JP4511019B2 - 電池用セパレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電池用セパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電池(例えばアルカリ電池)の正極と負極とを分離して短絡を防止すると共に、電解液を保持して起電反応を円滑に行なわせるために、正極と負極との間にセパレータが使用されている。
このセパレータを構成する樹脂として、耐アルカリ性や耐酸化性などに優れているポリオレフィン系樹脂を使用するのが好ましい。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は電解液との親和性が低く、ポリオレフィン系樹脂からなるセパレータを使用した電池は起電反応をスムーズに生じることができないため、ポリオレフィン系樹脂に電解液との親和性を付与するために、様々な表面改質が実施されている。
この表面改質の1つの方法として、スルホン酸基を導入するスルホン化処理がある。このスルホン化処理はスルホン酸基を導入することにより電解液との親和性を付与できるとともに、自己放電抑制作用にも優れたものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
確かに、スルホン酸基を導入したセパレータは自己放電抑制作用がある程度あるものであったが、市場では更に自己放電抑制作用の優れるセパレータが要望されていた。
本発明は上記の問題点を改善するためになされたものであり、自己放電抑制作用のより優れる電池用セパレータを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の電池用セパレータ(以下、「セパレータ」ということがある)は、シート表面に次の化学式(I)で表される硫黄含有官能基を有する電池用セパレータであり、前記化学式(I)で表される硫黄含有官能基が硫黄含有官能基全体の10%以上を占めるものである。本発明者らは鋭意研究の結果、電解液中において共鳴しない硫黄−酸素二重結合を有する化学式(I)で表される硫黄含有官能基は自己放電抑制作用に優れていることを見い出したのである。具体的な自己放電抑制機構は未だ解明されていないが、一つの要因として、電解液中において共鳴しない硫黄−酸素二重結合を有する硫黄含有官能基による窒素含有化合物の吸着が関与していることが考えられる。
【化2】
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のセパレータは、構成するシート表面に、電解液中において共鳴しない硫黄−酸素二重結合を有する硫黄含有官能基(以下、「非共鳴硫黄含有官能基」という)を有しており、このような非共鳴硫黄含有官能基が存在していると、自己放電抑制作用に優れていることを見い出した。
この非共鳴硫黄含有官能基としては、例えば、ニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池のように、電解液が水酸化カリウムに水酸化リチウムを添加したものである場合、次の化学式(I)又は(II)で表されるものを挙げることができる。
【化3】
(Rはアルキル基を表す)
【化4】
(R’はアルキル基を表す)
なお、R、R’であるアルキル基は炭素数が1〜30であるのが好ましい。
また、上記化学式(I)で表される非共鳴硫黄含有官能基が、硫黄含有官能基全体の10%以上(より好ましくは20%以上)を占めていると、有効に自己放電を抑制することができることも見い出した。
【0006】
本発明のセパレータを構成するシートとしては、例えば、織物、編物、不織布などの繊維シート、微孔フィルム、或いはこれらの複合体であることができる。これらの中でも、電解液の保持性に優れている不織布を含んでいるのが好ましい。特に、湿式不織布は緻密な構造を採ることができ、電解液の保持性に優れているため好適である。
本発明のセパレータを構成するシートは、非共鳴硫黄含有官能基を有する樹脂のみから構成されていても良いし、非共鳴硫黄含有官能基を有さない樹脂を含んでいても良いが、自己放電抑制作用の点から、非共鳴硫黄含有官能基を有する樹脂のみから構成されているのがより好ましい。
なお、、非共鳴硫黄含有官能基を有する樹脂は、樹脂全体が非共鳴硫黄含有官能基を有していることもできるし、主として表面に非共鳴硫黄含有官能基を有していることもできるが、主として表面に非共鳴硫黄含有官能基を有していると、セパレータの強度を確保しやすいため好適である。
後者のように、主として表面に非共鳴硫黄含有官能基を有する場合、樹脂内部における樹脂組成は特に限定されるものではないが、耐電解液性に優れているポリオレフィン系樹脂からなるのが好ましい。
このポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体など)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン共重合体など)、ポリメチルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテン、メチルペンテン共重合体など)を挙げることができる。
【0007】
本発明における「シート表面」とは、X線光電子分光計により、次のような条件で測定することのできる領域をいい、「シートの内部」とは前記シート表面以外の領域をいう。
(1)励起源:Mg−Kα
(2)印加電圧値:10KV
(3)ビーム電流値:10mA
(4)光電子の脱出角度:90°
【0008】
本発明のセパレータは、例えば、非共鳴硫黄含有官能基を有する樹脂を使用して常法によりシートを形成したり、非共鳴硫黄含有官能基を有さない樹脂を使用して常法によりシートを形成した後に、非共鳴硫黄含有官能基を導入して製造することができる。前者の方法によれば、樹脂全体が非共鳴硫黄含有官能基を有するシートからなるセパレータを製造することができ、後者の方法によれば、主として表面に非共鳴硫黄含有官能基を有するシートからなるセパレータを製造することができる。
【0009】
以下、本発明で好適である主として表面に非共鳴硫黄含有官能基を有する不織布からなるセパレータの製造方法について説明する。
まず、非共鳴硫黄含有官能基を有さない樹脂からなる繊維を用意する。この繊維として、耐電解液性に優れるポリオレフィン系繊維を含んでいるのが好ましく、より好ましくはポリオレフィン系繊維のみを用意する。このポリオレフィン系繊維は前述のポリオレフィン系樹脂と同様のポリオレフィン系樹脂から構成されているのが好ましい。
【0010】
この非共鳴硫黄含有官能基を有さない樹脂からなる繊維として、引張り強さが4.5cN/dtex(センチニュートン/デシテックス)以上の高強度繊維を含んでいるのが好ましい。高強度繊維を含んでいると、セパレータを巻回して極板群を形成する際に、極板のバリによってセパレータが切断されたり、極板のバリがセパレータを突き抜けるなどして、短絡するのを効率的に防止することができる。
高強度繊維の引張り強さは6.2cN/dtex以上であるのが好ましく、10.1cN/dtex以上であるのがより好ましく、10.7cN/dtex以上であるのが更に好ましい。なお、高強度繊維の引張り強さの上限は特に限定するものではないが、50cN/dtex程度が適当である。この「引張り強さ」は、JIS L 1015(化学繊維ステープル試験法)に規定されている方法によって測定した値をいう。
この高強度繊維もポリオレフィン系樹脂から構成されているのが好ましく、前述のポリオレフィン系樹脂と同様の、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂などから構成されていることができる。これらの中でも、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂(特に、超高分子量ポリエチレン)から構成されているのがより好ましい。
なお、高強度繊維は前述のようなポリオレフィン系樹脂単独から構成されていても良いし、2種類以上の樹脂成分(少なくとも1種類はポリオレフィン系樹脂からなる、好ましくはいずれもポリオレフィン系樹脂からなる)が混合又は複合された高強度繊維であっても良い。低融点樹脂成分が繊維表面に存在する高強度繊維は、繊維表面を構成する低融点樹脂成分によって融着することができ、モジュラス強度を向上させることができるため好適である。この2種類以上の樹脂成分が複合された高強度繊維の横断面形状として、例えば、芯鞘型、偏芯型、貼り合せ型、海島型、オレンジ型或いは多重バイメタル型を挙げることができる。この複合された高強度繊維の中でも、繊維表面を構成する低融点樹脂成分全体で融着することのできる、芯鞘型、偏芯型或いは海島型の高強度繊維を好適に使用することができ、特に芯鞘型であるのが好ましい。
この高強度繊維の繊度は0.5〜3.5dtex(デシテックス)であるのが好ましく、また、高強度繊維の繊維長は1〜160mmであるのが好ましい。また、高強度繊維は極板のバリによってセパレータが切断されたり、極板のバリがセパレータを突き抜けないように、不織布構成繊維全体の質量の10mass%以上を占めているのが好ましく、20mass%以上を占めているのがより好ましい。
【0011】
このような高強度繊維に加えて、又は高強度繊維に代えて、非共鳴硫黄含有官能基を有さない樹脂からなる繊維として、融着繊維を含んでいるのが好ましい。この融着繊維を含んでいることによって、セパレータのモジュラス強度や剛性を向上させることができる。
この融着繊維は高強度繊維を融着させない場合には、高強度繊維を構成する最も融点の低い樹脂成分よりも低い(好ましくは10℃以上低い、より好ましくは20℃以上低い)融点を有する樹脂からなる融着成分が、繊維表面の少なくとも一部を構成しているのが好ましく、高強度繊維も融着させる場合には、高強度繊維を構成する融着成分(低融点樹脂成分)と同程度の融点(±10℃程度)を有する樹脂からなる融着成分が、繊維表面の少なくとも一部を構成しているのが好ましい。
例えば、高強度繊維がポリプロピレン系樹脂単独からなる場合には、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体など)を融着成分とする融着繊維を使用するのが好ましく、高強度繊維が超高分子量ポリエチレン単独からなる場合には、低密度ポリエチレン又はエチレン共重合体を融着成分とする融着繊維を使用するのが好ましい。また、高強度繊維がポリエチレン系樹脂を融着成分(低融点樹脂成分)として含んでいる場合には、高強度繊維を構成するポリエチレン系樹脂と同程度の融点を有するポリエチレン系樹脂を融着成分とする融着繊維を使用するのが好ましい。
このような融着繊維は単一の樹脂成分(つまり融着成分のみ)から構成されていても良いし、複数の樹脂成分から構成されていても良いが、融着繊維全体が融着してしまうと、通気性を損なう場合があるため、複数の樹脂成分から構成されているのが好ましい。
この複数の樹脂成分からなる融着繊維の横断面形状として、例えば、芯鞘型、偏芯型、貼り合せ型、海島型、オレンジ型或いは多重バイメタル型などを挙げることができる。これらの中でも、繊維表面全体で融着することのできる、芯鞘型、偏芯型或いは海島型の融着繊維を好適に使用することができ、特に芯鞘型の融着繊維を好適に使用することができる。なお、融着繊維の融着成分以外の樹脂成分は繊維形状を維持できるように、融着成分の融点よりも10℃以上高い樹脂からなるのが好ましく、20℃以上高い樹脂からなるのがより好ましい。
この融着繊維の繊度は電解液の保持性に優れるように、0.05〜3.5dtexであるのが好ましく、また、融着繊維の繊維長は1〜160mmであるのが好ましい。
この融着繊維はセパレータのモジュラス強度や剛性を向上させることができるように、不織布を構成する繊維全体の質量の10mass%以上を占めているのが好ましく、20mass%以上を占めているのがより好ましい。
本発明における「融点」は示差熱量計を用い、昇温速度10℃/分で室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。
【0012】
以上のような高強度繊維及び/又は融着繊維に加えて、又は高強度繊維や融着繊維に代えて、非共鳴硫黄含有官能基を有さない樹脂からなる繊維として、繊維径が5μm以下の極細繊維を含んでいるのが好ましい。この極細繊維を含んでいることによって、電解液の保持性に優れているため、起電反応をスムーズに生じさせることができる。繊維径の下限値は特に限定するものではないが、0.01μm程度が適当である。なお、繊維径は繊維横断面形状が円形である場合にはその直径をいい、繊維横断面形状が非円形である場合には、繊維横断面積と同じ面積を有する円の直径をその繊維の繊維径とみなす。
この極細繊維も前述と同様のポリオレフィン系樹脂1種類以上から構成されているのが好ましい。なお、前述のような融着繊維と併用する場合や高強度繊維が融着成分(低融点樹脂成分)を含んでいる場合には、これら繊維の融着成分(低融点樹脂成分)を融着させる際の熱によって極細繊維が溶融しないように、極細繊維はこれら融着成分(低融点樹脂成分)の融点よりも高い(好ましくは5℃以上高い、より好ましくは10℃以上高い)融点を有する樹脂から構成されているのが好ましい。例えば、融着成分(低融点樹脂成分)が低密度ポリエチレンからなる場合、極細繊維はポリプロピレン系樹脂及び/又は高密度ポリエチレンから構成されているのが好ましい。
このような極細繊維は、例えば、物理的作用により分割可能な分割繊維を分割したり、化学的作用により分割可能な分割繊維を分割したり、或いはメルトブロー法により得ることができる。分割繊維を分割するための物理的作用としては、例えば、水流などの流体流、カレンダー或いはフラットプレスなどがあり、分割繊維を分割するための化学的作用としては、例えば、樹脂の除去、樹脂の膨潤などがある。
この物理的作用又は化学的作用により分割可能な分割繊維としては、2種類以上の樹脂成分(少なくとも1種類の樹脂成分はポリオレフィン系樹脂からなる、好ましくは総てポリオレフィン系樹脂からなる)からなり、例えば図1〜図4に示すような繊維横断面がオレンジ型の分割繊維1、図5に示すような繊維横断面が多重バイメタル型の分割繊維1を挙げることができる。
この分割繊維の繊度は前述のような繊維径の極細繊維を発生できるものであれば良く、特に限定されるものではない。また、分割繊維及び極細繊維の繊維長は1〜160mmであるのが好ましい。
この極細繊維は電解液の保持性に優れるように、不織布構成繊維全体の質量の20mass%以上を占めているのが好ましく、30mass%以上を占めているのがより好ましい。
【0013】
本発明の不織布を構成する繊維の好適な組み合せとしては、(1)高強度繊維と融着繊維との組み合わせ、(2)高強度繊維、融着繊維及び極細繊維の組み合わせ、がある。前者(1)の場合、その質量比率は(高強度繊維):(融着繊維)=10〜60:90〜40であるのが好ましく、(高強度繊維):(融着繊維)=20〜40:80〜60であるのがより好ましい。また、後者(2)の場合、その質量比率は(高強度繊維):(融着繊維):(極細繊維)=10〜60:10〜70:20〜70であるのが好ましく、(高強度繊維):(融着繊維):(極細繊維)=20〜40:20〜50:30〜60であるのがより好ましい。
なお、不織布構成繊維として、未分割の分割繊維、引張り強さが4.5cN/dtex未満の繊維、などを含んでいても良い。
【0014】
次いで、前述のような非共鳴硫黄含有官能基を有さない樹脂からなる繊維を使用して、乾式法(メルトブロー法を含む)や湿式法により繊維ウエブを形成する。これら繊維ウエブの形成方法の中でも、緻密で電解液の保持性に優れる不織布を製造できる湿式法により形成するのが好ましい。この湿式法としては、例えば、順流円網、逆流円網、円網フォーマー、長網、短網の中から選ばれる抄造機を単独で、又は適宜組み合わせる方法がある。
【0015】
次いで、この繊維ウエブを結合して不織布を製造する。この結合方法としては、例えば、水流などの流体流によって絡合する方法、融着繊維や高強度繊維などの融着成分(低融点樹脂成分)を融着する方法、或いはこれらを併用する方法、などがある。
なお、これら絡合処理及び融着処理は何度でも実施することができるし、その順序も問わないが、融着処理後に絡合処理を実施することは融着を破壊することになるため、最後には融着するのが好ましい。
また、繊維ウエブ中に物理的に分割可能な分割繊維を含んでいる場合には、水流などの流体流の作用によって、絡合するとともに分割繊維を分割することができる。もちろん、分割繊維の分割は流体流により実施する必要はなく、流体流の作用とは別に物理的作用(例えば、カレンダー或いはフラットプレスなど)や化学的作用(例えば、樹脂の除去、樹脂の膨潤など)によって分割しても良い。
【0016】
流体流を噴出する条件としては、例えば、直径0.05〜0.3mm、ピッチ0.2〜3mmで一列又は二列以上にノズルを配置したノズルプレートから、圧力1MPa〜30MPaの流体流を繊維ウエブに対して噴出すれば良い。このような流体流は1回以上、繊維ウエブの片面又は両面に対して噴出すれば良い。
他方、繊維ウエブの融着は無圧下で行なっても良いし、加圧下で行なっても良いし、或いは無圧下で融着成分(低融点樹脂成分)を溶融させた後に加圧しても良い。
なお、加熱温度は、加熱と加圧を同時に行なう場合には、融着繊維などの融着成分(低融点樹脂成分)の軟化温度から融着繊維など融着成分(低融点樹脂成分)の融点までの範囲内の温度であるのが好ましく、加圧を伴わない場合には、融着繊維などの融着成分(低融点樹脂成分)の軟化温度から融着繊維などの融着成分(低融点樹脂成分)の融点よりも30℃高い温度までの範囲内で行なうのが好ましい。
また、加圧は加熱と同時に加圧する場合であっても、加熱した後に加圧する場合であっても、線圧力5〜30N/cm程度であるのが好ましい。
本発明における「軟化温度」は、示差熱量計を用い、昇温速度10℃/分で室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の開始点を与える温度をいう。
【0017】
次いで、不織布にスルホン酸基導入処理を実施する。このスルホン酸基導入処理としては、例えば、発煙硫酸、硫酸、クロロ硫酸又は塩化スルフリルなどからなる溶液中に不織布を浸漬する方法、一酸化硫黄ガス及び/又は二酸化硫黄ガスの存在下に不織布を配置して放電を作用させる方法、三酸化硫黄ガスに前述のような不織布を曝す方法、などを挙げることができる。
なお、このようなスルホン酸基導入処理は不織布形成後に実施する必要はなく、不織布を形成する前の繊維や繊維ウエブに対して実施した後、不織布を形成しても良い。
【0018】
このようにして不織布を構成する繊維表面にスルホン酸基を導入することができるが、スルホン酸基を導入する際に副反応物も生成されるため、この副反応物を硫酸、水、或いは希アルカリ溶液で洗浄して除去する。なお、スルホン酸基を導入した後にいきなり水で洗浄すると、発熱して不織布を損傷する場合があるため、順番に濃度の低い硫酸により洗浄し、最後に水で洗浄するのが好ましい。
【0019】
そして、水などの残留液体を乾燥除去すると同時に、又は乾燥除去した後に、80℃以上の温度(好ましくは100℃以上の温度)で熱処理を実施することにより、スルホン酸基を熱変性させて、非共鳴硫黄含有官能基(特に、次のような化学式(I)及び/又は化学式(II)で表現される非共鳴硫黄含有官能基)とする。なお、熱処理温度の上限は、不織布が形態を維持することができなくなる温度である。
【化5】
(Rはアルキル基を表す)
【化6】
(R’はアルキル基を表す)
なお、熱処理時間はスルホン酸基が熱変性して非共鳴硫黄含有官能基とすることのできる時間であり、特に限定されるものではないが、一般的に1秒〜10秒程度が適当である。
【0020】
本発明のセパレータは高容量化できるように、厚さは0.25mm以下であるのが好ましい。また、面密度は20〜100g/m2であるのが好ましい。
本発明のセパレータは自己放電抑制作用に優れているため、アルカリ二次電池用のセパレータとして好適に使用することができ、特にニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池などの二次電池用のセパレータとして好適に使用することができる。
【0021】
以下に、本発明のセパレータの実施例を記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0022】
【実施例】
(実施例1)
引張り強さ11cN/dtex、繊度1.3dtex、繊維長10mmのポリプロピレン高強度繊維(融点:166℃)20mass%、芯成分がポリプロピレン(融点:160℃)からなり、鞘成分(融着成分)が低密度ポリエチレン(融点:115℃)からなる、繊度2.2dtex、繊維長5mmの芯鞘型融着繊維20mass%、図3に示すような、ポリプロピレン成分(図中記号12、円形で繊維径3.5μmのポリプロピレン極細繊維(融点:160℃)を1本と、略三角形で繊維径4.3μmのポリプロプレン極細繊維(融点:160℃)を8本発生可能)と、高密度ポリエチレン成分(図中記号11、繊維径4.2μmの高密度ポリエチレン極細繊維(融点:125℃)を8本発生可能)とからなるオレンジ状断面を有する繊度2.2dtex、繊維長5mmの分割繊維60mass%とを混合分散させたスラリーを、傾斜ワイヤー型短網方式により抄造して繊維ウエブを形成した。
次いで、この繊維ウエブを温度133℃に設定されたフュージングオーブンに供給することにより、芯鞘型融着繊維の鞘成分及び分割繊維の高密度ポリエチレン成分を融着させて融着繊維ウエブを製造した。
次いで、この融着繊維ウエブを100メッシュのネット上に載置し、直径0.18mm、ピッチ0.6mmで一列にノズルを配置したノズルプレートから圧力10MPaの水流を融着繊維ウエブに対して両面交互に2回づつ噴出して、分割繊維を分割した。
次いで、この分割繊維を分割した融着繊維ウエブを温度120℃に設定された熱風循環式ドライヤーにより乾燥すると同時に、芯鞘型融着繊維の鞘成分のみを再度融着させて、面密度70g/m2の不織布を製造した。
次いで、この不織布を濃度15%、温度60℃の発煙硫酸中に2分間浸漬して、不織布にスルホン酸基を導入した。次いで、濃度75%の硫酸、濃度50%の硫酸、及び水によって、順に不織布を洗浄した。そして、この洗浄した不織布を温度98℃に設定された熱ロールと3分間接触させて乾燥した。
次いで、この乾燥した不織布を温度110℃に設定された熱ロールと5秒間接触させて熱処理を実施した。
次いで、加圧ロール(常温)により厚さ調整を行って、本発明のセパレータ(面密度:70g/m2、厚さ:0.18mm)を製造した。
【0023】
(実施例2)
芯成分がポリプロピレン(融点:160℃)からなり、鞘成分(融着成分)が高密度ポリエチレン(融点:125℃)からなる、繊度1.2dtex、繊維長5mmの芯鞘型融着繊維(100%)を分散させたスラリーを、傾斜ワイヤー型短網方式により抄造して繊維ウエブを形成した。
次いで、この繊維ウエブを温度133℃に設定されたフュージングオーブンに供給することにより、芯鞘型融着繊維の鞘成分を融着させて、面密度70g/m2の融着不織布を製造した。
次いで、この融着不織布を濃度15%、温度60℃の発煙硫酸中に2分間浸漬して、融着不織布にスルホン酸基を導入した。次いで、濃度75%の硫酸、濃度50%の硫酸、及び水によって、順に融着不織布を洗浄した。そして、この洗浄した融着不織布を温度96℃に設定された熱ロールと3分間接触させて乾燥した。
次いで、この乾燥した不織布を温度110℃に設定された熱ロールと5秒間接触させて熱処理を実施した。
次いで、加圧ロール(常温)により厚さ調整を行って、本発明のセパレータ(面密度:70g/m2、厚さ:0.18mm)を製造した。
【0024】
(実施例3)
乾燥した不織布を温度80℃に設定された熱ロールと5秒間接触させて熱処理を実施したこと以外は、実施例1と全く同様にして、本発明のセパレータ(面密度:70g/m2、厚さ:0.18mm)を製造した。
【0025】
(非共鳴硫黄含有官能基量の全硫黄含有官能基量に対する比率の測定)
まず、実施例1〜3のセパレータを純水中で30分間以上洗浄した後、24時間風乾した。次いで、X線光電子分光計により、次のような条件で各々のセパレータ表面におけるイオウ原子(2P3/2)のピーク面積を測定した後、ガウス−ローレンツ混合関数を用いた非線形最小二乗法による波形分離により、各々のセパレータ表面における、次の化学式(I)に示す非共鳴硫黄含有官能基量の全硫黄含有官能基量に対する比率(Sn/St)を算出した。なお、比率(Sn/St)はセパレータの両面それぞれに対して算出し、次いで平均値を算出した。この結果は表1に示す通りであった。
(1)励起源:Mg−Kα
(2)印加電圧値:10KV
(3)ビーム電流値:10mA
(4)光電子の脱出角度:90°
【化7】
(Rはアルキル基を表す)
【0026】
【表1】
【0027】
(容量維持率の測定)
電極の集電体として、発泡ニッケル基材を用いたペースト式ニッケル正極(33mm、182mm長)と、ペースト式水素吸蔵合金負極(メッシュメタル系合金、33mm、247mm長)とを作成した。
次いで、35mm幅、410mm長に裁断した各々のセパレータを、それぞれ正極と負極との間に挟み込み、渦巻き状に巻回して、SC型対応の電極群を作成した。次いで、この電極群を外装缶に収納した後、電解液として5N−水酸化カリウム及び1N−水酸化リチウムを外装缶に注液し、封緘して円筒型ニッケル−水素電池を作成した。
次いで、それぞれの円筒型ニッケル−水素電池を、0.1Cで容量に対して150%充電した後、0.1Cで放電し、終止電圧が1.0Vでの初期容量(A)を測定した。次いで、0.1Cで容量に対して150%充電した後、温度65℃の恒温室内に5日間放置した。その後、再度、0.1Cで放電し、終止電圧が1.0Vでの容量(B)を測定した。これらの結果から、次式により容量維持率を算出した。この結果も表1に示す通りであった。
(容量維持率、%)=(B/A)×100
この表1の結果から、本発明のセパレータは自己放電抑制作用に優れていることがわかった。また、化学式(I)で表される非共鳴硫黄含有官能基を硫黄含有官能基全体の10%以上含むセパレータはより自己放電抑制作用に優れていることもわかった。
【0028】
【発明の効果】
本発明の電池用セパレータは従来のスルホン化処理したセパレータよりも自己放電抑制作用の優れるものであるため、ニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池などの二次電池用のセパレータとして好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で使用できる分割繊維の模式的な断面図
【図2】 本発明で使用できる別の分割繊維の模式的な断面図
【図3】 本発明で使用できる別の分割繊維の模式的な断面図
【図4】 本発明で使用できる別の分割繊維の模式的な断面図
【図5】 本発明で使用できる別の分割繊維の模式的な断面図
【符号の説明】
1 分割繊維
11 一成分
12 他成分
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