JP4154745B2 - 単結晶シリコンの製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は単結晶シリコンの製造方法に係り、特に単結晶シリコンに不純物として取り込まれる酸素の濃度を低減化させ、かつ、単結晶製造の歩留りを向上させる単結晶シリコンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコンウェハを取り出すもととなる単結晶シリコンの製造には、チョコラルスキー法(以下、CZ法と称す)が多く採用されている。
図8は、CZ法よって単結晶シリコンが製作される過程を示した状態説明図である。同図に示すように単結晶シリコン1を製作するには、不活性ガス(高純度アルゴンガス)中の減圧化された環境で、高純度に精製された多結晶シリコンを自転可能な黒鉛(カーボン)るつぼにて保持された石英るつぼ2の中に投入する。そして当該石英るつぼ2の外周に設置された黒鉛ヒータ3にて、石英るつぼ2とともに多結晶シリコンを融点(1412℃)以上に加熱し、多結晶シリコンを溶融状態にする。
【0003】
加熱により多結晶シリコンが溶融し溶融シリコン4となった後は、石英るつぼ2の上方から所定の方位を持つ種結晶5を下降させ、溶融シリコン4に浸し、その後引き上げ速度とヒータ出力とを調整し、引き上げとともに種結晶を徐々に細くし、種結晶の無転位化を図っていく。そして種結晶の無転位化後は、引き上げ速度をヒータ出力とを調整し、徐々に単結晶シリコン1の径を大きくしていき(肩広げ工程)、当該単結晶シリコンの径が所定の径まで達したら定形部へと移行し(肩決め工程)、所定長まで単結晶シリコン1を定径を維持しながら引き上げていく。単結晶シリコンを所定長まで引き上げたら、テール部を形成させ径を徐々に細くする。なお肩広げ工程の後の工程も直径の制御は全て単結晶シリコンの引き上げ速度とヒータ出力にて行うようにしている。
【0004】
ところで単結晶シリコン1の形成時には、溶融シリコンのエッチングにより石英るつぼ2が溶融し、酸素が不純物として溶融シリコン4に混入する。当該溶融シリコン4に混入した大半の酸素は、溶融シリコン4の自由表面から外部(多くの場合はアルゴンガス中)へとシリコン酸化物として蒸発する。しかし一部の酸素は、溶融シリコン4の流れ(対流)あるいは拡散によって単結晶シリコン1の直下まで輸送され、成長界面を通して単結晶シリコン1の内部に取り込まれる。
【0005】
半導体メーカは自社の半導体製造条件に合わせて、単結晶シリコン1中の酸素濃度や当該酸素濃度の分布を指定してきており、これらの仕様は各社各様となっている。このため単結晶シリコン1の製造時には、るつぼ、結晶回転数、H/Z(ホットゾーン)構造、炉内部のガス条件、磁場印加引き上げ(磁場強度、磁場形態)を経験的に調整して、単結晶シリコン1に取り込まれる酸素濃度を制御するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし最近では酸素濃度の低い単結晶シリコン1の需要が多くなっている。この仕様を満足させるため、るつぼ、結晶回転数、H/Z(ホットゾーン)構造、炉内部のガス条件、磁場印加引き上げ(磁場強度、磁場形態)を経験的に調整し単結晶シリコン1に取り込まれる酸素量を調整する以外に、非晶質石英よりも溶解速度の遅い結晶化した石英をるつぼの材質に用い、溶融シリコン4に混入する酸素量を低減させる方法が考えられた。しかし結晶化石英るつぼは、そのコストが高く単結晶シリコンの製造側に大きな負担がかかるという問題点があった。
【0007】
また単結晶シリコン1を引き上げ形成する際、酸素欠損の結晶化石英が石英るつぼ2の表面から剥離する場合がある。そしてこの酸素欠損の結晶化石英が単結晶シリコン1の成長界面まで達し、当該単結晶シリコン1の内部に取り込まれ、有転位化してしまい、単結晶シリコン1が製品にならないという問題点があった。
【0008】
本発明は上記従来の問題点に着目し、高価な結晶化石英るつぼを用いずとも、シリコン溶液に混入する酸素量を低減させ、もって低酸素濃度の単結晶シリコンを製作することができるとともに、単結晶シリコンの有転位化率を下げることができる単結晶シリコンの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、石英るつぼから溶融シリコンに混入した酸素を融液の蒸発を抑制して、融液中に高濃度で存在させ、石英るつぼの表面に結晶化石英を形成すれば、石英の溶解速度を遅くさせることができ、もって低酸素濃度の単結晶シリコンを製作することのできるという知見に基づいてなされたものである。
【0010】
すなわち本発明に係る単結晶シリコンの製造方法は、石英るつぼに投入された多結晶シリコンを加熱し、これを溶融させた後に単結晶シリコンの引上げをおこなう単結晶シリコンの製造方法であって、引上げ工程前で溶解工程の後、融液自由表面からのシリコン酸化物の蒸発を制御して、融液中の酸素濃度を調整し、石英るつぼへ取り込まれる酸素濃度を制御することにより前記石英るつぼと溶融シリコンとの界面に結晶化石英を形成した後に、種結晶先端の自由表面上の結晶を再溶解して前記単結晶シリコンの引上げを行う手順とした。ここで前記結晶化石英の形成は、自由表面にシリコン結晶層を形成するか、前記石英るつぼの開口部を塞ぐか、前記石英るつぼを格納する容器の内圧を昇圧するか、自由表面から高純度石英を投入するか、何れかの方法を用いるようにすればよい。なお自由表面にシリコン結晶層を形成する方法を用いた場合は、前記シリコン結晶層は、前記自由表面に接触する種結晶を核として形成する方法か、融液温度を徐々に下げて自然にシリコン結晶層を形成する方法を用いればよい。
【0011】
また具体的な単結晶シリコンの製造方法としては、石英るつぼに投入された多結晶シリコンを加熱し、これを溶融させた後に前記石英るつぼの溶解により生じる酸素を溶融シリコン内に封じ込めて融液中の酸素濃度を調整し、前記酸素と前記溶融シリコンとの再結晶化により前記石英るつぼと前記溶融シリコンとの界面に結晶化石英を形成し、当該結晶化石英の形成後に、種結晶先端の自由表面上の結晶を再溶解して単結晶シリコンの引上げをおこなう手順とした。
【0012】
また本発明に係る単結晶シリコンの製造装置は、不活性ガスを導入可能とする筒体の内部に加熱可能な石英るつぼを設けるとともに、前記筒体の上方に昇降手段を設け、この昇降手段に種結晶を接続することで前記石英るつぼにおける溶融シリコンの自由表面より単結晶シリコンを引き上げ可能とする単結晶シリコンの製造装置であって、前記石英るつぼの開口部を塞ぐ密閉蓋を設けるとともに、この密閉蓋を昇降手段に接続可能になるように構成した。
【0013】
前記自由表面に形成したシリコン結晶層を加熱するヒータを設け、前記制御手段は前記石英るつぼと溶融シリコンとの界面に結晶化石英を形成した後に、前記ヒータを駆動して種結晶先端の自由表面上の結晶を再溶解し、その後に前記単結晶シリコンの引上げを行うよう構成した。
【0014】
【作用】
上記構成によれば、結晶化石英が石英るつぼと溶融シリコンとの界面に形成された後に、単結晶シリコンの引上げ作業を行う。ここで結晶化石英は、るつぼの材料に一般的に用いられる非晶質石英より溶解速度が遅いことから、溶融シリコンへと混入される酸素量は低減され、もって溶融シリコン内の酸素濃度は低くなる。そして酸素濃度の低い溶融シリコンから単結晶シリコンの引上げを行えば、成長界面を通過する酸素量も低減するので、酸素濃度の低い単結晶シリコンの製造を行うことができる。
【0015】
また安定した結晶化石英が石英るつぼの表面に形成されることから、当該石英るつぼの表面から酸素欠損の結晶化石英が剥離することが少なくなる。このためこの酸素欠損の結晶化石英が単結晶シリコンの成長界面を介して当該単結晶シリコンの内部に取り込まれることを防止することができ、もって単結晶シリコンの製造歩留まりを向上させることができる。
【0016】
ところで溶融シリコンの自由表面にシリコン結晶層を形成するか、石英るつぼの開口部を塞ぐか、前記石英るつぼを格納する容器の内圧を昇圧するか、何れかの方法を用いて、溶融シリコンの自由表面から蒸発するシリコン酸化物の量を抑制してやれば、この溶融シリコン中の酸素濃度が上昇するので溶融シリコンと酸素とが反応して、石英るつぼの表面に結晶化石英を形成することができる。また自由表面から積極的に高純度石英を投入し、低温側となる石英るつぼの表面に結晶化石英を形成するようにしてもよい。そして結晶化石英を石英るつぼの表面に形成した後は、単結晶シリコンの引き上げを行う通常の状態にし、その後単結晶シリコンの引き上げを行えばよい。
【0017】
そして単結晶シリコンの製造装置を用いれば、石英るつぼの開口部に置かれた蓋を容易に移動させることができる。すなわち石英るつぼの表面に結晶化石英を形成した後、昇降手段を稼働させ石英るつぼより上方に蓋を移送させる。その後昇降手段に種結晶を取り付け、遮蔽手段を解除させ通常のシリコン単結晶引き上げ作業を行えばよい。このように蓋を昇降手段によって取出可能にしたことから、シリコン結晶層の再溶融工程が削除可能となり、製造工程の短縮化を図ることができる。また同装置では、蓋だけでなく自由表面を塞ぐシリコン結晶層も引き上げることが可能である。すなわち昇降手段により種結晶を自由表面に接触させ、当該種結晶を核としてシリコン結晶層を自由表面に形成させる。そしてシリコン結晶層の作用により、石英るつぼと融液との界面に結晶化石英が形成された後は、昇降手段を稼働させ、種結晶とともにシリコン結晶層を自由表面から引き上げればよい。このようにシリコン結晶化膜も昇降手段によって引き上げが可能となるので、蓋の場合と同様にシリコン結晶層の再溶融工程が削除可能となり、製造工程の短縮化を図ることができる。
【0018】
また自由表面に形成したシリコン結晶層を加熱するヒータを設けた製造装置を用いれば、このヒータの稼働によって自由表面に形成されたシリコン結晶層のみを溶融させることができる。そしてヒータから離れた石英るつぼ表面の結晶化石英は加熱による溶け出し量が抑えられるので、当該結晶化石英の長寿命化を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る単結晶シリコンの製造方法および製造装置を図面を参照して詳細に説明する。
図2は本実施の形態に係る単結晶シリコンを製造するための製造装置を示す。同図に示すように、単結晶シリコンを製造するためのCZシリコン単結晶製造装置10(以下製造装置10と称す)は、その中央部に図示しない外部モータによって回転可能な黒鉛サセプタ12と、当該黒鉛サセプタ12に取付可能とされる非晶質からなる石英るつぼ14と、黒鉛サセプタ12および石英るつぼ14の外周に配置される黒鉛ヒータ16と、当該黒鉛ヒータ16の外周に配置される断熱材18とが設けられており、黒鉛ヒータ16を加熱させることでホットゾーン20を形成している。
【0020】
またホットゾーン20の外側には、大気との接触を防止する真空容器22が設けられている。そして石英るつぼ14の上側には引上げ軸24が設けられ、この引上げ軸24を動作させることで当該引上げ軸24の先端に取り付けられる種結晶ホルダ26の上下移動を可能にしている。なお種結晶ホルダ26は、所定の方位をもつ種結晶28を保持可能にしている。
【0021】
真空容器22の上部には不活性ガス導入口30が設けられ、真空容器22の下部には不活性ガス排気口32が設けられており、シリコン単結晶の製造時には、ホットゾーン(カーボン材)の酸化防止や、融液からの蒸発物(シリコン酸化物)のパージ効果を高める目的から、不活性ガス導入口30より高純度のアルゴンガス29を導入させるとともに、不活性ガス排気口32よりこれを排気させ、真空容器22の内部、すなわち石英るつぼ14の周辺をアルゴンガス29の雰囲気にするようにしている。
【0022】
このように構成された製造装置10を用い、低酸素濃度のシリコン単結晶を製造する手順を説明する。
図1は、図2にて説明した製造装置10を用い低酸素濃度の単結晶シリコンを製造する過程を示した状態説明図であり、図3は同製造工程を示したフローチャートである。これらの図に示すように、低酸素濃度の単結晶シリコンを製造するには、まず高純度に精製された多結晶シリコンを石英るつぼ14に投入する。その後チャンバを閉めて図示しない外部真空ポンプにより真空引きを行い、その後真空容器22内に不活性ガス導入口30よりアルゴンガス29を導入させ、当該アルゴンガスの雰囲気(流量、圧力)をつくりだす。そして黒鉛ヒータ16を加熱させ周囲温度をシリコンの融点(1412℃)以上に設定し、石英るつぼ14内の多結晶シリコンを溶解させ、石英るつぼ14内を溶融シリコン34で満たす(第1段階、およびステップ100を参照)。
【0023】
このように多結晶シリコンを溶解した後は、徐々に黒鉛ヒータ16の出力を落とし、溶融シリコン34における自由表面36の温度がシリコンの融点付近になるよう設定する。そして自由表面36の温度設定とともに、種結晶28が自由表面36に接触する直前まで引上げ軸24を下降させ、種結晶28の余熱を実施する(第2段階、およびステップ110)。
【0024】
種結晶28の余熱後は、再度引上げ軸24を下降させ、種結晶28を自由表面36に接触させる。このように種結晶28と自由表面36との接触状態を継続させていくと、種結晶28の先端にシリコン結晶層38が張り始める(第3段階、およびステップ120)。そしてシリコン結晶層38の大きさや張り方の速度を確認しながら、黒鉛ヒータ16の出力を調整し、所定の面積になるまでシリコン結晶層38を成長させる(第4段階、およびステップ130)。このように種結晶28の接触位置を核としてシリコン結晶層38が形成される、このため当該シリコン結晶層38の形成に片寄りが発生した場合、シリコン結晶層38の形状に応じて石英るつぼ14を回転させれば、自由表面36に片寄りのないシリコン結晶層38を形成させることができ、自由表面36を覆う面積を拡大させることが可能になる。
【0025】
ところで溶融シリコン34を加熱する際には、石英るつぼ14が溶融し、酸素が不純物として溶融シリコン34に混入する。ここで自由表面36にシリコン結晶層38が存在しなければ、溶融シリコン34に混入した大半の酸素は、溶融シリコン34の自由表面36から、アルゴンガス環境中へとシリコン酸化物として蒸発する。しかし溶融シリコンにおける全自由表面積の50%〜100%に相当する面積をもつシリコン結晶層38によって、溶融シリコン34に混入した大部分の酸素は、蒸発が阻止され、当該酸素は溶融シリコン34の内部に混入したままの状態になる。ここで溶融シリコン34の温度は、黒鉛ヒータ16の出力調整により低下していることから、溶融シリコン34内部の酸素とシリコンとが反応し、石英るつぼ14と溶融シリコン34との界面に結晶化石英40が形成されていく。具体的には結晶化石英40が形成される面積は、溶融シリコン34と石英るつぼ14との全接触面積に対して約60%〜100%の間に設定し、結晶化石英40の厚みを数ミクロン〜数百ミクロン成長させることが望ましい。なお、この厚みの結晶化石英40を成長させるのに1時間〜10時間程度かかると推測されている。
【0026】
このように石英るつぼ14と溶融シリコン34との界面に結晶化石英40を形成させた後は、再び黒鉛ヒータ16の出力を上げ、溶融シリコン34の温度を上昇させることで、シリコン結晶層38を再溶解する(第5段階、およびステップ140)。この再溶解に際し急激な昇温を行うと成長した結晶化石英40の層を再溶融する可能性があるので、溶融シリコン34の昇温速度は、2℃/hを越えないようにする。また結晶化石英40の層を保護する点から、石英るつぼ14の開口部側(石英るつぼ14の上側)にシリコン結晶層38溶解用の専用のヒータを設け、当該ヒータにてシリコン結晶層38を溶解するようにしてもよい。さらに結晶化石英40の層の保護および単結晶シリコン42の製造時間を短縮させる目的から、シリコン結晶層38を石英るつぼ14の外側に取り出すような機構を真空容器22の内部に設け、これを用いてシリコン結晶層38を溶解させる工程を省くようにしてもよい。これらの機構については後述する。
【0027】
そしてシリコン結晶層38を再溶融させた後は、石英るつぼ14を0〜30rpmの範囲で回転させるとともに、種結晶28を上昇させ、従来のCZ法と同様の手順で単結晶シリコン42の引き上げを行う(第6段階、およびステップ150)。このとき石英るつぼ14と溶融シリコン34との界面に形成された結晶化石英40は、元々石英るつぼ14を形成していた非晶質石英よりも安定した物質であり、当該非晶質石英に比べ溶解速度が遅くなっている。この溶解速度の違いにより結晶化石英40が形成された石英るつぼ14では、単位時間内に石英るつぼ14の単位面積から溶融シリコン34に混入する酸素量が少なくなっている。このため成長界面44を通過して、溶融シリコン34側から単結晶シリコン42側へ移動する酸素の量も少なくなり、もって低酸素濃度の単結晶シリコン42を製造することが可能となる。具体的には、5*1017〜7*1017atoms/cm3程度の酸素濃度をもった単結晶シリコン42を製造することができる。また前記効果に加え、安定した結晶化石英40が石英るつぼ14の表面に形成されることから、当該石英るつぼ14の表面から酸素欠損の結晶化石英が剥離することが少なくなる。このためこの酸素欠損の結晶化石英が単結晶シリコン42の成長界面を介して当該単結晶シリコン42の内部に取り込まれることを防止することができ、もって単結晶シリコン42の製造歩留まりを向上させることができる。
【0028】
また結晶化石英40を石英るつぼ14の表面に形成したことから、ホットゾーン20の大型化に伴う石英るつぼ14のサーマルダメージも抑制することができる。すなわちホットゾーン20の大型化は、引き上げる単結晶シリコン42の径の増大が目的であるが、これに伴い石英るつぼ14の径を増大させると、黒鉛ヒータ16と石英るつぼ14の中央部、すなわち結晶育成部との距離が離れる。しかし石英るつぼ14の中央部(結晶育成部)の温度をシリコン融点付近に制御しなくてはならないことから、これまで以上に黒鉛ヒータ16の出力を上げることが必要となる。ここで黒鉛ヒータ16近傍に位置する石英るつぼ14は、黒鉛ヒータ16からの熱を受け、非常に高温となり軟化する(強度が低下する)。しかし溶融シリコンと石英るつぼとの界面に結晶化石英が形成されていれば、当該結晶化石英は非晶質石英に比べ原子構造的に安定であるため、石英るつぼの強度を確保するとともに当該石英るつぼの減肉化を防ぐことが可能になる。
【0029】
発明者らは、溶融シリコン34内において酸素とシリコンとが反応し、石英るつぼ14と溶融シリコン34との界面に結晶化石英40が形成されることを説明するため種々検討し、実験を行った。そして実験の中から、結晶化石英40の形成に説明のつく結果が得られた。図4は実験内容を示す説明図であり、図5は単結晶シリコン中の酸素濃度とr/Rとの関係を示したグラフである。本実験は、石英るつぼ14の半径に対する単結晶シリコン42の半径比率と、この単結晶シリコン42内部の酸素濃度との関係を求めたものである。ここで単結晶シリコン42における酸素濃度の測定位置は、単結晶シリコン42の断面における外縁から内側に約2.5〜5.0mm入り込んだ端部としている。また石英るつぼ14の開口部直径、すなわち自由表面36の半径はRで示し、この自由表面36から引き上げられる単結晶シリコン42の半径をrで示している。そして単結晶シリコン42の引き上げをおこなう溶融シリコン34には、ドーパンド無添加のシリコン(Non−doping)の他にホウ素(p型半導体の製造に用いられる不純物)の投入量を異ならせたもの(融液中、ホウ素濃度は、1018atoms/cm3と1020atoms/cm3)を2種類用意した。なおドーパンド無添加のシリコンで製造された単結晶シリコンの酸素濃度の測定には、赤外線分光法(FTIR)を用い、ホウ素が投入された単結晶シリコンの酸素濃度の測定には、2次イオン質量分析法(SIMS)を用いることとした。
【0030】
ところで通常、単結晶シリコン42の半径と、当該単結晶シリコン42内部の酸素濃度との関係を得ようとすると、r/Rの値が大きくなるとともに、単結晶シリコン42内の酸素濃度が上昇すると予想される。この理由としては、石英るつぼ14から溶融シリコン34に混入した酸素は、r/Rの値が大きくなるとともに(単結晶シリコン42の半径が大きくなるとともに)、自由表面36からシリコン酸化物の蒸発量が減少し、溶融シリコン34中の酸素濃度の上昇により成長界面44を介して高濃度の酸素が単結晶シリコン42側へと移動すると考えられるからである。
【0031】
ここで図5におけるラインAは本実験の予想線を示し、ラインBはドーパンド無添加のシリコン融液から引き上げたシリコンの実測値を結んだ線、および融液中、ホウ素濃度が1018atoms/cm3のシリコン融液から引き上げたシリコンの実測値を結んだ線を示す。またラインCはホウ素濃度が1020atoms/cm3となるシリコンの実測値を結んだ線を示す。上述した理由により予想では、r/Rの値が大きくなるとともに単結晶シリコン42における酸素濃度の値は上昇する。しかし実際にはr/Rの値が大きくなっても単結晶シリコン42内の酸素濃度は一定であったり、あるいは減少する。これらの予想と異なった現象を説明するには以下の説が適切であると考える。すなわち単結晶シリコン42の径(r)を拡大することで自由表面36からのシリコン酸化物の発生(蒸発)が抑えられる。すると石英るつぼ14から溶融シリコン34へと混入した酸素は、当該溶融シリコン34内のシリコンと反応し、石英るつぼ14の表面に結晶化石英を形成する。溶融シリコン34内の酸素は結晶化石英を形成するのに使用されるので、成長界面44を介して単結晶シリコン42へと移動する酸素の量は減少する。また石英るつぼ14の表面に結晶化石英が形成された後は、当該結晶化石英は溶融速度が遅いことから、溶融シリコン34に混入する酸素量が減少する。このため溶融シリコン34内の酸素濃度が低下するので、これに伴って成長界面を介して単結晶シリコン42へと移動する酸素の量も減少する。このようにr/Rの値を大きくしていくと、石英るつぼ14の表面に結晶化石英が形成されていくことから(形成が促進されていくことから)、単結晶シリコン42内の酸素濃度が低減していくと考えられる。
【0032】
また発明者らの観測によると、160mmの開口径を持つ石英るつぼから、単結晶シリコンを引き上げる際、その外径が約80mm程度に成長したときに、石英るつぼの表面に結晶化石英が形成されているのが確認されている。こうした観測結果からも単結晶シリコンの径が増大し、自由表面の面積が減少すると溶融シリコン中から酸素(シリコン酸化物)の蒸発が抑えられ当該酸素がシリコンと反応し、結晶化石英が形成されていくと考えられる。
【0033】
そして発明者らはさらなる実験と検討を行い、結晶化石英の形成に説明のつく結果を得た。図6は結晶化石英育成後の石英るつぼ内表面のX線回折解析結果のグラフを示す。そして同図(1)は溶融シリコンの自由表面を70%覆った際の解析結果であり、同図(2)は溶融シリコンの自由表面を5%覆った際の解析結果である。これらの結果に示すように、同図(1)のほうが結晶化石英の存在を示すピーク(図中A部)の値が高くなっているのが顕著に見られる。これらの結果からも、溶融シリコン内において酸素とシリコンとが反応し、石英るつぼと溶融シリコンとの界面に結晶化石英が形成されることを説明することができる。
【0034】
また図7は、自由表面の被覆率に対する石英るつぼ内表面の結晶化率を示すグラフであり、図8は石英るつぼ内表面の結晶化率に対する引き上げ単結晶の内部の酸素濃度を示すグラフである。図7においては、自由表面の被覆率を向上させるに従って(自由表面を覆っていくに従って)、融液と石英るつぼとの全接触面積における結晶化石英の面積の比率が向上することがわかる。また結晶化石英の厚みも面積の比率向上に伴って上昇していることがわかる。これらの実験結果からも、溶融シリコン内において酸素とシリコンとが反応し、石英るつぼと溶融シリコンとの界面に結晶化石英が形成されることを説明することができる。
【0035】
本実施の形態では、溶融シリコン34に種結晶28を接触させ、当該種結晶28まわりにシリコン結晶層38を張ることで、石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成することとしたが、これは一例であって石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成する方法は他にも幾つか考えられる。
【0036】
図9は、石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成する第2の方法を示す。第2の方法では、種結晶28を溶融シリコン34に接触せずにシリコン結晶層38を形成するものである。すなわち多結晶シリコンを溶解させ、溶融シリコン34とした後(図中第1段階)に、自由表面36に針状結晶46が浮くまで徐々に、黒鉛ヒータ16の出力を下げる(図中第2段階、第3段階)。そして浮いている針状結晶46の大きさ、張り方の速さをを確認しながら黒鉛ヒータ16の出力を調整し、所定の大きさまで針状結晶46を成長させる(図中第4段階)。このように自由表面36に針状結晶46を成長させれば、溶融シリコン34から酸素が蒸発することが抑えられ、石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成することが可能になる。そして結晶化石英40の形成後は、再び黒鉛ヒータ16の出力を上げるか、もしくは専用のヒータ(図16参照)を用いて針状結晶46を溶解させ針状結晶を除去した後(図中第5段階)、単結晶シリコンの引き上げ作業を行えばよい(図中第6段階)。
【0037】
図10は、石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成する第3の方法を示す。当該第3の方法では、単結晶シリコン42の引き上げの際、まず当該単結晶シリコン42の径を製品径よりも大きくし(シリコン結晶層38の径と同じ位)自由表面36の面積を減少させる(図中第1段階、第2段階)。この単結晶シリコン42の径の成長度合いは、当該単結晶シリコン42の引き上げ速度を変化させることで調整することが望ましい。そして自由表面36の面積の減少により、酸素の蒸発量を抑え、石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成する方法である。なお石英るつぼ14の表面に結晶化石英40が形成された後は、単結晶シリコン42の引上げ速度を上げて、単結晶シリコン42の径を製品径に一致させればよい(図中第3段階、第4段階)。
【0038】
図11は、石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成する第4の方法を示す。当該第4の方法では、多結晶シリコンの溶解が完了した後(図中第1段階)に石英るつぼ14の開口縁部を塞ぐように密閉蓋48を設ける(図中第2段階)。このように石英るつぼ14に蓋をすると、溶融シリコン34内の酸素は、ほとんど密閉蓋48の外部に蒸発することがない。このため酸素は溶融シリコン34内に残留し、この酸素により石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成することができる。そして石英るつぼ14の表面に結晶化石英40が形成された後は、密閉蓋48を石英るつぼ14の開口縁部から外し(図中第3段階)、単結晶シリコンの引き上げ作業を行えばよい。
【0039】
図12は、石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成する第5の方法を示す。当該第5の方法では、多結晶シリコンの溶解後(図中第1段階)、自由表面36に接する外気の圧力を単結晶シリコンの引上げ時より高める(図中第2段階)。具体的には真空容器内のアルゴンガスの圧力50を高めることで溶融シリコン34からの酸素の蒸発を抑え、溶融シリコン34内に残留した酸素にて石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成する手順となる。なお結晶化石英40を形成するため、圧力50を10-2atm〜10atmの間に設定する。そして石英るつぼ14の表面に結晶化石英40が形成された後(図中第3段階)は、真空容器内のアルゴンガスの圧力を単結晶シリコンの引上げ時の圧力まで下げ(図中第4段階)、単結晶シリコンの引き上げ作業を行えばよい。
【0040】
このように溶融シリコン34の温度や自由表面36に接する雰囲気の圧力を調整すれば、石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成することができる。そして結晶化石英40の形成により、低酸素濃度の単結晶シリコン42を形成することができる。
【0041】
また以上説明した実施の形態は、通常の単結晶シリコンの引き上げに用いる製造装置10を用いたが、以下に示すような製造装置を用いるようにしてもよい。図13は、本実施の形態に係る単結晶シリコンの製造装置の要部拡大図を示す。同図に示すように、CZシリコン単結晶製造装置52(以下製造装置52と称す)は、前述した製造装置10に対して以下の機能を付加したものである。このため共通箇所には同一の部番を付与して説明を行う。まず第1の付加点は、筒体となる真空容器22を、石英るつぼ14の開口部より上方となる位置で分割させているとともに、この突合せ部54の内径を少なくとも石英るつぼ14の開口部よりも大径に設定した点である。また第2の付加点は、分割された下側の真空容器22Dの開口部の側方に当該真空容器22Dの開口部閉鎖をなす遮断手段となる遮蔽バルブ56が設けられるとともに、当該遮蔽バルブ56の移送をなす駆動装置58が設けられている点である。また真空容器22U、22Dの突合せ部54、および遮蔽バルブ56と真空容器22Dとの摺動部分には、パッキン63が設けられており密閉空間を確保できるようになっている。
【0042】
このように構成された製造装置52を用い、低酸素濃度のシリコン単結晶を製造する手順を説明する。
まず真空容器22Uの上方に位置する昇降手段となる引上げ軸24に吊下ワイヤ60を介して密閉蓋48を吊り下げる。そして引上げ軸24を降下させ、密閉蓋48を石英るつぼ14の開口部へと設置する。このように石英るつぼ14の開口部に密閉蓋48を設置し、自由表面36からの酸素の蒸発を防ぎ石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成した後は、引上げ軸24を上昇させ、密閉蓋48を突合せ部54の上側まで移動させる。ここで突合せ部54は石英るつぼ14の開口径より大径に設定されているので、密閉蓋48は突合せ部54の内壁を干渉することがなく、確実に突合せ部54まで移動することができる。
【0043】
突合せ部54を越えて真空容器22U側まで密閉蓋48を移動させた後は、駆動装置58を稼働させ遮蔽バルブ56を移動させる。当該遮蔽バルブ56を移動させることで真空容器22Dの開口部が塞がれ、当該真空容器22Dは密閉状態となる。このように真空容器22Dを密閉状態にした後は、真空容器22U内にアルゴンガスを導入させ、当該真空容器22Uにおける内外の圧力を同一にする。次いで突合せ部54より真空容器22Uと真空容器22Dとを分割させ、真空容器22Uの内側を露出させる。真空容器22Uの内側には密閉蓋48が移動しているので、当該密閉蓋48を引上げ軸24から取り外し、当該引上げ軸24に今度は種結晶を取り付ければよい。引上げ軸24に種結晶を取り付けた後は、真空容器22Uと真空容器22Dとを再び突合せる。ここで真空容器22Uに取り付けられた図示しない吸引ポンプを稼働させ真空容器22U内の気体を抜き取った後、真空容器22Uにアルゴンガスを導入し真空容器22U内の置換作業を行う。そしてこの作業を2〜3回繰り返すことで真空容器22U内のアルゴンガスの濃度を高め、真空容器22Uの内部圧力を真空容器22Dと同様に設定する。真空容器22Uと真空容器22Dとの内部圧力を同一にした後は、遮蔽バルブを移動させ、通常の単結晶シリコンの引き上げ工程を行えばよい。なお上述した例では密閉蓋48を真空容器22の外側に取り出す手順を説明したがこれにこだわる必要もなく、自由表面36に形成されたシリコン結晶層38を取り出すようにしてもよい。この場合では石英るつぼ14外側の黒鉛ヒータ16を加熱させシリコン結晶層38を溶かす必要が無いので、石英るつぼ14の内表面に形成された結晶化石英40へのダメージを抑えることができる。なお密閉蓋48と種結晶とを保持する引上げ軸24は共通としたが、図14に示すように巻取り装置66を専用に設けるようにしてもよい。
【0044】
また図15は製造装置52の別の形態を示した要部拡大図を示す。同図における製造装置64においては、真空容器22U、22Dの突合せ部54に、遮蔽バルブ56と駆動装置58の代わりに円形蓋62を設け、これを図示しない駆動装置にて移動可能にしたものである。このような構成を用いても真空容器22Dの開口部を塞ぐことが可能となり、もって上述した製造装置52と同様の効果を得ることができる。なお上述した形態では、密閉蓋48等を上方へと引き上げ、真空容器22より取出可能としたが、この形態にこだわることもなく、真空容器22Dの外径を石英るつぼ14の外径より十分大きくとり、石英るつぼ14の開口部に置かれた密閉蓋48等を、真空容器22Dと石英るつぼ14との隙間に置くようにしてもよい。
【0045】
図16は自由表面36の上面に加熱手段となるヒータ68を設けた製造装置の要部拡大図を示す。同図に示す製造装置70は、加熱手段となるドーナツ型のヒータ68を自由表面36の上面に設けた形態となっており、その他の構成は製造装置10と同様である。そしてこのヒータ68には独立した加熱電源72が接続されており、ヒータ68を独立して制御できるようになっている。
【0046】
このような製造装置70を用いれば、石英るつぼ14の外周に配置された黒鉛ヒータ16を稼働させずとも、自由表面36に形成されたシリコン結晶層38を溶かすことができるので、石英るつぼ14の表面に形成された結晶化石英40へのダメージを抑えることができる。
【0047】
図17は製造装置70を用い石英るつぼの表面に結晶化石英を形成する手順を示した説明図である。同図に示すように、石英るつぼ14内で多結晶シリコンが溶融し、溶融シリコン34となった後、引上げ軸24を用い高純度石英74を溶融シリコン34内へと投入する。そしてこの投入の際、ヒータ16を稼働させ高純度石英74の溶解を速めるとともに黒鉛ヒータ16の出力を低下させる。このような状態を設定すると、溶融シリコン34中に溶けだした高純度石英74は、低温側となる石英るつぼ14の表面で反応し、当該石英るつぼ14の表面に結晶化石英を形成することができる。そして結晶化石英が形成された後は、溶融シリコン34の温度を引き上げ工程時と同様の温度に上昇させるとともに、引上げ軸24に種結晶を取り付け、単結晶シリコンの引き上げ工程を行えばよい。なお本実施例ではヒータ68をドーナツ型とし吊下形状としたが、それ以外に真空容器22の内壁にヒータを固定するような方式を用いてもよい(図17破線部参照)。
【0048】
また本実施の形態では、CZ法による製造装置を用いて説明をおこなったが、MCZ法による製造装置にも同様の製造方法が適用できることはいうまでもない。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、石英るつぼに投入された多結晶シリコンを加熱し、これを溶融させた後に単結晶シリコンの引上げをおこなう単結晶シリコンの製造方法であって、引上げ工程前で溶解工程の後、融液自由表面からのシリコン酸化物の蒸発を制御して、融液中の酸素濃度を調整し、石英るつぼへ取り込まれる酸素濃度を制御することにより前記石英るつぼと溶融シリコンとの界面に結晶化石英を形成した後に、種結晶先端の自由表面上の結晶を再溶解して前記単結晶シリコンの引上げを行うことから、高価な結晶化石英るつぼを用いずとも、シリコン溶液に混入する酸素量を低減させ、もって低酸素濃度の単結晶シリコンを製作することが可能となる。
【0050】
また上記効果に加え、結晶化石英の形成により石英片の剥離防止が図られ、もって単結晶シリコンの製造歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2にて説明した製造装置10を用い低酸素濃度の単結晶シリコンを製造する過程を示した状態説明図である。
【図2】本実施の形態に係る単結晶シリコンを製造するための製造装置を示す。
【図3】同製造工程を示したフローチャートである。
【図4】実験内容を示す説明図である。
【図5】単結晶シリコンの端部測定における酸素濃度とr/Rとの関係を示したグラフである。
【図6】結晶化石英育成後の石英るつぼ内表面のX線回折解析結果のグラフを示す。
【図7】自由表面の被覆率に対する石英るつぼ内表面の結晶化率を示すグラフである。
【図8】石英るつぼ内表面の結晶化率に対する引き上げ単結晶の内部の酸素濃度を示すグラフである。
【図9】石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成する第2の方法を示す。
【図10】石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成する第3の方法を示す。
【図11】石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成する第4の方法を示す。
【図12】石英るつぼ14の表面に結晶化石英40を形成する第5の方法を示す。
【図13】本実施の形態に係る単結晶シリコンの製造装置の要部拡大図を示す。
【図14】巻取り装置66を専用に設けた単結晶シリコンの製造装置の要部拡大図を示す。
【図15】製造装置52の別の形態を示した要部拡大図を示す。
【図16】自由表面36の上面に加熱手段となるヒータ68を設けた製造装置の要部拡大図を示す。
【図17】製造装置70を用い石英るつぼの表面に結晶化石英を形成する手順を示した説明図である。
【図18】CZ法よって単結晶シリコンが製作される過程を示した状態説明図である。
【符号の説明】
1 シリコン単結晶
2 石英るつぼ
3 黒鉛ヒータ
4 溶融シリコン
5 種結晶
10 CZシリコン単結晶製造装置
12 黒鉛サセプタ
14 石英るつぼ
16 黒鉛ヒータ
18 断熱材
20 ホットゾーン
22 真空容器
24 引上げ軸
26 種結晶ホルダ
28 種結晶
29 アルゴンガス
30 不活性ガス導入口
32 不活性ガス排気口
34 溶融シリコン
36 自由表面
38 シリコン結晶層
40 結晶化石英
42 単結晶シリコン
44 成長界面
46 針状結晶
48 密閉蓋
50 圧力
52 CZシリコン単結晶製造装置
54 突合せ部
56 遮蔽バルブ
58 駆動装置
60 吊下ワイヤ
62 円形蓋
64 製造装置
63 パッキン
66 巻取り装置
68 ヒータ
70 製造装置
72 加熱電源
74 高純度石英
Claims (8)
- 石英るつぼに投入された多結晶シリコンを加熱し、これを溶融させた後に単結晶シリコンの引上げをおこなう単結晶シリコンの製造方法であって、引上げ工程前で溶解工程の後、融液自由表面からのシリコン酸化物の蒸発を制御して、融液中の酸素濃度を調整し、石英るつぼへ取り込まれる酸素濃度を制御することにより前記石英るつぼと溶融シリコンとの界面に結晶化石英を形成した後に、種結晶先端の自由表面上の結晶を再溶解して前記単結晶シリコンの引上げを行うことを特徴とする単結晶シリコンの製造方法。
- 自由表面にシリコン結晶層を形成することで前記結晶化石英の形成をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の単結晶シリコンの製造方法。
- 前記シリコン結晶層は、前記自由表面に接触する種結晶を核として形成されることを特徴とする請求項2に記載の単結晶シリコンの製造方法。
- 石英るつぼに投入された多結晶シリコンを加熱し、これを溶融させた後に単結晶シリコンの引上げをおこなう単結晶シリコンの製造方法であって、引上げ工程前で溶解工程の後、前記石英るつぼの開口部を塞ぐことで融液自由表面からのシリコン酸化物の蒸発を制御して、融液中の酸素濃度を調整し、石英るつぼへ取り込まれる酸素濃度を制御することにより前記石英るつぼと溶融シリコンとの界面に結晶化石英を形成した後に、前記単結晶シリコンの引上げを行うことを特徴とする単結晶シリコンの製造方法。
- 石英るつぼに投入された多結晶シリコンを加熱し、これを溶融させた後に単結晶シリコンの引上げをおこなう単結晶シリコンの製造方法であって、引上げ工程前で溶解工程の後、前記石英るつぼを格納する容器の内圧を昇圧することで融液自由表面からのシリコン酸化物の蒸発を制御して、融液中の酸素濃度を調整し、石英るつぼへ取り込まれる酸素濃度を制御することにより前記石英るつぼと溶融シリコンとの界面に結晶化石英を形成した後に、前記単結晶シリコンの引上げを行うことを特徴とする単結晶シリコンの製造方法。
- 石英るつぼに投入された多結晶シリコンを加熱し、これを溶融させた後に単結晶シリコンの引上げをおこなう単結晶シリコンの製造方法であって、自由表面より高純度石英を投入することで前記石英るつぼと溶融シリコンとの界面に結晶化石英を形成した後に、前記単結晶シリコンの引上げを行うことを特徴とする単結晶シリコンの製造方法。
- 石英るつぼに投入された多結晶シリコンを加熱し、これを溶融させた後に前記石英るつぼの溶解により生じる酸素を溶融シリコン内に封じ込めて融液中の酸素濃度を調整し、前記酸素と前記溶融シリコンとの再結晶化により前記石英るつぼと前記溶融シリコンとの界面に結晶化石英を形成し、当該結晶化石英の形成後に、種結晶先端の自由表面上の結晶を再溶解して単結晶シリコンの引上げをなすことを特徴とする単結晶シリコンの製造方法。
- 不活性ガスを導入可能とする筒体の内部に加熱可能な石英るつぼを設けるとともに、前記筒体の上方に昇降手段を設け、この昇降手段に種結晶を接続することで前記石英るつぼにおける溶融シリコンの自由表面より単結晶シリコンを引き上げ可能とする単結晶シリコンの製造装置であって、前記石英るつぼの開口部を塞ぐ密閉蓋を設けるとともに、この密閉蓋を昇降手段に接続可能としたことを特徴とする単結晶シリコンの製造装置。
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