JP2003091090A - 再生可能な画像記録体 - Google Patents

再生可能な画像記録体

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JP2003091090A
JP2003091090A JP2001285718A JP2001285718A JP2003091090A JP 2003091090 A JP2003091090 A JP 2003091090A JP 2001285718 A JP2001285718 A JP 2001285718A JP 2001285718 A JP2001285718 A JP 2001285718A JP 2003091090 A JP2003091090 A JP 2003091090A
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resin
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silicone
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JP2001285718A
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English (en)
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Tomoo Kobayashi
智雄 小林
Kunio Sakurai
邦夫 櫻井
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワックス等の離型剤が入った画像形成材料を
用いても、画像の高品質性を確保しながら良好な定着性
を保持し、さらに不要となった場合には、画像記録体表
面を痛めることなく画像だけを取り除くことができる、
再生可能な画像記録体を提供することである。 【解決手段】 少なくとも画像支持体の片面に画像受像
層が設けられた再生可能な画像記録体であって、当該画
像受像層が、少なくとも、ポリエーテル変性シリコーン
オイルと、硬化性シリコーン樹脂と、熱可塑性樹脂と、
を含有することを特徴とする再生可能な画像記録体であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真複写機、
プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセス、及び
その他の画像形成プロセスを使用した画像形成装置等に
用いられ、画像形成材料による画像記録と、その除去と
を繰り返すことで、再使用できる再生可能な画像記録体
に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、一般的に使用されている、電子写
真方式を用いた画像形成による画像記録体として、紙や
オーバーヘッドプロジェクター(以下、「OHP」とい
う。)用透明シートなどがある。近年、地球環境問題が
表面化してきており、地球環境への負荷を考慮し、紙原
料としての木材資源の利用削減や、プラスチックフィル
ムなどを作る石油の使用量削減、及び、画像記録体など
使用済み材料の廃棄量削減等が重要課題となってきてい
る。木材資源の利用削減対策の一環としては、一度使用
した古紙を焼却することなく、再生紙として利用するこ
とが進められており、一般的にも普及しているが、まだ
まだ多くの問題を抱えている。例えば、回収において
は、企業等の機密文書や機密データの漏洩、記録材料の
種類による分別回収等の手間や運搬、回収に要する運用
コスト、並びに集積場所やその管理等の諸問題が挙げら
れる。一方、OHP用透明シート等は、ほとんど回収さ
れておらず、また、その回収及び再利用には、前記問題
のほかOHP用透明シート特有の問題がある。例えば、
OHP用透明シートでは、シート表面に画像形成材料を
強固に定着させるために、また、高画質の画像出力を可
能にするために画像受像層を設けており、この画像受像
層を損なうことなく、画像形成材料だけをOHP用透明
シートから除去することは困難なため、現状では、その
多くが1回の使用で廃棄処分されているのである。
【0003】このような問題を解決する方法として、一
度使用した画像記録体表面の記録画像だけをその場で消
去/除去して、画像記録体(透明なものに限らず)その
ものを再生させる方法が提案されている。例えば、特開
平2−55195号公報には、プラスチック、金属、液
透過性のない紙、あるいはセラミックスを画像支持体と
して使用し、これらの表面に、シリコーンシール剤とい
うシリコーンゴムの離型性材料を被膜として塗布した、
画像消去可能な印刷体が提案されている。その画像消去
方法は、画像支持体の被膜表面に熱溶融性インキで形成
された画像を、熱溶融性剥離体を介在させることにより
加熱/加圧し、冷却後、画像を剥離体側に付着させ、被
膜表面から剥ぎ取るものである。しかしながら、被膜表
面の離型性材料に移行性があり、印刷体を画像形成装置
内で搬送する際、搬送ロール等の接触部分に離型性材料
の一部が付着していき、滑り易くなるために、紙詰まり
が起きたり、それを繰り返すことで、画像形成装置内で
浮遊するトナーが印刷体に付着し、画像記録面の汚れ等
を引き起こしたりする、という問題があった。また、画
像除去には、加熱/加圧、冷却等、除去装置に複雑な設
計が必要である、エネルギーロスが大きい等の問題があ
る。
【0004】また、特開平5−216376号公報に
は、画像記録面にシリコーンオイル、フッ化オイル、そ
の他の脂肪族系オイル等の離型性材料を塗布した記録紙
を使用し、画像消去時に記録紙を、オフセットし易い材
料からなる媒体に圧接して、画像を構成するトナーを転
移/除去する画像記録体が提案されている。しかしなが
ら、これらのオイルを用いた場合、十分なトナーの離型
効果を得るためには、記録紙が透明化するほどの量のオ
イルを塗布しなければならず、紙のイメージを損ねた低
品質な記録紙となってしまうという問題があった。ま
た、トナーの定着性も悪く、手等で擦られるだけで容易
に画像記録部分が剥がれてしまい、記録保存性にかける
という問題もあった。プラスチックフィルムでは、なお
さらこの傾向が強くなることがわかっている。さらに、
特開平2−55195号公報と同様、オイルの移行性の
問題もある。
【0005】一方で、最近では、カラー画像が容易に利
用できる環境が整ってきており、特に、電子写真方式で
はトナーを溶融し定着させる定着工程において、従来の
白黒コピーではブラックトナー一色だけの定着だったの
とは異なり、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンな
どの各種色トナー、つまり従来の4倍量以上のトナー
を、十分な定着温度と圧力とを加えて溶融定着し、発色
させなくてはならない。そのため、カラー画像形成用の
トナー樹脂は、白黒トナー用のものより、その熱溶融温
度が低く設計されており、トナーそのものが粘着剤とな
って定着ロールへ融着する現象(ホットオフセット)
や、定着温度が低すぎた場合に定着ロールにトナーが付
着する現象(コールドオフセット)が発生しやすいこと
が知られている。これらを防ぐために、電子写真方式に
おける定着ロール、あるいは定着ベルト等の定着部材に
は、その表面にシリコーンオイル等の離型性材料を含
浸、塗布、添加すること等が行われている。
【0006】定着部材へのシリコーンオイルなどの離型
性材料付与は、トナーの過剰の熱溶融によるホットオフ
セット発生防止や、コールドオフセット発生防止には大
きな効果が認められるが、シリコーンオイルなどの離型
性材料は、画像記録体としての普通紙やOHP用透明シ
ートなどへも同時に付着することになる。特にカラー画
像形成用トナーの場合、白黒画像形成用トナーに比べて
定着部材への付着性が高いため、定着部材への付着を防
ぐためには、より多くのシリコーンオイルの付与が必要
となる。そのため、画像記録体としての普通紙やOHP
用透明シートなどへも、多量にシリコーンオイルが付着
することになる。その結果、シリコーンオイルによるカ
ラートナーの発色性の変化、画像記録体表面のベタつき
感などの不快感、画像記録体への水性インキの印字不
良、付箋紙、セロテープ(R)等の粘着テープの付着阻
害を引き起こすことが問題になっている。
【0007】以上の問題から、現在、シリコーンオイル
の使用量を微量にした定着装置の開発や、最近では画像
形成材料であるトナーにワックス等の離型剤を混合する
ことで、定着装置にオイルを使用しない、オイルレス定
着方法を有した画像出力装置の開発がなされてきてい
る。
【0008】このような状況で、さらに従来の画像記録
体の再生方法を見た場合、例えば特開平6−02771
0号公報には、剥離紙用シリコーン樹脂を、紙や白色フ
ィルム表面に塗工した画像記録体を使用し、記録画像除
去は、ブレードやブラシ等を用いた機械的な接触擦過に
よって行う方法が述べられている。しかしながら剥離紙
用シリコーン樹脂を使用した画像記録体では、カラー画
像定着時に、特に画像濃度の高い(トナーが多く載って
いる)部分で画像がオフセットしてしまう問題があっ
た。さらに、離型剤が入ったカラー画像形成材料を用い
た場合には、前記同様、画像濃度の高い部分で定着時に
カラー画像形成材料からしみ出したワックス等が、画像
記録体と画像との界面に多く存在することになり、オフ
セット発生の傾向や、定着性の甘さがより顕著になって
しまうことがわかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のような課題に対
し、本出願人らも、特開平09−204060号公報、
特開平10−031322号公報、特開平10−207
103号公報、特開平11−160904号公報、特開
平2001−56579号公報等に、各種再生可能な画
像記録体等を提案してきたが、ワックス等の離型剤が入
ったカラー画像形成材料に対しての定着性は、十分とは
いえない場合があることがわかってきた。特に、OHP
用透明シート等の光透過性を要求されるものにおいて
は、発色性や透明性の低下が見られる場合がある。ま
た、先に述べた画像濃度の高い部分では、定着装置側に
移行したワックス等の離型剤が、次に画像記録体表面の
非画像部に接触すると、移行したワックスが画像記録体
表面に再転写し、直前に定着した画像部分の形跡を投影
してしまう現象(以下、「ワックスゴースト」という場
合がある。)を引き起こす。これは、従来(再生不可)
型のOHP用透明シートでは、画像受像層にワックスと
親和性のある材料が使用されているため、ワックスが表
面に均一に付着し、光の透過性を妨げないのに対し、シ
リコーン樹脂のようなワックスと非親和性の材料が画像
受像層表面にあると、ワックスと画像受像層表面との濡
れ性が悪いために、定着後の表面でワックスが小さな孤
立した半球状形態になり、その部分が透明性を低下さ
せ、ワックスゴースト現象を引き起こすこともわかって
きた。
【0010】本発明は、前記従来における諸問題を解決
し、以下の目的を達成することを課題とする。すなわ
ち、本発明は、ワックス等の離型剤が入った画像形成材
料を用いても、画像の高品質性を確保しながら良好な定
着性を保持し、さらに不要となった場合には、画像記録
体表面を痛めることなく画像だけを取り除くことができ
る、再生可能な画像記録体を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明により達成される。すなわち本発明は、 <1>少なくとも画像支持体の片面に画像受像層が設け
られた再生可能な画像記録体であって、当該画像受像層
が、少なくとも、ポリエーテル変性シリコーンオイル
と、硬化性シリコーン樹脂と、熱可塑性樹脂と、を含有
することを特徴とする再生可能な画像記録体である。
【0012】<2> 前記熱可塑性樹脂が、ポリビニル
アセタール樹脂、及び/または、ポリエステル樹脂であ
ることを特徴とする<1>に記載の再生可能な画像記録
体である。
【0013】<3> 23℃、55%RHにおける、前
記画像記録体の画像受像層の表面抵抗値が1×108
1×1013Ωであり、かつ、前記画像記録体の表裏面の
表面抵抗値差が、3桁以内であることを特徴とする<1
>または<2>に記載の再生可能な画像記録体である。
【0014】<4> 前記画像受像層が、0.1μm以
上の厚さを有し、さらに画像支持体が、プラスチックフ
ィルムであることを特徴とする<1>〜<3>のいずれ
かに記載の再生可能な画像記録体である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の再生可能な画像記録体
は、少なくとも画像支持体の片面に、後述する特定の画
像受像層が設けられてなる。また、必要に応じてその他
の層を有してもよい。本発明の画像記録体は、後述する
特定の画像受像層を設けることで、ワックス等の離型剤
が入った画像形成材料を用いても、画像の高品質性を確
保しながら、良好な定着性を保持し、さらに不要となっ
た場合には、ブラシ等を用いた接触擦過等により、画像
記録体表面を痛めることなく画像だけを取り除くことが
でき、繰り返し再使用できる画像記録体である。以下、
本発明の再生可能な画像記録体について詳細に説明す
る。
【0016】〔画像受像層〕本発明の画像記録体におけ
る画像受像層は、少なくとも、ポリエーテル変性シリコ
ーンオイルと、硬化性シリコーン樹脂と、熱可塑性樹脂
と、を含有し、必要に応じてその他の成分を含有してな
る。前記ポリエーテル変性シリコーンオイルについて、
以下に説明する。
【0017】<ポリエーテル変性シリコーンオイル>ポ
リエーテル変性シリコーンオイルは、ポリオキシアルキ
レン(以下、「POA」という場合がある。)とポリジ
メチルシロキサンとの共重合体である。POAにはポリ
オキシエチレン(以下、「POE」という場合があ
る。)、ポリオキシ(イソ)プロピレン(以下、「PO
P」という場合がある。)、及びPOEとPOPとの共
重合物がある。合成法は対応するアリル化ポリエーテル
化合物とメチルハイドロジェンシリコーンオイルとのヒ
ドロシリル化反応によるものが一般的である。
【0018】このポリエーテル変性シリコーンオイル
は、親水基であるPOA部分と、疎水基であるポリジメ
チルシロキサン部分と、を分子鎖中にもつシリコーン系
高分子界面活性剤である。変性シリコーンオイルという
観点でみると、変性のポイントは溶解性と相溶性の向上
にある。一般的なシリコーンオイルは、水にはまったく
溶解せず、撥水性を示すが、ポリエーテル変性にするこ
とで水溶性のシリコーンも得られるようになる。本発明
における、ワックスゴーストに対する大幅な改善効果も
この性質が寄与する。すなわち、従来、画像形成材料に
含まれる親水性のワックスが、離型性を有する画像受像
層表面に溶けた状態で接すると、球状に近い状態となっ
てはじかれ、そのまま固まるため、それが投影するとワ
ックスゴーストなどになって現れていたが、親水基を持
ったポリエーテル変性シリコーンオイルを含んだ画像受
像層表面には、濡れ性がよく表面に広がる。そのため
に、結果としてワックスゴーストは見えなくなる。
【0019】ポリエーテル変性シリコーンオイルの添加
量は、使用する樹脂などの種類によって異なるが、画像
受像層の全固形分質量のうち約0.05〜5質量%、好
ましくは0.2〜3質量%である。0.05質量%より
少なすぎると、塗膜表面にムラになって存在して、前記
効果が出ない部分が現れる。5質量%を超えると、もと
もと非反応性のオイルであるため、塗膜中から徐々に表
面にブリードアウトしてきて、経時的に表面変化が起き
る。紙など、画像支持体表面が凹凸を有する反射原稿な
どに使用する場合は問題ないが、透明性を要求するOH
P用透明シートなどでは、薄く白色化し、透明性が落ち
たり、表面にベタつき感がでたりする問題がある。
【0020】そのほか、ポリエーテル変性シリコーンと
しては、ポリエーテル鎖と同時にアルキル基、反応性の
アミノ基やエポキシ基などを同時に導入させた異種官能
基変性シリコーンオイル等も、材料構成や目的に合わせ
て使用することができる。
【0021】<硬化性シリコーン樹脂>次に、本発明に
用いられる硬化性シリコーン樹脂について説明する。一
般に、シリコーン樹脂は、その分子構造により、シリコ
ーンオイルやシリコーンゴム等の材料となる直鎖状構造
をとるシリコーン樹脂と、3次元に架橋した構造のシリ
コーン樹脂とに分類される。また、離型性、接着性、耐
熱性、絶縁性、及び化学的安定性等の諸性質は、シリコ
ン原子に結合している分子(有機分子)の種類やその重
合度等によって決定される。
【0022】本発明に用いられる硬化性シリコーン樹脂
は、前記3次元に架橋した構造のシリコーン樹脂であ
る。該3次元に架橋した構造のシリコーン樹脂は、通
常、多官能性(3官能性、4官能性)単位から重合さ
れ、架橋構造を持つ。なお、前記直鎖状構造をとるシリ
コーン樹脂には、分子量が低く、シリコーンオイルとし
て、絶縁油、液体カップリング、緩衝油、潤滑油、熱
媒、撥水剤、表面処理剤、離型剤、消泡剤等に利用され
るものや、加硫剤等を添加後、加熱硬化によって、分子
量(シロキサン単位)5000〜10000程度に重合
されたシリコーンゴム等もあるが、前記直鎖状構造だけ
では硬いが脆く、また、架橋などの反応を行う時の加硫
剤などが2次障害を起こす場合がある点で、本発明に用
いられるシリコーン樹脂としては適切ではない。
【0023】前記硬化性シリコーン樹脂は、その分子量
単位によって、有機溶媒に溶解可能で比較的低分子量で
あるシリコーンワニスと、重合度の高いシリコーン樹脂
等とに分類される。また、前記硬化性シリコーン樹脂
は、生成段階における硬化反応によって、熱硬化性の樹
脂、輻射線硬化性(光硬化性、電子線硬化性)の樹脂等
に分類され、さらにこれらの中には、硬化反応の機構に
より、縮合型、付加型等に分類されるものがある。ま
た、塗布形態によっては、溶剤型、無溶剤型等に分類さ
れる。本発明には、前記いずれの硬化性シリコーン樹脂
も好適に用いることができる。
【0024】本発明において、前記硬化性シリコーン樹
脂を含有することが必要である理由は、以下の通りであ
る。まず、前記硬化性シリコーン樹脂は、−Si−O−
結合に起因して、表面エネルギーが低いため、本質的
に、優れた離型性、非相溶性を示す。しかし、その硬化
条件等を制御することにより、優れた接着性をも発現さ
せることが可能であるため、画像剥離性と画像定着性と
を両立した画像記録体を得ることが可能となる。
【0025】硬化を支配する因子としては、構成成分の
反応基種、反応基数;硬化時間、温度;照射エネルギ
ー;等が挙げられる。従って、前記硬化条件を制御する
方法としては、例えば、単官能性や2官能性のポリジメ
チルシロキサンや、反応制御剤(アセチレンアルコール
類、環状メチルビニルシクロシロキサン、シロキサン変
性アセチレンアルコール類等)等を添加する方法や、触
媒量、反応温度、反応時間、光(UV)照射強度等を調
整する方法等が挙げられる。これらの方法により硬化条
件を制御すれば、硬化性シリコーン樹脂の分子量、反応
基としてのシラノール残存量等を調節できるため、離型
性、硬さ、表面硬度、接着性、透明性、耐熱性、化学的
安定性等を自由に制御することが可能となる。
【0026】また、前記硬化性シリコーン樹脂を硬化さ
せる段階では、該硬化性シリコーンと、画像支持体との
間に強固な結合が形成される。従って、画像支持体表面
に形成される前記画像受像層は、優れた接着強度を有す
るため、画像定着と画像剥離を繰り返しても、画像受像
層が画像支持体から剥離することがない。
【0027】さらに、前記硬化性シリコーン樹脂は、耐
熱性に優れるため、加熱定着時の定着器による熱の影響
を受け難い。従って、熱による材料劣化が小さく、繰り
返し画像形成装置内で使用しても性能変化が少ないた
め、定着を繰り返しても、トナーと、画像受像層中の硬
化性シリコーン樹脂との間に働く分子間力が変化せず、
安定してその定着力を保持することができる。
【0028】前記硬化性シリコーン樹脂としては、例え
ば、熱硬化性(縮合型、付加型)及び光硬化性のシリコ
ーン樹脂等として、以下の具体例が挙げられる。熱硬化
性シリコーン樹脂のうち、縮合型の硬化性シリコーン樹
脂としては、末端にシラノール基を有するポリジメチル
シロキサン等をベースポリマーとし、架橋剤としてポリ
メチルハイドロジェンシロキサン等を配合し、有機スズ
等の有機酸金属塩やアミン類等の触媒存在下で加熱縮合
して合成した硬化性シリコーン樹脂や;水酸基、アルコ
キシ基等の反応性の官能性基を末端に持つポリジオルガ
ノシロキサンを反応させて合成した硬化性シリコーン樹
脂や;3官能性以上のクロロシラン、または、これらと
1、2官能性のクロロシランとの混合物等を加水分解し
たシラノールを縮合して合成したポリシロキサン樹脂;
等が挙げられる。なお、前記縮合型の硬化性シリコーン
樹脂は、形態的には、溶液型とエマルジョン型とに分類
され、そのいずれも好適に使用することができる。
【0029】熱硬化性シリコーン樹脂のうち、付加型の
硬化性シリコーン樹脂としては、ビニル基を含有するポ
リジメチルシロキサン等をベースポリマーとし、架橋剤
としてポリジメチルハイドロジェンシロキサンを配合し
て、白金触媒の存在下で反応・硬化させて合成した硬化
性シリコーン樹脂等が挙げられる。なお、前記付加型の
硬化性シリコーン樹脂は、形態的には溶剤型、エマルジ
ョン型、及び無溶剤型に分類され、そのいずれも好適に
使用することができる。
【0030】前記熱硬化性シリコーン樹脂としては、例
えば、純シリコーン樹脂、シリコーンアルキド樹脂、シ
リコーンエポキシ樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、
シリコーンアクリル樹脂、シリコーンフェノール樹脂、
シリコーンウレタン樹脂、シリコーンメラミン樹脂等を
好適に挙げることができる。
【0031】前記光硬化性のシリコーン樹脂としては、
光カチオン触媒を利用して合成した硬化性シリコーン樹
脂や、ラジカル硬化機構を利用して合成した硬化性シリ
コーン樹脂等が挙げられる。また、ケイ素原子と結合し
た水酸基またはアルコキシ基等を有する低分子量ポリシ
ロキサンと、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキ
シ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタ
ン、及びメラミン樹脂等とを反応させて得られる変性シ
リコーン樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上
を併用してもよい。
【0032】前記光硬化性シリコーン樹脂としては、以
下の理由から、アクリル樹脂と反応させたアクリル変性
シリコーン樹脂が特に好ましい。
【0033】前記アクリル変性シリコーン樹脂は、画像
形成材料の主成分として通常用いられている、スチレン
−アクリル樹脂や、ポリエステル樹脂と化学的親和性が
高いアクリル鎖を分子中に含み、その一方で離型性を発
現するシリコーン樹脂部分を併せ持つ。従って、一つの
分子鎖中にトナーと接着しやすい部分と、接着しにくい
部分とが存在する。また、これらが均一に相溶している
ことにより、分子オーダーで、画像定着性及び画像剥離
性が発現される。また、前記アクリル変性シリコーン樹
脂においては、アクリル鎖とシリコーン鎖との比率、そ
の硬化条件等を適宜制御することにより、適度な表面硬
度の画像記録体を作製することができる。さらに、後述
のポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、及び
離型性材料の添加量等を適宜制御することにより、ワッ
クス等の離型剤を多く含んだ新しい画像形成材料を用い
た場合の、画像定着性や画像剥離性を自由に制御するこ
とが可能である。
【0034】前記硬化性シリコーン樹脂としては、上記
アクリル変性シリコーン樹脂と前記熱硬化性のシリコー
ン樹脂とを同時に用いてもよい。前記アクリル変性シリ
コーン樹脂と、熱硬化性のシリコーン樹脂と、を同時に
用いる場合には、その混合比、硬化条件、添加量等によ
り、これらの中間的な性質発現させることが可能となる
ため、画像定着性や画像剥離性をさらに自由に制御する
ことが可能である。
【0035】前記硬化性シリコーン樹脂として、アクリ
ル変性シリコーン樹脂と熱硬化性のシリコーン樹脂とを
同時に用いる場合、これらの混合比(アクリル変性シリ
コーン樹脂/熱硬化性シリコーン樹脂)は、熱硬化性シ
リコーン樹脂の種類等によっても異なるため、一概に規
定することはできないが、1/100〜100/1が好
ましく、1/10〜10/1がより好ましい。
【0036】また、前記硬化性シリコーン樹脂として、
アクリル変性シリコーン樹脂と熱硬化性のシリコーン樹
脂とを同時に用いる場合、その組み合わせとしては、例
えば、アクリル変性シリコーン樹脂とシリコーンアルキ
ド樹脂との組み合わせ、アクリル変性シリコーン樹脂と
純シリコーン樹脂との組み合わせ、アクリル変性シリコ
ーン樹脂とシリコーンアルキド樹脂と純シリコーン樹脂
との組み合わせが好ましい。
【0037】前記硬化性シリコーン樹脂の分子量として
は、質量平均分子量で、10,000〜1,000,0
00が好ましい。また、前記硬化性シリコーン樹脂にお
ける全有機基中のフェニル基の割合としては、0.1〜
50モル%が好ましい。
【0038】<熱可塑性樹脂>次に、熱可塑性樹脂につ
いて説明する。熱可塑性樹脂とは、温度上昇と共に材料
が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態
になる樹脂をいい、一般の線状ポリマーは、このような
性質を持っており、熱可塑性樹脂であるといえる。熱可
塑性樹脂は、一般に各種溶剤に溶解しやすく、溶液も安
定であるため、塗膜を形成する材料として好ましく用い
られるものである。本発明において熱可塑性樹脂は、画
像受像層を構成する材料として用いられるものであり、
画像受像層において、画像支持体との接着性向上、及
び、画像形成材料との親和性向上の機能を果たすため必
要とされるものである。
【0039】本発明において用いられる熱可塑性樹脂と
しては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ
アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹
脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−プロ
ピレン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−塩
化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル樹脂、スチレン−
アクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エス
テル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で
使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0040】熱可塑性樹脂の含有量は、用いる樹脂によ
っても異なるが、熱可塑性樹脂と前記硬化性シリコーン
樹脂との質量比(熱可塑性樹脂/硬化性シリコーン樹
脂)を5/9〜90/10とすることが好ましく、30
/70〜85/15とすることがより好ましい。熱可塑
性樹脂の含有量が、上記好ましい範囲未満の場合には、
画像支持体と画像受像層との接着性が不十分となる場合
があり、上記好ましい範囲を越えると、画像受像層の離
型性が低下する場合がある。
【0041】前記熱可塑性樹脂の中では、特にポリビニ
ルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂が、後述する理由
により好ましいものである。以下、本発明に好適に用い
られるポリアセタール樹脂、及びポリエステル樹脂につ
いて説明する。
【0042】ポリビニルアセタール樹脂とは、ポリビニ
ルアルコール(以下、「PVA」という場合がある。)
の水酸基の一部をアセタール化したものいい、ポリビニ
ルアセタール樹脂には、主にPVAにブチルアルデヒド
を反応させたポリビニルブチラール樹脂、ホルムアルデ
ヒドを反応させたポリビニルホルマール樹脂、またはブ
チルアルデヒドとホルムアルデヒドとを各種比率で反応
させた部分ホルマール化ブチラール樹脂(あるいは部分
ブチラール化ホルマール樹脂)等がある。
【0043】これらポリビニルアセタール樹脂は、以上
のようにPVAの水酸基をアセタール化した材料である
が、完全にアセタール化することはできず、P.J.F
loryによると理論的なアセタール化度の上限は8
1.6mol%といわれている。また、PVAを製造す
る際にも少量のアセチル基が残るため、実際のアセター
ル化度は理論値より若干低いと推定されている。従っ
て、ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度、及
び水酸基/アセチル基の組成割合により物理的、化学的
性質を異にし、また、重合度によって熱的、機械的性
質、溶液粘度が変わるものである。例えば、アセタール
化度が増加すると、水以外の溶剤に対する溶解性が高く
なり、耐水性が高くなる。このため、エステルや可塑剤
に対する相溶性がよくなるだけでなく、軟化性が増加す
ることがわかっている。また、重合度が大きくなるにつ
れて、塗膜強度や軟化点が高くなり、溶液粘度も高くな
る。一方、ブチラール樹脂とホルマール樹脂を比較する
と、溶剤溶解性、接着性(密着性)、可塑性はブチラー
ル樹脂の方が高く、耐熱性や耐摩擦・傷性はホルマール
樹脂の方が高い。
【0044】前記ポリビニルアセタール樹脂を画像受像
層中に含有することが好ましい理由は、以下の通りであ
る。ポリビニルアセタール樹脂を画像受像層に用いるの
は、画像受像層と、画像支持体である紙やPETフィル
ムとの接着性(密着性)、及び画像形成材料との接着性
が向上するからである。また、新しいカラー画像形成材
料中のワックス等の離型剤や樹脂だけでなく、前記画像
受像層中の硬化性シリコーン樹脂や後述する離型性材料
と親和性がよく、相溶するため、塗膜として形成した画
像受像層の透明性が維持できるからでもある。さらに、
前記離型性材料として、各種官能基を持った反応性シラ
ン化合物を用いると、ポリビニルアセタール樹脂と架橋
反応し、三次元的構造となるため、繰り返し画像を定
着、剥離するために必要とされる表面の耐熱性、及び、
硬度が向上し、長期に亘って画像記録体を使用できるよ
う制御し得るからである。
【0045】前記ポリビニルアセタール樹脂の平均重合
度は、200〜3,000が望ましく、300〜2,0
00がより好ましい。平均重合度が200に満たないと
高分子としての諸性能が発現せず、例えば塗膜強度等が
満たされなくなることがある。また、平均重合度が3,
000を超えると塗工液粘度が高くなりすぎ、塗工膜の
均一性確保、膜厚制御等が難しくなってくる場合があ
る。
【0046】また、本発明では平均重合度の異なる、少
なくとも2種以上のポリビニルアセタール樹脂を同時に
混合して使用することが、その混合比、硬化条件、添加
量等により、両者の中間的な性質を発現させ得るため好
ましい。これにより、画像定着性や画像剥離性、塗膜強
度を、さらに自由に制御することが可能となる。
【0047】本発明におけるポリアセタール樹脂の含有
量は、前記硬化性シリコーン樹脂との質量比(ポリアセ
タール樹脂/硬化性シリコーン樹脂)を10/90〜8
5/15とすることが好ましく、60/40〜80/2
0とすることがより好ましい。ポリアセタールの含有量
が、上記好ましい範囲未満の場合には、離型性が高すぎ
て定着性が悪くなる場合があり、上記好ましい範囲を越
える場合には、画像受像層と画像形成材料との接着性が
高くなりすぎ、画像剥離が困難になる場合がある。
【0048】次に、本発明に好適に用いられるポリエス
テル樹脂について説明する。本発明においては、画像受
像層中にポリエステル樹脂を含有させることにより、画
像受像層と、画像支持体である紙やプラスチックフィル
ムとの接着性、画像形成材料との接着性を向上させるこ
とができ、また、画像受像層を構成する樹脂の溶剤への
溶解性等を向上させ、製造を容易にすることができる。
【0049】ポリエステル樹脂としては、ガラス転移温
度(以下、「Tg」という場合がある。)が50℃以上
のものを用いるが、特に、Tgが55〜150℃のもの
を用いることが好ましく、Tgが60〜75℃のものを
用いることがより好ましい。Tgが50℃より低いと樹
脂の軟化点が低くなり、トナー定着等の加熱時に粘性が
発現し、画像形成材料を強定着してしまい、画像剥離が
困難となる場合がある。一方、Tgが150℃より高い
と、画像受像層と画像支持体との接触が不良となった
り、薄膜化したときの製造不良の原因となったりする場
合がある。
【0050】また、数平均分子量は、10,000〜5
0,000のものを用いるが、特に、15,000〜2
5,000のものを用いることが好ましい。数平均分子
量が10,000未満であると、加熱時に軟化し易くな
ったり、可とう性がなくなったりする場合がある。数平
均分子量が50,000を越えると塗液の粘性が高くな
り、塗工膜の均一性の確保、膜厚制御等が困難になる場
合がある。Tg、数平均分子量が前記範囲にある樹脂
は、概して軟化点が160〜180℃付近であるため、
熱による画像定着時の画像受像層の耐熱性を向上させる
ことができる。前記特性を有するポリエステル樹脂とし
ては、特に非晶性線状飽和ポリエステル樹脂が好まし
い。
【0051】一方、電子写真用トナーの結着樹脂として
使用されるポリエステル樹脂は、一般に、多価ヒドロキ
シ化合物と、多塩基カルボン酸またはその反応性酸誘導
体と、の反応によって製造されており、特にビスフェノ
ールAと芳香族多価カルボン酸とを主単量体成分とした
重縮合物からなる、線状ポリエステル樹脂を用いること
が多い。その物性としては、ガラス転移温度(Tg)が
50〜70℃、数平均分子量が2,000〜6,000
のものが好ましく用いられている。本発明の画像記録体
の画像受像層に好適に使用されるポリエステル樹脂と、
電子写真用のトナーのポリエステル樹脂とでは、ガラス
転移温度の範囲が同領域に含まれるが、数平均分子量の
範囲が異なる。
【0052】非晶性線状飽和ポリエステル樹脂として
は、二価ヒドロキシ化合物と、二価カルボン酸またはこ
れらの低級アルキルエステル、酸無水物、及び酸ハロゲ
ン化物等の反応性酸誘導体と、から得られるものが挙げ
られる。
【0053】二価ヒドロキシ化合物の具体例としては、
HO(CH22OH、HO(CH23OH、OH(CH
24OH、HO(C24O)nH(nは2以上の整数 で
ある。)、及び下記構造式で表される化合物等が挙げら
れる。
【0054】
【化1】
【0055】二価カルボン酸の具体例としては、HOO
C=COOH、HOOC(CH22COOH、HOOC
(CH24COOH、HOOC(CH28COOH、H
OOCCH2C(CH32COOH、及び下記構造式で
表される化合物等が挙げられる。なお、式中のRはH、
CH3を表す。
【0056】
【化2】
【0057】これらを複数用いて多成分系のコポリマー
(ランダム共重合体)組成にすると、高融点で溶剤への
溶解性のよいポリマーを合成することができる。非晶性
線状飽和ポリエステル樹脂は、分子鎖の末端にヒドロキ
シ基またはカルボキシル基を有していることから、任意
の硬化剤(イソシアネート系、エポキシ系、メラミン
系、フェノール系化合物)を添加し反応させることによ
り、画像受像層の接着性、耐熱性、表面硬度を向上させ
ることができる。従って、この硬化剤の添加により、画
像受像層の繰り返しの画像定着・画像剥離性能を向上さ
せることができる。
【0058】硬化剤としては、良好な反応性を示すこと
からイソシアネート系化合物が好ましいが、種々の硬化
剤を組み合わせて用いることにより、本発明に適した画
像受像層を形成することができる。このような硬化剤の
含有量は、前記非晶性線状飽和ポリエステル樹脂全質量
に対して、0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質
量%がより好ましい。含有量が0.5質量%より少ない
と、架橋反応が進まず、粘着性が発現することがあり、
含有量が15質量%より多いと、被膜が脆くなることが
ある。
【0059】本発明におけるポリエステル樹脂の含有量
は、該ポリエステル樹脂と前述した硬化性シリコーン樹
脂との質量比(ポリエステル樹脂/硬化性シリコーン樹
脂)を50/50〜95/5とすることが好ましく、8
0/20〜92.5/7.5とすることがより好まし
い。ポリエステル樹脂の含有量が、上記好ましい範囲よ
り少ないと、硬化性シリコーン樹脂の影響が大きくな
り、定着ロールのオイルが画像受像層表面で小さな玉に
なり易く、そのため画像支持体が透明フィルムの場合で
は、光の透過度が低下し投影画像に影響を及ぼしたり、
オイルのベタつき感が大きくなったりしてしまうことが
ある。また、ワックスが多いトナーを用いた場合にも、
定着後にワックスの残存像等が残りやすくなってしま
う。特に、含有量が10/90以上で50/50未満で
はポリエステル樹脂と硬化性シリコーン樹脂との相溶性
が悪くなり、画像受像層としての塗膜が白色化してしま
うことがあるため、画像支持体を透明フィルムとする場
合には、大きな問題となる。一方、含有量が、上記好ま
しい範囲を越えると、定着画像の離型性が不十分となる
ことがある。
【0060】本発明においては、画像受像層に熱可塑性
樹脂としてポリエステル樹脂と、前記ポリアセタール樹
脂と、を混合して用いることができる。前記両樹脂を混
合して用いた場合には、ポリエステル樹脂のトナー樹脂
との親和性、相溶性と、ポリアセタール樹脂の硬化性シ
リコーン樹脂との相溶性と、を併せ持つ画像受像層を得
ることができるため好適である。ポリエステル樹脂とポ
リアセタール樹脂との混合比(ポリエステル樹脂/ポリ
アセタール樹脂)は、10/90〜50/50であるこ
とが好ましく、20/80〜40/60であることがよ
り好ましい。
【0061】本発明における画像受像層は、必要に応じ
て離型性材料を含有することが望ましい。画像受像層の
離型性材料としては、トナー等の画像形成材料に対して
離型性を有するものであればよく、具体的にはフッ素化
合物、ワックス、及びケイ素化合物などが挙げられ、こ
れらを単独で、または混合して用いることができる。
【0062】フッ素化合物としては、フッ素系ポリマ
ー、フッ素オイル等が挙げられる。フッ素系ポリマーの
具体例としては、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチ
レン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエ
チレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプ
ロピレン等のフッ素含有モノマーから合成されたポリマ
ー及びコポリマー;前記フッ素含有モノマーとエチレ
ン、パーフルオロアルキルビニルエーテルまたはアクリ
ル樹脂とのコポリマー;並びにパーフルオロアルケニル
ビニルエーテルを環化重合させたポリマーなどのパーフ
ルオロ脂肪族環構造を有するポリマー;等がある。ま
た、これらのポリマーをエラストマー(ゴム)化したも
のやフッ素系オイル等も使用できる。
【0063】フッ素系オイルとしては、一般式が、X−
CF2(OC24p(OCH2qOCF2−Xで示され
るパーフルオロポリエーテル;具体的にはXが、OCN
−C63(CH3)NHCO−で表されるイソシアネー
ト変性物、−COOHで表されるカルボキシル基変性
物、−CH2OH、−CF2CH2(OCH2CH2nOH
等で表されるアルコール変性物、−COOR等で表され
るエステル変性物、等が挙げられる。なお、上記式にお
いてp、q、及びnは整数を表し、Xは変性基、Rは有
機基を表す。
【0064】ワックスとしては、低分子量ポリエチレン
ワックス、低分子量酸化型ポリエチレンワックス、低分
子量ポリプロピレンワックス、低分子量酸化型ポリプロ
ピレンワックス、高級脂肪酸ワックス、高級脂肪酸エス
テルワックス、サゾールワックス、カルナバワックス、
密ロウ、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイ
クロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0065】ケイ素化合物としては、有機ケイ素化合
物、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、及びシリコーン
オイル等が挙げられ、有機ケイ素化合物としては、シラ
ン化合物、シランカップリング剤、フッ素含有シラン化
合物及びイソシアネートシラン化合物が挙げられる。
【0066】シラン化合物としては、Si(OC
34、CH3Si(OCH33、HSi(OC
33、(CH32Si(OCH32、CH3SiH
(OCH32、C6 5Si(OCH33、Si(OC2
54、CH3Si(OC253、(CH32Si(O
252、H2Si(OC252、C65Si(OC2
53、(CH 32CHCH2Si(OCH33、CH3
(CH211Si(OC253、CH3(CH215Si
(OC253、CH3(CH217Si(OC253
のアルコキシシラン類;(CH33SiNHSi(CH
33などのシラザン類;((CH33SiNH)2
O、tert−C49(CH32SiCl等の特殊シリ
ル化剤類;シランカップリング剤;及びHSC36Si
(OCH33などのシラン化合物並びにこれらの加水分
解物及び部分縮合物;等が挙げられる。
【0067】なお、上記シランカップリング剤として
は、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランな
どのビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン等のアクリルシラン類;β−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等の
エポキシシラン類;N−β−(アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類;等が挙
げられる。
【0068】フッ素含有シラン化合物類としては、例え
ば、CF3(CH22Si(OCH33、C61324
Si(OCH33、C715CONH(CH23Si
(OC253、C81724Si(OCH33、C8
1724SiCH3(OCH3 2、C81724Si
(ON=C(CH3)(C25))3、C91924
i(OCH33、C91924Si(NCO)3、(N
CO)3SiC2461224Si(NCO)3、C9
1924Si(C25)(OCH32、(CH3O)3
SiC2481624Si(OCH33、(CH
3O)2(CH3)SiC91824Si(CH3)(O
CH32等、及びこれらの加水分解物またはその部分縮
合物等が挙げられる。
【0069】また、イソシアネートシラン化合物類とし
ては、(CH33SiNCO、(CH32Si(NC
O)2、CH3Si(NCO)3、ビニルシリルトリイソ
シアネート、C65Si(NCO)3、Si(NC
O)4、C25OSi(NCO)3、C817Si(NC
O)3、C1837Si(NCO)3、(NCO)3SiC2
4Si(NCO)3などが挙げられる。
【0070】シリコーンゴムは、ミラブル型と液状とに
大別できるが、ミラブル型シリコーンゴムには、ジメチ
ル系、メチルビニル系、メチルフェニルビニル系及びメ
チルフルオロアルキル系等の直鎖状で高重合度のポリオ
ルガノシロキサンを主原料とし、補強充填剤、各種添加
剤を配合し、次いで加硫剤を添加して加熱硬化したもの
がある。液状シリコーンゴムには、室温で硬化する縮合
型シリコーンゴム、白金系触媒を用いて加熱硬化させる
付加型シリコーンゴム及び紫外線硬化型シリコーンゴム
等がある。また、前記シラン化合物をエラストマー化し
たシリコーンゴムもある。本発明では、いずれのシリコ
ーンゴムも用いることができる。
【0071】シリコーン樹脂は、分子中に2、3または
4官能性単位を多く取り入れた高分子量のポリシロキサ
ンで、シリコーンレジン及びその溶液であるシリコーン
ワニスをいう。シリコーンワニスには、シリコーンアル
キドワニス、シリコーンエポキシワニス、シリコーンポ
リエステルワニス、その他、アクリル樹脂、フェノール
樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂等と反応させて変性
したワニスが例示できる。
【0072】シリコーンオイルとしては、ジメチルポリ
シロキサンやメチルフェニルポリシロキサンタイプのシ
リコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイ
ル、及び分子中に反応基を導入した反応性シリコーンオ
イルが挙げられ、反応性シリコーンオイルとしては、シ
ラノール変性、カルボキシ変性、アミノ変性、エポキシ
変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト
変性、及びフェノール変性、及び、これらの異種の反応
基を導入したシリコーンオイルなどが挙げられる。
【0073】特に、本発明においては、これらのシリコ
ーンオイルと前記シラン化合物とを混合して使用するこ
とにより、比較的少量の添加で、飛躍的に画像受像層の
離型性が向上するため、先に述べた樹脂との相溶性が問
題にならず、これら離型性材料の中で、最も好ましいも
のである。
【0074】離型性材料の添加量は、用いる離型性材料
の種類によっても異なるが、硬化性シリコーン樹脂と熱
可塑性樹脂とを合わせた樹脂100質量部に対し、0.
1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量
部であることがより好ましい。離型性材料の添加量が、
0.1質量部未満の場合には、画像形成材料に対して効
果的に離型性が発現されない場合があり、10質量部を
越える場合には、離型性が大きくなりすぎ、画像支持体
と画像受像層との接着性が低下する場合がある。
【0075】本発明においては、画像記録体の搬送性を
向上させるため、画像記録体の最表面層が、マット化剤
を含有することが好ましい。前記マット化剤を含有する
表面層は、本発明においては、画像受像層と同一構成材
料中にマット化剤を含有させ、前記画像受像層表面に別
途設けてもよいが、画像受像層として形成される層にマ
ット化剤を含有させてもよい。
【0076】上記マット化剤を構成する材料としては、
潤滑性を有する樹脂としてポリエチレン等のポリオレフ
ィン及びポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポ
リテトラフルオロエチレン(テフロン(R))等のフッ
素樹脂を挙げることができる。また、上記樹脂のマット
化剤の平均粒径は、0.1〜10μmの範囲が好まし
く、特に1〜5μmの範囲が好ましい。上記平均粒径
は、大きい方が好ましいが、大きすぎるとマット化剤が
受像層から離脱する粉落ち現象が生じてしまい、表面が
損傷しやすくなる場合がある。
【0077】その他のマット化剤としては、無機微粒
子、例えばSiO2、Al23、タルクまたはカオリン
等、及びビーズ状プラスチックパウダー、例えば架橋型
ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネ
ート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンなど
が用いられ、またこれらのマット化剤を2種以上併用し
てもよい。
【0078】前記マット化剤の含有量は、マット化剤が
画像受像層に含まれる場合、画像受像層形成材料全質量
に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5
質量%であることがより好ましい。前記含有量が、0.
1質量%未満の場合には、マット化剤を含有することに
より得られる効果を有効に得ることができないことがあ
る一方、10質量%を超える場合には、ヘイズ(曇り
度)が高くなったり、光透過性が低下したりすることが
ある。
【0079】本発明における画像受像層の膜厚は0.1
μm以上であることが好ましい。0.1μm未満では、
画像受像層として画像形成材料を十分に受容できなくな
ることがあり、粒径が数μmのマット化剤を混入させた
場合には、それを保持できなくなることがあるからであ
る。また、膜厚の上限は、通常画像受像層として必要と
される膜厚の範囲内であり、100μm程度である。
【0080】本発明における画像受像層は、前記の材料
を溶液または分散液として、画像支持体表面に塗布する
ことによって形成されたものである。画像支持体表面に
被膜を形成する際の塗布、または含浸の方法としては、
ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーテイング
法、スプレーコーテイング法、浸漬コーテイング法、ビ
ードコーテイング法、エアーナイフコーテイング法、カ
ーテンコーテイング法、ロールコーテイング法等の通常
用いられる方法が採用される。塗布あるいは含浸後の乾
燥は、風乾でもよいが、熱乾燥を行えばより早く乾燥で
きる。熱乾燥方法としては、オーブンに入れる方法、オ
ーブンに通す方法など公知の方法が採用される。
【0081】〔画像支持体〕次に、本発明の画像記録体
に用いられる画像支持体について説明する。本発明で用
いられる画像支持体は、紙(普通紙、コート紙)、金
属、プラスチック、セラミックであり、さらにこれらは
フィルム状のものが好ましい。具体的に使用可能な画像
支持体としては、一般的に電子写真記録で用いられる普
通紙記録用紙、熱転写記録で利用される熱転写用紙、高
級印刷などで用いられる加工紙、微塗工紙、及びOHP
などに用いられているポリエステルフィルムやスチレン
−アクリル樹脂フィルムなどを挙げることができる。
【0082】本発明において、紙を画像支持体とする場
合、この紙に使用するパルプは、化学パルプとしては、
例えば、広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフト
パルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒クラフトパル
プ、針葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒亜硫酸パル
プ、ソーダパルプなどの木材及びその他の繊維原料を化
学的に処理し、晒し工程を経てつくられたバージンの晒
ケミカルパルプが好ましく、さらに白色度の高いものが
好ましい。また、古紙パルプとしては、例えば、製本、
印刷工場、裁断所などにおいて発生する裁落、損紙、幅
落としした古紙である上白、特白、中白、白損などの未
印刷古紙を解離した古紙パルプ;上質紙、上質コート
紙、中質紙、中質コート紙、更紙などに、平版、凸版、
凹版などの印刷、電子写真方式、感熱方式、熱転写方
式、感圧記録紙、インクジェット記録方式、カーボン紙
等により印字された古紙、及び水性、油性インキや鉛筆
などで筆記した古紙、新聞古紙、等を解離後、各古紙に
最適な方法で脱墨した古紙パルプ;比較的脱墨容易に平
版印刷された古紙パルプ;等が好ましく、その中でもさ
らに白色度が高く夾雑物の少ない古紙パルプが好まし
い。
【0083】画像支持体としての紙は多孔性であり、液
体がしみ込み易いため、画像受像層を形成するための塗
工溶液を均一に塗布するために、紙に目止め処理を行っ
てもよい。目止め処理は、ポリエチレン、クレーバイン
ダー、PVA、でんぷん、カルボキシメチルセルロース
等をそれぞれ溶解、あるいは分散させた溶液を、予め紙
に塗布、乾燥し、それぞれの被膜を形成することにより
行う。
【0084】また、画像受像層としての樹脂被膜により
紙の表面が透明化し、紙の風合いや白色性を損なうこと
が懸念される場合には、酸化ケイ素、酸化チタン、炭酸
カルシウムなどの白色の金属酸化物微粒子や、有機の白
色顔料等を含有する層を画像支持体表面に設けることが
好ましい。これらの白色顔料を、硬化性シリコーン樹
脂、非晶性線状飽和ポリエステル樹脂と硬化剤、及び離
型性材料等の入った画像受像層塗工液に添加して、画像
受像層を形成すれば紙の白色性は維持されるため、この
場合には、上記白色化のための層を別に形成する必要は
ない。白色顔料は、画像受像層全体質量に対して、10
〜30質量%程度添加される。
【0085】本発明で用いられる画像支持体として、代
表的なものはプラスチックフィルムである。この中で、
OHPに使用できるような光透過性のあるフィルムに
は、アセテートフィルム、三酢酸セルローズフィルム、
ナイロンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボ
ネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリフェニレ
ンサルファイドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポ
リイミドフィルム、セロハン等があり、現状では機械
的、電気的、物理的、化学的特性、加工性など総合的な
観点から見て、ポリエステルフィルム、特に二軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルムが好適に用いられ
る。
【0086】画像支持体としてプラスチックフィルムが
用いられる場合、温度や湿度などの環境による画像劣化
等を防止するために、その画像受像層表面の表面抵抗値
を23℃、55%RHで、1×108〜1×1013Ωの
範囲とすることが好ましく、1×109〜1×1012Ω
の範囲とすることがより好ましい。表面抵抗値が1×1
8Ω未満の場合には、特に、高温高湿時に画像記録体
の抵抗値が低くなりすぎ、転写部材からのトナー(転写
時)が乱れる場合があり、表面抵抗値が1×1013Ωを
越える場合には、画像記録体としての抵抗値が高くなり
すぎ、転写部材からのトナーを画像記録体表面に移行で
きず、転写不良による画像欠陥が発生する場合がある。
【0087】また、本発明の画像記録体においては、表
裏面の表面抵抗値差が3桁以内であることが好ましく、
1.5桁以内であることがより好ましい。表面抵抗値差
が3桁を越える場合、例えば画像非記録面の表面抵抗値
に対し、画像記録面の表面抵抗値が3桁を越えて高い場
合には、転写時において画像記録体表面のトナー画像が
バラけてしまうことがある。なお、表面抵抗値差が3桁
以内であるとは、画像記録体の片面の表面抵抗値が10
XΩ、もう一方の面の表面抵抗値が10YΩであるとき、
X、Yが|X−Y|≦3なる関係を満たす範囲内にある
ことをいう。
【0088】なお、上記画像記録体の表面抵抗値は、円
形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの
「HRプローブ」)を用い、JIS K6991に従っ
て測定することができる。
【0089】〔下塗り層〕本発明においては、表面抵抗
値を上記範囲に制御するために、界面活性剤や導電性酸
化物微粒子などを含有する抵抗調整層を、必要に応じて
下塗り層として画像支持体表面に形成することができ
る。
【0090】導電性酸化物微粒子の材料としては、Zn
O、TiO、SnO2、Al23、In23、SiO、
SiO2、MgO、BaO及びMoO3をあげることがで
きる。これらは、単独で用いてもよく、これらの2種以
上を混合してを用いてもよい。また、金属酸化物は、異
種元素をさらに含有するものが好ましく、例えば、Zn
Oに対してAl、In等、TiOに対してNb、Ta
等、SnO2に対してSb、Nb、ハロゲン元素等をド
ーピングした金属酸化物などが、経時的にも導電性の変
化が少なく安定性が高いので、特に好ましい。これらは
1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、界面活性剤としては、エチレンオキサイド系非イ
オン性界面活性剤などが用いられる。
【0091】下塗り層を形成するための樹脂は、画像支
持体及び画像受像層との接着性がよい、画像受像層塗工
に使用される溶剤に侵されない等の観点から選択され
る。なお、画像受像層塗工液が有機溶剤系であれば、下
塗り層塗工液は水系であることが好ましい。下塗り層の
塗工には、ブレードコーティング法、スプレーコーティ
ング法等通常使用される方法が採用され、下塗り層の膜
厚は0.1〜2μmであることが好ましい。
【0092】本発明の画像記録体は、前述したように、
特に、離型剤を含有してなる画像形成材料により画像を
記録する画像記録体として好適に用いられるものであ
る。画像形成材料に含有される離型剤としては、ワック
ス等の従来公知の離型剤が挙げられ、具体的には例え
ば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、
高級脂肪酸ワックス、高級脂肪酸エステルワックス、サ
ゾールワックス、カルバナワックス、蜜ロウ、モンタン
ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリン
ワックス等が挙げられる。
【0093】以上のような、本発明の再生可能な画像記
録体を使用して、電子写真法によって画像が記録された
画像受像層から画像を除去し、画像記録体を再生する画
像剥離装置を、以下、図面を参照しつつ、詳細に説明す
る。図1は、本発明の画像記録体を再生する場合に適用
される画像剥離装置の一例を示す概略構成図である。図
1に示す画像剥離装置は、図のA側部分である、ブレー
ドやブラシ等の機械的な接触擦過で画像除去を行う第1
画像剥離部と、図のB側部分である、画像形成面に画像
剥離部材を接触させ、これらを加熱して画像を該画像剥
離部材へ転移させることにより画像除去を行う第2画像
剥離部と、からなる。
【0094】第1画像剥離部においては、ブラシロール
10(接触擦過部材)を内蔵したブラシユニット11
と、ブラシロール10に対向して配置された圧接ロール
12と、が備えられている。ブラシロール10のブラシ
材料は豚毛、羊毛、樹脂及び金属からなる線材等であ
る。また、圧接ロール12の基材は、ステンレス(SU
S)またはアルミニウムであり、その基材表面に耐熱性
のシリコーンゴム弾性層と、さらにその表面に離型層と
が設けられている(図示せず)。一方、第2画像剥離部
においては、支持駆動ロール13と、支持ロール14
と、画像記録体8を画像剥離ベルト15から剥離するた
めに画像剥離ベルト15に曲率を与える支持部材19
と、により画像剥離ベルト15が張架されている。支持
駆動ロール13、及び支持ロール14は、SUSまたは
アルミニウム基材からなっており、その基材表面に耐熱
性のシリコーンゴム弾性層を有している(図示せず)。
支持駆動ロール13、及び支持ロール14の内部には、
それぞれ加熱ヒーター17、18が備えられ、画像剥離
ベルト15の表面層が、画像形成材料9の軟化点以上融
点以下になるように温度調整される。ここで画像剥離ベ
ルト15には画像形成材料9(トナー)と同一の材料か
らなる表面層が設けられている(図示せず)。さらに、
支持駆動ロール13に対向する位置に、画像剥離ベルト
15を介して圧接ロール16が圧接されている。圧接ロ
ール16の基材は、SUSまたはアルミニウムであり、
その基材表面に耐熱性シリコーンゴム層と、さらにその
表面に離型層とが設けられている(図示せず)。離型層
の具体例としては、離型性の高いフッ素ゴムやPFA・
PTFE等のフッ素樹脂が挙げられる。
【0095】図1に示す画像剥離装置では、まず第1画
像剥離部で、供給トレイ20に入った、記録画像(画像
形成材料9)が表面に形成された画像記録体8が、記録
画像面を、図面上、下に向けて、ピックアップロール2
1により取り出され、そして、1対の搬送ロール22に
より、ブラシロール10と圧接ロール12とで形成され
たニップ部に搬送される。該ニップ部を通過する際に、
画像記録体8表面の記録画像(画像形成材料9)が、回
転するブラシロール10により擦り取られる。次に第2
画像剥離部では、支持駆動ロール13に巻回される画像
剥離ベルト15と、圧接ロール16とで形成されたニッ
プ部に、記録画像が擦り取られた画像記録体8が通過す
る。その際、支持駆動ロール13における加熱ヒーター
17により、ブラシロール10による擦り残しや、擦り
取りの際発生した粉状の画像形成材料9が溶融され画像
剥離ベルト15の表面に接着される。そして、前記ニッ
プ部を通過した画像記録体8は、画像剥離ベルト15上
の支持部材19が配置された位置で、画像記録体8自体
のコシの強さ等でその曲率に沿えず、その先端が画像剥
離ベルト15から離れる。その際、画像記録体8から、
ブラシロール10による擦り残しや、擦り取りの際発生
した粉状の画像形成材料9が、画像剥離ベルトによって
接着除去される。その後、画像記録体8は、排出口へ導
くための搬送補助部材31等により搬出され再生され
る。なお、支持ロール14に画像剥離ベルト15を介し
て対向する位置には、セラミックヒーター23を有する
加熱ブレード(膜厚制御ブレード)24が、画像剥離ベ
ルト15に当接状態で配されている。この加熱ブレード
24は、画像剥離ベルト15の表面層の膜厚を所定の厚
さ(例えば10μm〜300μm)内に制御するための
ものである。このため、表面に接着除去された余分な画
像形成材料9が、加熱ブレード24により削り取られ、
回収ボックス25に回収される。また、支持駆動ロール
13、支持ロール14、加熱ブレード24には、それぞ
れの温度を制御するため、温度センサー26、27、2
8が備えられている。
【0096】
【実施例】以下に、実施例によって本発明をより具体的
に説明するが、本発明は、これらに限定されるものでは
ない。なお、以下の記述において、「部」とあるのは
「質量部」を意味する。
【0097】(実施例1) −導電性下塗り層(抵抗調整層)塗工液の調製− 二酸化スズ(商品名:SN−88、石原産業社製)2
2.5部と、エチレンオキサイド系非イオン界面活性剤
(商品名:EMALEX/NP8.5、日本エマルジョ
ン社製)1.6部と、水分散型アクリル樹脂(商品名:
ジェイマーET−410、日本純薬社製)14.2部
と、を純水960部に十分攪拌混合し、導電性下塗り層
塗工液を調製した。
【0098】−画像受像層塗工用基材の作製− コロナ放電処理を行った厚さ125μmのポリエチレン
テレフタレート(PET)フィルムに、前記の導電性下
塗り層塗工液をアプリケータで表裏面とも塗工し、11
0℃で1分乾燥を行い、膜厚約0.1μmの抵抗調整層
を設けた画像受像層塗工用基材を作製した。なお、この
抵抗調整層の表面抵抗値は23℃、55%RHの条件下
で1.5×1010Ωであった。
【0099】−画像記録体(OHP用透明シート)の作
製− 光硬化性のアクリル変性シリコーン樹脂(商品名:UV
HC1103、GE東芝シリコーン(株)社製)200
部と、ポリビニルアセタール樹脂としてポリビニルブチ
ラール樹脂(商品名:デンカブチラール#3000−
K、平均重合度:約800、電気化学工業社製)20部
と、を酢酸エチル1,800部に攪拌溶解し、この溶液
に、離型性材料としてテトライソシアネートシラン及び
アミノ変性シリコーンオイル(商品名:TSF470
2、GE東芝シリコーン社製)を1:1の質量割合で酢
酸エチルに2.5質量%濃度で混合した溶液を50部
と、ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名:TS
F4452、GE東芝シリコーン社製)1部と、さらに
マット化剤として架橋型PMMA(商品名:MX−18
0;平均粒径1.8μm、綜研化学社製)0.5部と、
を加え、また、抵抗制御剤として4級アンモニウム塩
(商品名:バイオニンB−144V、竹本油脂(株)社
製)100部を加え、十分攪拌混合し、画像受像層用の
塗工液1を作製した。
【0100】この塗工液1を、前記作製した画像受像層
塗工用基材表面にワイヤーバーで塗工し、風乾後、12
0℃で5分間乾燥を行った。その表面を光照射装置を用
いて、約20cmの照射距離から160W/cm2の強
度で1分間照射して、光硬化反応を行わせ、前記光硬化
性のアクリル変性シリコーン樹脂と、ポリビニルブチラ
ール樹脂と、ポリエーテル変性シリコーンオイルと、離
型性材料と、を含む膜厚1μmの画像受像層が設けられ
た画像記録体を作製した。なお、得られた画像記録体の
画像受像層側の表面抵抗値は、23℃、55%RHの条
件下で7.7×1012Ωであった。また、可視域の透過
率は90%以上あり十分な透明性を有していた。
【0101】−画像記録体の評価− 前記画像記録体について、以下に示す評価を行った。 <定着性評価>画像形成材料にワックスを多く混入させ
ることでオイルレス定着を可能にした、オイルレス定着
装置搭載のカラープリンターDocuPrint C6
20(富士ゼロックス社製)を用い、前記画像記録体に
各色ベタ画像を印字して、画像の定着性を評価した。な
お、画像の定着性評価は以下のようにして行った。ま
ず、X−Rite938濃度計(X−Rite社製)を
用いて定着ベタ画像の画像濃度を測定し、特に画像濃度
が約1.6の画像部分に、市販の18mm幅の粘着テー
プ(商品名:セロテープ(R):ニチバン社製)を20
0g/cmの線圧で、ロールにより圧接しながら貼り付
け、10mm/secの速さで180度テープ剥離を行
った。このとき、テープ剥離前の画像濃度に対するテー
プ剥離後の画像濃度の比((テープ剥離後の画像濃度)
/(テープ剥離前の画像濃度))(以下、「OD比
(1)」という場合がある。)を算出し、以下の評価基
準によって定着性を評価した。結果を表1に示す。 [評価基準] ・OD比(1)が、0.9以上である場合 ・・・ ◎ ・OD比(1)が、0.8以上0.9未満である場合 ・・・ ○ ・OD比(1)が、0.5以上0.8未満である場合 ・・・ △ ・OD比(1)が、0.5未満である場合 ・・・ × なお、実用上、このOD比(1)は、0.8以上である
ことが必要である。
【0102】<オフセット性の評価>前記定着性の評価
において、画像形成の際、定着ロールへのトナーオフセ
ットの程度を目視により観察し、以下の基準により、オ
フセット性を評価した。結果を表1に示した。 [評価基準] ・オフセットが全く観察されない場合 ・・・ ◎ ・極一部にオフセットが観察された場合 ・・・ ○ ・部分的にオフセットが観察された場合 ・・・ △ ・全面的にオフセットが観察された場合 ・・・ ×
【0103】<ワックスゴーストの評価>前記オイルレ
ス定着装置を搭載したカラープリンターDocuPri
nt C620(富士ゼロックス社製)を用いて、ベタ
画像を印字し、後述する画像剥離性の評価と同様にして
画像を剥離した。そして、再度、ベタ画像を印字した。
この画像出力時、ベタ画像のパッチを先頭に出力し、残
り部分を非画像部としたときに、非画像部分に見られ
る、先のベタ画像に起因したワックスによる残存画像
(ゴースト)の程度を、ヘイズ値(曇り度)の測定(H
AZE反射率計HR−100:MURAKAMI CO
LOR RESEARCH RABORATORY製)
により評価した。このとき、画像剥離後のヘイズ値と画
像剥離前のヘイズ値との差((画像剥離後のヘイズ)−
(画像剥離前のヘイズ値))(以下、「Δヘイズ値」と
いう場合がある。)を算出し、以下の評価基準によって
ワックスゴーストを評価した。結果を表1に示す。 [評価基準] ・Δヘイズ値が、0.8未満である場合 ・・・ ◎ ・Δヘイズ値が、0.8以上1.5未満である場合 ・・・ ○ ・Δヘイズ値が、1.5以上3.0未満である場合 ・・・ ○− ・Δヘイズ値が、3.0以上4.5未満である場合 ・・・ △ ・Δヘイズ値が、4.5以上である場合 ・・・ × なお、実用上、このΔヘイズ値は、3.0未満である
(投影画像にゴースト映像が大きく目立たない領域であ
る)ことが望まれる。
【0104】<画像剥離性の評価>図1に示す画像剥離
装置のうち、A側の第1画像剥離部のみを用いて画像剥
離評価を行った。ブラシ材質が豚毛製で、ブラシ太さ平
均約150μm、ブラシ高さ4mm、ブラシ先端の外径
が40mmのブラシロール10を圧接ロール12にニッ
プ幅4mmで接触するよう調整し、さらにブラシロール
10の回転スピードを1500rpmとし、画像記録体
の進行方向に対してアゲインスト方向に回転させた。な
お、画像剥離プロセススピードを40mm/secに設
定した。上記のように設定された画像剥離装置により、
前記画像定着性の評価で画像定着された画像記録体につ
いて画像剥離を行った。このとき、画像剥離前後の画像
濃度を前記X−Rite938濃度計で測定し、画像剥
離前の画像濃度に対する画像剥離後の画像濃度の比
((画像剥離後の画像濃度)/(画像剥離前の画像濃
度))(以下、「OD比(2)」という場合がある。)
を算出し、以下の評価基準によって画像剥離性を評価し
た。結果を表1に示す。 [評価基準] ・OD比(2)が、0.025未満である場合 ・・・ ◎ ・OD比(2)が、0.025以上0.08未満である場合 ・・・ ○ ・OD比(2)が、0.08以上0.20未満である場合 ・・・ △ ・OD比(2)が、0.20以上である場合 ・・・ × なお、実用上、このOD比(2)は、0.08未満であ
ることが望まれる。
【0105】<画像剥離後の投影画像欠陥の評価>前記
画像剥離性の評価において、画像剥離の際に画像受像層
に付けられた傷等による画像欠陥の程度を目視により観
察し、以下の基準により投影画像欠陥を評価した。その
結果を表1に示す。 [評価基準] ・傷等による投影欠陥が全く観察されない場合 ・・・ ◎ ・一部に傷等による投影欠陥が観察された場合 ・・・ ○ ・部分的に傷等による投影欠陥が観察された場合 ・・・ △ ・全面的に傷等による投影欠陥が観察された場合 ・・・ ×
【0106】<繰り返し性の評価>前記定着性の評価に
おける画像定着と、前記画像剥離性の評価における画像
剥離とを交互に10回ずつ繰り返して行い、10回目の
OD比(2)を、初回のOD比(2)と比較し、以下の
評価基準によって繰り返し性を評価した。結果を表1に
示す。 [評価基準] ・OD比(2)がほとんど変化しなかった場合 ・・・ ◎ ・OD比(2)は増加したが0.08未満であった場合 ・・・ ○ ・OD比(2)が増加し0.08以上0.20未満であった場合 ・・・ △ ・OD比(2)が大きく増加し0.20以上であった場合 ・・・ ×
【0107】(実施例2) −画像支持体(OHPフィルム)の作製− 熱硬化性シリコーン樹脂(商品名:SHC900、固形
分量:約30質量%、Ge東芝シリコーン社製)80部
と、ポリビニルホルマール樹脂(商品名:デンカホルマ
ール#30、電気化学工業社製)20部と、さらにポリ
エステル樹脂(商品名:バイロン300、東洋紡績社
製)4部と、をトルエン/エタノール(質量比6/4)
混合溶液190部に攪拌溶解し、これに、離型性材料と
してメチルトリメトキシシラン、テトライソシアネート
シラン、及びアミノ変性シリコーンオイル(商品名:K
F880、信越化学工業社製)を1:1:2の質量割合
で、酢酸エチルに1.5質量%濃度で混合した溶液を1
0部と、ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名:
KF353、信越化学工業社製)1.5部と、抵抗調整
剤(商品名:エレガン264ワックス、日本油脂社製)
10部と、を加えて十分攪拌混合し、さらにマット化剤
としてシリコーン微粒子(商品名:トスパール130;
平均粒径3μm、東芝シリコーン社製)0.5部と、を
加えて十分攪拌混合し、画像受像層用の塗工液2を調製
した。
【0108】実施例1と同様に作製した表裏面に導電層
を設けた画像支持体表面に、前記塗工液2をアプリケー
タで塗工し、風乾後、120℃で5分間乾燥して、膜厚
1.5μmの画像受像層が設けられた画像記録体を作製
した。画像記録体の画像受像層側の表面抵抗値は、23
゜C、55%RHの条件下で3.5×1012Ωであっ
た。また、可視域の透過率は90%以上あり十分な透明
性を有していた。
【0109】−画像記録体の評価− 得られた画像記録体について、実施例1と同様に、画像
の定着性、オフセット性、ワックスゴースト、画像剥離
性、画像剥離後の投影欠陥、繰り返し性等の評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0110】(比較例1)実施例1において、ポリビニ
ルブチラール樹脂を使用せず、主樹脂として光硬化性ア
クリル変性シリコーン樹脂だけを使用した以外は実施例
1と同様にして、画像記録体を作製した。得られた画像
記録体の画像受像層側の表面抵抗値は、23℃、55%
RHの条件下で5.5×1013Ωであった。また、可視
域の透過率は90%以上あり十分な透明性を有してい
た。得られた画像記録体について、実施例1と同様に、
画像の定着性、オフセット性、ワックスゴースト、画像
剥離性、画像剥離後の投影欠陥、繰り返し性等の画像記
録体の評価を行った。結果を表1に示す。
【0111】(比較例2)実施例2において、熱硬化性
シリコーン樹脂だけを使用せず、ポリビニルホルマール
樹脂及びポリエステル樹脂を主要樹脂として使用した以
外は実施例2と同様にして、画像記録体を作製した。得
られた画像記録体の画像受像層側の表面抵抗値は、23
℃、55%RHの条件下で1.8×109Ωであった。
また、可視域の透過率は90%以上あり十分な透明性を
有していた。しかし、画像記録体の評価において、ヒー
トロールに巻き付きジャムを引き起こし、1枚も定着サ
ンプルを得ることができず、それ以降の評価もできなか
った。
【0112】(比較例3)実施例1において、ポリエー
テル変性シリコーンオイルを使用しなかった以外は実施
例1と同様にして、画像記録体を作製した。得られた画
像記録体の画像受像層側の表面抵抗値は、23℃、55
%RHの条件下で7.7×1012Ωであった。また、可
視域の透過率は90%以上あり十分な透明性を有してい
た。得られた画像記録体について、実施例1と同様に、
画像の定着性、オフセット性、ワックスゴースト、画像
剥離性、画像剥離後の投影欠陥、繰り返し性等の画像記
録体の評価を行った。結果を表1に示す。
【0113】(実施例3) −画像記録体の作製− 熱硬化性シリコーン樹脂(商品名:SHC900(固形
分量:約29質量%)、GE東芝シリコーン社製)90
部と、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレック
B:BM−S、積水化学工業社製)75部と、を2−ブ
タノン800部に攪拌溶解した。これに、離型性材料と
してメチルトリメトキシシラン、テトライソシアネート
シラン、及びアミノ変性シリコーンオイル(商品名:T
SF4700、GE東芝シリコーン社製)を1:1:2
の質量割合で酢酸エチルに3質量%濃度で混合した溶液
を12部と、ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品
名:TSF4453、GE東芝シリコーン社製)1.5
部と、抵抗調整剤(商品名:エレガン264ワックス、
日本油脂社製)10部と、を加えて十分攪拌混合し、さ
らにマット化剤として、架橋型PMMA微粒子(商品
名:MX−500;平均粒径5μm、綜研化学社製)
0.5部を加えて十分攪拌混合し、画像受像層用の塗工
液3を調製した。
【0114】この塗工液3を実施例2と同様に、実施例
1で作成した表裏面に導電層を設けた画像支持体表面
に、アプリケータで塗工し、風乾後、120℃で5分間
乾燥して、膜厚3μmの画像受像層を設けた画像記録体
を作製した。画像記録体の画像受像層側の表面抵抗値は
23℃、55%RHの条件下で1.2×1010Ωであっ
た。また、可視域の透過率は90%以上あり十分な透明
性を有していた。
【0115】−画像記録体の評価− 得られた画像記録体について、実施例1と同様に、画像
の定着性、オフセット性、ワックスゴースト、画像剥離
性、画像剥離後の投影欠陥、繰り返し性等の評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0116】(実施例4) ―画像記録体の作製− 熱硬化性シリコーン樹脂として、SIコート801(商
品名、固形分量:約29質量%、Ge東芝シリコーン社
製)70部、及びSHC900(商品名、固形分量:約
30質量%、Ge東芝シリコーン社製)70部と、ポリ
ビニルアセタール樹脂としてポリビニルホルマール樹脂
(商品名:デンカホルマール#30、重合度:約70
0、電気化学工業社製)40部と、ポリビニルブチラー
ル樹脂(商品名:エスレックBL−S、重合度:約35
0、積水化学工業社製)20部と、ポリエステル樹脂
(商品名:バイロン560、東洋紡績社製)5部と、を
2−ブタノン850部に攪拌溶解し、これに、硬化剤
(商品名:コロネートHX、日本ウレタン社製)0.5
部と、離型性材料としてテトライソシアネートシラン及
びアミノ変性シリコーンオイル(商品名:TSF470
2、東芝シリコーン社製)を1:1の質量割合で2−ブ
タノンに20質量%濃度で混合した溶液を40部と、ポ
リエーテル基及びアミノ基を持った変性シリコーンオイ
ル(商品名:X−22−3939A)10部と、シリコ
ーン樹脂微粒子(商品名:トスパール130;平均粒径
3μm、東芝シリコーン社製)2.5部と、抵抗調整剤
(商品名:エレガン264ワックス、日本油脂社製)2
4部と、を加えて十分攪拌混合し、画像受像層用の塗工
液4を調製した。
【0117】この塗工液4を、画像支持体である厚さ1
00μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PE
T)表面に、ワイヤーバーで塗工し、風乾後、120℃
で10分間乾燥して、膜厚2μmの画像受像層が設けら
れた画像記録体を作製した。なお、裏面側は実施例1で
作製した導電性下塗り層溶液をアプリケータで塗工し、
膜厚約0.1μmの抵抗調整層を形成した。得られた画
像記録体の画像受像層側の表面抵抗値は、23℃、55
%RHの条件下で5.1×1012Ωであった。また、可
視域の透過率は90%以上あり十分な透明性を有してい
た。
【0118】―画像記録体の評価− 得られた画像記録体について、実施例1と同様に、画像
の定着性、オフセット性、ワックスゴースト、画像剥離
性、画像剥離後の投影欠陥、繰り返し性等の画像記録体
の評価を行った。結果を表1に示す。
【0119】(実施例5〜8) −画像記録体(白色フィルム)の作製− 厚さ100μmの白色PETフィルム(商品名:ルミラ
ーX21、東レ(株)社製)表面に、実施例1〜4で作
製した各塗工液1〜4をワイヤーバーで塗工し、風乾
後、120℃で10分間乾燥して、各画像記録体を作製
した。なお、白色フィルムの表面抵抗値は、あらかじめ
23℃、55%RHの条件下で約1.0×1010Ωに調
整されているものである。
【0120】―画像記録体の評価− 得られた画像記録体について、実施例1と同様に、画像
の定着性、オフセット性、画像剥離性、繰り返し性等の
画像記録体の評価を行った。なお、白色フィルムのた
め、ワックスゴーストと画像剥離後の投影欠陥の評価に
ついては、評価を割愛した。塗工液1〜4を用いて作製
した各画像記録体についての評価を、各々実施例5〜8
として結果をまとめて表1に示す。
【0121】(実施例9) −画像記録体(画像記録用紙)の作製− 市販のコピー用紙(PPC用紙Jコート紙:富士ゼロッ
クス社製)にカレンダー処理を行い、実施例3で作製し
た塗工液3を、バーコーターにより片面あたりの固形分
量が4.0g/m2になるように塗工し、風乾後、12
0℃で5分間乾燥し、膜厚3.5μmの画像受像層が設
けられた画像記録体を作製した。得られた画像記録体の
画像受像層側の表面抵抗値は、23℃、55%RHの条
件下で1.0×1010Ωであった。なお、市販のコピー
用紙の表面抵抗値は、あらかじめ23℃、55%RHの
条件下で約8.6×109Ωに調整されているものであ
る。
【0122】―画像記録体の評価− この画像記録体について、実施例1と同様に画像の定着
性、オフセット性、画像剥離性、繰り返し性を調べ、画
像記録用紙としての性能を確認した。また、先に同様に
作製した画像記録体200枚を連続カラーコピーして走
行性の確認を行った。走行性の評価は、200枚通紙し
たときの重送とジャム発生枚数で評価した。画像記録用
紙としては、発生枚数1枚以下が許容できる枚数である
が、前記画像記録体を用いた時の発生枚数は、0枚であ
った。
【0123】なお、画像の定着性評価は、前記画像記録
装置にて定着された画像のうち、X−Rite938濃
度計(X−Rite社製)で測定した画像濃度が約1.
0のベタ画像部分に、市販の18mm幅の粘着テープ
(商品名:セロテープ(R):ニチバン社製)を300
g/cmの線圧で貼り付け、10mm/secの速度で
テープ剥離したときの、テープ剥離前の画像濃度に対す
るテープ剥離後の画像濃度の比(OD比(3))を指標
とし、実施例1におけるOD比(1)の評価基準と同様
の基準によって評価した。電子写真用記録紙としては、
OD比(3)で0.8以上の画像定着性が必要である。
【0124】また、画像剥離性の評価は、図1に示す第
1画像剥離部装置と第2画像剥離部とを連結した画像剥
離装置を用いて行った。第1画像剥離部のブラシロール
材質、回転スピード等は実施例1と同様とした。第2画
像剥離部については、画像剥離ベルト15の表面層の膜
厚が、常に80μmになるように加熱ブレード24を調
整した。また支持駆動ロール内のヒーター17で、画像
剥離ベルト表面が110℃付近の温度に持続されるよう
に調整し、加熱ブレードの表面温度は140℃とした。
なお、画像剥離プロセススピードは40mm/secに
設定した。画像剥離性及び繰り返し性は、画像剥離前後
の画像濃度の比(OD比(4))を指標とし、実施例1
におけるOD比(2)と同様の評価基準により評価し
た。
【0125】上記のように設定された図1の画像剥離装
置に、前記の画像定着された画像記録体を100枚挿入
したところ、いずれも画像記録体から画像形成材料がき
れいに除去されていた。なお、画像記録用紙の場合に
は、OD比(4)が0.07以下であれば、トナーの残
存はほとんど気にならない。
【0126】さらに、繰り返し性に関しては、前記画像
記録体100枚を用い、前記画像形成装置での白黒含む
画像の繰り返し画像定着と、前記画像剥離装置での繰り
返し画像剥離を、1枚あたり5回繰り返して行ったが、
画像剥離性の低下も少なく画像記録体を再生することが
できた。
【0127】
【表1】
【0128】これら実施例から、本発明の画像記録体
は、特定の画像受像層を備える構成を採用したため、オ
フィスや家庭で容易に画像記録体の再生ができ、長期に
亘って良好な画像剥離性能を維持でき、繰り返し再生可
能であることがわかる。
【0129】
【発明の効果】以上、本発明によれば、ワックス等の離
型剤が入った画像形成材料を用いても、画像の高品質性
を確保しながら、良好な定着性を保持し、さらに不要と
なった場合には、画像記録体表面を痛めることなく画像
だけを取り除くことができる、再生可能な画像記録体を
提供することができる。
【0130】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像記録体を再生する場合に適用さ
れる画像剥離装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
8:画像記録体 9:画像形成材料 10:ブラシロール 11:ブラシユニット 12、16:圧接ロール 13:支持駆動ロール 14:支持ロール 15:画像剥離ベルト 17、18:加熱ヒーター 19:支持部材 20:供給トレイ 21:ピックアップロール 22:搬送ロール 23:セラミックヒーター 24:加熱ブレード 25:回収ボックス 26、27、28:温度センサー 31:搬送補助部材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも画像支持体の片面に画像受像
    層が設けられた再生可能な画像記録体であって、当該画
    像受像層が、少なくとも、ポリエーテル変性シリコーン
    オイルと、硬化性シリコーン樹脂と、熱可塑性樹脂と、
    を含有することを特徴とする再生可能な画像記録体。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタ
    ール樹脂、及び/または、ポリエステル樹脂であること
    を特徴とする請求項1に記載の再生可能な画像記録体。
  3. 【請求項3】 23℃、55%RHにおける、前記画像
    記録体の画像受像層の表面抵抗値が1×108〜1×1
    13Ωであり、かつ、前記画像記録体の表裏面の表面抵
    抗値差が、3桁以内であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の再生可能な画像記録体。
  4. 【請求項4】 前記画像受像層が、0.1μm以上の厚
    さを有し、さらに画像支持体が、プラスチックフィルム
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の再生可能な画像記録体。
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