JP4965039B2 - 電池用セパレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電池用セパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、アルカリ電池の正極と負極とを分離して短絡を防止すると共に、電解液を保持して起電反応を円滑に行なうことができるように、正極と負極との間にセパレータが使用されている。
【0003】
近年、電子機器の小型軽量化に伴って、電池の占めるスペースが狭くなっているにもかかわらず、電池には従来と同程度以上の性能が必要とされるため、電池の高容量化が要求されている。そのためには、電極の活物質の量を増やす必要があるため、必然的に前記セパレータの占める体積が小さくならざるを得ない。
【0004】
そのため、水流の作用により分割して極細繊維を発生可能な分割性繊維を含む繊維ウエブを形成した後、水流を作用させることにより、分割性繊維を分割して極細繊維を発生させた不織布をセパレータとして使用することが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような方法によって得られるセパレータは極細繊維を含んでいるため、セパレータの厚さを薄くすることができ、電池の高容量化に対応できるものであったが、繊維径の小さい極細繊維を使用しているが故にペーパーライクになりやすいものであった。このようにセパレータがペーパーライクになると、電解液を十分に保持することができないため電池寿命が短くなったり、密閉型ニッケル−水素電池などのように、気体が発生する密閉型電池に用いた場合には、一方の電極から発生した気体を他方の電極へ透過させるのが困難となり、内圧特性が悪くなる場合があった。
【0006】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、極細繊維を含んでいるにもかかわらず、電解液の保持性に優れ、しかも内圧特性の優れる電池を製造することのできる電池用セパレータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、繊維径が5μm以下のポリオレフィン系極細繊維(以下、単に「極細繊維」ということがある)と巻縮を有するポリオレフィン系熱融着繊維(以下、単に「熱融着繊維」ということがある)とを含むスラリーを、湿式法により形成した繊維ウエブに由来するポリオレフィン系湿式不織布(以下、単に「湿式不織布」ということがある)を備えており、このポリオレフィン系湿式不織布を構成する少なくとも1種類の繊維が巻縮を有することを特徴とする、電池用セパレータ(以下、単に「セパレータ」ということがある)、によって解決することができる。
【0008】
つまり、本発明のセパレータはセパレータを構成する湿式不織布が巻縮を有する繊維を含んでいることによって、弾性のある湿式不織布であることができるため電解液の保持性に優れ、しかも巻縮を有する繊維を含んでいることによって適度な空隙が形成されるため、気体の透過性にも優れ、内圧特性の優れる電池を製造することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のセパレータを構成する湿式不織布は、セパレータの体積を小さくして電池の高容量化に対応できるように、また、繊維が均一に分散した緻密な地合いであることによって短絡が生じにくいように、繊維径が5μm以下の極細繊維を含んでいる。
【0010】
この極細繊維の繊維径は小さければ小さい程、セパレータの厚さを薄くすることができ、しかも緻密な地合いであることができるため、極細繊維の繊維径は4μm以下であるのが好ましく、3μm以下であるのがより好ましく、2μm以下であるのが更に好ましい。他方、極細繊維はある程度の強度を有するように、0.01μm以上であるのが好ましい。
【0011】
本発明における「繊維径」は、繊維横断面形状が円形である場合には、その直径をいい、繊維横断面形状が非円形である場合には、同じ面積を有する円の直径をいう。
【0012】
この極細繊維によって均一な孔径を形成して、湿式不織布が均一な地合いであるように、極細繊維の繊維径は極細繊維相互においてほぼ同じであるのが好ましい。つまり、極細繊維の繊維径分布の標準偏差値(σ)を、極細繊維の繊維径の平均値(d)で除した値(σ/d)が0.2以下(好ましくは0.18以下)であるのが好ましい。なお、全ての極細繊維の繊維径が同じである場合には、標準偏差値(σ)が0になるため、前記値(σ/d)の下限値は0である。
【0013】
この「極細繊維の繊維径の平均値(d)」は、湿式不織布の電子顕微鏡写真を撮影し、この電子顕微鏡写真における100本以上(n本)の極細繊維の繊維径を計測し、その計測した繊維径(χ)を平均した値をいう。また、極細繊維の「標準偏差値(σ)」は、計測した繊維径(χ)をもとに、次の式から算出した値をいう。
標準偏差={(nΣχ2−(Σχ)2)/n(n−1)}1/2
ここでnは測定した極細繊維の本数を意味し、χはそれぞれの極細繊維の繊維径を意味する。
【0014】
また、極細繊維は湿式不織布の地合いが均一であるように、個々の極細繊維は繊維軸方向において、実質的に同じ直径であるのが好ましい。
【0015】
本発明の極細繊維を構成する樹脂成分は耐電解液性に優れるように、ポリオレフィン系樹脂からなる。なお、電解液による侵食は極細繊維の表面から進行するため、極細繊維の表面(極細繊維両端部を除く)がポリオレフィン系樹脂から構成されていれば、ポリオレフィン系極細繊維とみなす。例えば、ポリアミド樹脂とポリオレフィン系樹脂とからなり、ポリオレフィン系樹脂のみが繊維表面を占めている極細繊維(極細繊維両端部を除く)はポリオレフィン系極細繊維である。
【0016】
このポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体(エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)など)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン共重合体など)、ポリメチルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテン、メチルペンテン共重合体など)などを挙げることができ、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂から構成されているのが好ましい。
【0017】
本発明の極細繊維は横断面形状が円形であるのが好ましい。このように横断面形状が円形であると、湿式不織布の地合いが更に優れている。
【0018】
なお、極細繊維が融着に関与できる樹脂成分(以下、「融着成分」ということがある)を含み、この融着成分により融着していると、極細繊維が脱落したり、毛羽立ちにくいため好適である。
【0019】
この極細繊維が融着している場合、極細繊維は1種類の樹脂成分のみから構成することもできるが、湿式不織布の地合いを損なわないように、融着成分に加えて、融着成分よりも高い融点を有する非融着成分を含む、2種類以上の樹脂成分から構成されているのが好ましい。このように極細繊維が融着成分と非融着成分とを含む場合、融着成分が極細繊維表面の一部又は全部を占めているのが好ましい。このような極細繊維の横断面形状としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、多重バイメタル型であるのが好ましい。なお、非融着成分は繊維形状を維持できるように、融着成分の融点よりも10℃以上高い融点を有するのが好ましく、20℃以上高いのがより好ましい。
【0020】
本発明における「融点」は示差走査熱量計を用い、昇温温度10℃/分で、室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。なお、極大値が2つ以上ある場合には、最も高温の極大値を融点とする。
【0021】
本発明の極細繊維は、機械的作用(例えば、水流)により極細繊維を発生可能な分割繊維を分割して得ることができるが、機械的作用(例えば、水流)によって地合いが乱れないように、また、個々の極細繊維が分散していることによって湿式不織布の地合いが優れているように、特定の溶媒に対する溶解性の異なる2種類以上の樹脂成分からなる複合繊維から、少なくとも1種類の樹脂成分を溶解除去することによって得られた極細繊維であるのが好ましい。
【0022】
例えば、特定の溶媒により容易に溶解除去できる易除去樹脂成分と、この特定溶媒により容易に溶解除去されない難除去樹脂成分とを含む複合繊維(例えば、繊維横断面形状が海島型で、島成分が難除去樹脂成分からなる)から、易除去樹脂成分を溶解除去することによって得ることができる。より具体的には、共重合ポリエステル(海成分)とポリプロピレン(島成分)からなる海島型複合繊維を、温度が80℃程度の10mass%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することにより、共重合ポリエステル成分(海成分)を溶解除去して、ポリプロピレンからなる極細繊維を得ることができる。
【0023】
なお、前述のような、極細繊維相互間においてほぼ同じ繊維径を有する極細繊維、或いは各々の極細繊維における繊維軸方向において、実質的に同じ直径である極細繊維は、例えば、紡糸口金部で海成分中に口金規制して島成分を押し出して複合する複合紡糸法で得た海島型複合繊維の海成分を除去することにより得ることができる。なお、一般的に混合紡糸法といわれる、島成分を構成する樹脂と海成分を構成する樹脂とを混合した後に紡糸する方法によって得た海島型複合繊維の海成分を除去する方法や、メルトブロー法によっては、極細繊維相互間においてほぼ同じ繊維径を有する極細繊維、或いは各々の極細繊維における繊維軸方向において、実質的に同じ直径である極細繊維を得ることは困難である。しかしながら、これらの方法により得られる極細繊維も本発明において使用することはできる。
【0024】
また、横断面形状が円形の極細繊維は、例えば、海成分中に島成分を押し出し、複合して海島型複合繊維を紡糸する際に、島成分を押し出す口金として、断面が円形のものを使用して得ることができる。
【0025】
更に、融着成分と非融着成分とを含む2種類以上の樹脂成分からなる極細繊維は、常法の複合紡糸法により海島型複合繊維を紡糸する際に、島成分を押し出す口金として、前述のような横断面形状(例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、多重バイメタル型など)を形成できるものを使用して海島型複合繊維を紡糸するか、常法の複合紡糸法により海島型複合繊維を紡糸する際に、2種類以上の樹脂成分を混合した樹脂を島成分を押し出す口金に供給して海島型複合繊維を紡糸し、海成分を除去することにより得ることができる。
【0026】
このような極細繊維は湿式不織布の地合いが優れているように、湿式不織布の質量の5%以上を占めているのが好ましく、10%以上を占めているのがより好ましい。他方、後述の他の繊維(例えば、熱融着繊維、高強度繊維など)との兼ね合いから、50%以下であるのが好ましく、35%以下であるのがより好ましい。
【0027】
なお、極細繊維は0.1〜25mm程度の長さに切断されているのが好ましいが、極細繊維又は極細繊維を発生可能な複合繊維を切断する際に、極細繊維同士又は極細繊維のもととなる樹脂成分同士が圧着してしまうと、地合いが悪くなるため、切断する際に極細繊維同士又は極細繊維のもととなる樹脂成分同士が圧着しにくい、極細繊維又は極細繊維を発生可能な複合繊維を使用するのが好ましい。
【0028】
このような圧着しにくい極細繊維又は極細繊維を発生可能な複合繊維としては、例えば、結晶性の高い極細繊維又は結晶性の高い樹脂を含む複合繊維を挙げることができる。より具体的には、極細繊維又は極細繊維を発生可能な複合繊維がポリメチルペンテンを含んでいたり、ポリプロピレンを含んでいる場合には、そのポリプロピレンの融点が166℃以上(好ましくは168℃以上)であるのが好ましい。
【0029】
本発明の極細繊維は巻縮を有するものであることができる。極細繊維が巻縮を有するものであることによって、適度な弾性を湿式不織布に付与して電解液の保持性を向上させたり、適度な空間を維持できることによって気体の透過性を確保することができる。極細繊維が巻縮を有する場合、その巻縮数は特に限定されるものではないが、電解液の保持性を向上させたり、気体の透過性に優れるように、1個/インチ以上であるのが好ましく、3個/インチ以上であるのがより好ましい。他方、巻縮数が多くなりすぎると、極細繊維の分散性が悪くなり、地合いの悪い湿式不織布となる傾向があるため、30個/インチ以下であるのが好ましく、15個/インチであるのがより好ましい。
【0030】
なお、このような巻縮は、例えば、切断する前の極細繊維束の状態で、スタッファボックスやギヤ巻縮装置などを用いて、機械的に巻縮を付与した後に、この極細繊維束を切断することによって得ることができるし、極細繊維が熱収縮率の異なる2種類以上の樹脂からなり、しかもこれらの樹脂が不均一に配置(例えば、横断面形状がサイドバイサイド型、偏芯型の場合)している場合には、熱を作用させ、熱収縮率の差を利用して付与することができる。
【0031】
本発明における「巻縮数」は、JIS L 1015、8.12.1(けん縮数)に規定されている方法により得られる値をいう。なお、空間距離は20mmとする。
【0032】
本発明のセパレータを構成する湿式不織布は、前述のような極細繊維に加えて、熱融着繊維を含んでいるため引張り強さや剛軟度に優れている。
【0033】
この熱融着繊維は融着する際に、熱融着繊維以外の繊維(例えば、極細繊維、後述の高強度繊維など)に悪影響を及ぼさないように、熱融着繊維以外の繊維の融着しない樹脂成分の融点よりも10℃以上低い(好ましくは20℃以上低い)融点を有する融着成分を含んでいるのが好ましい。例えば、熱融着繊維以外の繊維として、ポリプロピレン樹脂のみからなる極細繊維とポリプロピレンのみからなる高強度繊維とを含んでいる場合には、熱融着繊維の融着成分として、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体(エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)など)、又はポリプロピレン系共重合体(例えば、エチレン−ブテン−プロピレン共重合体、エチレン−ブタジエン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体など)を含んでいるのが好ましい。
【0034】
この熱融着繊維は融着成分のみから構成されていても良いが、湿式不織布の強度をより向上させることができ、フィルム化して気体の通過性を損なわないように、融着成分に加えて融着成分よりも融点の高い非融着成分を含んでいるのが好ましい。この融着成分と非融着成分とを含む場合の横断面形状としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、多重バイメタル型であることができる。また、非融着成分は融着成分の融点よりも10℃以上高い樹脂からなるのが好ましく、20℃以上高い樹脂からなるのが好ましい。
【0035】
なお、熱融着繊維も前述の極細繊維と同様の理由で、極細繊維と同様のポリオレフィン系樹脂から構成されている。
【0036】
また、熱融着繊維の引張り強さが2cN/dtex以上であると、圧力が加わったとしても、熱融着繊維の剛性によって湿式不織布の厚さを維持しやすく、電解液の保持性や気体透過のための空隙を確保しやすいため好適である。より好ましい引張り強さは4cN/dtex以上である。なお、引張り強さの上限は特にないが、20cN/dtex程度が適当である。
【0037】
本発明における「引張り強さ」は、JIS L 1015(化学繊維ステープル試験法)によって測定される値をいう。
【0038】
本発明の熱融着繊維の繊維径は1〜50μmであるのが好ましく、1〜40μmであるのがより好ましく、3〜35μmであるのが最も好ましい。熱融着繊維の繊維径がこの範囲内にあると、適度な弾性や機械的強度を湿式不織布に付与することができるため、短絡を防止しやすく、電解液の保持性が向上し、しかも気体の透過性を向上させることができる。
【0039】
更に、本発明の熱融着繊維が巻縮を有していると、適度な弾性を湿式不織布に付与して電解液の保持性を向上させたり、適度な空間を維持できることによって気体の透過性を確保することができるため好適である。熱融着繊維が巻縮を有する場合、その巻縮数は特に限定されるものではないが、電解液の保持性を向上させたり、気体の透過性に優れるように、1個/インチ以上であるのが好ましく、3個/インチ以上であるのがより好ましい。他方、巻縮数が多くなりすぎると、熱融着繊維の分散性が悪くなり、地合いの悪い湿式不織布となる傾向があるため、30個/インチ以下であるのが好ましく、15個/インチであるのがより好ましい。
【0040】
なお、このような巻縮はスタッファボックスやギヤ巻縮装置などを用いて、機械的に付与することができるし、熱融着繊維が熱収縮率の異なる2種類以上の樹脂からなり、しかも不均一に配置(例えば、横断面形状がサイドバイサイド型、偏芯型の場合)している場合には、熱を作用させ、熱収縮率の差を利用して付与することができる。
【0041】
更に、本発明の湿式不織布は熱融着繊維として、巻縮を有する熱融着繊維と巻縮のない熱融着繊維とを含んでいると、湿式不織布の地合いを損なうことなく、適切な空間を保持して、電解液の保持性や気体の透過性に優れているため、好適な実施態様である。この場合、巻縮を有する熱融着繊維の割合は、適切な空間を保持できるように、熱融着繊維全体の10mass%以上であるのが好ましく、20mass%以上であるのがより好ましく、湿式不織布の地合いを損なうことがないように、90mass%以下であるのが好ましく、80mass%以下であるのがより好ましい。
【0042】
なお、巻縮を有する熱融着繊維は、湿式不織布の機械的強度(引張り強さ等)を低下させることなく、適切な空間を保持して電解液を保持できるように、引張り強さが2cN/dtex以上であるのが好ましく、2.5cN/dtex以上であるのがより好ましい。他方、巻縮のない熱融着繊維は、湿式不織布の機械的強度(引張り強さ等)や剛軟度に優れているように、引張り強さが5cN/dtex以上であるのが好ましく、6cN/dtex以上であるのがより好ましい。
【0043】
このような熱融着繊維(巻縮を有する熱融着繊維と巻縮のない熱融着繊維とを含む場合には、その総量)は湿式不織布の機械的強度を向上させることができるように、湿式不織布の質量の10%以上を占めているのが好ましく、20%以上を占めているのがより好ましい。他方、他の繊維(例えば、極細繊維、高強度繊維など)との兼ね合いから95%以下であるのが好ましく、90%以下であるのがより好ましい。
【0044】
上述のような極細繊維及び熱融着繊維はいずれもフィブリル化していないのが好ましい。これらの繊維がフィブリル化していると、湿式不織布を構成する繊維として巻縮を有する繊維を含んでいるにもかかわらず、気体の透過性が悪くなりやすいためである。この「フィブリル化していない」とは、微細繊維に枝分かれしていないことをいい、例えば、パルプ、フラッシュ紡糸法により得られる繊維はフィブリル化した繊維である。なお、機械的に分割可能な分割性繊維をビーターなどによって十分に叩解した繊維は、実質的にフィブリル化していない。
【0045】
本発明のセパレータを構成する湿式不織布は、前述のような極細繊維及び熱融着繊維に加えて、引張り強さが8.5cN/dtex以上の高強度繊維を含んでいるのが好ましい。このような高強度繊維を含んでいることによって、セパレータを極板に巻き付ける際の張力によって破断したり、極板のバリがセパレータを突き抜けたり、或いは極板のエッジによってセパレータが引き裂かれにくくなり、電池を製造しやすくなる。また、高強度繊維が巻縮を有する場合には、その剛性によって、適度な弾性を湿式不織布に付与して電解液の保持性を向上させたり、適度な空間を維持できることによって気体の透過性を確保することができる。
【0046】
この高強度繊維の好ましい引張り強さは8.9cN/dtex以上であり、より好ましい引張り強さは10cN/dtex以上である。引張り強さの上限は特に限定するものではないが、50cN/dtex程度が適当である。
【0047】
なお、この高強度繊維は前記効果に更に優れているように、ヤング率が800kg/mm2以上であるのが好ましく、850kg/mm2以上であるのがより好ましい。なお、ヤング率の上限は特に限定するものではない。
【0048】
この「ヤング率」はJIS L 1015:1999、8.11項に規定されている方法により測定した初期引張抵抗度から算出した見掛ヤング率の値をいう。なお、初期引張抵抗度は定速緊張形試験機によって測定した値をいう。
【0049】
また、高強度繊維の熱収縮率が8%以下であると、湿式不織布製造時或いは電池使用時に熱が加わったとしても、セパレータの寸法変化が少なく、湿式不織布製造時における繊維の均一分散性に優れ、電池使用時における短絡防止性に優れているため好適である。より具体的には、湿式不織布製造時に、前述のような熱融着繊維を融着させたとしても、高強度繊維が収縮しにくいため、湿式不織布の寸法変化が生じにくい。したがって、繊維の均一分散性が維持され、短絡防止性に優れている。また、電池使用時に、電池が高温になったとしても、高強度繊維が収縮しにくいため、セパレータの寸法変化が生じにくい。したがって、電極間の電気絶縁性を維持して、短絡を防止することができる。高強度繊維の好ましい熱収縮率は7%以下である。この「熱収縮率」はJIS L 1015に基づき、温度140℃のオーブン乾燥機を用いて測定した乾熱収縮率の値をいう。
【0050】
また、高強度繊維の横断面形状が非円形であると、極板のバリがセパレータを突き抜けたり、極板のエッジによりセパレータが引き裂かれにくいため好適である。これは、極板のバリやエッジがこの高強度繊維に当接したとしても、高強度繊維が滑りにくく、繊維接点の目ズレが抑制され、バリやエッジからの力を受け止めることができるためであると考えられる。このように、高強度繊維の横断面形状が非円形であることによって、湿式不織布が緻密な構造を採ることができるため、より薄く、短絡しにくいセパレータであることができる。具体的な横断面形状としては、例えば、長円状、多角形状(例えば、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状など)、アルファベット形状(例えば、X形状、Y形状、I形状、V形状など)などを挙げることができる。これらの中でも五角形状、六角形状などの多角形状であるのが好ましい。
【0051】
このような高強度繊維の繊維径は13〜35μmであるのが好ましく、15〜30μmであるのがより好ましく、17〜25μmであるのが最も好ましい。高強度繊維の繊維径がこの範囲内にあると、極板のバリが突き抜けたり、極板のエッジによって引き裂かれにくく、短絡しにくい。
【0052】
本発明の高強度繊維は引張り強さが8.5cN/dtex以上である限り、その樹脂成分は限定されるものではないが、耐電解液性に優れるように、ポリオレフィン系樹脂から構成されているのが好ましい。例えば、ポリプロピレン系樹脂、又はポリエチレン系樹脂(特に、超高分子量ポリエチレン)から構成されているのが好ましい。なお、高強度繊維は単一の樹脂成分から構成されていても良いし、複数の樹脂成分から構成されていても良い。後者のように複数の樹脂成分から構成されている場合、その横断面形状は、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、多重バイメタル型であることができる。なお、このような横断面形状を有し、繊維表面を構成する樹脂成分として、より融点の低い樹脂成分を含んでいると、この繊維表面に存在する樹脂成分によって融着することができる。
【0053】
本発明の高強度繊維が巻縮を有していると、適度な弾性を湿式不織布に付与して電解液の保持性を向上させたり、適度な空間を維持できることによって気体の透過性を確保することができる。高強度繊維が巻縮を有する場合、その巻縮数は特に限定されるものではないが、電解液の保持性を向上させたり、気体の透過性に優れるように、1個/インチ以上であるのが好ましく、3個/インチ以上であるのがより好ましい。他方、巻縮数が多くなりすぎると、高強度繊維の分散性が悪くなり、地合いの悪い湿式不織布となる傾向があるため、30個/インチ以下であるのが好ましく、15個/インチであるのがより好ましい。
【0054】
なお、このような巻縮はスタッファボックスやギヤ巻縮装置などを用いて、機械的に付与することができるし、高強度繊維が熱収縮率の異なる2種類以上の樹脂からなり、しかも不均一に配置(例えば、横断面形状がサイドバイサイド型、偏芯型の場合)している場合には、熱を作用させ、熱収縮率の差を利用して付与することができる。
【0055】
このような高強度繊維は、極板のバリがセパレータを突き抜けたり、極板のエッジにより引き裂かれにくいように、湿式不織布の質量の5%以上を占めているのが好ましく、より短絡しにくいように15%以上を占めているのがより好ましい。他方、前述のような極細繊維及び熱融着繊維との兼ね合いから、85%以下であるのが好ましく、80%以下であるのがより好ましく、70%以下であるのが更に好ましく、60%以下であるのが更に好ましく、50%以下であるのが最も好ましい。
【0056】
なお、本発明において好適に使用できる超高分子量ポリエチレン高強度繊維は、例えば、ゲル紡糸法により得ることができ、ポリプロピレン高強度繊維は、例えば、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が95〜100%で、重量平均分子量/数平均分子量の比(Q値)が4未満であるアイソタクチックポリプロピレンを溶融紡糸した繊維を、被延伸物導入部及び該延伸物引き出し部に加圧水槽を配置し、高温加圧水蒸気をその内部に充填した延伸槽を用いた延伸装置により、延伸槽温度120℃以上、延伸倍率7倍以上で延伸することにより得ることができる。このような方法で得られたポリプロピレン高強度繊維は繊維軸方向に高度に配向結晶化しており、繊維側面を偏光下、クロスニコルの状態で観察した時、繊維方向に屈折率の異なる、断続的な線状の暗部と明部とからなる特有の縞模様を有する。
【0057】
本発明の湿式不織布を構成する繊維(例えば、極細繊維、熱融着繊維、高強度繊維など)の繊維長は特に限定されるものではないが、均一に分散して地合いが優れているように、繊維長は0.1〜25mm(より好ましくは0.1〜20mm)であるのが好ましく、1〜25mm(より好ましくは0.1〜20mm)に切断された繊維であるのが好ましい。
【0058】
なお、「繊維長」はJIS L 1015(化学繊維ステープル試験法)B法(補正ステープルダイヤグラム法)により得られる長さをいう。
【0059】
本発明のセパレータを構成するポリオレフィン系湿式不織布は、上述のようなポリオレフィン系極細繊維、ポリオレフィン系熱融着繊維、好ましくはポリオレフィン系高強度繊維などのポリオレフィン系繊維を主体(50mass%以上含む、好ましくは70mass%以上含む、更に好ましくは90mass%以上含む、最も好ましくは100%含む)とする、耐電解液性に優れるものである。なお、本発明のポリオレフィン系湿式不織布においては、前述のような作用を損なわない範囲内で別の繊維を含んでいても良い。
【0060】
本発明のセパレータを構成する湿式不織布は、湿式不織布を構成する少なくとも1種類の繊維(例えば、極細繊維、熱融着繊維、高強度繊維など)が巻縮を有していることによって、適度な弾性が付与されているため、電解液の保持性に優れ、しかも適度な空間を維持できるため、気体の透過性にも優れている。このような効果は熱融着繊維が巻縮を有する場合に顕著であり、特に熱融着繊維が2cN/dtex以上の引張り強さを有する場合に顕著である。また、高強度繊維を含んでいる場合には、高強度繊維が巻縮を有する場合に顕著である。
【0061】
本発明の湿式不織布においては、前述のような極細繊維の束が実質的に存在していないのが好ましい。極細繊維の束が存在していると、極細繊維を含んでいるにもかかわらず、地合いが悪くなりやすく、短絡が生じやすくなるためである。このような極細繊維を束の存在する湿式不織布は、溶媒による樹脂成分の膨潤によって分割できる分割性複合繊維や、溶媒によって樹脂成分を除去して分割できる分割性複合繊維を含む繊維ウエブを形成した後、分割性複合繊維を溶媒によって樹脂成分を除去して分割した場合に形成されやすいが、個々の極細繊維が分散した状態にあるスラリーを使用して繊維ウエブを形成すれば、実質的に極細繊維の束が存在しない湿式不織布を製造することができる。
【0062】
また、湿式不織布は実質的に繊維の融着のみによって形態を維持しているのが好ましい。このように融着のみによって形態を維持していると、地合いが優れているため短絡が生じにくく、しかも電解液が均一に分布することができるため内部抵抗を低くすることができる。例えば、融着以外に絡合によっても繊維が固定されていると、繊維同士を絡合させるための作用(例えば、水流などの流体流)によって、地合いが乱されて、湿式不織布の表面から裏面への貫通孔が形成されて短絡が生じやすくなるが、実質的に融着のみによって形態を維持していると、地合いが優れているため短絡が生じにくい。
【0063】
なお、湿式不織布を製造する際に、スラリーから繊維を網により抄い上げた時には、多かれ少なかれ繊維が絡んだ状態にある。しかしながら、この絡みは繊維の配置を乱すものではないため、実質的に絡合していないとみなす。このように、「実質的に繊維の融着のみ」とは、湿式繊維ウエブを形成した後における繊維の固定が融着のみによってなされていることをいう。
【0064】
本発明の湿式不織布の厚さは電池の高容量化に対応できるように、0.2mm以下であるのが好ましく、0.18mm以下であるのが好ましい。厚さの下限は特に限定するものではないが、0.03mm程度が適当である。
【0065】
本発明における「厚さ」は、JIS B 7502:1994に規定されている外側マイクロメーター(0〜25mm)により測定した厚さをいう。
【0066】
また、本発明の湿式不織布の目付は20〜80g/m2であるのが好ましく、より好ましくは30〜70g/m2である。
【0067】
本発明の「目付」は、JIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定法)に規定されている方法に基いて得られる坪量をいう。
【0068】
本発明のセパレータは前述のような湿式不織布を備えたものであり、湿式不織布のみから構成することもできるし、湿式不織布に有孔フィルム、織物、編物、ネット、糸などと積層一体化されていても良い。なお、電池を高容量化するためには、セパレータは薄い方が有利であるため、湿式不織布のみから構成されているのが好ましい。
【0069】
本発明のセパレータは湿式不織布を構成する繊維として巻縮を有する繊維を含んでいる結果として、厚さ保持率が90%以上であるのが好ましい。この厚さ保持率が90%未満であると、セパレータが潰れ、電解液がセパレータから遊離しやすく、電解液の保持性が悪いため、液枯れし、電池寿命が短くなりやすいためで、より好ましい厚さ保持率は95%以上である。
【0070】
この「厚さ保持率」は、マイクロメーターにより1000g荷重時の厚さの、500g荷重時の厚さに対する百分率をいう。つまり、次の式により得られる値をいう。
(厚さ保持率、%)=(T1000/T500)×100
ここで、T1000はマイクロメーターにより1000g荷重した時の厚さをいい、T500はマイクロメーターにより500g荷重した時の厚さをいう。
【0071】
本発明のセパレータは、湿式不織布がポリオレフィン系繊維を主体として構成されているため、電解液との親和性が悪い傾向がある。そのため、電解液との親和性を付与又は向上するように、酸素及び/又は硫黄含有官能基(例えば、スルホン酸基、スルホン酸塩基、スルホフルオライド基、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基など)が導入されていたり、親水性モノマーがグラフト重合されていたり、界面活性剤が付与されていたり、或いは親水性樹脂が付与されているのが好ましい。
【0072】
本発明のセパレータはポリオレフィン系湿式不織布を備えているため、アルカリ電池用に好適に用いることができ、前述のように、電解液の保持性及び気体の透過性に優れているため、ニッケル−カドミウム電池又はニッケル−水素電池(特に密閉型)のセパレータとして特に好適に使用できる。
【0073】
本発明のセパレータを構成する湿式不織布は、例えば次のようにして製造することができる。
【0074】
まず、前述のような極細繊維、熱融着繊維、好ましくは高強度繊維を用意する。
【0075】
次いで、用意した繊維を用いて湿式繊維ウエブを形成する。この湿式繊維ウエブの形成方法は特に限定するものではないが、例えば、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、長網・円網コンビネーション方式、短網・円網コンビネーション方式などを挙げることができる。
【0076】
次いで、この湿式繊維ウエブを構成する繊維同士を結合して、セパレータとして使用できる湿式不織布を製造できる。好ましくは湿式繊維ウエブを構成する繊維同士を融着のみによって結合する。このように融着のみによって結合すると、湿式繊維ウエブの地合いが乱れないため短絡が生じにくく、しかも電解液が均一に分布することができるため、内部抵抗の低い電池を製造できるセパレータとすることができる。この湿式繊維ウエブを構成する繊維同士の融着は、無圧下で行なっても良いし、加圧下で行なっても良いし、或は無圧下で融着成分を溶融させた後に加圧(直ちに加圧するのが好ましい)しても良い。
【0077】
本発明のセパレータは電池の高容量化に対応できるように、厚さが薄い方が好ましいため、湿式不織布の厚さが厚い場合には、一対のロール間を通過させるなどして、厚さを調節するのが好ましい。
【0078】
なお、湿式不織布と有孔フィルム、織物、編物、ネット、或いは糸などが積層一体化されたセパレータは、湿式繊維ウエブ又は湿式不織布に有孔フィルム、織物、編物、ネット、或いは糸などを積層した後、湿式繊維ウエブ、湿式不織布、有孔フィルム、織物、編物、ネット、或いは糸の熱融着性を利用して、一体化することができる。
【0079】
本発明のセパレータを構成する湿式不織布は耐電解液性に優れるように、ポリオレフィン系繊維を主体としているため、電解液の保持性を付与又は向上させるために、親水化処理を実施するのが好ましい。この親水化処理としては、例えば、スルホン化処理、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、界面活性剤処理、放電処理、或は親水性樹脂付与処理などを挙げることができる。
【0080】
スルホン化処理としては、特に限定するものではないが、例えば、発煙硫酸、硫酸、三酸化イオウ、クロロ硫酸、又は塩化スルフリルからなる溶液中に前述のような湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)を浸漬してスルホン酸基を導入する方法や、一酸化硫黄ガス、二酸化硫黄ガス、或いは三酸化硫黄ガスなどの存在下で放電を作用させて湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)にスルホン酸基を導入する方法等がある。
【0081】
フッ素ガス処理についても、特に限定するものではないが、例えば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガスなど)で希釈したフッ素ガスと、酸素ガス、二酸化炭素ガス、及び二酸化硫黄ガスの中から選ばれる少なくとも1種類のガスとの混合ガスに、湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)をさらすことにより、湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)の繊維表面に、スルホン酸基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホフルオライド基、或いは水酸基を導入して親水化することができる。なお、湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)に二酸化硫黄ガスをあらかじめ付着させた後に、フッ素ガスと接触させると、より効率的に恒久的な親水性を付与することができる。
【0082】
ビニルモノマーのグラフト重合としては、ビニルモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、或いはスチレンを使用することができる。なお、スチレンをグラフト重合した場合には、スルホン化するのが好ましい。これらの中でも、アクリル酸は電解液との親和性に優れているため好適に使用できる。
【0083】
これらビニルモノマーの重合方法としては、例えば、ビニルモノマーと重合開始剤を含む溶液中に湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)を浸漬して加熱する方法、湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)にビニルモノマーを塗布した後に放射線を照射する方法、湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)に放射線を照射した後にビニルモノマーと接触させる方法、増感剤を含むビニルモノマー溶液を湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)に含浸した後に紫外線を照射する方法などがある。なお、ビニルモノマー溶液と湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)とを接触させる前に、紫外線照射、コロナ放電、プラズマ放電などにより、湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)表面を改質処理すると、ビニルモノマー溶液との親和性が高くなるため、効率的にグラフト重合できる。
【0084】
界面活性剤処理としては、例えば、アニオン系界面活性剤(例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸塩、もしくはスルホコハク酸エステル塩など)、又はノニオン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、もしくはポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルなど)の溶液中に湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)を浸漬したり、この溶液を湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)に塗布又は散布して付着させることができる。
【0085】
放電処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、沿面放電処理又は電子線処理などがある。これら放電処理の中でも、空気中の大気圧下で、それぞれが誘電体を担持する一対の電極間に、これら両方の誘電体と接触するように湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)を配置し、これら両電極間に交流電圧を印加し、湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)の内部空隙で放電を発生させる方法であると、湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)の外側だけではなく、湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)の内部を構成する繊維表面も親水化することができる。したがって、セパレータ内部における電解液の保持性にも優れている。
【0086】
親水性樹脂付与処理としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、架橋可能なポリビニルアルコール、又はポリアクリル酸などの親水性樹脂を付着させることができる。これらの親水性樹脂は適当な溶媒に溶解又は分散させた後、この溶媒中に湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)を浸漬したり、この溶媒を湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)に塗布又は散布し、乾燥して付着させることができる。なお、親水性樹脂の付着量は、通気性を損なわないように、セパレータ全体の0.3〜5mass%であるのが好ましい。
【0087】
この架橋可能なポリビニルアルコールとしては、例えば、水酸基の一部を感光性基で置換したポリビニルアルコールがあり、より具体的には、感光性基としてスチリルピリジニウム系のもの、スチリルキノリニウム系のもの、スチリルベンゾチアゾリウム系のもので置換したポリビニルアルコールがある。この架橋可能なポリビニルアルコールも他の親水性樹脂と同様にして湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)に付着させた後、光照射によって架橋させることができる。このような水酸基の一部を感光性基で置換したポリビニルアルコールは耐電解液性に優れ、しかもイオンとキレートを形成できる水酸基を多く含んでおり、放電時及び/又は充電時に、極板上に樹枝状の金属が析出する前のイオンとキレートを形成し、電極間の短絡を生じにくいので好適に使用できる。
【0088】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0089】
【実施例】
(実施例1)
常法の複合紡糸法により紡糸した後に切断して、ポリ−L−乳酸からなる海成分中に、ポリプロピレン(融点:172℃)からなる島成分が25個存在する海島型複合繊維(繊度:1.65dtex、繊維長:2mm)を製造した。
【0090】
次いで、この海島型複合繊維を、温度80℃、10mass%水酸化ナトリウム水溶液からなる浴中に30分間浸漬し、海島型複合繊維の海成分であるポリ−L−乳酸を溶解除去して、ポリプロピレン極細繊維(繊維径:2μm、巻縮なし、ρ/d:0.083、融点:172℃、切断繊維長:2mm、フィブリル化していない、延伸されている、繊維軸方向において実質的に同じ直径を有する、横断面形状:円形)を得た。
【0091】
また、熱融着繊維として、芯成分(非融着成分)がポリプロピレン(融点:168℃)からなり、鞘成分(融着成分)が高密度ポリエチレン(融点:135℃)からなり、巻縮のない無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維(繊維径:12μm、切断繊維長:5mm、芯成分の質量:鞘成分の質量=1:1、フィブリル化していない、延伸されている、引張り強さ:6.5cN/dtex)と、芯成分(非融着成分)がポリプロピレン(融点:168℃)からなり、鞘成分(融着成分)が高密度ポリエチレン(融点:135℃)からなり、巻縮数8.1個/インチの有巻縮芯鞘型熱融着複合繊維(繊維径:30.3μm、切断繊維長:5mm、芯成分の質量:鞘成分の質量=1:1、フィブリル化していない、延伸されている、引張り強さ:2.6cN/dtex)とを用意した。
【0092】
更に、高強度ポリプロピレン繊維(引張り強さ:10.7cN/dtex、ヤング率:850kg/mm2、140℃における熱収縮率:7%、繊維横断面形状:ほぼ五角形、融点:174℃、繊維径:22μm、切断繊維長:10mm、、巻縮なし、延伸されている、繊維側面を偏光下、クロスニコルの状態で観察した時、繊維方向に屈折率の異なる、断続的な線状の暗部と明部とからなる縞模様を有する)を用意した。
【0093】
次いで、前記ポリプロピレン極細繊維20mass%と、無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維40mass%と、有巻縮芯鞘型熱融着複合繊維10mass%と、高強度ポリプロピレン繊維30mass%とを混合し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成した。
【0094】
次いで、この繊維ウエブを温度135℃に設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、繊維ウエブを乾燥すると同時に、前記無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維及び有巻縮芯鞘型熱融着複合繊維の鞘成分(高密度ポリエチレン)を熱融着させて、融着不織布を形成した。
【0095】
次いで、フッ素ガス(3vol%)、酸素ガス(5vol%)、二酸化硫黄ガス(5vol%)及び窒素ガス(87vol%)からなる混合ガスで満たされた容器内に、前記融着不織布を供給し、融着不織布を前記混合ガスと120秒間(温度:20℃)接触させ、融着不織布を構成する繊維の表面に、スルホン酸基、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基などの官能基を導入した。
【0096】
次いで、この官能基を導入した融着不織布を線圧力9.8N/cmでカレンダー処理を実施して、本発明のセパレータ(目付:40g/m2、厚さ:0.10mm、厚さ保持率:96%、極細繊維の束が実質的に存在していない)を製造した。
【0097】
(実施例2)
ポリプロピレン極細繊維、無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維、有巻縮芯鞘型熱融着複合繊維、及び高強度ポリプロピレン繊維との混合質量比率を、20:30:20:30としたスラリーから湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成したこと以外は、実施例1と全く同様にして、融着不織布の形成、官能基の導入、及びカレンダー処理を実施して、本発明のセパレータ(目付:40g/m2、厚さ:0.10mm、厚さ保持率:98%、極細繊維の束が実質的に存在していない)を製造した。
【0098】
(実施例3)
横断面形状が扇形状で、直径(円形断面に換算した値)が4.5μmのポリプロピレン成分(融点:160℃)と、横断面形状が扇形状で、直径(円形断面に換算した値)が4.5μmの高融点ポリエチレン成分(融点:130℃)とが、互いに隣接したオレンジ状断面を有する、繊維径が17μmで、切断繊維長が5mmの分割繊維を用意した。
【0099】
次いで、この分割繊維をビーターにより10分間、十分に分割して、ポリプロピレン極細繊維(繊維径:4.5μm、巻縮なし、ρ/d:0.11、融点:160℃、切断繊維長:5mm、実質的にフィブリル化していない、延伸されている、繊維軸方向において実質的に同じ直径を有する、横断面形状:扇形状)と、高密度ポリエチレン極細繊維(繊維径:4.5μm、巻縮なし、ρ/d:0.11、融点:130℃、切断繊維長:5mm、実質的にフィブリル化していない、延伸されている、繊維軸方向において実質的に同じ直径を有する、横断面形状:扇形状)とを発生させた。
【0100】
また、熱融着繊維として、芯成分(非融着成分)がポリプロピレン(融点:168℃)からなり、鞘成分(融着成分)が低密度ポリエチレン(融点:115℃)からなり、巻縮のない無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維(繊維径:12μm、切断繊維長:5mm、芯成分の質量:鞘成分の質量=1:1、フィブリル化していない、延伸されている、引張り強さ:4cN/dtex)と、芯成分(非融着成分)がポリプロピレン(融点:168℃)からなり、鞘成分(融着成分)が低密度ポリエチレン(融点:115℃)からなり、巻縮数8.1個/インチの有巻縮芯鞘型熱融着複合繊維(繊維径:30.3μm、切断繊維長:5mm、芯成分の質量:鞘成分の質量=1:1、フィブリル化していない、延伸されている、引張り強さ:2.6cN/dtex)とを用意した。
【0101】
更に、実施例1と同様の高強度ポリプロピレン繊維を用意した。
【0102】
次いで、前記ポリプロピレン極細繊維と高密度ポリエチレン極細繊維との混合物、無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維、有巻縮芯鞘型熱融着複合繊維、及び高強度ポリプロピレン繊維との混合質量比率を、20:30:20:30としたスラリーから、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成したこと、及び温度125℃に設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、繊維ウエブを乾燥すると同時に、前記無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維及び有巻縮芯鞘型熱融着複合繊維の鞘成分(低密度ポリエチレン)による熱融着を実施したこと以外は、実施例1と全く同様にして、融着不織布の形成、官能基の導入、及びカレンダー処理を実施して、本発明のセパレータ(目付:40g/m2、厚さ:0.10mm、厚さ保持率:98%、極細繊維の束が実質的に存在していない)を製造した。
【0103】
(比較例1)
実施例3と同様の分割繊維(ビーターにより分割していない)、実施例3と同様の無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維、及び実施例1と同様の高強度ポリプロピレン繊維とを用意した。
【0104】
次いで、前記分割繊維20mass%と、無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維50mass%と、高強度ポリプロピレン繊維30mass%とを混合し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成した。
【0105】
次いで、この繊維ウエブを温度125℃に設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、繊維ウエブを乾燥すると同時に、前記無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維の鞘成分(低密度ポリエチレン)により熱融着して、融着不織布を形成した。
【0106】
次いで、この融着不織布を目開きが0.15mmのネットで支持した状態で、ノズル径0.13mm、ノズルピッチ0.6mmのノズルプレートから圧力12.7MPaで噴出した水流を前記融着不織布に衝突させて、主として分割繊維の分割を実施し、分割融着不織布を形成した。
【0107】
次いで、この分割融着不織布を温度125℃に設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、分割融着繊維不織布を乾燥すると同時に、前記無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維の鞘成分(低密度ポリエチレン)を再度、熱融着させて、分割再融着不織布を形成した。
【0108】
次いで、フッ素ガス(3vol%)、酸素ガス(5vol%)、二酸化硫黄ガス(5vol%)及び窒素ガス(87vol%)からなる混合ガスで満たされた容器内に、前記分割再融着不織布を供給し、分割再融着不織布を前記混合ガスと120秒間(温度:20℃)接触させ、分割再融着不織布を構成する繊維の表面に、スルホン酸基、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基などの官能基を導入した。
【0109】
次いで、この官能基を導入した分割再融着不織布を線圧力9.8N/cmでカレンダー処理を実施して、比較用のセパレータ(目付:40g/m2、厚さ:0.10mm、厚さ保持率:93%、極細繊維の束が存在している)を製造した。
【0110】
(比較例2)
実施例1と同様のポリプロピレン極細繊維、実施例1と同様の無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維、及び実施例1と同様の高強度ポリプロピレン繊維を用意した。
【0111】
次いで、ポリプロピレン極細繊維、無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維、及び高強度ポリプロピレン繊維との混合質量比率を、20:50:30としたスラリーから、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成したこと以外は、実施例1と全く同様に、融着不織布の形成、官能基の導入、及びカレンダー処理を実施して、比較用のセパレータ(目付:40g/m2、厚さ:0.10mm、厚さ保持率:92%、極細繊維の束が実質的に存在していない)を製造した。
【0112】
(平均地合指数の測定)
各セパレータの地合指数を次のようにして測定した。
(1)光源から被測定物(セパレータ)に対して光を照射し、照射された光のうち、被測定物の所定領域において反射された反射光を受光素子によって受光して輝度情報を取得した。
(2)被測定物の所定領域を画像サイズ3mm角、6mm角、12mm角、24mm角に等分割して、4つの分割パターンを取得した。
(3)得られた各分割パターン毎に等分割された各区画の輝度値を輝度情報に基づいて算出した。
(4)各区画の輝度値に基づいて、各分割パターン毎の輝度平均(X)を算出した。
(5)各分割パターン毎の標準偏差(σ)を求めた。
(6)各分割パターン毎の変動係数(CV)を次の式により算出した。
変動係数(CV)=(σ/X)×100
ここで、σは各分割パターン毎の標準偏差を示し、Xは各分割パターン毎の輝度平均を示す。
(7)各画像サイズの対数をX座標、当該画像サイズに対応する変動係数をY座標とした結果得られる座標群を、最小二乗法により一次直線に回帰させ、その傾きを算出し、この傾きの絶対値を地合指数とした。
(8)この操作を10回繰り返し行って得た地合指数を平均して、平均地合指数を算出した。
【0113】
この結果は表1に示す通りであった。この結果から明らかなように、本発明のセパレータは繊維が均一に分散した地合いの優れるものであった。なお、平均地合指数は数字が小さいほど、繊維が均一に分散していることを意味している。
【0114】
【表1】
A:単位目付あたりの平均ニードル式耐貫通力(gf)
【0115】
(単位目付あたりの平均ニードル式耐貫通力の測定)
円筒状貫通孔(内径:11mm)を有する支持台の円筒状貫通孔を覆うように各セパレータを1枚載置し、更に各セパレータ上に、円筒状貫通孔(内径:11mm)を有する固定材を、固定材の中心が前記支持台の円筒状貫通孔の中心と一致するように載置して、各セパレータを固定した。その後、このセパレータに対して、ハンディー圧縮試験機(カトーテック製、KES−G5)に取り付けられたニードル(先端部における曲率半径:0.5mm、直径:1mm、治具からの突出長さ:2cm)を、0.01cm/sの速度で垂直に突き刺し、ニードルがセパレータを突き抜けるのに要する力を測定し、この力をニードル式耐貫通力とした。このニードル式耐貫通力の測定を10回実施し、平均ニードル式耐貫通力を算出した。そして、この平均ニードル式耐貫通力を目付で除して、単位目付あたりの平均ニードル式耐貫通力を算出した。この結果は表1に示す通りであった。この結果から明らかなように、本発明のセパレータはニードルが貫通しにくいものであったため、極板群形成時に、極板のバリがセパレータを突き抜けにくいものであることが予測された。
【0116】
(電池製造時の不良率の評価)
電池の集電体として、水酸化ニッケルを発泡ニッケル支持体に充填した正極(33mm幅、182mm長)と、ペースト式水素吸蔵合金負極(メッシュメタル系合金NmNi5型、33mm幅、247mm長)とを用意した。
【0117】
次いで、33mm幅、410mm長に裁断した各セパレータを、それぞれ正極と負極との間に挟んだ後に渦巻状に巻回して、SC型対応の電極群を作製した。この時に、極板のバリがセパレータを突き抜けたり、極板のエッジによって切断された結果ショートしてしまい、電池を製造することができなかった割合を、電池製造時の不良率とした。この結果は表1に示す通りであった。表1から明らかなように、本発明のセパレータを使用すると、歩留まり良く電池を製造することができた。
【0118】
(電池寿命試験)
電極の集電体として、発泡ニッケル基材を用いたペースト式ニッケル正極(33mm幅、182mm長)と、ペースト式水素蔵合金負極(メッシュメタル系合金、33mm幅、247mm長)とを作成した。
【0119】
次いで、各セパレータを33mm幅、410mm長に裁断した後、それぞれを正極と負極との間に挟み込み、渦巻き状に巻回して、SC(sub−C)型対応の電極群を作成した。この電極群を外装缶に収納し、電解液として5N水酸化カリウム及び1N水酸化リチウムを外装缶に注液し、封緘して、円筒型ニッケル−水素電池を作成した。
【0120】
次いで、それぞれの円筒型ニッケル−水素電池について、(1)0.2Cでの150%充電と、(2)1Cで終止電圧1Vまで放電することからなる充放電サイクルを繰り返し、放電容量が初期容量の50%となった時点で、電池寿命が尽きたと判断し、電池寿命が尽きるまでのサイクル数を測定した。比較例2のセパレータを使用した円筒型ニッケル−水素電池のサイクル数を基準(100)とした時の比率を、表1に示す。この結果から、本発明のセパレータを使用した電池は電池寿命が長いことがわかった。このことから電解液の保持性にも優れていることが推測された。
【0121】
(電池内圧試験)
前記電池寿命試験で用いた円筒型ニッケル−水素電池と同様にして形成した円筒型ニッケル−水素電池を、0.5Cで温度20℃にて充電を行い、容量の150%での電池内圧を測定した。比較例2のセパレータを使用した円筒型ニッケル−水素電池の内圧を基準(100)とした時の比率を表1に示す。この結果から明らかなように、本発明のセパレータを使用した電池は内圧が低いことがわかった。
【0122】
【発明の効果】
本発明のセパレータは巻縮を有する繊維を含む湿式不織布を含んでいることによって、弾性のある湿式不織布であることができるため、電解液の保持性に優れ、しかも適度な空隙が形成されるため、気体の透過性に優れ、内圧特性の優れる電池を製造できるものである。
Claims (11)
- 繊維径が5μm以下のポリオレフィン系極細繊維と巻縮を有するポリオレフィン系熱融着繊維とを含むスラリーを、湿式法により形成した繊維ウエブに由来するポリオレフィン系湿式不織布を備えており、このポリオレフィン系湿式不織布を構成する少なくとも1種類の繊維が巻縮を有することを特徴とする、電池用セパレータ。
- 前記ポリオレフィン系極細繊維の横断面形状が円形であることを特徴とする、請求項1に記載の電池用セパレータ。
- 前記ポリオレフィン系極細繊維が、特定の溶媒に対する溶解性の異なる2種類以上の樹脂成分からなる複合繊維から、少なくとも1種類の樹脂成分を溶解除去することによって得られたポリオレフィン系極細繊維であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電池用セパレータ。
- 前記ポリオレフィン系極細繊維の束が実質的に存在していないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- 前記ポリオレフィン系熱融着繊維の引張り強さが2cN/dtex以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- 前記ポリオレフィン系熱融着繊維として、巻縮を有するポリオレフィン系熱融着繊維に加えて、巻縮のないポリオレフィン系熱融着繊維も含んでいることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- ポリオレフィン系極細繊維及びポリオレフィン系熱融着繊維はフィブリル化していないことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- 引張り強さが8.5cN/dtex以上の高強度繊維を更に含んでいることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- 前記ポリオレフィン系湿式不織布は実質的に繊維の融着のみによって形態を維持していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- 厚さ保持率が90%以上であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- アルカリ電池に用いることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の電池用セパレータ。
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