JP2015041457A - 電池セパレータ用不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池構成機での群巻回作業時における耐リーク性に優れた電池セパレータ用不織布を提供することにある。【解決手段】ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維のみを含有し、湿式抄造法によりウェブ形成され、水流交絡処理を施さずに、スルホン化処理された電池セパレータ用不織布において、該ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)が700〜1500であり、繊維径が7.5〜15.0μmであり、乾強度が2.5〜3.8cN/dtexであることを特徴とする電池セパレータ用不織布。【選択図】なし

Description

本発明は、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池等のアルカリ二次電池に好適に使用できる電池セパレータ用不織布に関するものである。
ニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池等のアルカリ二次電池は、充放電特性、過充放電特性に優れ、長寿命で繰り返し使用できるため、コードレス電話、ノートパソコン、オーディオ機器等の小型電子機器の他、電動工具、電動自転車等の小型動力用途、ハイブリッド自動車、電気自動車等の大型動力用途等にも広く使用されている。このアルカリ二次電池に用いられている電池用セパレータの役割としては、正極と負極の分離、短絡の防止、電解液(高濃度アルカリ性水溶液)の吸液及び保持、また、電極反応により生じるガスの透過等が挙げられる。
従来、電池用セパレータとしては、一般に不織布が用いられてきた。ニッケル−カドミウム電池では、電解液に濡れやすく、その保液量が大きく、しかも電解液を含んだ状態で電気抵抗の低いポリアミド系繊維からなる不織布が使用されてきた。しかし、ニッケル−水素電池では、ポリアミド系繊維の加水分解による分解生成物が自己放電を促進してしまうために、耐アルカリ性及び耐酸化性に優れたポリオレフィン系繊維を主体とする不織布が主として使用されている。
一方、ポリオレフィン系繊維を主体とする不織布は親水性が低いため、スルホン化処理、親水性単量体のグラフト処理、コロナ放電処理、界面活性剤付与処理等が施されるのが一般的である。
このうち、スルホン化処理は、発煙硫酸や濃硫酸等によって不織布にスルホン酸基を導入する方法である(例えば、特許文献1〜3参照)。スルホン化処理を施した不織布は電解液の保液性が優れると共に、電池の自己放電反応を抑制する効果が見られる。一方、強烈な酸化反応により繊維自体が脆化しやすく、強度物性の低下が起きやすい欠点がある。
スルホン化処理に用いられる不織布としては、乾式不織布又は湿式不織布が用いられる。電池の高容量化や内部短絡防止のため、地合の均一性に優れる不織布が求められており、その観点からは、一般的に乾式不織布よりも湿式不織布が優れている。
ポリオレフィン系繊維は、耐アルカリ性や耐酸化性に優れるため、電池の長寿命化に有効であるが、ポリオレフィン系繊維のみからなる不織布の製造は比較的難しい。特に湿式不織布の製造においては、ヤンキードライヤーでの加熱乾燥時の熱収縮による面割れや厚みプロファイルの不均一が生じやすく、巻きずれや巻きシワが発生しやすく、製造安定性に劣るという問題があった。また、近年の電子機器の小型軽量化に伴い、アルカリ二次電池の高容量化が要求されていることから、電池セパレータ用不織布の容積(坪量)を減少させ、厚みを薄くすることによって、正極活物質及び負極活物質の量を増やし、アルカリ電池の高容量化を図ろうとする試みがなされている。
電池セパレータ用不織布の容積(坪量)を減少させ、厚みを薄くした場合、電池構成機の群巻回作業の際に、正極から微小クラークが発生した場合や、極板のエッジにバリが存在すると、その微小クラークやバリが電池セパレータ用不織布を貫通して短絡を発生させたり、極板のエッジで電池セパレータ用不織布に破れを発生させたりすることがあり、歩留まりを悪化させる問題があった。
これを解決する手段として、繊維径8μm以上の親水化ポリオレフィン系繊維から主に構成される繊維シートを含み、前記親水化ポリオレフィン系繊維の一部が、引張強さが5g/d以上の高強度繊維であるアルカリ電池用セパレータ及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、引張強さが5g/d以上の高強度繊維(特に、高強度ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維)は繊維分散性に劣り、未離解繊維が残りやすく、カレンダー処理でフィルム化が発生しやすい問題点があった。これを解決するためには、特殊な離解機が必要なため、工程が煩雑となり、生産性が劣るという課題を有していた。更には、高強度ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維は、高強度化する際に、極度に延伸させているため、ヤンキードライヤーで乾燥させた場合、収縮が大きく、面割れが起きやすい問題点がある。
特開昭58−175256号公報 特開昭64−57568号公報 特開平6−140018号公報 特許第4164237号公報
本発明の課題は、容易に入手可能なポリオレフィン系芯鞘型複合繊維を用い、電池構成機での群巻回作業時における耐リーク性に優れ、強度面に優れた電池セパレータ用不織布と長寿命な電池を提供することにある。
この課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明の電池セパレータ用不織布に関する下記解決手段を見出した。
(1)ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維のみを含有し、湿式抄造法によりウェブ形成され、水流交絡処理を施さずに、スルホン化処理された電池セパレータ用不織布において、該ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)が700〜1500であり、繊維径が7.5〜15.0μmであり、乾強度が2.5〜3.8cN/dtexであることを特徴とする電池セパレータ用不織布である。
本発明において、ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維のみを含有する不織布が、湿式抄造法によりウェブ形成され、水流交絡処理を施さずに、スルホン化処理された電池セパレータ用不織布は、該ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)が700〜1500であり、繊維径が7.5〜15.0μmであり、乾強度が2.5〜3.8cN/dtexを用いることにより、繊維の分散性を良好に保ちつつ、スルホン化処理を施しても、電池用セパレータとして適切な強度を有し、電池構成機での群巻回作業時における耐リーク性に優れた電池セパレータ用不織布を得ることができる。
本発明で使用するポリオレフィン系芯鞘型複合繊維における芯成分と鞘成分の組合せとしては、芯成分がポリプロピレン、鞘成分が高密度ポリエチレンの組合せ、芯成分がポリプロピレン、鞘成分が中密度ポリエチレンの組合せ、芯成分がポリプロピレン、鞘成分が低密度ポリエチレンの組合せ、芯成分がポリエチレン、鞘成分が直鎖状低密度ポリエチレンの組合せ、芯成分がポリプロピレン、鞘成分がエチレン−プロピレン共重合体の組合せ、芯成分がポリプロピレン、鞘成分がポリブテン−1の組合せ等が挙げられる。これらポリオレフィン系芯鞘型複合繊維の中でも、芯成分がポリプロピレン、鞘成分が高密度ポリエチレンの組合せである芯鞘型複合繊維が抄造性に優れ、強度の高い不織布が得られるため好ましく用いられる。
前記芯成分がポリプロピレン、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維において、芯成分のポリプロピレンは、繊維物性を調整するため、必要に応じて高密度ポリエチレンやポリメチルペンテン等の他のポリオレフィンを混合することができる。前記ポリプロピレン以外のポリオレフィンの混合比率としては、芯成分の10質量%以下であることが好ましい。また、鞘成分の高密度ポリエチレンについても、繊維物性を調節するため、必要に応じてポリプロピレンやエチレン−プロピレン共重合体等の他のポリオレフィンを混合することができる。前記高密度ポリエチレン以外のポリオレフィンの混合比率としては、鞘成分の10質量%以下であることが好ましい。
本発明に使用されるポリオレフィン系芯鞘複合繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)は、不織布強度と抄造性の観点から、700以上1500以下であり、850以上1200以下が更に好ましい。アスペクト比(繊維長/繊維径)を、上記の範囲とした場合、地合を損ねない程度に繊維が適度に絡み、不織布の引張強度と破断伸度が格段に向上すること、また、横方向の引裂強度も格段に向上するため、スルホン化処理により強度の低下があったとしても、十分な強度が維持でき、電池構成機での群巻回作業時における耐リーク性に優れた電池セパレータ用不織布を得ることができる。アスペクト比が700未満の場合には、スルホン化処理の過程で、不織布の強度と伸びが低下し、電池構成機の群巻回作業の際に、極板の厚みとエッジで該不織布に破れを発生させることがあり、歩留まりが悪化する。アスペクト比が1500を超えた場合、地合不良となりやすく、繊維の分散濃度を下げる必要が出てくるなど、生産性に課題が出てくる。
本発明に使用されるポリオレフィン系芯鞘複合繊維の繊維径は、不織布強度と抄造性と電解液の保液性の観点から、繊維径は7.5μm以上15.0μm以下であり、8.0μm以上12.0μm以下が更に好ましい。繊維径がこの範囲であれば、アスペクト比の調整がしやすく、不織布の緻密性が維持できるため、強度特性や電解液の保液性が確保できる。繊維径が7.5μm未満の場合には、スルホン化処理により、繊維自体の強度の低下が著しくなる。一方、繊維径が15.0μmを超えた場合、最大細孔径が拡大し、緻密性が低下するため、電池構成機の群巻回作業の際に、正極から微小クラークが発生する場合や、極板のエッジにバリが存在すると、その微小クラークやバリが該不織布を貫通して短絡を発生させることがある。また、緻密性が低下することから、電解液の保液性が悪化し、電池の寿命が低下することがある。
本発明に使用されるポリオレフィン系芯鞘複合繊維の繊維長は8mm以上20mm以下が好ましい。繊維長が8mm未満の場合には、スルホン化処理をした場合、不織布に十分な機械的強度と伸びが得られない場合がある。繊維長が20mmを超えた場合には、地合不良となり、良好な不織布が形成できなくなる場合がある。特に、湿式不織布では、分散時の繊維同士の異常な絡みが発生し、均一な分散状態にならず、地合不良となる場合や、繊維の分散濃度を下げないと、スクリーン等の除塵装置が詰まる問題が発生することがある。
本発明に使用されるポリオレフィン系芯鞘複合繊維の乾強度は、容易に入手可能な2.5〜3.8cN/dtexである。この範囲の乾強度があれば、スルホン化処理後でも適切な強度を維持でき、耐ショート性を確保できる。乾強度が2.5cN/dtex未満の場合、不織布の突刺強度が低下するため、電池構成機の群巻回作業の際に、正極から微小クラークが発生する場合や、極板のエッジにバリが存在すると、その微小クラークやバリが該不織布を貫通して短絡を発生させることがある。乾強度が3.8cN/dtexを超えた場合、樹脂成分をコントロールする必要があり、繊維が容易に製造することが困難になる場合がある。
本発明において、不織布がポリオレフィン系芯鞘複合繊維のみ含有することが好ましい。熱融着繊維であるポリオレフィン系芯鞘複合繊維をのみ含有させることにより、繊維同士の接着箇所が増加し、不織布強度が向上する。また、ポリオレフィン系芯鞘複合繊維の鞘成分のみ効率良く、スルホン化処理させることができる。
ポリオレフィン系芯鞘複合繊維を含有する繊維ウェブを形成する湿式抄造法としては、例えば、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、及び短網・円網コンビネーション方式のように複数組み合わせたコンビネーション方式等が挙げられる。上記の製造方法により得られた不織布を電池用セパレータとして使用する場合、ピンホールや欠点を防止するため、短網・円網又は円網・円網を組み合わせたコンビネーション方式が好ましい。
繊維ウェブから不織布を製造する方法としては、熱融着繊維であるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維を含有するウェット状態の繊維ウェブを加熱乾燥させると同時に繊維同士の熱融着を生じさせる。この加熱乾燥方式として、ヤンキードライヤーと熱風フード式乾燥機を組み合わせた方法が用いられる。
本発明の製造方法により製造された不織布は、適切な強度を有し、低密度化された不織布である。該不織布にスルホン化処理を施し、繊維の表面から内部にスルホン酸基を導入することにより、親水化した電池セパレータ用不織布を得ることができる。スルホン化処理法としては、二酸化硫黄ガス、三酸化硫黄ガス等による気相処理法や熱濃硫酸、発煙硫酸、又はクロロ硫酸等による液相処理法等を使用することができる。本発明の電池セパレータ用不織布においては、気相処理法によるスルホン化処理が好ましい。液相処理法によるスルホン化処理は、反応条件の設定が難しく、反応時間を長くし過ぎた場合や温度を高くし過ぎた場合に、不織布が炭化、収縮、フィルム化しやすいという問題や多量の強酸性廃液が出るという問題がある。
本発明の電池セパレータ用不織布においては、電解液との親和性を更に向上させるために、スルホン化処理後の不織布にコロナ放電処理を施すことや、界面活性剤を付与することができる。用いられる界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、リン酸エステル塩、長鎖脂肪酸塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤等の陰イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレン誘導体類、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、含浸、塗布、スプレーした後、乾燥することにより不織布に付与することができ、界面活性剤の付与量は、スルホン化処理後の不織布に対して、0.1質量%以上1.0質量%以下が好ましい。
本発明の電池セパレータ用不織布においては、必要に応じて、スーパーカレンダーや熱カレンダー処理により、厚みを調整して用いられる。本発明の電池セパレータ用不織布の坪量は、30g/m以上100g/m以下の範囲が好ましく、40g/m以上80g/m以下の範囲が更に好ましい。厚みは、60μm以上250μm以下の範囲が好ましい。電池用セパレータの坪量及び厚みは、適用する電池の特性に応じて、適宜選択できる。ここで目付は、JIS P 8124に規定されている坪量を表し、厚みはJIS P 8118に規定される厚さを表す。また、本発明の電池用セパレータの最大細孔径は1μm以上50μm以下の範囲が好ましい。最大細孔径が50μmを超えて大きくなると、短絡しやすくなり、電池製造時の不良率が大きくなる場合がある。最大細孔径が1μm未満では、酸素ガス透過性やイオン導電性が低下する場合がある。ここで、最大細孔径はJIS K 3832に規定されるバブルポイント法による最大細孔径を表す。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
芯成分がポリプロピレンで、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維(繊度0.8dtex、繊維径10.5μm、繊維長10mm、アスペクト比952、乾強度3.2cN/dtex)100質量部を、パルパーの水中で離解、分散させ、アジテーターで緩やかに撹拌して均一な抄造用スラリーを調製した。この抄造用スラリーを傾斜ワイヤー型短網抄紙機による湿式抄造法を用いてウェブを形成し、138℃に設定されたヤンキードライヤーと140℃の熱風フードで乾燥させると共に、ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維の鞘部分を熱溶融接着させ、不織布の巻き取りを得た。
このようにして得られた不織布に対して、三酸化硫黄ガスを含む75℃の乾燥空気中で、25秒間スルホン化処理を行い、2.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液で中和し、イオン交換水で十分洗浄し、次いで、界面活性剤として、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムを、スルホン化処理後の不織布に対して0.3質量%となるようにスプレー塗布し、乾燥後、カレンダー処理により厚み調整して、硫黄含有率0.55質量%、坪量63.0g/m、マイクロメーターで測定した厚さが180μmの電池セパレータ用不織布を得た。
(実施例2)
芯成分がポリプロピレンで、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維(繊度1.2dtex、繊維径12.9μm、繊維長10mm、アスペクト比775、乾強度2.8cN/dtex)100質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、不織布を抄造し、スルホン化処理し、界面活性剤を付着させ、カレンダー処理を行い、硫黄含有率0.58質量%、坪量63.2g/m、マイクロメーターで測定した厚さが182μmの電池セパレータ用不織布を得た。
(実施例3)
芯成分がポリプロピレンで、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維(繊度0.8dtex、繊維径10.5μm、繊維長12mm、アスペクト比1143、乾強度3.5cN/dtex)100質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、不織布を抄造し、スルホン化処理し、界面活性剤を付着させ、カレンダー処理を行い、硫黄含有率0.50質量%、坪量63.5g/m、マイクロメーターで測定した厚さが183μmの電池セパレータ用不織布を得た。
(実施例4)
芯成分がポリプロピレンで、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維(繊度0.4dtex、繊維径7.5μm、繊維長11mm、アスペクト比1467、乾強度3.8cN/dtex)100質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、不織布を抄造し、スルホン化処理し、界面活性剤を付着させ、カレンダー処理を行い、硫黄含有率0.52質量%、坪量62.2g/m、マイクロメーターで測定した厚さが178μmの電池セパレータ用不織布を得た。
(実施例5)
芯成分がポリプロピレンで、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維(繊度1.5dtex、繊維径14.8μm、繊維長15mm、アスペクト比1014、乾強度2.5cN/dtex)100質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、不織布を抄造し、スルホン化処理し、界面活性剤を付着させ、カレンダー処理を行い、硫黄含有率0.56質量%、坪量63.8g/m、マイクロメーターで測定した厚さが180μmの電池セパレータ用不織布を得た。
(実施例6)
芯成分がポリプロピレンで、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維(繊度0.8dtex、繊維径10.5μm、繊維長12mm、アスペクト比1143、乾強度3.5cN/dtex)100質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、不織布を抄造し、スルホン化処理し、界面活性剤を付着させ、カレンダー処理を行い、硫黄含有率0.50質量%、坪量55.3g/m、マイクロメーターで測定した厚さが120μmの電池セパレータ用不織布を得た。
(比較例1)
芯成分がポリプロピレンで、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維(繊度0.8dtex、繊維径10.3μm、繊維長7mm、アスペクト比680、乾強度3.3cN/dtex)100質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、不織布を抄造し、スルホン化処理し、界面活性剤を付着させ、カレンダー処理を行い、硫黄含有率0.53質量%、坪量62.4g/m、マイクロメーターで測定した厚さが181μmの電池セパレータ用不織布を得た。
(比較例2)
芯成分がポリプロピレンで、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維(繊度0.5dtex、繊維径7.9μm、繊維長12mm、アスペクト比1519、乾強度3.7cN/dtex)100質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、不織布を抄造し、スルホン化処理し、界面活性剤を付着させ、カレンダー処理を行い、硫黄含有率0.52質量%、坪量63.0g/m、マイクロメーターで測定した厚さが182μmの電池セパレータ用不織布を得た。
(比較例3)
芯成分がポリプロピレンで、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維(繊度1.2dtex、繊維径12.9μm、繊維長5mm、アスペクト比388、乾強度2.8cN/dtex)100質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、不織布を抄造し、スルホン化処理し、界面活性剤を付着させ、カレンダー処理を行い、硫黄含有率0.55質量%、坪量63.4g/m、マイクロメーターで測定した厚さが180μmの電池セパレータ用不織布を得た。
(比較例4)
芯成分がポリプロピレンで、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維(繊度0.8dtex、繊維径10.8μm、繊維長5mm、アスペクト比463、乾強度5.0cN/dtex)100質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、不織布を抄造し、スルホン化処理し、界面活性剤を付着させ、カレンダー処理を行い、硫黄含有率0.58質量%、坪量62.5g/m、マイクロメーターで測定した厚さが181μmの電池セパレータ用不織布を得た。
(比較例5)
芯成分がポリプロピレンで、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維(繊度0.4dtex、繊維径7.3μm、繊維長5.2mm、アスペクト比712、乾強度3.8cN/dtex)100質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、不織布を抄造し、スルホン化処理し、界面活性剤を付着させ、カレンダー処理を行い、硫黄含有率0.54質量%、坪量63.2g/m、マイクロメーターで測定した厚さが183μmの電池セパレータ用不織布を得た。
(比較例6)
芯成分がポリプロピレンで、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維(繊度1.7dtex、繊維径15.4μm、繊維長15mm、アスペクト比974、乾強度2.5cN/dtex)100質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、不織布を抄造し、スルホン化処理し、界面活性剤を付着させ、カレンダー処理を行い、硫黄含有率0.55質量%、坪量63.8g/m、マイクロメーターで測定した厚さが185μmの電池セパレータ用不織布を得た。
(比較例7)
芯成分がポリプロピレンで、鞘成分が高密度ポリエチレンであるポリオレフィン系芯鞘型複合繊維(繊度1.5dtex、繊維径14.8μm、繊維長12mm、アスペクト比811、乾強度2.3cN/dtex)100質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、不織布を抄造し、スルホン化処理し、界面活性剤を付着させ、カレンダー処理を行い、硫黄含有率0.52質量%、坪量64.2g/m、マイクロメーターで測定した厚さが181μmの電池セパレータ用不織布を得た。
各実施例及び比較例における[硫黄含有率]の測定方法を説明する。スルホン化処理された電池セパレータ用不織布から直径35mmの試料を採取し、イオン交換水200mL中で10分間、2回洗浄し、60℃で10分間乾燥して測定用試料を作製した。この試料をホルダーにセットして、蛍光X線装置(装置名:ZSX Primus II、Rhターゲット、50kV−50mA、(株)リガク製)で全元素測定を行った。硫黄含有率は、測定値を半定量分析法であるSQX計算することで算出し、スルホン化処理量を質量%で見積もった。
<評価>
実施例及び比較例で得られた電池セパレータ用不織布について、下記の評価を行い、結果を表1に示した。
[坪量の評価]
水分平衡状態の不織布から、50mm×200mmの試料片を幅方向から10枚採取し、各サンプルの質量を測定し、質量×100で1m当たりの坪量に換算し、その平均値を求めた。
[厚みの評価]
坪量を測定した各試料片について、直径6.35mmのマイクロメーターを用いて、四角の厚さを4点測定し、平均値を求め、更に、試料片10枚の平均値を求めた。
[引張強度と最大点伸度の評価]
坪量を測定した試料片10枚について、JIS P 8113に準じて、卓上型材料試験機(装置名:STA−1150、(株)オリエンテック製)を用いて、引張強度と最大点伸度を測定し、10枚の平均値を不織布の引張強度と最大点伸度とした。但し、チャック間隔は100mm、引張速度は300mm/minとする。
[突刺強度の評価]
先端に曲率1.6の丸みをつけた直径1mmの金属針を卓上型材料試験機(装置名:STA−1150、(株)オリエンテック製)に装着し、試料面に対して直角に1mm/秒の一定速度で貫通するまで降ろした。この時の最大荷重(N)で計測し、幅方向で等間隔に10箇所の平均値を求めた。
[横方向の引裂強度の評価]
流れ方向63mm、幅方向76mmの試験片を幅方向から10枚採取し、JIS P 8116−2000に準じて、エレメンドルフ引裂度試験機を用いて、1枚ずつ測定し、16枚に換算した値を求め、試験片10枚の平均値を求めた。
[電池の作製]
電極の集電体として、発泡ニッケル基材を用いたペースト式水酸化ニッケル正極(40mm幅)と、ニッケルメッキパンチングメタル基材を用いた水素吸蔵合金負極(40mm幅)を1枚ずつ用い、これらの電極の間に、43mm幅の実施例及び比較例で得られた電池用セパレータを介在させて、電池構成機を用いて巻き取り、渦巻状極板群を作製した。該渦巻状極板群を円筒形の金属ケースに収納した後、1N水酸化リチウムを含む7N水酸化カリウム水溶液を主体とするアルカリ電解液を一定量注入した後、安全弁付きの封印蓋を取り付けて、公称容量が1.7Ahの単3形密閉式ニッケル水素電池を1万個作製した。その後、正極と負極との間に240Vの電圧を印加し、電気抵抗が1kΩを超えるものを正常とし、超えないものをリーク不良として、その割合を求めた。
Figure 2015041457
実施例1〜5の結果から、ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維の繊維径を7.5〜15.0μmとし、アスペクト比を700〜1500の範囲にすることで、乾強度が2.5〜3.8cN/dtexの範囲の繊維を用いても、繊維の適度な絡みと適度な融着により、引張強度が格段に向上し、更に、アスペクト比を高くするほど、横方向の引裂強度が向上した。その結果、電池構成機の群巻回作業の際に、極板の厚みやエッジによる破れを防止することができ、リーク不良を0.3%以内に抑えることが可能であった。
実施例6は、実施例3に対して、坪量を下げ、厚みを薄くした場合であるが、繊維本数が少なくなり、縦の引張強度、突刺強度、横の引裂強度が低下したため、リーク不良率が0.4%に低下したが、リーク不良率はぎりぎり許容内のレベルであった。
比較例1は、実施例1に対して、ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維の繊維長を7mmとし、アスペクト比を700未満とした場合であるが、縦の引張強度と横の引裂強度が低下し、リーク不良率が0.6%に悪化した。
比較例2は、実施例4に対して、ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維の繊維径を7.9μmとし、繊維長を12mmとし、アスペクト比が1500を超えた場合であるが、不織布に繊維のよれやもつれによる繊維の塊や繊維の分散不良が所々に見られるようになり、その結果、縦の引張強度や横の引裂強度が高いにも拘わらず、リーク不良が0.8%に悪化した。
比較例3は、実施例2に対して、ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維の繊維長を5mmとし、アスペクト比が700をはるかに低くなった場合であるが、横の引裂強度の低下が見られ、リーク不良率は3.0%と極端に悪化した。
比較例4は、実施例1に対して、ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維の繊維長を5mmとし、アスペクト比が700未満であるが、乾強度が5.0cN/dtexと高くした場合である。繊維の乾強度を高めることで、縦の引張強度や突刺強度や横の引裂強度が向上したが、湿式抄紙でシートを形成し、乾燥する際に面割れが発生しやすく、また、繊維の分散時に繊維の未離解が発生しやすかった。その結果、リーク不良率は0.5%と期待したよりも低いレベルであった。
比較例5は、実施例4に対して、ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維の繊維径を7.3μmとした場合であるが、スルホン化処理により、強度物性の低下が大きく、アスペクト比が700以上であったにも拘わらず、リーク不良率が0.6%と悪化した。
比較例6は、ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維の繊維径が15μmを超えた場合であるが、繊維の融着点が減少するため、スルホン化処理により、強度物性の低下が大きく、アスペクト比が700以上であったものの、細孔径の拡大もあり、リーク不良率が1.2%に悪化した。
比較例7は、ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維の乾強度が2.5cN/dtex未満の場合であるが、突刺強度が低くなり、リーク不良率が0.7%に悪化した。
本発明の活用例としては、ニッケル−カドミウム二次電池、ニッケル−水素二次電池等のアルカリ二次電池用セパレータが挙げられる。また、イオン交換シート、フィルター、分離膜支持体、建材用シート、リチウムイオン電池セパレータ、キャパシタ用セパレータ、電磁波シールド基材等の不織布にも利用することができる。

Claims (1)

  1. ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維のみを含有し、湿式抄造法によりウェブ形成され、水流交絡処理を施さずに、スルホン化処理された電池セパレータ用不織布において、該ポリオレフィン系芯鞘型複合繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)が700〜1500であり、繊維径が7.5〜15.0μmであり、乾強度が2.5〜3.8cN/dtexであることを特徴とする電池セパレータ用不織布。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110670240A (zh) * 2019-10-31 2020-01-10 东华大学 一种可使液体快速下渗并抑制回渗的无纺布及其制备方法

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