JP2003151523A - 電池用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

電池用セパレータ及びその製造方法

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JP2003151523A
JP2003151523A JP2002024136A JP2002024136A JP2003151523A JP 2003151523 A JP2003151523 A JP 2003151523A JP 2002024136 A JP2002024136 A JP 2002024136A JP 2002024136 A JP2002024136 A JP 2002024136A JP 2003151523 A JP2003151523 A JP 2003151523A
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graft
battery separator
battery
fiber
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Yasunao Shimano
泰尚 嶋野
Nobumasa Kanenori
順正 金法
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Komatsu Seiren Co Ltd
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    • H01M50/409Separators, membranes or diaphragms characterised by the material
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンモニアの捕捉容量を増大することがで
き、アルカリ二次電池に用いた場合に、電池の自己放電
をより抑制することができる電池用セパレータを提供す
る。 【解決手段】 本発明の電池用セパレータは、ポリオレ
フィン系繊維からなる基材に、2−アクリルアミド2−
メチルプロパンスルホン酸と、カルボキシ基を有するモ
ノマーとがグラフト共重合されていることを特徴とす
る。また、少なくとも表面にグラフト重合された少なく
とも1種のモノマーの酸性基を、多価金属を介して架橋
することが好ましい。また、グラフト物の質量分率を4
〜16%とすることにより、グラフト物の質量分率から
求めた理論的イオン交換容量IEC(cal)と実測し
たカリウムイオン交換容量IEC(obs)との差を
0.50mmol/g以上、アンモニア捕捉容量を0.
30mmol/g以上とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池用セパレータ
及びその製造方法に係り、特に、正極活物質として水酸
化ニッケルを用いたアルカリ二次電池用セパレータに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ニッケルを正極とし、カドミウ
ム、亜鉛、水素吸蔵合金等を負極としたアルカリ二次電
池において、正極と負極とが短絡することを防止すると
ともに、水酸化カリウム等の電解液を保持するセパレー
タとして、耐アルカリ性を有するポリオレフィン系繊維
からなる不織布等を親水化したものが用いられている。
【0003】例えば、特開昭52−50554号公報に
は、多孔性フィルムや、ポリエチレン、ポリプロピレン
不織布に、酸又は塩基と反応して塩を形成するビニルモ
ノマー(アクリル酸等)をグラフト重合した電池用セパ
レータが開示されている。また、特開昭57−1418
62号公報には、ポリプロピレン主体の繊維の表面にポ
リエチレン樹脂を形成した不織布に、酸又は塩基と反応
して塩を形成するビニルモノマー(アクリル酸等)をグ
ラフト重合した電池用セパレータが開示されている。ま
た、特開平5−234577号公報には、反応性モノマ
ーをグラフト重合した不織布を、ニッケル−金属水素化
物電池用セパレータとして用いることが開示されてい
る。
【0004】このように、グラフト重合を用いてポリオ
レフィン系繊維を親水化することは公知の技術となって
いる。なお、グラフト重合法としては、(1)ポリオレ
フィン系繊維とビニルモノマーとを共に重合開始剤存在
下で加熱する化学法、(2)ビニルモノマーに接触させ
た状態でポリオレフィン系繊維に紫外線や電子線を照射
する同時照射法、(3)ポリオレフィン系繊維に紫外線
や電子線を照射した後、モノマーを接触させる前照射法
などの方法が知られている。
【0005】また、ポリオレフィン系繊維の親水化処理
としては、グラフト重合を用いる以外に、発煙硫酸、濃
硫酸、三酸化硫黄等を用いてポリオレフィン系繊維をス
ルホン化し、スルホン酸基を導入する処理や、フッ素ガ
スを用いて親水化する処理が実用化されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ニッケルを
正極としたアルカリ二次電池においては、充電後の容量
保持期間中に自己放電が発生し、容量が低下することが
あった。Patric Leblanc, et al., J.Electrochem.,14
5(3)844-847(1998)には、密閉型ニッケル水素電池の自
己放電の原因の一つが、電池内に発生するアンモニアで
あり、電池内に発生するアンモニアの多くは正極活物質
である水酸化ニッケルに由来することが記載されてい
る。また、ポリオレフィン系繊維にアクリル酸をグラフ
ト重合したセパレータがアンモニアを捕捉する機能を有
し、アンモニア捕捉機能を有しないポリアミド不織布等
に比較して電池の自己放電を抑制することができること
が記載されている。
【0007】なお、正極活物質である水酸化ニッケルか
らアンモニアが発生するのは、特開平10−12236
号公報等に開示されているように、水酸化ニッケルから
なる正極活物質を製造するに際して、ニッケルにアンモ
ニウムイオンを供給してアンモニウム錯塩とし、この状
態で水酸化ニッケルを成長させるため、正極活物質内に
アンモニウムイオンが残留することによると思われる。
【0008】しかしながら、従来用いられているポリオ
レフィン系繊維にアクリル酸をグラフト重合したセパレ
ータや、ポリオレフィン系繊維をスルホン化したセパレ
ータのアンモニア捕捉容量は十分とは言えず、電池の自
己放電を無視できない程度にまで抑制するには到ってい
ないのが現状である。
【0009】そこで、本発明は、アンモニアの捕捉容量
を増大することができ、水酸化ニッケルを正極活物質と
したアルカリ二次電池に用いた場合に、電池の自己放電
をより抑制することができる電池用セパレータ及びその
製造方法を提供することを第一の目的とする。
【0010】一方、特開平8−241704号公報に
は、ポリオレフィン系繊維を同程度親水化するのに必要
な導入量を比較した場合、スルホン酸基は極性が高いた
め、その導入量はカルボキシ基の1/2〜1/5程度で
良く、スルホン酸基を導入することにより、不織布の無
駄な質量増加を抑えつつ親水化処理を行うことができる
ことが記載されている。また、スルホン酸基は、カルボ
キシ基に比較して酸化などの化学的作用に強く安定性に
優れていることが記載されている。
【0011】このように、親水化処理のためにスルホン
酸基を導入することは好適であるが、発煙硫酸、濃硫
酸、三酸化硫黄等を用いてポリオレフィン系繊維をスル
ホン化し、スルホン酸基を導入する場合には、主鎖のポ
リオレフィン系繊維が劣化し、引っ張り強度や引き裂き
強度が低下するという問題点を有している。そこで、特
開平8−241704号公報には、ポリオレフィン系繊
維に、p−スチレンスルホン酸の金属塩やビニルスルホ
ン酸の金属塩等のスルホン酸塩誘導体とカルボン酸誘導
体とをグラフト共重合させ、スルホン酸基とカルボキシ
基の双方を導入したセパレータが提案されている。しか
しながら、特開平8−241704号公報に記載された
ようにグラフト共重合を行っても、実際には、スルホン
酸基とカルボキシ基の双方を導入することは、以下の理
由により極めて困難である。
【0012】すなわち、アクリル酸等のカルボン酸誘導
体は分子量が小さく、ポリオレフィン系繊維を膨潤さ
せ、繊維内部に拡散してグラフト重合が進行する。これ
に対して、p−スチレンスルホン酸の金属塩は、カルボ
ン酸誘導体に比較して分子量が極めて大きいこと、及び
カルボン酸誘導体に比較して極性が極めて高いことか
ら、繊維内部に拡散せず、繊維外部でのみ重合が進行し
てホモポリマーを生成するため、p−スチレンスルホン
酸の金属塩をグラフト重合することは極めて困難であ
る。また、ビニル基を有するモノマーはアクリロイル基
を有するモノマーに比較して重合性が低いこと、及びビ
ニルスルホン酸の金属塩の極性がカルボン酸誘導体に比
較して極めて高いことから、繊維内部に拡散せず、繊維
外部でのみ重合が進行してホモポリマーを生成するた
め、ビニルスルホン酸の金属塩をグラフト重合すること
も極めて困難である。
【0013】そして、特開平8−241704号公報に
記載されたようにグラフト共重合を行った場合、繊維外
部に、除去が困難なホモポリマーが生成されるため、重
合反応終了後の洗浄工程が複雑化する。また、ホモポリ
マーが付着した状態で、セパレータを電池に装着する
と、ホモポリマーが電解液に脱落して電池性能が低下す
る恐れもある。なお、スルホン酸基が導入されたか否か
は、シェニーガ法に基づいて硫黄の分析を行うことによ
り明確となるが、特開平8−241704号公報には、
硫黄の検出についての記載がなく、実際にスルホン酸基
が導入されたかどうかは定かではない。
【0014】上述のように、グラフト重合によりスルホ
ン酸基を導入することは提案されているものの、これま
でグラフト重合によりスルホン酸基を導入したという確
たる実例は報告されていない。そこで、本発明は、ポリ
オレフィン系繊維の強度を低下させることなく、スルホ
ン酸基を簡易に導入する手段を提供し、これによって、
軽量化と化学的安定性の向上を図ることができる電池用
セパレータ及びその製造方法を提供することを第二の目
的とする。
【0015】また、従来から、酸性基を有するビニルモ
ノマーをグラフト重合した電池用セパレータを、ニッケ
ル−カドミウム電池やニッケル−水素電池等に使用した
場合には、過充電時に生じる酸素により、セパレータが
劣化して短絡が発生するという恐れや、酸素によるセパ
レータの劣化物が極板に影響を及ぼし、電池の寿命が短
くなるという恐れがあることが報告されている。
【0016】例えば、P.Alexander,M.Fox;J.polym.Sc
i.,33,493(1958)には、ポリメタクリル酸が、37℃の
低温でも自然酸化により分解することが報告されてい
る。この報告から分かるように、グラフト重合により導
入されたポリアクリル酸などのカルボキシ基含有ポリマ
ーは、酸化等の化学的作用に対して安定でない場合があ
る。
【0017】かかる問題を解決するために、特開200
0−106162号公報には、ポリオレフィン系繊維
に、カルボキシ基を有するビニルモノマーを接触させ、
酸素存在下でグラフト重合処理を行った後、ポリオレフ
ィン系繊維の周囲を非通気性フィルムで囲繞した状態
で、さらにグラフト重合処理を行う方法が開示されてい
る。この方法によれば、表面にカルボキシ基が存在せ
ず、X線光電子分光計で測定した場合、530.5〜5
31.5eVに結合エネルギーを有する構造、すなわ
ち、表面に酸素原子又は酸素分子が結合した構造を有す
る電池用セパレータを得ることができ、得られた電池用
セパレータは、耐酸化性に優れ、この電池用セパレータ
を装着した電池は、容量保持性に優れ、充放電の繰り返
しサイクル寿命が長いことが記載されている。
【0018】しかしながら、特開2000−10616
2号公報に記載された方法では、2段階のグラフト重合
が必要になるため、製造プロセスが複雑であるという問
題点を有している。そこで、本発明は、複雑な製造プロ
セスを経ることなく簡易に製造することができ、耐酸化
性等の化学的安定性に優れ、耐久性に優れた電池用セパ
レータ及びその製造方法を提供することを第三の目的と
する。
【0019】また、従来用いられているポリオレフィン
系繊維にアクリル酸をグラフト重合したセパレータの製
造方法の一つとして、特表平6−509208号公報等
に記載されているように、カルボキシ基を有するモノマ
ー、重合開始剤、界面活性剤等を含有するモノマー溶液
を調製し、調製したモノマー溶液をポリオレフィン系繊
維に含浸させた後、紫外線照射してグラフト重合を行う
方法が知られている。しかしながら、この方法によりグ
ラフト重合を行う場合、カルボキシ基を有するモノマー
の重合が繊維外部で進行してホモポリマーが生成され、
洗浄工程が複雑化するとともに、グラフト物の質量分率
が低下することがあった。
【0020】そこで、本発明は、グラフト重合を繊維内
部で安定して進行させることができる電池用セパレータ
の製造方法を提供することを第四の目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者は、はじめに、
上記第一の課題を解決するべく検討を行った。従来、ポ
リオレフィン系繊維にアクリル酸をグラフト重合したセ
パレータや、ポリオレフィン系繊維をスルホン化したセ
パレータにおけるアンモニアの捕捉箇所の特定は行われ
ていない。
【0022】本発明者は、電池用セパレータの特性とし
て実測したカリウムイオン交換容量IEC(obs)
が、グラフト物の質量分率(グラフト重合により付加し
た成分のセパレータ全体に占める質量分率)により求め
た理論的イオン交換容量IEC(cal)より、低い値
になることを見出した。なお、本明細書におけるIEC
(obs)の測定方法、及びIEC(cal)の算出方
法については、「実施例」の項において詳述するが、最
終製品の電池用セパレータにおいては、電解液に接触す
る箇所の酸性基が中和されたものであるので、IEC
(obs)、IEC(cal)は、電池用セパレータの
イオン交換基を完全な酸型にした後、該電池用セパレー
タを水酸化カリウム水溶液に浸漬させた時のカリウムイ
オン交換容量の実測値、理論値をそれぞれ意味してい
る。以下、説明を簡略化するため、最終的には中和され
る酸性基も含めて単に「酸性基」と称する。
【0023】実測したカリウムイオン交換容量IEC
(obs)が理論的イオン交換容量IEC(cal)よ
り低い値になるということは、水酸化カリウム水溶液に
浸漬させた時に、酸性基のすべてが中和されて塩になる
のではなく、中和されずに残る酸性基が存在することを
意味する。そして、本発明者は、中和されずに残る酸性
基がアンモニアを捕捉すると考えて検討を行った結果、
理論的イオン交換容量IEC(cal)と実測したカリ
ウムイオン交換容量IEC(obs)との差IEC(c
al)−IEC(obs)と、アンモニア捕捉容量との
間には相関関係があり、IEC(cal)−IEC(o
bs)が大きくなる程、アンモニア捕捉容量が増大する
ことを見出した。
【0024】さらに、本発明者は、ポリオレフィン系繊
維の酸性基のうち、水酸化カリウム水溶液により中和さ
れる基と中和されない基が存在するのは、ポリオレフィ
ン系繊維内における酸性基の分布に関係していると考え
た。つまり、繊維の表面及び表面近傍に存在する酸性基
は水酸化カリウム水溶液に接触して中和されるのに対
し、表面近傍よりも内部に存在する酸性基は水酸化カリ
ウム水溶液により中和されず、アンモニアを捕捉すると
考えた。そして、繊維内部に、水酸化カリウム水溶液に
より中和されない酸性基を多数形成することにより、ア
ンモニア捕捉容量を増大することができることに思い到
り、以上の点に着目して検討を行った結果、上記第一の
課題を解決するとともに、上記第二の課題をも同時に解
決することが可能な本発明の第1の電池用セパレータを
発明するに到った。
【0025】本発明の第1の電池用セパレータは、ポリ
オレフィン系繊維からなる基材に、スルホン酸基を有す
るモノマーである2−アクリルアミド2−メチルプロパ
ンスルホン酸と、カルボキシ基を有するモノマーとがグ
ラフト共重合されていることを特徴とする。ここで、前
記カルボキシ基を有するモノマーとしては、アクリル酸
若しくはメタクリル酸が好適である。以下、2−アクリ
ルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸
を、それぞれ「AXQ」、「AA」と略すことがある。
【0026】本発明者は、スルホン酸基を有するモノマ
ーとしてAXQを用い、AXQとカルボキシ基を有する
モノマーとをグラフト共重合させることにより、ポリオ
レフィン系繊維の強度を低下させることなく、ポリオレ
フィン系繊維内部に簡易にスルホン酸基を導入すること
ができるとともに、アンモニア捕捉容量を増大すること
ができることを見出した。
【0027】スルホン酸基を有するビニルモノマーとし
ては、AXQの他に、p―スチレンスルホン酸ナトリウ
ム、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナ
トリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、3−スルホ
プロピルアクリレート(カリウム塩)、3−スルホプロ
ピルメタクリレート(カリウム塩)等があるが、本発明
者は、(1)重合性が高いこと、(2)ポリオレフィン
系繊維の少なくとも表面近傍の内部に拡散進入させるた
めに、極性が極端に高くないこと、(3)強アルカリ性
の電解液中で安定であること、(4)モノマー溶液が安
定であることを満たすモノマーとして、AXQが最適で
あることを見出した。
【0028】(1)ビニルモノマーの重合性について考
えた場合、ビニル基(CH2 =CH 2 )やアリル基(C
2 =CH−CH2 )を有するモノマーの重合性は、ア
クリロイル基(CH2 =CH−CO)を有するモノマー
に比較して低いため、アクリロイル基を有するAXQの
重合性は、スチレンスルホン酸ナトリウムやビニルスル
ホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸の重合性に比較し
て高いことになる。
【0029】一方、(2)ポリオレフィン系 繊維の内部に対する拡散進入性を考えた場合、スルホン
酸基を有するモノマーは、疎水性のポリオレフィンより
極性が大きく、親水性が高いので、もともと拡散進入し
難い。ここで、スルホン酸基(−SO3 H)とスルホン酸
ナトリウム基(−SO3 - Na+ )とを比較すると、後者の
方が、極性と分子占有体積がいずれも大きく、拡散進入
には一層不利となっている。したがって、スルホン酸基
を有するAXQは、p―スチレンスルホン酸ナトリウム
やビニルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸ナトリウ
ム基を有するモノマーに比較して、ポリオレフィン系繊
維の内部に拡散進入しやすいことになる。
【0030】また、(3)電池中の強アルカリ電解液中
での安定性を考えた場合、3−スルホプロピルアクリレ
ート(カリウム塩)や3−スルホプロピルメタクリレー
ト(カリウム塩)のようなエステル基を持つモノマーを
グラフト重合したものは、強アルカリ電解液中で加水分
解され、スルホン酸基が脱落してしまうので好ましくな
い。
【0031】さらに、(4)モノマー溶液の安定性を考
えた場合、p−スチレンスルホン酸ナトリウムはアクリ
ル酸存在下でp―スチレンスルホン酸となるが、このp
―スチレンスルホン酸は自然重合する性質を有するた
め、モノマー溶液が不安定になる。またビニルスルホン
酸ナトリウムも同様の挙動を示すため、カルボキシ基の
ような酸性基を有するモノマーとグラフト共重合する際
の取り扱い性に問題がある。
【0032】以上の理由から、特開平8−241704
号公報に開示されているp−スチレンスルホン酸やビニ
ルスルホン酸の金属塩を使用する場合にはスルホン酸基
を持つモノマーはグラフト重合できないが、AXQを使
用する場合には、上記の要件を満たしており、ポリオレ
フィン系繊維内部に簡易にスルホン酸基を導入すること
ができ、硫黄含有率を0.05%以上とすることができ
ることを見出した。なお、本明細書における硫黄含有率
の測定方法については、「実施例」の項において詳述す
る。
【0033】以上説明したように、AXQを用いること
により、ポリオレフィン系繊維内部に簡易にスルホン酸
基を導入することができるが、AXQは、AA等のカル
ボキシ基を有するモノマーに比較して分子量が大きく、
極性が大きいため、カルボキシ基を有するモノマー程は
繊維内部に拡散することができない。したがって、ポリ
オレフィン系繊維からなる基材に、AXQと、カルボキ
シ基を有するモノマーとをグラフト共重合してなる本発
明の第1の電池用セパレータにおいては、ポリオレフィ
ン系繊維の表面及び表面近傍には、AXQと、カルボキ
シ基を有するモノマーとがグラフト共重合され、表面近
傍より内部にはカルボキシ基を有するモノマーのみがグ
ラフト重合された構造になっていると思われる。つま
り、酸性基に着目すれば、ポリオレフィン系繊維の表面
及び表面近傍にはスルホン酸基とカルボキシ基の双方が
導入され、表面近傍より内部にはカルボキシ基のみが導
入された構造になっていると思われる。
【0034】このような構造を有する本発明の第1の電
池用セパレータに水酸化カリウム水溶液を接触させた場
合、繊維の表面及び表面近傍に導入されたスルホン酸基
により、表面近傍の膨潤が大きくなり、カリウムイオン
はそれより内部への拡散が抑制され、カルボキシ基のみ
が導入された領域については水酸化カリウム水溶液によ
る酸性基の中和が進行しない。したがって、本発明の第
1の電池用セパレータによれば、水酸化カリウム水溶液
により中和されない酸性基(カルボキシ基)を繊維内に
多数形成することができ、アンモニアの捕捉容量を増大
することができる。
【0035】また、本発明の第1の電池用セパレータに
おいて、AXQと、カルボキシ基を有するモノマーとを
合わせたグラフト物の質量分率と、IEC(cal)−
IEC(obs)と、アンモニア捕捉容量との間には相
関関係があること、及び、IEC(cal)−IEC
(obs)とアンモニア捕捉容量はグラフト物の質量分
率が約10%の時に最大になることを見出した。したが
って、グラフト物の質量分率をこの値に近づける程、I
EC(cal)−IEC(obs)及びアンモニアの捕
捉容量を飛躍的に増大することができる。
【0036】具体的には、グラフト物の質量分率を4〜
16%とすることにより、IEC(cal)−IEC
(obs)を0.50mmol/g以上、アンモニア捕
捉容量を0.30mmol/g以上とすることができる
ことを見出した。また、グラフト物の質量分率を5〜1
5%とすることが好ましく、このように規定することに
より、IEC(cal)−IEC(obs)を0.60
mmol/g以上、アンモニア捕捉容量を0.50mm
ol/g以上とすることができることを見出した。ま
た、グラフト物の質量分率を7〜13%とすることがよ
り好ましく、このように規定することにより、IEC
(cal)−IEC(obs)を0.80mmol/g
以上、アンモニア捕捉容量を0.60mmol/g以上
とすることができることを見出した。
【0037】なお、本発明者が、従来用いられているポ
リオレフィン系繊維にアクリル酸をグラフト重合したセ
パレータ、及びポリオレフィン系繊維をスルホン化した
セパレータのアンモニア捕捉容量を測定したところ、前
者は約0.40mmol/g、後者は約0.30mmo
l/gであり、カルボキシ基のみのグラフト重合やスル
ホン化のみを利用した従来のセパレータの製造技術で
は、アンモニア捕捉容量0.50mmol/g以上は達
成できないことになる。また、グラフト物の質量分率
と、IEC(cal)−IEC(obs)と、アンモニ
ア捕捉容量との間の相関関係、及び本明細書におけるア
ンモニア捕捉容量の測定方法については、「実施例」の
項において詳述する。
【0038】以上説明したように、本発明の第1の電池
用セパレータによれば、AXQと、カルボキシ基を有す
るモノマーとがグラフト共重合されているので、アンモ
ニア捕捉容量を飛躍的に増大することができる。そのた
め、本発明の第1の電池用セパレータは、正極活物質と
して水酸化ニッケルを用いたアルカリ二次電池用として
特に好適である。また、本発明の第1の電池用セパレー
タによれば、従来よりも電池の自己放電を抑制すること
ができ、充電後の容量保持率の向上を図ることができ
る。また、上述したように、本発明の第1の電池用セパ
レータによれば、ポリオレフィン系繊維の強度を低下さ
せることなく、ポリオレフィン系繊維の表面及び表面近
傍にスルホン酸基を簡易に導入することができるので、
従来と同程度親水化するのに必要なグラフト物の質量分
率を低減することができ、軽量化を図ることができるこ
とを見出した。また、電解液に接する繊維の表面及び表
面近傍には、化学的安定性に優れ、酸化されにくいスル
ホン酸基が導入されているため、電池に装着した場合
に、電池の充放電の繰り返しサイクル寿命を長くするこ
とができ、電池の耐久性を向上することができることを
見出した。
【0039】さらに、本発明者は、ポリオレフィン系繊
維の少なくとも表面にグラフト重合された少なくとも1
種のモノマーの酸性基を、多価金属を介して架橋するこ
とにより、上記第三の課題を解決することができること
を見出し、本発明の第2の電池用セパレータを発明する
に到った。本発明の第2の電池用セパレータは、ポリオ
レフィン系繊維からなる基材に、スルホン酸基を有する
モノマーである2−アクリルアミド2−メチルプロパン
スルホン酸と、カルボキシ基を有するモノマーとがグラ
フト共重合されていると共に、少なくとも表面にグラフ
ト重合された少なくとも1種のモノマーの酸性基が多価
金属を介して架橋されていることを特徴とする。ここ
で、前記多価金属としては、カルシウム、マグネシウ
ム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、チタン、ジルコニ
ウム、錫から選ばれる少なくとも1種であることが好ま
しい。
【0040】この本発明の第2の電池用セパレータは、
ポリオレフィン系繊維からなる基材に、AXQと、カル
ボキシ基を有するモノマーとがグラフト共重合されたも
のであるので、本発明の第2の電池用セパレータによれ
ば、本発明の第1の電池用セパレータと同様の効果を得
ることができる。また、本発明の第2の電池用セパレー
タによれば、ポリオレフィン系繊維の少なくとも表面に
グラフト重合された少なくとも1種のモノマーの酸性基
を、多価金属を介して架橋する構成としているので、さ
らなる効果を得ることが可能である。
【0041】本発明者は、ポリオレフィン系繊維の少な
くとも表面にグラフト重合された少なくとも1種のモノ
マーの酸性基を架橋することにより、耐酸化性、耐熱性
等の化学的安定性を向上することができ、耐久性に優れ
た電池用セパレータを提供することができることを見出
した。また、酸性基を、有機物を介して架橋する場合に
比較して、無機物である多価金属を介して架橋すること
により、化学的安定性を著しく向上することができるこ
とを見出した。このように、本発明の第2の電池用セパ
レータは化学的安定性に優れたものであるので、本発明
の第2の電池用セパレータを電池に装着した場合に、電
池の充放電の繰り返しサイクル寿命を長くすることがで
き、電池の耐久性を向上することができる。
【0042】なお、上述したように、モノマーとして、
AXQとカルボキシ基を有するモノマーとを用いて得ら
れる電池用セパレータでは、ポリオレフィン系繊維の表
面には、AXQと、カルボキシ基を有するモノマーとが
グラフト共重合された構造になっているので、「少なく
とも表面に重合された少なくとも1種のモノマーの酸性
基を架橋する」ということは、「少なくとも表面に重合
された、AXQと、カルボキシ基を有するモノマーのう
ち、少なくとも一方のモノマーの酸性基を架橋する」こ
とを意味している。
【0043】また、本発明者は、グラフト重合後の基材
を多価金属塩の溶液(多価金属塩溶液)に浸漬すること
により、少なくとも表面にグラフト重合された少なくと
も1種のモノマーの酸性基を、多価金属を介して架橋す
ることができ、グラフト重合のプロセスを変えることな
く、本発明の第2の電池用セパレータを簡易に製造する
ことができることを見出した。したがって、本発明によ
れば、複雑な製造プロセスを経ることなく簡易に製造す
ることができ、耐酸化性等の化学的安定性に優れ、耐久
性に優れた電池用セパレータを提供することができる。
【0044】以上の本発明の第1、第2の電池用セパレ
ータは、以下に説明する本発明の電池用セパレータの製
造方法により製造することができる。なお、本発明の電
池用セパレータの製造方法は、本発明の第1、第2の電
池用セパレータを製造する方法として好適であるととも
に、上記第四の課題を解決するものである。
【0045】本発明の電池用セパレータの製造方法は、
以上の本発明の第1、第2の電池用セパレータの製造方
法であって、ポリオレフィン系繊維からなる基材に、2
−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸と、カ
ルボキシ基を有するモノマーとを含有するモノマー溶液
を含浸させるモノマー溶液含浸工程と、前記モノマー溶
液を含浸させた前記基材を、該基材を保持する保持材と
ポリエステルフィルムとに挟持させた状態で、前記ポリ
エステルフィルム側から前記基材に高エネルギー線を照
射する高エネルギー線照射工程とを有することを特徴と
する。なお、高エネルギー線としては、紫外線、Co6
0よりのγ線、電子線(β線)等を例示することができ
る。これらの中でも特に、連続的な処理が可能な紫外線
や電子線が好適である。
【0046】また、一般に、ポリオレフィン系繊維等の
疎水性繊維に、カルボキシ基やスルホン酸基等の酸性基
を有する親水性モノマーを含浸させた後、高エネルギー
線を照射してグラフト重合させる場合、モノマーの極性
がポリオレフィン系繊維に比べて大きすぎるため、繊維
内部への拡散が起こりにくく、繊維内部に拡散する前に
重合反応が進行してホモポリマーが生成し、グラフト重
合が起こりにくいことが知られている。
【0047】本発明者は、この問題を解決するために
は、モノマー溶液と基材の温度をできるだけ高くして、
繊維内部へのモノマーの拡散を促進することが有効であ
ること、及び、高エネルギー線の単位時間当りの照射エ
ネルギーを低くして、重合速度を抑え、重合時間をでき
るだけ長くすることが有効であると考えた。
【0048】かかる点に着目して検討を行った結果、高
エネルギー線照射工程において、ステンレス板やガラス
板などの保持材と、ポリエステルフィルムとに挟持させ
た状態で、基材に対してポリエステルフィルム側から高
エネルギー線を照射してグラフト共重合を進行させるこ
とにより、高エネルギー線の一部をポリエステルフィル
ムにより遮蔽し、高エネルギー線強度を低く抑えること
ができることを見出した。また、その結果、重合速度を
遅くして、繊維外部でのホモポリマーの生成を抑制し、
繊維内部にモノマーを均一に拡散させ、グラフト共重合
を繊維内部で安定して進行させることができることを見
出した。
【0049】さらに、ステンレス板やガラス板などの保
持材とポリエステルフィルムとに挟持させた状態で、モ
ノマー溶液を含浸させた基材に高エネルギー線を照射す
ることにより、以下の利点も得られることを見出した。
すなわち、重合開始と共に生じる重合熱によって基材は
最大100℃程度まで昇温するが、上述のようにして重
合反応を進行させることにより、基材温度を保持し、モ
ノマーの繊維内部への拡散を促進することができると共
に、熱によるモノマー溶液の蒸発損失を抑制することが
できることを見出した。
【0050】また、上述のように、高エネルギー線照射
により重合を開始させる場合においては、モノマーが繊
維内部に拡散しない限り、グラフト重合が進行しないこ
とになる。高エネルギー線を照射するグラフト重合法と
しては、「従来の技術」の項において述べたように、前
照射法や同時照射法が知られている。前照射法において
は、高エネルギー線を照射することにより、基材に重合
の活性点を形成した後、モノマーに接触させて重合を行
うため、モノマーの繊維内部への拡散と重合反応とが同
時に進行する。また、同時照射法においても、高エネル
ギー線の照射とモノマーの接触とを同時に行うため、モ
ノマーの繊維内部への拡散と重合反応とが同時に進行す
る。このように、従来は、モノマーの繊維内部への拡散
と重合反応とを同時に進行させることが一般的である。
【0051】モノマーの拡散は、温度が高く、時間が長
い程進行するが、本発明者は、電池用セパレータを連続
的に製造する場合、基材に高エネルギー線を照射する時
間が1〜10秒間程度と極めて短いため、モノマーの繊
維内部への拡散と重合反応とを同時に進行させると、モ
ノマーの拡散が十分に進行しないまま重合反応が終了し
てしまうと考えた。そして、高エネルギー線照射前(重
合開始前)に、モノマーをあらかじめ繊維内部に拡散さ
せておくことが好ましいと考えた。なお、これまで、あ
らかじめモノマーを拡散させてから、高エネルギー線を
照射して重合を行う方法については、ほとんど報告され
ていない。
【0052】本発明者は、以上のような点に着目し、グ
ラフト重合反応の高速化を図るべく検討を行った結果、
前記高エネルギー線照射工程の前に、前記モノマー溶液
を含浸させた前記基材を、該基材を保持する保持材とポ
リエステルフィルムとに挟持させた状態で、70〜10
0℃の温度で予備加熱し、モノマーを繊維内部に拡散さ
せる予備加熱工程を付加することが好ましいことを見出
した。
【0053】すなわち、高エネルギー線照射工程の前
に、基材を予備加熱することにより、重合開始前にポリ
オレフィン系繊維内部にモノマーを拡散させておくこと
ができ、グラフト重合反応を高速化することができると
ともに、繊維外部でのホモポリマーの生成を抑制するこ
とができ、重合反応の均一性を高くすることができるこ
とを見出した。
【0054】また、前記高エネルギー線照射工程におい
て、前記予備加熱工程での加熱温度を保持しながら、高
エネルギー線を照射することがより好ましく、かかる構
成とすることにより、高エネルギー線照射工程における
モノマーの拡散をより進行させやくする効果も得られる
ことを見出した。
【0055】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
本発明の電池用セパレータは、ポリオレフィン系繊維か
らなる基材に、スルホン酸基を有するモノマーである2
−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(AX
Q)と、カルボキシ基を有するモノマーとがグラフト共
重合されていることを特徴とする。ここで、基材として
は不織布が好適であるので、以下、基材が不織布からな
る場合を例として説明する。
【0056】基材である不織布を構成するポリオレフィ
ン系繊維としては、エチレン、プロピレン、ブテン−
1、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンの単独
重合体や、これらα−オレフィンを2種以上共重合した
共重合体から選択される1種類の重合体により構成され
た繊維の他、上述の重合体を複数組み合わせた複合繊維
(芯鞘複合繊維、並列複合繊維、分割繊維等)を用いる
ことができる。具体的には、ポリプロピレンのみからな
る繊維、ポリエチレンのみからなる繊維、ポリプロピレ
ンを芯成分、ポリエチレンを鞘成分とするポリプロピレ
ン/ポリエチレン芯鞘複合繊維、ポリプロピレンとポリ
エチレンからなる分割繊維等を例示することができる。
ポリオレフィン系繊維からなる不織布は、乾式(カー
ド)法、スパンボンド法、メルトブロー法、湿式(抄
紙)法等の公知の方法により製造され、ウォータージェ
ット法等により2次加工されたものであっても良い。
【0057】本発明は上述のポリオレフィン系繊維から
なる不織布に、AXQと、カルボキシ基を有するモノマ
ーとをグラフト共重合したものである。ここで、カルボ
キシ基を有するモノマーとしては、アクリル酸(AA)
若しくはメタクリル酸が好適である。これらの中でも特
に、水に対する溶解性が高く、操作性に優れていること
からアクリル酸が特に好適である。
【0058】このように、スルホン酸基を有するモノマ
ーとしてAXQを用いることにより、ポリオレフィン系
繊維の強度を低下させることなく、簡易にスルホン酸基
を導入することができ、硫黄含有率を0.05〜0.1
2%とすることができる。具体的には、ポリプロピレン
不織布にAXQとAAとを合わせて約10%グラフト共
重合した場合、例えば、AAのグラフト物の質量分率を
9.65%、AXQのグラフト物の質量分率を0.35
%、硫黄含有率を0.05%とすることができることを
見出した。また、ポリプロピレン/ポリエチレン芯鞘複
合繊維からなる不織布を用いた場合、例えば、AAのグ
ラフト物の質量分率を9.20%、AXQのグラフト物
の質量分率を0.80%、硫黄含有率を0.12%とす
ることができることを見出した。
【0059】また、本発明の電池用セパレータにおい
て、AXQと、カルボキシ基を有するモノマーとを合わ
せたグラフト物の質量分率と、IEC(cal)−IE
C(obs)と、アンモニア捕捉容量との間には相関関
係があり、IEC(cal)−IEC(obs)及びア
ンモニア捕捉容量はグラフト物の質量分率が約10%の
時に最大になる。したがって、グラフト物の質量分率を
この値に近づける程、IEC(cal)−IEC(ob
s)及びアンモニアの捕捉容量を飛躍的に増大すること
ができる。
【0060】具体的には、グラフト物の質量分率を4〜
16%とすることにより、IEC(cal)−IEC
(obs)を0.50mmol/g以上、アンモニア捕
捉容量を0.30mmol/g以上とすることができ
る。また、グラフト物の質量分率を5〜15%とするこ
とが好ましく、このように規定することにより、IEC
(cal)−IEC(obs)を0.60mmol/g
以上、アンモニア捕捉容量を0.50mmol/g以上
とすることができる。さらに、グラフト物の質量分率を
7〜13%とすることがより好ましく、このように規定
することにより、IEC(cal)−IEC(obs)
を0.80mmol/g以上、アンモニア捕捉容量を
0.60mmol/g以上とすることができる。
【0061】このように、本発明の電池用セパレータに
よれば、AXQと、カルボキシ基を有するモノマーとが
グラフト共重合されているので、アンモニア捕捉容量を
増大することができる。そのため、本発明の電池用セパ
レータは、正極活物質として水酸化ニッケルを用いたア
ルカリ二次電池用として特に好適である。また、本発明
の電池用セパレータによれば、従来よりも電池の自己放
電を抑制することができ、充電後の容量保持率の向上を
図ることができる。
【0062】また、本発明の電池用セパレータによれ
ば、ポリオレフィン系繊維の強度を低下させることな
く、ポリオレフィン系繊維の表面及び表面近傍にスルホ
ン酸基を簡易に導入することができるので、従来と同程
度親水化するのに必要なグラフト物の質量を低減するこ
とができ、軽量化を図ることができるとともに、電解液
に接する繊維の表面及び表面近傍に化学的安定性に優れ
たスルホン酸基が導入されているため、電池に装着した
場合に、電池の充放電の繰り返しサイクル寿命を長くす
ることができ、電池の耐久性を向上することができる。
なお、AXQを用いることにより簡易にスルホン酸基を
導入することができる理由、及びアンモニア捕捉容量を
増大することができる理由等については、「課題を解決
するための手段」の項において詳述したので、説明は省
略する。
【0063】また、本発明の電池用セパレータの製造方
法において、ポリオレフィン系繊維の少なくとも表面に
グラフト重合された少なくとも1種のモノマーの酸性基
が多価金属を介して架橋されていることが好ましい。多
価金属としては特に限定されるものではないが、カルシ
ウム、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、
チタン、ジルコニウム、錫等が好適である。
【0064】このように、ポリオレフィン系繊維の少な
くとも表面にグラフト重合された少なくとも1種のモノ
マーの酸性基を、多価金属を介して架橋することによ
り、「課題を解決するための手段」の項において述べた
ように、複雑な製造プロセスを経ることなく簡易に製造
することができ、耐酸化性等の化学的安定性に優れ、耐
久性に優れた電池用セパレータを提供することができ
る。また、本発明の電池用セパレータを電池に装着した
場合に、電池の充放電の繰り返しサイクル寿命を長くす
ることができ、電池の耐久性を向上することができる。
【0065】[電池用セパレータの製造方法]次に、本発
明の電池用セパレータの製造方法の一例について詳述す
る。なお、以下の本発明の電池用セパレータの製造方法
は、本発明の電池用セパレータを製造するのに好適な方
法であるが、本発明の電池用セパレータを製造する方法
は以下に記載のものに限定されるものではない。また、
以下、基材として不織布を用い、モノマーとしてAXQ
とAAを用い、高エネルギー線として紫外線を用いる場
合を例として説明する。
【0066】はじめに、本発明の電池用セパレータの基
材であるポリオレフィン系繊維からなる不織布を用意す
る。なお、本発明の電池用セパレータに用いて好適な不
織布の構造については上述したので、説明を省略する。
次いで、AXQとAAとを含有するモノマー溶液を調製
する。モノマー溶液中におけるAXQ及びAAの濃度
は、いずれも5〜30質量%が好ましい。モノマー溶液
には、ポリオレフィン系繊維から水素を引き抜くため
の、ベンゾフェノン等の水素引き抜き型の重合開始剤を
0.01〜0.5質量%添加することが好ましい。な
お、重合開始剤は、AA若しくはアセトン等の溶剤等に
溶解して添加する。また、繊維外部において重合反応が
進行してホモポリマーが生成することを防止するため
に、金属塩(具体的には、銅や鉄等の塩)等の重合禁止
剤をモノマー溶液中に、0.1〜1.0質量%添加する
ことが好ましい。また、モノマー溶液のポリオレフィン
系繊維に対する濡れ性を向上させるために、非イオン性
界面活性剤あるいはアニオン性界面活性剤を添加しても
良い。また、必要に応じて、アセトン、イソプロピルア
ルコール、メチルアルコール等を併用して、濡れ性を向
上することもできる。
【0067】次に、モノマー溶液含浸工程において、以
上のように調製したモノマー溶液をポリオレフィン系繊
維からなる不織布に含浸させる。この工程において、ポ
リオレフィン系繊維100質量部に対して、200質量
部程度以上のモノマー溶液を含浸させることが好まし
い。
【0068】次いで、予備加熱工程において、モノマー
溶液を含浸させた不織布を、ステンレス板、ガラス板等
の不織布を保持する保持材上に載置し、さらに、不織布
の保持材と反対側をポリエステルフィルムにより被覆
し、保持材とポリエステルフィルムとに挟持させた状態
で、70〜100℃の温度で、10秒〜10分間予備加
熱する。
【0069】このように不織布を予備加熱することによ
り、グラフト重合開始前に、モノマーの拡散を開始させ
ることができ、重合反応を高速化することができるとと
もに、繊維外部でのホモポリマーの生成を抑制すること
ができ、重合反応の均一性を高くすることができる。ま
た、重合開始前に、繊維内部にAAを拡散させることが
できるので、アンモニアを捕捉するカルボキシ基量を増
大させることができるという効果も合わせて得られる。
【0070】また、不織布を保持材とポリエステルフィ
ルムとに挟持させた状態で、予備加熱することにより、
後の高エネルギー線照射工程において、その温度を保持
しながら、高エネルギー線を照射することができるの
で、モノマー溶液の蒸発を抑制することができるととも
に、高エネルギー線照射工程におけるモノマーの拡散を
より進行させやくする効果も得られる。
【0071】なお、予備加熱温度が70℃未満では、モ
ノマーの拡散促進効果が少なく、100℃を超えた場合
には、後の高エネルギー線照射工程において、ポリエス
テルフィルムの温度が高くなりすぎて、ポリエステルフ
ィルムが変形する恐れがあるとともに、モノマー溶液に
含有される水等が蒸発して重合反応が不均一となるた
め、好ましくない。
【0072】また、不織布を予備加熱する方法としては
公知の加熱方法を採用することができるが、遠赤外線を
用いた方法が、数10秒〜数分間で目的の70℃以上に
昇温させることができるので、好適である。また、保持
材を電熱などの手段により直接加熱する方法も好適であ
る。
【0073】次に、高エネルギー線照射工程において、
保持材とポリエステルフィルムとに挟持させた状態のま
ま、ポリエステルフィルム側から不織布に紫外線(高エ
ネルギー線)を照射する。このように、高エネルギー線
照射工程において、不織布上に載置したポリエステルフ
ィルム側から紫外線を照射してグラフト共重合を進行さ
せることにより、紫外線の一部をポリエステルフィルム
により遮蔽して、紫外線強度を20mW/cm2 以下に
低く抑えることができる。その結果、重合速度を遅くし
て、繊維外部でのホモポリマーの生成を抑制し、繊維内
部にモノマーを均一に拡散させ、グラフト共重合を繊維
内部で安定して進行させることができる。なお、不織布
に照射される紫外線強度が20mW/cm2 より高い場
合には、モノマーが繊維内部にまで拡散しないうちに重
合反応が進行して、繊維外部にホモポリマーが生成され
やすくなり、洗浄工程が複雑化するとともに、グラフト
物の質量分率が低下する恐れがある。
【0074】また、重合開始と共に生じる重合熱や紫外
線ランプから出る赤外線によって不織布は最大100℃
程度まで昇温するが、モノマー溶液を含浸させた不織布
を保持材とポリエステルフィルムとに挟持させた状態
で、紫外線を照射することにより、不織布温度を保持
し、モノマーの繊維内部への拡散を促進することができ
ると共に、熱によるモノマー溶液の蒸発損失を抑制する
ことができる。また、高エネルギー線照射工程におい
て、予備加熱工程での加熱温度を保持するために、保持
材を予備加熱工程と同じ温度で加熱するなどして、予備
加熱工程での加熱温度を積極的に保持することがより好
ましい。
【0075】また、紫外線照射手段としては、高圧水銀
ランプ、メタルハライドランプ、高周波で誘導される無
電極タイプのランプ等を例示することができる。例え
ば、120W/cmのランプを用いた場合、グラフト共
重合を安定して進行させるためには、2〜15m/分の
移送速度で、3〜10個の多数のランプの下を通過させ
ることが好適である。このように、不織布に照射する紫
外線の強度を低く抑え、照射時間を長く設定することに
より、グラフト共重合を効率良く進行させ、ホモポリマ
ーが生成される割合を低減し、モノマーの利用率を高め
ることができるので、グラフト物の質量分率を大きくす
ることができるとともに、反応の均一性を向上すること
ができ、好適である。
【0076】重合反応終了後、不織布を温湯若しくは水
酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ剤を含む
温湯で洗浄することにより、表面のホモポリマーを除去
し、さらに、必要に応じて塩酸や酢酸などの希薄溶液で
中和する。次に、少なくとも表面にグラフト重合された
少なくとも1種のモノマーの酸性基を、多価金属を介し
て架橋する場合には、塩化カルシウム、酢酸亜鉛、塩化
アルミニウム等の多価金属塩の希薄溶液(多価金属塩溶
液)に浸漬することにより、少なくとも表面にグラフト
重合された少なくとも1種のモノマーの酸性基と、多価
金属とを反応させ、少なくとも表面にグラフト重合され
た少なくとも1種のモノマーの酸性基を、多価金属を介
して架橋する。最後に、熱風や赤外線、蒸気を満たした
シリンダーロール等の加熱手段を用いて乾燥することに
より、本発明の電池用セパレータを製造することができ
る。
【0077】以上の本発明の電池用セパレータの製造方
法によれば、グラフト重合を繊維内部で安定して進行さ
せることができ、本発明の電池用セパレータを安定して
製造することができる。また、少なくとも表面にグラフ
ト重合された少なくとも1種のモノマーの酸性基を、多
価金属を介して架橋する場合においても、グラフト重合
後の不織布を多価金属塩の溶液(多価金属塩溶液)に浸
漬する工程を付加するだけで良いので、グラフト重合の
プロセスを変えることなく、簡易に製造することができ
る。
【0078】以上、高エネルギー線として紫外線を用い
る場合についてのみ説明したが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。以下、本発明の電池用セパレータの
製造方法のその他の例として、高エネルギー線として電
子線を用いる場合を取り上げて説明する。
【0079】はじめに、高エネルギー線として紫外線を
用いる場合と同様に、不織布を用意し、モノマー溶液を
調製する。なお、調製したモノマー溶液に、窒素等の不
活性気体をバブリングして、溶存酸素を除去しておくこ
とが好ましい。次いで、高エネルギー線として紫外線を
用いる場合と同様に、不織布にモノマー溶液を含浸させ
た後、該不織布を保持材とポリエステルフィルムとに挟
持させて予備加熱を行う。
【0080】次に、高エネルギー線照射工程において、
電子線加速機等を用いて、ポリエステルフィルム側から
電子線を照射する。この工程において、不織布を70℃
以上に保持するために、保持材を電熱等により加熱する
ことが好ましい。また、この工程において、不織布に照
射される電子線の照射量が1パス当り5〜25kGyと
なるように、電子線の照射量を調節し、パス回数を2〜
10回とし、総照射量が10〜250kGyとなるよう
に、電子線照射を行うことが好適である。このように、
不織布に照射する電子線の照射量を低く抑え、総照射時
間を長く設定することが好ましい。その後、さらに遠赤
外線加熱装置等を用いて70〜100℃で、1〜10分
間加熱し、モノマーの拡散と重合を進行させても良い。
グラフト重合完了後の操作は、高エネルギー線として紫
外線を用いる場合と同様であるので、説明を省略する。
【0081】このように、高エネルギー線として電子線
を用いる場合においても、高エネルギー線として紫外線
を用いる場合と同様の効果を得ることができ、グラフト
重合を繊維内部で安定して進行させることができ、本発
明の電池用セパレータを安定して製造することができ
る。
【0082】
【実施例】次に、本発明に係る実施例及び比較例につい
て説明する。実施例1〜7、実施例9〜14、及び比較
例1〜7において、電池用セパレータを作製し、得られ
た電池用セパレータについて評価を行った。また、各実
施例、比較例において、得られた電池用セパレータを用
いてニッケル水素電池を作製し、得られた電池の評価を
行った。また、実施例8において、実施例1〜3と同様
にして、実施例1〜3の電池用セパレータを含む本発明
の電池用セパレータを16種類作製し、得られた電池用
セパレータについて評価を行った。
【0083】なお、実施例1〜8、比較例1〜5では、
表面にグラフト重合したモノマーの酸性基を架橋しなか
ったのに対し、実施例9〜14、比較例6、7では、表
面にグラフト重合したモノマーの酸性基を架橋して電池
用セパレータを作製した。また、実施例1〜12、比較
例1〜6では、高エネルギー線として紫外線を用い、実
施例13、14、比較例7では、高エネルギー線として
電子線を用いて電池用セパレータを作製した。
【0084】(電池用セパレータの評価項目及び評価方
法)各実施例において得られた電池用セパレータの評価
項目及び評価方法は以下の通りである。また、各比較例
においても同様にセパレータの評価を行った。
【0085】<グラフト物の質量分率>グラフト物の質
量分率を以下のようにして測定した。グラフト重合前の
不織布の質量Woを測定しておき、重合反応終了後、1
20℃で3分間乾燥した後の質量Wsを測定し、下記式
(1)に基づいて、グラフト物の質量分率G(%)を算
出した。なお、表面にグラフト重合したモノマーの酸性
基を架橋する場合には、重合反応終了後、温湯洗浄し、
多価金属塩溶液で処理する前(酸性基を架橋する前)の
不織布を120℃で3分間乾燥し、その質量をWsとし
た。 G(%)=(Ws−Wo)/Ws×100・・・(1) なお、実施例においては、AXQとAAとをグラフト共
重合したため、下記式(2)に示すように、グラフト物
の質量分率Gは、AXQのグラフト物の質量分率GAXQ
と、AAのグラフト物の質量分率GAA との合計とな
る。ここで、AXQのグラフト物の質量分率GAXQ は、
後述する硫黄含有率から算出することができる。また、
AAのグラフト物の質量分率GAA は、AXQのグラフ
ト物の質量分率GAXQ から、下記式(3)に基づいて、
算出することができる。 G=GAXQ +GAA ・・・(2) GAA =G−GAXQ ・・・(3)
【0086】<硫黄含有率>硫黄含有率をシェニーガ法
に基づいて測定した。約20mgのセパレータサンプル
の質量Mo(mg)を秤量した後、燃焼時の灰分の少な
い濾紙でサンプルを包み、電極付き白金籠に収納した。
次いで、過酸化水素水を入れた燃焼用フラスコに、サン
プルの入った白金籠を過酸化水素水に触れないように挿
入し、密閉した。次いで、フラスコ内を酸素ガスにて十
分に置換した後、白金部分に高電流を流してサンプルと
濾紙とを完全燃焼させ、生じた硫黄の酸化物を過酸化水
素水に溶解させて、硫酸イオンとした。次いで、フラス
コを氷水で冷却した後、硫酸イオンを含む過酸化水素水
50mlをメスフラスコに移して定容し、硫酸イオン濃
度C(mg/l)を高速液体クロマトグラフィーにて検
量線法により測定し、下記式(4)に基づいて、サンプ
ル中の硫黄含有率S(%)を算出した。
【数1】 但し、式(4)中、32.1は硫黄の原子量、96.1
は硫酸イオン(SO42- の分子量を示す。
【0087】<理論的イオン交換容量IEC(cal)
>理論的イオン交換容量IEC(cal)を以下によう
にして算出した。グラフト共重合後の不織布サンプル1
g中のAXQのmol数CAXQ (mmol)を、上述の
ように測定した硫黄含有率S(%)から、下記式(5)
に基づいて算出した。また、グラフト共重合後の不織布
サンプル1g中のAAのmol数CAA (mmol)
を、上述のように算出したAAのグラフト物の質量分率
AAから、下記式(6)に基づいて算出した。
【数2】 但し、式(5)中、32.1は硫黄の原子量を示す。ま
た、式(6)中、72.1はAAの分子量を示す。そし
て、理論的イオン交換容量IEC(cal)を、CAXQ
(mmol)とC AA (mmol)とから、下記式
(7)に基づいて算出した。 IEC(cal)=CAXQ (mmol)+CAA (mmol) ・・・(7)
【0088】<カリウムイオン交換容量IEC(ob
s)>カリウムイオン交換容量IEC(obs)を以下
のようにして測定した。セパレータサンプル約0.5g
を、0.1mol/lの塩酸水溶液に浸漬させてイオン
交換基を完全な酸型にした後、蒸留水ですすぎ、100
℃で乾燥した。乾燥後の質量Wを秤量した後、100m
lのポリエチレン瓶に乾燥後のサンプルを入れ、次い
で、0.1mol/lの水酸化カリウム水溶液10ml
をホ−ルピペットで加えた。さらに、サンプルを完全に
浸漬させるために既知量の蒸留水を加えた。水酸化カリ
ウム水溶液と蒸留水の合計をAmlとする。一方、ブラ
ンクテスト用にサンプルを入れないポリエチレン瓶を同
じ手順で用意した。サンプルの入ったポリエチレン瓶と
ブランクテスト用のポリエチレン瓶とを、60℃で2時
間保管した後、室温まで自然冷却し、各ポリエチレン瓶
に残っている水酸化カリウム水溶液を適量(Bml)ホ
ールピペットで取り出し、それぞれ滴定用のコニカルビ
ーカーに移し、残った水酸化カリウムの量を、フェノー
ルフタレインを指示薬にして、0.1mol/lの塩酸
水溶液で中和滴定して求め、カリウムイオン交換容量I
EC(obs)を下記式(8)に基づいて算出した。 IEC(obs)=(A/B)×0.1×f×(tb−ts)/W・・・(8 ) 但し、式(8)中において、0.1は中和滴定に用いた
塩酸水溶液の濃度、fは中和滴定に用いた塩酸水溶液の
ファクター、tbはブランクテストにおいて要した塩酸
水溶液の滴定値(ml)、tsはサンプルを処理した際
に要した塩酸水溶液の滴定値(ml)を示している。
【0089】<アンモニア捕捉容量>アンモニア捕捉容
量を以下のようにして測定した。250ml共栓付三角
フラスコに、1.5mmolのアンモニアを含む8mo
l/lの水酸化カリウム水溶液125mlと、精秤した
セパレータサンプル約2gを入れた後、栓をしてパラフ
ィルムで密封した。一方、ブランクテスト用にセパレー
タを入れないものを用意した。セパレータサンプルを入
れたフラスコ及びブランクテスト用のフラスコ内の内容
物を攪拌した後、40℃で2時間保管し、次いで、アン
モニアが揮発しないように氷水で内容物を冷却した。次
に、フラスコ内の溶液100mlを採取し、捕捉されな
かったアンモニアをケルダール法で定量した。すなわ
ち、0.1mol/lの塩酸水溶液20ml中にアンモ
ニアを蒸留回収し、中和されずに残った塩酸水溶液を、
0.1w/v%のメチルレッドアルコール溶液を指示薬
として、0.05mol/lの水酸化ナトリウム水溶液
を用いて滴定し、滴定値から、アンモニア捕捉容量AT
Cを下記式(9)に基づいて、算出した。 ATC(mmol/g)=(125/100)×0.05×fNaOH ×(Vs −Vb)/W・・・(9) 但し、式(9)中において、fNaOH は滴定に使用した
水酸化ナトリウム水溶液のファクター、Vsはサンプル
を処理した際に要した水酸化ナトリウム水溶液の滴定値
(ml)、Vbはブランクテストにおける水酸化ナトリ
ウム水溶液の滴定値(ml)を示している。
【0090】(ニッケル水素電池の作製)実施例1〜
7、実施例9〜14、及び比較例1〜7において、得ら
れた電池用セパレータを用いてニッケル水素電池を作製
した方法について説明する。電極の集電体として、発泡
ニッケル基材を用いたペースト式ニッケル正極と、ニッ
ケルメッキしたステンレス製パンチングメタル基材を用
いた水素吸蔵合金(ミッシュメタル系合金)負極とを作
製し、正極と負極との間に得られたセパレータを挟み込
み、渦巻き状に捲回して、AAサイズの電極を作製し
た。この電極を外装缶に収納し、電解液として7N−水
酸化カリウム水溶液及び1N−水酸化リチウム水溶液を
缶内に注液した後、封缶して円筒型ニッケル水素電池を
作製した。
【0091】(ニッケル水素電池の評価項目及び評価方
法)実施例1〜7、実施例9〜14、及び比較例1〜7
において得られたニッケル水素電池の評価項目及び評価
方法は以下の通りである。
【0092】<自己放電特性(容量保持率)>得られた
ニッケル水素電池を、20℃、0.1Cで150%(容
量比)充電し、0.1C放電、終止電圧1.0Vでの初
期容量(A)を測定した。次いで、20℃、0.1Cで
150%(容量比)充電し、60℃で3日間放置した
後、20℃で0.1C放電、終止電圧1.0Vでの容量
(B)を測定した。得られたデータから下記式(10)
に基づいて、容量保持率を算出した。 容量保持率(%)=(A/B)×100・・・(10)
【0093】<充放電サイクル寿命>得られたニッケル
水素電池を、20℃、1C、120%充電と、1C放
電、終止電圧1.0Vの放電からなる充放電サイクルを
繰り返し、放電容量が初期容量の50%となるまでの、
充放電サイクル数を測定した。
【0094】(実施例1)基材として、繊維直径が約1
0μmのポリプロピレン(PP)繊維100%からなる
スパンボンド不織布で目付け50g/m2 のものを用い
た。表1に示す組成のモノマー溶液を調製し、この溶液
を不織布100質量部に対して200質量部含浸させた
後、ステンレス板の上に載置し、さらに不織布を厚さ5
0μmのポリエステルフィルムにより被覆した。なお、
モノマー溶液に添加した非イオン性界面活性剤として
は、花王(株)製のエマルゲン910を用いた(以下の
実施例、比較例においても同様)。 次いで、遠赤外線加熱装置を用いて80℃に予備加熱し
た後、160W/cmの水銀ランプ5個を並べた紫外線
照射装置の中を通過させて、グラフト共重合を行った。
なお、ポリエステルフィルム側から紫外線照射してグラ
フト共重合を行った。重合反応終了後の不織布を80℃
の1%水酸化ナトリウム水溶液で3分間洗浄した。さら
に、水で1分間洗浄した後、0.1%塩酸水溶液中を1
分間通過させた後、乾燥して本発明の電池用セパレータ
を得た。
【0095】(実施例2)表1に示す組成のモノマー溶
液を調製した以外は実施例1と同様にして、本発明の電
池用セパレータを得た。
【0096】(実施例3)160W/cmの水銀ランプ
5個を並べた紫外線照射装置の中を通過させてグラフト
共重合を行う代わりに、80W/cmの水銀ランプ5個
を並べた紫外線照射装置の中を通過させてグラフト共重
合を行った以外は実施例1と同様にして、本発明の電池
用セパレータを得た。
【0097】(比較例1)モノマーとしてAAのみを用
い、表1に示すモノマー溶液を調製し、紫外線照射前に
予備加熱を行わなかった以外は実施例1と同様にして、
電池用セパレータを得た。 (比較例2)市販のニッケル水素電池に使用されている
セパレータを取り出し、実施例1〜3、比較例1と同様
に評価した。なお、このセパレータを分析したところ、
目付け50g/m2 程度のポリプロピレン不織布にAA
のみを10.7%グラフト重合したものであることが判
明した。また、グラフト重合されたAAの酸性基は架橋
されていないことを確認した。
【0098】(比較例3)AXQの代わりにp−スチレ
ンスルホン酸ナトリウムを用い、表1に示すモノマー溶
液を調製した以外は実施例1と同様にして、電池用セパ
レータを得た。 (比較例4)AXQの代わりにビニルスルホン酸ナトリ
ウムを用い、表1に示すモノマー溶液を調製した以外は
実施例1と同様にして、電池用セパレータを得た。
【0099】
【表1】
【0100】(実施例4)芯成分がポリプロピレン(P
P)50質量%からなり、鞘成分がポリエチレン(P
E)50質量%からなる、繊維直径10μmの芯鞘複合
繊維を用いて、湿式(抄紙)法により、目付け50g/
2 の不織布を得た。次いで、表2に示す組成のモノマ
ー溶液を調製し、この溶液を得られた不織布100質量
部に対して200質量部含浸させた後、厚さ0.6μm
のステンレス板の上に載置し、さらに不織布を厚さ50
μmのポリエステルフィルムにより被覆した。次いで、
遠赤外線乾燥装置を用いて80℃に予備加熱した後、1
60W/cmのメタルハライドランプ5灯の下を通過さ
せて、グラフト共重合を行った。なお、厚さ50μmの
ポリエステルフィルム側から紫外線照射してグラフト共
重合を行った。重合反応終了後の不織布を実施例1と同
様に洗浄し、乾燥することにより、本発明の電池用セパ
レータを得た。
【0101】(実施例5)実施例4で用いたのと同じ不
織布を用い、表2に示す組成のモノマー溶液を調製した
以外は実施例1と同様にして、本発明の電池用セパレー
タを得た。 (比較例5)モノマーとしてAAのみを用い、表2に示
すモノマー溶液を調製した以外は実施例4と同様にし
て、電池用セパレータを得た。
【0102】
【表2】
【0103】(実施例6)基材として、繊維直径が約1
2μmのポリエチレン(PE)繊維100%からなるス
パンボンド不織布で目付け50g/m2 のものを用い、
表3に示す組成のモノマー溶液を調製した以外は実施例
1と同様にして、本発明の電池用セパレータを得た。
【0104】(実施例7)基材として、繊維直径が約2
μmのポリプロピレン(PP)繊維100%からなるメ
ルトブロー不織布で目付け40g/m2 のものを用い、
表3に示す組成のモノマー溶液を調製した以外は実施例
1と同様にして、本発明の電池用セパレータを得た。
【0105】
【表3】
【0106】(実施例8)実施例1〜3と同様にして、
実施例1〜3の電池用セパレータを含む本発明の電池用
セパレータを16種類作製した。なお、モノマー濃度を
変更することにより、AXQとAAのグラフト物の質量
分率を3〜16%の範囲内で変化させて本発明の電池用
セパレータを作製した。
【0107】(実施例9)基材として、繊維直径が約1
0μmのポリプロピレン(PP)繊維100%からなる
スパンボンド不織布で目付け50g/m2 のものを用い
た。表4に示す組成のモノマー溶液を調製し、この溶液
を不織布100質量部に対して200質量部含浸させた
後、ステンレス板の上に載置し、さらに不織布を厚さ5
0μmのポリエステルフィルムにより被覆した。なお、
表4に示すように、モノマー溶液としては、実施例1と
同じ組成のものを用いた。次いで、遠赤外線加熱装置を
用いて80℃に予備加熱した後、160W/cmの水銀
ランプ6個を並べた紫外線照射装置の中を通過させて、
グラフト共重合を行った。なお、ポリエステルフィルム
側から紫外線照射してグラフト共重合を行った。重合反
応終了後の不織布を90℃の温湯中で3分間洗浄し、次
いで、多価金属塩溶液である80℃の塩化カルシウム水
溶液(0.5質量%)中に3分間浸漬し、表面にグラフ
ト重合したモノマーの酸性基を、カルシウムを介して架
橋した。さらに、水で1分間洗浄した後、120℃の蒸
気シリンダーで乾燥して、本発明の電池用セパレータを
得た。
【0108】(実施例10)表4に示す組成のモノマー
溶液を用い、多価金属塩溶液として、酢酸亜鉛水溶液
(0.5質量%)を用い、表面にグラフト重合したモノ
マーの酸性基を、亜鉛を介して架橋した以外は実施例9
と同様にして、本発明の電池用セパレータを得た。な
お、表4に示すように、モノマー溶液としては、実施例
2と同じ組成のものを用いた。 (比較例6)モノマーとしてAAのみを用い、表4に示
すモノマー溶液を調製した以外は実施例9と同様にし
て、電池用セパレータを得た。
【0109】
【表4】
【0110】(実施例11)芯成分がポリプロピレン
(PP)50質量%からなり、鞘成分がポリエチレン
(PE)50質量%からなる、繊維直径10μmの芯鞘
複合繊維を用いて、湿式(抄紙)法により、目付け50
g/m2 の不織布を得た。次いで、表5に示す組成のモ
ノマー溶液を調製し、この溶液を得られた不織布100
質量部に対して200質量部含浸させた後、厚さ0.6
μmのステンレス板の上に載置し、さらに不織布を厚さ
50μmのポリエステルフィルムにより被覆した。な
お、表5に示すように、モノマー溶液としては、実施例
4と同じ組成のものを用いた。次いで、遠赤外線乾燥装
置を用いて80℃に予備加熱した後、80W/cmのメ
タルハライドランプ6灯の下を通過させて、グラフト共
重合を行った。なお、ポリエステルフィルム側から紫外
線照射してグラフト共重合を行った。最後に、実施例9
と同様に、重合反応終了後の不織布を洗浄した後、表面
にグラフト重合したモノマーの酸性基を、カルシウムを
介して架橋し、乾燥することにより、本発明の電池用セ
パレータを得た。
【0111】(実施例12)実施例11で用いたのと同
じ不織布を用い、表5に示す組成のモノマー溶液を用い
た以外は、実施例9と同様にしてグラフト重合を行っ
た。最後に、実施例10と同様に、重合反応終了後の不
織布を洗浄した後、表面にグラフト重合したモノマーの
酸性基を、亜鉛を介して架橋し、乾燥することにより、
本発明の電池用セパレータを得た。
【0112】
【表5】
【0113】(実施例13、14)基材として、実施例
9で用いたのと同じポリプロピレン不織布を用いた。ま
た、表6に示す組成のモノマー溶液を調製し、この溶液
を不織布100質量部に対して200質量部含浸させた
後、ステンレス板の上に載置し、さらに不織布を厚さ5
0μmのポリエステルフィルムにより被覆し、この状態
で遠赤外線加熱装置を用いて、80℃以上に5分間保持
して予備加熱を行った。次いで、電子線照射装置(岩崎
電気(株)製、EC250−15−180L)を用い、ポ
リエステルフィルム側から不織布に電子線を照射した。
この工程において、ステンレス板を電気加熱し、不織布
の温度を80℃以上に保持した。また、不織布に照射さ
れる電子線の1パス当りの照射量を10kGy、パス回
数を5回、総照射量を50kGyとして電子線を照射し
た。電子線照射終了後、遠赤外線加熱装置を用いて、8
0℃で5分間保持してグラフト重合を完結させた。重合
反応終了後の不織布を、95℃の温湯で5分間洗浄した
後、多価金属塩溶液である塩化マグネシウム溶液(0.
5質量%)に3分間浸漬し、さらに3分間水洗した後、
100℃で2分間乾燥して、本発明の電池用セパレータ
を得た。
【0114】(比較例7)モノマーとしてAAのみを用
い、表6に示すモノマー溶液を調製した以外は実施例1
3、14と同様にして、電池用セパレータを得た。
【0115】
【表6】
【0116】(実施例1〜3、比較例1〜4の結果)不
織布としてポリプロピレン(PP)繊維100%からな
るスパンボンド不織布を用いた実施例1〜3、比較例
1、3、4において得られた電池用セパレータ及び電池
の評価結果、及び市販のニッケル水素電池から取り出し
たセパレータの評価を行った比較例2において得られた
結果を表7に示す。
【0117】AXQとAAとをグラフト共重合させた実
施例1〜3においては、重合反応終了後の繊維表面にホ
モポリマーの生成はなく、外観上は重合前と何ら変わり
なかった。表7に示すように、得られたセパレータの硫
黄含有率は0.05%以上であり、スルホン酸基が導入
されていることが確認された。また、得られたセパレー
タのIEC(cal)−IEC(obs)は0.55m
mol/g以上、アンモニア捕捉容量は0.31mmo
l/g以上であり、高いアンモニア捕捉容量を有するこ
とが判明した。特に、実施例1、2において得られたセ
パレータのIEC(cal)−IEC(obs)は0.
93mmol/g以上、アンモニア捕捉容量は0.60
mmol/g以上であり、非常に高いアンモニア捕捉容
量を有することが判明した。
【0118】また、実施例1〜3において得られたセパ
レータを装着した電池の容量保持率は61%以上と高
く、かつ、充放電の繰り返しサイクル寿命が1000サ
イクル以上と長く、自己放電を抑制することができ、容
量保持率が高く、耐久性に優れた電池を得ることができ
た。特に、実施例1、2において得られたセパレータを
装着した電池の容量保持率は69%以上と非常に高く、
かつ、充放電の繰り返しサイクル寿命が1250サイク
ル以上と非常に長く、自己放電をより抑制することがで
き、容量保持率がより高く、より耐久性に優れた電池を
得ることができた。
【0119】これに対して、モノマーとしてAAのみを
用い、紫外線照射前に予備加熱を行わなかった比較例1
においては、重合反応終了後に、繊維表面に糊状に多量
のホモポリマーが生成され、ホモポリマーを除去するこ
とができず、セパレータ及び電池の評価を行うことがで
きなかった。このように、紫外線照射前に予備加熱を行
わない場合には、分子量の小さいAAのみをグラフト重
合させる場合においても、繊維外部で重合反応が進行し
てホモポリマーが生成されることが判明した。
【0120】また、市販のニッケル水素電池に使用され
ているセパレータ(ポリプロピレン不織布にAAのみを
10.7%グラフト重合したもの)の評価を行った比較
例2では、実施例1、2に比較して、セパレータのIE
C(cal)−IEC(obs)、アンモニア捕捉容量
がいずれも小さく、得られた電池の容量保持率が低く、
充放電の繰り返しサイクル寿命が短いことが判明した。
また、実施例3と比較すれば、アンモニア捕捉容量では
優れるものの、充放電の繰り返しサイクル寿命では劣る
ことが判明した。比較例2では、AAのみがグラフト重
合されており、電解液に対して化学的安定性に優れ、酸
化されにくいスルホン酸基が導入されていないため、電
池の耐久性が劣る結果となっていると思われる。
【0121】また、AXQの代わりに、p−スチレンス
ルホン酸ナトリウムあるいはビニルスルホン酸ナトリウ
ムを用いた比較例3、4においては、重合反応終了後
に、繊維表面にホモポリマーが多量に存在し、洗浄して
も完全に除去することはできなかった。また、得られた
セパレータの硫黄含有率は0%であった。このように、
スルホン酸基を有するモノマーとして、p−スチレンス
ルホン酸ナトリウムあるいはビニルスルホン酸ナトリウ
ムを用いても、繊維外部でのみ重合反応が進行して、ス
ルホン酸基を導入することができないことが判明した。
【0122】また、実施例1、2に比較して、セパレー
タのIEC(cal)−IEC(obs)、アンモニア
捕捉容量がいずれも小さく、得られた電池の容量保持率
が低く、充放電の繰り返しサイクル寿命が短いことが判
明した。また、実施例3に比較すれば、アンモニア捕捉
容量では優れるものの、充放電の繰り返しサイクル寿命
では劣ることが判明した。比較例3、4では、電解液に
対して化学的安定性に優れ、酸化されにくいスルホン酸
基が導入されていないため、電池の耐久性が劣る結果と
なっていると思われる。
【0123】
【表7】
【0124】(実施例4、5、比較例5の結果)不織布
として、芯成分がポリプロピレン(PP)、鞘成分がポ
リエチレン(PE)の芯鞘複合繊維からなる不織布を用
いた実施例4、5、比較例5において、得られた電池用
セパレータ及び電池の評価結果を表8に示す。
【0125】AXQとAAとをグラフト共重合させた実
施例4、5においては、重合反応終了後の繊維表面にホ
モポリマーの生成はなく、外観上は重合前と何ら変わり
なかった。表8に示すように、得られたセパレータの硫
黄含有率は0.08%以上であり、スルホン酸基が導入
されていることが確認された。また、得られたセパレー
タのIEC(cal)−IEC(obs)は0.88m
mol/g以上、アンモニア捕捉容量は0.55mmo
l/g以上であり、高いアンモニア捕捉容量を有するこ
とが判明した。また、実施例4、5において得られたセ
パレータを装着した電池の容量保持率は70%以上と高
く、かつ、充放電の繰り返しサイクル寿命が1150サ
イクル以上と長く、自己放電を抑制することができ、容
量保持率が高く、耐久性に優れた電池を得ることができ
た。
【0126】これに対して、モノマーとしてAAのみを
用いた比較例5においては、重合反応終了後に、繊維表
面にホモポリマーが多量に存在し、洗浄除去に長時間を
要した。また、実施例4、5に比較して、セパレータの
IEC(cal)−IEC(obs)、アンモニア捕捉
容量がいずれも小さく、得られた電池の容量保持率が低
く、充放電の繰り返しサイクル寿命が短いことが判明し
た。
【0127】
【表8】
【0128】(実施例6、7の結果)不織布としてポリ
エチレン(PE)繊維100%からなるスパンボンド不
織布を用いた実施例6、ポリプロピレン(PP)繊維1
00%からなるメルトブロー不織布を用いた実施例7に
おいて、得られた電池用セパレータ及び電池の評価結果
を表9に示す。
【0129】AXQとAAとをグラフト共重合させた実
施例6、7においては、重合反応終了後の繊維表面にホ
モポリマーの生成はなく、外観上は重合前と何ら変わり
なかった。表9に示すように、得られたセパレータの硫
黄含有率は0.09%以上であり、スルホン酸基が導入
されていることが確認された。また、得られたセパレー
タのIEC(cal)−IEC(obs)は0.84m
mol/g以上、アンモニア捕捉容量は0.52mmo
l/g以上であり、高いアンモニア捕捉容量を有するこ
とが判明した。また、実施例6、7において得られたセ
パレータを装着した電池の容量保持率は68%以上と高
く、かつ、充放電の繰り返しサイクル寿命が1190サ
イクル以上と長く、自己放電を抑制することができ、容
量保持率が高く、耐久性に優れた電池を得ることができ
た。
【0130】
【表9】
【0131】(実施例8の結果)実施例8において得ら
れた16種類の電池用セパレータの、グラフト物の質量
分率、IEC(cal)、IEC(obs)、IEC
(cal)−IEC(obs)、アンモニア捕捉容量A
TCを図1にまとめて示す。図1に示すように、グラフ
ト物の質量分率と、IEC(cal)、IEC(ob
s)、IEC(cal)−IEC(obs)、アンモニ
ア捕捉容量ATCには相関関係があることが判明した。
【0132】すなわち、グラフト物の質量分率の増加に
伴い、IEC(cal)、IEC(obs)は増加する
ことが判明した。これに対して、IEC(cal)−I
EC(obs)、及びアンモニア捕捉容量ATCは、グ
ラフト物の質量分率が約10%までグラフト物の質量分
率の増加に伴って増加するが、グラフト物の質量分率が
約10%を超えるとグラフト物の質量分率の増加に伴っ
て減少し、両者は全く同様の挙動を示すことが判明し
た。
【0133】より詳細には、グラフト物の質量分率を4
〜16%とすることが好ましく、このように規定するこ
とにより、IEC(cal)−IEC(obs)を0.
50mmol/g以上、アンモニア捕捉容量ATCを
0.30mmol/g以上とすることができることが判
明した。また、グラフト物の質量分率を5〜15%とす
ることがより好ましく、このように規定することによ
り、IEC(cal)−IEC(obs)を0.60m
mol/g以上、アンモニア捕捉容量ATCを0.50
mmol/g以上とすることができることが判明した。
さらに、グラフト物の質量分率を7〜13%とすること
が特に好ましく、このように規定することにより、IE
C(cal)−IEC(obs)を0.80mmol/
g以上、アンモニア捕捉容量ATCを0.60mmol
/g以上とすることができることが判明した。
【0134】(実施例9、10、比較例6の結果)不織
布としてポリプロピレン(PP)繊維100%からなる
スパンボンド不織布を用い、表面にグラフト重合したモ
ノマーの酸性基を、カルシウム若しくは亜鉛を介して架
橋した実施例9、10、比較例6において得られた電池
用セパレータ及び電池の評価結果を表10に示す。
【0135】AXQとAAとをグラフト共重合させ、表
面にグラフト重合したモノマーの酸性基を、カルシウム
若しくは亜鉛を介して架橋した実施例9、10において
は、重合反応終了後の繊維表面にホモポリマーの生成は
なく、外観上は重合前と何ら変わりなかった。表10に
示すように、得られたセパレータの硫黄含有率は0.0
5%以上であり、スルホン酸基が導入されていることが
確認された。また、得られたセパレータのIEC(ca
l)−IEC(obs)は0.93mmol/g以上、
アンモニア捕捉容量は0.60mmol/g以上であ
り、高いアンモニア捕捉容量を有することが判明した。
また、実施例9、10において得られたセパレータを装
着した電池の容量保持率は71%以上と高く、かつ、充
放電の繰り返しサイクル寿命が1320サイクル以上と
長く、自己放電を抑制することができ、容量保持率が高
く、耐久性に優れた電池を得ることができた。
【0136】これに対して、モノマーとしてAAのみを
用いた比較例6において得られたセパレータのIEC
(cal)−IEC(obs)、アンモニア捕捉容量が
いずれも実施例9、10に比較して小さく、得られた電
池の容量保持率が低く、充放電の繰り返しサイクル寿命
が短いことが判明した。
【0137】また、実施例9、10は、各々実施例1、
2と同じモノマー溶液を調製し、実施例1、2と同様に
グラフト共重合を行ったものであり、表面にグラフト重
合したモノマーの酸性基を、カルシウム若しくは亜鉛を
介して架橋した点が実施例1、2と異なっているが、実
施例9、10と実施例1、2の結果から、表面にグラフ
ト重合したモノマーの酸性基を、カルシウム若しくは亜
鉛を介して架橋することにより、電池の容量保持率と充
放電の繰り返しサイクル寿命を向上することができるこ
とが判明した(表7、表10参照)。
【0138】
【表10】
【0139】(実施例11、12の結果)不織布とし
て、芯成分がポリプロピレン(PP)、鞘成分がポリエ
チレン(PE)の芯鞘複合繊維からなる不織布を用い、
表面にグラフト重合したモノマーの酸性基を、カルシウ
ム若しくは亜鉛を介して架橋した実施例11、12にお
いて、得られた電池用セパレータ及び電池の評価結果を
表11に示す。
【0140】AXQとAAとをグラフト共重合させ、表
面にグラフト重合したモノマーの酸性基を、カルシウム
若しくは亜鉛を介して架橋した実施例11、12におい
ては、重合反応終了後の繊維表面にホモポリマーの生成
はほとんどなく、外観上は重合前と何ら変わりなかっ
た。表11に示すように、得られたセパレータの硫黄含
有率は0.08%以上であり、スルホン酸基が導入され
ていることが確認された。また、得られたセパレータの
IEC(cal)−IEC(obs)は0.88mmo
l/g以上、アンモニア捕捉容量は0.55mmol/
g以上であり、高いアンモニア捕捉容量を有することが
判明した。また、実施例11、12において得られたセ
パレータを装着した電池の容量保持率は72%以上と高
く、かつ、充放電の繰り返しサイクル寿命が1250サ
イクル以上と長く、自己放電を抑制することができ、容
量保持率が高く、耐久性に優れた電池を得ることができ
た。
【0141】また、実施例11は、実施例4と同じモノ
マー溶液を調製し、実施例4と同様にグラフト共重合を
行ったものであり、表面にグラフト重合したモノマーの
酸性基を、カルシウムを介して架橋した点が実施例4と
異なっているが、実施例11実施例4の結果から、表面
にグラフト重合したモノマーの酸性基を、カルシウムを
介して架橋することにより、電池の容量保持率と充放電
の繰り返しサイクル寿命を向上することができることが
判明した(表8、表11参照)。
【0142】
【表11】
【0143】(実施例13、14の結果)高エネルギー
線として電子線を用いてグラフト共重合を行い、表面に
グラフト重合したモノマーの酸性基を、マグネシウムを
介して架橋した実施例13、14、比較例7において、
得られた電池用セパレータ及び電池の評価結果を表12
に示す。
【0144】高エネルギー線として電子線を用い、表面
にグラフト重合したモノマーの酸性基を、マグネシウム
を介して架橋した場合においても、高エネルギー線とし
て紫外線を用い、表面にグラフト重合したモノマーの酸
性基を、カルシウム若しくは亜鉛を介して架橋した実施
例9〜12と同様の結果が得られ、重合反応終了後の繊
維表面にホモポリマーの生成はなく、外観上は重合前と
何ら変わりなかった。また、表12に示すように、得ら
れたセパレータの硫黄含有率は0.05%以上であり、
スルホン酸基が導入されていることが確認された。ま
た、得られたセパレータのIEC(cal)−IEC
(obs)は0.73mmol/g以上、アンモニア捕
捉容量は0.54mmol/g以上であり、高いアンモ
ニア捕捉容量を有することが判明した。また、実施例1
3、14において得られたセパレータを装着した電池の
容量保持率は70%以上と高く、かつ、充放電の繰り返
しサイクル寿命が1280サイクル以上と長く、自己放
電を抑制することができ、容量保持率が高く、耐久性に
優れた電池を得ることができた。
【0145】これに対して、モノマーとしてAAのみを
用いた比較例7において得られたセパレータのIEC
(cal)−IEC(obs)、アンモニア捕捉容量が
いずれも実施例13、14に比較して小さく、得られた
電池の容量保持率が低く、充放電の繰り返しサイクル寿
命が短いことが判明した。
【0146】
【表12】
【0147】以上の結果から、本発明によれば、用いる
不織布や高エネルギー線の種類に関係なく、AXQとA
Aとをグラフト共重合することにより、スルホン基を導
入することができ、高いアンモニア捕捉容量を有する電
池用セパレータを提供することができることが判明し
た。また、得られたセパレータを装着することにより、
容量保持率が高く、充放電の繰り返しサイクル寿命の長
い、性能に優れた電池を提供することができることが判
明した。
【0148】また、AXQとAAとをグラフト共重合す
ると共に、表面にグラフト重合したモノマーの酸性基
を、多価金属を介して架橋することが好ましく、かかる
構成の本発明の電池用セパレータを装着することによ
り、容量保持率と、充放電の繰り返しサイクル寿命を一
層向上できることが判明した。
【0149】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、ポリオレフィン系繊維からなる基材に、スルホン酸
基を有するモノマーである2−アクリルアミド2−メチ
ルプロパンスルホン酸と、カルボキシ基を有するモノマ
ーとをグラフト共重合することにより、アンモニアの捕
捉容量を増大することができ、ニッケルを正極としたア
ルカリ二次電池に用いた場合に、電池の自己放電をより
抑制することができる電池用セパレータ及びその製造方
法を提供することができる。また、ポリオレフィン系繊
維の強度を低下させることなく、スルホン酸基を簡易に
導入し、軽量化と保存安定性の向上を図ることができる
電池用セパレータ及びその製造方法を提供することがで
きる。また、ポリオレフィン系繊維の少なくとも表面に
グラフト重合された少なくとも1種のモノマーの酸性基
を、多価金属を介して架橋することが好ましく、かかる
構成とすることにより、耐酸化性、耐熱性等の化学的安
定性を向上することができ、耐久性に優れた電池用セパ
レータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る実施例において得られ
た電池用セパレータの、グラフト物の質量分率と、IE
C(cal)、IEC(obs)、IEC(cal)−
IEC(obs)、アンモニア捕捉容量ATCとの間の
関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 10/30 D06M 11/04 F Fターム(参考) 4L031 AA14 AB34 CB08 4L033 AA05 AB07 AC15 BA19 BA77 CA18 CA23 4L047 AA14 AB02 AB03 BA04 BA08 BA21 BB01 CB10 CC08 5H021 AA06 BB01 BB12 BB15 CC02 EE04 EE16 EE25 HH00 HH01 5H028 AA01 AA05 EE06 FF05 HH00

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系繊維からなる基材に、
    スルホン酸基を有するモノマーである2−アクリルアミ
    ド2−メチルプロパンスルホン酸と、カルボキシ基を有
    するモノマーとがグラフト共重合されていることを特徴
    とする電池用セパレータ。
  2. 【請求項2】 ポリオレフィン系繊維からなる基材に、
    スルホン酸基を有するモノマーである2−アクリルアミ
    ド2−メチルプロパンスルホン酸と、カルボキシ基を有
    するモノマーとがグラフト共重合されていると共に、 少なくとも表面にグラフト重合された少なくとも1種の
    モノマーの酸性基が多価金属を介して架橋されているこ
    とを特徴とする電池用セパレータ。
  3. 【請求項3】 前記多価金属が、カルシウム、マグネシ
    ウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、チタン、ジルコ
    ニウム、錫から選ばれる少なくとも1種であることを特
    徴とする請求項2に記載の電池用セパレータ。
  4. 【請求項4】 前記カルボキシ基を有するモノマーが、
    アクリル酸もしくはメタクリル酸であることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池用セパレー
    タ。
  5. 【請求項5】 硫黄含有率が0.05%以上であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池
    用セパレータ。
  6. 【請求項6】 グラフト物の質量分率から求めた理論的
    イオン交換容量IEC(cal)と実測したカリウムイ
    オン交換容量IEC(obs)との差が0.50mmo
    l/g以上であることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れか1項に記載の電池用セパレータ。
  7. 【請求項7】 アンモニア捕捉容量が0.30mmol
    /g以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれ
    か1項に記載の電池用セパレータ。
  8. 【請求項8】 グラフト物の質量分率が4〜16%であ
    ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載
    の電池用セパレータ。
  9. 【請求項9】 グラフト物の質量分率から求めた理論的
    イオン交換容量IEC(cal)と実測したカリウムイ
    オン交換容量IEC(obs)との差が0.60mmo
    l/g以上であることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れか1項に記載の電池用セパレータ。
  10. 【請求項10】 アンモニア捕捉容量が0.50mmo
    l/g以上であることを特徴とする請求項1〜5、9の
    いずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  11. 【請求項11】 グラフト物の質量分率が5〜15%で
    あることを特徴とする請求項1〜5、9、10のいずれ
    か1項に記載の電池用セパレータ。
  12. 【請求項12】 正極活物質として水酸化ニッケルを用
    いたアルカリ二次電池用であることを特徴とする請求項
    1〜11のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれか1項に記載
    の電池用セパレータの製造方法であって、 ポリオレフィン系繊維からなる基材に、2−アクリルア
    ミド2−メチルプロパンスルホン酸と、カルボキシ基を
    有するモノマーとを含有するモノマー溶液を含浸させる
    モノマー溶液含浸工程と、 前記モノマー溶液を含浸させた前記基材を、該基材を保
    持する保持材とポリエステルフィルムとに挟持させた状
    態で、前記ポリエステルフィルム側から前記基材に高エ
    ネルギー線を照射する高エネルギー線照射工程とを有す
    ることを特徴とする電池用セパレータの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記高エネルギー線照射工程の前に、
    前記モノマー溶液を含浸させた前記基材を、該基材を保
    持する保持材とポリエステルフィルムとに挟持させた状
    態で、70〜100℃の温度で予備加熱し、モノマーを
    繊維内部に拡散させる予備加熱工程をさらに有すること
    を特徴とする請求項13に記載の電池用セパレータの製
    造方法。
  15. 【請求項15】 前記高エネルギー線照射工程におい
    て、前記予備加熱工程での加熱温度を保持しながら、高
    エネルギー線を照射することを特徴とする請求項14に
    記載の電池用セパレータの製造方法。
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