。
定径部の最後に成長した部分が融点から1200℃までの温度帯を通過するまでは35℃/分以下の冷却速度で冷却されるように引き上げながら冷却し、次に1150℃から1080℃までの温度帯は結晶成長中の定径部の冷却速度に比べて10%以内の急冷となるように、切り離し後の結晶を引き上げながら冷却する。
このように定径のほぼ全ての領域に渡って、融点から1080℃までの温度帯をほぼ同じ冷却速度で冷却されるように引き上げることにより、点欠陥の凝集過程が引き上げ軸方向に同じとなり、結晶欠陥のサイズと密度が均一になる。なお、結晶中の1200℃、1150℃、1080℃といった温度位置は、引上製造装置内のヒータや断熱材や坩堝位置などの構成により決まるが、この位置は総合伝熱解析計算によって求めておけばよい。
ここで総合伝熱解析計算とは、結晶製造装置内の構造物間における幅射と伝導による伝熱を計算し、前記装置内部の温度分布を導き出す数値シミュレーションである。
さらに、結晶を融液から切り離した時、結晶と融液面との距離が20mm以上の時は、切り離した後、再び切り離し端部と融液との距離が15mm以内となるように結晶を降下させ、その後、再び結晶を上記の要領で引き上げても同様な効果を得ることができる。
以下、本発明を実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。
(実施例1)
図1に示す本発明の結晶製造装置1を用いて、シリコン単結晶の引き上げを行った。石英坩堝4のサイズは内径28インチ(700mm)であり、200kgのシリコン原料を石英坩堝4に充填して直径12インチ(300mm)結晶の引き上げを行った。定径部成長中の引き上げ速度は1.0mm/分、種結晶の回転速度は12rpm、坩堝回転速度は3rpmとした。種結晶と坩堝の回転方向は、終始互いに逆方向に回転させたままとした。定径部の長さが70cmとなった時点で切り離し操作を行った。
定径部の切離し操作は、定径部の長さが70cmとなった時点で不活性ガス導入管14をその先端部が固液界面の下方に位置するように挿入し、この時の製造装置炉内圧力が100hPaであったので1cm/分の供給速度で3分間Arガスを融液中に注入し空間形成を行なった。この間、結晶の平均引上げ速度は定径部形成時と同じ1.0mm/分を維持した。Arガスの注入完了後、引上げ速度を100mm/分に変更して結晶を融液から切り離した。この時、種結晶の回転速度と坩堝回転速度はそれぞれ12rpm、3rpmに保った。
この条件で合計10本の結晶引き上げ行ったが、何れの結晶も切り離し時に融液表面が振動することなく静かに切り離され、全結晶とも無転位状態であった。
なお、転位発生の有無の確認は、切り離し端部から種結晶側に100mmの長さで成長軸に平行にウェーハを切り出し、表面の歪み層を弗酸と硝酸の混合液でエッチングして取り除いた後、X線トポグラフ写真により判定した。
(比較例1)
実施例1と同じ条件で、今度はArガスを注入しない状態で結晶の切離しを行なった。引上げを行なった結晶は同じく10本で、ガスを注入しないことの他は、操業条件は実施例1と同様にした。引上げ終了後、結晶切離し部分の転位を確認したところ10本全ての結晶に転位が発生していた。また、結晶切り離し時に融液表面が大きく振動した。
以上の結果から、Arガスのような不活性ガスを固液界面下方の融液中に注入し、融液と固液界面の間に気層空間を形成した後で結晶切り離しを行なうことは、無転位で結晶を切り離すのに非常に有効な方法であると言える。
(実施例2)
実施例1と同じ条件で定径部の長さが70cmとなった時点で、引上げ速度を1.0mm/minに保ったままヒータ出力を上げていき、定径部直径よりも径を縮径するように結晶を引上げ直径が8インチ(200mm)となった時点で融液から結晶を切り離した。
縮径部の切り離しでは、実施例1と同様に不活性ガス導入管を操作し、製造装置内圧100hPa下の融液に1cm/分の供給速度で1分間Arガスを注入した。この間、引上げ速度は定径部形成時と同じ1.0mm/分を維持した。そして、Arガスを注入し終えた後、引上げ速度を結晶切離し速度である100mm/分に変更し融液から結晶を切り離した。なお、この時の種結晶の回転速度と坩堝回転速度は12rpm、3rpmに保った。
引上げ作業終了後、実施例1と同様に結晶切離し端部の転位の有無を確認したところ、スリップ転位は観察されず無転位で引上げられていた。同様に、合計10本のテスト引上げを行ったが、何れの結晶も切り離し時に融液表面が振動することなく静かに切り離され、全結晶とも無転位状態であった。
(比較例2)
実施例2と同じ条件で、今度はArガスを注入しない状態で縮径部からの切り離しを行った。引上げを行った結晶の本数は同じく10本で、Arガスを注入しない以外は操業条件は実施例2と同一とした。引上げ終了後、結晶切離し部分の転位を確認したところ10本全ての結晶で転位が発生していた。
従って、結晶の定径部に続いて一旦結晶直径を縮径した後に結晶を融液から切り離す場合においても、固液界面に空間を形成した後で結晶切離しを行うことは、切り離し部分にスリップ転位を生じさせることなく無転位で結晶を切り離すのに非常に有効な方法であることが確認できた。
(実施例3)
図2に示すシリコン単結晶引き上げ装置を用いてシリコン単結晶の引き上げを行った。石英坩堝4のサイズは内径28インチ(700mm)であり、200kgのシリコン原料を石英坩堝4に充填して直径12インチ(300mm)結晶の引き上げを行った。定径部成長中の引き上げ速度は1.0mm/分、種結晶の回転速度は12rpm、坩堝回転速度は3rpmとした。種結晶と坩堝の回転方向は逆方向とした。定径部の長さが70cmとなった時点で切り離し操作を行った。
切り離し操作は、まず種結晶の回転速度を10rpmとし、坩堝回転速度を約2分で種結晶回転速度と同じ回転方向に切り替えて4rpmとし切り離しを行った。切り離す際の結晶の引き上げ速度は200mm/minとした。
10本の結晶について行った実施例の調査結果を、試験引き上げ本数に対する転位発生本数の百分率として表1に示した。この結果、結晶切り離し前に種結晶と坩堝の回転方向を同方向とすることにより、融液表面に振動を与えることなく無転位状態で結晶を切り離すことができたことがわかる。
(比較例3)
比較として、回転速度は実施例と同じで、坩堝と種結晶の回転方向が異なるまま、結晶を切り離す場合も試みた。本テストでの試験引上げ本数は10本である。この結果を、実施例3と同様に表1に示す。
以上のように、育成結晶と坩堝の回転方向が同じである場合は、全ての結晶に転位は発生していなかったが、結晶回転と坩堝回転を互いに逆方向に回転させて結晶切離しを行なった時には、引上げ結晶10本の中で6本の定径部切離し部分に転位が観察された。
Figure 0004082213
(実施例4)
図2に示す単結晶引き上げ装置を用いてシリコン単結晶の引き上げを行った。石英坩堝4のサイズは内径28インチ(700mm)であり、200kgのシリコン原料を石英坩堝4に充填して直径12インチ(300mm)結晶の引き上げを行った。定径部成長中の引き上げ速度は1.0mm/分、種結晶の回転速度は12rpm、坩堝回転速度は3rpmとした。種結晶と坩堝の回転方向は逆方向とした。定径部の長さが70cmとなった時点で切り離し操作を行った。
切離し操作は、まず種結晶の回転速度を10rpmとし、坩堝回転速度を約2分で種結晶回転速度と同じ回転方向に切り替えて6rpmとし切り離しを行った。切り離す際の結晶の引き上げ速度は200mm/minとした。
その後、1200℃の位置まで、切り離し部分が35、30、20、10℃/分の冷却速度で冷却されるように、結晶引き上げを行った。なお、この時の確認のための引き上げ本数は各水準毎に10本である。尚、切り離した結晶は全て無転位であった。
引き上げた結晶の切り離し端部から種結晶側に長さ200mmで成長軸に平行にウェーハを切り出し、表面の歪み層を弗酸と硝酸の混合液でエッチングして取り除いた後、1000℃で16時間の熱処理を行った。熱処理したウェーハをX線トポグラフ観察して、酸素析出によるコントラストから異常酸素析出領域の長さを測定した。
実施例4における、切り離し端部から種結晶側への異常酸素析出領域の長さを試験引き上げ本数に対する平均値として表2に示す。
(比較例4)
比較として実施例4と同一条件で単結晶の育成を行ない、結晶の1200℃位置までの平均冷却速度が100、50、40℃/分となるように結晶が冷却されるような条件での品質確認を行った。この時も、各冷却条件で引上げた結晶本数は実施例4と同様に、水準毎に10本とした。
そして、実施例4と同様に異常酸素析出領域を測定し比較した。この結果を実施例4と同じ表2に示す。
Figure 0004082213
Figure 0004082213
表2において、切り離し端部が融点から1200℃までの温度帯を35℃/分以下の平均冷却速度で冷却されるように引き上げることが、異常酸素析出領域を結晶切り離し端部から種結晶側に50mm以内に納める為に必要であることが分かる。
(実施例5)
図1の装置を用い、実施例1と同じ条件で直径12インチ(300mm)結晶を定径部が長さ70cmになるまで成長させ、Arガスを1cm/分の供給速度で3分間Arガスを融液中に注入し固液界面下に空間形成を行ない、その後結晶と融液の切り離しを行った。尚、この時の製造装置炉内圧力が100hPaであったので約200cmの空間が形成されたことになる。
その後、定径部成長中に1200℃であった位置まで、切り離し部分が35℃/分の冷却速度で冷却されるように結晶を引き上げた。その後、切り離し端部が1150℃から1080℃を通過する間の平均冷却速度が、定径成長中における他の定径部の前記温度帯の冷却速度に対して、0%急冷、10%急冷となるように、結晶を引き上げ冷却した。本テストでの試験引き上げ本数は各条件毎に1本である。
引き上がった結晶について、種結晶側の定径開始位置から切り離し部側に向けて50cmの位置における結晶欠陥密度と切り離し端部から種結晶側に30mmの位置における結晶欠陥密度を比較した。ここで、結晶欠陥密度調査としてFPD(Flow Pattern Defect)を測定した。FPDとは、成長後のシリコン単結晶棒からウェーハを切り出し、表面の歪み層を弗酸と硝酸の混合液でエッチングして取り除いた後、KCrと弗酸と水の混合液で表面をエッチング(Seccoエッチング)することによりピットおよびさざ波模様が生じる。このさざ波模様をFPDと称し、点欠陥である空孔が凝集して形成された空洞であると考えられる。
実施例5における結晶の軸方向の欠陥分布を、定径50cm位置に対する切り離し部から30mm位置の欠陥密度の比として表3に示した。
(比較例5)
実施例5の比較として、実施例5と同じ条件で結晶の引上げを行い切り離し端部が1150℃から1080℃を通過する間の平均冷却速度が、定径成長中における定径部の前記温度帯の冷却速度に対して、20%急冷となるような試験も併せて行った。この試験のために引上げた結晶本数も1本とした。
そして、実施例5と同様に処理を行い、結晶表面の欠陥密度を観察した。結果は、実施例5と同じ表3に示した。
Figure 0004082213
表3より、結晶切り離し後の切り離し端部が1150℃から1080℃を通過する間の平均冷却速度が、定径成長中の前記温度帯の冷却速度に対し10%以内の急冷で冷却されるように引き上げれば、成長軸方向にほぼ均一な欠陥分布が得られることが分かった。
(実施例6)
実施例4と同一条件で単結晶の育成と切り離しを行った。切り離し端部と湯面の距離が20mmとなるところまで引き上げ、その後200mm/分の速度で、切り離し端部と湯面の距離が10mmとなるまで結晶を降下させ、さらにその後、1200℃位置までの平均冷却速度が35℃/分となるように結晶が冷却されるような条件での品質確認を行った。
その結果、異常酸素析出領域は切り離し端部から種結晶側に45mmの位置となった。従って、切り離した時の融液面と結晶端との距離が長くても、再度結晶を降下させた後に引き上げれば、異常析出領域を狭めることができることが分かった。
(実施例7)
実施例5と同一条件で単結晶の育成と切り離しを行った。その後、切り離し端部と湯面の距離が20mmとなるところまで引き上げ、その後200mm/分の速度で、切り離し端部と湯面の距離が10mmとなるまで結晶を降下させ、さらにその後、1200℃位置までの平均冷却速度が35℃/分となるように結晶を引き上げた。さらにその後、切り離し端部が1150℃から1080℃を通過する間の平均冷却速度が、定径成長中における定径部の前記温度帯の冷却速度に対して、5%急冷となるように、結晶を引き上げ冷却した。
その結果、定径50cm位置に対する切り離し部から30mm位置の欠陥密度の比は1.1となり、切り離し距離が長くても、再度結晶を降下させた後に引き上げれば、成長軸方向にほぼ均一な欠陥分布が得られることが分かった。
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様の作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、本発明で言うチョクラルスキー法とは、坩堝内の融液に磁場を印加しながら単結晶の育成を行なうMCZ法(磁場印加引上げ法)も含まれるものであり、垂直磁場印加法、水平磁場印加法、カスプ磁場印加法等の何れの磁場を用いたMCZ法であってもこれに含まれる。即ち、本発明の単結晶引上げ方法は、当然MCZ法においても適用可能であり、その効果を奏するものである。
また、本発明はシリコン単結晶の育成についてのみ説明を行なってきたが、チョクラルスキー法を用いて単結晶を育成する方法であれば、本発明のシリコン以外の結晶成長にも利用可能なことは言うまでもなく、例えばGaAs結晶等の化合物半導体の引上げにおいても、本発明を適用することは十分可能なのもである。
さらに、本発明では縮径部を形成しなくても無転位で結晶を切り離す技術を提供しているが、結晶欠陥など引き上げ中の熱履歴の均一性を維持するために有る程度縮径部を形成する必要が有る場合にも十分適用できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の結晶引き上げ装置の一例を示した説明図である。
図2は、従来の結晶引き上げ装置の一例を示した説明図である。
図3は、CZ法における単結晶の引き上げ工程を示した説明図である。

Claims (15)

  1. 少なくとも原料を充填した坩堝と、該坩堝を加熱するヒータと、該坩堝内の融液に種結晶を接触させて単結晶を成長させる引き上げ手段と、前記各部材を収容する金属チャンバーを備えた単結晶製造装置を用いたチョクラルスキー法による単結晶の成長方法において、単結晶の所定の定径部を育成した後に単結晶の固液界面下方の融液内に空間を形成し、単結晶の縮径部を形成することなくあるいは前記定径部を一旦縮径して縮径部を一部のみ形成し、融液から単結晶を切り離すことを特徴とする単結晶の成長方法。
  2. 請求項1に記載の単結晶の成長方法であって、該単結晶の固液界面下方の融液内に形成される前記空間は、該単結晶の所定の定径部を育成した後に融液内に不活性ガスを送入し形成することを特徴とする単結晶の成長方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の単結晶の成長方法であって、該単結晶の固液界面下方の融液内に形成される前記空間に送入する不活性ガスを、Ar(アルゴン)ガスとすることを特徴とする単結晶の製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の単結晶の成長方法であって、該単結晶の所定の定径部を形成した後に、該単結晶の直径を所望の値まで縮径し、その後、該単結晶の固液界面下方の融液内に前記空間を形成し該単結晶を融液から切り離すことを特徴とする単結晶の成長方法。
  5. 少なくとも原料を充填した坩堝と、該坩堝を加熱するヒータと、坩堝内の融液に種結晶を接触させて単結晶を成長させる引き上げ手段と、前記各部材を収容する金属チャンバーを備えた単結晶の製造装置であって、該坩堝内の融液に挿入し単結晶の固液界面下方の融液内に空間を形成するための不活性ガスを送入する不活性ガス導入管と、該不活性ガス導入管を該単結晶製造装置の外側にある不活性ガス供給配管につなぐ繋ぎ部品と、該製造装置内に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給管を備えたことを特徴とする単結晶の製造装置。
  6. 請求項5に記載の単結晶の製造装置であって、前記不活性ガス導入管を、前記坩堝内の融液中に沈み込ませる或いは該融液から取り出すことができるように該不活性ガス導入管に駆動機構を備えたことを特徴とする単結晶の製造装置。
  7. 少なくとも原料を充填した坩堝と、該坩堝を加熱するヒータと、坩堝内の融液に種結晶を接触させて単結晶を成長させる引き上げ手段と、前記各部材を収容する金属チャンバーを具備する単結晶製造装置を使用するチョクラルスキー法による単結晶の成長方法において、単結晶の定径部形成が終了した後に種結晶と原料融液を収容した坩堝を同一方向に回転させながら、前記単結晶の縮径部を形成することなくあるいは前記定径部を一旦縮径して縮径部を一部のみ形成し、無転位状態で単結晶を坩堝内の融液から切り離すことを特徴とする単結晶の成長方法。
  8. 前記単結晶の成長開始から定径部形成が終了するまでは、該単結晶と坩堝の回転を逆方向にし、定径部の形成が終了した後に坩堝の回転方向を単結晶の回転方向と同一方向にすることを特徴とする請求項7に記載の単結晶の成長方法。
  9. 前記単結晶の成長開始から定径部形成が終了するまでは、該単結晶と坩堝の回転を逆方向にし、定径部の形成が終了した後に単結晶の回転方向を坩堝の回転方向と同一方向にすることを特徴とする請求項7に記載の単結晶の成長方法。
  10. 前記単結晶の定径部形成終了後、融液からの切り離しが完了するまでの間、種結晶の引き上げ速度を前記単結晶の定径部形成時とほぼ同じ速度に保つことを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の単結晶の成長方法。
  11. 請求項1または請求項7に記載の単結晶の成長方法であって、シリコン単結晶定径部の育成が終了した後に無転位状態でシリコン単結晶を坩堝内の融液から切り離すシリコン単結晶の成長方法において、前記定径部の成長終了後、結晶と融液を切り離した後に単結晶の切り離し端部が少なくとも融点から1200℃までの温度帯では、平均35℃/分以下の冷却速度で前記温度帯を通過するように切り離し後のシリコン単結晶を引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の成長方法。
  12. 単結晶定径部の育成が終了した後に、無転位状態で単結晶を坩堝内の融液から切り離す請求項11に記載のチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の成長方法であって、前記単結晶を融液から切り離した後、該単結晶の切り離し端部が少なくとも1150℃から1080℃までの温度帯を通過する間の平均冷却速度が、結晶成長中における定径部の前記温度帯の冷却速度に対し10%以内の急冷となるように、切り離し後の単結晶を引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の成長方法。
  13. 単結晶定径部の育成が終了した後に、無転位状態で単結晶を坩堝内の融液から切り離す請求項12に記載のチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の成長方法であって、前記単結晶を融液から切り離した後、該単結晶の切り離し端部が少なくとも1150℃から1080℃までの温度帯を通過する時間が、30分〜80分となるように、切り離し後の単結晶を引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の成長方法。
  14. 前記シリコン単結晶定径部の育成が終了した後に無転位状態でシリコン単結晶を坩堝内の融液から切り離すまでは、シリコン単結晶の成長速度を前記定径部の成長速度と等しく平均成長速度を一定とすることを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1項に記載のシリコン単結晶の成長方法。
  15. 請求項1または請求項7に記載の単結晶の成長方法で製造したシリコン単結晶であって、該単結晶をウエーハに加工し熱処理を施したときに異常酸素析出として観察される領域が、前記単結晶の切り離し端部から種結晶側に50mm以内の範囲に止まっていることを特徴とするシリコン単結晶。
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