JP2003134724A - 車両用薄型ブラシレスモータの集中配電部材、及びそれに用いるバスバーの製造方法 - Google Patents

車両用薄型ブラシレスモータの集中配電部材、及びそれに用いるバスバーの製造方法

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Izumi Suzuki
泉 鈴木
Tatsuro Horie
達郎 堀江
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健児 福田
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Sumitomo Wiring Systems Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属材料のロスが少なく、低コストで製造可能
な車両用薄型ブラシレスモータの集中配電部材を提供す
る。 【解決手段】各バスバー22a,22b,22cは、そ
の本体に各タブ41a,41b,41c及び各端子部5
0w,50u,50vが一体形成された状態で、共通の
導電性金属板材91より帯状に打ち抜き形成される。打
ち抜き形成された各バスバー22a,22b,22c
は、その厚さ方向に湾曲させて略円環状に賦形された後
に、互いに所定の間隔を隔てた状態で集中配電部材の径
方向に積層配置される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用薄型ブラシ
レスモータのステータ巻線に対して集中配電を行うため
に用いられる集中配電部材、及びそれに用いるバスバー
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、車両の低燃費化に対するニーズが
大きく、その1つの例として超高燃費ハイブリッドカー
の開発が進められている。特に最近では、エンジンを主
動力とし加速時等にエンジンをDCブラシレスモータで
アシストする補助動力機構(モータアシスト機構)を備
えたハイブリッドカーが提案されている。
【0003】ところで、モータアシスト機構を構成する
ブラシレスモータは、エンジンルーム内の限られたスペ
ース、具体的にはエンジンとトランスミッションとの間
の狭いスペースに配置されるため、設置上大きな制約を
受ける。従って、この種のブラシレスモータには薄型で
あることが要求されている。
【0004】モータアシスト機構に用いられる車両用薄
型ブラシレスモータは、エンジンのクランクシャフトに
直結されたロータと、そのロータを包囲するリング状の
ステータとを備えている。また、ステータは、コアに巻
線を施すことにより形成された多数の磁極、磁極を収容
するステータホルダ、巻線に集中的に配電を行うための
集中配電部材等によって構成されている。
【0005】3相DCブラシレスモータに用いられる集
中配電部材は、図34(a)に示すような3つのリング
状バスバー101,102,103を備えている。各リ
ング状バスバー101,102,103は、リング状本
体104と、リング状本体104の外周側から突出する
端子部105と、リング状本体104の内周側から突出
するタブ106とを備えている。端子部105は電線を
介してバッテリに電気的に接続され、タブ106は各巻
線の一端に電気的に接続される。従って、3つのリング
状バスバー101,102,103に通電をすると、U
相,V相,W相に対応する巻線にそれぞれ集中的に電流
が配給される結果、モータが回転駆動するようになって
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の集中
配電部材を作製する際、図34(b)に示すように、別
々の金型を用いたプレス成形により導電性金属板材10
7を個々に打ち抜いて、3相分のリング状バスバー10
1,102,103を形成する必要があった。
【0007】しかしながら、リング状バスバー101,
102,103を得るためには、少なくともバスバー1
01,102,103の外径寸法よりも大きな導電性金
属板材107が必要になる。その反面で、リング状に打
ち抜かれた部分以外の殆どの部分については結局利用さ
れることがない。以上のことから、従来では導電性金属
板材107のロスが極めて多く不経済であった。また、
このことが集中配電部材の製造コストを上げる1つの原
因となっていた。
【0008】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、金属材料のロスが少なく、低コス
トで製造可能な車両用薄型ブラシレスモータの集中配電
部材を提供することにある。また、本発明の別の目的
は、上記の優れた集中配電部材の構成部品として好適な
バスバーを製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明では、バッテリに接続され
る端子部及びステータの巻線に接続されるタブを有する
とともにモータの各相に対応して設けられた複数本のバ
スバーと、それらバスバーを被覆する樹脂絶縁層とを備
え、前記巻線に対して集中的に電流を配給可能なリング
状の集中配電部材であって、前記各バスバーは、導電性
金属板材を帯状に打ち抜いたものをその厚さ方向に湾曲
させて略円環状にするとともに、その径を各相ごとに異
なるように設定したものであって、これらバスバーは、
互いに所定の間隔を隔てた状態で集中配電部材径方向に
積層配置されていることを特徴とする車両用薄型ブラシ
レスモータの集中配電部材をその要旨とする。
【0010】従って、請求項1に記載の発明によると、
各バスバーは帯状に打ち抜いたものでよいので、それほ
ど大きな導電性金属板材を使用する必要がなくなり、し
かもバスバーを採取するときの材料の無駄が少ない。ま
た、帯状であれば各バスバー同士を密に配置した状態で
採取することができるため、材料の無駄が少なくなる。
よって、バスバーの材料費の低減が図られる。このた
め、低コストで製造可能な集中配電部材となる。
【0011】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の集中配電部材に用いるバスバーの製造方法におい
て、金型を用いたプレス成形を行うことにより、前記各
相に対応するバスバーを共通の導電性金属板材から同時
に打ち抜き形成することを特徴とする、集中配電部材に
用いるバスバーの製造方法をその要旨とする。
【0012】従って、請求項2に記載の発明によると、
材料のロスが従来の方法に比べて極めて少なくなるため
バスバーの材料費の低減が図られることに加え、金型費
の低減が図られる。ゆえに、低コストで集中配電部材を
製造することができる。
【0013】また、前記端子部及び前記タブは、前記プ
レス成形によって直線状のバスバー本体を打ち抜き形成
する際に、前記バスバー本体と連結された状態で一体形
成されることが好ましい。この場合、溶接等の工程が不
要になるため、あらかじめ作製しておいた端子部やタブ
を後付けするよりも低コスト化になる。従って、このバ
スバーを用いることにより、低コストで集中配電部材を
製造することができる。
【0014】前記各バスバーは、前記バスバー本体が並
列に配置された状態、かつ、前記バスバー本体の両端部
の位置がほぼ揃った状態となるように、打ち抜き形成さ
れることが好ましい。このようにすると、打ち抜き形成
するときに材料のロスが少なくなり、よりいっそう低コ
スト化を達成することができる。
【0015】さらに、並列配置された前記各バスバーの
うち最も外側に位置するものの備える前記端子部及び前
記タブは、バスバー列の中心方向を向くようにして、打
ち抜き形成されることが好ましい。この場合、各バスバ
ーのうち最も外側に位置するものの備える端子部及びタ
ブが、バスバー列の外側方向を向くようにした場合に比
べて、幅の小さい導電性金属材料を用いることが可能と
なる。よって、材料のロスがよりいっそう少なくなり、
さらなる低コスト化が達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】図1に示すように、ハイブリッド
自動車に使用される3相の薄型DCブラシレスモータ1
1は、エンジン12とトランスミッション13との間に
配設されている。薄型DCブラシレスモータ11は、エ
ンジン12のクランクシャフトに直結されたロータ14
と、そのロータ14を包囲するリング状のステータ15
とを備えている。ステータ15は、コアに巻線16を施
すことにより形成された多数の磁極、磁極を収容するス
テータホルダ、巻線16に配電を行うための円環状の集
中配電部材17等によって構成されている。図2はステ
ータ15の模式図を示す。同図に示すように、各相の巻
線16は、その一端が集中配電部材17に設けられたバ
スバー22a,22b,22cに接続され、他端が図示
しないリング状の導電部材に接続されている。
【0017】図3〜図6に示すように、集中配電部材1
7は、その内部に自然色の合成樹脂からなる連続円環状
の絶縁ホルダ21が埋設されている。絶縁ホルダ21の
形成材料としては、例えばPBT(ポリブチレンテレフ
タレート:polybutyrene terephthalate)や、PPS
(ポリフェニレンサルファイド:polyphenylene sulfid
e)等を用いることが可能である。
【0018】本実施形態では、絶縁ホルダ21の形成材
料にガラス繊維が約40%添加されたPPSが採用され
ている。この材料を絶縁ホルダ21に採用した理由とし
ては、電気的特性(絶縁耐圧)に優れているからであ
る。特に、本実施形態の薄型DCブラシレスモータ11
では、各相のバスバー22a,22b,22cに印加さ
れる電圧は高圧であるため、バスバー22a,22b,
22cの絶縁耐圧を確保することが重要であると言え
る。この場合の絶縁耐圧としては、少なくとも2000
V以上が求められる。その上、PPSは、例えばPP
(ポリプロピレン)等の汎用樹脂に比べて耐熱性が極め
て高いばかりか、機械的強度にも優れている。
【0019】図8〜図11に示すように、絶縁ホルダ2
1の一側面には、その周方向に沿って延びる3つの保持
溝23a,23b,23cが凹設されている。各保持溝
23a,23b,23cは、それぞれ平行な間隔をおい
て、絶縁ホルダ21の径方向に並設されている。各保持
溝23a,23b,23cには、それぞれ各相に対応す
るバスバー22a,22b,22cが個別に挿入されて
いる。そして、それぞれのバスバー22a,22b,2
2cは互いに所定の間隔を隔てた状態で集中配電部材径
方向に積層配置される。従って、保持溝23a,23
b,23cには、挿入される各バスバー22a,22
b,22cを正確な位置に相対保持する役割がある。そ
して、前記絶縁ホルダ21及び各バスバー22a,22
b,22cは、全体的に絶縁樹脂層25によって被覆さ
れている。この被覆により、バスバー22a,22b,
22cの絶縁が図られている。
【0020】絶縁樹脂層25は、前記絶縁ホルダ21と
同じ、ガラス繊維が添加されたPPS製である。この材
料を絶縁樹脂層25に採用した理由としては、絶縁ホル
ダ21と同じ理由であって、電気的特性(絶縁耐圧)、
耐熱性、機械的強度が優れているからである。但し、絶
縁樹脂層25の材料も自然色のナチュラル樹脂が使用さ
れている。
【0021】本実施形態において、内側に位置するバス
バー22aはW相、中間に位置するバスバー22bはU
相、外側に位置するバスバー22cはV相に対応してい
る。以下、説明を分かりやすくするために、W相のバス
バー22aを「内側バスバー22a」、U相のバスバー
22bを「中間バスバー22b」、V相のバスバー22
cを「外側バスバー22c」と表現して区別する。
【0022】各バスバー22a,22b,22cについ
て説明する。前記バスバー22a,22b,22cは、
銅板或いは銅合金等からなる導電性金属板材を、プレス
装置で帯状に打ち抜いた帯状成形素材をあらかじめ厚さ
方向に湾曲させ、円弧の一部がない不完全円環状(略C
字状)に賦形したものである。その上、各バスバー22
a,22b,22cは、その径が外側にあるものほど大
きくなるように設定されている。そして、賦形した各バ
スバー22a,22b,22cを、各保持溝23a,2
3b,23cに挿入していることから、絶縁ホルダ21
に対するバスバー22a,22b,22cの組み付けが
容易なものとなっている。
【0023】図8〜図11に示すように、各バスバー2
2a,22b,22cの一側縁には、前記巻線16の一
端が接続される複数のタブ41a,41b,41cが突
設されている。各タブ41a,41b,41cは、バス
バー22a,22b,22cを成形するときの素材であ
る導電性金属板材をプレス装置で打ち抜くとき、それと
同時に打ち抜かれるものである。従って、バスバー22
a〜22cとタブ41a〜41cとは、1回のプレス工
程を経ることにより連結された状態で一体形成される。
これは、バスバー22a,22b,22cとタブ41
a,41b,41cとを溶接等により後付けする場合と
比較して製造工程を簡略することが可能だからである。
【0024】それぞれのタブ41a,41b,41c
は、各バスバー22a,22b,22cにつき、6つず
つ設けられている。各相それぞれのタブ41a,41
b,41cは、各バスバー22a,22b,22cの円
周方向に沿って等間隔に、すなわち中心角が60゜で配
置されている。そして、各バスバー22a〜22cの切
り離し部42が互いに周方向に20゜ずらして配置され
ることにより、合計18個のタブ41a〜41cは、集
中配電部材17の中央部を中心とする円周上に等間隔
で、すなわち中心角が20゜で配置されている。ちなみ
に、図11に示すように、本実施形態では外側バスバー
22cの切り離し部42を基準とした場合、中間バスバ
ー22bは時計周りの円周方向へ+20゜ずれて配置さ
れている。これに対して、内側バスバー22aは、反時
計周り方向へ−20゜ずれて配置されている。
【0025】各バスバー22a,22b,22cのタブ
41a,41b,41cは、先端が集中配電部材17の
中心を向くように断面略L字状にそれぞれ折曲されてい
る。そして、各タブ41a,41b,41cの先端部
は、集中配電部材17の内周面から外方に突出してい
る。この突出した部分に、前記巻線16が接続されるよ
うになっている。各タブ41a,41b,41cはそれ
ぞれの長さが異なっており、それらの先端は、集中配電
部材17の中央部を中心とする同一円周上に位置してい
る。このことから、外側に位置するバスバー22a,2
2b,22cのタブ41a,41b,41cほど、集中
配電部材17の径方向における長さが長くなっている。
【0026】図15(a),(b)に示すように、中間
バスバー22bのタブ41bにおいて絶縁樹脂層25に
より被覆されている箇所には、保持溝23a,23b,
23cを構成する壁部43a,43b,43c,43d
の高さ方向に膨らむ湾曲部44が形成されている。この
湾曲部44は、絶縁樹脂層25内において内側バスバー
22a(他のバスバー)の上縁部を迂回している。この
湾曲部44を設けたのは、沿面距離を確保するためであ
る。
【0027】図16(a),(b)に示すように、外側
バスバー22cのタブ41cにおいて絶縁樹脂層25に
より被覆されている箇所には、壁部43a〜43dの高
さ方向に膨らむ湾曲部45が形成されている。この湾曲
部45は、絶縁樹脂層25内において内側バスバー22
aのみならず中間バスバー22b(いずれも他のバスバ
ー)の上縁部を迂回している。この湾曲部45を設けた
のは、上述した湾曲部44と同様に沿面距離を確保する
ためである。なお、ここでの湾曲部45は、2つのバス
バー22a,22bの上端部を迂回させているため、前
記中間バスバー22bにあるタブ41bの湾曲部44よ
りも長くなっている。
【0028】図14(a),(b)に示すように、内側
バスバー22aにあるタブ41aの基端部は、上述した
ような湾曲部44,45が存在せず、単に90゜に折曲
された形状である。これは、タブ41aが折曲されてい
る側には、他のバスバーが存在していないため、沿面距
離を確保する必要がないからである。
【0029】図14(a),(b)に示すように、内側
バスバー22aのタブ形成部位と、その内側バスバー2
2aに隣接する中間バスバー22bのタブ非形成部位と
を隔てている壁部43bの端部には、内側小突片47が
一体的に形成されている。内側小突片47を設けたの
は、内側バスバー22aとそれに隣接する中間バスバー
22bとの間の沿面距離を確保するためである。内側小
突片47は、合成樹脂製であって合計で6つ設けられて
おり、それらは絶縁ホルダ21の円周方向に沿って等間
隔に配置されている。そして、各内側小突片47は、内
側バスバー22aに設けられたそれぞれのタブ41aに
1つずつ対応している。また、内側小突片47を有する
壁部43bの高さは、内側バスバー22a及び中間バス
バー22bのタブ非形成部位同士を隔てている壁部43
bの高さよりも高くなっている。
【0030】図15(a),(b)に示すように、中間
バスバー22bのタブ形成部位と、その中間バスバー2
2bに隣接する外側バスバー22cのタブ非形成部位と
を隔てている壁部43cの端部には、外側小突片48が
一体的に形成されている。外側小突片48を設けたの
は、中間バスバー22bとそれに隣接する外側バスバー
22cとの間の沿面距離を確保するためである。外側小
突片48は、合成樹脂製であって合計で6つ設けられて
おり、それらは絶縁ホルダ21の円周方向に沿って等間
隔に配置されている。そして、各外側小突片48は、中
間バスバー22bに設けられたそれぞれのタブ41bに
1つずつ対応している。また、外側小突片48を有する
壁部43cの高さは、中間バスバー22b及び外側バス
バー22cのタブ非形成部位同士を隔てている壁部43
cの高さよりも高くなっている。
【0031】図3〜図7に示すように、各バスバー22
a,22b,22cの一側縁には、それぞれ端子部50
w,50u,50vが1つずつ一体的に形成され、それ
らは絶縁樹脂層25の外周面一部から突出されている。
各端子部50u,50v,50wは、図1に示す電源ケ
ーブル51を介して、薄型DCブラシレスモータ11の
バッテリ(図示しない)に接続されている。各端子部5
0u,50v,50wは、バスバー22a,22b,2
2cを成形するときの素材である導電性金属板材をプレ
ス装置で打ち抜くとき、それと同時に打ち抜かれるもの
である。従って、バスバー22a〜22cと端子部50
u,50v,50wとは、1回のプレス工程を経ること
により連結された状態で一体形成される。これは、バス
バー22a,22b,22cと端子部50u,50v,
50wとを溶接等により後付けする場合と比較して製造
工程を簡略することが可能である。
【0032】図6,図7に示すように、端子部50u,
50v,50wの先端部には、前記電源ケーブル51の
図示しない取付ボルトが挿通されるボルト挿通孔52が
透設されている。絶縁樹脂層25の外周面には、各端子
部50u,50v,50wの基端部から中央部にかけて
その周囲を包囲する樹脂収容部53が一体的に形成さ
れ、その内部には絶縁性を有する熱硬化性樹脂からなる
封止材54が充填されている。そして、端子部50u,
50v,50wにおいて、ボルト挿通孔52よりも基端
側でかつ絶縁樹脂層25から露出している箇所は、封止
材54により埋設されている。この封止材54により各
端子部50u,50v,50wの一部を封止することに
より、防水性、気密性が高められる。本実施形態におい
ては、封止材54としてシリコーン系の熱硬化性樹脂を
使用している。熱硬化性樹脂はシリコーン系以外に任意
に変更することが可能である。
【0033】図28は、バスバー22a,22b,22
cを展開した図である。同図に示すように、端子部50
u,50v,50wは、各バスバー22a,22b,2
2cの長手方向のほぼ中央部分に配置されている。そし
て、それぞれの端子部50u,50v,50wの両側に
あるタブ41a,41b,41cの数は同じになってい
る。具体的に言えば、各端子部50u,50v,50w
の一方側には3つのタブ41a,41b,41cが設け
られ、他方側にも3つのタブ41a,41b,41cが
設けられている。このように、端子部50u,50v,
50wを挟んだ両側にそれぞれ同数のタブ41a,41
b,41cを設けたのは、タブ41a,41b,41c
に等しい電流を流すためである。
【0034】図6,図8に示すように、各端子部50u
〜50wは、その基端部に前記封止材54によって被覆
された埋設部55と、前記ボルト挿通孔52を有し封止
材54によって被覆されていない露出部56とに区分さ
れる。埋設部55は、プレス成形され、その中央部は斜
状に折曲されている。このように斜状部分55aを形成
したのは、埋設部55の中央部分を直角に折曲するより
も使用する材料を少なくすることができ、バスバー22
a,22b,22cの軽量化に貢献するからである。
【0035】各端子部50u,50v,50wにおける
埋設部55の両端部には、スリット57a,57bが透
設されている。両スリット57a,57bは、端子部5
0u,50v,50wの長手方向に沿って延びている。
そして、2つのスリット57a,57bによって埋設部
55の一部が肉抜きされることとなり、その部分におけ
る埋設部55の幅が、肉抜きされていない部分の幅より
も短くなっている。このような構成としたのは、インサ
ート成形により、絶縁ホルダ21の周囲を被覆する絶縁
樹脂層25を冷却した際に、絶縁樹脂層25とバスバー
22a〜22cとの熱収縮量の差を小さくするためであ
る。なお、スリット57a,57bの数や幅は、各端子
部50u,50v,50wの強度を損なわない程度であ
れば任意に変更することが可能である。例えば、埋設部
55の両端部にそれぞれ2つのスリット57a,57b
を設けることが可能である。
【0036】図8に交差斜線で示すように、端子部50
u,50v,50wにおける露出部56と埋設部55と
の一部には、錫めっきが施されている。詳しくは、露出
部56の先端から埋設部55における斜状部分55aの
中央部付近にかけて錫めっきが施されている。この錫め
っきをした理由は、バスバー22a,22b,22cの
表面が酸化腐食するのを防ぐためである。
【0037】端子部50u,50v,50wは、図1
8,図19に示す第1プレス装置60で曲げ成形した後
に、図20に示す第2プレス装置61で更に曲げ成形す
ることによって得られる。
【0038】まず、第1プレス装置60について説明す
る。図18,図19に示すように、第1プレス装置60
は、端子部50u,50v,50wを曲げ成形するもの
である。第1プレス装置60は、固定型である下型62
と、可動型である上型63とから構成されている。そし
て、下型62に対して上型63が接近することで、両型
62,63は閉じられる。これに対して、下型62から
上型63が離間することで両型62,63は開かれる。
【0039】下型62の上面にはV字状をなす下型側成
形凹部62aと、V字状をなす下型側成形突部62bと
が隣接するように形成されている。下型側成形突部62
bの上端部には、パイロットピン64が突設されてい
る。このパイロットピン64は、端子部50u,50
v,50wの斜状部分55aに透設されたパイロット孔
65に貫通することで、端子部50u,50v,50w
を位置決めするものである。
【0040】一方、上型63の下面には、V字状をなす
上型側成形突部63aと、V字状をなす上型側成形凹部
63bとが隣接するように形成されている。上型側成形
突部63aと下型側成形凹部62aは互いに対峙され、
一方の上型側成形凹部63bと下型側成形突部62bと
は互いに対峙されている。そのため、下型62に上型6
3が接近して金型を閉じることにより、凹凸の関係でも
って両型62,63が互いに係合するようになってい
る。また、上型側成形凹部63bの内奥面には、待避凹
部66が形成されている。そして、両型62,63が閉
じられたときに、この待避凹部66内にパイロットピン
64が挿入されることで、パイロットピン64と上型6
3とが干渉し合わないようになっている。
【0041】続いて、第2プレス装置61について説明
する。図20に示すように、第2プレス装置61は端子
部50u,50v,50wとバスバー22a,22b,
22cとの境界部を曲げ成形するものである。第2プレ
ス装置61は、固定型である下型67と、可動型である
上型68とから構成されている。そして、下型67に対
して上型68が接近することで、両型67,68が閉じ
られる。これに対して、下型67から上型68が離間す
ることで、両型67,68は開かれる。
【0042】下型67の上面には、端子部50u,50
v,50wにおける埋設部55が係合される下型側成形
突部67aが形成されている。下型67において下型側
成形突部67aの近傍に位置する箇所には、端子部50
u,50v,50wを位置決めするための挿入ピン69
が突設されている。下型67に端子部50u,50v,
50wをセットしたときに、そのボルト挿通孔52に挿
入ピン69が貫通されるようになっている。挿入ピン6
9が貫通した状態では、端子部50u,50v,50w
が位置ずれしないようになっている。
【0043】上型68の下面には、下型側成形突部67
aに対峙した上型側成形凹部68aが形成されている。
そして、下型67に上型68が接近して金型を閉じるこ
とにより、凹凸の関係でもって両型67,68が互いに
係合するようになっている。なお、両型67,68を閉
じたとき、下型67にある挿入ピン69は上型68に干
渉しないように、上型側成形凹部68aを除く上型68
の厚みが設定されている。
【0044】図18(b),図21に示すように、上記
第1プレス装置60及び第2プレス装置61によって、
端子部50u,50v,50wに曲げ加工が施される部
位には、その幅方向に延びるノッチ59が複数個凹設さ
れている。このノッチ59は、端子部50u,50v,
50wを成形する前に、導電性金属板材を打ち抜いたも
のである帯状成形素材92の両面にそれぞれ設けられ
る。本実施形態では、端子部50u,50v,50wに
相当する帯状成形素材92の一方の面に1つ設けられ、
他方の面に3つ設けられている。そして、帯状成形素材
92においてノッチ59を凹設した部位が、内側に曲げ
られる。
【0045】次に、上記のように構成された第1プレス
装置60及び第2プレス装置61を用いて端子部50
u,50v,50wを曲げる工程について説明する。図
18(a),(b)に示すように、第1プレス装置60
の両型62,63を開いた状態で下型62の上面に、導
電性金属板材を所定の形状に打ち抜いた板状の帯状成形
素材92を載置する。そして、その帯状成形素材92に
形成されたパイロット孔65に、下型62のパイロット
ピン64を貫通させ、帯状成形素材92が位置ずれしな
いようにする。
【0046】図19(a),(b)に示すように、両型
62,63が閉じられると、帯状成形素材92は、下型
側成形凹部62aと上型側成形突部63aとの間、下型
側成形突部62bと上型側成形凹部63bとの間に挟み
込まれる。これにより、端子部50u,50v,50w
に相当する部分の帯状成形素材92が曲げられ、端子部
50u,50v,50wが成形される。その後、両型6
2,63が開かれ、その間から端子部50u,50v,
50wのみが成形された帯状成形素材92が取り出され
る。
【0047】次いで、図20(a),(b)に示すよう
に、第2プレス装置61の両型67,68を開いた状態
で、下型62の下型側成形凹部62aに、第1プレス装
置60で成形された端子部50u,50v,50wを係
合する。それとともに、端子部50u,50v,50w
に形成されたボルト挿通孔52に挿入ピン69を貫通さ
せ、帯状成形素材92が位置ずれしないようにする。
【0048】そして、両型67,68が閉じられると、
帯状成形素材92の端部、つまりバスバー22a,22
b,22cに相当する部分が、下型側成形突部67aと
上型側成形凹部68aとの隙間に挟み込まれる。これに
より、バスバー22a,22b,22cと端子部50
u,50v,50wとの境界部分が直角に曲げられる。
その後、両型62,63が開かれ、その間から端子部5
0u,50v,50wのみが成形された帯状成形素材9
2が取り出される。
【0049】図24〜図27に示すように、絶縁ホルダ
21を被覆する絶縁樹脂層25は、インサート成形用金
型70によって成形される。このインサート成形用金型
70は、固定型である下型71と、可動型である上型7
2とから構成されている。上型72は下型71に対して
接近離間可能であって、上型72が接近することにより
型閉めされ、離間することにより型開きされる。
【0050】下型71及び上型72には、それぞれ成形
凹部71a,72aが対峙するように形成されている。
そして、両型71,72が型閉じされることにより、互
いに対峙する2つ成形凹部71a,72aによって円環
状のキャビティ73が形成されるようになっている。こ
のキャビティ73には図示しないゲートを介して絶縁樹
脂層25を成形するための溶融樹脂材料90が充填され
る。
【0051】上型72には、キャビティ73に収容され
る絶縁ホルダ21の上面を押さえ付ける上型側支持体8
0が設けられている。この上型側支持体80は、上側成
形凹部72aの内頂面から出没可能になっている。図示
しないが、上型側支持体80は複数個(本実施形態では
18個)設けられている。上型側支持体80は、端子部
50u,50v,50wが配置されている箇所を除い
て、絶縁ホルダ21の周方向に沿って等間隔に配列され
ている。そして、上型側支持体80が突出していると
き、その先端面に凹設された複数の係止溝81は、内側
バスバー22aと中間バスバー22bとを隔てる壁部4
3bの上端部と、中間バスバー22bと外側バスバー2
2cとを隔てる壁部43cの上端部とに係合する。この
係合した状態において、上型側支持体80の先端面は各
バスバー22a,22b,22cの上端縁に当接され
る。これにより、上型側支持体80によって、絶縁ホル
ダ21の上側(図24に示すホルダ21の上側)が押さ
え付けられるようになっている。
【0052】下型71にはキャビティ73に収容される
絶縁ホルダ21を支持するためのホルダ支持体としての
ホルダ支持ピン74が設けられている。このホルダ支持
ピン74は、下側成形凹部71aの底面付近からキャビ
ティ73内に出没可能になっている。図示しないが、ホ
ルダ支持ピン74は複数個(本実施形態では36個)設
けられ、それらは絶縁ホルダ21の周方向に沿って等間
隔に配列されている。
【0053】図22,図23(a),(b)に示すよう
に、ホルダ支持ピン74が突出している状態において、
その先端部は絶縁ホルダ21の下面に形成された非貫通
凹部75に係合される。この係合により、キャビティ7
3内に絶縁ホルダ21が収容されているとき、絶縁ホル
ダ21は位置ずれしなくなる。
【0054】非貫通凹部75は、テーパ状に形成されて
おり、その内頂部に向かうに従って縮径されている。そ
のため、ホルダ支持ピン74が非貫通凹部75の内周面
に案内されながら、最終的に非貫通凹部75にホルダ支
持ピン74が係合される。従って、下型71の下側成形
凹部71aに絶縁ホルダ21をセットするとき、ホルダ
支持ピン74が非貫通凹部75から外れて配置されるこ
とがない。
【0055】絶縁ホルダ21の底面において、ホルダ支
持ピン74の周囲に位置する箇所には、円弧状のリブ7
6a,76bが2つ突設されている。リブ76a,76
bがあることで、非貫通凹部75に係合されているホル
ダ支持ピン74が容易に外れない。
【0056】両リブ76a,76bの間には複数(本実
施形態では2つ)の切欠き部77a,77bが形成され
ている。この切欠き部77a,77bがあることによ
り、絶縁樹脂層25のインサート成形時において非貫通
凹部75からホルダ支持ピン74が抜かれた状態では、
切欠き部77a,77bを介して非貫通凹部75側に絶
縁樹脂層25を成形するための樹脂を回り込みやすくな
る。最終的に製造された集中配電部材17では、非貫通
凹部75が絶縁樹脂層25によって穴埋めされている。
なお、リブ76a,76b及び切欠き部77a,77b
の数を任意に変更することが可能である。例えばリブ7
6a,76bの数を1つにするとともに、全体形状をC
字状にすることで、切欠き部77a,77bを1つにす
ることが可能である。
【0057】図22,図23,図14〜図16に示すよ
うに、絶縁ホルダ21の底部には、各保持溝23a,2
3b,23cの内部に通じる連通孔78が透設されてい
る。連通孔78を設けたのは、絶縁樹脂層25を成形す
るための樹脂が、そのインサート成形時に各保持溝23
a,23b,23c内に回り込みやすくするためであ
る。連通孔78は、絶縁ホルダ21の周方向に沿って複
数個設けられている。正確に言えば、各連通孔78は、
それぞれの保持溝23a,23b,23cに沿ってそれ
ぞれ配置されている。しかも、図10に示すように、各
連通孔78は、絶縁ホルダ21の周方向において互いの
位置をずらして配置されている。このことは、絶縁ホル
ダ21の径方向における同一線上には、1つの連通孔7
8しか配置されていないことを意味する。
【0058】図22,図24に示すように、下型71に
絶縁ホルダ21をセットしたとき、下側成形凹部71a
の内側面に対し、先端面が突き当たる位置決め突部82
が絶縁ホルダ21の内周面に形成されている。この位置
決め突部82は、複数個設けられ、それらは絶縁ホルダ
21の周方向に沿って等間隔に配置されている。すべて
の位置決め突部82が下側成形凹部71aの内側面に突
き当たることにより、絶縁ホルダ21の径方向へ位置ず
れすることがなくなる。
【0059】図9,図12,図13に示すように、絶縁
ホルダ21にある各保持溝23a〜23cは、バスバー
22a〜22cが収容されているバスバー収容部位83
と、収容されていないバスバー非収容部位84とに区分
される。バスバー非収容部位84における保持溝23
a,23b,23c内には、複数の第1補強リブ85が
絶縁ホルダ21の円周方向に間隔をおいて設けられてい
る。各第1補強リブ85は、保持溝23a,23b,2
3cを隔てる壁部43a〜43dの底面及び内側面と一
体的に形成されている。
【0060】なお、保持溝23a,23b,23cに溶
融樹脂材料90を流動させやすくする連通孔78は、そ
れぞれの部位83,84に位置する保持溝23a,23
b,23cの底面に形成されている。これにより、保持
溝23a,23b,23c全体に溶融樹脂材料90が充
填されやすくなる。
【0061】絶縁ホルダ21におけるバスバー収容部位
83は、3つの保持溝23a,23b,23cが設けら
れているのに対し、バスバー非収容部位84は、2つの
保持溝23a,23bしか設けられていない。つまり、
バスバー非収容部位84においては、最も外側にある保
持溝23cがない。このことから、絶縁ホルダ21にお
けるバスバー非収容部位84は、バスバー収容部位83
に比べて幅狭となっている。
【0062】更に、絶縁ホルダ21におけるバスバー収
容部位83の外周面には、第2補強リブ86が絶縁ホル
ダ21の周方向に沿って延びるように突設されている。
この第2補強リブ86は、円弧状に形成され、その曲率
半径が絶縁ホルダ21の半径と同じに設定されている。
【0063】次に、上記のように構成されたインサート
成形用金型70を用いて集中配電部材17をインサート
成形する方法について説明する。型開きした状態で、下
型71の下側成形凹部71aに絶縁ホルダ21を配置す
る。そして、絶縁ホルダ21の非貫通凹部75を、下側
成形凹部71a内に突出されているホルダ支持ピン74
の先端に係合する。これにより、絶縁ホルダ21は下側
成形凹部71aの底面から一定の間隔をおいて支持され
ることとなる。このとき、絶縁ホルダ21に設けられた
複数の各位置決め突部82は、その先端面が下側成形凹
部71aの内周面に当接されている。そのため、絶縁ホ
ルダ21は径方向への位置ずれが規制される。
【0064】図24に示すように、上型72が下型71
に接近して金型が閉じられると、キャビティ73が形成
される。それとともに、上側成形凹部72a内に突出し
ていた上型側支持体80の先端面がバスバー22a,2
2b,22cの上端に当接する。更に、上型側支持体8
0の先端面にある係止溝81が保持溝23a,23b,
23cを仕切る壁部43b,43cに係合する。これに
より、絶縁ホルダ21及びバスバー22a,22b,2
2cが上型側支持体80によって押さえ付けられる。以
上のように、絶縁ホルダ21は、複数のホルダ支持ピン
74と、複数の上型側支持体80とによって上下方向の
動きが規制される。
【0065】図25に示すように、下型71に形成され
た図示しないゲートを介してキャビティ73内に絶縁樹
脂層形成用の溶融樹脂材料90が充填される。このと
き、絶縁ホルダ21を覆うように充填される溶融樹脂材
料90は、各保持溝23a,23b,23cの開口部を
介してその内部にも回り込む。しかも、絶縁ホルダ21
に透設した連通孔78からも保持溝23a,23b,2
3c内に回り込む。また、絶縁ホルダ21におけるバス
バー非収容部位84(図12参照)の保持溝23a,2
3b,23cに溶融樹脂材料90の圧力が加わっても、
第1及び第2補強リブ85,86により壁部43a〜4
3cが変形することがない。
【0066】溶融樹脂材料90がキャビティ73のほぼ
全体に行きわたったところで、図26に示すように、ホ
ルダ支持ピン74は下型71に退避するとともに、上型
側支持体80は上型72に退避する。このとき、絶縁ホ
ルダ21は、キャビティ73内において、支持されるも
のがなくなり完全に浮いた状態となるが、溶融樹脂材料
90は、キャビティ73に充填され続けているので、絶
縁ホルダ21が傾くことはない。その上、ホルダ支持ピ
ン74と上型側支持体80とが退避することによる抜き
穴が溶融樹脂材料90により埋められる。更に、ホルダ
支持ピン74が係合されていた非貫通凹部75内やその
付近に溶融樹脂材料90が回り込むとともに、壁部43
b,43cの上端部の間やその付近に溶融樹脂材料90
が回り込む。これにより、絶縁ホルダ21が溶融樹脂材
料90によって覆われる。
【0067】図27に示すように、所定時間が経過し、
溶融樹脂材料90が冷却固化することで絶縁樹脂層25
が成形される。その後、下型71から上型72を離間さ
せて型開きし、絶縁ホルダ21と絶縁樹脂層25とが一
体化された集中配電部材17を取り出す。
【0068】次に、集中配電部材17の製造方法につい
て説明する。 (導電性金属板材の打ち抜き工程)図28に示すよう
に、3相モータ用のバスバー22a,22b,22cを
形成するために、3つの帯状成形素材92が1枚の長方
形状の導電性金属板材91より形成される。この場合、
タブ41a,41b,41c及び端子部50u,50
v,50wは、帯状成形素材92に連結された状態で図
示しないプレス装置により打ち抜かれる。
【0069】図28に示すように、導電性金属板材91
より打ち抜かれる帯状成形素材92は、それぞれが互い
に平行になるように導電性金属板材91の長手方向に沿
って配置される。更に、最も外側に並列配置される2つ
の帯状成形素材92は、その側縁に突設された各タブ4
1a,41b,41c及び各端子部50u,50v,5
0wが互いにバスバー列の中心を向くように配置されて
いる。このようにすることで、1枚の導電性金属板材9
1において、3つの帯状成形素材92を密に配置する
(あまり隙間を空けずに配置する)ことができる。その
結果、帯状成形素材92間にできる未利用領域が少なく
なる。よって、材料の無駄が減り、帯状成形素材92採
取のために必要とされる導電性金属板材91の幅が小さ
くて済む。
【0070】また、3つの帯状成形素材92は同程度の
長さに形成されるものであって、1枚の導電性金属板材
91において各帯状成形素材92はその両端部の位置が
ほぼ揃った状態となるように配置される。このようにす
ることで、1枚の導電性金属板材91において、3つの
帯状成形素材92の両端部にできる未利用領域が少なく
なる。この結果、材料の無駄が減り、帯状成形素材92
採取のために必要とされる導電性金属板材91の長さが
小さくて済む。なお、帯状成形素材92に突設された複
数のタブのうち、最も端部側に位置する2つのタブは、
各帯状成形素材92の両端部に一体形成されている。こ
のため、各帯状成形素材92の長さが、例えば完全円環
状のバスバー構造を採用した場合よりも短くて足りる。
このことも、帯状成形素材92採取のために必要とされ
る導電性金属板材91の長さの低減に貢献している。
【0071】このようにして、各バスバー22a〜22
cを曲げ形成する前に、帯状成形素材92が導電性金属
板91から製作される。図29に示すように、各バスバ
ー22a,22b,22cを形成するための帯状成形素
材92は、略直線状であるためそれらを並列に打ち抜く
ことが可能である。このことは、帯状成形素材92を円
環状に打ち抜く場合に比べて、材料費の低コスト化を達
成させているとともに、歩留まりの向上にも著しく貢献
している。
【0072】(バスバーに関する第1の曲げ加工)図2
9に示すように、帯状成形素材92において端子部50
u,50v,50wに相当する部分を、既に上述した第
1プレス装置60と第2プレス装置61とによって曲げ
成形する。
【0073】(バスバーに関する第2の曲げ加工)図2
9に示すように、端子部50u,50v,50wを成形
し終えた帯状成形素材92において、バスバー22a,
22b,22cに相当する部分を、その厚さ方向に湾曲
させて略円環状に成形する。この成形に関しては、図示
しないベンディング装置で行う。このように、絶縁ホル
ダ21にバスバー22a,22b,22cを組み付ける
前に、バスバー22a,22b,22cを略円環状に賦
形しておく。
【0074】(バスバー挿入工程)図30に示すよう
に、既に製作しておいた絶縁ホルダ21に、各バスバー
22a,22b,22cを挿入する。ここでは、絶縁ホ
ルダ21の外側に位置するものから順番に挿入する。つ
まり、外側バスバー22c、中間バスバー22b、内側
バスバー22aの順で挿入する。この順番で挿入するの
は、内側にあるバスバーから先に挿入すると、後から挿
入するバスバーが、先に挿入されたバスバーの端子部に
よって挿入を妨げられるからである。
【0075】(バスバーに関する第3の曲げ加工)図3
1に示すように、絶縁ホルダ21に各バスバー22a〜
22cを組み付けた状態で、各タブ41a,41b,4
1cをそれぞれの先端が絶縁ホルダ21の中心に向くよ
うに曲げ成形する。このとき、中間バスバー22b及び
外側バスバー22cについては、基端部に湾曲部44,
45が成形される。
【0076】(インサート成形)図32に示すように、
バスバー22a,22b,22cが組み付けられた絶縁
ホルダ21の外周に絶縁樹脂層25を成形する。この成
形に関しては、既に説明したインサート成形用金型70
を用いた製造方法によって行う。その後、インサート成
形用金型70から集中配電部材17を取り出し、最後に
絶縁樹脂層25に形成された樹脂収容部53に封止材5
4を充填する。
【0077】従って、本実施形態によれば以下のような
効果を得ることができる。 (1)各バスバー22a,22b,22cは、1枚の導
電性金属板材91より帯状に打ち抜かれることにより形
成される。この場合、各バスバー22a,22b,22
cは、互いに密に配置された状態で導電性金属板材91
より打ち抜かれる。このため、必要とされる導電性金属
板材91の面積は、各バスバー22a,22b,22c
をリング状に打ち抜く場合と比べて小さくて済む。よっ
て、材料ロスが従来に比べて少なくなり、各バスバー2
2a,22b,22cの材料費を低減させることができ
る。従って、集中配電部材17を安価に製造することが
できる。
【0078】(2)各バスバー22a,22b,22c
は、共通の導電性金属板材91から金型により同時に打
ち抜き形成される。この場合、各バスバー22a,22
b,22cをリング状に打ち抜く場合と比べて、使用す
る導電性金属板材91の面積が約半分程度で良くなり、
材料ロスも確実に抑えられる。よって、各バスバー22
a,22b,22cの材料費を低減させることができ
る。また、従来のように、各リング毎に個別の金型を使
用する必要がなくなるため、金型費を低減させることが
できる。従って、集中配電部材17をより安価に製造す
ることができる。
【0079】(3)各タブ41a,41b,41c及び
各端子部50w,50u,50vは、各バスバー22
a,22b,22c本体に連結された状態で一体形成さ
れている。この場合、各タブ41a,41b,41c及
び各端子部50w,50u,50vを溶接等により後付
けする必要がない。よって、各バスバー22a,22
b,22cの製造工程を少なくすることができる。従っ
て、集中配電部材17をよりいっそう安価に製造するこ
とができる。
【0080】(4)各バスバー22a,22b,22c
は、その両端部の位置がほぼ揃った状態で、なおかつそ
れぞれが並列に配置された状態で導電性金属板材91よ
り打ち抜き形成される。このため、導電性金属板材91
において、各バスバー22a,22b,22cの長手方
向両端部及び幅方向両側部の材料ロスが低減される。よ
って、各バスバー22a,22b,22cの材料費をさ
らに低減させることができる。従って、集中配電部材1
7をよりいっそう安価に製造することができる (5)また、各バスバー22a,22b,22cのうち
最も外側に位置するバスバー22a,22cは、その各
端子部50w,50v及び各タブ41a,41cがバス
バー列の中心方向を向くようにして並列配置されてい
る。このようにすることで、導電性金属板材91におい
て、各バスバー22a,22b,22cの長手方向側両
端部の材料ロスが低減される。よって、各バスバー22
a,22b,22cの材料費をさらに低減させることが
できる。従って、集中配電部材17をよりいっそう安価
に製造することができる。
【0081】なお、本発明の実施形態は以下のように変
更してもよい。 ・前記実施形態では、各端子部50w,50u,50v
及び各タブ41a,41b,41cは、各バスバー22
a,22b,22c本体に一体形成されていた。しか
し、各端子部50w,50u,50v及び各タブ41
a,41b,41cは、図33に示すように、各バスバ
ー22a,22b,22c本体とは別体として打ち抜き
形成されても良い。図33に示すように、各バスバー2
2a,22b,22cは互いに並列配置されている。ま
た、各端子部50u,50v,50wは、それぞれがバ
スバー22a,22b,22c本体に設けられた複数の
タブ41a,41b,41cの間において、前記バスバ
ー22a,22b,22c本体と平行に配置されてい
る。このようにすれば、バスバー22a,22b,22
c同士をさらに密に配置することができるため、導電性
金属板材91の幅方向における材料の無駄がよりいっそ
う減少する。従って、各バスバー22a,22b,22
cを打ち抜く際に必要とされる導電性金属板材91は、
前記実施形態の場合よりも小面積で済むようになる。こ
の場合、各端子部50w,50u,50v及び各タブ4
1a,41b,41cは、各バスバー22a,22b,
22cの本体に後付けされる。後付けの方法として具体
的には、溶接、ろう付け、はんだ付け、ネジ固定等が挙
げられる。
【0082】・前記実施形態では、各端子部50w,5
0u,50v及び各タブ41a,41b,41cは、各
バスバー22a,22b,22c本体の同じ側縁に形成
されていた。しかし、各端子部50w,50u,50v
及び各タブ41a,41b,41cは、互いに異なる側
縁に形成されても良い。
【0083】・前記実施形態では、本発明を3相の薄型
DCブラシレスモータ11用の集中配電部材17に具体
化したが、これに限らず本発明を3相よりも相数の多い
(または少ない)モータ用の集中配電部材に具体化する
ことも可能である。なお、これに伴いバスバー及び保持
溝の数を増減することが許容される。
【0084】この場合、例えば、4相モータ用の4つの
バスバーを共通の導電性金属板材91より打ち抜き形成
したり、5相モータ用の5つのバスバーを共通の導電性
金属板材91より打ち抜き形成しても勿論よい。
【0085】次に、特許請求の範囲に記載された技術的
思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技
術的思想をその効果とともに以下に列挙する。 (1)請求項5において、前記端子部及び前記各タブ
は、前記バスバー本体における同じ側縁に形成されるこ
とを特徴とする集中配電部材用バスバーの製造方法。こ
のようにすれば、並列配置された複数のバスバーのうち
最も外側に位置するものの端子部及びタブが、バスバー
列の中心方向を向くようにして、打ち抜きを行うことが
できる。よって、各バスバーを導電性金属材料より打ち
抜く際の材料ロスを低減することができ、車両用薄型ブ
ラシレスモータの集中配電部材を低コストで製造するこ
とができる。
【0086】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に記載の
発明によれば、金属材料のロスが少なく、低コストで製
造可能な車両用薄型ブラシレスモータの集中配電部材を
提供することができる。
【0087】請求項2に記載の発明によれば、バスバー
の材料費及び金型費を低減させることができるため、車
両用薄型ブラシレスモータの集中配電部材を低コストで
製造することができる。
【0088】請求項3に記載の発明によれば、バスバー
の製造工程を少なくすることができるため、車両用薄型
ブラシレスモータの集中配電部材を低コストで製造する
ことができる。
【0089】請求項4、5に記載の発明によれば、バス
バー製造のための金属材料のロスがさらに少なくなるた
め、車両用薄型ブラシレスモータの集中配電部材をより
低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄型ブラシレスモータの概略図。
【図2】薄型ブラシレスモータの概略配線図。
【図3】集中配電部材の斜視図。
【図4】集中配電部材の正面図。
【図5】集中配電部材の背面図。
【図6】(a)は集中配電部材の断面図、(b)はその
端子部の拡大図、(c)は端子部の拡大斜視図。
【図7】集中配電部材の端子部を示す平面図。
【図8】絶縁ホルダの斜視図。
【図9】絶縁ホルダにバスバーを挿入した正面図。
【図10】絶縁ホルダの一部分を拡大して示す正面図。
【図11】絶縁ホルダを省略し、バスバーのみを示す正
面図。
【図12】絶縁ホルダにおけるバスバー非収容部位を示
す拡大図。
【図13】(a)は図9におけるE−E断面図、(b)
は図9におけるF−F、(c)は図9におけるG−G断
面図。
【図14】(a)は図4のA−A断面図、(b)はその
部分の斜視図。
【図15】(a)は図4のB−B断面図、(b)はその
部分の斜視図。
【図16】(a)は図4のC−C断面図、(b)はその
部分の斜視図。
【図17】(a)は図4のD−D断面図、(b)はその
部分の斜視図。
【図18】(a)は型開きした第1プレス装置の断面
図、(b)はそこでプレス成形される帯状成形素材。
【図19】(a)は型閉じした第1プレス装置の断面
図、(b)はそこでプレス成形された帯状成形素材。
【図20】(a)は型閉じした第2プレス装置の断面
図、(b)はそこでプレス成形された帯状成形素材。
【図21】(a)はバスバーの端子部を曲げ成形する前
の帯状成形素材、(b)はそのH−H断面図。
【図22】絶縁ホルダの背面図。
【図23】(a)は非貫通凹部の拡大図、(b)は非貫
通凹部の拡大斜視図。
【図24】インサート成形用金型を示し、絶縁ホルダを
セットした状態を示す断面図。
【図25】図24に続いて、インサート成形用金型内に
溶融樹脂材料を充填した状態を示す断面図。
【図26】図25に続いて、ホルダ支持ピンと上型側支
持体とを待避させた状態を示す断面図。
【図27】図26に続いて、インサート成形用金型を型
開きした状態を示す断面図。
【図28】集中配電部材の製造工程を示し、導電性金属
板材を打ち抜いて帯状成形素材を得るときの図。
【図29】図28に続く製造工程を示し、バスバーの端
子部を曲げた図。
【図30】図29に続く製造工程を示し、バスバーを絶
縁ホルダに挿入する図。
【図31】図30に続く製造工程を示し、バスバーのタ
ブを内側に曲げた図。
【図32】図31に続く製造工程を示し、端子部の一部
を封止材で封止した図。
【図33】導電性金属板材を打ち抜いて帯状成形素材を
得るときの別例図。
【図34】(a)はリング状バスバーの斜視図、(b)
は導電性金属板材より打ち抜かれるリング状バスバーを
示す図。
【符号の説明】
17…集中配電部材、21…絶縁ホルダ、22a,22
b,22c…バスバー、23a,23b,23c…保持
溝、25…絶縁樹脂層、41a,41b,41c…タ
ブ、50w,50u,50v…端子部、91…導電性金
属板材。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 泉 三重県四日市市西末広町1番14号 住友電 装株式会社内 (72)発明者 堀江 達郎 埼玉県和光市中央一丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 福田 健児 埼玉県和光市中央一丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 5G361 BA04 BB01 BC01 5H019 AA09 AA10 DD09 DD10 5H605 AA07 BB05 CC06 DD05 DD09 EA02 EC01 EC04 EC07 EC08 FF06 GG02 GG04 GG06 GG12 GG18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バッテリに接続される端子部及びステータ
    の巻線に接続されるタブを有するとともにモータの各相
    に対応して設けられた複数本のバスバーと、それらバス
    バーを被覆する樹脂絶縁層とを備え、前記巻線に対して
    集中的に電流を配給可能なリング状の集中配電部材であ
    って、 前記各バスバーは、導電性金属板材を帯状に打ち抜いた
    ものをその厚さ方向に湾曲させて略円環状にするととも
    に、その径を各相ごとに異なるように設定したものであ
    って、これらバスバーは、互いに所定の間隔を隔てた状
    態で集中配電部材径方向に積層配置されていることを特
    徴とする車両用薄型ブラシレスモータの集中配電部材。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の集中配電部材に用いるバ
    スバーの製造方法において、金型を用いたプレス成形を
    行うことにより、前記各相に対応するバスバーを共通の
    導電性金属板材から同時に打ち抜き形成することを特徴
    とする、集中配電部材に用いるバスバーの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記端子部及び前記タ
    ブは、前記プレス成形によって直線状のバスバー本体を
    打ち抜き形成する際に、前記バスバー本体と連結された
    状態で一体形成されることを特徴とする、集中配電部材
    に用いるバスバーの製造方法。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記各バスバーは、前
    記バスバー本体が並列に配置された状態、かつ、前記バ
    スバー本体の両端部の位置がほぼ揃った状態となるよう
    に、打ち抜き形成されることを特徴とする、集中配電部
    材に用いるバスバーの製造方法。
  5. 【請求項5】請求項4において、並列配置された前記各
    バスバーのうち最も外側に位置するものの備える前記端
    子部及び前記タブは、バスバー列の中心方向を向くよう
    にして、打ち抜き形成されることを特徴とする、集中配
    電部材に用いるバスバーの製造方法。
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