JP2003291831A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
電動パワーステアリング装置Info
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Abstract
機によって起こるラック軸の振動に共振しないようにし
てラック軸の振動を抑える。 【解決手段】 操舵トルクが与えられるピニオン軸と、
操舵トルクを補助する補助トルクを与える電動機と、ピ
ニオン軸に形成されたピニオンと噛み合うラック歯を有
するラック軸と、このラック軸の両端に設けられた操舵
輪とを有し、ピニオンとラック歯が噛み合い、ピニオン
軸の回転がラック軸の軸方向の変位に変換されることに
よって操舵輪を転舵し、ラック軸の一端側を支持する第
1支持手段と、ラック軸の他端側を支持する第2支持手
段と、ラック軸の一端側と他端側の間を支持する第3支
持手段とを有し、第1支持手段を、ラック軸の一端側に
設けられたラック歯と、ピニオン軸に設けられたピニオ
ンとの噛み合いによって形成し、ラック軸に中空部を形
成した。
Description
テアリング系に直接作用させてドライバの操舵力を軽減
する電動パワーステアリング装置に関し、特にラック軸
の固有振動を調整して、車輪や電動機等により発生する
ラック軸の振動に共振しないようにすることで、ステア
リングホイールの振動を軽減した電動パワーステアリン
グ装置に関するものである。
の駆動力を直接利用してドライバの操舵力をアシストす
る。電動パワーステアリング装置を搭載した車両は一般
に普及しており、この電動パワーステアリング装置によ
り、ステアリングの動きが軽快になり、ドライバは強い
力でステアリングを操作する必要がなくなる。
おいて、電動機の駆動力(補助トルク)を与える手段と
して、ウォームギヤが設けられたウォーム軸とウォーム
ホイールを用いた、いわゆるピニオンアシスト式のもの
がある。このピニオンアシスト式の電動パワーステアリ
ング装置は、図5に示すように、いわゆるラック・アン
ド・ピニオン式の電動パワーステアリング装置のピニオ
ン軸100に取り付けられたウォームホイール101
と、電動機102に取り付けられ、ウォームギヤ104
が設けられたウォーム軸103などを備える歯車式減速
機構を備える。ウォーム軸103は、電動機102の回
転軸と同軸に接続され、ウォーム軸103と噛み合うウ
ォームホイール101はピニオン軸100と同軸に配設
される。ピニオン軸100はステアリング軸105に連
結され、ステアリング軸105は、ドライバが操作する
ステアリングホイール106に取り付けられている。こ
のピニオン軸100に設けられたピニオン107は、車
両の車輪(操舵輪108)を転舵させるためのラック軸
109に設けられたラック歯110に噛み合っている。
そして、電動機102が回転して付与する補助トルク
が、歯車式減速機構を介し、ピニオン107とラック歯
110の噛み合いによりラック軸109に伝達される。
このようにして電動機の補助トルクをステアリング系に
付与するものである。
電動パワーステアリング装置では、走行中の路面反力が
車輪(操舵輪108)を通じてラック軸109に伝わ
り、振動を引き起す。又、ステアリング系に補助トルク
を付与する電動機102からトルク伝達手段111(電
動機102に取り付けられウォーム軸103等を備える
歯車式減速機構)にかけての部分もラック軸109に振
動を引き起こす発生源となる。そして、これらの振動の
周波数とラック軸109の固有振動の周波数とが一致す
ると、共振が起きラック軸109を大きく振動させる。
このラック軸109の振動はステアリング軸105から
ステアリングホイール106に伝わり、車室内に騒音を
引き起こす。
発生する振動を調整する従来技術として、例えば、特開
平11−20717号公報「電動パワーステアリング装
置」に記載された技術がある。尚、説明に際し、公報中
で使用されている符号を用いるが、この符号は本発明の
実施の形態で使用した符号とは無関係である。これは、
ラック軸5の一端部にラック歯5a軸の一端部を支持
し、ラック軸5の他端部にねじ部5bを形成し、このね
じ部5bにボールねじ9のナットを取り付け、このナッ
トを介して操舵トルクに応じた補助トルクをラック軸5
に付与するとともに、ラック軸5の他端部を支持し、ラ
ック軸5の中間部を平軸受75で支持するようにしたも
のである。このように構成したことで、ラック軸5の両
端には、路面反力、及びナットの作用に起因する外力、
又はモーメントが作用して、ラック軸5がピニオン4か
ら離れる方向に撓むと、ラック軸5はピニオン4と平軸
受75とナットとで支持される。又、ラック軸5がピニ
オン4から離れる方向に撓むと、ラック軸5はラックガ
イド50と平軸受75とナットとで支持される。このよ
うにラック軸5を常に3点で支持するので、ラック軸5
の支持スパンは短い。このため、ラック軸5の共振周波
数が高周波域に推移するので、ラック軸5の共振周波数
を通常発生する振動数から離すことができる。この結
果、車輪や、電動機〜トルク伝達手段が発生源となって
起こるラック軸5の振動と、ラック軸5の固有振動数と
の共振を避けることができ、ラック軸5の振動を抑える
ことができるものである。
るのは設計上の制約が大きく、且つその調整範囲も狭い
ので、ラック軸の支持位置を変えるだけではラック軸の
固有振動と、車輪や電動機によって引き起されるラック
軸の振動との共振を充分に調整することができなかっ
た。
引き起されるラック軸の振動とラック軸の固有振動との
共振を充分に調整し、ラック軸の振動を抑制してステア
リングホイールの振動や、車室内の騒音を軽減すること
を目的とする。
めの手段として、本発明に係わる請求項1の電動パワー
ステアリング装置は、操舵トルクが与えられるピニオン
軸と、前記操舵トルクを補助する補助トルクを与える電
動機と、前記ピニオン軸に形成されたピニオンと噛み合
うラック歯を有するラック軸と、このラック軸の両端に
設けられた操舵輪とを有し、前記ピニオンと前記ラック
歯が噛み合い、前記ピニオン軸の回転が前記ラック軸の
軸方向の変位に変換されることによって前記操舵輪を転
舵するようにした電動パワーステアリング装置におい
て、前記ラック軸の一端側を支持する第1支持手段と、
前記ラック軸の他端側を支持する第2支持手段と、前記
ラック軸の一端側と他端側の間を支持する第3支持手段
とを有し、前記第1支持手段を、前記ラック軸の一端側
に設けられた前記ラック歯と、前記ピニオン軸に設けら
れた前記ピニオンとの噛み合いによって形成し、前記ラ
ック軸に中空部を形成したことを特徴とする。
1に記載の発明に係る電動パワーステアリング装置で
は、第3支持手段によるラック軸の支持により、ラック
軸の支持スパンが短くなり、ラック軸の固有振動数が通
常発生する振動数から変化する。これにより、車輪や電
動機によって引き起こされるラック軸の振動に、ラック
軸の固有振動が共振して大きく振動するのを抑制するこ
とができるが、このラック軸の支持位置を変化させて、
車輪や電動機で発生する振動との共振を調整する場合、
設計上の制約のため狭い範囲での調整しかできないが、
ラック軸に中空部を形成したことによって、ラック軸の
重量が減るので、(K/M)1/2で表されるラック軸の
固有振動数(但し、Kはラック軸の曲げに対するバネ定
数、Mはラック軸の質量)が、ラック軸に中空部を形成
しない場合の固有振動数よりも大きくなる。従って、中
空部の深さや位置等を調整してラック軸の重量(重量バ
ランス)を変えることによって、車輪や電動機等によっ
て引き起こされるラック軸の振動にラック軸の固有振動
が共振しないので、大きな振動を抑制することができ
る。つまり、中空部の深さや位置等を調整することで。
ラック軸の固有振動数を変更することができ、これによ
り振動や騒音を抑制できる。
アリング装置は、前記ラック歯が形成されている前記ラ
ック軸の端部とは反対側の端部に、前記中空部を形成し
たことを特徴とする。
2に記載の発明に係る電動パワーステアリング装置で
は、ラック歯が形成されているラック軸の端部は剛性を
持たせる必要があるので中実とし、剛性の必要性が比較
的低いラック軸の他端側を中空にすることによって、ラ
ック軸全体の剛性を維持しながら重量を減らし、ラック
軸の固有振動数を調整する。
リング装置について実施の形態を、図面を参照しながら
具体的に説明する。図1は、第1の実施の形態に係る電
動パワーステアリング装置の全体構成図、図2はその要
部正断面図である。
ーステアリング装置1は、ドライバが操作するステアリ
ングホイール2を備えている。ステアリングホイール2
は、ステアリング軸3を介してピニオン軸4に連結され
ている。ドライバがステアリングホイール2を操作して
生じる操舵トルクは、ステアリング軸3を介してピニオ
ン軸4に与えられる。ピニオン軸4には、図2にも示す
ように、ステアリング系に作用する操舵トルクを検出す
る磁歪式のトルクセンサ5、及びトルク伝達手段6が取
り付けられている。トルク伝達手段6は、いわゆる倍力
装置であり、ステアリング系に補助トルクを加えるため
の電動機7に接続されている。本実施の形態では、電動
機7は、例えば、ブラシレスモータから構成されてい
る。
るラック・アンド・ピニオン式のものであり、ピニオン
軸4の下端に設けられたピニオン4Aは、ラック軸8に
形成されたラック歯8Aと噛み合わされており、ピニオ
ン軸4の回転がラック軸8の軸方向の変位に変換され
て、操舵輪9,9を転舵する。又、トルクセンサ5は制
御装置10に接続されており、操舵トルク信号Tを出力
している。制御装置10では、少なくともトルクセンサ
5から出力された操舵トルク信号Tに基づいて、補助ト
ルクを算出し、電動機電圧VOを電動機7に出力して電
動機7を制御している。
ピニオン軸4に対して同軸に固定されたウォームホイー
ル11を備えている。電動機7にはウォーム軸12が連
結されており、ウォーム軸12に設けられたウォームギ
ヤ13がウォームホイール11に噛み合わされている。
電動機7を駆動してウォーム軸12が回転すると、ウォ
ームギヤ13に噛み合わされたウォームホイール11が
回転し、ウォームホイール11とともにピニオン軸4が
回転するようになっている。こうして、電動機7の補助
トルクがピニオン軸4に伝達され、ピニオン軸4を介し
てステアリング系に伝達される。
配設されており、ラックハウジング14の両端部は、ブ
ーツ15,15に覆われて、ラックハウジング14内を
保護すると共に、塵埃などの混入を防止している。ラッ
ク軸8の両端部には、それぞれタイロッド16,16が
接続されており、図示しないナックルなどを介して操舵
輪9,9(図1)が取り付けられる。
強用のリブ17が形成されており、ラックハウジング1
4の曲げ方向の剛性を高めている。更に、ラックハウジ
ング14の下部における中間部からやや一端側寄りの位
置には、ラックハウジング14を図示しない車体に取り
付けるための取付部18が形成されている。
を支持する第1〜第3支持手段21〜23が配設されて
いる。第1支持手段21は、ラック軸8の一端側を支持
するものであり、ピニオン軸4の下端に形成されたピニ
オン4Aと、ラック軸8に形成されたラック歯8Aの噛
み合いによって構成されている。又、ラック歯8Aの背
面側には、ラック軸8を背後からピニオン4Aに向けて
押圧するラックガイド19が設けられている。
に設けられた支持軸受けによって構成されており、ラッ
ク軸8の他端側を摺動可能に支持している。第3支持手
段23は、ラック軸8における一端側と他端側の間(中
間部)に設けられた支持軸受けによって構成されてお
り、ラック軸8における一端側と他端側の中間部を摺動
可能に支持している。
側の端部とは反対側の端部に、中空部25が形成されて
いる。中空部25は、全体の内径が、例えば、略同径に
なるように形成する。また、内径は、ラック歯8Aが形
成された側の端部とは反対側の端部側を大きく、奥に行
くほど小さく形成してもよい。ラック歯8Aが形成され
た側のラック軸8は、剛性が必要であるので中実にして
おき、ラック軸8のラック歯8Aとは反対側の端部は、
ラック歯8Aのある部分ほどの剛性がなくてもよい部分
なので、中空部25を形成することで、ラック軸8全体
としての剛性を確保しつつ、ラック軸8の重量を減ら
す。中空部25の深さを調整することで、ラック軸8の
重量を調整する。
る電動パワーステアリング装置の作用について説明す
る。ドライバがステアリングホイール2を操作して、操
舵輪9,9を転舵させようとすると、ドライバが与えた
操舵力をトルクセンサ5が検出して、制御装置10に操
舵トルク信号Tを出力する。制御装置10では、少なく
ともこの操舵トルク信号に基づいて、電動機7がステア
リング系に与える補助トルクを算出し、その補助トルク
に応じた電動機電圧VOを電動機7に出力する。
補助トルクをステアリング系に付与する。具体的に補助
トルクを与えるために電動機7の回転軸が回転すると、
トルク伝達手段6を介してピニオン軸4に補助トルクが
伝達される。ピニオン軸4に伝達された補助トルクは、
ピニオン4Aを介してラック軸8のラック歯8Aに伝達
される。又、ピニオン軸4には、ドライバがステアリン
グホイール2を操作することによって与えられた操舵力
も伝達され、この操舵力もラック歯8Aに伝達される。
をTM、ドライバから与えられる操舵トルクをTSとす
ると、図3に示すように、ピニオン4Aからラック歯8
Aに伝達される力F(図示せず)は、伝達トルク(補助
トルクTM+操舵トルクTS)/R(但し、Rはピニオ
ン4Aのピッチ円半径)の大きさとなる。このように大
きな伝達力F(=(TM+TS)/R)がラック歯8A
に掛かる。又、ラック歯8Aにおける歯筋は、ラック軸
8に直交する方向Xに対して歯筋角度θの傾斜をもって
形成されているため、ラック歯8Aにピニオン4Aから
伝達される力Fは、ラック軸8に交差する方向にも作用
する。ラック軸8に交差する方向に力Fが作用したと
き、ラック軸8が第1支持手段21、第2支持手段22
のみで支持されている、すなわち支点a,bでラック軸
8が支えられているとする。この場合には、電動機7か
ら伝達される補助トルクTMは、ドライバがステアリン
グホイール2を操作することによって伝達される操舵ト
ルクTSの約5〜10倍と大きなものであるので、伝達
力F(=(TM+TS)/R)の作用によって、ラック
軸8が図3に仮想線で示す方向に撓むことが懸念され
る。
段21、及び第2支持手段22のみで支持されている場
合には、ラック軸8を撓ませる方向に向けて大きな力F
が作用すると、ラック軸8が撓んでしまう。ラック軸8
が撓んでしまうと、ピニオン4Aとラック歯8Aの噛み
合い部において、噛み合いの片当たりという不良を発生
させて、ピニオン4Aからラック歯8Aに力を歯面全体
で良好に伝達できなくなるという不具合が生じる。
21と、第2支持手段22との間に第3支持手段23が
配設されている。このため、ラック軸8を支える支点
a,bのほかに、支点cでラック軸8における一端側と
他端側の間の位置が支持される。こうして、ラック軸8
が撓むという事態を抑制している。
向の補強用のリブ17が形成されている。この補強用の
リブ17によってラックハウジング14の曲げ方向の剛
性が高くなり、各支持手段21,22,23の取付部分
の剛性が高くなるので、延いてはラック軸8が撓むとい
う事態を抑制している。従って、操舵トルクTSに補助
トルクTMを付与した大きなトルクがピニオン4Aとラ
ック歯8Aの噛み合い部に作用する場合、噛み合いの片
当たりという不良が発生して、ピニオン4Aからラック
歯8Aに力を良好に伝達できなくなるという事態を防止
することができる。そうして、ドライバの操舵フィーリ
ングを損なうことがなくなる。又、ピニオン4Aやラッ
ク歯8Aの磨耗を減少させることができるので、耐久性
を向上させることができる。
ルクTMがピニオン4Aとラック歯8Aの噛み合い部に
作用する際、振動が発生する。同様に、走行中の路面反
力が車輪を通じてラック軸8に伝わり、振動を引き起
す。そして、これらの振動の周波数とラック軸8の固有
振動の周波数とが一致すると共振が起き、ラック軸8を
大きく振動させる。このラック軸8の振動はピニオン軸
4からステアリング軸3を経てステアリングホイール2
に伝わり、車室内に騒音を引き起こす。又、ドライバの
操舵フィーリングも悪くなる。然るに、このラック軸8
の固有振動は、ラック軸8を支持する第3支持手段23
の支持位置を調整することで、低減することができる。
この第3支持手段23を設けたことでラック軸8の支持
スパンが短くなるが、ここで梁の長さが変わる場合の固
有振動数Ωの式を次に示す。 Ω=1/2(Ebh3g/((W+0.23w)L3)
1/2)1/2 但し、E:ヤング率、L:梁の長さ、b:梁の幅、h:
梁の厚さ、w:梁の重量、W:先端のおもりの重量、
g:重力定数とする。 第3支持手段23でラック軸8の中間部を支持すること
で、支持スパンの長さL(支持スパンの長さを梁の長さ
と考える)が短くなるから、上の式で固有振動数Ωは相
対的に大きくなり、第3支持手段23がない場合の元の
固有振動数と異なるものにすることができる。固有振動
数を異なるものにすることで、車輪や電動機7で発生す
る振動とラック軸8の固有振動数との共振が起り難くな
る。
えるのは設計上の制約が大きく、且つその調整範囲も狭
いので、ラック軸8の支持位置を変えるだけではラック
軸8の固有振動と、車輪や電動機7によって引き起され
るラック軸8の振動との共振を充分に調整することがで
きない。そこで、本実施の形態のように、ラック軸8に
中空部25を形成すると、ラック軸8の重量が減るの
で、(K/M)1/2で表されるラック軸8の固有振動数
(但し、Kはラック軸8の曲げに対するバネ定数、Mは
ラック軸8の質量)が、ラック軸8に中空部25を形成
しない場合よりも大きくなる。この中空部25の深さを
変えてラック軸8の重量を調整すると、車輪や電動機7
などによって引き起こされるラック軸8の振動にラック
軸8の固有振動が共振せず、大きな振動を抑制すること
ができる。ラック軸8の振動を抑制できると、ピニオン
軸4、ステアリング軸3を経てステアリングホイール2
に伝わる振動も小さくなるので、ドライバの操舵フィー
リングも改善される。又、ステアリングハンドル2を通
じて車室内に伝わる振動が抑えられるので、車室内の騒
音も抑えることができる。更に、ラック軸8の振動を抑
制されるので、ラック・アンド・ピニオン機構(ラック
8、ピニオン軸4)や、電動パワーステアリング装置1
のその他のねじ機構の磨耗も少なくすることができ、延
いては電動パワーステアリング装置1の寿命を延ばすこ
とができる。一方、ラック歯8Aが形成されているラッ
ク軸8の端部は剛性を持たせる必要があるので中実と
し、ラック歯8Aが形成されているラック軸8の端部ほ
どの剛性が必要ではないラック軸8の他端側に中空部2
5を形成し、その深さを調整することによって、ラック
軸8全体の剛性を維持しながら重量を減らし、ラック軸
8の固有振動数を調整している。
説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態を示す要
部正断面図である。なお、本実施の形態において、前記
第1の実施の形態と同一の機能を有する部材について
は、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。図
4に示すように、本実施の形態に係る電動パワーステア
リング装置1′では、前記第1の実施の形態と比較し
て、ピニオン31とラック歯32の噛み合い部30にお
いてその構成が異なる。本実施の形態に係る電動パワー
ステアリング装置1′では、ラック歯32における歯筋
がラック8に対して直交する方向を向いて形成されてい
る。ピニオン31は、このラック歯32に対応するよう
に、ねじの間隔が若干長く設定されている。その他の構
成は前記第1の実施の形態と同一である。
る電動パワーステアリング装置の作用について説明す
る。かかる構成を有する本実施の形態に係る電動パワー
ステアリング装置1′においては、前記第1の実施の形
態と同様に、図1に示すステアリングホイール2を操作
することによって付与される操舵トルクTSに対して、
電動機7によって付与される補助トルクTMが加味され
てピニオン軸4が回転される。ピニオン軸4が回転する
と、ピニオン31が回転し、ピニオン31と噛み合うラ
ック歯32に操舵トルクTSと補助トルクTMが加算さ
れた大きなトルク(=TS+TM)が伝達される。ここ
で、ラック歯32はラック軸8に対して垂直となるよう
に形成されているので、ピニオン31からラック8に対
して伝達される力F(=伝達トルク(TS+TM)/
R)は、ラック軸8に沿った方向に向けて加えられる。
このため、ラック軸8を撓ませる方向に作用されること
はないので、ラック軸8の撓みを防止することができ
る。その結果、操舵トルクTSに補助トルクTMを付与
した大きな力をピニオン31とラック歯32に伝達した
としても、ピニオン31とラック歯32の噛み合い部に
おいて噛み合い不良が発生して、ピニオン31からラッ
ク歯32に力を良好に伝達できなくなるという事態を防
止することができる。そうして、ドライバの操舵フィー
リングを損なうことがなくなる。又、ピニオン31やラ
ック歯32の磨耗を減少させることができるので、耐久
性を向上させることができる。
ラック軸8に対して垂直となるように形成したが、ドラ
イバの操舵トルクTSと電動機7の補助トルクTMの大
きさ(最大値)によっては、ラック歯32をラック軸8
に対してわずかに傾けるように設計することもできる。
このように、ラック歯32をラック軸8に対してわずか
に傾けることによって、ラック軸8が撓む方向に作用す
る力を少なくすることができるので、その分ラック軸8
が撓むのを防止することができる。すなわち、電動機7
から付与される補助トルクTMの大きさによって、ラッ
ク歯の歯筋角度を適宜設定することができる。尚、この
第2の実施の形態に係る電動パワーステアリング装置に
特有の作用は上記の通りであるが、その他の作用につい
て上述の第1の実施の形態と同様の作用を奏することで
きるので詳細な説明は省略する。
説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるもの
ではない。たとえば、前記実施の形態では、ドライバに
よる操舵トルクに加えて、電動機7による補助トルクを
付加してアシストする電動パワーステアリング装置1に
ついて説明したが、操舵輪9を転舵させるラック軸8に
連結されるピニオン軸4に対して、ウォームホイール1
1、及びウォーム軸12により電動機7の駆動力を付加
する構成とするものであれば、他の態様のものについて
も適用することができる。例えば、四輪操舵構造などに
おいても本発明を適用することができる。
発明に係る電動パワーステアリング装置では、第3支持
手段によるラック軸の支持により、ラック軸の支持スパ
ンが短くなり、ラック軸の固有振動数が第3支持手段が
ない場合から変化する。これにより、車輪や電動機によ
って引き起こされるラック軸の振動に、ラック軸の固有
振動が共振して大きく振動するのをある程度抑制するこ
とができることに加えて、ラック軸に中空部を形成した
ことによって、ラック軸の重量が減るので、(K/M)
1/2で表されるラック軸の固有振動数(但し、Kはラッ
ク軸の曲げに対するバネ定数、Mはラック軸の質量)
が、ラック軸に中空部を形成しない場合よりも大きくな
るから、中空部の深さや位置を調整してラック軸の重量
(重量バランス)を変えることで、車輪や電動機などに
よって引き起こされるラック軸の振動にラック軸の固有
振動が共振せず、大きな振動を抑制することができる。
テアリング装置では、ラック歯が形成されているラック
軸の端部は剛性を持たせる必要があるので中実とし、ラ
ック歯が形成されているラック軸と比べてそれ程剛性の
必要性がないラック軸の他端側に中空部を形成すること
によって、ラック軸全体の剛性を維持しながらラック軸
の重量を減らし、固有振動数を調整することができる。
グ装置の全体構成図である。
グ装置の要部正断面図である。
である。
グ装置の要部正断面図である。
ための図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 操舵トルクが与えられるピニオン軸と、
前記操舵トルクを補助する補助トルクを与える電動機
と、前記ピニオン軸に形成されたピニオンと噛み合うラ
ック歯を有するラック軸と、このラック軸の両端に設け
られた操舵輪とを有し、前記ピニオンと前記ラック歯が
噛み合い、前記ピニオン軸の回転が前記ラック軸の軸方
向の変位に変換されることによって前記操舵輪を転舵す
るようにした電動パワーステアリング装置において、 前記ラック軸の一端側を支持する第1支持手段と、前記
ラック軸の他端側を支持する第2支持手段と、前記ラッ
ク軸の一端側と他端側の間を支持する第3支持手段とを
有し、 前記第1支持手段を、前記ラック軸の一端側に設けられ
た前記ラック歯と、前記ピニオン軸に設けられた前記ピ
ニオンとの噛み合いによって形成し、 前記ラック軸に中空部を形成した、 ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 【請求項2】 前記ラック歯が形成されている前記ラッ
ク軸の端部とは反対側の端部に、前記中空部を形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリ
ング装置。
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