JPH1171521A - 潤滑離型材料用組成物、潤滑離型材料、潤滑離型膜の作製方法、潤滑離型膜、定着用部材、定着装置、およびカラー画像形成方法 - Google Patents

潤滑離型材料用組成物、潤滑離型材料、潤滑離型膜の作製方法、潤滑離型膜、定着用部材、定着装置、およびカラー画像形成方法

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JPH1171521A
JPH1171521A JP10002236A JP223698A JPH1171521A JP H1171521 A JPH1171521 A JP H1171521A JP 10002236 A JP10002236 A JP 10002236A JP 223698 A JP223698 A JP 223698A JP H1171521 A JPH1171521 A JP H1171521A
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JP
Japan
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lubricating
silicone oil
lubricating release
composition
release material
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JP10002236A
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English (en)
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Kaoru Torigoe
薫 鳥越
Tomoo Kobayashi
智雄 小林
Yoshio Kanazawa
祥雄 金澤
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属、セラミックス、ガラス、プラスチック
ス、ゴム、紙などから構成される部材表面に化学結合に
より部材との密着性に優れた潤滑離型膜を形成するため
の潤滑離型材料用組成物を提供することであり、さら
に、これを用いた潤滑離型材料、潤滑離型膜の作製方
法、潤滑離型膜、定着用部材、定着装置、およびカラー
画像形成方法を提供すること。 【解決手段】 反応性シラン化合物とシリコーンオイル
とを含む潤滑離型材料用組成物であり、さらに、これを
用いた潤滑離型材料、潤滑離型膜の作製方法、潤滑離型
膜、定着用部材、定着装置、およびカラー画像形成方法
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑離型材料用組
成物、潤滑離型材料、これを用いた潤滑離型膜の作製方
法および潤滑離型膜に関するものである。さらに詳しく
は、金属、セラミックス、プラスチック、ガラス、ゴ
ム、紙などから構成される種々の接触、摺動する部材表
面に潤滑離型膜を形成することにより、これらの部材が
他の部材と接触あるいは摺動する場合、その接触抵抗、
摺動抵抗を低減させると同時に、他の物質の付着、混入
防止を図るための潤滑離型材料用組成物、潤滑離型材
料、これを用いた潤滑離型膜の作製方法および潤滑離型
膜に関するものである。また、本発明は、電子写真複写
機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを
利用した画像形成装置における定着用部材と、これを用
いた定着装置さらにカラー画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属、セラミックス、プラスチック、ガ
ラス、ゴムなどで構成されている部材表面は、他の部材
との接触や摺動により、その表面が削られ、表面が凹凸
になると同時に、性能劣化していくことが知られてい
る。特に、高速で摺動する部材や大きなトルクがかかる
ものなどでは、この摩耗により寿命が決定されている。
【0003】これら摩耗による性能劣化を防止するため
従来から潤滑油などを部材表面に付与することにより潤
滑性を向上させ、摩耗低減を実現している。しかしなが
ら、部材表面への潤滑油の付与は、潤滑油による部材の
汚れ、作業環境の悪化などをもたらし、さらに潤滑性を
維持するためには潤滑油を常に供給し続けなければなら
ないなどの問題がある。
【0004】また、金属、セラミックス、ガラス、プラ
スチック、ゴムなどで構成されている部材が高温で、他
の部材と接触、摺動する場合は潤滑剤そのものの耐熱性
が問題となり、耐熱性に優れた固体潤滑剤などを用いる
こともできる。しかしながら、固体潤滑剤のみで皮膜形
成するためには真空系でのスパッタリングや蒸着などが
必要となり、装置の大型化とコストの増大をもたらす。
また、固体潤滑剤は液体潤滑剤に比べ潤滑性能に劣る場
合が多い。さらに、複雑な形状の部材への着膜も困難と
なるなどの問題がある。
【0005】金属加工の分野では、従来、プレス加工等
する際には潤滑油を使用していたが、近年、環境問題対
策と脱脂工程省略によるコストダウンの観点から、潤滑
性の樹脂皮膜を備えた表面処理金属板によるオイルレス
のプレス加工が行われている。例えば、特開平2−28
9877号、特開平7−308632号などでは、熱硬
化性樹脂中に固体潤滑剤を添加し、これを被覆すること
により金属性ロール表面の耐摩耗性、耐熱性、耐油性、
および熱伝達応答性などの向上を図っている。
【0006】しかしながら、これらの熱硬化性樹脂は金
属表面との接着性が低く、またそれ自身の強度も弱いた
め、かなり厚膜化して利用しているが、他の部材との接
触や摺動などにより摩耗しやすく、また金属との界面の
接着性が乏しいことにより、金属との界面からはがれや
すいなど、耐摩耗性皮膜としては十分ではなかった。
【0007】また、電子機器の分野、特に、電子写真や
磁気記録といった記録装置の分野では、各種装置の構成
部材の表面材料には、耐摩耗性、潤滑性、低付着性、耐
熱性などが要求される。
【0008】電子写真複写機、プリンター、ファクシミ
リなどの電子写真方式を利用した画像情報記録装置にお
いては、記録体上の未定着トナー像を接触加熱する、い
わゆる加熱定着装置に用いられる定着ロールや定着用ベ
ルトは、それらが加熱された状態で接触、摺動される。
そこで、定着ロールや定着用ベルトの表面へのトナーの
付着防止とその表面摩耗を低減するため、従来、シリコ
ーンオイル等の潤滑油を使用している。かかるシリコー
ンオイル等の潤滑油は、定着ローラに画像が転移してし
まう、いわゆるオフセット現象を防止する働きをも有す
る。
【0009】また、透明フィルム等の記録体上の画像を
定着させ投影画像として用いる場合には、彩度の低い暗
い投影画像にならぬようにトナー画像の凹凸を小さく
し、光散乱を防止する必要がある。そのためには、定着
時に十分な熱と圧力を加えることが必要になる。特に、
複数色のトナーを溶融混色させる場合には、さらに十分
な熱と圧力の供給が必要である。しかし、画像濃度の低
い部分、ドットやラインなどの部分を平滑にしようとし
て、十分な熱を供給しようとすると画像濃度の高い部分
でオフセットが発生してしまうために、オフセット防止
上ローラへのオイル塗布は避けられない状況にある。
【0010】しかしながら、オフセット現象を防止する
ために、ローラ表面にオイルを塗布すると、定着後の記
録体にはオイルが付着し、記録体がベト付いたり、記録
体への筆記性やテープ等による他部材への貼り付けがで
きない問題があった。記録体がベト付いたり、記録体へ
の筆記性やテープ等による他部材への貼り付けができな
い問題に対しては、ローラ表面にオイルを塗布しない
か、あるいは極力少ない量のオイルを塗布した定着器を
用いればよい。オイルをなくした(オイルレス)定着器
にすることによって、オイル供給装置(オイル塗布部
材、オイル貯蔵部分など)がなくなり装置の小型化がで
き、また何よりもこれ自身消耗品であるため、使用者に
対してコストなどの負担をなくすことができる利点があ
る。
【0011】しかしながら、潤滑剤としてのオイルを無
くしていくと、ロールやベルトへ記録体が巻き付くこと
を防ぐために設置されている剥離爪が、その表面を傷つ
け摩耗させるため、その部分の定着が不十分になり筋状
の定着ムラを引き起こす。これら上記問題を解決させる
ためには、ローラ表面にオイルを塗布しなくても潤滑性
を持った強い層があり、あるいは極力少ない量でオフセ
ットさせずに記録体にトナー画像を定着させるような、
オイルレスと定着性を両立させる定着システムが要求さ
れる。
【0012】オイルレス定着用ロールとしては特開昭6
1−186975号および特開昭61−284784号
公報などに、シロキサン系生ゴムを使用したものがある
が、維持性が悪く、さらに昨今利用されているカラート
ナーにおいては上記問題点はほとんど解決されない。
【0013】また、特開平7−210019号公報に
は、エンドレスベルトを使用した定着装置の一部にエン
ドレスベルト冷却装置を設け、トナーが冷却したあと記
録体と分離させオフセットを防止させている。この方法
では余分な冷却装置の容積が必要となり、また、冷却時
間が必要なことから高速化には適さない。またこのよう
なエンドレスベルトを使用した定着装置においては、ベ
ルト裏面側にも離型性がないとベルトの駆動力に比べ
て、定着用ベルトと発熱体、およびベルト保持体などと
の摩擦力が大きく、ベルトがスリップする現象が起こ
り、定着不良や画像のずれを起こすなどの問題がある。
特公平6−079187号公報には、セラミックヒータ
などの加熱媒体との間に耐熱用潤滑流体を介在させるこ
とが提案されている。しかしながら、潤滑流体を安定し
て一定量供給したり、潤滑流体のみで定着用ベルトの摺
動性の安定化や摩耗を低減することは難しく、長時間で
の駆動により潤滑流体が高温での酸化などにより性能劣
化してしまうといった問題がある。
【0014】定着ロールや定着用ベルトの他にも電子写
真方式を利用した画像情報記録装置においては、各種の
構成部材の表面材料に、耐摩耗性、潤滑性、低付着性、
耐熱性などが要求される。
【0015】例えば、特開平3−252679号、特開
平4−24669号、特開平4−24676号、特開平
4−43380号、特開平4−149452号、特開平
4−149453号、特開平4−194867号、特開
平4−298758号などの公報では電子写真方式で用
いられている現像ロール表面に固体潤滑剤を含有した樹
脂層を形成し、トナーやキャリヤとの接触による汚染の
防止を図っている。また、特開平4−303861号公
報では、帯電部材表面に層状固体潤滑剤を含有すること
が提案されている。しかしながら、これらの方法におい
ても、基体表面との接着性が低く、摩耗しやすいという
樹脂と固体潤滑剤の混合系の問題点を抱えており、さら
に、樹脂により表面抵抗などの性能を変化させてしまう
などの問題もある。
【0016】また、電子写真方式に用いられる有機感光
体(OPC)においても、その表面摩耗は、感光体寿命
を決定する重要な要因であり、従来、表面保護層の検討
や電荷輸送層の樹脂を摩耗に強いものに変更するなどの
検討がされてきた。しかしながら、摩耗に対して十分な
耐久性を有するものは得られておらず、しかも表面保護
層による電気特性の悪化などが問題となっており、ほと
んど実用化されていないのが現状である。
【0017】磁気記録では、シート状、あるいはディス
ク状の磁気記録媒体に磁気ヘッドを接触、あるいは接近
させ磁化の向きを検出することにより磁気記録再生を行
っているため、磁気記録媒体には黒鉛やポリテトラフル
オロエチレンなどのような、磁気ヘッドとの接触、摺動
に対して潤滑性を持った表面材料が用いられている。し
かしながら、潤滑性を持った表面材料を用いるだけで
は、潤滑性が不十分である。
【0018】そこで、フロッピーディスクなどでは、シ
リコーンオイルやフッ素系オイル等の潤滑油も併用され
ているが、長期間の使用では潤滑性能や記録情報の劣化
が起こるという問題があった。
【0019】また、ハードディスクなどでは、空気浮上
方式の磁気記録再生技術が、利用されている。空気浮上
方式の磁気記録再生技術とは、特開昭49−12151
4号公報に記載されているごとく、磁気記録媒体の走行
により生じる空気流によつて、いわゆる空気ベアリング
を形成させることにより、磁気記録媒体上に磁気ヘツド
スライダを接触させることなく、浮上させた状態で記録
再生を行う方式のものである。これら空気浮上方式の磁
気記録装置においては、記録密度を高密度化するために
は、磁気ヘッドと磁気記録媒体とをより近くに接近させ
る必要がある。しかし、空気の平均自由行程は0.06
4μmであり、磁気ヘッドスライダと磁気記録媒体との
間に存在する空気層の厚さ(浮上量)が、0.064μ
mより小さくなった場合には、空気の層に存在する空気
分子の数が少なくなり空気の圧力が発生しにくくなる。
また、磁気ヘッドとの接触による摺動破壊の危険性が伴
なう。したがって、空気層の厚さ(浮上量)を0.06
4μm以下に小さくすることは困難であり、高記録密度
化に限界があるという問題があった。
【0020】磁気記録媒体は、記録後には磁気ヘッドか
ら引き離す必要がある。しかし、記録材料を平坦化する
と磁気ヘッドに吸着してしまい引き離すことが困難にな
るという問題があり、従来、材料表面にテクスチャー処
理(表面に微少な凹凸を形成する)を行ない、これに対
処している。しかしながら、これは磁気ヘッドと磁気記
録媒体との接近には不都合であり、これら処理を行わず
にヘッドの吸着を防止することが求められている。
【0021】このように、各種の分野で耐摩耗性、潤滑
性、低付着性、耐熱性に優れた表面材料が求められてい
るものの、従来使用されている表面材料は、それぞれ問
題点を抱えており、これらを満足する表面材料は見いだ
されていない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における実情に鑑み、上述のごとき問題点を解決するこ
とを目的としてなされたものである。即ち、本発明の目
的は、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、ゴ
ム、紙などから構成される部材表面に化学結合により部
材との密着性に優れた潤滑離型膜を形成するための潤滑
離型材料用組成物およびこれから得られる潤滑離型材料
を提供することである。また、本発明の目的は、厚膜
化、潤滑離型性能の向上、表面硬度・表面抵抗の制御の
ために、さらに、離型剤、固体潤滑剤、導電性材料を添
加可能な潤滑離型材料用組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、本発明の潤滑離型材料を用い
た、簡易な潤滑離型膜の作製方法を提供することであ
る。さらに、本発明の目的は、耐摩耗性、耐熱性および
低付着性という固体潤滑膜の特長と潤滑性能に優れると
いう液体潤滑膜の特長を併せもつ潤滑離型膜を提供する
ことである。
【0023】さらに、具体的には例えば、電子写真複写
機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真方式を利
用した画像情報記録装置においては、その定着用部材で
のトナーとの低付着性と摩耗の低減、定着用ベルトの駆
動トルク低減による走行安定性の確保を図り、その現像
ロールでのトナー、キャリヤ付着による汚染の防止を図
り、その帯電部材やOPCではトナーや紙粉などによる
汚染の防止、摩耗の低減を図ることを目的とする。ま
た、定着器がオイルレスであっても、オフセットが生じ
ず、分離爪による摩耗が少なく長期に渡って安定したカ
ラー画像を得ることができる電子写真用の定着用部材、
およびこの定着用部材を用いてカラー画像形成する方法
を提供することを目的とする。
【0024】磁気記録媒体では、磁気記録媒体の潤滑性
能向上、記録安定化、さらに、磁気ヘッドスライダと磁
気記録媒体との間隔を近接させ、しかも磁気記録媒体を
高速で走行させても、磁気ヘッドスライダや磁気ヘッド
および磁気記録媒体を摩耗損傷させることなく、安定し
て記録再生が行える、信頼性の高い超高密度磁気記録媒
体を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意研究を
重ねた結果、反応性シラン化合物とシリコーンオイルと
を含む潤滑離型材料用組成物により上記の目的を達成で
きることを見出し、本発明を完成した。即ち本発明は、 (1)反応性シラン化合物とシリコーンオイルとを含む
潤滑離型材料用組成物である。 (2)前記反応性シラン化合物が、フッ素含有シラン化
合物、イソシアネートシラン化合物、アルコキシシラン
化合物、シランカップリング剤、およびSiH基を持つ
シラン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種で
あることを特徴とする(1)に記載の潤滑離型材料用組
成物である。
【0026】(3)前記シリコーンオイルが、分子中に
反応性基を有する変性シリコーンオイルであることを特
徴とする(1)または(2)に記載の潤滑離型材料用組
成物である。 (4)前記分子中に反応基を有する変性シリコーンオイ
ルが、シラノール変性シリコーンオイル、カルボキシ変
性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、お
よび一分子中に複数の反応基を持つ変性シリコーンオイ
ルからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを
特徴とする(3)に記載の潤滑離型材料用組成物であ
る。
【0027】(5)反応性シラン化合物に対する変性シ
リコーンオイルの存在量を化学当量以上にすること特徴
とする(1)から(4)のいずれか一項に記載の潤滑離
型材料用組成物である。 (6)変性シリコーンオイルの粘度が室温で5〜15,
000cpであることを特徴とする(1)から(5)の
いずれか一項に記載の潤滑離型材料用組成物である。
【0028】(7)シリコーン樹脂、フッ素樹脂、また
はシリコーンモノマーとフッ素を含有するモノマーとの
共重合体、シリコーン樹脂やフッ素樹脂のアクリル樹脂
やポリエステル樹脂などによる変性体、ポリエチレン、
ポリプロピレン、カルナバワックス、密ロウ、モンタン
ワックス、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワ
ックスからなる群から選ばれた少なくとも1種の離型剤
を含有することを特徴とする(1)から(6)のいずれ
か一項に記載の潤滑離型材料用組成物である。 (8)前記シリコーン樹脂が硬化型シリコーン樹脂であ
ることを特徴とする(7)に記載の潤滑離型材料用組成
物である。
【0029】(9)窒化ホウ素、黒鉛、二硫化モリブデ
ン、二硫化タングステン、フッ化黒鉛、ポリテトラフル
オロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリアミ
ド、ポリアセタール、ポリエチレンからなる群から選ば
れた少なくとも1種の固体潤滑剤を含有することを特徴
とする(1)から(8)のいずれか一項に記載の潤滑離
型材料用組成物である。 (10)前記反応性シラン化合物に対する前記シリコー
ンオイルの添加量が、前記シリコーンオイルの化学当量
以上であることを特徴とする(1)から(9)のいずれ
か一項に記載の潤滑離型材料用組成物である。
【0030】(11)前記離型剤の添加量が、他の成分
の固形分に対し、固形分比で1重量%以上90重量%以
下であることを特徴とする(7)から(10)のいずれ
か一項に記載の潤滑離型材料用組成物である。 (12)前記固体潤滑剤の添加量が、他の成分の固形分
に対し、固形分比で1重量%以上90重量%以下である
ことを特徴とする(9)から(11)のいずれか一項に
記載の潤滑離型材料用組成物である。
【0031】(13)導電性材料を含有することを特徴
とする(1)から(12)のいずれか一項に記載の潤滑
離型材料用組成物である。 (14)(1)から(13)のいずれか一項に記載の潤
滑離型材料用組成物から得られた潤滑離型材料である。
【0032】(15)(1)から(13)のいずれか一
項に記載の潤滑離型材料用組成物から得られた潤滑離型
材料であって、反応性シラン化合物とシリコーンオイル
との反応生成物を含むことを特徴とする(14)に記載
の潤滑離型材料である。 (16)(14)または(15)に記載の潤滑離型材料
を基体に塗布または含浸させ、該基体と反応させること
により皮膜形成する潤滑離型膜の作製方法である。
【0033】(17)室温放置、加熱、光照射からなる
群から選ばれた少なくとも一つの処理を施して、前記潤
滑離型材料を前記基体と反応させることにより皮膜形成
する(16)に記載の潤滑離型膜の作製方法である。 (18)前記基体表面に、あらかじめ、光照射、オゾン
照射、放射線、高温加熱、酸化剤処理からなる群から選
ばれた少なくとも一つの処理を施したことを特徴とする
(16)または(17)に記載の潤滑離型膜の作製方法
である。
【0034】(19)(16)から(18)のいずれか
一項に記載の方法により作製された潤滑離型膜である。 (20)基体上に、(14)または(15)に記載の潤
滑離型材料からなる離型層を表面層として有することを
特徴とする定着用部材である。
【0035】(21)離型層中に、微粒子を含有してい
ることを特徴とする(20)に記載の定着用部材であ
る。 (22)離型層中に導電性材料を含有していることを特
徴とする(20)に記載の定着用部材である。
【0036】(23)離型層表面に、シリコーンオイル
が塗布されていることを特徴とする(20)から(2
2)のいずれか一項に記載の定着用部材である。 (24)基体が、ロール状あるいはベルト状であること
を特徴とする(20)から(23)のいずれか一項に記
載の定着用部材である。
【0037】(25)(20)から(24)のいずれか
一項に記載の定着用部材を有することを特徴とする定着
装置である。 (26)少なくともカラー着色剤および結着樹脂からな
るトナーを用いて、カラートナー画像を記録体上に形成
し、該カラートナー画像が形成された記録体に、(2
0)から(24)のいずれか一項に記載の定着用部材を
用いて熱および圧力を付与し、前記記録体上に前記カラ
ートナー画像を定着することにより、カラー画像を得る
ことを特徴とするカラー画像形成方法である。
【0038】本発明によれば、シリコーン材料が持って
いる潤滑性、低付着性(離型性)、耐熱性、材料安全性
などの機能性を最大限発揮させながら、逆に潤滑離型膜
として利用する場合、問題となる他部材への低付着性
を、シラン化合物と部材との化学反応による強い結合に
よる接着性向上により克服することができる。さらに、
潤滑離型膜中に離型剤や固体潤滑剤、導電性材料などを
混入させることにより潤滑離型膜に要求される性能を満
足させることができる。また、その表面形状を自由に制
御できるため潤滑離型特性の向上や逆に表面形状を利用
した付着性制御、光透過性などの光学特性なども制御可
能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の潤滑離型材料用組
成物、潤滑離型材料、これを用いた潤滑離型膜の作製方
法および潤滑離型膜について詳しく説明する。
【0040】(潤滑離型材料用組成物)まず、本発明の
潤滑離型材料用組成物について説明する。本発明の潤滑
離型材料用組成物には、反応性シラン化合物とシリコー
ンオイルとが含まれている。本発明の潤滑離型材料用組
成物からなる潤滑離型材料を適当な基体の表面に塗布ま
たは含浸させた場合、反応性が高いシラン化合物が基体
表面と化学反応することにより基体表面と強力な結合を
形成し、同時にシリコーンオイルとも化学反応すること
により、基体表面に皮膜を形成する。
【0041】本発明において反応性シラン化合物とは、
ヒドロキシル基やアミノ基等の反応性水素を持った基体
表面およびシリコーンオイルと反応することができる化
合物をいい、その構造中に、基体表面およびシリコーン
オイルと反応するための官能基を有することが必要とさ
れる。
【0042】本発明における反応性シラン化合物として
は、基体表面およびシリコーンオイルと反応することが
できるシラン化合物であれば特に制限はないが、フッ素
含有シラン化合物、イソシアネートシラン化合物、アル
コキシシラン化合物、シランカップリング剤、SiH基
を持つシラン化合物が好ましく用いられる。その中で
も、反応性の点で、官能基としてメトキシ基あるいはイ
ソシアネート基を有するものが好ましく、それらが3官
能基以上含まれているものが、さらに好ましい。
【0043】基体に紙を用いた場合には、これら化合物
中に反応性の塩素原子が含まれると塩素原子に起因して
生成される塩酸によって紙がおかされ、保存などの取扱
いが困難になるので、塩素原子を含まないことが望まし
い。これら化合物は用紙内に通常含まれる填料であるタ
ルクやクレー(カオリン)、炭酸カルシウムなどの無機
微粒子との反応性も高く、パルプ繊維とともに硬化し、
用紙内に固定させる役目も果たす。
【0044】フッ素含有シラン化合物には、例えばCF
3 (CH2 2 Si(OCH3 3、C6 132 4
SiCl3 、C6 132 4 Si(OCH3 3 、C
7 15CONH(CH2 3 Si(OC2 5 3 、C
8 172 4 SiCl3 、C8 172 4 Si(O
CH3 3 、C8 172 4 SiCH3 Cl2 、C 8
172 4 SiCH3 (OCH3 2 、C8 172
4 Si(ON=C(CH3 )(C2 5 ))3 、C9
192 4 Si(OCH3 3 、C9 19 2 4
i(NCO)3 、(NCO)3 SiC2 4 6 12
2 4 Si(NCO)3 、C9 192 4 Si(C2
5 )(OCH3 2 、(CH3 O)3SiC2 4
8 162 4 Si(OCH3 3 、(CH3 O)
2 (CH3 )SiC9 182 4 Si(CH3 )(O
CH3 2 等、およびこれら化合物の加水分解物あるい
は部分縮合物等が例示でき、その中で特に、官能基とし
て、メトキシ基あるいはイソシアネート基を有し、それ
らが3官能基以上含まれているものが好ましい。
【0045】イソシアネートシラン化合物類としては
(CH3 3 SiNCO、(CH3 2 Si(NCO)
2 、CH3 Si(NCO)3 、ビニルシリルトリイソシ
アネート、C6 5 Si(NCO)3 、Si(NCO)
4 、C2 5 OSi(NCO) 3 、C8 17Si(NC
O)3 、C1837Si(NCO)3 、(NCO)3 Si
2 4 Si(NCO)3 等が例示できる。その中で特
に、官能基であるイソシアネート基が3官能基以上含ま
れているものが好ましい。
【0046】アルコキシシラン化合物としては一部Si
H基を持つシラン化合物を含むが、Si(OC
3 4 、CH3 Si(OCH3 3 、HSi(OCH
3 3 、(CH3 2 Si(OCH3 2 、CH3 Si
H(OCH3 2 、C6 5 Si(OCH3 3 、Si
(OC2 5 4 、CH3 Si(OC2 5 3 、(C
3 2 Si(OC2 5 2 、H2 Si(OC
2 5 2 、C6 5 Si(OC2 5 3 、(C
3 2 CHCH2 Si(OCH3 3 、CH3 (CH
2 5 Si(OCH3 3 、CH3 (CH2 7 Si
(OC2 5 3 、CH3 (CH2 11Si(OC2
5 3 、CH3 (CH2 15Si(OC2 5 3 、C
3 (CH2 17Si(OC2 5 3 等のシラン化合
物およびこれらシラン化合物の加水分解物あるいは部分
縮合物などが例示できる。その中で特に、官能基が3官
能以上含まれているものが好ましい。
【0047】シランカップリング剤として、ビニルトリ
ス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン
類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等
のアクリルシラン類、β−(3,4エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
メチルジエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β
−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン等のアミノシラン類などがある。その中で特
に、官能基が3官能以上含まれているものが好ましい。
【0048】その他のシランカップリング剤として、H
SC3 6 Si(OCH)3 、ClC3 6 Si(OC
H)3 等のシラン化合物の加水分解物あるいは部分縮合
物などが例示できる。
【0049】反応性シラン化合物は、その反応性の制御
の点で、一種の化合物の単独使用に限られず、複数の化
合物を組み合わせて使用することが好ましく、または、
その部分加水分解物を使用することが好ましい。
【0050】本発明におけるシリコーンオイルとして
は、常温で油状のオルガノポリシロキサンを用いること
ができるが、反応性シラン化合物との反応性あるいは潤
滑離型膜の皮膜形成のし易さの点で、常温での粘度が5
〜15,000センチストークス(cs)のものが好ま
しく、10〜1,300センチストークスのものがさら
に好ましい。ここで、常温とは25℃である。シリコー
ンオイルの粘度が5センチストークス未満ではオイルと
しての潤滑性に乏しく、一方15,000センチストー
クスを超えると反応基量を増加させることが難しく、さ
らに塗布性等の作業性なども低下する。また、簡易に反
応を行うことができるという点で、分子中に反応基を導
入した変性シリコーンオイルが好ましい。ここで、分子
中に反応基を導入した変性シリコーンオイルとは、主
に、前記反応性シラン化合物と反応するためのヒドロキ
シル基やアミノ基等の反応性水素を有する基を導入した
シリコーンオイルを意味する。
【0051】分子中に反応基を有する変性シリコーンオ
イルとしては、シラノール変性シリコーンオイル、カル
ボキシル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーン
オイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルビノール
変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイ
ル、メルカプト変性シリコーンオイル、フェノール変性
シリコーンオイルや、メチルハイドロジェンシリコーン
オイル等を挙げることができる。変性シリコーンオイル
は、基体を着色または変色させることなく使用できると
いう点で無色透明のものが好ましく、また、反応性に優
れるという点でシラノール変性シリコーンオイル、カル
ボキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオ
イルがさらに好ましい。また、互いに異なった反応基、
例えばアミノ基とポリエーテル基を含有した変性シリコ
ーンオイル、エポキシ基とポリエーテル基を含有した変
性シリコーンオイル、カルボキシル基とポリエーテル基
を含有した変性シリコーンオイルは、反応性シラン化合
物との反応性を制御するという点で、異なった種のオイ
ルを混合するときに生じることがある不相溶化の問題を
解決してくれるため好ましい。
【0052】付言すれば、シリコーンオイルは、分子中
に反応基を有する変性シリコーンオイルである必要はな
く、分子中に反応基を有していないジメチルシリコーン
オイル、ジエチルシリコーンオイル、メチルエチルシリ
コーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフ
ェニルシリコーンオイルなどシロキサン結合に炭化水素
基がついているものなどでもよい。特に、耐熱性を有す
る用途には、フェニル基を有するものが好ましい。
【0053】分子中に反応基を有していないシリコーン
オイルは、例えば、オルガノポリシロキサンの加熱ある
いは光照射などによる酸化反応等により、分子中に反応
基を発生させて使用することができる。また、分子中に
反応基を有する変性シリコーンオイルとそれ以外のシリ
コーンオイルとを混合して用いることもできる。
【0054】本発明において反応性シラン化合物と変性
シリコーンオイルとの添加比率は、一般には、反応性シ
ラン化合物に対する変性シリコーンオイルの存在量を化
学当量以上にするのが好ましい。さらには、反応性シラ
ン化合物は基体表面とも同時に反応するため、基材表面
と反応する反応性シラン化合物を差し引いた量に対する
変性シリコーンオイルの存在量を化学当量以上にするの
が好ましい。変性シリコーンオイルが少なすぎると、潤
滑離型材料としての効果が低く、また、多すぎると、シ
リコーンオイルの移行性を十分に制御できず基体表面に
ベタ付き感が生じたり、基体が紙の場合には透明性を帯
びるなどの問題を生じやすい。
【0055】ただし、反応性シラン化合物とシリコーン
オイルとの添加比率は、目的に応じて任意に決めること
ができる。部材(基体)への付着が問題となりにくい用
途、例えば定着ベルトとそれを保持する部材との摺動性
やベルトの駆動トルクを低減するための用途などでは、
シラン化合物と反応する量以上のシリコーンオイルを混
合することにより、一部はシラン化合物と反応させて、
シリコーン潤滑剤層として働かせ、残りのシリコーンオ
イルで潤滑性のさらなる向上を果たすことができる。シ
ラン化合物とシリコーンオイルとからなるシリコーン潤
滑層は、同種材料であるシリコーンオイルとの付着性が
高く、シリコーンオイルを均一に付着させる効果も期待
される。
【0056】本発明における反応性シラン化合物とシリ
コーンオイルとの組合せは、反応率を上げるためには、
相互に反応性の高い組合せとするのが好ましく、イソシ
アネートシラン化合物とアミノ変性シリコーンオイルと
の組合せが特に好ましい。ただし、本発明における反応
性シラン化合物とシリコーンオイルとの組合せも、添加
比率と同様に、目的に応じて任意に決めることができ
る。未反応のシリコーンオイルが多く残存していること
が好ましい場合には、相互に反応性の劣る組合せとする
のが好ましい。また、相互に反応性の劣る組合せであっ
ても、加熱等により反応を促進することもできる。
【0057】本発明の潤滑離型材料用組成物には、種々
の離型剤を含有することができる。樹脂等を離型剤とし
て含有することにより厚膜化を図ることができ、さらに
シリコーンオイルの含浸量を増大させることができる。
【0058】離型剤としては、シリコーン樹脂、フッ素
樹脂、またはシリコーンモノマーとフッ素を含有するモ
ノマーとの共重合体、シリコーン樹脂やフッ素樹脂のア
クリル樹脂やポリエステル樹脂などによる変性体、ポリ
エチレン、ポリプロピレンなどの低分子量合成ワック
ス、カルナバワックス、密ロウ、モンタンワックス、パ
ラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックスなどの
天然ワックスを用いることができ、また、これらを組み
合わせて使用してもよい。この中でも、高温や高圧で使
用される定着ロールなどの用途の場合には、融点が高い
という点で、シリコーン樹脂、フッ素樹脂を使用するこ
とが好ましく、また、皮膜形成能に優れるという点で、
ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックスなど
のワックスを使用することが好ましい。
【0059】変性シリコーン樹脂としては、ポリエステ
ル変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、
アクリル変性シリコーン樹脂、ポリイミド変性シリコー
ン樹脂、オレフィン変性シリコーン樹脂、エーテル変性
シリコーン樹脂、アルコール変性シリコーン樹脂、フッ
素変性シリコーン樹脂、アミノ変性シリコーン樹脂、メ
ルカプト変性シリコーン樹脂、カルボキシ変性シリコー
ン樹脂などの変性シリコーン樹脂を用いることができ
る。
【0060】フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン
などのフッ素樹脂、およびアクリル樹脂、ポリイミド樹
脂などを高フッ素化した変性フッ素樹脂なども利用でき
る。フッ素樹脂は、離型剤としてだけでなく、固体潤滑
剤としても利用できる。
【0061】離型剤の添加量は、他の成分の固形分に対
し、固形分比で1重量%以上90重量%以下であること
が好ましい。離型剤が1重量%より少ない場合は、離型
剤の効果が発揮されず、厚膜化なども期待できない。一
方、90重量%を越える場合は皮膜の強度が低下し、逆
に摩耗量が増加する場合がある。
【0062】また、潤滑離型膜の膜表面の硬度や潤滑剤
としてのシリコーンオイルとの親和性を高めるために、
離型剤として、硬化性シリコーン樹脂を添加することも
できる。硬化性シリコーン樹脂は、反応性シラン化合物
や変性シリコーンオイルとともに反応することができ、
そのため硬質で厚膜化も可能となる利点があり、上記摩
耗の問題も軽減させることができる。
【0063】硬化性シリコーン樹脂は、3官能以上のク
ロロシラン、あるいはこれらと1または2官能のクロロ
シランとの混合物などを加水分解したシラノールを縮合
することによりポロシロキサンを合成し、触媒として有
機酸金属塩やアミン類を用いるなどしてさらに縮合反応
(硬化反応)を進めることにより合成することができ
る。
【0064】硬化反応としては、末端にシラノール基を
含有するポリジメチルシロキサンをベースポリマーと
し、架橋剤としてポリメチルハイドロジェンシロキサン
を配合し、有機スズ触媒の存在下で加熱により縮合する
縮合型、ビニル基を含有するポリジメチルシロキサンを
ベースポリマーとし、架橋剤としてポリメチルハイドロ
ジェンシロキサンを配合して、白金触媒の存在下で反
応、硬化する付加型、ラジカル硬化機構、光カチオン硬
化機構のUV硬化型などがある。硬化型シリコーン樹脂
は、塗工形態的には溶剤型、無溶剤型に分けられ、さら
に反応のタイプによりそれぞれ付加型、縮合型、UV型
などに分類できる。
【0065】縮合型は、末端にシラノール基を含有する
ポリジメチルシロキサンをベースポリマーとし、架橋剤
としてポリメチルハイドロジェンシロキサンを配合し、
有機スズ触媒の存在下で加熱により縮合反応する。形態
的には溶液型とエマルジョン型に分けられる。
【0066】付加型はビニル基を含有するポリジメチル
シロキサンをベースポリマーとし、架橋剤としてポリジ
メチルハイドロジェンシロキサンを配合して、白金触媒
の存在下で反応・硬化させる。形態的には溶剤型、エマ
ルジョン型、無溶剤型に分けられる。
【0067】UV硬化型には、光カチオン触媒を利用し
たものやラジカル硬化機構を利用したものが知られてい
る。UV硬化型は無溶剤コーティングを基本としている
が、膜厚の制御のためには溶剤に希釈してコーティング
し、乾燥後UV照射することができる。
【0068】本発明では、湿度、熱、光、電子線などの
エネルギー線で硬化するシリコーン樹脂を好ましく用い
ることができ、さらに、これら樹脂と非シリコーン化合
物、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレ
ン樹脂、スチレン−プロピレン樹脂、スチレン−ブタジ
エン樹脂、スチレン−塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸
ビニル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル樹脂、スチ
レン−メタクリル酸エステル樹脂などを含有してもよ
い。また、これら非シリコーン化合物のモノマーをラジ
カル重合開始剤やイオン重合開始剤などともに上記シリ
コーン樹脂、あるいはそのモノマーを共存した状態で硬
化反応を行ってもよい。非シリコーン化合物の含有量
は、潤滑離型性の観点よりシリコーン樹脂に対し、固形
分比で50重量%以下が好ましい。
【0069】本発明の潤滑離型材料用組成物には、微粒
子を含有することができる。微粒子としては、例えば、
酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酸
化ジルコニウム、チタン酸バリウム、シリカ、タルク、
クレー(カオリン)、炭酸カルシウム、シリコーン樹
脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレンーアクリル
樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン
ーベンゾグアナミン樹脂、ポリオレフィン樹脂などを用
いることができ、特に、シリコーン樹脂、アクリル樹脂
微粒子や、反応性シラン化合物や変性シリコーンオイル
との反応性がよい酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸
アルミニウム、シリカ、シリコーン樹脂が好ましい。こ
れら微粒子は、潤滑離型膜作製後、潤滑離型膜中に強固
に固定され、また微粒子の一部が表面に露出することに
よる凹凸により、他の部材との接触面積を減少させ、さ
らなる潤滑性の向上と表面硬度の増加が図られる。
【0070】本発明の潤滑離型材料用組成物には、固体
潤滑剤を含有することができる。固体潤滑剤としては、
窒化ホウ素、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングス
テン、フッ化黒鉛、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ
トリフルオロエチレン、ポリアミド、ポリアセタール、
ポリエチレンが好ましく、潤滑性能の点では黒鉛、フッ
化黒鉛、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール
が特に好ましい。また、これらを組み合わせて使用する
こともできる。
【0071】これら固体潤滑剤も、潤滑離型膜作製後、
潤滑離型膜中に強固に固定化され、また固体潤滑剤の一
部が表面に露出することによる凹凸により、他の部材と
の接触面積を減少させ、さらなる潤滑性の向上と表面硬
度の増加が図られる。
【0072】微粒子や固体潤滑剤は、それ自身の材料特
性(粒径、潤滑性、硬度)とシラン化合物やシリコーン
オイルとの配合割合により表面への析出量、表面硬度、
潤滑離型性を制御することができる。例えば、磁気ディ
スク等の用途の場合には、硬度、潤滑性、維持性の高い
ものを使用することが好ましい。
【0073】微粒子や固体潤滑剤の配合量は、一般に
は、他の成分の固形分に対し、固形分比で1重量%以
上、90重量%以下であることが好ましい。微粒子や固
体潤滑剤が1重量%より少ない場合は、潤滑剤の効果が
発揮されず、一方、90重量%を越える場合は皮膜の強
度が低下し、逆に摩耗量が増加する場合がある。
【0074】さらに、具体的には、微粒子や固体潤滑剤
自身の材料特性(粒径、潤滑性、硬度)と表面への析出
量、表面硬度、潤滑離型性を考慮して配合量を決めるこ
とができる。例えば、磁気ディスク等の用途の場合に
は、表面平滑性の点で、0.1重量%以上、30重量%
以下とすることが好ましく、また、現像剤担持体等の用
途の場合には、摩耗性の点で0.1重量%以上、50重
量%以下とすることが好ましい。
【0075】本発明の潤滑離型材料用組成物には、導電
性材料を含有することができる。潤滑離型材料は、主に
絶縁性材料から構成されるが、潤滑離型膜中に導電性材
料を含有させ、要求特性により導電性材料の含有量を変
化させることにより、表面抵抗を制御することができ
る。例えば、定着用部材の場合には、主成分が絶縁性材
料から構成されることから、紙の剥離や摩擦などで発
生、蓄積する電荷により、定着用部材表面へ、定着直前
のトナー粒子が静電的に付着し、画像の乱れを引き起こ
す場合がある。この問題をなくすために、離型層中に導
電性材料を含有させ、要求特性により導電性材料の含有
量を変化させることにより、表面抵抗を制御することが
できる。
【0076】導電性材料としては、ZnO、TiO、T
iO2 、SnO2 、Al2 3 、In2 3 、SiO、
SiO2 、MgO、BaO及びMoO3 等の金属酸化物
を挙げることがきる。これらは、単独で使用しても良
く、これらの複合酸化物を使用しても良い。また、金属
酸化物は、異種元素をさらに含有するものが好ましく、
例えばZnOに対してAl、In等、TiOに対してN
b、Ta等、SnO2 に対しては、Sb、Nb、ハロゲ
ン元素等を含有(ドーピング)させたものが好ましい。
これらの中で、SbをドーピングしたSnO2 が、経時
的にも導電性の変化が少なく安定性が高いので特に好ま
しい。
【0077】また、導電性高分子等の有機導電性材料も
用いることができ、導電性高分子として、ポリアニリ
ン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリトリフェニル
アミンなどが使用できる。
【0078】さらに、イオン導電性を示す界面活性剤、
例えば陰イオン系または陽イオン系の界面活性剤も用い
ることができる。陰イオン系界面活性剤としては、脂肪
酸塩、ロジン塩、ナフテン塩、エーテルカルボン酸塩、
アルケニルコハク酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−
アシルグルタミン酸塩、硫酸第一アルキル塩、硫酸第二
アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、硫酸
アルキルフェニルポリオキシエチレン塩、硫酸モノアシ
ルグリセリン塩、アシルアミノ硫酸エステル塩、硫酸
油、硫酸化脂肪酸アルキルエステル等のカルボン酸の塩
類;α−オレフィンスルホン酸塩、第二アルカンスルホ
ン酸塩、α−スルホ脂肪酸、アシルイセチオン酸塩、N
−アシル−N−メチルタウリン酸、ジアルキルスルホコ
ハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナ
フタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジ
スルホン酸塩、石油スルホン酸塩、リグニンスルホン酸
塩等のスルホン酸の塩類;リン酸アルキル塩、リン酸ア
ルキルポリオキシエチレン塩等のリン酸エステルの塩
類;スルホン酸変性、カルボキシル変性のシリコン系ア
ニオン性界面活性剤;ペルフルオロアルキルカルボン酸
塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸塩、ペルフルオロ
アルキルリン酸エステル、ペルフルオロアルキルトリメ
チルアンモニウム塩等のフッ素系界面活性剤;その他脂
質系、バイオサーファクタント、オリゴソープなどが使
用できる。
【0079】陽イオン系界面活性剤としては、第一級ア
ミン塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、N−ア
ルキルポリアルキレンポリアミン塩、脂肪酸ポリエチレ
ンポリアミド類、アミド類及びその塩類、アミン塩など
のアルキルアミン、アシルアミンの塩類;アルキルトリ
メチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウ
ム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アル
キルピリジウム塩、アシルアミノエチルメチルジエチル
アンモニウム塩、アシルアミノプロピルジメチルベンジ
ルアンモニウム塩、アシルアミノプロピルジエチルヒド
ロキシエチルアンモニウム塩、アシルアミノエチルピリ
ジウム塩、ジアシルアミノエチルアンモニウム塩等の第
四級アンモニウム塩若しくはアミド結合を有するアンモ
ニウム塩;ジアシロキシエチルメチルヒドロキシエチル
アンモニウム塩、アルキルオキシメチルピリジウム塩等
のエステル、エーテル結合を有するアンモニウム塩;ア
ルキルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−アル
キルイミダゾリン、1−アシルアミノエチル−2−アル
キルイミダゾリウム塩等のイミダゾリン、イミダゾリウ
ム塩;アルキルポリオキシエチレンアミン、N−アルキ
ルアミノプロピルアミン、N−アルキルポリエチレンポ
リアミン、N−アシルポリエチレンポリアミン、脂肪酸
トリエタノールアミンエステル等のアミン誘導体などが
使用でき、またこれらの界面活性剤をいくつか複合して
使用してもよい。
【0080】しかし、本発明の潤滑離型材料用組成物に
より得られる潤滑離型膜を、1μm未満の薄膜に形成す
ることにより、導電性材料を含有することなく、潤滑離
型膜の形成による表面抵抗への影響を減少することもで
きる。
【0081】本発明の潤滑離型材料用組成物には、画像
形成材料の定着制御や筆記性の制御、基体との反応性の
制御などの点を考慮して、その膜の機能を損なわない量
の添加物、例えば、アルミニウム化合物、チタニウム化
合物、ジルコニウム化合物、フッ素化合物などを含んで
も良い。
【0082】その例として、アルミニウムイソプロポキ
サイド、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウ
ムtert−ブチレート、テトラiso−プロピルチタ
ネート、テトラn−ブチルチタネート、テトラiso−
ブチルチタネート、テトラsec−ブチルチタネート、
テトラtert−ブチルチタネート、テトラn−ペンチ
ルチタネート、テトラiso−ペンチルチタネート、テ
トラn−ヘキシルチタネート、テトラn−ヘプチルチタ
ネート、テトラn−オクチルチタネート、テトラiso
−オクチルチタネート、テトラn−ノニルチタネート、
テトラメチルジルコネート、テトラエチルジルコネー
ト、テトラiso−プロピルジルコネート、テトラn−
プロピルジルコネート、テトラn−ブチルジルコネー
ト、テトラiso−ブチルジルコネート、テトラter
t−ブチルジルコネート、モノsec−ブトキシアルミ
ニウムジイソプロピレート、エチルアセトアセテートア
ルミニウムジイソプロピレート、ジn−ブトキシアルミ
ニウムモノエチルアセトアセテート、アルミニウムジn
−ブトクサイドメチルアセトアセテート、アルミニウム
ジイソブトキサイドモノメチルアセトアセテート、アル
ミニウムジsec−ブトキサイドモノエチルアセトアセ
テート、アルミニウムジiso−プロポキサイドモノエ
チルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルア
セトネート、アルミニウムジiso−プロポキサイドモ
ノアセチルアセトネート、アルミニウムモノアセチルア
セトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニ
ウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニ
ウムオキサイドアシレート化合物、ジ−iso−プロポ
キシチタン−ビス(アセチルアセトネート)、ジn−ブ
トキシチタン−ビス(アセチルアセトネート)、テトラ
オクチレングリコールチタネート、テトラキスアセチル
アセトンジルコネートなどが挙げられる。
【0083】前記フッ素化合物としては、フルオロオレ
フィン系樹脂を用いることができ、具体的にはテトラフ
ルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサ
フルオロプロピレン、パーフルオロプロピルビニルエー
テル等を例示することができる。これらは2種以上混合
して使用しても良い。また、フッ素化合物としてX−C
2 (OC2 4 p (OCH2 q OCF2 −Xで示
されるパーフルオロポリエーテルで、具体的にはXがO
CN−C6 3 (CH3 )NHCO−で表されるイソシ
アネート変性物、−COOHで表されるカルボキシル基
変性物、−CH 2 OH、−CF2 −CH2 ((OCH2
CH2 n )OH等で表されるアルコール変性物、−C
OORで表されるエステル変性物なども挙げられる。
【0084】(潤滑離型材料)次に、本発明の潤滑離型
材料について説明する。本発明の潤滑離型材料は、前述
の本発明の潤滑離型材料用組成物の各構成成分を混合す
ることにより得られる。
【0085】反応性シラン化合物とシリコーンオイルと
の反応性が高い場合には、潤滑離型材料は潤滑離型膜作
製直前に調製するのが好ましい。しかし、潤滑離型材料
調製後、潤滑離型膜作製前に反応性シラン化合物とシリ
コーンオイルとが一部分反応した状態であっても、残存
する反応基により基体と反応させることが可能である。
したがって、潤滑離型材料には反応性シラン化合物とシ
リコーンオイルとの反応生成物が含まれていてもよい。
【0086】また、潤滑離型材料調製段階で、あらかじ
め反応性シラン化合物とシリコーンオイルとを反応させ
ておいて、得られた反応生成物を基体に塗布または含浸
させて、基体と反応させることにより潤滑離型膜を形成
してもよい。反応性シラン化合物とシリコーンオイルと
の反応後、反応生成物中に反応基が残存している場合に
は、そのまま基体と反応させることができるが、反応生
成物中に、新たに反応基を導入して基体と反応させるこ
ともできる。
【0087】さらに、本発明の潤滑離型材料用組成物
が、反応性シラン化合物とシリコーンオイル以外に他の
添加剤を含む組成物である場合、潤滑離型材料には、反
応性シラン化合物、シリコーンオイル、および/または
反応性シラン化合物とシリコーンオイルとの反応生成物
だけでなく、これらと他の添加物との反応生成物が含ま
れていてもよい。
【0088】(潤滑離型膜の作製方法)次に、本発明の
潤滑離型膜の作製方法について説明する。本発明の潤滑
離型膜の作製方法としては、前述の本発明の潤滑離型材
料を基体に塗布または含浸させ、基体と反応させるもの
である。
【0089】本発明の潤滑離型材料と反応させることが
できる基体としては、金属、セラミックス、ガラス、プ
ラスチックス、紙など、反応性シラン化合物、あるいは
反応性シラン化合物とシリコーンオイルとの反応生成物
等と反応するものであればよく、特に制限はないが、反
応性の点で、ヒドロキシル基やアミノ基等の反応性水素
を持った官能基を表面に多く有する基体であることが好
ましい。
【0090】しかしながら、反応性シラン化合物、ある
いは反応性シラン化合物とシリコーンオイルとの反応生
成物、との反応性が低い基体であっても、あらかじめ光
照射、オゾン照射、放射線(X、α、γ、β線など)処
理、高温加熱、酸化処理等の基体表面に反応性水素を持
った官能基を発生させる処理をすることにより、本発明
の潤滑離型材料との反応性を高めることができる。
【0091】基体に用いることができる金属としては、
Al、Fe、Ti、Ta、Cr、Nb、Co、Ni、I
n、Au、Pt、Pd、Rh、Ag、Pb、Cuなど加
工することが可能であればどんなものでも利用できる。
その中でも、コスト、重量、入手性の点で、Al、F
e、Nb、Cuが好ましい。
【0092】基体に用いることができるプラスチックと
しては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミ
ド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、スチレン樹脂、
スチレン−プロピレン樹脂、スチレン−ブタジエン樹
脂、スチレン−塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル
樹脂、スチレン−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−
メタクリル酸エステル樹脂などが利用でき、これらは単
独使用に限らず混合して複数用いてもよい。その中で
も、コスト、強度、加工性などの点で、ポリエステル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド
樹脂が好ましい。
【0093】基体に用いることができるプラスチックフ
ィルムとしては、透過性が要求される場合、アセテート
フィルム、三酢酸セルローズフィルム、ナイロンフィル
ム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィル
ム、ポリスチレンフィルム、、ポリフェニレンサルファ
イドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフ
ィルム、セロハンなどが挙げられ、現状では機械的、電
気的、物理的、化学的特性、加工性など総合的な観点か
ら見て、ポリエステルフィルムが好ましく、二軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
【0094】基体に用いることができるセラミックスや
ガラスとしては、SiO2 、ZnO、TiO、Ti
2 、SnO2 、Al2 3 、In2 3 、SiO、S
iO2 、MgO、BaOおよびMoO3 、などの導電性
酸化物、Fe2 3 、CoO、ガーネット(Bix
5-x+u y Fe6-y+v 12:ここで0≦x≦3、0≦y
≦5、−3≦u≦3、−5≦v≦5、Rはイットリウム
を含む1種類以上の希土類元素、Mは鉄と置換可能な3
価の金属を表す)などの磁性材料、PZT、PLZT強
誘電体酸化物、ガラス材料としてソーダガラス、鉛ガラ
ス、石英ガラスなどが利用できる。その中でも、コス
ト、加工性の点でソーダガラス、鉛ガラスが好ましい。
【0095】基体に用いることができる紙としては化学
パルプとして例えば、広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹
未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒
クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒
亜硫酸パルプ、ソーダパルプ等の木材およびその他の繊
維原料を化学的に処理し、晒し工程を経て作られたバー
ジンの晒ケミカルパルプが利用できる。古紙パルプとし
ては、例えば製本、印刷工場、裁断所等において発生す
る裁落、損紙、幅落としした古紙である上白、特白、中
白、白損等の未印刷古紙を解離した古紙パルプ、上質
紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙、更紙等に平
板、凸版、凹版、印刷等、電子写真方式、感熱方式、熱
転写方式、感圧記録紙、インクジェット記録方式、カー
ボン紙等により印字された古紙、および水性、油性イン
クや鉛筆などで筆記した古紙、新聞古紙を解離後、各古
紙に最適な方法で脱墨した古紙パルプ、比較的脱墨が容
易な平板印刷された古紙パルプから再生された再生紙な
どが利用できる。その中でも、白色度、強度等の点で
は、各種のバージンパルプが好ましい。
【0096】基体の形状としては特に限定されるもので
はなく、本発明の潤滑離型材料を塗布あるいは含浸する
ことによりその表面に接触できるものであれば、フィル
ム状、ディスク状、ロール状、ベルト状(エンドレスベ
ルト)、粉体であっても構わない。また、部材の表面に
形成された金属、セラミックス、ガラス、紙、樹脂等の
皮膜を基体とすることもできる。
【0097】例えば、電子写真用部材であれば、搬送用
ベルトの表面・裏面、定着ロールの表面、転写ドラムの
表面、転写器の表面、クリーナーの表面、フィルム帯電
器の表面、有機感光体の表面、現像ユニットの表面、リ
サイクル用紙の表面・裏面、リサイクル用OHPフィル
ムの表面・裏面に本発明の潤滑離型膜を形成することが
でき、磁気記録部材であれば、磁気ディスクの表面・裏
面に本発明の潤滑離型膜を形成することができる。
【0098】本発明の潤滑離型材料を基体に塗布または
含浸させる方法としては、ブレードコーティング法、ワ
イヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、
浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナ
イフコーティング法、カーテンコーティング法、ロッド
バーコーティング法、ロールコーティング法等の通常使
用される方法が採用される。
【0099】また、本発明の潤滑離型材料は溶媒で希釈
して基体に塗布または含浸させることができる。溶媒と
しては、反応性シラン化合物や、反応性シラン化合物と
シリコーンオイルとの反応生成物、との反応性が低いも
のが用いられる。例えば、酢酸エチル、トルエン、キシ
レン、ベンゼン、炭化水素、フッ化炭化水素等を用いる
ことができるが、その中でも、低コストで、反応性シラ
ン化合物との反応性が低く、毒性の低い酢酸エチルが好
ましい。また、フッ素含有シラン化合物等のフッ素含有
化合物を用いる場合は、フッ素系の溶媒、場合によって
はプロピルアルコール以上の高級アルコール系の溶媒を
用いる。
【0100】本発明の潤滑離型材料は、基体との反応性
が高いため、塗布または含浸後は、通常、室温放置で十
分反応を進行させることができるが、潤滑離型材料の反
応性が十分でない場合は、加熱、光照射などのエネルギ
ーを供給することにより反応を進めることができる。
【0101】本発明の潤滑離型材料を基体に塗布または
含浸させ、基体と反応させて膜を形成した後は、膜を乾
燥させるのが好ましい。これら皮膜を形成する際の乾燥
は風乾でも良いが、熱乾燥を行えば基体に対する接着性
が増すため、さらに好ましい。接着性が増す理由は加熱
により基体表面と反応した成分が配列あるいは配向する
ためだと推定されるが、そのメカニズムは定かではな
い。熱乾燥の方法としては、オーブンに入れる、オーブ
ンに通す、あるいは加熱ローラに接触させるなど通常使
用される方法が採用される。熱乾燥の温度は、基体を変
形、変質させない温度以下であって、反応性シラン化合
物の反応が進行する温度であればよく、一般には200
℃以下が好ましい。熱乾燥の時間は、作業性の観点より
60min以下が好ましい。
【0102】本発明の潤滑離型膜の膜厚は、前記したと
おり、離型剤として含有する樹脂の配合比などにより変
化させることができるが、潤滑離型材料の塗布量、潤滑
離型材料への含浸時間、潤滑離型材料の濃度を調整する
ことによっても、変化させることができる。
【0103】本発明の潤滑離型膜の表面形状(凹凸)
は、潤滑離型材料に含有する潤滑剤や導電性材料などが
固体である場合、その粒径、配合比などにより潤滑離型
膜表面への析出量を制御することで、潤滑離型膜の表面
形状(凹凸)を変化させることができる。また、これと
は別にポリマー粒子や無機粉体など各種マット化剤の混
合や機械的な切削、研磨、サンドブラスト処理、エンボ
ス加工などをすることにより、表面形状を変化させるこ
とができる。これにより、他部材との接触面積の低減や
付着性、光透過性など表面形状により変化する特性など
を制御することできる。
【0104】(潤滑離型膜)次に、本発明の潤滑離型膜
について説明する。本発明の潤滑離型膜は、本発明の潤
滑離型材料を基体表面上に塗布、含浸し、基体と反応さ
せることにより作製される。すなわち、本発明の潤滑離
型膜は、反応性が高いシラン化合物が基体表面と化学反
応することにより基体表面と強力な結合を形成し、同時
にシリコーンオイルとも化学反応することにより、基体
表面に形成された皮膜である。
【0105】シリコーン材料は耐熱性が高く、またその
表面張力が小さいことによる撥水性、非接着性(離型
性)の性質を兼ね備えている。また、各種特性の温度変
化が小さいなど機能材料として優れた性能を持ってい
る。そのため、従来からシリコーン材料は潤滑剤として
利用されてきたが、逆に非接着性などの性質により部材
(基体)表面と接着できないことになり、潤滑離型膜と
しては膜が部材表面から剥離してしまうという問題点を
抱えていた。また、代表的な低付着性材料として知られ
ているフッ素樹脂なども同様に潤滑性と離型性を兼ね備
えているが、シリコーン材料と同様の問題点を抱えてい
る。
【0106】本発明の潤滑離型膜は、反応性が高いシラ
ン化合物が部材表面と化学反応することにより部材表面
と強力な結合を形成し、部材表面と潤滑離型膜との密着
性を高めて、これらの問題を解決している。
【0107】一方、シリコーンオイルは、焼き付けによ
り部材表面に潤滑性の皮膜を形成し、この皮膜とシリコ
ーンオイル自身の潤滑性、低付着性によりこれらの性質
が要求される電子写真用の定着ロールなどに利用されて
いる。シリコーンオイルは、部材間に薄層となって存在
することにより、該シリコーンオイル層が潤滑層となり
潤滑性を発現しているものと考えられる。また、定着ロ
ール間で加熱加圧されるトナーは、シリコーンオイル層
が弱い結合層(Weakly Boundary La
yer)となり、この結合層が破壊されることによりト
ナーは定着ロール表面に付着しないものと考えられてい
る。シリコーンオイルは優れた潤滑剤(潤滑油)である
ことが知られているが、上記のようにシリコーンオイル
が部材に付着、含浸、吸着されることにより、トナーだ
けでなく、紙やOHPなどの他の記録部材へ浸透し、こ
れらの表面を変化させてしまい、トナーの定着性、OH
Pなどの透過性を悪化させ、さらに付箋や粘着テープな
どの付着性や水性インクの筆記性なども悪化させるなど
の問題を生ずる。このように、シリコーンオイルのみで
は、他の部材への移行性が問題となる。
【0108】本発明の潤滑離型膜は、シリコーンオイル
が持っている優れた潤滑性、離型性を活かしながら、シ
ラン化合物と反応させることによりシリコーンオイルと
化学結合を形成させ、他の部材への移行性を制御するこ
とに成功し、潤滑性、離型性と他の部材への移行性の防
止の両立を達成している。
【0109】(定着用部材)本発明の定着用部材は、基
体上に、前述の潤滑離型材料からなる離型層を表面層と
して有するものである。離型層の好ましい態様として
は、既に潤滑離型材料用組成物、潤滑離型材料、及び潤
滑離型膜の項で適宜述べた通りである。特に、該離型層
中に、微粒子や導電性材料を含有していることが好まし
い。また、離型層表面に、シリコーンオイルが塗布され
ていることも好ましい。基体の形状としては、ロール状
であれば定着ロールが、ベルト状であれば定着ベルト
が、それぞれ得られる。
【0110】(定着装置)上記本発明の定着用部材は、
あらゆる定着装置に適用することができる。例えば、図
1に示すような従来からの一般的な定着装置に適用する
ことができる。図1中、1は本発明の定着用部材として
の加熱定着ロールであり、中空ロール(ロール状基体)
3の外周面にゴム弾性層4が形成され、さらにその上に
離型層5が形成されてなる。離型層5は、前述の本発明
の潤滑離型材料からなる。中空ロール3の内部にはヒー
ター6が配され、加熱定着ロール1の表面を所定の温度
に加熱する。加熱定着ロール1の周りには、離型層5の
表面にシリコーンオイル等のオイルを供給するオイル供
給装置9と、剥離爪12とが配されている。2は加圧定
着ロールであり、芯金ロール10の外周面に耐熱弾性体
11が形成されてなり、加熱定着ロール1と接触してニ
ップ部を形成している。
【0111】不図示の動力手段により、加熱定着ロール
1が図1上時計方向に回転し、加圧定着ロール2も矢印
A方向に従動回転する。不図示の現像手段により未定着
トナー像8が形成された記録体7は矢印B方向に移動
し、前記ニップ部に挿通され、熱及び圧力により未定着
トナー像8が記録体7上に定着される。定着後の記録体
7は剥離爪12により加熱定着ロール1から剥離され
る。
【0112】このように、加熱定着ロール1の表面層と
して、本発明の潤滑離型材料からなる離型層5を有する
ことにより、剥離性が良好で、加熱定着ロール1の摩耗
による画質の低下を引き起こすことのない定着装置とな
る。
【0113】このような構成の定着用部材である加熱定
着ロール1を用いれば、離型層5にオイルを供給しな
い、いわゆるオイルレスにしても剥離性が良好で、加熱
定着ロール1の摩耗による画質の低下を引き起こすこと
がない。図2は、このようなオイルレスの定着装置を示
す概略断面図である。図2の定着装置は、オイル供給装
置9を有さないことを除いては、図1と同様である。な
お、図2中図1と同一の符号は、図1において説明した
ものと同一の部材、構成および機能を有するものであ
る。
【0114】図3に示す定着装置も、本発明の定着用部
材を適用することができる。図3ににおいても図1と同
一の符号は、図1において説明したものと同一の部材、
構成および機能を有するものである。即ち加熱定着ロー
ル1の表面層として、本発明の潤滑離型材料からなる離
型層5が形成されている。15は、支持ロール13,1
4により張架されたエンドレスベルトであり、加熱定着
ロール1と接触してニップ部を形成している。図3に示
す定着装置においては、この加熱定着ロール1とエンド
レスベルト15とにより形成されたニップ部において、
記録体7上の未定着トナー像8が定着される。この場
合、本発明の定着用部材を適用することで、特に圧力に
依存しないで定着できる画像形成方法となり、装置の軽
量化、小型化に貢献できる。
【0115】図4〜6は、ベルトニップ方式の定着装置
を示し、これらにもエンドレスベルト15に、本発明の
定着用部材としての定着ベルトを適用することができ
る。エンドレスベルト15は、ポリイミド、ポリアミ
ド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート等
のフィルムを基体とし、該基体の表面に前述の本発明の
潤滑離型材料からなる離型層が設けられてなる。
【0116】図4において、エンドレスベルト15は、
駆動ロール19、従動ロール20および加熱体16によ
り張架されている。エンドレスベルト15は、加熱体1
6内のヒーター基板17表面に配された発熱体18によ
り、内側から加熱される。加熱体16に対向する位置
に、エンドレスベルト15を介して加圧定着ロール21
が配され、エンドレスベルト15と加圧定着ロール21
との間にニップ部が形成されている。その他、図1と同
一の符号は、図1において説明したものと同一の部材、
構成および機能を有するものである。図4に示す定着装
置においては、エンドレスベルト15と加圧定着ロール
21とにより形成されたニップ部において、記録体7上
の未定着トナー像8が定着される。ベルトを使用するこ
とで、小型軽量化を図ることができ、さらに、ベルトを
直接発熱体で加熱する為、インスタントオンで装置を稼
働させることができる。
【0117】図5の定着装置は、オイル供給パッド22
により、エンドレスベルト15内面にオイルを供給する
機構を設けた以外は、図4と同様である。なお、図5中
図4と同一の符号は、図4において説明したものと同一
の部材、構成および機能を有するものである。
【0118】図6の定着装置は、エンドレスベルト15
の張架方法、および分離ロール25、26を設けて、定
着後の記録体7の分離(剥離)性の更なる向上を図って
いる。エンドレスベルト15は、搬送ロール29,2
9’、加熱体16、および分離ロール25により張架さ
れ、エンドレスベルト15を介して、加熱体16に加圧
ロール27が、分離ロール25に分離ロール26がそれ
ぞれ対向配置されている。加圧ロール27と分離ロール
26とは、搬送ベルト28を張架する役割も担ってい
る。その他、図4および5と同一の符号は、図4および
5において説明したものと同一の部材、構成および機能
を有するものである。未定着トナー像8が形成された記
録体7は、エンドレスベルト15と搬送ベルト28によ
り加熱体16の部分で形成されるニップ部に挿通され熱
及び圧力により未定着トナー像8が記録体7上に定着さ
れる。その後記録体7は、そのまま矢印C方向に搬送さ
れ、その間に徐冷され、分離ロール25、26の圧力に
よりエンドレスベルト15から分離(剥離)される。
【0119】図7に示す定着装置も、本発明の定着用部
材を適用することができる。図7ににおいて、図1と同
一の符号は、図1において説明したものと同一の部材、
構成および機能を有するものである。即ち加熱定着ロー
ル1の表面層として、本発明の潤滑離型材料からなる離
型層5が形成されている。また、加熱定着ロール1とエ
ンドレスベルト15とによりニップ部が形成される点は
図3の定着装置と同様であるが、図7においては該エン
ドレスベルト15の保持、引回しの方法が異なってい
る。即ち、エンドレスベルト15は、その内側に配され
た支持体31と弾性体32とからなる押圧パッド30に
より、加熱定着ロール1に押しつけられニップ部を形成
し、張架ロール等による張架はされず、テンションフリ
ーの状態になっている。
【0120】加熱定着ロール1は矢印D方向に回転し、
それにつれてエンドレスベルト15も矢印E方向に従動
回転し、ベルト走行ガイド34によりのエンドレスベル
ト15回転の軌道が一定に保持される。そして、加熱定
着ロール1とエンドレスベルト15とにより形成された
ニップ部において、不図示の記録体上の未定着トナー像
が定着される。なお、図7においては、エンドレスベル
ト15も本発明の定着用部材としての定着ベルトの構成
となっている。即ち、エンドレスベルト15は、基体3
3表面に前述の本発明の潤滑離型材料からなる離型層が
設けられてなっている。
【0121】このように加熱定着ロール1とエンドレス
ベルト15双方の構成を、本発明の定着用部材とすれ
ば、離型層5にオイルを供給しない、いわゆるオイルレ
スにしても剥離性が良好で、加熱定着ロール1やエンド
レスベルト15の摩耗による画質の低下を引き起こすこ
とがない。勿論、加熱定着ロール1の離型層5にオイル
を供給することも可能である。図8は、オイル供給パッ
ド22を有する定着装置を示す概略断面図である。図8
の定着装置は、オイル供給パッド22を有することを除
いては、図7と同様である。なお、図8中図7と同一の
符号は、図7において説明したものと同一の部材、構成
および機能を有するものである。
【0122】(カラー画像形成方法)少なくともカラー
着色剤および結着樹脂からなるトナーを用いて、カラー
トナー画像を記録体上に形成し、該カラートナー画像が
形成された記録体に、定着用部材を用いて熱および圧力
を付与し、前記記録体上に前記カラートナー画像を定着
することにより、カラー画像を得るカラー画像形成方法
において、前記定着用部材として、本発明の定着用部材
を適用することができる。カラー画像を得る場合には、
複数色のトナーを溶融混色させる為、十分な熱と圧力の
供給が必要であるが、画像濃度の低い部分のドットやラ
インを発色させる熱量を与えると、従来の定着用部材で
は離型性が低い為高画像濃度部がオフセットする問題が
ある。本発明の定着用部材を適用することにより、部材
表面にオイルを塗布しなくても潤滑性を持った強い層が
表面にあり、或いは極力少ない量のオイルでオフセット
せずに定着できる為好ましい。トナーに用いられるカラ
ー着色剤および結着樹脂は、特に限定されず、従来公知
のあらゆるものを用いた場合にも本発明の定着用部材を
適用することによる効果が期待できる。勿論、トナーに
は、その他外添剤や、離型剤、磁性体等従来公知のその
他の成分が含まれていてもよい。
【0123】
【実施例】以下に、実施例によって本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。尚、実施例および比較例において『部』とあるの
は『重量部』を意味する。
【0124】実施例1 アルミニウム部材上にジルコニウム化合物(商品名「オ
ルガチックスZC540」:マツモト製薬社製)10部
およびシラン化合物(商品名「A1110」:日本ユニ
カー社製)1部とイソプロパノール40部およびブタノ
ール20部からなる溶液を浸漬コーティング法でに塗布
し、150℃において10分間加熱乾燥し膜厚0.12
μmの下引層を形成した。次に、X型無金属フタロシア
ニン結晶1部を、ポリビニルブチラール樹脂(商品名
「エスレックBM−S」:積水化学社製)1部およびシ
クロヘキサノン100部と混合し、ガラスビーズととも
にサンドミルで1時間処理して分散した後、得られた塗
布液を上記下引層上に浸漬コーティング法でに塗布し、
100℃において10分間加熱乾燥し、膜厚0.25μ
mの電荷発生層を形成した。
【0125】以下に化1〜3に例示される化合物(1)
8部と化合物(2)2部と、変性ポリカーボネート樹脂
(3)(粘度平均分子量Mv:41,000)10部を
モノクロロベンゼン85部に溶解し、得られた塗布液
を、上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、
115℃において60分間加熱乾燥、膜厚18μmの電
荷輸送層を形成した。
【0126】
【化1】
【0127】
【化2】
【0128】
【化3】
【0129】次に、フッ素樹脂(商品名「セフラルコー
トA−101B」:セントラル硝子社製)2部、反応性
シラン化合物として、テトライソシアネートシラン20
部、シリコーンレジン(商品名「YSR3022」:東
芝シリコーン社製)2部、変性シリコーンオイルとし
て、アミノ変性シリコーンオイル(商品名「TSF47
02」反応基量:1600、粘度:500cs:東芝シ
リコーン社製)18部を酢酸エチル300部に混合攪拌
し、潤滑離型材料を得た。ここで、反応基量とは、アミ
ノ変性シリコーンオイル一モルあたりの反応基(アミノ
基)の量を表している。これを上記電荷輸送層上にディ
ップコートして、風乾後、120℃で3分間オーブンで
加熱処理して約2μmの潤滑離型膜を形成し、電子写真
感光体を作製した。
【0130】このようにして得られた電子写真用感光体
の電子写真特性を、静電複写紙試験装置(商品名「エレ
クトロスタティックアナライザーEPA−8100」:
川口電気社製)を用いて、常温常湿(20℃、40%R
H)の環境下、−6kVのコロナ放電を行い、帯電させ
た後、タングステンランプの光を、モノクロメーターを
用いて800nmの単色光にし、感光体表面上で1μW
/cm2 になるように調整し、照射した。そしてその表
面電位V0 (ボルト)、半減露光量E1/2 (erg/c
2 )を測定し、その後10ルックスの白色光を1秒間
照射し、残留電位VR (ボルト)を測定した。その結
果、V0 :−820V、E1/2 :7.3erg/c
2 、VR :−38Vであった。また、同様の感光体を
基体としてアルミドラム上に形成し、富士ゼロックス社
製「Vivace500」で100000回の繰り返し
特性を評価したところ、電気特性の変化、感光体摩耗、
フィルミングもほとんど発生しなかった。
【0131】比較例1 実施例1において潤滑離型膜を設けない他は実施例1と
同様にして感光体を作製し、同様の測定を行った。その
結果、V0 :−800V、E1/2 :8.3erg/cm
2 、VR :−45Vであった。また、富士ゼロックス社
製「Vivace500」で10000回の繰り返し特
性を評価したところ、帯電性能が初期の20%に低下
し、感光体膜厚も摩耗により20%低下した。また、ラ
ンニング途中よりフィルミングが発生した。
【0132】以上のように、潤滑離型膜により耐摩耗性
が向上し、フィルミングなどを防止することができ、安
定、長寿命感光体として複写機、レーザープリンター等
の電子写真感光体の応用分野に広く用いることができ
る。
【0133】実施例2 1)磁気ディスク基板の作製 直径5インチのアルミニウムの非磁性基板の上にNi−
Pからなる下地層、磁性膜を順次蒸着させ、さらにその
上に膜厚20nmの非晶質カ−ボン保護膜をプラズマC
VD法により設けた。
【0134】2)潤滑離型膜の作製 反応性シラン化合物として、C9 199C2 4 Si
(NCO)3 10部、メチルシリルトリイソシアネート
10部、変性シリコーンオイルとして、シラノール変性
シリコーンオイル(商品名「YF3800」粘度80c
s:東芝シリコーン社製)2部を酢酸エチル400部に
混合し、潤滑離型材料を得た。上記磁気ディスクを上記
潤滑離型材料に10分間浸し、磁気ディスクを引き上げ
速度1.0cm/minで引き上げた後、100℃、3
0分間乾燥した。
【0135】3)特性評価 潤滑離型膜の膜厚をフーリェ変換型の赤外分光光度計を
用いて測定し、このサンプルについて20gの加重で静
摩擦係数を測定した。また、20gの荷重をかけて潤滑
離型膜を形成した磁気ディスクを20m/secの周速
でコンタクト・スタート・ストップ(CSS)試験によ
り摩耗を測定した。
【0136】潤滑離型膜の膜厚は、23nmであった。
静摩擦係数は0.12以下であり、CSSによる摩耗は
観察されなかった。また、記録再生試験を実施したとこ
ろ、従来の空気浮上式の磁気記録再生においては200
Mbit(メガビツト)/平方インチ程度の記録密度で
あつたが、本実施例においては2〜3Gbit(ギガビ
ツト)/平方インチという超高記録密度が得られた。
【0137】比較例2 潤滑離型剤としてパーフルオロポリエーテルカルボン酸
のエステルをパーフロロカーボン(商品名「フロリナー
ト」:住友−3M社製)に溶解し1重量%の処理溶液と
した。この処理溶液をスパッタカーボンにより保護され
た磁気ディスクに塗布して、乾燥した。このサンプルに
ついて潤滑離型膜の膜厚、静摩擦係数、摩耗を実施例2
と同様の方法により測定した。
【0138】潤滑離型膜の膜厚は、3nmであった。静
摩擦係数は0.22以上であり、CSSによる摩耗が観
察された。
【0139】このように、磁気ディスクの表面を潤滑離
型膜で被覆することにより、磁気ディスクの記録密度が
大幅に改善されることが明らかとなった。
【0140】実施例3 フッ素樹脂(商品名「セフラルコートA−101B」:
セントラル硝子社製)10部、反応性シラン化合物とし
て、テトライソシアネートシラン20部、熱硬化性シリ
コーン樹脂(商品名「PHC587」:東芝シリコーン
社製)20部、変性シリコーンオイルとして、アミノ変
性シリコーンオイル(商品名「TSF4702」反応基
量:1600、粘度:500cs:東芝シリコーン社
製)20部、結晶性グラファイト70部、カーボンブラ
ック30部、酸化チタン10部、酢酸エチル300部か
らなる潤滑離型材料をサンドミルを用いて常温にて3時
間分散した。得られた分散液をスプレー法により直径2
0mmのアルミニウム製現像スリーブ基体上に2μmの
厚さに塗布し、次いで熱風乾燥炉により130℃、60
分間加熱し、潤滑離型膜を形成し、現像スリーブを作製
した。次に、この現像スリーブを富士ゼロックス社製の
電子写真方式の複写機「Vivace500」を改造し
たものに組み込んでランニングテストを行ない、複写枚
数1000枚後のトナーの摩擦帯電電荷、画像濃度及び
スリーブゴーストを評価した。なお、現像剤は、後述の
ものを使用した。
【0141】画像濃度はマクベス反射濃度によりその反
射濃度により評価した。スリーブゴーストは目視により
評価した。トナーの摩擦帯電電荷:30μC/g、画像
濃度:1.5、また、10℃、15%RHの低温低湿、
28℃、85%RHの高温高湿などの環境によらず安定
した画像濃度を示した。また、スリーブゴーストは観察
されなかった。
【0142】〔用いた現像剤〕 1)トナー粒子の製造 ポリエステル樹脂(ビスフェノールAエチレンオキサイ
ド付加物とテレフタル酸との縮合物100重量部、Mn
=3000、Mw=9000)と、マゼンタ色材(C.
I.ピグメント・レッド57.1)4部とを溶融・混練
し、粉砕し、分級して、平均粒子径8μmのトナーを得
た。
【0143】2)外添剤の潤滑離型材料処理 反応性シラン化合物として、テトライソシアネートシラ
ン20部と、変性シリコーンオイルとして、アミノ変性
シリコーンオイル(商品名「TSF4702」反応基
量:1600、粘度:500cs:東芝シリコーン社
製)20部とを酢酸エチル300部に攪拌混合し、潤滑
離型材料を得た。湿式法酸化チタンとして硫酸法で製造
された平均粒径15nmのルチル型酸化チタン(商品名
「MT−150A」:テイカ社製)100gに上記潤滑
離型材料100部を添加し、10分間攪拌した後、ろ過
し、100℃で10分間熱風乾燥し、表面に潤滑離型膜
を被覆した酸化チタンを得た。
【0144】上記トナー粒子100部に、潤滑離型材料
で処理した上記酸化チタン1.2部を添加し、ヘンシェ
ルミキサーで混合しトナー粉末を得た。キャリアとし
て、含フッ素アクリル系樹脂で被覆した平均粒径50μ
mの鉄粉を用い、上記トナー粉末をトナー濃度が8重量
%になるように混合して現像剤を作製した。
【0145】比較例3 実施例3で用いた潤滑離型材料の代わりに、フェノール
樹脂100部、結晶性グラファイト70部、カーボンブ
ラック30部、メタノール100部、イソプロピルアル
コール300部をサンドミルを用いて常温にて5時間分
散した。得られた分散液をイソプロピルアルコールで希
釈し潤滑離型材料とした。得られた潤滑離型材料をスプ
レー法により直径20mmのアルミニウム製現像スリー
ブ基体上に7μmの厚さに塗布し、次いで熱風乾燥炉に
より150℃、60分間加熱し、硬化皮膜を形成し、現
像スリーブを作製した。また、実施例3と同様の方法に
よって摩擦帯電電荷、画像濃度、及びスリーブゴースト
を評価した。
【0146】トナーの摩擦帯電電荷:15μC/g、画
像濃度:1.0〜1.2程度であり、また環境により画
像濃度の変動が大きかった。
【0147】このように、現像スリーブの表面を潤滑離
型膜で被覆することにより、現像スリーブの摩耗性やキ
ャリアやトナーの付着性が低減され現像特性が改善され
ることが明らかとなった。
【0148】実施例4 1)潤滑離型材料の調製 反応性シラン化合物として、テトライソシアネートシラ
ン20部、光硬化性シリコーン樹脂(商品名「UVHC
8553」:東芝シリコーン社製)10部、変性シリコ
ーンオイルとして、アミノ変性シリコーンオイル(商品
名「XF42−B2204」反応基量:1600、粘
度:1000cs:東芝シリコーン社製)20部、ジフ
ェニルシリコーンオイル100部を酢酸エチル400部
に混合攪拌し、潤滑離型材料を得た。
【0149】2)定着ベルトの作製 鉄製のコアの外周面に500μmのシリコーンHTVゴ
ムと30μmのフッ素ゴムが被覆されている加熱定着ロ
ールと、低摩擦シートとして中興化成工業社製のテフロ
ンを含浸させたガラス繊維シート「FGF−400−
4」が被覆されている押圧パッドとを備えている熱硬化
性ポリイミドからなるエンドレスベルトからなる定着器
を用意した。なお、エンドレスベルトの内側には、予め
プライマー処理を施してある。このエンドレスベルトの
内面に、上記潤滑離型材料をディップコートして、風乾
後、120℃度で10分間オーブンで加熱処理して、そ
の後120W/cm2、1分間紫外線照射装置で硬化反
応を行なわせ、膜厚が約1μmの潤滑離型膜を設けた。
【0150】3)特性評価 潤滑離型膜形成前後にて、その駆動トルク(潤滑剤な
し)を比較した。処理前は駆動トルクが8〜9kg・c
m程度であったが、エンドレスベルトの内面に潤滑離型
膜を形成することにより駆動トルクは4kg・cm前後
まで低減することができた。エンドレスベルトの内面
(押圧パッドとの摺動面)に潤滑離型膜を設けず、表層
がポリイミドの場合には初期(時間0Hour)には、
150℃(定着温度)/25℃(室温)のトルクがそれ
ぞれ3.1kg・cm/4.6kg・cmであったもの
が、約80時間動作させることにより4.2kg・cm
/7.8kg・cmまで増大した。
【0151】これに対して、エンドレスベルトの内面に
上述の処理を施した場合には、初期的に150℃/25
℃のトルクが2.5kg・cm/3.5kg・cmと改
善され、しかも100時間の動作後においても3.2k
g・cm/4.4kg・cmと経時的な変化が小さかっ
た。
【0152】本発明では、エンドレスベルト内面に潤滑
離型膜が形成されたことにより固定部材としての押圧パ
ッドとの駆動トルクが低減され、定着ロールとエンドレ
スベルトのスリップが起こらず、定着動作時に画像のず
れが発生しなかった。
【0153】比較例4 実施例4の潤滑離型材料の代わりに、離型剤としてジメ
チルシリコーンオイル(商品名「TSF451」粘度:
100cs:東芝シリコーン製)を供給(1〜5マイク
ロリットル/A4用紙サイズ=以下、単に「A4」と表
記する)する以外は、実施例4と同様にして定着ベルト
を作製し、特性評価を行った。エンドレスベルトの内面
にジメチルシリコーンオイルを供給することにより15
0℃(定着温度)/25℃(室温)のトルクが、それぞ
れ3.3kg・cm/4.6kg・cmであったもの
が、約80時間動作させることにより4.0kg・cm
/5.7kg・cmまで増大した。
【0154】実施例5 1)潤滑離型材料の作製 反応性シラン化合物として、テトライソシアネートシラ
ン20部、熱硬化性シリコーン樹脂(商品名「PHC5
87」:東芝シリコーン社製)20部、変性シリコーン
オイルとして、アミノ変性シリコーンオイル(商品名
「XF42−B2204」反応基量:1600、粘度:
1000cs:東芝シリコーン社製)20部、ジメチル
シリコーンオイル(商品名「TSF451」粘度:30
0cs)100部を酢酸エチル500部に混合、攪拌し
潤滑離型材料を調製した。
【0155】2)定着ロールの作製 ロール芯金を挿入した内面鏡面仕上げの円筒状金型内に
両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖のジメチルポリシ
ロキサン(重合度:500、ビニル価:0.0053モ
ル/100g)100部、結晶性シリカ(平均粒径5μ
m)35部、オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(重合度:17、Si−H当量:0.00528モル/
g)3.1部、白金触媒(Pt濃度1%)0.2部、及
び反応制御剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノ
ール0.1部を混合しシリコーンゴム組成物を調製し
た。
【0156】アルコキシシラン系のプライマーを塗布し
たロール芯金を挿入した、内面鏡面アルコキシシラン系
のプライマーを塗布した得られた組成物を真空脱泡した
後射出成形機を用いて注入し、150℃で10分間加熱
硬化させ、その後200℃で4時間二次加硫を行って、
加熱定着用のゴムロールを得た。
【0157】得られたゴムロール表面に上記潤滑離型材
料をディップコートして、風乾後、120℃で10分間
オーブンで加熱処理して、膜厚が約2μmの潤滑離型膜
を設けた。
【0158】3)特性評価 得られたゴムロールの硬度(JIS K 6301のA
に準拠)を測定し、富士ゼロックス社製の電子写真方式
の複写機「Vivace500」で、オフセットするま
での印字枚数を測定した。ゴム硬度は50であり、75
万枚までオフセットは生じなかった。また、オイルによ
る画質劣化やOHPなどの透過性の低下も認められなか
った。
【0159】また、本発明の潤滑離型膜を表面に被覆し
た定着ロールに、さらにジメチルシリコーンオイル(商
品名「TSF451」粘度:100cs:東芝シリコー
ン製)などを外部からわずかに供給(1〜5マイクロリ
ットル/A4)することにより、100万枚程度までオ
フセットは生じなかった。
【0160】実施例6 1)潤滑離型材料の作製 反応性シラン化合物として、メチルシリルトリイソシア
ネート20部、熱硬化性シリコーン樹脂(商品名「TS
F451」:東芝シリコーン社製)20部、ジメチルシ
リコーンオイル(粘度:300センチストークス)10
0部を酢酸エチル500部に混合、攪拌し潤滑離型材料
を調製した。
【0161】2)定着ロールの作製 実施例5と同様の方法によって加熱定着用のゴムロール
を得た。得られたゴムロール表面に上記潤滑離型材料を
ディップコートして、風乾後、130℃で30分間オー
ブンで加熱処理して、膜厚が約3μmの潤滑離型膜を設
けた。
【0162】3)特性評価 得られたゴムロールの硬度(JIS K 6301のA
に準拠)を測定し、富士ゼロックス社製の電子写真方式
の複写機「Vivace500」で、オフセットするま
での印字枚数を測定した。ゴム硬度は45であり、71
万枚までオフセットは生じなかった。また、シリコーン
オイルによる画質劣化やOHPなどの透過性の低下も認
められなかった。
【0163】また、本発明の潤滑離型膜を表面に被覆し
た定着ロールに、さらにアミノ変性シリコーンオイル
(商品名「TSF4702」反応基量:1600、粘
度:1000cs:東芝シリコーン社製)などを外部か
らわずかに供給(1〜5マイクロリットル/A4)する
ことにより、100万枚程度までオフセットは生じなか
った。
【0164】比較例5 実施例5で使用した潤滑離型材料のうち、熱硬化性シリ
コーン樹脂、アミノ変成シリコーンオイルの代わりに、
アルコール変性シリコーンオイル(商品名「TSF47
50」反応基量:50、粘度:170:東芝シリコーン
社製)20部を用いた他は、実施例5と同様の方法によ
り潤滑離型材料を調整した。これを用いて、実施例5と
同様にして定着ロールを作製し、ゴムロール硬度と及び
オフセットまでの印字枚数を測定した。ゴム硬度は45
であったが、1000枚程度からオフセットを発生しは
じめ、オフセットした定着ロール表面には、トナーが固
着しているのが観察された。
【0165】比較例6 実施例6で使用した潤滑離型膜の代わりに、離型剤とし
てジメチルシリコーンオイルを供給(20〜30マイク
ロリットル/A4)する以外は、実施例5と同様にして
定着ロールを作製し、ゴムロール硬度と及びオフセット
までの印字枚数を測定した。ゴム硬度は25であり、1
0万枚までオフセットは生じなかった。
【0166】・定着用部材の実施例及び比較例実施例7 撹拌子をセットしたフラスコに、フッ素含有シリコーン
化合物として下記式(I)の化合物16.4部、下記式
(II)の化合物5部、及びテトラメトキシシラン5.
6部を入れ、溶剤としてイソプロピルアルコール200
部、2−メチル−2−プロパノール500部を加えた。
次に有機アルミニウム化合物としてアルミニウムトリス
アセチルアセトネート2.2部を加えてよく撹拌し、こ
れに1%塩酸水溶液を6.7部徐々に滴下した。滴下終
了後25℃に保温し7日間放置し、組成物溶液を調製し
た。
【0167】
【化4】
【0168】上記のようにして得られた組成物溶液に、
さらに変性シリコーンオイルとして分子片末端に水酸基
を有するシラノール変性ジメチルシロキサン(東芝シリ
コーン社製:XF3968)を20部混合し、塗布液を
得た。一方、定着ロールとして、外径寸法が44mmの
中空のアルミニウム芯金上にプライマーを介してシリカ
含有のシリコーンゴムを加硫接着し、さらにその後、円
筒研削盤で外径研磨仕上げを行って厚さ4mmの弾性層
を形成し、さらにその上に導電性付与剤が添加されてい
るシリコーンゴム溶液を浸漬塗布した後、加熱硬化して
厚さ20μmの導電層を形成させた。このロール上に前
記塗布液を浸漬塗布して、加熱乾燥し、厚さ10μmの
離型層(離型膜)を設けて、定着ロールを作製した。
【0169】得られた定着ロールをデジタルカラー複写
機Acolor935(富士ゼロックス社製)の加熱定
着ロールと交換し、さらに、加熱定着ロール上にオイル
を供給するシステムを取り除いて、図2のようなオイル
レス定着仕様に改造し、定着試験を行った。この時、用
いたトナーは、上記デジタルカラー複写機Acolor
935(富士ゼロックス社製)用のブラック、シアン、
イエロー、マゼンタの各トナーである。
【0170】定着試験は、加熱定着ロール1のトナーオ
フセット性およびロール上に接触する剥離爪のキズや摩
耗による画質欠陥を評価した。なお、トナーオフセット
性および画質欠陥の評価は、A4用紙を用いてフルカラ
ー画像の定着処理を連続して実施し、オフセットが発生
するまでの枚数(耐久性)、同時に画質欠陥発生までの
枚数(耐久性)を調べることにより行った。結果として
は、50万枚までオイルレスの定着で問題なかった。
【0171】また、加熱定着ロールと同様にして、加圧
定着ロールの表面に離型層を作製し、上記使用したデジ
タルカラー複写機の加圧定着ロールと交換し、加熱、加
圧ロール双方とも表面に上記離型層を有したロールと交
換した場合も同様に評価した結果、50万枚以上の定着
においても、なんら問題はなかった。
【0172】さらに、上記実験の後、本発明の潤滑離型
層を表面に被覆した加熱定着ロールに、図1の従来の定
着装置のようにジメチルシリコーンオイルなどを外部か
らわずかに供給(1〜2μl/A4、当該装置の標準量
としては30μl/A4)して耐久性を評価した結果、
さらに100万枚以上(合計150万枚以上)の定着に
おいて問題が発生しなかった。結果をまとめて表1に示
す。
【0173】比較例7 デジタルカラー複写機Acolor935(富士ゼロッ
クス社製)の加熱定着ロールおよび、加圧定着ロールの
表面からオイルを拭き取りそのまま用い、図2に示すオ
イルレス定着装置に改造した改造機で実施例7と同様な
評価を行ったが、トナーオフセット性は1枚目から発生
し、しかも用紙を分離爪で剥離できないほどロールに巻
き付き、ジャムを引き起こした。また、上記理由により
画質欠陥の評価ができなかったため、白紙のA3紙を通
紙して、分離爪によるロールのキズを調べたが、250
枚ほどで摩耗による深いキズが発生していた。ジメチル
シリコーンオイルを外部からわずかに供給(1〜2μl
/A4)した場合でも、トナーオフセットは10枚ほど
で発生し、また分離爪によるロールのキズは800枚ほ
どで発生し、該キズによる画像欠陥が発生した。結果を
まとめて表1に示す。
【0174】実施例8 硬化性シリコーン樹脂(TSR117:東芝シリコーン
社製)20部、変性シリコーンオイルとして、アミノ変
性シリコーンオイル(XF42−B2204:東芝シリ
コーン社製)70部を酢酸エチル400部に混合攪拌
し、さらにシラン化合物として、テトライソシアネート
シラン20部を撹拌混合して塗布液を得た。これを実施
例7と同様に導電層まで付加された加熱定着ロール上に
浸漬塗布して、加熱乾燥し、厚さ8μmの離型層を設け
て、定着用ロールを作製した。評価も実施例7と同様に
オフセット性、画像欠陥の評価を行った。結果を表1に
示す。
【0175】実施例9 アミノ変性シリコーンオイル(東芝シリコーン社製:T
SF4702)16部と、アミノ基とアルコキシ基の2
種の官能基を有した変性シリコーンオイル(信越化学社
製:XF−862)16部、硬化性シリコーン樹脂(東
芝シリコーン社製:TSR160)5部、ポリエステル
樹脂(東洋紡績社製:バイロン300)15部を酢酸エ
チル400部に十分溶解撹拌混合し、さらにイソシアネ
ートシラン化合物としてMeSi(NCO)310.0
部、C91924Si(NCO)35部、テトライソシ
アネートシラン15部を添加撹拌し、塗布液を得た。こ
れを実施例7と同様に導電層まで付加された加熱定着ロ
ール上に浸漬塗布して、加熱乾燥し、厚さ12μmの離
型層を設けて、定着用ロールを作製した。評価も実施例
7と同様にオフセット性、画像欠陥の評価を行った。結
果を表1に示す。
【0176】実施例10 カルボキシ変性シリコーンオイル(信越化学社製:X−
22−3710)16部と、アミノ基とアルコキシ基の
2種の官能基を有した変性シリコーンオイル(信越化学
社製:XF−862)16部を酢酸エチル400部に撹
拌混合し、さらにイソシアネートシラン化合物としてC
1837Si(NCO)326.0部とC91924Si
(NCO)36部を添加撹拌し、塗布液を得た。これを
実施例8と同様に導電層まで付加された加熱定着ロール
上に浸漬塗布して、加熱乾燥し、厚さ3μmの離型層を
設けて、定着用ロールを作製した。評価も実施例8と同
様にオフセット性、画像欠陥の評価を行った。結果を表
1に示す。
【0177】実施例11 アルコール変性シリコーンオイル(東芝シリコーン社
製:TSF4750)20部とシリコーンゴムとして1
液型RTVゴム(信越化学社製:KE4895T)20
部と、硬化性樹脂としてシリコーンポリエステル樹脂
(東芝シリコーン社製:XR32−103)10部、さ
らに平均粒径3μmのシリコーン樹脂微粒子として(東
芝シリコーン社製:トスパール130)25部を酢酸エ
チル400部に十分に撹拌混合し、さらにアルコキシシ
ラン化合物としてCH3Si(OCH3340部を添加
し、撹拌混合して塗布液を得た。これを実施例7と同様
に導電層まで付加された加熱定着ロール上に浸漬塗布し
て、加熱乾燥し、厚さ8.5μmの離型層を設けて、定
着用ロールを作製した。評価も実施例7と同様にオフセ
ット性、画像欠陥の評価を行った。結果を表1に示す。
【0178】実施例12 シラノール変性シリコーンオイルとしてα,ω−ジハイ
ドロキシポリジメチルシロキサンオイル(25℃で粘度
が1000センチストークス)20部と、硬化性樹脂と
してシリコーンアクリル樹脂(東芝シリコーン社製:T
SR170)20部および、導電性付与剤としてSnO
2 −In2 3 固溶体粉末を10部を酢酸エチル460
部に十分撹拌混合し、さらにシランカップリング剤とし
てγ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン
(信越化学社製:KBM503)30.0部を添加し、
撹拌混合して塗布液を得た。これを実施例7と同様に導
電層まで付加された加熱定着ロール上に浸漬塗布して、
加熱乾燥し、厚さ8μmの離型層を設けて、定着用ロー
ルを作製した。評価も実施例7と同様にオフセット性、
画像欠陥の評価を行った。結果を表1に示す。
【0179】実施例13 シラノール変性メチルフェニルシリコーンオイル(東芝
シリコーン社製:TSF431)15部、エポキシ基と
ポリエーテル基を有する変性シリコーンオイル(信越化
学社製:X−22−3667)15部、シリコーン樹脂
(東芝シリコーン社製:TSR108)15部、同じく
シリコーン樹脂(東芝シリコーン社製:TSR160)
15部、さらにフッ素樹脂(住友3M社製:FX−33
30)30部を酢酸エチル400部に十分撹拌混合し、
さらにイソシアネートシラン化合物としてMeSi(N
CO)310.0部とSiH基を持つシラン化合物とし
てMeHSi(OCH325.0部、アルコキシシラン
化合物としてCH3(CH211Si(OC2535.
0部を添加し、撹拌混合して塗布液を得た。これを実施
例7と同様に導電層まで付加された加熱定着ロール上に
浸漬塗布して、加熱乾燥し、厚さ10μmの離型層を設
けて、定着用ロールを作製した。評価も実施例7と同様
にオフセット性、画像欠陥の評価を行った。結果を表1
に示す。
【0180】実施例14 アミノ変性シリコーンオイル(東芝シリコーン社製:T
SF4702)15部、カルボキシル基とポリエーテル
基を有する変性シリコーンオイル(東レダウコーニング
シリコーン社製:BY16−874)15部、ポリエス
テル樹脂(東洋紡績社製:バイロン200)15部、シ
リコーン樹脂(東芝シリコーン社製:TSR160)3
部を酢酸エチル450部に十分撹拌溶解し、さらにシラ
ンカップリング剤としてトリメトキシビニルシラン2
5.0部と、イソシアネートシラン化合物としてテトラ
イソシアネートシラン15.0部を添加し、撹拌混合し
て塗布液を得た。これを実施例7と同様に導電層まで付
加された加熱定着ロール上に浸漬塗布して、加熱乾燥
し、厚さ11μmの離型層を設けて、定着用ロールを作
製した。評価も実施例7と同様にオフセット性、画像欠
陥の評価を行った。結果を表1に示す。
【0181】実施例15 カルボキシ変性シリコーンオイル(東レダウコーニング
シリコーン社製:SF8418)20部、アミノ基とポ
リエーテル基を有した変性シリコーンオイル(信越化学
社製:X−22−3939A)15部、シリコーンポリ
エステル樹脂(東芝シリコーン社製:XR32−A16
12)20部、シリコーンゴム(東レダウコーニングシ
リコーン社製:SE9187)10部さらに平均粒径3
μmのシリコーン樹脂微粒子として(東芝シリコーン社
製:トスパール130)10部をを酢酸エチル400部
に撹拌混合し、さらにイソシアネートシラン化合物とし
てC1837Si(NCO)310.0部とC91924
Si(NCO)36.0部、C817Si(NCO)3
0.0部、メチルシリルトリイソシアネート20部を添
加し、撹拌混合して塗布液を得た。これを実施例7と同
様に導電層まで付加された加熱定着ロール上に浸漬塗布
して、加熱乾燥し、厚さ10μmの離型層を設けて、定
着用ロールを作製した。評価も実施例7と同様にオフセ
ット性、画像欠陥の評価を行った。結果を表1に示す。
【0182】
【表1】
【0183】実施例16〜24 厚み75μm、直径40mmのポリイミドのエンドレス
ベルト15の両面にプライマー処理(N−フェニル−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業製
KBM573、膜厚0.2μm)し、さらに実施例8〜
16で使用した離型層の塗布液を浸漬塗布し、加熱処理
して、エンドレスベルト表裏に約10μmの離型層を形
成した。これを図4に示す定着装置に装着してカラート
ナーから形成されたカラートナー像が載っている用紙を
100mm/secの速度で通紙して、140℃の温度
で画像を定着させた。評価も実施例7と同様にオフセッ
ト性、画像欠陥の評価を行った。結果を表2に示す。
【0184】
【表2】
【0185】実施例25〜33 直径32mmの鉄製のコアの外周面に1.5mmのシリ
コーンHTVゴム層が設けられたロール上に実施例7〜
15で使用した塗布液を浸漬塗布し、加熱処理して、厚
さ約15μmの離型層を有した加熱定着ロールを作製し
た。さらに実施例16〜24で作製したエンドレスベル
トを使用して図7の回転可能に配置された加熱定着ロー
ル1と、前記加熱定着ロールに接触したまま走行可能に
配置されたエンドレスベルト15と、前記エンドレスベ
ルト15の内側に配置され、かつ前記エンドレスベルト
15と前記加熱定着ロール1との間に、未定着トナー像
8を保持する記録体7が通過可能なニップ部が形成され
るように、前記エンドレスベルト15を介して前記加熱
定着ロール1を押圧する押圧パッド30とを備えてなる
定着装置に装着した。カラートナーから形成されたカラ
ートナー像が載っている用紙を100mm/secの速
度で通紙して、前記加熱定着ロールの表面温度を140
℃にして画像を定着させた。評価も実施例8と同様にオ
フセット性、画像のずれを含む画像欠陥の評価を行っ
た。結果を表3に示す。また、エンドレスベルトの駆動
トルクを初期と20万枚後測定し、離型層付与の効果を
確認した。結果を表4に示す。
【0186】
【表3】
【0187】
【表4】
【0188】
【発明の効果】本発明によれば、潤滑離型材料を構成す
る反応性シラン化合物が基体と化学反応し潤滑離型膜を
形成することにより、基体との間に強い化学結合が結ば
れ、シリコーン材料が持っている潤滑性、低付着性(離
型性)、耐熱性、材料安全性などの機能性を最大限発揮
させながら、逆にシリコーン材料の欠点である他部材へ
の接着性(低付着性)の低さを克服することができる。
また、潤滑離型材料中にあらかじめ反応性シラン化合物
と反応するシリコーンオイルが混入されているため、反
応性シラン化合物とシリコーンオイルとの反応により基
板との反応と同時に高潤滑性の離型膜を形成することが
できる。
【0189】液体潤滑剤の欠点は、他部材への汚染、皮
膜形成能の低さ、潤滑性能の経時変化、環境依存などで
あり、固体潤滑剤の欠点は、成型加工性の低さ、高製造
加工コスト、耐摩耗性、潤滑性能の低さなどであるが、
本発明によれば、これらの欠点を克服することができ、
逆に、液体潤滑剤の利点である高流動性、形状任意性、
高加工性などと、固体潤滑剤の利点である皮膜形成能
力、潤滑安定性、低摩耗性などを両立した潤滑離型膜を
形成することができる。即ち、本発明の潤滑離型膜は、
反応性シラン化合物とシリコーンオイルとの反応膜であ
る潤滑離型膜により固体潤滑剤としての皮膜形成能を確
保しながら、液体潤滑剤であるシリコーンオイルの利点
をも同時に発揮することができる。
【0190】さらに、本発明の潤滑離型膜には、他の離
型剤、固体潤滑剤、及び導電性材料などを混入、併用す
ることが容易であり、他の離型剤、固体潤滑剤を混入、
併用することにより、さらなる潤滑離型性能の向上を図
ることができ、離型剤として樹脂成分を混入することに
より膜厚の制御も可能である。また、硬化性材料などを
併用することにより膜の表面硬度を制御することもで
き、導電性材料などの併用によりその表面抵抗など機能
膜として必要とされる性能を容易に付加することができ
る。
【0191】さらに、用いる添加剤などの粒径、配合比
により潤滑離型膜表面への析出程度を変化させることに
より、膜の表面形状を自由に制御できる。これにより、
他部材との接触面積の制御を可能とし、潤滑離型性能の
向上や、逆に表面形状を利用した付着性制御、表面の光
散乱を利用した光透過性などの光学特性をも制御可能と
する。
【0192】また、本発明の潤滑離型膜は、その高潤滑
性と他の部材との低付着性により、磁気記録材料表面の
高潤滑膜として利用することができ、磁気記録媒体への
テクスチャ処理(磁気ヘッドの吸着を防ぐため表面に微
少な凹凸を設けること)をすることなく、磁気ヘッドの
接触による摩耗を防ぎながら、磁気ヘッドの近接を可能
とし、従来の記録密度を遙にしのぐ特性を得ることがで
きる。
【0193】本発明の潤滑離型材料は、塗工液として調
製できるため、潤滑離型膜を形成する基体や成型品の形
状を選ばず、また塗布あるいは含浸などの簡易な方法に
より低コストで、安全に、しかも低エネルギーで潤滑離
型膜を形成できる。また、基体や成型品表面にあらかじ
め活性処理を施すことにより各種表面材料への潤滑離型
膜の形成が可能である。
【0194】また、本発明によれば、定着ロールにおい
ては、その離型層をオイルレスにしても剥離性が良好
で、摩耗による画質の低下を引き起こさず、また定着ベ
ルトにおいては、さらに安定的な走行性能を確保するこ
とができ、高品質の画像を安定して得られる定着用部材
およびそれを用いた定着装置を提供することができる。
また、定着ベルト内周面に押圧パッドを有する装置にお
いては、その界面での摩擦力が小さくなり、定着ベルト
のスリップが発生しなくなり、定着時の画像のずれや乱
れを招くことなく、画像定着を円滑に行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の定着装置の一例を示す概略断面図であ
る。
【図2】図1の定着装置からオイル供給装置を取り除い
た、本発明の定着用部材を適用できるオイルレス定着装
置を示す概略断面図である。
【図3】本発明の定着用部材を適用できるオイルレス定
着装置の他の一例を示す概略断面図である。
【図4】実施例16〜24で使用したオイルレス定着装
置の概略断面図である。
【図5】実施例16〜24で使用した定着装置の概略断
面図である。
【図6】本発明の定着用部材を適用できる定着装置の他
の一例を示す概略断面図である。
【図7】実施例25〜33で使用したオイルレス定着装
置の概略断面図である。
【図8】実施例25〜33で使用した定着装置の概略断
面図である。
【符号の説明】
1:加熱定着ロール、 2:加圧定着ロール、 3:中空ロール(ロール状基体)、 4:ゴム弾性層、 5:離型層、 6:ヒーター、 7:記録体、 8:未定着トナー像、 9:オイル供給装置、 10:芯金ロール、 11:耐熱弾性体、 12:剥離爪、 13,14:支持ロール、 15:エンドレスベルト、 16:加熱体、 17:ヒーター基板、 18:発熱体、 19:駆動ロール、 20:従動ロール、 21:加圧定着ロール、 22:オイル供給パッド、 25,26:分離ロール、 27:加圧ロール、 28:搬送ベルト、 29,29’:搬送ロール 30:押圧パッド、 31:支持体、 32:弾性体、 33:基材、 34:ベルト走行ガイド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 5/00 C09D 183/04 183/04 C10M 107/50 C10M 107/50 109/02 109/02 B41M 5/26 U // C10N 40:36

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応性シラン化合物とシリコーンオイル
    とを含む潤滑離型材料用組成物。
  2. 【請求項2】 前記反応性シラン化合物が、フッ素含有
    シラン化合物、イソシアネートシラン化合物、アルコキ
    シシラン化合物、シランカップリング剤、およびSiH
    基を持つシラン化合物からなる群から選ばれた少なくと
    も1種であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑離
    型材料用組成物。
  3. 【請求項3】 前記シリコーンオイルが、分子中に反応
    性基を有する変性シリコーンオイルであることを特徴と
    する請求項1または2に記載の潤滑離型材料用組成物。
  4. 【請求項4】 前記分子中に反応基を有する変性シリコ
    ーンオイルが、シラノール変性シリコーンオイル、カル
    ボキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオ
    イル、および一分子中に複数の反応基を持つ変性シリコ
    ーンオイルからなる群から選ばれた少なくとも1種であ
    ることを特徴とする請求項3に記載の潤滑離型材料用組
    成物。
  5. 【請求項5】 反応性シラン化合物に対する変性シリコ
    ーンオイルの存在量を化学当量以上にすること特徴とす
    る請求項1から4のいずれか一項に記載の潤滑離型材料
    用組成物。
  6. 【請求項6】 変性シリコーンオイルの粘度が室温で5
    〜15,000cpであることを特徴とする請求項1か
    ら5のいずれか一項に記載の潤滑離型材料用組成物。
  7. 【請求項7】 シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはシ
    リコーンモノマーとフッ素を含有するモノマーとの共重
    合体、シリコーン樹脂やフッ素樹脂のアクリル樹脂やポ
    リエステル樹脂などによる変性体、ポリエチレン、ポリ
    プロピレン、カルナバワックス、密ロウ、モンタンワッ
    クス、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワック
    スからなる群から選ばれた少なくとも1種の離型剤を含
    有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項
    に記載の潤滑離型材料用組成物。
  8. 【請求項8】 前記シリコーン樹脂が硬化型シリコーン
    樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の潤滑離型
    材料用組成物。
  9. 【請求項9】 窒化ホウ素、黒鉛、二硫化モリブデン、
    二硫化タングステン、フッ化黒鉛、ポリテトラフルオロ
    エチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリアミド、ポ
    リアセタール、ポリエチレンからなる群から選ばれた少
    なくとも1種の固体潤滑剤を含有することを特徴とする
    請求項1から8のいずれか一項に記載の潤滑離型材料用
    組成物。
  10. 【請求項10】 前記反応性シラン化合物に対する前記
    シリコーンオイルの添加量が、前記シリコーンオイルの
    化学当量以上であることを特徴とする請求項1から9の
    いずれか一項に記載の潤滑離型材料用組成物。
  11. 【請求項11】 前記離型剤の添加量が、他の成分の固
    形分に対し、固形分比で1重量%以上90重量%以下で
    あることを特徴とする請求項7から10のいずれか一項
    に記載の潤滑離型材料用組成物。
  12. 【請求項12】 前記固体潤滑剤の添加量が、他の成分
    の固形分に対し、固形分比で1重量%以上90重量%以
    下であることを特徴とする請求項9から11のいずれか
    一項に記載の潤滑離型材料用組成物。
  13. 【請求項13】 導電性材料を含有することを特徴とす
    る請求項1から12のいずれか一項に記載の潤滑離型材
    料用組成物。
  14. 【請求項14】 請求項1から13のいずれか一項に記
    載の潤滑離型材料用組成物から得られた潤滑離型材料。
  15. 【請求項15】 請求項1から13のいずれか一項に記
    載の潤滑離型材料用組成物から得られた潤滑離型材料で
    あって、反応性シラン化合物とシリコーンオイルとの反
    応生成物を含むことを特徴とする請求項14に記載の潤
    滑離型材料。
  16. 【請求項16】 請求項14または15に記載の潤滑離
    型材料を基体に塗布または含浸させ、該基体と反応させ
    ることにより皮膜形成する潤滑離型膜の作製方法。
  17. 【請求項17】 室温放置、加熱、光照射からなる群か
    ら選ばれた少なくとも一つの処理を施して、前記潤滑離
    型材料を前記基体と反応させることにより皮膜形成する
    請求項16に記載の潤滑離型膜の作製方法。
  18. 【請求項18】 前記基体表面に、あらかじめ、光照
    射、オゾン照射、放射線、高温加熱、酸化剤処理からな
    る群から選ばれた少なくとも一つの処理を施したことを
    特徴とする請求項16または17に記載の潤滑離型膜の
    作製方法。
  19. 【請求項19】 請求項16から18のいずれか一項に
    記載の方法により作製された潤滑離型膜。
  20. 【請求項20】 基体上に、請求項14または15に記
    載の潤滑離型材料からなる離型層を表面層として有する
    ことを特徴とする定着用部材。
  21. 【請求項21】 離型層中に、微粒子を含有しているこ
    とを特徴とする請求項20に記載の定着用部材。
  22. 【請求項22】 離型層中に導電性材料を含有している
    ことを特徴とする請求項20に記載の定着用部材。
  23. 【請求項23】 離型層表面に、シリコーンオイルが塗
    布されていることを特徴とする請求項20から22のい
    ずれか一項に記載の定着用部材。
  24. 【請求項24】 基体が、ロール状あるいはベルト状で
    あることを特徴とする請求項20から23のいずれか一
    項に記載の定着用部材。
  25. 【請求項25】 請求項20から24のいずれか一項に
    記載の定着用部材を有することを特徴とする定着装置。
  26. 【請求項26】 少なくともカラー着色剤および結着樹
    脂からなるトナーを用いて、カラートナー画像を記録体
    上に形成し、該カラートナー画像が形成された記録体
    に、請求項20から24のいずれか一項に記載の定着用
    部材を用いて熱および圧力を付与し、前記記録体上に前
    記カラートナー画像を定着することにより、カラー画像
    を得ることを特徴とするカラー画像形成方法。
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