JPH11199365A - 単結晶シリコンの製造方法および製造装置 - Google Patents

単結晶シリコンの製造方法および製造装置

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JPH11199365A
JPH11199365A JP9368276A JP36827697A JPH11199365A JP H11199365 A JPH11199365 A JP H11199365A JP 9368276 A JP9368276 A JP 9368276A JP 36827697 A JP36827697 A JP 36827697A JP H11199365 A JPH11199365 A JP H11199365A
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quartz
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進 前田
Hiroshige Abe
啓成 安部
Kazutaka Terajima
一高 寺嶋
Hideo Nakanishi
秀夫 中西
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Coorstek KK
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Mitsubishi Materials Silicon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シリコン溶液に混入する酸素量を低減させ、
もって低酸素濃度の単結晶シリコンを製作するととも
に、単結晶シリコンの製造歩留まりを向上させることの
できる単結晶シリコンの製造方法および製造装置を提供
することを目的とする。 【構成】 石英るつぼ14に投入された多結晶シリコン
を加熱し、これを溶融させた後に溶融シリコン34の自
由表面36を覆い、石英るつぼ14の溶解により生じる
酸素を溶融シリコン34内に封じ込める。そして酸素と
溶融シリコン34との反応により石英るつぼ14と溶融
シリコン34との界面に結晶化石英40を形成し、当該
結晶化石英40の形成後は自由表面36の覆いを外し、
単結晶シリコン42の引上げを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は単結晶シリコンの製
造方法に係り、特に単結晶シリコンに不純物として取り
込まれる酸素の濃度を低減化させ、かつ、単結晶製造の
歩留りを向上させる単結晶シリコンの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコンウェハを取り出すもとと
なる単結晶シリコンの製造には、チョコラルスキー法
(以下、CZ法と称す)が多く採用されている。図8
は、CZ法よって単結晶シリコンが製作される過程を示
した状態説明図である。同図に示すように単結晶シリコ
ン1を製作するには、不活性ガス(高純度アルゴンガ
ス)中の減圧化された環境で、高純度に精製された多結
晶シリコンを自転可能な黒鉛(カーボン)るつぼにて保
持された石英るつぼ2の中に投入する。そして当該石英
るつぼ2の外周に設置された黒鉛ヒータ3にて、石英る
つぼ2とともに多結晶シリコンを融点(1412℃)以
上に加熱し、多結晶シリコンを溶融状態にする。
【0003】加熱により多結晶シリコンが溶融し溶融シ
リコン4となった後は、石英るつぼ2の上方から所定の
方位を持つ種結晶5を下降させ、溶融シリコン4に浸
し、その後引き上げ速度とヒータ出力とを調整し、引き
上げとともに種結晶を徐々に細くし、種結晶の無転位化
を図っていく。そして種結晶の無転位化後は、引き上げ
速度をヒータ出力とを調整し、徐々に単結晶シリコン1
の径を大きくしていき(肩広げ工程)、当該単結晶シリ
コンの径が所定の径まで達したら定形部へと移行し(肩
決め工程)、所定長まで単結晶シリコン1を定径を維持
しながら引き上げていく。単結晶シリコンを所定長まで
引き上げたら、テール部を形成させ径を徐々に細くす
る。なお肩広げ工程の後の工程も直径の制御は全て単結
晶シリコンの引き上げ速度とヒータ出力にて行うように
している。
【0004】ところで単結晶シリコン1の形成時には、
溶融シリコンのエッチングにより石英るつぼ2が溶融
し、酸素が不純物として溶融シリコン4に混入する。当
該溶融シリコン4に混入した大半の酸素は、溶融シリコ
ン4の自由表面から外部(多くの場合はアルゴンガス
中)へとシリコン酸化物として蒸発する。しかし一部の
酸素は、溶融シリコン4の流れ(対流)あるいは拡散に
よって単結晶シリコン1の直下まで輸送され、成長界面
を通して単結晶シリコン1の内部に取り込まれる。
【0005】半導体メーカは自社の半導体製造条件に合
わせて、単結晶シリコン1中の酸素濃度や当該酸素濃度
の分布を指定してきており、これらの仕様は各社各様と
なっている。このため単結晶シリコン1の製造時には、
るつぼ、結晶回転数、H/Z(ホットゾーン)構造、炉
内部のガス条件、磁場印加引き上げ(磁場強度、磁場形
態)を経験的に調整して、単結晶シリコン1に取り込ま
れる酸素濃度を制御するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし最近では酸素濃
度の低い単結晶シリコン1の需要が多くなっている。こ
の仕様を満足させるため、るつぼ、結晶回転数、H/Z
(ホットゾーン)構造、炉内部のガス条件、磁場印加引
き上げ(磁場強度、磁場形態)を経験的に調整し単結晶
シリコン1に取り込まれる酸素量を調整する以外に、非
晶質石英よりも溶解速度の遅い結晶化した石英をるつぼ
の材質に用い、溶融シリコン4に混入する酸素量を低減
させる方法が考えられた。しかし結晶化石英るつぼは、
そのコストが高く単結晶シリコンの製造側に大きな負担
がかかるという問題点があった。
【0007】また単結晶シリコン1を引き上げ形成する
際、酸素欠損の結晶化石英が石英るつぼ2の表面から剥
離する場合がある。そしてこの酸素欠損の結晶化石英が
単結晶シリコン1の成長界面まで達し、当該単結晶シリ
コン1の内部に取り込まれ、有転位化してしまい、単結
晶シリコン1が製品にならないという問題点があった。
【0008】本発明は上記従来の問題点に着目し、高価
な結晶化石英るつぼを用いずとも、シリコン溶液に混入
する酸素量を低減させ、もって低酸素濃度の単結晶シリ
コンを製作することができるとともに、単結晶シリコン
の有転位化率を下げることができる単結晶シリコンの製
造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、石英るつぼか
ら溶融シリコンに混入した酸素を融液の蒸発を抑制し
て、融液中に高濃度で存在させ、石英るつぼの表面に結
晶化石英を形成すれば、石英の溶解速度を遅くさせるこ
とができ、もって低酸素濃度の単結晶シリコンを製作す
ることのできるという知見に基づいてなされたものであ
る。
【0010】すなわち本発明に係る単結晶シリコンの製
造方法は、石英るつぼに投入された多結晶シリコンを加
熱し、これを溶融させた後に単結晶シリコンの引上げを
おこなう単結晶シリコンの製造方法であって、前記石英
るつぼと溶融シリコンとの界面に結晶化石英を形成した
後に、前記単結晶シリコンの引上げを行う手順とした。
ここで前記結晶化石英の形成は、自由表面にシリコン結
晶層を形成するか、前記石英るつぼの開口部を塞ぐか、
前記石英るつぼを格納する容器の内圧を昇圧するか、自
由表面から高純度石英を投入するか、何れかの方法を用
いるようにすればよい。なお自由表面にシリコン結晶層
を形成する方法を用いた場合は、前記シリコン結晶層
は、前記自由表面に接触する種結晶を核として形成する
方法か、融液温度を徐々に下げて自然にシリコン結晶層
を形成する方法を用いればよい。
【0011】また具体的な単結晶シリコンの製造方法と
しては、石英るつぼに投入された多結晶シリコンを加熱
し、これを溶融させた後に前記石英るつぼの溶解により
生じる酸素を溶融シリコン内に封じ込め、前記酸素と前
記溶融シリコンとの反応により前記石英るつぼと前記溶
融シリコンとの界面に結晶化石英を形成し、当該結晶化
石英の形成後に単結晶シリコンの引上げをおこなう手順
とした。
【0012】また本発明に係る単結晶シリコンの製造装
置は、不活性ガスを導入可能とする筒体の内部に加熱可
能な石英るつぼを設けるとともに、前記筒体の上方に昇
降手段を設け、この昇降手段に種結晶を接続することで
前記石英るつぼにおける溶融シリコンの自由表面より単
結晶シリコンを引き上げ可能とする単結晶シリコンの製
造装置であって、前記石英るつぼの開口部を塞ぐ密閉蓋
を設けるとともに、この密閉蓋を昇降手段に接続可能に
なるよう構成した。あるいは不活性ガスを導入可能とす
る筒体の内部に加熱可能な石英るつぼを設けるととも
に、前記筒体の上方に昇降手段を設け、この昇降手段に
種結晶を接続することで前記石英るつぼにおける溶融シ
リコンの自由表面より単結晶シリコンを引き上げ可能と
する単結晶シリコンの製造装置であって、前記昇降手段
は自由表面を塞ぐシリコン結晶層を保持可能にするよう
構成した。
【0013】また不活性ガスを導入可能とする筒体の内
部に加熱可能な石英るつぼを設けるとともに、前記筒体
の上方に昇降手段を設け、この昇降手段に種結晶を接続
することで前記石英るつぼにおける溶融シリコンの自由
表面より単結晶シリコンを引き上げ可能とする単結晶シ
リコンの製造装置であって、前記自由表面に形成したシ
リコン結晶層を加熱するヒータを設けるよう構成した。
【0014】
【作用】上記構成によれば、結晶化石英が石英るつぼと
溶融シリコンとの界面に形成された後に、単結晶シリコ
ンの引上げ作業を行う。ここで結晶化石英は、るつぼの
材料に一般的に用いられる非晶質石英より溶解速度が遅
いことから、溶融シリコンへと混入される酸素量は低減
され、もって溶融シリコン内の酸素濃度は低くなる。そ
して酸素濃度の低い溶融シリコンから単結晶シリコンの
引上げを行えば、成長界面を通過する酸素量も低減する
ので、酸素濃度の低い単結晶シリコンの製造を行うこと
ができる。
【0015】また安定した結晶化石英が石英るつぼの表
面に形成されることから、当該石英るつぼの表面から酸
素欠損の結晶化石英が剥離することが少なくなる。この
ためこの酸素欠損の結晶化石英が単結晶シリコンの成長
界面を介して当該単結晶シリコンの内部に取り込まれる
ことを防止することができ、もって単結晶シリコンの製
造歩留まりを向上させることができる。
【0016】ところで溶融シリコンの自由表面にシリコ
ン結晶層を形成するか、石英るつぼの開口部を塞ぐか、
前記石英るつぼを格納する容器の内圧を昇圧するか、何
れかの方法を用いて、溶融シリコンの自由表面から蒸発
するシリコン酸化物の量を抑制してやれば、この溶融シ
リコン中の酸素濃度が上昇するので溶融シリコンと酸素
とが反応して、石英るつぼの表面に結晶化石英を形成す
ることができる。また自由表面から積極的に高純度石英
を投入し、低温側となる石英るつぼの表面に結晶化石英
を形成するようにしてもよい。そして結晶化石英を石英
るつぼの表面に形成した後は、単結晶シリコンの引き上
げを行う通常の状態にし、その後単結晶シリコンの引き
上げを行えばよい。
【0017】そして単結晶シリコンの製造装置を用いれ
ば、石英るつぼの開口部に置かれた蓋を容易に移動させ
ることができる。すなわち石英るつぼの表面に結晶化石
英を形成した後、昇降手段を稼働させ石英るつぼより上
方に蓋を移送させる。その後昇降手段に種結晶を取り付
け、遮蔽手段を解除させ通常のシリコン単結晶引き上げ
作業を行えばよい。このように蓋を昇降手段によって取
出可能にしたことから、シリコン結晶層の再溶融工程が
削除可能となり、製造工程の短縮化を図ることができ
る。また同装置では、蓋だけでなく自由表面を塞ぐシリ
コン結晶層も引き上げることが可能である。すなわち昇
降手段により種結晶を自由表面に接触させ、当該種結晶
を核としてシリコン結晶層を自由表面に形成させる。そ
してシリコン結晶層の作用により、石英るつぼと融液と
の界面に結晶化石英が形成された後は、昇降手段を稼働
させ、種結晶とともにシリコン結晶層を自由表面から引
き上げればよい。このようにシリコン結晶化膜も昇降手
段によって引き上げが可能となるので、蓋の場合と同様
にシリコン結晶層の再溶融工程が削除可能となり、製造
工程の短縮化を図ることができる。
【0018】また自由表面に形成したシリコン結晶層を
加熱するヒータを設けた製造装置を用いれば、このヒー
タの稼働によって自由表面に形成されたシリコン結晶層
のみを溶融させることができる。そしてヒータから離れ
た石英るつぼ表面の結晶化石英は加熱による溶け出し量
が抑えられるので、当該結晶化石英の長寿命化を図るこ
とができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明に係る単結晶シリコ
ンの製造方法および製造装置を図面を参照して詳細に説
明する。図2は本実施の形態に係る単結晶シリコンを製
造するための製造装置を示す。同図に示すように、単結
晶シリコンを製造するためのCZシリコン単結晶製造装
置10(以下製造装置10と称す)は、その中央部に図
示しない外部モータによって回転可能な黒鉛サセプタ1
2と、当該黒鉛サセプタ12に取付可能とされる非晶質
からなる石英るつぼ14と、黒鉛サセプタ12および石
英るつぼ14の外周に配置される黒鉛ヒータ16と、当
該黒鉛ヒータ16の外周に配置される断熱材18とが設
けられており、黒鉛ヒータ16を加熱させることでホッ
トゾーン20を形成している。
【0020】またホットゾーン20の外側には、大気と
の接触を防止する真空容器22が設けられている。そし
て石英るつぼ14の上側には引上げ軸24が設けられ、
この引上げ軸24を動作させることで当該引上げ軸24
の先端に取り付けられる種結晶ホルダ26の上下移動を
可能にしている。なお種結晶ホルダ26は、所定の方位
をもつ種結晶28を保持可能にしている。
【0021】真空容器22の上部には不活性ガス導入口
30が設けられ、真空容器22の下部には不活性ガス排
気口32が設けられており、シリコン単結晶の製造時に
は、ホットゾーン(カーボン材)の酸化防止や、融液か
らの蒸発物(シリコン酸化物)のパージ効果を高める目
的から、不活性ガス導入口30より高純度のアルゴンガ
ス29を導入させるとともに、不活性ガス排気口32よ
りこれを排気させ、真空容器22の内部、すなわち石英
るつぼ14の周辺をアルゴンガス29の雰囲気にするよ
うにしている。
【0022】このように構成された製造装置10を用
い、低酸素濃度のシリコン単結晶を製造する手順を説明
する。図1は、図2にて説明した製造装置10を用い低
酸素濃度の単結晶シリコンを製造する過程を示した状態
説明図であり、図3は同製造工程を示したフローチャー
トである。これらの図に示すように、低酸素濃度の単結
晶シリコンを製造するには、まず高純度に精製された多
結晶シリコンを石英るつぼ14に投入する。その後チャ
ンバを閉めて図示しない外部真空ポンプにより真空引き
を行い、その後真空容器22内に不活性ガス導入口30
よりアルゴンガス29を導入させ、当該アルゴンガスの
雰囲気(流量、圧力)をつくりだす。そして黒鉛ヒータ
16を加熱させ周囲温度をシリコンの融点(1412
℃)以上に設定し、石英るつぼ14内の多結晶シリコン
を溶解させ、石英るつぼ14内を溶融シリコン34で満
たす(第1段階、およびステップ100を参照)。
【0023】このように多結晶シリコンを溶解した後
は、徐々に黒鉛ヒータ16の出力を落とし、溶融シリコ
ン34における自由表面36の温度がシリコンの融点付
近になるよう設定する。そして自由表面36の温度設定
とともに、種結晶28が自由表面36に接触する直前ま
で引上げ軸24を下降させ、種結晶28の余熱を実施す
る(第2段階、およびステップ110)。
【0024】種結晶28の余熱後は、再度引上げ軸24
を下降させ、種結晶28を自由表面36に接触させる。
このように種結晶28と自由表面36との接触状態を継
続させていくと、種結晶28の先端にシリコン結晶層3
8が張り始める(第3段階、およびステップ120)。
そしてシリコン結晶層38の大きさや張り方の速度を確
認しながら、黒鉛ヒータ16の出力を調整し、所定の面
積になるまでシリコン結晶層38を成長させる(第4段
階、およびステップ130)。このように種結晶28の
接触位置を核としてシリコン結晶層38が形成される、
このため当該シリコン結晶層38の形成に片寄りが発生
した場合、シリコン結晶層38の形状に応じて石英るつ
ぼ14を回転させれば、自由表面36に片寄りのないシ
リコン結晶層38を形成させることができ、自由表面3
6を覆う面積を拡大させることが可能になる。
【0025】ところで溶融シリコン34を加熱する際に
は、石英るつぼ14が溶融し、酸素が不純物として溶融
シリコン34に混入する。ここで自由表面36にシリコ
ン結晶層38が存在しなければ、溶融シリコン34に混
入した大半の酸素は、溶融シリコン34の自由表面36
から、アルゴンガス環境中へとシリコン酸化物として蒸
発する。しかし溶融シリコンにおける全自由表面積の5
0%〜100%に相当する面積をもつシリコン結晶層3
8によって、溶融シリコン34に混入した大部分の酸素
は、蒸発が阻止され、当該酸素は溶融シリコン34の内
部に混入したままの状態になる。ここで溶融シリコン3
4の温度は、黒鉛ヒータ16の出力調整により低下して
いることから、溶融シリコン34内部の酸素とシリコン
とが反応し、石英るつぼ14と溶融シリコン34との界
面に結晶化石英40が形成されていく。具体的には結晶
化石英40が形成される面積は、溶融シリコン34と石
英るつぼ14との全接触面積に対して約60%〜100
%の間に設定し、結晶化石英40の厚みを数ミクロン〜
数百ミクロン成長させることが望ましい。なお、この厚
みの結晶化石英40を成長させるのに1時間〜10時間
程度かかると推測されている。
【0026】このように石英るつぼ14と溶融シリコン
34との界面に結晶化石英40を形成させた後は、再び
黒鉛ヒータ16の出力を上げ、溶融シリコン34の温度
を上昇させることで、シリコン結晶層38を再溶解する
(第5段階、およびステップ140)。この再溶解に際
し急激な昇温を行うと成長した結晶化石英40の層を再
溶融する可能性があるので、溶融シリコン34の昇温速
度は、2℃/hを越えないようにする。また結晶化石英
40の層を保護する点から、石英るつぼ14の開口部側
(石英るつぼ14の上側)にシリコン結晶層38溶解用
の専用のヒータを設け、当該ヒータにてシリコン結晶層
38を溶解するようにしてもよい。さらに結晶化石英4
0の層の保護および単結晶シリコン42の製造時間を短
縮させる目的から、シリコン結晶層38を石英るつぼ1
4の外側に取り出すような機構を真空容器22の内部に
設け、これを用いてシリコン結晶層38を溶解させる工
程を省くようにしてもよい。これらの機構については後
述する。
【0027】そしてシリコン結晶層38を再溶融させた
後は、石英るつぼ14を0〜30rpmの範囲で回転さ
せるとともに、種結晶28を上昇させ、従来のCZ法と
同様の手順で単結晶シリコン42の引き上げを行う(第
6段階、およびステップ150)。このとき石英るつぼ
14と溶融シリコン34との界面に形成された結晶化石
英40は、元々石英るつぼ14を形成していた非晶質石
英よりも安定した物質であり、当該非晶質石英に比べ溶
解速度が遅くなっている。この溶解速度の違いにより結
晶化石英40が形成された石英るつぼ14では、単位時
間内に石英るつぼ14の単位面積から溶融シリコン34
に混入する酸素量が少なくなっている。このため成長界
面44を通過して、溶融シリコン34側から単結晶シリ
コン42側へ移動する酸素の量も少なくなり、もって低
酸素濃度の単結晶シリコン42を製造することが可能と
なる。具体的には、5*1017〜7*1017atoms
/cm3程度の酸素濃度をもった単結晶シリコン42を
製造することができる。また前記効果に加え、安定した
結晶化石英40が石英るつぼ14の表面に形成されるこ
とから、当該石英るつぼ14の表面から酸素欠損の結晶
化石英が剥離することが少なくなる。このためこの酸素
欠損の結晶化石英が単結晶シリコン42の成長界面を介
して当該単結晶シリコン42の内部に取り込まれること
を防止することができ、もって単結晶シリコン42の製
造歩留まりを向上させることができる。
【0028】また結晶化石英40を石英るつぼ14の表
面に形成したことから、ホットゾーン20の大型化に伴
う石英るつぼ14のサーマルダメージも抑制することが
できる。すなわちホットゾーン20の大型化は、引き上
げる単結晶シリコン42の径の増大が目的であるが、こ
れに伴い石英るつぼ14の径を増大させると、黒鉛ヒー
タ16と石英るつぼ14の中央部、すなわち結晶育成部
との距離が離れる。しかし石英るつぼ14の中央部(結
晶育成部)の温度をシリコン融点付近に制御しなくては
ならないことから、これまで以上に黒鉛ヒータ16の出
力を上げることが必要となる。ここで黒鉛ヒータ16近
傍に位置する石英るつぼ14は、黒鉛ヒータ16からの
熱を受け、非常に高温となり軟化する(強度が低下す
る)。しかし溶融シリコンと石英るつぼとの界面に結晶
化石英が形成されていれば、当該結晶化石英は非晶質石
英に比べ原子構造的に安定であるため、石英るつぼの強
度を確保するとともに当該石英るつぼの減肉化を防ぐこ
とが可能になる。
【0029】発明者らは、溶融シリコン34内において
酸素とシリコンとが反応し、石英るつぼ14と溶融シリ
コン34との界面に結晶化石英40が形成されることを
説明するため種々検討し、実験を行った。そして実験の
中から、結晶化石英40の形成に説明のつく結果が得ら
れた。図4は実験内容を示す説明図であり、図5は単結
晶シリコン中の酸素濃度とr/Rとの関係を示したグラ
フである。本実験は、石英るつぼ14の半径に対する単
結晶シリコン42の半径比率と、この単結晶シリコン4
2内部の酸素濃度との関係を求めたものである。ここで
単結晶シリコン42における酸素濃度の測定位置は、単
結晶シリコン42の断面における外縁から内側に約2.
5〜5.0mm入り込んだ端部としている。また石英る
つぼ14の開口部直径、すなわち自由表面36の半径は
Rで示し、この自由表面36から引き上げられる単結晶
シリコン42の半径をrで示している。そして単結晶シ
リコン42の引き上げをおこなう溶融シリコン34に
は、ドーパンド無添加のシリコン(Non−dopin
g)の他にホウ素(p型半導体の製造に用いられる不純
物)の投入量を異ならせたもの(融液中、ホウ素濃度
は、1018atoms/cm3と1020atoms/c
3)を2種類用意した。なおドーパンド無添加のシリ
コンで製造された単結晶シリコンの酸素濃度の測定に
は、赤外線分光法(FTIR)を用い、ホウ素が投入さ
れた単結晶シリコンの酸素濃度の測定には、2次イオン
質量分析法(SIMS)を用いることとした。
【0030】ところで通常、単結晶シリコン42の半径
と、当該単結晶シリコン42内部の酸素濃度との関係を
得ようとすると、r/Rの値が大きくなるとともに、単
結晶シリコン42内の酸素濃度が上昇すると予想され
る。この理由としては、石英るつぼ14から溶融シリコ
ン34に混入した酸素は、r/Rの値が大きくなるとと
もに(単結晶シリコン42の半径が大きくなるととも
に)、自由表面36からシリコン酸化物の蒸発量が減少
し、溶融シリコン34中の酸素濃度の上昇により成長界
面44を介して高濃度の酸素が単結晶シリコン42側へ
と移動すると考えられるからである。
【0031】ここで図5におけるラインAは本実験の予
想線を示し、ラインBはドーパンド無添加のシリコン融
液から引き上げたシリコンの実測値を結んだ線、および
融液中、ホウ素濃度が1018atoms/cm3のシリ
コン融液から引き上げたシリコンの実測値を結んだ線を
示す。またラインCはホウ素濃度が1020atoms/
cm3となるシリコンの実測値を結んだ線を示す。上述
した理由により予想では、r/Rの値が大きくなるとと
もに単結晶シリコン42における酸素濃度の値は上昇す
る。しかし実際にはr/Rの値が大きくなっても単結晶
シリコン42内の酸素濃度は一定であったり、あるいは
減少する。これらの予想と異なった現象を説明するには
以下の説が適切であると考える。すなわち単結晶シリコ
ン42の径(r)を拡大することで自由表面36からの
シリコン酸化物の発生(蒸発)が抑えられる。すると石
英るつぼ14から溶融シリコン34へと混入した酸素
は、当該溶融シリコン34内のシリコンと反応し、石英
るつぼ14の表面に結晶化石英を形成する。溶融シリコ
ン34内の酸素は結晶化石英を形成するのに使用される
ので、成長界面44を介して単結晶シリコン42へと移
動する酸素の量は減少する。また石英るつぼ14の表面
に結晶化石英が形成された後は、当該結晶化石英は溶融
速度が遅いことから、溶融シリコン34に混入する酸素
量が減少する。このため溶融シリコン34内の酸素濃度
が低下するので、これに伴って成長界面を介して単結晶
シリコン42へと移動する酸素の量も減少する。このよ
うにr/Rの値を大きくしていくと、石英るつぼ14の
表面に結晶化石英が形成されていくことから(形成が促
進されていくことから)、単結晶シリコン42内の酸素
濃度が低減していくと考えられる。
【0032】また発明者らの観測によると、160mm
の開口径を持つ石英るつぼから、単結晶シリコンを引き
上げる際、その外径が約80mm程度に成長したとき
に、石英るつぼの表面に結晶化石英が形成されているの
が確認されている。こうした観測結果からも単結晶シリ
コンの径が増大し、自由表面の面積が減少すると溶融シ
リコン中から酸素(シリコン酸化物)の蒸発が抑えられ
当該酸素がシリコンと反応し、結晶化石英が形成されて
いくと考えられる。
【0033】そして発明者らはさらなる実験と検討を行
い、結晶化石英の形成に説明のつく結果を得た。図6は
結晶化石英育成後の石英るつぼ内表面のX線回折解析結
果のグラフを示す。そして同図(1)は溶融シリコンの
自由表面を70%覆った際の解析結果であり、同図
(2)は溶融シリコンの自由表面を5%覆った際の解析
結果である。これらの結果に示すように、同図(1)の
ほうが結晶化石英の存在を示すピーク(図中A部)の値
が高くなっているのが顕著に見られる。これらの結果か
らも、溶融シリコン内において酸素とシリコンとが反応
し、石英るつぼと溶融シリコンとの界面に結晶化石英が
形成されることを説明することができる。
【0034】また図7は、自由表面の被覆率に対する石
英るつぼ内表面の結晶化率を示すグラフであり、図8は
石英るつぼ内表面の結晶化率に対する引き上げ単結晶の
内部の酸素濃度を示すグラフである。図7においては、
自由表面の被覆率を向上させるに従って(自由表面を覆
っていくに従って)、融液と石英るつぼとの全接触面積
における結晶化石英の面積の比率が向上することがわか
る。また結晶化石英の厚みも面積の比率向上に伴って上
昇していることがわかる。これらの実験結果からも、溶
融シリコン内において酸素とシリコンとが反応し、石英
るつぼと溶融シリコンとの界面に結晶化石英が形成され
ることを説明することができる。
【0035】本実施の形態では、溶融シリコン34に種
結晶28を接触させ、当該種結晶28まわりにシリコン
結晶層38を張ることで、石英るつぼ14の表面に結晶
化石英40を形成することとしたが、これは一例であっ
て石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成する方
法は他にも幾つか考えられる。
【0036】図9は、石英るつぼ14の表面に結晶化石
英40を形成する第2の方法を示す。第2の方法では、
種結晶28を溶融シリコン34に接触せずにシリコン結
晶層38を形成するものである。すなわち多結晶シリコ
ンを溶解させ、溶融シリコン34とした後(図中第1段
階)に、自由表面36に針状結晶46が浮くまで徐々
に、黒鉛ヒータ16の出力を下げる(図中第2段階、第
3段階)。そして浮いている針状結晶46の大きさ、張
り方の速さをを確認しながら黒鉛ヒータ16の出力を調
整し、所定の大きさまで針状結晶46を成長させる(図
中第4段階)。このように自由表面36に針状結晶46
を成長させれば、溶融シリコン34から酸素が蒸発する
ことが抑えられ、石英るつぼ14の表面に結晶化石英4
0を形成することが可能になる。そして結晶化石英40
の形成後は、再び黒鉛ヒータ16の出力を上げるか、も
しくは専用のヒータ(図16参照)を用いて針状結晶4
6を溶解させ針状結晶を除去した後(図中第5段階)、
単結晶シリコンの引き上げ作業を行えばよい(図中第6
段階)。
【0037】図10は、石英るつぼ14の表面に結晶化
石英40を形成する第3の方法を示す。当該第3の方法
では、単結晶シリコン42の引き上げの際、まず当該単
結晶シリコン42の径を製品径よりも大きくし(シリコ
ン結晶層38の径と同じ位)自由表面36の面積を減少
させる(図中第1段階、第2段階)。この単結晶シリコ
ン42の径の成長度合いは、当該単結晶シリコン42の
引き上げ速度を変化させることで調整することが望まし
い。そして自由表面36の面積の減少により、酸素の蒸
発量を抑え、石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を
形成する方法である。なお石英るつぼ14の表面に結晶
化石英40が形成された後は、単結晶シリコン42の引
上げ速度を上げて、単結晶シリコン42の径を製品径に
一致させればよい(図中第3段階、第4段階)。
【0038】図11は、石英るつぼ14の表面に結晶化
石英40を形成する第4の方法を示す。当該第4の方法
では、多結晶シリコンの溶解が完了した後(図中第1段
階)に石英るつぼ14の開口縁部を塞ぐように密閉蓋4
8を設ける(図中第2段階)。このように石英るつぼ1
4に蓋をすると、溶融シリコン34内の酸素は、ほとん
ど密閉蓋48の外部に蒸発することがない。このため酸
素は溶融シリコン34内に残留し、この酸素により石英
るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成することがで
きる。そして石英るつぼ14の表面に結晶化石英40が
形成された後は、密閉蓋48を石英るつぼ14の開口縁
部から外し(図中第3段階)、単結晶シリコンの引き上
げ作業を行えばよい。
【0039】図12は、石英るつぼ14の表面に結晶化
石英40を形成する第5の方法を示す。当該第5の方法
では、多結晶シリコンの溶解後(図中第1段階)、自由
表面36に接する外気の圧力を単結晶シリコンの引上げ
時より高める(図中第2段階)。具体的には真空容器内
のアルゴンガスの圧力50を高めることで溶融シリコン
34からの酸素の蒸発を抑え、溶融シリコン34内に残
留した酸素にて石英るつぼ14の表面に結晶化石英40
を形成する手順となる。なお結晶化石英40を形成する
ため、圧力50を10-2atm〜10atmの間に設定
する。そして石英るつぼ14の表面に結晶化石英40が
形成された後(図中第3段階)は、真空容器内のアルゴ
ンガスの圧力を単結晶シリコンの引上げ時の圧力まで下
げ(図中第4段階)、単結晶シリコンの引き上げ作業を
行えばよい。
【0040】このように溶融シリコン34の温度や自由
表面36に接する雰囲気の圧力を調整すれば、石英るつ
ぼ14の表面に結晶化石英40を形成することができ
る。そして結晶化石英40の形成により、低酸素濃度の
単結晶シリコン42を形成することができる。
【0041】また以上説明した実施の形態は、通常の単
結晶シリコンの引き上げに用いる製造装置10を用いた
が、以下に示すような製造装置を用いるようにしてもよ
い。図13は、本実施の形態に係る単結晶シリコンの製
造装置の要部拡大図を示す。同図に示すように、CZシ
リコン単結晶製造装置52(以下製造装置52と称す)
は、前述した製造装置10に対して以下の機能を付加し
たものである。このため共通箇所には同一の部番を付与
して説明を行う。まず第1の付加点は、筒体となる真空
容器22を、石英るつぼ14の開口部より上方となる位
置で分割させているとともに、この突合せ部54の内径
を少なくとも石英るつぼ14の開口部よりも大径に設定
した点である。また第2の付加点は、分割された下側の
真空容器22Dの開口部の側方に当該真空容器22Dの
開口部閉鎖をなす遮断手段となる遮蔽バルブ56が設け
られるとともに、当該遮蔽バルブ56の移送をなす駆動
装置58が設けられている点である。また真空容器22
U、22Dの突合せ部54、および遮蔽バルブ56と真
空容器22Dとの摺動部分には、パッキン63が設けら
れており密閉空間を確保できるようになっている。
【0042】このように構成された製造装置52を用
い、低酸素濃度のシリコン単結晶を製造する手順を説明
する。まず真空容器22Uの上方に位置する昇降手段と
なる引上げ軸24に吊下ワイヤ60を介して密閉蓋48
を吊り下げる。そして引上げ軸24を降下させ、密閉蓋
48を石英るつぼ14の開口部へと設置する。このよう
に石英るつぼ14の開口部に密閉蓋48を設置し、自由
表面36からの酸素の蒸発を防ぎ石英るつぼ14の表面
に結晶化石英40を形成した後は、引上げ軸24を上昇
させ、密閉蓋48を突合せ部54の上側まで移動させ
る。ここで突合せ部54は石英るつぼ14の開口径より
大径に設定されているので、密閉蓋48は突合せ部54
の内壁を干渉することがなく、確実に突合せ部54まで
移動することができる。
【0043】突合せ部54を越えて真空容器22U側ま
で密閉蓋48を移動させた後は、駆動装置58を稼働さ
せ遮蔽バルブ56を移動させる。当該遮蔽バルブ56を
移動させることで真空容器22Dの開口部が塞がれ、当
該真空容器22Dは密閉状態となる。このように真空容
器22Dを密閉状態にした後は、真空容器22U内にア
ルゴンガスを導入させ、当該真空容器22Uにおける内
外の圧力を同一にする。次いで突合せ部54より真空容
器22Uと真空容器22Dとを分割させ、真空容器22
Uの内側を露出させる。真空容器22Uの内側には密閉
蓋48が移動しているので、当該密閉蓋48を引上げ軸
24から取り外し、当該引上げ軸24に今度は種結晶を
取り付ければよい。引上げ軸24に種結晶を取り付けた
後は、真空容器22Uと真空容器22Dとを再び突合せ
る。ここで真空容器22Uに取り付けられた図示しない
吸引ポンプを稼働させ真空容器22U内の気体を抜き取
った後、真空容器22Uにアルゴンガスを導入し真空容
器22U内の置換作業を行う。そしてこの作業を2〜3
回繰り返すことで真空容器22U内のアルゴンガスの濃
度を高め、真空容器22Uの内部圧力を真空容器22D
と同様に設定する。真空容器22Uと真空容器22Dと
の内部圧力を同一にした後は、遮蔽バルブを移動させ、
通常の単結晶シリコンの引き上げ工程を行えばよい。な
お上述した例では密閉蓋48を真空容器22の外側に取
り出す手順を説明したがこれにこだわる必要もなく、自
由表面36に形成されたシリコン結晶層38を取り出す
ようにしてもよい。この場合では石英るつぼ14外側の
黒鉛ヒータ16を加熱させシリコン結晶層38を溶かす
必要が無いので、石英るつぼ14の内表面に形成された
結晶化石英40へのダメージを抑えることができる。な
お密閉蓋48と種結晶とを保持する引上げ軸24は共通
としたが、図14に示すように巻取り装置66を専用に
設けるようにしてもよい。
【0044】また図15は製造装置52の別の形態を示
した要部拡大図を示す。同図における製造装置64にお
いては、真空容器22U、22Dの突合せ部54に、遮
蔽バルブ56と駆動装置58の代わりに円形蓋62を設
け、これを図示しない駆動装置にて移動可能にしたもの
である。このような構成を用いても真空容器22Dの開
口部を塞ぐことが可能となり、もって上述した製造装置
52と同様の効果を得ることができる。なお上述した形
態では、密閉蓋48等を上方へと引き上げ、真空容器2
2より取出可能としたが、この形態にこだわることもな
く、真空容器22Dの外径を石英るつぼ14の外径より
十分大きくとり、石英るつぼ14の開口部に置かれた密
閉蓋48等を、真空容器22Dと石英るつぼ14との隙
間に置くようにしてもよい。
【0045】図16は自由表面36の上面に加熱手段と
なるヒータ68を設けた製造装置の要部拡大図を示す。
同図に示す製造装置70は、加熱手段となるドーナツ型
のヒータ68を自由表面36の上面に設けた形態となっ
ており、その他の構成は製造装置10と同様である。そ
してこのヒータ68には独立した加熱電源72が接続さ
れており、ヒータ68を独立して制御できるようになっ
ている。
【0046】このような製造装置70を用いれば、石英
るつぼ14の外周に配置された黒鉛ヒータ16を稼働さ
せずとも、自由表面36に形成されたシリコン結晶層3
8を溶かすことができるので、石英るつぼ14の表面に
形成された結晶化石英40へのダメージを抑えることが
できる。
【0047】図17は製造装置70を用い石英るつぼの
表面に結晶化石英を形成する手順を示した説明図であ
る。同図に示すように、石英るつぼ14内で多結晶シリ
コンが溶融し、溶融シリコン34となった後、引上げ軸
24を用い高純度石英74を溶融シリコン34内へと投
入する。そしてこの投入の際、ヒータ16を稼働させ高
純度石英74の溶解を速めるとともに黒鉛ヒータ16の
出力を低下させる。このような状態を設定すると、溶融
シリコン34中に溶けだした高純度石英74は、低温側
となる石英るつぼ14の表面で反応し、当該石英るつぼ
14の表面に結晶化石英を形成することができる。そし
て結晶化石英が形成された後は、溶融シリコン34の温
度を引き上げ工程時と同様の温度に上昇させるととも
に、引上げ軸24に種結晶を取り付け、単結晶シリコン
の引き上げ工程を行えばよい。なお本実施例ではヒータ
68をドーナツ型とし吊下形状としたが、それ以外に真
空容器22の内壁にヒータを固定するような方式を用い
てもよい(図17破線部参照)。
【0048】また本実施の形態では、CZ法による製造
装置を用いて説明をおこなったが、MCZ法による製造
装置にも同様の製造方法が適用できることはいうまでも
ない。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、石
英るつぼに投入された多結晶シリコンを加熱し、これを
溶融させた後に単結晶シリコンの引上げをおこなう単結
晶シリコンの製造方法であって、前記石英るつぼと溶融
シリコンとの界面に結晶化石英を形成した後に、前記単
結晶シリコンの引上げを行うことから、高価な結晶化石
英るつぼを用いずとも、シリコン溶液に混入する酸素量
を低減させ、もって低酸素濃度の単結晶シリコンを製作
することが可能となる。
【0050】また上記効果に加え、結晶化石英の形成に
より石英片の剥離防止が図られ、もって単結晶シリコン
の製造歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2にて説明した製造装置10を用い低酸素濃
度の単結晶シリコンを製造する過程を示した状態説明図
である。
【図2】本実施の形態に係る単結晶シリコンを製造する
ための製造装置を示す。
【図3】同製造工程を示したフローチャートである。
【図4】実験内容を示す説明図である。
【図5】単結晶シリコンの端部測定における酸素濃度と
r/Rとの関係を示したグラフである。
【図6】結晶化石英育成後の石英るつぼ内表面のX線回
折解析結果のグラフを示す。
【図7】自由表面の被覆率に対する石英るつぼ内表面の
結晶化率を示すグラフである。
【図8】石英るつぼ内表面の結晶化率に対する引き上げ
単結晶の内部の酸素濃度を示すグラフである。
【図9】石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成
する第2の方法を示す。
【図10】石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形
成する第3の方法を示す。
【図11】石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形
成する第4の方法を示す。
【図12】石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形
成する第5の方法を示す。
【図13】本実施の形態に係る単結晶シリコンの製造装
置の要部拡大図を示す。
【図14】巻取り装置66を専用に設けた単結晶シリコ
ンの製造装置の要部拡大図を示す。
【図15】製造装置52の別の形態を示した要部拡大図
を示す。
【図16】自由表面36の上面に加熱手段となるヒータ
68を設けた製造装置の要部拡大図を示す。
【図17】製造装置70を用い石英るつぼの表面に結晶
化石英を形成する手順を示した説明図である。
【図18】CZ法よって単結晶シリコンが製作される過
程を示した状態説明図である。
【符号の説明】
1 シリコン単結晶 2 石英るつぼ 3 黒鉛ヒータ 4 溶融シリコン 5 種結晶 10 CZシリコン単結晶製造装置 12 黒鉛サセプタ 14 石英るつぼ 16 黒鉛ヒータ 18 断熱材 20 ホットゾーン 22 真空容器 24 引上げ軸 26 種結晶ホルダ 28 種結晶 29 アルゴンガス 30 不活性ガス導入口 32 不活性ガス排気口 34 溶融シリコン 36 自由表面 38 シリコン結晶層 40 結晶化石英 42 単結晶シリコン 44 成長界面 46 針状結晶 48 密閉蓋 50 圧力 52 CZシリコン単結晶製造装置 54 突合せ部 56 遮蔽バルブ 58 駆動装置 60 吊下ワイヤ 62 円形蓋 64 製造装置 63 パッキン 66 巻取り装置 68 ヒータ 70 製造装置 72 加熱電源 74 高純度石英
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 進 神奈川県平塚市四之宮2612番地 コマツ電 子金属株式会社内 (72)発明者 安部 啓成 東京都千代田区大手町1丁目5番1号 三 菱マテリアルシリコン株式会社内 (72)発明者 寺嶋 一高 神奈川県海老名市中野206番地の3 (72)発明者 中西 秀夫 東京都新宿区西新宿1丁目26番2号 東芝 セラミックス株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石英るつぼに投入された多結晶シリコン
    を加熱し、これを溶融させた後に単結晶シリコンの引上
    げをおこなう単結晶シリコンの製造方法であって、前記
    石英るつぼと溶融シリコンとの界面に結晶化石英を形成
    した後に、前記単結晶シリコンの引上げを行うことを特
    徴とする単結晶シリコンの製造方法。
  2. 【請求項2】 自由表面にシリコン結晶層を形成するこ
    とで前記結晶化石英の形成をおこなうことを特徴とする
    請求項1に記載の単結晶シリコンの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記シリコン結晶層は、前記自由表面に
    接触する種結晶を核として形成されることを特徴とする
    請求項2に記載の単結晶シリコンの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記石英るつぼの開口部を塞ぐことで前
    記結晶化石英の形成をおこなうことを特徴とする請求項
    1に記載の単結晶シリコンの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記石英るつぼを格納する容器の内圧を
    昇圧することで前記結晶化石英の形成をおこなうことを
    特徴とする請求項1に記載の単結晶シリコンの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 自由表面より高純度石英を投入すること
    で前記結晶化石英の形成をおこなうことを特徴とする請
    求項1に記載の単結晶シリコンの製造方法。
  7. 【請求項7】 石英るつぼに投入された多結晶シリコン
    を加熱し、これを溶融させた後に前記石英るつぼの溶解
    により生じる酸素を溶融シリコン内に封じ込め、前記酸
    素と前記溶融シリコンとの再結晶化により前記石英るつ
    ぼと前記溶融シリコンとの界面に結晶化石英を形成し、
    当該結晶化石英の形成後に単結晶シリコンの引上げをな
    すことを特徴とする単結晶シリコンの製造方法。
  8. 【請求項8】 不活性ガスを導入可能とする筒体の内部
    に加熱可能な石英るつぼを設けるとともに、前記筒体の
    上方に昇降手段を設け、この昇降手段に種結晶を接続す
    ることで前記石英るつぼにおける溶融シリコンの自由表
    面より単結晶シリコンを引き上げ可能とする単結晶シリ
    コンの製造装置であって、前記石英るつぼの開口部を塞
    ぐ密閉蓋を設けるとともに、この密閉蓋を昇降手段に接
    続可能としたことを特徴とする単結晶シリコンの製造装
    置。
  9. 【請求項9】 不活性ガスを導入可能とする筒体の内部
    に加熱可能な石英るつぼを設けるとともに、前記筒体の
    上方に昇降手段を設け、この昇降手段に種結晶を接続す
    ることで前記石英るつぼにおける溶融シリコンの自由表
    面より単結晶シリコンを引き上げ可能とする単結晶シリ
    コンの製造装置であって、前記昇降手段は自由表面を塞
    ぐシリコン結晶層を保持可能にしたことを特徴とする単
    結晶シリコンの製造装置。
  10. 【請求項10】 不活性ガスを導入可能とする筒体の内
    部に加熱可能な石英るつぼを設けるとともに、前記筒体
    の上方に昇降手段を設け、この昇降手段に種結晶を接続
    することで前記石英るつぼにおける溶融シリコンの自由
    表面より単結晶シリコンを引き上げ可能とする単結晶シ
    リコンの製造装置であって、前記自由表面に形成したシ
    リコン結晶層を加熱するヒータを設けたことを特徴とす
    る単結晶シリコンの製造装置。
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