JP3942147B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機パワーをステアリング系に直接作用させてドライバの操舵力を軽減する電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動パワーステアリング装置は、電動機の駆動力を直接利用してドライバの操舵力をアシストする。電動パワーステアリング装置を搭載した車両は一般に普及しており、この電動パワーステアリング装置により、ステアリングの動きが軽快になり、ドライバは強い力でステアリングを操作する必要がなくなる。
【0003】
このような電動パワーステアリング装置において、電動機の駆動力(補助トルク)を与える手段として、ウォームギヤが設けられたウォーム軸とウォームホイールを用いた、いわゆるピニオンアシスト式のものがある。このピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置は、いわゆるラック・アンド・ピニオン式の電動パワーステアリング装置におけるピニオン軸に取り付けられたウォームホイールと、電動機に取り付けられ、ウォームギヤが設けられたウォーム軸などを備える歯車式減速機構を備える。ウォーム軸は、電動機の回転軸と同軸に接続され、ウォーム軸と噛み合うウォームホイールはピニオン軸と同軸に配設される。ピニオン軸は、ドライバが操作するステアリングホイールに取り付けられたステアリング軸に連結されている。このピニオン軸に設けられたピニオンは、車両の車輪を転舵させるためのラック軸に設けられたラック歯に噛み合っている。そして、電動機が回転して付与する補助トルクが、歯車式減速機構を介し、さらにピニオンとラック歯の噛み合いによりラック軸に伝達される。そうして、電動機の補助トルクをステアリング系に付与するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置においては、ドライバの操舵トルク(操舵力)TSと、電動機の補助トルクTMがピニオン軸に伝達される。このため、ピニオン軸に設けられたピニオンとラック軸に設けられたラック歯の噛み合い部には、ドライバの操舵トルクTSと電動機の補助トルクTMの和である伝達トルク(TS+TM)が作用する。
【0005】
また、ラック歯は、ピニオンとの噛み合いにおいて連続性を得るためにラック軸の軸方向に垂直な方向に対して傾いて形成されている。このため、ピニオンからラック歯に伝達される力F(=伝達トルク(TS+TM)/R、ただしRはピニオンのピッチ円半径)は、ラック軸を撓ませる方向に作用するので、ピニオンからラック歯に伝達される力Fが大きすぎると、ラック軸に曲がりが生じる。このように、ラック軸に曲がりが生じると、ラック歯とピニオンとの噛み合い角度が変化するので、噛み合い部において噛み合いが片当たりとなる不良を発生させて、ピニオンからラック歯に伝達トルク(TS+TM)を歯面全体で良好に伝達できなくなる。この結果、伝達トルク(TS+TM)の伝達が悪化しドライバの操舵フィーリングを低下させるという問題が生じる。また、このように(TS+TM)という伝達トルクが大きな状態ではピニオンとラック歯がスムーズに噛み合わないことから、ピニオンやラック歯の磨耗が激しく、耐久性が低下するという問題も生じる。
【0006】
したがって、ピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置では、前記伝達トルク(TS+TM)が大きい場合には、前記の不具合が発生するので、結果的に電動機から付与する補助トルクTMをあまり大きくすることができず、そのため、軽自動車などの前軸荷重が小さなものにしか使用できないという問題があった。
【0007】
他方、ラック軸のたわみを防止する技術として、特開平11−20717号公報に開示されたものがある。この技術は、ラック軸の一端部にピニオンとラック歯の噛み合い部を設け、他端部にボールねじ機構によるボール支持部を設ける。さらに、中間部に軸受けを設けて、3点でラック軸を支持し、路面反力などに起因するモーメントによるラック軸のたわみによる微妙な振動を抑制するものである。
【0008】
しかし、前記公報に開示されている技術は、ラック軸に対して電動機の補助トルクを直接(ピニオンを介することなく)作用させる、いわゆるラックアシスト式の電動パワーステアリング装置に関する技術である。このようなラックアシスト式の電動パワーステアリング装置では、ピニオンとラック歯の噛み合い部に作用する伝達トルクは、ドライバから与えられる操舵トルクTSのみである。この操舵トルクTSは、通常、電動機による補助トルクTMの1/5〜1/10程度と小さいので、ピニオンとラック歯の噛み合い部に大きな伝達トルクが作用することにより、ラック軸に曲がりが生じるという課題を有するものではなかった。
【0009】
また、ラックアシスト式の電動パワーステアリング装置では、ピニオンとラック歯の噛み合い部に対して他の支持部としてボールネジ機構が設けられている。このボールネジ機構が設けられた構成では、たとえばボールねじ機構のナットが高回転数にて振れ回る際や路面反力を受ける際にボール支持部の低剛性に起因するラック軸のたわみによる振動を防止することはできるものの、ラック軸の曲がりを防止できるものではなかった。
【0010】
そこで、本発明の課題は、ピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置において、ピニオンとラック歯の間に作用する力が大きくなったとしても、ラック軸に生じる曲がりを防止することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明は、操舵トルクが与えられるピニオン軸と、このピニオン軸に連結されて前記操舵トルクを補助する補助トルクを前記ピニオン軸に与える電動機と、前記ピニオン軸に形成されたピニオンと噛み合うラック歯を有するラック軸と、このラック軸の両端に設けられた操舵輪とを有し、前記ピニオンと前記ラック歯が噛み合い、前記ピニオン軸の回転が前記ラック軸の軸方向の変位に変換されることによって前記操舵輪を転舵するピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置において、前記ラック軸の一端側を支持する第1支持手段と、前記ラック軸の他端側を軸方向に摺動可能に支持する第2支持手段と、前記ラック軸の一端側と他端側との間の撓み量が大きくなる中間部を軸方向に摺動可能に支持する第3支持手段とを有し、前記第1支持手段は、前記ラック軸の一端側に設けられた前記ラック歯と、前記ピニオン軸に設けられた前記ピニオンとの噛み合いによって形成され、前記第1支持手段、前記第2支持手段、および前記第3支持手段は、前記ラック軸における前記操舵輪の作用点に対して車幅方向の内側に設けられていることを特徴とする。
【0012】
いわゆるラック・アンド・ピニオン式の電動パワーステアリング装置のうち、ピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置において、ピニオン軸には、操舵トルクと、電動機からの補助トルクが与えられる。このため、ピニオンとラック歯には大きなトルクがラック軸を曲げる方向に掛かるので、ラック軸が曲がるという課題がある。この点、本発明では、ラック軸をその一端側と他端側を支持する第1、第2支持手段のほかに、ラック軸の一端側と他端側との間を支持する第3支持手段を設けている。この第3支持手段により、ラック軸が強固に支持されるので、ピニオンからラック歯に大きなトルクが掛かった場合であっても、ラック軸の曲がりを防止することができる。その結果、ピニオンとラック歯の噛み合い部において噛み合いが片当たりとなる不良が生じることがなく、もってピニオンからラック歯に対して歯面全体で良好にトルクを伝達することができる。こうして、ドライバの操舵フィーリングを損なうことがないようにすることができる。また、ピニオンやラック歯の磨耗を減少させて、耐久性を向上させることができる。
【0017】
請求項に係る発明は、前記ピニオン軸は、前記ラック軸に直交する方向に対して傾いた状態に配置されると共に、前記ピニオンが前記ピニオン軸の軸方向から傾いた状態で形成され、前記ラック歯の方向が、前記ラック軸の軸方向に対してほぼ垂直な方向を向くように形成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
【0018】
請求項に係る発明では、ラック歯の方向がラック軸に対してほぼ垂直となる方向を向くように形成されている。このため、ピニオンから与えられる伝達トルクは、ラック軸の軸方向に与えられる。その結果、ピニオンから与えられる伝達力がラック軸を曲げる方向に向かないので、ラック軸の曲がりを防止することができる。したがって、ピニオンとラック歯の噛み合い部において噛み合い不良が生じることがなく、もってピニオンからラック歯に対して良好にトルクを伝達することができる。そうして、ドライバの操舵フィーリングを損なうことがないようにするとともに、ピニオンやラック軸の磨耗を減少させ、耐久性を向上させることができる。
【0019】
なお、ここでいう「ほぼ垂直」とは垂直と垂直に近い角度、具体的には垂直に機械誤差を加味した範囲を含む角度の概念である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図、図2はその要部正断面図である。
【0021】
図1に示すように、本発明に係る電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール2を有しており、ステアリングホイール2は、ステアリング軸3を介してピニオン軸4に連結されている。ドライバがステアリングホイール2を操作して生じる操舵トルクは、ステアリング軸3を介してピニオン軸4に与えられる。ピニオン軸4には、図2にも示すように、ステアリング系に作用する操舵トルクを検出する磁歪式のトルクセンサ5およびトルク伝達手段6が取り付けられており、トルク伝達手段6は、いわゆる倍力装置であり、ステアリング系に補助トルクを加えるための電動機7に接続されている。本実施形態では、電動機7はたとえばブラシレスモータから構成されている。
【0022】
電動パワーステアリング装置1は、いわゆるラック・アンド・ピニオン式のものであり、ピニオン軸4の下端に設けられたピニオン4Aは、ラック軸8に形成されたラック歯8Aと噛み合わされており、ピニオン軸4の回転がラック軸8の軸方向の変位に変換されて、操舵輪9,9を転舵する。また、トルクセンサ5は制御装置10に接続されており、操舵トルク信号Tを出力している。制御装置10では、少なくともトルクセンサ5から出力された操舵トルク信号Tに基づいて、補助トルクを算出し、電動機電圧VOを電動機7に出力して電動機7を制御している。
【0023】
トルク伝達手段6は、図2に示すように、ピニオン軸4に対して同軸に固定されたウォームホイール11を有している。電動機7にはウォーム軸12が連結されており、ウォーム軸12に設けられたウォームギヤ13がウォームホイール11に噛み合わされている。電動機7を駆動してウォーム軸12が回転すると、ウォームギヤ13に噛み合わされたウォームホイール11が回転しウォームホイール11とともにピニオン軸4が回転するようになっている。こうして、電動機7の補助トルクがピニオン軸4に伝達され、ピニオン軸4を介してステアリング系に伝達される。
【0024】
ラック軸8は、ラックハウジング14内に配設されており、ラックハウジング14の両端部は、ブーツ15,15に覆われて、ラックハウジング14内を保護するとともに塵埃などの混入を防止している。ラック軸8の両端部には、それぞれタイロッド16,16が接続されており、さらに図示しないナックルなどを介して操舵輪9,9(図1)が取り付けられる。
【0025】
また、ラックハウジング14の外側には、補強用のリブ17が形成されており、ラックハウジング14の曲げ方向の剛性を高めている。さらに、ラックハウジング14の下部における中間部からやや一端側寄りの位置には、ラックハウジング14を図示しない車体に取り付けるための取付部18が形成されている。
【0026】
ラックハウジング14内には、ラック軸8を支持する第1〜第3支持手段21〜23が配設されている。第1支持手段21は、ラック軸8の一端側を支持するものであり、ピニオン軸4の下端に形成されたピニオン4Aとラック軸8に形成されたラック歯8Aの噛み合いによって構成されている。また、ラック歯8Aの背面側には、ラック軸8を背後からピニオン4Aに向けて押圧するラックガイド19が設けられている。
【0027】
第2支持手段22は、ラック軸8の他端側に設けられた支持軸受けによって構成されており、ラック軸8の他端側を摺動可能に支持している。第3支持手段23は、ラック軸8における一端側と他端側の間(中間部)に設けられた支持軸受けによって構成されており、ラック軸8における一端側と他端側の中間部を摺動可能に支持している。
【0028】
以上の構成を有する本実施形態に係る電動パワーステアリング装置の作用について説明する。
ドライバがステアリングホイール2を操作して、操舵輪9,9を転舵させようとすると、ドライバが与えた操舵力をトルクセンサ5が検出して、制御装置10に操舵トルク信号Tを出力する。制御装置10では、少なくともこの操舵トルク信号に基づいて、電動機7がステアリング系に与える補助トルクを算出し、その補助トルクに応じた電動機電圧VOを電動機7に出力する。
【0029】
電動機7では、電動機電圧を受けて、補助トルクをステアリング系に付与する。具体的に補助トルクを与えるために電動機7の回転軸が回転すると、トルク伝達手段6を介してピニオン軸4に補助トルクが伝達される。ピニオン軸4に伝達された補助トルクは、ピニオン4Aを介してラック軸8のラック歯8Aに伝達される。また、ピニオン軸4には、ドライバがステアリングホイール2を操作することによって与えられた操舵力も伝達され、この操舵力もラック歯8Aに伝達される。
【0030】
いま、電動機7から与えられる補助トルクをTM、ドライバから与えられる操舵トルクをTSとすると、図3に示すように、ピニオン4Aからラック歯8Aに伝達される力Fは、伝達トルク(補助トルクTM+操舵トルクTS)/R(ただしRはピニオン4Aのピッチ円半径)の大きさとなる。このように大きな伝達力F(=(TM+TS)/R)がラック歯8Aに掛かる。また、ラック歯8Aにおける歯筋は、ラック軸8に直交する方向Xに対して歯筋角度θの傾斜をもって形成されているため、ラック歯8Aにピニオン4Aから伝達される力Fは、ラック軸8に交差する方向にも作用する。ラック軸8に交差する方向に力Fが作用したとき、ラック軸8が第1支持手段21、第2支持手段22のみで支持されている、すなわち支点a,bでラック軸8が支えられているとする。この場合には、電動機7から伝達される補助トルクTMは、ドライバがステアリングホイール2を操作することによって伝達される操舵トルクTSの約5〜10倍と大きなものであるので、伝達力F(=(TM+TS)/R)の作用によってラック軸8が図3に仮想線で示す方向に曲がることが懸念される。
【0031】
したがって、ラック軸8がたとえば第1支持手段21および第2支持手段22のみで支持されている場合には、ラック軸8を曲げる方向に向けて大きな力Fが作用すると、ラック軸8が曲がってしまう。ラック軸8が曲がってしまうと、ピニオン4Aとラック歯8Aの噛み合い部において、噛み合いの片当たりという不良を発生させて、ピニオン4Aからラック歯8Aに力を歯面全体で良好に伝達できなくなるという不具合が生じる。
【0032】
この点、本実施形態では、第1支持手段21と第2支持手段22との間に第3支持手段23が配設されている。このため、ラック軸8を支える支点a,bのほかに、支点cでラック軸8における一端側と他端側の間の位置が支持される。こうして、ラック軸8が曲がるという事態を抑制している。
【0033】
さらに、ラックハウジング14には、曲げ方向の補強用のリブ17が形成されている。この補強用のリブ17によってラックハウジング14の曲げ方向の剛性が高くなり、各支持手段21,22,23の取付部分の剛性が高くなるので、ひいてはラック軸8が曲がるという事態を抑制している。したがって、操舵トルクTSに補助トルクTMを付与した大きなトルクがピニオン4Aとラック歯8Aの噛み合い部に作用する場合、噛み合いの片当たりという不良が発生して、ピニオン4Aからラック歯8Aに力を良好に伝達できなくなるという事態を防止することができる。そうして、ドライバの操舵フィーリングを損なうことがなくなる。また、ピニオン4Aやラック歯8Aの磨耗を減少させることができるので、耐久性を向上させることができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態を示す要部正断面図である。なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と同一の機能を有する部材については、同一の番号を付してその詳細な説明は省略する。
図4に示すように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1′では、前記第1実施形態と比較して、ピニオン31とラック歯32の噛み合い部30においてその構成が異なる。本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1′では、ラック歯32における歯筋がラック8に対して直交する方向を向いて形成されている。ピニオン31は、このラック歯32に対応するように、ねじの間隔が若干長く設定されている。その他の構成は前記第1の実施形態と同一である。
【0035】
かかる構成を有する本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1′においては、前記第1の実施形態と同様に、図1に示すステアリングホイール2を作動させることによって付与される操舵トルクTSに対して、電動機7によって付与される補助トルクTMが加味されてピニオン軸4が回転される。ピニオン軸4が回転すると、ピニオン31が回転し、ピニオン31と噛み合うラック歯32に操舵トルクTSと補助トルクTMが加算された大きなトルク(=TS+TM)が伝達される。ここで、ラック歯32はラック軸8に対して垂直となるように形成されているので、ピニオン31からラック8に対して伝達される力F(=伝達トルク(TS+TM)/R)は、ラック軸8に沿った方向に向けて加えられる。このため、ラック軸8を曲げる方向に作用されることはないので、ラック軸8の曲がりを防止することができる。その結果、操舵トルクTSに補助トルクTMを付与した大きな力をピニオン31とラック歯32に伝達したとしても、ピニオン31とラック歯32の噛み合い部において噛み合い不良が発生して、ピニオン31からラック歯32に力を良好に伝達できなくなるという事態を防止することができる。そうして、ドライバの操舵フィーリングを損なうことがなくなる。また、ピニオン31やラック歯32の磨耗を減少させることができるので、耐久性を向上させることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、ラック歯32をラック軸8に対して垂直となるように形成したが、ドライバの操舵トルクTSと電動機7の補助トルクTMの大きさ(最大値)によっては、ラック歯32をラック軸8に対してわずかに傾けるように設計することもできる。このように、ラック歯32をラック軸8に対してわずかに傾けることによって、ラック軸8が曲がる方向に作用する力を少なくすることができるので、その分ラック軸8の曲がることを防止することができる。すなわち、電動機7から付与される補助トルクTMの大きさによって、ラック歯の歯筋角度を適宜設定することができる。
【0037】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。たとえば、前記実施形態では、ドライバによる操舵トルクに加えて、さらに電動機による補助トルクを付加してアシストする電動パワーステアリング装置について説明したが、操舵輪を転舵させるラック軸に連結されるピニオン軸に対して、ウォームホイールおよびウォーム軸により電動機の駆動力を付加する構成とするものであれば、他の態様のものについても適用することができる。たとえば、電気信号に基づいて制御される電動機の駆動力のみにより操舵輪を転舵させるステア・バイ・ワイヤ構造や四輪操舵構造などにおいても本発明を適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の請求項1に係る発明によれば、第3支持手段により、ラック軸が強固に支持されるので、ピニオンからラック歯に大きなトルクが掛かった場合であっても、ラック軸の曲がりを防止することができる。その結果、ピニオンとラック歯の噛み合い部において噛み合いの片当たりという不良が生じることがなく、もってピニオンからラック歯に対して歯面全体で良好にトルクを伝達することができる。こうして、伝達不良によるドライバの操舵フィーリングを損なうことがないようにするとともに、ピニオンやラック歯の磨耗を減少させて、耐久性を向上させることができる。
【0039】
さらに、請求項に係る発明によれば、ラック軸の左右方向への円滑な移動を担保するとともに、ボールねじ機構のボール支持部と比較すると、支持剛性を高くできるので、ラック軸を確実に支持することができる。
【0041】
請求項に係る発明によれば、ピニオンから与えられるトルクがラック軸を曲げる方向に向かないので、ラック軸の曲がりを防止することができる。したがって、ピニオンとラック歯の噛み合い部において噛み合いの片当たりという不良が生じることがなく、もってピニオンからラック歯に対して歯面全体で良好にトルクを伝達することができる。そうして、ドライバの操舵フィーリングを損なうことがないようにするとともに、ピニオンやラック軸の磨耗を減少させ、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部正断面図である。
【図3】ラック軸に掛かる力の方向の関係を示す説明図である。
【図4】第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部正断面図である。
【符号の説明】
1 電動パワーステアリング装置
4 ピニオン軸
4A ピニオン
6 トルク伝達手段
7 電動機
8 ラック軸
8A ラック歯
14 ラックハウジング
17 リブ
21 第1支持手段
22 第2支持手段
23 第3支持手段
30 噛み合い部
31 ピニオン
32 ラック歯
TM 補助トルク
TS 操舵トルク
θ 歯筋角度

Claims (2)

  1. 操舵トルクが与えられるピニオン軸と、このピニオン軸に連結されて前記操舵トルクを補助する補助トルクを前記ピニオン軸に与える電動機と、前記ピニオン軸に形成されたピニオンと噛み合うラック歯を有するラック軸と、このラック軸の両端に設けられた操舵輪とを有し、前記ピニオンと前記ラック歯が噛み合い、前記ピニオン軸の回転が前記ラック軸の軸方向の変位に変換されることによって前記操舵輪を転舵するピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置において、
    前記ラック軸の一端側を支持する第1支持手段と、
    前記ラック軸の他端側を軸方向に摺動可能に支持する第2支持手段と、
    前記ラック軸の一端側と他端側との間の撓み量が大きくなる中間部を軸方向に摺動可能に支持する第3支持手段とを有し、
    前記第1支持手段は、前記ラック軸の一端側に設けられた前記ラック歯と、前記ピニオン軸に設けられた前記ピニオンとの噛み合いによって形成され
    前記第1支持手段、前記第2支持手段、および前記第3支持手段は、前記ラック軸における前記操舵輪の作用点に対して車幅方向の内側に設けられていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記ピニオン軸は、前記ラック軸に直交する方向に対して傾いた状態に配置されると共に、前記ピニオンが前記ピニオン軸の軸方向から傾いた状態で形成され、
    前記ラック歯の方向が、前記ラック軸の軸方向に対してほぼ垂直な方向を向くように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
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