JPH1167182A - アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法

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JPH1167182A
JPH1167182A JP9230381A JP23038197A JPH1167182A JP H1167182 A JPH1167182 A JP H1167182A JP 9230381 A JP9230381 A JP 9230381A JP 23038197 A JP23038197 A JP 23038197A JP H1167182 A JPH1167182 A JP H1167182A
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Japan
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separator
fiber
sulfonation
electrolyte
nonwoven fabric
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JP9230381A
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Tomoaki Sugano
友章 菅野
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TOUNEN TAPIRUSU KK
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリオレフィン系不織布のスルホン化による
親水性付与を不織布の劣化を伴わずに均一に行い、電解
液に対して濡れやすく、電解液保持特性が大きく、充電
時に正極より発生する酸素ガスの透過性に優れ、かつ強
度が備わった、アルカリ電池用セパレータの提供する。 【解決手段】 ポリオレフィン系繊維をスルホン化する
際に、ポリオレフィン系繊維を過硫酸塩の存在下に酸化
処理することにより、濃硫酸等によるスルホン化をマイ
ルドな条件で均一に行うことができる。得られたスルホ
ン化ポリオレフィン系繊維を含有する不織布を熱成形し
て得られる電池用セパレータは、電解液に対して濡れや
すく、電解液保持特性が大きく、アルカリ電池用セパレ
ータとしての特質を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニッケル・カドミ
ウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池等、密
閉型アルカリ二次電池に用いられるアルカリ電池用セパ
レータ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ電池は、充放電特性、過充電過
放電特性に優れ、長寿命で繰り返し使用できるため、小
型軽量化の著しいエレクトロニクス機器に広く使用され
ており、さらに高容量化が求められている。このような
アルカリ電池の特性は、その電池セパレータの特性にも
大きく依存している。アルカリ電池用セパレータには、
一般に、次の性能が必要とされている。 (1)正極と負極を物理的に隔離すること。 (2)短絡を防ぐための電気的絶縁性を持つこと。 (3)耐電解液性を持つこと。 (4)耐電気化学的酸化性を持つこと。 (5)電解液を含んだ状態で低い電気抵抗を示すこと。 (6)電解液に対して濡れやすく、電解液保持性が大き
いこと。 (7)渦巻状電極体を作製する際の渦巻時の引っ張り張
力に耐え得る強度、剛性を持つこと。 (8)電池にとって有害物質を出さないこと。 (9)充電時に正極より発生する酸素ガス透過性に優れ
ていること。 (10)正極と負極との微少短絡を防ぐため、突き裂き
強度が備わっていること。 (11)上記性能を満たしながら、出来るだけ厚みが薄
いこと。
【0003】上記のような性能が必要とされるアルカリ
二次電池用のセパレータとしては、これまで、ポリアミ
ド製の繊維からなる不織布シートや、プラズマ処理、ス
ルホン化処理、フッ素処理、グラフト処理または、界面
活性剤の塗付によって親水性を付与したポリオレフィン
製の繊維からなる不織布シートが用いられている(例え
ば、特公昭57−33828号公報、特開昭58−94
752号公報、特開昭61−78053号公報、特開昭
62−115657号公報、特開平2−276154号
公報、特開平4−167355号公報など)。
【0004】ところが、ポリアミド繊維不織布からなる
セパレータは、高温雰囲気下、特に、60〜80℃での
高温の電解液中における激しい電池反応に対する耐酸化
性に劣ることから早期に劣化現象が現れ、また、充放電
サイクル中で分解し、親水性が低下する。このため、セ
パレータ中に存在する電解液量が減少し、電池の内部抵
抗が増大して放電容量が減少する。さらに、ポリアミド
がアルカリ電解液中で加水分解されると窒素酸化物が生
成し、その分解生成物が貯蔵に伴い容量を低下させると
いう問題があった。
【0005】一方、この高温雰囲気下での加水分解を防
ぐ対策とした、耐アルカリ性に優れたポリプロピレン繊
維不織布に界面活性剤の塗付によって親水性を付与した
セパレータでは、一般にノニオン系界面活性剤、例え
ば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が用
いられているが、この界面活性剤は、容易に電解液中に
溶解し、正、負極で酸化還元され、貯蔵中の電池の容量
保持率を低下させたり、界面活性剤の溶出による電解液
保持能力の低下によって、電池の内部抵抗が増加し、放
電電圧の低下や活物質利用率の低下を招くという問題が
あった。
【0006】また、スルホン化処理してなるセパレータ
は、不織布を発煙硫酸や高温下の濃硫酸でッスルホン化
するものであり、第3級炭素のα水素置換反応のため反
応効率が非常に悪く、かつ均一にスルホン基を導入する
ことが困難であった。また、繊維表面がスルホン化処理
時に硬化するため、電池製造工程時における加工性が悪
いという問題があった。
【0007】また、近年、電池のエネルギー密度を上げ
るためにセパレータを薄くして活物質の量を多くするこ
とが試みられているが、厚さが減少した分だけ微小短絡
が起き易くなり、これを防ぐのに繊維径を細くして、セ
パレータを構成する繊維本数を増加することも考えら
れ、細い繊維で構成されている不織布が好ましいが、親
水性付与のため不織布自体にスルホン化等の化学処理を
施すと、発煙硫酸等によるスルホン化は、基材自身の劣
化を促進し、その劣化を抑えると十分なスルホン化が得
られず、水濡率も向上しないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
オレフィン系不織布のスルホン化による親水性付与を不
織布の劣化を伴わずに均一に行い、電解液に対して濡れ
やすく、電解液保持特性が大きく、充電時に正極より発
生する酸素ガスの透過性に優れ、かつ強度が備わった、
アルカリ電池用セパレータの提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の目
的を達するために、ポリオレフィン系不織布へのスルホ
ン化による親水性付与技術を検討した結果、ポリオレフ
ィン系繊維をスルホン化する際に、ポリオレフィン系繊
維を過硫酸塩の存在下に酸化処理することにより、濃硫
酸等によるスルホン化をマイルドな条件で均一に行うこ
とができ、得られたスルホン化ポリオレフィン系繊維を
含有する不織布を熱成形して得られる電池用セパレータ
は、電解液に対して濡れやすく、電解液保持特性が大き
く、アルカリ電池用セパレータとしての特質を備えてい
ることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明
は、過硫酸塩の存在下に酸化処理した後、スルホン化処
理したポリオレフィン系繊維を含有する不織布からなる
アルカリ電池用セパレータであり、その製造方法は、過
硫酸塩の存在下に酸化処理した後、スルホン化処理した
ポリオレフィン系繊維を不織布化後、加熱成形してなる
ことを特徴とする方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
1.ポリオレフィン系繊維 本発明で用いるポリオレフィン系繊維の材質としては、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの炭化水素
系のポリオレフィン類や、ポリフッ化ビニリデンなどの
含フッ素のポリオレフィン類などが好適に用いられ、こ
れらは単独であってもよいし、また、ブレンドしたり、
アロイ化したり、芯鞘構造または、他のタイプのコンジ
ュゲート繊維にするなど複合化したものや、パルプ状繊
維にしたものであってもよい。特に、含フッ素のオレフ
ィン類や塩素化パラフィン等をブレンドしたオレフィン
類からのポリオレフィン系繊維や、塩化ビニル繊維等を
一部、構成繊維として用いることは、繊維として親水性
を持たなくとも、負の電荷を持ち易くなり、ニッケル−
水素蓄電池用セパレータとして用いる場合、負極の水素
吸蔵合金電極から放出される水素の正極への移動速度を
低減することが可能となり、サイクル寿命の向上と自己
放電量が大幅に低減される。
【0011】密閉型電池として、シート状の正極および
負極と組み合わせて渦巻状に巻回して、渦巻状電極体を
作製する際の群構成工程に必要な破断強度や伸度を得る
ためには、芯鞘型複合繊維や低融点のパルプ状繊維を構
成繊維とすることが好ましく、これは、低融点の鞘部分
や低融点のパルプ状繊維がバインダーの機能をするから
であり、これらの繊維がバインダー機能を発揮する際、
溶融しても、高度にスルホン化されたスルホン基は、溶
融された繊維の表面に残存し、電解液への親和性を失う
ことはない。
【0012】これらの繊維の構成比率は、群構成時に必
要な破断強度、親水性、及び保液性の要求性能により決
定されるが、破断強度に対する要求性能が大きい場合
は、芯鞘型複合繊維や低融点のパルプ状繊維の割合が多
くなる。また、保液性の要求性能が大きい場合にも、芯
鞘型複合繊維の低融点の鞘部分や低融点のパルプ状繊維
に使用されているポリエチレン成分が、芯成分に使用さ
れているポリプロピレンに比べ、スルホン化に対する反
応性が高いため、芯鞘型複合繊維や低融点のパルプ状繊
維の割合が多くなる。一方、スルホン化処理により、ポ
リオレフィン系繊維の炭素−炭素結合が切れるため、セ
パレータとしたときの強度が低下する場合があり、こう
いった破断強度に対する要求性のが大きい場合には、ポ
リエチレンとポリプロピレンのスルホン化に対する反応
性の違いを利用して、芯鞘型複合繊維や低融点のパルプ
状繊維の割合が少なくなるが、通常、ポリオレフィン系
繊維全体の20〜60重量%の範囲で用いられる。
【0013】2.ポリオレフィン系繊維のスルホン化処
理 a.酸化処理 本発明のアルカリ電池用セパレータは、スルホン化した
ポリオレフィン系繊維を不織布化したものよりなるが、
スルホン化処理をポリオレフィン系繊維に行うに際し、
予めポリオレフィン系繊維を過硫酸塩の存在下に酸化処
理を行うと、スルホン化をマイルドな条件で均一に行う
ことができる。
【0014】過硫酸塩による酸化処理としては、過硫酸
カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸バリウム、過硫酸
アンモニウム等の過硫酸塩の存在下に、ポリオレフィン
系繊維を水溶液のスラリー状態で、空気雰囲気下、80
〜100℃、1〜4時間で撹拌処理することにより行
う。使用する過硫酸塩の量は、ポリオレフィン系繊維に
対して5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%で
ある。また、ポリオレフィン系繊維の過硫酸塩処理は、
メチルアルコール、エチルアルコール、シクロヘキサノ
ール、ベンジルアルコールのようなアルコールの存在化
に行うのが好ましい。アルコールの使用量は、過硫酸塩
に対して重量比で0.5〜5の範囲で用いることができ
る。更に、その他の酸化促進剤を共存させてもよい。
【0015】b.スルホン化処理 上記酸化処理されたポリオレフィン系繊維を用いてスル
ホン化処理を行う。スルホン化処理としては、発煙硫酸
又はクロル硫酸で処理してスルホン化する方法、濃硫酸
で処理してスルホン化する方法、三酸化イオウガス中で
処理してスルホン化する方法等があるが、発煙硫酸を用
いる処理は、スルホン化が容易に進むがポリオレフィン
系繊維自身を劣化させるため、濃硫酸で処理する方法が
好ましい。本発明の予め酸化処理したポリオレフィン系
繊維を用いると、よりマイルドな条件でスルホン化が可
能になり、回分式でスルホン化でき、温度コントロール
や時間のコントロールが容易にでき、繊維の劣化及び黒
色化を抑制できる30〜90℃の加熱下の濃硫酸法が好
ましい。
【0016】本発明の方法によると、ポリオレフィン系
繊維へのスルホン化率は繊維中の炭素元素に対するイオ
ウ元素の比率から求めて表すと0.1〜3重量%であ
り、好ましくは、0.3〜2重量%である。また本発明
においては、スルホン化が均一に行われ、次の工程で得
られる不織布から得られるアルカリ電池用セパレータ
は、電解液との濡れ性が向上し、充放電に際し、正極及
び負極内部で不均一反応が起き難く、サイクル寿命特性
に優れ、十分な親水性と強度を有し、充電時に正極より
発生する酸素ガスの透過性にも優れ、電池内圧の上昇を
抑えた優れた性能を有する。
【0017】本発明において、スルホン化ポリオレフィ
ン系繊維のスルホン基の確認と定量は、赤外線吸収スペ
クトルとX線光電子分光分析(以下、XPSという)に
よる表面元素組成分析により、表面から20Å深さでの
イオウと炭素の比率(以下、S/Cという)から求め
た。
【0018】スルホン化反応後は、速やかに反応液をア
ルカリ性溶液で中和し、電解液中に存在するものと同種
のカチオンと塩を形成させると同時に、スルホン化によ
る分解性副生物等を除去する必要がある。ここで電解液
中に存在するカチオンとしては、カリウムイオン、ナト
リウムイオン等が挙げられる。これは、中和されていな
いスルホン基は、電解液中で酸として挙動するために、
アルカリ電解液と中和反応を起こすために、電解液のp
Hが低下し、水素極の充電効率が低下し、過充電時に水
素ガスが発生し易くなるためであり、またカリウムイオ
ンやナトリウムイオンと塩化したスルホン基は水分子を
配位する力が非常に強いため、スルホン基がスルホン化
した幹の繊維の内部にマイグレーションし難くなり、よ
り一層、セパレータの親水性を長期間持続させることが
できる利点をもつことが挙げられる。
【0019】3.不織布化 前記スルホン化ポリオレフィン系繊維を使用して、湿式
抄造法、シンタリング法、ニードルパンチ法、カード
法、クロスレイヤー法、ランダムウエーバー法、エアー
フォーミング法等によって不織布を形成する。これらの
方法の内、湿式抄造法を用いる場合は、上述の方法で得
られたスルホン化ポリオレフィン系繊維を水中で界面活
性剤および消泡剤等を添加し、穏やかな撹拌のもと均一
なスラリーを形成する。このスラリーを抄紙して不織布
を形成する。
【0020】湿式抄造法は、生産速度が上記他の方法に
比べて速く、繊維の形態もステープル状、パルプ状等選
択の幅は広く、使用可能な繊維径も0.5デニール以下
の極細繊維から太い繊維まで繊維径の異なる繊維や複数
の種類の繊維を任意の割合で混合でき、他の方法に比
べ、良好な地合の不織布が得られる。
【0021】湿式抄造法で用いるポリオレフィン系繊維
の繊維長は、分散性及び強度の点から5〜20mmのも
のが好ましい。繊維長が20mmを超えると、分散剤を
選択しても、水中での分散工程が難しく、また分散濃度
を低くしなければならず、生産性が劣る。一方、繊維長
が5mm未満であると、分散工程は容易であるが、強度
が大きく、剛性の強い不織布を得ることは困難である。
【0022】また、湿式抄造法により、不織布を製造
後、水流交絡処理を施してポリオレフィン系繊維を3次
元的に交絡させてもよい。水流交絡処理を施した場合、
強度及び伸びを非常に大きくできる利点がある。
【0023】また、シンタリング法では、湿式抄造法と
同様に同一装置で繊維径の異なる繊維と複数の種類の繊
維を任意の割合で混合できる利点の他、湿式抄造法で用
いる多量の工程水や、分散剤を必要とせず、アルカリ電
池セパレータ用不織布としての不純物混入や、環境に優
しいという利点をもつ。なお、シンタリング法は、エア
ーフォーミング法を併用すると繊維の分散性をより均一
にできる。不織布化に際しては、上記スルホン化ポリオ
レフィン系繊維に未スルホン化繊維を加え、不織布の強
度をさらに向上させることもできる。
【0024】4.アルカリ電池用セパレータ 本発明のアルカリ電池用セパレータは、上記スルホン化
処理ポリオレフィン系繊維からなる親水化不織布を熱ロ
ール等により熱接着成形して得られる。本発明のアルカ
リ電池用セパレータとしての目付及び厚さは、目的に応
じて、不織布を形成した際の繊維径、保液性、地合(微
少短絡防止性)の関係から決められる。アルカリ電池用
セパレータとしては、薄い方が電解液に対して濡れ易
く、電池を小型化できる利点があるが、薄すぎると強度
上の問題及び短絡し易くなる。また、厚すぎたり、高密
度であると、電解液に浸漬するのに時間がかかり、スム
ーズな充放電反応に支障をきたす。更に、不織布を形成
した際の繊維径が細いと、突刺強度が上がり、微少短絡
を防ぐことができるとともに、保液性が上がり、サイク
ル寿命を向上できるが、充電時に正極より発生する酸素
ガスの透過性が悪くなり、過充電時の電池内圧が上昇
し、急速充電時の特性が悪くなるというデメリットがあ
る。
【0025】このようなことから、本発明のアルカリ電
池用セパレータとしては、孔径1〜200μm、空孔率
30〜80容量%、厚さ20〜500μm、繊維径1〜
100μm、目付5〜100g/m2の不織布が好適に
用いられ、電解液に対して濡れ易く、電解液保持特性が
大きく、充電時に正極より発生する酸素ガスの透過性に
優れ、かつ、高強度なアルカリ電池用セパレータであ
る。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。な
お、本発明は下記実施例に限定して解釈されるものでは
ない。本実施例における試験方法は以下の通りである。
【0027】(1)目付:試料長さ方向より、100×
100mmの試験片を採取し、水分平衡状態の重さを測
定し、1m2当たりに換算した。
【0028】(2)厚さ:試料長さ方向より、100×
100mmの試験片を採取し、ダイヤルシックネスゲー
ジ((株)三豊製作所製7321、1mm/1回転)で
測定した。
【0029】(3)引張強度:JIS L 1096に
準じ測定した。
【0030】(4)電解液吸液速度:試料長さ方向より
25mm×250mmの試験片を採取し、水槽上の一定
の高さに支えた水平棒にピンで止める。試験片の下端を
一線に並べて水平棒を下ろし、試験片の下端が5mmだ
け液中に漬かるように垂直に立て、毛管現象によりKO
H水溶液が上昇した高さを30分後に測定した。
【0031】(5)電解液保液率:試料長さ方向より1
00×100mmの試験片を採取し、温度20±2℃、
相対湿度65±2%の状態での水分平衡状態の重量
(W)を測定し、次に比重1.30のKOH溶液中に試
験片を広げて浸し、1時間吸収させた後、溶液から引き
上げて10分後の試験片の重量(W1)を測定して、次
の式により算出した。 電解保液率(%)=(W1−W)/W×100
【0032】(6)遠心脱水保液率:試料長さ方向より
34mmφの試験片を採取し、温度20±2℃、相対湿
度65±2%の状態での水分平衡状態の重量(W)を1
mgまで測定する。次に試験片を比重1.30のKOH
水溶液中に広げて浸し、充分吸収させた後、液中から引
き上げて、ADVAVTEC(株)製、No2の55m
mφの濾紙に挟み、日立製作所(株)製の遠心分離機で
あるhimacCT6Dで1000rpm×10分間の
遠心力をかけた後の試験片の重量(W1)を測定して、
次の式により算出した。 遠心脱水保液率(%)=(W1−W)/W×100
【0033】実施例1 単糸繊度0.9デニール、長さ5mmの芯成分が融点1
65℃のポリプロピレン、鞘成分が融点124℃のポリ
エチレンで、芯鞘の容積比率が50:50からなる芯鞘
型複合繊維を40重量%、単糸繊度0.7デニール、長
さ10mmのポリプロピレン繊維を40重量%、及び融
点125℃のポリエチレンベース合成パルプ(三井石油
化学工業(株)製、UL415)を20重量%の混合物
からなる繊維塊状物30重量部に、過硫酸カリウム3重
量部、エチルアルコール6重量部、精製水600重量部
を回分式の反応槽に投入後、高速ミキサーで撹拌しなが
ら、100℃、2時間酸化反応を行った。反応後、脱水
してから、市販の濃度98%の濃硫酸を投入し、温度6
0℃で2時間スルホン化を行った。続いて、反応液を室
温まで冷却し、徐々に精製水を投入し、希釈した硫酸水
溶液を反応槽の下部より抜き取った。さらに精製水で洗
浄した後、2.5%苛性カリ水溶液を加えて、90℃で
120分間中和処理した、水洗乾燥後、精製水とともに
高速ミキサーを用いてスラリー化させ、目付60g/m
2の湿式不織布を抄造した。この時のスルホン化された
繊維塊状物は、スルホン化され易いポリエチレン素材
と、され難いポリプロピレン素材や繊度の異なる単繊維
が入っているにも関わらず、黒色化がなく、均一に茶色
化されており、XPSによる表面元素組成分析では、表
面から20Åの深さでのS/Cの値は、11/1000
(at.ratio)であった。続いて、得られた湿式
不織布を125℃に加熱した一対のローラにより熱圧着
して、厚み0.20mmのアルカリ電池用セパレータを
得た。このセパレータについて、引張強度、保液率、吸
液速度、及び遠心脱水保液率を測定した。その結果を表
1に示す。
【0034】実施例2 実施例1において、酸化剤である過硫酸カリウムを3重
量部の代わりに、6重量部を用いる以外は、実施例1と
同様の方法で目付60g/m2、厚み0.20mmのア
ルカリ電池用セパレータを得た。このセパレータについ
て、引張強度、保液率、吸液速度、及び遠心脱水保液率
を測定した。その結果を表1に示す。なお、XPSによ
る表面元素組成分析では、表面から20Åの深さでのS
/Cの値は、15/1000(at.ratio)であ
った。
【0035】実施例3 融点125℃のポリエチレンベース合成パルプ(三井石
油化学工業(株)製、UL415)を50重量%、融点
160℃のポリプロピレンベース合成パルプ(三井石油
化学工業(株)製、Y600)を50重量%の混合物か
らなる繊維塊状物30重量部に、過硫酸アンモン3重量
部、エチルアルコール6重量部、精製水600重量部を
回分式の反応槽に投入後、高速ミキサーで撹拌しなが
ら、100℃、2時間酸化反応を行った。反応後、脱水
してから、市販の濃度98%の濃硫酸を投入し、温度6
0℃で2時間スルホン化を行った。続いて、反応液を室
温まで冷却し、徐々に精製水を投入し、希釈した硫酸水
溶液を反応槽の下部より抜き取った。さらに精製水で洗
浄した後、2.5%苛性カリ水溶液を加えて、90℃で
120分間中和処理した、水洗乾燥後、実施例1で使用
した単糸繊度0.9デニール、長さ5mmの芯鞘型複合
繊維を40重量%となるように投入し、その混合繊維塊
状物を粉砕機で分散させた。その後、シンター加工機を
用いて、粉砕した繊維塊状物を振り落とし、130℃に
加熱した一対のテフロンベルトにはさみ、目付80g/
2の不織布を得た。この時のスルホン化された繊維塊
状物は、黒色化がなく、均一に茶色化されており、XP
Sによる表面元素組成分析では、表面から20Åの深さ
でのS/Cの値は、18/1000(at.rati
o)であった。次に、得られた湿式不織布を125℃に
加熱した一対のローラにより熱圧着して、厚み0.25
mmのアルカリ電池用セパレータを得た。このセパレー
タについて、引張強度、保液率、吸液速度、及び遠心脱
水保液率を測定した。その結果を表1に示す。
【0036】比較例1 実施例1において、過硫酸カリウムの存在下に100
℃、2時間の酸化処理を行わない以外は、実施例1と同
様の方法でスルホン化を行った。スルホン化され易いポ
リエチレン素材と、され難いポリプロピレン素材や繊度
の異なる単繊維が入っていると共に、スルホン化剤とし
てはマイルドな濃硫酸を使用したため、スルホン化され
ている部分とされていない部分が明確に分かれ、かつ紫
色のスルホン化が十分でないものが得られたため、以後
の操作を行わなかった。
【0037】比較例2 実施例1において、過硫酸カリウムの存在下に100
℃、2時間の酸化処理を行わず、スルホン化を回分式の
反応槽の温度40℃、濃度20%の発煙硫酸中に20分
間浸漬して行った以外は、実施例1と同様の方法で湿式
不織布を抄造した。この時のスルホン化された繊維塊状
物は、過酷なスルホン化条件のため、黒色化が目立ち、
均一に茶色化されていなかった。また、XPSによる表
面元素組成分析では、表面から20Åの深さでのS/C
の値は、18/1000(at.ratio)であっ
た。次に、得られた湿式不織布を125℃に加熱した一
対のローラにより熱圧着して、厚み0.20mmのアル
カリ電池用セパレータを得た。このセパレータについ
て、引張強度、保液率、吸液速度、及び遠心脱水保液率
を測定した。その結果を表1に示す。
【0038】比較例3 実施例2において、スルホン化処理を行わない以外は、
実施例2と同様の方法で目付60g/m2、厚み0.2
0mmのアルカリ電池用セパレータを得た。このセパレ
ータについて、引張強度、保液率、吸液速度、及び遠心
脱水保液率を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1より明らかなように、過硫酸塩であら
かじめ酸化処理を行ったポリオレフィン系繊維をスルホ
ン化すると、ポリオレフィン系繊維に対するスルホン化
率は高くなり、そのスルホン化ポリオレフィン系繊維の
不織布から得られたアルカリ電池セパレータは、電解液
吸収速度及び電解液保液率が高く、遠心脱水というよう
な過酷な処理を行っても約1割の電解液を保有している
(実施例1〜3)。一方、過硫酸塩であらかじめ酸化処
理を行わなかったポリオレフィン系繊維からは、高いス
ルホン化率は得られず、それを用いた不織布からのアル
カリ電池用セパレータは電解液吸収速度及び電解液保液
率は低く、遠心脱水処理を行うとほとんどの電解液は保
液されていない(比較例2)。また、過硫酸塩による酸
化処理だけでは、ポリオレフィン系繊維には水親和性は
付与されず、その繊維の不織布は、アルカリ電池用セパ
レータとしての機能を発揮しない(比較例3)。
【0041】
【発明の効果】本発明によると、ポリオレフィン系繊維
を過硫酸塩の存在下に酸化処理した後、スルホン化する
とマイルドなスルホン化剤を用いても容易にスルホン化
でき、スルホン化されたポリフィン系繊維を含有する不
織布は、電解液に対して濡れやすく、電解液保持特性が
大きく、充電時に正極より発生する酸素ガスの透過性に
優れ、かつ強度が備わっており、アルカリ電池用セパレ
ータとして優れている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過硫酸塩の存在下に酸化処理した後、ス
    ルホン化処理したポリオレフィン系繊維を含有する不織
    布からなるアルカリ電池用セパレータ。
  2. 【請求項2】 過硫酸塩の存在下に酸化処理した後、ス
    ルホン化処理したポリオレフィン系繊維を不織布化後、
    加熱成形してなることを特徴とするアルカリ電池用セパ
    レータの製造方法。
  3. 【請求項3】 不織布化方法が、湿式抄造法である請求
    項2記載のアルカリ電池用セパレータの製造方法。
  4. 【請求項4】 不織布化方法が、シンタリング法である
    請求項2記載のアルカリ電池用セパレータの製造方法。
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