JP2005289751A - シリコン単結晶の引上方法 - Google Patents

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浩紀 村上
Yasuhiro Kogure
康弘 小暮
Mitsuru Hirayama
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Abstract

【課題】CZ法によるシリコン単結晶を製造する際、特に、クリストバライト化した結晶化層の剥離と、単結晶中への混入を防止して、歩留まりを向上させ得るシリコン単結晶の引上方法を提供する。
【解決手段】多結晶シリコン原料を石英ルツボ内で溶解し、そのシリコン融液からシリコン単結晶の引上げを行う際に、前記溶解を3×104〜4×104Paの炉内圧力で行い、前記引上げを1.4×104〜4×104Paの炉内圧力で行う。また、溶解および引上げを行って、引上げ終了後に、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域に厚さ10μm以上の結晶化層が形成されているようにしてもよい。なお、前記の結晶化層は、溶解初期のシリコン融液の最大深さh0の1/2に相当するレベル以下の石英ルツボの内表面にのみ形成されていてもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、多結晶シリコン原料を石英ルツボ内で溶解し、そのシリコン融液からシリコン単結晶の引上げを行うシリコン単結晶の引上方法に関する。
半導体材料のシリコンウエーハに用いられるシリコン単結晶を製造するには種々の方法があるが、その中で最も多く利用されている方法はチョクラルスキー法(CZ法)による単結晶育成方法である。
図1は、チョクラルスキー法による単結晶育成方法を実施するのに適したシリコン単結晶引上装置の要部の構成例を模式的に示す図である。この装置は、図示するように、カーボンルツボ2に保持され、カーボンルツボ2の底部中央に取り付けられたルツボ軸3により回転および上下動可能に構成された石英ルツボ1と、石英ルツボ1内の多結晶シリコン原料を加熱、溶解するためのヒーター4を備えている。さらに、引き上げられる単結晶を囲繞し、石英ルツボ1内のシリコン融液表面からの放熱を遮蔽するための遮蔽部材5が取り付けられている。また、石英ルツボ1およびヒーター4の回りには断熱材6が設けられている。なお、図示していないが、装置全体が気密に構成され、上部および下部にアルゴンガスの導入口および排出口が取り付けられている。
この装置を用いてシリコン単結晶を引き上げ、育成するには、石英ルツボ1内に多結晶シリコン原料を装入してアルゴンガス雰囲気中で加熱、溶解し、そのシリコン融液7に種結晶8を浸漬して単結晶の育成を開始する。種結晶8を回転させながら引上げワイヤ9で引き上げ、結晶を無転位化するために種結晶を細く絞るシード絞りを行い、所定の直径を有するボディ(定径部)にするための肩を形成した後、所定の直径でシリコン単結晶10を成長させる。この間、石英ルツボ1を種結晶8と同方向または逆方向に回転させる。単結晶10が目標長さに達すると終端部のテイル絞りを行い、単結晶の育成を終了する。
このように原料の溶解およびシリコン単結晶の引上げを行う際、単結晶にピンホールが発生し、また、気泡、不純物等に起因して単結晶が有転位化するという問題があり、原料の溶解時および単結晶の引上げ時における炉内圧力がこの問題に深く係わっている。
そのため、特許文献1では、シリコン原料を5〜60mbar(0.05×104〜0.6×104Pa)の炉内圧で溶融(溶解)し、100mbar(1×104Pa)以上の炉内圧で引上げを行う方法が提案されている。原料の溶解を高圧で行うと、原料や石英ルツボに含まれている気体に起因するシリコン融液中の気泡が融液から除去されにくく、単結晶中に取り込まれてピンホールとなり、また、融液中の不純物や気泡が原因となる結晶の有転位化が増加しやすくなる等の問題を解消するためとしている。
しかし、この方法では、石英ルツボの側壁や底部の構成材料内に存在する気泡が成長し、その材料内から開放されて(つまり、「開放気孔」となって)シリコン融液中に移行するが、その際、ルツボの内表面近傍の石英を剥離することがあり、この剥離した石英がシリコン融液中を浮遊して、単結晶に混入するなど、結晶の引上げに悪影響を与える。
また、特許文献2には、シリコン原料を65〜400mbar(0.65×104〜4×104Pa)の炉内圧力で溶解し、単結晶の引上げを、溶解時の炉内圧力より低く、かつ95mbar(0.95×104Pa)以下の炉内圧力で行う方法が記載されている。前記のピンホールの問題、および、気泡、不純物に起因する結晶の有転位化の問題は、主に単結晶引上げ時の炉内圧力に大きく依存しており、原料溶解時に気泡・不純物が余り排出されなくても、単結晶引上げ時に排出されればピンホールの発生、気泡および不純物に起因する有転位化の問題は発生しない、という考え方によるものである。
しかしながら、この方法においても、単結晶の引上げを95mbar(0.95×104Pa)以下の炉内圧力で行うと、やはり石英ルツボ内に存在する気泡は成長し、開放気泡となる可能性が高くなり、シリコン単結晶の育成にとって望ましい引上げ条件とは言えない。
一方、前述した多結晶シリコン原料の溶解およびシリコン単結晶の引上げを行う際、石英ルツボの内表面は、高温のシリコン融液と接触することにより結晶化(クリストバライト化)する。このクリストバライト化した部分(以下、「結晶化層」という)は、前掲の特許文献2にも記載されるように、単結晶の引上げ時に、一部が剥離してシリコン融液に混入し、単結晶中に取り込まれて有転位化を生じさせる場合があり、そのため、シリコン単結晶の歩留まりが低下するという問題がある。
特許第2635456号
特許第3360626号
本発明はこのような従来技術における問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、チョクラルスキー法によりシリコン原料を溶解し、シリコン単結晶を育成する際に、ピンホールの発生や、気泡、不純物に起因する結晶の有転位化を防止するとともに、石英ルツボの構成材料内に存在する気泡の成長を抑制し、特に、クリストバライト化した結晶化層の剥離と、単結晶中への混入を防止して、シリコン単結晶の歩留まりを向上させることが可能なシリコン単結晶の引上方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
すなわち、前述したように、多結晶シリコン原料の溶解およびシリコン単結晶の引上げを行う際、石英ルツボの内表面には結晶化層が形成されるが、引上げ終了後に、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域に結晶化層が所定の厚さで均一に形成されているような条件で原料の溶解および単結晶の引上げを行えば、結晶化層の剥離および単結晶中への混入を防止して、欠陥の発生を抑制し、シリコン単結晶の歩留まりを向上させることができる。実際に行う操業条件としては、原料溶解時の炉内圧力を3×104〜4×104Pa(300〜400mbar)とし、結晶引上げ時の炉内圧力を1.4×104〜4×104Pa(140〜400mbar)とする条件が適用できる。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その要旨は、下記(1)〜(3)に記載のシリコン単結晶の引上方法にある。
(1)多結晶シリコン原料を石英ルツボ内で溶解し、そのシリコン融液からシリコン単結晶の引上げを行うシリコン単結晶の引上方法であって、前記溶解を3×104〜4×104Paの炉内圧力で行い、前記引上げを1.4×104〜4×104Paの炉内圧力で行うシリコン単結晶の引上方法。
(2)多結晶シリコン原料を石英ルツボ内で溶解し、そのシリコン融液からシリコン単結晶の引上げを行い、引上げ終了後に、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域に厚さ10μm以上の結晶化層が形成されているシリコン単結晶の引上方法。
(3)多結晶シリコン原料を石英ルツボ内で溶解し、そのシリコン融液からシリコン単結晶の引上げを行うシリコン単結晶の引上方法であって、引上げ終了後に、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域に厚さ10μm以上の結晶化層が形成されているように、前記溶解を3×104〜4×104Paの炉内圧力で行い、前記引上げを1.4×104〜4×104Paの炉内圧力で行うシリコン単結晶の引上方法。
前記(1)〜(3)のいずれかに記載のシリコン単結晶の引上方法において、石英ルツボの内表面に形成されている前記結晶化層が、溶解初期のシリコン融液の最大深さをh0としたとき、融液の深さがh0/2に相当するレベル以下の石英ルツボの内表面に形成されていることとしてもよい。
前記「溶解初期のシリコン融液の最大深さh0」とは、シリコン原料の溶解が終了した直後の、未だシリコン単結晶の引上げが始まっていない時点における融液の深さ(これを、「初期深さ」という)である。通常、初期深さh0としては、石英ルツボの深さの0.7〜0.95倍の深さが用いられる。
本発明のシリコン単結晶の引上方法によれば、チョクラルスキー法によりシリコン原料を溶解し、シリコン単結晶を育成する際に、石英ルツボ内表面の結晶化を促進して、ピンホールの発生や、気泡、不純物に起因する結晶の有転位化等を防止するとともに、特に、クリストバライト化した結晶化層の剥離と、単結晶中への混入を防止して、シリコン単結晶の歩留まりを向上させることができる。
以下に、本発明のシリコン単結晶の引上方法(前記(1)、(2)または(3)に記載の方法)について詳細に説明する。
前記(1)に記載のシリコン単結晶の引上方法は、『多結晶シリコン原料を石英ルツボ内で溶解し、そのシリコン融液からシリコン単結晶の引上げを行うシリコン単結晶の引上方法であって、前記溶解を3×104〜4×104Pa(300〜400mbar)の炉内圧力で行い、前記引上げを1.4×104〜4×104Pa(140〜400mbar)の炉内圧力で行う』方法である。すなわち、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育成する際に、炉内圧力を前記のように規定する。
溶解時の炉内圧力が3×104Pa未満では、後述する実施例に示すように、シリコン単結晶の歩留まりを十分に向上させることができない。これは、次に詳述する均一な結晶化層が形成されない(つまり、結晶化している部分とそうでない非晶質の部分が存在する)か、または、結晶化層の厚さが10μmに満たないことによるものである。一方、溶解時の炉内圧力が4×104Paを超えると、単結晶中におけるピンホールの発生や、気泡および不純物に起因する結晶の有転位化の問題が生じる。
また、シリコン単結晶の引上げ時の炉内圧力が1.4×104Pa未満では、やはり、均一な結晶化層が形成されないか、結晶化層の厚さが10μm未満で、シリコン単結晶の歩留まりの向上が十分ではない。一方、炉内圧力が4×104Paを超えると、溶解時の炉内圧力が高い場合と同様に、ピンホールの発生や有転位化の問題が生じる。
なお、後述するように、この(1)の方法を実施することにより、単結晶の引上げ終了後に、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域に所定の厚さの均一な結晶化層が形成されている状態とすることができる。
前記(2)に記載のシリコン単結晶の引上方法は、『多結晶シリコン原料を石英ルツボ内で溶解し、そのシリコン融液からシリコン単結晶の引上げを行い、引上げ終了後に、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域に厚さ10μm以上の結晶化層が形成されている』ようにする引上方法である。すなわち、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育成する際に、単結晶の引上げ終了後に、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域に結晶化層が所定の厚さで均一に形成されているような条件で原料の溶解および単結晶の引上げを行うのである。
前記結晶化層は、石英ルツボの内表面が高温のシリコン融液との接触により結晶化(クリストバライト化)して形成された層である。このクリストバライト化した結晶化層は、先に述べたように、単結晶の引上げ時に、一部が剥離してシリコン融液に混入し、単結晶中に取り込まれて有転位化を生じさせる場合があるが、このような剥離が生じるのは、石英ルツボの内表面が全体的にみて結晶化している部分とそうでない非晶質の部分があり、そのため結晶化している部分の全てにおいて結合強度が必ずしも強くはないことによるものである。
そこで、(2)に記載の単結晶の引上方法においては、結晶化層を、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域に積極的に形成させ、引上げ終了後に、厚さ10μm以上の層として形成されているように、原料の溶解および単結晶の引上げを行うこととした。これによって、例えば結晶化している部分と非晶質の部分との境界等に存在する、結合強度が十分とはいえない結晶化部分が存在しないようにし、結晶化層全てにおいて十分な結合強度を持たせることが可能となる。
結晶化層の厚さを10μm以上とするのは、後述する実施例に示すように、シリコン単結晶の引上げ終了後において、結晶化層の厚さが10μmに満たない場合は、シリコン単結晶の歩留まり向上効果がそれほど大きくはないからである。
結晶化層の厚さの上限は特に定めない。石英ルツボの内表面の、シリコン融液に接している表面では、結晶化層が生成する一方で徐々に溶解していると考えられ、また、単結晶の育成を終了する時間内に結晶化層の厚さが操業に支障を来すほど増大することはないからである。
この引上方法において、シリコン単結晶の引上げ終了後に、結晶化層が厚さ10μm以上の層として形成されているようにする手段は、何ら限定されない。
前記(1)に記載の、原料溶解時および結晶引上げ時の炉内圧力を規定するシリコン単結晶の引上方法が、このような手段の一つである。
前記(3)に記載のシリコン単結晶の引上方法は、この炉内圧力を規定する手段を用いる方法で、『多結晶シリコン原料を石英ルツボ内で溶解し、そのシリコン融液からシリコン単結晶の引上げを行うシリコン単結晶の引上方法であって、引上げ終了後に、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域に厚さ10μm以上の結晶化層が形成されているように、前記溶解を3×104〜4×104Pa(300〜400mbar)の炉内圧力で行い、前記引上げを1.4×104〜4×104Pa(140〜400mbar)の炉内圧力で行う』方法である。
すなわち、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育成する際、引上げ終了後に、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域に、前述した厚さ10μm以上の結晶化層が均一に形成されているようにするために、原料溶解時および結晶引上げ時の炉内圧力を規定するのである。
石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域を、厚さ10μm以上の結晶化層が形成されている領域とするのは、そのような領域において、結晶化層が剥離して単結晶中に取り込まれるという問題が起こり得るからである。すなわち、石英ルツボの内表面の、現にシリコン融液が存在していた領域に、引上げ終了後、所定の条件を満たす結晶化層が形成されていれば、本発明の効果が得られる。
前記(2)または(3)に記載のシリコン単結晶の引上方法では、前述のように、引上げ終了後に、所定の領域に所定の条件を満たす結晶化層が形成されていることを構成要件としている。したがって、単結晶の引上げが終了した後に結晶化層の厚さの測定を行うことにより、結晶化層の評価をすることができる。
結晶化層の厚さを測定するには、まず、X線回折法により結晶化層の存否を確認した後、石英ルツボをその厚さ方向に劈開し、劈開断面について光学顕微鏡を用いて結晶化層の厚さを測定する。
本発明のシリコン単結晶の引上方法、すなわち、前記(2)または(3)に記載の方法において、結晶化層は、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域の全てにおいて形成されているのが望ましい。また、(1)に記載の方法においても、前述のように、単結晶の引上げ終了後に、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域に結晶化層が形成されているが、この場合も同様である。結晶化層の結合強度の低下が起こりやすいと考えられる結晶化部分と非晶質部分との境界が存在しなくなるからである。
しかし、『前記(1)〜(3)のいずれかに記載のシリコン単結晶の引上方法において、石英ルツボの内表面に形成されている前記(すなわち、厚さが10μm以上の)結晶化層が、溶解初期のシリコン融液の最大深さ(初期深さ)をh0としたとき、融液の深さがh0/2に相当するレベル以下の石英ルツボの内表面に形成されている』こととしてもよく、これにより、シリコン単結晶の歩留まりの向上を図るという所期の目的を達成することが可能である。
このように、結晶化層の形成領域をh0/2に相当するレベル以下の石英ルツボの内表面としてもよい、とするのは、石英ルツボ内を上部と下部に分けた場合、石英ルツボの内表面がシリコン融液に接している時間は、ルツボの上部に比べて下部の方が長いため、ルツボの下部において結晶化層が剥離してシリコン融液に混入する機会が多いからである。すなわち、h0/2に相当するレベル以下の石英ルツボの内表面に、結合強度の強い、厚さが10μm以上の結晶化層が形成されていれば、十分の効果が期待できる。
前記の「h0/2に相当するレベル以下」の領域について、図面を参照して説明する。
図2は、シリコン原料の溶解が終了した直後のシリコン融液を収容した石英ルツボの縦断面を模式的に示す図である。石英ルツボ1内に、溶解終了直後の、未だシリコン単結晶の引上げが始まっていない時点におけるシリコン融液7が収容されている。
図2に示したh0が、初期深さ(すなわち、溶解初期のシリコン融液の最大深さ)で、前述の「石英ルツボの内表面に形成されている厚さが10μm以上の結晶化層が、シリコン融液の初期深さh0の1/2に相当するレベル以下の石英ルツボの内表面に形成されている」とは、図面で表すと、h0/2のレベル(図中に、破線Lh0/2で表示)以下の領域にある石英ルツボの内表面に前記の結晶化層が形成されていることをいう。
図2中のHは、石英ルツボ1の深さで、前述したように、初期深さh0は、通常の操業では、石英ルツボ1の深さHの0.7〜0.95倍(h0=0.7〜0.95×H)となるように、ルツボ1へのシリコン原料の装入量の調整が行われる。したがって、前記の「h0/2に相当するレベル以下」の領域は、石英ルツボ1内を上部と下部に(凡そ半々に)分けた場合の下部に該当することになる。
前記図1に例示した構成を有するシリコン単結晶引上装置を用いて、チョクラルスキー法により多結晶シリコン原料の溶解およびその融液からの単結晶の引上げを行い、シリコン単結晶の歩留まりおよび石英ルツボ内表面の結晶化層の厚さを調査した。なお、シリコン単結晶の歩留まりは、良品率(単結晶の引上げ総数に対する合格数の比)で評価した。
先ず、石英ルツボ内に多結晶高純度シリコン140kgを投入し、ドーパントとして所定量のホウ素(B)を添加した。ホウ素の添加量(含有率)は、シリコン単結晶の育成時に、その抵抗率が、シリコン単結晶の前半(すなわち、所定の直径を有するボディ(定径部)にするための肩の形成が終了した時点)で10Ω・cmになるように調整した。
シリコン単結晶引上装置の炉内はアルゴンガス雰囲気とし、原料溶解時の炉内圧力を0.8×104〜4×104Pa(80〜400mbar)の範囲で変化させ、その後の単結晶育成時(引上げ時)の炉内圧力は1.5×104Pa(150mbar)の一定値に設定して、直径200mm、結晶方位<100>のp型シリコン単結晶を育成した。
表1に、シリコン単結晶の良品率と、引上げ終了後に測定した石英ルツボ内表面の結晶化層の厚さの測定結果を示す。表1において、「シリコン単結晶の良品率」は、原料溶解時の炉内圧力を0.8×104Pa(80mbar)としたときの良品率を1.00として表した値である。また、「石英ルツボ内表面の結晶化層の厚さ」は、前述の方法により、ルツボ内の3点で測定した値の平均値である。
Figure 2005289751
表1に示したように、原料の溶解を3×104Pa以上の炉内圧力で行った場合、石英ルツボの内表面に厚さ10μm以上の結晶化層が形成されており、シリコン単結晶の良品率が向上した。溶解時の炉内圧力が3×104Pa未満では、均一な結晶化層が形成されておらず、結晶化している部分とそうでない部分が認められ、シリコン単結晶の良品率の向上は僅少であった。なお、溶解時の炉内圧力は4×104Paまでの範囲内では高い方がよく、炉内圧力の上昇とともに結晶化層の厚さが増大し、シリコン単結晶の良品率も向上した。
さらに、原料溶解時の炉内圧力を0.8×104Pa(80mbar)または3.5×104Pa(350mbar)の一定とし、単結晶引上げ時の炉内圧力を1〜4×104Pa(100〜400mbar)の範囲で変化させて、前記と同様、直径200mm、結晶方位<100>のp型シリコン単結晶を育成した。
表2に、シリコン単結晶の良品率と、引上げ終了後に測定した石英ルツボ内表面の結晶化層の厚さの測定結果を示す。表2において、「シリコン単結晶の良品率」は、原料溶解時の炉内圧力を0.8×104Pa(80mbar)、単結晶引上げ時の炉内圧力を1×104Pa(100mbar)としたときの良品率を1.00として表した値である。なお、「石英ルツボ内表面の結晶化層の厚さ」の測定方法は、前記と同様である。
Figure 2005289751
表2に示した結果から明らかなように、原料溶解時の炉内圧力が0.8×104Paでは、単結晶引上げ時の炉内圧力を変化させても、石英ルツボの内表面に均一な結晶化層は形成されていないか、形成されていても厚さが10μm未満で、シリコン単結晶の良品率の向上も僅かであった。
溶解時の炉内圧力が3.5×104Paの場合、単結晶引上げ時の炉内圧力が1×104Paでは結晶化層の厚さが10μm未満であったが、1.4×104Pa以上になると、厚さが10μm以上の結晶化層が形成されており、シリコン単結晶の良品率が向上した。
本発明のシリコン単結晶の引上方法は、シリコン原料を溶解し、シリコン単結晶を育成する際に、ピンホールの発生や、気泡、不純物に起因する結晶の有転位化等を防止し、特に、クリストバライト化した結晶化層の剥離と、単結晶中への混入を防止して、シリコン単結晶の歩留まりを向上させる効果がある。したがって、半導体材料のシリコンウエーハに用いられるシリコン単結晶の製造に好適に利用することができる。
チョクラルスキー法による単結晶育成方法を実施するのに適したシリコン単結晶引上装置の要部の構成例を模式的に示す図である。 シリコン原料の溶解が終了した直後のシリコン融液を収容した石英ルツボの縦断面を模式的に示す図である。
符号の説明
1:石英ルツボ
2:カーボンルツボ
3:ルツボ軸
4:ヒーター
5:遮蔽部材
6:断熱材
7:シリコン融液
8:種結晶
9:引上げワイヤ
10:シリコン単結晶

Claims (4)

  1. 多結晶シリコン原料を石英ルツボ内で溶解し、そのシリコン融液からシリコン単結晶の引上げを行うシリコン単結晶の引上方法であって、前記溶解を3×104〜4×104Paの炉内圧力で行い、前記引上げを1.4×104〜4×104Paの炉内圧力で行うことを特徴とするシリコン単結晶の引上方法。
  2. 多結晶シリコン原料を石英ルツボ内で溶解し、そのシリコン融液からシリコン単結晶の引上げを行い、引上げ終了後に、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域に厚さ10μm以上の結晶化層が形成されていることを特徴とするシリコン単結晶の引上方法。
  3. 多結晶シリコン原料を石英ルツボ内で溶解し、そのシリコン融液からシリコン単結晶の引上げを行うシリコン単結晶の引上方法であって、引上げ終了後に、石英ルツボの内表面のシリコン融液が存在していた領域に厚さ10μm以上の結晶化層が形成されているように、前記溶解を3×104〜4×104Paの炉内圧力で行い、前記引上げを1.4×104〜4×104Paの炉内圧力で行うことを特徴とするシリコン単結晶の引上方法。
  4. 石英ルツボの内表面に形成されている前記結晶化層が、溶解初期のシリコン融液の最大深さをh0としたとき、融液の深さがh0/2に相当するレベル以下の石英ルツボの内表面に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリコン単結晶の引上方法。

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