JP3678680B2 - 電池用セパレータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池用セパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電池の正極と負極とを分離して短絡を防止すると共に、電解液を保持して起電反応を円滑に行なうことができるように、正極と負極との間にセパレータが使用されている。
【0003】
近年、電子機器の小型軽量化に伴って、電池の占めるスペースも狭くなっているにもかかわらず、電池には従来と同程度以上の性能が必要とされるため、電池の高容量化が要求されている。そのためには、電極の活物質量を増やす必要があるため、必然的に前記セパレータの占める体積が小さくならざるを得ない。既に、厚さが0.15mmの薄いセパレータが提案されているが、最近は、厚さが0.1mm以下の更に薄いセパレータが市場で要求されている。
【0004】
厚さを0.1mm以下にすることのできるセパレータとして、例えば、特開平11−126595号公報には、「低融点の鞘部ポリマーと高融点の芯部ポリマーとからなる芯鞘複合繊維を含む湿式製造法により成形された不織布の両側に、極細不織布を接着した積層不織布であって、目付が15〜55g/m2、空隙率が40〜80%、厚みが0.05〜0.12mmであるアルカリ電池セパレータ」が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平11−126595号公報に記載のセパレータは、湿式製造法により形成された不織布と極細繊維からなる不織布とを接着した積層不織布であるため、電解液が極細繊維からなる不織布側に偏って分布することになる。従って、内部抵抗が高くなり、電池を高容量化するために薄くしているにもかかわらず、高容量化するのが困難になるという問題があった。
従って、本発明の目的は、上記のような従来技術の問題点を解決し、電池の高容量化が可能な薄い電池用セパレータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、実質的に一層構造の不織布から実質的になる電池用セパレータであって、前記不織布の面密度あたりにおける繊維の見掛総表面積が20m2以上であり、前記不織布の厚さが0.1mm以下であり、前記不織布の地合指数が0.15以下であり、しかも前記不織布が繊維径4μm以下の極細繊維を含んでいることを特徴とする、前記の電池用セパレータに関する。
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、実質的に一層構造からなるため、電解液を不織布全体に均一に保持することができ、内部抵抗が低くて、高容量の電池を製造することができる。また、本発明の電池用セパレータは厚さが0.1mm以下という薄さであるにもかかわらず、面密度あたりにおける繊維の見掛総表面積を20m2以上とすることにより、電解液の保持性(特に長期間における電解液保持性)を確保しているため、寿命の長い電池を製造することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、電解液の偏在が生じることがないように、実質的に一層構造からなる。本明細書において、不織布が「実質的に一層構造」からなるとは、不織布の厚さ方向において、不織布全体の平均繊維径に対して、不織布の繊維組成及び繊維配合の異なる部分の平均繊維径が、全体の平均繊維径の±20%の範囲内に含まれることを意味する。本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、平均繊維径の観点で実質的に均質であるという前記の条件を満足する限り、複数の繊維ウエブを積層して調製することもできる。
前記の「厚さ方向」とは、不織布平面に対して直角方向をいう(なお、不織布平面は平滑ではないので、不織布平面とは不織布表面に平板を載せた場合の、その平板の表面をいい、前記の厚さ方向とは、その平板の表面に対して直角方向をいう)。なお、本明細書において「平均繊維径」とは、繊維が短繊維である場合には、100本以上の短繊維の繊維径の平均値をいい、繊維が長繊維である場合には、100箇所以上の繊維径の平均値をいう。また、本発明における「繊維径」は、繊維の横断面形状が円形である場合にはその直径をいい、繊維の横断面形状が非円形である場合には、同じ断面積を有する円の直径を繊維径とする。
【0008】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布を構成する繊維は、それらが1種類からなる場合も、複数種類からなる場合も、フィブリル化していない繊維のみから実質的に構成されているのが好ましい。このようにフィブリル化していない繊維のみから実質的に構成されていると、地合いが均一になり、不織布全体でバランス良く電解液を保持することができる。
本明細書において「フィブリル化していない繊維」とは、複数の繊維が結合していない繊維を意味し、例えば、一本の繊維から無数の繊維が枝分かれした状態の繊維(例えば、機械的に分割可能な分割性繊維をビーターなどによって叩解した繊維、又はパルプなど)、複数の繊維が融着処理前から結合してネットワーク状態にある繊維(例えば、フラッシュ紡糸法により得られる繊維など)ではないことを意味する。
【0009】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布を構成する繊維の材料は、1種類又は複数種類からなることができ、具体的には、例えば、ポリアミド系繊維、又はポリオレフィン系繊維などから構成されていることができるが、耐電解液性に優れ、自己放電の原因といわれているアンモニアを発生しないことから、実質的にポリオレフィン系繊維のみからなるのが好ましい。ここでポリオレフィン系繊維には、繊維全体がポリオレフィン系樹脂のみからなる繊維だけではなく、少なくとも繊維表面がポリオレフィン系樹脂から構成されている繊維も含まれる。すなわち、耐電解液性に影響を与える部分は繊維表面であるからである。従って、例えば、ポリアミド樹脂とポリオレフィン系樹脂とからなる複合繊維であって、繊維表面がポリオレフィン系樹脂のみに占められている繊維(繊維の両端面は除く)は、前記のポリオレフィン系繊維に相当する。
【0010】
このポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、又はエチレン共重合体など)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン共重合体など)、あるいはポリメチルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテン、又はメチルペンテン共重合体など)を挙げることができる。これらの中でも、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂が好ましい。
【0011】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、ヤング率が50cN/dtex以上の高弾性繊維を含んでいるのが好ましい。こうした高弾性繊維の弾性によって、極板群にセパレータを巻回した際に極板によってセパレータが切断されたり、極板のバリがセパレータを突き抜けて短絡が生じにくいため、信頼性高く電池を製造することができ、また、極板群に巻回された後においても適度な空隙を保って長期間にわたって電解液を保持することができるため、寿命の長い電池を製造することができる。
本明細書において「ヤング率」は、JIS L 1015:1999、8.11項に規定されている方法により測定した初期引張抵抗度から算出した見掛ヤング率の値をいう。なお、初期引張抵抗度は定速緊張形試験機によって測定した値をいう。
また、ヤング率が高ければ高い程、前述のような効果を発揮しやすいため、65cN/dtex以上であるのが好ましく、80cN/dtex以上であるのがより好ましい。
【0012】
高弾性繊維の繊維径は、特に限定されるものではないが、不織布の絶対強度を強くして、セパレータとして使用した場合に、極板のバリが突き抜けたり、極板のエッジによって引き裂かれたりせず、耐貫通強度のバラツキがなく、短絡しにくいように、高弾性繊維の繊維径が12〜35μmであるのが好ましく、13〜30μmであるのがより好ましく、13〜25μmであるのが更に好ましい。
このような高弾性繊維は、不織布を構成する繊維中に5mass%以上の量で含まれていれば前述のような効果を発揮しやすく、10mass%以上の量で含まれているのがより好ましい。他方、電解液の保持性を高くするために含有させる極細繊維の含有量を減少させないように、98mass%以下の量で存在するのが好ましい。
【0013】
この高弾性繊維の材料は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体など)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、高結晶性ポリプロピレン、プロピレン共重合体など)、ポリメチルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテン、メチルペンテン共重合体など)から構成することができる。これらの中でも、超高分子量ポリエチレンや高結晶性ポリプロピレンからなるのが好ましい。
なお、本発明で用いる高弾性繊維は前述のような樹脂成分単独から構成されていてもよいし、2種類以上の樹脂成分が混合又は複合されていてもよい。2種類以上の樹脂成分が混合又は複合された高弾性繊維の横断面形状は、例えば、芯鞘型、偏芯型、又は海島型であることができる。このように2種類以上の樹脂成分が混合又は複合されていると、高弾性繊維は繊維表面を構成する樹脂成分によって融着することができる。
【0014】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、繊維径が4μm以下(より好ましくは3μm以下、更に好ましくは2μm以下)の極細繊維を含んでいる。従って、後述のように、面密度あたりにおける繊維の見掛総表面積が広くなり、薄いにもかかわらず、電解液の保持性に優れたセパレータを提供することができる。
【0015】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布に含まれる極細繊維は、それぞれの繊維径が狭い範囲に分布し、各極細繊維の繊維径がほぼ同じになるのが好ましい。各極細繊維の繊維径がほぼ同じになると、極細繊維によって均一な孔径の孔及び均一な内部空間が形成され、電解液の分布が均一になるからである。具体的には、極細繊維の繊維径分布の標準偏差値(σ)を、極細繊維の繊維径の平均値(d)で除した値(σ/d)が0.2以下(好ましくは0.18以下)であるのが好ましい。なお、極細繊維の繊維径が全て同じである場合には標準偏差値(σ)が0になるため、前記値(σ/d)の下限値は0である。
【0016】
前記の「極細繊維の繊維径の平均値(d)」は、不織布試料の電子顕微鏡写真を撮影し、この電子顕微鏡写真において100本以上の極細繊維の繊維径を計測し、その計測した繊維径を平均した値である。また、極細繊維の「標準偏差値(σ)」は、計測したn本(100本以上)のそれぞれの極細繊維の繊維径(χ)から、次の式によって算出する。
標準偏差={(nΣχ2−(Σχ)2)/n(n−1)}1/2
ここでnは測定した極細繊維の本数を意味し、χはそれぞれの極細繊維の繊維径を意味する。
なお、繊維径が4μm以下の極細繊維が繊維径分布の観点で2種類以上の群からなる場合には、各々の極細繊維について、上記関係が成立するのが好ましい。
また、均一な孔径の孔及び均一な内部空間を有する不織布を形成することができるように、各極細繊維は、その繊維軸方向において直径が実質的に変化しない(すなわち、実質的に同じ直径を有している)のが好ましい。
【0017】
このように、個々の極細繊維において繊維軸方向に直径が実質的に同一で変化していない極細繊維、又は複数の極細繊維間においてほぼ同一の繊維径を有する極細繊維は、例えば、紡糸口金部で海成分中に口金規制して島成分を押し出して複合する方法などの複合紡糸法で得た海島型複合繊維の海成分を除去することにより得ることができる。なお、一般的に混合紡糸法といわれる方法、すなわち、島成分を構成する樹脂と海成分を構成する樹脂とを混合した後に紡糸する方法によって得た海島型複合繊維の海成分を除去する方法によっては、個々の極細繊維において繊維軸方向に直径が実質的に同一で変化していない極細繊維を得ることや、複数の極細繊維間においてほぼ同一の繊維径を有する極細繊維を得ることは困難である。また、メルトブロー法によっても、個々の極細繊維において繊維軸方向に直径が実質的に同一で変化していない極細繊維を得ることや、複数の極細繊維間においてほぼ同一の繊維径を有する極細繊維を得ることは困難である。
【0018】
極細繊維の横断面形状が円形であると、不織布の地合いを更に向上させることができるので好ましい。また、極細繊維の束(分割性繊維を含む不織布を形成した後に分割性繊維を分割することによって形成されやすい)が存在すると、不織布の地合いが悪くなるので、極細繊維の束を存在させないようにするのが好ましい。
この極細繊維もポリオレフィン系樹脂から構成されているのが好ましく、例えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、又はエチレン共重合体など)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、又はプロピレン共重合体など)、あるいはポリメチルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテン、又はメチルペンテン共重合体など)から構成されていることができ、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂からなるのが好ましい。
なお、極細繊維が融着に関与することのできる樹脂成分(以下、「融着成分」ということがある)を含み、極細繊維がこの融着成分により融着していると、確実に極細繊維を固定することができ、極細繊維が脱落したり、毛羽立つことがないため好適である。
【0019】
この極細繊維を融着させる場合、極細繊維は前述のようなポリオレフィン系樹脂からなる融着成分のみから構成することもできるし、融着成分とこの融着成分の融点よりも高い融点を有する成分(以下、「非融着成分」ということがある)とのように2種類以上の成分から構成することもできる。後者のように極細繊維が融着成分と非融着成分とのように2種類以上の成分から構成されていると、融着成分を融着させても、非融着成分によって繊維形態が維持され、極細繊維本来の働きである、均一な孔径の孔及び均一な内部空間の形成を妨げにくいため、より好適である。
【0020】
極細繊維が2種類以上の成分から構成されている場合には、融着成分が極細繊維表面の一部又は全部を占めて、融着に関与させるのが好ましい。この極細繊維が2種類以上の成分から構成される複合繊維である場合、その横断面形状は、例えば、芯鞘型、偏芯型、又は海島型であるのが好ましい。なお、非融着成分は繊維形状を維持することができるように、融着成分の融点よりも10℃以上高い融点を有するのが好ましく、20℃以上高い融点を有するのがより好ましい。このように、融着成分と非融着成分とのように2種類以上の樹脂成分からなる複合極細繊維は、常法の複合紡糸法により海島型複合繊維を紡糸する際に、島成分を押し出す口金として、前述のような横断面形状(例えば、芯鞘型、偏芯型、又は海島型)を形成することのできる口金を使用して海島型複合繊維を紡糸するか、常法の複合紡糸法により海島型複合繊維を紡糸する際に、2種類以上の樹脂成分を混合した樹脂を、島成分押出用口金に供給して海島型複合繊維を紡糸し、海成分を除去することにより得ることができる。
【0021】
本明細書における「融点」は、示差走査熱量計を用い、昇温温度10℃/分で、室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。なお、極大値が2つ以上存在する場合には、最も高温の極大値を融点とする。
【0022】
前記の極細繊維は、不織布を構成する繊維中に、2mass%以上の量で含まれていれば前述のような効果を発揮しやすく、5mass%以上の量で含まれているのがより好ましく、10mass%以上の量で含まれているのが更に好ましい。本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、極細繊維のみからなることもできるが、前述のような高弾性繊維を含ませることによって適度な空隙を保つのが好ましいため、極細繊維の含有量は95mass%以下であるのが好ましい。なお、極細繊維は、不織布の製造工程において、均一分散しやすいように、自由度の高い短繊維(繊維長が30mm以下)であるのが好ましいが、極細繊維又は海島型複合繊維を裁断する際に極細繊維同士又は島成分同士が圧着してしまうと、フィブリル化した繊維と同様の状態となるため、裁断する際に極細繊維同士又は島成分同士が圧着しにくい極細繊維又は海島型複合繊維を使用するのが好ましい。このような圧着しにくい極細繊維又は海島型複合繊維(島成分)の材料としては、例えば、高結晶性の樹脂を用いることができる。具体的には、ポリメチルペンテン、又は融点が166℃以上(好ましくは168℃以上)のポリプロピレンを用いるのが好ましい。
【0023】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、更に融着繊維を含んでいることができる。このような融着繊維を含んでいることによって、不織布の強度を向上させることができる。
この融着繊維の融着成分は、融着繊維以外の繊維(例えば、高弾性繊維及び/又は極細繊維など)へ悪影響を及ぼさないような融点を有するのが好ましい。例えば、融着繊維以外の繊維として、ポリプロピレン系樹脂単独からなる高弾性繊維と、ポリプロピレン系樹脂単独からなる極細繊維とを含んでいる場合には、融着繊維の融着成分として、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、又はエチレン共重合体など)を含んでいるのが好ましく、融着繊維以外の繊維として、超高分子量ポリエチレン単独からなる高弾性繊維と、ポリプロピレン系樹脂単独からなる極細繊維とを含んでいる場合には、融着繊維の融着成分として、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、又は直鎖状低密度ポリエチレンなど)又はエチレン共重合体を含んでいるのが好ましい。
【0024】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布が、極細繊維と高弾性繊維と融着繊維と含み、その極細繊維及び高弾性繊維の表面を構成する樹脂がポリプロピレン系樹脂からなる場合には、融着繊維として、ポリプロピレン系共重合体(例えば、エチレン−ブテン−プロピレン共重合体、エチレン−ブタジエン−プロピレン共重合体、又はエチレン−プロピレン共重合体など)を融着成分として含む融着繊維を使用することにより、繊維同士の融着力が強く、機械的強度が優れ(すなわち、極板により切断されにくく、バリが突き抜けにくい強度も含む)、更に耐熱性に優れた不織布を製造することができる。
【0025】
この融着繊維は融着成分のみから構成されていてもよいし、融着成分に加えて融着成分よりも融点の高い非融着成分を含んでいてもよい。融着繊維が、後者のように融着成分と非融着成分とから構成される複合繊維であると、不織布の強度を、より向上させることができる。この複合繊維の横断面形状としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、又は海島型であることができる。また、非融着成分は、融着成分の融点よりも10℃以上高い融点を有する樹脂からなるのが好ましく、20℃以上高い融点を有する樹脂からなるのがより好ましい。
このような融着繊維は、不織布の強度を向上させることができるように、不織布を構成する繊維中、20mass%以上の量で含まれているのが好ましく、40mass%以上の量で含まれているのがより好ましい。他方、前述のような極細繊維との関係から、98mass%以下の量であるのが好ましい。
【0026】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、前記の通り、繊維径4μm以下の極細繊維のみからなることができる。また、前記不織布は、極細繊維と高弾性繊維との組み合わせ、極細繊維と融着繊維との組み合わせ、あるいは、極細繊維と高弾性繊維と融着繊維との組み合わせからなることもできる。更には、極細繊維、高弾性繊維及び融着繊維以外に、これらのいずれの繊維の前記定義にも当てはまらない通常繊維を含むこともできる。こうした通常繊維は、繊維径が4μmを越え、ヤング率が50cN/dtex未満であり、しかも、融着成分を含まない繊維(例えば、レギュラーポリプロピレン繊維)であり、本発明の電池用セパレータに用いる不織布の全質量に対して、約93mass%以下(好ましくは60mass%以下)の量で存在することができる。
【0027】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布が、極細繊維と高弾性繊維との組み合わせからなる場合、それらの質量に基づく配合割合(極細繊維:高弾性繊維)は、特に限定されるものではないが、例えば50〜90:50〜10であることができ、60〜80:40〜20であることがより好ましく、65〜80:35〜20であることが最も好ましい。
【0028】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布が、極細繊維と融着繊維との組み合わせからなる場合、それらの質量に基づく配合割合(極細繊維:融着繊維)は、特に限定されるものではないが、例えば10〜80:90〜20であることができ、10〜50:90〜50であることがより好ましく、10〜30:90〜70であることが最も好ましい。
更に、本発明の電池用セパレータに用いる不織布が、極細繊維と高弾性繊維と融着繊維との組み合わせからなる場合、それらの質量に基づく配合割合(極細繊維:高弾性繊維:融着繊維)は、特に限定されるものではないが、例えば10〜40:15〜40:20〜75であることができ、10〜40:20〜40:20〜70であることがより好ましく、10〜30:20〜35:40〜65であることが最も好ましい。
【0029】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布が、極細繊維と高弾性繊維と含む場合には、高弾性繊維の平均繊維径が極細繊維の平均繊維径の5倍以上であるのが好ましく、6倍以上であるのがより好ましく、6.5倍以上であるのが最も好ましい。極細繊維と高弾性繊維と含む不織布では、太い高弾性繊維が骨格を形成し、この骨格間に細い極細繊維が存在したような状態となりやすい。高弾性繊維の繊維径が極細繊維の繊維径の5倍以上であると、高弾性繊維の高弾性によって、不織布の空間が効率的に保持されるので、加圧時における空隙率が向上し、従って保液性が向上する。
【0030】
前記と同様の効果は、高弾性繊維の平均繊維長を極細繊維の平均繊維長の2.5倍以上(好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上、更に好ましくは5倍以上)とすることによっても得ることができる。更に、高弾性繊維の平均繊維径が10μm以上である場合は、不織布中に占める高弾性繊維の質量比率を極細繊維の質量比率の1〜2.5倍とすることによっても、前記と同様の効果を得ることができる。
【0031】
また、本発明の電池用セパレータに用いる不織布において、不織布を構成する繊維の繊維表面がいずれもプロピレン系樹脂からなると、繊維同士の融着力が強く、機械的強度が優れ(すなわち、極板により切断されにくく、バリが突き抜けにくい強度も含む)、更に耐熱性に優れた不織布を製造することができる。更に、不織布を構成する繊維の融着成分がいずれもエチレン系樹脂からなると、繊維同士の融着力が強く、機械的強度が優れ(すなわち、極板により切断されにくく、バリが突き抜けにくい強度も含む)た不織布を製造することができる。
【0032】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布を構成する繊維(例えば、高弾性繊維、極細繊維、融着繊維、又は通常繊維など)は未延伸状態にあることもできるが、機械的強度に優れているように、延伸状態にあるのが好ましい。
また、本発明の電池用セパレータに用いる不織布を構成する繊維(例えば、高弾性繊維、極細繊維、融着繊維、又は通常繊維など)の繊維長は特に限定されるものではないが、繊維長が短いほど繊維の自由度が高く、不織布の製造工程において均一に分散させることができるため、繊維長は0.5〜30mmであるのが好ましい。より好ましくは1〜20mmに切断された繊維を使用する。なお、本明細書において繊維長は、JIS L 1015(化学繊維ステープル試験法)B法(補正ステープルダイヤグラム法)により得られる長さをいう。また、平均繊維長は、100本の繊維の平均値である。
【0033】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、不織布の面密度あたりにおける繊維の見掛総表面積が20m2以上である。このため、電解液の保持性に優れ、セパレータの厚さが0.1mm以下であっても、長期間にわたって電解液を保持することができる。より好ましい見掛総表面積は22m2以上であり、25m2以上であるのが更に好ましい。
【0034】
ここで、「面密度」とは、JIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定法)に規定されている方法に基づいて得られる坪量を意味し、「面密度あたりにおける繊維の見掛総表面積」とは、前記面密度中に存在している繊維の繊維同士が固定する前の状態における繊維の表面積(繊維の横断面積を除く)の和をいう。例えば、面密度が40g/m2で、極細繊維20mass%と、融着繊維80mass%とからなる場合、極細繊維8g(=40×0.2)分の表面積(繊維の横断面積を除く)と、融着繊維32g(=40×0.8)分の表面積(繊維の横断面積を除く)の総和をいう。なお、不織布が融着繊維を含んでいる場合には、融着繊維は融着した状態にあるが、融着する前の融着繊維の表面積(繊維の横断面積を除く)をもとに見掛総表面積を算出する。また、繊維の表面積は、繊維径、面密度、構成比、及び繊度から算出することができ、融着する前の融着繊維の表面積は、繊維径として、融着していない箇所の繊維径を利用して算出することができる。
【0035】
本発明のセパレータを構成する不織布の厚さは、0.1mm以下である。このように薄いため、電池の高容量化に対応することができる。厚さの下限は、不織布をセパレータとして使用した場合に、電極の極板間の隔離性と電解液の保持性を満足する限り特に限定されないが、約0.005mmよりも薄くなると、微小電流が流れたり、電解液の保持性が悪くなる傾向があるので、約0.005mm以上であるのが好ましく、約0.01mm以上であることがより好ましい。本明細書において「厚さ」は、JIS B 7502:1994に規定されている外側マイクロメーター(0〜25mm)を用いて、JIS C2111 5.1(1)の測定法で、無作為に選んで測定した10点の平均値である。
【0036】
本発明のセパレータを構成する不織布は、繊維同士が実質的に繊維の融着のみによって固定されているのが好ましい。このように繊維の融着のみによって固定されていると、繊維の配置を乱すことなく固定することができるため、地合いが優れ、短絡が生じにくく、しかも電解液が均一に分布することができ、内部抵抗の低いセパレータを製造することができる。例えば、融着以外に絡合によっても繊維同士が固定されていると、繊維同士を絡合させるための作用(例えば、水流などの流体流、又はニードルパンチングなど)によって、不織布の表面から裏面への貫通孔が形成されて短絡が生じやすくなる傾向があるが、融着のみによって固定されていれば、融着する際に繊維の配置が乱れないため短絡が発生しにくくなる。
【0037】
なお、不織布を製造する際に、絡合処理を実施しなくても繊維同士が絡むことがある。例えば、カード機により繊維ウエブを形成したり、あるいは湿式法により繊維ウエブを形成した場合でも、繊維ウエブはその形態を保つことができる。このことは、多かれ少なかれ繊維同士が絡合した状態にあることを示している。しかしながら、この絡合は、前述の水流絡合やニードルパンチングのように、繊維の配置を乱す絡合ではないため、本明細書においては、実質的に絡合していないものとみなす。このように、「実質的に繊維の融着のみ」とは、繊維ウエブを形成した後における繊維同士の固定が融着のみによってなされている状態をいう。この状態は別の見方をすれば、不織布を構成する繊維(極細繊維と、例えば、高弾性繊維、融着繊維、及び/又は通常繊維など)が、実質的に二次元的に配置した状態である。
【0038】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、地合指数の値が0.15以内であり、地合いが優れているので、短絡が生じにくく、しかも電解液を均一に保持することができる。より好ましい地合指数は0.10以下である。
この「地合指数」は、特開2001−50902号公報に記載されている方法、すなわち、次のようにして得られる値をいう。
(1)光源から被測定物(不織布試料)に対して光を照射し、照射された光のうち、被測定物の所定領域において反射された反射光を受光素子によって受光して輝度情報を取得する。
(2)被測定物の所定領域を画像サイズ3mm角、6mm角、12mm角、及び24mm角に等分割して、4つの分割パターンを取得する。
(3)得られた各分割パターン毎に等分割された各区画の輝度値を輝度情報に基づいて算出する。
(4)各区画の輝度値に基づいて、各分割パターン毎の輝度平均(X)を算出する。
(5)各分割パターン毎の標準偏差(σ)を求める。
(6)各分割パターン毎の変動係数(CV)を次の式により算出する。
変動係数(CV)=(σ/X)×100
ここで、σは各分割パターン毎の標準偏差を示し、Xは各分割パターン毎の輝度平均を示す。
(7)各画像サイズの対数をX座標、当該画像サイズに対応する変動係数をY座標とした結果得られる座標群を、最小二乗法により一次直線に回帰させ、その傾きを算出し、この傾きの絶対値を地合指数とする。
【0039】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布においては、不織布の孔の最大孔径が40μm以下であると、地合いが均一であり、また、前記不織布からなるセパレータが極板に強く圧迫されても、脱落した電池活物質粉がセパレータの内部空隙へ侵入しにくく、短絡しにくいため好適である。不織布の孔の最大孔径は35μm以下であるのがより好ましく、30μm以下であるのが更に好ましい。本明細書において不織布の孔の「最大孔径」とは、ポロメータ〔Polometer,コールター(Coulter)社製〕を用いてバブルポイント法により測定される値をいう。
【0040】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布においては、不織布の孔の最大孔径が平均流量孔径の2倍以下(より好ましくは1.9倍以下)であるのが好ましい。このような範囲内にあると、孔径分布が狭くなり、電解液を均一に分散することができる結果として、内部抵抗の低い電池を製造することができる。なお、理想的には、不織布の孔の最大孔径が平均流量孔径の1倍となる場合、すなわち全孔径が同じ大きさとなる場合である。
本明細書において「平均流量孔径」はASTM−F316に規定されている方法により得られる値をいい、例えば、ポロメータ〔Polometer,コールター(Coulter)社製〕を用いてミーンフローポイント法により測定される値である。
【0041】
また、本発明の電池用セパレータに用いる不織布の空隙率は、内部抵抗及び内圧が低く、保液率が高くなるように、45〜65%であるのが好ましく、50〜60%であるのがより好ましい。
この「空隙率(P)」は次の式によって得られる値をいう。
空隙率(P)={1−W/(T×d)}×100
ここで、Wは面密度(g/m2)を意味し、Tは不織布(セパレータ)の厚さ(μm)を意味し、dは不織布(セパレータ)を構成する樹脂(例えば、繊維)の密度(g/cm3)を意味する。なお、構成樹脂が2種類以上存在している場合、構成樹脂の密度は各構成樹脂の質量平均をいう。例えば、密度 1 の樹脂Aがa(mass%)と、密度d2の樹脂Bがb(mass%)存在している場合、構成樹脂の密度(d)は次の式により得られる値をいう。
密度(d)=d1×a/100+d2×b/100
【0042】
更に、本発明の電池用セパレータに用いる不織布の少なくとも一方向における引張り強さが20N/5cm幅以上であると、セパレータとして使用した場合に破断することなく極板群を形成することができ、歩留まり良く電池を製造することができる。より好ましい引張り強さは30N/5cm幅以上であり、40N/5cm幅以上であるのが更に好ましい。
この「引張り強さ」は、幅5cmに裁断した不織布試料(セパレータ試料)を引張り強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM−III−100)のチャック間(チャック間距離=10cm)に固定し、引張り速度300mm/minで試料を引張り、試料を破断するために要する力をいう。
【0043】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、ニードル式耐貫通力が500gf以上であるのが好ましい。ニードル式耐貫通力が500gf未満であると、セパレータとして使用した場合に極板のバリなどによってセパレータを構成する繊維がより分けられて、極板群を形成する際に、ショートしやすい傾向がある。ニードル式耐貫通力は、600gf以上であるのがより好ましく、700gf以上であるのが更に好ましい。
このニードル式耐貫通力は次の測定手順によって得られる値をいう。
円筒状貫通孔(内径=11mm)を有する支持台の円筒状貫通孔を覆うように不織布試料を1枚載置し、更に不織布試料上に、円筒状貫通孔(内径=11mm)を有する固定材を、固定材の中心が前記支持台の円筒状貫通孔の中心と一致するように載置して不織布試料を固定した後、この不織布試料に対して、ハンディー圧縮試験機(カトーテック製、KES−G5)に取り付けられたニードル(先端部における曲率半径=0.5mm,直径=1mm,治具からの突出長さ=2cm)を、0.01cm/sの速度で垂直に突き刺し、ニードルが不織布試料を突き抜けるのに要する力を測定し、この力をニードル式耐貫通力とする。
【0044】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、単位面密度あたりの平均ニードル式耐貫通力が14gf以上であるのが好ましく、15gf以上であるのがより好ましく、16gf以上であるのが更に好ましく、18gf以上であるのが最も好ましい。貫通孔がなく、しかも繊維が均一に分散して地合いが優れていると、単位面密度あたりの平均ニードル式耐貫通力の値が高くなる。なお、平均ニードル式耐貫通力は、ニードル式耐貫通力の測定を不織布試料の30箇所について行って得た値を平均した値であり、単位面密度あたりの平均ニードル式耐貫通力は、平均ニードル式耐貫通力を面密度(g/m2)で除した値を意味する。
【0045】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布の面密度は5〜55g/m2であるのが好ましく、より好ましくは10〜40g/m2である。
【0046】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布を構成する繊維の表面には、電解液との親和性を付与又は向上するように、酸素及び/又は硫黄含有官能基(例えば、スルホン酸基、スルホン酸塩基、スルホフルオライド基、水酸基、カルボキシル基、又はカルボニル基など)が導入されていたり、親水性モノマーがグラフト重合されていたり、界面活性剤が付与されていたり、或いは親水性樹脂が付与されているのが好ましい。
【0047】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、例えば、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、又は空気電池などの一次電池、あるいはニッケル−カドミウム電池、銀−亜鉛電池、銀−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池又は鉛蓄電池などの二次電池のセパレータとして好適に使用することができ、特にニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池又は鉛蓄電池のセパレータとして好適である。
【0048】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、不織布の面密度(g/m2)を想定する。次いで、想定した面密度から、面密度あたりにおける繊維の見掛総表面積が20m2以上となるように繊維の配合を考える。一般的には極細繊維を多く含んでいると、前記条件を満足しやすい。なお、繊維としてフィブリル化していない繊維を使用すると、地合いが均一で、バランス良く電解液を保持することのできるセパレータを製造しやすい。また、耐電解液性に優れている実質的にポリオレフィン系繊維のみを選択するのが好ましい。好ましくは、前述のような高弾性繊維、極細繊維、及び融着繊維を選択する。
【0049】
次いで、前記選定した繊維から繊維ウエブを形成する。この繊維ウエブの形成方法は特に限定するものではないが、乾式法(例えば、カード法、エアレイ法、スパンボンド法、又はメルトブロー法など)や湿式法により形成することができる。これらの中でも繊維が均一に分散して電解液を均一に保持しやすい不織布を製造しやすい湿式法により形成するのが好ましい。この湿式法としては、従来公知の方法、例えば、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、又は長網・円網コンビネーション方式により形成できる。
【0050】
次いで、この繊維ウエブを構成する繊維同士を固定して、本発明の電池用セパレータに用いる不織布を得ることができる。この繊維同士の固定は融着のみによって実施するのが好ましい。このように融着のみによって固定すると、繊維の配置が乱れないため、地合いが優れ、短絡が生じにくく、しかも電解液が均一に分布することができ、内部抵抗をより低くすることのできるセパレータを製造しやすい。そのため、繊維ウエブを構成する繊維として、融着繊維を含んでいるのが好ましい。
【0051】
この繊維ウエブの融着方法は、無圧下で行なってもよいし、加圧下で行なってもよいし、或いは無圧下で融着成分を溶融させた後に加圧(直ちに加圧するのが好ましい)してもよい。なお、加熱温度は、いずれの場合も、融着繊維の融着成分の軟化温度から融点よりも30℃高い温度までの範囲内で行なうのが好ましく、加圧する場合の圧力は、得られる不織布の空隙率が45〜65%となり、少なくとも一方向における引張り強さが20N/5cm幅以上となるように、適宜調節するのが好ましい。
本明細書において「軟化温度」は、示差熱量計を用い、昇温速度10℃/分で室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の開始点を与える温度をいう。
【0052】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、厚さが薄いことによって電池の高容量化に対応できるものであるため、融着後の繊維ウエブの厚さが0.1mmを越える場合には、例えば、一対のロール間を通過させるなどの方法により、厚さが0.1mm以下となるように調節する。
なお、地合指数が0.15以下である不織布、最大孔径が40μm以下である不織布、及び/又は最大孔径が平均流量孔径の2倍以下である不織布は、フィブリル化していない繊維を使用したり、繊維横断面形状が円形の極細繊維を使用したり、繊維長が1〜20mm程度の短い繊維を使用したり、湿式法により繊維ウエブを形成したり、融着のみによって繊維同士を固定(絡合処理を施さない)するなどの手段を単独で又は組み合わせて使用することによって製造することができる。
【0053】
空隙率が45〜65%である不織布は、極細繊維の使用量を少なくしたり、使用する全繊維量を少なくしたり、厚さが厚くなるように融着する場合の圧力を調整するなどの手段を単独で又は組み合わせて使用することによって、製造することができる。
【0054】
少なくとも一方向における引張り強さが20N/5cm幅以上である不織布は、繊維を抄き上げるネットの移動速度とスラリー流量とを調節して繊維の配向が一方向に近い状態としたり、融着の程度を高くしたり、繊維長を長くするなどの手段を単独で又は組み合わせて使用することによって、製造することができる。
【0055】
ニードル式耐貫通力が500gf以上の不織布や、単位面密度あたりの平均ニードル式耐貫通力が14gf以上の不織布は、ヤング率の大きい高弾性繊維を使用したり、高弾性繊維量を多くしたり、高弾性繊維を均一に分散させたり、融着繊維によって強固に融着したり、融着繊維を溶融させた後に直ちに加圧して融着するなどの手段を単独で又は組み合わせて使用することによって、製造することができる。
【0056】
このようにして製造した不織布は、実質的に一層構造となり、面密度あたりにおける繊維の見掛総表面積が20m2以上で、かつ厚さが0.1mm以下となるため、これをセパレータとして使用すると、電解液をセパレータ全体に均一に保持することができ、内部抵抗が低く、高容量の電池を製造することができ、また、電解液の保持性(特に長期間における電解液保持性)が確保され、寿命の長い電池を製造することができる。
【0057】
本発明の電池用セパレータに用いる不織布は、耐電解液性に優れるように、実質的にポリオレフィン系繊維のみから構成されているのが好ましいため、電解液の保持性を向上させるために、親水化処理を実施するのが好ましい。この親水化処理としては、例えば、スルホン化処理、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、界面活性剤処理、放電処理、或いは親水性樹脂付与処理などがある。
【0058】
スルホン化処理としては、特に限定するものではないが、例えば、発煙硫酸、硫酸、三酸化イオウ、クロロ硫酸、又は塩化スルフリルからなる溶液中に前述のような不織布を浸漬してスルホン酸基を導入する方法や、一酸化硫黄ガス、二酸化硫黄ガス或いは三酸化硫黄ガスなどの存在下で放電を作用させて不織布にスルホン酸基を導入する方法等がある。
【0059】
フッ素ガス処理についても、特に限定するものではないが、例えば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガスなど)で希釈したフッ素ガスと、酸素ガス、二酸化炭素ガス、及び二酸化硫黄ガスなどの中から選んだ少なくとも1種類のガスとの混合ガスに、不織布をさらすことにより不織布の繊維表面を親水化することができる。なお、不織布に二酸化硫黄ガスをあらかじめ付着させた後に、フッ素ガスを接触させると、より効率的に恒久的な親水性を付与することができる。
【0060】
ビニルモノマーのグラフト重合としては、ビニルモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、或いはスチレンを使用することができる。なお、スチレンをグラフト重合した場合には、電解液との親和性を付与するために、スルホン化するのが好ましい。これらの中でも、アクリル酸は電解液との親和性に優れているため好適に使用できる。
これらビニルモノマーの重合方法としては、例えば、ビニルモノマーと重合開始剤を含む溶液中に不織布を浸漬して加熱する方法、不織布にビニルモノマーを塗布した後に放射線を照射する方法、不織布に放射線を照射した後にビニルモノマーと接触させる方法、増感剤を含むビニルモノマー溶液を不織布に含浸した後に紫外線を照射する方法などがある。なお、ビニルモノマー溶液と不織布とを接触させる前に、紫外線照射、コロナ放電、又はプラズマ放電などにより、不織布表面を改質処理すると、ビニルモノマー溶液との親和性が高くなるため、効率的にグラフト重合を行うことができる。
【0061】
界面活性剤処理としては、例えば、アニオン系界面活性剤(例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸塩、もしくはスルホコハク酸エステル塩など)、又はノニオン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、もしくはポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルなど)の溶液中に不織布を浸漬したり、この溶液を不織布に塗布又は散布して付着させることができる。
【0062】
放電処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、沿面放電処理又は電子線処理などがある。これら放電処理の中でも、空気中の大気圧下で、それぞれが誘電体を担持する一対の電極間に、これら両方の誘電体と接触するように不織布を配置し、これら両電極間に交流電圧を印加し、不織布内部空隙で放電を発生させる方法を利用すると、不織布の外側だけではなく、不織布の内部を構成する繊維表面も処理することができる。したがって、こうした方法で処理した不織布をセパレータとして用いると、その内部における電解液の保持性に優れている。
【0063】
親水性樹脂付与処理としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、架橋可能なポリビニルアルコール、又はポリアクリル酸などの親水性樹脂を付着させることができる。これらの親水性樹脂は適当な溶媒に溶解又は分散させた後、この溶媒中に不織布を浸漬したり、この溶媒を不織布に塗布又は散布し、乾燥して付着させることができる。なお、親水性樹脂の付着量は、通気性を損なわないように、セパレータ全体の0.3〜5mass%であるのが好ましい。
この架橋可能なポリビニルアルコールとしては、例えば、水酸基の一部を感光性基で置換したポリビニルアルコールがあり、より具体的には、スチリルピリジニウム系感光性基、スチリルキノリニウム系感光性基、又はスチリルベンゾチアゾリウム系感光性基で置換したポリビニルアルコールがある。この架橋可能なポリビニルアルコールも他の親水性樹脂と同様にして不織布に付着させた後、光照射によって架橋させることができる。このような水酸基の一部を感光性基で置換したポリビニルアルコールは耐アルカリ性に優れ、しかもイオンとキレートを形成可能な水酸基を多く含んでおり、放電時及び/又は充電時に、極板上に樹枝状の金属が析出する前のイオンとキレートを形成し、電極間の短絡を生じにくいので好適に使用することができる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
海島型複合繊維として、ポリ−L−乳酸(以下、「PLLA」と表記する)からなる海成分中に、ポリプロピレンからなる島成分が25個存在し、複合紡糸法により製造した繊維(繊度=1.65dtex,繊維長=2mm)を用意した。
次いで、この海島型複合繊維を、10mass%水酸化ナトリウム水溶液からなる浴(温度=80℃)中に30分間浸漬し、海島型複合繊維の海成分であるPLLAを抽出除去して、ポリプロピレン極細繊維(繊維径=2μm,ρ/d=0.083,融点=172℃,繊維長=2mm,密度=0.91g/cm3,横断面形状=円形)を得た。このポリプロピレン極細繊維は、フィブリル化しておらず、延伸されており、しかも各繊維が繊維軸方向において実質的に同じ直径を有していた。
【0065】
また、融着繊維として、芯成分(非融着成分)がポリプロピレン(融点=168℃,密度=0.91g/cm3)からなり、鞘成分(融着成分)が高密度ポリエチレン(融点=135℃,密度=0.96g/cm3)からなる芯鞘型複合繊維(繊度=0.8dtex,繊維長=5mm,芯成分と鞘成分との質量比率は1:1,フィブリル化していない,延伸されている)を用意した。
更に、高弾性繊維として、高結晶性ポリプロピレンからなる繊維(ヤング率=90cN/dtex,繊度=1.3dtex,繊維径=13.5μm,繊維長=10mm,密度=0.91g/cm3,フィブリル化していない,延伸されている)を用意した。
次いで、前記ポリプロピレン極細繊維20mass%と、芯鞘型複合繊維50mass%と、ポリプロピレン高弾性繊維30mass%とを混合し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成した。
次いで、この繊維ウエブを温度135℃に設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、繊維ウエブの乾燥及び前記芯鞘型複合繊維の鞘成分(高密度ポリエチレン)による熱融着を実施して、融着不織布を形成した。
次いで、この融着不織布を温度60℃の発煙硫酸溶液(15%SO3溶液)中に2分間浸漬した後、十分に水洗し、乾燥して、繊維表面にスルホン酸基を導入したスルホン化不織布を得た。
次いで、このスルホン化不織布にカレンダー処理を実施して、一層構造のセパレータ(面密度=40g/m2,厚さ=0.10mm,見掛総表面積=29.8m2,繊維が実質的に二次元的に配置,極細繊維束は存在しない)を製造した。
【0066】
【実施例2】
海島型複合繊維として、PLLAからなる海成分中に、ポリプロピレンと高密度ポリエチレンとが混合された状態にある島成分が25個存在し、複合紡糸法により得た繊維(繊度=1.65dtex,繊維長=2mm)を用意した。
次いで、この海島型複合繊維を、10mass%水酸化ナトリウム水溶液からなる浴(温度=80℃)中に30分間浸漬し、海島型複合繊維の海成分であるPLLAを抽出除去して、ポリプロピレン−高密度ポリエチレン混在極細繊維(高密度ポリエチレンの融点=135℃,繊維径=2μm,ρ/d=0.09,繊維長2mm,ポリプロピレンの密度=0.91g/cm3,高密度ポリエチレンの密度=0.96g/cm3,ポリプロピレンと高密度ポリエチレンの混在比率は1:1,フィブリル化していない,延伸されている,繊維横断面形状=円形,繊維軸方向において実質的に同じ直径を有する)を得た。
また、実施例1と同様の融着繊維(芯鞘型複合繊維)及び高弾性繊維を用意した。
【0067】
次いで、前記ポリプロピレン−高密度ポリエチレン混在極細繊維20mass%と、芯鞘型複合繊維50mass%と、ポリプロピレン高弾性繊維30mass%とを混合し、実施例1と全く同様の操作を繰り返して、ポリプロピレン−高密度ポリエチレン混在極細繊維の高密度ポリエチレン成分と、前記融着繊維の融着成分が融着しており、繊維表面にスルホン酸基が導入された、一層構造のセパレータ(面密度=40g/m2,厚さ=0.10mm,見掛総表面積=29.2m2,繊維が実質的に二次元的に配置,極細繊維束は存在しない)を製造した。
【0068】
【実施例3】
融着繊維として、芯成分(非融着成分)がポリプロピレン(融点=161℃,密度=0.91g/cm3)からなり、鞘成分(融着成分)がエチレン−ブテン−プロピレン共重合体(融点=137℃,密度=0.92g/cm3)からなる芯鞘型複合繊維(繊度=0.8dtex,繊維長=5mm,芯成分と鞘成分との質量比率は1:1,フィブリル化していない,延伸されている)を使用したこと、及び熱融着を、温度140℃に設定された熱風循環式ドライヤーにより、90秒間熱を作用させたこと以外は、実施例1と全く同様にして、一層構造のセパレータ(面密度=40g/m2,厚さ=0.10mm,見掛総表面積=29.9m2,繊維が実質的に二次元的に配置,極細繊維束は存在しない)を製造した。
【0069】
【比較例1】
実施例1と同様の融着繊維(芯鞘型複合繊維)及び高弾性繊維を用意した。
次いで、前記芯鞘型複合繊維65mass%と、ポリプロピレン高弾性繊維35mass%とを混合し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成した。
次いで、この繊維ウエブを温度135℃に設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、繊維ウエブの乾燥及び前記芯鞘型複合繊維の鞘成分(高密度ポリエチレン)による熱融着を実施して、融着不織布(面密度=32g/m2)を形成した。
【0070】
他方、平均繊維径が2μmで、面密度が4g/m2のポリプロピレン製メルトブロー不織布を2枚用意した。
次いで、前記融着不織布上に前記メルトブロー不織布を1枚積層した後、温度135℃に設定された熱ロール間を通過させることにより、融着不織布を構成する芯鞘型複合繊維の鞘成分(高密度ポリエチレン)による熱圧着を実施して、片面融着一体化不織布を形成した。
次いで、前記片面融着一体化不織布の融着一体化していない面に、1枚の前記メルトブロー不織布を積層した後、温度135℃に設定された熱ロール間を通過させることにより、融着不織布を構成する芯鞘型複合繊維の鞘成分(高密度ポリエチレン)による熱圧着を実施して、両面融着一体化不織布を形成した。
次いで、この両面融着一体化不織布を実施例1と同様に、繊維表面にスルホン酸基を導入し、カレンダー処理を実施して、三層構造のセパレータ(面密度=40g/m2,厚さ=0.10mm,見掛総表面積=29.8m2)を製造した。
【0071】
【比較例2】
実施例1と同様の融着繊維(芯鞘型複合繊維)及び高弾性繊維を用意した。
次いで、前記芯鞘型複合繊維70mass%と、ポリプロピレン高弾性繊維30mass%とを混合し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを形成した。
次いで、この繊維ウエブを温度135℃に設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、繊維ウエブの乾燥及び前記芯鞘型複合繊維の鞘成分(高密度ポリエチレン)による熱融着を実施して、融着不織布を形成した。
次いで、この融着不織布を実施例1と同様に、繊維表面にスルホン酸基を導入し、カレンダー処理を実施して、一層構造のセパレータ(面密度=40g/m2,厚さ=0.10mm,見掛総表面積=15.5m2)を製造した。
【0072】
物性評価
(A)地合指数の測定
各セパレータの地合指数を次の手順によって測定した。
(1)光源から被測定物(セパレータ試料)に対して光を照射し、照射された光のうち、被測定物の所定領域において反射された反射光を受光素子によって受光して輝度情報を取得した。
(2)被測定物の所定領域を画像サイズ3mm角、6mm角、12mm角、24mm角に等分割して、4つの分割パターンを取得した。
(3)得られた各分割パターン毎に等分割された各区画の輝度値を輝度情報に基づいて算出した。
(4)各区画の輝度値に基づいて、各分割パターン毎の輝度平均(X)を算出した。
(5)各分割パターン毎の標準偏差(σ)を求めた。
(6)各分割パターン毎の変動係数(CV)を次の式により算出した。
変動係数(CV)=(σ/X)×100
ここで、σは各分割パターン毎の標準偏差を示し、Xは各分割パターン毎の輝度平均を示す。
(7)各画像サイズの対数をX座標、当該画像サイズに対応する変動係数をY座標とした結果得られる座標群を、最小二乗法により一次直線に回帰させ、その傾きを算出し、この傾きの絶対値を地合指数とした。なお、地合指数は数字が小さいほど、繊維が均一に分散していることを意味する。
この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、本発明のセパレータの地合指数は0.09以下と小さく、地合が非常に優れるものであったため、短絡が生じにくく、電解液を均一に保持できるものであることが予測された。
【0073】
(B)最大孔径の測定
各々のセパレータの最大孔径を、ポロメータ(コールター社製)を用いてバブルポイント法により測定した。この値は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、最大孔径が21μm以下と極めて小さく、地合いが均一であり、また、脱落した電池活物質粉の他極への移動を抑制できるものであることが予測された。
【0074】
(C)比(最大孔径/平均流量孔径)の測定
各々のセパレータの平均流量孔径を、ポロメータ(Polometer、コールター(Coulter)社製)を用いてミーンフローポイント法により測定した。
次いで、前項(B)で得られた最大孔径を平均流量孔径で除して、比(最大孔径/平均流量孔径)を算出した。この結果は表1に示す通りであった。表1から明らかなように、本発明のセパレータはこの比が1.8以下と小さく、電解液を均一に分散できるものであるため、内部抵抗の低い電池を製造することができることが予測された。
【0075】
(D)空隙率の測定
まず、各々のセパレータの面密度(W)及び厚さ(T)を測定した。
次いで、セパレータ構成繊維の密度(d)を各構成繊維の密度及び質量比率から算出した。
次いで、次の式から「空隙率(P)」を算出した。
空隙率(P)={1−W/(T×d)}×100
この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、本発明のセパレータは内部抵抗及び内圧が低く、保液率が高いものであることが予測された。
【0076】
(E)長手方向における引張り強さの測定
幅5cmに裁断した各セパレータを、引張り強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM−III−100)のチャック間(チャック間距離=10cm)に固定し、引張り速度300mm/minで各セパレータを長手方向に引張り、各セパレータを破断するために要する力を測定し、この力を長手方向における引張り強さとした。この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかであるように、本発明のセパレータは極板群形成時に破断することがないため、歩留まり良く電池を製造することができることが予測された。なお、長手方向における引張り強さが20N/5cm幅以上あれば、極板群形成時に破断しにくい。
【0077】
(F)ニードル式耐貫通力
円筒状貫通孔(内径=11mm)を有する支持台の円筒状貫通孔を覆うように各セパレータを1枚載置し、更に各セパレータ上に、円筒状貫通孔(内径=11mm)を有する固定材を、固定材の中心が前記支持台の円筒状貫通孔の中心と一致するように載置して各セパレータを固定した後、このセパレータに対して、ハンディー圧縮試験機(カトーテック製、KES−G5)に取り付けられたニードル(先端部における曲率半径=0.5mm、直径=1mm、治具からの突出長さ=2cm)を、0.01cm/sの速度で垂直に突き刺し、ニードルが突き抜けるのに要する力を測定し、この力をニードル式耐貫通力とした。この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、本発明のセパレータは極板形成時に、極板のバリなどによってセパレータを構成する繊維がより分けられてショートしにくいものであることが予測できた。
前記のニードル式耐貫通力を、各セパレータの30箇所について行って得た値を平均した値を「平均ニードル式耐貫通力」とし、こうして得られた「平均ニードル式耐貫通力」を面密度(g/m2)で除した値を「単位面密度あたりの平均ニードル式耐貫通力」とし、この測定結果も表1に示す。この値が高いということは、貫通孔がなく、繊維が均一に分散した地合いが優れていることを意味している。
【0078】
(G)電気抵抗の測定
各々のセパレータを35mm角に切断して試験片を作成した。
次いで、比重1.3(20℃)の水酸化カリウム水溶液を各試験片に、各試験片の質量と同じ質量分だけ吸収させた後、35mm角のニッケル板で挟み、5kgf荷重時における電気抵抗を測定した。この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、本発明のセパレータは電気抵抗が低く、電池の高容量化に対応できるものであることがわかった。
【0079】
(H)加圧保液率の測定
直径30mmに裁断した各セパレータをそれぞれ、温度20℃、相対湿度65%の状態下で、水分平衡に至らせた後、質量(M0)を測定した。
次に、セパレータ中の空気を水酸化カリウム水溶液で置換するように、比重1.3(20℃)の水酸化カリウム水溶液中に1時間浸漬し、水酸化カリウム水溶液を保持させた。
次に、このセパレータを上下3枚ずつのろ紙(直径=30mm)で挟み、加圧ポンプにより、5.7MPaの圧力を30秒間作用させた後、セパレータの質量(M1)を測定した。
次いで、次の式により加圧保液率を求めた。
加圧保液率(%)={(M1−M0)/M0}×100
なお、この測定は1つのセパレータに対して4回行ない、その平均を加圧保液率とした。この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、本発明のセパレータは電解液の保持性にも優れているため、寿命の長い電池を製造できるものであることが推測された。
【0080】
【表1】
Figure 0003678680
(注1):比=(最大孔径)/(平均流量孔径)
(注2):カッコ内は単位面密度あたりの平均ニードル式耐貫通力
【0081】
【発明の効果】
本発明のアルカリ電池用セパレータは、実質的に一層構造からなるため、電解液をセパレータ全体に均一に保持することができ、内部抵抗が低くて、高容量の電池を製造できるものである。また、厚さが0.1mm以下という薄さであるにもかかわらず、面密度あたりにおける繊維の見掛総表面積を20m2以上とすることにより、電解液の保持性(特に長期間における)を確保した、寿命の長い電池を製造できるものである。

Claims (16)

  1. 実質的に一層構造の不織布から実質的になる電池用セパレータであって、前記不織布の面密度あたりにおける繊維の見掛総表面積が20m2以上であり、前記不織布の厚さが0.1mm以下であり、前記不織布の地合指数が0.15以下であり、しかも前記不織布が繊維径4μm以下の極細繊維を含んでいることを特徴とする、前記の電池用セパレータ。
  2. 前記不織布がフィブリル化していない繊維のみから実質的に構成されている、請求項1記載の電池用セパレータ。
  3. 前記極細繊維が、海島型複合繊維の海成分を除去して残留した島成分からなる極細繊維である、請求項1又は2に記載の電池用セパレータ。
  4. 前記不織布が、ヤング率が50cN/dtex以上の高弾性繊維を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  5. 前記不織布が、融着繊維を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  6. 前記不織布が、極細繊維と高弾性繊維と融着繊維とを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  7. 極細繊維と高弾性繊維と融着繊維との質量に基づく配合割合(極細繊維:高弾性繊維:融着繊維)が、10〜40:15〜40:20〜75である、請求項6記載の電池用セパレータ。
  8. 前記高弾性繊維の平均繊維径が極細繊維の平均繊維径の5倍以上である、請求項4、6、又は7に記載の電池用セパレータ。
  9. 前記高弾性繊維の平均繊維長が極細繊維の平均繊維長の2.5倍以上である、請求項4、6、7又は8に記載の電池用セパレータ。
  10. 前記不織布がポリオレフィン系繊維のみから実質的になる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  11. 前記不織布を構成する繊維同士が、実質的に繊維の融着のみによって固定されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  12. 前記不織布の孔の最大孔径が40μm以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  13. 前記不織布の空隙率が45〜65%である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  14. 前記不織布の少なくとも一方向における引張り強さが20N/5cm幅以上である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  15. 不織布にスルホン化処理、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト処理、及び放電処理からなる群から選ばれる親水化処理が施されている請求項1〜14のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  16. 不織布を構成する繊維表面がいずれもプロピレン系樹脂からなる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
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