JPH1167179A - アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法

Info

Publication number
JPH1167179A
JPH1167179A JP9230380A JP23038097A JPH1167179A JP H1167179 A JPH1167179 A JP H1167179A JP 9230380 A JP9230380 A JP 9230380A JP 23038097 A JP23038097 A JP 23038097A JP H1167179 A JPH1167179 A JP H1167179A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
separator
graft polymerization
weight
persulfate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9230380A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomoaki Sugano
友章 菅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOUNEN TAPIRUSU KK
Original Assignee
TOUNEN TAPIRUSU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOUNEN TAPIRUSU KK filed Critical TOUNEN TAPIRUSU KK
Priority to JP9230380A priority Critical patent/JPH1167179A/ja
Publication of JPH1167179A publication Critical patent/JPH1167179A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Cell Separators (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリオレフィン系不織布のエチレン系不飽和
酸又はその誘導体のグラフト重合による親水性付与を不
織布の劣化を伴わずに均一に行い、電解液に対して濡れ
やすく、電解液保持特性が大きく、充電時に正極より発
生する酸素ガスの透過性に優れ、かつ強度が備わった、
アルカリ電池用セパレータの提供。 【解決手段】 過硫酸塩の存在下に酸化処理した後、エ
チレン系不飽和酸又はその誘導体でグラフト重合処理し
たポリオレフィン系繊維を含有する不織布からなるアル
カリ電池用セパレータ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニッケル・カドミ
ウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池等、密
閉型アルカリ二次電池に用いられるアルカリ電池用セパ
レータに関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ電池は、充放電特性、過充電過
放電特性に優れ、長寿命で繰り返し使用できるため、小
型軽量化の著しいエレクトロニクス機器に広く使用され
ており、さらに高容量化が求められている。このような
アルカリ電池の特性は、その電池セパレータの特性にも
大きく依存している。アルカリ電池用セパレータには、
一般に、次の性能が必要とされている。 (1)正極と負極を物理的に隔離すること。 (2)短絡を防ぐための電気的絶縁性を持つこと。 (3)耐電解液性を持つこと。 (4)耐電気化学的酸化性を持つこと。 (5)電解液を含んだ状態で低い電気抵抗を示すこと。 (6)電解液に対して濡れやすく、電解液保持性が大き
いこと。 (7)渦巻状電極体を作製する際の渦巻時の引っ張り張
力に耐え得る強度、剛性を持つこと。 (8)電池にとって有害物質を出さないこと。 (9)充電時に正極より発生する酸素ガス透過性に優れ
ていること。 (10)正極と負極との微少短絡を防ぐため、突き裂き
強度が備わっていること。 (11)上記性能を満たしながら、出来るだけ厚みが薄
いこと。
【0003】上記のような性能が必要とされるアルカリ
二次電池用のセパレータとしては、これまで、ポリアミ
ド製の繊維からなる不織布シートや、プラズマ処理、ス
ルホン化処理、フッ素処理、グラフト処理または、界面
活性剤の塗付によって親水性を付与したポリオレフィン
製の繊維からなる不織布シートが用いられている(例え
ば、特公昭57−33828号公報、特開昭58−94
752号公報、特開昭61−78053号公報、特開昭
62−115657号公報、特開平2−276154号
公報、特開平4−167355号公報など)。
【0004】ところが、ポリアミド繊維不織布からなる
セパレータは、高温雰囲気下、特に、60〜80℃での
高温の電解液中における激しい電池反応に対する耐酸化
性に劣ることから早期に劣化現象が現れ、また、充放電
サイクル中で分解し、親水性が低下する。このため、セ
パレータ中に存在する電解液量が減少し、電池の内部抵
抗が増大して放電容量が減少する。さらに、ポリアミド
がアルカリ電解液中で加水分解されると窒素酸化物が生
成し、その分解生成物が貯蔵に伴い容量を低下させると
いう問題があった。
【0005】一方、この高温雰囲気下での加水分解を防
ぐ対策とした、耐アルカリ性に優れたポリプロピレン繊
維不織布に界面活性剤の塗付によって親水性を付与した
セパレータでは、一般にノニオン系界面活性剤、例え
ば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が用
いられているが、この界面活性剤は、容易に電解液中に
溶解し、正、負極で酸化還元され、貯蔵中の電池の容量
保持率を低下させたり、界面活性剤の溶出による電解液
保持能力の低下によって、電池の内部抵抗が増加し、放
電電圧の低下や活物質利用率の低下を招くという問題が
あった(例えば、特開昭64−57568号公報)。
【0006】また、スルホン化等の化学処理やグラフト
処理によって親水性を付与したポリオレフィン系繊維シ
ートは、親水処理に伴いポリオレフィンの炭素−炭素結
合が切れることにより、繊維の脆化が大きく、グラフト
処理は、その表面の均一した親水性の付与という点にお
いて問題があった。近年、電池のエネルギー密度を上げ
るためにセパレータを薄くして活物質の量を多くするこ
とが試みられているが、厚さが減少した分だけ微少短絡
が起き易くなり、これを防ぐのに繊維径を細くして、セ
パレータを構成する繊維本数を増加することも考えら
れ、細い繊維で構成されている不織布が好ましいが、親
水性付与のため不織布自体にグラフト処理等の化学処理
を施すと、基材自身の劣化が促進され、その劣化をおさ
えると十分なグラフト化が得られず、水濡率も向上しな
いという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
オレフィン系繊維にエチレン系不飽和酸又はその誘導体
を高グラフト重合率で付与し、不織布の劣化を伴わずに
親水性を付与し、電解液に対して濡れやすく、電解液保
持特性が大きく、充電時に正極より発生する酸素ガスの
透過性に優れ、かつ強度が備わった、アルカリ電池用セ
パレータを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の目
的を達するために、ポリオレフィン不織布への親水性付
与技術を検討した結果、ポリオレフィン系繊維をエチレ
ン系不飽和酸又はその誘導体でグラフト重合する際に、
ポリオレフィン系繊維を過硫酸塩の存在下に酸化処理す
ることにより、エチレン系不飽和酸又はその誘導体のグ
ラフト重合率を増加させることができることを見出し、
本発明を完成した。すなわち、本発明は、過硫酸塩の存
在下に酸化処理した後、エチレン系不飽和酸又はその誘
導体でグラフト重合処理したポリオレフィン系繊維を含
有する不織布からなるアルカリ電池用セパレータであ
り、その製造方法は、過硫酸塩の存在下に酸化処理した
後、エチレン系不飽和酸又はその誘導体でグラフト重合
処理したポリオレフィン系繊維を不織布化後、加熱成形
してなることを特徴とする方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
1.ポリオレフィン系繊維 本発明で用いるポリオレフィン系繊維の材質としては、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの炭化水素
系のポリオレフィン類や、ポリフッ化ビニリデンなどの
含フッ素のポリオレフィン類などが好適に用いられ、こ
れらは単独であってもよいし、また、ブレンドしたり、
アロイ化したり、芯鞘構造または、他のタイプのコンジ
ュゲート繊維にするなど複合化したものや、パルプ状繊
維にしたものであってもよい。特に、含フッ素のオレフ
ィン類や塩素化パラフィン等をブレンドしたオレフィン
類からのポリオレフィン系繊維や、塩化ビニル繊維等を
一部、構成繊維として用いることは、繊維として親水性
を持たなくとも、負の電荷を持ち易くなり、ニッケル−
水素蓄電池用セパレータとして用いる場合、負極の水素
吸蔵合金電極から放出される水素の正極への移動速度を
低減することが可能となり、サイクル寿命の向上と自己
放電量が大幅に低減される。
【0010】密閉型電池として、シート状の正極および
負極と組み合わせて渦巻状に巻回して、渦巻状電極体を
作製する際の群構成工程に必要な破断強度や伸度を得る
ためには、芯鞘型複合繊維や低融点のパルプ状繊維を構
成繊維とすることが好ましく、これは、低融点の鞘部分
や低融点のパルプ状繊維がバインダーの機能をするから
であり、これらの繊維がバインダー機能を発揮する際、
溶融しても、高度にグラフトされたグラフト分子鎖は、
溶融された繊維の表面に残存し、電解液への親和性を失
うことはない。
【0011】これらの繊維の構成比率は、群構成時に必
要な破断強度、親水性、及び保液性の要求性能により決
定されるが、破断強度に対する要求性能が大きい場合
は、芯鞘型複合繊維や低融点のパルプ状繊維の割合が多
くなる。また、保液性の要求性能が大きい場合にも、芯
鞘型複合繊維の低融点の鞘部分や低融点のパルプ状繊維
に使用されているポリエチレン成分が、芯成分に使用さ
れているポリプロピレンに比べ、グラフト重合に対する
反応性が高いため、芯鞘型複合繊維や低融点のパルプ状
繊維の割合が多くなる。一方、エチレン系不飽和酸又は
その誘導体をグラフト重合したものは、セパレータの親
水性を長期間持続させることができるが、アルカリ電解
液が繊維内部にまで侵入してセパレータが膨潤するた
め、セパレータの多孔度が低下してガスの透過性が低下
し、充電末期に正極で発生する酸素を効率よく負極に導
くことができなくなる場合があり、これらのガス透過性
の要求、すなわち、電池内圧の低減が要求された場合
は、ポリエチレンとポリプロピレンのグラフト重合に対
する反応性の違いを利用して、芯鞘型複合繊維や低融点
のパルプ状繊維の割合が少なくなるが、通常、ポリオレ
フィン系繊維全体の20〜60重量%の範囲で用いられ
る。
【0012】2.ポリオレフィン系繊維のグラフト重合
処理 a.酸化処理 本発明のアルカリ電池用セパレータは、エチレン系不飽
和酸又はその誘導体をグラフト重合したポリオレフィン
系繊維を不織布化したものよりなるが、エチレン系不飽
和酸又はその誘導体をポリオレフィン系繊維にグラフト
重合するに際し、予めポリオレフィン系繊維を過硫酸塩
の存在下に酸化処理を行うと、エチレン系不飽和酸又は
その誘導体のグラフト重合率を向上させることができ
る。
【0013】過硫酸塩による酸化処理としては、過硫酸
カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸バリウム、過硫酸
アンモニウム等の過硫酸塩の存在下に、ポリオレフィン
系繊維を水溶液のスラリー状態で、空気雰囲気下、80
〜100℃、1〜4時間で撹拌処理することにより行
う。使用する過硫酸塩の量は、ポリオレフィン系繊維に
対して5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%で
ある。また、ポリオレフィン系繊維の過硫酸塩処理は、
メチルアルコール、エチルアルコール、シクロヘキサノ
ール、ベンジルアルコールのようなアルコールの存在化
に行うのが好ましい。アルコールの使用量は、過硫酸塩
に対して重量比で0.5〜5の範囲で用いることができ
る。
【0014】b.グラフト処理 上記酸化処理されたポリオレフィン系繊維を、続いてエ
チレン系不飽和酸又はその誘導体でグラフト重合処理を
行う。エチレン系不飽和酸又はその誘導体としては、ア
クリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸、マレイ
ン酸、イタコン酸、クロトン酸、ビニルスルホン酸、2
−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、
4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、ジメチルア
ミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタ
クリレート、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−ビ
ニル−5−エチルピリジン、4−(4−プロペニルブテ
ニル)ピリジン、ジメチルアミノプロピルメタクリルア
ミド、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ス
チレンスルホン酸カリウム、無水マレイン酸、アクリル
アミド、N−モノメチルおよびN,N′−ジメチルアク
リルアミド、酢酸ビニル等を挙げることができる。これ
らのモノマーを単独または2種以上で用いることも、こ
の中の酸性モノマーと塩基性モノマーを併用することに
よりグラフト重合前後にイオン結合を生成させ、より親
水化した表面を与えることもできる。
【0015】また、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−メチロー
ルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、
2−ブロモエチルメタクリレート、2−クロロエチルメ
タクリレート、2−スルホエチルメタクリレート等のヒ
ドロキシル基含有ビニルモノマーを共重合することによ
り、高いグラフト重合率を達成することができる。
【0016】グラフト重合方法としては、電子線グラフ
ト法、紫外線グラフト法、湿式グラフト法等があり、ど
の方法も適用できるが、ポリオレフィン系繊維へのグラ
フト量をコントロールできる点で、湿式グラフト法が好
ましい。
【0017】湿式グラフト法としては、上記酸化処理ポ
リオレフィン系繊維に、エチレン系不飽和酸又はその誘
導体を含む水溶液をグラフト重合条件下に反応せしめ
る。好ましくはポリオレフィン系繊維の水性ディスパー
ジョンにエチレン系不飽和酸又はその誘導体を含む水溶
液を、水性乳化分散液状態にして、開始剤の存在下に加
熱反応せしめる。
【0018】本発明のグラフト重合において用いる開始
剤としては、水不溶性開始剤としてベンゾイルパーオキ
サイド、ジクミルパーオキサイド、クメンパイドロパー
オキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げら
れ、水溶性開始剤として、過酸化水素、過硫酸カリ、過
硫酸アンモン等が挙げられるが、特に過硫酸カリ、ベン
ゾイルパーオキサイドが好ましい。開始剤は、通常0.
02〜5重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の溶
液濃度で用いる。またエチレン系不飽和酸又はその誘導
体は0.2〜5重量%の溶液濃度で用いる。
【0019】また、ポリオレフィン系繊維のグラフト重
合の際、膨潤剤を併用することがグラフト重合を加速す
ることから好ましい。そのような膨潤剤としては、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、シクロヘキサノー
ル、ベンジルアルコールのようなアルコール、フェノー
ル、クレゾールのようなフェノール類、アセトン、メチ
ルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノンの
ようなケトン類、ジオキサン、エチレングリコールモノ
エチルエーテルのようなエーテル類、オクタン、ノナ
ン、デカンのような鎖状炭化水素類、シクロヘキサン、
デカリンのような脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンのような芳香族炭化水素類、トリクロルエ
チレン、テトラクロルエチレン、テトラクロルエタンの
ようなハロゲン化脂肪族炭化水素類、モノクロルベンゼ
ン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、モノクロ
ルトルエンのようなハロゲン化芳香族炭化水素等が挙げ
られるが、好ましくはハロゲン化芳香族炭化水素類であ
る。
【0020】さらに、グラフト重合には、架橋剤を添加
することにより、グラフト量をコントロールすることが
できる。架橋剤としては、ジビニルベンゼン、エチレン
グリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジ
メタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレ
ート、テトレエチレングリコールジメタクリレート、エ
チレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコー
ルジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレ
ート、テトレエチレングリコールジアクリレート、トリ
メチロールプロパントリメタクリレートまたはトリメチ
ロールプロパントリアクリレート等がある。
【0021】湿式グラフト重合法における重合温度は、
モノマーの種類、開始剤の種類によっても異るが、通常
50〜150℃であり好ましくは70〜100℃であ
る。反応時間は、1分〜5時間、好ましくは10分〜3
時間である。またグラフト重合体のグラフト重合率は1
2%前後に押えるのが好ましい。
【0022】グラフト重合反応後は、速やかに反応液を
アルカリ性溶液で中和し、電解液中に存在するものと同
種のカチオンと塩を形成させると同時に、ビニルホモポ
リマー等を除去する必要がある。ここで電解液中に存在
するカチオンとしては、カリウムイオン、ナトリウムイ
オン等が挙げられる。これは、中和されていないグラフ
ト重合された親水性モノマーは、電解液中で酸として挙
動するために、アルカリ電解液と中和反応を起こすため
に、電解液のpHが低下し、水素極の充電効率が低下
し、過充電時に水素ガスが発生し易くなるためであり、
またカリウムイオンやナトリウムイオンと塩化した親水
基は水分子を配位する力が非常に強いため、グラフト重
合された親水性モノマーがグラフトした幹の繊維の内部
にマイグレーションし難くなり、より一層、セパレータ
の親水性を長期間持続させることができる利点をもつこ
とが挙げられる。
【0023】3.不織布化 前記グラフト化ポリオレフィン系繊維を使用して、湿式
抄造法、シンタリング法、ニードルパンチ法、カード
法、クロスレイヤー法、ランダムウエーバー法、エアー
フォーミング法等によって不織布を形成する。これらの
方法の内、湿式抄造法を用いる場合は、上述の方法で得
られたグラフト化ポリオレフィン系繊維を水中で界面活
性剤および消泡剤等を添加し、穏やかな撹拌のもと均一
なスラリーを形成する。このスラリーを抄紙して不織布
を形成する。
【0024】湿式抄造法は、生産速度が上記他の方法に
比べて速く、繊維の形態もステープル状、パルプ状等選
択の幅は広く、使用可能な繊維径も0.5デニール以下
の極細繊維から太い繊維まで繊維径の異なる繊維や複数
の種類の繊維を任意の割合で混合でき、他の方法に比
べ、良好な地合の不織布が得られる。湿式抄造法で用い
るポリオレフィン系繊維の繊維長は、分散性及び強度の
点から5〜20mmのものが好ましい。繊維長が20m
mを超えると、分散剤を選択しても、水中での分散工程
が難しく、また分散濃度を低くしなければならず、生産
性が劣る。一方、繊維長が5mm未満であると、分散工
程は容易であるが、強度が大きく、剛性の強い不織布を
得ることは困難である。また、湿式抄造法により、不織
布を製造後、水流交絡処理を施してポリオレフィン系繊
維を3次元的に交絡させてもよい。水流交絡処理を施し
た場合、強度及び伸びを非常に大きくできる利点があ
る。
【0025】また、シンタリング法では、湿式抄造法と
同様に同一装置で繊維径の異なる繊維と複数の種類の繊
維を任意の割合で混合できる利点の他、湿式抄造法で用
いる多量の工程水や、分散剤を必要とせず、アルカリ電
池セパレータ用不織布としての不純物混入や、環境に優
しいという利点をもつ。なを、シンタリング法は、エア
ーフォーミング法を併用すると繊維の分散性をより均一
にできる。不織布化に際しては、上記グラフト化ポリオ
レフィン系繊維に未グラフト化繊維を加え、不織布の強
度をさらに向上させることもできる。
【0026】4.アルカリ電池用セパレータ 本発明のアルカリ電池用セパレータは、上記グラフト処
理ポリオレフィン系繊維からなる親水化不織布を熱ロー
ル等により熱接着成形して得られる。本発明のアルカリ
電池用セパレータとしての目付及び厚さは、目的に応じ
て、不織布を形成した際の繊維径、保液性、地合(微少
短絡防止性)の関係から決められる。アルカリ電池用セ
パレータとしては、薄い方が電解液に対して濡れ易く、
電池を小型化できる利点があるが、薄すぎると強度上の
問題及び短絡し易くなる。また、厚すぎたり、高密度で
あると、電解液に浸漬するのに時間がかかり、スムーズ
な充放電反応に支障をきたす。更に、不織布を形成した
際の繊維径が細いと、突刺強度が上がり、微少短絡を防
ぐことができるとともに、保液性が上がり、サイクル寿
命を向上できるが、充電時に正極より発生する酸素ガス
の透過性が悪くなり、過充電時の電池内圧が上昇し、急
速充電時の特性が悪くなるというデメリットがある。
【0027】このようなことから、本発明のアルカリ電
池用セパレータとしては、孔径1〜200μm、空孔率
30〜80容積%、厚さ20〜500μm、繊維径1〜
100μm、目付5〜100g/m2の不織布が好適に
用いられ、電解液に対して濡れ易く、電解液保持特性が
大きく、充電時に正極より発生する酸素ガスの透過性に
優れ、かつ、高強度なアルカリ電池用セパレータであ
る。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。な
お、本発明は下記実施例に限定して解釈されるものでは
ない。本実施例における試験方法は以下の通りである。
【0029】(1)目付:試料長さ方向より、100×
100mmの試験片を採取し、水分平衡状態の重さを測
定し、1m2当たりに換算した。
【0030】(2)厚さ:試料長さ方向より、100×
100mmの試験片を採取し、ダイヤルシックネスゲー
ジ((株)三豊製作所製7321、1mm/1回転)で
測定した。
【0031】(3)引張強度:JIS L 1096に
準じ測定した。
【0032】(4)電解液吸液速度:試料長さ方向より
25mm×250mmの試験片を採取し、水槽上の一定
の高さに支えた水平棒にピンで止める。試験片の下端を
一線に並べて水平棒を下ろし、試験片の下端が5mmだ
け液中に漬かるように垂直に立て、毛管現象によりKO
H水溶液が上昇した高さを30分後に測定した。
【0033】(5)電解液保液率:試料長さ方向より1
00×100mmの試験片を採取し、温度20±2℃、
相対湿度65±2%の状態での水分平衡状態の重量
(W)を測定し、次に比重1.30のKOH溶液中に試
験片を広げて浸し、1時間吸収させた後、溶液から引き
上げて10分後の試験片の重量(W1)を測定して、次
の式により算出した。 電解保液率(%)=(W1−W)/W×100
【0034】(6)遠心脱水保液率:試料長さ方向より
34mmφの試験片を採取し、温度20±2℃、相対湿
度65±2%の状態での水分平衡状態の重量(W)を1
mgまで測定する。次に試験片を比重1.30のKOH
水溶液中に広げて浸し、充分吸収させた後、液中から引
き上げて、ADVAVTEC(株)製、No2の55m
mφの濾紙に挟み、日立製作所(株)製の遠心分離機で
あるhimacCT6Dで1000rpm×10分間の
遠心力をかけた後の試験片の重量(W1)を測定して、
次の式により算出した。 遠心脱水保液率(%)=(W1−W)/W×100
【0035】実施例1 単糸繊度0.9デニール、長さ5mmの芯成分が融点1
65℃のポリプロピレン、鞘成分が融点124℃のポリ
エチレンで、芯鞘の容積比率が50:50からなる芯鞘
型複合繊維を40重量%、単糸繊度0.7デニール、長
さ10mmのポリプロピレン繊維を40重量%、及び融
点125℃のポリエチレンベース合成パルプ(三井石油
化学工業(株)製、UL415)を20重量%の混合物
からなる繊維塊状物30重量部に、過硫酸カリウム3重
量部、エチルアルコール6重量部、精製水600重量部
を回分式の反応槽に投入後、高速ミキサーで撹拌しなが
ら、100℃、2時間酸化反応を行った。反応後、反応
液を室温まで冷却してから、ラジカル開始剤として過硫
酸カリウム0.3重量部とエチレン系不飽和酸又はその
誘導体としてアクリル酸(AA)15重量部、ジビニル
ベンゼン1.5重量部を反応液に投入し、窒素シール
後、100℃で3時間グラフト重合を行った。重合反応
後、0.5%水酸化カリウム水溶液により50℃で30
分間中和処理し、水洗乾燥後、精製水とともに高速ミキ
サーを用いてスラリー化させ、目付60g/m2の湿式
不織布を抄造した。重量増加率から求めたグラフト重合
率は、12%であった。続いて、得られた湿式不織布を
125℃に加熱した一対のローラにより熱圧着して、厚
み0.20mmのアルカリ電池用セパレータを得た。こ
のセパレータについて、引張強度、保液率、吸液速度、
及び遠心脱水保液率を測定した。その結果を表1に示
す。
【0036】実施例2 実施例1において、エチレン系不飽和酸又はその誘導体
としてアクリル酸15重量部の代わりに、メタクリル酸
(MAA)12重量部と2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート(HEMA)3重量部の混合物を用いる以外は、
実施例1と同様の方法で目付60g/m2、厚み0.2
0mmのアルカリ電池用セパレータを得た。このセパレ
ータについて、引張強度、保液率、吸液速度、及び遠心
脱水保液率を測定した。その結果を表1に示す。なお、
重量増加率から求めたグラフト重合率は16%であっ
た。
【0037】実施例3 実施例1において、エチレン系不飽和酸又はその誘導体
としてアクリル酸15重量部の代わりに、アクリル酸1
0重量部とスチレンスルホン酸カリウム(SSK)5重
量部の混合物を用いる以外は、実施例1と同様の方法で
目付50g/m2、厚み0.15mmのアルカリ電池用
セパレータを得た。このセパレータについて、引張強
度、保液率、吸液速度、及び遠心脱水保液率を測定し
た。その結果を表1に示す。なお、重量増加率から求め
たグラフト重合率は13%であった。
【0038】実施例4 実施例1において、エチレン系不飽和酸又はその誘導体
としてアクリル酸15重量部の代わりに、スチレンスル
ホン酸カリウム(SSK)15重量部を用いる以外は、
実施例1と同様の方法で目付50g/m2、厚み0.1
5mmのアルカリ電池用セパレータを得た。このセパレ
ータについて、引張強度、保液率、吸液速度、及び遠心
脱水保液率を測定した。その結果を表1に示す。なお、
重量増加率から求めたグラフト重合率は8%であった。
【0039】実施例5 実施例1において、酸化剤である過硫酸カリウムを3重
量部の代わりに、6重量部を用いる以外は、実施例1と
同様の方法で目付50g/m2、厚み0.15mmのア
ルカリ電池用セパレータを得た。このセパレータについ
て、引張強度、保液率、吸液速度、及び遠心脱水保液率
を測定した。その結果を表1に示す。なお、重量増加率
から求めたグラフト重合率は13.4%であった。
【0040】実施例6 融点125℃のポリエチレンベース合成パルプ(三井石
油化学工業(株)製、UL415)を50重量%、融点
160℃のポリプロピレンベース合成パルプ(三井石油
化学工業(株)製、Y600)を50重量%の混合物か
らなる繊維塊状物30重量部に、過硫酸アンモン3重量
部、エチルアルコール6重量部、精製水600重量部を
回分式の反応槽に投入後、高速ミキサーで撹拌しなが
ら、100℃、2時間酸化反応を行った。反応後、反応
液を室温まで冷却してから、ラジカル開始剤として過硫
酸カリウムを0.3重量部とエチレン系不飽和酸又はそ
の誘導体としてアクリル酸15重量部、ジビニルベンゼ
ン1.5重量部を反応液に投入し、窒素シール後、10
0℃で3時間グラフト重合を行った。重合反応後、0.
5%水酸化カリウム水溶液により50℃で30分間中和
処理し、水洗乾燥後、実施例1で使用した単糸繊度0.
9デニール、長さ5mm芯鞘型複合繊維を40重量%と
なるように投入し、その混合繊維塊状物を粉砕機で分散
させた。その後、シンター加工機を用いて、粉砕した繊
維塊状物を振り落とし、130℃に加熱した一対のテフ
ロンベルトにはさみ、目付80g/m2の不織布を得
た。なお、重量増加率から求めた合成パルプのグラフト
重合率は18%であった。続いて、得られた不織布を1
25℃に加熱した一対のローラにより熱圧着して、厚み
0.25mmのアルカリ電池用セパレータを得た。この
セパレータについて、引張強度、保液率、吸液速度、及
び遠心脱水保液率を測定した。その結果を表1に示す。
【0041】比較例1 実施例1において、過硫酸カリウムの存在下に100
℃、2時間の酸化処理処理を行わない以外は、実施例1
と同様の方法で目付60g/m2、厚み0.20mmの
アルカリ電池用セパレータを得た。このセパレータにつ
いて、引張強度、保液率、吸液速度、及び遠心脱水保液
率を測定した。その結果を表1に示す。なお、重量増加
率から求めたグラフト重合率は6%であった。
【0042】比較例2 実施例5において、アクリル酸でグラフト重合処理を行
わない以外は、実施例1と同様の方法で目付50g/m
2、厚み0.15mmのアルカリ電池用セパレータを得
た。このセパレータについて、引張強度、保液率、吸液
速度、及び遠心脱水保液率を測定した。その結果を表1
に示す。
【0043】
【表1】
【0044】表1より明らかなように、過硫酸塩であら
かじめ酸化処理を行ったポリオレフィン系繊維をアクリ
ル酸等のエチレン系不飽和酸又はその誘導体でグラフト
重合処理すると、ポリオレフィン系繊維に対するグラフ
ト重合率は高くなり、そのグラフト処理繊維からのアル
カリ電池セパレータは、電解液吸収速度及び電解液保液
率が高く、遠心脱水というような過酷な処理を行っても
約1割の電解液を保有している(実施例1〜4)。一
方、過硫酸塩であらかじめ酸化処理を行わなかったポリ
オレフィン系繊維からは、高いグラフト重合率は得られ
ず、それを用いた不織布からのアルカリ電池用セパレー
タは電解液吸収速度及び電解液保液率は低く、遠心脱水
処理を行うとほとんどの電解液は保液されていない(比
較例1)。また、過硫酸塩による酸化処理だけでは、ポ
リオレフィン系繊維には水親和性は付与されず、その繊
維の不織布は、アルカリ電池用セパレータとしての機能
を発揮しない(比較例2)。
【0045】
【発明の効果】本発明による過硫酸塩の存在下に酸化処
理した後、エチレン系不飽和酸又はその誘導体でグラフ
ト重合処理したポリオレフィン系繊維を含有する不織布
は、電解液に対して濡れやすく、電解液保持特性が大き
く、充電時に正極より発生する酸素ガスの透過性に優
れ、かつ強度が備わっており、アルカリ電池用セパレー
タとして優れている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過硫酸塩の存在下に酸化処理した後、エ
    チレン系不飽和酸又はその誘導体でグラフト重合処理し
    たポリオレフィン系繊維を含有する不織布からなるアル
    カリ電池用セパレータ。
  2. 【請求項2】 過硫酸塩の存在下に酸化処理した後、エ
    チレン系不飽和酸又はその誘導体でグラフト重合処理し
    たポリオレフィン系繊維を不織布化後、加熱成形してな
    ることを特徴とするアルカリ電池用セパレータの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 不織布化方法が、湿式抄造法である請求
    項2記載のアルカリ電池用セパレータの製造方法。
  4. 【請求項4】 不織布化方法が、シンタリング法である
    請求項2記載のアルカリ電池用セパレータの製造方法。
JP9230380A 1997-08-12 1997-08-12 アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法 Pending JPH1167179A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9230380A JPH1167179A (ja) 1997-08-12 1997-08-12 アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9230380A JPH1167179A (ja) 1997-08-12 1997-08-12 アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1167179A true JPH1167179A (ja) 1999-03-09

Family

ID=16906967

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9230380A Pending JPH1167179A (ja) 1997-08-12 1997-08-12 アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1167179A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003003486A1 (en) * 2001-06-04 2003-01-09 Komatsu Seiren Co., Ltd. Separator for battery and method for producing the same

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003003486A1 (en) * 2001-06-04 2003-01-09 Komatsu Seiren Co., Ltd. Separator for battery and method for producing the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4452738B2 (ja) 電気化学的装置および電気化学的装置用の電極隔離板の製造方法
KR100499217B1 (ko) 알칼리전지용세퍼레이터및그의제조방법
EP1085589A2 (en) Battery separator
WO1998058111A1 (en) Non-woven fabric laminate
JP2006269384A (ja) アルカリ電池用セパレータ
US6348286B1 (en) Alkaline battery separator and process for producing the same
JP3366412B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ
JPH1167179A (ja) アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法
JPH1167182A (ja) アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法
JP3372321B2 (ja) アルカリ電池セパレ−タ用不織布の製造方法
JP3914331B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP3772018B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ
JPH11219693A (ja) 電池用セパレータ
JP2002203532A (ja) 電池用セパレータおよびその製造方法ならびにそれを用いた電池
JP3784496B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ
JPH1167183A (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP2001291503A (ja) 電池用セパレータ
JP4560227B2 (ja) 電池用セパレータ
JP2000353509A (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP2003109568A (ja) 電池用セパレータ及びこれを用いた電池
JP3673365B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP2004296356A (ja) 電池用セパレータ及び電池
JP2015041458A (ja) 電池用セパレータ
JP4058202B2 (ja) アルカリ電池
JP4202525B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ