JP3709160B2 - 合成樹脂材料の表面改質方法及び電池セパレータの製造方法 - Google Patents

合成樹脂材料の表面改質方法及び電池セパレータの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂材料を安全、かつ効率的に表面改質する方法であり、詳しくは、多孔性合成樹脂シートの空隙内部まで均一に表面改質ができ、材料にスルホン基および他の親水性官能基を固定する電池用セパレータなど不織布の親水化に好適な表面改質方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリオレフィン系不織布からなる電池セパレータは、耐アルカリ性に優れていることから、アルカリ2次電池セパレータとして好適に使用されている。しかしポリオレフィン系繊維は電解液との親和性に乏しいため、ポリオレフィン系不織布に親水性を付与する様々な親水化処理方法が提案されている。親水化表面改質処理方法として、フッ素ガスの酸化力を利用して亜硫酸ガスなどを繊維表面に官能基として固定させる方法がある。例えば、特開平4−59838公報では、25vol%以上の亜硫酸ガス雰囲気下にシートをさらし、連続して25vol%以上のフッ素ガス雰囲気下でシートと各ガスを接触させる方法が提案されている。また、特開平10−7829公報では亜硫酸ガスと酸素ガス、フッ素ガス、酸素を混合させた状態で表面改質処理を行う方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記表面改質方法には、以下のような問題点がある。例えば、特開平4−59838号公報では、電解液との親和性を向上させる親水基を繊維表面に固定させることできるが、前記方法では亜硫酸ガスとフッ素ガスの比較的高濃度のガス雰囲気下で表面改質処理を施すため、被処理体表面で2成分のガスの発熱反応により繊維表面の温度上昇が発生し、ある濃度限界値を超えるとガス同士の化学反応が促進され、工業的に安全性に問題となる場合がある。また、常圧下で表面改質処理を施すため、高目付の不織布、見掛け密度の大きい不織布、あるいは極細繊維を用いた緻密な不織布などでは不織布内部までガスが浸透しにくく、その結果不織布内部まで親水化処理が均一にされにくい欠点がある。また、特開平10−7829号公報では、同時に亜硫酸ガス、フッ素ガスを混合した系でロール形状のサンプルを巻き取って親水化処理を施すため、ガス同士の反応、あるいはガスと基布との反応によって、反応系内の亜硫酸ガス、フッ素ガスの濃度が経時的に変化する要因が大きく、不織布の長さ方向において均一な親水化処理を制御しにくいという欠点がある。さらに、前記公報と同様に、常圧下で表面改質処理を施すため、不織布内部まで親水化処理が均一にされにくい欠点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題を解決するため鋭意検討した結果、合成樹脂材料を予め亜硫酸ガス雰囲気下に通過させた後、亜硫酸ガスの一部を外部に排気し、反応器内が減圧された状態にして、合成樹脂材料の表面に十分な残亜硫酸ガスを接触させた状態を保持するとともに、合成樹脂材料の内部にまで残亜硫酸ガスを浸透させてフッ素ガスを反応させることにより、反応器内の亜硫酸ガスとフッ素ガスとの発熱反応による温度上昇を抑制しつつ、かつ材料の空隙内部まで均一かつ効率的に、しかも安全に亜硫酸ガスおよびフッ素ガスを接触させて、合成樹脂材料にスルホン基などの硫黄含有親水性官能基、および他の親水性官能基を固定することが可能であることを見い出し、本発明に至った。すなわち、本発明の合成樹脂材料の表面改質方法は、反応器内の合成樹脂材料を、亜硫酸ガス濃度が0.5vol%以上、10vol%以下の範囲からなる亜硫酸含有ガスに接触させ、次いで亜硫酸含有ガスの一部を反応器外に排気し、1×104Pa以上、8×104Pa以下の範囲の減圧下で亜硫酸ガスが残存した雰囲気中に、フッ素含有ガスを導入し、合成樹脂材料をフッ素ガス濃度が0.1vol%以上、10vol%以下の範囲からなるフッ素含有ガスに接触させるものである。
【0005】
前記亜硫酸含有ガスは、濃度0.5vol%以上、10vol%以下の範囲の亜硫酸ガスと、濃度90vol%以上、99.5vol%以下の範囲の窒素ガスを含有することにより、急激な反応を抑制させるとともに、反応時の温度上昇を緩和させ、安全、かつ効率的に表面改質することができ、好ましい。
【0006】
前記亜硫酸含有ガスの一部を反応器外に排気したときの亜硫酸含有ガスの残存率は、10%以上、80%以下の範囲とすることにより、合成樹脂材料の表面に残亜硫酸ガスを接触させた状態を保持することができ、適量のスルホン基を導入することができ、好ましい。
【0007】
また、前記フッ素含有ガス処理後、フッ素含有ガスの50vol%以上を反応器外に排気し、次いで酸素含有ガスを導入し、10×104Paに復圧して合成樹脂材料と接触させることにより、合成樹脂材料の表面に残留した副生成物であるフッ酸(HF)が除去されたり、残留フッ素ガス成分が置換されて、親水性能を阻害する恐れのある成分を除去することができ、好ましい。
【0008】
前記合成樹脂材料は、多孔性合成樹脂シートからなり、ロール状に巻き取られた多孔性合成樹脂シートを反応器内の2軸の巻き取り装置に設置し、一方の軸から巻き出し、もう一方の軸に巻き取りながら反応ガスを接触させると、効率的に表面改質が施され、好ましい。さらに、巻き出し、巻き取り処理回数は、2回以上であると、表面改質効率がよく、好ましい。
【0009】
本発明の電池用セパレータの製造方法において、前記表面改質方法に基づき、反応器内のポリオレフィン系繊維を主体とする不織布を、亜硫酸ガス濃度が0.5vol%以上、10vol%以下の範囲からなる亜硫酸含有ガスに接触させ、次いで亜硫酸含有ガスの一部を反応器外に排気し、1×104Pa以上、8×104Pa以下の範囲の減圧下で亜硫酸ガスが残存した雰囲気中に、フッ素含有ガスを導入し、前記不織布をフッ素ガス濃度が0.1vol%以上、10vol%以下の範囲からなるフッ素含有ガスに接触させることにより、不織布の空隙内部の繊維表面まで十分に親水化処理され、スルホン基、カルボキシル基、水酸基などの親水性官能基が付与された電池用セパレータを製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における合成樹脂材料としては、例えば、合成樹脂で形成された繊維、糸、フィルム、多孔性膜、織物、編物、不織布、ネット、成形体などでこれらを2種類以上の用いた複合体であってもよい。合成樹脂材料が多孔性シートであると、ロール状に巻き取ることができ、反応器内で巻き出し、巻き取りを繰り返すことができるとともに、本発明の表面改質方法により最も効率的に反応させることができる。
【0011】
前記合成樹脂材料の素材としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂などが挙げられ、特に、電池用セパレータ用途としては、耐アルカリ性の点からポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂が好適である。
【0012】
前記合成樹脂材料は、反応器内に収納され、一旦0.2×104Pa(0.02atm)以下になるまで反応器内が減圧される。前記減圧は、反応器内あるいは合成樹脂材料が水分を含んでいると、フッ素ガスによる材料の酸化作用が不十分となる恐れがあるからである。例えば、図1に示す合成樹脂材料の表面改質方法に従って説明すると、ロール状に巻き取られた多孔性合成樹脂シート(2)を用いた場合、まず、反応器(1)内に2軸の巻き取り装置(4)を設置し、前記ロール(2)を巻き取り装置(4)にセットし、反応器(1)を密閉する。前記巻き取り装置(4)は、ガス反応の各工程でA軸(4A)からB軸(4B)へ、あるいはB軸(4B)からA軸(4A)へと自由に巻き出し、巻き取りを繰り返すことが可能である。次いで、排気口(6)から反応器(1)内に充満している空気、水分などを排出し、0.2×104Pa(0.02atm)以下まで反応器(1)内を減圧する。必要に応じて、減圧後、反応器内で多孔性合成樹脂シート(3)の巻き出し、巻き取りを1回以上行って、合成樹脂シート内部の水分を除去してもよい。
【0013】
前記減圧後、まず亜硫酸含有ガス雰囲気下で合成樹脂材料を亜硫酸ガスと接触させるべくガスの調製を行う。反応器内の亜硫酸含有ガスは、濃度が0.5vol%以上、10vol%以下の範囲の亜硫酸ガスを含有する。好ましい亜硫酸ガス濃度の下限は、1vol%以上である。好ましい亜硫酸ガス濃度の上限は、5vol%以下である。亜硫酸ガス濃度が0.5vol%未満であると、合成樹脂材料に十分な亜硫酸ガス成分を接触させることができず、10vol%を超えると、フッ素ガス導入時、ガス同士の反応による発熱で反応器内の温度上昇が顕著になり安全性が問題となる恐れがある。
【0014】
また、前記亜硫酸含有ガスには、急激な反応を抑制させるとともに、反応時の温度上昇を緩和させ、安全、かつ効率的に表面改質するために、濃度90vol%以上、99.5vol%以下の範囲の窒素ガスを含有することが好ましい。より好ましい窒素ガス濃度の下限は、95vol%以上である。より好ましい窒素ガス濃度の上限は、99vol%以下である。
【0015】
前記亜硫酸含有ガスの調製手順としては、所望のガス濃度に調整する手段であれば特に限定はされず、例えば、亜硫酸ガスと窒素ガスを予め混合した混合ガスを用いる方法、あるいは窒素ガスを反応器内に所定量導入した後、最後に亜硫酸含有ガスを導入する方法が挙げられ、後者が亜硫酸ガス濃度の微妙な調整、反応時間の制御がしやすく都合が良い。具体的には、まず窒素ガスを反応器内に50vol%以上、90vol%以下の範囲で導入する。次いで、窒素ガスで希釈された亜硫酸ガスを反応器内に導入してガスの調整を行う。前記導入時の亜硫酸ガス濃度は、10vol%以上、20vol%以下の範囲であることが好ましい。導入時の亜硫酸ガス濃度が10vol%未満であると、反応器内を所望の亜硫酸ガス濃度に調製する際のガス濃度の調整に必要以上に時間を費やし、工程性に劣る。導入時の亜硫酸ガス濃度が20vol%を超えると、反応器内の亜硫酸ガスの拡散が悪くなり、均一な亜硫酸ガス雰囲気に調製することが困難となるからである。
【0016】
反応器内を亜硫酸含有ガス雰囲気に調製した後、反応器内に収納された合成樹脂材料を反応させる。反応条件としては、反応温度は0℃以上、40℃以下の範囲が好ましい。反応温度が0℃未満であると、亜硫酸ガスの液化の危険性があり、40℃を超えると、過剰反応が起こる恐れがある。また、反応時間は、30秒以上であることが好ましい。具体的には、図1に示すロール状に巻き取られた多孔性合成樹脂シート(2)を用いた場合、前記減圧した反応器(1)内に亜硫酸含有ガスを吹出ノズル(5)から噴出して反応器(1)内を亜硫酸含有ガス雰囲気に調製する。次いで、ロール(2)の巻き出しを開始し、反応させる。巻き取り速度(ガス接触速度)は、特に限定されるものではないが、亜硫酸ガスを十分、かつ均一に接触させるため、30m/min以下で巻き取るのが好ましい。また、巻き出し、巻き取りの回数も反応効率に合わせて適宜設定すればよく、1回以上行えばよい。
【0017】
次いで、反応器(1)内の亜硫酸含有ガスは、真空ポンプ(7)などの吸引装置を用いて、反応器内を1×104Pa(0.1atm)以上、8×104Pa(0.8atm)以下の範囲に減圧しながら、反応器外にガスの一部が排気口(6)から排気される。亜硫酸含有ガスの一部を排気し、前記範囲の減圧下として、一部のガスを反応器(1)内に残存させることにより、合成樹脂材料の表面に残亜硫酸ガスが常時接触した状態で、次工程のフッ素ガス反応させることができるので、合成樹脂材料への亜硫酸ガス成分の付与が効率よく行われる。特に、多孔性合成樹脂シート(3)であれば、亜硫酸含有ガスを接触後、反応器内を減圧することにより、次工程の復圧時に、亜硫酸ガスが多孔性合成樹脂シート(3)の空隙内部にまで浸透しやすく都合がよい。排気による亜硫酸含有ガスの残存率は、10%以上、80%以下であることが好ましい。より好ましい残存率の下限は、20%である。より好ましい残存率の上限は、50%以下である。亜硫酸ガスの残存率が10%未満であると、材料表面に存在する亜硫酸ガス濃度が低く、スルホン基などの硫黄成分が十分に付与することができない。残存率が80%を超えると、反応器内雰囲気の亜硫酸ガス濃度が高く、フッ素ガス導入時、導入されたフッ素ガスと、反応器内の残亜硫酸ガスとが反応してしまい、均一な処理がしにくくなる。
【0018】
前記亜硫酸含有ガスの一部を排気した後、フッ素ガス処理を施すべく、フッ素含有ガスの調製を行う。反応器内のフッ素含有ガスは、濃度が0.1vol%以上、10vol%以下の範囲のフッ素ガスを含有する。好ましいフッ素ガス濃度の下限は、0.5vol%以上である。好ましいフッ素ガス濃度の上限は、5vol%以下である。フッ素ガス濃度が0.1vol%以下であると、十分な親水化処理がされにくく、フッ素ガス濃度が10vol%を超えると、残亜硫酸ガスとの発熱反応が促進され安全性が問題となる恐れがある。
【0019】
また、前記フッ素含有ガスには、急激な反応を抑制させるとともに、反応時の温度上昇を緩和させ、安全、かつ効率的に表面改質するために、窒素ガスを含有することが好ましい。窒素ガス濃度は、前記残存亜硫酸ガス濃度とフッ素ガス濃度を所望の範囲に設定することで決定される。
【0020】
前記フッ素含有ガスの調製順序としては、所望のガス濃度に調整する手段であれば特に限定はされず、例えば、フッ素ガスと窒素ガスを予め混合した混合ガスを用いる方法、あるいは窒素ガスを反応器内に所定量導入した後、最後にフッ素含有ガスを導入する方法が挙げられ、後者が、あらかじめ窒素ガスの存在している雰囲気にフッ素含有混合ガスを導入するため、発熱反応が抑制され都合が良い。具体的には、図1に示す窒素ガスを吹出ノズル(5)から反応器(1)内に50vol%以上、90vol%以下の範囲で導入し、反応器(1)内の圧力が約9×104Pa(0.9atm)程度まで復圧させる。次いで、窒素ガスで希釈されたフッ素ガスを吹出ノズル(5)から反応器(1)内に導入してガスの調整を行い、最終的に約10×104Pa(1atm)程度まで復圧させる。前記導入時のフッ素ガス濃度は、5vol%以上、40vol%以下の範囲であることが好ましい。導入時のフッ素ガス濃度が5vol%未満であると、反応器内を所望のフッ素ガス濃度に調製する際に、必要以上に時間を費やし都合が悪い。導入時のフッ素ガス濃度が40vol%を超えると、ガス調製時に合成樹脂材料に直接接触するフッ素濃度が高いため、急激な発熱が促進される恐れがある。
【0021】
反応器内をフッ素含有ガス雰囲気に調製した後、反応器内に収納された合成樹脂材料を反応させる。反応条件としては、反応温度は0℃以上、40℃以下の範囲が好ましい。反応温度が0℃未満であると、亜硫酸ガスの液化の危険性があり、40℃を超えると、過剰反応が起こる恐れがある。また、反応時間は、30秒以上であることが好ましい。具体的には、図1に示すロール状に巻き取られた多孔性合成樹脂シート(2)を用いた場合、フッ素含有ガスを吹出ノズル(5)から導入し、反応器(1)内をフッ素含有ガス雰囲気に調製した後、ロール(2)の巻き出しを開始し、反応させる。巻き取り速度(ガス接触速度)は、特に限定されるものではないが、フッ素ガスを十分、かつ均一に接触させるため、30m/min以下で巻き取るのが好ましい。また、巻き出し、巻き取りの回数も反応効率に合わせて適宜設定すればよく、1回以上、好ましくは2回以上接触させると反応効率がよい。
【0022】
さらに、フッ素含有ガス反応時に、フッ素ガスと合成樹脂材料、あるいはフッ素ガスと亜硫酸ガスとの反応により消費されるフッ素ガスを反応器内に消費分を供給し、反応器内のフッ素濃度を均一にすることが好ましい。追加フッ素ガス量としては、窒素ガスで希釈されたフッ素ガス濃度5vol%以上、40vol%以下の範囲のフッ素含有ガスをマスフローコントローラー(図示なし)を介して1〜10l/minで供給することが好ましい。供給量が1l/min未満であると、反応器内が常圧であるためフッ素ガスを反応器内に安定して供給することが困難になる。供給量が10l/minを超えると、反応器内の圧力上昇が大きくなり、安全性が問題となる恐れがある。また、前記範囲で追加フッ素ガスを供給させると、反応器内が加圧されていく恐れがあるが、不要分のガスを反応器外に放出して反応器内圧を一定に維持するとよい。
【0023】
前記フッ素ガス処理を完了した後、反応器内の残留ガスを排気口から排気し、窒素ガスなどで約10×104Pa(1atm)程度まで復圧して、表面改質された合成樹脂材料は取り出される。このとき、必要に応じて、反応器内のフッ素残留ガスを5×104Pa(0.5atm)以下になるまで真空ポンプの吸引装置を用いて、反応器内を減圧しながら、排気口から反応器外に排気し、さらに、その減圧系に酸素含有ガスで復圧させて約10×104Pa(1atm)程度まで復圧した後、前記酸素含有ガス中で合成樹脂材料を処理することができる。前記処理を施すことにより、合成樹脂材料の表面に残留した副生成物であるフッ酸(HF)の除去や、残留フッ素ガス成分を置換の効果がある。前記酸素含有ガスは、酸素ガスのみであってもよいし、窒素ガスを含有していてもよい。窒素ガスと酸素ガスの混合比率としては、特に限定するものではなく、前記効果が期待できる量の酸素ガスが含まれていればよい。
【0024】
以上のようにして表面改質された合成樹脂材料は、反応器外に取り出される。前記表面改質された合成樹脂材料は、表面に残留フッ酸や、フッ素ガスで分解された低分子量成分が微量に残存している恐れがあるため、アルカリ洗浄処理、温水洗浄処理、乾燥処理が施される。前記アルカリ洗浄処理において、アルカリ洗浄液の種類は特に限定されるものではないが、特に合成樹脂材料をアルカリ電池用セパレータに用いる場合であれば、アルカリ電解液と同質の洗浄液、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどを用いるとよい。アルカリ濃度としては、1mass%以上、30mass%以下の範囲であることが好ましい。より好ましいアルカリ濃度の下限は、3mass%である。より好ましいアルカリ濃度の上限は、10mass%以下である。アルカリ濃度が1mass%未満であると、洗浄能力が劣り、アルカリ濃度が30mass%を超えると、アルカリ洗浄後の水洗工程でアルカリ成分の除去が困難になる。また、アルカリ洗浄液の温度としては、10℃以上、90℃以下であることが好ましい。より好ましいアルカリ洗浄液温度の下限は、30℃である。より好ましいアルカリ洗浄液温度の上限は、70℃である。アルカリ洗浄液温度が10℃未満であると、洗浄能力が劣り、90℃を超えると、アルカリ成分が気化しやすくなり、濃度の管理が困難となる。合成樹脂材料とアルカリ洗浄液との接触時間としては、特に限定するものではないが、通常10秒以上であれば、十分な洗浄効果が期待できる。また、多孔性合成樹脂シートの場合、アルカリ洗浄液の空隙内部への浸透性、洗浄効率を高めるためにアルカリ溶液中に界面活性剤を混入してもよい。界面活性剤の種類は特に限定するものではなく、公知の界面活性剤を用いるとよい。
【0025】
前記温水洗浄処理としては、例えば、合成樹脂材料をアルカリ電池用セパレータに用いる場合、イオン性不純物の混入を低減させるため、イオン交換水を用いるのが好ましい。温水洗浄の温度としては、10℃以上、90℃以下の範囲であることが好ましい。より好ましい温水洗浄温度の下限は30℃以上である。より好ましい温水洗浄温度の上限は、70℃である。温水洗浄温度が10℃未満であると、アルカリ残留成分の洗浄効率が低減する恐れがあり、90℃を超えると、親水化処理で導入された親水性官能基の形態が変化する恐れがあるからである。また、合成樹脂材料と温水との接触時間は特に限定するものではないが、通常1min以上であれば十分な洗浄効果が期待できる。
【0026】
前記乾燥工程としては、熱風貫通タイプ、加熱ロール接触タイプなど、乾燥可能であれば特に限定されない。多孔性合成樹脂シートであれば、熱風貫通タイプが空隙内部まで効率よく乾燥させることができ、好ましい。乾燥温度としては、40℃以上、90℃以下の範囲であることが好ましい。より好ましい乾燥温度の下限は、50℃である。より好ましい乾燥温度の上限は、70℃以下である。乾燥温度が40℃未満であると、十分な乾燥させるのに多大な時間を費やし、効率的ではない。90℃を超えると、親水性官能基の形態が変化する恐れがあるからである。乾燥工程の通過時間としては、特に限定するものではないが、例えば、合成樹脂材料がポリオレフィン系不織布であれば2min以上で十分な乾燥効果が期待できる。このようにして表面改質された合成樹脂材料は、材料表面にスルホン基及び他の極性基を付与することにより、親水性能やイオン交換性能などの様々な機能を付加することができる。
【0027】
次に、本発明の電池用セパレータの製造方法について説明する。まず、本発明に用いられる繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂を1種以上用いた繊維を主体とする。例えば、前記ポリオレフィン系樹脂の単一繊維、エチレン−プロピレン共重合体/ポリプロピレン、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレンなどの組み合わせからなる鞘芯型複合繊維、あるいはポリ4−メチルペンテン−1/ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1/高密度ポリエチレン、ポリプロピレン/高密度ポリエチレン、ポリプロピレン/エチレン-ビニルアルコール共重合体などの組み合わせからなる分割型複合繊維、海島型複合繊維などが挙げられ、繊維断面形態も、円形、異形、中空などいずれであってもよい。
【0028】
前記ポリオレフィン系繊維を主体とした繊維ウェブを作製する。繊維ウェブ形態としては、例えば、カードウェブ、エアレイウェブ、湿式抄紙ウェブ、スパンボンドウェブ、メルトブローウェブなどを単独、あるいは積層して用いられる。なかでも、湿式抄紙ウェブが得られる不織布の均一性、緻密性から好ましく用いられる。また、前記ウェブは、フッ素処理により強力が低下する恐れがあるため、熱風、熱ロールなどの熱処理、水流交絡処理などの結合手段により繊維同士を結合させることが好ましい。このようにして得られた不織布は、一旦ロール状に巻き取られる。
【0029】
次いで、前記不織布ロールは、前記合成樹脂材料の表面改質方法により処理される。まず、前記不織布ロールを反応器内の2軸の巻き取り装置にセットし、反応器を密閉し、一旦減圧して余分な水分を除去する。次いで、亜硫酸含有ガスを吹出ノズルから導入し、反応器内を亜硫酸ガス濃度が0.5vol%以上、10vol%以下の範囲からなる亜硫酸含有ガス雰囲気に調製した後、ロールの巻き出しを開始し、巻き出し、巻き取りを1〜5回繰り返し、亜硫酸ガスを接触させる。次いで、反応器内の亜硫酸含有ガスを真空ポンプで吸引し、反応器内を1×104Pa(0.1atm)以上、8×104Pa(0.8atm)以下にまで減圧しながら、反応器外にガスの一部を排気させる。排出後、フッ素含有ガスを吹出ノズルから導入し、反応器内をフッ素ガス濃度が0.5vol%以上、10vol%以下の範囲からなるフッ素含有ガス雰囲気に調製した後、ロールの巻き出しを開始し、巻き出し、巻き取りを1〜2回繰り返し、フッ素ガスを接触させる。前記フッ素ガス処理を完了後、必要に応じて窒素ガスと酸素ガスで残留副生成物を除去し、反応器外に取り出され、ロール状の親水化ポリオレフィン系不織布が得られる。
【0030】
次いで、前記不織布ロールを巻き出し、アルカリ洗浄処理、温水洗浄処理、乾燥処理を施して、残留低分子量成分を除去し、一旦ロールの巻き取った後、あるいは乾燥処理の後、カレンダーロールを用いて所望の厚みに調整し、電池用セパレータが得られる。また、本発明においては、フッ素処理以外のスルホン化、コロナ放電、プラズマ放電、グラフト重合、オゾン処理、界面活性剤処理などの親水化処理方法を併用してもよい。このようにして得られた電池用セパレータは、スルホン基などの硫黄成分を含む親水性官能基、あるいは水酸基などの親水性官能基が付与されているので、電池内部での内部抵抗、内圧の抑制を可能にし、優れた充放電サイクル寿命を有しており、アルカリ二次電池、リチウムイオン二次電池、あるいは電気二重層キャパシタ、コンデンサーなどのセパレータとして有用である。また、イオン交換セパレータ(イオンキャッチャー)としても有用である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の具体例を実施例により説明する。なお、各種性能は、下記の方法により測定した。
【0032】
[厚み]
175kPa荷重(JIS−B−7502に準じたマイクロメーターによる測定)により、3枚の試料のそれぞれ異なる10箇所で厚みを測定し、計30箇所の平均値を求めた。
【0033】
[保液率]
試験片の水分平衡状態の質量W(mg)を1mg単位まで測定する。次に比重1.30のKOH溶液中に試験片を浸漬し、KOH溶液を1時間吸収させたのち液中から引き上げて10分間放置した後、試験片の質量W1(mg)を測定し、下記式より保液率を算出した。
保液率(%)=((W1 −W)/W)×100
【0034】
[吸液高さ]
巾25mm×高さ200mmの短冊状にサンプルを切断し、サンプル端から5mmまでの部分を30mass%の水酸化カリウム水溶液に浸積し、気温25℃、室温65%に調湿された雰囲気下で垂直に立てたとき、30分後の水酸化カリウム水溶液の吸液上昇高さ(mm)を測定した。
【0035】
[円筒型密閉ニッケル水素電池の製造]
負極は、水素吸蔵合金、カルボニルニッケル、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に水を加え混練りしスラリーを調整した。このスラリーをニッケルメッキしたパンチングメタルに浸漬塗りした後80℃で乾燥し、加圧成型して水素吸蔵合金負極を作製した。正極は、公知の焼結式ニッケル極を使用した。上記の負極、正極間に各セパレータを挟み電槽缶に挿入し、電解液を注液することで、円筒形密閉ニッケル水素電池を作製した。
【0036】
[内部抵抗]
3225ミリオーム計(日置電気(株)製)を使用し、周波数1KHzのインピーダンス抵抗で円筒形密閉ニッケル水素電池の抵抗値を測定した。
【0037】
[サイクル寿命]
前記円筒型密閉ニッケル水素電池を、充電0.1C率で12時間、休止0.5時間、放電0.1C率で終止電圧1.0Vとし、10サイクル充放電を繰返し、電池初期活性を行った。次いで、円筒型密閉ニッケル水素電池を、充電1.0C率で、1.1時間、休止1.0時間、放電1.0C率(終止電圧1.0V)で理論容量に対する利用率が80%以下になったときのサイクル数を求めた。充放電は25℃で行った。
【0038】
[実施例1]
合成樹脂材料として、エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリプロピレンの組み合わせからなり、放射状に16分割された繊度3.3dtex、繊維長6mmの分割型複合繊維(大和紡績(株)製、DF−2)を50mass%、鞘成分が高密度ポリエチレン、芯成分がポリプロピレンからなる繊度1.7dtex、繊維長10mmの鞘芯型熱接着性複合繊維(大和紡績(株)製、NBF(H))を30mass%、繊度0.7dtex、繊維長10mmのポリプロピレン単一繊維(大和紡績(株)製、PZ)を20mass%を混抄し、135℃のシリンダードライヤーで鞘芯型熱接着性複合繊維の鞘成分により熱接着させた目付55g/m2、厚み220μmの湿式不織布を紙管に巻き付け、500mm巾×200m長の不織布ロールを準備した。
【0039】
前記不織布ロールを図1のように反応器内(容量2300l)のA軸にセットし、A軸→B軸あるいはB軸→A軸に巻き出し、巻き取りが可能なように導布して、反応器を完全に密閉した。次いで、排気口から真空ポンプで反応器内の空気を外部に排気させ反応器内を0.13×104Pa(0.013atm)の減圧状態にした。次に窒素ガスを吹出ノズルから噴出し、2070l(90vol%)を反応器内に導入した。次いで、窒素ガスで10vol%に希釈した亜硫酸ガスを230l(10vol%)吹出ノズルから導入し、反応器内が1vol%の亜硫酸ガスと、99vol%の窒素ガスとで満たされるようにガスを調製した。次に、不織布ロールを巻き取り速度16m/minで、A→B→A軸の順に2回巻き出し、巻き取り処理を行った。
【0040】
前記亜硫酸含有ガス処理後、反応器内の亜硫酸含有ガスが1725l(75vol%)残存するように真空ポンプで亜硫酸含有ガスを反応器外に排気させて、反応器内を7.5×104Pa(0.75atm)にまで減圧した。このときの亜硫酸含有ガスの残存率は75%であった。そして、吹出ノズルから窒素ガス460l(20vol%)分を導入し、さらに窒素ガスで10vol%に希釈されたフッ素ガスを115l(5vol%)を導入して、反応器内が0.5vol%のフッ素ガスを含有する窒素/亜硫酸/フッ素の混合ガスとなるように調製した。次いで、不織布ロールを巻き取り速度16m/minで、A→B軸に1回巻き出し、巻き取り処理を行った。このとき10vol%の希釈フッ素ガスを反応器内に2.8l/minの流量で供給し、フッ素ガス濃度を一定に保った。
【0041】
フッ素ガス処理後、反応器内の混合ガスを1150l(50vol%)残存するように真空ポンプでフッ素含有ガスを排気口から反応器外に排気させて、反応器内を5×104Pa(0.5atm)にまで減圧した。次に酸素ガス濃度100vol%の酸素ガスを吹出ノズルから反応器内に1150l(50vol%)導入し、酸素ガスが50vol%含有する混合ガスに調製した。次に、不織布ロールを巻き取り速度16m/minで、B→A軸に1回巻き出し、巻き取り処理を行った。巻き取り完了後、反応器内の混合ガスを排気し、0.13×104Pa(0.013atm)まで減圧し、窒素ガス2300lを反応器内に導入して10×104Pa(1atm)に復圧した後、反応器を開放して親水化処理されたロール状の不織布を得た。
【0042】
次に、得られた親水化処理不織布ロールを図2に示すアルカリ洗浄工程、温水洗浄工程、乾燥工程を有する後処理機にセットし、5m/minのライン速度で巻き出し、巻き取り処理を行った。アルカリ洗浄は、温度60℃、5mass%濃度の水酸化カリウム水溶液で満たされたアルカリ洗浄槽に不織布を浸漬処理し、温水洗浄は、温度60℃のイオン交換水で満たされた温水洗浄槽に不織布を浸漬処理した。乾燥は、温度70℃の熱風循環式乾燥機で処理した。得られた不織布を熱カレンダーロールを用いて、150μmの厚みに調整し、電池用セパレータを得た。
【0043】
[実施例2]
亜硫酸ガス処理後、575l(25vol%)残存するように亜硫酸含有ガスを反応器外に排気し、2.5×104Paまで減圧し、亜硫酸含有ガスの残存率を25%とし、窒素ガス1610l(70vol%)分を導入し、さらに窒素で10vol%に希釈されたフッ素ガスを115l(5vol%)を導入して、反応器内が0.5vol%のフッ素ガスを含有する窒素/亜硫酸/フッ素の混合ガスとした以外は、実施例1と同様の方法で電池用セパレータを得た。
【0044】
[比較例1]
亜硫酸ガス処理後、2255l(98vol%)分のガスを外部に排気し、0.2×104Paまで減圧し、亜硫酸含有ガスの残存率を2%とした以外は、実施例1と同様の方法で電池用セパレータを得た。
【0045】
[比較例2]
実施例1の不織布ロールを反応器内のA軸にセットし、A軸→B軸あるいはB軸→A軸に巻き出し、巻き取りが可能なように導布して、反応器を完全に密閉した。次いで、排気口から真空ポンプで反応器内の空気を外部に排気し、反応器内を0.13×104Pa(0.013atm)の減圧状態にした。次いで、フッ素ガス3vol%、亜硫酸ガス5vol%、窒素ガス92vol%の混合ガス2300lを吹出ノズルから反応器内に導入した後、不織布ロールを巻き取り速度16m/minで、A→B軸に1回巻き出し、巻き取り処理を行った。
【0046】
次いで、実施例1と同様の方法で、アルカリ洗浄、温水洗浄、乾燥を行い、熱カレンダーロールを用いて、150μmの厚みに調整し、電池用セパレータを得た。
実施例1〜2および比較例1〜2の不織布の保液率、吸液高さ、および前記不織布を電池セパレータとし、密閉型円筒型ニッケル水素電池に組み込んだ時の初期内部抵抗、サイクル寿命を測定した結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003709160
【0048】
実施例1〜2の電池用セパレータは、高度に親水化され、保液性、吸液性に優れていた。また、電池性能でも、スルホン基などの硫黄成分を含有する親水性官能基が高度に付与されており、内部抵抗が低く、サイクル寿命の長い電池であった。一方、比較例1は、工程で亜硫酸ガスの大半を外部に排気した後にフッ素ガスで親水性官能基を付与しているため、表面に形成されるスルホン基、カルボキシル基、水酸基などの親水性官能基の量が少なく、親水性、電池特性とも劣っていた。比較例2は、フッ素ガスと亜硫酸ガスを同時に混合して親水化処理を施しているため、経時的にフッ素ガスが亜硫酸ガスと化学反応し、フッ素ガス、亜硫酸ガスとも消費されて、比較例1と同じく導入される親水性官能基の量が少なくなり、親水性、電池特性とも劣っていた。
【0049】
【発明の効果】
本発明の合成樹脂材料の表面改質方法は、反応器内の合成樹脂材料を、低濃度の亜硫酸含有ガスに接触させ、次いで亜硫酸含有ガスの一部を反応器外に排気し、1×104Pa以上、8×104Pa以下の範囲の減圧下で亜硫酸含有ガスが残存した雰囲気とした後、低濃度のフッ素含有ガスを導入し、接触させることにより、反応器内の亜硫酸ガスとフッ素ガスとの発熱反応による温度上昇を抑制しつつ、かつ減圧作用により材料の空隙内部にまで均一かつ効率的に亜硫酸ガス成分を接触させて、合成樹脂材料の表面にスルホン基などの硫黄成分含有親水性官能基や他の親水性官能基を固定することができる。前記合成樹脂材料を多孔性合成樹脂シートとし、ロール状に巻き取られた多孔性合成樹脂シートを反応器内の2軸の巻き取り装置に設置し、一方の軸から巻き出し、もう一方の軸に巻き取りながら反応ガスを接触させることにより、より効率的に表面改質が施される。
【0050】
ポリオレフィン系繊維を主体とする不織布に前記表面改質方法を用いることにより、スルホン基などの硫黄成分を含む親水性官能基、あるいは水酸基などの親水性官能基が付与されて、電池内部での内部抵抗、内圧の抑制を可能にし、優れた充放電サイクル寿命を有する電池用セパレータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合成樹脂材料の表面改質方法の一例を示す。
【図2】本発明の表面改質後の後処理の一例を示す。
【符号の説明】
1.反応器
2.ロール状多孔性合成樹脂シート
3.多孔性合成樹脂シート
4.巻き出し、巻き取り装置
4A.A軸
4B.B軸
5.吹出ノズル
6.排気口
7.真空ポンプ

Claims (7)

  1. 反応器内の合成樹脂材料を、亜硫酸ガス濃度が0.5vol%以上、10vol%以下の範囲からなる亜硫酸含有ガスに接触させ、次いで亜硫酸含有ガスの一部を反応器外に排気し、1×104Pa以上、8×104Pa以下の範囲の減圧下で亜硫酸含有ガスが残存した雰囲気中に、フッ素含有ガスを導入し、合成樹脂材料をフッ素ガス濃度が0.1vol%以上、10vol%以下の範囲からなるフッ素含有ガスに接触させる合成樹脂材料の表面改質方法。
  2. 亜硫酸含有ガスが、濃度0.5vol%以上、10vol%以下の範囲の亜硫酸ガスと、濃度90vol%以上、99.5vol%以下の範囲の窒素ガスを含有する請求項1記載の合成樹脂材料の表面改質方法。
  3. 亜硫酸含有ガスの一部を反応器外に排気したときの亜硫酸含有ガスの残存率が10%以上、80%以下の範囲である請求項1または2に記載の合成樹脂材料の表面改質方法。
  4. フッ素含有ガス処理後、前記フッ素含有ガスの50vol%以上を反応器外に排気し、次いで酸素含有ガスを導入し、10×104Paに復圧して合成樹脂材料と接触させる請求項1〜3のいずれかに記載の合成樹脂材料の表面改質方法。
  5. 合成樹脂材料が多孔性合成樹脂シートからなり、ロール状に巻き取られた多孔性合成樹脂シートを反応器内の2軸の巻き取り装置に設置し、一方の軸から巻き出し、もう一方の軸に巻き取りながら反応ガスを接触させる請求項1〜4のいずれかに記載の合成樹脂材料の表面改質方法。
  6. 巻き出し、巻き取り処理回数が2回以上である請求項5記載の合成樹脂材料の表面改質方法。
  7. 反応器内のポリオレフィン系繊維を主体とする不織布を、亜硫酸ガス濃度が0.5vol%以上、10vol%以下の範囲からなる亜硫酸含有ガスに接触させ、次いで亜硫酸含有ガスの一部を反応器外に排気し、1×104Pa以上、8×104Pa以下の範囲の減圧下で亜硫酸含有ガスが残存した雰囲気中に、フッ素含有ガスを導入し、前記不織布をフッ素ガス濃度が0.1vol%以上、10vol%以下の範囲からなるフッ素含有ガスに接触させて、不織布を親水化処理する電池用セパレータの製造方法。
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