JP2003109569A - 電池用セパレータ - Google Patents

電池用セパレータ

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JP2003109569A JP2001299922A JP2001299922A JP2003109569A JP 2003109569 A JP2003109569 A JP 2003109569A JP 2001299922 A JP2001299922 A JP 2001299922A JP 2001299922 A JP2001299922 A JP 2001299922A JP 2003109569 A JP2003109569 A JP 2003109569A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 極細繊維を含んでいるにもかかわらず、電解
液の保持性に優れ、しかも内圧特性の優れる電池を製造
することのできる電池用セパレータを提供すること。 【解決手段】 本発明の電池用セパレータは、繊維径が
5μm以下のポリオレフィン系極細繊維とポリオレフィ
ン系熱融着繊維とを含むポリオレフィン系湿式不織布を
備えており、このポリオレフィン系湿式不織布を構成す
る少なくとも1種類の繊維が巻縮を有することを特徴と
している。この湿式不織布は弾性があるため電解液の保
持性に優れ、しかも適度な空隙が形成されていることに
よって気体の透過性にも優れているため、内圧特性の優
れる電池を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電池用セパレータに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、アルカリ電池の正極と負極と
を分離して短絡を防止すると共に、電解液を保持して起
電反応を円滑に行なうことができるように、正極と負極
との間にセパレータが使用されている。
【0003】近年、電子機器の小型軽量化に伴って、電
池の占めるスペースが狭くなっているにもかかわらず、
電池には従来と同程度以上の性能が必要とされるため、
電池の高容量化が要求されている。そのためには、電極
の活物質の量を増やす必要があるため、必然的に前記セ
パレータの占める体積が小さくならざるを得ない。
【0004】そのため、水流の作用により分割して極細
繊維を発生可能な分割性繊維を含む繊維ウエブを形成し
た後、水流を作用させることにより、分割性繊維を分割
して極細繊維を発生させた不織布をセパレータとして使
用することが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような方法によっ
て得られるセパレータは極細繊維を含んでいるため、セ
パレータの厚さを薄くすることができ、電池の高容量化
に対応できるものであったが、繊維径の小さい極細繊維
を使用しているが故にペーパーライクになりやすいもの
であった。このようにセパレータがペーパーライクにな
ると、電解液を十分に保持することができないため電池
寿命が短くなったり、密閉型ニッケル−水素電池などの
ように、気体が発生する密閉型電池に用いた場合には、
一方の電極から発生した気体を他方の電極へ透過させる
のが困難となり、内圧特性が悪くなる場合があった。
【0006】本発明は上記のような問題点を解決するた
めになされたものであり、極細繊維を含んでいるにもか
かわらず、電解液の保持性に優れ、しかも内圧特性の優
れる電池を製造することのできる電池用セパレータを提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題は、繊維径が5
μm以下のポリオレフィン系極細繊維(以下、単に「極
細繊維」ということがある)とポリオレフィン系熱融着
繊維(以下、単に「熱融着繊維」ということがある)と
を含むポリオレフィン系湿式不織布(以下、単に「湿式
不織布」ということがある)を備えており、このポリオ
レフィン系湿式不織布を構成する少なくとも1種類の繊
維が巻縮を有することを特徴とする、電池用セパレータ
(以下、単に「セパレータ」ということがある)、によ
って解決することができる。
【0008】つまり、本発明のセパレータはセパレータ
を構成する湿式不織布が巻縮を有する繊維を含んでいる
ことによって、弾性のある湿式不織布であることができ
るため電解液の保持性に優れ、しかも巻縮を有する繊維
を含んでいることによって適度な空隙が形成されるた
め、気体の透過性にも優れ、内圧特性の優れる電池を製
造することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のセパレータを構成する湿
式不織布は、セパレータの体積を小さくして電池の高容
量化に対応できるように、また、繊維が均一に分散した
緻密な地合いであることによって短絡が生じにくいよう
に、繊維径が5μm以下の極細繊維を含んでいる。
【0010】この極細繊維の繊維径は小さければ小さい
程、セパレータの厚さを薄くすることができ、しかも緻
密な地合いであることができるため、極細繊維の繊維径
は4μm以下であるのが好ましく、3μm以下であるの
がより好ましく、2μm以下であるのが更に好ましい。
他方、極細繊維はある程度の強度を有するように、0.
01μm以上であるのが好ましい。
【0011】本発明における「繊維径」は、繊維横断面
形状が円形である場合には、その直径をいい、繊維横断
面形状が非円形である場合には、同じ面積を有する円の
直径をいう。
【0012】この極細繊維によって均一な孔径を形成し
て、湿式不織布が均一な地合いであるように、極細繊維
の繊維径は極細繊維相互においてほぼ同じであるのが好
ましい。つまり、極細繊維の繊維径分布の標準偏差値
(σ)を、極細繊維の繊維径の平均値(d)で除した値
(σ/d)が0.2以下(好ましくは0.18以下)で
あるのが好ましい。なお、全ての極細繊維の繊維径が同
じである場合には、標準偏差値(σ)が0になるため、
前記値(σ/d)の下限値は0である。
【0013】この「極細繊維の繊維径の平均値(d)」
は、湿式不織布の電子顕微鏡写真を撮影し、この電子顕
微鏡写真における100本以上(n本)の極細繊維の繊
維径を計測し、その計測した繊維径(χ)を平均した値
をいう。また、極細繊維の「標準偏差値(σ)」は、計
測した繊維径(χ)をもとに、次の式から算出した値を
いう。 標準偏差={(nΣχ2−(Σχ)2)/n(n−1)}
1/2 ここでnは測定した極細繊維の本数を意味し、χはそれ
ぞれの極細繊維の繊維径を意味する。
【0014】また、極細繊維は湿式不織布の地合いが均
一であるように、個々の極細繊維は繊維軸方向におい
て、実質的に同じ直径であるのが好ましい。
【0015】本発明の極細繊維を構成する樹脂成分は耐
電解液性に優れるように、ポリオレフィン系樹脂からな
る。なお、電解液による侵食は極細繊維の表面から進行
するため、極細繊維の表面(極細繊維両端部を除く)が
ポリオレフィン系樹脂から構成されていれば、ポリオレ
フィン系極細繊維とみなす。例えば、ポリアミド樹脂と
ポリオレフィン系樹脂とからなり、ポリオレフィン系樹
脂のみが繊維表面を占めている極細繊維(極細繊維両端
部を除く)はポリオレフィン系極細繊維である。
【0016】このポリオレフィン系樹脂としては、例え
ば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密
度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン
共重合体(エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−
メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共
重合体など)など)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、
ポリプロピレン、プロピレン共重合体など)、ポリメチ
ルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテン、メチ
ルペンテン共重合体など)などを挙げることができ、ポ
リプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂から構成され
ているのが好ましい。
【0017】本発明の極細繊維は横断面形状が円形であ
るのが好ましい。このように横断面形状が円形である
と、湿式不織布の地合いが更に優れている。
【0018】なお、極細繊維が融着に関与できる樹脂成
分(以下、「融着成分」ということがある)を含み、こ
の融着成分により融着していると、極細繊維が脱落した
り、毛羽立ちにくいため好適である。
【0019】この極細繊維が融着している場合、極細繊
維は1種類の樹脂成分のみから構成することもできる
が、湿式不織布の地合いを損なわないように、融着成分
に加えて、融着成分よりも高い融点を有する非融着成分
を含む、2種類以上の樹脂成分から構成されているのが
好ましい。このように極細繊維が融着成分と非融着成分
とを含む場合、融着成分が極細繊維表面の一部又は全部
を占めているのが好ましい。このような極細繊維の横断
面形状としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型、サ
イドバイサイド型、オレンジ型、多重バイメタル型であ
るのが好ましい。なお、非融着成分は繊維形状を維持で
きるように、融着成分の融点よりも10℃以上高い融点
を有するのが好ましく、20℃以上高いのがより好まし
い。
【0020】本発明における「融点」は示差走査熱量計
を用い、昇温温度10℃/分で、室温から昇温して得ら
れる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。なお、
極大値が2つ以上ある場合には、最も高温の極大値を融
点とする。
【0021】本発明の極細繊維は、機械的作用(例え
ば、水流)により極細繊維を発生可能な分割繊維を分割
して得ることができるが、機械的作用(例えば、水流)
によって地合いが乱れないように、また、個々の極細繊
維が分散していることによって湿式不織布の地合いが優
れているように、特定の溶媒に対する溶解性の異なる2
種類以上の樹脂成分からなる複合繊維から、少なくとも
1種類の樹脂成分を溶解除去することによって得られた
極細繊維であるのが好ましい。
【0022】例えば、特定の溶媒により容易に溶解除去
できる易除去樹脂成分と、この特定溶媒により容易に溶
解除去されない難除去樹脂成分とを含む複合繊維(例え
ば、繊維横断面形状が海島型で、島成分が難除去樹脂成
分からなる)から、易除去樹脂成分を溶解除去すること
によって得ることができる。より具体的には、共重合ポ
リエステル(海成分)とポリプロピレン(島成分)から
なる海島型複合繊維を、温度が80℃程度の10mas
s%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することにより、共
重合ポリエステル成分(海成分)を溶解除去して、ポリ
プロピレンからなる極細繊維を得ることができる。
【0023】なお、前述のような、極細繊維相互間にお
いてほぼ同じ繊維径を有する極細繊維、或いは各々の極
細繊維における繊維軸方向において、実質的に同じ直径
である極細繊維は、例えば、紡糸口金部で海成分中に口
金規制して島成分を押し出して複合する複合紡糸法で得
た海島型複合繊維の海成分を除去することにより得るこ
とができる。なお、一般的に混合紡糸法といわれる、島
成分を構成する樹脂と海成分を構成する樹脂とを混合し
た後に紡糸する方法によって得た海島型複合繊維の海成
分を除去する方法や、メルトブロー法によっては、極細
繊維相互間においてほぼ同じ繊維径を有する極細繊維、
或いは各々の極細繊維における繊維軸方向において、実
質的に同じ直径である極細繊維を得ることは困難であ
る。しかしながら、これらの方法により得られる極細繊
維も本発明において使用することはできる。
【0024】また、横断面形状が円形の極細繊維は、例
えば、海成分中に島成分を押し出し、複合して海島型複
合繊維を紡糸する際に、島成分を押し出す口金として、
断面が円形のものを使用して得ることができる。
【0025】更に、融着成分と非融着成分とを含む2種
類以上の樹脂成分からなる極細繊維は、常法の複合紡糸
法により海島型複合繊維を紡糸する際に、島成分を押し
出す口金として、前述のような横断面形状(例えば、芯
鞘型、偏芯型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ
型、多重バイメタル型など)を形成できるものを使用し
て海島型複合繊維を紡糸するか、常法の複合紡糸法によ
り海島型複合繊維を紡糸する際に、2種類以上の樹脂成
分を混合した樹脂を島成分を押し出す口金に供給して海
島型複合繊維を紡糸し、海成分を除去することにより得
ることができる。
【0026】このような極細繊維は湿式不織布の地合い
が優れているように、湿式不織布の質量の5%以上を占
めているのが好ましく、10%以上を占めているのがよ
り好ましい。他方、後述の他の繊維(例えば、熱融着繊
維、高強度繊維など)との兼ね合いから、50%以下で
あるのが好ましく、35%以下であるのがより好まし
い。
【0027】なお、極細繊維は0.1〜25mm程度の
長さに切断されているのが好ましいが、極細繊維又は極
細繊維を発生可能な複合繊維を切断する際に、極細繊維
同士又は極細繊維のもととなる樹脂成分同士が圧着して
しまうと、地合いが悪くなるため、切断する際に極細繊
維同士又は極細繊維のもととなる樹脂成分同士が圧着し
にくい、極細繊維又は極細繊維を発生可能な複合繊維を
使用するのが好ましい。
【0028】このような圧着しにくい極細繊維又は極細
繊維を発生可能な複合繊維としては、例えば、結晶性の
高い極細繊維又は結晶性の高い樹脂を含む複合繊維を挙
げることができる。より具体的には、極細繊維又は極細
繊維を発生可能な複合繊維がポリメチルペンテンを含ん
でいたり、ポリプロピレンを含んでいる場合には、その
ポリプロピレンの融点が166℃以上(好ましくは16
8℃以上)であるのが好ましい。
【0029】本発明の極細繊維は巻縮を有するものであ
ることができる。極細繊維が巻縮を有するものであるこ
とによって、適度な弾性を湿式不織布に付与して電解液
の保持性を向上させたり、適度な空間を維持できること
によって気体の透過性を確保することができる。極細繊
維が巻縮を有する場合、その巻縮数は特に限定されるも
のではないが、電解液の保持性を向上させたり、気体の
透過性に優れるように、1個/インチ以上であるのが好
ましく、3個/インチ以上であるのがより好ましい。他
方、巻縮数が多くなりすぎると、極細繊維の分散性が悪
くなり、地合いの悪い湿式不織布となる傾向があるた
め、30個/インチ以下であるのが好ましく、15個/
インチであるのがより好ましい。
【0030】なお、このような巻縮は、例えば、切断す
る前の極細繊維束の状態で、スタッファボックスやギヤ
巻縮装置などを用いて、機械的に巻縮を付与した後に、
この極細繊維束を切断することによって得ることができ
るし、極細繊維が熱収縮率の異なる2種類以上の樹脂か
らなり、しかもこれらの樹脂が不均一に配置(例えば、
横断面形状がサイドバイサイド型、偏芯型の場合)して
いる場合には、熱を作用させ、熱収縮率の差を利用して
付与することができる。
【0031】本発明における「巻縮数」は、JIS L
1015、8.12.1(けん縮数)に規定されてい
る方法により得られる値をいう。なお、空間距離は20
mmとする。
【0032】本発明のセパレータを構成する湿式不織布
は、前述のような極細繊維に加えて、熱融着繊維を含ん
でいるため引張り強さや剛軟度に優れている。
【0033】この熱融着繊維は融着する際に、熱融着繊
維以外の繊維(例えば、極細繊維、後述の高強度繊維な
ど)に悪影響を及ぼさないように、熱融着繊維以外の繊
維の融着しない樹脂成分の融点よりも10℃以上低い
(好ましくは20℃以上低い)融点を有する融着成分を
含んでいるのが好ましい。例えば、熱融着繊維以外の繊
維として、ポリプロピレン樹脂のみからなる極細繊維と
ポリプロピレンのみからなる高強度繊維とを含んでいる
場合には、熱融着繊維の融着成分として、ポリエチレン
系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリ
エチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、
直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体(エチレ
ン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重
合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)な
ど)、又はポリプロピレン系共重合体(例えば、エチレ
ン−ブテン−プロピレン共重合体、エチレン−ブタジエ
ン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合
体など)を含んでいるのが好ましい。
【0034】この熱融着繊維は融着成分のみから構成さ
れていても良いが、湿式不織布の強度をより向上させる
ことができ、フィルム化して気体の通過性を損なわない
ように、融着成分に加えて融着成分よりも融点の高い非
融着成分を含んでいるのが好ましい。この融着成分と非
融着成分とを含む場合の横断面形状としては、例えば、
芯鞘型、偏芯型、海島型、サイドバイサイド型、オレン
ジ型、多重バイメタル型であることができる。また、非
融着成分は融着成分の融点よりも10℃以上高い樹脂か
らなるのが好ましく、20℃以上高い樹脂からなるのが
好ましい。
【0035】なお、熱融着繊維も前述の極細繊維と同様
の理由で、極細繊維と同様のポリオレフィン系樹脂から
構成されている。
【0036】また、熱融着繊維の引張り強さが2cN/
dtex以上であると、圧力が加わったとしても、熱融
着繊維の剛性によって湿式不織布の厚さを維持しやす
く、電解液の保持性や気体透過のための空隙を確保しや
すいため好適である。より好ましい引張り強さは4cN
/dtex以上である。なお、引張り強さの上限は特に
ないが、20cN/dtex程度が適当である。
【0037】本発明における「引張り強さ」は、JIS
L 1015(化学繊維ステープル試験法)によって
測定される値をいう。
【0038】本発明の熱融着繊維の繊維径は1〜50μ
mであるのが好ましく、1〜40μmであるのがより好
ましく、3〜35μmであるのが最も好ましい。熱融着
繊維の繊維径がこの範囲内にあると、適度な弾性や機械
的強度を湿式不織布に付与することができるため、短絡
を防止しやすく、電解液の保持性が向上し、しかも気体
の透過性を向上させることができる。
【0039】更に、本発明の熱融着繊維が巻縮を有して
いると、適度な弾性を湿式不織布に付与して電解液の保
持性を向上させたり、適度な空間を維持できることによ
って気体の透過性を確保することができるため好適であ
る。熱融着繊維が巻縮を有する場合、その巻縮数は特に
限定されるものではないが、電解液の保持性を向上させ
たり、気体の透過性に優れるように、1個/インチ以上
であるのが好ましく、3個/インチ以上であるのがより
好ましい。他方、巻縮数が多くなりすぎると、熱融着繊
維の分散性が悪くなり、地合いの悪い湿式不織布となる
傾向があるため、30個/インチ以下であるのが好まし
く、15個/インチであるのがより好ましい。
【0040】なお、このような巻縮はスタッファボック
スやギヤ巻縮装置などを用いて、機械的に付与すること
ができるし、熱融着繊維が熱収縮率の異なる2種類以上
の樹脂からなり、しかも不均一に配置(例えば、横断面
形状がサイドバイサイド型、偏芯型の場合)している場
合には、熱を作用させ、熱収縮率の差を利用して付与す
ることができる。
【0041】更に、本発明の湿式不織布は熱融着繊維と
して、巻縮を有する熱融着繊維と巻縮のない熱融着繊維
とを含んでいると、湿式不織布の地合いを損なうことな
く、適切な空間を保持して、電解液の保持性や気体の透
過性に優れているため、好適な実施態様である。この場
合、巻縮を有する熱融着繊維の割合は、適切な空間を保
持できるように、熱融着繊維全体の10mass%以上
であるのが好ましく、20mass%以上であるのがよ
り好ましく、湿式不織布の地合いを損なうことがないよ
うに、90mass%以下であるのが好ましく、80m
ass%以下であるのがより好ましい。
【0042】なお、巻縮を有する熱融着繊維は、湿式不
織布の機械的強度(引張り強さ等)を低下させることな
く、適切な空間を保持して電解液を保持できるように、
引張り強さが2cN/dtex以上であるのが好まし
く、2.5cN/dtex以上であるのがより好まし
い。他方、巻縮のない熱融着繊維は、湿式不織布の機械
的強度(引張り強さ等)や剛軟度に優れているように、
引張り強さが5cN/dtex以上であるのが好まし
く、6cN/dtex以上であるのがより好ましい。
【0043】このような熱融着繊維(巻縮を有する熱融
着繊維と巻縮のない熱融着繊維とを含む場合には、その
総量)は湿式不織布の機械的強度を向上させることがで
きるように、湿式不織布の質量の10%以上を占めてい
るのが好ましく、20%以上を占めているのがより好ま
しい。他方、他の繊維(例えば、極細繊維、高強度繊維
など)との兼ね合いから95%以下であるのが好まし
く、90%以下であるのがより好ましい。
【0044】上述のような極細繊維及び熱融着繊維はい
ずれもフィブリル化していないのが好ましい。これらの
繊維がフィブリル化していると、湿式不織布を構成する
繊維として巻縮を有する繊維を含んでいるにもかかわら
ず、気体の透過性が悪くなりやすいためである。この
「フィブリル化していない」とは、微細繊維に枝分かれ
していないことをいい、例えば、パルプ、フラッシュ紡
糸法により得られる繊維はフィブリル化した繊維であ
る。なお、機械的に分割可能な分割性繊維をビーターな
どによって十分に叩解した繊維は、実質的にフィブリル
化していない。
【0045】本発明のセパレータを構成する湿式不織布
は、前述のような極細繊維及び熱融着繊維に加えて、引
張り強さが8.5cN/dtex以上の高強度繊維を含
んでいるのが好ましい。このような高強度繊維を含んで
いることによって、セパレータを極板に巻き付ける際の
張力によって破断したり、極板のバリがセパレータを突
き抜けたり、或いは極板のエッジによってセパレータが
引き裂かれにくくなり、電池を製造しやすくなる。ま
た、高強度繊維が巻縮を有する場合には、その剛性によ
って、適度な弾性を湿式不織布に付与して電解液の保持
性を向上させたり、適度な空間を維持できることによっ
て気体の透過性を確保することができる。
【0046】この高強度繊維の好ましい引張り強さは
8.9cN/dtex以上であり、より好ましい引張り
強さは10cN/dtex以上である。引張り強さの上
限は特に限定するものではないが、50cN/dtex
程度が適当である。
【0047】なお、この高強度繊維は前記効果に更に優
れているように、ヤング率が800kg/mm2以上で
あるのが好ましく、850kg/mm2以上であるのが
より好ましい。なお、ヤング率の上限は特に限定するも
のではない。
【0048】この「ヤング率」はJIS L 101
5:1999、8.11項に規定されている方法により
測定した初期引張抵抗度から算出した見掛ヤング率の値
をいう。なお、初期引張抵抗度は定速緊張形試験機によ
って測定した値をいう。
【0049】また、高強度繊維の熱収縮率が8%以下で
あると、湿式不織布製造時或いは電池使用時に熱が加わ
ったとしても、セパレータの寸法変化が少なく、湿式不
織布製造時における繊維の均一分散性に優れ、電池使用
時における短絡防止性に優れているため好適である。よ
り具体的には、湿式不織布製造時に、前述のような熱融
着繊維を融着させたとしても、高強度繊維が収縮しにく
いため、湿式不織布の寸法変化が生じにくい。したがっ
て、繊維の均一分散性が維持され、短絡防止性に優れて
いる。また、電池使用時に、電池が高温になったとして
も、高強度繊維が収縮しにくいため、セパレータの寸法
変化が生じにくい。したがって、電極間の電気絶縁性を
維持して、短絡を防止することができる。高強度繊維の
好ましい熱収縮率は7%以下である。この「熱収縮率」
はJIS L 1015に基づき、温度140℃のオー
ブン乾燥機を用いて測定した乾熱収縮率の値をいう。
【0050】また、高強度繊維の横断面形状が非円形で
あると、極板のバリがセパレータを突き抜けたり、極板
のエッジによりセパレータが引き裂かれにくいため好適
である。これは、極板のバリやエッジがこの高強度繊維
に当接したとしても、高強度繊維が滑りにくく、繊維接
点の目ズレが抑制され、バリやエッジからの力を受け止
めることができるためであると考えられる。このよう
に、高強度繊維の横断面形状が非円形であることによっ
て、湿式不織布が緻密な構造を採ることができるため、
より薄く、短絡しにくいセパレータであることができ
る。具体的な横断面形状としては、例えば、長円状、多
角形状(例えば、三角形状、四角形状、五角形状、六角
形状など)、アルファベット形状(例えば、X形状、Y
形状、I形状、V形状など)などを挙げることができ
る。これらの中でも五角形状、六角形状などの多角形状
であるのが好ましい。
【0051】このような高強度繊維の繊維径は13〜3
5μmであるのが好ましく、15〜30μmであるのが
より好ましく、17〜25μmであるのが最も好まし
い。高強度繊維の繊維径がこの範囲内にあると、極板の
バリが突き抜けたり、極板のエッジによって引き裂かれ
にくく、短絡しにくい。
【0052】本発明の高強度繊維は引張り強さが8.5
cN/dtex以上である限り、その樹脂成分は限定さ
れるものではないが、耐電解液性に優れるように、ポリ
オレフィン系樹脂から構成されているのが好ましい。例
えば、ポリプロピレン系樹脂、又はポリエチレン系樹脂
(特に、超高分子量ポリエチレン)から構成されている
のが好ましい。なお、高強度繊維は単一の樹脂成分から
構成されていても良いし、複数の樹脂成分から構成され
ていても良い。後者のように複数の樹脂成分から構成さ
れている場合、その横断面形状は、例えば、芯鞘型、偏
芯型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、多重
バイメタル型であることができる。なお、このような横
断面形状を有し、繊維表面を構成する樹脂成分として、
より融点の低い樹脂成分を含んでいると、この繊維表面
に存在する樹脂成分によって融着することができる。
【0053】本発明の高強度繊維が巻縮を有している
と、適度な弾性を湿式不織布に付与して電解液の保持性
を向上させたり、適度な空間を維持できることによって
気体の透過性を確保することができる。高強度繊維が巻
縮を有する場合、その巻縮数は特に限定されるものでは
ないが、電解液の保持性を向上させたり、気体の透過性
に優れるように、1個/インチ以上であるのが好まし
く、3個/インチ以上であるのがより好ましい。他方、
巻縮数が多くなりすぎると、高強度繊維の分散性が悪く
なり、地合いの悪い湿式不織布となる傾向があるため、
30個/インチ以下であるのが好ましく、15個/イン
チであるのがより好ましい。
【0054】なお、このような巻縮はスタッファボック
スやギヤ巻縮装置などを用いて、機械的に付与すること
ができるし、高強度繊維が熱収縮率の異なる2種類以上
の樹脂からなり、しかも不均一に配置(例えば、横断面
形状がサイドバイサイド型、偏芯型の場合)している場
合には、熱を作用させ、熱収縮率の差を利用して付与す
ることができる。
【0055】このような高強度繊維は、極板のバリがセ
パレータを突き抜けたり、極板のエッジにより引き裂か
れにくいように、湿式不織布の質量の5%以上を占めて
いるのが好ましく、より短絡しにくいように15%以上
を占めているのがより好ましい。他方、前述のような極
細繊維及び熱融着繊維との兼ね合いから、85%以下で
あるのが好ましく、80%以下であるのがより好まし
く、70%以下であるのが更に好ましく、60%以下で
あるのが更に好ましく、50%以下であるのが最も好ま
しい。
【0056】なお、本発明において好適に使用できる超
高分子量ポリエチレン高強度繊維は、例えば、ゲル紡糸
法により得ることができ、ポリプロピレン高強度繊維
は、例えば、アイソタクチックペンタッド分率(IP
F)が95〜100%で、重量平均分子量/数平均分子
量の比(Q値)が4未満であるアイソタクチックポリプ
ロピレンを溶融紡糸した繊維を、被延伸物導入部及び該
延伸物引き出し部に加圧水槽を配置し、高温加圧水蒸気
をその内部に充填した延伸槽を用いた延伸装置により、
延伸槽温度120℃以上、延伸倍率7倍以上で延伸する
ことにより得ることができる。このような方法で得られ
たポリプロピレン高強度繊維は繊維軸方向に高度に配向
結晶化しており、繊維側面を偏光下、クロスニコルの状
態で観察した時、繊維方向に屈折率の異なる、断続的な
線状の暗部と明部とからなる特有の縞模様を有する。
【0057】本発明の湿式不織布を構成する繊維(例え
ば、極細繊維、熱融着繊維、高強度繊維など)の繊維長
は特に限定されるものではないが、均一に分散して地合
いが優れているように、繊維長は0.1〜25mm(よ
り好ましくは0.1〜20mm)であるのが好ましく、
1〜25mm(より好ましくは0.1〜20mm)に切
断された繊維であるのが好ましい。
【0058】なお、「繊維長」はJIS L 1015
(化学繊維ステープル試験法)B法(補正ステープルダ
イヤグラム法)により得られる長さをいう。
【0059】本発明のセパレータを構成するポリオレフ
ィン系湿式不織布は、上述のようなポリオレフィン系極
細繊維、ポリオレフィン系熱融着繊維、好ましくはポリ
オレフィン系高強度繊維などのポリオレフィン系繊維を
主体(50mass%以上含む、好ましくは70mas
s%以上含む、更に好ましくは90mass%以上含
む、最も好ましくは100%含む)とする、耐電解液性
に優れるものである。なお、本発明のポリオレフィン系
湿式不織布においては、前述のような作用を損なわない
範囲内で別の繊維を含んでいても良い。
【0060】本発明のセパレータを構成する湿式不織布
は、湿式不織布を構成する少なくとも1種類の繊維(例
えば、極細繊維、熱融着繊維、高強度繊維など)が巻縮
を有していることによって、適度な弾性が付与されてい
るため、電解液の保持性に優れ、しかも適度な空間を維
持できるため、気体の透過性にも優れている。このよう
な効果は熱融着繊維が巻縮を有する場合に顕著であり、
特に熱融着繊維が2cN/dtex以上の引張り強さを
有する場合に顕著である。また、高強度繊維を含んでい
る場合には、高強度繊維が巻縮を有する場合に顕著であ
る。
【0061】本発明の湿式不織布においては、前述のよ
うな極細繊維の束が実質的に存在していないのが好まし
い。極細繊維の束が存在していると、極細繊維を含んで
いるにもかかわらず、地合いが悪くなりやすく、短絡が
生じやすくなるためである。このような極細繊維を束の
存在する湿式不織布は、溶媒による樹脂成分の膨潤によ
って分割できる分割性複合繊維や、溶媒によって樹脂成
分を除去して分割できる分割性複合繊維を含む繊維ウエ
ブを形成した後、分割性複合繊維を溶媒によって樹脂成
分を除去して分割した場合に形成されやすいが、個々の
極細繊維が分散した状態にあるスラリーを使用して繊維
ウエブを形成すれば、実質的に極細繊維の束が存在しな
い湿式不織布を製造することができる。
【0062】また、湿式不織布は実質的に繊維の融着の
みによって形態を維持しているのが好ましい。このよう
に融着のみによって形態を維持していると、地合いが優
れているため短絡が生じにくく、しかも電解液が均一に
分布することができるため内部抵抗を低くすることがで
きる。例えば、融着以外に絡合によっても繊維が固定さ
れていると、繊維同士を絡合させるための作用(例え
ば、水流などの流体流)によって、地合いが乱されて、
湿式不織布の表面から裏面への貫通孔が形成されて短絡
が生じやすくなるが、実質的に融着のみによって形態を
維持していると、地合いが優れているため短絡が生じに
くい。
【0063】なお、湿式不織布を製造する際に、スラリ
ーから繊維を網により抄い上げた時には、多かれ少なか
れ繊維が絡んだ状態にある。しかしながら、この絡みは
繊維の配置を乱すものではないため、実質的に絡合して
いないとみなす。このように、「実質的に繊維の融着の
み」とは、湿式繊維ウエブを形成した後における繊維の
固定が融着のみによってなされていることをいう。
【0064】本発明の湿式不織布の厚さは電池の高容量
化に対応できるように、0.2mm以下であるのが好ま
しく、0.18mm以下であるのが好ましい。厚さの下
限は特に限定するものではないが、0.03mm程度が
適当である。
【0065】本発明における「厚さ」は、JIS B
7502:1994に規定されている外側マイクロメー
ター(0〜25mm)により測定した厚さをいう。
【0066】また、本発明の湿式不織布の目付は20〜
80g/m2であるのが好ましく、より好ましくは30
〜70g/m2である。
【0067】本発明の「目付」は、JIS P 812
4(紙及び板紙−坪量測定法)に規定されている方法に
基いて得られる坪量をいう。
【0068】本発明のセパレータは前述のような湿式不
織布を備えたものであり、湿式不織布のみから構成する
こともできるし、湿式不織布に有孔フィルム、織物、編
物、ネット、糸などと積層一体化されていても良い。な
お、電池を高容量化するためには、セパレータは薄い方
が有利であるため、湿式不織布のみから構成されている
のが好ましい。
【0069】本発明のセパレータは湿式不織布を構成す
る繊維として巻縮を有する繊維を含んでいる結果とし
て、厚さ保持率が90%以上であるのが好ましい。この
厚さ保持率が90%未満であると、セパレータが潰れ、
電解液がセパレータから遊離しやすく、電解液の保持性
が悪いため、液枯れし、電池寿命が短くなりやすいため
で、より好ましい厚さ保持率は95%以上である。
【0070】この「厚さ保持率」は、マイクロメーター
により1000g荷重時の厚さの、500g荷重時の厚
さに対する百分率をいう。つまり、次の式により得られ
る値をいう。 (厚さ保持率、%)=(T1000/T500)×10
0 ここで、T1000はマイクロメーターにより1000
g荷重した時の厚さをいい、T500はマイクロメータ
ーにより500g荷重した時の厚さをいう。
【0071】本発明のセパレータは、湿式不織布がポリ
オレフィン系繊維を主体として構成されているため、電
解液との親和性が悪い傾向がある。そのため、電解液と
の親和性を付与又は向上するように、酸素及び/又は硫
黄含有官能基(例えば、スルホン酸基、スルホン酸塩
基、スルホフルオライド基、カルボキシル基、カルボニ
ル基、水酸基など)が導入されていたり、親水性モノマ
ーがグラフト重合されていたり、界面活性剤が付与され
ていたり、或いは親水性樹脂が付与されているのが好ま
しい。
【0072】本発明のセパレータはポリオレフィン系湿
式不織布を備えているため、アルカリ電池用に好適に用
いることができ、前述のように、電解液の保持性及び気
体の透過性に優れているため、ニッケル−カドミウム電
池又はニッケル−水素電池(特に密閉型)のセパレータ
として特に好適に使用できる。
【0073】本発明のセパレータを構成する湿式不織布
は、例えば次のようにして製造することができる。
【0074】まず、前述のような極細繊維、熱融着繊
維、好ましくは高強度繊維を用意する。
【0075】次いで、用意した繊維を用いて湿式繊維ウ
エブを形成する。この湿式繊維ウエブの形成方法は特に
限定するものではないが、例えば、水平長網方式、傾斜
ワイヤー型短網方式、円網方式、長網・円網コンビネー
ション方式、短網・円網コンビネーション方式などを挙
げることができる。
【0076】次いで、この湿式繊維ウエブを構成する繊
維同士を結合して、セパレータとして使用できる湿式不
織布を製造できる。好ましくは湿式繊維ウエブを構成す
る繊維同士を融着のみによって結合する。このように融
着のみによって結合すると、湿式繊維ウエブの地合いが
乱れないため短絡が生じにくく、しかも電解液が均一に
分布することができるため、内部抵抗の低い電池を製造
できるセパレータとすることができる。この湿式繊維ウ
エブを構成する繊維同士の融着は、無圧下で行なっても
良いし、加圧下で行なっても良いし、或は無圧下で融着
成分を溶融させた後に加圧(直ちに加圧するのが好まし
い)しても良い。
【0077】本発明のセパレータは電池の高容量化に対
応できるように、厚さが薄い方が好ましいため、湿式不
織布の厚さが厚い場合には、一対のロール間を通過させ
るなどして、厚さを調節するのが好ましい。
【0078】なお、湿式不織布と有孔フィルム、織物、
編物、ネット、或いは糸などが積層一体化されたセパレ
ータは、湿式繊維ウエブ又は湿式不織布に有孔フィル
ム、織物、編物、ネット、或いは糸などを積層した後、
湿式繊維ウエブ、湿式不織布、有孔フィルム、織物、編
物、ネット、或いは糸の熱融着性を利用して、一体化す
ることができる。
【0079】本発明のセパレータを構成する湿式不織布
は耐電解液性に優れるように、ポリオレフィン系繊維を
主体としているため、電解液の保持性を付与又は向上さ
せるために、親水化処理を実施するのが好ましい。この
親水化処理としては、例えば、スルホン化処理、フッ素
ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、界面活
性剤処理、放電処理、或は親水性樹脂付与処理などを挙
げることができる。
【0080】スルホン化処理としては、特に限定するも
のではないが、例えば、発煙硫酸、硫酸、三酸化イオ
ウ、クロロ硫酸、又は塩化スルフリルからなる溶液中に
前述のような湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体
化物)を浸漬してスルホン酸基を導入する方法や、一酸
化硫黄ガス、二酸化硫黄ガス、或いは三酸化硫黄ガスな
どの存在下で放電を作用させて湿式不織布(又は湿式不
織布との積層一体化物)にスルホン酸基を導入する方法
等がある。
【0081】フッ素ガス処理についても、特に限定する
ものではないが、例えば、不活性ガス(例えば、窒素ガ
ス、アルゴンガスなど)で希釈したフッ素ガスと、酸素
ガス、二酸化炭素ガス、及び二酸化硫黄ガスの中から選
ばれる少なくとも1種類のガスとの混合ガスに、湿式不
織布(又は湿式不織布との積層一体化物)をさらすこと
により、湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化
物)の繊維表面に、スルホン酸基、カルボニル基、カル
ボキシル基、スルホフルオライド基、或いは水酸基を導
入して親水化することができる。なお、湿式不織布(又
は湿式不織布との積層一体化物)に二酸化硫黄ガスをあ
らかじめ付着させた後に、フッ素ガスと接触させると、
より効率的に恒久的な親水性を付与することができる。
【0082】ビニルモノマーのグラフト重合としては、
ビニルモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビ
ニルピリジン、ビニルピロリドン、或いはスチレンを使
用することができる。なお、スチレンをグラフト重合し
た場合には、スルホン化するのが好ましい。これらの中
でも、アクリル酸は電解液との親和性に優れているため
好適に使用できる。
【0083】これらビニルモノマーの重合方法として
は、例えば、ビニルモノマーと重合開始剤を含む溶液中
に湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)を浸
漬して加熱する方法、湿式不織布(又は湿式不織布との
積層一体化物)にビニルモノマーを塗布した後に放射線
を照射する方法、湿式不織布(又は湿式不織布との積層
一体化物)に放射線を照射した後にビニルモノマーと接
触させる方法、増感剤を含むビニルモノマー溶液を湿式
不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)に含浸した
後に紫外線を照射する方法などがある。なお、ビニルモ
ノマー溶液と湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体
化物)とを接触させる前に、紫外線照射、コロナ放電、
プラズマ放電などにより、湿式不織布(又は湿式不織布
との積層一体化物)表面を改質処理すると、ビニルモノ
マー溶液との親和性が高くなるため、効率的にグラフト
重合できる。
【0084】界面活性剤処理としては、例えば、アニオ
ン系界面活性剤(例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属
塩、アルキルスルホン酸塩、もしくはスルホコハク酸エ
ステル塩など)、又はノニオン系界面活性剤(例えば、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、もしくはポリオ
キシエチレンアルキルフェノールエーテルなど)の溶液
中に湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)を
浸漬したり、この溶液を湿式不織布(又は湿式不織布と
の積層一体化物)に塗布又は散布して付着させることが
できる。
【0085】放電処理としては、例えば、コロナ放電処
理、プラズマ処理、グロー放電処理、沿面放電処理又は
電子線処理などがある。これら放電処理の中でも、空気
中の大気圧下で、それぞれが誘電体を担持する一対の電
極間に、これら両方の誘電体と接触するように湿式不織
布(又は湿式不織布との積層一体化物)を配置し、これ
ら両電極間に交流電圧を印加し、湿式不織布(又は湿式
不織布との積層一体化物)の内部空隙で放電を発生させ
る方法であると、湿式不織布(又は湿式不織布との積層
一体化物)の外側だけではなく、湿式不織布(又は湿式
不織布との積層一体化物)の内部を構成する繊維表面も
親水化することができる。したがって、セパレータ内部
における電解液の保持性にも優れている。
【0086】親水性樹脂付与処理としては、例えば、カ
ルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、架
橋可能なポリビニルアルコール、又はポリアクリル酸な
どの親水性樹脂を付着させることができる。これらの親
水性樹脂は適当な溶媒に溶解又は分散させた後、この溶
媒中に湿式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)
を浸漬したり、この溶媒を湿式不織布(又は湿式不織布
との積層一体化物)に塗布又は散布し、乾燥して付着さ
せることができる。なお、親水性樹脂の付着量は、通気
性を損なわないように、セパレータ全体の0.3〜5m
ass%であるのが好ましい。
【0087】この架橋可能なポリビニルアルコールとし
ては、例えば、水酸基の一部を感光性基で置換したポリ
ビニルアルコールがあり、より具体的には、感光性基と
してスチリルピリジニウム系のもの、スチリルキノリニ
ウム系のもの、スチリルベンゾチアゾリウム系のもので
置換したポリビニルアルコールがある。この架橋可能な
ポリビニルアルコールも他の親水性樹脂と同様にして湿
式不織布(又は湿式不織布との積層一体化物)に付着さ
せた後、光照射によって架橋させることができる。この
ような水酸基の一部を感光性基で置換したポリビニルア
ルコールは耐電解液性に優れ、しかもイオンとキレート
を形成できる水酸基を多く含んでおり、放電時及び/又
は充電時に、極板上に樹枝状の金属が析出する前のイオ
ンとキレートを形成し、電極間の短絡を生じにくいので
好適に使用できる。
【0088】以下に、本発明の実施例を記載するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0089】
【実施例】(実施例1)常法の複合紡糸法により紡糸し
た後に切断して、ポリ−L−乳酸からなる海成分中に、
ポリプロピレン(融点:172℃)からなる島成分が2
5個存在する海島型複合繊維(繊度:1.65dte
x、繊維長:2mm)を製造した。
【0090】次いで、この海島型複合繊維を、温度80
℃、10mass%水酸化ナトリウム水溶液からなる浴
中に30分間浸漬し、海島型複合繊維の海成分であるポ
リ−L−乳酸を溶解除去して、ポリプロピレン極細繊維
(繊維径:2μm、巻縮なし、ρ/d:0.083、融
点:172℃、切断繊維長:2mm、フィブリル化して
いない、延伸されている、繊維軸方向において実質的に
同じ直径を有する、横断面形状:円形)を得た。
【0091】また、熱融着繊維として、芯成分(非融着
成分)がポリプロピレン(融点:168℃)からなり、
鞘成分(融着成分)が高密度ポリエチレン(融点:13
5℃)からなり、巻縮のない無巻縮芯鞘型熱融着複合繊
維(繊維径:12μm、切断繊維長:5mm、芯成分の
質量:鞘成分の質量=1:1、フィブリル化していな
い、延伸されている、引張り強さ:6.5cN/dte
x)と、芯成分(非融着成分)がポリプロピレン(融
点:168℃)からなり、鞘成分(融着成分)が高密度
ポリエチレン(融点:135℃)からなり、巻縮数8.
1個/インチの有巻縮芯鞘型熱融着複合繊維(繊維径:
30.3μm、切断繊維長:5mm、芯成分の質量:鞘
成分の質量=1:1、フィブリル化していない、延伸さ
れている、引張り強さ:2.6cN/dtex)とを用
意した。
【0092】更に、高強度ポリプロピレン繊維(引張り
強さ:10.7cN/dtex、ヤング率:850kg
/mm、140℃における熱収縮率:7%、繊維横断
面形状:ほぼ五角形、融点:174℃、繊維径:22μ
m、切断繊維長:10mm、、巻縮なし、延伸されてい
る、繊維側面を偏光下、クロスニコルの状態で観察した
時、繊維方向に屈折率の異なる、断続的な線状の暗部と
明部とからなる縞模様を有する)を用意した。
【0093】次いで、前記ポリプロピレン極細繊維20
mass%と、無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維40mas
s%と、有巻縮芯鞘型熱融着複合繊維10mass%
と、高強度ポリプロピレン繊維30mass%とを混合
し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長網方式)
により繊維ウエブを形成した。
【0094】次いで、この繊維ウエブを温度135℃に
設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、
繊維ウエブを乾燥すると同時に、前記無巻縮芯鞘型熱融
着複合繊維及び有巻縮芯鞘型熱融着複合繊維の鞘成分
(高密度ポリエチレン)を熱融着させて、融着不織布を
形成した。
【0095】次いで、フッ素ガス(3vol%)、酸素
ガス(5vol%)、二酸化硫黄ガス(5vol%)及
び窒素ガス(87vol%)からなる混合ガスで満たさ
れた容器内に、前記融着不織布を供給し、融着不織布を
前記混合ガスと120秒間(温度:20℃)接触させ、
融着不織布を構成する繊維の表面に、スルホン酸基、カ
ルボニル基、カルボキシル基、水酸基などの官能基を導
入した。
【0096】次いで、この官能基を導入した融着不織布
を線圧力9.8N/cmでカレンダー処理を実施して、
本発明のセパレータ(目付:40g/m2、厚さ:0.
10mm、厚さ保持率:96%、極細繊維の束が実質的
に存在していない)を製造した。
【0097】(実施例2)ポリプロピレン極細繊維、無
巻縮芯鞘型熱融着複合繊維、有巻縮芯鞘型熱融着複合繊
維、及び高強度ポリプロピレン繊維との混合質量比率
を、20:30:20:30としたスラリーから湿式法
(水平長網方式)により繊維ウエブを形成したこと以外
は、実施例1と全く同様にして、融着不織布の形成、官
能基の導入、及びカレンダー処理を実施して、本発明の
セパレータ(目付:40g/m2、厚さ:0.10m
m、厚さ保持率:98%、極細繊維の束が実質的に存在
していない)を製造した。
【0098】(実施例3)横断面形状が扇形状で、直径
(円形断面に換算した値)が4.5μmのポリプロピレ
ン成分(融点:160℃)と、横断面形状が扇形状で、
直径(円形断面に換算した値)が4.5μmの高融点ポ
リエチレン成分(融点:130℃)とが、互いに隣接し
たオレンジ状断面を有する、繊維径が17μmで、切断
繊維長が5mmの分割繊維を用意した。
【0099】次いで、この分割繊維をビーターにより1
0分間、十分に分割して、ポリプロピレン極細繊維(繊
維径:4.5μm、巻縮なし、ρ/d:0.11、融
点:160℃、切断繊維長:5mm、実質的にフィブリ
ル化していない、延伸されている、繊維軸方向において
実質的に同じ直径を有する、横断面形状:扇形状)と、
高密度ポリエチレン極細繊維(繊維径:4.5μm、巻
縮なし、ρ/d:0.11、融点:130℃、切断繊維
長:5mm、実質的にフィブリル化していない、延伸さ
れている、繊維軸方向において実質的に同じ直径を有す
る、横断面形状:扇形状)とを発生させた。
【0100】また、熱融着繊維として、芯成分(非融着
成分)がポリプロピレン(融点:168℃)からなり、
鞘成分(融着成分)が低密度ポリエチレン(融点:11
5℃)からなり、巻縮のない無巻縮芯鞘型熱融着複合繊
維(繊維径:12μm、切断繊維長:5mm、芯成分の
質量:鞘成分の質量=1:1、フィブリル化していな
い、延伸されている、引張り強さ:4cN/dtex)
と、芯成分(非融着成分)がポリプロピレン(融点:1
68℃)からなり、鞘成分(融着成分)が低密度ポリエ
チレン(融点:115℃)からなり、巻縮数8.1個/
インチの有巻縮芯鞘型熱融着複合繊維(繊維径:30.
3μm、切断繊維長:5mm、芯成分の質量:鞘成分の
質量=1:1、フィブリル化していない、延伸されてい
る、引張り強さ:2.6cN/dtex)とを用意し
た。
【0101】更に、実施例1と同様の高強度ポリプロピ
レン繊維を用意した。
【0102】次いで、前記ポリプロピレン極細繊維と高
密度ポリエチレン極細繊維との混合物、無巻縮芯鞘型熱
融着複合繊維、有巻縮芯鞘型熱融着複合繊維、及び高強
度ポリプロピレン繊維との混合質量比率を、20:3
0:20:30としたスラリーから、湿式法(水平長網
方式)により繊維ウエブを形成したこと、及び温度12
5℃に設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置
して、繊維ウエブを乾燥すると同時に、前記無巻縮芯鞘
型熱融着複合繊維及び有巻縮芯鞘型熱融着複合繊維の鞘
成分(低密度ポリエチレン)による熱融着を実施したこ
と以外は、実施例1と全く同様にして、融着不織布の形
成、官能基の導入、及びカレンダー処理を実施して、本
発明のセパレータ(目付:40g/m2、厚さ:0.1
0mm、厚さ保持率:98%、極細繊維の束が実質的に
存在していない)を製造した。
【0103】(比較例1)実施例3と同様の分割繊維
(ビーターにより分割していない)、実施例3と同様の
無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維、及び実施例1と同様の高
強度ポリプロピレン繊維とを用意した。
【0104】次いで、前記分割繊維20mass%と、
無巻縮芯鞘型熱融着複合繊維50mass%と、高強度
ポリプロピレン繊維30mass%とを混合し、分散さ
せたスラリーから、湿式法(水平長網方式)により繊維
ウエブを形成した。
【0105】次いで、この繊維ウエブを温度125℃に
設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、
繊維ウエブを乾燥すると同時に、前記無巻縮芯鞘型熱融
着複合繊維の鞘成分(低密度ポリエチレン)により熱融
着して、融着不織布を形成した。
【0106】次いで、この融着不織布を目開きが0.1
5mmのネットで支持した状態で、ノズル径0.13m
m、ノズルピッチ0.6mmのノズルプレートから圧力
12.7MPaで噴出した水流を前記融着不織布に衝突
させて、主として分割繊維の分割を実施し、分割融着不
織布を形成した。
【0107】次いで、この分割融着不織布を温度125
℃に設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置し
て、分割融着繊維不織布を乾燥すると同時に、前記無巻
縮芯鞘型熱融着複合繊維の鞘成分(低密度ポリエチレ
ン)を再度、熱融着させて、分割再融着不織布を形成し
た。
【0108】次いで、フッ素ガス(3vol%)、酸素
ガス(5vol%)、二酸化硫黄ガス(5vol%)及
び窒素ガス(87vol%)からなる混合ガスで満たさ
れた容器内に、前記分割再融着不織布を供給し、分割再
融着不織布を前記混合ガスと120秒間(温度:20
℃)接触させ、分割再融着不織布を構成する繊維の表面
に、スルホン酸基、カルボニル基、カルボキシル基、水
酸基などの官能基を導入した。
【0109】次いで、この官能基を導入した分割再融着
不織布を線圧力9.8N/cmでカレンダー処理を実施
して、比較用のセパレータ(目付:40g/m2、厚
さ:0.10mm、厚さ保持率:93%、極細繊維の束
が存在している)を製造した。
【0110】(比較例2)実施例1と同様のポリプロピ
レン極細繊維、実施例1と同様の無巻縮芯鞘型熱融着複
合繊維、及び実施例1と同様の高強度ポリプロピレン繊
維を用意した。
【0111】次いで、ポリプロピレン極細繊維、無巻縮
芯鞘型熱融着複合繊維、及び高強度ポリプロピレン繊維
との混合質量比率を、20:50:30としたスラリー
から、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成
したこと以外は、実施例1と全く同様に、融着不織布の
形成、官能基の導入、及びカレンダー処理を実施して、
比較用のセパレータ(目付:40g/m2、厚さ:0.
10mm、厚さ保持率:92%、極細繊維の束が実質的
に存在していない)を製造した。
【0112】(平均地合指数の測定)各セパレータの地
合指数を次のようにして測定した。 (1)光源から被測定物(セパレータ)に対して光を照
射し、照射された光のうち、被測定物の所定領域におい
て反射された反射光を受光素子によって受光して輝度情
報を取得した。 (2)被測定物の所定領域を画像サイズ3mm角、6m
m角、12mm角、24mm角に等分割して、4つの分
割パターンを取得した。 (3)得られた各分割パターン毎に等分割された各区画
の輝度値を輝度情報に基づいて算出した。 (4)各区画の輝度値に基づいて、各分割パターン毎の
輝度平均(X)を算出した。 (5)各分割パターン毎の標準偏差(σ)を求めた。 (6)各分割パターン毎の変動係数(CV)を次の式に
より算出した。 変動係数(CV)=(σ/X)×100 ここで、σは各分割パターン毎の標準偏差を示し、Xは
各分割パターン毎の輝度平均を示す。 (7)各画像サイズの対数をX座標、当該画像サイズに
対応する変動係数をY座標とした結果得られる座標群
を、最小二乗法により一次直線に回帰させ、その傾きを
算出し、この傾きの絶対値を地合指数とした。 (8)この操作を10回繰り返し行って得た地合指数を
平均して、平均地合指数を算出した。
【0113】この結果は表1に示す通りであった。この
結果から明らかなように、本発明のセパレータは繊維が
均一に分散した地合いの優れるものであった。なお、平
均地合指数は数字が小さいほど、繊維が均一に分散して
いることを意味している。
【0114】
【表1】 A:単位目付あたりの平均ニードル式耐貫通力(gf)
【0115】(単位目付あたりの平均ニードル式耐貫通
力の測定)円筒状貫通孔(内径:11mm)を有する支
持台の円筒状貫通孔を覆うように各セパレータを1枚載
置し、更に各セパレータ上に、円筒状貫通孔(内径:1
1mm)を有する固定材を、固定材の中心が前記支持台
の円筒状貫通孔の中心と一致するように載置して、各セ
パレータを固定した。その後、このセパレータに対し
て、ハンディー圧縮試験機(カトーテック製、KES−
G5)に取り付けられたニードル(先端部における曲率
半径:0.5mm、直径:1mm、治具からの突出長
さ:2cm)を、0.01cm/sの速度で垂直に突き
刺し、ニードルがセパレータを突き抜けるのに要する力
を測定し、この力をニードル式耐貫通力とした。このニ
ードル式耐貫通力の測定を10回実施し、平均ニードル
式耐貫通力を算出した。そして、この平均ニードル式耐
貫通力を目付で除して、単位目付あたりの平均ニードル
式耐貫通力を算出した。この結果は表1に示す通りであ
った。この結果から明らかなように、本発明のセパレー
タはニードルが貫通しにくいものであったため、極板群
形成時に、極板のバリがセパレータを突き抜けにくいも
のであることが予測された。
【0116】(電池製造時の不良率の評価)電池の集電
体として、水酸化ニッケルを発泡ニッケル支持体に充填
した正極(33mm幅、182mm長)と、ペースト式
水素吸蔵合金負極(メッシュメタル系合金NmNi
5型、33mm幅、247mm長)とを用意した。
【0117】次いで、33mm幅、410mm長に裁断
した各セパレータを、それぞれ正極と負極との間に挟ん
だ後に渦巻状に巻回して、SC型対応の電極群を作製し
た。この時に、極板のバリがセパレータを突き抜けた
り、極板のエッジによって切断された結果ショートして
しまい、電池を製造することができなかった割合を、電
池製造時の不良率とした。この結果は表1に示す通りで
あった。表1から明らかなように、本発明のセパレータ
を使用すると、歩留まり良く電池を製造することができ
た。
【0118】(電池寿命試験)電極の集電体として、発
泡ニッケル基材を用いたペースト式ニッケル正極(33
mm幅、182mm長)と、ペースト式水素蔵合金負極
(メッシュメタル系合金、33mm幅、247mm長)
とを作成した。
【0119】次いで、各セパレータを33mm幅、41
0mm長に裁断した後、それぞれを正極と負極との間に
挟み込み、渦巻き状に巻回して、SC(sub−C)型
対応の電極群を作成した。この電極群を外装缶に収納
し、電解液として5N水酸化カリウム及び1N水酸化リ
チウムを外装缶に注液し、封緘して、円筒型ニッケル−
水素電池を作成した。
【0120】次いで、それぞれの円筒型ニッケル−水素
電池について、(1)0.2Cでの150%充電と、
(2)1Cで終止電圧1Vまで放電することからなる充
放電サイクルを繰り返し、放電容量が初期容量の50%
となった時点で、電池寿命が尽きたと判断し、電池寿命
が尽きるまでのサイクル数を測定した。比較例2のセパ
レータを使用した円筒型ニッケル−水素電池のサイクル
数を基準(100)とした時の比率を、表1に示す。こ
の結果から、本発明のセパレータを使用した電池は電池
寿命が長いことがわかった。このことから電解液の保持
性にも優れていることが推測された。
【0121】(電池内圧試験)前記電池寿命試験で用い
た円筒型ニッケル−水素電池と同様にして形成した円筒
型ニッケル−水素電池を、0.5Cで温度20℃にて充
電を行い、容量の150%での電池内圧を測定した。比
較例2のセパレータを使用した円筒型ニッケル−水素電
池の内圧を基準(100)とした時の比率を表1に示
す。この結果から明らかなように、本発明のセパレータ
を使用した電池は内圧が低いことがわかった。
【0122】
【発明の効果】本発明のセパレータは巻縮を有する繊維
を含む湿式不織布を含んでいることによって、弾性のあ
る湿式不織布であることができるため、電解液の保持性
に優れ、しかも適度な空隙が形成されるため、気体の透
過性に優れ、内圧特性の優れる電池を製造できるもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L047 AA14 AA21 AA27 AB08 AB09 AB10 BA21 BB02 CA05 CC12 DA00 4L055 AF15 EA08 EA16 EA40 FA19 FA30 GA01 GA39 GA50 5H021 BB08 BB11 BB13 CC01 CC02 EE04 EE23 HH01 HH03 HH06 5H028 EE06 HH05

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維径が5μm以下のポリオレフィン系
    極細繊維とポリオレフィン系熱融着繊維とを含むポリオ
    レフィン系湿式不織布を備えており、このポリオレフィ
    ン系湿式不織布を構成する少なくとも1種類の繊維が巻
    縮を有することを特徴とする、電池用セパレータ。
  2. 【請求項2】 前記ポリオレフィン系極細繊維の横断面
    形状が円形であることを特徴とする、請求項1に記載の
    電池用セパレータ。
  3. 【請求項3】 前記ポリオレフィン系極細繊維が、特定
    の溶媒に対する溶解性の異なる2種類以上の樹脂成分か
    らなる複合繊維から、少なくとも1種類の樹脂成分を溶
    解除去することによって得られたポリオレフィン系極細
    繊維であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の
    電池用セパレータ。
  4. 【請求項4】 前記ポリオレフィン系極細繊維の束が実
    質的に存在していないことを特徴とする、請求項1〜3
    のいずれかに記載の電池用セパレータ。
  5. 【請求項5】 前記ポリオレフィン系熱融着繊維の引張
    り強さが2cN/dtex以上であることを特徴とす
    る、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用セパレー
    タ。
  6. 【請求項6】 前記ポリオレフィン系熱融着繊維とし
    て、巻縮を有するポリオレフィン系熱融着繊維と巻縮の
    ないポリオレフィン系熱融着繊維とを含んでいることを
    特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用セ
    パレータ。
  7. 【請求項7】 ポリオレフィン系極細繊維及びポリオレ
    フィン系熱融着繊維はフィブリル化していないことを特
    徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用セパ
    レータ。
  8. 【請求項8】 引張り強さが8.5cN/dtex以上
    の高強度繊維を更に含んでいることを特徴とする、請求
    項1〜7のいずれかに記載の電池用セパレータ。
  9. 【請求項9】 前記ポリオレフィン系湿式不織布は実質
    的に繊維の融着のみによって形態を維持していることを
    特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の電池用セ
    パレータ。
  10. 【請求項10】 厚さ保持率が90%以上であることを
    特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の電池用セ
    パレータ。
  11. 【請求項11】 アルカリ電池に用いることを特徴とす
    る、請求項1〜10のいずれかに記載の電池用セパレー
    タ。
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